説明

行動性評価装置及び行動性評価方法

【課題】動物の行動性を多面的に評価できる装置を提供する。
【解決手段】動物Mが報酬Rに到達するまでの経路P上に順次設けられた複数の舞台20であって、その各々には動物の視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する刺激部22が設けられるとともに、その各々の報酬側の端部には動物の報酬側への移動を阻止する阻止部21が設けられた複数の舞台20と、各舞台20における動物Mを検知する検知部15と、複数の舞台20のうち動物Mが存在している特定の舞台において、刺激部22が作動しているときに、検知部15による検知結果に基づいて、動物Mが刺激部22の作動に関連付けて予め習得した行為を行ったか否かを判断する解析部11と、動物Mが前記行為を行ったと判断された場合に、複数の舞台20のうち特定の舞台における阻止部21による阻止を解除して動物Mの報酬R側への移動を可能にする解除部11と、を備えた行動性評価装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動性評価装置及び行動性評価方法に関し、特に、動物の行動性評価装置及び行動性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
行動性に障害を生ずる疾患は、ヒトの社会活動や学業に支障をきたす。このような行動性の障害に関する研究開発では、従来、例えば、注意欠陥多動性障害(Attention Deficit Hyperactive Disorder:ADHD)に特徴的な行動性を示すモデル動物を作出し、当該モデル動物の飼育ケージ内や水中における行動を観察することが行われていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−186828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ADHDに特徴的な行動性の指標としては、多動性、衝動性、注意欠陥、固執性があるのに対し、上記従来技術において評価できるのは、これらの指標のうち一部に限られていた。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、動物の行動性を多面的に評価することができる行動性評価装置及び行動性評価方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る行動性評価装置は、動物が報酬に到達するまでの経路上に順次設けられた複数の舞台であって、その各々には前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する刺激部が設けられるとともに、その各々の前記報酬側の端部には前記動物の前記報酬側への移動を阻止する阻止部が設けられた複数の舞台と、前記各舞台における前記動物を検知する検知部と、前記複数の舞台のうち前記動物が存在している特定の舞台において、前記刺激部が作動しているときに、前記検知部による検知結果に基づいて、前記動物が前記刺激部の作動に関連付けて予め習得した行為を行ったか否かを判断する解析部と、前記動物が前記行為を行ったと判断された場合に、前記複数の舞台のうち前記特定の舞台における前記阻止部による阻止を解除して前記動物の前記報酬側への移動を可能にする解除部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、動物の行動性を多面的に評価することができる。すなわち、この行動性評価装置は、刺激部と阻止部とを有する舞台を複数備えているため、動物が報酬に一度到達するまでに、当該動物に、予め習得した行為を行うことによって阻止部による移動の阻止を解除する、という障害の克服を繰り返し行わせることができる。したがって、この行動性評価装置によれば、動物の多動性、衝動性、注意欠陥、固執性の全てを評価することができる。
【0007】
また、前記阻止部は、前記動物の前記報酬側への移動を阻止する開閉可能な扉を有し、前記解除部は、前記扉を開けることにより前記阻止部による阻止を解除することとしてもよい。また、前記各舞台のうち一部の範囲を特定領域として特定する領域データを保持する記憶部をさらに備え、前記解析部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記特定の舞台における前記動物の位置を特定する位置データを生成し、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台のうち前記特定領域に継続して予め定められた閾時間を超えて留まるという前記行為を行ったか否かを判断することとしてもよい。また、前記各舞台の前記刺激部は、前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する複数の刺激部分を有し、前記特定領域は、前記各舞台において、前記複数の刺激部分のうち、作動し又は作動しない一部の刺激部分に対応する領域であることとしてもよい。また、前記記憶部は、前記各舞台のうち前記複数の刺激部分の各々に対応する互いに異なる複数の範囲をそれぞれ候補領域として特定するとともに、前記複数の候補領域のうち、前記1つの刺激部分に対応する1つの前記候補領域を前記特定領域として特定する前記領域データを保持することとしてもよい。また、前記解析部は、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台において、前記特定領域と、前記特定領域以外の前記各候補領域と、のそれぞれに入った回数を測定することとしてもよい。また、前記解析部は、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台において、前記特定領域と、前記特定領域以外の前記各候補領域と、のそれぞれに入っている時間を測定することとしてもよい。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る行動性評価方法は、動物が報酬に到達するまでの経路上で、下記の(a)〜(e):(a)前記動物の前記報酬側への移動を阻止する、(b)移動を阻止された前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚に刺激を与える、(c)前記刺激を与えられた前記動物が、前記刺激に関連付けて予め習得した行為を行ったか否かを判断する、(d)前記動物が前記行為を行ったと判断された場合に、前記動物の前記報酬側への移動の阻止を解除する、(e)前記動物を前記報酬側に移動させる、の各工程を順次行う手順を、前記動物が前記報酬に到達するまでに複数回行い、前記動物が前記報酬に到達するまでの行動性を評価することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、動物の行動性を多面的に評価することができる。すなわち、この行動性評価方法は、動物が報酬に一度到達するまでに、当該動物に、予め習得した行為を行うことによって阻止部による移動の阻止を解除する、という障害の克服を繰り返し行わせることができる。したがって、この行動性評価方法によれば、動物の多動性、衝動性、注意欠陥、固執性の全てを評価することができる。
【0010】
また、前記動物として、未成熟な動物を用いることとしてもよい。こうすれば、子供の動物の多動性、衝動性、注意欠陥、固執性の全てを評価することができる。また、前記動物は、ラット、マウス、又はモルモットであることとしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る行動性評価装置(以下、「本装置」という。)及び行動性評価方法(以下、「本方法」という。)について図面を参照しつつ説明する。なお、本方法は、本装置を用いることにより好ましく実施することができる。
【0012】
本装置及び本方法において評価の対象となる動物としては、ヒトを除く動物であれば、任意の種類の動物を用いることができる。具体的に、例えば、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ等の小動物を好ましく用いることができ、中でもラット、マウス、又はモルモットを特に好ましく用いることができる。なお、動物は、1個体ずつ用いることが好ましい。
【0013】
また、本装置及び本方法においては、未成熟な動物を評価の対象とすることができる。すなわち、例えば、性的に成熟していない子供の動物を好ましく用いることができ、特に、離乳後であって性成熟を迎えていない小動物を好ましく用いることができる。
【0014】
また、予め薬物が投与された動物を用いることができる。この場合、例えば、妊娠中に薬物を投与された動物から生まれた仔動物を用いることもできる。すなわち、例えば、妊娠中に薬物が投与された小動物から生まれた、未成熟な動物を用いることができる。
【0015】
この薬物としては、動物の行動性に影響を与えるものを用いることができる。すなわち、例えば、多動性、衝動性、注意欠陥、固執性のうち少なくとも一部を誘発する薬物を用いることができ、具体的には、ヒト又はヒト以外の動物にADHDの症状を引き起こすことが知られ又は予想される薬物を用いることができる。
【0016】
また、本装置及び本方法においては、動物が到達すべき目標として報酬を用いる。この報酬としては、動物が自発的に到達しようとするものであれば特に限られず用いることができる。すなわち、例えば、動物が好む食物や飲み物を用いることができる。また、未成熟な動物を用いる場合には、食物や飲み物以外にも、その母親や母乳を報酬として用いることもできる。
【0017】
図1は、本方法の一例に含まれる主な工程を示すフロー図である。図1に示すように、本方法においては、まず、前もって、動物に、その視覚、聴覚、又は嗅覚に対して予め定められた刺激(以下、「所定刺激」という)が与えられた場合に、予め定められた行為(以下、「所定行為」という)を行うことで、報酬に到達できることを学習させる(S100)。この結果、動物は、予め所定刺激に関連付けて所定行為を習得することができる。すなわち、動物は、所定刺激が与えられた場合に所定行為を行うようになる。
【0018】
所定刺激は、動物の視覚、聴覚、又は嗅覚の少なくとも一つを刺激し得るものであれば特に限られない。すなわち、例えば、動物が認識できる光、音、匂いの少なくとも一つを動物に対して発する所定刺激を用いることができる。
【0019】
所定行為は、動物が所定刺激に関連付けて習得し得るものであれば特に限られない。すなわち、例えば、動物が、経路上の予め定められた一部の範囲(以下、「特定領域」という。)内に継続して、予め定められた時間(以下、「閾時間」という。)を超えて留まる行為(以下、「待機行為」という。)を所定行為とすることができる。また、例えば、動物が、経路上に予め設けられたレバーやボタン等の操作具を押すような操作行為を所定行為とすることもできる。
【0020】
次に、本方法においては、動物が報酬に到達するまでの経路を準備する。すなわち、この経路の一端には、動物が移動を開始する地点が設けられ、他端には、報酬が設けられ、当該経路は、これらの間を繋ぐように配置される。経路の形状は特に限られない。すなわち、経路の全部又は一部は、平面的に形成することができ、凹凸等の起伏を形成することもできる。また、経路の全部又は一部は、直線的に形成することができ、湾曲して形成することもできる。
【0021】
そして、本方法においては、動物が報酬に到達するまでの経路上で、下記の(a)〜(e)の工程(以下、「部分工程(a)」〜「部分工程(e)」という。)を順次行う。部分工程(a)においては、動物の報酬側への移動を阻止する(S101)。すなわち、動物が報酬に向かって自発的に移動を開始した後に、経路の途中で、当該動物に対して、それ以上当該報酬側に進むことができなくなるような障害を与える。具体的に、例えば、予め経路の途中に、動物と報酬との間を物理的に遮る壁や堀等の障害を設置しておく。
【0022】
部分工程(b)においては、移動を阻止された動物に所定刺激を与える(S102)。そして、部分工程(c)においては、所定刺激を与えられた動物が所定行為を行ったか否かを判断する(S103)。すなわち、例えば、動物が、発光を伴う所定刺激を与えられている間に、経路上の特定領域内に、閾時間を超えて継続して留まっているか否かを判断する。
【0023】
ここで、動物が所定行為を行っていないと判断した場合(S103においてNoの場合)には、当該動物に対する所定刺激と、報酬側への移動の阻止と、を継続する。一方、所定刺激を与えられた動物が所定行為を行ったと判断した場合(S103においてYesの場合)には、部分工程(d)において当該動物の報酬側への移動の阻止を解除する(S104)。そして、部分工程(e)においては、動物を報酬側に移動させる(S105)。すなわち、動物を、報酬に到達しない程度の距離だけ前進させる。
【0024】
本方法では、これらの部分工程(a)〜(e)を順次行う手順(以下、「障害克服工程」という。)を1サイクルとして、動物が報酬に到達するまでに当該障害克服工程を複数回繰り返す(S106)。すなわち、まず、動物が経路上の出発地点から移動を開始した後に1回目の障害克服工程として部分工程(a)〜(e)を順次行う。そして、1回目の障害克服工程において動物を報酬側にある程度移動させた時点で、当該動物が報酬に到達する前に、2回目の障害克服工程として再び部分工程(a)〜(e)を順次行う。
【0025】
このように、本方法においては、2回目以降の追加的な障害克服工程を少なくとも一回行った後に動物を報酬に到達させる。すなわち、動物が所定行為を行うことにより障害を克服し、報酬に向けてある程度前進させたところで、さらなる前進を妨げる障害を与えて、当該動物に再び所定行為を行わせる。そして、所定行為による障害の克服を繰り返し行わせた後に初めて、動物を報酬に1回到達させる。すなわち、動物が報酬に1回到達するまでに、例えば、同一の所定行為による同一の障害の克服を繰り返し行わせる。
【0026】
そして、本方法においては、複数回の障害克服工程の後、動物の行動性を評価する(S108)。すなわち、動物の多動性、衝動性、注意欠陥、固執性のそれぞれを評価する。例えば、動物が報酬に到達するまでに移動した距離、動物が報酬に到達するまでに要した時間、動物が経路上において移動していた時間、動物が移動する速度を評価することができる。これらの評価は、例えば、CCDカメラ等の撮影装置や赤外線センサ等のセンサ装置を用いたビデオトラッキングにより、経路上において動物が移動した軌跡を記録し、その記録された結果に基づいて行うことができる。
【0027】
本方法によれば、報酬に1回到達するまでの移動距離を十分確保することができる。このため、動物の行動性を多面的且つ効率的に評価することができる。すなわち、例えば、報酬に到達するまでの経路における動物の多動性、衝動性、注意力、固執性を、その学習能力や忍耐力等の能力に関連させて、効果的に評価することができる。また、複数回の障害克服工程のうち、前半の一部の障害克服工程における動物の行動性と、後半の他の一部の障害克服工程における当該動物の行動性と、を比較することもできる。
【0028】
また、本方法は、動物に所定行為を学習させる方法とすることもできる。すなわち、所定行為を習得していない動物を用いて、障害克服工程を複数回行うことによって、当該動物に当該所定行為を習得させることができる。この場合、報酬に1回到達するまでに動物に複数の障害克服工程を経験させることができるため、所定行為の習得を効率的に行うことができる。
【0029】
本方法では、このように、行動性の評価や所定行為の習得を効率的に行うことができる。このため、例えば、未成熟な動物を用いて、その行動性の評価や、所定行為の習得を効果的に行うことができる。すなわち、未成熟な子供の動物は、成熟した大人の動物に比べて、疲れやすく、また、少量の食べ物や飲み物で満腹になりやすいため、従来、行動性や学習能力を評価する対象として適切に用いることは困難であった。これに対し、本方法では、動物が報酬に1回到達するまでに複数の障害克服工程を行うため、未成熟な動物についても行動性を詳細に評価することができ、また、少ない報酬で多くの学習効果を得ることができる。
【0030】
図2は、本装置の一例について、その主な構成を示す説明図である。図2に示すように、本装置1は、経路部10、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14、検知部15を備えている。
【0031】
経路部10は、1個体の動物Mが報酬Rに到達するまでの経路Pの少なくとも一部を構成する。なお、以下の説明では、経路Pにおいて、動物Mが移動を開始する一端側を「上流側」、報酬Rが置かれている他端側を「下流側」とそれぞれ呼ぶこととする。
【0032】
経路部10は、経路P上に順次設けられた3つの舞台20a、20b、20cを有している。すなわち、経路部10は、その最上流に設けられた第一の舞台20aと、当該第一の舞台20aの下流側(報酬R側)に隣接して設けられた第二の舞台20bと、当該第二の舞台20bのさらに下流側に隣接して設けられた最下流の第三の舞台20cと、が直列的に連結して構成されている。
【0033】
各舞台20a、20b、20cは、動物Mがその中を自由に動き回ることができる程度の広さで形成されている。また、各舞台20a、20b、20cは、経路Pから外れて移動することができないように形成されている。すなわち、各舞台20a、20b、20cは、例えば、周囲が壁で囲まれた部屋として形成することができる。また、経路部10を、その周囲が水や堀で囲まれるよう形成することもできる。
【0034】
本装置1において、動物Mは、報酬Rを獲得するために、経路部10の上流端から下流端まで、第一の舞台20a、第二の舞台20b、第三の舞台20cを順に通過する必要がある。しかしながら、第一の舞台20a、第二の舞台20b、第三の舞台20cの各々の報酬R側の端部には、動物Mの当該報酬R側への移動を阻止する第一の阻止部21a、第二の阻止部21b、第三の阻止部21cがそれぞれ設けられている。
【0035】
すなわち、例えば、第一の阻止部21aは、当該第一の部隊20aの下流端において、当該第一の舞台20a内の動物Mが、当該第一の舞台20aから第二の舞台20bに移動することを物理的に阻止するよう設けられる。具体的に、例えば、第一の阻止部21aは、第一の舞台20aの下流端を塞ぎ、第一の舞台20aと第二の舞台20bとを仕切るよう立設された、動物Mが乗り越えることのできない高さの壁として形成することができる。
【0036】
また、各阻止部21a、21b、21cは、後述する制御部11からの指示に従って、動物Mに対する移動の阻止を解除できるように構成されている。すなわち、例えば、第一の阻止部21aは、その少なくとも一部に、動物Mが第一の舞台20aから第二の舞台20bに通過することを可能にする、当該第一の舞台20aと当該第二の舞台20bとを連絡する通路を形成することができるように形成されている。
【0037】
具体的に、例えば、第一の阻止部21aは、その一部に開閉可能な扉が形成された壁とすることができる。この場合、第一の阻止部21aは、扉が閉じた状態においては動物Mの下流側への移動を阻止することができる。一方、扉が開いた状態においては、壁の一部に動物Mが通り抜けることのできる大きさの開口部が形成される。したがって、扉が開くと、動物Mは、第一の阻止部21aに形成された開口部を通って、第一の舞台20aから第二の舞台20bに移動することができる。なお、このように各阻止部21a、21b、21cが開閉可能な扉を有する場合、経路部10は、各扉を開閉させるための駆動力を発生させる駆動部(図示せず)を有することとなる。この駆動部は、例えば、駆動力を発生させるモータを有し、制御部11と通信可能に接続される。そして、駆動部は、制御部11から受け入れる電気的な信号に基づいてモータを駆動させ、各阻止部21a、21b、21cの扉を開閉する。
【0038】
また、第一の舞台20a、第二の舞台20b、第三の舞台20cには、当該各舞台20a、20b、20c内の動物Mに所定刺激を与えるよう作動する第一の刺激部22a、第二の刺激部22b、第三の刺激部22cがそれぞれ設けられている。
【0039】
各刺激部22a、22b、22cは、例えば、動物Mが認識可能な光を発するランプ等の発光装置、動物Mが認識可能な音を発するスピーカー等の発音装置、又は動物Mが認識可能な匂いを発する匂い出力装置の少なくとも一つを有して構成することができる。
【0040】
第一の刺激部22a、第二の刺激部22b、第三の刺激部22cは、第一の舞台20a、第二の舞台20b、第三の舞台20cの下流端部分にそれぞれ設けることができる。すなわち、第一の刺激部22a、第二の刺激部22b、第三の刺激部22cは、例えば、第一の阻止部21a、第二の阻止部21b、第三の阻止部21cにそれぞれ設けることができる。
【0041】
制御部11は、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)等の演算装置によって実現できる。制御部11は、記憶部12、入力部13、表示部14、検知部15との間でデータの入出力を行うことができるように接続され、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作することができる。制御部11が行う処理については後に詳しく説明する。
【0042】
記憶部12は、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;RAM)、リードオンリーメモリ(Read Only Memory;ROM)等の記憶装置によって実現できる。記憶部12は、制御部11が行う処理で利用されるデータを保持するワークメモリとしても動作する。
【0043】
入力部13は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置によって実現できる。入力部13は、本装置1のユーザから入力される指示を受け入れて、当該受け入れた指示を制御部11に出力する。
【0044】
表示部14は、液晶ディスプレイ等の表示装置によって実現できる。表示部14は、制御部11から入力される指示に従って、制御部11から入力されるデータに基づいた画面(例えば、本装置1のユーザに指示の入力を促す案内画面)を表示する。
【0045】
検知部15は、各舞台20a、20b、20cにおける前記動物を検知することができるように構成される。すなわち、検知部15は、例えば、経路部10内の動物Mを、背景と区別して選択的に検知できる撮影装置やセンサにより実現できる。撮影装置としては、例えば、色差等に基づいて、各舞台20a、20b、20c内の動物Mと、その背景と、を識別可能に撮影できる電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)カメラを用いることができる。センサとしては、例えば、各舞台20a、20b、20c内の温度分布の変化に基づいて動物Mを検知できる赤外線センサを用いることができる。
【0046】
この検知部15は、制御部11から入力される指示に従って動物Mを検知し、検知結果を表すデータ(以下、「検知データ」という。)を生成する。すなわち、例えば、検知部15がCCDカメラを有する場合には、検知部15は、当該CCDカメラにより撮影された画像を表す画像データを含む検知データを生成する。検知部15は、生成された検知データを制御部11に出力する。
【0047】
図3は、制御部11が行う主な処理を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御部11は、設定部30、解析部31、解除部32を機能的に有している。
【0048】
設定部30は、本装置1の動作に関連する条件を定めるデータ(以下、「設定データ」という。)を生成する。すなわち、設定部30は、検知部15が生成した検知データに基づいて、各舞台20a、20b、20c内の動物と背景とを識別するための基準を表す設定データを生成する。
【0049】
具体的に、例えば、検知部15がCCDカメラにより撮影された画像を表す画像データを生成する場合には、設定部30は、当該画像内において、当該動物Mの体の全部又は一部に予め付された色と、各舞台20a、20b、20cの色と、を識別するための色差の閾値を含む設定データを生成する。
【0050】
また、設定部30は、後述の解析部31による解析において、動物Mが所定行為を行ったか否かの判断に用いられる基準を表す設定データを生成する。具体的に、例えば、各舞台20a、20b、20cのうち一部の範囲を特定領域として設定し、動物Mが当該特定領域に、閾時間を超えて継続して留まる待機行為を行ったか否かを判断する場合には、設定部30は、当該特定領域を特定する設定データ(以下、「領域データ」という。)と、当該閾時間を表す設定データと、を生成する。
【0051】
すなわち、この場合、設定部30は、例えば、各舞台20a、20b、20cの全体の範囲を規定する座標値と、当該各舞台20a、20b、20cのうち特定領域の範囲を規定する座標値と、を含む領域データを生成する。
【0052】
また、設定部30は、各刺激部22a、22b、22cが作動する条件を表す設定データを生成する。具体的に、例えば、各刺激部22a、22b、22cが、動物Mの視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する複数の刺激部分(例えば、複数のランプ)を有する場合には、当該複数の刺激部分のうち、動物Mに所定刺激を与えるにあたって選択的に作動させ又は作動させない一部の刺激部分を特定する設定データを生成する。この場合、設定部30は、各刺激部22a、22b、22cと通信可能に接続され、設定データに基づいて、当該各刺激部22a、22b、22cの複数の刺激部分のうち一部の刺激部分のみを選択的に作動させ又は作動させないように制御することができる。
【0053】
さらに、設定部30は、各舞台20a、20b、20cのうち、複数の刺激部分の各々に対応する互いに異なる複数の範囲をそれぞれ候補領域として特定する領域データを生成することができる。この場合、設定部30は、複数の候補領域のうち、選択的に作動させ又は作動させない一部の刺激部分に対応する一部の候補領域を特定領域として特定する領域データを生成する。
【0054】
設定部30は、このような設定データの全部又は一部を、入力部13から受け入れたユーザからの指示や、記憶部12に予め保持されているデータに基づいて生成することができる。すなわち、例えば、入力部13のキーボードを介して、候補領域や特定領域を特定する座標値や、閾時間、作動させ又は作動させない一部の刺激部分を特定する指示を受け入れた場合には、設定部30は、当該入力部13からの入力に従って設定データを生成する。そして、設定部30は、生成した設定データを記憶部12に保持させ、又は解析部31に出力する。
【0055】
解析部31は、各舞台20a、20b、20cにおける動物Mの位置を特定するデータ(以下、「位置データ」という。)を生成する。すなわち、解析部31は、各舞台20a、20b、20c内の動物と背景とを識別するための基準を表す設定データと、検知部15から受け入れた検知データと、に基づいて、当該各舞台20a、20b、20c内の動物Mの位置を特定する。
【0056】
具体的に、例えば、解析部31は、動物Mに予め付された色と、当該動物Mの背景の色と、を識別するための判断基準を表す設定データに基づいて、CCDカメラにより撮影された画像を表す画像データを含む検知データから、当該動物Mに付されている色部分を抽出する画像解析処理を行う。そして、解析部31は、抽出された動物Mの色部分の画像内における位置と、各舞台20a、20b、20cの全体の範囲を特定する座標値を表す設定データと、に基づいて、当該各舞台20a、20b、20cのうち当該動物Mが存在する位置を決定し、当該動物Mの位置を特定する座標値を含む領域データを記憶部12に保持させる。
【0057】
さらに、解析部31は、所定の時間間隔で検知部15から受け入れる検知データに基づいて、経路P上における動物Mの位置の経時的な変化を表すデータとして、経路部10において当該動物Mが移動した軌跡を表すデータ(以下、「軌跡データ」という)を生成する。すなわち、解析部31は、CCDカメラを有する検知部15から所定の時間間隔で連続的に受け入れる画像データに基づいて、各撮影タイミングにおける動物Mの位置を表す座標値を順次決定する。そして、解析部31は、時々刻々変化する動物Mの座標値の集合、すなわち、位置データの集合として軌跡データを生成し、記憶部12に保持させる。
【0058】
そして、解析部31は、3つの舞台20a、20b、20cのうち動物Mが存在している舞台(以下、「特定舞台」という。)において、刺激部22a、22b、22cが作動しているときに、検知部15による検知結果に基づいて、当該動物Mが所定行為を行ったか否かを判断する。
【0059】
すなわち、解析部31は、検知部15による検知結果に基づいて、特定舞台における動物Mの位置を特定する位置データと、領域データ及び閾時間を含む設定データと、に基づいて、動物Mが、当該特定舞台のうち特定領域に継続して当該閾時間を超えて留まるという待機行為を行ったか否かを判断する。
【0060】
具体的に、例えば、解析部31は、経路部10のうち、第一の刺激部22aが作動している第一の舞台20aにおいて、動物Mが待機行為を行ったか否かを判断する場合には、まず、特定領域の範囲を特定する座標値と、当該第一の舞台20aにおける当該動物Mの位置を特定する座標値と、に基づいて、当該動物Mが当該特定領域内に入っているか否かを判断する。
【0061】
そして、解析部31は、動物Mが特定領域内に入っていると判断した場合には、当該動物Mが当該特定領域内に留まっている時間(以下、「待機時間」という。)の測定を開始し、待機時間が閾時間を超えたか否かを判断する。
【0062】
ここで、待機時間が閾時間を超えた場合には、解析部31は、動物Mが待機行為を行ったと判断し、第一の舞台20aの報酬R側の端部に設けられている第一の阻止部21aによる阻止を解除するよう解除部33に指示を出力する。
【0063】
また、解析部31は、待機時間が閾時間を超えていないと判断した場合には、動物Mが特定領域内に留まっているか否かを継続して監視する。ここで、待機時間が閾時間を超える前に、動物Mが特定領域外に移動したと判断した場合には、当該待機時間の測定を中止する。そして、解析部31は、再び同様にして、動物Mが第一の舞台20a内で待機行為を行ったか否かを判断する処理を行う。
【0064】
また、解析部31は、領域データと位置データとに基づいて、動物Mが、特定舞台において、特定領域と、特定領域以外の各候補領域と、のそれぞれに入った回数(以下、「アクセス回数」という。)を測定することもできる。
【0065】
また、解析部31は、領域データと位置データとに基づいて、動物Mが、特定舞台において、特定領域と、特定領域以外の各候補領域と、のそれぞれに入っている時間(以下、「アクセス時間」という。)を測定することもできる。
【0066】
すなわち、解析部31は、例えば、第一の舞台20aに、複数の候補領域が設定されている場合には、まず、当該複数の候補領域の各々の範囲を特定する座標値と、当該第一の舞台20a内の動物Mの位置を特定する座標値と、に基づいて、動物Mが、当該候補領域のいずれかに入ったか否かを判断する。
【0067】
ここで、解析部31は、例えば、複数の候補領域のうち第一の候補領域が特定領域として設定されており、動物Mが当該第一の候補領域に入ったと判断した場合には、当該第一の候補領域へのアクセス回数を「1」として記憶部12に保持させるとともに、待機時間の測定を開始する。
【0068】
そして、解析部31は、待機時間が閾時間を超える前に、動物Mが第一の候補領域から出た場合には、待機時間の測定を中止するとともに、当該測定された待機時間を、特定領域への1回目のアクセス時間として記憶部12に保持させる。
【0069】
また、解析部31は、その後、動物Mが第二の候補領域に入ったと判断した場合には、当該第二の候補領域へのアクセス回数を「1」として記憶部12に保持させるとともに、当該第二の候補領域に入っている時間を測定する。
【0070】
そして、解析部31は、動物Mが、第二の候補領域を出た場合には、測定された時間を、第二の候補領域への1回目のアクセス時間として記憶部12に保持させる。
【0071】
さらに、解析部31は、その後、動物Mが再び第二の候補領域に入ったと判断した場合には、当該第二の候補領域へのアクセス回数を1つインクリメントして「2」を記憶部12に保持させるとともに、当該第二の候補領域に入っている時間を測定する。
【0072】
そして、解析部31は、動物Mが、再び第二の候補領域を出た場合には、測定された時間を、第二の候補領域への2回目のアクセス時間として記憶部12に保持させる。
【0073】
このように、解析部31は、各候補領域とアクセス回数とを関連付けて保持することができる。
【0074】
すなわち、上述の例では、解析部31は、特定領域へのアクセス回数「1」、第二の候補領域へのアクセス回数「2」、その他の候補領域へのアクセス回数「0(ゼロ)」を保持する。
【0075】
また、解析部31は、さらに、特定舞台において動物Mが各候補領域に複数回入った(アクセスした)場合には、アクセスごとのアクセス時間を保持することもできる。
【0076】
すなわち、上述の例では、解析部31は、特定領域への1回目のアクセス時間、第二の候補領域への1回目のアクセス時間、当該第二の候補領域への2回目のアクセス時間をさらに保持することができる。
【0077】
解除部32は、解析部31により動物Mが所定行為を行ったと判断された場合に、3つの舞台20a、20b、20cのうち特定舞台における阻止部21a、21b、21cによる阻止を解除して当該動物Mの報酬R側への移動を可能にする。
【0078】
すなわち、解析部32は、例えば、動物Mが第一の舞台20aで所定行為を行った結果、解析部31から第一の阻止部21aによる阻止を解除すべき指示を受け入れた場合には、当該第一の舞台20aと第二の舞台20bとの間に、当該動物Mが移動するための通路を形成する。
【0079】
具体的に、例えば、第一の阻止部21aが、その一部に開閉可能な扉を有する壁として形成されている場合には、解除部32は、当該扉を開閉するためのモータを駆動させて、当該扉を開ける。この結果、動物Mは、扉が開くことにより形成された第一の阻止部21aの開口部を通過して、第一の舞台20aから第二の舞台20bに移動することができる。
【0080】
また、本方法及び本装置においては、各刺激部22a、22b、22cが複数の刺激部分を有する場合には、当該複数の刺激部分のうち一部の刺激部分を選択的に作動させる第一の所定刺激を用いた通常課題試験と、当該複数の刺激部分のうち当該一部の刺激部分を選択的に作動させない第二の所定刺激を用いた逆転課題試験と、を行うこともできる。
【0081】
すなわち、例えば、各刺激部22a、22b、22cが複数のランプを有する場合には、まず、当該各刺激部22a、22b、22cの1つのランプのみを点灯させるという第一の所定刺激に対して、動物Mに所定行為を習得させる。
【0082】
そして、1個体の動物Mについて、まず、第一の所定刺激を与えたときに、点灯している1つのランプに対応する第一の特定領域で所定行為を行うと移動の阻止が解除されるという通常課題試験を行う。
【0083】
さらに、その後、同じ1個体の動物Mについて、第一の所定刺激とは異なる第二の所定刺激、すなわち、各刺激部22a、22b、22cの1つのランプのみを消灯させるという第二の所定刺激を与えたときに、当該消灯している1つのランプに対応する第二の特定領域で所定行為を行うと移動の阻止が解除されるという逆転課題試験を行う。
【0084】
この場合、通常課題試験における行動性と、逆転課題試験における行動性と、を比較することにより、動物Mの行動性をより多面的に評価することができ、特に、当該動物Mの固執性を効果的に評価することができる。
【0085】
図4は、本装置1が備える経路部10のより具体的な一例についての平面図である。図5は、図4に示すA−A線で切断した経路部10の断面図である。図6は、図4に示すB−B線で切断した経路部10の上流側から見た断面図である。
【0086】
図4及び図5に示すように、経路部10は、動物Mが報酬Rに到達するまでの経路上において、上流側から順次設けられた第一の部屋室50、第二の部屋60、第三の部屋70(以下、それぞれ「第一室50」、「第二室60」、「第三室70」という。)を有している。
【0087】
また、経路部10は、第一室50の上流側に、動物Mが移動を開始する前室40を有し、第三室70の下流側には、報酬Rが置かれている後室80、を有している。これら前室40、第一室50、第二室60、第三室70、後室80は、いずれも周囲を壁で囲まれている。すなわち、これら前室40、第一室50、第二室60、第三室70、後室80は、その周囲に動物Mが超えることのできない壁を形成する筐体部90の中に設けられている。
【0088】
この経路部10において、前室40内に放たれた動物Mは、後室80にある報酬Rを獲得するために、第一室50、第二室60、第三室70、を順次、通過する必要がある。しかしながら、前室40、第一室50、第二室60、第三室70、の各々の報酬側Rの端部には、動物Mが乗り越えることのできない高さの仕切として形成された前室塀部41、第一塀部51、第二塀部61、第三塀部71がそれぞれ設けられている。すなわち、これら前室塀部41、第一塀部51、第二塀部61、第三塀部71は、それぞれ、動物Mが、前室40、第一室50、第二室60、第三室70からさらに報酬R側に移動することを阻止している。
【0089】
また、図4〜図6に示すように、第一室50に設けられた第一塀部51には、開閉可能な3つの第一扉52a、52b、52cが設けられている。すなわち、第一室50外(共体部90外)には、各第一扉52a、52b、52cを開閉する駆動力を発生させるモータを有する第一駆動部53が設けられており、各第一扉52a、52b、52cは、当該第一駆動部53によって上下に移動可能に構成されている。具体的に、第一駆動部53は、制御部11と電気的に接続されており、当該制御部11から受け入れた指示に従い、モータを駆動させて、3つの第一扉52a、52b、52cの全部又は一部を上方(図5に示す矢印が指す方向U)に持ち上げて開けることができる。
【0090】
第一扉52a、52b、52cが開けられることにより、第一塀部51のうち、第一室50の底面を形成する床部50aより上方であって、当該第一扉52a、52b、52cが設けられている範囲に、当該第一塀部51を貫通する開口部(図示せず)が形成される。したがって、第一室50内の動物Mは、開けられた第一扉52a、52b、52cをくぐり、開口部を通って、下流側の第二室60に移動することができる。また、第一駆動部53は、制御部11から受け入れた指示に従い、いったん開けた第一扉52a、52b、52cを再び閉じることもできる。
【0091】
ここで、第一扉52a、52b、52cには、上方に移動した開状態において第一塀部51の一部に係止可能な係止部(図示せず)が形成されている。そして、第一扉52a、52b、52cが閉じる場合には、この係止部と第一塀部51との係止が解除されて、当該第一扉52a、52b、52cは、その自重により下方に落下するようになっている。このため、仮に、移動中の動物Mの上に第一扉52a、52b、52cが落下した場合にも、当該動物Mに対する影響を最小限に抑えることができるようになっている。
【0092】
同様にして、第二塀部61には、3つの第二扉62a、62b、62cが設けられ、第三塀部71には、3つの第三扉72a、72b、72cが設けられ、前室塀部41には1つの前室扉42が設けられている。
【0093】
また、第二室60外には、各第二扉62a、62b、62cを開閉する第二駆動部63が設けられ、第三室70外には、各第三扉72a、72b、72cを開閉する第三駆動部73が設けられ、前室40外には、前室扉42を開閉する前室駆動部43が設けられている。
【0094】
また、第一塀部51には、動物Mが認識可能な光を発する3つの第一ランプ54a、54b、54cが設けられている。3つの第一ランプ54a、54b、54cの各々は、3つの第一扉52a、52b、52cのうち互いに異なる1つに対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、3つの第一ランプ54a、54b、54cは、第一塀部51のうち、第一扉52a、52b、52cの上方にそれぞれ設けられている。各第一ランプ54a、54b、54cは、第一室50の床部50aを移動し、又は当該床部50a上に静止している動物Mが、その点灯の有無を認識することができる高さに設けられている。3つの第一ランプ54a、54b、54cの全部又は一部は、制御部11からの指示に従って点灯及び消灯することができる。
【0095】
同様にして、第二室60には3つの第二ランプ64a、64b、64cが設けられ、第三室70には3つの第三ランプ74a、74b、74cが設けられている。なお、前室40にランプは設けられていない。後室80には、報酬台81が設けられており、当該報酬台81には報酬Rとして餌用のペレットが1つ置かれている。
【0096】
また、図5に示すように、経路部10の上方側は開口している。すなわち、前室40、第一室50、第二室60、第三室70、後室80の各々の周囲には、動物Mが超えることのできない壁が形成されているが、当該各々の上方は塞がれていない。
【0097】
したがって、例えば、図2に示す検知部15が有するCCDカメラ(図示せず)を、経路部10の上方に設けることにより、前室40、第一室50、第二室60、第三室70、後室80を含む当該経路部10の全範囲において、動物Mが移動する様子を撮影することができる。
【0098】
ここで、前室40の床部40a、前室塀部41、第一室50の床部50a、第一塀部51、第二室60の床部60a、第二塀部61、第三室70の床部70a、第三塀部71、後室80の床部80aの色は、背景差又は色差の少なくとも一方に基づいて、動物Mの色と識別可能な色となっている。すなわち、ここでは、背中の一部の毛が黒色で他の部分の毛の色が白色の動物Mを用いる場合を例として示しているため、各部屋内の床や壁の色は、黒色及び白色のいずれとも区別できる黄白色となっている。このため、検知部15のCCDカメラによって撮影された画像においては、色差に基づいて、黄白色の背景から、動物Mの黒色又は白色を容易に識別することができる。なお、検知部15が備えるビデオ・トラッキング装置としては、背景差に基づく方式又は色差に基づく方式の少なくとも一方の方式に基づいて動物Mを検出可能なものを用いることができ、設定を切り替えることで当該両方の方式を利用可能なものを好ましく用いることができる。本装置1においては、上述したように、解析部31が、検知部15から受け入れた画像データに基づき、背景から動物Mを識別する画像解析処理を行い、当該経路部10内における当該動物Mの位置を特定することができる。
【0099】
次に、図4〜図6に示す経路部10を備えた本装置1において、制御部11が行う処理の一例について説明する。ここでは、第一室50、第二室60、第三室70の各々において、3つの第一ランプ54a、54b、54cのうち1つ、3つの第二ランプ64a、64b、64cのうち1つ、及び3つの第三ランプ74a、74b、74cのうち1つを、それぞれ点灯させる所定刺激を与えられた場合に、動物Mが、当該点灯している1つのランプに対応する特定領域内に、閾時間以上、継続して留まるという待機行為を所定行為として予め習得している場合を例として説明する。
【0100】
図7は、この制御部11が行う主な処理の流れを示すフロー図である。図7に示すように、まず、設定部30は、第一室50、第二室60、第三室70の各々における特定領域を設定する(S200)。
【0101】
すなわち、設定部30は、まず、第一室50の床部50aのうち下流側の一部であって、3つの第一扉52a、52b、52cの下方端から、当該3つの第一扉52a、52b、52cの各々の幅で、上流側に所定の長さだけ延びる矩形の3つの第一候補領域55a、55b、55cを設定する。
【0102】
このとき、設定部30は、各第一候補領域55a、55b、55cに少なくとも動物Mの胴体の全体が含まれるよう、当該各第一候補領域55a、55b、55cの大きさを設定する。具体的に、例えば、設定部30は、各第一候補領域55a、55b、55cの面積が、動物Mの胴体を第一室50の床部50aに投影した面積よりも大きく、且つ、3つの第一候補領域55a、55b、55cの面積の合計が、第一室50の床部50aの全面積の半分より小さくなるよう、各第一候補領域55a、55b、55cの位置及び範囲を設定する。
【0103】
こうすれば、第一室50の床部50aの全体で動物Mを自由に動き回らせるとともに、所定刺激が与えられた場合には、後述するように3つの第一候補領域55a、55b、55cのうち少なくとも1つの範囲内で待機するという課題を効果的に与えることができる。なお、各第一候補領域55a、55b、55cは、設定部30が座標値により管理しており、床部50aに視認可能に描かれているわけではない。そして、設定部30は、同様に、第二室60の床部60aの一部に3つの第二候補領域65a、65b、65cを設定し、第三室70の床部70aの一部に3つの第三候補領域75a、75b、75cを設定する。
【0104】
次に、設定部30は、第一室50に設けられた3つの第一ランプ54a、54b、54cのうち上流側から見て右端の1つの第一ランプ54a、第二室60に設けられた3つの第二ランプ64a、64b、64cのうち中央の1つの第二ランプ64b、第三室70に設けられた3つの第三ランプ74a、74b、74cのうち上流側から見て左端の1つの第三ランプ74c、をそれぞれ点灯させるべきランプとして設定する。
【0105】
さらに、設定部30は、この点灯させるべきランプの設定結果に基づいて、3つの第一候補領域55a、55b、55cのうちから、右端の第一ランプ54aに対応する位置に確保されている右端の第一候補領域55aを選択し、第一特定領域として設定する。同様にして、設定部30は、3つの第二候補領域65a、65b、65cのうち中央の第二候補領域65bを第二特定領域として設定し、3つの第三候補領域75a、75b、75cのうち左端の第三候補領域75cを第三特定領域として設定する。
【0106】
そして、設定部30は、このように設定した第一特定領域55a、第二特定領域65b、第三特定領域75cの各々の範囲を規定する座標を表す特定座標データ、前室40、第一室50、第二室60、第三室70、後室80の各々の全体の範囲を規定する座標を表す固定座標データを含む領域データを生成する。
【0107】
また、設定部30は、待機行為が行われたか否かの判断基準の一つとなる閾時間を表す設定データも生成する。なお、このように設定部30が設定する点灯すべきランプの指定、特定領域の選択及び範囲の決定、閾時間の決定等は、本装置1のユーザが入力部13からの入力により任意に設定することもできる。
【0108】
そして、設定部30は、点灯すべきランプを指定する設定データに基づいて、第一室50の右端の第一ランプ54a、第二室60の中央の第二ランプ64b、第三室70の左端の第三ランプ74c、をそれぞれ点灯させる。
【0109】
次に、解析部31は、検知部15から経路部10の撮影画像を表す画像データを受け入れて、当該経路部10のうち前室40に入れられている1個体の動物Mが移動する軌跡の記録を開始する(S201)。すなわち、解析部31は、まず、前室駆動部43を駆動させて、前室塀部41の前室扉42を開けることにより、動物Mを前室40から第一室50に進入させる。
【0110】
そして、解析部31は、動物Mの経時的な位置の変化と、第一室50の全範囲を表す固定座標データと、に基づいて、当該動物Mが前室40から第一室50に移動したと判断し、前室駆動部43を駆動させて前室扉42を閉める。
【0111】
さらに、解析部31は、第一室50において動物Mが移動した軌跡を表す軌跡データと、第一特定領域55aの範囲を規定する特定座標データと、に基づいて、当該動物Mが当該第一特定領域55a内にいるか否かを判断する(S202)。
【0112】
ここで、動物Mが第一特定領域55a内にいないと判断した場合(S202においてNoの場合)には、解析部31は、S202における判断を繰り返す。一方、動物Mが第一特定領域55a内で静止し、又は第一領域55a内を移動していることから、当該動物Mが第一特定領域55a内にいると判断した場合(S202においてYesの場合)には、解析部31は、当該動物Mが当該第一特定領域55a内に継続的に留まっている時間(待機時間)の測定を開始する(S203)。
【0113】
待機時間の測定を開始してから所定のタイミングで、解析部31は、測定された待機時間が増加して閾時間を超えたか否かを判断する(S204)。ここで、待機時間が未だ閾時間を超えていない場合(S204においてNoの場合)には、解析部31は、動物Mが第一室50において未だ待機行為を完了していないと判断し、当該動物Mがまだ継続して第一特定領域55a内にいるか否かを判断する(S207)。
【0114】
そして、例えば、動物Mが第一室50の床部50aのうち第一特定領域55a以外の部分に移動しており、当該動物Mはもはや当該第一特定領域55a内にはいないと判断した場合(S207においてNoの場合)には、解析部31は、それまでに測定された待機時間をリセットして(S208)ゼロに戻し、再びS202から処理を行う。
【0115】
一方、動物Mがまだ第一特定領域55a内にいると判断した場合(S207においてYesの場合)には、解析部31は、さらに継続して待機時間の測定を行い(S203)、再び、更新された待機時間が閾時間を超えたか否かを判断する(S204)。
【0116】
そして、待機時間が閾時間を超えた場合(S204においてYesの場合)には、解析部31は、動物Mが第一室50において待機行為を行ったと判断し、第一特定領域55aに対応する右端の第一扉52aを開くよう解除部33に指示する。この結果、解除部33は、第一駆動部53を駆動させて、指定された右端の第一扉52aのみを開き(S205)、動物Mを、第一室50から第二室60に進入させる。解析部31は、動物Mが第二室60に進入したことを確認すると、第一駆動部53を駆動させて、開けられていた第一扉52aを閉める。
【0117】
そして、解析部31は、さらに、軌跡データと、後室80の全範囲を規定する固定座標データと、に基づいて、動物Mが報酬Rのある後室80に入ったか否かを判断する(S206)。ここで、例えば、動物Mが第二室60に入ったばかりで、解析部31が、動物Mは未だ後室80には到達していないと判断した場合(S206においてNoの場合)には、さらに、第二室60における動物Mについて上述のようなS201からの処理が繰り返される。
【0118】
そして、第一室50の場合と同様に、第二室60において動物Mが第二特定領域65bで待機行為を行った場合には、当該第二特定領域65bに対応する第二扉62bが開けられて当該動物Mは第三室70に進む。さらに、第三室70において動物Mが第三特定領域75cで待機行為を行った場合には、当該第三特定領域75cに対応する第三扉72cが開けられて、当該動物Mは後室80に進み、報酬台81上の報酬Rを獲得することができる。このように、最下流の第三扉72cが開けられて、解析部31が、動物Mは後室80に入ったと判断した場合(S206においてYesの場合)には、制御部11は、処理を終了する。
【0119】
[実施例]
次に、本装置を用いて本方法を実施した具体的な例について説明する。
【0120】
[動物の準備]
行動性を評価する対象としては、頭と背中の一部に黒い模様のあるラット(Long−Evasラット)を用いた。また、ラットにADHDを誘導するための薬物として2,2’,4,4',5,5’−六塩素化ビフェニル(PCB153)を用いた。なお、PCBを用いた理由は次のとおりである。第一に、予備検討から、低用量のPCB曝露を受けた仔動物では、観察者の行動所見として、試験成績の低下、落ち着きのなさ、きょろきょろする、といった行動変化が認められていたためである。第二に、疫学的にも、米国五大湖周辺のPCB摂取量が多い人々を対象とした調査において、臍帯血中のPCB濃度と児童のADHD症状に相関があることが報告されている(Stewart et al. Neurotoxicol Teratol 27:771-80, 2005. Jacobson & Jacobson, J Pediatr 143:780-8, 2003, Stewart et al. Neurotoxicol Teratol 22:21-9, 2000)。さらにサルを用いた実験でも、PCBの経胎盤・経母乳曝露によりADHD症状が引き起こされることが報告されている(Rice, Environ Health Perspect 108 Suppl 3:405-8,2000)。
【0121】
そこで、妊娠15日目の雌ラット(12腹)に、コーン油に溶解したPCBを体重(kg)あたり2mg(すなわち、2mg/kg)単回経口投与することにより、各腹から生まれた1匹の仔雄ラット(12匹)をADHD様症状が誘導されたPCB群として用いた。また、妊娠15日目の他の雌ラット(6腹)には、コーン油だけを投与し、各腹から生まれた1匹の仔雄ラットを対照群(6匹)として用いた。また、妊娠中にPCBもコーン油も投与しなかったさらに他の雌ラット(12腹)の各腹から生まれた1匹の仔雄ラットを未処置群(12匹)として用いた。いずれの仔ラットも生後21日齢で離乳した。なお、以下の全ての試験は1個体ずつ行った。
【0122】
[馴化]
生後15日目の1個体の仔ラットを、報酬ペレット(45mg、Bioserve社製報酬用ペレット)を一つセットした後室80に入れて、本装置1の全ての扉を閉めて20分放置した。仔ラットは後室80内を周回した。
【0123】
生後16日目の1個体の仔ラットを、報酬ペレットを一つセットした後室80に入れて、本装置1の全ての扉を閉めて5分放置した。7割の仔ラットが報酬ペレットを食べるようになった。
【0124】
さらに、この生後16日目の1個体の仔ラットを、報酬ペレットを一つセットした後室80に入れて、本装置1の全ての扉を開けて10分放置した。仔ラットは経路部10内の全ての部屋を歩き回った。
【0125】
後室80に報酬ペレットを一つセットした本装置1の全ての扉を開放し、生後17日目の仔ラットを前室40に入れて、当該仔ラットが当該報酬ペレットを食べるまで放置した。全ての仔ラットは、10分以内に報酬ペレットに到達した。このトライアルを1匹あたり2回行った。
【0126】
後室80に報酬ペレットを一つセットした。また、本装置1において、全てのランプを所定刺激用に点滅させた。また、各ランプの前に長さ10cm、幅5cmの矩形の特定領域を設定し、閾時間は0(ゼロ)秒とした。なお、各部屋50、60、70の床部50a、50b、50cは長さ14cm、幅24cmの矩形であった。そして、生後18日目の仔ラットを前室40に入れた。すなわち、仔ラットがいずれかの扉に近づいたら速やかに当該扉を開けるようにした。仔ラットが報酬ペレットを食べるまで放置した。全ての仔ラットは、10分以内に報酬ペレットに到達した。このトライアルを1匹あたり2回行った。
【0127】
後室80に報酬ペレットを一つセットした。また、本装置1において、全てのランプを所定刺激用に点滅させた。また、各ランプの前に長さ5cm、幅5cmの矩形の特定領域を設定し、閾時間は1秒とした。そして、生後18日目の仔ラットを前室40に入れた。すなわち、仔ラットがいずれかの扉の前で1秒を超えて継続的に滞在したら当該扉を開けるようにした。仔ラットが報酬ペレットを食べるまで放置した。全ての仔ラットは、10分以内に報酬ペレットに到達した。このトライアルを1匹あたり2回行った。
【0128】
[通常課題試験]
後室80に報酬ペレットを一つセットした。本装置1において、3つの第一ランプ54a、54b、54cのうち1つ、3つの第二ランプ64a、64b、64cのうち1つ、3つの第三ランプ74a、74b、74cのうち1つ、をそれぞれ点滅させ、他のランプは全て消灯させた。また、各ランプの前に長さ5cm、幅5cmの矩形の候補領域を設定し、点滅しているランプの前の候補領域を特定領域として設定した。閾時間は4秒とした。そして、生後20日目〜25日目の仔ラットを前室40に入れた。すなわち、仔ラットが点滅しているランプの下の扉の前で4秒を超えて継続的に滞在したら当該扉を開けるようにした。仔ラットが報酬ペレットを食べるまで放置した。このトライアルを1匹あたり1日8回行った。
【0129】
本装置1では、CCDカメラを備えたビデオトラッキング・システムを用い、各個体が報酬に到達するまでに移動した距離、報酬に到達するまでに要した時間、報酬に到達するまでに行動していた時間(活動時間)、移動時の速度、各候補領域へのアクセス回数、各候補領域へのアクセス総時間を測定した。
【0130】
[逆転課題試験]
後室80に報酬ペレットを一つセットした。本装置1において、3つの第一ランプ54a、54b、54cのうち1つ、3つの第二ランプ64a、64b、64cのうち1つ、3つの第三ランプ74a、74b、74cのうち1つ、をそれぞれ消灯させ、他のランプは全て点滅させた。また、各ランプの前に長さ5cm、幅5cmの矩形の特定領域を設定し、消灯しているランプの前の候補領域を特定領域として設定した。閾時間は4秒とした。そして、生後20日目〜25日目の仔ラットを前室40に入れた。すなわち、仔ラットが消灯しているランプの下の扉の前で4秒を超えて継続的に滞在したら当該扉を開けるようにした。仔ラットが報酬ペレットを食べるまで放置した。このトライアルを1匹あたり1日8回行った。
【0131】
逆転課題試験においても同様に、本装置1では、CCDカメラを備えたビデオトラッキング・システムを用い、各個体が報酬に到達するまでに移動した距離、報酬に到達するまでに要した時間、報酬に到達するまでに行動していた時間(活動時間)、移動時の速度、各候補領域へのアクセス回数、各候補領域へのアクセス総時間を測定した。
【0132】
[評価結果]
図8には、通常課題試験において、本装置1の経路部10内で、生後25日齢の対照群ラットが移動した軌跡Tの一例を示す。この例では、第一室50において1つの特定領域55cと2つの候補領域55a、55bとを設定し、当該特定領域55cの前のランプ(不図示)を点滅させ、ラットが当該ランプに対応する位置に設けられた当該特定領域55cで待機行為を行った場合に、当該特定領域55cの前であって当該ランプの下に設けられた第一扉52cを開けるよう設定した。同様に、第二室60においては1つの特定領域65aを設定し、第三室70においては1つの特定領域75cを設定した。
【0133】
図8に示すように、このラットは、前室40から第一室50に入った後、まずは点滅したランプに対応する特定領域55cで待機行為を行い、第一扉52cをくぐって、第二室60に侵入した。そして、このラットは、第二室60において第一室50よりも速やかに特定領域65aで待機行為を行い、第二扉62aをくぐって第三室70に侵入し、さらに、当該第三室70においては当該第二室60よりもさらに速やかに特定領域75cで待機行為を行って、第三扉72cをくぐり、後室80内の報酬(不図示)に到達した。
【0134】
これに対し、図9には、通常課題試験において、本装置1の経路部10内で、生後25日齢のPCB群ラットが移動した軌跡Tの一例を示す。この例では、第一室50において1つの特定領域55cと2つの候補領域55a、55bとを設定し、当該特定領域55cの前のランプ(不図示)を点滅させ、ラットが当該ランプに対応する位置に設けられた当該特定領域55cで待機行為を行った場合に、当該特定領域55cの前であって当該ランプの下に設けられた第一扉52cを開けるよう設定した。同様に、第二室60においては1つの特定領域65bを設定し、第三室70においては1つの特定領域75aを設定した。なお、図9においては、図示が煩雑になるのを回避するため、図8で示した符号の一部を省略しているが、図9に示す経路部10の構成と図8に示す経路部10の構成とは同一である。
【0135】
図9に示すように、PCB群のラットもまた、前室40から第一室50に入った後、点滅したランプに対応する特定領域55cで待機行為を行い、第一扉52cをくぐって、第二室60に侵入した。そして、このラットは、第二室60において特定領域65bで待機行為を行い、第二扉62bをくぐって第三室70に侵入し、さらに、当該第三室70において特定領域75aで待機行為を行って、第三扉72aをくぐり、最終的に後室80内の報酬(不図示)に到達した。
【0136】
しかしながら、図8と図9とを比較すると明確なように、PCB群のラットは、対照群のラットに比べて、明らかにその移動軌跡Tが長かった。また、対照群のラットについては、第一室50、第二室60、第三室70と障害を克服するのに従って、各部屋における移動軌跡Tが短くなる傾向が見られたのに対し、PCB群のラットについては、そのような傾向は見られなかった。すなわち、PCB群のラットについては、第二室60の移動距離が第一室50のそれに比べて短くなったが、第三室70の移動距離は、逆に、当該第一室50よりもさらに長くなった。このことは、例えば、PCB群のラットは、障害を克服してもなお報酬に到達できないことから混乱を生じている可能性を示している。
【0137】
また、図10には、通常課題試験における、特定領域にアクセスした回数と他の候補領域にアクセスした回数との合計回数に対する、当該特定領域にアクセスした回数の割合(正解アクセス割合)を示す。図10において、横軸は実験群を示し、縦軸には正解アクセス割合(%)を示す。生後20日齢のラットを用いた結果を白抜きの棒グラフ(PND20)で示し、生後25日齢のラットを用いた結果を黒塗りの棒グラフ(PND25)で示している。
【0138】
生後20日齢の個体では全ての実験群で、正確アクセス割合は、図中に破線で示すチャンスレベル(偶然3つの候補領域のうち1つにアクセスする割合:約33.3%)であった。これに対し、生後25日齢の個体では、全ての実験群で20日齢時点よりも統計的に有意に(p<0.05、vs PND20、by ANOVA)正解アクセス割合が増加しており、いずれの実験群のラットについても学習効果があることが確認できた。
【0139】
図11には、通常課題試験において、特定領域以外の候補領域にアクセスした回数(不正解アクセス数)を示す。図11において、横軸は日齢数(日)を示し、縦軸には不正解アクセス数を示す。また、未処置群についての結果を白抜きの丸印で示し、対照群についての結果を白抜きの四角印で示し、PCB群についての結果を黒塗りの四角印で示している。対照群及び未処置群の個体では日を追うごとに不正解アクセス数が低下した。これに対し、PCBの胎仔期曝露を行ったADHDモデル個体(PCB群)では、不正解アクセス数は低下しなかった。すなわち、例えば、図11に「*」印で示すように、生後25日齢の段階において、PCB群の不正解アクセス数は、対照群のそれに比べて統計的に有意に多かった(p<0.05、vs. Control、by ANOVA)。
【0140】
このように、ADHDモデル個体(PCB群)では、図10に示すように正解扉(対応する位置に特定領域が設定されている扉)へのアクセス割合が増加しているにもかかわらず、図11に示すように不正解扉(対応する位置に特定領域が設定されていない扉)へのアクセス数が低下しない。これは、PCB群のラットは、例えば、通常課題試験において正解ランプが点滅しているのを見落としたり、正解ランプ以外に注意が向いてしまっている結果と考えられ、当該PCB群のラットにおける、注意力散漫や衝動性亢進といったADHD症状を明確に示すものと考えられた。さらに、このADHDモデル個体では、部分的な学習能力低下の可能性も示唆された。
【0141】
図12には、通常課題試験において、各個体が報酬に到達するまでに要した時間(総所要時間)を示す。図12において、横軸は日齢数(日)を示し、縦軸には総所要時間(秒)を示す。また、未処置群についての結果を白抜きの丸印で示し、対照群についての結果を白抜きの四角印で示し、PCB群についての結果を黒塗りの四角印で示している。対照群及び未処置群の個体では日を追うごとに総所要時間が短縮し、学習効果があったことがわかった。これに対し、ADHDモデル個体(PCB群)では、日齢が進むに従い総所要時間が短縮はするものの対照群のそれよりも有意に長くなっていた。すなわち、例えば、図12に「*」印で示すように、生後25日齢の段階において、PCB群の総所要時間は、対照群のそれに比べて統計的に有意に長かった(p<0.05、vs. Control、by ANOVA)。このことは、ADHDモデル個体における多動性・衝動性亢進を示唆しているものと考えられた。
【0142】
図13には、通常課題試験において、各個体が報酬に到達するまでに移動した距離(総移動距離)を示す。図13において、横軸は日齢数(日)を示し、縦軸には総移動距離(cm)を示す。また、未処置群についての結果を白抜きの丸印で示し、対照群についての結果を白抜きの四角印で示し、PCB群についての結果を黒塗りの四角印で示している。対照群及び未処置群の個体は日を追うごとに総移動距離が短縮し、学習効果があったことがわかった。これに対しADHDモデル個体(PCB群)では、日齢が進むに従い総移動距離の短縮は全くみられず、試験をとおして対照群よりも有意に長かった。すなわち、例えば、図13に「*」印で示すように、生後25日齢の段階において、PCB群の総移動距離は、対照群のそれに比べて統計的に有意に長かった(p<0.05、vs. Control、by ANOVA)。これは、ADHDモデル個体の多動性亢進を示唆しているものと考えられた。
【0143】
図14には、通常課題試験における総所要時間に対する活動時間の割合(活動時間割合)を示す。図14において、横軸は日齢数(日)を示し、縦軸には活動時間割合(%)を示す。また、未処置群についての結果を白抜きの丸印で示し、対照群についての結果を白抜きの四角印で示し、PCB群についての結果を黒塗りの四角印で示している。対照群及び未処置群の個体では活動時間割合は試験を通じて変化しなかった。これに対し、ADHDモデル個体(PCB群)では、活動時間割合が日を追うごとに上昇した。すなわち、例えば、図14に「*」印で示すように、生後25日齢の段階において、PCB群の活動時間割合は、対照群のそれに比べて統計的に有意に長かった(p<0.05、vs. Control、by ANOVA)。このことからADHD症状の一つである衝動性の亢進があったことが確認された。
【0144】
図15には、通常課題試験における総所要時間あたりの総移動距離(移動速度)を示す。図12において、横軸は日齢数(日)を示し、縦軸には総所要時間(秒)あたりの総移動距離(mm)として算出された移動速度(mm/秒)を示す。また、未処置群についての結果を白抜きの丸印で示し、対照群についての結果を白抜きの四角印で示し、PCB群についての結果を黒塗りの四角印で示している。移動速度は、対照群及び未処置群の個体においては試験を通じて変化しなかった。これに対し、ADHDモデル個体(PCB群)の移動速度は、日を追うごとに上昇し、対照群のそれよりも有意に長くなった。すなわち、例えば、図15に「*」印で示すように、生後25日齢の段階において、PCB群の移動速度は、対照群のそれに比べて統計的に有意に長かった(p<0.05、vs. Control、by ANOVA)。このことから、PCB群のラットにおいては、ADHD症状の一つである多動性の亢進があったことが確認された。
【0145】
図16には、生後26日齢のラットについて、通常課題試験及び逆転課題試験のそれぞれにおける正解アクセス割合を示す。また、図17には、生後30日齢のラットについて、通常課題試験及び逆転課題試験のそれぞれにおける正解アクセス割合を示す。図16及び図17において、横軸は実験群を示し、縦軸には正解アクセス割合(%)を示す。すなわち、図16及び図17においては、通常課題試験において対応するランプが点滅している扉(前正解扉)に対するアクセス割合(正解アクセス割合)を白抜きの棒グラフで示し、逆転課題試験において対応するランプが消灯している扉(新正解扉)に対するアクセス割合を黒塗りの棒グラフで示している。また、破線は、図10と同様のチャンスレベルを示している。
【0146】
上述のとおり、逆転課題試験においては、それまでに行われた通常課題試験において正解だった扉(対応するランプが点滅している扉)が不正解となり、対応するランプが点滅してない扉(すなわち、消灯しているランプに対応する扉)が正解となった。そして、各個体にはなんの手がかりもあたえられないため、図16に示すように、逆転課題試験を開始した時点である生後26日齢では、全ての実験群で、点滅しているランプ(前正解扉)の下に設けられた扉(前正解扉)へのアクセス割合(すなわち、前正解扉の前に設定された候補領域へのアクセス割合)が、消灯しているランプ(新正解扉)の下に設けられた扉(新正解扉)へのアクセス割合(すなわち、新正解扉の前に設定された特定領域へのアクセス割合)に比べて高かった。すなわち、図16に「*」印で示すように、生後26日齢の対照群及びPCB群においては、前正解扉へのアクセス割合が、新正解扉へのアクセス割合に対して、統計的に有意に高かった(p<0.05、vs. Chance value、by ANOVA)。
【0147】
しかしながら、対照群の個体は、その後、すみやかに学習課題を習得した。すなわち、図17に示すように、逆転課題試験を開始してから5日後の30日齢の対照群ラットでは、新正解扉へのアクセス割合(すなわち、特定領域へのアクセス割合)が、前正解扉へのアクセス割合(すなわち、候補領域へのアクセス割合)に比べて有意に高くなった。すなわち、図17に「*」印で示すように、生後30日齢の未処置群及び対照群においては、新正解扉へのアクセス割合が、前正解扉へのアクセス割合に対して、統計的に有意に高くなった(p<0.05、vs. Chance value、by ANOVA)。
【0148】
これに対し、図17に示すように、ADHDモデル個体(PCB群)では、生後30日目の時点でも前正解ドアへのアクセス割合が新正解ドアへのアクセス割合に比べて高いままで、逆転課題の習得ができないことが確認された。すなわち、図17に「*」印で示すように、生後30日齢のPCB群においては、前正解扉へのアクセス割合が、新正解扉へのアクセス割合に対して、統計的に有意に高いままであった(p<0.05、vs. Chance value、by ANOVA)。このことから、ADHDモデル個体では、ADHD症状の一つである固執性の亢進があったことが確認された。
【0149】
なお、本発明は上述の例に限られない。すなわち、例えば、本装置1は、報酬側の端部に阻止部が形成された部屋を2つ又は3より多く備えることとすることもできる。また、例えば、本装置1は、所定の径の円周に沿って又はらせん状に、複数の部屋が直列的に設けられたものとすることもできる。また、例えば、本装置1の阻止部は、部屋と部屋との間に形成された、動物が飛び越えることのできない溝部を有するものとすることもできる。この場合、阻止部は、制御部からの指示に従い、当該溝部の全部又は一部に橋を架け渡すことによって、一方の部屋から他方の部屋への動物の移動を可能にすることができる。また、本装置1が光を発するよう作動する刺激部を有する場合には、例えば、阻止部の一部に開閉可能な扉自体が光を発するよう構成することもできる。また、本装置1の各部の寸法(部屋の広さや特定領域の大きさを含む)は、用いられる動物の大きさに応じて任意に設定することができる。
【0150】
また、所定行為は、例えば、動物が所定刺激を与えられた場合に、予め設けられたレバーを押すような操作行為であってもよい。この場合、例えば、本装置1の各部屋は、開閉可能な複数の扉が設けられた塀部、複数のランプ、複数のレバーを有し、当該各部屋において、動物が、複数のランプのうち点灯させた1つのランプに対応する位置の1つのレバーを押すと、当該動物が所定行為を行ったと判断し、当該点灯したランプに対応する位置の1つの扉を開けて、当該動物の報酬側への移動を可能にするようにすることができる。
【0151】
また、例えば、本方法及び本装置において、所定行為を行わせる場合に刺激部が作動する態様を変更することにより、動物の固執性についても評価することができる。すなわち、例えば、動物に、いったん複数の刺激部分のうち作動している1つの刺激部分に対応する特定領域で待機行為を行うよう学習させ、その後、当該動物に、当該複数の刺激部分のうち作動していない1つの刺激部分に対応する特定領域での待機行為により報酬側への移動の阻止が解除されることを学習させることにより、当該動物の固執性等を評価することができる。また、本方法は、上述の本装置1を用いて行うものに限られない。また、本方法及び本装置に用いる動物は上述の例に限られない。すなわち、上述のように白地に黒い斑点のあるラットに限られず、例えば、全身が白いラットや全身が黒いマウスを用いることもできる。移動する動物を検出するための条件は、当該動物の体の色や経路の色に応じて適宜設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の一実施形態に係る行動性評価方法に含まれる主な工程を示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置の主な構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置の制御部が行う主な処理を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置の経路部の一例についての平面図である。
【図5】図4に示すA−A線で切断した経路部の断面図である。
【図6】図4に示すB−B線で切断した経路部の断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置の制御部が行う主な処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、動物が移動した軌跡の一例についての説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、動物が移動した軌跡の他の例についての説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における正解アクセス割合についての説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における不正解アクセス数についての説明図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における総所要時間についての説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における総移動距離についての説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における活動時間割合についての説明図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験における移動速度についての説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験及び逆転課題試験のそれぞれにおける生後26日齢個体の正解アクセス割合についての説明図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る行動性評価装置を用いた行動性評価方法において測定された、通常課題試験及び逆転課題試験のそれぞれにおける生後30日齢個体の正解アクセス割合についての説明図である。
【符号の説明】
【0153】
1 行動性評価装置、10 経路部、11 制御部、12 記憶部、13 入力部、14 表示部、15 検知部、20a 第一の部屋、20b 第二の部屋、20c 第三の部屋、21a 第一の阻止部、21b 第二の阻止部、21c 第三の阻止部、22a 第一の刺激部、22b 第二の刺激部、22c 第三の刺激部、30 設定部、31 解析部、32 解除部、40 前室、41 前室塀部、42 前室扉、43 前室駆動部、50 第一室、50a 床部、51 第一塀部、52a,52b,52c 第一扉、53 第一駆動部、54a,54b,54c 第一ランプ、55a,55b,55c 第一候補領域、60 第二室、60a 床部、61 第二塀部、62a,62b,62c 第二扉、63 第二駆動部、64a,64b,64c 第二ランプ、65a,65b,65c 第二候補領域、70 第三室、70a 床部、71 第三塀部、72a,72b,72c 第三扉、73 第三駆動部、74a,74b,74c 第三ランプ、75a,75b,75c 第三候補領域、80 後室、81 報酬台、90 筐体部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物が報酬に到達するまでの経路上に順次設けられた複数の舞台であって、その各々には前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する刺激部が設けられるとともに、その各々の前記報酬側の端部には前記動物の前記報酬側への移動を阻止する阻止部が設けられた複数の舞台と、
前記各舞台における前記動物を検知する検知部と、
前記複数の舞台のうち前記動物が存在している特定の舞台において、前記刺激部が作動しているときに、前記検知部による検知結果に基づいて、前記動物が前記刺激部の作動に関連付けて予め習得した行為を行ったか否かを判断する解析部と、
前記動物が前記行為を行ったと判断された場合に、前記複数の舞台のうち前記特定の舞台における前記阻止部による阻止を解除して前記動物の前記報酬側への移動を可能にする解除部と、
を備えた
ことを特徴とする行動性評価装置。
【請求項2】
前記阻止部は、前記動物の前記報酬側への移動を阻止する開閉可能な扉を有し、
前記解除部は、前記扉を開けることにより前記阻止部による阻止を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の行動性評価装置。
【請求項3】
前記各舞台のうち一部の範囲を特定領域として特定する領域データを保持する記憶部をさらに備え、
前記解析部は、前記検知部による検知結果に基づいて、前記特定の舞台における前記動物の位置を特定する位置データを生成し、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台のうち前記特定領域に継続して予め定められた閾時間を超えて留まるという前記行為を行ったか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の行動性評価装置。
【請求項4】
前記各舞台の前記刺激部は、前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚を刺激するよう作動する複数の刺激部分を有し、
前記特定領域は、前記各舞台において、前記複数の刺激部分のうち、作動し又は作動しない一部の刺激部分に対応する領域である
ことを特徴とする請求項3に記載の行動性評価装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記各舞台のうち前記複数の刺激部分の各々に対応する互いに異なる複数の範囲をそれぞれ候補領域として特定するとともに、前記複数の候補領域のうち、前記1つの刺激部分に対応する1つの前記候補領域を前記特定領域として特定する前記領域データを保持する
ことを特徴とする請求項4に記載の行動性評価装置。
【請求項6】
前記解析部は、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台において、前記特定領域と、前記特定領域以外の前記各候補領域と、のそれぞれに入った回数を測定する
ことを特徴とする請求項5に記載の行動性評価装置。
【請求項7】
前記解析部は、前記領域データと前記位置データとに基づいて、前記動物が、前記特定の舞台において、前記特定領域と、前記特定領域以外の前記各候補領域と、のそれぞれに入っている時間を測定する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の行動性評価装置。
【請求項8】
動物が報酬に到達するまでの経路上で、下記の(a)〜(e):
(a)前記動物の前記報酬側への移動を阻止する、
(b)移動を阻止された前記動物の視覚、聴覚、又は嗅覚に刺激を与える、
(c)前記刺激を与えられた前記動物が、前記刺激に関連付けて予め習得した行為を行ったか否かを判断する、
(d)前記動物が前記行為を行ったと判断された場合に、前記動物の前記報酬側への移動の阻止を解除する、
(e)前記動物を前記報酬側に移動させる、
の各工程を順次行う手順を、前記動物が前記報酬に到達するまでに複数回行い、前記動物が前記報酬に到達するまでの行動性を評価する
ことを特徴とする行動性評価方法。
【請求項9】
前記動物として、未成熟な動物を用いる
ことを特徴とする請求項8に記載の行動性評価方法。
【請求項10】
前記動物は、ラット、マウス、又はモルモットである
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の行動性評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−131175(P2009−131175A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309068(P2007−309068)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)