説明

衛星システムからの精確な絶対時刻の転送

【課題】十分なシステム性能を発揮し、減衰又は妨害環境においても利用可能な衛星ベースの時刻転送及びナビゲーション技術を提供する。
【解決手段】衛星システムを使用して精確な絶対時刻を取得する様々な技術が提供されている。衛星からデバイスへ精確な絶対時刻を転送する方法は、フレーム構造を有するデータをメッセージングチャネルから受信することを含む。前記データを使用して衛星と衛星の位置とを識別し、衛星の識別及び位置を使用して信号の移動時間についての修正を行い、前記データを時刻基準として使用して受信機のクロックをフレーム構造に整合させることも含む。前記受信機のクロックが前記フレーム構造に整合されたら、衛星から周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を受信することを含む。前記コードのタイミング位相を決定し、前記タイミング位相を使用して精確な絶対時刻を決定することも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して時刻の転送に関し、さらに具体的には、衛星ベースの時刻転送及びナビゲーション技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な既存の衛星ナビゲーションシステムによって提供されている既存のナビゲーション及びタイミング信号はしばしば十分なシステム性能を提供しないことがある。具体的には、上記ナビゲーション及びタイミング信号の信号出力、帯域幅、及び幾何学的効力は概して、多くの厳しい運用例の要件を満たすのに不十分である。
【0003】
例えば、全地球測位システム(GPS)信号に基づく既存のナビゲーション及びタイミング法は、多くの場合ナビゲーションのユーザに利用可能なものではない。通常、GPS受信機は三次元の位置決定及び精確な時刻転送を可能にするために、少なくとも4つの同時測距源を受信しなければならない。しかしながら、GPS信号は多くの場合、提供される信号出力又は形状がビルの谷間又は建物の壁を容易に通り抜けるには不十分である。例えば、携帯電話又はテレビ信号に基づくその他のナビゲーション法では通常、垂直方向のナビゲーション情報が欠落している。
【0004】
既存のシステムでは、例えば慣性ナビゲーションシステム、特殊化した航路標識、及び感度の高いGPSシステム等の様々な方法を使用することによって、屋内のナビゲーション能力不足に対処しようと試みてきた。しかしながら、慣性ナビゲーションシステムには、ずれが生じ、費用も高くかかる。航路標識は費用が高く、標準化されていないために特殊な有用性のみを有する特殊な固定資源が必要であり、高精度のGPSシステムは多くの場合、屋内環境でのGPS信号の弱さのためにユーザの期待に応えるように機能しない。
【発明の概要】
【0005】
ある実施形態において、衛星から精確な絶対時刻を転送取得する方法は、衛星から周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を受信し、コードのタイミング位相を決定し、追加の支援情報を受信し、タイミング位相と追加の支援情報を使用して、精確な絶対時刻を決定することを含む。
【0006】
別の実施形態では、減衰又は妨害環境においてナビゲーションを行う方法は、第1衛星から受信した信号のフレーム構造を検出し、受信装置のクロックを検出したフレーム構造に整合させ、フレーム構造にしたがってそれぞれ分かれた複数の時刻推定値を生成し、ここでは少なくとも一つの時刻推定値が第2衛星の信号に整合され、時刻推定値を受信装置のシステム相関器に供給し、システム相関器を時刻推定値に整合させ、第2衛星からの信号源に整合した少なくとも1つの時刻推定値を識別し、ここでは少なくとも1つの時刻推定値により、受信装置に良好な支援情報が提供され、検出効率が大幅に向上することを含む。
【0007】
別の実施形態では、減衰又は妨害環境における使用に適した受信装置は、衛星から周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を受信し、追加の支援情報を受信するアンテナと、プロセッサと、コンピュータによって読取可能な複数の命令を記憶するメモリを含み、このコンピュータによって読取可能な複数の命令がプロセッサによって実行されると、受信装置が、コードのタイミング位相を決定し、タイミング位相と追加の支援情報を使用して精確な絶対時刻を決定する。
【0008】
別の実施形態では、減衰又は妨害環境での使用に適した受信装置は、第1衛星から周波数帯域のフレーム構造を含む精確な時刻信号を受信し、第2衛星から第2信号を受信するアンテナと、プロセッサと、コンピュータによって読取可能な複数の命令を記憶するメモリを含み、このコンピュータによって読取可能な複数の命令がプロセッサによって実行されると、受信装置が、第1衛星のフレーム構造を検出し、受信装置の内部クロックを第1衛星のフレーム構造に整合させ、第1衛星のフレーム構造にしたがってそれぞれ分かれた複数の時刻推定値を生成し、ここでは少なくとも1つの時刻推定値が第2衛星からの信号に整合されており、受信装置のシステム相関器を時刻推定値に整合させ、良好な支援情報が受信装置に供給されるように第2衛星からの信号に整合された少なくとも1つの時刻推定値を識別する。
【0009】
別の実施形態では、衛星からの精確な絶対時刻をデバイスへ転送する方法は、メッセージングチャネルからフレーム構造を有するデータを受信し、このデータを使用して衛星と衛星の位置を識別し、衛星の識別と位置を使用して信号の移動時間についての修正を行い、データを時刻基準として使用して、受信機のクロックをフレーム構造に整合させ、受信機のクロックがフレーム構造に整合したら、衛星から周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を受信し、コードのタイミング位相を決定し、タイミング位相を使用して精確な絶対時刻を決定することを含む。
【0010】
別の実施形態では、減衰又は妨害環境における使用に適した受信装置は、衛星捕捉チャネル又はメッセージングチャネルから信号を受信するアンテナと、プロセッサと、受信機のクロックと、機械によって読取可能な複数の命令を記憶するメモリを含み、この機械によって読取可能な複数の命令がプロセッサによって実行されると、受信装置が、捕捉チャネル又はメッセージングチャネルからフレーム構造を有するデータを受信し、データを使用して衛星の識別と衛星の位置を決定し、衛星の識別と衛星の位置を使用して信号の移動時間についての修正を行い、データを時刻標準として使用して、受信機のクロックをフレーム構造に整合させ、受信機のクロックがフレーム構造に整合されたら、衛星から周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を受信し、コードのタイミング位相を決定し、タイミング位相を使用して精確な絶対時刻を決定する。
【0011】
別の実施形態では、衛星システムは衛星を含み、この衛星は、第1データ信号を捕捉チャネルで伝送し、第2データ信号をメッセージングチャネルで伝送し、メッセージチャネルにより、時間パラメータ値から推定可能な既知のパターンにしたがって周波数が変更され、タイムスロットが変更され、各データ信号には、受信機が精確な絶対時刻を利用できる情報が含まれている。
【0012】
本発明の範囲は、参照することによってこの部分に組み込まれる請求項によって定義される。当業者は、一又は複数の実施形態の下記の詳細説明を考慮すると同時に追加の利点を認識することによって、本発明の実施形態をさらに完全に理解することができる。添付の図面を参照し、まず簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の一実施形態による、閉塞又は妨害環境において機能できるナビゲーションシステムの概観図である。
【図1A】図1Aは本発明の一実施形態による受信装置302の機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の一実施形態による衛星から精確な絶対時刻を転送取得する方法を示すフローである。
【図3】図3は本発明の一実施形態による低地球軌道(LEO)衛星の時刻転送構造信号の図である。
【図3A】図3Aは一実施形態による受信した衛星信号のコード位相を決定する方法のフロー図である。
【図3B】図3Bは本発明の一実施形態による減衰又は妨害環境において時刻の転送とナビゲーションを行う方法を示すフロー図である。
【図4】図4は本発明の一実施形態にしたがって無線ネットワークステーションの位置特定を行うために衛星を使用する自己形成ナビゲーションシステムを示す図である。
【図5】図5は本発明の一実施形態にしたがって衛星信号と無線ネットワーク信号を統一させることによってジオロケーションを行う方法を示すフロー図である。
【図6】図6は本発明の別の実施形態にしたがって、衛星信号と無線ネットワーク信号を統一することによってジオロケーションを行う方法を示すフロー図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態によるシンプレックスタイムスロットとその他のタイムスロットを含む時間間隔の図である。
【図8】図8は本発明の一実施形態にしたがって衛星から精確な絶対時刻を転送取得するための受信機を起動する方法を示すフロー図である。
【図9】図9は本発明の一実施形態にしたがって受信装置を実装するのに使用可能な様々なコンポーネントを示すブロック図である。
【0014】
本発明の実施形態、及びそれらの利点は下記の詳細説明を参照することによって最適に理解される。一又は複数の図面に示す類似の要素を識別するために同じ参照番号が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で説明した様々な実施形態によれば、衛星、例えば低地球軌道(LEO)衛星を採用するシステムは例えば携帯電話、又はその他の小型デバイス等の受信装置(又は受信機とも呼ばれる)を強化して、かなりの減衰、閉塞又は妨害環境においてでさえも機能できるようにするために使用可能である。本明細書の一又は複数の実施形態によるナビゲーションシステムは、全地球測位システム(GPS)衛星等の既存の発信源から受信した基本的に弱い信号に起因する受信装置の現在の問題に対処可能である。
【0016】
例えば通信衛星等の特定の衛星からの信号は一般に、例えばGPS等のその他既存の測位システムからの信号よりも強力である。上記衛星のうちの一つは低地球軌道衛星(LEO)のコンステレーション・イリジウムである。ある実施例では、LEO衛星、例えばイリジウム衛星から受信した信号と連動する受信装置は、受信機のアンテナにおける減衰が約45dB未満の信号レベルと連動可能であるが、GPS構成の受信装置は通常上記レベルでは機能しない。イリジウム構成の受信装置は、イリジウム衛星信号をより効果的に利用することによって、通常のGPS構成の受信装置が動作を停止するであろうレベルよりも約15〜20db低いところで動作可能である。
【0017】
様々な実施形態によれば、衛星システムからの精確な時刻信号を含む上記の強力な信号を使用して、例えば約1〜10マイクロ秒の精度で精確な絶対時刻を決定することができる。また、上記の強力な信号を例えば携帯電話ネットワーク、インターネットネットワーク、又はWiFi等のその他の地上ベースのインフラストラクチャからの情報とともに受信装置に転送することができる。一又は複数の実施形態によれば、衛星信号から導出した精確な絶対時刻は十分精確であるため、システム相関器が非常に狭い期間に焦点を合わせやすくなる。複数の相関器が閉塞又は妨害環境において使用される時に、精確な時刻基準という強みがないと、相関プロセスは長時間にわたる検索によって計算の負担がかかり、このような条件下においては受信機は機能し得ない。しかしながら、(約10マイクロ秒内の精度を有する)精確な絶対時刻の転送では、受信装置(又はユーザ)は、大幅な減衰又は妨害環境においてでさえも受信装置のシステム相関器を整合させることによって、GPS等の測位システムからナビゲーション信号をより良好に受信しトラッキングすることができる。したがって、本発明の実施形態は、大幅な減衰又は妨害環境においてGPS又はその他何らかの測位衛星システムを支援することができる。当然ながら、精確な絶対時刻転送を、例えばネットワークの同期等のその他の用途に使用することもできる。
【0018】
様々な実施形態において、上述した受信装置は既知の周波数(例えば、いくつかの実施形態ではイリジウムリングチャネルを捕捉に使用する)を使用して、(例えば受信機の起動とも呼ばれる)LEO衛星信号を捕捉することができる。捕捉チャネルが利用できない環境(例えば、捕捉チャネルの特定の周波数において信号が妨害される、又はその他の干渉が起きる場合)では、代替実施形態の受信機は衛星システムの(例えば捕捉チャネルとは別のチャネル等の)捕捉チャネルを使用して、時刻交替伝送(例:周波数ホッピング)のために受信機を起動させることができる。ある実施形態では、例えば(受信機を含む)システムは、「一次的な」衛星捕捉周波数(例:チャネル)が妨害されている、又はそうでない場合受信機に届いておらず、同じ衛星の伝送内でありうる「二次的な」周波数(例:チャネル)を使用して、精確な絶対時刻を受信機に供給することができるチャネルを捕捉する方法を使用することができる。
【0019】
妨害器は捕捉チャネルだけに力を集中させてその妨害の可能性を高めて、捕捉チャネルの機能性、したがってそのシステムの機能性を不能にすることができるため、例えばイリジウムリングチャネル(例:捕捉チャネル)等の(例えばそのタイムスロットの一定の搬送周波数と結合した一定のタイムスロット等の)既知の固定チャネルを使用して衛星と受信機との間の通信を確立するシステムは、妨害の影響を受けやすい。上記問題に対処するために、衛星システムの追加のチャネルでタイミング及びその他の情報の二次的な伝送を提供することができる。例えば、イリジウムでは、追加情報を4つの追加のメッセージングチャネルで提供する、又は10メガヘルツ(MHz)のイリジウム周波数帯域全体にわたって同報伝送することも可能であり、妨害器が効果的になるためには帯域の全範囲に力を及ぼす必要があるため、妨害器の妨害の可能性が下がる。4つの周波数のみにおいてでさえ、上記同報伝送の相対伝送出力及び信号符号化スキームにより、捕捉チャネル(例:既知の固定チャネル)の処理利得を超える追加の処理利得を得ることができ、既知の固定チャネルだけを使用するシステムと比較して、妨害に対する脆弱性がさらに低減する。
【0020】
代替実施形態では、一次的な(例:捕捉チャネル)及び二次的な(例:追加の)チャネルは同じ衛星コンステレーション内の異なる衛星にあってよく、または異なるコンステレーションにあってもよい。ある実施形態では、代替伝送情報及びタイミングデータを一よりも多いチャネル(例えば異なる周波数及びタイムスロット)を介して伝送して、妨害に対する抵抗性を最大限にすることができる。別の実施形態では、システムは衛星以外の伝送源を使用して、例えば無線のネットワーク信号を介して、又は無線通信を含む地上ネットワークを通して衛星から代替情報を伝送することができる。
【0021】
ここで、本発明の実施形態を示すためであり、本発明の実施形態を限定するものではない図面を参照する。図1は、本発明の一実施形態にしたがって閉塞又は妨害環境において機能できるナビゲーションシステム300の概観図である。
【0022】
図1の実施形態に示すように、ナビゲーションシステム300において、受信装置302(例:携帯電話)は衛星306から信号309を受信し、この信号309には従来のナビゲーション衛星からの全地球測位システム(GPS)信号(保護された及び/又は保護されていないGPS信号)を含むことができる。加えて、受信装置302は低地球軌道(LEO)衛星であってよい衛星304から信号305を受信する。さらに、受信装置302は例えば携帯電話ネットワーク、インターネットネットワーク、WiFiネットワーク、及び/又はその他のネットワークを含みうるネットワーク308から信号307を受信する。衛星304から受信した信号305は、衛星304で符号化された精確な時刻信号を含む。ネットワーク308を介して受信した信号307は、例えば衛星304に関連する軌道情報、受信装置302のおおよその位置、衛星304と受信装置302間のおおよその範囲(例:約3000m以内)、おおよその時刻情報(例:約5秒以内のおおよその時刻)、衛星304に関連するタイミングバイアス情報(例:衛星クロックのオフセット)、及び/又はその他の情報等の追加の支援情報を含むことができる。
【0023】
一以上の実施形態によれば、衛星306はiGPSシステム等の統合された高性能ナビゲーション及び通信システムの一部であってよい。衛星306はまた、例えば全地球軌道ナビゲーションシステム(GLONASS)を含むその他何らかの測位システム衛星の一部であってもよい。
【0024】
ある実施例では、衛星304はLEO衛星であってよく、LEO衛星は(例えばイリジウム又はグローバルスター衛星システム等の)既存の通信システムの衛星によって実行可能である。イリジウム衛星を使ってLEO衛星108を実装する一実施例においては、ナビゲーション信号の処理を円滑化するため、イリジウム衛星のフライトコンピュータのプログラムを適当なソフトウェアを用いて作り直すことができる。グローバルスター通信衛星を使って衛星304を実装する別の実施例では、衛星ベントパイプアーキテクチャにより新しい種々の信号形式に対応する形に地上機器を改良することができる。
【0025】
LEO通信衛星として衛星304を実装する実施形態では、LEO通信衛星は通信信号だけでなくナビゲーション信号をサポートすることができる。この点において、マルチパス拒否、測距精度、相互相関、対妨害・干渉耐性、及び選択的アクセス、スプーフィング防止、及び低傍受確率を含む安全性等の様々な因子を考慮して、上記ナビゲーション信号を実行することができる。
【0026】
受信装置302は、適切なハードウェア及び/又はソフトウェアで実行して、様々な宇宙及び地上の測距発信源から信号を受信しデコードしてナビゲーションを行うことができる。上記信号は例えば、GPS(又はその他何らかの測位システム(例:Glonass))、LEO(例:イリジウム又はグローバルスター衛星システム)、広域補強システム(WAAS)、欧州静止ナビゲーションオーバーレイサービス(EGNOS)、多機能衛星補強システム(MSAS)、ガリレオ、準天頂衛星システム(QZSS)、及び/又は移動衛星ベンチャー(MSV)衛星からの衛星ブロードキャストを含む。上記信号はまた、携帯電話ネットワーク、テレビネットワーク、インターネットネットワーク、WiFi、WiMAX、全国車両インフラ統合(VII)ノード、及びその他の好適な発信源を含みうるネットワーク308からの地上ブロードキャストを含む。受信装置302は、参照することにより全体が本明細書に組み込まれる、2008年5月13日発行の米国特許第7372400号明細書に記載された様々な実施形態にしたがって、実装することができる。
【0027】
受信装置302はさらに、他の宇宙・地上測距発信源のブロードキャスト信号を受信し、これをもとにナビゲーションを遂行するように構成でき、実施形態によってはかかる構成が望ましい。加えて、ここで説明する妨害保護を提供するため、例えば微小電気機械システム(MEMS)デバイスとして実装された、慣性測定装置(IMU)により受信装置302を構成することもできる。
【0028】
受信装置302は特定の用途に応じて所望の構成で実装できる。例えば受信装置302は種々の実施形態において、携帯電話として、iGPS受信機として、手持ち型ナビゲーション装置として、車両搭載ナビゲーション装置として、航空機搭載ナビゲーション装置として、またはその他のタイプの装置として、実装できる。ある実施形態では、受信装置302の位置はユーザの位置と一致する。
【0029】
図1Aは、本発明の実施形態によって示す受信装置302の機能ブロック図である。受信装置302は、一以上の衛星から衛星信号3010を受信する多重周波数アンテナ3020を含む。アンテナ3020はまた、例えば図1のネットワーク308から信号を受信することもできる。アンテナ3020は、一以上の予め選択したフィルタ3030、増幅器3040、及びA/D変換器3050に連結される。合成器3070は、温度制御水晶振動子(TCXO)3080から信号を受信し、A/D変換器3050、慣性3085及びメモリとプロセッサ(図示せず)を含むコンピュータ3060に連結される。システム相関器はプロセッサによって実装される。コンピュータ3060は、慣性3085からの生の測定値と合成器3070及びA/D変換器3050からの入力値を受信して、位置、高度、及び時刻3090の出力を生成する。A/D変換器3050のサンプリング速度は、受信装置302が対象の全てのバンドをベースバンドにダウンコンバートするように、おおむね決定される。
【0030】
一以上の実施形態によれば、稼働中に受信装置302が閉塞又は妨害され信号309(例:GPS信号)を衛星306から受信できない位置において、受信装置302はネットワーク308に支援を要求するメッセージを送ることができる。ネットワーク308は次に追加の支援情報を決定する。受信装置302は次にネットワーク308を通して取得した追加の支援情報を含む信号307を、衛星304から受信した精確な時刻信号を含む信号305と併せて使用して、そのシステム相関器を整合させて衛星306からの信号309(例:GPS信号)受信を改善することにより、閉塞環境又は妨害環境においてであってもナビゲーションを遂行することが可能になる。
【0031】
ここで、本発明の実施形態にしたがって衛星から精確な絶対時刻を転送取得する方法を示すフロー図である図2を参照する。ある実施形態において、図2は図1のナビゲーションシステム300とともに使用するように実装できるが、例えばネットワーク同期等のその他のシステム又は用途に使用するように実装することも可能である。(図1に示すような)衛星304から受信した信号305により、追加の支援情報を含む信号307と結合した時に位置特定が可能になる。追加の支援情報はネットワーク308を通して受信装置302に送ることができる。
【0032】
ブロック350では、受信装置302は衛星304からの精確な時刻信号を含む信号305を受信する。精確な時刻信号は、衛星304から周期的に反復する特定のコードとして受信される。当然ながら、特定のコードは例えば擬似ランダムコード等の任意の数のコードを含む。ある実施例では、イリジウム衛星はおおむね23秒ごとに反復する擬似ランダムコードをブロードキャストする。その他の実行形態は、交互コード構造を含む。例えば、上記のある実行形態では、粗いタイミングコードの次に擬似ランダムコードが続く。この実行形態では、粗いタイミングコードは純粋な搬送周波数の反復セグメントを含み、このセグメントは受信装置302によって簡単に検出され、例えばドップラーシフトを決定する等の様々な工程に使用可能である。この実行形態の擬似ランダムコードを使用して、高い精度で絶対時刻を決定することができるが、受信装置302にとっては粗いタイミングコードよりも検出するのが難しい。この点において、受信装置302は粗いタイミングコードを使用して擬似ランダムコードを受信すると予想されるおおむねの時刻を効率的に決定することができる。
【0033】
様々な実施形態において、衛星304から受信した信号305には詳細のナビゲーション情報を含む必要がなく、衛星304のうちの一つの衛星からの信号305の単一ブロードキャストを使用して支援技術を開始することができる。さらに、信号305のタイミング精度は通常のGPS衛星の性能より十分低下しているが、10マイクロ秒の規模の精度で十分である。ある実施例では、受信装置302は減衰環境又は閉塞環境(例:屋内)において動作可能であり、ここでは受信装置302は衛星304から信号305を受信することができるが、信号309の低電力及び環境の減衰により、衛星306から信号309を受信することができない。イリジウム衛星については例えば、反復可能な擬似ランダムコードの構造により、アンテナにおける減衰が最大約45dB、つまりほとんどのGPS受信機が受信できない値よりもさらに約15dB上回る大幅に減衰した環境においてでさえも、受信装置302が擬似ランダムコードを追尾することが可能になる。受信装置302はまた、例えば民間背景において競合信号によって信号309が妨害される可能性のある環境、又は例えば軍事背景において敵によって信号309が意図的に妨害される環境においても動作可能である。
【0034】
ブロック352では、衛星304からの信号305の(下記において「n」又は「コード位相」とも呼ばれる)コードの相対タイミング位相は、受信装置302によって低データ速度相関を使用して決定される。例えば、受信装置302を使用して信号305によって供給される高電力の非GPSの精確な時刻信号のコードを追尾し、タイミング位相を約3マイクロ秒未満以内で決定することができる。
【0035】
ブロック354では、受信装置302はネットワーク308を通して追加の支援情報を含む信号307を受信する。あるいは、例えば受信装置302が減衰環境を出たり入ったり移動している場合に、衛星304から追加の支援情報を受信することができる。一般には、追加の支援情報のアップデート速度はどちらかといえば遅く、原則的には24時間以上記憶されうる。ある実施形態では、追加の支援情報は、コードのブロードキャストの開始時刻、タイミング伝送の予想周波数、非GPS衛星軌道のモデル、及びブロック350で説明した衛星304から受信する精確な時刻信号の忠実度を改善しうる時刻バイアス修正情報を含むことができる。さらに、(例えば数秒以内の精度の)おおよその時刻はネットワーク308を通して又は受信装置302のローカルクロックによって提供される。
【0036】
ブロック356では、コードのタイミング位相を例えば、図3に関連して下に説明する数式406にしたがってネットワーク308を通して受信可能な追加の支援情報と組み合わせることによって、コードのタイミング位相が精確な絶対時刻に変換される。
【0037】
ここで、本発明の一実施形態による低地球軌道(LEO)衛星の時刻転送構造信号を示す図3を参照する。図3の時刻転送構造は、ある実施形態にしたがって図1のナビゲーションシステム300で使用するように実装可能であるが、その他のシステム又は例えばネットワーク同期等の用途にも使用することができる。この実施形態では、衛星304はイリジウム衛星とともに実装される。イリジウム衛星用の時刻転送信号が記載されているが、当然ながら本明細書の説明を変更してその他の衛星システムに適切なものとすることができる。図3の実施例において、信号305は各衛星304によって繰り返しブロードキャストされている10Kバッファサイクル402を含む。各10Kバッファサイクルは9983バイト、又は79872ビット、又は256メッセージ、又は46.08秒と等しい。1日当たりは1875バッファサイクルである。バースト当たり312ビット又は8.28ミリ秒(ms又はmsec)と等しい(メッセージとも呼ばれる)メッセージフレーム404も記載されている。その他のビットは衛星304によって予め規定されている。メッセージフレーム404の312ビットはおおむね、声が90ミリ秒ごとにアップデートされる例えば電話等の通信が発生するペイロードビットである。各フレームは0.18秒(180ミリ秒)ごとに反復し、全てのビットを使用してメッセージフレーム404の端を検出することができる。バーストはメッセージフレーム404内の特定された「タイムスロット」だけオフセットされる。
【0038】
例えば擬似ランダムコードが312ビットの場合、256メッセージを有する完全バッファがある。この実施例では、各メッセージはその他のコードと混同しないためにそれ自体の擬似ランダムコードを有する。擬似ランダムコードは約20〜40秒ごとに反復する。既知の単純な擬似ランダムコード(又はその他のコード)を用いて、256のメッセージ間を区別して大幅な処理利得を得ることができる。ある実施形態では、(例えば搬送周波数の検出を促進する)粗い単純なコードと、(例えばより精確な時刻の整合を可能にする)より精確な擬似ランダムコードとを交互にすることができる。
【0039】
ある実施例において、受信装置302を使用して今の時刻を決定することができる。バッファがロードされブロードキャストが開始する。受信装置302は正確な周波数に変更され、L帯域フレームのビットを探す。受信装置302はバッファのn番目のメッセージと一致するコードを見つける。しかしながらこれでは時刻を知ることができず、ただn番目のメッセージ(または反復コードの「コード位相」)であることのみがわかる。L帯域フレームは約90ミリ秒ごとに反復し、バッファに対するL帯域フレームカウント(LBFC)は、バッファの開始からカウント中のL帯域フレームへ経過したおおよそ90ミリ秒間隔の数として各L帯域フレームについて計算することができる。
【0040】
図2のブロック352及び354に記載するように、タイミング位相情報と追加の支援情報を図2のブロック356に記載するように組み合わせて、数式を形成して、数式406を使用して時刻が決定される図3の実施形態に対して下記の実施例にあるように正確な絶対時刻を得ることができる。数式406では、256の固有メッセージは46.08秒ごとに反復すると仮定する。
【0041】
(数1)
時刻=12:00am開始時刻+(N−1)×46.08秒+(n−1)×0.18秒+タイムバイアス+レンジ/C(光の速度)
【0042】
ここで、データリンクを介して送られる衛星304のバッファプレイバックの既知の開始時刻は、図3の数式406に示すように規定日の12:00amである。(「現在のバッファサイクル」とも呼ばれる)「N」は、開始時刻後に256メッセージの擬似ランダムコードブロックが反復する回数である。ある実施形態では、「N」は約10秒未満の精度で受信装置302のローカルクロックによって決定することができる。例えばメッセージが12:00amにブロードキャストされ、受信装置302がネットワーク308に同期したクロックを有する場合、受信装置302は現在のバッファサイクル「N」を決定することができる。つまり、受信装置302は特定の既知の変数に基づいて回数「N」の決定を助ける。
【0043】
パラメータ「N」は反復シーケンス内のコード位相である。数式406の実施例では、時刻メッセージは0.18秒ごとに再生され、256の固有擬似ランダムメッセージを含む。その後、擬似ランダムコードは最初から反復する。したがって、「n」は1〜256の間の数である。「n」は例えば擬似ランダムコードを使用して衛星304から測定され、約10マイクロ秒未満の精度である。時刻メッセージは180ミリ秒ごとに反復し、L帯域フレームは90ミリ秒ごとに反復するため、L帯域フレームカウント、LBFCと、「n」との関係は図3に示すように、おおよそLBFC=2×nであることがわかる。
【0044】
受信装置302がどのメッセージを受信したかを認識すると、コード位相「n」を決定することができる。受信装置302はノイズが存在するところでおいてさえも、相関を行ってどのメッセージを受信したかを決定することができる。例えば、ノイズがある場合、ランダムビットを受信し、その後メッセージ、そしたまたランダムビットを受信する。このため、メッセージはノイズによって破損し、破損したビット値を含む可能性がある。長いメッセージ、例えば1000ビットのメッセージが送られたと仮定すると、ビットを受信したビットと比較することができる。例えば980ビットが正しい場合、次の1000ビットを比較し、ピークに到達するまでこれを繰り返す。正しいビットの数が平均数を上回った時にピークに到達する。1000ビットのメッセージを送る実施例では、ピークが例えば600である場合、これが正しいメッセージであると決定される。このため、メッセージは特定の時刻においてノイズが存在しているところで受信され統計的に決定される。受信した衛星信号のコード位相「n」を決定する方法は、一実施形態にしたがって下の図3Aに記載される。
【0045】
「時刻バイアス」はシステム300の全てのタイミングバイアスを表すことができ、衛星304のクロック及び/又は伝送シーケンスの既知のタイムスロット変更における測定エラーを補正することができる。タイムスロットは衛星304によって提供される、又は基準ステーションによって測定される、又はサービスの一部として固定される又は予測可能である。図3の実施例では、90ミリ秒のイリジウムのメッセージフレームをタイムスロットに分割することができる。図3に示すように、バーストが生じ、メッセージフレーム内の特定のタイムスロットだけオフセットする。受信装置302はネットワーク308を通してどのタイムスロットを使用するかを知ることができる。ネットワーク308は、例えばブロードキャスト周波数及び/又はその他の要因によって頻繁に変化する伝送周波数、つまり伝送サブバンド等の基本情報を提供する。
【0046】
「レンジ」は、衛星304と受信装置302との間の距離を表し、データリンクを介して送られる衛星304の軌道モデル、受信装置302の位置の適切で正確な情報、及び(衛星の軌道モデルへの入力値である)おおよその時刻を使用して計算される。ある実施形態において、約10マイクロ秒内の精度を得るために、レンジの推定値は約3000mの精度でなければならず、これは地上の水平精度の約20000mに匹敵する。このレベルの位置づけは簡単に、例えばセルネットワーク技術を介して実現可能である。さらに、単純なビームカバレッジ法を用いて、ユーザがどの非GPS衛星ビームに現在位置しているか、及び最新のビームの時間履歴の情報に基づいて受信装置302の位置を決定することができる。その他多数の粗い位置決定法も適切に用いることができる。ある実施形態では、衛星304の衛星軌道情報(天体位置表)は、様々な時点における衛星のコンステレーション内の衛星304の位置等の情報、及び受信装置302が衛星304から精確なクロック値を取得するために使用することができるその他の情報を含む。この実施形態では、ネットワーク308は1キロ未満以内で受信装置302(又はユーザ)の位置を簡単に決定することができる。レンジの精度は約3キロであってよい。受信装置302のおおよその時刻を軌道情報とともに使用して、衛星304の位置を決定することができる。衛星304のレンジが決定した後で、これを次に(「C」とも呼ばれる)光の速さで割る。
【0047】
図3Aは一実施形態にしたがって受信した衛星信号のコード位相を決定する方法のフロー図である。図3Aに衛星304がイリジウム衛星を含むある実施例を示す。ブロック2010では、データを含む信号をイリジウム衛星から受信し、(図1Aに示すように)適切なアンテナ、増幅器及びダウンコンバータを有する受信装置で全イリジウム周波数帯域にわたって収集することができる。ブロック2020では、受信データを例えば1606MHzだけダウンコンバートし、データを例えば一秒あたり50Mサンプルでサンプリングすることができる。
【0048】
ブロック2030において、サンプリングされたデータを捕捉し、適切なブロック、例えば一秒セグメントのブロックのメモリに記憶することができる。
【0049】
ブロック2040では、サンプリングされたデータの粗い取得検索が行われる。この実施例では、詳細処理のために約9ミリ秒のデータを選択する。捕捉データのドップラーは、既知の軌道モデル及び推定時刻を使用して推定することができる。データは既知の(又は推定される)周波数のサブバンド及びアクセスに基づく正弦及び余弦関数でデジタル的に復調される。復調はまた推定ドップラー周波数も含む。データは次に、例えば約111の因数で間引きすることができる。高速フーリエ変換(FFT)を間引きデータに使用して、最高ピークと関連周波数を決定することができる。関連周波数を使用して次の反復における復調をさらに改善することができることを注記したい。一般に復調の結果DCが発生するが、不完全なドップラー推定では一般に低周波数成分が発生する。次に、下記の1ミリ秒ブロックのサンプリングデータを考察し、プロセスを繰り返し行う。
【0050】
ブロック2050では、処理データのピークについてスクリーニングして整合性のチェックを行う。例えば、ピークは「n」×90ミリ秒だけ離れている。
【0051】
ブロック2060においてピークがスクリーニングされたら、粗いピーク+180ミリ秒−0.5×ウィンドウの位置において詳細の取得を行うことができる。ウィンドウはコードがあると予想される時刻のレンジを表す。例えば、受信データをコードの128の非ゼロメッセージに対して相互相関し、その次に相互相関の最高ピークを記録し、タイムステップを特定の数のマイクロ秒で増加させることができる。このプロセスはその後、ウィンドウの持続時間中繰り返すことができる。
【0052】
ブロック2070では、どのメッセージによって最高ピークが生成されたかを知ることにより、また相対時刻を知ることによって、データが捕捉された時に受信装置によりコード位相が決定される。コード位相が決定されると、図3の数式406に対して上述したように、精確な絶対時刻を決定することができる。
【0053】
一以上の実施形態にしたがって上述した技術により精確な絶対時刻が計算された後で、精確な絶対時刻は例えばネットワーク同期等の多様な用途に、又は例えばGPS等の位置決定システムへの支援として使用することができる。
【0054】
位置決定支援実施形態において、上述したように決定された精確な絶対時刻を用いて、例えばGPS受信機等の受信装置302の「焦点を合わせる」又は受信装置302の相関器の調整をすることができる。この場合、GPS受信機は多様な平行位置決定システム相関器を有することができ、(本明細書に説明した技術を使用して)十分に時刻整合されると、この平行位置決定システム相関器は妨害環境又は減衰環境においてでさえも、例えばGPS衛星等の衛星306から例えばGPS信号等の信号309をロックオンすることができる。
【0055】
受信装置302はまたドップラーシフトを補正することもでき、ドップラーシフトとは、オブザーバーに対して放射源が動くことよって発生する放射波の周波数の変化である。衛星が空を移動すると、衛星信号の伝送周波数が変化する。時刻の情報を使用することによって、受信装置302はドップラーシフトを予測し補正して正しい周波数を取得することができる。一実施形態では、ドップラーシフトを下記の数式によって計算することができる。
【0056】
(数2)
ドップラー=レンジレート ÷ C × 標準の伝送周波数
【0057】
上述したように、衛星304のレンジとは、受信装置302の位置と衛星304の位置との間の距離である。レンジレートとは、例えば2つの異なる時点の間を移動した距離に基づく速度の測定値とは違う、レンジ及び時刻の関数である。最後に、上記のドップラー数式において、例えばイリジウム衛星の予定伝送周波数はおよそ1.6GHzである。「C」は光の速さである。
【0058】
ネットワーク308は、衛星の情報だけでなく信号の前調整情報を提供し、これによりドップラーシフトが発生した時に、信号は必要に応じて変化して調和したままに保たれる。
【0059】
衛星304のドップラープロファイルもまたタイミング情報を決定するための支援となる。受信装置302は経時的に衛星304から受信する様々な信号305を監視することができる。衛星304が頭上を移動する時に発生するドップラーシフトを決定することによって、受信装置302は、受信装置302の位置の精確な決定とタイミング情報を得ることができる。したがって、図3の数式406を再び参照すると、受信装置302の位置の推定は衛星304のドップラープロファイルを参照することによって行うことができる。
【0060】
したがって、上述した実施形態において、数式406による精確な絶対時刻を、宇宙ネットワーク(例:一以上の衛星304及び/又は306)をサポートする地上ネットワーク(例:ネットワーク308)がある受信装置302に送ることができる。
【0061】
下に図3Bに対してさらに詳しく説明する別の実施形態では、例えば、イリジウム衛星のネイティブL帯域バースト構造信号を使用することによって、上述したように提供される追加の支援情報なしに精確な絶対時刻を得ることができる。様々な実施形態では、衛星304は例えばイリジウム等のLEO衛星であってよく、衛星306はGPS衛星であってよい。上記実施形態では、イリジウム衛星は1610〜1625MHzのL帯域構造による周波数を使用することが知られている。GPSキャリアはまたL帯域内にあり、1176.45MHz(L5)、1227.60MHz(L2)、1381.05MHz(L3)、及び1575.42MHz(L1)周波数に中心をおく。イリジウムとGPS周波数が近接しているために、受信装置302は余分なアンテナを必要とせずに、イリジウム及びGPS衛星システムの両方の衛星システムから信号を受信することができる。
【0062】
各イリジウム衛星は、協定世界時(UTC、Fr.Temps Universel Coordonne、グリニッジ標準時又はグリニジ平均時)に対し10マイクロ秒の精度でクロックドリフトなしに監視され維持される内部クロックを維持する。したがって、イリジウム衛星によって提供されるL帯域信号はおおよそ10マイクロ秒内でUTC時と正確に協調する。L帯域イリジウム衛星信号は90ミリ秒フレームで構造化されている。したがって、イリジウム衛星信号のL帯域フレームの端を決定することによって、正確なタイミング情報を得ることができる。
【0063】
ここで、本発明の一実施形態にしたがって減衰環境又は妨害環境において時刻の転送及びナビゲーションを行う方法のフロー図を示す図3Bを参照する。図3Bに示す方法は、図1のナビゲーションシステムとともに実行可能であるが、この実施形態においてはネットワーク308を介して提供される追加の支援情報は利用できない。
【0064】
ブロック502では、衛星304から(例えばL帯域イリジウム衛星信号によって実行された時に)ブロードキャストされた信号305のフレーム構造が受信装置302によって検出される。明確に定義された又は正確なコードがなくても、受信装置302はイリジウム伝送信号のL帯域フレームを検出することができる。この実施形態ではネットワーク308からの追加の支援情報が利用できないと仮定しているため、受信装置302は絶対時刻の連続的な推量又は推定を行う。十分な事前情報を有することにより、時刻推定の数は多くの場合妥当な数となるはずである。例えば、イリジウムフレーム構造の100フレーム内に一つGPS秒が含まれる。したがって、時刻推定又は推測の数は100回に減らすことができる。
【0065】
ブロック504では、連続的な推定値が生成された後で、受信装置302のローカルクロックを衛星304の信号305のフレーム構造に整合させる。
【0066】
ブロック506において、フレーム構造信号にしたがってそれぞれ分離された複数の時刻推定値が生じ、少なくとも一つの時刻推定値が衛星306の信号309に整合される。
【0067】
ブロック508において、時刻推定値は受信装置302の平行相関器に供給される。平行相関器は次に時刻推定値にしたがって整合される。
【0068】
ブロック510において、衛星306の信号309に整合した時刻推定値が識別され、受信装置302に支援情報が供給される。この支援情報により、衛星306の信号309を効率的に検出する受信装置302の性能が上がる。つまり、衛星304の実装にイリジウム衛星が使用される実施形態にしたがって上述したように、多数の平行通話を効果的に利用して、例えば衛星信号のフレーム構造のフレーム端を決定することが可能である。この実施例において、イリジウムは90ミリ秒のフレーム構造を有する。100フレームごとに、それと並んで対応するGPS秒がある。したがって、100フレームを試みることによって支援情報を得ることは、無限数の推定を試みることによって支援情報を得るよりもたやすいため、フレーム端を知るだけで、GPS処理が大幅に改善される。
【0069】
図面1〜3Bに対して上述された一以上の実施形態にしたがって精確な絶対時刻を取得するシステム及び方法を使用して、(例えばWiFi送受信機、WiFi対応デバイス、802.11対応デバイス、又はその他の無線デバイス等の)無線ネットワークステーションの調査を即時に開始することによって屋内のナビゲーションを促進することができる。一以上の実施形態によれば、上述した精確な絶対時刻を使用することによって、無線ネットワークステーション(例:インターネットホットスポット及び/又はその他の種類の無線ネットワークステーション)は受信装置302に対し(調査対象の位置を有する)位置決定航路標識として機能する。この結果、受信装置302のローミングユーザが屋内環境においてナビゲーションを行うことができる。
【0070】
図4は本発明の一実施形態による、衛星を使用して無線ネットワークステーションの位置特定を可能にする自己形成型ナビゲーションシステム300aを示すものである。図4において、受信装置302aは、無線ネットワークステーション702、704、及び706からの支援情報を含む測距信号701、703、及び705を受信するように構成されている。各無線ネットワークステーション702、704、及び706はネットワーク708と信号通信しており、衛星304aからも精確な時刻及び測距信号710を受信する。ある実施形態では、受信装置302aの位置はローミングユーザの位置と対応する。
【0071】
当然ながら、無線ネットワークステーション702、704、及び706は、WiFi送受信機だけでなくその他の無線ネットワークステーションデバイス、機器構成、及び/又はネットワークを含むことができる。さらに、ネットワーク708はインターネット又は例えば携帯電話ネットワーク又はTVネットワーク等のその他の適切なネットワークを含みうる。
【0072】
本発明の実施形態にしたがって、供給された衛星信号と無線ネットワークステーション信号を統合することによってジオロケーションを行う方法のフロー図を示す図5を参照する。図5のフロー図は、図4のナビゲーションシステムで使用するように実行可能である。この実施形態において、例えばイリジウム衛星及びGPS衛星からの衛星信号をWiFi又は802.11タイプの信号と統合させることができる。
【0073】
ブロック802において、受信装置302aは精確な絶対タイミングコード信号710を、(図1〜3Bに対し一以上の実施形態にしたがって上述したように)例えばLEO衛星等の衛星304aから例えばブロードキャストされた擬似ランダムコード等の反復コードの形態で受信する。1-3B).
【0074】
ブロック804では、受信装置302aは無線ネットワークステーション702、704、及び/又は706を介して支援情報を受信する。
【0075】
ブロック806では、精確な絶対タイミングコード信号710を無線ネットワークステーション702、704、及び/又は706からの支援情報とともに使用して、数マイクロ秒の精度内の精確な絶対時刻を決定する。
【0076】
ブロック808では、例えばGPS相関器等の受信装置302aのシステム相関器を、精確な絶対時刻を使用して整合させて、閉塞環境における例えばGPS位置決定等の位置決定をしやすくする。
【0077】
ブロック810では、受信装置302aは、精確な絶対時刻を使用することによって決定した位置決定情報を使用して、無線ネットワークステーション702、704、及び706の位置を調査する。
【0078】
ブロック812では、受信装置302aは測距コードで伝送される無線ネットワークステーション702、704、及び706の位置情報を受信する。
【0079】
ブロック814では、受信装置302aは一以上の無線ネットワークステーション702、704、及び706からの位置決定情報と測距情報を結合させることによって絶対ジオロケーションを行う。
【0080】
ある実施形態において、所望する場合は、ローミングユーザの位置(例:受信装置302aの位置)を無線ネットワークステーション702、704、及び706を通して伝えることにより、ユーザのトラッキングをしやすくすることができる。
【0081】
図6は、本発明の別の実施形態にしたがって衛星信号と無線ネットワーク信号を統合することによってジオロケーションを行う方法のフロー図を示す。図6のフロー図を図4のナビゲーションシステムに使用するように実行可能である。この実施形態において、航路標識として機能している無線ネットワークステーションの位置決定はまた、例えばイリジウム衛星信号(のみ)とWiFi又は802.11タイプの信号を(より長い統合時間で)統合することによって実現可能である。
【0082】
当然ながら、ブロック802〜806の図5に対して上述した方法をこの実施形態において使用して、数マイクロ秒の精度内で精確な絶対時刻を決定することができる。絶対時刻が決定したら、図6のブロック910において、受信装置302aのシステム相関器は絶対時刻を使用して整合し、閉塞環境における位置決定をしやすくする。
【0083】
ブロック912では、受信装置302は経時的に複数の衛星の(例えばイリジウムiGPS測距コード等の)衛星の測距コードを測定する。
【0084】
ブロック914において、無線ネットワークステーション702、704、及び706は不動であり、測距コードは例えば軌道情報等の衛星の情報及びタイミング信号が結合される。
【0085】
ブロック916では、受信装置302aは繰り返して通過する複数の衛星(例:イリジウム)を統合することによってマルチラテレーションを使用して位置決定の計算をする。
【0086】
ブロック918では、WiFi送受信機702、704、及び706の位置が位置決定情報を使用することによって調査される。
【0087】
ブロック920では、受信装置302aは測距コードで伝送されたWiFi送受信機702、704、及び706の位置の情報を受信する。
【0088】
ブロック922では、受信装置302aは一以上のWiFi送受信機702、704、及び706からの位置決定情報及び測距情報を結合させることによって、絶対ジオロケーションを行う。
【0089】
図7は本発明の一実施形態によるシンプレックスタイムスロット及びその他のタイムスロットを含む(フレーム又はタイムフレームとも呼ばれる)時間間隔700を示す。図7に示すように、時間間隔700は約90ミリ秒の長さであり、約20.32ミリ秒にわたるシンプレックスタイムスロット、各々約8.28ミリ秒の長さの4つのアップリンクタイムスロットUL1〜UL4、及び4つのダウンリンクタイムスロットDL1〜DL4を含む。
【0090】
通信チャネルは(例えばナビゲーションシステム300又はイリジウム衛星ネットワーク等の)通信システム又は衛星システムにおいて、(例えば時間間隔700等の)90ミリ秒フレームを使用した時分割二重(TDD)に基づくハイブリッド時分割多重アクセス周波数分割多重アクセス(TDMA/FDMA)アーキテクチャを使用して実行することができる。特有のチャネルは例えば特定のFDMA周波数(例:搬送周波数帯域)及びTDMAタイムスロット(例:図7に示すシンプレックス、アップリンク、又はダウンリンクタイムスロット)であってよい。チャネルはまた、例えば許容範囲の同一チャネル干渉制限、又はタイム多重化等のその他のチャネル干渉回避法を実行することによって異なる地理的な位置において再利用することもできる。したがって、チャネルの割り当てには周波数キャリアとフレーム内のタイムスロットの両方が含まれうる。
【0091】
ある実施形態では、シンプレックスタイムスロットは、世界中のユーザが広く捕捉チャネルを使用できるように、全世界的に一定に保たれる既知の周波数を使用することができる捕捉チャネルを含むことができる。 捕捉チャネルはダウンリンクチャネルであってよく、ダウンリンクチャネルはユーザの呼出しを完了させるためにどの周波数にアクセスすべきかを含みうる警告をユーザのデバイスに送るTDMAを使用してフォーマットされている。捕捉チャネルのTDMA構造により、例えば時間間隔700等の一フレームで複数の警告を送ることが可能になる。また、例えばその他のチャネルは、チャネルの捕捉及びハンドオフを可能にするために必要な情報を提供することによって、(例えば携帯電話、又はその他の小型電子デバイス等の)ユーザのデバイスをサポートすることができる。
【0092】
捕捉チャネルを同様に用いて、(例えば携帯電話、又はその他の小型電子デバイス等の)ユーザの機器にチャネル捕捉及びハンドオフの情報を提供することができる。これが攻撃下のクリティカルアセットに関連して使用されるかもしれない状況では、捕捉チャネルが妨害された場合に、緊急に必要とするときに主要なアセットが利用できない可能性がある。このような状況を緩和するには、一以上の周波数(例えば、イリジウム衛星システムでは4つのメッセージングチャネルが利用可能である)で第2の送信をブロードキャストすることができる。原則的には、第2の送信は例えば、10MHzのイリジウム周波数帯域全体にわたってブロードキャストすることができる。上記の広域スペクトルの第2送信には例えば、衛星システムを妨害しようとする上で、10MHzのスペクトル全体にわたってその力を広げるための妨害器が必要であり、このため、妨害器の妨害する潜在能力を低下させることになる。
【0093】
ある例示の実施形態、例えばイリジウムシステムでは、シンプレックスタイムスロットチャネル(例:捕捉チャネル及びメッセージングチャネル)に対して12周波数のアクセス帯域がリザーブされている。これらのチャネルは世界的に割り当てられている1626.0〜1626.5MHzの500kHz帯域に位置している。これらの周波数アクセスはダウンリンク信号にのみ使用可能であり、シンプレックスタイムスロットにおいてはこれらの周波数のみが送信されうる。イリジウム実施例の下記の表1に示すように、シンプレックスタイムスロットにおいては4つのメッセージングチャネルと一つのリングアラートチャネルが利用可能である。
【0094】
【表1】

【0095】
リングチャネルが何らかの理由で利用できない(例えばリングチャネルが妨害されている)時は、シンプレックスタイムスロットにおいてリングチャネル(リングアラートチャネル)とともに代替周波数に位置する4つのメッセージングチャネルを、チャネル捕捉及び精確な絶対時刻の転送に使用することができる。(表1に示す)イリジウムのメッセージングチャネルはそれぞれ第4、第3、第2、及び第1のメッセージングチャネルであるチャネル3、4、10、及び11である。このため、ある実施形態では、衛星は時間パラメータ値(例:周波数ホッピング、TDMA/FDMA)から計算できる既知の(推測的な)又は予測可能なパターンにしたがって、捕捉チャネル(例:イリジウムのリングチャネル)で、及びメッセージングチャネル(例:タイムスロット及び周波数)で、(例えば受信装置が精確な絶対時刻を利用可能なL帯域フレームを含むリングメッセージデータ等の)データ信号を送信することができる。
【0096】
特定の情報(例えばLBFC,宇宙ビークル特定(SVID)、衛星のx、y、及びz位置座標)を使用して、受信機のクロックを許容可能な精度に整合させて、(例えば表1に示すメッセージング周波数のうちの一つ等の)周波数の検出を可能にすることができる。捕捉チャネルの利用可能性がないところにおいて(例えばLBFC、SVID等の)捕捉に使用されるデータを全体的に、ある代替メッセージングチャネル内で位置確認することができる。ある代替実施形態では、捕捉データは例えば異なる暗号を有する複数の代替メッセージングチャネル全体のパーツに位置していてもよい。上記実施形態は、一般的な情報の権限なしのアクセス利用の可能性をさらに低減するために、又は一つの暗号化又は両方の暗号化方法を悪徳ユーザが利用する心配がある場合に、有用に実行することができる。例えば、高い安全性が要求される状況においては、一つのメッセージングチャネルでは捕捉データの第1部分が一つの暗号化方法を介して受信装置に供給され、捕捉データの第2部分が第2の暗号化方法を介して供給される。さらに、別のチャネルにアクセスするために一つのチャネルを介して追加の安全性情報にアクセスできるという点において、捕捉データを入れ子化することができる。
【0097】
図8は本発明の一実施形態にしたがって衛星から精確な絶対時刻を転送取得するために受信装置を起動させる方法800を示す。ブロック1010において、(例えば本明細書に記載した様々な受信装置のいずれか等の)受信装置が、例えば低地球軌道(LEO)衛星(例:イリジウム衛星)であってよい衛星304等の衛星から捕捉チャネルを介してデータを受信しようとする。受信装置は、捕捉チャネルから(「訪問メッセージ」とも呼ばれる)リングメッセージの形態でデータを受信しようとする。
【0098】
通常のリング又は訪問メッセージはデコードされると、LBFC=485215784;SVID=34;ビームID=6;X座標=127;Y座標=−1140;Z座標=1102等の情報を含むことができる。
【0099】
これに関しては、SVIDを使用してどの衛星がメッセージの情報を中継しているのかを知ることができる。情報を提供するためにビームID番号を必要としないが、参照することによって全体が本明細書に組み込まれる2010年4月8日出願の米国特許出願番号第12/756961号明細書に例えば記載されるようなジオロケーションを用いた適用可能な用途の受信装置によって使用されうる。X、Y、及びZ座標は、衛星の位置の座標であり、宇宙ビークル(衛星)から受信装置までの信号の移動時間を修正するのに使用できる。X、Y、Z座標をジオロケーションに使用することもできる。
【0100】
LBFC番号に関しては、イリジウムバーストシーケンスは90ミリ秒ごとのいわゆるL帯域フレームに生じる。LBFC番号は事実上マイクロ秒の精度を有するクロックである。LBFC番号は例えば、(「era」とも呼ばれる)既知の基準開始時刻から90ミリ秒フレームの数をカウントする32ビットの数であってよい。例えば、午前12時の開始時刻が図3に示されている。L帯域フレーム(したがってLBFC)の端はマイクロ秒のレベルの精度であるため、リングメッセージは90ミリ秒ごとに時を刻む非常に正確なクロックとして機能し、使用することができる。
【0101】
ブロック1015において捕捉チャネルが利用可能である場合、受信装置は捕捉チャネルからリングメッセージデータを受信することができ、そして本方法はブロック1030に続く。さもなければ、本方法はブロック1020に続く。
【0102】
これに関して、既知の固定の周波数チャネル(例:捕捉チャネル)を上述した主要な捕捉情報を得るための唯一の予測可能な位置として頼ると、応用対象をサポートするためにイリジウムを用いるすべての重要な供給源が干渉にさらに弱くなる可能性がある。この同じ主要な捕捉情報を上述のシンプレックスタイムスロットメッセージングチャネルに入力することで、ブロック1020において特定された受信装置が、(例えば上述したチャネル3、4、10、11等の)メッセージングチャネルの一つから(例えばリングメッセージデータ等の)チャネル捕捉データを受信しようと試みる(例えば代替メッセージングチャネルの中を探索する)。リングメッセージデータをシンプレックスタイムスロットメッセージングチャネルに入力することで、衛星システムが複数の周波数に妨害の脅威を広げることができ、信号出力を9dB上げて衛星システムを妨害に対してさらに強固にすることができる。
【0103】
ブロック1030では、受信装置はメッセージングチャネルのうちの一つで(例:又はブロック1015で決定したように利用可能である場合は捕捉チャネルを介して)暗号化されたリングメッセージデータを受信することができる。様々な実施形態では、リングメッセージデータのコード化を特別なユーザ(例:米軍)のために特に暗号化することができる。
【0104】
例えば、特別なユーザにさらなる優先度を与えるために既存のイリジウム衛星システムを再フォーマットするいくつかの異なる方法があってよい。あるオプションでは例えば、呼び出し優先順位及び優先レベルを追加的に拡張してさらなるレベル、割り当てレベル、例えばサービス品質(QoS)又はサービスレベル(LoS)を含める、又はシステムにレベルキューイング方法を加える。例えば、重大な用途に対する呼び出しには、特定の数、例えば4によって表されるより高い優先度を割り当てることができる。これらの呼び出しが捕捉チャネルにアクセスできなかった場合、呼び出しには必要な情報にアクセスするための4つのチャネルのうちの一以上のチャネルのバックアップ周波数が含まれうる。加えて、加入者同定モジュール(SIM)カード又はその他同様に機能するデバイスをイリジウムの捕捉制御スキーム用に定義された特定捕捉クラスでプログラミングすることができる、又は捕捉制御スキームをこの特例を満たすように拡張することができる。これらの特例用の信号を暗号化して安全性のレベルをさらに高めることができる。暗号化されたリングメッセージデータは、ブロック1040において受信装置によって解読しダウンコンバートすることができる。
【0105】
ブロック1050において、受信装置は解読したリングメッセージデータを使用して、リングメッセージデータが送られた衛星を特定し、リングメッセージデータ内の位置座標情報を使用して、衛星と受信装置との間の信号の移動時間についての修正を行うことができる。精確な時刻を得るために、受信装置は図3に示す数式406と類似の下記数式:
【0106】
(数3)
時刻 = LBFC × 90ミリ秒 + 現在の日付及び開始時刻
のL帯域フレームカウント(LBFC)を使用することができる。
【0107】
上記の数式において、現在の日付及び開始時刻はシステムに対して定義された既知の日付及び時刻に基づくものであってよく、受信装置はこの事前情報を有していてよい。各L帯域フレームは90ミリ秒ごとに繰り返される(LBFCインクリメント、例えば勘定に1を加える)。(例えば、受信装置が信号を受信する瞬間等の)L帯域フレームの端により、受信装置が受信装置の時刻をマイクロ秒レベル(例えばブロック1060において受信装置のローカルクロックを整合させる等)の精度に維持することが可能になる。受信装置はまず信号の移動時間に対して修正を行うが、これをするためには、受信装置はデータを供給している衛星(SVID)、及び衛星が適切な座標系の(X、Y、及びZ座標)空のどこに位置しているかを知らなければならない。これらの情報はいずれも上述したように、リングメッセージデータにおいて利用可能である。さらに精度を高めるために、受信装置が衛星の軌道モデルにアクセスできるとよい。受信装置は軌道モデルを局所的に有することができる、又は軌道モデルはネットワーク(例:ネットワーク308)上で送られてもよく、受信装置は必要に応じて情報の読み出し及び処理のためにアクセスすることができる。
【0108】
ブロック1070では、受信装置は上述したように受信した衛星信号のコード位相を決定するために、ブロック2010から始まる図3Aのプロセスを行うことができる。
【0109】
図9は本発明の一実施形態にしたがって受信装置1100を実行するために使用可能な様々なコンポーネントを示すブロック図である。これについては、受信装置1100を使用して本明細書に記載される様々な受信装置を全て実行することができる。例えば、ある実施形態において、受信装置1100を使用してナビゲーションデバイスを実行することができる。
【0110】
受信装置1100はアンテナ1110、無線周波数(RF)フロントエンド及びデジタイザー1115、プロセッサ1120、クロック1130、メモリ1140、及びその他のコンポーネント1150を含むことができる。
【0111】
アンテナ1110は、本明細書に記載される様々な実施形態にしたがって信号を送る及び/又は受けるために使用する一以上のアンテナとして実装可能である。
【0112】
RFフロントエンド及びデジタイザー1115は、増幅器、無線周波数ダウンコンバータ、及びアナログ−デジタル(A/D)コンバータを含むことができる。RFフロントエンド及びデジタイザー1115は、アンテナ1110からの信号を処理して、信号から得た情報をプロセッサ1120へ提供する。
【0113】
プロセッサ1120は、一以上のメモリ1140、及び一以上の持続的な機械(又はコンピュータ)によって読み取り可能な媒体1190(又は両方)に記憶された(例えばソフトウェア等の)適切な命令を実行することができる一以上のプロセッサとして実装可能である。クロック1130(例:受信機のクロック)は、上述した様々な技術によって整合される又は動作するクロックであってよい。
【0114】
その他のコンポーネント1150を使用して、受信装置1100のその他全ての望ましい特徴を実行することができる。当然ながら、適切な場合には、本明細書に記載した一以上の衛星は、図9に示すのと同じ、類似の、又は補完的なコンポーネントで実行することが可能である。
【0115】
ある実施形態によれば、ローミングユーザの位置を(必要に応じて)無線ネットワークを通して伝えることによって、ユーザのトラッキングを促進することができる。
【0116】
測距を決定するために、例えば到着時刻の差が決定される。WiFi送受信機は例えば電話又はコンピュータ等の受信装置302aへメッセージを送ることができ、受信装置がメッセージを受信するとすぐにメッセージがWiFi送受信機に返信される。コンピュータ又は電話の処理期間は周知である。WiFi送受信機は、受信装置302aがWiFi送受信機に応答するのにかかった時間を知っている。したがって、到着時刻の差(DTOA)を計算することができ、到着時刻の差は受信装置の処理期間と受信装置がWiFi送受信機へ返信するのにかかった時間をプラスしたものと等しい。
【0117】
必要に応じ、本発明によって提供される様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して実行することができる。また必要に応じ、本発明の精神から逸脱せずに、本発明に記載される様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントを、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はこれらの両方を含む複合コンポーネントに組み合わせることができる。必要に応じ、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書に記載した様々なハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントを、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれら両方を含むサブコンポーネントに分離することができる。さらに、必要に応じ、ソフトウェアコンポーネントをハードウェアコンポーネントとして実装することができ、反対にハードウェアコンポーネントをソフトウェアコンポーネントに実装することができる。
【0118】
本発明によるソフトウェア、例えばプログラムコード及び/又はデータを、一以上のコンピュータによって読み取り可能な媒体に記憶させることができる。本明細書で特定されたソフトウェアは、ネットワーク化された、及び/又はそれ以外の一以上の汎用コンピュータ又は特定目的のコンピュータ及び/又はコンピュータシステムを使用して実装可能である。必要に応じて、本明細書に記載された様々なステップの順番を変更する、組み合わせて複合ステップにする、及び/又は分けてサブステップとして、本明細書に記載された特徴を提供することができる。
【0119】
上述した実施形態は説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。また当然であるが、本発明の原則にしたがって多数の変形及び変更が可能である。したがって、本発明の範囲は下記の請求項によってのみ定義されるものである。
【符号の説明】
【0120】
300 ナビゲーションシステム
302 受信装置
304 衛星
305 信号
306 衛星
307 信号
308 ネットワーク
309 信号
3010 衛星信号
3020 多重周波数アンテナ
3030 フィルタ
3040 増幅器
3050 A/D交換器
3060 コンピュータ
3070 合成器
3080 温度制御水晶振動子
3085 慣性
3090 位置、高度、時刻の出力
402 バッファサイクル
404 メッセージフレーム
406 数式
300a 自己形成型ナビゲーションシステム
302a 受信装置
304a 衛星
700 時間間隔
701 測距信号
702 無線ネットワークステーション
703 測距信号
704 無線ネットワークステーション
705 測距信号
706 無線ネットワークステーション
708 ネットワーク
710 時刻及び測距信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からデバイスへ精確な絶対時刻を転送する方法であって、
メッセージングチャネルからフレーム構造を有するデータを受信し、
前記データを使用して、衛星と、衛星の位置を識別し、
前記衛星の識別及び位置を使用して信号の移動時間についての修正を行い、
前記データを時刻基準として使用して前記受信機のクロックを前記フレーム構造に対して整合させ、
前記受信機のクロックが前記フレーム構造に対して整合されたら、周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を衛星から受信し、
コードのタイミング位相を決定し
前記タイミング位相を使用して精確な絶対時刻を決定する
ことを含む方法。
【請求項2】
捕捉チャネルが利用できないことに応じて、前記捕捉チャネルとは異なるメッセージングチャネルからデータを受信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メッセージングチャネルは、データを伝える複数のメッセージングチャネルのうちの一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記メッセージングチャネルがデータを伝える複数のメッセージングチャネルのうちの一つであり、受信機は前記データの事前捕捉情報を保有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メッセージングチャネルが、同じ衛星からのデータを伝える複数の別個のメッセージングチャネルのうちの一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メッセージングチャネルが、データを伝える複数のメッセージングチャネルのうちの一つであり、
前記メッセージングチャネルのうちの少なくとも一つは異なる衛星からデータを伝え、
前記衛星と異なる衛星は同じ衛星コンステレーション内にある
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メッセージングチャネルが、データを伝える複数のメッセージングチャネルのうちの一つであり、
前記メッセージングチャネルのうちの少なくとも一つは異なる衛星からデータを伝え、
前記衛星と異なる衛星は異なる衛星コンステレーション内にある
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フレーム構造はL帯域フレーム構造であり、
前記データはL帯域フレームカウント(LBFC)を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記データは前記衛星の位置、又は前記衛星の衛星ビークル特定(SVID)のX、Y、及びZ座標のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記メッセージングチャネルが、前記データを伝える複数のメッセージングチャネルのうちの一つであり、
前記デバイスが、前記複数のメッセージングチャネルのうちの一以上のメッセージングチャネルのバックアップ周波数でデータを受信する優先レベルキューイング方法にしたがって特定の捕捉クラスでプログラミングされる
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
減衰又は妨害環境で使用するのに適した受信装置であって、
衛星捕捉チャネル又はメッセージングチャネルから信号を受信するのに適したアンテナと、
プロセッサと、
受信機のクロックと、
機械によって読み取り可能な複数の命令を記憶するメモリであって、前記プロセッサによって実行されると前記受信装置が、
捕捉チャネル又はメッセージングチャネルからフレーム構造を有するデータを受信し、
前記データを使用して前記衛星の識別及び前記衛星の位置を決定し、
前記衛星の識別及び前記衛星の位置を使用して信号の移動時間についての修正を行い、
前記データを時刻基準として使用して前記受信機のクロックを前記フレーム構造に整合させ、
前記受信機のクロックが前記フレーム構造に整合したら、周期的な反復コードを含む精確な時刻信号を前記衛星から受信し、
前記コードのタイミング位相を決定し、
前記タイミング位相を使用して、精確な絶対時刻を決定する
ステップを行う受信装置。
【請求項12】
前記命令が前記プロセッサによって実行された時に、前記受信装置がさらに
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の前記データを受信する、請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
衛星システムであって、
第1データ信号を捕捉チャネルで送信するのに適しており、第2データ信号をメッセージングチャネルで送信するのに適した衛星
を含み、
前記メッセージングチャネルは、時間パラメータ値から予測可能な既知のパターンにしたがって周波数を変更し、タイムスロットを変更し、
前記データ信号のうちの各々は、受信装置がそこから精確な絶対時刻を利用できる情報を含む、衛星システム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−83643(P2013−83643A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−220917(P2012−220917)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】