説明

行動予測システム

【課題】医療従事者や看護者の負担を軽減し、患者の不穏行動を予測して、その旨を医療従事者や看護者に報知する行動予測システムを提供する。
【解決手段】ナースコール親機2は、患者携帯端末200が計測した患者Pのバイタル情報を集計するとともに、気象情報取得装置300が観測した気象情報を集計しておく。そして、患者Pの不穏行動に関する情報(患者名、行動内容および行動時刻)をナースコール親機2に入力し、これら情報に基づいて、ナースコール親機2は不穏行動を取った患者Pの身体状態と環境を分析し、不穏行動を取る可能性が高い状況を条件情報として記録しておく。そして、バイタル情報の集計を継続し、この集計結果が上記条件情報に一致あるいは類似する場合に、タッチパネル/表示器271や携帯端末71〜7mを通じて、不穏行動を取る可能性が高い表示される患者を医療従事者に報知するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば病院に入院する患者の不穏な行動を予測する行動予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、精神障害や痴呆症を患う患者や被介護者は、時として不穏な行動を取ることがある。医療従事者や看護者にとって、不穏行動を取る患者や被介護者には大きな労力を費やすという問題があった。人手の少ない夜間勤務の看護師や、在宅看護を行う家族にとっては、非常に大きな負担となっている。
【0003】
これに対して従来は、患者や被介護者の容態を監視して、危険な状態などに陥った場合に、その旨を医療従事者や看護者に報知するナースコールシステム(例えば、特許文献1参照)が考えられていたが、不穏行動については、センサなどで検出することができなかった。
【特許文献1】特開2002−281167公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、医療従事者や看護者にとって、不穏行動を取る患者や被介護者には大きな労力を費やすという問題があり、特に人手の少ない夜間勤務の看護師や、在宅看護を行う家族にとっては、非常に大きな負担となっていた。
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、医療従事者や看護者の負担を軽減し、患者の不穏行動を予測して、その旨を医療従事者や看護者に報知する行動予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この発明は、予め設定した身体情報を記憶する記憶手段と、患者から身体の状態を示す情報を検出する検出手段と、この検出手段が検出した情報と、記憶手段が記憶する身体情報とを比較して、患者が不穏な行動を取る虞があるか否かを判定する判定手段と、この判定手段が不穏な行動を取る虞があると判定した場合に、この旨を報知する報知手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、この発明では、予め設定した身体情報と、患者から検出した身体情報とを比較して、患者が不穏な行動を取る虞があるか否かを判定し、その虞がある場合に、この旨を報知するようにしている。
【0007】
したがって、この発明によれば、患者が以前に不穏行動を取った際の身体情報を記録しておき、この条件に一致あるいは類似するような状況となった場合に、その旨を医療従事者や看護者に報知するので、患者の不穏行動を予測して、その旨を医療従事者や看護者に報知でき、医療従事者や看護者の負担を軽減することが可能な行動予測システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる行動予測システムの概略構成図である。なお、この実施形態では病棟に設置される看護支援用のナースコールシステムに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0009】
このナースコールシステムは、各病室の入口近傍の廊下側壁面や、トイレ、浴室など設置される病室ユニット11〜1nと、ナースセンタに設置されるセンタ装置として機能するナースコール親機2とを備え、病室ユニット11〜1nとナースコール親機2との間はそれぞれ通信線路を介して接続される。患者Pには、患者携帯端末200が装着される。
【0010】
またこのナースコールシステムは、例えば病院内の通信センタに設置されるハンディナースコール主装置3および構内交換機(PBX:Private Branch Exchange)4を備え、ハンディナースコール主装置3には無線ユニット6が接続され、またPBX4は公衆網5に接続される。
【0011】
さらに、上記ナースコール親機2は、例えばLAN(Local Area Network)7を介して看護支援サーバ9に接続される。看護支援サーバ9は、看護支援のための種々情報を記憶し管理する。なお、10は上記看護支援サーバ9に記憶されたデータをプリントアウトするために使用されるプリンタ、8は上記看護支援サーバ9およびプリンタ10をLAN7に接続するためのハブである。
【0012】
ハンディナースコール主装置3は、例えば構内PHS(Personal Handyphone System)対応の交換装置からなるもので、交換制御部やタイムスイッチの他に、複数の内線I/Fと、局線I/Fと、保守I/Fとを備える。内線I/Fにはそれぞれ無線ユニット6の無線基地局61,62が接続される。
【0013】
無線基地局61,62はそれぞれ無線エリアを形成し、この無線エリア内に存在する携帯端末71〜7mとの間で無線回線を介して接続される。局線I/FにはPBX4が接続される。携帯端末71〜7mは、医者や看護師などの医療従事者が携帯する。
【0014】
病室ユニット11〜1nは、病室の天井等に設置されたマイクロホン101およびスピーカ102と、トイレ・浴室用押しボタン103と、代表廊下灯104と、復旧ボタン105とを備え、これらはI/Oユニット106を介して個別情報廊下灯107に接続される。
【0015】
また病室ユニット11〜1nは、ハンド型子機109、握り押しボタン110および増設無線端末1100を備え、これらは病床の壁に設けられたインターフェース盤108を介して上記個別情報廊下灯107に接続される。
【0016】
このうち、握り押しボタン110およびトイレ・浴室用押しボタン103は患者(あるいは被介護者)が看護師を呼び出す際に使用するもので、インターフェース盤108またはI/Oユニット106の接続端子(図示しない)に接続され、インターフェース盤108またはI/Oユニット106を介して個別情報廊下灯107に接続される。
【0017】
そして、握り押しボタン110およびトイレ・浴室用押しボタン103は、患者によって操作されると操作信号がそれぞれインターフェース盤108またはI/Oユニット106を介して個別情報廊下灯107に出力される。
【0018】
また、インターフェース盤108に設けられた押しボタンが押下された場合にも、操作信号が個別情報廊下灯107に伝えられる。増設無線端末1100もインターフェース盤108の接続端子に着脱自在に接続され、種々の信号をインターフェース盤108を通じて個別情報廊下灯107に出力するが、詳細については後述する。
【0019】
個別情報廊下灯107は、上記操作信号を受信すると、自身の表示部に呼出の発生を表示する。またそれと共に、呼出信号を生成してナースコール親機2へ送信する。呼出信号には、トイレ・浴室用押しボタン103、ハンド型子機109および握り押しボタン110にそれぞれ固有に割り振られたアドレス情報が挿入される。増設無線端末1100から入力される信号については、個別情報廊下灯107は、そのままナースコール親機2へ送信する。
【0020】
マイクロホン101とスピーカ102、ハンド型子機109およびインターフェース盤108は、患者が呼出に対し応答した看護師と通話を行うために使用するもので、その通話信号は通話路を介してナースコール親機2へ送信される。通話路は、ナースコール親機2において看護師が患者の呼出に対し応答操作することにより確立される。なお、復旧ボタン105は上記呼出をリセットする場合に使用される。
【0021】
増設無線端末1100および患者携帯端末200は、図2に示すように構成される。 増設無線端末1100は、予め所定の患者携帯端末200と対応づけられたものであって、無線通信部1101と、通信I/F1102と、記憶部1103と、表示部1104と、操作部1105と、警報部1106と、制御部1110とを備える。
【0022】
無線通信部1101は、患者携帯端末200との間に無線通信リンクを開設して、患者携帯端末200からバイタル情報を受信するものである。通信I/F1102は、インターフェース盤108に着脱自在なインターフェースであって、個別情報廊下灯107およびインターフェース盤108を通じて、ナースコール親機2と通信するためのインターフェースである。
【0023】
記憶部1103は、制御部1110の制御プログラムや制御データを記憶する他に、無線通信部1101や通信I/F1102を通じて受信したデータを記憶するものである。表示部1104は、LCDなどを用いた表示部であって、文字や図形など種々の画像を表示するものである。
【0024】
操作部1105は、押しボタン式のスイッチなどで構成されるもので、患者Pが呼び出しを行う際に操作したり、呼び出しを解除するために医療従事者が操作するものである。警報部1106は、患者Pから呼び出し要求を受け付けた場合にその旨を報知するための警報音や光を発するものである。
【0025】
制御部1110は、当該増設無線端末1100の各部を統括して制御するものであって、記憶部1103に記憶される制御プログラムや制御データにしたがって種々の制御を行うものである。
【0026】
その1つの制御動作として、制御部1110は、患者携帯端末200からバイタル情報を受信すると、通信I/F1102を制御して、ナースコール親機2に対して通信要求を行い、ナースコール親機2との間に通信リンクを開設して、この通信リンクを通じて上記バイタル情報をナースコール親機2に送信する。
【0027】
また患者携帯端末200は、入院する患者Pよりバイタル情報を収集するものであって、患者Pに装着され、操作部201と、無線通信部202と、表示部203と、警報部204と、記憶部205と、通話部206と、センサ部207と、タイマ208と、バッテリ209と、制御部210とを備える。
【0028】
上記バイタル情報としては、例えば体温、血圧、心拍、脳波、血液成分、睡眠中か否かなどが考えられる。これに伴い、これらの検出する情報に応じた患者Pの部位に必要なセンサが取り付けられるものとする。
【0029】
操作部201は、ON/OFFスイッチや回転式のボリュームスイッチなどで構成されるもので、バイタル情報を取得するためのセンサ設定などを行うために、医療従事者によって操作される。
【0030】
無線通信部202は、増設無線端末1100の無線通信部1101との間に無線通信リンクを開設して無線通信を行うものである。表示部203は、LCDなどを用いた表示部であって、文字や図形など種々の画像を表示するものである。警報部204は、音や光を発するものである。
【0031】
記憶部205は、制御部210の制御プログラムや制御データを記憶する他に、当該患者携帯端末200に固有に割り当てられた識別情報P−IDや、後述するセンサ部207によって検出されたバイタル情報を、タイマ208が計時する時刻に対応づけて記憶するものである。
【0032】
通話部206は、マイクロホンとスピーカを備えたものであって、上記マイクロホンより入力される患者の音声を符号化して音声データに変換して制御部210に出力し、また制御部210から与えられる音声データを復号して音声信号に変換し上記スピーカより拡声出力する。
【0033】
センサ部207は、患者Pのバイタル情報(例えば体温、血圧、心拍、脳波、血液成分、睡眠中か否かなど)を検出するものであって、これらの検出したバイタル情報を制御部210に出力する。
【0034】
タイマ208は、時刻を計時する機能と、制御部210からの指示に応じて時間を計る機能を備えもので、現在の時刻および計測した時間を制御部210に通知する。バッテリ209は、当該患者携帯端末200の各部に動作電力を供給するものである。
【0035】
制御部210は、当該患者携帯端末200の各部を統括して制御するものであって、記憶部205に記憶される制御プログラムにしたがって種々の制御を行い、例えば、増設無線端末1100との間の通信制御、センサ部207にて検出したバイタル情報にタイマ208が計時した時刻情報を付加して記憶部205に記録する制御、この記憶部205に記録されたバイタル情報に識別情報P−IDを付加して無線送信する制御などを行うものである。
【0036】
ナースコール親機2は、図3に示すように構成される。ナースコール親機2は、制御部20と、プログラムメモリ21と、データメモリ22と、通信I/F23,24,29と、ネットワークI/F25と、通話I/F26と、入力表示I/F27と、タイマ28とを備える。
【0037】
制御部20は、当該ナースコール親機2の各部を統括して制御するものであって、プログラムメモリ21に記憶される制御プログラムや制御データにしたがって種々の制御を行うものである。
【0038】
また制御部20は、データメモリ22が接続されており、さらに通信I/F23,24,29と、ネットワークI/F25と、通話I/F26と、入力表示I/F27と、タイマ28がそれぞれ接続されている。
【0039】
データメモリ22は、患者携帯端末200の識別情報P−IDと患者名を対応づけた端末管理テーブルと、患者名とバイタル情報を対応づけて記憶するバイタル情報管理テーブルと、患者名、不穏行動の内容および不穏行動が確認された際の条件情報を対応づけて記憶する条件管理テーブルと、気象情報と時刻データを対応づけた気象情報テーブルを記憶するものである。
【0040】
通信I/F23は、制御部20の制御の下、上記各病室ユニット11〜1nとの間で信号の伝送を行う。同様に通信I/F24は、制御部20の制御の下、上記ハンディナースコール主装置3との間で信号の送受信を行う。ネットワークI/F25は、制御部20の制御の下、上記LAN7との間で信号の送受信を行う。
【0041】
通話I/F26には、看護師が通話を行うために使用するマイクロホン261およびスピーカ262が接続されている。通話I/F26は、病室ユニット11〜1nとの間に通信リンクが形成された状態で、マイクロホン261から出力された話者の送話信号を符号化して制御部20へ出力するとともに、制御部20から供給された受話データを復号して受話信号を再生し、この受話信号をスピーカ262から拡声出力する。またスピーカ262は、患者から呼出が発生した時に鳴音やメロディを出力する際にも使用される。
【0042】
入力表示I/F27には、タッチパネル/表示器271が接続される。タッチパネル/表示器271は、例えばCRTまたはLCDからなる表示器の表示画面上に透明感圧シートを貼付したもので、情報の表示機能と入力機能とを併せ持っている。
【0043】
また入力表示I/F27は、制御部20から供給された表示情報を上記タッチパネル/表示器271に表示すると共に、タッチパネル/表示器271を通じて入力された操作情報を制御部20に供給する。
【0044】
タイマ28は、時刻を計時する機能と、制御部20からの指示に応じて時間を計る機能を備えもので、現在の時刻および計測した時間を制御部20に通知する。通信I/F29には、気象情報取得装置300が接続され、この装置より気象情報を取得し、制御部20に出力する。
【0045】
気象情報取得装置300は、病院内および病院外の気温、湿度、気圧、天気などを予め設定した時刻に観測し、これらの観測結果を観測時刻の情報に対応づけて、気象情報としてナースコール親機2に出力するものである。
【0046】
次に、上記構成のナースコールシステムの動作について説明する。以下の説明では特に、この発明に関わる、患者携帯端末200が装着された患者Pの不穏行動の予測に関する動作について説明する。患者Pからの呼び出しなど、通常のナースコール動作についての説明は省略する。
【0047】
図4は、不穏行動の予測動作を説明するためのフローチャートであって、ナースコール親機2の制御部20によってなされる制御動作を示すものである。この動作は、電源が投入されると電源が切られるまで繰り返し実行される。なお、このフローチャートの元となる制御プログラムは、プログラムメモリ21に記憶されており、電源投入により制御部20がプログラムメモリ21から上記制御プログラムを読み込んで実行する。
【0048】
まず、ステップ4aにおいて制御部20は、通信I/F23を監視し、病室ユニット11を通じて増設無線端末1100から通信要求が生じていないかを判断する。ここで、増設無線端末1100から通信要求が生じている場合には、ステップ4bに移行し、一方、通信要求が生じていない場合には、ステップ4fに移行する。
【0049】
ステップ4bにおいて制御部20は、通信I/F23を制御して、病室ユニット11を通じて増設無線端末1100から、識別情報P−IDが付加されたバイタル情報を受信し、ステップ4cに移行する。
【0050】
ステップ4cにおいて制御部20は、ステップ4bにて受信したバイタル情報の集計処理を実施する。具体的には、制御部20は、データメモリ22が記憶する端末管理テーブルを参照し、ステップ4bにて受信したバイタル情報に付加された識別情報P−IDに対応する患者名を検出する。
【0051】
そして、制御部20は、データメモリ22が記憶するバイタル情報管理テーブルのバイタル情報のうち、上記検出した患者名に対応させて、ステップ4bにて受信したバイタル情報を追加記録し、ステップ4dに移行する。
【0052】
ステップ4dにおいて制御部20は、ステップ4cにて新たに集計されたバイタル情報と、最新の気象情報と、データメモリ22が記憶する条件管理テーブルの条件情報に基づいて、患者Pが不穏行動を取る可能性が高い状況となっているか否かを判定する。
【0053】
具体的には、制御部20は、データメモリ22が記憶する条件管理テーブルから、ステップ4cで検出した患者名に対応する条件情報を抽出するとともに、気象情報テーブルから最新の気象情報を抽出する。
【0054】
そして、ステップ4cにて新たに集計したバイタル情報、および上記抽出した最新の気象情報が、上記抽出した条件情報に一致または類似しているか否かを判定する。ここで、バイタル情報および最新の気象情報が、上記抽出した条件情報に一致または類似している場合には、患者Pが不穏行動を取る可能性が高い状況にあるものと判断して、ステップ4eに移行し、上記抽出した条件情報に一致も類似もしていない場合には、患者Pが不穏行動を取る可能性が低い状況にあるものと判断して、ステップ4aに移行する。
【0055】
ステップ4eにおいて制御部20は、ステップ4cにて検出した患者名と、上記抽出した条件情報に含まれる不穏行動の内容と、この患者が不穏行動を取る可能性が高い状況となった旨を示す文字情報を生成する。文字情報の一例としては、「301号室山田太郎さんが徘徊する可能性があります。」などが考えられる。
【0056】
そして制御部20は、入力表示I/F27を通じてタッチパネル/表示器271に上記文字情報を表示して、当該ナースコール親機2の周囲にいる医療従事者に注意を促すとともに、通信I/F24を制御して、ハンディナースコール主装置3を通じて携帯端末71〜7mに上記文字情報を送信する。
【0057】
これにより、携帯端末71〜7mには、上記文字情報が表示されるとともに、報知音が発せられ、医療従事者は、表示される患者名の患者が不穏行動を取る可能性が高い状況にあることを認識できる。
【0058】
またステップ4fにおいて制御部20は、通信I/F29を監視し、気象情報取得装置300から通信要求が生じていないかを判断する。ここで、気象情報取得装置300から通信要求が生じている場合には、ステップ4gに移行し、一方、通信要求が生じていない場合には、ステップ4iに移行する。
【0059】
ステップ4gにおいて制御部20は、通信I/F29を制御して、気象情報取得装置300から気象情報を受信し、ステップ4hに移行する。
ステップ4hにおいて制御部20は、ステップ4gにて受信した気象情報の集計処理を実施する。具体的には、制御部20は、データメモリ22が記憶する気象情報テーブルに、ステップ4gにて受信した気象情報を追加記録し、ステップ4aに移行する。
【0060】
ステップ4iにおいて制御部20は、入力表示I/F27を監視し、タッチパネル/表示器271を通じて、医療従事者などが、不穏行動に関する情報の入力要求を行ったか否かを判定する。ここで、上記入力要求があった場合には、ステップ4jに移行し、一方、上記入力要求がない場合には、ステップ4aに移行する。
【0061】
ステップ4jにおいて制御部20は、医療従事者などから不穏行動に関する情報の入力を受け付ける。具体的には、制御部20は、タッチパネル/表示器271を通じて、不穏行動を取った患者名、行動内容および行動時刻の入力を受け付けて、ステップ4kに移行する。
【0062】
ステップ4kにおいて制御部20は、ステップ4jで受け付けた情報、データメモリ22に記憶されるバイタル情報管理テーブルおよび気象情報テーブルの各情報に基づいて、患者Pが不穏行動を取った際の患者Pの身体状態と環境を分析し、患者Pが不穏行動を取る可能性が高い状況を求め、これを条件情報として条件管理テーブルに記録する。
【0063】
具体的には、制御部20は、バイタル情報管理テーブルに記憶されるバイタル情報のうち、ステップ4jで受け付けた患者名の患者について、ステップ4jで受け付けた行動時刻付近におけるバイタル情報を検出するとともに、気象情報テーブルからステップ4jで受け付けた行動時刻付近における気象情報を検出する。
【0064】
そして制御部20は、これら検出したバイタル情報および気象情報を、ステップ4jで受け付けた情報(患者名、行動内容および行動時刻)に対応づけて、条件情報として、データメモリ22の条件管理テーブルに記録し、ステップ4aに移行する。
【0065】
以上のように、上記構成の行動予測システムでは、ナースコール親機2において、患者毎にバイタル情報を集計(ステップ4c)するとともに、気象情報を集計(ステップ4h)しておく。
【0066】
そして、患者が不穏な行動を取った場合に、医療従事者などが、不穏行動に関する情報(患者名、行動内容および行動時刻)を入力(ステップ4j)し、この入力された不穏行動時付近における情報に基づいて、不穏行動を取った患者Pの身体状態と環境を分析し、患者Pが不穏行動を取る可能性が高い状況を条件情報として記録しておく(ステップ4k)。
【0067】
そして、患者毎にバイタル情報の集計(ステップ4c)を継続し、この集計結果が上記条件情報に一致あるいは類似する場合に、タッチパネル/表示器271や携帯端末71〜7mを通じて、不穏行動を取る可能性が高い表示される患者を医療従事者に報知するようにしている(ステップ4e)。
【0068】
以上のように本願発明に関わる行動予測システムは、予め設定した身体情報と気象情報とを対応づけて条件情報として記憶する記憶手段と、患者から身体の状態を示す情報を検出する身体情報検出手段と、気象情報を検出する気象情報検出手段と、前記身体情報検出手段が検出した情報と前記気象情報検出手段が検出した情報を、前記記憶手段が記憶する条件情報とを比較して、前記患者が不穏な行動を取る虞があるか否かを判定する判定手段と、この判定手段が不穏な行動を取る虞があると判定した場合に、この旨を報知する報知手段とを具備するようにしている。
【0069】
患者の身体状態と天候などの環境条件の間には何らかの因果関係があることが知られており、各方面で研究が進められている。本願発明は、患者の身体状態と天候などの環境条件を併せて考慮して、患者の不穏行動を予測するようにしている。
【0070】
したがって、上記構成の行動予測システムによれば、これまで医療従事者の経験に頼っていた不穏行動の予測を、患者の身体状態や天候などの環境条件により予測することができるので、医療従事者の負担を軽減し、患者の不穏行動を予測して、その旨を医療従事者に報知することができる。
【0071】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0072】
その一例として例えば、上記実施の形態では、ステップ4jにおいて、不穏行動に関する情報入力を医療従事者などが入力するようにしていたが、病室や院内に患者の不穏行動を検出するセンサを多数設け、このセンサが患者の不穏行動を検出した場合に、患者携帯端末200から識別情報P−IDを受信して患者名を識別し、検出したセンサの位置などから不穏行動内容を判定し、患者携帯端末200のタイマ208から不穏行動の時刻を取得して、これらの患者名、行動内容、行動時刻に基づいて、ステップ4kの分析処理を行うようにしてもよい。これによれば、医療従事者などの手を煩わすことなく、必要な情報の蓄積が可能となる。
【0073】
また上記実施の形態では、当該発明に関わる行動予測システムをナースコールシステムに適用した場合を例に挙げて説明したが、単独の装置として実現することも可能である。 その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明に係わるナースコールシステムの一実施形態の構成を示す図。
【図2】図1に示したナースコールシステムの増設無線端末および患者携帯端末の構成を示す回路ブロック図。
【図3】図1に示したナースコールシステムのナースコール親機の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図1に示したナースコールシステムのナースコール親機の動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0075】
11〜1n…病室ユニット、2…ナースコール親機、3…ハンディナースコール主装置、4…PBX、5…公衆網、6…無線ユニット、61,62…無線基地局、7…LAN、71〜7m…携帯端末、8…ハブ、9…看護支援サーバ、10…プリンタ、101…マイクロホン、102…スピーカ、103…トイレ・浴室用押しボタン、104…代表廊下灯、105…復旧ボタン、106…I/Oユニット、107…個別情報廊下灯、108…インターフェース盤、109…ハンド型子機、110…握り押しボタン、20…制御部、21…プログラムメモリ、22…データメモリ、23,24,29…通信I/F、25…ネットワークI/F、26…通話I/F、261…マイクロホン、262…スピーカ、27…入力表示I/F、271…タッチパネル/表示器、28…タイマ、200…患者携帯端末、201…操作部、202…無線通信部、203…表示部、204…警報部、205…記憶部、206…通話部、207…センサ部、208…タイマ、209…バッテリ、210…制御部、300…気象情報取得装置、1100…増設無線端末、1101…無線通信部、1103…記憶部、1104…表示部、1105…操作部、1106…警報部、1110…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定した身体情報を記憶する記憶手段と、
患者から身体の状態を示す情報を検出する検出手段と、
この検出手段が検出した情報と、前記記憶手段が記憶する身体情報とを比較して、前記患者が不穏な行動を取る虞があるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段が不穏な行動を取る虞があると判定した場合に、この旨を報知する報知手段とを具備することを特徴とする行動予測システム。
【請求項2】
さらに、身体の状態を示す情報を入力する入力手段を備え、
前記記憶手段は、前記入力手段を通じて入力された情報を前記身体情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載の行動予測システム。
【請求項3】
さらに、時刻を計時する計時手段と、
前記検出手段が検出した情報を、前記計時手段が計時する時刻に対応づけて記憶する累積記憶手段と、
時刻を入力する入力手段と、
前記記憶手段は、前記累積記憶手段が記憶する情報のうち、前記入力手段を通じて入力された時刻に対応づけられた情報を前記身体情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載の行動予測システム。
【請求項4】
予め設定した気象情報を記憶する記憶手段と、
気象情報を検出する検出手段と、
この検出手段が検出した気象情報と、前記記憶手段が記憶する気象情報とを比較して、前記患者が不穏な行動を取る虞があるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段が不穏な行動を取る虞があると判定した場合に、この旨を報知する報知手段とを具備することを特徴とする行動予測システム。
【請求項5】
さらに、気象情報を入力する入力手段を備え、
前記記憶手段は、前記入力手段を通じて入力された情報を気象情報として記憶することを特徴とする請求項4に記載の行動予測システム。
【請求項6】
さらに、時刻を計時する計時手段と、
前記検出手段が検出した気象情報を、前記計時手段が計時する時刻に対応づけて記憶する累積記憶手段と、
時刻を入力する入力手段と、
前記記憶手段は、前記累積記憶手段が記憶する情報のうち、前記入力手段を通じて入力された時刻に対応づけられた情報を前記気象情報として記憶することを特徴とする請求項4に記載の行動予測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−79328(P2006−79328A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262261(P2004−262261)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】