説明

血糖管理を改善するための強化水の使用法

本発明は、糖尿病患者において血行、水分補給およびインスリン使用を改善するのに一意的に適した「強化水」を製造するための方法および装置を提供する。このように、好ましい態様において、本発明は、糖尿病の処置および/または予防、ならびに糖尿病に関連した合併症、状態または疾患の発現の予防または遅延のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願はその全体が参照として本明細書に組み入れられる、2004年3月1日に提出された、米国仮出願第60/549,235号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
糖尿病は治療法のない慢性疾患である。米国において、約1820万人、または人口の6.3パーセントが糖尿病を有している。約1300万人は診断されているが、520万人はその病気を持っていることに気づいていない。米国糖尿病情報センター(National Diabetes Information Clearinghouse)、NIH Publication No.04-3892, November 2003によれば、2000年の病死の第6番目の要因として、糖尿病は、米国健康管理システムを推定1320億ドル費やしている。糖尿病に関連した経済コストより深刻なのは、生活の質の低下、重篤な合併症/予後、および糖尿病に関連した死である。
【0003】
毎年新たに約12,000〜24,000人の症例があり、糖尿病は、20〜74歳の成人における新たな失明症例の主な原因である。糖尿病は、末期腎疾患の主な原因でもあり、毎年、新たな症例の約44%を占める。2001年だけで、約42,800人が、糖尿病が原因の末期腎疾患(腎不全)のための治療を開始している。糖尿病を持っている人々の約60〜70パーセントは、軽度から重度の糖尿病性の神経損傷を有しており、ここで重度のものは下肢切断を導き得る。実際、非外傷性下肢切断の60パーセント超が、糖尿病を有する人々において行われる。2002〜2003年では、糖尿病を有する人々で、約82,000件の非外傷性下肢切断が行われた。糖尿病を有する人々は、2〜4倍、卒中を患う可能性が高い。さらに、糖尿病の成人は、糖尿病でない人より約2〜4倍高い心臓病死亡率を有する。
【0004】
糖尿病は、高い血中グルコースレベルを特徴とする疾患の群であり、インスリン産生、インスリン作用、または両方の欠如から生ずる。糖尿病は何年も診断されないままであり得るので、多くの人々は、命にかかわる合併症の一つが発現した後にのみ糖尿病であることに気づく。糖尿病の正確な原因はまだ知られていないが、遺伝的および環境的要因の両方、たとえば肥満および運動の欠如が重要な因子であることが十分に認められている。
【0005】
糖尿病の一つの型である1型(またはインスリン依存性糖尿病もしくは若年発症型糖尿病)は、血中グルコースレベルを調節するインスリンホルモンを産生する膵臓細胞を、体の免疫系が破壊すると発現する。1型糖尿病は、通常、子供および若年成人において発生するが、発症開始は何歳でも起こり得る。1型糖尿病は全ての診断された糖尿病の症例の約5〜10パーセントを占める。1型糖尿病の危険因子には、自己免疫的要因、遺伝的要因、および環境的要因が含まれる。1型糖尿病と診断された個体は、注射またはポンプによるインスリンの毎日の送達を必要とする。
【0006】
別の型の糖尿病である2型(またはインスリン非依存性糖尿病もしくは成人発症型糖尿病)は、インスリンを十分に産生するまたは適切に用いる体の能力の欠如から生ずる代謝異常である。この疾患は、通常、インスリン抵抗性、すなわち細胞がインスリンを正確に使わない異常として始まり、インスリンの必要性が生じるにつれて、膵臓がそのインスリンを産生する能力を次第に失う。2型糖尿病はこの病気の最も一般的な形態であり、糖尿病の90〜95パーセントを占める。2型糖尿病は、高齢のアメリカ人の増加、ならびに肥満症の羅漢率の増加および座りがちなライフスタイルのため、流行病のような割合になっている。
【0007】
妊娠性糖尿病は、妊娠した女性に起こるグルコース耐性異常の形態をいう。妊娠中、妊娠性糖尿病は、乳児において合併症を避けるために、母体の血糖値を標準化する治療を必要とする。妊娠性糖尿病を有する一定割合(5〜10パーセント)の女性は妊娠期間後、2型糖尿病を有する。妊娠性糖尿病を有していた女性は、後の5〜10年で、糖尿病を発現させる可能性を20〜50パーセント有する。
【0008】
高インスリン血症は、膵臓細胞によるインスリンの過剰産生をいう。しばしば、高インスリン血症は、インスリンの作用に対する細胞の耐性として定義される状態である、インスリン抵抗性の結果として起こる。インスリン抵抗性は、先に定義されるように、正常な量のインスリンが正常以下の生物学的(代謝的)応答を産生する状態/異常である。たとえば、インスリンで処置した糖尿病患者において、治療投与量のインスリンが正常人におけるインスリンの分泌速度を超える限り、インスリン抵抗性は存在すると考えられている。
【0009】
グルコース恒常性(または代謝)障害は、血糖値が正常値より高いが糖尿病として分類するほど高くはない状態をいう。将来の糖尿病および心臓血管疾患にとって危険因子と考えられる2つのカテゴリーがある。グルコース抵抗性障害(IGT)は、2時間経口グルコース負荷試験後のグルコースレベルが140〜199mg/dLである場合に見出される。IGTは2型糖尿病の主要な危険因子であり、成人の約11パーセントに、または約2000万人のアメリカ人に存在する。65歳またはそれ以上の人々の約40〜45パーセントは2型糖尿病またはIGTを有している。空腹時グルコース障害(IFG)は、8時間空腹時血漿グルコース試験後のグルコースレベルが110mg/dlより大きいが126mg/dLより小さい場合に見出される。
【0010】
糖尿病の共通の特徴である高血糖症は、肝臓および末梢組織によるグルコース利用の減少、および肝臓によるグルコース産生の増加により引き起こされる。肝臓および膵臓β-細胞内の主要なグルコースリン酸化酵素であるグルコキナーゼ(GK)は、血中グルコース恒常性を調節するのに重要な役割を担っている。とりわけ、2型糖尿病の患者(Caro, J.F. et al., Hormone metabolic Res., 27; 19-22, 1995(非特許文献1))、およびいくつかの糖尿病動物モデル(Barzilai, N. and Rossetti, L. J.Biol.Chem., 268:25019-25025, 1993(非特許文献2))において、この酵素のレベルが低下している。
【0011】
糖尿病を治療するために多くの薬学的組成物および方法が提案されている。たとえば、糖尿病における高血糖を低下させるためのひとつのアプローチは、肝臓GK活性を増加させることに関する(Van Schaftingen, E. et al., Adv. Enzyme Regul. 32:133-148, 1992(非特許文献3))。トランスジェニック糖尿病マウスに関する研究は、GKコピー数の増加が、肝臓グルコース代謝の増加および血漿グルコースレベルの減少をもたらすことを示しており(Ferre, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:7225-7230 (1996a) (非特許文献4)およびFASEB J., 10:1213-1218, (1996b)(非特許文献5); Niswender, K.D. et al., J.Biol.Chem., 272:22570-22575 (1997)(非特許文献6))、肝臓GKの増加が糖尿病における高血糖を減少させるのに有効であり得ることを示している。さらに、Hariharan, N.ら(Diabetes 46:11-16(1997)(非特許文献7))は、肝臓GKの増加がトランスジェニックマウスにおいてグルコース恒常性を改善し、体重の減少を導くことを証明している。
【0012】
血糖を下げるのに現在用いられている2種類の薬理学的理学療法は、経口血糖降下(抗糖尿病)剤およびインスリンである。インスリン置換は、注射により現在行われており、糖尿病におけるインスリンの欠如およびその作用の制限に基づくものである。経口の抗糖尿病剤は、インスリンに化学的に似ておらず、それらの糖低下メカニズムは直接のインスリン置換の作用と異なる。経口血糖降下剤およびインスリンは、現在、糖尿病の個体の必要に応じて、単独で、または互いに協同的に治療に利用されている。一部の個体は、インスリンを伴って、またはそれを伴わずに、複数の経口剤で最もよく処置される。
【0013】
以上の理由から、糖尿病の新しい治療的処置の必要性、特に糖尿病に関連する症状を除去または低下させる必要性がある。
【0014】
ウエルネス・エンタープライゼス(Wellness Enterpeises)は、汚染物質を除去し、また特定の「強化性媒体(enhancing media)」を用いることにより水の特性を一時的に変化させる、周知の水ろ過および強化システムを製造販売する。観察されている特性の一時的な変化には、1)湿潤度の増加(たとえば膜の浸透度の増加)、2)溶解度の増加(固体および気体の両方)、3)特定の微量ミネラル、特にシリカ、マグネシウム、イットリウム、バナジウムおよびチタンの遊離、ならびに4)安定化陰イオンの遊離が含まれる。今日まで、この強化水を代謝異常、たとえば糖尿病の処置に利用するという示唆は存在しなかった。
【0015】
【非特許文献1】Caro, J.F. et al., Hormone metabolic Res., 27; 19-22, 1995
【非特許文献2】Barzilai, N. and Rossetti, L. J.Biol.Chem., 268:25019-25025, 1993
【非特許文献3】Van Schaftingen, E. et al., Adv. Enzyme Regul. 32:133-148, 1992
【非特許文献4】Ferre, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:7225-7230 (1996a)
【非特許文献5】Ferre, T. et al., FASEB J., 10:1213-1218, (1996b)
【非特許文献6】Niswender, K.D. et al., J.Biol.Chem., 272:22570-22575 (1997)
【非特許文献7】Hariharan, N. et al., Diabetes 46:11-16(1997)
【発明の開示】
【0016】
発明の概要
本発明は、血行、水分補給、および/または代謝指数を改善するため、特に血糖管理のためにグルコース代謝を改善するために一意的に適した「強化水(enhanced water)」を製造するためのプロセスおよび装置を提供する。本発明は、グルコース不耐性を低下させること;高インスリン血症を低下させること;インスリン抵抗性を低下させること;および/または高血糖症もしくは低血糖症を低減させることを意図する。これにより、好ましい態様において、本発明は、糖尿病の処置および/または予防、ならびに糖尿病に関連した合併症、状態または疾患の発現の予防または遅延のための方法を提供する。
【0017】
本明細書において特に例示されるのは、糖尿病に関連した少なくともいくつかの合併症の重症度、強度、および/または持続時間を低減および/または除去するための強化水の使用である。たとえば、糖尿病に通常関連する、背景糖尿病性網膜症(background diabetic retinopathy)、黄斑浮腫、白内障、リポイド類壊死症、糖尿病性皮膚障害、真菌感染、うっ血性心不全、腎臓疾患、糖尿病性神経障害のような合併症、状態、および疾患を、本発明に従って、本明細書に記載されるように、強化水の摂取を介して低下させることができる。
【0018】
本発明の好ましい態様において、強化水は、糖尿病を処置するため、および/またはインスリン使用を改善するため、および/または糖尿病に関連する合併症の重症度を低下させるために、糖尿病と診断された患者に投与される。関連する態様において、強化水は、糖尿病および糖尿病に関連する合併症を予防および/または処置するため、糖尿病を処置するのに用いる他の公知の薬剤(すなわちインスリン、スルホニル尿素、ビグアニド、α-グルコシダーゼインヒビター、チアゾリジンジオン、メグリチニド(meglitinides)、D-フェニルアラニン)と組み合わせて投与される。
【0019】
本発明のさらなる利点は、代謝異常に関連する1つまたは複数の異常な指数を低下させること、または緩和すること(たとえばグルコース不耐性を低下させること、インスリン抵抗性を低下させること、グルコース不耐性を低下させること、インスリン抵抗性を低下させること、高血糖を低下させること、低血糖を低減させること、高インスリン血症を低下させること、ならびに糖尿病の発現を処置および/または予防すること)を含む。本発明によれば、糖尿病診断の前またはその開始時での患者への強化水の投与は、糖尿病が発現しないように、または強化水の非存在下で観察されるであろうより軽い程度までしか発現しないように、患者の代謝を変化させることができる。
【0020】
本発明によれば、糖尿病と診断された患者、または糖尿病に関連する合併症、状態、もしくは疾患を患う患者に投与される強化水の1日投与量は、たとえば、8オンス盛りで約6〜10杯とすることができる。
【0021】
発明の詳細な開示
本発明は、患者において血行、水分補給および/または代謝指数を改善するのに一意的に適した「強化水」を製造するための方法および装置を提供する。特に、本発明は、グルコース不耐性を低下させ、インスリン抵抗性を低下させ、高血糖症を低下させ、高インスリン血症を低下させ、低血糖症を低減させ、および/または糖尿病でのインスリン使用を改善するための方法を提供する。このように、好ましい態様において、本発明は、糖尿病の処置および/または予防、ならびに糖尿病に関連した合併症、状態または疾患の発現の予防または遅延のための方法を提供する。
【0022】
ウエルネス・エンタープライゼスは、汚染物質を除去し、また「強化水」を製造するためのフィルターとして特定の「強化性媒体」を用いることにより水の特性を一時的に変化させる、水ろ過および強化システムを製造する。観察されている水特性の一時的な変化には、1)ろ過されていない水と比べて湿潤度が増加していること(たとえば膜の浸透度の増加)、2)ろ過されていない水と比べて溶解度が増加していること(固体、液体、および気体)、3)強化性媒体からの強化水への特定の微量ミネラル、最も顕著にはシリカ、マグネシウム、イットリウム、バナジウムおよびチタンの遊離、ならびに4)強化水中での安定化陰イオンの遊離が含まれる。
【0023】
本明細書において用いる場合、「湿潤度」という用語は、表面(たとえば生物膜、組織、皮膚、筋肉等)を通って移動する水分子の能力をいう。湿潤度は、本発明によれば、表面張力の関数であり、湿っている表面の性質である。一般に、ろ過されていない水の表面張力は強化水より高い。本発明の強化水は、ろ過されていない水よりも容易に透過膜を通って移動することができる。理論に縛られないが、強化水は、多孔膜(たとえば組織および皮膚)を介した移動を増加させるように、減少した表面張力および水分子間の凝集力を有しているようである。好ましくは、本発明の強化水は、湿潤度、および血管を介して移動して血液に水分補給する(hydrate)能力の増加を示す。
【0024】
安定化陰イオンの遊離は、電子が水分子から遊離して、還元イオンまたは「陰」イオンを産生するときに行われる。通常、このようなイオンは、水分子に直ちに再吸収される。しかしながら、強化性媒体の性質のため、本発明の強化水は、水分子からの「安定化」陰イオンの遊離を引き起こし、ここでその陰イオンは水分子に直ちに吸収されない。
【0025】
一つ態様において、強化性媒体は、シリカの少なくとも一つの供給源、磁場を作り出す少なくとも一つの材料、少なくとも一つの遠赤外放射材料、および少なくとも一つの火成岩を含む。好ましい態様において、強化性媒体は、シリカの供給源として砂もしくはケイ砂;少なくとも一つの磁石;少なくとも2つの火成岩;ならびに遠赤外放射材料として遠赤外セラミックを含む。
【0026】
本発明の「強化水」は、ウエルネス・エンタープライゼスの水フィルターを用いて達成することができる特性を有する。これらは、たとえば湿潤度および/または溶解度の増加、並びに微量ミネラルおよび/または陰イオンの遊離を含み得る。本発明にしたがって用いることができるフィルターには、たとえば、ウエルネスホールハウスユニット(Wellness whole house unit)(Model MG-3または同等物)が含まれる。本発明の強化水を製造するのに用いることができる他のフィルターには、米国特許第5,628,900号および5,795,471号に開示されるものが含まれ、ここでこれら両方の文献は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0027】
本発明は、糖尿病と診断された患者を治療するための方法を提供し、ここでその患者は本明細書に記載されるような強化水を摂取する。好ましい態様において、本発明は、糖尿病および糖尿病に関連する合併症を処置する、および/またはその発現を予防するための方法を提供する。特定の態様において、本発明による強化水の摂取は、糖尿病患者が必要とするインスリンの量を減少させるために用いることができる。
【0028】
本明細書において用いる場合、「糖尿病」という用語は、真性糖尿病、遺伝性糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、および妊娠性糖尿病を含むがこれらに限定されない、すべての糖尿病の状態を意味することを意図する。「糖尿病」という用語は、グルコース不耐性を生ずるインスリンの相対的または絶対的な欠乏を特徴とする慢性疾患も意味する。I型糖尿病は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)ともいい、たとえば、若年発症型糖尿病も含む。I型は主に膵臓のβ細胞の破壊のためである。II型糖尿病は、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)としても知られ、食事後のインスリン放出の障害を部分的に特徴とする。インスリン抵抗性は、II型糖尿病の発生を導く因子でもあり得る。遺伝性糖尿病は、β細胞の機能および調節を妨げる変異のためである。
【0029】
糖尿病は、本明細書において用いる場合、約130mg/dlを超えるもしくはそれに等しい空腹時血中グルコースレベルを、または約75gのグルコース負荷の経口投与もしくは食事の約2時間後に評価したときに約180mg/dlを超えるもしくはそれに等しい血漿グルコースレベルを特徴とする。「糖尿病」という用語は、慢性高血糖症、グルコース恒常性または耐性の障害、およびインスリン抵抗性を含む高血糖症を有する個体も含むことを意図する。高血糖症の個体の血漿グルコースレベルは、たとえば、信頼できる診断指標により測定した、通常より高いグルコース濃度を含む。このような高血糖症の個体は、真性糖尿病の明白な臨床症状を発現させる危険があるか、またはその素因である。
【0030】
本明細書において用いる場合、「糖尿病の合併症」という用語は、糖尿病と診断された患者においてしばしば発生する医学的/臨床的問題をいう。本明細書において意図される場合、糖尿病の合併症には、糖尿病の結果として血管および/または神経の変化から生ずる医学的/臨床的問題が含まれる。これらは、皮膚の状態(すなわち細菌感染、真菌感染、糖尿病性皮膚障害、リポイド類壊死症、ダイアベティコルム(diabeticorum)(すなわち糖尿病性水疱症)、発疹性黄色腫症、アレルギー性皮膚反応、指硬化症、播種状環状肉芽腫、および黒色表皮症)、歯肉疾患、眼の疾患(すなわち緑内障、白内障、網膜症)、腎臓疾患、神経障害(すなわち全身性神経障害、末梢全身性多発性神経障害、近位神経障害、大腿神経障害、神経障害性関節症、脳神経障害、自律神経障害(authonomic neuropathy)、圧迫性神経障害(compression neuropathy)、および糖尿病性筋萎縮症)、ならびに心臓血管疾患/異常(すなわち高血圧、心臓疾患、心臓発作、卒中)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
「患者」という用語は、本明細書において用いる場合、本発明による組成物での処置が提供される哺乳動物を含む生物を記述する。開示される処置の方法から恩恵を受ける哺乳動物種には、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サル;ならびに家畜動物(すなわちペット)、たとえばイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、およびハムスターが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
「同時投与」および「同時に投与する」とは、本明細書において用いる場合、本明細書に記載されるような強化水を、糖尿病の処置のために適した別の化合物または治療法(すなわちインスリンおよび/または血糖降下性化合物)とともに投与することを含む。好ましくは、強化水および糖尿病を処置するための公知の薬剤(または治療法)が別個に投与される場合、それらは、それらが相互作用することができないほど、互いに時間を離して投与されない。
【0033】
「有効量」という用語は、本明細書において用いる場合、所望の生物学的応答を導き出すのに必要な量をいう。本発明によれば、強化水の有効量は、糖尿病を治療および/または緩和するのに必要な量、ならびにその重症度を低下させるか、または特定の糖尿病関連合併症(すなわち網膜症、緑内障、白内障、心臓疾患、卒中、高血圧、神経症、皮膚障害、歯肉疾患等)を予防するのに必要な量である。
【0034】
本明細書に特に例示されるのは、患者において糖尿病の発症を処置および/または予防するため;または続いて発現する糖尿病に関連する合併症の重症度、強度、もしくは継続時間を低減させるための、強化水の使用である。糖尿病に関連する合併症、たとえば、これらに限定されないが、網膜症、緑内障、白内障、心臓疾患、高血圧、卒中、歯肉疾患、および皮膚障害は、本発明による強化水の摂取を介して処置、予防、および/または低下させることができる。
【0035】
本発明のさらなる利点は、糖尿病の発現の処置および/または予防を含む。特に、強化水は、糖尿病の診断前、または診断時に投与することができる。または、強化水は、糖尿病を処置するために用いられる別の公知の薬剤および/または治療法(すなわちインスリン、スルホニル尿素、ビグアニド、α-グルコシダーゼインヒビター、チアゾリジンジオン、メグリチニド、D-フェニルアラニン)と同時に投与することができる。好ましい態様において、ヒトは、1日につき少なくとも8オンスのコップ4杯の強化水を飲む。より好ましくは、8オンスを5〜12杯であり、最も好ましくは、8オンスを6〜10杯である。特定の態様において、インスリン使用は、インスリン注射と同時に少なくとも一杯の強化水を飲むことにより改善される。
【0036】
強化水は、I型糖尿病、II型糖尿病、ならびに関連する状態および症状を治療するために、インスリンと同時に投与することができる。II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、糖尿病誘導性高血圧症、肥満症、または血管、眼、腎臓、神経、自律神経系、皮膚、結合組織、もしくは免疫系への損傷については、インスリンのかわりに血糖降下性化合物と同時に強化水を投与することができる。または、強化水は、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高インスリン血症、糖尿病誘導性高血圧症、肥満症、または血管、眼、腎臓、神経、自律神経系、皮膚、結合組織、もしくは免疫系への損傷を治療するために、インスリンおよび血糖降下性化合物と同時に投与することができる。
【0037】
強化水を同時に投与することができるさらなる化合物および/または治療法は、遺伝子に基づく治療法;インスリンおよびインスリンを投与するための方法(すなわちインスリンポンプ、皮下インスリン注入、吸入器を介して);スルホニル尿素(すなわちグリブリド、グリピジド、グリメピリド(glimepiride)、トルブタミド、クロルプロプラミド(chlorpropramide));インスリン分泌促進物質(すなわちレパグリニド(repaglinide)、ナテグリニド(nateglinide));αグルコシダーゼインヒビター(すなわちアカルボース(acarbose)、ミグリトール(miglitol));ビグアニド;ならびにチアゾリジンジオン(すなわちロシグリタゾン(rosiglitazone)、ピアグリタゾン(piaglitazone))を含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書に引用または言及されている全ての特許、特許出願、仮出願、および出版物は、本明細書の明確な開示と矛盾することがない範囲で、全ての図を含めそれら全体が、引用により組み入れられている。
【0039】
以下の記載は本発明を実施するための手順を例示する実施例である。これらの実施例は、限定するものとして解釈すべきでない。
【0040】
実施例1−インスリン要求の低下
I型糖尿病のサンプルを試験群に集めた。各々に本発明の強化水を産生するシステムを提供し、彼らに特定の飲用プロトコルに従ってこの水を飲むよう依頼した。各糖尿病患者は、90日間、彼らの毎日のインスリン使用を記録した。
【0041】
特定のプロトコルは次の通りである:
1.起床直後にコップ一杯を飲む。
2.各食事の約30分前にコップ一杯を飲む。
3.食事の間にコップ2〜3杯を飲む。
4.一日の最後の食事の約2時間後にコップ一杯を飲む。
【0042】
本研究の最後に、参加者の多くが、新たな平均の一日のレベルに到達するまで、一日のインスリン使用の一貫した減少を示した。その低下のいくつかはきわめて実質的であり(40%〜80%減少)、全く予想されなかった。本研究の最後に、参加者の多くが、新たな平均の一日のレベルに到達するまで、一日のインスリン使用の一貫した減少を示した。その低下のいくつかはきわめて実質的であり(40%〜80%減少)、全く予想されなかった。本研究のためのコップは、約10〜12オンスと考えられる。
【0043】
実施例2−水分補給の改善
本発明の強化水を飲んだ糖尿病患者(I型およびII型)では、血液の水分補給が改善され(糖尿病患者は脱水する傾向があり、彼らの血液細胞はいくらか弛緩しており、非糖尿病患者の血液より可動性が低い)、血液循環が改善された。これは、最初に顕微鏡下で糖尿病患者の血液を見て、血液の形状および移動性を記録することにより観察された。被験体に、所定量の飲み水を与え、次に30分後に第2の血液サンプルを採取して観察した。被験体はこの様式で2回、試験した;強化水で1回目、水道水で2回目。被験体の血液は、水道水を飲んだ30分後は、全く差異が観察されなかったが、同被験体は、強化水を飲んだ30分後に観察した場合には、より十分に水分補給された血液およびより移動性の高い血液を有することが観察された。
【0044】
実施例3−強化水を製造するための方法
一つ態様において、本発明にしたがって用いられる水は、水を精製した後、強化することを伴うプロセスにより産生される。精製は、水の精製のための1つまたは複数の以下の公知の方法からなり得る:炭素ろ過、逆浸透、セラミックろ過、イオン交換、イオン吸着および蒸留。精製段階は、体に有害であると考えられ得る、溶解および懸濁された材料、たとえば塩素、クロラミン、重金属、放射性化合物、細菌寄生虫嚢胞、揮発性有機物、溶媒、殺虫剤、ならびにフリーラジカルと考えられ得る任意の化合物または体へのいわゆるフリーラジカル攻撃を産生する任意の化合物を除去するための、1つまたは複数の段階からなり得る。
【0045】
強化段階は、1つまたは複数の次の段階を含み得る:1)シリカの供給源、たとえば砂またはケイ砂に水を曝露する段階;2)その水を、磁場に曝露する段階(これは、参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第5,628,900号および第5,795,471号においてNaitoにより実施されるような、間接的または直接的に行うことができる);3)その水を、遠赤外放射材料、たとえば遠赤外線セラミックスに接触させる段階;4)その水を、火成岩、たとえばBakuhan(商標)石に接触させる段階;および5)その水を、火成岩、たとえばTaicho(商標)石に接触させる段階。
【0046】
さらなる段階も利用することができる;たとえばプロセスは、磁気の段階および遠赤外放射媒体の段階の数を増加させることにより、さらに強化することができる。そのプロセスは、水晶結晶板の第6の段階を加えることによってさらに強化することもできる。
【0047】
実施例4−強化水を産生するための装置
本発明の強化水を産生するための機器は、容器の中に、容器を介して、および容器の外に水を流すために両端に導管を備えた容器からなり得る。容器は、その容器内に含まれる材料を放出させずにまたは逃がさずに容器を介して水を通過させることができる、入口および出口フィルター、スクリーンまたはセパレーターを備える。容器の中には、複数の一意的に分けられた接触材料がある。これらの材料は、たとえば、1)可溶性シリコンの供給源、たとえば砂または水晶を提供する材料の層;2)磁石;3)磁鉄鉱粒子の層;4)遠赤外放射材料、たとえば遠赤外線セラミックスの層;5)火成岩、たとえば麦飯石(Bakuhanseki stone)の層;ならびに火成岩、たとえば泰澄石(Taichoseki stone)の第2の層であり得る。
【0048】
実施例5−強化水の湿潤度の増加
ろ過されていない水を、実施例4の装置を介して、約6分間、約4リッター/分の流速で流し、得られた強化水を回収した。この強化(または処理)水の45mLアリコートを、サンプリングのためプラスチックバイアルに注いだ。ろ過されていない(または未処理の)水の第2の45mLアリコートを、サンプリングのため第2のバイアルに直接注いだ。それら2つのサンプルの一部を、WSH003/2299/1に記載される手順にしたがって、Bruker AVANCE AV300スペクトロメーター(Rheinstetten, Germany)で酸素-17NMR分光法により組成について分析した。
【0049】
NMRスペクトロメーター分析後の酸素-17NMR半値線幅の比較は、強化水が、水道水の値より測定できる程度に狭かったことを示す(以下の表1を参照のこと)。結果は、ヘルツ(Hz)周波数で表され、これは、凝集力/静電結合の結果として形成される水分子クラスターのサイズを示す。より低いHz周波数は、より小さい水分子クラスターを表す。より小さな水分子クラスター(または低下した凝集力;弱い静電結合)では、水が表面に浸透する(または通過する)能力が増加している。以下に証明されるように、本発明の強化水は、未処理の水と比較したとき、湿潤度の増加を示す。
【0050】
(表1)NMRスペクトロメーターの結果

【0051】
実施例6−強化水における溶解度の増加
ろ過されていない水を、実施例4の装置を介して、約5分間、約4リッター/分の流速で流し、得られた強化水を回収した。この強化(処理)水の40mLアリコートを、サンプリングのためプラスチックバイアルに注いだ。未処理の水道水の第2の40mLアリコートを、サンプリングのため第2のバイアルに直接注いだ。25℃での水の平衡化の後、900μLのコーンオイルを加え、その混合物を、5分間、シェーカー機で振とうし、次に10分間、分離させた。サンプルの一部を、WSH003/2312/1に記載される手順にしたがって、Bruker AVANCE AV300スペクトロメーター(Rheinstetten, Germany)で、25℃でプロトンNMR分光法により組成について分析した。NMR分析は、各サンプルを振とうして分離させた後に連続して行い、各水サンプルは同じ平衡化温度、振とう時間、放置時間、およびNMR分光法の時間に供した。
【0052】
懸濁したコーンオイルのプロトンNMR濃度の比較(以下の表2を参照のこと)は、強化水中のオイルの濃度が、未処理の水のものより測定できる程度に高かったことを示す。未処理の水は参照標準として用い、1.0の値を与えた。未処理の水と比較して強化水中のオイルの濃度が高かったので、水中のオイルの溶解度が、強化水でより高いことが示される。
【0053】
(表2)NMR濃度の結果

【0054】
本明細書に記載される実施例および態様は、例示目的のためにずぎず、その観点における多様な改変および変化が当業者に示され、かつ本願の意図および範囲に含まれることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのような治療の必要な患者において、血行、水分補給、および/または血糖管理を改善するための方法であって、該患者に強化水(enhanced water)を投与する段階を含む方法。
【請求項2】
強化水が、以下の特性のいずれか一つまたは組み合わせを有する、請求項1記載の方法:増加した湿潤度;該強化水中での固体、液体、および気体のより高い溶解度;微量ミネラルの存在;ならびに安定化陰イオンの存在。
【請求項3】
微量ミネラルが、シリカ、マグネシウム、イットリウム、バナジウム、およびチタンからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
グルコース代謝の異常を矯正または低下させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
以下のいずれか一つまたは組み合わせを行う、請求項4記載の方法:グルコース不耐性を低下させること;高インスリン血症を低下させること;インスリン抵抗性を低下させること;高血糖症を低下させること;グルコース不耐性を低下させること;糖尿病の発症を処置または予防すること;ならびに糖尿病の合併症の発症を処置または予防すること。
【請求項6】
背景糖尿病性網膜症(background diabetic retinopathy);黄斑浮腫;白内障;リポイド類壊死症;糖尿病性皮膚障害;真菌感染;うっ血性心不全;腎臓疾患;肥満症;糖尿病誘導性高血圧症;糖尿病性神経障害;ならびに血管、眼、腎臓、神経、自律神経系、皮膚、結合組織、もしくは免疫系への損傷の発症を処置または予防する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
糖尿病を処置するために用いられる別の薬剤または治療法を同時に投与する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
別の薬剤または治療法が、インスリン;インスリン分泌促進物質;スルホニル尿素;ビグアニド;α-グルコシダーゼインヒビター;チアゾリジンジオン;メグリチニド(meglitinide);D-フェニルアラニン;および遺伝子に基づく治療法からなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
薬剤が、グリブリド、グリピジド、グリメピリド(glimepiride)、トルブタミド、クロルプロプラミド(chlorpropramide)、レパグリニド(repaglinide)、ナテグリニド(nateglinide)、アカルボース(acarbose)、ミグリトール(miglitol)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、およびピアグリタゾン(piaglitazone)からなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
強化水が、以下のプロトコルを用いて投与される、請求項1記載の方法:(a)起床直後にコップ一杯の強化水を飲み;(b)食事の間にコップ2〜3杯の強化水を飲み;(c)一日の最後の食事の約2時間後にコップ一杯の強化水を飲む。
【請求項11】
段階(b)が、各食事の約30分前に、コップ一杯の強化水を飲むことを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
強化水が、水を精製し、次に強化する段階を含むプロセスにより調製される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
精製する段階が、炭素ろ過、逆浸透、セラミックろ過、イオン交換、イオン吸着、および蒸留からなる群の1つまたは複数を含む、水精製のためのプロセスである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
強化段階が、ろ過されていない水を強化性媒体(enhancing media)に曝露することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
強化性媒体が、シリカの少なくとも一つの供給源、磁場を作り出す少なくとも一つの材料、少なくとも一つの遠赤外放射材料、および少なくとも一種類の火成岩を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
シリカが砂またはケイ砂である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
遠赤外放射材料が、遠赤外セラミックである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
2種類の火成岩を用い、ここで一種類の火成岩は麦飯石(bakuhanseki stone)であり、第二の種類の火成岩は泰澄石(taichoseki stone)である、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2007−526327(P2007−526327A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501958(P2007−501958)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/006815
【国際公開番号】WO2005/084690
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506298002)ウェルネス エンタープライゼス エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】