説明

衛星位置決めシステムにおいて高度情報を使用するための方法とシステム

【課題】移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機の位置を決定するための方法および装置を提供する。
【解決手段】方法は、セルオブジェクト情報が決定され、このセルオブジェクト情報は、セルオブジェクトロケーションあるいはセルオブジェクト識別のうちの少なくとも1つを具備する。高度は、移動SPS受信機に連結された(及び典型的には、一体となっている)セルベースの通信システムと、無線通信中のセルサイト送信機に基づいて選ばれたセルオブジェクト情報から決定される。この移動SPS受信機の位置は、セルオブジェクト情報から決定される高度を使用して計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星位置決めシステムの受信機の高度に関する情報からのオグメンテーション(augmentation)或いは支援(aiding)を使用する衛星位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
U.S.グローバル位置決めシステムのような従前の衛星位置決めシステム(SPS)は、衛星からの信号を使用してそれらの位置を決定する。従前のSPS受信機は地球を軌道する複数のGPS衛星から同時に送信される信号の相対的な到着時刻によりそれらの位置を通常決定する。それらの衛星は、それらのメッセージの一部として、ある時刻での衛星の位置を特定するクロックタイミング(timing)のデータと同様に両衛星位置決めデータを送信する、このデータは衛星エフェメリス(ephemeris)・データとしてしばしば参照される。従前のSPS受信機は、典型的にSPS信号を求めてサーチし、獲得し、多数の衛星に関するエフェメリス・データを読み、それらの衛星への擬似距離(pseudoranges)を決定し、そして衛星からのエフェメリス・データと擬似距離から該SPS受信機のロケーション(location)を計算する。
【0003】
従前のSPSシステムは、高度支援を時々使用して二つの状況(situation)−三次元位置決めに関する測定値の欠落、或いは悪い衛星幾何学のケース−において支援する。多くのケースに関して、悪い衛星幾何学は垂直方向での貧弱な可観測性(observability)により引き起こされる。例えば、もしも該解法(solution)に使用される全ての衛星への該ユニット(unit)ベクトルが軌道の半分の角度(arbitrary half-angle)の円錐形上にあるならば、それから該ユニットベクトルが二次元空間を測るのみであれば、該ユニットベクトルの先端のトップ上に平面を配置することが可能である。該平面に垂直である、第3の方向或いはディメンションにおけるエラーは、観測できない。これは特異状況(singularity condition)として参照される。GPS受信機アンテナを取り巻く高いビルディングによる都市の峡谷環境において、見ることができる衛星は、高い高台の角度にあるもののみである。それらの信号状況は、ここに記述される特異状況に類似する。また、大きな多重パスエラーは、垂直方向の大きなエラーを引き起こす傾向にある。
【0004】
従前の高度支援は、地球のセンターにそのセンターを持つ球の表面として可視可能な高度の擬似測定値に基づいている。この球は、楕円面により典型的に定められた地球の表面に対する高度及び地球の半径を含む半径を有している。高度支援を実施するのに利用可能な多数の技術があるが、全ての技術は、高度擬似測定値の大きさである球の表面を定めるのに要求される高度の事前知識に頼っている。(WGS84は、楕円体モデルの1つ)。典型的に、推定された高度は、GPS受信機の操作者によりマニュアルで供されることができ、或いは、地球の表面のような、ある事前設定された値に或いは従前の三次元解法(three-dimensional solution)からの高度に設定されることができる。
【0005】
従前のGPS技術は、移動体GPS受信機がGPS信号を受信するが、その位置を計算せず、及びそれに関して位置計算を実施するために基地局に頼るケースにおいて、使用される高度支援をも有する。米国特許5,225,842は、三つのGPS衛星のみの使用を許容するために高度支援を使用するそのようなシステムを開示する。推定された高度は、位相的な(topological)或いは測地学データベースのようなマッピング(mapping)情報から典型的に引き出される。この配置において、基地局の高度情報は、また利用可能であろう。
【0006】
このアプローチの弱点は、リーズナブルな高度推定を持つ高度支援が適用され得る前に、当初の二次元解法が典型的になされることである。該高度は、それから緯度及び経度座標の関数として垂直データベースから抽出されることができる。
【0007】
前述の複数のアプローチは高度情報の使用から一定の利点を供するが、それらは、移動体GPS受信機が比較的大きな地理上のエリアにわたるいずれかの位置に配置され得る分散処理システムのケースにおいてうまく働かない。さらに、それらの従前のアプローチは、特別の擬似距離が誤りであっても、全ての利用可能な擬似距離を持つ高度情報を使用する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、高度情報を使用して、移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機の位置を決定するための種々の方法と装置とを提供する。本発明の方法の一例において、セルオブジェクト情報が決定される。このセルオブジェクト情報は、セルオブジェクトロケーションとセルオブジェクト識別(identification)との少なくとも1つを有する。一例において、セルオブジェクトはセルサイト(site)で良く、識別は、セルサイトの識別子(identifier)で良く、また、該ロケーションは、セルサイトの緯度並びに経度で良い。高度は、移動SPS受信機に連結された(及び典型的には、一体となっている)セルベースの通信システムと、無線通信中のセルサイト送信機に基づいて選ばれたセルオブジェクト情報から決定される。即ち、高度は、移動SPS受信機の通信システムと通信中のセルサイト送信機と関連付けられるセルオブジェクト情報により決定される。この移動SPS受信機の位置は、セルオブジェクト情報から決定される高度を使用して計算される。
【0009】
本発明に係わる他の例の方法において、高度擬似測定値が決定され、この擬似測定値は、移動SPS受信機の高度の推定値を使用する。この高度の推定値は、セルベースの通信システム中のセルベース情報源から導かれるか、平均高度、もしくは、非セルベースのシステム中の無線基地局のカバレージ範囲の高度或いは高度に関する他の数学上の表示でも良い。一例では、該高度の推定と、擬似距離からSPS衛星への(もしくは擬似距離並びに高度擬似測定値)計算された高度との比較が、SPS衛星と移動SPS受信機との間の少なくとも1つの擬似距離の状況(condition)を決定する。他の例においては、高度擬似測定値は、(冗長測定値を使用してSPS衛星への擬似距離を使用した)冗長測定値として使用され得る。及び誤り検出と分離技術とが、冗長測定を使用して、擬似距離又はナビゲーション解法のうちの少なくとも一方の(例えば、誤りもしくは誤っていない)状況を決定するために利用され得る。この例の一実施形態において、該位置は、位置解法アルゴリズムから決定され、そして、擬似距離の状況が、非誤り状態のような第1の状態の場合には、少なくとも1つの擬似距離は、位置解法アルゴリズムで使用される。ナビゲーション解法の再計算が、(誤った疑似距離が識別されて、ナビゲーション解法の再計算から除去された後に)、非誤り擬似距離のみを使用してなされ得る。
【0010】
種々の移動SPS受信機と基地局とが、また、ここで説明される。本発明の種々の他の態様と実施形態とがさらに以下に説明される。
【0011】
本発明は実施例により説明されており、参考資料のような形で同様の要素を示しているこれらの図に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、それぞれのセルがセルサイトによりサービスされる複数のセルを有するセルベースの通信システムを描いた図であり、その各々はしばしば移動交換センターとも呼ばれるセルベース交換センターに連結されている。
【図2】図2は、本発明の一つの実施形態にしたがってロケーションサーバシステムの実施を描いた図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一つの実施形態にしたがってSPS受信機と通信システムとの組み合わせの例を描いた図。
【図3B】図3Bは、本発明の一つの実施形態にしたがってSPS基準(reference)局の実施例を描いた図。
【図4】図4は、移動SPS受信機の推定された高度を決定するのに使用できるセルベースの情報源の実施例を描いた図である。
【図5】図5は、本発明にしたがって高度支援を使用いる一つの方法のフローチャートを描いた図である。
【図5A】図5Aは、本発明による高度支援を使用するための方法を表わした二つの他のフローチャートである。
【図5B】図5Bは、本発明による高度支援を使用するための方法を表わした二つの他のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明にしたがって高度支援を使用するための他の方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、衛星による測位システムを用いた高度支援を使用するためのさまざまな方法および装置を提供するものである。以下に述べる説明および図は本発明を説明するものであり、本発明を限定するように解釈されるものでない。本発明を一貫して理解できるように多くの特定化した詳細な説明を記述してあるが、しかしながら公知のあるいは従来技術の詳細は、本発明の細部を不必要にぼやけさせないために記述しない。
【0014】
高度支援情報の使用に関する種々の詳細説明を行なう前に、一つの本発明の態様が使用される前後関係を説明することが有効である。したがって、セルベースの通信システムにおける高度支援の使用を検討する前に、図1、図2、図3Aおよび図3Bに言及して予備的な検討を行なう。
【0015】
図1はセルベースの通信システム10の実施例を示しており、複数のセルサイトを含んでいて、それぞれが特定の地理的領域やロケーションにサービス提供するよう設計されている。セルラーベースまたはセルベースの通信システムのような実施例は、当該技術ではセルベースの電話システムとして公知である。このセルベースの通信システム10は二つのセル12と14を有し、両方ともに一つのセルラーサービスエリア11の中にある。付け加えると、このシステム10はセル18と20を含んでいる。対応するセルサイトおよび/またはセルラーサービスエリアを持つ複数の他のセルもまたこのシステム10に含まれ、システム10はセルラー交換センター24およびセルラー交換センター24bのような一つまたは複数のセルラー交換センターに連結されていることは理解されるであろう。
【0016】
セル12のようなそれぞれのセル内には、無線通信メディアを通して、図1の受信機16のような移動GPS受信機と組み合わせ可能な通信受信機と通信するために設計されたアンテナ13aを有しているセルサイト13のような無線のセルまたはセルラーサイトがある。GPS受信機と通信システムを有する組み合わされたシステムのような実施例は、図3Aに示されており、GPSアンテナ77と通信システムアンテナ79の両方を有することができる。
【0017】
各セルサイトはセルラー交換センターに連結されている。図1では、セルサイト13、15、および19は接続13b、15b、19bをそれぞれ経由して交換センター24にそれぞれ連結されており、セルサイト21は接続21bを経由して異なる交換センター24bに連結されている。これらの接続は、典型的にそれぞれのセルサイトとセルラー交換センター24、24bとの間のワイヤー接続(wire line connection)である。各セルサイトは該セルサイトによりサービスされる通信システムと通信するためのアンテナを有している。一つの実施例では、このセルサイトはセルサイトによりサービスされるエリア内で移動セルラー電話と通信を行なうセルラー電話セルサイトであり得る。セル4に示した受信機22のような1つのセル内の通信システムは、シグナルブロッケージ(blockage)(またはセルサイト21が受信機22と通信できない他の理由)によりセル18にあるセルサイト19と受信機現実に通信できる。また、多数のセルサイトが通信システムを有する移動GPS受信機とデータ通信(通常は音声でない)を行なえることも事実である。
【0018】
本発明の典型的な実施形態では、移動GPS受信機16はセルベースの通信システムを含み、該セルベースの通信システムは同じハウジング内に両GPS受信機と通信システムが収納されているようなGPS受信機と集積されている。この実施例の一つは、GPS受信機がセルラー電話トランシーバと共通の回路を分かち合う集積化されたGPS受信機を有するセルラー電話である。この組み合わされたシステムをセルラー電話通信に使用する時、受信機16とセルサイト13との間で伝送が行なわれる。受信機16からセルサイト13への伝送は、その後、セル交換センターによりサービスされるセル内の他のセルラー電話のいずれかに伝搬され、或いは地上電話システム/ネットワーク28を介して他の電話へ接続30(典型例ではワイヤー)を経由して伝搬される。用語ワイヤーは、光ファイバー及び銅ケーブルなどのような無線ではない他の接続を含むことが理解される。受信機16との通信している他の電話かの伝送は、接続13b及びセルサイト13を経由してセルラー交換センター24から伝搬され、従前の態様で受信機16に戻される。
【0019】
遠隔データ処理システム26(これはいくつかの実施形態においてSPSサーバまたはロケーションサーバと呼ばれる)はシステム10に含まれ、一つの実施形態では、SPS受信機により受信されたSPS信号を使用して移動SPS受信機(例えば、受信機16)の位置を決定するのに利用される。SPSサーバ26は地上ベースの電話システム/ネットワーク28に接続27を経由して連結され、またオプションとして接続25(通信ネットワークであり得る)を経由してセルラー交換センターに連結されることもあり、接続25b(接続25と同じまたは異なる通信ネットワークであり得る)を経由してセンター24bにオプションとして連結されることもある。接続25および27は典型例ではワイヤー接続であるが無線でも可能であることは理解できよう。システム10のオプションの要素としてクエリー(query)端末29も示した。これはネットワーク28を介してSPSサーバ26に連結された他のコンピュータシステムから成る。このクエリー端末29は1つのセル内の特定のSPS受信機の位置について、SPSサーバ26にリクエスト(request)を送信する。それから、GPS受信機の位置を決定し及びクエリー端末29にその位置を報告するために、セルラー交換センターを経由して特定のSPS受信機との相互通信が開始される。また別の実施形態では、GPS受信機の位置判定は、移動GPS受信機の使用により開始される。例えば、移動GPS受信機のユーザがセル電話上で911を押し、移動GPS受信機のロケーションで非常事態を示すと、ここに説明した態様でロケーション処理が開始される。また別の本発明の実施形態では、各セルサイトは、セルサイトを経由して移動GPS受信機へ及びからデータ通信を行なうGPSロケーションサーバを有する。本発明は、セルベースシステムを使用しないポイント/ポイント間アーキテクチャのような異なる通信アーキテクチャでも採用可能である。
【0020】
セルラーベースまたはセルベースの通信システムが1台以上の送信機を有しており、各々が異なる地理的領域にサービス提供する、いずれの時にも設定されている通信システムであることに留意する必要がある。典型的には、各送信機は地理的に20マイルより小さい半径を有するセルにサービスを提供する無線送信機であり、カバーするエリアは特定のセルラーシステムに依存する。セルラー通信システムには、セルラー電話、PCS(パーソナル通信システム)、SMR(特殊移動無線)、1方向および双方向ページャーシステム、RAM、ARDIS、および無線パケットデータシステムのような、多くのタイプがある。代表例では、設定された地理的エリアをセルと呼び、複数のセルがグループ化されて図1に示すセルラーサービスエリア11のようなセルラーサービスエリアを構成し、それらの複数のセルは一つまたは複数のセルラー交換センターに連結されている。この交換センターは地上ベースの電話システム/ネットワークへの接続を提供する。サービスエリアはしばしば課金目的で使用される。それ故に、複数のサービスエリアのセルが一つの交換センターに接続されるケースもある。例えば、図1において、セル1と2はサービスエリア11にあり、セル3はサービスエリア13にある。しかし3つのセルは全部交換センター24に接続されている。逆に、人口密度の高いエリアでは、ときには一つのサービスエリアにあるセルが異なる交換センターに接続されることもある。一般的には、サービスエリアは互いに地理的に近接したセルを集めて設定される。上記説明に適応した別のクラスのセルラーシステムは衛星をベースとするものであり、セルラー基地局またはセルサイトは地球軌道上の衛星である。これらのシステムでは、セルセクターおよびサービスエリアは時間の関数として移動する。このようなシステムの例がイリジウム(Iridium)、グローバルスター(Globalstar)、オーブコム(Orbcomm)およびオデッセイ(Odyssey)である。
【0021】
図2は、図1のSPSサーバ26として使用することのできるSPSサーバ50の例を示す。図2のSPSサーバ50は、データ処理ユニット51を含み、これは耐故障性デジタルコンピュータシステムでもよい。SPSサーバ50にはまた、モデムまたはその他の通信インタフェース52及びモデムまたは通信インタフェース53及びモデムまたは他の通信インタフェース54が含まれる。これらの通信インタフェースは、ネットワーク60,62,64として図示される3つの異なるネットワークの間で、図2に示すロケーションサーバへ及びから情報の交換を行うための接続性を提供する。ネットワーク60は、1ヵ所または複数のセルラー交換センターあるいは地上ベースの電話システム交換またはセルサイトを含む。このように、ネットワーク60はセル18,20と同様にサービスエリア11および地上ベースの電話システム/ネットワーク28およびセルラー交換センター24,24bを含むと考えられる。ネットワーク64は、図1のクエリー端末29または911緊急電話発呼に応対するコントロールセンターに代表される「公共安全応答ポイント」PSAPを含むと考えられる。クエリー端末29の場合、この端末はセルベースの通信システムのさまざまなセルの中にある指定された移動SPS受信機からの位置情報を得るために、サーバ26をクエリーするのに使用され得る。この例では、移動GPS受信機のユーザ以外の人物がロケーション操作を開始する。セルラーフォンを含む移動GPS受信機から911電話がかけられた場合、ロケーションプロセスはセルラーフォンのユーザが開始する。図1のGPS基準(reference)ネットワーク32を示すネットワーク62は、ディファレンシャルGPS修正情報を提供し、また衛星エフェメリス・データ(典型的に、生の完全な衛星ナビゲーションメッセージの一部)を含むGPS信号データをデータ処理ユニットに供給するよう指定されたGPS基準受信機であるGPS受信機のネットワークである。サーバ50が極めて大規模な地理的領域をカバーする場合、オプションによるGPS受信機56のようなローカルのオプションによるGPS受信機では、この領域全体に渡る移動SPS受信機を見渡すすべてのGPS衛星を観測することはできない。したがって、ネットワーク62は衛星エフェメリス・データ(典型的に、生の完全な衛星ナビゲーションメッセージの一部)と、本発明による広域に渡り適用可能なディファレンシャルGPS修正データを収集し、提供する。
【0022】
図2に示すように、大量記憶装置55がデータ処理ユニット51に連結されている。典型的に、大量記憶装置55は、図1の受信機16のような移動SPS受信機から擬似距離(pseudorange)を受信した後、GPSポジション計算を実行するためのソフトウェアとデータ用メモリを含むことになる。これらの擬似距離は通常、セルサイトおよびセルラー交換センターおよびモデム或いはその他のインタフェース53を通じて受信される。大量記憶装置55はまた、少なくとも1つの実施形態において、モデムその他のインタフェース54を通じて、GSP基準ネットワーク32から提供される衛星エフェメリス・データを受信し、使用するためのソフトウェアを含む。大量記憶装置55はまた、典型的にセルサイトの地理的ロケーションに関連する(複数の)高度及びしたがって特定のセルサイトと無線通信中の移動SPS受信機に関する複数の推定された高度である対応した複数の高度、セルサイトの地理的ロケーションおよび複数のセルサイト識別子のような、セルオブジェクト情報を記憶するデータベースを典型的に有する。このセルオブジェクト情報と対応高度は、セルベースの情報源であり、この例を図4に示し、以下にさらに説明する。
【0023】
本発明の典型的な実施形態において、オプションとしてのGPS受信機56は、GPS基準ネットワークにおける各種の基準受信機を見渡す衛星からの生の衛星データメッセージを提供するのと同様にGPS測定値、ディファレンシャルGPS情報を提供する図1のGPS基準ネットワーク32(図2ではネットワーク62)のGPS基準ネットワーク32として不要である。モデム或いはその他のインタェース54を通じてネットワークから取得する衛星エフェメリス・データは、移動GPS受信機に関するポジション情報を計算するために移動GPS受信機から得る擬似距離と、従来の方法で通常使用することができる。インタフェース52,53,54は、いずれも、ネットワーク64の場合では他のコンピュータシステムに、ネットワーク60の場合ではセルラーベースの通信システムに、またネットワーク62におけるコンピュータシステムのような送信デバイスに、データ処理ユニットを連結するための、モデムまたはその他の適当な通信インターフェイスであり得る。ある実施形態では、ネットワーク62は広い地理的領域上に散在するGPS参照受信機の散在する集まりを含めるとよい。いくつかの実施形態において、セルラーベースの通信システムを通じて移動GPS受信機と通信するセルラーサービス領域或いはセルサイトに近い受信機56から得られるディファレンシャル(differential)GPS修正情報は、移動GPS受信機の概(approximate)ロケーションに適したディファレンシャルGPS修正情報を提供する。他のケースでは、ネットワーク62からのディファレンシャル修正(differential corrections)を組み合わせて、移動SPS受信機のロケーションに適したディファレンシャル修正を計算することもできる。
【0024】
図3Aは、GPS受信機と通信システムトランシーバを含む一般化された結合されたシステムを示す。ある例において、通信システムトランシーバはセルラーフォンである。システム75はGPSアンテナ77を持つGPS受信機76と、通信アンテナ79を持つ通信トランシーバ78を含む。GPS受信機76は、図3Aに示す接続80を通じて、通信トランシーバ78に連結される。1つの動作モードでは、通信システムトランシーバ78はアンテナ79を通じて概ドップラー情報を受信し、この概ドップラー情報をリンク80上でGPS受信機76に供給し、GPS受信機76はGPSアンテナ77を通じてGPS衛星からのGPS信号を受信することにより、擬似距離を決定する。この擬似距離は次に、通信システムトランシーバ78を通じて、図1に示すGPSサーバ26のようなロケーションサーバ(location server)に送信される。典型的に、通信システムトランシーバ78は、アンテナ79を通じて信号をセルサイトに送り、セルサイトはこの情報を図1のGPSサーバ26のようなGPSサーバに戻す。システム75のさまざまな実施形態は周知である。たとえば、米国特許題5,663,734号は、改良されたGPS受信機システムを利用した通信システムとGPS受信機との複合例を示している。結合されたGPS及び通信システムの別の例は、1996年5月23日に出願された特許出願08/652,833号に示されている。図3Aのシステム75は、SPS受信機を持つ多数の別の通信システムと同様に、本発明の方法によって使用し、本発明のGPS基準ネットワークを使用して動作することができる。
【0025】
図3Bは、GPS基準局のひとつの実施形態を示す。各規準局はこのように構成され、通信ネットワークや媒体と連結され得る。典型的に、図3BのGPS基準局90のような各GPS基準局は、二重周波数GPS基準受信機92を含むことができ、これはGPSアンテナ91に連結され、アンテナ91は同アンテナを見るGPS衛星からのGPS信号を受信する。また、GPS基準受信機は、対象地域をカバーするのに必要な修正の正確さに応じて、単独周波数受信機とすることもできる。GPS基準受信機はこの分野では周知である。GPS基準受信機92は、本発明のひとつの実施形態に従って、受信機92からの出力として、少なくとも2種類の情報を提供する。擬似距離出力93は、プロセサとネットワークインタフェース95に供給され、これらの擬似距離出力は、GPSアンテナ91を見る衛星について、従来の方法で擬似距離ディファレンシャル修正を計算するのに使用される。プロセサとネットワークインタフェース95は、この分野で周知のGPS基準受信機からデータを受信するためのインタフェースを有する従前のデジタルコンピュータシステムとすることができる。プロセサ95は、典型的に、擬似距離データを処理して、GPSアンテナ91を見る各衛星について、適正な擬似距離修正を決定するよう設計されたソフトウェアを含む。擬似距離修正は次に、ネットワークインタフェースを通じて通信ネットワークまたは媒体95に送信され、このネットワークまたは媒体には別のGPS基準局もまた典型的に連結される。本発明の他の例において、基準受信機からの擬似距離データは、ネットワーク96を通じてGPSサーバ26のような中央のロケーションに送り、ここでディファレンシャル訂正が計算される。また別の例において、出力93には基準受信機92が発生するディファレンシャル訂正が含まれる。GPS基準受信機92はまた、衛星エフェメリス・データ出力94も提供する。このデータはプロセサとネットワークインタフェース95に供給され、これがこのデータを通信ネットワーク96上で送信する。
【0026】
衛星エフェメリス・データ出力94は典型的に、各GPS衛星から受信した実際のGPS信号中で記号化された、生の50帯域ナビゲーションバイナリデータ全体の少なくとも一部を供給する。衛星エフェメリス・データはGPS衛星からのGPS信号中で、毎秒50ビットのデータストリームとして放送され、GPS ICD-200文書中で詳細に述べられるナビゲーションメッセージの一部である。プロセサとネットワークインタフェース95は、この衛星エフェメリス・データ出力94を受信し、リアルタイムあるいは準リアルタイムで通信ネットワーク96に送信する。本発明の一面によれば、この衛星エフェメリス・データは、通信ネットワーク中に送信され、ネットワークを通じて、さまざまなロケーションサーバで受信される。
【0027】
本発明のある実施形態において、衛星エフェメリス・データのようなナビゲーションメッセージにおけるあるセグメントだけがネットワークインタフェースおよび通信ネットワークに関する帯域幅要件を低くするために、ロケーションサーバに送られることができる。典型的に、また、このデータは連続的に供給する必要はない。たとえば、5つのフレーム全部ではなく、衛星クロックとエフェメリス情報を含む最初の3つのフレームだけが定期的に通信ネットワーク96に送信されることができる。本発明の一実施形態において、ロケーションサーバはナビゲーションメッセージ全体を受信するができ、これはひとつまたは複数のGPS基準受信機からリアルタイムまたは準リアルタイムでネットワークに送信され、衛星データメッセージに関連する時間測定方法を実行する。この時間測定方法の一例が、Norman F. Kransnerにより1997年2月3日に出願された米国特許出願08/794,649号に記載されている。ここで使用する「衛星エフェメリス・データ」という用語は、少なくともこの衛星エフェメリス・データの数学的表記であるデータ或いはGPS衛星が送信する衛星ナビゲーションメッセージ(たとえば50ボー(baud)のメッセージ)の一部だけを含む。たとえば、衛星エフェメリス・データとは、少なくともGPS衛星から送信されたGPS信号中に記号化された50ボーのデータメッセージの一部を示す。また、GPS基準受信機92は、衛星エフェメリス・データ含むバイナリデータ出力94を提供するために、基準受信機92を見る別のGPS衛星からの別のGPS信号を復号したことがまた理解される。
【0028】
図4は、ひとつの実施形態において、図1に示すGPSサーバ26のようなデータ処理ステーションに保持され得るセルベースの情報源の例を示す。あるいは、この情報源は図1のセルサイト13のような各セルサイトに、或いは図1のセルラー交換センタ24のようなセルラー交換センターに保持されることができる。しかし、典型的には、この情報は小セルラー交換センタに連結されるロケーションサーバに保持され、日常的に更新される。この情報源は各種フォーマットでデータを保持でき、図4のフォーマットはフォーマットの一例にすぎない。典型的に、推定された高度203のような推定された高度はそれぞれ、セルサイトのロケーションあるいはセルサイトまたはサービスエリアの識別のような対応するロケーションを含む。セルベースの情報源201内の情報は、それぞれコラム208および210に示されるセルサービスエリアまたはセルサイトのようなセルオブジェクト情報を含むデータベースに保持され、コラム212に示される情報のようなセルサイトロケーションを含むことができる。各推定された高度の場合、典型的にセルサイトロケーションまたはセルサイト識別の少なくともひとつである。各推定された高度は、セルサイトからの無線信号カバレージによってカバーされる地理的領域の平均高度であり得る。セルサイト周辺の高度を数学的に別の方法で示すこともできる。特にセルサイトの位置が、移動SPS受信機が特定エリアで発見できる高度を代表するものではない場合、セルサイトの高度より、セルサイト周辺の高度を使用するほうが有益である。
【0029】
セルベースの情報源201の利用について、本発明による方法の一例を示す図5を参照しながら説明する。以下の説明において、移動SPS受信機はSPS信号を受信し、これらの信号から擬似距離を決定するが、移動受信機では位置決め解法(solution)計算は行われない。むしろ、移動受信機はこれらの擬似距離をそれが無線通信している特定のセルサイトに送信し、このセルサイトが擬似距離を移動交換センタに送り、この交換センタは次に擬似距離を、図1のGPSサーバ26のようなロケーションサーバに送る。このGPSサーバは、本発明の例による高度支援情報を使って、位置計算を行う。この例において、セルオプジェクト情報はステップ301で決定される。これは、GPSサーバが、図3Aに示す受信機のような移動SPS受信機に連結された移動セルベース通信システムと無線通信しているセルサイトに関するロケーション或いはセルサイト識別子を受信することによって発生する。たとえば、セルサイトはその識別子情報を送信するか、あるいは移動SPS受信機からの擬似距離情報とともにそのロケーションをGPSサーバに送信する。ステップ303において、GPSサーバはセルオブジェクト情報からの移動SPS受信機に関する推定された高度を決定する。ある例において、SPSサーバはデータベース探索操作を実行し、データベースへのインデックスとしてのセルオブジェクト情報を使うことにより、推定された高度を得る。このデータベースは、図2の大量メモリ55に保持できる。セルサイトのロケーションが、経度と緯度を供給することによって供給される場合、サーバはこの経度と緯度を使ってこの地点での地球表面の高度を探索する。あるいは、セルサイト識別子がセルサイト番号またはその他の識別として供給される場合、このセルオブジェクト情報は推定された高度を得るために使用される。推定された高度205は、たとえばセルサイト番号B1を使って推定された高度205を特定する場合を示す。ステップ305において、GPSサーバは推定された高度を使って移動GPS受信機の位置を決定する。高度を使って位置決め解法計算を増加する(augment)または支援するために使用できる方法は既知である。
【0030】
図5Aと5Bは、本発明による推定された高度の使用方法を示す。図5Aの方法は、セルオブジェクト情報が決定される311から始まる。この情報はそれから図5Aの313において使用され、セルオブジェクト情報に基づいて、移動SPS受信機の当初推定された地理的ロケーション(これは経度、緯度、高度で特定され得る)が決定される。この方法の一例において、セルオブジェクト情報は、そのセルオブジェクト情報に関連する推定されたロケーションをデータベースの中で探索するためのインデックスとして使用される。この推定されたロケーションはそれから図5Aの315において、移動SPS受信機の位置(例、算出された経度、緯度)を計算するのに使用される。この計算された緯度と経度は次に図5Aの317で使用され、推定された高度が決定される。これは、計算された経度と緯度から推定された高度を得るため、第2のデータベースでデータベース探索操作を行うことにより実現できる。この場合、第2のデータベースは図4のデータベースと似ているが、図5に示す第2のデータベースのほうが、経度と緯度のより多くの可能な組み合わせについての高度を提供することにおいてより大規模である。図5Aに示す第2のデータベースはすべての可能な経度と緯度の組み合わせについての高度を含んでいるわけではないものの、補間法論理(interpolation logic)を用い、計算された経度と緯度に近い経度と緯度でのデータベースにおける複数の高度の間の補間により、高度を決定することができる。図5Aの317で得られる高度は、319において再び位置を計算するのに使用される(実質的には(effectively)、リファインされた(refined)位置計算)。
【0031】
第2のデータベースは、計算された位置が決定されるたびに、緯度/経度/高度の組み合わせを追加することにより、使用中に改良される。つまり、本発明のシステムを何度も使用することにより(たとえば、セルフォンのユーザが911とダイヤルするたびに)、データベースへのエントリが追加され、ある経度と緯度における高度の矛盾(conflicts)が平均化され得る(あるいは、正確なGPS受信機の読取により「マニュアルでチェックされる」ためにフラッグが立てられる。これにより、時間が経つにつれ、地球表面のロバストな(robust)三次元データベースが作られる。図5Bは、第2のデータベースにエントリを追加する方法の例を示す。ステップ325において、移動SPS受信機のロケーションの当初推定値を使い、移動SPS受信機の位置が計算される。計算された位置(経度、緯度、高度の組み合わせ)は次に、第2のデータベース(ステップ329においては高度データベースと呼ばれる)の更新に使用される。
【0032】
上記の説明は特定のアーキテクチャを想定したものであるが、本発明はさまざまなアーキテクチャおよびその他数多くの例においても使用できる。たとえば、高度情報はセルサイトに保存でき、移動SPS受信機からの擬似距離情報とともに、ロケーションサーバまたはGPSサーバに送られる。これにより、各GPSサーバがデータベースを保持する必要はなくなるが、サーバが通信し、独自の高度情報を持たないセルサイトがある場合は、サーバがそうすることは有益であり得る。別の例では、高度情報が移動SPS受信機に送信され、これがSPS衛星をトラッキングし、入手して擬似距離を決定し、SPS衛星からの衛星エフェメリス情報を読み取り、その位置を決定するという従来の方法において自己の位置を決定する。さらに別の例では、高度を移動ユニットに送信するのではなく、セルサイト識別子またはセルサイトロケーションのようなセルオブジェクト情報を移動SPS受信機に送信し、移動SPS受信機は、与えられたセルオブジェクト情報に関する推定された高度を示す自己のデータベースを保持する。このように、移動SPS受信機は自己の位置を決定することができ、また自律的に(autonomously)高度支援(aiding)も行うことができる。さらに別の実施形態において、移動SPS受信機は単にSPS信号を収集し、それらをデジタル化してから、デジタル化されたSPS信号をGPSサーバに送信し、GPSサーバはこのデジタル情報から擬似距離を決定し、位置計算を完成する。また別の実施形態において、衛星エフェメリス・データ(satellite ephemeris data)はSPSサーバのような源から、セルサイトを通じて移動SPS受信機に送信されることができ、この衛星エフェメリス・データは、移動SPS受信機が決定した擬似距離とともに使用され、移動SPS受信機での位置決め解法を提供する。このアーキテクチャの例が米国特許第5,365,450号に記載されている。
【0033】
本発明の別の態様を、この態様による方法を示す図6を参照しながら説明する。図6に示す方法はSPS受信機における誤り検出及び分離に関する。この分野ではさまざまな誤り検出及び分離(FDI)技術が既知であるが(たとえば、グローバル位置決めシステム(Global Positioning System): Theory and Applications, Volume 2, B.W. Parkinson and J.J. Spilker, Jr., editors, American Institute of Aeronautics and Astronautics, Inc. 1996第5章および第8章、冗長な測定を使用してモニタリングするナビゲーション完全性(Navigation System Integrity Monitoring Using Redundant Measurements) by Mark A. Sturza, NAVIGATION; Hournal of the Institute of Navigation, Vol. 35, No. 4, Winter 1988-89, P.483〜等参照)、これらの技術は誤った衛星擬似距離の存在を特定する方法で高度支援を使用していない。誤った衛星擬似距離が特定されると、再計算されるナビゲーション解法から排除され、最終的な位置決定が改善される。
【0034】
図6の方法はステップ351から始まり、ここではいくつかのSPS衛星への擬似距離が決定される。ステップ353では高度擬似測定値が決定される。この高度擬似測定値は、地球の中心における衛星に対する擬似距離と考えることができ、先行技術において利用されている高度支援のための擬似測定値を決定するための従来の方法によって決定できる。したがって、たとえばこの高度擬似測定値は、地球の中心から楕円体によって定義される、地球表面に関する推定された高度での地球の仮定球面上の地点までの地球の半径を含む半径として視覚化することができる。推定された高度は図5(ステップ301,303)に示すように得ることができる。ステップ355において、移動SPS受信機の高度が計算され、こうして計算された高度は推定された高度と比較される。計算された高度はステップ351で決定された擬似距離に基づくナビゲーション解法から得ることができる。これら2つの値の違いが大きいと、衛星擬似距離に問題がある、あるいはナビゲーション解法に問題があると考えられ、これらは、都市部のビルの谷間などでしばしば発生する、垂直方向の大きなエラーの原因となる大きなマルチパスエラーの場合に存在し得る。ステップ357において、少なくともひとつの擬似距離の状況がこの比較に基づいて判断される。比較の結果、推定された高度と計算された高度の差が小さかった場合、擬似距離の状況は、誤りのない状況であり得る。反面、推定された高度と計算された高度の差が大きい場合(たとえば、しきい値を超える差)、擬似距離(あるいはナビゲーション解法)の少なくともひとつに誤りがあり得る。
【0035】
ステップ357に示すように、推定された高度と計算された高度の比較に頼らない方法もある。この方法は、比較の代わりに、あるいは比較に加えて行われる。この方法は、(ステップ333から)高度擬似測定値を冗長測定値(ステップ351からの擬似距離に冗長)として使用し、冗長測定値を使って誤った擬似距離(または誤ったナビゲーション解法)が存在するか検出し、それが存在する場合、少なくともひとつの誤った擬似距離を特定するというFDI技術を利用する。これらのFDI技術は文献で発表されている。たとえば、上記Sturza,冗長な測定を使用してモニタリングするナビゲーションシステム完全性( "Navigation System Integrity Monitoring Using Redundant Measuremtns"参照。(複数の)誤った擬似距離を特定した後、それらは、再計算されたナビゲーション解法から除外されることができる。(1998年4月22日出願の、「無線通信信号による衛星位置決めシステムの拡大」と題する米国特許出願09/064,673に記載された)セルラー擬似距離はそれらのFDI技術で冗長測定値として使用されることができる。セルラー擬似距離の例は、CDMAその他の(セルベースの)セルラー通信システムにおける無線周波数信号の到着時間の違いである。セルラー擬似距離は通常、典型的には既知のロケーションでのセルサイトと、セルベースの通信システムを含む移動SPS受信機との間の通信信号の転送時間を表わす。
【0036】
図6の方法は、特定の衛星からのSPS信号が高い信号対雑音比(SNR)であったとしても、特定の衛星への特定の擬似距離を「不良」と識別することがある。この場合、本発明では、このような識別を拒絶し、引き続きFDI技術を使って別の誤った擬似距離を発見する。
【0037】
図6の方法は、単一の基地局が移動SPS受信機との1対1の無線通信を行うセルベースではないシステムで用いられ得る。この場合、推定された高度は、基地局へ/からの無線信号により網羅される地理的領域の平均高度でよい。この特殊な例では、いずれのセルオブジェクト情報もネットワークを介して送信される必要はない。他の代替的な例では、図6の方法は、セルオブジェクト情報がネットワーク内の構成要素から送信され、最終的には推定された高度を導くデータベースへの指標として使用される、セルベースの通信システムで使用され得る。
【0038】
前述の説明は、移動SPS受信機が擬似距離を決定し、これら擬似距離を遠隔配置されたSPSサーバに送信するシステム構造を一般的に想定したが、本発明は他のシステム構造にも適用可能であると理解される。例えば、本発明は、移動SPS受信機が(受信時間を示す時間スタンプとともに)デジタル化されたSPS信号を(SPS衛星に対する擬似距離を計算することなく)遠隔配置されたSPSサーバに送信し、遠隔配置されたSPSサーバは推定された高度を決定し、位置決め解法(これは、ここで説明されたFDI技術で検査することもできる)を決定するシステムに適用してもよい。他の例では、移動SPS受信機がその位置を遠隔配置されたSPSサーバからの援助により、あるいは援助なく決定するシステムに本発明を適用してもよい。このような援助が無い場合、移動SPS受信機は、ユーザにより提供され、あるいは移動SPS受信機にセルサイトから送信される高度推定の支援を伴う推定された高度に基づいたFDI技術を実行してもよい(移動SPS受信機は、セルサイトとのセルベースの通信からのセルサイトの識別情報を決定し、セルサイトに対応づけられた推定された高度を自身のデータベース中で探索して検査してもよい)。このような援助がある場合、移動SPS受信機は衛星エフェメリス・データ及び/あるいはドップラー情報及び/又は移動SPSサーバからの衛星アルマナック(almanac)(例えばセルサイトから移動SPS受信機へ送信される)を受信することによりそれ自身の位置を決定してもよく、またSPSサーバからの推定された高度を受信し利用してもよい。この場合、移動SPS受信機は(衛星擬似距離を決定した後に)その位置を決定することができ、高度推定を用いた位置決め解法上でFDI技術を実行してもよい。
【0039】
本発明の方法及び装置は、GPS衛星との関連により説明したが、その教示は擬似衛星(pseudolites)あるいは衛星と擬似衛星の組み合わせを用いた位置決めシステムに等しく適用できると認められる。擬似衛星は、Lバンド搬送波信号上で変調され、通常GPS時間に同期される、(GPS信号と同様に)PNコードを放送するグラウンドベースの送信機である。各送信機は遠隔受信機による識別を可能とするため、独自のPNコードが割り当てられる。擬似衛星は、軌道衛星からのGPS信号が利用可能でない、トンネル、鉱山、ビル、あるいは他の閉じられた領域のような状況(situation)で有用である。ここで使用される用語“衛星”は、擬似衛星あるいは擬似衛星の均等物を含むものと意図され、ここで使用されるGPS信号という用語は、擬似衛星あるいは擬似衛星の均等物からのGPSのような信号を含むものと意図される。
【0040】
前述の説明では、米国の衛星位置決めシステム(GPS)上での適用との関連で説明された。しかしながら、これら方法は類似の衛星位置決めシステムに等しく適用可能であり、特に、ロシアのグロナス(Glonass)位置決めシステムに適用可能であることは明らかである。グロナスシステムは、衛星からのエミッションが、基本的に異なる擬似ランダムコードを用いるよりもむしろわずかに異なる搬送波周波数を用いることにより互いに識別される。ここで用いられる用語“GPS”は、ロシアのグロナス位置決めシステムを含むこのような代替的な衛星位置決めシステムを含む。
【0041】
前述の明細書では、本発明は特定の代表的な実施形態と関連して説明された。しかしながら、様々な改良及び変形が、より広い精神及び添付された特許請求の範囲の発明の範囲から離れることなくなされ得る。従って、この明細書及び図面は、限定的な意味よりも例示的なものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルベースの通信受信機を有する移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機の位置を決定する方法であって、
セルオブジェクト情報を決定すること、前記セルオブジェクト情報は、セルオブジェクトロケーションあるいはセルオブジェクト識別の少なくとも一つを含む、
前記セルオブジェクト情報から高度を決定すること、ここにおいて前記セルオブジェクト情報は前記セルベースの通信受信機と無線通信中のセルサイト送信機に基づいて選択される、
前記高度を用いて前記移動SPS受信機の位置を計算すること
を具備する前記方法。
【請求項2】
前記セルオブジェクト情報は、前記セルサイト送信機のロケーションあるいは識別の少なくも一つを示す情報である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高度は、前記セルサイト送信機の概高度である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高度は、前記セルサイト送信機の地理的近傍における高度の数学的な表示である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記セルオブジェクト情報及び前記高度はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記移動SPS受信機から遠隔処理局への少なくとも一つの擬似距離を送信することを具備する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記送信することは、前記セルサイト送信機における受信機を介して行われ、前記遠隔処理局は、前記セルサイト送信機に連結されたセルラー交換センターに連結され、前記遠隔処理システムは前記高度を決定し、前記高度を用いて前記位置を計算する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、 前記高度を前記移動SPS受信機に送信することを具備し、ここにおいて前記移動SPS受信機は前記高度を用いて前記位置を計算する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記セルオブジェクト情報を前記移動SPS受信機に送信することを具備し、ここにおいて前記移動SPS受信機は前記高度を決定する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
さらに、前記遠隔処理システムで、衛星エフェメリス・データを受信することを具備する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
データ処理システムにより実行される場合に、前記データ処理システムに下記を備える方法を実行させる実行可能なコンピュータプログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体:
セルオブジェクト情報を決定すること、前記セルオブジェクト情報は、セルオブジェクトロケーションあるいはセルオブジェクト識別の少なくとも一つを含む、
前記セルオブジェクト情報から高度を決定すること、ここにおいて、前記セルオブジェクト情報は、移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機のセルベースの通信受信機と無線通信中のセルサイト送信機に基づいて選択される、
前記高度を用いて前記移動SPS受信機の位置を計算すること。
【請求項12】
前記セルオブジェクト情報は、前記セルサイト送信機のロケーションあるいは識別の少なくとも一つを示す情報である、請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
前記高度は、前記セルサイト送信機の概高度である、請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
前記高度は、前記セルサイト送信機の地理的近傍における高度の数学的な表示である、請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
前記セルオブジェクト情報及び前記高度はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納される、請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項16】
前記方法はさらに、前記移動SPS受信機から遠隔処理局に少なくとも一つの擬似距離を送信することを具備する、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項17】
前記送信することは、前記セルサイト送信機における受信機を介して行われ、前記遠隔処理局は、前記セルサイト送信機に連結されたセルラー交換センターに連結され、前記遠隔処理システムは前記高度を決定し、前記高度を用いて前記位置を計算する、請求項16に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項18】
前記方法はさらに、前記高度を前記移動SPS受信機に送信することを具備し、ここにおいて前記移動SPS受信機は前記高度を使用して前記位置を計算する、請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項19】
前記方法はさらに、前記セルオブジェクト情報を前記移動SPS受信機に送信し、前記移動SPS受信機は前記高度を決定することを具備する、請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
前記方法はさらに、前記遠隔処理システムで、衛星エフェメリス・データを受信することを具備する、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項21】
下記を具備するデータ処理局:
プロセッサ、
前記プロセッサに連結された記憶装置、
前記プロセッサに連結されたトランシーバ、ここにおいて、
このトランシーバは、前記データ処理局を無線セルサイトに連結し、
前記記憶装置は前記無線セルサイトに関するセルオブジェクトロケーションあるいはセルオブジェクト識別の内の少なくとも一つを備えるセルオブジェクト情報を格納し、
前記プロセッサは、移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機のセルベースの通信受信機と無線通信中の前記無線セルサイトに基づいて選択される前記セルオブジェクト情報から高度を決定し、
前記プロセッサは、前記高度を用いて前記移動SPS受信機の位置を計算する。
【請求項22】
前記プロセッサはSPS信号の源を受信し、前記トランシーバは前記無線セルサイトから少なくとも一つの擬似距離を受信し、前記プロセッサは前記SPS信号及び前記少なくとも一つの擬似距離を用いて前記位置を決定する、請求項21に記載のデータ処理局。
【請求項23】
前記記憶装置は、前記トランシーバに連結される複数の無線セルサイト毎に対応する高度とセルオブジェクト情報とを有するデータベースを格納する請求項22に記載のデータ処理局。
【請求項24】
移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機の位置を決定する方法、前記方法は下記を具備する、
複数のSPS衛星への複数の擬似距離から計算された高度を決定すること、
前記計算された高度を前記移動SPS受信機の高度の推定と比較すること、
前記擬似距離の少なくとも一つの状況を決定すること、前記状況は前記計算された高度と前記推定との比較に基づく。
【請求項25】
前記位置は、位置決め解法アルゴリズムから決定され、ここにおいて、前記状況が第1の状態の場合、前記擬似距離は前記位置決め解法アルゴリズム中で用いられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記状況が第2の状態の場合、前記擬似距離は前記位置決め解法アルゴリズム中で用いられない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
さらに、
前記移動SPS受信機で、前記複数の擬似距離を決定すること、
セルオブジェクト情報を決定すること、前記セルオブジェクト情報は、セルオブジェクトロケーションあるいはセルオブジェクト識別のうちの少なくとも一つを備える、
前記セルオブジェクト情報から前記高度の推定を決定すること、ここにおいて、
前記セルオブジェクト情報は、前記移動SPS受信機に連結されたセルベースの通信システムと無線通信中のセルサイト送信機に基づいて選択される、を具備する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記移動SPS受信機は、前記状況及び前記位置を決定するデータ処理局に前記複数の擬似距離を送信する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記セルオブジェクト情報は、前記セルサイト送信機のロケーションあるいは識別の少なくとも一つを示す情報である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記高度は、前記セルサイト送信機の地理的近傍における少なくとも一つの高度の数学的な表示である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記セルオブジェクト情報及び前記高度は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記データ処理局は衛星エフェメリス・データを受信する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
下記を具備するデータ処理局、
プロセッサ、
前記プロセッサに連結された記憶装置、
前記プロセッサに連結されたトランシーバ、ここにおいて、
前記トランシーバは、前記データ処理局を無線通信システムに連結し、
前記記憶装置は前記無線通信システムの無線レディオカバレッジ内の少なくとも一つの領域に関する高度の推定を格納し、
前記トランシーバは、移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機に連結された移動無線通信システムからの、第1の擬似距離を含む複数の擬似距離を受信し、
前記プロセッサは高度を決定し、前記推定と前記高度を比較し、及び
前記第1の擬似距離の状況を決定する、前記状況は、前記推定と前記高度擬似測定値との比較に基づいている。
【請求項34】
前記プロセッサはSPS信号の源を受信し、
前記プロセッサは位置決め解法アルゴリズムから前記移動SPS受信機の位置を決定し、
前記状況が第1の状態の場合、前記第1の擬似距離は前記位置決め解法アルゴリズムで用いられる、
請求項33に記載のデータ処理システム。
【請求項35】
前記状況が第2の状態の場合、前記第1の擬似距離は前記位置決め解法アルゴリズムで用いられない、請求項34に記載のデータ処理システム。
【請求項36】
移動衛星位置決めシステム(SPS)受信機の位置を決定する方法、この方法は下記を具備する、
前記移動SPS受信機と、対応する複数の衛星との間の複数の衛星擬似距離を決定すること、
少なくとも一つの非衛星擬似測定値を決定すること、
前記複数の衛星擬似距離の少なくとも一つの状況を決定すること。
【請求項37】
前記非衛星擬似測定値は高度擬似測定値あるいはセルラー擬似距離の一つである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記状況は冗長測定値である非衛星擬似測定値から決定される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記状況は、SPS誤り検出及び分離技術を用いて決定される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対応する複数の衛星は、地球の周りの空間を軌道とする複数の衛星を具備する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記位置は位置決め解法アルゴリズムから決定され、
前記状況が第1の状態の場合、前記複数の衛星擬似距離の少なくとも一つは、前記位置決め解法アルゴリズムで用いられる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記状況が第2の状態の場合、前記複数の衛星擬似距離の少なくとも一つは、前記位置決め解法アルゴリズムで用いられない、請求項41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42475(P2012−42475A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−194898(P2011−194898)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2010−3310(P2010−3310)の分割
【原出願日】平成11年4月13日(1999.4.13)
【出願人】(500480274)スナップトラック・インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】