説明

衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置

【課題】低廉な製作コスト及び部品コストで製造することができ、更に、マスタータイミング基準信号をより高精度で生成することのできる衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置の提供。
【解決手段】複数の周波数信号入力部の各々に、原子時計信号から成る第1参照周波数信号と、原子時計信号から成る第2参照周波数信号との、いずれか一方を供給する。複数の周波数コンバータ(110、115、120、125)は、互いに同一周波数の中間周波数信号を出力する。スイッチングマトリクス130は、前記中間周波数信号のうちの1つを主クロックとして選択して送出すると共に、別の1つを副クロックとして選択して送出する。周波数信号生成器150は、前記主クロックから基準周波数信号を生成し、複数の周波数信号出力部へ送出する。位相メーター170は、前記主クロックと前記副クロックとの間の位相差を測定し、異常挙動を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置並びにマスタークロック生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロック監視制御装置(CMCU:Clock Monitor and Control Unit)と呼ばれているマスタークロック生成装置は、衛星ナビゲーションシステムに用いられる高性能のクロック生成装置であり、10.23MHzのマスタークロックを生成するための装置である。マスタークロックは原子時計信号に基づいて生成され、マスタークロック生成装置の4個の信号入力部には、原子時計信号から成る10MHzの参照周波数信号が供給される。2個の周波数シンセサイザを備えており、それら周波数シンセサイザが各々独立して、4つの参照周波数信号のうちから1つずつの参照周波数信号を選択できるようにしてある。それら2個の周波数シンセサイザの出力信号のうちの一方の出力信号が、ペイロードのためのマスタークロックとして選択され、このマスタークロックとして選択された信号が、マスタークロック生成装置の4個の信号出力部から送出される。他方の周波数シンセサイザの出力信号は、マスタークロックに異常が生じたときに代替として用いられる予備クロックとして取り扱われ、この予備クロックを送出する周波数シンセサイザは、ホットリダンダントな(即ち、いつでも代替できるように常時活動状態とされている予備の)周波数シンセサイザである。更に、位相メーターが、マスタークロックとして選択されている周波数シンセサイザの出力信号の位相と、ホットリダンダントな周波数シンセサイザの出力信号の位相とをモニタして、それら位相の比較を行っている。
【0003】
このように、クロック監視制御装置は、衛星ナビゲーションシステムのペイロードのための装置であり、周波数標準器である原子時計から供給される複数の信号を入力信号としており、それら入力信号に基づいて、衛星のマスタータイミング基準信号(MTR)を生成するものである。かかるマスタークロック生成装置の公知例の機能的概念図を図1に示した。図示したマスタークロック生成装置(CMCU)100は、原子時計から供給される4つの参照周波数信号に基づいて、基準周波数信号を生成して出力するものであり、出力する基準周波数信号は、衛星内で使用される10.23MHzのマスタータイミング基準信号(MTR)である。上記4つの参照周波数信号は、夫々、4個の周波数信号入力部102、104、106、108に供給されている。それら4個の周波数信号入力部102、104、106、108は、夫々、4×2スイッチングマトリクス130の4個のマトリクス入力部131、132、133、134に接続されている。スイッチングマトリクス130は、常用クロック(主クロック)と予備クロック(副クロック)とを選択して第1マトリクス出力部135と第2マトリクス出力部136とから夫々送出している。スイッチングマトリクス130は、コントローラ180を介して受取るテレコマンドによって制御されている。第1マトリクス出力部135から送出される常用クロックは、第1周波数シンセサイザ140に供給されており、第2マトリクス出力部136から送出される予備クロックは、第2周波数シンセサイザ145に供給されている。それら周波数シンセサイザ140、145は、2種類の原子時計から供給される原子時計信号の周波数変換を行えるように構成されており、それら2種類の原子時計とは、受動型水素メーザ原子時計(PHM)と、ルビジウム原子時計(RAFS)との2種類である。また、それら周波数シンセサイザ140、145の夫々のシンセサイザ出力部142、147は、位相メーター170に接続されると共にスイッチ回路175に接続されている。位相メーター170は、それら周波数シンセサイザ140、145の出力信号どうしの間の位相差をモニタして測定しており、更に、その測定値を格納して後刻読出せるようにしている。また、それら周波数シンセサイザ140、145の出力信号のうちの一方が、スイッチ回路175によって選択されて、4個の周波数信号出力部202、204、206、208からペイロードへ向けて送出され、こうして送出される信号が、上で述べた10.23MHzの基準周波数信号である。
【0004】
マスタークロック生成システム1は、以上に説明したマスタークロック生成装置100を2個備えたものであり、それらは互いに全く同一の配設形態で配設されている。それら2個のうちの一方は常用のマスタークロック生成装置(図示したマスタークロック生成システムの左側の部分である符号Nを付した方の装置)であり、他方は予備のマスタークロック生成装置(図1において右側の符号Rを付した方の装置)である。それら2個の装置は互いに同一構成であり、このマスタークロック生成システム1は、コールドリダンダントなシステム(即ち、普段は予備の装置を休止させておき、常用の装置が異常を生じたならば予備の装置を活動状態にするシステム)とされている。また、それら2個のマスタークロック生成装置は互いに同一構成であるため、図1では、常用のマスタークロック生成装置CMCU−Nの構成要素にだけ参照符号を付してある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示したマスタークロック生成装置は、簡明な構造のスイッチングマトリクスを用いて構成した装置であり、ガリレオ衛星システムに現在使用されているものである。しかしながら、以上に説明したマスタークロック生成装置には1つの大きな短所があり、それは、入力信号として2種類の原子時計から得られる互いに周波数の異なる参照周波数信号を使用しており、周波数信号の位相の比較を後段で行うために、2個の周波数シンセサイザ140、145を必要としていることである。
【0006】
従って本発明の目的は、低廉な製作コスト及び部品コストで製造することのできる衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置を提供することにある。また更に、マスタータイミング基準信号をより高精度で生成することのできるマスタークロック生成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に記載の衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置によって達成され、また、請求項16に記載のマスタークロック生成システムによって達成される。従属請求項は、本発明の好適な実施の形態を記載したものである。
【0008】
本発明の第1の局面によれば、衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置が提供される。このマスタークロック生成装置は、クロック監視制御装置(CMCU)と呼ばれている装置である。このマスタークロック生成装置は、複数の周波数信号入力部を備えており、それら周波数信号入力部の各々に、原子時計信号から成る第1参照周波数信号と、原子時計信号から成る第2参照周波数信号との、いずれか一方が供給されるようにしてある。また、複数の周波数コンバータを備えており、それら周波数コンバータの各々は、前記複数の周波数信号入力部の夫々1つずつに接続されたコンバータ入力部を有すると共に、コンバータ出力部を有しており、それら周波数コンバータの各々に、1つまたは複数の周波数シンセサイザから、オフセット周波数信号が供給されるようにしてあり、該オフセット周波数信号の周波数は、それら周波数コンバータの夫々に対応した周波数信号入力部に供給されている前記第1参照周波数信号及び前記第2参照周波数信号の周波数に応じて選定されており、それによって、前記コンバータ出力部の夫々に互いに同一周波数の中間周波数信号が出力されるようにしてある。また、スイッチングマトリクスを備えており、該スイッチングマトリクスは、前記コンバータ出力部の各々に接続されていて、前記中間周波数信号のうちの1つを主クロックとして選択して第1マトリクス出力部から送出すると共に、前記中間周波数信号のうちの別の1つを副クロックとして選択して第2マトリクス出力部から送出するようにしてある。また、周波数信号生成器を備えており、該周波数信号生成器は、前記第1マトリクス出力部に接続された周波数信号生成器入力部を有しており、該周波数信号生成器は、マスタークロック生成装置の複数の周波数信号出力部に接続されており、該周波数信号生成器は、前記主クロックから該マスタークロック生成装置の出力信号であるところの基準周波数信号を生成してそれを前記複数の周波数信号出力部へ送出するようにしてある。また、位相メーターを備えており、該位相メーターは、前記第1マトリクス出力部に接続された第1メーター入力部と、前記第2マトリクス出力部に接続された第2メーター入力部とを有し、前記主クロックと前記副クロックとの間の位相差を測定することによって異常挙動を検出するものである。
【0009】
本発明の別の局面によれば、マスタークロック生成システムが提供される。このマスタークロック生成システムは、本発明に係るマスタークロック生成装置を2個備えることにより冗長システムとしたものである。
【0010】
本発明に係るマスタークロック生成装置によれば、入力信号であるところの複数の原子時計信号を確実に互いから高度に分離することができる。更に、互いに動作周波数が異なる複数種類の原子時計が発生する原子時計信号を、任意に組合せて入力信号とすることができる。このマスタークロック生成装置によれば、出力信号の切替えをハードウェアのスイッチ回路で行う必要がないため、他のペイロードに悪影響を及ぼすおそれのある位相ジャンプを発生させることがない。更に、位相メーターの分解能が向上するため、その測定値の精度が向上することも利点の1つである。また、基準周波数信号の急激な周波数変動を検出することも可能である。
【0011】
好適な実施の形態によれば、前記マスタークロック生成装置は、合計4個の周波数信号入力部を備えており、それらのうちの2個には原子時計信号から成る前記第1参照周波数信号が供給され、他の2個には原子時計信号から成る前記第2参照周波数信号が供給されるようにしてある。前記第1参照周波数信号は受動型水素メーザ原子時計(PHM)から送出される10.0028MHzの信号である。前記第2参照周波数信号はルビジウム原子時計(RAFS)から送出される10.00MHzの信号である。原子時計から送出される合計4つの入力信号は、ダウンコンバージョンによって中間周波数信号に変換された後に、更なる処理が施される。PHMとRAFSとでは互いに信号周波数が異なることに対処するために、PHMから供給される2つの入力信号に対応した2個の周波数コンバータを駆動するための周波数シンセサイザと、RAFSから供給される2つの入力信号に対応した2個の周波数コンバータとを駆動するための周波数シンセサイザとは、別々の周波数シンセサイザとすることが好ましい。それら周波数シンセサイザとしては、ダイレクトデジタル周波数シンセサイザ(DDS)と呼ばれているものが用いられる。そして、PHMからの信号に対応した2個の周波数コンバータと、RAFSからの信号に対応した2個の周波数コンバータとで、それらに供給するオフセット周波数を異ならせることにより、PHMからの原子時計信号とRAFSからの原子時計信号とを、互いに同一周波数の中間周波数信号に変換できるようにしており、その変換の後に、それら中間周波数信号に更なる処理を施すようにしている。
【0012】
好適な実施の形態によれば、前記複数の周波数コンバータの各々は、前記第1参照周波数信号ないし前記第2参照周波数信号を基準周波数信号と混合して、それら参照周波数信号を夫々第1前段中間周波数信号ないし第2前段中間周波数信号に変換する第1コンバージョン段と、それら第1前段中間周波数信号及び第2前段中間周波数信号にチューニングを施して、それら前段中間周波数信号を互いに同一周波数の前記中間周波数信号に変換して前記コンバータ出力部の夫々から送出する第2コンバージョン段とを備えている。前記基準周波数信号は、該マスタークロック生成装置の前記周波数信号生成器の発振器から送出される該マスタークロック生成装置の出力信号であるところの基準周波数信号とすることが好ましい。
【0013】
更なる好適な実施の形態によれば、前記スイッチングマトリクスにおいては、該スイッチングマトリクスに供給されている複数の前記中間周波数信号のうちの1つを主クロックとして選択することができ、別の1つを副クロックとして選択することができる。即ち、前記中間周波数信号の周波数領域において、前記スイッチングマトリクスにより、複数のクロック信号のうちの1つを主クロックとして選択することができ、この主クロックに基づいてマスタークロック生成装置の出力信号が生成される。一方、副クロックは、ホットリダンダントな予備クロックとして維持されるものであり、副クロックとして選択された信号は、前記スイッチングマトリクスから前記位相メーターへ供給され、そこで主クロックとして選択された信号と比較される。
【0014】
更なる実施の形態によれば、前記周波数信号生成器は、前記主クロックと前記第2参照周波数信号を分周して得られた信号とを比較する位相周波数検出器を備えている。更に、前記周波数信号生成器により生成された誤差信号を用いて前記基準周波数信号の周波数を制御するようにしてある。
【0015】
更なる実施の形態によれば、前記位相メーターは、複数の位相メーターから成り、それら複数の位相メーターの各々は、前記複数のコンバータ出力部の夫々1つずつに接続されていて前記中間周波数信号(即ち、前記参照周波数信号をダウンコンバージョンによって周波数変換した信号)を受取るようにしてあり、且つ、それら複数の位相メーターの各々に、前記周波数信号生成器の前記位相周波数検出器に供給されている基準クロック信号が接続されている。
【0016】
更なる実施の形態によれば、前記位相メーターは、所定の時間間隔でサンプリングした複数の測定値を後刻読出せるように格納するものである。前記位相メーターは、該位相メーターに入力している2つの信号の間の位相差をプログラマブルな(即ち、設定可能な)時間間隔で反復して測定する。こうしてサンプリングした測定値をマスタークロック生成装置の内部に1000個まで格納しておき、データ処理システムがそれら測定値を後刻読出せるようにしておくことが好ましい。2つのクロックのうちの一方が異常挙動を生じた場合にその異常挙動を速やかに検出できるようにするために、前記位相メーターは更に、周波数信号不連続点検出器を備えたものとすることが好ましい。
【0017】
前記マスタークロック生成装置の出力信号であるところの前記基準周波数信号の周波数は10.23MHzである。
【0018】
本発明に係るマスタークロック生成装置は、主電源バスから、また特に、宇宙航行機に装備された供給電圧が50Vとなるように電圧制御された主電源バスから、電力の供給を受けることができる。更に、前記スイッチングマトリクス、前記周波数シンセサイザ、及び前記位相メーターは、データインターフェースを介してコマンドを受取ることにより監督を受けるようにするとよく、そのデータインターフェースは例えば標準シリアルインターフェースなどとすることができる。前記マスタークロック生成装置は更に、オンオフ状態、モニタしている電圧及び電流の測定値、それにサーミスタによる非接触温度測定の測定値を、間欠的にテレメトリ手段を介して電送することにより報知するものとするとよい。
【0019】
以下に添付図面を参照しつつ本発明について更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】互いに同一構成の2個のマスタークロック生成装置を備えることで冗長システムとした公知のマスタークロック生成システムのブロック図である。
【図2】互いに同一構成の2個のマスタークロック生成装置を備えることで冗長システムとした本発明に係るマスタークロック生成システムのブロック図である。
【図3】本発明に係るマスタークロック生成装置の更に詳細なブロック図である。
【図4】本発明に係る強化型マスタークロック生成装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2に示したのは、本発明に係るマスタークロック生成システムのブロック図である。このマスタークロック生成システム1は、CMCUシステムと称すべきものであり、第1及び第2のマスタークロック生成装置100(CMCU装置)を備えている。それら第1及び第2のマスタークロック生成装置100は、互いに同一構成とされている。図2で見て左側のマスタークロック生成装置100は、いわゆる常用のマスタークロック生成装置(CMCU−N)であり、図2で見て右側の第2のマスタークロック生成装置は、予備のマスタークロック生成装置(CMCU−R)である。
【0022】
本発明に係るマスタークロック生成装置100は合計4個の周波数信号入力部102、104、106、108を備えている。それら4個の周波数信号入力部102、104、106、108のうちの2個には、受動型水素メーザ原子時計(PHM)から送出される原子時計信号から成る10.0028MHzの第1参照周波数信号が供給される。他の2個の周波数信号入力部には、ルビジウム原子時計(RAFS)から送出される原子時計信号から成る10.00MHzの第2参照周波数信号が供給される。
【0023】
4個の周波数信号入力部へ夫々に供給された2つの第1参照周波数信号と2つの第2参照周波数信号とは、その各々が個別のダウンコンバージョン段へ供給されるようにしてある。そのため、周波数信号入力部102、104、106、108の個数と同数の周波数コンバータ110、115、120、125が備えられている。それら周波数コンバータ110、115、120、125の各々は、対応する夫々の周波数信号入力部102、104、106、108に接続されたコンバータ入力部111、116、121、126を有している。それら周波数コンバータ110、115、120、125には、その各々に周波数信号生成器150から第1オフセット周波数信号が供給されるようにしてあり、また、周波数シンセサイザ140または周波数シンセサイザ145のいずれか一方から第2オフセット周波数信号が供給されるようにしてある。ある周波数コンバータに供給される第2オフセット周波数信号が、周波数シンセサイザ140と145とのどちらが送出する第2オフセット周波数信号であるかは、当該周波数コンバータに対応した周波数信号入力部に第1参照周波数信号と第2参照周波数信号とのいずれが供給されているかによって決められており、即ち、それら周波数コンバータのコンバータ出力部112、117、122、127から送出される中間周波数信号が、互いに同一周波数の信号となるように決められている。これについては後に更に詳細に説明するが、2個の周波数シンセサイザ140、145には、それらのシンセサイザ入力部141、146に、4個の周波数信号入力部102、104、106、108に供給されている参照周波数信号のうちから選択された、10.00MHzの参照周波数信号が供給されている。第1参照周波数信号及び第2参照周波数信号は、先ず、それらに第1オフセット周波数信号が混合されることによってダウンコンバージョンが施され、続いて、そのダウンコンバージョンが施された第1参照周波数信号及び第2参照周波数信号に、周波数シンセサイザ140、145で生成されてシンセサイザ出力部142、147から送出されているオフセット周波数信号が混合されることで更なるダウンコンバージョンが施され、それによって、周波数コンバータ出力部112、117、122、127の各々から、互いに同一周波数の中間周波数信号が送出されるようにしてある。
【0024】
周波数コンバータ出力部112、117、122、127は、その各々が、4×2スイッチングマトリクス130の4個のマトリクス入力部131、132、133、134の1つずつに接続されている。この4×2スイッチングマトリクス130において、4個のマトリクス入力部に供給されている4つの中間周波数信号のうちの1つが主クロック(常用クロック)として選択され、第1マトリクス出力部136から送出される。また、それら中間周波数信号のうちの別の1つが副クロック(予備クロック)として選択され、第2マトリクス出力部135から送出される。第1マトリクス出力部136は、位相メーター170と周波数信号生成器150との両方に接続されている。
【0025】
第2マトリクス出力部135は、位相メーター170だけに接続されている。位相メーター170は、主クロックと副クロックとの間の位相差をモニタして測定しており、その測定結果を後刻読出せるようにメモリに格納している。より具体的には、例えば、位相メーター170は、主クロックと副クロックとの間の位相差を、プログラマブルな(即ち、設定可能な)時間間隔で反復して測定するものである。こうしてサンプリングした測定値をマスタークロック生成装置100の内部に1000個まで格納することができ、データ処理システムがそれら測定値を後刻読出すことができる。また、位相メーター170が、主クロックと副クロックとのいずれか一方が異常挙動を生じたときにその異常挙動を速やかに検出するための周波数信号不連続点検出器を備えている構成とすることができる。
【0026】
周波数信号生成器150は、マスタークロック生成装置100の複数の周波数信号出力部202、204、206、208に接続されている。この実施の形態では、マスタークロック生成装置100は4個の周波数信号出力部を備えている。周波数信号生成器150は、主クロックから、マスタークロック生成装置の出力信号であるところの10.23MHzの基準周波数信号を生成し、そして生成したその基準周波数信号を、周波数信号出力部202、204、206、208へ送出する。
【0027】
冒頭でも述べたように、マスタークロック生成システム1は、互いに同一構成の2個のマスタークロック生成装置100を備えることによりシステムを冗長システムとしたものであり、その冗長システムは、コールドリダンダントな冗長システムである。マスタークロック生成システム1は、宇宙航行機の主電源バスから電力の供給を受けるようにしてあり、また、オンオフ状態、モニタしている電圧及び電流の測定値、それにサーミスタによる非接触温度測定の測定値を、間欠的にテレメトリ手段を介して電送することにより報知するようにしてある。スイッチングマトリクス130、周波数シンセサイザ140、145、それに位相メーター170は、制御ロジック180に接続された標準シリアルインターフェース192を介してコマンドを受取ることにより監督を受けるようにしてある。
【0028】
以下に図3及び図4を参照してこのマスタークロック生成装置100について更に詳細に説明して行く。このマスタークロック生成装置100のアーキテクチャの重要な構成上の特徴は、このマスタークロック生成装置の入力信号であるところの複数の原子時計信号(それら原子時計信号には、10.00MHzの第1参照周波数信号と、10.0028MHzの第2参照周波数信号とが混在している)の各々に対応して、信号入力部及びダウンコンバージョン段が個別に設けられていることにある。その結果、複数の原子時計信号が互いから高度に分離されており、それによって、原子時計のパフォーマンスが良好に維持され、また、インジェクションロック作用が発生しないようになっている。これに加えて、主クロックと副クロック(予備クロック)とを、任意の組合せで選択することも可能となっている。そのため例えば、RAFSから送出された参照周波数信号を用いて生成された2つの信号を主クロックと副クロックとして選択することも可能であり、また、PHMから送出された参照周波数信号から生成された2つの信号を主クロックと副クロックとして選択することも可能となっている。また、このマスタークロック生成装置の出力信号であるところの10.23MHzの基準周波数信号を、ただ1つだけの周波数シンセサイザ構造により発生させているため、2つの周波数シンセサイザの出力信号のうちから1つを選択することが不要となっている。そのため、相互結合やリレーの接点のバウンシングが発生するおそれがない。また、位相メーターの内部に、周波数信号不連続点を検出するための内部検出器が備えられていて、周波数ジャンプや急激な周波数ドリフトが発生した場合には、それらが位相メーター自体によって検出されるようにしてあるため、それによってマスタークロック生成装置ないしマスタークロック生成システムの動作確実性が向上している。
【0029】
図3について説明すると、合計4つの入力信号(それら入力信号のうちの2つはRAFSからの第2参照周波数信号であり他の2つはPHMからの第1参照周波数信号である)の各々が、夫々に個別のダウンコンバージョン段に供給されており、それらダウンコンバージョン段は、図中には、周波数コンバータ110、115、120、125として示されている。内部発振器153は、10.23MHzの周波数信号を生成しており、この内部発振器153は、オーブンコントロール水晶発振器(OCXO:定温制御が施された水晶発振器)とすることが好ましい。周波数コンバータ110、115、120、125の第1ダウンコンバージョン段では、周波数信号入力部102、104、106、108に供給されている夫々の入力信号に、内部発振器153の10.23MHzの周波数信号を混合することによって、それら入力信号に、それらの間の位相関係を保ったまま、ダウンコンバージョンを施して第1中間周波数信号(前段中間周波数信号)に変換している。この第1中間周波数信号の周波数は、RAFSに由来する信号に関しては230kHzであり、PHMに由来する信号に関しては232.8kHzである。更に、周波数コンバータ110、115、120、125は、それらの第2ダウンコンバージョン段において、先に言及した周波数シンセサイザ140、145を局部発振器として使用することで、夫々の第1中間周波数信号にチューニングを施して第2中間周波数信号に変換している。これによって、それら第2中間周波数信号の周波数は、参照周波数信号である原子時計信号の周波数の2分の1とされており、ここでNの値としては、N=15とすることが好ましく、それによって、第2中間周波数信号の周波数は、原子時計信号から成る参照周波数信号の周波数の215分の1である305Hzになる。この305Hzの第2中間周波数信号が、上で言及したところの周波数コンバータ110、115、120、125の出力部から送出される中間周波数信号である。周波数信号入力部106、108に供給されているRAFSからの入力信号にダウンコンバージョンを施す周波数コンバータ120、125に関しては、それらに対応した周波数シンセサイザ145が生成する周波数信号の周波数を230kHzにチューニングする必要があり、それによってそれら入力信号を305Hzの周波数信号に変換することができる。また、周波数信号入力部102、104に供給されているPHMからの入力信号に関しては、それらに対応した周波数シンセサイザ140が生成する周波数信号の周波数を232.86kHzに設定することで、それら入力信号を305Hzの周波数信号に変換することができる。更に、それら第2中間周波数信号は、夫々の周波数コンバータの内部でアナログ信号からデジタル信号へと変換され、その変換されたデジタル信号が、デジタル4×2スイッチングマトリクス130に供給される。
【0030】
スイッチングマトリクス130は、受取ったコマンドに従って、供給されている4つの中間周波数信号のうちの2つの中間周波数信号を、2つのクロック(即ち、主クロックと副クロック)として選択し、そしてそれらクロックを、更なる処理を施すために位相メーター170へ送出する。主クロックは、マスタータイミング基準信号MTRを生成するためのクロックとして選択されるものであり、図2に示した周波数信号生成器150の構成要素であるデジタル位相周波数検出器151に供給される。位相周波数検出器151は、その主クロックの周波数信号と、原子時計信号から成る10MHzの入力信号を215分の1に分周して得られた305Hzの周波数信号とを比較する。位相周波数検出器151においてその比較により生成された誤差信号が、PLLのループフィルタの内部で積分され、それによって、発振周波数が10.23MHzとなるように内部発振器153が制御される。この内部発振器153はOCXOであり、そして、この内部発振器153によって生成される信号が、取りも直さずこのマスタークロック生成装置の出力信号であり、この信号が、4個の周波数信号出力部202、204、206、208から送出される。
【0031】
位相メーター170は、スイッチングマトリクス130において主クロックとして選択された305Hzの信号と、副クロックとして選択された305Hzの信号とを比較しており、主クロックは、マスタータイミング基準信号MTR(これはマスタークロック生成装置の出力信号であるところの基準周波数信号である)を制御するための信号として選択されたものである。位相メーター170は、参照周波数信号(原子時計信号)を分周している分周器のビット幅(好ましくは15ビット)と等しいかまたはそれ以上のビット幅を有するスタート/ストップカウンタで構成されている。このスタート/ストップカウンタは、主クロックがそこから生成されたところの10MHzの入力信号(原子時計信号)によってクロックされている。その入力信号(原子時計信号)が215分の1に分周されて305Hzの主クロックが生成されているため、スタート/ストップカウンタは、305Hzの主クロックの位相が360°変化するのに要する時間をみずからが取り得る値域へ写像することになる。そして、このスタート/ストップカウンタの測定値(カウント値)を、プログラマブルな(即ち、設定可能な)時間間隔で格納するようにしている。位相メーター170は、以上に加えて更に2個のカウンタを備えており、1つの測定値を得てから次の測定値を得るまでに305Hzのクロック信号の何周期分の時間が経過したかをカウントすることによって、それら2つの測定値の間で、位相が360°変化するのに要する時間にどれほどの差があるかを検出している。これを行うことによって、その時間の長さを単純にカウントするカウンタを使用している場合に生じがちな、測定値の曖昧性の問題が払拭される。また、周波数信号不連続点検出器は、連続する2つの位相測定値の差分の移動平均値に基づいて検出を行うものとすることが好ましく、そうすれば、このマスタークロック生成装置に入力している複数の参照周波数信号のうちのいずれかの急激な周波数変動を、衛星のタイミングシステムのインテグリティを検証する上での有力な手だてとすることができる。
【0032】
図3に、矩形で囲って示したように、周波数シンセサイザ140、145、スイッチングマトリクス130、位相メーター170、位相周波数検出器151、分周器152、RAMコントローラ270、周波数ジャンプ検出器271、シリアルインターフェース272、及び制御ロジック180は、1個のチップ上に集積回路として形成されており、この集積回路は例えばFPGAやASICなどである。この集積回路のチップ250は、コマンド及び制御のインタープリタとして機能する制御ロジック180と、シリアルインターフェース272とを備えており、それらによってシリアル方式のテレコマンド/テレメトリを取り扱えるものとなっている。マスタークロック生成装置100を動作させるための集積回路を、強靱性に優れた宇宙航行品質のものとするためには、内部メモリを備えていない集積回路とするのがよく、ただしその場合には、測定値を格納するため及び幾つかのレジスタ値を保持するための、外部メモリ260が必要になる。外部メモリ260は、耐放射線特性に優れた構成とすることができるが、ただし耐放射線特性に優れたものであっても、2ビットの誤り検出と1ビットの誤り訂正とが可能なEDAC機能(誤り検出訂正機能)による防護が施されたものとすることが好ましい。更に、メモリスクラブを連続的に実行するようにしておくことが好ましい。集積回路チップ250は、ただ1種類だけのクロック信号によって駆動される構成としてある。この構成とすることで、集積回路チップ250の内部に同時に複数種類のクロック信号が存在するという事態を回避しており、それによって、異なるクロックグリッドどうしの間のジッタが発生せず、ひいては、周波数シンセサイザ140、145や位相メーター170がそのようなジッタによって悪影響を被ることがなくなっている。
【0033】
マスタークロック生成装置100の内部電源装置の電圧は、絶縁型電力コンバータ(DCM)280によって発生させている。この電力コンバータ280は主電源バス290に接続される。この電力コンバータ280はハイレベルのテレコマンドによって、そのオンオフの切替がなされ、また、そのオンオフ状態を、状態テレメトリによって通報するようにしてある。更に、消費電流及び二次側電圧についての情報をアナログテレメトリによって通報するようにしてあり、また、内部温度についてのデータをテレメトリによって通報するために、冗長システムとした2個のサーミスタを備えている。
【0034】
以上のように改良したアーキテクチャの主要な利点としては以下のものがある。
【0035】
−オーブンコントロール水晶発振器(OCXO)により構成される周波数シンセサイザ構造は、ただ1つしか必要とされないこと。これによって、設計確実性が向上しており、なぜならば、2個のOCXOの間で相互結合が発生するということがないからである。また、出力信号を選択するスイッチ回路が排除されたために、動作が簡明化されている。また、動作確実性が向上しており、これは、一方のクロックから他方のクロックへ切替える際の位相ジャンプがPLLのループ時定数によって平滑化されるために、急激な位相ジャンプが発生しないようになっているからである。それによって、この種の連続的なペイロード構成要素のデジタルロジックによって要求されるような、タイミング上の制約条件に逸脱することがなくなっている。更に、このアーキテクチャによれば、省電力及び軽量化という利点も得られる。
【0036】
−305Hzの中間周波数信号をそのまま転用して、主クロック及び副クロックを様々な出力周波数信号と比較することができる。入力信号を受入れる部分の回路は、同一構成要素を複数備えたものとなるが、ただしそれによる構成要素の増加分は、周波数シンセサイザ構造並びに位相メータにおける構成要素が減少することによって略々相殺される。
【0037】
−位相周波数検出器において比較する信号の周波数が、従来は230kHzであったのに対して、このアーキテクチャでは305Hzというより低い周波数となっているため、位相周波数検出器のノイズフロアが改善されている。
【0038】
−スイッチングマトリクスにおいてスイッチングする信号の周波数が305Hzとなっているため、そのスイッチングをデジタル領域で行うことができる。これによって、従来必要とされていたカスケード結合のリレースイッチが不要となっている。
【0039】
−入力信号どうしが確実に高い信頼性をもって分離されている。
【0040】
−位相メーターの分解能が向上しているため、急激な周波数変動の検出確率が増大している。また、この改良のために付加する回路は小規模なものであるため、衛星のインテグリティの検証が容易である。
【0041】
ここに提案したマスタークロック生成装置の概念により得られる大きな利点として、このマスタークロック生成装置が非常にフレキシビリティに富むものであるということがある。例えば、考えられる1つの変更構成として、以上に説明した位相メーターを1個だけ備えた構成に替えて、4個の位相メーターを備えた構成とし、それら位相メーターによって、4つのクロックの全てについて、クロック相互間のドリフトを測定するようにすることもできる。そのような変更構成とした部分を、図4に矩形で囲って示した。そこに示したように、4個の位相メーター171、172、173、174は、夫々、4個の周波数コンバータ110、115、120、125の出力部に接続されており、また更に、分周器152に接続されていて、マスタークロック生成装置への入力信号である10MHzの原子時計信号に215分の1の分周を施して生成された305Hzの周波数信号を、この分周器152から受取っている。
【0042】
また更に、このマスタークロック生成装置100は、利用可能な位相測定値の全てに基づいて「複合クロック信号」を生成するためのハードウェアのプラットフォームをも提供するものである。これを実現するには、タイミング信号を生成するために用いられている在来のアルゴリズムを利用すればよい。そして、分周器152において215分の1の分周を施すべく選択された参照周波数信号に対する複合クロック信号の偏位量に基づいて、DDSの出力部142、147から送出される周波数信号の周波数に訂正を加えることにより、周波数信号生成器の4個の出力部202、204、206、208から複合クロック信号を出力させることができる。
【0043】
ここに提案したハードウェアの概念によれば、以上のような変更構成のいずれもが可能である。機能を強化するためのそれら変更構成においては、より大きな処理能力が要求され、例えば、集積回路チップ250にマイクロコントローラを組込むことや、複数の位相メーターを装備することが必要となるが、ただしそれら変更構成は、このハードウェアの概念の基本を変更するものではない。
【符号の説明】
【0044】
100 マスタークロック生成装置
102、104、106、108 周波数信号入力部
110、115、120、125 波数コンバータ
111、116、121、126 コンバータ入力部
112、117、122、127 コンバータ出力部
130 スイッチングマトリクス
136 第1マトリクス出力部
135 第2マトリクス出力部
140、145 周波数シンセサイザ
150 周波数信号生成器
151 位相周波数検出器
153 発振器
170、171、172、173、174 位相メーター
202、204、206、208 周波数信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ナビゲーションシステムのためのマスタークロック生成装置(100)において、
複数の周波数信号入力部を備えており、それら周波数信号入力部の各々に、原子時計信号から成る第1参照周波数信号と、原子時計信号から成る第2参照周波数信号との、いずれか一方が供給されるようにしてあり、
複数の周波数コンバータ(110、115、120、125)を備えており、それら周波数コンバータの各々は、前記複数の周波数信号入力部(102、104、106、108)の夫々1つずつに接続されたコンバータ入力部(111、116、121、126)を有すると共に、コンバータ出力部(112、117、122、127)を有しており、それら周波数コンバータの各々に、1つまたは複数の周波数シンセサイザ(140、145)から、オフセット周波数信号が供給されるようにしてあり、該オフセット周波数信号の周波数は、それら周波数コンバータの夫々に対応した周波数信号入力部(102、104、106、108)に供給されている前記第1参照周波数信号及び前記第2参照周波数信号の周波数に応じて選定されており、それによって、前記コンバータ出力部(112、117、122、127)の夫々に互いに同一周波数の中間周波数信号が出力されるようにしてあり、
スイッチングマトリクス(130)を備えており、該スイッチングマトリクスは、前記コンバータ出力部(112、117、122、127)の各々に接続されていて、前記中間周波数信号のうちの1つを主クロックとして選択して第1マトリクス出力部(136)から送出すると共に、前記中間周波数信号のうちの別の1つを副クロックとして選択して第2マトリクス出力部(135)から送出するようにしてあり、
周波数信号生成器(150)を備えており、該周波数信号生成器は、前記第1マトリクス出力部に接続された周波数信号生成器入力部を有しており、該周波数信号生成器は、マスタークロック生成装置(100)の複数の周波数信号出力部(202、204、206、208)に接続されており、該周波数信号生成器(150)は、前記主クロックから該マスタークロック生成装置の出力信号であるところの基準周波数信号を生成してそれを前記複数の周波数信号出力部(202、204、206、208)へ送出するようにしてあり、
位相メーター(170)を備えており、該位相メーターは、前記第1マトリクス出力部(136)に接続された第1メーター入力部と、前記第2マトリクス出力部(135)に接続された第2メーター入力部とを有し、前記主クロックと前記副クロックとの間の位相差を測定することによって異常挙動を検出するものである、
ことを特徴とするマスタークロック生成装置。
【請求項2】
合計4個の周波数信号入力部(102、104、106、108)を備えており、それらのうちの2個には原子時計信号から成る前記第1参照周波数信号が供給され、他の2個には原子時計信号から成る前記第2参照周波数信号が供給されるようにしてあることを特徴とする請求項1記載のマスタークロック生成装置。
【請求項3】
前記第1参照周波数信号はPHMから送出される10.0028MHzの信号であることを特徴とする請求項1又は2記載のマスタークロック生成装置。
【請求項4】
前記第2参照周波数信号はRAFSから送出される10.00MHzの信号であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項5】
前記複数の周波数コンバータ(110、115、120、125)の各々は、前記第1参照周波数信号及び前記第2参照周波数信号を基準周波数信号と混合して、それら参照周波数信号を夫々第1前段中間周波数信号及び第2前段中間周波数信号に変換する第1コンバージョン段と、それら第1前段中間周波数信号及び第2前段中間周波数信号にチューニングを施して、それら前段中間周波数信号を互いに同一周波数の前記中間周波数信号に変換して前記コンバータ出力部(112、117、122、127)の夫々から送出する第2コンバージョン段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項6】
前記基準周波数信号は、該マスタークロック生成装置の前記周波数信号生成器の発振器(153)から送出される該マスタークロック生成装置の出力信号であるところの基準周波数信号であることを特徴とする請求項5記載のマスタークロック生成装置。
【請求項7】
前記スイッチングマトリクス(130)においては、該スイッチングマトリクス(130)に供給されている複数の前記中間周波数信号のうちの1つを主クロックとして選択することができ、別の1つを副クロックとして選択することができることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項8】
前記周波数信号生成器は、前記主クロックと前記第2参照周波数信号を分周して得られた信号とを比較する位相周波数検出器(151)を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項9】
前記周波数信号生成器(150)により生成された誤差信号を用いて前記基準周波数信号の周波数を制御するようにしてあることを特徴とする請求項8記載のマスタークロック生成装置。
【請求項10】
前記位相メーター(170)は、複数の位相メーター(171、172、173、174)から成り、それら複数の位相メーターの各々は、前記複数のコンバータ出力部(112、117、122、127)の夫々1つずつに接続されていて前記中間周波数信号を受取るようにしてあり、且つ、それら複数の位相メーターの各々に、前記周波数信号生成器の位相周波数検出器(151)に供給されている基準クロック信号が接続されていることを特徴とする請求項8又は9記載のマスタークロック生成装置。
【請求項11】
前記位相メーター(170:171、172、173、174)は、所定の時間間隔でサンプリングした複数の測定値を後刻読出せるように格納するものであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項12】
前記位相メーター(170:171、172、173、174)は、周波数信号不連続点検出器を備えていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項13】
前記マスタークロック生成装置の出力信号であるところの前記基準周波数出力信号の周波数は10.23MHzであることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項14】
主電源バスから、また特に、宇宙航行機に装備された供給電圧が50Vとなるように電圧制御された主電源バスなどから、電力の供給を受けるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項15】
前記スイッチングマトリクス、前記周波数シンセサイザ、及び前記位相メーターは、データインターフェースを介してコマンドを受取ることにより監督を受けるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項記載のマスタークロック生成装置。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項記載のマスタークロック生成装置を2個備えることによりシステムを冗長システムとしたことを特徴とするマスタークロック生成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−259072(P2010−259072A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101095(P2010−101095)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】