説明

行者ニンニクを用いた薬酒およびその製法

【課題】滋養強壮効果に優れた薬酒を提供する。
【解決手段】行者ニンニクとクマザサを各々別の容器に適量入れた後、含アルコール液を各々入れ、適宜期間放置後、得られる各々のエキスを混合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、行者ニンニクとくまざさを用いた薬酒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、行者ニンニクは食用として多用されており、また、くまざさは茶などに加工して用いられてきたが、これら双方を用いた薬用の酒は現在のところ見あたらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
行者ニンニクはアイヌネギとも別称され、北海道と近畿以北の高原や深山に自生するユリ科の多年草であり、本州中部では亜高山地帯の針葉樹林に群生している。チューリップに似た肉厚の葉を持ち、ニンニク臭を有する。昔、深山で修行する山岳信仰の行者たちが、荒行に耐える強壮薬として、強いニンニク臭のあるこの草を食べたことからこの名がつけられたとされている。この独特の強い匂いの元となっているのが含有アミノ酸である。
この成分が血小板を溶かして血栓を予防するので、動脈硬化や脳梗塞に効果があるといわれている。さらに、発ガン物質の解毒酵素を活性化する働きがあり、アリシンやスコルジンといった成分を含み、末梢血管を拡張させて血行を促進する効果がある。
アリシンは抗菌作用のほか、ビタミンB1と結びついてアリチアミン(活性持続型ビタミン)となるので、疲労回復や強壮効果があるとされる。
一方、くまざさはイネ科の笹の一種で、葉の縁が白くなる(隈ができる)ことから隈笹とも、また、冬眠から目覚めた熊が好んで食べて体力の回復を図るところから熊笹とも呼ばれる。北海道や東北地方では、古くから薬効のある特別な植物として用いられ、その抗菌作用から笹餅やちまきなどを包んだり、握り寿司の下に添えたりして利用されてきた。
このくまざさは各種ビタミンのほか、葉緑素や笹多糖類、アミノ酸などを含有し、活性酸素の除去、コレステロールの排出、ガンの抑制、脱臭などの効果が認められており、くまざさ茶としても愛用されている。このように、従来から行者ニンニクとくまざさは健康によいものとして利用されてきている。
しかるに、行者ニンニクは食材として、くまざさは茶として別々に利用されてきているが、この度、この両者を同時に摂取することを創案し、この両者をアルコール液に漬け込むことにより、有効成分の抽出を計り、飲用することにてこれら両食材の薬効を一度に体内に取り込むことができ、またその保存にも適した、新規かつ有用なる物質及びその製法を提供することを目的として本発明が生み出されたのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、本発明の一つは、行者ニンニクとクマザサを各々別の容器に適量入れた後、含アルコール液を各々入れ、適宜期間放置後、得られる各々のエキスを混合することを特徴とする、行者ニンニクを用いた薬酒の製法である。また、本発明の他の一つは、行者ニンニクのアルコール抽出液とくまざさのアルコール抽出液を混合したことを特徴とする行者ニンニクを用いた薬酒である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、行者ニンニクの薬効成分とくまざさの薬効成分の双方を有する薬酒を得ることができ、これを飲用することにて健康増進に役立つ有効な手段として利用することができる。また、強臭のある行者ニンニクエキスに対し、くまざさエキスを適宜配分にてブレンドすることにてこの強臭を緩和することができて、カプセル等を用いることにてさらに容易に摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の薬酒の製造は以下の工程にて行う。
1.野生の行者ニンニクとくまざさを採取し、各々水洗後、水切りをする。
2.水切り後、各々約1センチメートルほどにきざむ。
3.広口瓶を2個用意し、一方には瓶口近くまできざんだ行者ニンニクを入れ、他方にも 瓶口近くまできざんだくまざさを入れ、アルコール度35パーセントのホワイトリカー を瓶口近くまで入れる。
4.瓶の蓋をして、各々暗所にて約1年間ほど放置して熟成させる。
5.熟成後、各々の瓶から抽出液を取り出し、行者ニンニクニンニクエキス80パーセン ト、くまざさエキス20パーセントの比率にて混合する。
以上にて本発明が完成する。飲用に際しては、そのままあるいは薄めて1回に数ccほど摂取すればよい。ニンニク臭に不快感があれば、カプセル飲用を行う。
薬局に市販の飲用カプセルが売られており、このカプセルは2個に分離できるので、スポイトなどにて適量吸い上げてカプセルに入れ、分離している2個をはめ込むことで、1個のカプセル形状となるので、これを水とともに飲用すればよい。
この飲用を数ヶ月続けると、薬効が現れて滋養強壮・体力増強となる。
使用するホワイトリカーはアルコール度35パーセントの市販品が適し、アルコール度が少ないと抽出効果が不十分となる。このホワイトリカーは、無色透明の蒸留酒の総称で、日本ではデンプン質や糖質の原料を発酵させた後、蒸留して造られ、甲類焼酎として市販されている。この甲類焼酎は、連続式蒸留機を用いて揮発成分の蒸発と濃縮を蒸留機の中で何度も繰り返して造られるもので、ほぼ純粋なアルコール液である。
なお、行者ニンニク、くまざさともに1年間漬け込むと琥珀色となり、瓶の下にオリがたまるので、細網などにて濾して不純物を取り除いて使用する。
【0007】
薬効のある材料、いわゆる生薬は古来より利用されてきた。
始めは水で煮て成分を取り出して飲む煎じ薬(湯液)として利用され、あるいは生薬を細かくすりつぶし、そのまま粉や丸剤にして服用することが行われていた。
その後、いろいろな飲み方が研究され、やがて古来から医薬品とされてきた酒の中へ直接生薬を入れて成分を取り出し、飲用する方法を見つける。これらの薬酒では、アルコールを含むため、消化を助けて食欲を増進させたり血行・血流をよくして体を温めたりするなどのアルコール自体の効果に加えて、生薬の薬効が加わり、より効果的な利用を可能とし、また、アルコールがプラスされることで味わい豊に飲みやすくなる。
これら薬酒の一般的な製法としては、生薬を蒸留酒に所定期間浸して薬効成分を溶出させる方法が用いられている。これら薬酒の飲用にて、補血効果、利尿作用、健胃作用、鎮痛作用、滋養強壮、強精など、使用する生薬によってこのような種々の効果が得られる。
既述のように、行者ニンニクやくまざさも薬効あるものとして以前より利用されてきたが、薬酒以外の手段での利用である。
行者ニンニクとくまざさを比較するに、一方は強いニンニク臭を有するが、他方は匂いは強くない。また、各々の薬効成分は異なるが、各々に健康によいものである。
一般的には行者ニンニクはゆでたりして食材としてそのまま利用されることが多く、保存性に難がある。また、この行者ニンニクの採取は4月〜5月頃、くまざさの採取は秋頃が望ましい。以上のことから、臭気の緩和と摂取の容易性、薬効の強化の観点から、この両者成分の混合使用を考えつき、本発明の誕生となったのである。
【0008】
両成分の混合比については好みに応じてよいが、実際に飲用してみたところ、行者ニンニクエキス80パーセント、くまざさエキス20パーセント位が適当であるとの知見を得た。行者ニンニクについての薬効は強壮効果に優れているところから、配分比を多くし、その飲用しやすさを考えて上記の配分比となった。なお、この配分比は一例であり、他の配分比でもよいが、経験上、行者ニンニクエキス70〜80パーセント、クマザサエキス20〜30パーセントが好ましいと思われる。
以上、本発明について記したが、本発明は行者ニンニクの薬酒とくまざさの薬酒をブレンドして用いるところにその特徴を有し、このブレンドにて行者ニンニクの有するニンニク臭を緩和して飲用し易くなるとともに、双方の薬効を併せ持った薬酒が得られるものとなったのである。なお、好みにより、ブレンドすなわち混合比を変更することができ、この混合比が確定すれば双方の生薬の配合比を決めて一緒に漬け込んで製造してもよい。
以上のごとく、本発明によって薬効の範囲と効果の増強が見込める薬酒を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行者ニンニクとクマザサを各々別の容器に適量入れた後、含アルコール液を各々入れ、適宜期間放置後、得られる各々のエキスを混合することを特徴とする、行者ニンニクを用いた薬酒の製法。
【請求項2】
行者ニンニクのアルコール抽出液とくまざさのアルコール抽出液を混合したことを特徴とする行者ニンニクを用いた薬酒。
【請求項3】
行者ニンニクのアルコール抽出液70〜80パーセント、くまざさのアルコール抽出液20〜30パーセントの比率で混合してなる請求項2記載の行者ニンニクを用いた薬酒。

【公開番号】特開2009−191058(P2009−191058A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64906(P2008−64906)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(507277310)
【Fターム(参考)】