衛星位置決めシステムの時間測定のための方法および装置
【課題】受信した信号レベルが非常に弱く衛星データメッセージを読むことが出来ない状況に適している、衛星データメッセージに関連する時間を測定するための方法および装置を提供する。
【解決手段】衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードはエンティティ、一般には基地局において受信される。第1のレコードは、衛星データメッセージの第2のレコードと比較される。第1のレコードと第2のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳される。この比較から時間が決定される。この時間は、第1のレコード(または第1のレコードが得られる源)が遠隔のエンティティ、一般にはモバイルSPS受信器において受信されたときを示す。種々の他の方法が記載され、本発明の種々の装置も記載される。これらの信号内のデータとして送信される衛星データメッセージを読むことなしにSPS信号を用いて日時を測定する。
【解決手段】衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードはエンティティ、一般には基地局において受信される。第1のレコードは、衛星データメッセージの第2のレコードと比較される。第1のレコードと第2のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳される。この比較から時間が決定される。この時間は、第1のレコード(または第1のレコードが得られる源)が遠隔のエンティティ、一般にはモバイルSPS受信器において受信されたときを示す。種々の他の方法が記載され、本発明の種々の装置も記載される。これらの信号内のデータとして送信される衛星データメッセージを読むことなしにSPS信号を用いて日時を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、1999年3月22日に出願された仮特許出願第60/125,673号(発明の名称「衛星位置決めシステム(SPS)時間測定のための方法および装置」)の一部継続出願である。この結果、この出願は、この仮特許出願の出願日の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、衛星位置システム(SPS:Satellite Position Systems)からの受信した信号を用いて衛星位置システム自体の位置を決めたりあるいは日時を決定する方法およびシステムに関する。本発明は、1997年2月3日に出願した米国特許出願番号第08/794,649号であり現在米国特許第5,812,087号(「親特許」と呼ばれる)の継続出願である1998年5月7日に出願された同時係属特許出願番号第09/074,521号(発明者:ノーマン・クラスナNorman Krasner)の一部継続出願である。この結果、親特許は、参照することにより本出願に組み込まれる。1997年4月15日に出願された特許出願番号第08/842,559号の開示もまた参照することにより本出願に組み込まれる。
【0003】
ほとんどの状況において、親特許の方法は、確実に作動しあるシステム(例えばサーバシステム)が(例えば衛星航法システム(GPS)信号のような)SPS信号を別のシステム(例えばモバイルSPS受信器/クライアントシステム)において捕捉する時間を決定することができる。
【0004】
関心のあるほとんどの状況において、本発明の時間調整方法(パターンマッチングと呼ばれる)は確実に作動する。いくつかの異常な状況においては、モバイル(例えば親特許の図6のモバイル装置453)とサーバ(例えば親特許の図6の基地局)との間で信号を送信するのに極めて長い待ち時間がある。これは、リンクが任意に長い経路選択遅延を可能にするパケット通信を使用した場合起こり得る。まれにそのようなパケットが非常に長い時間期間の後に到達する場合がある。そのような長い待ち時間によって、サーバがモバイルから受信したパターンとサーバに記憶した非常に長いレコードとを比較する必要があるであろう。これは、計算的に複雑であるかも知れず、また必要な計算を行うのにかなりの時間を必要とするかも知れない。さらに、長い待ち時間は、データパターンの繰り返しに関連したあいまいさを生じるかも知れない。例えば、米国GPSデータ信号の実質的な部分は30秒の間隔で反復し、ほんの一部は6秒間隔で反復する。そのような環境下においては、パターンマッチ手続きはあいまいな結果を生じる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明はGPSまたはGlonassのような衛星位置システムに使用される衛星データメッセージに関連する時間を測定するための方法および装置を提供する。一実施形態における方法は、(1)衛星データメッセージの少なくとも一部の第一のレコードをエンティティにおいて受信するステップと、(2)前記第1のレコードを衛星データメッセージの第2レコードと比較するステップであり、前記第1のレコードと第2のレコードは、時間的に部分的に重畳し、前記比較は、前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間を決定した後に実行されるステップと、および(3)前記比較から時間を決定するステップであって、前記時間は前記第1のレコード(例えば第1のレコードのソース)が遠隔地のエンティティにおいて受信されたときを示すステップとからなる。この実施形態の第1の例において、遠隔地にあるエンティティはモバイルSPS受信器であり、エンティティは無線(そして恐らく有線も)リンクを介してモバイルSPS受信器と通信する基地局である。本発明の方法は基地局において、独占的に実行可能である。他の実施形態において、前記比較が実行可能であり、前記第1のレコードが受信された予測時刻を用いて前記比較により決定された時間が正しいことを検証する。
【0006】
受信器タイミングを確立するための本発明の実施形態は、受信器が衛星データメッセージの一部の推定値を形成し、この推定値を基地局に送信するためのものである。基地局において、この推定値は、別のGPS受信器あるいはGPS情報源から受信した衛星データメッセージのレコードと比較される。このレコードはエラーが無いものと仮定する。次にこの比較により、基地局のメッセージのどの部分が遠隔装置により送信されたデータに最も近い値に一致するかを決定する。基地局は衛星データメッセージをエラー無く読んだので、送信衛星により見られるようにそのメッセージの各データビットを絶対タイムスタンプに相関づけることができる。それゆえ、この比較により、基地局は、適切な時間を遠隔装置により送信された推定データに割当てる。この時間情報は必要に応じて遠隔装置に返信される。
【0007】
上述した手法の変形例は基地局に、遠隔装置への衛星データメッセージとこのメッセージの始まりに相関する絶対時間からなる、不要なものが取り除かれているレコードを送信させることである。この場合、遠隔地のエンティティは、このレコードを、この遠隔地のエンティティが受信するGPS信号を処理することにより形成するこのデータの推定値と比較する。この比較は、2つのレコード間の時間的オフセットを提供し、それにより局所的に集めたデータの絶対時間を確立する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1AはSPS信号を受信することができ基地局との通信を確立することができる結合されたモバイルSPSおよび通信システムの主要部のブロック図である。
【図1B】図1Bは図1AのRF/IFコンバータおよび周波数シンセサイザの代表的な実装を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の一方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は本発明の他の方法を示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは本発明の一特定方法におけるモバイルSPS受信器により実行される方法を示す。
【図4B】図4Bは基地局により実行される対応する方法を示す図である。
【図5A】図5Aは本発明の基地局の一実施形態を示す図である。
【図5B】図5Bは本発明の基地局の他の実施形態を示す図である。
【図6】図6はSPS受信器、セルラ電話サイト、基地局、インターネットおよびクライアントコンピュータシステムを含む本発明のシステムを示す図である。
【図7】図7はモバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの受信の時間を決定するために本発明において代表的に実行されるパターンマッチングの簡略化した図である。
【図8A】図8Aは、本発明の他の特定の実施形態においてSPS受信器により実行される方法を示す図である。
【図8B】図8Bは、基地局により実行される対応する方法である。
【図9】図9は代表的なGPS受信器の簡略化した構造を示す図である。
【図10A】図10Aは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10B】図10Bは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10C】図10Cは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10D】図10Dは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図11A】図11Aは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図11B】図11Bは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図11C】図11Cは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図12A】図12Aは、本発明の一実施形態による、粗い時間調整方法の例を示す図である。
【図12B】図12Bは、本発明の他の実施形態による、粗い時間調整方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
衛星位置決めシステムに使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定するための種々の方法と装置を以下に述べる。本発明の説明は、米国の衛星航法(GPS)システムに合わせる。しかしながら、これらの方法は、ロシアのGlonassシステムのような類似の衛星位置決めシステムにも等価に適用可能であることは明白でなければならない。さらに、シュードライト(pseudolites)または衛星とシュードライトの組合せを利用する位置決めシステムにも等価に適用可能であることが理解されなければならない。さらに、基地局とモバイルSPSの種々のアーキテクチャが、本発明の限定として理解されるよりもむしろ例示目的のために提供される。
【0010】
図2は、図1Aに示すようなモバイル通信送受信器と結合されるモバイルSPS受信器に使用される本発明の代表的な方法を示す。図1Aに示すモバイルGPS受信器は、ステップ201において、天体暦(ephemeris)のような衛星データメッセージをサンプリングし、メッセージのレコードを作る。次にこの方法200において、遠隔またはモバイルGPS受信器は、ステップ203において、図5Aまたは5Bに示す基地局のような基地局にこのメッセージのレコードを送信する。このレコードは、典型的にはモバイルSPS受信器により受信されたメッセージのある表現である。ステップ205において、基地局は、モバイルSPS受信器から送信されたレコードを衛星データメッセージの基準レコードと考えることができる別のレコードと比較する。この基準レコードは相関した時間値を有し、衛星データメッセージの種々のセグメントは、そのセグメントに相関する指定された「基準」時間を有する。ステップ207において、基地局は衛星データメッセージのGPS受信器によるサンプリングタイムを決定する。この決定は、基準レコードに相関する時間値に基づき、そしてこの決定は、いつレコードまたはレコードのソースがモバイルGPS受信器により受信されたかを示す。図12Aおよび12Bに示すようにステップ205の比較動作は、モバイルSPS受信器においてSPS信号のレコードを受信する時間の見積もり値、即ち推測値を決定することに基づいて行われる。この推定値は、レコードと基準値の比較の範囲を制限するかまたは比較結果を検証するのに用いることができる。これは、(モバイルにおいてレコードを記録することと比較動作を行うこととの間に異常に長い送信待ち時間があり得る場合)通常の比較動作のスピードを向上させ、また結果の精度を向上させる。
【0011】
図7は図2のステップ205の比較動作の簡略化された方法を示す。特に、図7は、それぞれレコード491および495として示されるモバイル受信器のレコードと基地局の基準レコードとの間の計画された比較を示す。両レコードの水平軸は時間を示す。比較のために基地局に送信された部分を表すモバイルのレコードの一部493がある。一般的に、基地局は、モバイル受信器から受信されたレコードと時間的に少なくとも一部が重畳する対応する部分497を有する。図7において、この重畳は、基準レコードがモバイル受信器のレコードの全間隔にわたって衛星データメッセージを供給するという点で完了する。しかしながら、これは1つの例に過ぎず、重畳は、モバイル受信器のレコードの一部が基地局からの基準レコードと重畳するようにしてもよい。
【0012】
図3は、衛星位置決めシステムに使用される衛星データメッセージに関連した時間を測定するための本発明の方法220をさらに詳細に示す。モバイルあるいは遠隔GPS受信器は、ステップ221において、GPS信号を取得し、これらの取得したGPS信号からの擬似距離(pseudoranges)を決定する。ステップ223において、モバイルGPS受信器はPNデータを除去し、擬似距離を作成または決定するために使用される取得したGPS信号から衛星データメッセージのレコードを作る。このレコードは一般的には、取得したGPS信号における天体暦のある表現であり、一般的には、データの推定値を表す。ステップ225において、モバイルGPS受信器はレコードおよび決定された擬似距離を基地局、例えば図5Aまたは5Bに示すような基地局に送信する。
【0013】
ステップ227において、衛星の天体暦の基準レコードに対するモバイルGPS受信器から送信されたレコードの相互関係を実行する。この基準レコードは一般的に基準レコード内のデータに相関する正確なタイムスタンプを含む(例えば、基準レコード内のデータの各ビットは相関する時間値すなわち「スタンプ」を有する)。そして、当初取得したGPS信号のモバイルGPS受信器による受信の時間を決定するために使用されるのはこのタイムスタンプである。ステップ229において、基地局は、相関関係の演算から、取得したGPS信号の遠隔GPS受信器による取得の時間を決定する。次に、基地局は、ステップ231において、GPS信号の遠隔GPS受信器による取得の時間を使用し、さらに決定された擬似距離を使用して、遠隔/モバイルGPS受信器の緯度および経度であり得る、位置情報を決定する。ステップ233において、基地局は、遠隔GPS受信器のこの位置情報を別のエンティティ、例えば、インターネットまたはイントラネットのようなネットワークを介して基地局に接続されたコンピュータシステムに通信する。これについて、図5Bおよび図6に関連して以下に詳細に述べる。
【0014】
以下に、遠隔SPS受信器における衛星データを推定するためのいくつかの方法についてさらに詳細に述べる。この方法は2つに分類される。一方は、(PNが除去された後)データの差動復調とソフト判定を実行し、他方はPNが除去された後、生のI/Qデータをサンプリングする。第1の方法は、図4Aおよび図4Bに線図的に示され、第2の方法は、図8Aおよび8Bに示される。ここでの目的は、遠隔装置における信号の受信と基地局における信号の受信との間の到着時間差を決定することである。基地局は正確な時間を持つと仮定されるので、この時間差は、遠隔装置におけるデータの受信の正確な時間を決定する。以下に説明するように、2つの手法は、遠隔装置(モバイルSPS受信器)により実行されなければならない処理量と、通信リンクを介して遠隔装置から基地局に送信されなければならない情報量により異なる。本質的に、リンクを介して通過しなければならないデータの質に対して遠隔装置における処理負荷におけるトレードオフがある。
【0015】
図4Aおよび4Bおよび図8Aおよび8Bにおける手続きの詳細を説明する前に本発明の方法との対比を提供するために一般的なGPS動作を再考する。一般的なGPS受信器601の簡略化したバージョンを図9に示す。
【0016】
この一般的な受信器601は、GPSRFフロントエンド(例えば、ダウンコンバータおよびデジタイザ)からの2値化I/Q入力信号603を受信し、ミクサ605において、これらの入力信号603と、デジタル発振器607からの発振器信号を混合する。ミクサ605からの出力は次にミクサ609において、マイクロコントローラ617からの信号619によるチップアドバンス(chip advance)により制御されるPNジェネレータ601の出力と混合される。マイクロコントローラ617はまた、信号を近接したベースバンドに変換するためにデジタル発振器607を制御する。
【0017】
一般的なGPS受信器の動作において、ノイズが無い場合のGPS衛星から受信した信号は次式で表される
【数1】
【0018】
但しP(t)は±1の値を持つ、1023の長さの繰り返しバイナリ位相シフトキー擬似ランダムシーケンス(チップレート:1.023 Mchips/sec)であり、D(t)は再度±1の値を持つPNフレーミングの開始と合わされた50ボーのデータ信号である。(例えばミクサ605により)信号を近接したベースバンドに変換した後、PNコードは通常相関器(これは、図9の素子609、611、613、615および617を含むと考えることが出来る)を用いて除去される。この装置は、(所定の衛星に対して)コードP(t)を局所的に再生し、局所的に発生されたPNと受信したPNの相対的整相を決定する。位相が整合されると、相関器は、この信号と局所的に発生された基準値とを乗算し、その結果次の信号形態を生じる。
【数2】
【0019】
この時点において、信号は、(例えばフィルタ613において)狭帯域フィルタリングされ、データ信号D(t)の帯域の外側のノイズを除去する。従って、サンプリングレートは、サンプラ615により、小さな倍数のデータレートに低減可能である。従って、数式(2)の右辺の変数tは形式mT/Kの値を取る(m=0, 1, 2,…但し、Kは小さな整数(例えば2)であり、Tはビット期間である。
【0020】
次に、この時点のデータのサンプルがPNトラッキングオペレーション、キャリアトラッキング、およびデータ復調を実行するのに使用される。これは通常、マイクロコントローラのソフトウエアアルゴリズムにより実行されるが、代替的にハードウエアで実行するようにしてもよい。図9において、マイクロコントローラ617は、局所的に発生したキャリア信号とPN信号を受信した信号と位相同期させて維持するために、訂正信号621と619をデジタル発振器とPN発生器にそれぞれフィードバックする。この動作は、通常非常に多数の同時に受信したGPS信号(一般的には、4以上のGPS衛星からの4以上のGPS信号)のために並列で実行される。
【0021】
今、ある環境下(例えばS/N比(SNR))において、GPS信号が非常に弱いので、データD(t)を高い信頼性で抽出することができない。上述したように、一般的なGPSは、世界時を決定しならびに地点標定を提供するためにこのデータを読む必要がある。この低いS/N比において、本発明により提供される代替手法は、遠隔装置が基地局と一緒に作動するためのものである。基地局はこの衛星データ情報にアクセスする。遠隔装置は、遠隔装置によるそのようなデータの元の受信に相関する時間を計算可能にする基地局に送る。この受信の時間を計算するために基地局が遠隔装置に情報を送る他の代替構成が存在する。ここでは、主として最初のケースについて考察する。
【0022】
基地局と遠隔装置との間の時間調整は、ある場合には、正確なタイミング信号(例えばパルスあるいは専用の波形)を通信リンクを介して送信し、リンク待ち時間の先天的知識あるいは(双方向対称リンクと仮定して)往復遅延量を測定することにより何らかの経過時間を明らかにすることにより得ることができることに注意しなければならない。しかしながら、この手法が実用的でないあるいは実施不能な多くの環境がある。例えば多くのリンクは、待ち時間が送信ごとに可変であり、多くの秒数かかるパケット化されたプロトコルを含む。
【0023】
本発明の手法は、遠隔装置がデータシーケンスD(t)の一部の推定値または其れを処理したものの推定値を作成し、このデータを基地局に送信する。このデータシーケンスは、基地局により発生された同様だがより高い忠実度の信号と比較可能である。この2つのシーケンスは、最小平均2乗誤差のような所定の測定基準にしたがって、最良のマッチングが生じるまで、互いに時間的にスライドする。この「相関」手続きは、PN拡散シーケンスに同期するためにGPS受信器により使用されるそれと非常に類似している。しかしながら、ここでは、動作は、非常に低いレートのデータ信号に対して成され、さらにそのような信号のパターンは、前もって未知であってもよい。
【0024】
基地局は、メッセージの各要素に相関する正確な時間をおそらく知っているので、基地局は、この知識プラス上述した比較を利用して、遠隔装置において、受信された信号に相関する元の時間を確かめることができるかも知れない。
【0025】
従って、主たる問題は、データシーケンスD(t)またはその派生物の遠隔装置における推定値にある。
【0026】
図8Aおよび8Bに示され、データシーケンスを推定するための本発明の1つの特定の実施形態は、例えば式(2)に示すようにPNが除去された後の信号のレコードを単にサンプリングして記憶することである。ここでは、信号は、小さな倍数のデータレートでサンプリングされると仮定する。この目的のために、100サンプル/秒が適切かも知れない。IおよびQの両方の支流をサンプリングする必要があることに留意しなければならない。また、基地局における識別のためにデータパターンが独特のものでありそうにするためにおよそ25以上のデータシンボル(0.5秒)の長さのレコードにしなければならない。式(2)から小さな残存キャリアf0および未知のキャリア位相φが依然として存在することに留意しなければならない。キャリア周波数は、データ信号の±1/2のサンプリングレートよりも良い精度まで知られていることが有益である。そうでなければ、キャリアはデータ信号の位相反転を有効に導入し、データを改悪する。
【0027】
図8Aは、この特定の実施形態によるモバイルGPS受信器において実行される方法を示す。受信器は、特定のGPS信号のための第1(第1でなければ次の)PNコードを取得し、ステップ503において信号からPNコードを除去する。次に、ステップ505において、受信器はキャリア周波数の正確な推定を実行し、ステップ507において、入力された信号からキャリアを除去する。次に、ステップ509および511において、IおよびQデータがサンプリングされ量子化され、量子化された結果は、対応する衛星データメッセージのレコードとして保存され、(恐らく、特定のGPS信号を送信するGPS衛星からの対応する擬似距離と共に)基地局に送信される。ステップ513において、受信器が関心のあるすべての衛星(例えばモバイルGPS受信器に鑑みて全ての衛星あるいは少なくとも見えている4つの衛星)に対してステップ503、505、507、509および511を実行したか(それゆえレコードを決定したか)否かを決定する。衛星データメッセージのレコードが関心のある各衛星から決定されたなら、GPS受信器はそのレコードを経過時間タグと共に基地局に送信する(ステップ515)。経過時間タグは、基地局により使用され、そのレコードと(相関により)比較されるであろう基地局において「基準」レコードを推定および/または選択することができる。受信器が関心のある各衛星からレコードを決定しなかった場合には、モバイルGPS受信器は、ステップ513からステップ503に戻り、関心のある次の衛星から受信した衛星データメッセージのレコードを決定するためにステップ503、505、507、509および511を繰返す。図8Aの方法を実行可能なGPS受信器(および通信送/受信器)の例は図1Aに示され、このGPS受信器について以下にさらに詳細に説明する。
【0028】
この情報を受信しているとき、基地局は、周波数推定値を純化し、キャリアを除去し、晴天のときにGPS受信器から受信した(あるいはインターネットあるいはGPS地上制御局からのような高忠実度のGPS信号源から受信した)高忠実度信号から抽出した同様のデータに対してこのデータを相互相関することにより相対タイミングを決定することができる。
【0029】
図8Bは遠隔装置から送信された衛星データメッセージのレコードを受信したとき基地局により実行される方法521を示す。ステップ523において、基地局は、衛星データメッセージに対応するレコードを受信し、ステップ525において、そのレコードにフェーズロックし、ステップ525において、残存する位相誤差/ロール(roll)を除去する。ステップ523および525と同時に、基地局は、一般にGPSデータメッセージを追跡し復調し、復調された衛星データメッセージの種々の間隔に相関して正確な時間を提供するために、これらのデータメッセージに時間タグを印加しているであろう。これはステップ527に示される。一般に、基地局は、連続した基準レコードが発生されこの「基準」レコードのランニングサンプル(running sample)が基地局に記憶されるように進行中ベースで衛星データメッセージの追跡と復調を行っているであろう。基準のランニングレコードは、現在時刻の10乃至30分前までの時間期間維持することができることが理解されるであろう。すなわち、基地局は、基準レコードの最も古い部分を破棄し、時を違えず実際に最新の部分と交換する前に30分間基準レコードのコピーを保持することができる。
【0030】
ステップ529において、第1の(または次の)衛星からの第1の(第1でなければ次の)衛星データメッセージのために遠隔装置からの基準レコードに対して基地局の基準レコードを相関させる。この相関は、事実上遠隔装置がレコードを受信したとき基地局が時間を正確に決定できるようにパターンをマッチングするために2つのレコード間の比較である(このレコードは実際には、レコード自体がレコード源の推定値であるので、そのレコード源が遠隔装置により受信されたときの時間である)。本発明を説明するのに使用される場合、遠隔装置によるレコードの受信の時間は事実上遠隔装置におけるレコード源の受信の時間である。ステップ531において、遠隔装置が現在の衛星のレコードおよびその対応する衛星データメッセージを受信した時間を示すピークロケーションを発見し補間する。ステップ533において、基地局は、すべての対応するレコードに相関する全ての時間が関心のある全ての衛星に対して決定されたか否かを決定する。そうでなければ、処理は、ステップ529に戻り、遠隔装置から受信した各レコード毎に処理が繰返される。関心のあるすべての衛星およびその対応する衛星データメッセージのための対応する時間を決定するためにすべてのレコードが処理されたなら、処理はステップ533から535に進み、関心のある異なる衛星のために時間が比較される。ステップ537において、多数決論理を用いて誤差のあるあるいは不明瞭なデータを破棄し、次に、ステップ539において、全てのデータが不明瞭か否かが判断される。全てのデータが不明瞭なら、基地局は、モバイルGPS装置内の通信受信器にコマンドを送信することによりモバイルGPS受信器にさらにデータを取得するように指示する。すべてのデータが不明瞭でない場合には、ステップ543において、基地局は、モバイルGPS受信器における衛星データメッセージの受信の平均時間を決定するために時間の重み付けされた平均化を行う。さらなる処理のためにGPS信号のサンプルが2値化されデジタルメモリに記憶されるようなある環境下においては、そのサンプルが短期間であるかぎり事実上一度の受信があると理解されるであろう。一度に1つの衛星が処理され、その衛星からの信号が取得され、その信号のレコードが作られ、次の時間において、別の衛星信号が取得されるような他の場合において、この場合には、複数回の受信があり、基地局は、これらの時間の各々を決定し、それらを以下に述べるように使用する。
【0031】
一般にモバイルGPS受信器から送信された擬似距離(pseudoranges)に関連したレコードの受信の時間は、少なくとも幾つかの実施形態においては、基地局により使用され、モバイルGPS受信器緯度と経度および/または高度のような位置情報を決定するであろうことが理解される。
【0032】
ある場合には、(ステップ525において)十分な精度まで残留キャリア周波数を決定することが困難であり、遠隔装置からのデータの差動復調および局所的に受信したデータが相互相関の前に来るかも知れない。この差動復調はさらに図4Aおよび4Bに関連してさらに述べる。
【0033】
(モバイルGPS受信器と基地局との間の)通信リンク容量が低い場合には、デスプレッド信号(despread signal)(PNを除去した信号)にさらなる付加的処理を行うことが都合がよい。この目的のための良い方法は、図4Aおよび4Bに示すように、遠隔装置がビット期間(20ミリ秒)あるいはその倍数に設定された遅延を用いて、データ信号に遅延乗算演算を行うことによりこの信号を差分的に検出することである。従って、式(2)のベースバンド信号が次式で表されるなら
【数3】
【0034】
適切な演算は以下のようになる。
【数4】
【0035】
但し、アスタリスクは、複素共役を表し、Tはビット期間(20msec)であり、D1(t)は元のデータシーケンスを差分的にデコードすることにより(例えば遷移を−1、非遷移を+1にマッピングすることにより)作られる新しい50ボーシーケンスである。今、シンボル期間の逆数に比べてキャリア周波数エラーが小さい場合には、シンボル期間の逆数の指数項は、虚成分を支配する実成分を有し、実成分のみが維持され、結果A2D1(t)を生じる。従って、数式(4)の演算は、図8Aに示す方法の複素数の信号ストリームの代わりに実数の信号ストリームを生成する。これは、レコードが通信リンクを介して送信されるとき、それだけで、必要な送信メッセージ長を半分にする。信号A2D1(t)は基地局にあるので、図8Aに示す方法のレートよりも多少小さいレートでサンプリング可能である。また、このデータの符号のみを維持し、それにより送信すべきデータ量を低減することも可能である。しかしながら、この方法は、基地局が1シンボル期間(20msec)よりもさらに良く時間を分解する能力を低減するであろう。ここでは、PNコードは1ミリ秒の期間で繰り返し、それゆえこの測定エラーをさらに分解するにはそれだけでは有効でないであろうことに注意しなければならない。
【0036】
図4Aは、モバイルGPS受信器において実行される処理ステップを示し、図4Bは本発明の特定の実施形態による、基地局において実行される処理ステップを示す。モバイルGPS受信器は、ステップ301において、基地局からの位置情報のためのリクエストを受信する。一般的な実施形態において、この受信は、図1Aに示すモバイルGPS受信器内に示されるような通信受信器により生じることが理解されるであろう。位置情報のリクエストに応答して、ステップ303において、モバイルGPS受信器はGPS信号から第1の(第1でなければ次の)PNコードを取得し、受信したGPS信号からそのPNコードを取り除く。ステップ305において、遠隔装置は、キャリア周波数の正確な推定を行う。この推定の精度は、50ボーGPSデータの場合には一般的に100HzであるGPSデータメッセージのサンプリングレートよりも良くなければならない。ステップ305はGPS受信器における一般的な周波数測定システムを用いることにより実行可能である。この周波数測定システムは、キャリアを抽出するためのフェーズロックループをしばしば含むキャリアトラッキングループと、周波数測定回路あるいは代替的にフェーズロックループを有した周波数トラッキングループを使用する。ステップ307において、キャリア周波数は、残りの信号からモバイルGPS受信器により取り除かれ、50ボーデータが残る。次に、ステップ309において、一般にデータ自身の2倍のレートでデータをサンプリングすることにより、区別をつけて検出される。ステップ309のように、データを区別をつけて検出するよりも、遠隔GPS受信器は、データ自身を基地局に送信し、基地局がステップ309および311の区別をつけた検出および量子化を実行可能にすることが理解されるであろう。モバイルGPS受信器は、ステップ311において、一般に1/2秒乃至1秒の時間期間を有する衛星データメッセージのレコードである結果を量子化し記憶することにより継続する。次に、ステップ313において、モバイルGPS受信器は、衛星データメッセージのレコードが、視野に入っているすべての衛星あるいは視野に入っている少なくとも4つの衛星であり得る関心のある各衛星ごとに作られたか否か判断する。レコードが関心のある衛星およびその対応する衛星データメッセージごとに作られな
かった場合には、処理はステップ313からステップ303に戻り、このループは、関心のある衛星ごとに衛星データメッセージごとにレコードが作られるまで続く。関心のある全ての衛星のためのすべてのレコードが決定され作られると、処理はステップ313から315に進み、モバイルGPS送信器は、その通信送信器を介して、上述した方法で基地局により使用される粗い(経過)時間タグと共に関心のある全ての衛星のためのレコードを送信する。
【0037】
基地局は、図4Bに示すステップ327において、モバイルGPS受信器からこれらのレコードを受信する。モバイルGPS受信器の動作と同時に、基地局は一般にGPSデータメッセージをトラッキングおよび復調しており、これらのデータメッセージに事実上タイムスタンプするためにこれらのデータメッセージにタイムタグを印加する。これは図4Bに示すステップ321で行われる。次に、ステップ323において、基地局は、データを差分復号化し、ステップ325の相関動作に使用されるであろう基地局データを供給する。モバイルGPS受信器から受信したデータは、一般に相関動作のために記憶され、ステップ323からの記憶された、差分復号化されたデータと比較される。ステップ325において、基地局は、第1の(第1でなければ次の)衛星のためにモバイルGPS受信器からのレコードに対して基地局のデータの相関を取る。ステップ327において、基地局は、現在処理中の衛星からの衛星データメッセージのモバイル受信器における到着時間を示すピークロケーションを発見し補間する。ステップ329において、基地局は、モバイル受信器から受信したすべてのレコードに対して相関が行われたか否か判断する。すべてのレコードに対して相関が行われていなければ処理はステップ325に戻り、次の衛星データメッセージのための次のレコードがステップ325およびステップ327において処理される。ステップ329において、モバイルGPS受信器から受信した全てのレコードに対して相関が行われたと判断された場合、次に、ステップ331において、関心のある異なる衛星のための決定された時間間の比較が行われる。ステップ333において、基地局は多数決論理を用いて誤差のあるあるいは不明瞭なデータを破棄する。次にステップ335において、基地局は全てのデータが誤差のあるあるいは不明瞭なデータか否か判断する。もしそうなら、ステップ337において、モバイル受信器にさらにデータを取得するように指示し、図4Aに示す方法から始まる全体の処理を繰り返し、図4Bに示す方法まで続く。ステップ335の判断において、全てのデータが不明瞭でなければ、基地局はステップ339において、時間の重みづけされた平均化を行い、モバイルGPS受信器の位置を決定するために、少なくともいくつかの実施形態において、モバイルGPS受信器から送信された擬似距離とともにこの重み付けされた平均値を使用する。
【0038】
上述した処理ステップを図示するために、生のGPS信号がサンプリングされ、レコードに集められ1シンボル期間あたり4サンプルのレートでデスプレッド (despread)されサンプリングされる。図10Aは、キャリアが部分的に除去されたデスプレッド波形の実部分の1秒レコードを示す。シンボルパターンは明白であるが、約1Hzの小さな残留キャリアオフセットが明らかに依然として存在する。図10Bは、信号を共役化された20ミリ秒に等しい遅延量を有した遅延されたバージョンの信号と乗算することにより差分検出した信号を示す。このシンボルパターンは明らかに明白である。図10Cは、理想的なデータ信号を示し、図10Dは(例えば基地局で生成された)理想信号と図10Bの信号の相互相関を示す。サンプリング効果およびノイズ等による信号の非理想的性質から生じた図10Bのグリッチに留意されたい。
【0039】
図11Aは、ノイズが信号に付加され、復調された信号のS/N比は約0dBである復調されたデータを示す。これは、受信したGPS信号の電力が例えば、遮断条件によりその公称レベルに関連して15dB以上低減された時の状況をモデル化する。図11Bは差分復調されたデータを示す。ビットパターンは検出不可能である。最後に、図11Cは、明瞭な基準値とこのノイズ信号の相互相関を示す。明らかにこのピークは、5.33(14.5dB)を越えて平方自乗平均レベルまでのピークを有し依然として強く正確な到着時間の推定を可能にする。事実、この信号のピークについて適用された補間ルーチンは1/16サンプルスペース、すなわち0.3秒未満の精度を示した。
【0040】
上述したように、基地局は遠隔装置に、このメッセージの始めに相関する時間と一緒にデータシーケンスを送信することができる。従って遠隔装置は、これらの相関方法が遠隔装置において行われることを除いて上述したと同じ相互相関方法を介してデータメッセージの到着時間を推定することができる。これは、遠隔装置が自分自身の位置ロケーションを計算する場合には有効である。この状況において、遠隔装置はまた基地局からのそのようなデータの送信によって衛星天体暦(satellite ephemeris)データを取得することができる。
【0041】
図1Aは本発明により使用可能な結合されたモバイルGPS受信器と通信システムの例を示す。この結合されたモバイルGPS受信器と通信システム100は、1996年5月23日に出願した同時係属出願番号第08/652,833号(発明の名称:「共有回路を利用した結合されたGPS位置決めシステムおよび通信システム」)に詳細に記載されている。この出願(現在米国特許第6,002,363号)を参照することにより本明細書に組み込まれる。図1Bは図1AのRF/IFコンバータ7および周波数シンセサイザ16を詳細に示す。図1Bに示すこれらのコンポーネントはまた、同時係属出願第08/652,833号に記載されている。図1Aに示すモバイルGPS受信器と通信システム100は、受信器が非常に高い感度を持つように、記憶されたGPS信号に特別の形態のデジタル信号処理を行うように構成可能である。これについては、1996年3月8日に出願された同時係属米国特許出願第08/612,669号(発明の名称:「GPS信号を処理するための改良されたGPS受信器および方法」)に記載されており、この出願を参照することにより本明細書に組み込まれる。出願番号第08/612,669号に記載されたこの処理動作は、一般には高速フーリエ変換を使用した複数の中間のたたみこみを計算し、これらの中間のたたみこみをデジタルメモリに記憶し、これらの中間のたたみこみを用いて少なくとも1つの擬似距離を供給する。図1Aに示す結合されたGPSおよび通信システム100はまたGPS受信器の感度と精度をさらに改良するために、ある周波数安定化または校正技術を組み込むことができる。これらの技術は、1996年12月4日に出願された同時係属出願番号第P003X(発明の名称:「通信リンクを利用した改良されたGPS受信器」)に記載されており、この出願(現在米国特許第5,841,396)を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0042】
図1Aに示す結合されたモバイルGPS受信器および通信システム100の動作を詳細に説明するよりもむしろ簡単な概略をここに提供する。一般的な実施形態において、モバイルGPS受信器および通信システム100は、図5Aまたは図5Bのいずれかに示す基地局群のいずれかの1つであり得る基地局17のような基地局からコマンドを受信する。このコマンドは、通信アンテナ2により受信されプロセッサ10によりメモリ9に記憶された後デジタルメッセージとして処理される。プロセッサ10は、このメッセージが基地局に位置情報を供給するためのコマンドであると判断し、これによりプロセッサ10は、少なくともその一部が通信システムと供給可能なシステムGPS部をアクティブにする。これは、例えば、通信アンテナ2からの通信信号よりもむしろGPSアンテナ1からのGPS信号をRF/IFコンバータ7が受信するようにスイッチ6を設定することを含む。次に、GPS信号は受信され、2値化され、デジタルメモリ9に記憶され、上述した出願番号第08/612,669号に記載されたデジタル信号処理技術に従って処理される。この処理の結果は一般的に視野に入っている複数の衛星のための複数の擬似距離を含み、次にこれらの擬似距離は、送信部をアクティブにし擬似距離を基地局および通信アンテナ2に返信する処理コンポーネント10により基地局に返信される。
【0043】
図1Aに示す基地局は無線通信リンクを介して直接遠隔装置に接続することができ、あるいは図6に示すように、電話サイトと基地局との間に有線通信リンクを提供するセルラ電話サイトを介して遠隔装置に接続することができる。図5Aおよび5Bはこれら2つの可能な基地局を示す。
【0044】
図5Aに示す基地局401は本発明に従ってモバイルGPS受信器との間で無線リンクを提供し、受信した擬似距離および対応する時間レコードを処理することにより、自律装置として機能することができる。この基地局401は、基地局が大都市圏に位置し、追跡すべき全てのモバイルGPS受信器が同様に同じ大都市圏に位置する場合に使い道を見つけることができる。例えば、この基地局401は、モバイルGPS受信器を身につけているあるいは使用している個人を追跡するために警察あるいはレスキューサービスにより使用することができる。一般に、送信エレメント409および受信エレメント411は、合体されて1つのトランシーバとなり1つのアンテナを有するであろう。しかしながら、これらのコンポーネントは個別に存在することができるので個別に示してある。送信器409は、送信器アンテナ410を介してモバイルGPS受信器にコマンドを供給するように機能する。この送信器409は、特定のモバイルGPS受信器の位置を決定するようにプロセッシングユニットのユーザからの要求を受信することができるデータプロセッシングユニット405の制御下にある。従って、データプロセッシングユニット405はそのコマンドを送信器409によりモバイルGPS受信器に送信させる。これに応答して、モバイルGPS受信器は本発明の一実施形態において、受信アンテナ412により受信される擬似距離および対応するレコードを受信器411に返信する。受信器411はモバイルGPS受信器からこれらのメッセージを受信し、それらをデータプロセッシングユニット405に供給する。データプロセッシングユニットはモバイルGPS受信器からの擬似距離およびGPS受信器403から受信した衛星データメッセージあるいは他の基準品質衛星データメッセージから位置情報を引き出す動作を行う。これは、上述した同時係属特許出願にさらに記載されている。GPS受信器403は、モバイルGPS受信器のための位置情報を計算するために擬似距離および決定された時間とともに使用される衛星天体暦を供給する。大容量記憶装置407はモバイルGPS受信器から受信したレコードと比較するために使用される衛星データメッセージの基準レコードの記憶されたバージョンを含む。データプロセッシングユニット405はオプションディスプレイ415に接続可能でありさらにオプションであるGISソフトウエアを有した大容量記憶装置413にも接続可能である。大容量記憶装置413と大容量記憶装置407とはそれらが同じハードディスクまたは他の大容量記憶装置に含まれることができるという点において、同じであることが理解されるであろう。
【0045】
図5Bは本発明の代替基地局を示す。この基地局425は、図6に示すセルラ電話サイト455のような遠隔送受信サイトに接続するように意図されている。この基地局425は、さらに、インターネット、イントラネットあるいは他の種類のコンピュータネットワークシステムを介してクライアントシステムにも接続可能である。このような基地局の使用は、1996年9月6日に出願された同時係属出願番号第08/708,176号(発明の名称:「クライアント−サーバーベース遠隔ロケータ装置」)に記載されている。この出願を参照することにより本明細書に組み込まれる。基地局425は、図6に示すセルラ電話サイト455およびその対応するアンテナまたはアンテナ群457を介して図6に示す結合されたGPS受信器および通信システム453のようなモバイルGPS装置と通信する。結合されたGPS受信器と通信システム453は、図1Aに示すシステム100と同様であり得ることが理解されるであろう。
【0046】
図5Bに示す基地局425は、バス430によって、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり得るメインメモリ429に接続された一般的なマイクロプロセッサであり得るプロセッサ427を含む。基地局425はさらに、キーボード、マウス、およびディスプレイのような入出力装置435、およびバス430を介してプロセッサ427およびメモリ429に接続された相関するI/Oコントローラを含む。ハードディスク、CD ROMあるいは他の大容量記憶装置のような大容量記憶装置433は、バス430を介したプロセッサ427のようにシステムの種々のコンポーネントと接続される。GPS受信器あるいは他の衛星データメッセージ群との間のI/O制御を司るI/Oコントローラ431もバス430に接続されている。このI/Oコントローラ431はGPS受信器431から衛星データメッセージを受信し、それらをバス430を介してプロセッサに供給する。プロセッサはこれらのデータメッセージにタイムスタンプを印加し、モバイルGPS受信器から受信したレコードと比較のため後で使用するように大容量記憶装置433に記憶させる。基地局425から遠隔に位置する他のシステムのインタフェースとして2つのモデム439および437が図5Bに示される。モデムあるいはネットワークインタフェース439の場合には、この装置は、例えばインターネットあるいはその他のコンピュータネットワークを介して、クライアントコンピュータに接続される。モデムあるいは他のインタフェース437は、システム451を示す図6に示されるサイト455のようなセルラ電話サイトへのインタフェースを提供する。
【0047】
基地局425は、当業者により理解されるように他のコンピュータアーキテクチャにより実現可能である。例えば複数のバスあるいはメインバスと周辺バスを設けても良いしあるいは複数のコンピュータシステムおよび/または複数のプロセッサを設けても良い。例えば、専用のプロセッサを持ち、GPS受信器403からの衛星データメッセージを受信し、本発明に従って、基準レコードを作成する処理に中断が無く、それを記憶してその記憶した量を管理するような専用の態様でそのメッセージを処理し、基準レコードを提供することは都合がよい。
【0048】
一実施形態において、図6に示すシステム451は一般的に以下のように動作する。クライアントコンピュータシステム463は、インターネット461のようなネットワークを介して基地局425にメッセージを送信する。ネットワークまたはインターネット461内には、特定のモバイルGPS受信器の位置のための要求を通過させる仲立ちするルータまたはコンピュータシステムがあり得ることが理解される。基地局425は、一般には有線電話リンク459であるリンクを介してメッセージをセルラ電話サイト455に送信する。このセルラ電話サイト455は次に、アンテナまたはアンテナ群457を用いてコマンドを結合されたモバイルGPS受信器および通信システム453に送信する。これに応答して、システム453は本発明に従って擬似距離および衛星データメッセージのレコードを返信する。これらのレコードと擬似距離は次にセルラ電話サイト455により受信されリンク459を介して基地局に返信される。次に基地局は、衛星データメッセージの受信時間を決定するためのレコードを使用して、および遠隔GPSシステム453からの擬似距離を使用して、および基地局におけるGPS受信器からあるいは他のGPSデータ源からの衛星天体暦を利用して、本発明に従って記載された動作を実行する。次に基地局は位置情報を決定し、この位置情報をインターネット461のようなネットワークを介してクライアントコンピュータシステム453に通信する。クライアントコンピュータシステム453自体は、クライアントコンピュータシステムに、マッピングソフトウエアを持たせることができ、このシステムのユーザが地図上でモバイルGPSシステム453の正確な位置を見ることを可能にする。
【0049】
GPS信号がモバイルGPSシステムに受信されたときに推定時間を決定するためのいくつかの方法がある。モバイルは、パターンをサーバに送る時にタイマを開始することができサーバからのアクノレッジを待つ。受信のアクノレッジメントが非常に長い場合、連続する送信間のタイムオフセットとともにパターンを再送することができる。これは、アクノレッジメントが受付け可能な時間期間(例えば1秒以内)内に受信されるまで続けることができる。事実上、この方法は、送信遅延量を決定していてこの送信遅延量が所定量以上(例えば遅延量が受付け可能な時間期間以上)の場合にはマッチングのためにパターンを再送信している。この送信遅延量は、2つのパターンの比較のための比較範囲を確立する。
【0050】
あるいは、モバイルおよびサーバは、往復(round trip)信号により、例えば1秒あるいはそれより良い精度で粗い時間調整を最初に確立することができる。サーバは日時をモバイルに送ることができ、モバイルはこの時間を記録しアクノレッジメントをサーバに送信する。アクノレッジメントが所定の時間期間T内に受信されるならば、モバイルにおいて記録された時間はサーバの時間のT秒以内であることは明らかである。従ってモバイルがGPS情報を処理してサーバに送信されるべきデータパターンを作成すると、そのような処理の時間は、T秒の精度にタグをつけることができる。それゆえ、推定されたGPS情報がサーバに送られると、サーバはTより大きくない範囲内で、モバイルから受信したパターンと基準パターン(例えばローカルGPS受信器あるいは他のデータ供給)との間の時間のオフセットを調べればよい。粗い時間調整もまた、モバイルがそのローカルバージョンの処理時間をサーバに送信し、サーバがアクノレッジメント応答を送信することにより行うことができる。サーバは受信したモバイルの時間を独自の時間と相関させてオフセット(ときどきバイアスと呼ばれる)を決定することができる。この往復時間がT秒以内であれば、モバイルのローカルタイムによりタイムタグされたモバイルからサーバへのその後の送信は再びサーバがT秒未満にそのサーチ範囲を制限することを可能にする。このようにしてサーバは、比較範囲を制限することができる。
【0051】
パターンマッチング動作がサーバよりもむしろモバイルで行われるならば、モバイルとサーバとの間の粗い時間調整のための同じ手法を行うことができることが理解されなければならない。一度サーバとモバイルがT秒より大きくない時間量に互いに粗時間を確立すると、モバイルにおいて行われるその後のパターンマッチ動作は、T秒より大きい範囲において行う必要はない。
【0052】
上述した手続きの他の変形例も可能である。データをやりとりしてデータの受信時間を測定する代わりに、ある環境下において、モバイルとサーバあるいはサーバが通信することのできるその他のエンティティとの間で電気パルスあるいは他のタイミング信号を送信することが可能である。従って、このパルスまたは信号は、モバイルとサーバとの間の時間をおおよそ調整するための手段を提供することができる。モバイルおよびサーバは、サーバとの通信とは別個に信号または信号群の受信により時間のおおよその知識を得ることができる。例えば、各々は、WWVのような別の通信信号から日時の放送信号を受信することができる。モバイルとサーバは粗い共通の時間を確立するために、双方が共通の無線信号を見ることができその信号に相関する特定のエポック(epoch)に一致することができる。
【0053】
図12Aは、パターンマッチングの後の粗い時間調整方法の全体のブロック図を示し、この場合最終パターンマッチング動作はサーバにおいて行われる。同様のブロック図は、モバイルで行われるパターンマッチングに相当し、図12Bに示す。
【0054】
図12Aにおいて、サーバとモバイルは、オペレーション700において、往復メッセージまたは信号を送信し、(T秒と呼ばれる)往復遅延量を測定することにより時間調整を行う。この測定値はオペレーション701において、Tが長すぎる(例えば30秒以上)か否かを判断するのに使用される。遅延が長すぎる場合には、オペレーション700が繰返される(あるいはモバイルとサーバの間の時間調整のための上述した他の方法を使用することができる)。遅延が長すぎなければ、オペレーション702が実行される。このオペレーションは親特許の図2のオペレーション203と同様である。オペレーション703において、サーバ(例えば親特許の図6の基地局425)は相関動作を実行し、モバイルにより送信されたパターン/レコードをマッチングすることにより正確な時間を決定する。この粗い時間を用いてサーチ窓を作り(窓=CT−デルタ乃至CT+デルタ)、その窓内のサーバのレコードを選択し、それとモバイル装置から受信したパターンが比較される。
【0055】
図12Bにおいて、(サーバがこの動作を行うよりもむしろ)モバイルがパターンマッチング動作を行うことを除いて、オペレーション700−703に類似した一連のオペレーション(800−803)が行われる。
【0056】
図示目的のためでありいかようにも本発明を限定するように意図されない種々の図面を参照して本発明について述べた。さらに、本発明の方法と装置の種々の例について述べた。これらの例は、本発明に従って変形可能であり、以下の特許請求の範囲の範囲内に入ることが理解される。
【符号の説明】
【0057】
1・・・GPSアンテナ
2・・・通信アンテナ
6・・・スイッチ
7・・・RF/IFコンバータ
9・・・メモリ
10・・・プロセッサ
16・・・周波数シンセサイザ
17・・・基地局
100・・・通信システム
401・・・基地局
403・・・GPS受信器
405・・・データプロセッシングユニット
407・・・大容量記憶装置
409・・・送信エレメント
410・・・送信器アンテナ
411・・・受信エレメント
412・・・受信アンテナ
413・・・大容量記憶装置
415・・・オプションディスプレイ
425・・・基地局
427・・・プロセッサ
429・・・メインメモリ
430・・・バス
431・・・I/Oコントローラ
433・・・大容量記憶装置
435・・・入出力装置
437・・・モデム
439・・・モデム
451・・・システム
453・・・通信システム
455・・・セルラ電話サイト
457・・・アンテナ
459・・・有線電話リンク
461・・・インターネット
463・・・クライアントコンピュータシステム
【技術分野】
【0001】
この出願は、1999年3月22日に出願された仮特許出願第60/125,673号(発明の名称「衛星位置決めシステム(SPS)時間測定のための方法および装置」)の一部継続出願である。この結果、この出願は、この仮特許出願の出願日の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、衛星位置システム(SPS:Satellite Position Systems)からの受信した信号を用いて衛星位置システム自体の位置を決めたりあるいは日時を決定する方法およびシステムに関する。本発明は、1997年2月3日に出願した米国特許出願番号第08/794,649号であり現在米国特許第5,812,087号(「親特許」と呼ばれる)の継続出願である1998年5月7日に出願された同時係属特許出願番号第09/074,521号(発明者:ノーマン・クラスナNorman Krasner)の一部継続出願である。この結果、親特許は、参照することにより本出願に組み込まれる。1997年4月15日に出願された特許出願番号第08/842,559号の開示もまた参照することにより本出願に組み込まれる。
【0003】
ほとんどの状況において、親特許の方法は、確実に作動しあるシステム(例えばサーバシステム)が(例えば衛星航法システム(GPS)信号のような)SPS信号を別のシステム(例えばモバイルSPS受信器/クライアントシステム)において捕捉する時間を決定することができる。
【0004】
関心のあるほとんどの状況において、本発明の時間調整方法(パターンマッチングと呼ばれる)は確実に作動する。いくつかの異常な状況においては、モバイル(例えば親特許の図6のモバイル装置453)とサーバ(例えば親特許の図6の基地局)との間で信号を送信するのに極めて長い待ち時間がある。これは、リンクが任意に長い経路選択遅延を可能にするパケット通信を使用した場合起こり得る。まれにそのようなパケットが非常に長い時間期間の後に到達する場合がある。そのような長い待ち時間によって、サーバがモバイルから受信したパターンとサーバに記憶した非常に長いレコードとを比較する必要があるであろう。これは、計算的に複雑であるかも知れず、また必要な計算を行うのにかなりの時間を必要とするかも知れない。さらに、長い待ち時間は、データパターンの繰り返しに関連したあいまいさを生じるかも知れない。例えば、米国GPSデータ信号の実質的な部分は30秒の間隔で反復し、ほんの一部は6秒間隔で反復する。そのような環境下においては、パターンマッチ手続きはあいまいな結果を生じる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明はGPSまたはGlonassのような衛星位置システムに使用される衛星データメッセージに関連する時間を測定するための方法および装置を提供する。一実施形態における方法は、(1)衛星データメッセージの少なくとも一部の第一のレコードをエンティティにおいて受信するステップと、(2)前記第1のレコードを衛星データメッセージの第2レコードと比較するステップであり、前記第1のレコードと第2のレコードは、時間的に部分的に重畳し、前記比較は、前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間を決定した後に実行されるステップと、および(3)前記比較から時間を決定するステップであって、前記時間は前記第1のレコード(例えば第1のレコードのソース)が遠隔地のエンティティにおいて受信されたときを示すステップとからなる。この実施形態の第1の例において、遠隔地にあるエンティティはモバイルSPS受信器であり、エンティティは無線(そして恐らく有線も)リンクを介してモバイルSPS受信器と通信する基地局である。本発明の方法は基地局において、独占的に実行可能である。他の実施形態において、前記比較が実行可能であり、前記第1のレコードが受信された予測時刻を用いて前記比較により決定された時間が正しいことを検証する。
【0006】
受信器タイミングを確立するための本発明の実施形態は、受信器が衛星データメッセージの一部の推定値を形成し、この推定値を基地局に送信するためのものである。基地局において、この推定値は、別のGPS受信器あるいはGPS情報源から受信した衛星データメッセージのレコードと比較される。このレコードはエラーが無いものと仮定する。次にこの比較により、基地局のメッセージのどの部分が遠隔装置により送信されたデータに最も近い値に一致するかを決定する。基地局は衛星データメッセージをエラー無く読んだので、送信衛星により見られるようにそのメッセージの各データビットを絶対タイムスタンプに相関づけることができる。それゆえ、この比較により、基地局は、適切な時間を遠隔装置により送信された推定データに割当てる。この時間情報は必要に応じて遠隔装置に返信される。
【0007】
上述した手法の変形例は基地局に、遠隔装置への衛星データメッセージとこのメッセージの始まりに相関する絶対時間からなる、不要なものが取り除かれているレコードを送信させることである。この場合、遠隔地のエンティティは、このレコードを、この遠隔地のエンティティが受信するGPS信号を処理することにより形成するこのデータの推定値と比較する。この比較は、2つのレコード間の時間的オフセットを提供し、それにより局所的に集めたデータの絶対時間を確立する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】図1AはSPS信号を受信することができ基地局との通信を確立することができる結合されたモバイルSPSおよび通信システムの主要部のブロック図である。
【図1B】図1Bは図1AのRF/IFコンバータおよび周波数シンセサイザの代表的な実装を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の一方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は本発明の他の方法を示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは本発明の一特定方法におけるモバイルSPS受信器により実行される方法を示す。
【図4B】図4Bは基地局により実行される対応する方法を示す図である。
【図5A】図5Aは本発明の基地局の一実施形態を示す図である。
【図5B】図5Bは本発明の基地局の他の実施形態を示す図である。
【図6】図6はSPS受信器、セルラ電話サイト、基地局、インターネットおよびクライアントコンピュータシステムを含む本発明のシステムを示す図である。
【図7】図7はモバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの受信の時間を決定するために本発明において代表的に実行されるパターンマッチングの簡略化した図である。
【図8A】図8Aは、本発明の他の特定の実施形態においてSPS受信器により実行される方法を示す図である。
【図8B】図8Bは、基地局により実行される対応する方法である。
【図9】図9は代表的なGPS受信器の簡略化した構造を示す図である。
【図10A】図10Aは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10B】図10Bは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10C】図10Cは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図10D】図10Dは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号の例を示す図である。
【図11A】図11Aは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図11B】図11Bは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図11C】図11Cは本発明による種々の段階の信号処理の後のサンプリングされたSPS信号のさらなる例を示す図である。
【図12A】図12Aは、本発明の一実施形態による、粗い時間調整方法の例を示す図である。
【図12B】図12Bは、本発明の他の実施形態による、粗い時間調整方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
衛星位置決めシステムに使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定するための種々の方法と装置を以下に述べる。本発明の説明は、米国の衛星航法(GPS)システムに合わせる。しかしながら、これらの方法は、ロシアのGlonassシステムのような類似の衛星位置決めシステムにも等価に適用可能であることは明白でなければならない。さらに、シュードライト(pseudolites)または衛星とシュードライトの組合せを利用する位置決めシステムにも等価に適用可能であることが理解されなければならない。さらに、基地局とモバイルSPSの種々のアーキテクチャが、本発明の限定として理解されるよりもむしろ例示目的のために提供される。
【0010】
図2は、図1Aに示すようなモバイル通信送受信器と結合されるモバイルSPS受信器に使用される本発明の代表的な方法を示す。図1Aに示すモバイルGPS受信器は、ステップ201において、天体暦(ephemeris)のような衛星データメッセージをサンプリングし、メッセージのレコードを作る。次にこの方法200において、遠隔またはモバイルGPS受信器は、ステップ203において、図5Aまたは5Bに示す基地局のような基地局にこのメッセージのレコードを送信する。このレコードは、典型的にはモバイルSPS受信器により受信されたメッセージのある表現である。ステップ205において、基地局は、モバイルSPS受信器から送信されたレコードを衛星データメッセージの基準レコードと考えることができる別のレコードと比較する。この基準レコードは相関した時間値を有し、衛星データメッセージの種々のセグメントは、そのセグメントに相関する指定された「基準」時間を有する。ステップ207において、基地局は衛星データメッセージのGPS受信器によるサンプリングタイムを決定する。この決定は、基準レコードに相関する時間値に基づき、そしてこの決定は、いつレコードまたはレコードのソースがモバイルGPS受信器により受信されたかを示す。図12Aおよび12Bに示すようにステップ205の比較動作は、モバイルSPS受信器においてSPS信号のレコードを受信する時間の見積もり値、即ち推測値を決定することに基づいて行われる。この推定値は、レコードと基準値の比較の範囲を制限するかまたは比較結果を検証するのに用いることができる。これは、(モバイルにおいてレコードを記録することと比較動作を行うこととの間に異常に長い送信待ち時間があり得る場合)通常の比較動作のスピードを向上させ、また結果の精度を向上させる。
【0011】
図7は図2のステップ205の比較動作の簡略化された方法を示す。特に、図7は、それぞれレコード491および495として示されるモバイル受信器のレコードと基地局の基準レコードとの間の計画された比較を示す。両レコードの水平軸は時間を示す。比較のために基地局に送信された部分を表すモバイルのレコードの一部493がある。一般的に、基地局は、モバイル受信器から受信されたレコードと時間的に少なくとも一部が重畳する対応する部分497を有する。図7において、この重畳は、基準レコードがモバイル受信器のレコードの全間隔にわたって衛星データメッセージを供給するという点で完了する。しかしながら、これは1つの例に過ぎず、重畳は、モバイル受信器のレコードの一部が基地局からの基準レコードと重畳するようにしてもよい。
【0012】
図3は、衛星位置決めシステムに使用される衛星データメッセージに関連した時間を測定するための本発明の方法220をさらに詳細に示す。モバイルあるいは遠隔GPS受信器は、ステップ221において、GPS信号を取得し、これらの取得したGPS信号からの擬似距離(pseudoranges)を決定する。ステップ223において、モバイルGPS受信器はPNデータを除去し、擬似距離を作成または決定するために使用される取得したGPS信号から衛星データメッセージのレコードを作る。このレコードは一般的には、取得したGPS信号における天体暦のある表現であり、一般的には、データの推定値を表す。ステップ225において、モバイルGPS受信器はレコードおよび決定された擬似距離を基地局、例えば図5Aまたは5Bに示すような基地局に送信する。
【0013】
ステップ227において、衛星の天体暦の基準レコードに対するモバイルGPS受信器から送信されたレコードの相互関係を実行する。この基準レコードは一般的に基準レコード内のデータに相関する正確なタイムスタンプを含む(例えば、基準レコード内のデータの各ビットは相関する時間値すなわち「スタンプ」を有する)。そして、当初取得したGPS信号のモバイルGPS受信器による受信の時間を決定するために使用されるのはこのタイムスタンプである。ステップ229において、基地局は、相関関係の演算から、取得したGPS信号の遠隔GPS受信器による取得の時間を決定する。次に、基地局は、ステップ231において、GPS信号の遠隔GPS受信器による取得の時間を使用し、さらに決定された擬似距離を使用して、遠隔/モバイルGPS受信器の緯度および経度であり得る、位置情報を決定する。ステップ233において、基地局は、遠隔GPS受信器のこの位置情報を別のエンティティ、例えば、インターネットまたはイントラネットのようなネットワークを介して基地局に接続されたコンピュータシステムに通信する。これについて、図5Bおよび図6に関連して以下に詳細に述べる。
【0014】
以下に、遠隔SPS受信器における衛星データを推定するためのいくつかの方法についてさらに詳細に述べる。この方法は2つに分類される。一方は、(PNが除去された後)データの差動復調とソフト判定を実行し、他方はPNが除去された後、生のI/Qデータをサンプリングする。第1の方法は、図4Aおよび図4Bに線図的に示され、第2の方法は、図8Aおよび8Bに示される。ここでの目的は、遠隔装置における信号の受信と基地局における信号の受信との間の到着時間差を決定することである。基地局は正確な時間を持つと仮定されるので、この時間差は、遠隔装置におけるデータの受信の正確な時間を決定する。以下に説明するように、2つの手法は、遠隔装置(モバイルSPS受信器)により実行されなければならない処理量と、通信リンクを介して遠隔装置から基地局に送信されなければならない情報量により異なる。本質的に、リンクを介して通過しなければならないデータの質に対して遠隔装置における処理負荷におけるトレードオフがある。
【0015】
図4Aおよび4Bおよび図8Aおよび8Bにおける手続きの詳細を説明する前に本発明の方法との対比を提供するために一般的なGPS動作を再考する。一般的なGPS受信器601の簡略化したバージョンを図9に示す。
【0016】
この一般的な受信器601は、GPSRFフロントエンド(例えば、ダウンコンバータおよびデジタイザ)からの2値化I/Q入力信号603を受信し、ミクサ605において、これらの入力信号603と、デジタル発振器607からの発振器信号を混合する。ミクサ605からの出力は次にミクサ609において、マイクロコントローラ617からの信号619によるチップアドバンス(chip advance)により制御されるPNジェネレータ601の出力と混合される。マイクロコントローラ617はまた、信号を近接したベースバンドに変換するためにデジタル発振器607を制御する。
【0017】
一般的なGPS受信器の動作において、ノイズが無い場合のGPS衛星から受信した信号は次式で表される
【数1】
【0018】
但しP(t)は±1の値を持つ、1023の長さの繰り返しバイナリ位相シフトキー擬似ランダムシーケンス(チップレート:1.023 Mchips/sec)であり、D(t)は再度±1の値を持つPNフレーミングの開始と合わされた50ボーのデータ信号である。(例えばミクサ605により)信号を近接したベースバンドに変換した後、PNコードは通常相関器(これは、図9の素子609、611、613、615および617を含むと考えることが出来る)を用いて除去される。この装置は、(所定の衛星に対して)コードP(t)を局所的に再生し、局所的に発生されたPNと受信したPNの相対的整相を決定する。位相が整合されると、相関器は、この信号と局所的に発生された基準値とを乗算し、その結果次の信号形態を生じる。
【数2】
【0019】
この時点において、信号は、(例えばフィルタ613において)狭帯域フィルタリングされ、データ信号D(t)の帯域の外側のノイズを除去する。従って、サンプリングレートは、サンプラ615により、小さな倍数のデータレートに低減可能である。従って、数式(2)の右辺の変数tは形式mT/Kの値を取る(m=0, 1, 2,…但し、Kは小さな整数(例えば2)であり、Tはビット期間である。
【0020】
次に、この時点のデータのサンプルがPNトラッキングオペレーション、キャリアトラッキング、およびデータ復調を実行するのに使用される。これは通常、マイクロコントローラのソフトウエアアルゴリズムにより実行されるが、代替的にハードウエアで実行するようにしてもよい。図9において、マイクロコントローラ617は、局所的に発生したキャリア信号とPN信号を受信した信号と位相同期させて維持するために、訂正信号621と619をデジタル発振器とPN発生器にそれぞれフィードバックする。この動作は、通常非常に多数の同時に受信したGPS信号(一般的には、4以上のGPS衛星からの4以上のGPS信号)のために並列で実行される。
【0021】
今、ある環境下(例えばS/N比(SNR))において、GPS信号が非常に弱いので、データD(t)を高い信頼性で抽出することができない。上述したように、一般的なGPSは、世界時を決定しならびに地点標定を提供するためにこのデータを読む必要がある。この低いS/N比において、本発明により提供される代替手法は、遠隔装置が基地局と一緒に作動するためのものである。基地局はこの衛星データ情報にアクセスする。遠隔装置は、遠隔装置によるそのようなデータの元の受信に相関する時間を計算可能にする基地局に送る。この受信の時間を計算するために基地局が遠隔装置に情報を送る他の代替構成が存在する。ここでは、主として最初のケースについて考察する。
【0022】
基地局と遠隔装置との間の時間調整は、ある場合には、正確なタイミング信号(例えばパルスあるいは専用の波形)を通信リンクを介して送信し、リンク待ち時間の先天的知識あるいは(双方向対称リンクと仮定して)往復遅延量を測定することにより何らかの経過時間を明らかにすることにより得ることができることに注意しなければならない。しかしながら、この手法が実用的でないあるいは実施不能な多くの環境がある。例えば多くのリンクは、待ち時間が送信ごとに可変であり、多くの秒数かかるパケット化されたプロトコルを含む。
【0023】
本発明の手法は、遠隔装置がデータシーケンスD(t)の一部の推定値または其れを処理したものの推定値を作成し、このデータを基地局に送信する。このデータシーケンスは、基地局により発生された同様だがより高い忠実度の信号と比較可能である。この2つのシーケンスは、最小平均2乗誤差のような所定の測定基準にしたがって、最良のマッチングが生じるまで、互いに時間的にスライドする。この「相関」手続きは、PN拡散シーケンスに同期するためにGPS受信器により使用されるそれと非常に類似している。しかしながら、ここでは、動作は、非常に低いレートのデータ信号に対して成され、さらにそのような信号のパターンは、前もって未知であってもよい。
【0024】
基地局は、メッセージの各要素に相関する正確な時間をおそらく知っているので、基地局は、この知識プラス上述した比較を利用して、遠隔装置において、受信された信号に相関する元の時間を確かめることができるかも知れない。
【0025】
従って、主たる問題は、データシーケンスD(t)またはその派生物の遠隔装置における推定値にある。
【0026】
図8Aおよび8Bに示され、データシーケンスを推定するための本発明の1つの特定の実施形態は、例えば式(2)に示すようにPNが除去された後の信号のレコードを単にサンプリングして記憶することである。ここでは、信号は、小さな倍数のデータレートでサンプリングされると仮定する。この目的のために、100サンプル/秒が適切かも知れない。IおよびQの両方の支流をサンプリングする必要があることに留意しなければならない。また、基地局における識別のためにデータパターンが独特のものでありそうにするためにおよそ25以上のデータシンボル(0.5秒)の長さのレコードにしなければならない。式(2)から小さな残存キャリアf0および未知のキャリア位相φが依然として存在することに留意しなければならない。キャリア周波数は、データ信号の±1/2のサンプリングレートよりも良い精度まで知られていることが有益である。そうでなければ、キャリアはデータ信号の位相反転を有効に導入し、データを改悪する。
【0027】
図8Aは、この特定の実施形態によるモバイルGPS受信器において実行される方法を示す。受信器は、特定のGPS信号のための第1(第1でなければ次の)PNコードを取得し、ステップ503において信号からPNコードを除去する。次に、ステップ505において、受信器はキャリア周波数の正確な推定を実行し、ステップ507において、入力された信号からキャリアを除去する。次に、ステップ509および511において、IおよびQデータがサンプリングされ量子化され、量子化された結果は、対応する衛星データメッセージのレコードとして保存され、(恐らく、特定のGPS信号を送信するGPS衛星からの対応する擬似距離と共に)基地局に送信される。ステップ513において、受信器が関心のあるすべての衛星(例えばモバイルGPS受信器に鑑みて全ての衛星あるいは少なくとも見えている4つの衛星)に対してステップ503、505、507、509および511を実行したか(それゆえレコードを決定したか)否かを決定する。衛星データメッセージのレコードが関心のある各衛星から決定されたなら、GPS受信器はそのレコードを経過時間タグと共に基地局に送信する(ステップ515)。経過時間タグは、基地局により使用され、そのレコードと(相関により)比較されるであろう基地局において「基準」レコードを推定および/または選択することができる。受信器が関心のある各衛星からレコードを決定しなかった場合には、モバイルGPS受信器は、ステップ513からステップ503に戻り、関心のある次の衛星から受信した衛星データメッセージのレコードを決定するためにステップ503、505、507、509および511を繰返す。図8Aの方法を実行可能なGPS受信器(および通信送/受信器)の例は図1Aに示され、このGPS受信器について以下にさらに詳細に説明する。
【0028】
この情報を受信しているとき、基地局は、周波数推定値を純化し、キャリアを除去し、晴天のときにGPS受信器から受信した(あるいはインターネットあるいはGPS地上制御局からのような高忠実度のGPS信号源から受信した)高忠実度信号から抽出した同様のデータに対してこのデータを相互相関することにより相対タイミングを決定することができる。
【0029】
図8Bは遠隔装置から送信された衛星データメッセージのレコードを受信したとき基地局により実行される方法521を示す。ステップ523において、基地局は、衛星データメッセージに対応するレコードを受信し、ステップ525において、そのレコードにフェーズロックし、ステップ525において、残存する位相誤差/ロール(roll)を除去する。ステップ523および525と同時に、基地局は、一般にGPSデータメッセージを追跡し復調し、復調された衛星データメッセージの種々の間隔に相関して正確な時間を提供するために、これらのデータメッセージに時間タグを印加しているであろう。これはステップ527に示される。一般に、基地局は、連続した基準レコードが発生されこの「基準」レコードのランニングサンプル(running sample)が基地局に記憶されるように進行中ベースで衛星データメッセージの追跡と復調を行っているであろう。基準のランニングレコードは、現在時刻の10乃至30分前までの時間期間維持することができることが理解されるであろう。すなわち、基地局は、基準レコードの最も古い部分を破棄し、時を違えず実際に最新の部分と交換する前に30分間基準レコードのコピーを保持することができる。
【0030】
ステップ529において、第1の(または次の)衛星からの第1の(第1でなければ次の)衛星データメッセージのために遠隔装置からの基準レコードに対して基地局の基準レコードを相関させる。この相関は、事実上遠隔装置がレコードを受信したとき基地局が時間を正確に決定できるようにパターンをマッチングするために2つのレコード間の比較である(このレコードは実際には、レコード自体がレコード源の推定値であるので、そのレコード源が遠隔装置により受信されたときの時間である)。本発明を説明するのに使用される場合、遠隔装置によるレコードの受信の時間は事実上遠隔装置におけるレコード源の受信の時間である。ステップ531において、遠隔装置が現在の衛星のレコードおよびその対応する衛星データメッセージを受信した時間を示すピークロケーションを発見し補間する。ステップ533において、基地局は、すべての対応するレコードに相関する全ての時間が関心のある全ての衛星に対して決定されたか否かを決定する。そうでなければ、処理は、ステップ529に戻り、遠隔装置から受信した各レコード毎に処理が繰返される。関心のあるすべての衛星およびその対応する衛星データメッセージのための対応する時間を決定するためにすべてのレコードが処理されたなら、処理はステップ533から535に進み、関心のある異なる衛星のために時間が比較される。ステップ537において、多数決論理を用いて誤差のあるあるいは不明瞭なデータを破棄し、次に、ステップ539において、全てのデータが不明瞭か否かが判断される。全てのデータが不明瞭なら、基地局は、モバイルGPS装置内の通信受信器にコマンドを送信することによりモバイルGPS受信器にさらにデータを取得するように指示する。すべてのデータが不明瞭でない場合には、ステップ543において、基地局は、モバイルGPS受信器における衛星データメッセージの受信の平均時間を決定するために時間の重み付けされた平均化を行う。さらなる処理のためにGPS信号のサンプルが2値化されデジタルメモリに記憶されるようなある環境下においては、そのサンプルが短期間であるかぎり事実上一度の受信があると理解されるであろう。一度に1つの衛星が処理され、その衛星からの信号が取得され、その信号のレコードが作られ、次の時間において、別の衛星信号が取得されるような他の場合において、この場合には、複数回の受信があり、基地局は、これらの時間の各々を決定し、それらを以下に述べるように使用する。
【0031】
一般にモバイルGPS受信器から送信された擬似距離(pseudoranges)に関連したレコードの受信の時間は、少なくとも幾つかの実施形態においては、基地局により使用され、モバイルGPS受信器緯度と経度および/または高度のような位置情報を決定するであろうことが理解される。
【0032】
ある場合には、(ステップ525において)十分な精度まで残留キャリア周波数を決定することが困難であり、遠隔装置からのデータの差動復調および局所的に受信したデータが相互相関の前に来るかも知れない。この差動復調はさらに図4Aおよび4Bに関連してさらに述べる。
【0033】
(モバイルGPS受信器と基地局との間の)通信リンク容量が低い場合には、デスプレッド信号(despread signal)(PNを除去した信号)にさらなる付加的処理を行うことが都合がよい。この目的のための良い方法は、図4Aおよび4Bに示すように、遠隔装置がビット期間(20ミリ秒)あるいはその倍数に設定された遅延を用いて、データ信号に遅延乗算演算を行うことによりこの信号を差分的に検出することである。従って、式(2)のベースバンド信号が次式で表されるなら
【数3】
【0034】
適切な演算は以下のようになる。
【数4】
【0035】
但し、アスタリスクは、複素共役を表し、Tはビット期間(20msec)であり、D1(t)は元のデータシーケンスを差分的にデコードすることにより(例えば遷移を−1、非遷移を+1にマッピングすることにより)作られる新しい50ボーシーケンスである。今、シンボル期間の逆数に比べてキャリア周波数エラーが小さい場合には、シンボル期間の逆数の指数項は、虚成分を支配する実成分を有し、実成分のみが維持され、結果A2D1(t)を生じる。従って、数式(4)の演算は、図8Aに示す方法の複素数の信号ストリームの代わりに実数の信号ストリームを生成する。これは、レコードが通信リンクを介して送信されるとき、それだけで、必要な送信メッセージ長を半分にする。信号A2D1(t)は基地局にあるので、図8Aに示す方法のレートよりも多少小さいレートでサンプリング可能である。また、このデータの符号のみを維持し、それにより送信すべきデータ量を低減することも可能である。しかしながら、この方法は、基地局が1シンボル期間(20msec)よりもさらに良く時間を分解する能力を低減するであろう。ここでは、PNコードは1ミリ秒の期間で繰り返し、それゆえこの測定エラーをさらに分解するにはそれだけでは有効でないであろうことに注意しなければならない。
【0036】
図4Aは、モバイルGPS受信器において実行される処理ステップを示し、図4Bは本発明の特定の実施形態による、基地局において実行される処理ステップを示す。モバイルGPS受信器は、ステップ301において、基地局からの位置情報のためのリクエストを受信する。一般的な実施形態において、この受信は、図1Aに示すモバイルGPS受信器内に示されるような通信受信器により生じることが理解されるであろう。位置情報のリクエストに応答して、ステップ303において、モバイルGPS受信器はGPS信号から第1の(第1でなければ次の)PNコードを取得し、受信したGPS信号からそのPNコードを取り除く。ステップ305において、遠隔装置は、キャリア周波数の正確な推定を行う。この推定の精度は、50ボーGPSデータの場合には一般的に100HzであるGPSデータメッセージのサンプリングレートよりも良くなければならない。ステップ305はGPS受信器における一般的な周波数測定システムを用いることにより実行可能である。この周波数測定システムは、キャリアを抽出するためのフェーズロックループをしばしば含むキャリアトラッキングループと、周波数測定回路あるいは代替的にフェーズロックループを有した周波数トラッキングループを使用する。ステップ307において、キャリア周波数は、残りの信号からモバイルGPS受信器により取り除かれ、50ボーデータが残る。次に、ステップ309において、一般にデータ自身の2倍のレートでデータをサンプリングすることにより、区別をつけて検出される。ステップ309のように、データを区別をつけて検出するよりも、遠隔GPS受信器は、データ自身を基地局に送信し、基地局がステップ309および311の区別をつけた検出および量子化を実行可能にすることが理解されるであろう。モバイルGPS受信器は、ステップ311において、一般に1/2秒乃至1秒の時間期間を有する衛星データメッセージのレコードである結果を量子化し記憶することにより継続する。次に、ステップ313において、モバイルGPS受信器は、衛星データメッセージのレコードが、視野に入っているすべての衛星あるいは視野に入っている少なくとも4つの衛星であり得る関心のある各衛星ごとに作られたか否か判断する。レコードが関心のある衛星およびその対応する衛星データメッセージごとに作られな
かった場合には、処理はステップ313からステップ303に戻り、このループは、関心のある衛星ごとに衛星データメッセージごとにレコードが作られるまで続く。関心のある全ての衛星のためのすべてのレコードが決定され作られると、処理はステップ313から315に進み、モバイルGPS送信器は、その通信送信器を介して、上述した方法で基地局により使用される粗い(経過)時間タグと共に関心のある全ての衛星のためのレコードを送信する。
【0037】
基地局は、図4Bに示すステップ327において、モバイルGPS受信器からこれらのレコードを受信する。モバイルGPS受信器の動作と同時に、基地局は一般にGPSデータメッセージをトラッキングおよび復調しており、これらのデータメッセージに事実上タイムスタンプするためにこれらのデータメッセージにタイムタグを印加する。これは図4Bに示すステップ321で行われる。次に、ステップ323において、基地局は、データを差分復号化し、ステップ325の相関動作に使用されるであろう基地局データを供給する。モバイルGPS受信器から受信したデータは、一般に相関動作のために記憶され、ステップ323からの記憶された、差分復号化されたデータと比較される。ステップ325において、基地局は、第1の(第1でなければ次の)衛星のためにモバイルGPS受信器からのレコードに対して基地局のデータの相関を取る。ステップ327において、基地局は、現在処理中の衛星からの衛星データメッセージのモバイル受信器における到着時間を示すピークロケーションを発見し補間する。ステップ329において、基地局は、モバイル受信器から受信したすべてのレコードに対して相関が行われたか否か判断する。すべてのレコードに対して相関が行われていなければ処理はステップ325に戻り、次の衛星データメッセージのための次のレコードがステップ325およびステップ327において処理される。ステップ329において、モバイルGPS受信器から受信した全てのレコードに対して相関が行われたと判断された場合、次に、ステップ331において、関心のある異なる衛星のための決定された時間間の比較が行われる。ステップ333において、基地局は多数決論理を用いて誤差のあるあるいは不明瞭なデータを破棄する。次にステップ335において、基地局は全てのデータが誤差のあるあるいは不明瞭なデータか否か判断する。もしそうなら、ステップ337において、モバイル受信器にさらにデータを取得するように指示し、図4Aに示す方法から始まる全体の処理を繰り返し、図4Bに示す方法まで続く。ステップ335の判断において、全てのデータが不明瞭でなければ、基地局はステップ339において、時間の重みづけされた平均化を行い、モバイルGPS受信器の位置を決定するために、少なくともいくつかの実施形態において、モバイルGPS受信器から送信された擬似距離とともにこの重み付けされた平均値を使用する。
【0038】
上述した処理ステップを図示するために、生のGPS信号がサンプリングされ、レコードに集められ1シンボル期間あたり4サンプルのレートでデスプレッド (despread)されサンプリングされる。図10Aは、キャリアが部分的に除去されたデスプレッド波形の実部分の1秒レコードを示す。シンボルパターンは明白であるが、約1Hzの小さな残留キャリアオフセットが明らかに依然として存在する。図10Bは、信号を共役化された20ミリ秒に等しい遅延量を有した遅延されたバージョンの信号と乗算することにより差分検出した信号を示す。このシンボルパターンは明らかに明白である。図10Cは、理想的なデータ信号を示し、図10Dは(例えば基地局で生成された)理想信号と図10Bの信号の相互相関を示す。サンプリング効果およびノイズ等による信号の非理想的性質から生じた図10Bのグリッチに留意されたい。
【0039】
図11Aは、ノイズが信号に付加され、復調された信号のS/N比は約0dBである復調されたデータを示す。これは、受信したGPS信号の電力が例えば、遮断条件によりその公称レベルに関連して15dB以上低減された時の状況をモデル化する。図11Bは差分復調されたデータを示す。ビットパターンは検出不可能である。最後に、図11Cは、明瞭な基準値とこのノイズ信号の相互相関を示す。明らかにこのピークは、5.33(14.5dB)を越えて平方自乗平均レベルまでのピークを有し依然として強く正確な到着時間の推定を可能にする。事実、この信号のピークについて適用された補間ルーチンは1/16サンプルスペース、すなわち0.3秒未満の精度を示した。
【0040】
上述したように、基地局は遠隔装置に、このメッセージの始めに相関する時間と一緒にデータシーケンスを送信することができる。従って遠隔装置は、これらの相関方法が遠隔装置において行われることを除いて上述したと同じ相互相関方法を介してデータメッセージの到着時間を推定することができる。これは、遠隔装置が自分自身の位置ロケーションを計算する場合には有効である。この状況において、遠隔装置はまた基地局からのそのようなデータの送信によって衛星天体暦(satellite ephemeris)データを取得することができる。
【0041】
図1Aは本発明により使用可能な結合されたモバイルGPS受信器と通信システムの例を示す。この結合されたモバイルGPS受信器と通信システム100は、1996年5月23日に出願した同時係属出願番号第08/652,833号(発明の名称:「共有回路を利用した結合されたGPS位置決めシステムおよび通信システム」)に詳細に記載されている。この出願(現在米国特許第6,002,363号)を参照することにより本明細書に組み込まれる。図1Bは図1AのRF/IFコンバータ7および周波数シンセサイザ16を詳細に示す。図1Bに示すこれらのコンポーネントはまた、同時係属出願第08/652,833号に記載されている。図1Aに示すモバイルGPS受信器と通信システム100は、受信器が非常に高い感度を持つように、記憶されたGPS信号に特別の形態のデジタル信号処理を行うように構成可能である。これについては、1996年3月8日に出願された同時係属米国特許出願第08/612,669号(発明の名称:「GPS信号を処理するための改良されたGPS受信器および方法」)に記載されており、この出願を参照することにより本明細書に組み込まれる。出願番号第08/612,669号に記載されたこの処理動作は、一般には高速フーリエ変換を使用した複数の中間のたたみこみを計算し、これらの中間のたたみこみをデジタルメモリに記憶し、これらの中間のたたみこみを用いて少なくとも1つの擬似距離を供給する。図1Aに示す結合されたGPSおよび通信システム100はまたGPS受信器の感度と精度をさらに改良するために、ある周波数安定化または校正技術を組み込むことができる。これらの技術は、1996年12月4日に出願された同時係属出願番号第P003X(発明の名称:「通信リンクを利用した改良されたGPS受信器」)に記載されており、この出願(現在米国特許第5,841,396)を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0042】
図1Aに示す結合されたモバイルGPS受信器および通信システム100の動作を詳細に説明するよりもむしろ簡単な概略をここに提供する。一般的な実施形態において、モバイルGPS受信器および通信システム100は、図5Aまたは図5Bのいずれかに示す基地局群のいずれかの1つであり得る基地局17のような基地局からコマンドを受信する。このコマンドは、通信アンテナ2により受信されプロセッサ10によりメモリ9に記憶された後デジタルメッセージとして処理される。プロセッサ10は、このメッセージが基地局に位置情報を供給するためのコマンドであると判断し、これによりプロセッサ10は、少なくともその一部が通信システムと供給可能なシステムGPS部をアクティブにする。これは、例えば、通信アンテナ2からの通信信号よりもむしろGPSアンテナ1からのGPS信号をRF/IFコンバータ7が受信するようにスイッチ6を設定することを含む。次に、GPS信号は受信され、2値化され、デジタルメモリ9に記憶され、上述した出願番号第08/612,669号に記載されたデジタル信号処理技術に従って処理される。この処理の結果は一般的に視野に入っている複数の衛星のための複数の擬似距離を含み、次にこれらの擬似距離は、送信部をアクティブにし擬似距離を基地局および通信アンテナ2に返信する処理コンポーネント10により基地局に返信される。
【0043】
図1Aに示す基地局は無線通信リンクを介して直接遠隔装置に接続することができ、あるいは図6に示すように、電話サイトと基地局との間に有線通信リンクを提供するセルラ電話サイトを介して遠隔装置に接続することができる。図5Aおよび5Bはこれら2つの可能な基地局を示す。
【0044】
図5Aに示す基地局401は本発明に従ってモバイルGPS受信器との間で無線リンクを提供し、受信した擬似距離および対応する時間レコードを処理することにより、自律装置として機能することができる。この基地局401は、基地局が大都市圏に位置し、追跡すべき全てのモバイルGPS受信器が同様に同じ大都市圏に位置する場合に使い道を見つけることができる。例えば、この基地局401は、モバイルGPS受信器を身につけているあるいは使用している個人を追跡するために警察あるいはレスキューサービスにより使用することができる。一般に、送信エレメント409および受信エレメント411は、合体されて1つのトランシーバとなり1つのアンテナを有するであろう。しかしながら、これらのコンポーネントは個別に存在することができるので個別に示してある。送信器409は、送信器アンテナ410を介してモバイルGPS受信器にコマンドを供給するように機能する。この送信器409は、特定のモバイルGPS受信器の位置を決定するようにプロセッシングユニットのユーザからの要求を受信することができるデータプロセッシングユニット405の制御下にある。従って、データプロセッシングユニット405はそのコマンドを送信器409によりモバイルGPS受信器に送信させる。これに応答して、モバイルGPS受信器は本発明の一実施形態において、受信アンテナ412により受信される擬似距離および対応するレコードを受信器411に返信する。受信器411はモバイルGPS受信器からこれらのメッセージを受信し、それらをデータプロセッシングユニット405に供給する。データプロセッシングユニットはモバイルGPS受信器からの擬似距離およびGPS受信器403から受信した衛星データメッセージあるいは他の基準品質衛星データメッセージから位置情報を引き出す動作を行う。これは、上述した同時係属特許出願にさらに記載されている。GPS受信器403は、モバイルGPS受信器のための位置情報を計算するために擬似距離および決定された時間とともに使用される衛星天体暦を供給する。大容量記憶装置407はモバイルGPS受信器から受信したレコードと比較するために使用される衛星データメッセージの基準レコードの記憶されたバージョンを含む。データプロセッシングユニット405はオプションディスプレイ415に接続可能でありさらにオプションであるGISソフトウエアを有した大容量記憶装置413にも接続可能である。大容量記憶装置413と大容量記憶装置407とはそれらが同じハードディスクまたは他の大容量記憶装置に含まれることができるという点において、同じであることが理解されるであろう。
【0045】
図5Bは本発明の代替基地局を示す。この基地局425は、図6に示すセルラ電話サイト455のような遠隔送受信サイトに接続するように意図されている。この基地局425は、さらに、インターネット、イントラネットあるいは他の種類のコンピュータネットワークシステムを介してクライアントシステムにも接続可能である。このような基地局の使用は、1996年9月6日に出願された同時係属出願番号第08/708,176号(発明の名称:「クライアント−サーバーベース遠隔ロケータ装置」)に記載されている。この出願を参照することにより本明細書に組み込まれる。基地局425は、図6に示すセルラ電話サイト455およびその対応するアンテナまたはアンテナ群457を介して図6に示す結合されたGPS受信器および通信システム453のようなモバイルGPS装置と通信する。結合されたGPS受信器と通信システム453は、図1Aに示すシステム100と同様であり得ることが理解されるであろう。
【0046】
図5Bに示す基地局425は、バス430によって、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり得るメインメモリ429に接続された一般的なマイクロプロセッサであり得るプロセッサ427を含む。基地局425はさらに、キーボード、マウス、およびディスプレイのような入出力装置435、およびバス430を介してプロセッサ427およびメモリ429に接続された相関するI/Oコントローラを含む。ハードディスク、CD ROMあるいは他の大容量記憶装置のような大容量記憶装置433は、バス430を介したプロセッサ427のようにシステムの種々のコンポーネントと接続される。GPS受信器あるいは他の衛星データメッセージ群との間のI/O制御を司るI/Oコントローラ431もバス430に接続されている。このI/Oコントローラ431はGPS受信器431から衛星データメッセージを受信し、それらをバス430を介してプロセッサに供給する。プロセッサはこれらのデータメッセージにタイムスタンプを印加し、モバイルGPS受信器から受信したレコードと比較のため後で使用するように大容量記憶装置433に記憶させる。基地局425から遠隔に位置する他のシステムのインタフェースとして2つのモデム439および437が図5Bに示される。モデムあるいはネットワークインタフェース439の場合には、この装置は、例えばインターネットあるいはその他のコンピュータネットワークを介して、クライアントコンピュータに接続される。モデムあるいは他のインタフェース437は、システム451を示す図6に示されるサイト455のようなセルラ電話サイトへのインタフェースを提供する。
【0047】
基地局425は、当業者により理解されるように他のコンピュータアーキテクチャにより実現可能である。例えば複数のバスあるいはメインバスと周辺バスを設けても良いしあるいは複数のコンピュータシステムおよび/または複数のプロセッサを設けても良い。例えば、専用のプロセッサを持ち、GPS受信器403からの衛星データメッセージを受信し、本発明に従って、基準レコードを作成する処理に中断が無く、それを記憶してその記憶した量を管理するような専用の態様でそのメッセージを処理し、基準レコードを提供することは都合がよい。
【0048】
一実施形態において、図6に示すシステム451は一般的に以下のように動作する。クライアントコンピュータシステム463は、インターネット461のようなネットワークを介して基地局425にメッセージを送信する。ネットワークまたはインターネット461内には、特定のモバイルGPS受信器の位置のための要求を通過させる仲立ちするルータまたはコンピュータシステムがあり得ることが理解される。基地局425は、一般には有線電話リンク459であるリンクを介してメッセージをセルラ電話サイト455に送信する。このセルラ電話サイト455は次に、アンテナまたはアンテナ群457を用いてコマンドを結合されたモバイルGPS受信器および通信システム453に送信する。これに応答して、システム453は本発明に従って擬似距離および衛星データメッセージのレコードを返信する。これらのレコードと擬似距離は次にセルラ電話サイト455により受信されリンク459を介して基地局に返信される。次に基地局は、衛星データメッセージの受信時間を決定するためのレコードを使用して、および遠隔GPSシステム453からの擬似距離を使用して、および基地局におけるGPS受信器からあるいは他のGPSデータ源からの衛星天体暦を利用して、本発明に従って記載された動作を実行する。次に基地局は位置情報を決定し、この位置情報をインターネット461のようなネットワークを介してクライアントコンピュータシステム453に通信する。クライアントコンピュータシステム453自体は、クライアントコンピュータシステムに、マッピングソフトウエアを持たせることができ、このシステムのユーザが地図上でモバイルGPSシステム453の正確な位置を見ることを可能にする。
【0049】
GPS信号がモバイルGPSシステムに受信されたときに推定時間を決定するためのいくつかの方法がある。モバイルは、パターンをサーバに送る時にタイマを開始することができサーバからのアクノレッジを待つ。受信のアクノレッジメントが非常に長い場合、連続する送信間のタイムオフセットとともにパターンを再送することができる。これは、アクノレッジメントが受付け可能な時間期間(例えば1秒以内)内に受信されるまで続けることができる。事実上、この方法は、送信遅延量を決定していてこの送信遅延量が所定量以上(例えば遅延量が受付け可能な時間期間以上)の場合にはマッチングのためにパターンを再送信している。この送信遅延量は、2つのパターンの比較のための比較範囲を確立する。
【0050】
あるいは、モバイルおよびサーバは、往復(round trip)信号により、例えば1秒あるいはそれより良い精度で粗い時間調整を最初に確立することができる。サーバは日時をモバイルに送ることができ、モバイルはこの時間を記録しアクノレッジメントをサーバに送信する。アクノレッジメントが所定の時間期間T内に受信されるならば、モバイルにおいて記録された時間はサーバの時間のT秒以内であることは明らかである。従ってモバイルがGPS情報を処理してサーバに送信されるべきデータパターンを作成すると、そのような処理の時間は、T秒の精度にタグをつけることができる。それゆえ、推定されたGPS情報がサーバに送られると、サーバはTより大きくない範囲内で、モバイルから受信したパターンと基準パターン(例えばローカルGPS受信器あるいは他のデータ供給)との間の時間のオフセットを調べればよい。粗い時間調整もまた、モバイルがそのローカルバージョンの処理時間をサーバに送信し、サーバがアクノレッジメント応答を送信することにより行うことができる。サーバは受信したモバイルの時間を独自の時間と相関させてオフセット(ときどきバイアスと呼ばれる)を決定することができる。この往復時間がT秒以内であれば、モバイルのローカルタイムによりタイムタグされたモバイルからサーバへのその後の送信は再びサーバがT秒未満にそのサーチ範囲を制限することを可能にする。このようにしてサーバは、比較範囲を制限することができる。
【0051】
パターンマッチング動作がサーバよりもむしろモバイルで行われるならば、モバイルとサーバとの間の粗い時間調整のための同じ手法を行うことができることが理解されなければならない。一度サーバとモバイルがT秒より大きくない時間量に互いに粗時間を確立すると、モバイルにおいて行われるその後のパターンマッチ動作は、T秒より大きい範囲において行う必要はない。
【0052】
上述した手続きの他の変形例も可能である。データをやりとりしてデータの受信時間を測定する代わりに、ある環境下において、モバイルとサーバあるいはサーバが通信することのできるその他のエンティティとの間で電気パルスあるいは他のタイミング信号を送信することが可能である。従って、このパルスまたは信号は、モバイルとサーバとの間の時間をおおよそ調整するための手段を提供することができる。モバイルおよびサーバは、サーバとの通信とは別個に信号または信号群の受信により時間のおおよその知識を得ることができる。例えば、各々は、WWVのような別の通信信号から日時の放送信号を受信することができる。モバイルとサーバは粗い共通の時間を確立するために、双方が共通の無線信号を見ることができその信号に相関する特定のエポック(epoch)に一致することができる。
【0053】
図12Aは、パターンマッチングの後の粗い時間調整方法の全体のブロック図を示し、この場合最終パターンマッチング動作はサーバにおいて行われる。同様のブロック図は、モバイルで行われるパターンマッチングに相当し、図12Bに示す。
【0054】
図12Aにおいて、サーバとモバイルは、オペレーション700において、往復メッセージまたは信号を送信し、(T秒と呼ばれる)往復遅延量を測定することにより時間調整を行う。この測定値はオペレーション701において、Tが長すぎる(例えば30秒以上)か否かを判断するのに使用される。遅延が長すぎる場合には、オペレーション700が繰返される(あるいはモバイルとサーバの間の時間調整のための上述した他の方法を使用することができる)。遅延が長すぎなければ、オペレーション702が実行される。このオペレーションは親特許の図2のオペレーション203と同様である。オペレーション703において、サーバ(例えば親特許の図6の基地局425)は相関動作を実行し、モバイルにより送信されたパターン/レコードをマッチングすることにより正確な時間を決定する。この粗い時間を用いてサーチ窓を作り(窓=CT−デルタ乃至CT+デルタ)、その窓内のサーバのレコードを選択し、それとモバイル装置から受信したパターンが比較される。
【0055】
図12Bにおいて、(サーバがこの動作を行うよりもむしろ)モバイルがパターンマッチング動作を行うことを除いて、オペレーション700−703に類似した一連のオペレーション(800−803)が行われる。
【0056】
図示目的のためでありいかようにも本発明を限定するように意図されない種々の図面を参照して本発明について述べた。さらに、本発明の方法と装置の種々の例について述べた。これらの例は、本発明に従って変形可能であり、以下の特許請求の範囲の範囲内に入ることが理解される。
【符号の説明】
【0057】
1・・・GPSアンテナ
2・・・通信アンテナ
6・・・スイッチ
7・・・RF/IFコンバータ
9・・・メモリ
10・・・プロセッサ
16・・・周波数シンセサイザ
17・・・基地局
100・・・通信システム
401・・・基地局
403・・・GPS受信器
405・・・データプロセッシングユニット
407・・・大容量記憶装置
409・・・送信エレメント
410・・・送信器アンテナ
411・・・受信エレメント
412・・・受信アンテナ
413・・・大容量記憶装置
415・・・オプションディスプレイ
425・・・基地局
427・・・プロセッサ
429・・・メインメモリ
430・・・バス
431・・・I/Oコントローラ
433・・・大容量記憶装置
435・・・入出力装置
437・・・モデム
439・・・モデム
451・・・システム
453・・・通信システム
455・・・セルラ電話サイト
457・・・アンテナ
459・・・有線電話リンク
461・・・インターネット
463・・・クライアントコンピュータシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、
前記方法は、
衛星位置決めシステムの衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードをエンティティにおいて受信し、
前記第1のレコードを前記衛星データメッセージの第2のレコードと比較し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは、時間的に少なくとも一部が重畳し、前記比較は、前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間を決定した後に行われ、
前記比較から時間を決定し、前記時間は前記第1のレコードが遠隔にあるエンティティにおいて受信されたときを示す。
【請求項2】
前記遠隔にあるエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器であり、前記見積もり時間は、前記第2のレコードと第1のレコードを比較するために前記第2のレコードに関連した時間範囲を指定するのに使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記遠隔にあるエンティティはモバイルSPS受信器であり、
前記第1のレコードが受信されたとき前記見積もり時間から比較範囲を決定することをさらに具備する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
衛星位置決めシステムに使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、
前記方法は、
衛星位置決めシステムの衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードをエンティティにおいて受信し、
前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間から比較範囲を決定し、 前記第1のレコードを前記衛星データの第2のレコードと比較し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは時間的に少なくとも一部が重畳し、前記比較は、前記比較範囲の少なくとも一部において行われ、
前記比較から時間を決定し、前記時間は、前記第1のレコードが遠隔にあるエンティティにおいて受信されたときを示す。
【請求項6】
前記方法は基地局である前記エンティティにおいて独占的に実行される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記遠隔にあるエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記モバイルSPS受信器はGPS(衛星航法システム)受信器である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記第2のレコードは前記基地局に記憶される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記比較は前記第1のレコードおよび前記第2のレコードとの間の相互相関あるいはサンプル毎の比較を行うことを具備する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記エンティティにおいて前記遠隔のエンティティから複数の擬似距離を受信することをさらに具備する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記時間および前記複数の擬似距離を用いて前記遠隔のエンティティの位置情報を決定することをさらに具備する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1のレコードは50ボーデータである、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記第1のレコードのキャリア周波数を正確に決定することをさらに具備する、請求項7記載の方法。
【請求項16】
前記比較範囲の決定は前記エンティティと前記遠隔のエンティティとの間で少なくとも1つのメッセージを送信することを具備する、請求項7記載の方法。
【請求項17】
前記送信は、第1のメッセージを前記エンティティから前記遠隔のエンティティへ送信し、第2のメッセージを前記遠隔のエンティティから前記エンティティへ送信することを具備する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレコードは、複数の擬似距離の第1の擬似距離に対応する前記衛星データメッセージの少なくとも前記部分の少なくとも1つのレコードを具備する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第2の衛星データメッセージの少なくとも一部の第3のレコードを前記エンティティにおいて受信し、
前記第3のレコードを前記衛星データメッセージの第4のレコードと比較し、前記第3のレコードと前記第4のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳し、
前記比較ステップから第2の時間を決定し、前記第2の時間は、前記第3のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記第2の衛星データメッセージが前記複数の擬似距離の第2の擬似距離に相当する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記遠隔のエンティティは、セルラ電話を具備し、前記第1のレコードはセルラ電話サイトを介して前記セルラ電話から受信される、請求項7記載の方法。
【請求項21】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための装置において、
前記装置は、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを受信する受信器と、
前記受信器に接続されたデータプロセッサであって、前記データプロセッサは、比較範囲において、前記衛星データメッセージの前記第1のレコードと第2のレコードとの比較を行い、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、前記比較から時間を決定し、前記時間は前記第1のレコードが遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記比較範囲は、前記第1のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときの見積もり時間から決定される。
【請求項22】
前記遠隔のエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器である、請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記データプロセッサに接続され、前記第2のレコードを記憶する記憶装置をさらに具備する、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記データプロセッサに接続され、前記第2のレコードを供給するGPS(衛星航法システム)受信器をさらに具備する、請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記受信器は、無線あるいは有線の通信受信器の一方である、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記受信器は、前記遠隔のエンティティから複数の擬似距離を受信する、請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記データプロセッサは前記時間および前記複数の擬似距離を用いて前記遠隔のエンティティの位置情報を決定する、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記第1のレコードは50ボーデータを具備する、請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記データプロセッサに接続され、別のエンティティと通信する送信器をさらに具備する、請求項24記載の装置。
【請求項31】
前記比較範囲は前記エンティティと前記遠隔のエンティティとの間で少なくとも1つのメッセージを送信することにより決定される、請求項22記載の装置。
【請求項32】
前記第1のレコードは、前記複数の擬似距離の第1の擬似距離に相当する前記衛星データメッセージの少なくとも前記部分の少なくとも1つのレコードを具備する、請求項28記載の装置。
【請求項33】
前記受信器は第2衛星データメッセージの少なくとも一部の第3のレコードを受信し、前記データプロセッサは前記第3のレコードを前記衛星データメッセージの第4のレコードと比較し、前記第3のレコードと前記第4のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳し、前記データプロセッサは、前記比較ステップから第2の時間を決定し、前記第2の時間は、前記第3のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記第2の衛星データメッセージは前記複数の擬似距離の第2の擬似距離に相当する、請求項32記載の装置。
【請求項34】
前記送信は、前記エンティティから前記遠隔のエンティティへ第1のメッセージを送信し、前記遠隔のエンティティから前記エンティティへ第2のメッセージを送信することを具備する、請求項31記載の装置。
【請求項35】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定する方法において、前記方法は、
モバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの少なくとも一部を受信し、
前記衛星データメッセージの前記少なくとも一部の第1のレコードを決定し、 前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定するパラメータを決定し、
前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときを示す時間を決定するために前記第1のレコードを遠隔の基地局に送信する。
【請求項36】
SPS信号を受信し、少なくとも1つの擬似距離を決定することをさらに具備する請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの擬似距離を送信することをさらに具備する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記受信、前記第1レコードの決定、および送信はモバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器において実行される、請求項35記載の方法。
【請求項39】
GPS信号を受信し、複数の擬似距離を決定し、
前記複数の擬似距離を送信することをさらに具備する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第1のレコードは50ボーデータを具備する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記GPS信号からキャリア周波数を除去することをさらに具備する、請求項36記載の方法。
【請求項42】
前記第1のレコードを差分的に検出することをさらに具備する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記比較範囲を指定する前記パラメータを決定することは、前記モバイルSPS受信器から前記遠隔基地局へ第1のメッセージを送信し、あるいは前記遠隔基地局から第2のメッセージを受信することを具備する、請求項35記載の方法。
【請求項44】
SPS信号を受信するアンテナと、
前記アンテナと接続され前記SPS信号からPNコードを除去する復調器と、前記復調器と接続され、前記復調器から受信した衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを決定し、前記第1のレコードが前記SPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定するパラメータを決定するプロセッサと、
前記プロセッサと接続され前記第1のレコードを遠隔基地局に送信する送信器と、
を具備する衛星位置決めシステム(SPS)受信器。
【請求項45】
前記送信器と接続され、前記第1のレコードを前記遠隔基地局に送信する通信アンテナをさらに具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項46】
前記アンテナと接続され、前記SPS信号を取得し、少なくとも1つの擬似距離を決定する相関器をさらに具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項47】
前記パラメータの前記決定は、前記SPS受信器から前記遠隔基地局に第1のメッセージを送信することまたは前記遠隔基地局から第2のメッセージを受信することの一方を具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項48】
SPS信号を受信するSPSアンテナと、
前記SPSアンテナと接続され、前記SPS信号を処理し、前記SPS信号から少なくとも1つの擬似距離を決定し、前記SPS信号からPNコードを除去して前記SPS信号内の衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを供給し、前記第1のレコードが前記SPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定する少なくとも1つのパラメータを決定するプロセッサと、
前記デジタルプロセッサと接続され、前記第1のレコードを遠隔基地局に送信する送信器と、
を具備する衛星位置決めシステム(SPS)受信器。
【請求項49】
前記パラメータの前記決定は、前記SPS受信器から前記遠隔基地局へ第1のメッセージを送信すること、または前記遠隔基地局から第2メッセージを受信することの一方を具備する、請求項48記載のSPS受信器。
【請求項50】
モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器において、SPSに使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、前記方法は、
前記モバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを受信し、
前記モバイルSPS受信器において、前記衛星データメッセージの第2のレコードを受信し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、
比較範囲を決定し、
前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において、受信されたときの見積もり時間から決定された少なくとも前記比較範囲において、前記第1のレコードを前記第2のレコードと比較し、
前記比較から、前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において、受信されたときを示す時間を決定する。
【請求項51】
前記時間が前記第2のレコードから決定できるように前記第2のレコードは日時情報を供給する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記第2のレコードは、基地局から受信される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記モバイルSPS受信器において、衛星天体暦情報を受信することをさらに具備する請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記天体暦情報は前記基地局から受信する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
SPS信号を受信し、複数の擬似距離を決定し、前記比較範囲の前記決定は、前記SPS受信器から遠隔基地局へ第1のメッセージを送信すること、または前記遠隔基地局から第2メッセージを受信することの一方を具備する、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記第1のレコードは、前記衛星データメッセージからPNコードを除去することにより得る、請求項55記載の方法。
【請求項57】
下記のものを具備するモバイル衛星位置決め(SPS)受信器:
SPS信号を受信するアンテナ、
前記アンテナと接続され前記SPSからPNコードを除去する復調器、
前記復調器と接続され、前記復調器から受信した衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを決定し、比較範囲を決定するプロセッサ、
通信アンテナ、
前記通信アンテナおよび前記プロセッサと接続され、前記衛星データメッセージの第2のレコードを受信する通信受信器、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、前記プロセッサは、前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときの見積もり時間から決定される少なくとも前記比較範囲において前記第1のレコードと前記第2のレコードを比較し、前記第1のレコードが受信された時間を決定する。
【請求項58】
前記時間が前記第2のレコードから決定できるように前記第2のレコードは日時情報を供給する、請求項57記載のモバイルSPS受信器。
【請求項59】
前記第2のレコードは基地局から受信する、請求項58記載のモバイルSPS受信器。
【請求項60】
前記通信受信器は衛星天体暦情報を受信する、請求項59記載のモバイルSPS受信器。
【請求項61】
前記衛星天体暦情報は前記基地局から供給される、請求項60記載のモバイルSPS受信器。
【請求項62】
前記モバイルSPS受信器は擬似距離を決定する、請求項58記載のモバイルSPS受信器。
【請求項63】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用する衛星データメッセージに関連した時間の測定を補助するための装置において、前記装置は、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを比較するのに使用する衛星データメッセージの第2のレコードを送信し、前記第1のレコードを前記第2のレコードと比較するための比較範囲を決定するのに使用されるメッセージを送信する送信器、前記比較は前記第1のレコードが遠隔モバイルSPS受信器において、受信されたときの見積もり時間に基づく、
を具備する。
【請求項1】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、
前記方法は、
衛星位置決めシステムの衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードをエンティティにおいて受信し、
前記第1のレコードを前記衛星データメッセージの第2のレコードと比較し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは、時間的に少なくとも一部が重畳し、前記比較は、前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間を決定した後に行われ、
前記比較から時間を決定し、前記時間は前記第1のレコードが遠隔にあるエンティティにおいて受信されたときを示す。
【請求項2】
前記遠隔にあるエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器であり、前記見積もり時間は、前記第2のレコードと第1のレコードを比較するために前記第2のレコードに関連した時間範囲を指定するのに使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記遠隔にあるエンティティはモバイルSPS受信器であり、
前記第1のレコードが受信されたとき前記見積もり時間から比較範囲を決定することをさらに具備する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
衛星位置決めシステムに使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、
前記方法は、
衛星位置決めシステムの衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードをエンティティにおいて受信し、
前記第1のレコードが受信されたとき見積もり時間から比較範囲を決定し、 前記第1のレコードを前記衛星データの第2のレコードと比較し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは時間的に少なくとも一部が重畳し、前記比較は、前記比較範囲の少なくとも一部において行われ、
前記比較から時間を決定し、前記時間は、前記第1のレコードが遠隔にあるエンティティにおいて受信されたときを示す。
【請求項6】
前記方法は基地局である前記エンティティにおいて独占的に実行される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記遠隔にあるエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記モバイルSPS受信器はGPS(衛星航法システム)受信器である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記第2のレコードは前記基地局に記憶される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記比較は前記第1のレコードおよび前記第2のレコードとの間の相互相関あるいはサンプル毎の比較を行うことを具備する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記エンティティにおいて前記遠隔のエンティティから複数の擬似距離を受信することをさらに具備する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記時間および前記複数の擬似距離を用いて前記遠隔のエンティティの位置情報を決定することをさらに具備する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1のレコードは50ボーデータである、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記第1のレコードのキャリア周波数を正確に決定することをさらに具備する、請求項7記載の方法。
【請求項16】
前記比較範囲の決定は前記エンティティと前記遠隔のエンティティとの間で少なくとも1つのメッセージを送信することを具備する、請求項7記載の方法。
【請求項17】
前記送信は、第1のメッセージを前記エンティティから前記遠隔のエンティティへ送信し、第2のメッセージを前記遠隔のエンティティから前記エンティティへ送信することを具備する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレコードは、複数の擬似距離の第1の擬似距離に対応する前記衛星データメッセージの少なくとも前記部分の少なくとも1つのレコードを具備する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第2の衛星データメッセージの少なくとも一部の第3のレコードを前記エンティティにおいて受信し、
前記第3のレコードを前記衛星データメッセージの第4のレコードと比較し、前記第3のレコードと前記第4のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳し、
前記比較ステップから第2の時間を決定し、前記第2の時間は、前記第3のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記第2の衛星データメッセージが前記複数の擬似距離の第2の擬似距離に相当する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記遠隔のエンティティは、セルラ電話を具備し、前記第1のレコードはセルラ電話サイトを介して前記セルラ電話から受信される、請求項7記載の方法。
【請求項21】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用するための衛星データメッセージに関連した時間を測定するための装置において、
前記装置は、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを受信する受信器と、
前記受信器に接続されたデータプロセッサであって、前記データプロセッサは、比較範囲において、前記衛星データメッセージの前記第1のレコードと第2のレコードとの比較を行い、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、前記比較から時間を決定し、前記時間は前記第1のレコードが遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記比較範囲は、前記第1のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときの見積もり時間から決定される。
【請求項22】
前記遠隔のエンティティは、モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器である、請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記第2のレコードは、前記時間が前記第2のレコードから決定できるように日時情報を供給する、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記データプロセッサに接続され、前記第2のレコードを記憶する記憶装置をさらに具備する、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記データプロセッサに接続され、前記第2のレコードを供給するGPS(衛星航法システム)受信器をさらに具備する、請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記受信器は、無線あるいは有線の通信受信器の一方である、請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記受信器は、前記遠隔のエンティティから複数の擬似距離を受信する、請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記データプロセッサは前記時間および前記複数の擬似距離を用いて前記遠隔のエンティティの位置情報を決定する、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記第1のレコードは50ボーデータを具備する、請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記データプロセッサに接続され、別のエンティティと通信する送信器をさらに具備する、請求項24記載の装置。
【請求項31】
前記比較範囲は前記エンティティと前記遠隔のエンティティとの間で少なくとも1つのメッセージを送信することにより決定される、請求項22記載の装置。
【請求項32】
前記第1のレコードは、前記複数の擬似距離の第1の擬似距離に相当する前記衛星データメッセージの少なくとも前記部分の少なくとも1つのレコードを具備する、請求項28記載の装置。
【請求項33】
前記受信器は第2衛星データメッセージの少なくとも一部の第3のレコードを受信し、前記データプロセッサは前記第3のレコードを前記衛星データメッセージの第4のレコードと比較し、前記第3のレコードと前記第4のレコードは、少なくとも部分的に時間が重畳し、前記データプロセッサは、前記比較ステップから第2の時間を決定し、前記第2の時間は、前記第3のレコードが前記遠隔のエンティティにおいて受信されたときを示し、前記第2の衛星データメッセージは前記複数の擬似距離の第2の擬似距離に相当する、請求項32記載の装置。
【請求項34】
前記送信は、前記エンティティから前記遠隔のエンティティへ第1のメッセージを送信し、前記遠隔のエンティティから前記エンティティへ第2のメッセージを送信することを具備する、請求項31記載の装置。
【請求項35】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定する方法において、前記方法は、
モバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの少なくとも一部を受信し、
前記衛星データメッセージの前記少なくとも一部の第1のレコードを決定し、 前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定するパラメータを決定し、
前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときを示す時間を決定するために前記第1のレコードを遠隔の基地局に送信する。
【請求項36】
SPS信号を受信し、少なくとも1つの擬似距離を決定することをさらに具備する請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの擬似距離を送信することをさらに具備する、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記受信、前記第1レコードの決定、および送信はモバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器において実行される、請求項35記載の方法。
【請求項39】
GPS信号を受信し、複数の擬似距離を決定し、
前記複数の擬似距離を送信することをさらに具備する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第1のレコードは50ボーデータを具備する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記GPS信号からキャリア周波数を除去することをさらに具備する、請求項36記載の方法。
【請求項42】
前記第1のレコードを差分的に検出することをさらに具備する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記比較範囲を指定する前記パラメータを決定することは、前記モバイルSPS受信器から前記遠隔基地局へ第1のメッセージを送信し、あるいは前記遠隔基地局から第2のメッセージを受信することを具備する、請求項35記載の方法。
【請求項44】
SPS信号を受信するアンテナと、
前記アンテナと接続され前記SPS信号からPNコードを除去する復調器と、前記復調器と接続され、前記復調器から受信した衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを決定し、前記第1のレコードが前記SPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定するパラメータを決定するプロセッサと、
前記プロセッサと接続され前記第1のレコードを遠隔基地局に送信する送信器と、
を具備する衛星位置決めシステム(SPS)受信器。
【請求項45】
前記送信器と接続され、前記第1のレコードを前記遠隔基地局に送信する通信アンテナをさらに具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項46】
前記アンテナと接続され、前記SPS信号を取得し、少なくとも1つの擬似距離を決定する相関器をさらに具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項47】
前記パラメータの前記決定は、前記SPS受信器から前記遠隔基地局に第1のメッセージを送信することまたは前記遠隔基地局から第2のメッセージを受信することの一方を具備する、請求項44記載の受信器。
【請求項48】
SPS信号を受信するSPSアンテナと、
前記SPSアンテナと接続され、前記SPS信号を処理し、前記SPS信号から少なくとも1つの擬似距離を決定し、前記SPS信号からPNコードを除去して前記SPS信号内の衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを供給し、前記第1のレコードが前記SPS受信器において受信されたときの見積もり時間から比較範囲を指定する少なくとも1つのパラメータを決定するプロセッサと、
前記デジタルプロセッサと接続され、前記第1のレコードを遠隔基地局に送信する送信器と、
を具備する衛星位置決めシステム(SPS)受信器。
【請求項49】
前記パラメータの前記決定は、前記SPS受信器から前記遠隔基地局へ第1のメッセージを送信すること、または前記遠隔基地局から第2メッセージを受信することの一方を具備する、請求項48記載のSPS受信器。
【請求項50】
モバイル衛星位置決めシステム(SPS)受信器において、SPSに使用する衛星データメッセージに関連した時間を測定するための方法において、前記方法は、
前記モバイルSPS受信器において、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを受信し、
前記モバイルSPS受信器において、前記衛星データメッセージの第2のレコードを受信し、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、
比較範囲を決定し、
前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において、受信されたときの見積もり時間から決定された少なくとも前記比較範囲において、前記第1のレコードを前記第2のレコードと比較し、
前記比較から、前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において、受信されたときを示す時間を決定する。
【請求項51】
前記時間が前記第2のレコードから決定できるように前記第2のレコードは日時情報を供給する、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記第2のレコードは、基地局から受信される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記モバイルSPS受信器において、衛星天体暦情報を受信することをさらに具備する請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記天体暦情報は前記基地局から受信する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
SPS信号を受信し、複数の擬似距離を決定し、前記比較範囲の前記決定は、前記SPS受信器から遠隔基地局へ第1のメッセージを送信すること、または前記遠隔基地局から第2メッセージを受信することの一方を具備する、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記第1のレコードは、前記衛星データメッセージからPNコードを除去することにより得る、請求項55記載の方法。
【請求項57】
下記のものを具備するモバイル衛星位置決め(SPS)受信器:
SPS信号を受信するアンテナ、
前記アンテナと接続され前記SPSからPNコードを除去する復調器、
前記復調器と接続され、前記復調器から受信した衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを決定し、比較範囲を決定するプロセッサ、
通信アンテナ、
前記通信アンテナおよび前記プロセッサと接続され、前記衛星データメッセージの第2のレコードを受信する通信受信器、前記第1のレコードと前記第2のレコードは少なくとも部分的に時間が重畳し、前記プロセッサは、前記第1のレコードが前記モバイルSPS受信器において受信されたときの見積もり時間から決定される少なくとも前記比較範囲において前記第1のレコードと前記第2のレコードを比較し、前記第1のレコードが受信された時間を決定する。
【請求項58】
前記時間が前記第2のレコードから決定できるように前記第2のレコードは日時情報を供給する、請求項57記載のモバイルSPS受信器。
【請求項59】
前記第2のレコードは基地局から受信する、請求項58記載のモバイルSPS受信器。
【請求項60】
前記通信受信器は衛星天体暦情報を受信する、請求項59記載のモバイルSPS受信器。
【請求項61】
前記衛星天体暦情報は前記基地局から供給される、請求項60記載のモバイルSPS受信器。
【請求項62】
前記モバイルSPS受信器は擬似距離を決定する、請求項58記載のモバイルSPS受信器。
【請求項63】
衛星位置決めシステム(SPS)に使用する衛星データメッセージに関連した時間の測定を補助するための装置において、前記装置は、衛星データメッセージの少なくとも一部の第1のレコードを比較するのに使用する衛星データメッセージの第2のレコードを送信し、前記第1のレコードを前記第2のレコードと比較するための比較範囲を決定するのに使用されるメッセージを送信する送信器、前記比較は前記第1のレコードが遠隔モバイルSPS受信器において、受信されたときの見積もり時間に基づく、
を具備する。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2013−79965(P2013−79965A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256106(P2012−256106)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2012−69287(P2012−69287)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256106(P2012−256106)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2012−69287(P2012−69287)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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