説明

血糖症管理用の伝達媒体

【課題】糖血症の動向、パターン、データ、及び重要な血糖と他の生理的又は外的パラメータのグラフ的相関関係の、簡単で迅速な評価を可能にする。
【解決手段】情報伝達媒体は、第1表示域と、第1表示域に配置され、患者の識別情報を有する第2表示域と、第1表示域に配置され、患者の糖血症状態を示す複数のテキストメッセージを有する第3表示域と、第1表示域に配置され、所定時間枠にわたる患者のグルコース濃度の変動を示す図表を含む第4表示域と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖症管理用の伝達媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の人々は、それらの病気を管理するそれらの医師からの助けとともに、血糖測定器の使用を頼りにすることが多い。また、糖尿病の人々は、典型的に、グルコース濃度の測定の軌跡を保持するために、日誌を使用する。特定の状況下では、日誌形式における多数のグルコース濃度の測定を解釈することは、困難で、複雑で、かつ時間がかかることがある。事柄をさらに面倒にするものとして、医師は、通常、糖尿病の人々を支援して多数のグルコース濃度の測定を解釈するのに、限られた時間の制約を有する。血糖値についてのこうした複雑さが、インスリン又はインスリン種類の効果と他の生理的パラメータ又は外的パラメータを評価する必要性によってさらに度合いを増すとき、臨床医、内科医、又は糖尿病者の任務がより一層困難にされると考えられる。内科医又は臨床医にとってのさらなるハードルは、医務室を運営する経済性による、医務室での診察における時間の制約である。殆どの場合、内科医又は臨床医は、典型的に、患者あたりに費やす時間は約7分間よりも短く、患者の評価又は指導の時間は殆ど又は全くないと考えられる。本発明者は、多忙な内科医、臨床医、及び患者による糖血症の動向、パターン、データ、及び重要な血糖と他の生理的又は外的パラメータのグラフ的相関関係の、簡単で迅速な評価を可能にする必要性を認識してきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様において、糖血症の患者に関する多数のグルコース濃度の測定及び他の生理的又は外的パラメータについてのパターンを解析又は認識するために使用し得る糖尿病の管理システム又はプロセスが、本願において提供される。とりわけ、患者の糖血症をモニタする方法は、患者のデータを、例えば、グルコース計のような適切な装置に蓄積することを含んでもよい。患者のデータは、血糖濃度の測定を含んでもよい。この糖尿病の管理システム又はプロセスは、限定されるものではないが、パーソナルコンピュータ、インスリンペン、インスリンポンプ、又はグルコース計にインストールされてもよい。この糖尿病の管理システム又はプロセスは、テスト/投与パターン、低血糖症パターン、高血糖症パターン、血糖変動パターン、及び比較パターンなどのデータから、複数のパターン型を識別してもよい。このデータ管理システム又はプロセスで特定のパターンを識別した後、警告メッセージが、パーソナルコンピュータ又はグルコース計のスクリーン上に表示されてもよい。また、何らかの定められた糖尿病措置の遵守を確かにするため又は患者の糖尿病の管理において患者を指導するため、他のメッセージを提供することもできる。
【0004】
さらに別の実施形態において、通信媒体が提供される。この通信媒体は、第1、第2、第3、第4、及び第5表示域を含む。第2〜第5表示域は第1表示域に配置できる。第2表示域は患者の識別情報を有する。第3表示域は、患者の血糖症状態を示す複数のテキストメッセージを有する。第4表示域は、所定時間枠にわたる患者のグルコース濃度の変動を示す図表を含む。更に別の形態では、伝達媒体が提供される。この通信媒体は、第1、第2、第3、第4、及び第5表示域を含む。第2〜第5表示域は第1表示域に配置できる。第2表示域は患者の識別情報を有する。第3表示域は、低血糖症、高血糖症、又は過剰変動等の患者の血糖症状態を示す複数のテキストメッセージを有する。第4表示域は、1日の時間、週の曜日、1日の時間と週の曜日の双方の少なくとも1つにより、又は異なる所定の間隔で、中央値血糖値についての変動のグラフパターンを含む。これら及びその他の実施形態、特徴、及び長所は、先ず簡単に説明する添付の図面と併せて以下の本発明のより詳細な説明を参照することによって、当業者には明らかになるであろう。
【0005】
本願に含められて本願明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現状で好ましい実施形態を図解し、上記の一般的な記載と下記の詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ(ここに、同様な数値は同様な要素を表す)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読み進めるべきであり、異なる図面における同様な要素は、同じ番号を付されている。図面は、必ずしも縮尺比にしたがって縮尺されておらず、選択された実施形態を表現しており、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は、制限の目的ではなく、例示の目的で本発明の思想を例証する。この記載は、当業者が本発明を実施することを可能にし、本発明を実施する上でのベストモードであると現状で考えられるものを含め、本発明のいくつかの実施形態、適合、変化、代替、及び用途を記載する。
【0007】
図1は、グルコース計10、インスリンポンプ20、及びパーソナルコンピュータ(PC)30を含む糖尿病管理システムの概略図を示す。図1に概略様式で例示されているPC30は、マイクロプロセッサーユニットとメモリユニットを有してもよい。グルコース計10は、例えば、グルコース酸化酵素、フェリシアン化物、ルタミンヘキサミン、又はこれらの組み合わせのような試薬を有する使い捨てテスト片を使用するように構成されてもよい。試薬の化学的性質は、信号をグルコース計10で測定可能にするグルコースの物理的変化が可能である。1つの実施形態において、糖尿病の管理システム又はプロセスは、PC30のメモリユニットにインストールされてもよい。1つの実施形態において、糖尿病の管理システム又はプロセスは、グルコース計10のメモリユニット、インスリンポンプ20、あるいは、携帯情報端末(PDA)又は携帯電話のような他の適切なコンピュータ・デバイス、即ち、ビジュアル又はオーディオのアウトプットを備えたプロセッサーとグラフィカル・ユーザ・インターフェースのある任意の通信デバイスにインストールされてもよい。
【0008】
グルコース計10、インスリンポンプ20、及びPC30は、いずれも、互いに双方向でデータを転送する能力を有してもよい。データ転送プロセスは、有線又は無線の仕方で行われてもよい。例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、シリアルポート(RS232)、又はアプリケーション特有コネクターのような適切なワイヤー媒体を通す有線方式でデータを転送するために、ケーブルが使用されてもよい。また、データ転送プロセスは、例えば、赤外線(IR)、ラジオ周波数(RF)、WiFi (IEEE 802.11 wireless Ethernet(登録商標) standards)、及びブルートゥース又はアプリケーション特有無線プロトコルのような無線プロトコルを持つ適切な無線媒体を使用してもよい。
【0009】
糖尿病の管理システム又はプロセスは、図1に示すように、通信ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、通信モジュール、迅速印刷モジュールQP、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)、ビジネス目的モジュール、糖尿病管理ルールエンジン、データ層モジュール、及びデータベースモジュールを含んでもよい。糖尿病管理システム又はプロセスは、図1に示すように、レポートを作成し、レポートを印刷し、Eメールやファックスによってレポートを送付し、ロガーによってエラーを記録するように構成してもよい。
【0010】
通信DLLは、PC30がグルコース計10とインスリンポンプ20を認識して通信することを可能にする実行可能プログラムモジュールであってもよい。また、通信DLLは、PC30が、いくつかの異なるタイプのグルコース計やインスリンポンプ、さらには、スケール、血圧計、温度計、万歩計(登録商標)、及び心拍数モニタのようなデバイスの広い配列と通信することを可能にしてもよい。通信モジュールは、シリアルデバイスやUSBデバイスとの接続性を確立する下側レベル機能性を要約することによって、代用品として作用してもよい。
【0011】
迅速印刷モジュールQPは、グルコース計がPC30にデータを途切れなく転送し、そしてデータレポートを印刷させるように構成されたサブルーチンであってもよい。初期セットアップの後、グルコース計10は、ケーブルでPC30に接続されてもよい。管理アプリケーションを手動で起動する又は何らかの付加的工程を行う必要なしに、グルコース計は、そのデータを転送し、そしてデータレポートを印刷することができる。迅速印刷モジュールQPの詳細は、米国特許出願S.N. 11/142,903 (2005年5月31日出願)に示され、記載されており、本願明細書においても、その全体を参照して取り入れられる。
【0012】
GUIは、ユーザが糖尿病管理システム又はプロセスを構成して操作することを可能にする複数のユーザ・インターフェイス・スクリーンであってもよい。このスクリーンは、タッチスクリーン、又はディスプレイとキーボードもしくはボタンの組み合わせとして構成されることができる。
【0013】
ビジネス目的モジュールは、結果、患者、優先度の種類、及び報告する機能性を統合し連絡するセントラルエンジンであってもよい。ビジネス目的ルールは、結果、レポート、又は他の機能を生成するために、GUIによって使用されてもよい。本願明細書における用語「患者」は、糖尿病の兆候のあるヒト被験者のみならず、他の哺乳類も包含する。
【0014】
データ層モジュールは、抽出されたデータアクセス層であってもよく、データベースモジュールと管理アプリケーションの間の中間層として作用してもよい。データ層モジュールは、データベースモジュール上のクエリを実行し、妥当な場合、記録セットを戻してもよい。
【0015】
データベースモジュールは、グルコース計10やそれに代わる他のデバイスからの収集データを蓄積し体系化するための手段であってもよい。データベースモジュールは、例えば、PC30、ネットワークサーバ、又は可搬型メモリ記憶デバイスにインストールされてもよい。
【0016】
糖尿病管理ルールエンジンは、複数のプロセス、デバイス、又はグルコース計10及び/又はインスリンポンプ20からのデータを解析するためのサブルーチンを含んでもよい。複数のサブルーチンは、統計的テストを適用してもよく、可能性のある問題点及び/又は順守事項についてユーザ及び/又は医師に警告するメッセージが提供できるように、データの解析を始動させる。マイクロプロセッサーは、糖尿病管理ルールエンジンを用いてデータを解析するために構成されてもよい。糖尿病管理ルールエンジンは、医師及び/又はユーザによって構成可能であってもよい。
【0017】
1つの実施形態において、糖尿病管理ルールエンジンは、図2に示すように、テスト/投与パターン400、低血糖症パターン100、高血糖症パターン200、血糖変動パターン300、比較パターン500、及びインスリンパターン600を識別することができる複数のパターン認識ルールを含んでもよい。テスト/投与パターン400は、以下のサブルーチン、例えば、グルコーステストの頻度410、食前テストの妥当性420、食後テストの妥当性430、グルコーステストの妥当性440、食後フラグ促進450、及び食前フラグ促進460を含んでもよい。低血糖症パターン100は、以下のサブルーチン、例えば、低血糖症の発生110、時間帯による低血糖症パターン120、週の曜日による低血糖症パターン130、及び食事による低血糖症の発生140を含んでもよい。高血糖症パターン200は、以下のサブルーチン、例えば、高血糖症の発生210、時間帯による高血糖症パターン220、週の曜日による高血糖症パターン230、及び食事による高血糖症の発生240を含んでもよい。血糖変動パターン300は、以下のサブルーチン、例えば、グルコース変動範囲310、低血糖症の過剰修正320、及び高血糖症の過剰修正330を含んでもよい。比較パターン500は、以下のサブルーチン、例えば、食前と食後のグルコース濃度の比較510、昼間と夜間とのグルコース濃度の比較520、過去と現在との低血糖症発生の比較530、及び過去と現在との高血糖症発生の比較540を含んでもよい。
【0018】
あるいは、複数のパターン認識ルールは、インスリンパターン600、炭水化物摂取パターン700、及び生理的パターン800を含んでもよい。インスリンパターン600は、以下のサブルーチン、例えば、インスリンによる食前フラグ促進610、及びインスリンによる食後フラグ促進620を含んでもよい。
【0019】
次に、上記のパターン認識ルール(100、200、300、400、500、及び600)の説明を記載する。
【0020】
図3Aと3Bは、糖尿病管理システム又はプロセスシステムのフローチャートを例示する。複数のグルコース濃度の測定が、低血糖症発生のサブルーチン110を用いて処理されてもよい。低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも大きい場合、この方法は工程111に移り、低血糖症発生率Plが約100%に等しいかどうかを判断する。工程110において、低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも小さい場合、この方法は、食事による低血糖症発生のサブルーチン140に移る。低血糖症発生のサブルーチン110についての所定の閾値は、約3%から約15%であってもよい。好ましい実施形態において、閾値は約5%である。あるいは、閾値は、臨床医又は内科医によって選択される任意の値であってもよい。本願明細書における用語「約」又は「大体」は、数値と併せて用いられたとき、その数値の変動が、その意図する目的を例示の実施形態が達成することを許容すればよいことを示す。
【0021】
工程111について、低血糖症の頻度Plが約100%に等しいならば、この方法は、グルコーステストの頻度のサブルーチン410に移る。しかしながら、工程111における低血糖症頻度Plが約100%に等しくなければ、この方法は工程112に移り、約27を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたかどうかを判断する。
【0022】
工程112について、測定値が約27を超えていれば、この方法は、時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120に移る。しかしながら、測定値が約27を超えていなければ、この方法は、食事による低血糖症発生のサブルーチン140に移る。27のサンプルサイズは、サブルーチン120を行うのに必要なグルコース測定値の最小限の数を概ね表し、ユーザが1日あたり少なくとも1回テストする、ユーザが1日あたり少なくとも2回テストする、低血糖症の発生である及び低血糖症の発生ではないという少なくとも2つの観察事象のカテゴリが存在する、並びにその少なくとも2つのカテゴリがそれぞれ約5の事象に等しい又はそれを上回る、などのいくつかの前提に基づく。カイ二乗検定を用いるとき、発生の最小限の期待数は、時間帯あたり各カテゴリについて5である。即ち、2つの時間帯に2つのカテゴリを掛けて5つの発生期待数を掛けると、おおむね20の最小限サンプルサイズを与える。この計算に基づき、サンプルサイズは、約20を超えてもよく、好ましくは、約27を超えてもよい。例えば、27のような20を超えるサンプルサイズは、過剰数のグルコース測定を行う必要なしに糖血症パターンについて正確な警告を受け取る能力を有し、比較的少ない偽陽性及び偽陰性の結果を確かめるのに十分な数のグルコース測定を有する消費者の期待の間で、釣り合いテストに基づいて望ましいことができる。
【0023】
約27を超えるグルコース濃度の測定が工程112で見出されたならば、時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120が行われる。時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120を行った後、この方法は、工程128に示すように、複数のグルコース濃度の測定が約46を超える測定を有するかどうかを判断する。約46を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたならば、この方法は、工程128に示すように、週の曜日による低血糖症パターンのサブルーチン130とさらに食事による低血糖症発生のサブルーチン140に移る。約46以下のグルコース濃度の測定値が収集されたならば、工程128に示すように、この方法は、食事による低血糖症発生のサブルーチン140に移る。測定値46のサンプルサイズは、ユーザは1日あたり少なくとも1回テストする、ユーザは1週間の7日間で少なくとも5日テストする、低血糖症の発生である及び低血糖症の発生ではないと観察される発生の少なくとも2つのカテゴリが存在する、及びその少なくとも2つのカテゴリがそれぞれ、1週間の少なくとも5日について、約5に等しい又はそれを上回る発生を有する、などのいくつかの前提に基づく。カイ二乗検定を用いるとき、発生の最小限の期待数は、週の1日あたり各カテゴリについて5である。即ち、5日に2つのカテゴリを掛けて5の期待数を掛けると50の最小限サンプルサイズとなる。この計算に基づき、サンプルサイズは、約50を超えてもよく、好ましくは、約46を超えてもよい。例えば、46のような50未満のサンプルサイズは、過剰数のグルコース測定を行う必要なしに血糖状態について正確な警告を受け取る能力を有し、比較的少ない偽陽性及び偽陰性の結果を確かめるのに十分な数のグルコース測定を有する消費者の期待の間で、釣り合いテストに基づいて望ましいことができる。
【0024】
低血糖症パターン100のパターン認識ルールを用い、複数のグルコース濃度の測定を解析した後、高血糖症パターン200のパターン認識ルールを行ってもよい。即ち、食事による低血糖症発生のサブルーチン140を行った後、この方法は、高血糖症発生のサブルーチン210に移る。高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きい場合、この方法は工程211に映り、高血糖症発生の割合Phが約100%に等しいかどうかを判断する。高血糖症発生率の割合Phが所定の閾値よりも小さい場合、この方法は、食事による高血糖症発生のサブルーチン240に移る。高血糖症発生のサブルーチン210についての所定の閾値は、約15%から約50%までであってもよい。
【0025】
工程211について、高血糖症の頻度Phが約100%に等しいならば、この方法は、グルコーステストの頻度のサブルーチン410に移る。しかしながら、高血糖症の頻度Phが約100%に等しくなければ、この方法は工程212に移り、約27を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたかどうかを判断する。
【0026】
工程212について、測定値が約27を超えていれば、この方法は、時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220に移る。しかしながら、測定値が約27を超えていなければ、この方法は、食事による高血糖症発生のサブルーチン240に移る。27のサンプルサイズは、大体、サブルーチン120を行うのに必要なグルコース測定の最小限の数を表し、ユーザが1日あたり少なくとも1回テストする、ユーザが少なくとも2回テストする、高血糖症の発生である及び高血糖症の発生ではないと観察される発生の少なくとも2つのカテゴリが存在する、及びその少なくとも2つのカテゴリがそれぞれ約5に等しい又はそれを上回る発生を有する、などのいくつかの前提に基づく。カイ二乗検定を用いるとき、発生の最小限の期待数は、時間帯あたり各カテゴリについて5である。即ち、2つの時間帯に2つのカテゴリを掛けて5の発生期待数を掛けると、大体、20の最小限サンプルサイズとなる。この計算に基づき、サンプルサイズは、約20を超えてもよく、好ましくは、約27を超えてもよい。例えば、27のような20を超えるサンプルサイズは、過剰数のグルコース測定を行う必要なしに糖血症パターンについて正確な警告を受け取る能力を有し、比較的少数の偽陽性と偽陰性の結果を確かめるのに十分な数のグルコース測定を有する消費者の期待の間で、釣り合いテストに基づいて望ましいことができる。
【0027】
約27を超えるグルコース濃度の測定値が工程212で見出されたならば、時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220が行われる。時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220を行った後、この方法は、工程228に示すように、複数のグルコース濃度の測定値が約46を超える測定値を有するかどうかを判断する。約46を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたならば、この方法は、工程228に示すように、週の曜日による高血糖症パターンのサブルーチン230とさらに食事による高血糖症発生のサブルーチン240に移る。約46以下のグルコース濃度の測定が収集されたならば、工程228に示すように、この方法は、食事による高血糖症発生のサブルーチン240に移る。46の測定のサンプルサイズは、ユーザは1日あたり少なくとも1回テストする、ユーザは週の7日間で少なくとも5日テストする、高血糖症の発生である及び高血糖症の発生ではないと観察される発生の少なくとも2つのカテゴリが存在する、及びその少なくとも2つのカテゴリがそれぞれ、週の少なくとも5日について、約5に等しい又はそれを上回る発生を有する、などのいくつかの前提に基づく。カイ二乗検定を用いるとき、発生の最小限の期待数は、週の1日あたり各カテゴリについて5である。即ち、5日に2つのカテゴリを掛けて5の期待数を掛けると50の最小限サンプルサイズとなる。この計算に基づき、サンプルサイズは、約50を超えてもよく、好ましくは、約46を超えてもよい。例えば、46のような50未満のサンプルサイズは、過剰数のグルコース測定を行う必要なしに血糖状態について正確な警告を受け取る能力を有し、比較的少数の偽陽性と偽陰性の結果を確かめるのに十分な数のグルコース測定を有する消費者の期待の間で、釣り合いテストに基づいて望ましいことができる。
【0028】
高血糖症パターン200のパターン認識ルールを用い、複数のグルコース濃度の測定を解析した後、変動パターン300のパターン認識ルールを行ってもよい。即ち、食事による高血糖症発生のサブルーチン240を行った後、この方法は工程301に移り、約14を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたかどうかを判断する。約14を超えるグルコース濃度の測定値が収集されたならば、この方法は、グルコース変動範囲のサブルーチン310、低血糖症の過剰修正のサブルーチン320、及び高血糖症の過剰修正のサブルーチン330に移る。約14以下のグルコース濃度の測定値が収集されたならば、この方法は、低血糖症の過剰修正のサブルーチン320とさらに高血糖症の過剰修正のサブルーチン330に移る。14又はそれ以上のサンプルサイズが、臨床的に有意なパターンの存在を確かめるために選択されてもよい。統計学に基づくと、4のサンプルサイズが統計的に有意な相違を判断するのに十分であるが、臨床的に有意なパターンを識別する可能性を高めるため、慎重な尺度として、より大きいサンプルサイズを選択した。
【0029】
上記の方法論に加え、本願明細書でさらに記載するように、血糖の変動を、1日内の特定の時間枠、1日内の複数の時間枠、週の特定日、週の複数の特定日、1日内の特定の時間枠における食前テストを有するグルコーステストの頻度、週の特定日について食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、1日内の特定の時間枠における食後テストを有するグルコーステストの頻度、週の特定日について食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度に関連付けることができる。
【0030】
投与パターン400をテストするパターン認識ルールは、それぞれ工程211と工程111に示されたように、1)高血糖症の過剰修正のサブルーチン330の完了、又は2)高血糖症発生率Ph又は低血糖症発生率Plが約100%に等しい、の2つの条件の1つが満たされた後に行われてもよい。2つの上記条件の1つが満たされるならば、次いで、この方法は、以下のプロセス又はサブルーチン、例えば、グルコーステストの頻度のサブルーチン410、食前テストの妥当性のサブルーチン420、及び食後テストの妥当性のサブルーチン430を行う。
【0031】
投与パターン400をテストするパターン認識ルールを完了した後、比較パターン500のパターン認識ルールが行われる。比較パターン500における第1工程として、この方法は、工程501に示したように、食前フラグAを持つ血糖濃度の測定数と食後フラグBを持つ血糖濃度の測定数が、双方とも約9より大きいかどうかを判断する。
【0032】
食前フラグAを持つ血糖濃度の測定数と食後フラグBを持つ血糖濃度の測定数の双方が、約9を超えるフラグ付き測定を有するならば、次いで、この方法は、食前と食後のグルコース濃度の比較のサブルーチン510、昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520、過去と現在の低血糖症グルコース発生の比較のサブルーチン530、及び過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540を行う。9又はそれ以上のサンプルサイズが、臨床的に有意なパターンの存在を確かめるために選択されてもよい。統計学に基づくと、4のサンプルサイズが、統計的に有意な相違を判断するのに十分であるが、臨床的に有意なパターンを識別する可能性を高めるため、慎重な尺度として、より大きいサンプルサイズを選択した。
【0033】
食前フラグAを持つ血糖濃度の測定数又は食後フラグBを持つ血糖濃度の測定数のどちらかが、約9未満のフラグ付き測定を有するならば、工程501に示すように、次いで、この方法は、昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520、過去と現在の低血糖症グルコース発生の比較のサブルーチン530、及び過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540を行う。
【0034】
この方法は、過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540を行った後に完了してもよい。以下は、上記のプロセス又はサブルーチン(110、120、130、140、210、220、230、240、310、320、330、410、420、430、510、520、530、及び540)のより詳細な説明を記載する。
【0035】
図4Aは、低血糖症発生のサブルーチン110のフローチャートを示し、工程113に示すように、全時間枠にわたって、多くの血糖濃度の測定を得ることを含んでもよい。次に、サブルーチン110は、工程114に示すように、全時間枠にわたって収集した血糖濃度の測定数で割算した実質的な低血糖症の血糖濃度の測定数を合計することにより、全時間枠についての低血糖症発生率Plを計算してもよい。全時間枠は、例えば、1日の中の数時間、1日、1週間、1箇月、3箇月、6箇月、又は医師への訪問もしくは治療措置の間のような、任意に選択された期間であることができる。式1は、低血糖症発生率Plをどのようにして計算するかの例を示す。
【0036】
【数1】

式1
【0037】
式1において、項iは特定の繰り返しの時間間隔を表し、nは繰り返し時間間隔の合計数を表し、Lは時間間隔iの中で生じる実質的に低血糖症のグルコース濃度の測定数であり、Nは時間間隔iの中で行われたグルコース濃度の合計測定数を表す。
【0038】
【数2】

は、全体の繰り返し時間間隔iについての実質的に低血糖症のグルコース濃度の合計測定数を表す。
【0039】
【数3】

は、全体の繰り返し時間間隔iについての全体のグルコース濃度の測定数を表す。
【0040】
工程115において、低血糖症発生率Plを所定の閾値と比較してもよい。低血糖症発生率Plが、所定の閾値よりも大きい場合、工程116に示すように、低血糖症の高い発生を示すメッセージを表示してもよい。低血糖症発生率Plが、所定の閾値よりも大きくない場合、サブルーチン110は、食事による低血糖症発生のサブルーチン140に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、約3%から約15%であってもよい。好ましい実施形態において、閾値は約5%である。あるいは、閾値は、臨床医又は内科医によって選択される値であってもよい。工程116において警告メッセージを表示した後、サブルーチンは、工程111に移ってもよい。
【0041】
とりわけ、時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120を、特定の繰り返し時間間隔iで生じる低血糖症の高い発生があるかを判断するために使用してもよい。1つの実施形態において、時間間隔は、毎日繰り返してよく、1日の約8分の1であってもよい。8つの日々の時間帯は、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、就寝時、及び夜間を挙げてもよく、初期管理設定によって既定される又はユーザによってカスタマイズされることができる。繰り返し時間間隔は、時間帯と称されてもよいことに留意するべきである。
【0042】
図4Bは、時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120のフローチャートを示し、工程121において、全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得て、工程122において、時間帯の各々について低血糖症の発生数を求めることを含んでもよい。次に、サブルーチン120は、工程123に示すように、例えば、カイ二乗検定のような統計的検定を用い、時間帯の少なくとも1つについて低血糖症の発生数が異なるかどうかを判断する。工程124において、計算したカイ二乗値を、カイ二乗表について図4Cにテンプレートとして示した適切な表のカイ二乗値と比較する。本開示における簡潔のため、図4Cのこの表における変数の命名は、下記の統計的解析技術において提示されたものと同じ命名であることに留意されたい。
【0043】
再び図4Bを参照して、計算したカイ二乗が表中のカイ二乗値(表4Cに示すテンプレートの)よりも大きくなければ、サブルーチン120は工程128に移る。計算したカイ二乗が表中のカイ二乗値(表4Cに示すテンプレートの)よりも大きければ、サブルーチン120は、工程125に示すように、各時間帯についてのZ検定を行うために移る。1つの実施形態において、Z検定は、二面Z検定であってもよい。工程126において、計算したZ値を、約2の値と比較する。計算したZが、約2よりも大きければ、工程127に示すように、低血糖症の高い発生が特定の時間帯で生じたことを示すメッセージが表示される。メッセージの表示の後、サブルーチン120は、工程128に移る。計算したZが、約2よりも大きくなければ、サブルーチン120は、工程128に移る。
【0044】
1つの実施形態において、カイ二乗検定は、時間帯のいずれかが、互いに統計的に有意に異なるかを判断するために使用されてもよい。カイ二乗検定は、約95%から約99%までの範囲の信頼水準を使用してもよい。式2は、どのようにしてカイ二乗を計算するかの例を示す。
【0045】
【数4】

【0046】
【数5】

式2
【0047】
式2において、
【0048】
【数6】

は、時間間隔iの中で生じる非低血糖症のグルコース濃度の測定数である。Li,preは、時間間隔iの中で生じるであろう実質的に低血糖症のグルコース濃度の予測された測定数である。
【0049】
【数7】

は、時間間隔iの中で生じるであろう非低血糖症のグルコース濃度の予測された測定数である。
【0050】
【数8】

を求めた後、式2を用いて計算した
【0051】
【数9】

の値を、時間間隔iの各々についての自由度の数に基づいた表の
【0052】
【数10】

と比較する。計算した
【0053】
【数11】

が、表の
【0054】
【数12】

の値よりも大きいならば、時間間隔の少なくとも1つが、統計的に有意に相違する。
【0055】
項Li,preは、式3aを用いて計算してもよい。
【0056】
【数13】

式3a
【0057】
【数14】

は、式3bを用いて計算してもよい。
【0058】
【数15】

式3b
【0059】
【数16】

は、統合した全ての繰り返し時間間隔に基づき、低血糖症の発症を観察する可能性を見積る関数を表す。
【0060】
時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120を行う方法は、カイ二乗検定が時間間隔の少なくとも1つが統計的に有意に相違すると判断すれば、Z検定を用い、繰り返し時間間隔iのどの1つが統計的に有意に相違するかを識別することをさらに含んでもよい。式4は、Z検定の例を示す。
【0061】
【数17】

式4
【0062】
項Zは、特定の時間間隔iでのZ値を表し、SEは、特定の時間間隔iについての標準誤差を表す。項SEは、式5を用いて計算してもよい。
【0063】
【数18】

式5
【0064】
値は、各々の繰り返し時間間隔iについて計算し、表のZ値と比較してもよい。繰り返し時間間隔の1つについてのZ値が、表中のZ値よりも大きければ(例えば、約2)、特定の繰り返し時間間隔iは、統計的に有意に相違する。
【0065】
週の曜日による低血糖症パターンのサブルーチン130は、時間帯による低血糖症パターンのサブルーチン120に類似の仕方で行ってもよい。週の曜日による低血糖症パターンのサブルーチン130において、時間間隔は、週の各曜日を表す7つの時間帯があれば、毎週繰り返される。
【0066】
図5は、工程131において全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得て、工程132において各日について低血糖症の発生数を判断することを含んでもよい、週の曜日による低血糖症パターンのフローチャート130を示す。次に、サブルーチン130は、例えば、カイ二乗検定のような統計的検査を用い(図4Cのテンプレートに示すように)、工程133に示すようにして、日の少なくとも1つについて低血糖症の発生数が異なるかどうかを判断する。工程134に示すように、計算したカイ二乗値を、表中のカイ二乗値と比較する。計算したカイ二乗が、表中のカイ二乗値(そのテンプレートは図4Cに示す)よりも大きくなければ、サブルーチン130は次のサブルーチン140に移る。計算したカイ二乗が、表中のカイ二乗値(そのテンプレートは図4Cに示す)よりも大きければ、サブルーチン130は、工程135に示すように、週の各曜日についてのZ検定を行うために移る。工程136において、計算したZ値を、約2の値と比較する。計算したZが、約2よりも大きければ、工程137に示すように、低血糖症の高い発生が週の特定日で生じたことを示すメッセージが表示される。メッセージの表示の後、サブルーチン130は、次のサブルーチン140に移る。計算したZが、約2よりも大きくなければ、サブルーチン120は、次のサブルーチン140に移る。
【0067】
図6は、食前又は食後の時間間隔のいずれかで生じる低血糖症の高い発生があるかを判断するために使用されてもよい、食事による低血糖症のサブルーチン140のフローチャートを示す。食事による低血糖症の発生のサブルーチン140は、工程141に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖濃度の測定を得ることを含んでもよい。食前タグAと食後タグBを持つ血糖濃度の測定数を計算し、工程142に示すように、それぞれ食前と食後に行った血糖の測定数を示してもよい。工程143に示すように、食前タグLと食後タグLを持つ実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数を計算してもよい。工程144に示すように、食前タグPlと食後タグPlを有する低血糖症発生率を計算してもよい。Plは、食前フラグLを有する実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数を、食前タグAを持つ血糖濃度の測定数で割算することによって求めてもよい。同様に、Plは、食前フラグLを有する実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数を、食前タグBを持つ血糖濃度の測定数で割算することによって求めてもよい。
【0068】
式6と7は、食前タグPlと食後タグPlを有する低血糖症発生率をどのようにして求めるかの数学的形態を例示する。
【0069】
【数19】

式6
【0070】
【数20】

式7
【0071】
食前タグPlと食後タグPlを有する低血糖症発生率は、工程145に示すように、所定の閾値と比較してもよい。Pl又はPlのいずれかが所定の閾値よりも大きければ、工程146に示すように、食前の時間及び/又は食後の時間で起きる低血糖症の高い発生を示すメッセージを表示することができる。PlとPlが所定の閾値よりも大きくなければ、サブルーチン140は、高血糖症発生のサブルーチン210に移ってもよい。工程146においてメッセージを表示した後、サブルーチン140は、高血糖症発生のサブルーチン210に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、約10%から約25%でもよい。
【0072】
図7Aは、高血糖症発生のサブルーチン210のフローチャートを示し、工程213に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖濃度の測定を得ることを含んでもよい。全時間枠は、例えば、1日の数時間、1日、1週間、1箇月、3箇月、6箇月、医師の診察室を訪問する間の期間などの任意に選択された期間であることができる。次に、サブルーチン210は、適切なコンピュータで実施されるように、全時間枠にわたって収集した血糖濃度の測定数で割算した実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数を合計することにより、工程214に示すように、全時間枠についての高血糖症発生率Phを計算してもよい。式8は、高血糖症発生率Phをどのようにして計算するかの例を示す。
【0073】
【数21】

式8
【0074】
用語iは、特定の繰り返しの時間間隔を表し、nは、繰り返し時間間隔の合計数を表し、Hは、時間間隔iの中で生じる実質的に高血糖症のグルコース濃度の測定数であり、Nは、時間間隔iの中で行われたグルコース濃度の合計測定数を表す。
【0075】
【数22】

は、全体の繰り返し時間間隔iについての実質的に高血糖症のグルコース濃度の合計測定数を表す。
【0076】
【数23】

は、全体の繰り返し時間間隔iについての全体のグルコース濃度の測定数を表す。
【0077】
工程215において、高血糖症発生率Phを、所定の閾値と比較してもよい。高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きい場合、工程216に示すように、高血糖症の高い発生を示すメッセージを表示してもよい。高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きくない場合、サブルーチン110は、食事による高血糖症発生のサブルーチン240に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、約15%から約50%までであってもよい。工程216において警告メッセージを表示した後、サブルーチンは、工程211に移ってもよい。
【0078】
時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220を、特定の繰り返し時間間隔iで生じる高血糖症の高い発生があるかを判断するために使用してもよい。図7Aは、時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220のフローチャートを示し、工程221において、全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得て、工程222において、時間帯の各々について高血糖症の発生数を測定することを含んでもよい。次に、サブルーチン220は、工程223に示すように、例えば、カイ二乗検定のような統計的検定を用い(図4Cのテンプレートに示すように)、時間帯の少なくとも1つについて高血糖症の発生数が異なるかどうかを判断する。工程224に示すように、計算したカイ二乗値を、表のカイ二乗値と比較する。計算したカイ二乗が表中のカイ二乗値(表4Cに示すテンプレートの)よりも大きくなければ、サブルーチン220は工程228に移る。計算したカイ二乗が表中のカイ二乗値(表4Cに示すテンプレートの)よりも大きければ、工程225に示すように、サブルーチン220は、各時間帯についてのZ検定を行うために移る。1つの実施形態において、Z検定は、二面Z検定であってもよい。工程226において、計算したZ値を、約2の値と比較する。計算したZが、約2よりも大きければ、工程227に示すように、高血糖症の高い発生が特定の時間帯で生じたことを示すメッセージが表示される。メッセージの表示の後、サブルーチン220は、工程228に移る。計算したZが、約2よりも大きくなければ、サブルーチン220は、工程228に移る。
【0079】
1つの実施形態において、カイ二乗検定は、時間帯のいずれかが統計的に有意に異なるかを判断するために使用されてもよい。カイ二乗検定は、約95%から約99%までの信頼水準を使用してもよい。式9は、どのようにしてカイ二乗を計算するかの例を示す。
【0080】
【数24】

【0081】
【数25】

式9
【0082】
式9において、
【0083】
【数26】

は、時間間隔iの中で生じる非高血糖症のグルコース濃度の測定数である。Hi,preは、時間間隔iの中で生じるであろう実質的に高血糖症のグルコース濃度の予測された測定数である。
【0084】
【数27】

は、時間間隔iの中で生じるであろう非高血糖症のグルコース濃度の予測された測定数である。
【0085】
【数28】

を求めた後、式9を用いて計算した
【0086】
【数29】

の値を、時間間隔iの各々についての自由度の数に基づいた表の
【0087】
【数30】

と比較する。計算した
【0088】
【数31】

が、表の
【0089】
【数32】

の値よりも大きいならば、時間間隔の少なくとも1つが、統計的に有意に相違する。
【0090】
i,preは、式10aを用いて計算してもよい。
【0091】
【数33】

式10a
【0092】
【数34】

は、式10bを用いて計算してもよい。
【0093】
【数35】

式10b
【0094】
【数36】

は、統合した全ての繰り返し時間間隔に基づき、高血糖症の現象を観察する可能性を見積る関数を表す。
【0095】
図7Bにおける時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220を行う方法は、カイ二乗検定が時間間隔の少なくとも1つが統計的に有意に相違すると判断すれば、Z検定を用い、繰り返し時間間隔iのどの1つが統計的に有意に相違するかを識別することをさらに含んでもよい。式11は、Z検定の例を示す。
【0096】
【数37】

式11
【0097】
式11において、項Zは、特定の時間間隔iでのZ値を表し、SEは、特定の時間間隔iについての標準誤差を表す。項SEは、式12を用いて計算してもよい。
【0098】
【数38】

式12
【0099】
値は、各々の繰り返し時間間隔iについて計算し、表のZ値と比較してもよい。繰り返し時間間隔の1つについてのZ値が、表中のZ値よりも大きければ(例えば、約2)、特定の繰り返し時間間隔iは、統計的に有意に相違する。
【0100】
週の曜日による高血糖症パターンのサブルーチン230は、時間帯による高血糖症パターンのサブルーチン220に類似の手順で行ってもよい。週の曜日による高血糖症パターンのサブルーチン230において、時間間隔は、週の各曜日を表す7つの時間帯があれば、毎週繰り返される。
【0101】
図8は、工程231において全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得て、工程232において各日について高血糖症の発生数を判断することを含んでもよい、週の曜日による高血糖症パターンのフローチャート230を示す。次に、サブルーチン230は、適切な計算機で実施されるように、例えば、カイ二乗検定のような統計的検査を用い(図4Cのテンプレートに示すように)、工程233に示すようにして、日の少なくとも1つについて高血糖症の発生数が異なるかどうかを判断する。工程234に示すように、計算したカイ二乗値を、表中のカイ二乗値と比較する。計算したカイ二乗が、表中のカイ二乗値(そのテンプレートは図4Cに示す)よりも大きくなければ、サブルーチン230は次のサブルーチン240に移る。計算したカイ二乗が、表中のカイ二乗値(そのテンプレートは図4Cに示す)よりも大きければ、サブルーチン230は、工程235に示すように、週の各曜日についてのZ検定を行うために移る。工程236において、計算したZ値を約2の値と比較する。計算したZが約2よりも大きければ、工程237に示すように、高血糖症の高い発生が週の特定日で生じたことを示すメッセージが表示される。メッセージの表示の後、サブルーチン230は次のサブルーチン240に移る。計算したZが約2よりも大きくなければ、サブルーチン220は次のサブルーチン240に移る。
【0102】
図9は、食前又は食後の時間間隔のいずれかで生じる高血糖症の高い発生があるかを判断するために使用されてもよい、食事による高血糖症のサブルーチン240のフローチャートを示す。食事による高血糖症の発生のサブルーチン240は、工程241に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖濃度の測定を得ることを含んでもよい。食前タグAと食後タグBを持つ血糖濃度の測定数を計算し、工程242に示すように、それぞれ食前と食後に行った血糖の測定数を示してもよい。工程243に示すように、食前タグHと食後タグHを持つ実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数を計算してもよい。工程244に示すように、食前タグPhと食後タグPhを有する高血糖症発生率を計算してもよい。Phは、食前フラグHを有する実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数を、食前タグAを持つ血糖濃度の測定数で割算することによって求めてもよい。同様に、Phは、食前フラグHを有する実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数を、食前タグBを持つ血糖濃度の測定数で割算することによって求めてもよい。
【0103】
式13と14は、食前タグPhと食後タグPhを有する高血糖症発生率をどのようにして求めるかの数学的実施形態を例示する。
【0104】
【数39】

式13
【0105】
【数40】

式14
【0106】
食前タグPhと食後タグPhを有する高血糖症発生率は、工程245に示すように、所定の閾値と比較してもよい。Ph又はPhのいずれかが所定の閾値よりも大きければ、工程246に示すように、食前の時間及び/又は食後の時間で起きる高血糖症の高い発生を示すメッセージを表示することができる。PhとPhが所定の閾値よりも大きくなければ、サブルーチン240は、変動パターンルール300の第1工程である工程301に移ってもよい。工程246においてメッセージを表示した後、サブルーチン240は工程301に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、約15%から約50%まででもよい。
【0107】
図4〜8に関し、血糖濃度の測定を含む患者のデータを蓄え、1日の時間により、週の曜日により、1日の時間と週の曜日の双方により、又はいろいろな時間間隔で、低血糖症、高血糖症、又は過度の血糖変動の場合の徴候があったとき、患者のデータから、所定の条件(例えば、時間又は日)と結果(例えば、低血糖症、高血糖症、又は他の状態)を有する適切な表を作成し、表からのデータを用いて標準誤差(SE)とZ検定を計算し、Z検定が所定の値よりも大きいとき、糖血症のパターンがこうしたパターンの少なくとも所定範囲から外れることを示すメッセージを表示することを含む方法が提供される。好ましい実施形態において、Z検定の閾値は約2である。
【0108】
グルコース変動範囲のサブルーチン310は、図10に示したように、グルコース濃度が広範囲な血糖変動を有するならば、ユーザに示すために使用されてもよい。グルコース変動範囲のサブルーチン310は、工程311において全時間枠にわたって多くの血糖測定を得て、工程312において血糖測定の大きさに基づき全ての血糖測定をランク付けすることを含んでもよい。次に、工程313において、上側ランキングと下側ランキングを含む四分位範囲を求めてもよい。上側ランキングは、上側グルコース濃度に関連付けてもよく、下側ランキングは、下側グルコース濃度に関連付けてもよい。ここで選択される四分位範囲は、75パーセンタイルと25パーセンタイルにおけるグルコース測定であることができる。しかしながら、例えば、80パーセンタイルと20パーセンタイル、又は90パーセンタイルと10パーセンタイルのような他の適切な範囲を使用することもできる。工程314において、下側グルコース濃度から上側グルコース濃度を差引き、差分値又は例えば四分位範囲を計算する。差分値が所定の閾値よりも大きければ、工程315に示すように、高い血糖変動の発生を示すメッセージを表示してもよい。差分値が所定の閾値よりも大きくなければ、サブルーチン310は、低血糖症の過剰修正のサブルーチン320に移ってもよい。工程315においてメッセージを表示した後、サブルーチン310は、低血糖症の過剰修正のサブルーチン320に移ってもよい。1つの実施形態において、メッセージは、図3Aの工程301に示すように、例えば約14を超える血糖測定のように、グルコース計によって収集される統計的に有意な数の血糖測定値がある場合に限り表示される。グルコース変動範囲のサブルーチン310についての所定の閾値の例は、約30mg/dLから約90mg/dLでもよく、好ましくは約50mg/dLである。
【0109】
また、変動は、1日の特定の時間で又は食事時間帯との関連で、低血糖症又は高血糖症の発生とグラフ的に関連付けることができる。血糖変動の他の関連は、特定の日、週の曜日、食事又はインスリン注入のタイミングとのものであることができる。具体的には、このシステムは、(a)一時的期間内のグルコース濃度値の中央値と(b)一時的期間内のテスト時間の中央値を求め、(a)グルコース濃度値の中央値と(b)テスト時間の中央値を関連付け、グルコース値とテスト時間を有する二次元座標のグラフ上にデータ点を規定することにより、血糖変動パターンの生成を行う。適切な範囲(例えば、四分位範囲、10パーセンタイルと90パーセンタイル、又は20パーセンタイルと80パーセンタイル)を、各中央値のデータ点の周りにプロットすることができる。図18の例に示すように、一時的時間枠が3:00AM〜8:00AMの時間枠TPに選択され、グルコース濃度値の中央値は、この時間枠の中で約325mg/dLのMGVによって示され、テスト測定MTの数の中央値は約4:00AMであり、MGVとMTの双方を、表示域D4におけるグルコース値と時間についての二次元図表上に中央値データ点を規定するために利用することができる。MGVとMTについての血糖変動の関連性は、例えば、1日の時間帯又は週もしくは月の中の日による食前又は食後のグルコース濃度レベル、低血糖症、高血糖症、週の曜日、週の複数の曜日、又は、ユーザ、患者、内科医、もしくは臨床医により適切と思われる特定指標に関連する任意の時間のような他の特定指標について求めることができる。その後、適切な変動の指標(例えば、75パーセンタイルと25パーセンタイルの間の差として規定される四分位間範囲)を、各中央値データ近辺に求めることができる。図18に示す例において、75パーセンタイルを規定するデータ値を、中央値値を規定する曲線710と25パーセンタイル値を規定する曲線720の近辺で、滑らかな曲線700として一緒に連結することができる。曲線700と720は、特定の指標と関連する中央値の周りの血糖変動をグラフ的に示すのに役立つ(例えば、グルコース、インスリン、又は他の生理学的指標)。
【0110】
好ましい実施形態において、中央値は、あるデータの周りに集中させる血糖データの傾向、即ち、中央傾向の好ましい指標である。また、中央値は、例えば算術平均のような他の指標よりも好ましく、その理由は、他の指標についても同様であろう通り、血糖測定器からの測定データが、正規又はガウス分布(即ち、対称分布ではなく非対称分布)にしたがわないことが観察されているためである。さらに、中央値の使用は、(a)中央値は異常データに鈍感、及び(b)中央値は、血糖測定器の測定範囲の外にある値に基本的に影響されない、の理由で好ましい。中央値についての値は平均と非常に関連があり、中央値の血糖レベルとHbA1c値との関係は平均血糖とHbA1cに非常に近いと考えられる。しかしながら、正確のため、より多くの採取データが、平均と比較される中央値に必要であろうと考えられる。
【0111】
再び図18に関し、それぞれの曲線700、710、及び720は、適切な補間技術、即ち、例えば、多項式補間、三次Bezierスプライン、三次カージナルスプライン、Fritsch−Carlson単調保存三次補間、Akima三次スプライン補間、有理三次スプライン、又は指数関数的補間のような「曲線の滑化」によって作成することができる。好ましい実施形態において、曲線の滑化は、1の張力を用い、点構造の特定の配列を通るカージナルスプラインを経由して作成される。
【0112】
これまで、患者の糖血症を評価する方法は、何らかの他の生理的パラメータとともに、インスリン摂取と血糖のグラフ的比較を提供することによって行うことができる。この方法は、血糖測定とインスリン摂取値などの患者の糖血症に関するデータを収集し、所定の一時的期間にわたり、血糖値の各測定について、血糖値の中央値と時間枠の中央値の関数として、グルコースと時間の統合中央値を決定し、グラフ形式において、グルコースと時間の統合中央値を表示することによって達成することができる。収集は、複数の一時的時間枠にわたって患者のデータを収集することを含むことができる。決定は、複数の一時的時間枠の各々について、グルコースと時間との統合中央値を定めることを含むことができる。とりわけ、表示は、決定と確立の各々について、グラフ的チャートを作成することを含んでもよく、このチャートは、実質的に同じ一時的時間枠を有する。
【0113】
グルコースと時間の統合中央値が決定されると、例えば、四分位範囲を用いるような適切な技術によって、血糖変動を発生させることができる。動向とパターンを示すため、複数の一時的期間にわたり、グルコースと時間の各々の統合中央値について、血糖の変動を得ることができる。また、本願明細書における用語として、一時的期間は、例えば、4時間ごと、8時間ごと、24時間ごと、週の1日又は複数の日、特定の日、毎週と、又は毎月などのような、任意の時間単位の指標であることができる。
【0114】
このシステムを、インスリンの効果、インスリンの種類、又はインスリン摂取の頻度を評価するため、グルコース濃度の変動を、普通の特定の指標(例えば、1日の時間、週の曜日、及びその他)によるインスリン摂取と関連付けるために利用することができる。具体的には、このシステムは、(i)上記の選択された一時的期間内で患者によって摂取されたインスリン用量MIの中央値、及び(ii)一時的期間内での投与時間MITの中央値を求める(一時的時間TPの一般的指標に基づき)ことによって血糖の変動パターンの作成を行い、(i)インスリン用量MIの中央値と(ii)インスリン摂取値MITの数の中央値の双方を関連付け、それぞれ縦座標と横座標として、インスリン用量と投与時間を有する二次元座標グラフ上にデータ点を規定する。とりわけ、上記の方法は、(i)インスリン摂取の中央値と(ii)所定の一時的期間にわたる各インスリン摂取についての時間枠の中央値の双方の関数として、インスリン摂取と時間の統合中央値を確立するために実施することができ、臨床医、患者、又は糖尿病専門家がインスリン摂取と血糖の効果を一般に評価することができるように、インスリン摂取と時間の統合中央値をグラフ形式で表示する。この中央値のインスリン用量と投与時間の関係は、表示領域D5内の例示の二次元図表にグラフ的にプロットすることができ、次いで、表示領域D4の図表におけるグルコースと「1日の時間」の共通の特定指標による表示領域D5の図表におけるインスリンの変動における関連を示すために利用することができる。表示領域D4又はD5における図表は、二次元図表に限定されず、例えば、三次元図表や4つを超える異なる可変データインプットのグラフ的表現を用いた図表などを利用することができることに留意するべきである。
【0115】
血糖の変動は、血糖値の中央値と四分位範囲に関して一般的に記載されているが、例えば、次のような他の技術を利用することもできる。「標準偏差」又はSD「変動係数」CV「平均の日々の血糖」「N70+N180」、ただし70mg/dL未満の血糖数と180mg/dLを超える数が使用され、「J. Schlichtkrull et al., The M−Value, an Index of Blood−Sugar Control in Diabetics, Acta Medica Scandinavia, Vol.177, fasc.1, 1965, pp.95−93」に記載の血糖データからの糖血症対照の合成尺度として導かれる「M値」、「F. John Service et al., in Mean Amplitude of Glycemic Excursions, a Measure of Diabetic Instability, Diabetes, Vol.19, No.9, pp.644−655, September 1970」で議論されているような「糖血症可動域の平均振幅」、「Kovatchev BP et al., in Methods for Quantifying Self−monitoring Blood Glucose Profile Exemplified by an Examination of Blood Glucose Pattern in Patients with Type 1 and Type 2 Diabetes, Diabetes Technology and Therapeutics, 4: 295−303, 2002」に記載のような「不安定性指標」、「Ryan EA et al., in Assessment of the Severity of Hypoglycemia and Glycemic Lability in Type 1 Diabetic Subjects Undergoing Islet Transplantation, Diabetes 53: 955−962, 2004」で議論されているような、4時間未満の間隔で読み取る「絶対血糖変化率」、「Rodbard, D. (2005), Improved Methods for Calculating a “Figure of Merit” for Blood Glucose Monitoring Data, Diabetes Technology Meeting, San Francisco, CA, November 2005」に記載のような「性能指数」、「Wojcicki, J. (1995), J−Index, A New Proposition Of The Assessment Of Current Glucose Control In Diabetic Patients, Horm Metab Res., 27, 41−42」に記載のような「J指標」、及び「Otto et al., in Diabetes Care, Vol. 29, No.11, pp. 2433−2438 (November 2006)」に記載のような「平均日間危険範囲」。
【0116】
血糖値の変動によって引き起こされる潜在的な危険に関する他の記載は、「Hirsch IB. Glycemic Variability: It’s Not Just About A1C Anymore! Diabetes Technol Ther. 2005;7:780−783」、「Brownlee M, Hirsch, I.B. Glycemic variability: A Hemoglobin A1c − Independent Risk Factor For Diabetic Complications. JAMA 2006;295(14): 1707−1708」、及び「Monnier L, Mas E, Ginet C, et al., Activation Of Oxidative Stress By Acute Glucose Fluctuations Compared With Sustained Chronic Hyperglycemia In Patients With Type 2 Diabetes. JAMA. 2006;295:1681−1687」になされている。上記の文献は、それらの全体を本願明細書に参照して取り入れられる。
【0117】
低血糖症の過剰修正のサブルーチン320は、図11に示すように、ユーザの血糖濃度を低血糖症状態から高血糖症状態まで増加させる炭水化物のボーラスをユーザが経口摂取したかどうかを判断するために使用してもよい。理想的には、ユーザは、低血糖症状態から正常血糖状態に切り替えさせる炭水化物のボーラスを経口摂取したいであろう。
【0118】
低血糖症の過剰修正のサブルーチン320は、工程321に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖測定を得て、工程322に示すように、第1の所定の閾値よりも低い第1の血糖濃度を測定することを含んでもよい。第1の所定の閾値は約70mg/dLであってもよく、このとき、第1の所定の閾値よりも低い血糖濃度は低血糖症である。第1の血糖濃度は、ユーザが低血糖症の状態にあることを示す。工程323において、第1の血糖濃度の測定の約30分〜約240分後に行った全ての血糖測定は、高血糖症について評価される。血糖濃度の1つが、およそ第2の所定の閾値よりも高いと分かったならば、工程324に示すように、低血糖症の過剰修正のあり得る存在を示すメッセージが表示される。第2の所定の閾値は、約180mg/dLであってもよい。血糖濃度がいずれも、およそ第2の所定の閾値よりも高くないと分かったならば、サブルーチン320は、低血糖症の過剰修正のサブルーチン330に移ってもよい。工程324においてメッセージを表示した後、サブルーチン320は、高血糖症の過剰修正のサブルーチン330に移ってもよい。
【0119】
高血糖症の過剰修正のサブルーチン330は、図12に示すように、ユーザの血糖濃度を高血糖症状態から低血糖症状態まで低下させるようなインスリンのボーラスをユーザが摂取したかどうかを判断するために使用してもよい。理想的には、ユーザは、高血糖症状態から正常血糖状態に切り替えさせるインスリンのボーラスを欲してもよい。
【0120】
高血糖症の過剰修正のサブルーチン330は、工程331に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖測定を得て、工程332に示すように、第2の所定の閾値よりも高い第1の血糖濃度を測定することを含んでもよい。第2の所定の閾値は約180 mg/dLであってもよく、このとき、第2の所定の閾値よりも高い血糖濃度は高血糖症である。工程333において、第1の血糖濃度の測定の約30分から約240分後に行った全ての血糖測定は、低血糖症について評価される。血糖濃度の1つが、およそ第1の所定の閾値よりも低いと分かったならば、工程334に示すように、高血糖症の過剰修正のあり得る存在を示すメッセージが表示される。第1の所定の閾値は、約70mg/dLであってもよい。血糖濃度がいずれも、およそ第1の所定の閾値よりも低くないと分かったならば、サブルーチン330は、グルコーステストの頻度のサブルーチン410に移ってもよい。工程334においてメッセージを表示した後、サブルーチン330は、血糖テストの頻度のサブルーチン410に移ってもよい。
【0121】
図13は、血糖テストの頻度のサブルーチン410についてのフローチャートを示し、工程411に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得ることを含んでもよい。次に、工程412に示すように、1日あたり又は1週間あたりの血糖濃度の平均測定数を計算してもよい。単位時間あたりの血糖濃度の平均測定数の測定数を、所定の閾値と比較する。単位時間あたりの血糖濃度の平均測定数が、工程414に示すように、所定の閾値よりも少なければ、単位時間あたりの血糖濃度の平均測定数が十分でないことを示すメッセージを表示してもよい。単位時間あたりの血糖濃度の平均測定数が、所定の閾値よりも少なければ、サブルーチン410は、食前テストの妥当性のサブルーチン420に移ってもよい。工程414においてメッセージを表示した後、サブルーチン410は、食前テストの妥当性のサブルーチン420に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、1週間あたり約3の測定〜1週間あたり約15の測定であってもよい。
【0122】
図14Aは、食前テストの妥当性のサブルーチン420についてのフローチャートを示し、工程421に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得ることを含んでもよい。次に、血糖濃度の測定が食前に行われるならば、工程422に示すように、血糖濃度の測定に、食前とフラグ付けをしてもよい。工程423に示すように、食前とフラグ付けされる1週間あたりの血糖濃度の測定数を求めることができる。工程424において、1週間あたりの食前とフラグ付けされた血糖濃度の測定数を、所定の閾値と比較する。食前とフラグ付けされた1週間あたりの血糖濃度の測定数が所定の閾値よりも少ないと、工程425に示すように、警告メッセージを表示してもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、1週間あたり約3の食前フラグ〜1週間あたり約7の食前フラグであってもよい。ここで、適切な閾値は、1日あたり又は1週間あたりの平均テスト数、使用されるテストパターン、及び医師により推奨されるテストパターンを考慮することによって、適切なアルゴリズムにより、医師によって又は自動的もしくは半自動的に設定可能なものであることに留意するべきである。食前とフラグ付けされる1週間あたりの血糖濃度の測定数が所定の閾値よりも少なくなければ、サブルーチン420は、食後テストの妥当性のサブルーチン430に移ってもよい。工程425においてメッセージを表示した後、サブルーチン420は、食後テストの妥当性のサブルーチン430に移ってもよい。他の場合において、患者が、通常食前にテストするグループとしてのタイプ2糖尿病の場合、メッセージ425は、完全に省いてもよい。ここで、代わりの実施形態において、工程425は、比較できる先の時間枠に比べて、将来、定められた又は規定の時間枠の中で、血糖レベルをより頻繁にテスト又は測定するかをユーザ又は患者に質問するメッセージを含んでもよい。
【0123】
図14Bは、食後テストの妥当性のサブルーチン430についてのフローチャートを示し、工程431に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖測定を得ることを含んでもよい。次に、血糖濃度の測定が食後に行われるならば、工程432に示すように、血糖濃度の測定を食後とフラグ付けしてもよい。工程433に示すように、食後とフラグ付けされた1週間あたりの血糖濃度の測定数を求めることができる。工程434において、1週間あたりの食後とフラグ付けされた血糖濃度の測定数を、所定の閾値と比較する。食後とフラグ付けされた1週間あたりの血糖濃度の測定数が所定の閾値よりも少なければ、工程435に示すように、警告メッセージを表示してもよい。ここで、適切な閾値は、1日あたり又は1週間あたりの平均テスト数、使用されるテストパターン、及び医師により推奨されるテストパターンを考慮することによって、適切なアルゴリズムにより、医師によって又は自動的もしくは半自動的に設定可能なものであることに留意するべきである。1つの実施形態において、所定の閾値は、1週間あたり約3の食後フラグ〜1週間あたり約7の食後フラグの範囲であってもよい。食後とフラグ付けされる1週間あたりの血糖濃度の測定数が、所定の閾値よりも少なくなければ、サブルーチン430は、工程501に移ってもよく、ここで、Aは、食前のテスト頻度を示し、Bは、食後のテスト頻度を示す。工程435においてメッセージを表示した後、サブルーチン430は工程501に移ってもよい。
【0124】
代わりの実施形態において、血糖テストの妥当性のサブルーチン440を、食後テストの妥当性のサブルーチン430の後に行ってもよい。図14Cは、十分な数の血糖測定を行うにおいて、医師がユーザの適応性を判断することを助ける血糖テストの妥当性のサブルーチン440についてのフローチャートを示す。血糖テストの妥当性のサブルーチン440は、工程441に示すように、複数の時間間隔について複数の標的テスト頻度をインプットすることを含んでもよい。時間間隔としては、朝食前、朝食後、昼食前、昼食後、夕食前、夕食後、就寝時、及び夜間が挙げられる。1つの実施形態において、医師は、時間間隔の全てについて、標的のテスト頻度をインプットし、ユーザに標的の目標を与えてもよい。次に、工程442に示すように、多くの血糖測定を種々の時間間隔に行ってもよい。工程443に示すように、各時間間隔についての実際のテスト頻度を計算してもよい。工程444において、実際のテスト頻度を、標的のテスト頻度と比較する。実際のテスト頻度が、標的のテスト頻度よりも少なければ、工程445に示すように、警告メッセージを表示してもよい。実際のテスト頻度が、標的のテスト頻度よりも少なくなければ、工程446に示すように、ユーザが標的のテスト頻度に応じたとのメッセージを表示する。工程445又は工程446のいずれかにおいてメッセージを表示した後、サブルーチン440は、工程501に移ってもよい。
【0125】
別な代わりの実施形態において、テスト/投与パターン400は、食前又は食後の血糖測定を示す認識パターンのためのサブルーチンを含んでもよい。過去の血糖測定に基づき、最も近くに行われた血糖測定が食前又は食後であることをユーザに警告するメッセージを表示してもよい。次いで、ユーザは、血糖測定に適切なフラグを付けるオプションを与えられてもよい。
【0126】
図15は、食前と食後の血糖濃度の比較のサブルーチン510についてのフローチャートを示し、ユーザが食事を経口摂取した後、血糖濃度に有意な増加が存在するかどうかを判断するために用いてもよい。食前と食後の血糖濃度の比較のサブルーチン510は、工程511に示すように、多くの血糖濃度の測定を得ることを含んでもよい。次に、それぞれ工程512と513に示すように、中央値の食前血糖濃度と中央値の食後血糖濃度を計算してもよい。食前と食後の血糖濃度は、それぞれ食前と食後としてフラグ付けされる血糖濃度測定として規定してもよい。工程514において、中央値の食後グルコース濃度から中央値の食前グルコース濃度を差引き、差分値が得られる。差分値は、関与する食事の種類に応じ、臨床的に重要、統計的に重要、又は臨床的及び統計的に重要な値であることができる。差分値が、所定の閾値よりも大きければ、工程515に示すように、警告メッセージが、高い食後可動域を示す。差分値が、所定の閾値よりも大きくなければ、サブルーチン510は、昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520に移ってもよい。工程512においてメッセージを表示した後、サブルーチン510は、昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520に移ってもよい。1つの実施形態において、所定の閾値は、約50mg/dLであってもよい。ある実施形態は、食前とフラグ付けされた測定が約9より多く存在しかつ食後とフラグ付けされた測定が約9より多く存在するのでなければ、警告メッセージを表示しない前提条件を含んでもよい。
【0127】
図16は、昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520についてのフローチャートを示し、昼間と夜間のグルコース濃度に有意な相違が存在するかどうかを判断するために使用してもよい。昼間と夜間のグルコース濃度の比較のサブルーチン520は、工程521に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖の測定を得ることを含んでもよい。次に、それぞれ工程522と523に示すように、中央値の昼間グルコース濃度と夜間グルコース濃度を計算してもよい。昼間は、午前約6時00分から午後約4時59分までの範囲の時間間隔であってもよい。夜間は、午後約5時00分から午前約5時59分までの範囲の時間間隔であってもよい。ここで、昼間と夜間の期間は、内科医又は臨床医によって選択される任意の所定の時間枠であってもよい。次に、工程524に示すように、昼間の中央値が夜間の中央値と統計的に有意に相違するかどうかを判断するために統計的検定を用いてもよい。統計的に有意な相違が存在するならば、工程525に示すように、昼間の中央値と夜間の中央値の相違を示す警告メッセージを表示してもよい。統計的に有意な相違が存在しなければ、サブルーチン520は、過去と現在の低血糖症発生の比較のサブルーチン530に移ってもよい。工程525においてメッセージを表示した後、サブルーチン520は、過去と現在の低血糖症発生の比較のサブルーチン530に移ってもよい。
【0128】
1つの実施形態において、統計的検定は、ノンパラメトリック統計的検定である。ノンパラメトリック統計的検定は、ウイルコクソン検定又は順位和検定であってもよい。ノンパラメトリック検定は、昼間の時間間隔と夜間の時間間隔に行われる複数のグルコース濃度の測定を組み合わせ、グルコース濃度の測定の集合を形成することを含んでもよい。次に、グルコース濃度の測定の集合を序数の順序でランク付けし、標準化された順位和Wstdを、式15を用いて計算してもよい。
【0129】
【数41】

式15
【0130】
式15において、項Wstdは、標準化された順位和を表し、Wは、昼間の時間間隔に行われる複数のグルコース濃度測定の順位和を表し、Nは、昼間の時間間隔でのグルコース濃度の測定数であり、Nは、夜間の時間間隔でのグルコース濃度の測定数である。標準化された順位和が約2よりも大きいと、昼間の中央値と夜間の中央値の間の統計的に有意な相違を示す警告メッセージを表示してもよい。1つの実施形態において、昼間に行われる複数のグルコース濃度測定が、約9を超える測定を含むならば、警告メッセージを表示してもよい。別な実施形態において、夜間に行われる複数のグルコース濃度測定が、約9を超える測定を含むならば、警告メッセージを表示してもよい。
【0131】
別な実施形態において、2つ又はそれ以上のグルコース濃度が同点を有するならば(即ち、同じ値を有する)、異なる式を用いてノンパラメトリック検定を行ってもよい。2つ又はそれ以上のグルコース濃度が同点を有するときは、式16を用いて標準化された順位和Wstdを計算してもよい。
【0132】
【数42】

式16
【0133】
式16において、項hは、同点の中のグルコース濃度値の数を表し、jは、同点を有するグルコース濃度の各グループに付随する指標値を表し、gは、同点の合計数である。例えば、血糖濃度値が93、93、100、100、100、104、104、104、104mg/dLであるならば、h=2、h=3、h=4、及びg=3である。標準化された順位和が約2よりも大きければ、昼間の中央値と夜間の中央値の間の統計的に有意な相違を示す警告メッセージを表示してもよい。
【0134】
図17Aは、過去と現在の低血糖症発生の比較のサブルーチン530を示し、現在の報告期間と過去の報告期間からの統計的変化を示してもよい。報告期間は、規定ユーザへの2つの一連のデバイスダウンロード間の期間として規定してもよい。ここで留意すべきは、デバイスは、ダウンロードからダウンロードまでで同じ必要はないことである。
【0135】
過去と現在の低血糖症発生の比較のサブルーチン530は、工程531に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖測定を得ることを含んでもよい。次に、工程532に示すように、第1の低血糖症発生率Plを、第1の時間枠にわたって計算してもよい。工程533に示すように、第2の低血糖症発生率Plを、第2の時間枠にわたって計算してもよい。第1の時間枠は、現在の時間枠でもよく、第2の時間枠は、過去の時間枠でもよい。
【0136】
工程534において、第1の低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも大きいかどうかと第2の低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも小さいかどうかの2つの条件が得られるかを判断するための計算を行ってもよい。工程534において上記の2つの条件の双方が満たされるならば、サブルーチン530は、工程538に示すように、第1の低血糖症発生率Plと第2の低血糖症発生率Plの間の相違を示す警告メッセージを示してもよい。工程534において、上記の2つの条件の少なくとも1つが満たされなければ、サブルーチンは、工程535に移ってもよい。
【0137】
工程535において、第1の低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも小さいかどうかと第2の低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも大きいかどうかの2つの条件が得られるかを判断するための計算を行ってもよい。工程535において上記の2つの条件の双方が満たされるならば、サブルーチン530は、工程538に示すように、第1の低血糖症発生率Plと第2の低血糖症発生率Plの間の相違を示す警告メッセージを示してもよい。工程535において、上記の2つの条件の少なくとも1つが満たされなければ、サブルーチンは、工程536に移ってもよい。
【0138】
工程536において、第1の低血糖症発生率Plと第2の低血糖症発生率Plが所定の閾値よりも大きいかどうかを判断するための計算を行ってもよい。工程536において上記の条件が満たされるならば、サブルーチン530は、工程537に示すように、第1の低血糖症発生率Plが第2の低血糖症発生率Plと統計的に有意に相違するかどうかを判断するための計算を行ってもよい。工程536において上記の条件が満たされなければ、サブルーチン530は、過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540に移ってもよい。
【0139】
第1の低血糖症発生率Plが第2の低血糖症発生率Plと統計的に有意に相違するかどうかを判断するために、工程537に示すように、計算を行ってもよい。第1と第2の低血糖症発生率の間に統計的に有意な相違が見出されるならば、工程538に示すように、その相違を示す警告メッセージを表示してもよい。第1と第2の低血糖症発生率の間に統計的に有意な相違が見出されないならば、サブルーチン530は、過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540に移ってもよい。工程538においてメッセージを表示した後、サブルーチン530は、過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540に移ってもよい。過去と現在の低血糖症発生の比較のサブルーチン530の実施形態において、閾値は約5%又はそれ以上であってもよい。
【0140】
1つの実施形態において、第1の低血糖症発生率が第2の低血糖症発生率と統計的に有意に相違するかどうかを判断するために、Z検定を用いてもよい。Z検定は、式17を用いて行ってもよい。
【0141】
【数43】

式17
【0142】
式17において、Plは第1の低血糖症発生率であり、Plは第2の低血糖症発生率であり、Nlは第1の時間枠の中で生じる実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数であり、Nlは第2の時間枠の中で生じる実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数である。Zが約2よりも大きければ、第1と第2の低血糖症発生率の間の統計的に有意な相違を示す警告メッセージを表示してもよい。1つの実施形態において、第1又は第2の時間枠の中で生じる実質的に低血糖症の血糖濃度の測定数が約27よりも大きければ、警告メッセージを表示してもよい。
【0143】
図17Bは、過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540を示し、現在の報告期間と過去の報告期間からの統計的変化を示してもよい。報告期間は、規定ユーザへの2つの一連のデバイスダウンロード間の期間として規定してもよい。ここで留意すべきは、デバイスは、ダウンロードからダウンロードまでで同じ必要はないことである。
【0144】
過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540は、工程541に示すように、全時間枠にわたって多くの血糖測定を得ることを含んでもよい。次に、工程542に示すように、第1の高血糖症発生率Phを、第1の時間枠にわたって計算してもよい。工程543に示すように、第2の高血糖症発生率Phを、第2の時間枠にわたって計算してもよい。第1の時間枠は現在の時間枠でもよく、第2の時間枠は過去の時間枠でもよい。
【0145】
工程544において、第1の高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きいかどうかと第2の高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも小さいかどうかの2つの条件が得られるかを判断するための計算を行ってもよい。工程544において上記の2つの条件の双方が満たされるならば、サブルーチン540は、工程548に示すように、第1の高血糖症発生率Phと第2の高血糖症発生率Phの間の相違を示す警告メッセージを示してもよい。工程544において、上記の2つの条件の少なくとも1つが満たされなければ、サブルーチンは、工程545に移ってもよい。
【0146】
工程545において、第1の高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも小さいかどうかと第2の高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きいかどうかの2つの条件が得られるかを判断するための計算を行ってもよい。工程545において上記の2つの条件の双方が満たされるならば、サブルーチン540は、工程548に示すように、第1の高血糖症発生率Phと第2の高血糖症発生率Phの間の相違を示す警告メッセージを示してもよい。工程545において、上記の2つの条件の少なくとも1つが満たされなければ、サブルーチンは、工程546に移ってもよい。
【0147】
工程546において、第1の高血糖症発生率Phと第2の高血糖症発生率Phが所定の閾値よりも大きいかどうかを判断するための計算を行ってもよい。工程546において上記の条件が満たされるならば、サブルーチン540は、工程547に示すように、第1の高血糖症発生率Phが第2の高血糖症発生率Phと統計的に有意に相違するかどうかを判断するための計算を行ってもよい。工程546において上記の条件が満たされなければ、サブルーチン540は、終了に移ってもよい。
【0148】
第1の高血糖症発生率Phが第2の高血糖症発生率Phと統計的に有意に相違するかどうかを判断するために、工程547に示すように、計算を行ってもよい。第1と第2の高血糖症発生率の間に統計的に有意な相違が見出されるならば、工程548に示すように、その相違を示す警告メッセージを表示してもよい。第1と第2の高血糖症発生率の間に統計的に有意な相違が見出されないならば、サブルーチン540は、終了に移ってもよい。工程548においてメッセージを表示した後、サブルーチン540は、終了に移ってもよい。過去と現在の高血糖症発生の比較のサブルーチン540の実施形態において、閾値は、約50%又はそれ以上であってもよい。
【0149】
1つの実施形態において、第1の高血糖症発生率が第2の高血糖症発生率と統計的に有意に相違するかどうかを判断するために、Z検定を用いてもよい。Z検定は、式18を用いて行ってもよい。
【0150】
【数44】

式18
【0151】
式18において、Phは第1の高血糖症発生率であり、Phは第2の高血糖症発生率であり、Nhは第1の時間枠の中で生じる実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数であり、Nhは第2の時間枠の中で生じる実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数である。Zが約2よりも大きければ、第1と第2の高血糖症発生率の間の統計的に有意な相違を示す警告メッセージを表示してもよい。1つの実施形態において、第1又は第2の時間枠の中で生じる実質的に高血糖症の血糖濃度の測定数が約27よりも大きければ、警告メッセージを表示してもよい。
【0152】
ここで、患者のグルコース濃度は、好ましくは、種々の例示の実施形態については患者の血液から得られるが、患者からの生理的流体、例えば、間質液を、グルコースレベルの判断を提供するために利用可能なことに留意するべきである。したがって、用語「グルコース」は(本願明細書において、「血糖」又は「グルコース」のように、単独又は用語「血」と組み合わせて用いるかによらず)、血液中だけでなく、例えば、間質液中のグルコース濃度のような他の生理的流体に存在するグルコースの濃度又は値もまた規定する意図である。
【0153】
本願明細書において提供される開示と説明に基づき、本発明者らは、糖尿病の管理を支援するための情報伝達媒体を提供した。この情報伝達媒体は、図18に示すように、第1表示域の中に、第2、第3、第4、及び第5表示域D2、D3、D4、及びD5をそれぞれ有する第1表示域D1を備える。第2表示域D2は、患者の識別情報を有し、一方、第3表示域D3は、複数のテキストメッセージを有し、第4表示域D4は、患者の所定時間枠にわたる種々のグルコース濃度及びグラフ又はテキスト形式の他の適切な情報を示す絵図表を盛り込む。第5表示域D5は、患者についての経時的な摂取インスリン単位の絵図表である。例示の実施形態において、第1表示域D1は、ビデオディスプレイモニタ、映写機、1枚の紙、ホログラム、患者の変動動向の音声表示(例えば、「午前3時と午前9時の間に高い変動」と述べる患者に対する自動化された音声出力)、又はこれらの組み合わせの任意の1つから選択された表示を備える。
【0154】
第3表示域D3は、限定されるものではないが、(a)低血糖症の発生、(b)高血糖症の発生、(c)血糖の変動、(d)過剰修正、(e)夜間の血糖濃度と昼間の血糖濃度の間の相違、及び(f)ある時間枠について又はいろいろな時間枠での患者の糖血症状態の比較分析の少なくとも1つについての情報の表示を含む。とりわけ、低血糖症の発生は、(i)時間枠による低血糖症の発生、(ii)週の曜日による低血糖症の発生、(iii)食前の低血糖症の発生、及び(iv)食後の低血糖症の発生を含む。言い換えると、第3表示域は、低血糖症、高血糖症、又は過度の血糖変動などの糖血症状態を示す複数のテキストメッセージを有する。
【0155】
さらに、低血糖症の発生は、所定の時間内の低血糖発症の計算割合を含む低血糖症発生のテキストメッセージを含み、これは、計算割合が約5%を超えるときは常に提示され、又は計算割合が100%のときは常に全てのグルコース測定値が低血糖症であるとのテキスト表示が提示され、これら以外は、低血糖症発生のテキスト表示が提示されない。統計上の相関関係が、時間帯と低血糖発症の間で決定され、低血糖症発生の表示があれば常に、特定の時間枠における高めの低血糖症の指示のテキスト表示が提示される。統計上の相関関係が、週の曜日と低血糖発症の間で決定され、低血糖症発生のテキストメッセージがあれば常に、週の特定日における高めの低血糖症の指示のテキスト表示が提示される。所定の時間内での食前グルコース測定値としてマークされた食前グルコース測定値が約5%を超えるときは常に、食前の低血糖発症のテキスト表示が提示される。逆に、所定の時間内で、食後グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食後の低血糖発症のテキスト表示が提示される。
【0156】
第4表示域D4は、1日の時間、週の曜日、1日の時間と週の曜日の双方、又はいろいろな所定の間隔の少なくとも1つによる中央値の血糖値についての血糖変動のグラフパターンを含む。約午前12時に始まり約午前12時までの24時間に及ぶ特定の日に関し、グラフ上の血糖変動パターンを図18に示しているが、先に記載したように、週の曜日、時間と週の曜日の双方、週又は月の特定日に関して、又は医師の診察室を訪問する間もしくはいろいろな定められた治療措置の間のような所定の間隔についての、別な関係もまた見ることができる。
【0157】
また、情報伝達媒体は、限定されるものではないが、(i)時間枠による高血糖症の発生、(ii)週の曜日による高血糖症の発生、(iii)食前の高血糖症の発生、及び(iv)食後の高血糖症の発生、などの高血糖症の発生に関する情報を提供する能力を有する。とりわけ、高血糖症の発生は、所定の時間内の高血糖発症の計算割合を含む高血糖症発生のテキストメッセージを含み、これは、計算割合が約15%を超えるときは常に提示され、又は計算割合が100%のときは常に全てのグルコース測定値が高血糖症であるとのテキスト表示が提示され、これら以外は、高血糖症発生のテキスト表示が提示されない。統計上の相関関係が、時間帯と高血糖発症の間で決定され、高血糖症発生のテキストメッセージがあれば常に、特定の時間枠における高めの高血糖症の指示のテキスト表示が提示される。統計上の相関関係が、週の曜日と高血糖発症の間で決定され、高血糖症発生のテキスト表示があれば常に、週の特定日における高めの高血糖症の指示のテキスト表示が提示される。所定の時間内で、食後グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食前の高血糖発症のテキスト表示が提示される。そして、所定の時間内で、食前グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食後の高血糖発症のテキスト表示もまた提示される。閾値として5%を選択してきたが、医師によって定められる治療措置に応じて、例えば、10%又は15%のような他の値を使用することもできる。
【0158】
また、情報伝達媒体は、限定されるものではないが、(i)グルコース変動の範囲、(ii)低血糖症から高血糖症への起こり得るリバウンド、(iii)高血糖症から低血糖症への起こり得る過剰修正の発生、又は(iv)例えば、1日内の特定の時間枠、1日内の複数の時間枠、週の中の特定日、週の中の複数の特定日、1日内の特定の時間枠における食前テスト、週の特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、週の複数特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、1日内の特定時間枠における食後テストを有するグルコーステストの頻度、週の特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、又は週の複数特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、などのグルコース変動に関する情報を提供する能力を有する。所定の時間内の患者の計算された血糖変動が、例えば、約30mg/dL〜1デシリットルのグルコースあたり約90ミリグラムの任意値のような選択された値であるとき、又はその値よりも大きいときは常に、高い血糖変動を示すテキスト表示が提示される。約4時間未満の所定の時間内で、高血糖発症から低血糖発症への変化があれば常に、低血糖症の高血糖症リバウンドへの可能性を示すテキスト表示が提示される。約4時間未満の所定の時間内で、低血糖発症から高血糖発症への変化があれば常に、低血糖症リバウンドへの高血糖症を示すテキスト表示が提示される。
【0159】
その上、情報伝達媒体は、食前と食後のデータ間の相違に関する情報を提供することもできる。具体的には、計算された相違が、例えば、約30mg/dL〜約90mg/dLの任意の値、好ましくは、約50mg/dLのような選択値よりも大きいとき、報告期間内の食前と食後の中央値間の計算された相違のテキスト表示が提示される。
【0160】
さらに、情報伝達媒体は、先に記載したように、2つ又はそれ以上の時間枠についての低血糖症の測定数と全時間枠についてのグルコースの全測定数に基づき、上向きの低血糖症動向又は下向きの低血糖症動向の1つのテキスト表示などの低又は高血糖症動向に関する情報を提供することもできる。逆に、2つ又はそれ以上の時間枠についての高血糖症の測定数と全時間枠についてのグルコースの全測定数に基づき、上向きの高血糖症動向又は下向きの高血糖症動向の1つのテキスト表示が提示される。本願における用語「テキスト」は、テキストタイプの表示だけでなく、数値、シンボル(動的又は静的)、図表、ホログラム、グラフ、又はこれらの組み合わせにも及ぶ意図である。
【0161】
本発明者らはまた、本願明細書において提供した説明と例示のおかげで、臨床医又は糖尿病患者を含んでもよいユーザに糖尿病管理情報を提供するためのコンピュータプログラムを提示した。このコンピュータプログラムは、本願の図1で例示し、先に記載したように、ユーザインターフェイス、ビジネス目的モジュール、及び糖尿病管理ルールエンジンを備える。糖尿病管理ルールエンジンは、患者の所定の時間枠にわたるグルコース濃度の血糖変動を示す絵図表などの、患者の血糖に関する複数のデータ入力に基づく複数のテキストパターン認識メッセージを生成させる。
【0162】
複数のテキストメッセージは、限定されるものではないが、(a)低血糖症の発生、(b)高血糖症の発生、(c)血糖変動、(d)過剰修正、(e)夜間のグルコース濃度と昼間のグルコース濃度との相違、及び(f)低血糖症と高血糖症の動向の比較分析、の少なくとも1つについての情報を含んでもよい。とりわけ、低血糖症の発生は、(i)時間枠による低血糖症の発生、(ii)週の曜日による低血糖症の発生、(iii)食前の低血糖症の発生、及び(iv)食後の低血糖症の発生を含む。さらに、低血糖症の発生は、所定の時間内の低血糖発症の計算割合を含む低血糖症発生のテキスト表示を含み、これは、計算割合が約5%を超えるときは常に提示され、又は計算割合が100%のときは常に全てのグルコース測定値が低血糖症であるとのテキスト表示が提示され、これら以外は、低血糖症発生のテキスト表示が提示されない。統計上の相関関係が時間帯と低血糖発症の間で決定され、低血糖症発生の表示があれば常に、特定の時間枠における高めの低血糖症の指示のテキスト表示が提示される。統計上の相関関係が週の曜日と低血糖発症の間で決定され、低血糖症発生の表示があれば常に、週の特定日における高めの低血糖症の指示のテキスト表示が提示される。所定の時間内で、食前グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食前の低血糖発症のテキスト表示が提示される。逆に、所定の時間内で、食後グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食後の低血糖発症のテキスト表示が提示される。
【0163】
また、コンピュータプログラムは、限定されるものではないが、(i)時間枠による高血糖症の発生、(ii)週の曜日による高血糖症の発生、(iii)食前の高血糖症の発生、及び(iv)食後の高血糖症の発生、を含む高血糖症の発生に関する情報を提供する能力を有する。とりわけ、高血糖症の発生は、所定の時間内の高血糖発症の計算割合を含む高血糖症発生のテキスト表示を含み、これは、計算割合が約15%を超えるときは常に提示され、又は計算割合が100%のときは常に全てのグルコース測定値が高血糖症であるとのテキスト表示が提示され、これら以外は、高血糖症発生のテキスト表示が提示されない。統計上の相関関係が、時間帯と高血糖発症の間で決定され、高血糖症発生のテキスト表示があれば常に、特定の時間枠における高めの高血糖症の指示のテキスト表示が提示される。同様に、統計上の相関関係が、週の曜日と高血糖発症の間で決定され、高血糖症発生の表示があれば常に、週の特定日における高めの高血糖症の指示のテキスト表示が提示される。その上、所定の時間内で、食前グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食前の高血糖発症のテキスト表示が提示される。所定の時間内で、食後グルコース測定値としてマークされた約5%を超えるグルコース測定値があれば常に、食後の高血糖発症のテキスト表示が提示される。
【0164】
また、コンピュータプログラムは、限定されるものではないが、(i)グルコース変動の範囲、(ii)高血糖症リバウンドへの低血糖症の可能性、(iii)高血糖症から低血糖症への起こり得る過剰修正の発生、又は(iv)例えば、1日内の特定の時間枠、1日内の複数の時間枠、週の中の特定日、週の中の複数の特定日、1日内の特定の時間枠における食前テスト、週の特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、週の複数特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、1日内の特定時間枠における食後テストを有するグルコーステストの頻度、週の特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、又は週の複数特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、などのグルコース変動に関する情報を提供する能力を有する。所定の時間内の患者の計算された血糖変動が、1デシリットルあたり約90ミリグラム又はそれよりも大きいときは常に、高い血糖変動を示すテキスト表示が提示される。約4時間未満の所定の時間内で、高血糖発症から低血糖発症への変化があれば常に、高血糖症リバウンドへの低血糖症の可能性を示すテキスト表示が提示される。同様に、約4時間未満の所定の時間内で、低血糖発症から高血糖発症への変化があれば常に、高血糖症の低血糖症へのリバウンドを示すテキスト表示が提示される。
【0165】
その上、コンピュータプログラムは、食前と食後のデータ間の相違に関する情報を提供することもできる。具体的には、計算された相違が、例えば、約30mg/dL〜約90mg/dLの任意の値、好ましくは、約50mg/dLのような所定値よりも大きいとき、報告期間内の食前と食後の中央値間の計算された相違のテキスト表示が提示される。
【0166】
さらに、コンピュータプログラムは、先に記載したように、2つ又はそれ以上の時間枠についての低血糖症の測定数と全時間枠についてのグルコースの全測定数に基づき、上向きの低血糖症動向又は下向きの低血糖症動向の1つのテキスト表示などの低血糖症又は高血糖症の動向に関する情報を提供することもできる。逆に、2つ又はそれ以上の時間枠についての低血糖症の測定数と全時間枠についてのグルコースの全測定数に基づき、上向きの高血糖症動向又は下向きの高血糖症動向の1つのテキスト表示が提示される。下記の表1に、糖尿病を管理する臨床医又はユーザに提供できる種々のパターン認識テキストメッセージの例を示す。
【0167】
表1 例示のパターン認識メッセージ
【0168】
【表1】







【0169】
また、糖尿病管理ルールエンジンを用いたコンピュータプログラムは、(a)一時的期間内のグルコース濃度値の中央値と(b)一時的期間内のテスト時間の中央値を関連付け、グルコース値とテスト時間を有するグラフ上にデータ点を定める。さらに、糖尿病管理ルールエンジンを用いたコンピュータプログラムは、(i)一時的期間の全体のインスリン用量の中央値と(ii)一時的期間内の投与時間の中央値を関連付け、インスリン用量と投与時間を有するグラフ上にデータ点を定める。本願明細書における用語の一時的期間としては、限定されるものではないが、1日の特定の時間枠、1日の複数の時間枠、週の特定日、又は週の複数の特定日の少なくとも1つが挙げられる。とりわけ、一時的期間はまた、1日内の特定の時間枠における食前テストを有するテスト発生又はグルコーステスト頻度、週の特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、週の複数の特定日についての食前テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、1日内の特定時間枠における食後テストを有するテスト発生、週の特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、又は週の複数特定日についての食後テストのためのグルコース測定(即ち、テスト)の頻度、の少なくとも1つを含んでもよい。
【0170】
種々の実施形態の1つの長所は、例えば、糖尿病を管理するにおいて統計的又は臨床的に重要なパターンのような有用で、具体的で、かつ明確な結果を提供するように、患者のデータ(例えば、血糖レベル、インスリン注入又はインスリンの種類、炭水化物の摂取など)を変換するプロセス(複数プロセス、機器、システム、又は方法を含む)の能力であると考えられる。例えば、このシステムは、統計的解析を用い、患者の血糖データをテキストパターンに変換し、複雑な図表やそのグラフではなく、種々パターンの簡単且つ直接的な説明を提供する。図18に関し、例えば、低血糖症又は高血糖症の状態に陥るデータの割合、血糖変動、過剰修正、及び昼と夜の血糖値間の相違のような種々の「データパターン」が、複雑なグラフ又は表の必要なしに、多忙な臨床医又はユーザのための明確で簡潔な情報として提供されることが理解できる。例えば、食前テスト時間、食後テスト時間、及び全体的な目標や中央値のグルコース値のようなその他のデータは、グラフ形式で提示し、臨床医に動向を提供することができる。食前テストの時間は、食事をする前に行ったグルコース測定の時間でもよく、食後テストの時間は、食事をした後に行ったグルコース測定の時間でもよい。そして、血糖変動の情報は、ここで表示域D3で示す簡単なテキストで提供することができるが、時に、ここで表示域D4に示したグラフ形式を、血糖変動の動向を伝達するために使用し、さらなる情報を与える。そのようなものとして、経時的な中央値グルコース曲線について、第1と第4四分位間範囲の血糖変動を示す経時な絵図表が提供される。同じ時間枠(例えば、TP、1日の時間、週の曜日、設定時間枠の中での食前と食後)についての中央値の血糖値(領域D4)と中央値のインスリン注入(領域D5)との間の相関関係は、血糖値に及ぼすインスリン又はインスリン種類の一般的効果を見ることに関心のある臨床医に提供することができる。
【0171】
図19Aと19Bに関し、例示のシステムはまた、内科医又は臨床医を訪問した後の患者による使用のための代わりの表示形式D1’を提供する。とりわけ、図19Aに示すように、表示域D2’とD3’は、図18の表示域D1と同じ患者情報を提供する。ここで、表示域D4’は、糖尿病患者により容易に理解されると考えられる情報を提供する。例えば、表示域D4’は、平均の血糖とともにグルコース測定の全体数を示す。このシステムはさらに、表D4Aにおいて、目標(内科医によって設定)より上、目標より下、及び低血糖症のテスト数にデータを分類する。このシステムはさらに、表D4Aにおいて割合のデータを患者に実証するための絵図表730を提供する。好ましい実施形態において、絵図表730は、目標より上の(所定の時間枠における全テスト数の)割合740、目標内の割合750、目標より下の割合、及び低血糖症の割合を示す円グラフである。テストについての内科医又は臨床医の忠告が、領域D6に提供される。目的又はターゲットのような他の情報は、表示域D7に提供される。
【0172】
特定のバリエーションと例示の図面に関して本発明を記載してきたが、当業者は、記載したバリエーションと図面に本発明が限定されるものではないことを認識するであろう。また、上記の方法と工程がある順序で生じるある事柄を示す場合、当業者は、ある工程の順序を変更してもよく、こうした変更は、本発明の変化にしたがうものであることを認識するであろう。さらに、ある工程は、可能であれば、平行プロセスにおいて同時に行ってもよく、さらには、順次に行ってもよい。したがって、本特許は、本開示の技術的思想の中にある又は特許請求の範囲に示す本発明と均等な本発明の変形の範囲にわたり網羅するものである。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】グルコース計、インスリンポンプ、及びパーソナルコンピュータを含む糖尿病管理システムの概略図を示す。
【図2】糖尿病管理ルールエンジンの概略図を示す。
【図3】糖尿病管理ルールシステム又はプロセスシステムのフローチャートを示す。
【図4A】複数の血糖濃度を低血糖症発生を示すパターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図4B】複数の血糖濃度を時間帯による低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図4C】顧客データに基づいて統計的に有意なパターンを決定するために使用できるカイ二乗表の例を示す。
【図5】複数の血糖濃度を週における日による低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図6】複数の血糖濃度を食事による低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図7A】複数の血糖濃度を低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図7B】複数の血糖濃度を時間ごとの低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図8】複数の血糖濃度を週における日による低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図9】複数の血糖濃度を食事による低血糖症パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図10】複数の血糖濃度を高血糖変動パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図11】複数の血糖濃度を高血糖変動パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図12】複数の血糖濃度を高血糖症の過剰修正パターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図13】複数の血糖濃度を血糖テストの頻度が充分か否かを示すパターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図14A】複数の血糖濃度を食前テストの妥当か否かを示すパターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図14B】複数の血糖濃度を食後テストの妥当か否かを示すパターンに関して分析するフローチャートを示す。
【図14C】複数の血糖濃度を分析してユーザが標的テスト頻度に適合するか否かを決定するフローチャートを示す。
【図15】複数の血糖濃度を分析して食前及び食後のグルコース濃度を比較するフローチャートを示す。
【図16】複数の血糖濃度を分析して日中及び夜間のグルコース濃度を比較するフローチャートを示す。
【図17A】複数の血糖濃度を分析して過去と現在の低血糖症発生を比較するフローチャート示す。
【図17B】複数の血糖濃度を分析して過去と現在の高血糖症発生を比較する
【図18】一形態の糖尿病管理システムを用いて作成した日における時間ごとの概略レポートを示す。
【図19A】一形態の糖尿病管理システムを用いて作成した患者の情報シートを示す。
【図19B】一形態の糖尿病管理システムを用いて作成した患者の情報シートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示域と、
第1表示域に配置され、患者の識別情報を有する第2表示域と、
第1表示域に配置され、患者の糖血症状態を示す複数のテキストメッセージを有する第3表示域と、
第1表示域に配置され、所定時間枠にわたる患者のグルコース濃度の変動を示す図表を含む第4表示域と、を備える情報伝達媒体。
【請求項2】
前記第1表示域に配置され、患者の経時的なインスリン用量単位の図表を有する第5表示域をさらに備える請求項1に記載の情報伝達媒体。
【請求項3】
前記第1表示域は、ビデオディスプレーモニタ、映写機、及び紙からなる群より選択される表示を備える請求項2に記載の情報伝達媒体。
【請求項4】
前記第3表示域は、(a)低血糖症の発生、(b)高血糖症の発生、(c)変動、(d)過剰修正、(e)夜間のグルコース濃度と昼間のグルコース濃度との間の差異、及び(f)患者の低血糖症又は高血糖症の動向の比較分析の少なくとも1つの表示を備える請求項2に記載の情報伝達媒体。
【請求項5】
前記低血糖症の発生は、(i)時間枠による低血糖症の発生、(ii)週の曜日による低血糖症の発生、(iii)食前の低血糖症の発生、及び(iv)食後の低血糖症の発生を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項6】
前記低血糖症の発生は、計算割合が5%を超えるときには常に提示される、所定時間枠内の低血糖発生の計算割合を含む低血糖症発生のテキスト表示、又は低血糖発生の計算割合が100%のときには常に提示される、全グルコース測定値が低血糖症であるとのテキスト表示を含み、これら以外では、低血糖症発生のテキスト表示が提示されない請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項7】
統計上の相違を、一定の低血糖症発生率を有する特定の時間帯について決定し、低血糖症発生のテキスト表示があるときには常に、特定の時間枠における高めの低血糖症発生を指示するテキスト表示が提示される請求項6に記載の情報伝達媒体。
【請求項8】
統計上の相違を、一定の低血糖症発生率を有する週の特定日について決定し、低血糖症発生のテキスト表示があるときには常に、週の特定日における高めの低血糖症発生を指示するテキスト表示が提示される請求項6に記載の情報伝達媒体。
【請求項9】
所定の時間枠内で、5%を超える食前グルコース測定値が低血糖症であって、食前グルコース測定値としてマークされていれば常に、食前の低血糖発症のテキスト表示が提示される請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項10】
所定の時間枠内で、5%を超える食後グルコース測定値が低血糖症であって、食後グルコース測定値としてマークされていれば常に、食後の低血糖発症のテキスト表示が提示される請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項11】
高血糖症の発生は、(i)時間枠による高血糖症の発生、(ii)週の曜日による高血糖症の発生、(iii)食前の高血糖症の発生、及び(iv)食後の高血糖症の発生を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項12】
前記高血糖症の発生は、計算割合が15%を超えるときには常に、所定の時間枠内の高血糖発生の計算割合を含む高血糖症発生のテキスト表示が提示され、又は高血糖発生の計算割合が100%のときには常に、全グルコース測定値が高血糖症であるとのテキスト表示が提示されることを含み、これら以外では、高血糖症発生のテキスト表示が提示されない請求項11に記載の情報伝達媒体。
【請求項13】
統計上の相違は、特定の時間帯について決定し、一定の高血糖症発生率を有し、高血糖症発生のテキスト表示がある場合には常に、特定の時間枠における高めの高血糖症発生の指示のテキスト表示が提示される請求項12に記載の情報伝達媒体。
【請求項14】
統計上の相違は、週の特定日について決定し、一定の高血糖症発生率を有し、高血糖症発生のテキスト表示があれば常に、週の特定日における高めの高血糖症発生の指示のテキスト表示が提示される請求項12に記載の情報伝達媒体。
【請求項15】
所定の時間枠内で、5%を超える食前グルコース測定値が高血糖症であって、食前グルコース測定値としてマークされていれば常に、食前の高血糖発症のテキスト表示が提示される請求項11に記載の情報伝達媒体。
【請求項16】
所定の時間枠内で、5%を超える食後グルコース測定値が高血糖症であって、食後グルコース測定値としてマークされていれば常に、食後の高血糖発症のテキスト表示が提示される請求項11に記載の情報伝達媒体。
【請求項17】
前記変動は、(i)全体的変動、(ii)高血糖症リバウンドへの低血糖症、及び(iii)
高血糖症の低血糖症への発生を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項18】
所定の時間枠内で、患者の四分位範囲が1デシリットルあたり50ミリグラム又はそれ以上であるときは常に、高い変動を示すテキスト表示が提示される請求項17に記載の情報伝達媒体。
【請求項19】
4時間未満の所定の時間枠内で、高血糖症発症から低血糖症発症までの変化があれば常に、高血糖症リバウンドへの低血糖症を示すテキスト表示が提示される請求項17に記載の情報伝達媒体。
【請求項20】
4時間未満の所定の時間枠内で、低血糖症発症から高血糖症発症までの変化があれば常に、高血糖症リバウンドへの低血糖症を示すテキスト表示が提示される請求項17に記載の情報伝達媒体。
【請求項21】
前記差異が、食前と食後の中央値間の計算された相違が50mg/dLを超えるときは、報告期間内で、前記計算された相違のテキスト表示が提示されることを含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項22】
比較分析の低血糖症動向が、2つ又はそれ以上の時間枠についての多くの低血糖症測定及び全時間枠についての血糖の全測定数に基づく上方の低血糖症動向又は下方の低血糖症動向の1つのテキスト表示を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項23】
比較分析の高血糖症動向が、2つ又はそれ以上の時間枠についての多くの低血糖症測定及び全時間枠についての血糖の全測定数に基づく上方の高血糖症動向又は下方の高血糖症動向の1つのテキスト表示を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項24】
前記第4表示域は、(a)一時的期間内の血糖濃度値の中央値と(b)前記一時的期間内のテスト発生の中央値との関連性をさらに含む請求項2に記載の情報伝達媒体。
【請求項25】
前記第5表示域は、インスリン用量及び投与時間を有する二次元座標グラフ上にデータ点を定めるための、(i)一時的期間にわたるインスリン注入量の中央値と(ii)前記一時的期間内の注入発生の中央値との関連性を含む請求項24に記載の情報伝達媒体。
【請求項26】
前記一時的期間は、1日内の特定の時間枠、1日内の複数の時間枠、週の特定日、又は週の複数の特定日の少なくとも1つを含む請求項25に記載の情報伝達媒体。
【請求項27】
前記一時的期間は、1日内の特定時間枠における食前テストを有するテスト発生、週の特定日における食前テストを有するテスト発生、週の複数日における食前テストを有するテスト発生、1日内の特定時間枠における食後テストを有するテスト発生、週の特定日における食後テストを有するテスト発生、又は週の複数日における食後テストを有するテスト発生の少なくとも1つを含む請求項25に記載の情報伝達媒体。
【請求項28】
前記比較分析の高血糖症動向は、1つの時間枠から別の時間枠まで増加又は減少する高血糖症発生の1つの変化を含む請求項4に記載の情報伝達媒体。
【請求項29】
第1表示域と、
前記第1表示域に配置され、患者の識別情報を有する第2表示域と、
前記第1表示域に配置され、低血糖症、高血糖症、又は過度の変動を含む患者の糖血症状態を示す複数のテキストメッセージを有する第3表示域と、
前記第1表示域に配置され、1日の時間、週の曜日、1日の時間と週の曜日の双方の少なくとも1つにより、又は異なる所定の間隔で、中央値血糖値についての変動のグラフパターンを含む第4表示域と、を備えた情報伝達媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【公開番号】特開2008−229331(P2008−229331A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−63023(P2008−63023)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】