説明

衛生シート

【課題】キッチン外で使用済みの弁当箱などを衛生的に取扱可能とし、またその付着物や付着物の液体成分及び使用済みのワイプシートを容易に処分または保持可能とする。
【解決手段】衛生シート2は、難透水シートを有する外殻4を備え、食品12に触れた器具8の付着物10を拭き取るべき拭き取り面6aが形成されているワイプシート6を分離可能に保持して、拭き取り後のワイプシート6と付着物10の液体成分14とを受容して包み込み可能に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当箱などの食品に触れた器具を衛生的に取扱う衛生シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の軽減は人類の責務である。これは、家庭においても同様で、省資源と共に上水の使用量の削減、下水の排出量の削減とその質の改善が求められている。具体的に言えば、使用済みの食器の浄化に関する。使用済みの食器には油分を多く含む付着物が付着しており、これを上水で洗浄しようとすると大量の上水と洗剤を使用するのが一般的である。このためその手間や時間がかかりる上、洗剤使用による手荒れ等も生じる。また洗浄後に排出される下水には付着物、油分、洗剤成分など種々雑多な物が多く混入しており、そのまま自然界に排出すれば環境破壊につながる。また、このような下水を浄化するには多くの手間と費用がかかるなど、環境負荷が大きい。
【0003】
この改善策として、使用後の食器の付着物を拭いて減らす清掃用シートや清拭用シートの技術が特許文献1〜3に記載されている。これらは使用後の食器の洗浄の際の水の使用量を抑える。しかし、これらは原則としてキッチンまたはその周辺において皿等の食器類を主に拭くものである。そして使用後の清掃用シートの処分については明確には記載されていないが、そのままキッチン内のダストボックスに廃棄するものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−155791号公報
【特許文献2】特開2003−61885号公報
【特許文献3】特開2006−68463号公報
【0005】
しかしながら、昼食時の弁当箱について考えてみると、弁当を食した後の弁当箱には付着物、食べ残し、中仕切りに用いられるカップ状容器やこれらの液体成分が残る(図15、図16参照)。そして、第一に弁当箱を拭こうとするとき、付着物以外のものが残っていると拭き取りの邪魔や障害となる。さらには付着物を拭き取った後にこれらのものを戻すと、衛生的には拭いた意味があまりなくなる。さらには、拭き取り使用後の清掃用シートの処分にも困る。なぜならば、そのままオフィスのくずかごに入れておけば汚れがくずかごに転写してくずかごを汚す。また、拭き取り物やその腐敗物により悪臭を放つ。さらには拭き取り物に昆虫やネズミなどの不衛生な生物を引き寄せることが考えられる。また、持って帰るとすると、カバンやバッグの中を汚しまたは臭気を放つ可能性が高い。
【発明の概要】
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用済みのシートや食べ残しの処分を容易にして、キッチン内のみならずキッチン外でも使用済みの弁当箱などの食器を衛生的に取扱できる衛生シートを提供することにある。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景から、発明者は使用済みのシートや食べ残しの処分を容易にして、例えばキッチン外であっても使用済みの弁当箱などを衛生的に取扱可能にすることが課題であると認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の衛生シートは、難透水シートを有する外殻を備え、食品に触れた器具の付着物を拭き取るべき拭き取り面が形成されているワイプシートを分離可能に保持して、拭き取り後の前記ワイプシートと前記付着物の液体成分とを受容して包み込み可能に形成されることを主要な特徴とする。
【0009】
この態様によると、水をあまり使用することなく食品に触れた器具を衛生的に取扱可能とし、使用済みのワイプシートや食べ残しやその液体成分の処分の手間を軽減することができる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、物、製造方法などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、水をあまり使用することなく食品に触れた器具に付着した付着物を減少させて、例えばキッチン外であっても使用済みの弁当箱などを衛生的に取扱可能とし、食べ残しと使用済みのワイプシートを容易に処分または保持可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る衛生シートの一例を示す平面図である。
【図2】図1の衛生シートのA−B線に沿った断面を示す断面図である。
【図3】図1の衛生シートが包装部材に包装された状態を示す断面図である。
【図4】図1の衛生シートが包装部材から取り出された状態を示す断面図である。
【図5】別の実施形態に係る衛生シートの一例を示す斜視図である。
【図6】図2の衛生シートから外殻とワイプシートを分離した状態を示す図である。
【図7】図6の外殻に使用後の弁当箱から付着物の液体成分を受容する様子を示す図である。
【図8】図6のワイプシートで使用後の弁当箱の付着物を拭き取る様子を示す図である。
【図9】図6の外殻に使用後のワイプシートを受容する様子を示す図である。
【図10】図9の外殻を折り畳んで粘着テープを貼り付けた状態を示す図である。
【図11】図10の外殻を包装部材で包装した状態を示す図である。
【図12】図6のワイプシートの一部を切り取って内部の摘み部を示す図である。
【図13】図6のワイプシートを裏返した状態を示す図である。
【図14】図6のワイプシートの断面図である。
【図15】使用前の弁当箱を示す斜視図である。
【図16】図15の弁当箱であって食事使用後の状態を示す斜視図である。
【図17】使用後のワープシートと付着物を受容した図5の衛生シートを示す斜視図である。
【図18】使用後に折り畳んだ図5の衛生シートを示す斜視図である。
【図19】さらに折り畳んだ後に粘着テープを付した図5の衛生シートを示す斜視図である。
【図20】さらに包装部材に包装された状態の図5の衛生シートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。なお、以下の説明では、全体として、便宜上、図2における断面図の下方を「下」と表現するとともに、上方を「上」と表現する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態に係る衛生シート2の一例を示す平面図である。図2は衛生シート2の断面図である。衛生シート2は難透水シートを有する外殻4を備えワイプシート6を分離可能に保持している。実施の形態で、ワイプシート6は外殻4の上に重ねて保持されている。このためワイプシート6は外殻4から容易に分離可能にされている。またワイプシート6の一部である例えば端部が外殻4に接着などの方法で固着されもよい。ワイプシート6にミシン目など剥離領域を設けて容易に切り離し可能とされてもよい。これらは一体で取り扱いできるから一方を使用すると他方を探す手間が省ける。またいずれかが不足して結局使用できない事態を生じることもない。
【0015】
実施の形態で、外殻4は付着物10と拭き取りした後のワイプシートを受容して包み込み可能な大きさに形成されている。外殻4は難透水シートを含み付着物10の液体成分を受容して包み込み可能に形成されている。外殻4は一方の面に接した水分が容易には他方の面にしみ出ないように、シートの表面に塗装が施されてもよい。外殻4に受容した付着物10が液体成分を多く含む場合に、液体成分の飛散が抑えられる。
【0016】
難透水シートは、液体成分を透過し難いものであれば特別の制限はない。例えば、所望の難透水性を発揮するように繊維の密度を調整した紙や表面にポリプロピレン等の樹脂やワニスを付着させた紙を用いることができる。実施の形態では、難透水シートを水平にして、一方の面に水滴を付着させた場合に10分経過後の当該面の水滴の残量が80%以上となるように繊維の表面密度を調整した紙を用いている。
【0017】
衛生シート2は受容した液体成分がこぼれないように周辺が上側に上がっている窪み部
を有してもよい。実施の形態で衛生シート2は、受容した液体成分がこぼれないように外殻4の周辺が上側に上がって略盆状を形成しており、外殻4全体が窪み部とされる。具体的には外殻4は短辺4a、4bが10cmで長辺4c、4dが15cmの矩形状で、長辺の縁が上側に1cm程度折り曲げられて壁状の縁部4c、4dが形成されている。また、長手方向の途中が窪んだ窪み部4fが形成されている。この結果、平らな面に静置した場合に、外殻4は中間部が窪んだ形状を呈しており、受容した液体成分の縁からの漏れ出しが抑えられる。衛生シート2は、外殻4は上記形状に限られず、例えば略椀状、略皿状、略舟形状又は長手方向の断面が略V字状や略U字状等の形状に形成されてよい。衛生シート2は、外殻4がこれらの形状に折り曲げできるように予備的に折り目が形成されていてもよい。
【0018】
衛生シート2は外殻4が大きすぎると、テーブルの上に配置する面積が大きくなって使い勝手が低下する。また、小さすぎると受容可能なワイプシート6の大きさや液体成分の量が減って使い勝手が低下する。衛生シート2は外殻4の長手方向の寸法が12cmから24cmの範囲では使い勝手の低下が実使用上で問題とならない範囲であることが確認されている。なお、衛生シート2は外殻4の長手方向の寸法が15cm〜20cmの範囲で使い勝手の低下は殆ど確認されず視覚的にも問題はなく一層好ましい。また、衛生シート2は外殻4の短手方向の寸法は長手方向の寸法の50%〜90%としている。
【0019】
衛生シート2は外殻4を誤って傾けたりした場合に、受容した液体成分14が漏れ出すこ可能性がある。これに対応して、衛生シート2は液体成分を受容する面に吸水層18を備えてもよい(図2参照)。外殻4を傾けた場合に受容した液体成分14の縁からの漏れ出しが抑えられる。吸水層18は例えばパルプ繊維や化学繊維などの繊維を含んで形成できる。また、衛生シート2は、例えばポリアクリル酸ナトリウムを顆粒状にしたもの等を含む高吸水ポリマー20を備えてもよい。実施の形態で高吸水ポリマー20は、衛生シート2の窪み部4fに配設している(図2参照)。液体成分14は窪んだ部分に集まってくるから、少ない量の高吸水ポリマー20で効率的に水分を吸収できて、液体成分14の漏れ出しを一層抑えられる。
【0020】
衛生シート2は、使用後のワイプシート6などの受容物を包み込んだ外殻4の包み込み状態を維持するばらけ防止手段を備えている。ばらけ防止手段としては。受容物を包み込んだ外殻4の包み込み状態を維持可能なものであれば特別の制限はない。実施の形態で、外殻4の長手方向の端には粘着テープ16が貼り付けられている(図10参照)。つまり衛生シート2は、外殻4に粘着テープ16が貼り付けられることにより、その包み込み状態が維持される。ばらけ防止手段は外殻4の端部を挟むクリップを用いることができる。また、ばらけ防止手段は、外殻4端部に金属製や紙製の針を刺して通した後にその針を曲げて綴じるステープラを用いることができる。さらに、ばらけ防止手段は、外殻4の端部に突起部と受け穴とを設けて、一方の端部の突起部を他方の端部の受け穴に引っ掛けるようにして外殻4の包み込み状態を維持するようにしてもよい。
【0021】
実施の形態で、衛生シート2は難透水性の包装部材22に包装されている(図3参照)。包装部材22はポリエチレンやポリオレフィンなどの難透水性の樹脂素材から袋状に形成される。包装部材22は、使用後のワイプシート6を包み込み込んだ状態の外殻4を収容可能な形状に形成されている。例えば、使用後のワイプシート6を包み込み込んだ状態の外殻4をバッグなどへ保存した場合に、液体成分のバッグなどへの漏れ出しを抑える。別途に包装部材を準備するロスを抑えうる。
【0022】
ワイプシート6は水を殆ど使用することなく食品に触れた弁当箱8の付着物10を拭き取り可能に形成されている。例えばパルプ繊維や化学繊維などの繊維を不織布に形成することができる。ワイプシート6は、水を含んでいてもよい。例えば、ワイプシート6は、弁当箱8の表面に触れた場合に、弁当箱8の表面を濡らすことができる程度に水分を含ませておくことができる。付着物10を軟化させて除去しやすくなる。またワイプシート6は、アルコール類や次亜塩素酸ナトリウムの水溶液など殺菌効果を有する液体を含ませてもよい。実施の形態では、ワイプシート6にエタノールを含ませている。人体に害が少ない点で好ましい。拭き取り後の弁当箱8がより衛生的になる。またワイプシート6は界面活性剤を含ませてもよい。脂質も短時間で拭き取ることができる。またワイプシート6は難水溶性の繊維が含まれてもよい。水等の液体に触れても破れの発生を抑えられる。ワイプシート6と外殻4とに非透水性の分離シートを介するようにしてもよい。ワイプシート6に含まれる液体の外殻4への染み込みを抑えうる。
【0023】
ワイプシート6は種々の形状とすることができる。例えば単なる矩形のシートであってもよい。ワイプシート6は、手の指を引っかけて保持する引っ掛け部が形成されてよい。持ちやすいから作業効率が向上する。ワイプシート6は扁平な筒状部が形成されても良い。ワイプシート6は、筒状部に手の指が挿入されて容易に保持しうる。このため、往復運動して拭き取る場合も指に力を入れて素早く実行できて作業効率が向上する。実施の形態のワイプシート6は、筒状部の一方の端部に開口6eを有し、他方の端部が閉じられた閉端を有する袋状に形成されている(図12参照)。当該閉端は塞がれていても良い。開口6e以外の部分に孔が設けられているものも袋状に含まれる。ワイプシート6は開口6eに2乃至3本の指を第2関節程度まで包む形状としている(図8参照)。ワイプシート6が指に密着するから力が直接的に伝達されて付着物10を効率的に拭き取ることができる。また、指の腹がシート一枚のみを通じてに弁当箱8の表面に接する。またワイプシート6は指の腹に接する部分が密着部を形成し、これらの間に非密着部を形成する。この結果、密着部と非密着部が連続して弁当箱8の表面を擦るから、強く付着している付着物10も短時間で拭き取ることができる。
【0024】
袋体の開口6eの周寸法は、小さすぎると指を包み込んで使用した際に破れることがある。開口6eの周寸法は10cm以上の範囲で指二本を包み込みできて好ましい。また開口6eの周寸法は、13cm以上の範囲で指3本を包み込みできて一層好ましい。開口6eの周寸法が大きすぎると指から抜けやすくなる可能性がある。開口6eの周寸法は18cm以下の範囲では実使用上で問題はなかった。ワイプシート6は袋体の開口6eからの奥行き浅過ぎると1回の拭き取り幅が狭くなり、拭き取りの往復回数が増えて作業効率が低下する。また奥行きが深すぎると先端部分に指が届かず拭き取りに関与しない無駄な部分が生じる。開口6eからの奥行き寸法は3〜7cmの範囲で作業効率の低下や先端部分の無駄が問題とならず好ましい。
【0025】
実施の形態でワイプシート6は、袋体が裏返し可能に形成されて外側6aと内側6bのそれぞれに拭き取り面を有している(図12、図13参照)。ワイプシート6は、使用後に袋体を裏返すと汚れ面6aが内側になり、また拭き取り物が内側に包み込まれるから、拭き取り物に指が触れる可能性を抑えうる。ワイプシート6は、袋体の内側6bに摘み可能な形状に形成された摘み部6cを有する。摘み部6cを引き出すようにすることで容易に袋体が裏返しになる。
【0026】
ワイプシート6は、一方の面が拭き取り面とされ、反対の面は拭き取り面より吸水性が低く形成されてよい。液体成分14の染み出しが抑えられるから、反対の面を指で押えて作業すれば指が濡れにくい。実施の形態でワイプシート6は、袋体の外側6aと内側6bとの両面に拭き取り面が形成されて、これらの間に拭き取り面より吸水性が低い中間層6dが形成される(図14参照)。これにより、袋体の外側6aで付着物10を拭き取る際に液体成分の内側6bへの染み出しが抑えられる。このため、外側6aで付着物10を拭き取った後も内側6bは清潔なままである。したがって袋体を裏返して内側6bを表に出して清潔に拭き取りが可能になる。よってワイプシート6を無駄なく使い切ることができる。
【0027】
中間層6dは液体成分を透過し難いものであれば特別の制限はない。例えば、所望の難透水性を発揮するように繊維の密度を調整した紙や表面にポリプロピレン等の樹脂やワニスを付着させた紙を用いることができる。実施の形態で中間層6dは、一方の面に水滴を付着させた場合に10分経過後の当該面の水滴の残量が50%以上となるように繊維の表面密度を調整した紙を用いている。
【0028】
ワイプシート6は、外殻4が1枚に対して大きなシートを1枚だけ保持して使用する方法もある。しかし、大きなシートは拭き取りをしているうちに未使用部分の判別が難しくなる。この結果、未使用部分を多く残すことがあり、利用効率が低い。このため、ワイプシート6は、外殻4が1枚に対して複数枚が分離可能に保持されてもよい(図6参照)。いずれか1枚のワイプシート6をまず使用した後、残りの未使用のワイプシート6を使用できる。付着物10を効率的に除去でき、前述の課題が軽減される。実施の形態で、外殻4の略半分の大きさのワイプシート6が2枚平面的に並べて外殻4に保持されている。外殻4の1枚に対して保持されているワイプシート6の数が多すぎると、ワイプシート6が小型になり使用に困難を生じる可能性がある。ワイプシート6の数が4以下の範囲では実用上の問題がないことが確認されている。ワイプシートは折り畳んで平面的に並べて外殻4に保持されてもよい。例えば四つ折りにしてもよい。また、ワイプシート6を複数重ねて保持されてもよい。
【0029】
ワイプシート6は、人体に有害な成分が非含有とされて口拭き、手ふきとしても使用可能に形成される。別途の口拭き用等のちり紙等の消費を抑えることができる。
【0030】
次に図3〜11に基づき衛生シート2を使用して食品に触れた弁当箱8を衛生的に取扱う方法を説明する。まず図3〜4に示すように、包装部材22から衛生シート2を取り出して準備する。次に図2及び図6に示すように、外殻4を開いてワイプシート6を分離する。ここで、ワイプシート6で手や口を拭いてもよい。次に図7に示すように、弁当などで残った物13や液体成分14を外殻4上に移す。次に図8に示すように、ワイプシート6を用いて食品に触れた弁当箱8の付着物10を拭き取って減少させる。次に図9〜10に示すように、付着物10を拭き取った後のワイプシート6を外殻4で包み込む。次に図10に示すように、外殻4に粘着テープ16を貼り付けてばらけを防止する。
【0031】
この状態で、衛生シート2を廃棄してもよいが、液体成分14の漏れ出しの可能性をさらに低減したい要請がある。このため、実施の形態の方法では、さらに付着物10を拭き取った後のワイプシート6を包み込んだ状態の外殻4を難透水性の包装部材22で包装している(図11参照)。これにより、液体成分14の漏れ出しや臭気の漏れ出しの可能性が大幅に低減できる。この状態でゴミ箱に廃棄できる。また、バッグに入れて持ち帰り家庭のゴミ箱に廃棄できる。また、使用前の衛生シート2を包装していた包装部材22を用いて包装するから、別途に包装部材を消費するロスを低減することができる。
【0032】
使用済みの弁当箱8などは、ワイプシート6で拭いた後も僅かに食品成分が残ることが考えられる。残った食品成分は発酵して臭気を生じる可能性がある。このため食品に触れた弁当箱8に殺菌成分が含まれる液剤を付着させてもよい。発酵に関与する微生物を削減して発酵や臭気の発生を抑える。なお、弁当箱8に付着させた当該液剤をワイプシート6でさらに拭き取るようにしてもよい。一層衛生的に弁当箱を取り扱うことができる。
【0033】
次に、図5及び図17〜20に基づき、別の実施形態に係る衛生シート50とその使用方法を説明する。図5は、衛生シート50を示す斜視図である。衛生シート50は、外殻54と、二つのワイプシート6と、吸水層18と、高吸水ポリマー20とを含んでいる。外殻54は、難透水を有する二枚の矩形状シートの連続する二辺が上下のシートで接して繋がっている。図5において、内部の高吸水ポリマーの状況の理解を容易にするため、外殻54の一部を切り取って示している。
【0034】
外殻54のシートを拡げると周辺が上に上がり、接続された二辺の間に窪み部54aが形成される。外殻54は、窪み部54aに拭き取り後のワイプシート6と付着物の液体成分14とを受容する(図17参照)。図17において、内部の受容物の状況の理解を容易にするため、外殻54の一部を切り取って示している。前述の受容物を受容した後に衛生シート50は縁が折り畳まれる(図18参照)。その後、衛生シート50はさらに上下に折り畳まれて、ばらけを防止するために粘着テープ16が付される(図19参照)。受容物を受容し折り畳まれた衛生シート50は包装部材22に包装される(図20参照)。包装部材22は開口を有する袋体とされる。包装部材22は、袋体の中央より上方向で開口に寄った位置にファスナー部22aが形成されている。ファスナー部22aは袋体の2面を密着させて袋体を封じる。使用前の衛生シート50を包装していた包装部材22を用いて包装するから、別途に包装部材を消費するロスを低減することができる。包装部材22は透明であっても不透明であってもよい。
【0035】
衛生シート2及び50は香料を含んでもよい。香料は例えば繊維に溶剤に分散化した洗剤を染み込ませてシート状に形成できる。例えば食欲を刺激するハーブの香りを含ませることにより食事が楽しくなる。また、衛生シート2及び50は界面活性剤を含む洗剤を備えてもよい。洗剤は例えば繊維に溶剤に分散化した洗剤を染み込ませてシート状に形成できる。洗剤を別に準備したり探す手間が省け、使い勝手が向上する。
【0036】
前述の説明では、食品に触れた器具は使用済みの弁当箱8としたが、これに限られない。例えば、使用済みの箸やスプーン等の食器であっても同様の効果を生じ、本発明の範囲にある。
【0037】
これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。あるいはまた、実施の形態同士の組み合わせも可能である。
【符号の説明】
【0038】
2、50 衛生シート
4、54 外殻
6 ワイプシート
8 弁当箱
10 付着物
11 食べ残し
13 カップ状容器
12 食品
14 液体成分
16 粘着テープ
18 吸水層
20 高吸水ポリマー
22 包装部材
24 指
30 包み込み具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難透水シートを有する外殻を備え、
食品に触れた器具の付着物を拭き取るべき拭き取り面が形成されているワイプシートを分離可能に保持して、拭き取り後の前記ワイプシートと前記付着物の液体成分とを受容して包み込み可能に形成されることを特徴とする衛生シート。
【請求項2】
前記外殻は、受容した液体成分がこぼれないように周辺が上側に上がっている窪み部を有することを特徴とする請求項1に記載の衛生シート。
【請求項3】
付着物を拭き取った後の前記ワイプシートを包み込んでその状態を維持可能なばらけ防止手段を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の衛生シート。
【請求項4】
付着物を拭き取った後の前記ワイプシートを包み込んだ状態の前記外殻を収容すべき収容部材に包まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の衛生シート。
【請求項5】
前記ワイプシートは、筒状部を有することを特徴とする請求項1から5に記載の衛生シート。
【請求項6】
前記ワイプシートは、前記筒状部が裏返し可能に形成されて外側と内側のそれぞれに前記拭き取り面を有していることを特徴とする請求項5に記載の衛生シート。
【請求項7】
前記ワイプシートは、前記筒状部の外側と内側の前記拭き取り面の間に当該拭き取り面より吸水性が低い中間層が形成されることを特徴とする請求項6に記載の衛生シート。
【請求項8】
前記外殻1に対して2〜4枚の前記ワイプシートが保持されていることを特徴とする請求項1から7に記載の衛生シート。
【請求項9】
難透水シートを有する外殻を備え、
食品に触れた器具の付着物を拭き取った後のワイプシートと前記付着物の液体成分とを受容して包み込み可能に形成され、
前記外殻は、受容した液体成分がこぼれないように周辺が上側に上がっている窪み部を有することを特徴とする衛生シート。
【請求項10】
難透水シートを有する外殻を備え、
食品に触れた器具の付着物を拭き取るべき拭き取り面を有するワイプシートを分離可能に保持して、拭き取り後の前記ワイプシートと前記付着物の液体成分とを受容して包み込み可能に形成される衛生シートの使用方法であって、
前記外殻と前記ワイプシートとを分離するステップと、
前記付着物の液体成分を前記外殻に移すステップと、
前記ワイプシートを用いて食品に触れた前記器具の付着物を拭き取って減少させるステップと、
拭き取った後の前記ワイプシートを前記外殻で包み込むステップと、
包み込んだ後の前記外殻の包み込み状態を維持可能な形態にするステップと、
を含むことを特徴とする衛生シートの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−52001(P2013−52001A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190230(P2011−190230)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(300057469)