説明

行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法

【課題】安価かつ利便性の高いプライバシー保護可能な案内システムを提供する。
【解決手段】行き先案内システムを、案内エリアにおいて被案内者に携帯され、情報を記憶可能な案内情報格納装置と、案内情報格納装置から案内に用いる情報を取得して、案内表示を出力する案内出力装置とで構成し、案内情報格納装置に、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納され、案内出力装置が、自位置と次に案内する目的地と属性情報から案内表示を決定して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置を用いて被案内者に対して行き先を案内する行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被案内者に対して行き先を案内するシステムに関連する技術は、例えば、特許文献1および2に記載されている。
【0003】
特許文献1には、ICタグと無線で通信を行なう固定側送受信装置を建物の所定位置に配置し、誘導される人物が持つICタグから行き先を送受信機が読み取り、制御端末が行き先に応じた音声や表示による行き先報知を送受信機とは別個の報知装置に行わせる歩行ナビゲーションシステムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2にはネットワークを不要とし、構内の複数個所に設置されて設置ポイントから行き先場所への案内を被案内者に対して出力するシステムが記載されている。このシステムにおいては、自己の設置ポイントの近くに居る被案内者所持の記録媒体の有無を検出し、被案内者所持の記録媒体が検出された際に被案内者が当該ポイントで未案内であった場合、記憶媒体に記録されている複数の行き先のうちまだ案内がされていない次の行き先情報を取得し、取得した行き先情報を表示部に出力することによって当該設置ポイントから行き先場所への案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−125942号公報
【特許文献2】特開2005−157697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の例においては複数の行き先がある場合には、到達した行き先で次の行き先データが格納された次のICタグを受け取る、或いはICタグの行き先データの更新が必要となる。また、報知装置は固定側送受信装置と別途設ける必要があり、更に行き先の報知についてはネットワークで接続された制御端末で指示する必要があり、構成が大規模となり、報知点を増加させる場合の拡張性等については極めて不便なものである。
【0007】
また、特許文献2では案内装置が複数の被案内者に対する案内を同時に表示してしまうため、被案内者が他人の案内を自分の案内として誤って受取る可能性があった。またその表示も誰にでも見えてしまうため、病院等でプライバシー保護が必要である場合には、改善が必要なものであった。
【0008】
更に、案内エリアに案内装置を増設する場合、案内装置ごとに案内するためのデータを設定してやる必要があり、拡張性においてやはり改善が必要なものであった。
【0009】
従って、本発明の目的は、案内表示において当人に限って表示ができるようにしてプライバシー保護を高めた行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供することである。
【0010】
更に、本発明の他の目的は、格納される案内情報のデータの格納を工夫することにより、案内装置の増設等の拡張性を従来に比べより容易で簡単にした先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供することである。
【0011】
また、発明の他の目的は、案内装置の消費電力が少なく構成が簡単な行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る行き先案内システムは、案内エリアにおいて被案内者に携帯され、情報を記憶可能な案内情報格納装置と、前記案内情報格納装置から案内に用いる情報を取得して、案内表示を出力する案内出力装置とを備え、前記案内情報格納装置には、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納され、前記案内出力装置は、自位置と次に案内する目的地と属性情報から案内表示を決定して表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る案内出力装置は、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納された案内情報格納装置から、案内に用いる情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部から、案内に用いる情報を取得して、予め格納する自装置の設置位置の情報と、前記次目的地情報を介して参照する経路情報に含まれる目的地を示す位置情報と、属性情報から、案内内容を決定する制御部と、前記制御部の決定した案内内容を被案内者に知覚可能に出力する出力部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る行き先案内方法は、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが案内に用いる情報として格納されて被案内者に携帯された案内情報格納装置から、案内出力装置で、案内に用いる情報を取得し、前記次目的地情報を介して参照した経路情報に含まれる目的地を示す位置情報と予め格納する自装置の設置位置の位置情報と前記属性情報から、案内内容である行き先の方向を決定して出力信号を生成し、前記出力信号に基づいて案内内容を被案内者に知覚可能に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、案内表示において当人に限って表示ができるようにしてプライバシー保護を高めた行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。
【0016】
また、本発明によれば、格納される案内情報のデータの格納を工夫したことにより、案内装置の増設等の拡張性を従来に比べより容易で簡単にした先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。
【0017】
また、本発明によれば、案内装置の消費電力が少なく構成が簡単な行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態の案内システムを示す概略図である。
【図2】実施の形態の案内情報記録装置200を例示するブロック図である。
【図3】案内用情報のデータ構成を例示する説明図である。
【図4】実施の形態の案内出力装置300を例示するブロック図である。
【図5】案内出力装置内のデータ構造を示図である。
【図6】病院内における行き先案内システムの適応例示す概略図である。
【図7】目的地位置情報のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図8】案内出力装置の出力部を例示する概略図である。
【図9】案内出力装置の出力部を例示する別の概略図である。
【図10】案内出力装置の出力部を例示する更に別の概略図である。
【図11】壁面(横向き)に設置される案内出力装置の覆いを説明する概略図である。
【図12】地面と水平(上向き)に配設される案内出力装置の覆いを説明する概略図である。
【図13】厳重に案内内容を保護する案内出力装置の覆いを説明する概略図である。
【図14】触覚を用いて知覚させる案内出力装置の出力部を例示する説明図である。
【図15】プライバシー考慮した案内出力装置の出力部を例示する説明図である。
【図16】プライバシー考慮した案内出力装置の出力部を例示する説明図である。
【図17】プライバシー考慮した案内出力装置の出力部を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明について、実施の形態を示して説明する。
本実施の形態の案内システムは、各所に案内出力装置が配設されている案内エリア内において、例えば被案内者が行き先の指示を受ける場合や道に迷った場合に、被案内者の携帯する案内情報格納装置を、案内出力装置に読取らせることで、行き先等を案内できるようにするものである。また、被案内者からみれば、携帯している案内情報格納装置を、近傍に配設されている案内出力装置に読取らせることで、所望の目的地の方向へ案内してもらえる行き先案内システムである。本実施の形態においては案内エリアを病院内として一例を説明する。
【0020】
図1は、実施の一形態の案内システムを示す概略図である。
案内システム1は、図1に示す様に、被案内者に携帯される案内情報格納装置100に、案内に用いる情報を記録する案内情報記録装置200と、案内情報格納装置100に格納されている情報を取得すると案内表示を出力する案内出力装置300とで構成されている。
【0021】
案内情報記録装置200は、案内情報格納装置100に所定に情報を書き込むもので、書き込まれる情報は、被案内者を特定するID情報と案内する場合に考慮されるべき被案内者の属性情報、および、案内に用いる案内用情報として、案内される複数の目的地を示す複数位置情報と複数目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報である。
【0022】
案内情報格納装置100は、案内情報記録装置200から書き込み/読取り可能であり、案内出力装置300から少なくとも読取り可能である。案内情報格納装置100の規格は、例えばフェリカ(登録商標)技術やRF-ID等の非接触型記憶媒体でも良いし、ICカードや磁気カード等の接触型記憶媒体を用いても良い。また、SDカード規格やUSBメモリ等のフラッシュメモリを用いる記憶媒体でも良い。
【0023】
案内情報格納装置100は、被案内者の移動にともなって所定の位置に移動後、案内出力装置300に読み込ませられると、案内情報記録装置200によって書き込まれた案内に関する案内用情報を案内出力装置300に引き渡す。そして案内出力装置300は案内情報(本実施形態においては移動の方向)を表示する。尚、案内用情報については、後に詳説する。
【0024】
次に、案内情報記録装置200を説明する。案内情報記録装置200は、案内用情報を記録/更新するとともに、案内情報を案内情報格納装置100に書き込む情報処理装置である。
図2は、実施の一形態の案内情報記録装置200を例示するブロック図である。図2に例示した案内情報記録装置200は、一般的なコンピュータである。
【0025】
案内情報記録装置200は、各種情報処理を行う制御部を始め、ROM、RAM、入力部、出力部、記憶部210、案内情報格納装置100を読み書き可能な格納装置読書装置220、必要に応じてネットワークインタフェース等を備える。
【0026】
案内情報記録装置200の記憶部210には、オペレーティングシステムを始め、各種機能・手段を実現させるアプリケーションプログラムなど、様々なプログラムが格納されており、必要に応じてRAMに展開されて実行される。記憶部210には、様々な情報が記憶されており、前述のプログラムの他にも案内に用いる情報の書き込みに必要である各種データなどが記録される。
【0027】
案内用情報記録プログラム211は、案内情報記録装置200で生成した、経路情報や被案内者の属性情報等の案内に用いる情報を案内情報格納装置100に書き込むプログラムである。
経路設定プログラム212は、地点位置情報213から、目的地(地点位置)を順序付けして作成された案内経路を生成するプログラムである。
地点位置情報213には、案内情報記録装置200や案内出力装置300の設置位置、所定の目的地位置情報などが記録されている。また、夫々の位置間で表示すべき方向に関する情報が記録されている。
被案内者設定情報214には、被案内者に関する情報である被案内者を特定するID情報や、案内をするうえで考慮すべき身体的特徴や車椅子等の移動の際に用いられる補助手段で決まる情報(属性情報)などが記録されている。尚、被案内者に関する情報は、経路情報の生成時に、被案内者に入力させても良いし、他のデータベースから取得するようにしても良い。
【0028】
格納装置読書装置220は、使用する案内情報格納装置100のリーダ及びライタとして機能する。尚、使用する格納装置の規格は、案内情報格納装置100の規格に対応しているものとする。また、格納装置読書装置220は、外付け型でも内蔵型の何れでもよい。
尚、当該装置200は、建物の受付や、各目的地に設置される。また、案内が行なわれるエリアでの行動が予め定まっているのであれば、被案内者の所有するコンピュータに案内用の情報を設定可能とするプログラムをインストールして、自宅等で案内情報格納装置100に対して案内用情報を書き込めるようにしても良い。
【0029】
ここで、案内情報格納装置100に格納されるデータ構造の一例を示す。
図3は、案内用情報のデータ構成を例示する説明図である。図3を詳細に説明すると、本人情報110には、数十バイト割当て、被案内者を特定するID情報111、案内をするうえで考慮すべき属性情報112が少なくとも記録される。その他必要に応じて受付順、書き換えや本人確認に用いる認証用情報などを入れられる構成としても良い。また、診察カードと共通化し、当該領域に診察の結果などを入れられる構成としても良い。
経路情報120は例えば1バイトの次目的地情報121と6バイトの複数の目的地情報122から成る。目的地情報122には、複数の目的地情報が案内の経路順に配置される。個々の目的地情報は2バイトの目的地巡回順情報と4バイトの目的地位置情報とで構成される。目的地巡回順情報は、設定された経路上での順番(目的地の番号)を示す。目的地位置情報は、被案内者が案内されるべき目的地の位置情報である。
複数の目的地情報112は、経路情報の生成時点での目的地へ行く経路の順番で設定される。図3を用いて説明すれば、目的地情報No.1 ⇒目的地情報No.2 ⇒目的地情報No.3 ⇒目的地情報No.4 ⇒・・・⇒目的地情報No.nの順で経路が設定されている。
【0030】
次に、案内出力装置300を説明する。案内出力装置300は、案内用情報を読み出して案内を出力する装置として動作する情報処理装置である。
図4は、実施の一形態の案内出力装置300を例示するブロック図である。図3に例示した案内出力装置300は、制御部310と、案内情報格納装置100を読み書き可能な記憶媒体通信インタフェース320と、案内情報を出力する案内出力部330と、初期設定等の入力に用いられる設定入力部340とから構成される。制御部310はROM311、RAM312、演算制御部313等を含み、案内出力装置330等を制御する。
【0031】
制御部310のROM311は、記憶部として動作し、各種機能・手段を実現させるプログラムが記録される。RAM312は、記憶部として動作し、ROM311から読み出したプログラムの実行領域として機能し、合わせて、自装置の位置に対して、目的地情報と属性情報とにより決まる案内内容(位置間の指示方向に関する情報)を記憶する。当該情報などは、記憶部の記録媒体又はアクセス領域としてのメモリ空間のアドレス番地と対応して記録することが望ましい。このように、予め定めた案内出力情報を格納したメモリを具備することによって、自位置と取得された次の目的地の情報(次目的地情報)と属性情報とをアドレス情報として案内出力情報を読出し、これを基に案内表示する。詳細は図5を基に後に説明する。
【0032】
図5はRAM312のデータ構造を示し、案内出力装置で出力すべき案内方向(図では矢印)がその案内装置の位置情報を基準として案内すべき目的地情報と属性情報から一義的に決まるようなデータ構造をもつ。ここでいう属性情報とは、図3で示した案内をする上で考慮すべき属性情報112で、例えば、視覚障害者、聴覚障害者等を示す。図5で目的地情報A、B、C、・・・、Qと属性情報a1、a2、a3、・・・anで出力表示される方向が決められている。
尚、RAM312に換えてフラッシュROMを用いても良い。このように不揮発性メモリを用いれば、電源断に伴う各種情報の消失を防止できる。
制御部310から出力された案内内容は、案内出力部330によって、被案内者に知覚可能に出力される。
通信インタフェース320は、使用する案内情報格納装置100に応ずる規格のリーダとして機能する。尚、ライタの機能を持たせてもよい。
案内出力部330は、出力された案内方向を示すデータに基づき、案内内容の光学的指示、音響的指示、接触的指示等を行なう。案内出力部330は、液晶表示部やLED表示部、スピーカ、発熱体等を用いればよい。また、案内出力部330は、被案内者のみに案内内容を知覚させる出力部とすることが望ましい。即ち、案内表示を特定の対象者に対して表示する構成とすることで、プライバシー保護を高める(後に表示の具体例の説明に関連して例示)。
電源回路350は、太陽電池パネル360、電池、商用電源が使用されうるが、太陽電池パネル360を用いれば案内出力装置の電源を考慮することなく案内エリア内の任意の場所に配置することが出来、しかも電池を用いる場合に比べ維持費用やメンテナンスの点で有利である。尚、太陽電池パネルを用いる場合には、不揮発性メモリ又は、メモリ維持用の電池を用いることが望ましい。
【0033】
次に、病院を例として本発明の行き先案内システムの動作を説明する。
図6は、病院内における行き先案内システムの設置位置を例示する概略図である。本説明では、患者が定期健診として、レントゲン室(1F)と心電図室(2F)をレントゲン室⇒心電図室の順で利用する場面を想定している。
【0034】
被案内者が有する診察券1100は、ICカードであり、情報を記憶する機能を有する。本説明では、診察券1100を案内情報格納装置(図1の100を参照)として利用する。尚、以下、ICカードを用いて説明するが、案内情報格納装置は、ICカード以外のRFIDや携帯電話のフェリカ機能などを用いてもよい。
【0035】
通路や階段等に多数設置されている案内板1300は、案内出力装置(図1の300を参照)として動作し、それぞれ設置されている位置情報を記憶している。
【0036】
受付パソコン1200は、案内情報記録装置(図1の200を参照)として動作する。受付パソコン1200は、病院の窓口となる受付に設置されている。また、受付パソコン1200と同様な構成を有する更新パソコン1210が、レントゲン室と心電図室に設置されている。
受付パソコン1200には、地点位置情報として、窓口を示す設置位置(現在地点:受付パソコンの設置位置)の情報と共に、各所に配置されている案内板1300の設置位置の情報が記憶されている。同様に、受付パソコン1200には、本人情報110の属性情報112としてとして、患者の移動能力・移動手段に関する情報112aと視野に関する情報112bが記録されている。移動能力・移動手段に関する情報112aは、例えば、足の不自由な人や、松葉杖、車イスなどを使用する人などの移動能力及び移動手段によって設定される。また、視野に関する情報112bは、患者の身長(座高)などによる目線高さや、視覚や聴覚障害等の情報によって設定される。
レントゲン室の更新パソコン1210には、レントゲン室を示す設置位置の情報と共に、他の地点の位置情報が地点位置情報として記録されている。同様に、心電図室の更新パソコン1210には、心電図室を示す設置位置情報と共に、他の地点の位置情報が地点位置情報として記録されている。
図6では、例として1Fの廊下の4箇所と2Fの廊下の2箇所に案内板1300を設置した図であるが、実際には、建物の状況に応じて、案内板1300を多数点在して設置することになる。
診察券1100は、患者などに配布し、受付パソコン1200で、案内用情報が書き込まれる。この時点で、図3に例示するように、案内用情報として、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報120と、被案内者設定情報から生成された被案内者の属性情報112を含む本人情報110が記録される。
【0037】
図7は目的地位置情報の例であり、経路識別、棟、階、部屋情報が記録されている。
【0038】
上記案内用情報の設定例を示せば、例えば定期健診を受診したい場合、受付で、定期健診に必要な場所が受付パソコン1200に入力され、定期健診の経路となる経路情報として、目的地の順番(1番目にレントゲン室、2番目に心電図室、・・・)と、次の目的地の情報である次目的地情報として、1番目の目的地であるレントゲン室を示す情報とが案内用情報と設定される。その後、受付パソコン1200により、上記情報に加え本人情報と属性情報が診察券1100に記録される。
また、案内エリア内での案内板1300の配置を変更するとき、案内板1300の地点位置情報(自位置情報)を書き換えるのみで、案内板1300内の他の情報に対して何ら書き換え作業を要せずに、配置の変更が可能となる。即ち、各所のパソコンと案内板1300をネットワークで結ぶことなく、案内板1300で案内が可能となり、また、案内板1300の配置変更も、案内板1300は持ち運ぶのみで作業を終了する。
【0039】
次に、案内板1300を利用した場合の行き先案内システムの動作を説明する。
患者が診察券1100(ICカード)を保有して、病院内を歩き回り、最初の目的地のレントゲン室へ向かう場合、レントゲン室の場所が判らなくなったとき、近傍の案内板1300に、診察券を近づけることによって、案内を受ける。当該案内を各所で受けながら、レントゲン室にたどり着く。
このとき、案内板1300内の制御部310は、案内に最小限必要な案内用情報として、診察券1100内の次目的地情報121を参照して、案内する目的地情報を取得する。
制御部310(図4)は、取得した目的地情報と予め有している情報から、案内内容を生成して、案内出力部330に送る。生成した案内内容を受けた案内出力部330は、液晶画面などに内容を表示する。当該指示の一例としては、図8に示す様に8方向の内、1方向の矢印のLED又は液晶を点燈(点滅)させる。尚、表示部の形状は、四角形でなくても図9に示す様に円形でもよい。また、表示を自由に行なえる液晶であれば、図10に示す様にカギ型の矢印を点燈(点滅)させるようにしてもよい。
病院やリハビリ施設などの案内を他人に知られたくない場所では、案内板1300に、覆いを設けるようにしてもよい。図11ないし図13は、覆いの設置例を説明する図である。図11は、壁面(横向き)に設置される案内板1300の覆いである。
図12は、地面と水平(上向き)に配設される案内板1300の覆いである。
図13は、厳重に案内内容を保護する案内板1300の覆いである。図13の表示は、上から覗き込むようにして確認する。
案内板1300に、覆い設けることによって、患者のみが行き先の目的地の情報を取得することができ、患者以外の人が、案内内容を覗き見ることができなくなる。これは、患者のプライバシーを保護に使用できる。
【0040】
次に、患者が最初の目的地であるレントゲン室でのレントゲン検査終了後、次の目的地である心電図室を目指すときの行き先案内システムの動作を示す。
レントゲン室の更新パソコン1210で、診察券1100を更新する。当該更新によって、診察券1100に記録されている案内用情報が以下のように書き換えられる。
更新パソコン1210の制御部は、次目的地情報を、次の目的地である心電図室の目的地巡回順を指す情報に書き換える。当該書き換えは、目的地巡回順の番号を加算して書き換えても良いし、次目的地情報内に、目的地巡回順毎に終了フラグを設けて行なってもよい。
このとき、必要に応じて別の目的地の割り込み設定などを行なうことも可能である。更に、必要に応じて属性情報の更新も行なうことも可能である。具体的な一例としては、レントゲンの撮影後、待ち時間が発生した場合に新たに目的地として休憩室を設定する場合である。更に、レントゲン室で具合が悪くなり、ここからは車椅子に移動手段を変えることとなった場合、属性情報が変更され、次ぎの案内地点が階段地点からエレベータの場所となり、案内される方向表示が変更される。
【0041】
患者がレントゲン室をでて次の目的地である心電図室の場所が判らなくなった場合、廊下に設置している案内板1300に診察券1100を近づけることによって、次の目的地への案内を受ける。
【0042】
図6の例では、経路情報として、レントゲン室及び心電図室の2つしか説明しなかったが、3つ以上の目的地が存在した場合においても、同様に処理されて適切に案内される。
次に、図4で案内出力装置300の案内出力部330について、幾つかの態様について説明する。尚、以下で説明する態様は、他の態様の案内出力装置300と混在しても動作するため、それぞれ適所に設置することが可能である。
【0043】
案内出力部330は、制御部310の出力する信号によって案内出力するが、行き先案内システムの仕様によって、以下に示す形態をとってもよい。例として、本人情報に視力障害に対応する属性情報がある場合、液晶等による表示よる案内に換えて、接触による案内を行なう。具体的には、図14に示すように、熱伝導性を有する表面(案内面)150の下方に、矢印などの形状に対応する発熱体151を配置し、発熱体を加熱することで、被案内者の熱感覚によって知覚させる形態としてもよい。また、上下する機構を有する多数のピンを制御し、凹凸によって矢印等を表し、被案内者の触覚感覚によって知覚させる形態としてもよい。
【0044】
図14の発熱体の形状では、8方向の矢印とフロア階を表示できる例を示した。このフロア表示をするためには、図4の案内出力部330が、図7に示した目的地位置情報のうちフロア識別情報を利用して表示する。
【0045】
また、視覚障害に対応する場合、液晶等による表示よる案内に換えて、音声による案内を行なうようにしてもよい。
【0046】
また、被案内者の本人情報110に視野に関する属性情報112bがある場合、制御部310は、本人情報110に記録されている視野に関する属性情報112bを読込み、視野範囲b1や目線高さb2等を設定可能とすることもできる。例えば、図15に示すように、案内出力部をドーム型の形状をとして、パン・チルト可能(上下左右向き変更可能)に構成することにより、よりプライバシー問題に適切に対応できる。また、図16に示すように案内出力部の表示画面を、視認可能範囲(視野角)が限定された形状内に埋め込む。このようにして、表示部を被案内者のみの視線を受けられる様に自動的にパン及びチルトして、被案内者の視野の範囲に収める。また、別の例では、図17に示すように案内出力部の表示画面を、目線高さb2に合わせて上下に電動で稼動するように覆いを付けて設け、表示部を被案内者のみの視線を受けられる様に自動的に高さ調整して、被案内者の視野の範囲に収めるようにしてもよい。
【0047】
尚、本人情報に記録される属性情報は、被案内者の移動能力、移動手段、視覚、聴覚に関するものに限らず、案内システムに要求される仕様に沿って、点字や手話の読取り能力や会話能力を設定しても良く、案内出力装置はこれらの属性情報に対応した表示機能を持たせる。
【0048】
また、本発明において、案内出力部は所定の診察部屋、階段、エレベータの位置情報に対応して案内表示をすることを説明したが、その他、トイレや更衣室等の位置も取り込むことができる。また、案内出力装置は任意の場所に設置でき、廊下などの手摺の上部に設置してもよいし、壁面や床面に設置してよい。
【0049】
次に、上記実施の形態の効果について説明する。
【0050】
実施の形態の行き先案内システムの効果は、案内出力装置の設置に、ネットワーク工事を要さない。加えて、太陽電池パネルを用いることで、設置場所において特殊な電源工事を要さない。したがって、案内出力装置の移設でも案内出力装置を移動させるのみで、移設工事が終了する。このような構成のため、簡易的な場所での案内にも、その場所の位置情報を入力するのみで、案内出力装置の設定が終了する。
【0051】
また、不揮発性メモリを使用すれば、電力が途絶しても、その後供給が復帰すれば、直に途絶前と同様に動作する。
【0052】
また、安価であるから多くの場所に案内出力装置が設置でき、被案内者に対して利便性を提供できる。加えて、プライバシーや障害などに対する対応が個々の案内出力装置毎に可能であり、総じて行き先案内システムが安価で提供できる。また、案内出力装置が移動に適した経路を自動的に案内するのでして、バリアフリーを実現できる。
【0053】
上記効果により、設備コストを低減すると共に、被案内者の利便性を追及した行き先案内システムを提供できる。また、設置、維持および移設を容易とすると共に、被案内者の利便性を追及した行き先案内システムを提供できる。
【0054】
即ち、本発明によれば、案内表示において当人に限った表示ができるようにしてプライバシー保護を高めた行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。また、本発明によれば、格納される案内情報のデータの格納を工夫したことにより、案内装置の増設等の拡張性を従来に比べより容易で簡単にした先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。また、本発明によれば、案内装置の消費電力が少なく構成が簡単な行き先案内システム、案内出力装置および行き先案内方法を提供できる。
【0055】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や動作は、本発明の請求の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更を行なうことができる。
【0056】
尚、本発明は、案内エリアが医療施設あるいは介護施設において、特に有効に働く行先案内システムとなる。また、見本市や遊園地などにも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、所定の特定の建物内や野外において、道に迷ったり目的地を知らない被案内者に対して、行き先を案内する行先案内システムといった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
100 案内情報格納装置
110 本人情報
111 ID情報
112 属性情報
120 経路情報
121 次目的地情報
122 目的地情報
150 案内面
151 発熱体
200 案内情報記録装置
210 記憶部
211 案内用情報記録プログラム
212 経路設定プログラム
213 地点位置情報
214 被案内者設定情報
220 格納装置読書装置
300 案内出力装置
310 制御部
311 ROM
312 RAM
313 演算制御部
320 記憶媒体通信インタフェース(情報取得部)
330 案内出力部
340 設定入力部
350 電源回路
360 太陽電池パネル
1100 診察券(案内情報格納装置)
1200 受付パソコン(案内情報記録装置)
1210 更新パソコン(案内情報記録装置)
1300 案内板(案内出力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内エリアにおいて被案内者に携帯され、情報を記憶可能な案内情報格納装置と、
前記案内情報格納装置から案内に用いる情報を取得して、案内表示を出力する案内出力装置とを備え、
前記案内情報格納装置には、案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納され、
前記案内出力装置は、自位置と次に案内する目的地と属性情報から案内表示を決定して表示することを特徴とする行き先案内システム。
【請求項2】
前記案内出力装置には、自位置と取得された次目的地情報と属性情報とをアドレス情報として予め定めた案内出力情報を格納したメモリを具備し、メモリから案内出力情報を読出し、これを基に案内表示することを特徴とする請求項1記載の行き先案内システム。
【請求項3】
案内エリアにおける案内出力装置の配置を変更するとき、
前記案内情報格納装置に各種情報を記録する案内情報記録装置で、変更された案内出力装置の自位置情報を書き換えることで、前記案内出力装置の配置変更処理を完了できることを特徴とする請求項2に記載の行き先案内システム。
【請求項4】
前記案内出力装置は、案内表示を特定の対象者に対して表示する構成であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の行き先案内システム。
【請求項5】
前記属性情報には、被案内者の視野に関する情報を含み、
前記案内出力装置は、前記被案内者の視野に関する情報に基づいて、案内表示を、被案内者の視野の範囲内に対して知覚可能に出力することを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の行き先案内システム。
【請求項6】
案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納された案内情報格納装置から、案内に用いる情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部から、案内に用いる情報を取得して、予め格納する自装置の設置位置の情報と、前記次目的地情報を介して参照する経路情報に含まれる目的地を示す位置情報と、属性情報から、案内内容を決定する制御部と、
前記制御部の決定した案内内容を被案内者に知覚可能に出力する出力部と
を備えることを特徴とする案内出力装置。
【請求項7】
前記制御部は、自位置と取得された次目的地情報と属性情報とをアドレス情報として予め定めた案内出力情報を格納したメモリを具備し、メモリから案内出力情報を読出し、これを基に案内内容を決定することを特徴とする請求項6記載の案内出力装置。
【請求項8】
前記出力部は、案内表示を特定の対象者のみに対して表示する構成であることを特徴とする請求項6または7に記載の案内出力装置。
【請求項9】
前記属性情報には、被案内者の視野に関する情報を含み、
前記案内出力装置は、前記被案内者の視野に関する情報に基づいて、案内表示を、被案内者の視野の範囲内に対して知覚可能に出力することを特徴とする請求項6ないし8の何れか一項に記載の案内出力装置。
【請求項10】
前記案内出力装置は、属性情報に加え、自装置と目的地のフロアの違いに基づき、案内方向を決定することを特徴とする請求項6ないし9の何れか一項に記載の案内出力装置。
【請求項11】
案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが格納された案内情報格納装置から、案内に用いる情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部から、案内に用いる情報を取得して、予め格納する自装置の設置位置の情報と、前記次目的地情報を介して参照する経路情報に含まれる目的地を示す位置情報と、属性情報から、案内内容である行き先の方向を識別するとともに、前記属性情報から被案内者に関する移動能力及び視覚障害に関する情報を取得して、出力する案内内容を決定する不揮発性メモリを演算用のメモリ領域とする制御部と、
前記制御部の決定した案内内容を前記属性情報に基づき、視覚的、触覚的、聴覚的の何れかを採択して出力する出力部と、
太陽電池パネルから電力供給を受け、商用電力を用いずに前記制御部及び前記出力部に電力を供給する電源部と
を備えることを特徴とする可搬な案内出力装置。
【請求項12】
案内される複数の目的地を示す複数の位置情報と複数の目的地の案内順序とを含んで構成される経路情報と、被案内者の属性情報とが案内に用いる情報として格納されて被案内者に携帯された案内情報格納装置から、案内出力装置で、案内に用いる情報を取得し、
前記次目的地情報を介して参照した経路情報に含まれる目的地を示す位置情報と予め格納する自装置の設置位置の位置情報と前記属性情報から、案内内容である行き先の方向を決定して出力信号を生成し、
前記出力信号に基づいて案内内容を被案内者に知覚可能に出力する
ことを特徴とする行き先案内方法。
【請求項13】
前記案内出力装置は、案内表示を特定の対象者に対して表示する構成であることを特徴とする請求項12に記載の行き先案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−118556(P2011−118556A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274044(P2009−274044)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】