説明

血糖値測定装置、血糖値測定方法及びプログラム

【課題】ユーザが血糖値を測定したタイミングを測定データに自動的に結びつけること。
【解決手段】血糖値測定装置1は、血液を収容する所定の部位を有する第1又は第2のチップの装着の有無と、装着された第1又は第2のチップの種類を識別するチップ識別部31と、チップ識別部31によって識別された第1又は第2のチップの種類に応じて、所定の部位に付着した血液を測定するタイミングがユーザの食後であるか否かを識別し、所定の部位に付着した血液を分析することで血糖値を測定する血糖値測定部32と、血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した血糖値を記憶する記憶部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液中の血糖値を測定するために用いる血糖値測定装置、血糖値測定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糖尿病等の診断、治療、医療指導のため、携帯型の血糖値測定装置を用いて、ユーザが自分で血液中の血糖値を測定する血糖値測定装置(簡易自己血糖測定装置)が知られている。血糖値測定装置は、例えば、血中のブドウ糖量に応じて発色する試験紙の発色の度合いを光学的に測定(測色)して血糖値を定量化するものである。特許文献1には、血液が付着した試薬片に光を照射して得られる反射光の強度を測定することによって、血液中の血糖値を算出する技術が開示されている。
【0003】
そして、従来の血糖値測定装置は、医師や糖尿病療養指導士の指導の下、ユーザ自身が血糖値を測定することが可能であるため、利便性が高かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−46834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、日常生活において血液中の血糖値は変化する。そして、血糖値の変化量が特に大きいのは、食事の前後であることが知られている。
【0006】
一般にユーザが食事を始めるまでは、血糖値は下がり続けるが、食後は急激に血糖値が上がることが知られている。この食後の血糖値は、糖尿病合併症の予防やインスリン投与量の適量を決める上で、重要な指標となっている。
【0007】
しかし、血糖値を測定したタイミングが食後であるか否かが判明すれば、医師はユーザに対して適切な指導が可能となるものの、従来、ユーザが血糖値を測定したタイミングが食事後であるか否は、測定時刻で推測するしかなかった。
【0008】
また、血糖値測定装置のボタン操作や測定チップの挿抜など、何らかの操作によって食後に測定されたことをマークする機能が知られている。しかし、ボタンの押し忘れ等、操作自体を失念してマーキングできない事態が起こってしまう。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、食後に測定された血糖値に食後に測定されたデータであることを自動的に紐付けて記憶することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、始めに、血液を収容する所定の部位を有する第1又は第2のチップの装着の有無と、装着された第1又は第2のチップの種類を識別する。
次に、識別された第1又は第2のチップの種類に応じて、所定の部位に収容した血液を測定するタイミングがユーザの食後であるか否かを識別し、所定の部位に付着した血液の血糖値を測定する。
そして、血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した血糖値を記憶するものである。
【0011】
このようにしたことで、装着された第1又は第2のチップの種類に応じて、血糖値が測定されるタイミングを識別することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チップの種類を識別して、このチップの種類に応じて、血糖値が測定されるタイミングを識別し、血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した血糖値を記憶できる。このため、記憶部から読み出した血糖値がどのタイミングで測定されたかを判断することが容易となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における血糖値測定装置の例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるチップの例を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における図1のA−A′線に沿った血糖値測定装置の断面例を示す構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における血糖値測定装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における制御部の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】従来の試験紙が反射する光線の受光光量と血糖値を測定する範囲の例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における試験紙の反射する光線の受光光量と血糖値を測定する範囲の例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における、ユーザが血糖値測定装置を用いて血糖値を測定するまでの動作例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における表示部に表示される各ステータスの例を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるチップの内部構成例を示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における血糖値測定装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における制御部の内部構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるチップの種類を識別するために用いられる電流値の例を示す説明図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるチップの内部構成例を示す説明図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態における制御部の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。本実施の形態では、チップ毎の反射光量の違いによって、血糖値を測定したタイミングが食後(例えば、食事をした後、30分〜2時間の間)か否かを識別し、測定値にひも付ける光学式の血糖値測定装置1の例について説明する。
【0015】
図1は、血糖値測定装置1の外観斜視図を示す。
血糖値測定装置1は、各種の情報を表示する表示部2と、電源のオン又はオフを切替える電源ボタン3と、データ記憶部24(後述する図4参照)に記憶された血糖値の過去履歴を、表示部2に表示させる呼出しボタン4と、を備える。
【0016】
また、血糖値測定装置1は、第1のチップ(tip)10a又は第2のチップ10bが着脱されるホルダ7と、ホルダ7に装着された第1のチップ10a又は第2のチップ10bを取り外すイジェクタ6を備える。また、血糖値測定装置1は、各部が配置される筐体5を備える。筐体5の内部には、不図示のプリント基板が配置されており、所定の演算・血糖値の測定処理を行う。
【0017】
本例では、食後に装着される食後測定用チップを、第1のチップ10aとし、食後以外に装着されるチップを、第2のチップ10bとする。以下、第1のチップ10a又は第2のチップ10bを、単に「チップ」と略称する場合がある。
【0018】
第1のチップ10aと第2のチップ10bは、それぞれ別のケース11に格納され、血糖値を測定するまでは外気に触れない状態で衛生的かつ乾燥した状態に保たれる。チップの内部には、チップの種類毎に異なる試験紙13a,13b(後述する図2参照)がはめ込まれる。以下、試験紙13a,13bを、単に「試験紙」と略称する場合がある。
【0019】
試験紙に血液が付着すると、化学反応を起こして試験紙が発色する。血糖値測定装置1は、試験紙が発色する部位に光線を照射し、この部位が反射した光線の受光光量を測定することによって、血糖値を測定する。ケース11や第1のチップ10aと第2のチップ10bは、外観視した場合に互いに異なる外部識別情報を備える。外部識別情報には、色、形状、表示のうち、少なくともいずれか1つの情報が含まれる。ユーザは、外部識別情報によって、チップの取り違えを防ぐことができる。
【0020】
図2は、第1のチップ10aと第2のチップ10bの外観斜視図の例を示す。
第1のチップ10aは、試験紙13aと、試験紙13aの周囲に形成される4本の突起部14a〜14dを備える。突起部14a〜14dは、ホルダ7にはめ込まれ、第1のチップ10aをホルダ7に固定すると共に、外部からの入光を遮る機能を有する。
【0021】
第2のチップ10bは、第1のチップ10aとほぼ同一形状であるものの、試験紙13aと色が異なる試験紙13bを備える点で構成が異なる。
【0022】
図3は、図1におけるA−A′線において断面視した場合における、ホルダ7とチップ構成例を示す。
【0023】
血糖値測定装置1は、試験紙に対して所定の波長の光線を発する発光部15と、光線を受光し、受光信号を発生する受光部16を備える。
チップは、先端に付着した血液を毛細管現象により吸い取る細管12と、細管12を通じて吸い取られた血液がしみ込む試験紙を備える。
【0024】
発光部15には、例えば、波長が630nmの光線を発光する発光ダイオードが用いられる。受光部16には、例えば、フォトディテクタが用いられる。
【0025】
受光部16は、ホルダ7にチップが取り付けられている場合には、試験紙から反射した光線を受光し、受光信号を発生する。一方、ホルダ7にチップが取り付けられていない場合には、外部環境の光を受光し、受光信号を発生する。受光部16が受光した光線の光量は、受光部16が発生した受光信号に基づいて、チップ識別部31(後述する図5参照)が演算する。
【0026】
チップと細管12は、所定の剛性を有する剛性材料で構成されている。このような剛性材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール等またはこれらのうちの1種以上を含むポリマーアロイ、ポリマーブレンド等の各種樹脂材料が挙げられる。このなかでも、検体を迅速に導入、展開するのに特に適したものとして、アクリル系樹脂等の親水性の高い材料または親水化処理されたものが好ましい。
【0027】
親水化処理としては、例えばプラズマ処理、グロー放電、コロナ放電、紫外線照射等の物理活性化処理の他、界面活性剤、水溶性シリコン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の付与(塗布)等により行うことができる。
【0028】
試験紙は、血液(検体)を吸収可能な担体に、試薬(発色試薬)を担持(含浸)させたものである。この担体は、好ましくは多孔性膜(シート状多孔質基材)で構成されている。この場合、多孔性膜は、血液中の赤血球を濾過できる程度の孔径を有するものが好ましい。
【0029】
多孔性膜による担体を用いることにより、含浸させる試薬が特にオキシダーゼ反応のように酸素を基質として反応する過程を含む試薬系の場合に、血液が試験紙上に展開後、血液受容側が血液で覆われた状態でも、反応側(反対面)より大気中の酸素が供給されるので、反応を迅速に進ませることができ、よって、血液を除去することなく発色状態を検出することができる。
【0030】
試験紙の担体としては、多孔性膜の他に、例えば、不織布、織布、延伸処理したシート等のシート状多孔質基材が挙げられる。
多孔性膜等の担体の構成材料としては、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ポリスルホン類またはセルロース類等が挙げられるが、試薬を溶解した水溶液を含浸させたり、血液の採取時には血液の吸収・展開を迅速に行うため、親水性を有する材料または、親水化処理されたりしたものが好ましい。なお、親水化処理としては、前述した方法と同様のものが挙げられる。
【0031】
担体(多孔質膜)に含浸する試薬としては、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOD)と、ペルオキシダーゼ(POD)と、4−アミノアンチピリン(4−AA)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)のような発色剤(発色試薬)とが挙げられる。さらに、リン酸緩衝液のような緩衝剤が含まれていてもよい。なお、試薬の種類、成分については、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0032】
次に、血糖値測定装置1の内部構成例について図4と図5を参照して説明する。
【0033】
図4は、血糖値測定装置1の内部構成例を示す。
血糖値測定装置1は、上述した表示部2,発光部15,受光部16に加え、受光部16が発生した受光信号をデジタルデータに変換するA/D変換部17,各部を制御する制御部21,制御発振部22、時計発振部23、データ記憶部24、外部出力部25、電源26、電源電圧検出部27、操作部28及びブザー出力部29を有する。
【0034】
筐体5の内部に設けられるプリント回路基板には、マイクロコンピュータ(MPU:Micro Processing Unit)で構成される制御部21が搭載されており、血糖値測定装置1の諸動作を制御する。この制御部21には、受光部16からの信号に基づいて目的とする血中成分(ブドウ糖)を算出する演算部が内蔵されている。この演算部は、必要に応じて、例えばヘマトクリット値補正計算等も行う。
【0035】
発光部15と、受光部16は、ホルダ7に収納、保持されている。発光部15は制御部21と電気的に接続され、受光部16は、図示しない増幅器およびA/D変換部17を介して制御部21と電気的に接続されている。
【0036】
発光部15は、制御部21からの信号により作動し、所定の時間間隔でパルス光を発する。このパルス光は、例えば、その周期が0.5〜3.0msec程度、1パルスの発光時間が0.05〜0.3msec程度とされる。また、このパルス光の波長は、好ましくは500〜720nm程度、より好ましくは580〜650nm程度とされる。
【0037】
ホルダ7の先端部には、チップが着脱自在に装着される。ホルダ7にチップが装着されると、ホルダ7の先端面は、チップが備える試験紙に対面する。この状態で、発光部15から発せられた光は試験紙に照射され、試験紙で反射された反射光は、受光部16に受光され、光電変換される。受光部16は、その受光光量に応じたアナログ信号を出力し、所望の値に増幅する。その後、アナログ信号は、A/D変換部17にてデジタル信号に変換され、制御部21に入力される。
【0038】
制御発振部22は、タイマを構成するもので、一定時間間隔のクロックパルスを発振し、制御部21のマイクロコンピュータの動作用基準信号の供給を行う。
【0039】
時計発振部23は、絶対時間(日時)を特定する時計を構成するもので、一定時間間隔のクロックパルスを発振し、制御部21が内蔵する時計制御回路の動作用基準信号の供給を行う。
【0040】
データ記憶部24は、不図示の第1のメモリ(RAM)、第2のメモリ(ROM)および書き換え可能な不揮発性メモリである第3のメモリ(不揮発性RAM)を備えている。
第1のメモリには、受光部16より入力された受光光量のデータが、所定のフォーマットに従って記憶される。
第2のメモリには、測光値から求められた吸光度と、目的とする血糖値との関係(検量線)が予めテーブル化されて記憶されているとともに、各しきい値がそれぞれ記憶されている。
第3のメモリには、個々の装置ごとに固有の校正値が予め記憶されている。ここで言う固有の校正値には、例えば、受光光量の規定値、吸光度計算の補正係数等がある。また、第3のメモリには、測定した血糖値が記憶される。
【0041】
外部出力部25は、求められた血糖値のデータを、例えばパソコンのような外部装置へ出力する。このため、外部出力部25は、例えば、RS−232Cのような通信ドライバを内蔵している。また、赤外線通信を行う場合には、外部出力部25は、赤外線発光素子およびその駆動回路を内蔵している。
【0042】
電源26として、不図示の電池が筐体5の内部に装填される。電源26は、血糖値測定装置1が備える各ブロックに電力を供給する。電源電圧検出部27は、この電池の電圧を検出し、検出された電圧値(検出値)を制御部21へ出力する。これにより、電池の残量をチェックすることができる。
【0043】
操作部28は、上述した電源ボタン3,呼出しボタン4等を総称するものである。操作部28は、以下のような種々のスイッチの入力を検出し、その信号を制御部21へ入力する。スイッチの種類としては、電源スイッチ、測定スイッチ、呼出スイッチ、記憶データ読出スイッチ、時刻設定・変更スイッチ、リセットスイッチ、ブザー作動/不作動選択スイッチ、50Hz/60Hz商用電源周波数選択スイッチ等が挙げられる。電源スイッチは、電源ボタン3の押圧により、オン/オフすることができる。
【0044】
ブザー出力部29は、制御部21からの信号に基づいて、ブザーを作動させ、音を発する。
【0045】
図5は、制御部21の内部構成例を示す。
制御部21は、ホルダ7にチップが装着されたか否かの判断と、ホルダ7に装着されたチップの種類を識別するチップ識別部31と、チップがホルダ7に装着された場合に、測定した受光光量に基づいて血糖値を測定する血糖値測定部32を備える。
【0046】
まず、チップ識別部31は、A/D変換部17を介して受光部16から供給される受光信号に基づいて、受光光量を測定する。
次に、チップ識別部31は、受光光量に基づいて、チップの装着の有無、及び装着されたチップの種類を識別する。
【0047】
そして、血糖値測定部32は、測定された受光光量に基づいて、チップの所定の部位に付着した血液の血糖値を測定する。このとき、チップ識別部31が予めチップの種類を識別しているため、血糖値を測定したタイミングがユーザの食後であるか否かを識別できる。その後、血糖値測定部32は、血糖値の測定日時、血糖値を測定したタイミングに関する情報と共に、測定した血糖値を第3のメモリに記憶させる。
【0048】
次に、試験紙と、受光光量の関係について説明する。
図6は、従来の試験紙13bが反射する光線の受光光量と血糖値を測定する範囲の例を示す。
【0049】
第2のチップ10bをホルダ7に装着して、発光部15が光線を試験紙13bに照射すると、試験紙13bは光線を反射する。試験紙13bに血液が付着していないときは、領域41に示すように受光光量は大きい。これは、例えば、血液が付着していない試験紙13bが白色である場合、光線の反射率が高いためである。
【0050】
一方、血液が試験紙13bにしみ込んだ直後では、試験紙13bが血液の色に着色され、発光部15が照射した光線の一部は、試験紙13bに吸収される。このため、領域42に示すように、受光光量が小さくなる。このとき、血糖値測定部32は、血糖値の測定を行わない。
【0051】
その後、試験紙13bにしみ込んだ血液中に、試験紙13bに予めしみ込ませた発色試薬が溶け出し、血液中のグルコースと反応すると、血液中のグルコース量に応じた色素が試験紙13bに生成される。この試験紙13bに光線を照射して得られる受光光量は、領域43に示すように、試験紙13bに血液がしみ込んだ直後に比べて小さい。このため、血糖値測定部32は、この色素が生成された試験紙に光線を照射して得られる受光光量を測定することで、血液中の血糖値を測定することができる。
【0052】
<試験紙の発色>
ここで、試験紙に血液が付着すると発色する仕組みについて説明する。
本例において、試験紙を発色させるために、グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ(GOD/POD)法が用いられる。
【0053】
まず、GODの作用でブドウ糖が過酸化水素とグルコン酸に変換される。
グルコース+O+HO→グルコン酸+H…(1)
【0054】
次に、PODの作用で反応試薬中の色原体(例えば、4−AAとTOOS)と過酸化水素が反応し、キノン系色素が生成される。
+色原体→キノン系色素(酸化・発色)…(2)
【0055】
このとき、発光部15は、生成された色素を含む試験紙に対して、光線を照射し、受光部16は、この試験紙から反射された光線の反射光を受光する。そして、血糖値測定部32は、測定した受光光量に基づいて、血液中の血糖値を測定する。
【0056】
本例の血糖値測定装置1は、ユーザが血糖値を測定したタイミングが食後であるか否かを識別するため、食後専用の第1のチップ10aがホルダ7に装着されたことを確実に検出する必要がある。このため、以下のように受光光量の検出範囲を変えることで、ハードウェアの追加をすることなく、ソフトウェアを更新するだけで第1のチップ10a又は第2のチップ10bの種類を識別できるようにした。
【0057】
図7は、試験紙13a,13bが反射した光線の受光光量と血糖値を測定する範囲の例を示す。
【0058】
血糖値測定装置1は、血糖値を測定したタイミングが食後であるか否かの情報を得るため、従来、血糖値を測定するために用いてきた第2のチップ10bに加えて、食後に血糖値を測定するために第1のチップ10aを用意する。ここで、試験紙13bに血液が付着していないときは、領域45に示すように受光光量が大きいが、試験紙13aには、薄く着色がしてあるため、領域46に示すように、試験紙13bに比べて受光光量が小さい。
【0059】
このように、第1のチップ10a及び第2のチップ10bの所定の部位(本例では、試験紙13a,13b)に血液が付着されていない場合において、チップ識別部31が測定する受光光量は互いに異なり、なおかつ、血糖値測定部32が血糖値を測定する範囲外である。このため、チップ識別部31は、血液が付着されていない場合における受光光量に基づいて、チップの種類を識別することが可能となる。
【0060】
ここで、試験紙に血液がしみ込むと、領域47に示すように受光光量が小さくなる。そして、予め決められている量の血液が試験紙にしみ込み終わると、血液中のグルコースと試験紙にしみ込ませてある発色試薬との反応が始まり、領域48に示すように血糖値に応じた量の色素が生成される。そして、血糖値測定装置1は、この領域48に示された受光光量を測定することによって、血液中の血糖値を測定することができる。
【0061】
ところで、チップがホルダ7に装着されていない場合、受光部16は外部環境の光を受光し、受光信号を発生する。このとき、領域49に示すように受光光量が最も小さいため、チップ識別部31は、チップの装着有無を判断することが可能となる。
【0062】
図8は、ユーザが血糖値測定装置1を用いて血液中の血糖値を測定するまでの動作例を示す。
【0063】
始めに、ユーザは、血糖値測定装置1を手にとって、電源を入れ、発光部15を発光させる(ステップS1)。次に、ユーザは、血糖値を測定するタイミングが食後であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0064】
測定タイミングが食後ではない場合、第2のチップ10b(通常チップ)を選択する(ステップS3)。一方、測定タイミングが食後である場合、食後用の第1のチップ10a(食後専用チップ)を選択する(ステップS4)。そして、ユーザは、選択したチップをホルダ7に装着する(ステップS5)。
【0065】
血糖値測定装置1は、発光部15から、血液が付着していない試験紙に光線を照射する。そして、血糖値測定装置1は、受光部16に試験紙から反射した光線を受光させ、この受光光量のデータを制御部21に供給する。制御部21は、受光光量のデータに基づいて、ホルダ7に装着されたチップの種類をチップ識別部31に識別させ、表示部2に識別したチップの種類を表示させる(ステップS6)。
【0066】
ユーザは、表示部2に表示されたチップの種類を確認した後、自身の血液をチップ内の試験紙にしみ込ませる。血糖値測定装置1は、血液がしみ込んだ試験紙に対して、発光部15から光線を照射し、受光部16に反射した光線を受光させることによって受光光量を得る。そして、制御部21は、血糖値測定部32に血糖値を測定させる。その後、制御部21は、測定した血糖値を第3のメモリに記憶させる。
【0067】
血糖値の測定が終わると、ユーザは、ホルダ7から第1のチップ10a又は第2のチップ10bを取り外し(ステップS8)、測定動作を終了する。
【0068】
図9は、表示部2に表示される各ステータスの例を示す。
表示部2は、チップ識別部31によって識別されたチップの種類を表示する機能を有する。図8のステップS1において、ユーザが電源ボタン3を押下すると、血糖値測定装置1がスタンバイ状態となり、ユーザにチップをホルダ7に装着することを促す画像51が表示される。
【0069】
チップがホルダ7に装着されると、チップの種類が識別され、識別されたチップの種類が表示される。第2のチップ10bが装着された場合には、正しく装着されたことを示す「OK」と共に、チップに「血液をつける」ことを促すメッセージが含まれる画像52aが表示されるが、第1のチップ10aが装着された場合には、このメッセージに加え、「食後」であることを示すメッセージが含まれる画像52bが表示される。
【0070】
ステップS7で血糖値測定部32が血糖値を測定する間、「測定中」であることを示すメッセージが含まれる画像53aが表示される。第1のチップ10aが装着された場合には、このメッセージに加え、「食後」であることを示すメッセージが含まれる画像53bが表示される。
【0071】
血糖値測定部32が行う血糖値を測定する処理が終わると、測定結果が含まれる画像54aが表示される。第1のチップ10aが装着された場合には、この測定結果に加え、「食後」であることを示すメッセージが含まれる画像54bが表示される。
【0072】
測定結果は自動的にデータ記憶部24に記憶されるが、ユーザが呼出しボタン4を押下すれば、任意のタイミングでデータ記憶部24に記憶された血糖値の測定結果が呼び出され、測定時間と共に測定結果を示すメッセージが含まれる画像55aが表示される。第1のチップ10aを用いて測定した血糖値の測定結果を呼び出す場合は、画像55aに含まれる測定結果に加え、「食後」であることを示すメッセージが含まれる画像55bが表示される。
【0073】
以上説明した第1の実施の形態に係る血糖値測定装置1によれば、ユーザが血糖値を測定するタイミングで選択したチップの種類が、ホルダ7に装着された時点で自動的に識別される。また、チップ識別部31は、受光部16が受光した受光光量を求めるため、チップの装着有無も識別することが容易となる。そして、チップ識別部31が受光光量の大小に応じて識別したチップの種類は、表示部2に表示されるため、ユーザは、ホルダ7に装着されたチップの種類を再確認することができ、データの不備を減らすことができるという効果がある。
【0074】
また、筐体5には、食後に血糖値を測定したことをマークするためのボタン等を有さないため、ユーザの押し忘れ等の操作ミスによるマーク漏れがなくなる。このため、記憶データの信頼性が向上するという効果がある。
【0075】
また、チップの所定の部位に血液が付着されていない場合における受光光量は、互いに異なり、血糖値測定部が血糖値を測定する範囲外である。そして、試験紙13aに血液が付着していない状態における受光光量を、試験紙13bに血液が付着していない状態における受光光量と、血液が試験紙にしみ込んだ直後の受光光量との間に入るように、試験紙13aの素材を選んだ。これにより、従来の試験紙13bを用いながら、制御部21におけるソフトウェアプログラムの更新をするだけで、食後専用の試験紙13aを使うことが可能となる。このため、製造コストが低減されると共に、ソフトウェアの保守性が向上するという効果がある。また、従来の血糖値測定装置1に対して、新たな部材を追加する必要が無いため、装置本体の現状の大きさを維持することができ、市場優位性が高くなるという効果がある。
【0076】
また、血糖値測定装置1は、血糖値を測定する際に、血糖値や測定時刻の情報と共に、食後に測定したか否かの情報を一つのデータセットとして、データ記憶部24に記憶させる。そして、医療機関において、糖尿病を診察する上で過去の血糖値をデータ記憶部24から呼び出して利用することで、糖尿病診療の助けとすることができる。また、食後測定データから、医師から患者への適切な指導を行うことができる。
【0077】
また、ケース11やチップは、外観視した場合に互いに異なる外部識別情報を備える。このため、ユーザは、外部識別情報を把握するだけで、チップの種類を識別することが容易となり、ホルダ7に誤って装着するおそれがなくなる。例えば、ケース11やチップの色をそれぞれ変え、更に「食後」の文字を印刷すれば識別は確実となる。
【0078】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について、図10〜図13を参照して説明する。
本実施の形態では、チップ毎の電流値の違いによって、ユーザが血糖値を測定したタイミングが食後か否かを識別し、測定結果にひも付ける電極式の血糖値測定装置70の例について説明する。以下の説明において、既に第1の実施の形態で説明した図4に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】
図10は、チップの内部構成例を示す。
ユーザの食後に装着される食後測定用の第1のチップ60aは、電極対61,62からなる電極系と、血液が付着する部位を含むセンサ部64(収容部)と、電極対61,62を所定の抵抗値で接続する第1の抵抗63aを備える。センサ部64には、電極対61,62が接続されており、血液が付着されて導通すると、第1の抵抗63aとセンサ部64は、並列接続された状態となる。電極対61,62には、電源26から制御部21を介して通電される。
【0080】
ユーザの食後以外に装着される第2のチップ60bは、上述した電極対61,62と、センサ部64を備え、第1の抵抗63aに代えて、第2の抵抗63bを備える。第2の抵抗63bの抵抗値は、第1の抵抗63aの抵抗値と互いに異ならせてある。以下、第1のチップ60a又は第2のチップ60bを、単に「チップ」と略称する場合がある。
【0081】
図11は、血糖値測定装置70の内部構成例を示す。
血糖値測定装置70は、各部を制御する制御部74と、センサ部64から供給されるアナログ電流値をアナログ電圧値に変換するI/V変換部71と、変換したアナログ電圧値を増幅する増幅部72と、増幅されたアナログ電圧値をデジタルデータに変換し、このデジタルデータを制御部74に供給するA/D変換部73を備える。
【0082】
電極対61,62に対応する接続端子を備えたホルダ(上述した第1の実施の形態におけるホルダ7に相当する部位)にチップが装着されると、電極対61,62に電流が流れる。そして、I/V変換部71は、センサ部64から、第1の抵抗63a又は第2の抵抗63bを介して得られる電流値を取得する。そして、制御部74は、I/V変換部71,増幅部72,A/D変換部73を介して電圧値のデジタルデータを得て、ホルダに装着されたチップの種類を識別する。
【0083】
図12は、制御部74の内部構成例を示す。
制御部74は、A/D変換部73から取得した電圧値のデジタルデータに基づいて、チップの装着の有無と、チップの種類を識別するチップ識別部75と、センサ部64に付着した血液の血糖値を測定する血糖値測定部76を備える。
【0084】
チップ識別部75は、電極対61,62に通電して得られる電流値に基づいて、チップの装着の有無、及び装着されたチップの種類を識別する。
血糖値測定部76は、電圧値のデジタルデータから、センサ部64に通電された電流の電流値を求める。そして、血糖値測定部76は、センサ部64に付着した血液の血糖値を測定し、測定時刻と共に測定した血糖値を第3のメモリに記憶させる。
【0085】
図13は、チップの種類を識別するために参照される電流値の例を示す。
チップがホルダに装着されていない場合、領域76に示されるように、制御部74は常に0アンペアの電流値を検出する。このため、チップ識別部75は、ホルダにチップが未装着であることを識別できる。
【0086】
一方、第1のチップ60aがホルダに装着されると、領域77に示されるように、第1の抵抗63aによりわずかな電流が流れる。このとき、制御部74は、センサ部64が検出する電流値を電圧値のデジタルデータに変換することによって、第1のチップ60aがホルダに装着されたことを判断できる。
【0087】
また、第2のチップ60bがホルダに装着されると、領域78に示されるように、第2の抵抗63bによりわずかな電流が流れる。ただし、第1の抵抗63aと第2の抵抗63bは、互いに抵抗値が異なるため、電極対61,62に流れる電流値も異なる。このとき、制御部74は、電極対61,62に流れる電流値を電圧値のデジタルデータに変換することによって、第2のチップ60bがホルダに装着されたことを判断できる。
【0088】
チップがホルダに装着され、センサ部64にユーザの血液が付着すると、センサ部64に塗布された試薬により酵素反応が生じる。このとき、領域79に示されるように、大電流が流れる。このため、制御部74は、センサ部64が検出する電流値を電圧値のデジタルデータに変換することによって、血液中の血糖値を測定できる。
【0089】
以上説明した第2の実施の形態に係る血糖値測定装置70によれば、チップに内蔵した電極対61,62に流れる電流値を用いて、チップの装着有無と、チップの種類を識別し、血糖値を測定する。このため、チップ自体の構成を簡単にしながら、ユーザが血糖値を測定したタイミングを容易に測定データに結びつけることができる。
【0090】
また、第1のチップ60aと第2のチップ60bは、内部に異なる抵抗値を有する抵抗63a,63bを備えるため、構成が簡単となる。また、血糖値測定装置70は、上述した光学式の血糖値測定装置1と異なり、発光部15と受光部16が不要である。このため、光学設計が不要となり、装置を簡素化できるという効果がある。
【0091】
<3.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について、図14と図15を参照して説明する。
本実施の形態では、チップ毎の通電状態の違いによって、ユーザが血糖値を測定したタイミングが食後か否かを識別し、測定結果にひも付ける電極式の血糖値測定装置90に適用した例について説明する。以下の説明において、既に第2の実施の形態で説明した図11に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0092】
図14は、チップの内部構成例を示す。
ユーザの食後に装着される食後測定用の第1のチップ80aは、第1の電極対81a,81bと、血液が付着する部位(血液収容部位)を含むセンサ部83と、第2の電極対82a,82bと、第2の電極対82a,82bを短絡する抵抗84を備える。センサ部83は、第1の電極対81a,81bに接続される。
【0093】
本例では、第2の電極対82a,82bに加えて、抵抗84を含む部位を識別部85aとする。第1の電極対81a,81bと、第2の電極対82a,82bは、電源26から制御部74を介して通電される、第1の電極系と第2の電極系として構成される。
【0094】
ユーザの食後以外に装着される第2のチップ80bは、上述した第1の電極対81a,81bと、第2の電極対82a、82bと、センサ部83を備える。第2のチップ80bは、抵抗84を備えておらず、電極82a,82bが開放されている点で第1のチップ80aと異なる。本例では、第2の電極対82a,82bを含む部位を識別部85bとする。以下、第1のチップ80a又は第2のチップ80bを、単に「チップ」と略称する場合がある。なお、第2の電極対82a,82bは開放されているため、第2のチップ80bに第2の電極対82a,82bを設けなくても、後述するチップの種類の識別を行うことは可能である。
【0095】
図15は、血糖値測定装置90の内部構成例を示す。
血糖値測定装置90は、各部を制御する制御部74と、センサ部83から供給される電流値を電圧値に変換するI/V変換部71と、変換した電圧値を増幅する増幅部72と、増幅されたアナログ電圧値をデジタルデータに変換し、このデジタルデータを制御部74に供給するA/D変換部73を備える。
【0096】
電極対81a,81b,82a,82bに対応する接続端子を備えたホルダにチップが装着されると、第1のチップ80aの第2の電極対82a、82bに抵抗84を介して電流が流れる。第2の電極対82a,82bを流れた電流は、制御部74に直接入力される。制御部74は、トランジスタによるスイッチからなる不図示の入出力ポートを備えており、第2の電極対82a,82bの短絡又は開放を識別することができる。
【0097】
これにより、チップ識別部75は、装着されたチップの種類を識別できる。すなわち、電流を検出できれば第1のチップ80aが装着されており、電流を検出できなければ第2のチップ80bが装着されていることとなる。
【0098】
次に、センサ部83に血液が収容されると、制御部74は、第1の電極対81a,81bに通電して得られる電流を、I/V変換部71,増幅部72,A/D変換部73を介して電圧値のデジタルデータとして得る。次に、血糖値測定部76は、電圧値のデジタルデータから、センサ部83に通電された電流の電流値を求める。そして、血糖値測定部76は、第1の電極対81a,81bに通電して得られる電流値に基づいて、センサ部83に付着した血液の血糖値を測定し、測定時刻と共に測定した血糖値を第3のメモリに記憶させる。
【0099】
以上説明した第3の実施の形態に係る血糖値測定装置90によれば、チップに内蔵した識別部85a,85bから得られる電流値に基づいて、チップの種類を識別する。また、センサ部83に加わる電流値を用いて、血液中の血糖値を測定する。このため、チップ自体の構成を簡単にしながら、ユーザが血糖値を測定したタイミングを容易に測定データに結びつけることができる。
【0100】
なお、上述した第2及び第3の実施の形態で用いたチップの電極系は、電極対が作用極と対極として機能する2電極系としてあるが、さらに参照極を設けた3電極系としてもよい。
【0101】
また、上述した第1〜第3の実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給してもよい。また、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPU等の制御装置)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0102】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0103】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現される。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)などが実際の処理の一部又は全部を行う。その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0104】
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態では、試験紙の色付けや電極の通電状態に基づいて、チップの種類を識別したが、測定装置にマイクロスイッチを設け、チップにマイクロスイッチと当接しうる突起を設けることで、チップを測定装置に装着すると自動的にマイクロスイッチが入って、食後測定用チップと認識させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…血糖値測定装置、2…表示部、3…電源ボタン、4…呼出しボタン、5…筐体、6…イジェクタ、7…ホルダ、10a…第1のチップ、10b…第2のチップ、11…ケース、12…細管、13a,13b…試験紙、14a…突起部、15…発光部、16…受光部、17…A/D変換部、21…制御部、22…制御発振部、23…時計発振部、24…データ記憶部、25…外部出力部、26…電源、27…電源電圧検出部、28…操作部、29…ブザー出力部、31…チップ識別部、32…血糖値測定部、70…血糖値測定装置、90…血糖値測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を収容する所定の部位を有する第1又は第2のチップの装着の有無と、装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別するチップ識別部と、
前記チップ識別部によって識別された前記第1又は第2のチップの種類に応じて、前記所定の部位に付着した血液を測定するタイミングがユーザの食後であるか否かを識別し、前記所定の部位に付着した血液の血糖値を測定する血糖値測定部と、
前記血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した前記血糖値を記憶する記憶部と、を備える
血糖値測定装置。
【請求項2】
前記第1のチップは、前記ユーザの食後に装着されるものであり、
前記第2のチップは、前記食後以外に装着されるものであり、
前記所定の部位が、前記血液が収容されることによって発色する試験紙である場合に、
前記所定の部位に所定の波長の光線を照射する発光部と、
前記第1又は第2のチップが取り付けられている場合には、前記所定の部位から反射した光線を受光し、前記第1及び第2のチップが取り付けられていない場合には、外部環境の光を受光し、受光信号を発生する受光部と、を備え、
前記チップ識別部は、前記受光信号に基づいて、受光光量を測定し、前記受光光量に基づいて、前記第1又は第2のチップの装着の有無、及び装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別し、
前記血糖値測定部は、前記受光光量に基づいて、前記所定の部位に付着した血液の血糖値を測定する
請求項1記載の血糖値測定装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のチップの所定の部位に血液が収容されていない場合における前記受光光量は、互いに異なり、前記血糖値測定部が前記血糖値を測定する範囲外である
請求項2記載の血糖値測定装置。
【請求項4】
前記第1のチップは、前記ユーザの食後に装着されるものであり、
前記第2のチップは、前記食後以外に装着されるものである場合に、
前記第1及び第2のチップは、
電源から通電される2以上の電極を備えた電極系と、
前記電極系に接続され、前記所定の部位を含むセンサ部と、を備え、
前記チップ識別部は、前記電極系に通電して得られる前記電流値に基づいて、前記第1又は第2のチップの装着の有無、及び装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別し、
前記血糖値測定部は、前記センサ部に通電して得られる前記電流値に基づいて、前記所定の部位に付着した前記血液の血糖値を測定する
請求項1記載の血糖値測定装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のチップは、
前記電極系の電極間に互いに異なる抵抗値を有する抵抗を備える
請求項4記載の血糖値測定装置。
【請求項6】
前記第1のチップは、前記ユーザの食後に装着されるものであり、
前記第2のチップは、前記食後以外に装着されるものである場合に、
前記第1及び第2のチップは、
電源から通電される第1の電極系と、
前記電源から通電される第2の電極系と、
前記第1の電極系に接続され、前記所定の部位を含むセンサ部と、を備え、
前記チップ識別部は、前記第2の電極系に通電して得られる前記電流値に基づいて、前記第1又は第2のチップの装着の有無、及び装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別し、
前記血糖値測定部は、前記センサ部に通電して得られる前記電流値に基づいて、前記所定の部位に付着した前記血液の血糖値を測定する
請求項1記載の血糖値測定装置。
【請求項7】
前記第1及び第2のチップが備える前記第2の電極系のうち、一方は短絡され、他方は開放される
請求項6記載の血糖値測定装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のチップは、外観視した場合に互いに異なる外部識別情報を備える
請求項1〜7のいずれか1項に記載の血糖値測定装置。
【請求項9】
更に、前記血糖値が測定されたタイミング及び前記測定された血糖値を表示する表示部を備える
請求項1〜8のいずれか1項に記載の血糖値測定装置。
【請求項10】
血液を収容する所定の部位を有する第1又は第2のチップの装着の有無と、装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別するステップと、
識別された前記第1又は第2のチップの種類に応じて、前記所定の部位に付着した血液を測定するタイミングがユーザの食後であるか否かを識別し、前記所定の部位に付着した血液の血糖値を測定するステップと、
前記血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した前記血糖値を記憶するステップと、を含む
血糖値測定方法。
【請求項11】
血液を収容する所定の部位を有する第1又は第2のチップの装着の有無と、装着された前記第1又は第2のチップの種類を識別する手順と、
識別された前記第1又は第2のチップの種類に応じて、前記所定の部位に付着した血液を測定するタイミングがユーザの食後であるか否かを識別し、前記所定の部位に付着した血液の血糖値を測定する手順と、
前記血糖値が測定されるタイミングに関する情報と共に、測定した前記血糖値を記憶する手順を
コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−236943(P2010−236943A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83416(P2009−83416)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】