説明

衛生マスク用マスクカバー

【課題】市販の使い捨て衛生マスクに着脱可能で、衛生マスク着用者の鼻口部を外部からの電磁波から遮蔽できる衛生マスク用マスクカバーを提供する。
【解決手段】衛生マスクのマスク本体外面を覆う略矩形のカバー本体部と、その左右端縁部の中央部から衛生マスクの耳掛け紐の上下固定端間隔より僅かに狭い上下幅で延設した延設部と、カバー本体部の内面側における左右端縁部より中央寄り部分においてカバー本体部の上下端縁間に張り渡した左右一対の帯状部材とを備えて構成し、カバー本体部と延設部とは電磁波遮蔽性と通気性を持たせた生地を用いて製作する。マスクカバーの内側に衛生マスクを配置してその左右端を包むようにして延設部を折り返し、その先端を衛生マスク内面と帯状部材の間に通す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生マスクの表面側に着脱可能に装着して使用するマスクカバーに関し、特にはマスクカバーの材料に電磁波を遮蔽する効果を有する生地を使用して電磁波が着用者の鼻口部へ悪影響を与えるのを防止するための衛生マスク用マスクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
大気中に浮遊する細菌、花粉、粉塵等の有害微粒子が鼻や口から呼吸を通じて体内に侵入することを防止したり、反対に鼻口から吐出される分泌物の周囲への飛散を抑制したりすることを目的として衛生マスクが多用されている。こうした目的の衛生マスクはガーゼや不織布等の布地を鼻口を覆うに足る大きさに複数枚重ね合わせ、左右両側に取り付けたゴム紐等で耳に掛けて装着する構成となっている。
【0003】
こうしたガーゼや不織布等を複数枚重ね合わせてフィルターを構成する従来の衛生マスクは有害微粒子の侵入や分泌物の飛散を防止するには効果がある。しかし、近年、外部から侵入する電磁波が口腔や鼻に与える悪影響が問題視されるようになってきている。例えば、携帯電話を耳元で使用する場合、使用者が金、銀、パラジウム等の合金を使用した歯の詰め物をしていると、その合金がアンテナとなって携帯電話からの電磁波を口内に引きつけるためか、ふらつき、肩こり、頭痛、腰痛といった各種症状を引き起こすと訴える電磁波過敏症患者が増えている。
【0004】
今日、電磁波は携帯電話のみならず電子レンジ、ブラウン管表示器、パソコン、ワ−プロ等の様々な電子機器から発生している。中でもEMS試験に携わる技術者は強い電磁波に曝される。こうした電磁波の悪影響を防止する観点から電磁波の口腔や鼻への侵入を阻止できる防護マスクが求められている。
【0005】
従来技術として例えば、特許文献1にはマスクの表面側部分に導電性塗料を塗布し、裏面側部分に電磁波シールド機能を持つ絶縁性塗料を塗布した電磁波シールドマスクが開示されている。しかし、マスクは汚れたら新品と交換する必要があり、このような塗布方式の使い捨てマスクでは費用が高くつく問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−319353
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたものでその課題は、市販の使い捨て衛生マスクに着脱可能で、衛生マスク着用者の鼻口部を外部の電磁波から遮蔽して保護することのできる衛生マスク用マスクカバーを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、略矩形で左右両側に耳掛け紐を有する衛生マスクの外面に装着して使用するマスクカバーであって、該マスクカバーは衛生マスクのマスク本体外面を覆うことのできる略矩形のカバー本体部と、該カバー本体部の左右端縁部の中央部から衛生マスクの耳掛け紐の上下固定端間隔より僅かに狭い上下幅で延設された延設部と、カバー本体部の内面側における左右端縁部より中央寄り部分においてカバー本体部の上下端縁間に張り渡された左右一対の帯状部材とを備え、カバー本体部と延設部とは導電性細線を繊維と混紡して電磁波遮蔽性と通気性を持たせた生地を用いて製作されており、マスクカバーを衛生マスクの外面に装着する際は、延設部をカバー本体部の左右に展開した状態にて衛生マスクの左右端部と左右の耳掛け紐をそれぞれカバー本体部と左右一対の帯状部材の間に通し、該状態にてマスクカバーの左右の延設部を衛生マスクの左右端部を包むように折り畳んでその先端部を衛生マスク内面と帯状部材の間に通すことによりマスクカバーが衛生マスクを覆うように装着されるよう構成されていることを特徴とするマスクカバーである。
【0009】
このような構成によれば、衛生マスクの外面は電磁波遮蔽性と通気性を有するマスクカバーで覆われるのでマスク着用者の鼻口部は外部から侵入する電磁波から保護される。また、マスクカバーは略矩形で左右両側に耳掛け紐を有する衛生マスクに着脱できる構成とされているため、衛生マスクとして市販の使い捨て衛生マスクを使用できる利点を有する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマスクカバーにおいてカバー本体部の上下方向中央部には上下方向に折り畳まれて左右方向に延びる複数本のプリーツが形成してあることを特徴とするマスクカバーである。
【0011】
このような構成によれば、衛生マスクがプリーツを有してそれが広げられた場合でもマスクカバーのプリーツを広げることで衛生マスクの外面全体を電磁波遮蔽性の生地で覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】マスクカバー1の内面側展開図である。
【図2】マスクカバー1の外面側展開図である。
【図3】衛生マスク2の内面側図である。
【図4】衛生マスク2の外面側図である。
【図5】展開したマスクカバー1の内面側に衛生マスク2を装着した状態の内面側図である。
【図6】マスクカバー1を衛生マスク2に装着し終えた状態の内面側図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る衛生マスク用マスクカバーの一実施形態を図面を参照して説明する。図1はマスクカバー1の内面側展開図、図2は外面側展開図、図3は衛生マスク2の内面側図、図4は衛生マスク2の外面側図、図5は展開したマスクカバー1の内面側に衛生マスク2を装着した状態の内面側図、図6はマスクカバー1を衛生マスク2に装着し終えた状態の内面側図である。
【0014】
マスクカバー1は図3、図4に示すような最も一般的な形状をした衛生マスク2に装着できるように構成されている。被装着マスクである衛生マスク2は、着用者の鼻口部を覆うマスク本体部4と左右一対の耳掛け紐5から構成されたものである。マスク本体部4は通気性を有するガーゼや不織布を複数枚重ね合わせて横長矩形状に形成されている。上下方向中央部には、マスク本体部4が装着者の顔にフィットして広がるようにするための上下方向に折り畳んだプリーツ6が左右方向に複数本形成されていることが多い。左右一対の耳掛け紐5の両端は衛生マスク2の左右端の上下端部に熱溶着、その他の方法で固定されている。
【0015】
マスクカバー1は図1、図2に示すようにカバー本体部8、左右の延設部9、左右一対の帯状部材10により構成されている。カバー本体部8は衛生マスク2のマスク本体部4の外面側を覆う部分であり、マスク本体部4の全体を覆うようにマスク本体部4の上下、左右方向に僅かにはみ出す大きさに形成されている。図3に示したプリーツ6が形成されたマスク本体部4にも適用できるように、カバー本体部8にも図1、図2に示すような上下方向に折り畳んだプリーツ11が左右方向に複数本形成してある。
【0016】
カバー本体部8の左右端縁部には、その上下方向中央部から左右に延出する延設部9が設けられている。延設部9は略矩形に形成されており、その上下方向幅は衛生マスク2の耳掛け紐5の上下固定端間隔より僅かに狭くしてある。左右方向の延設長さは、延設部9を境界で折り返した場合に、その先端が後述する帯状部材10よりも中央寄り位置となる長さにしてある。延設部9はカバー本体部8と一体に形成してもよいし、カバー本体部8とは別に形成して熱溶着や縫い付けでカバー本体部8に取り付けてもよい。
【0017】
更に、カバー本体部8の内面側における左右端縁部より少し中央寄り部分には、図1に示すように左右一対の帯状部材10が取り付けてある。各帯状部材10は、両端をカバー本体部8の上下端縁に固定して上下方向に張り渡されている。
【0018】
マスクカバー1は以上のように構成されたものであるが、本発明のマスクカバー1はカバー本体部8と左右の延設部9が電磁波遮蔽性と通気性を有する生地を用いて製作されている点に更なる特徴を有する。電磁波遮蔽性を有する生地を用いるのは、マスクカバー1にて衛生マスク2のマスク本体部4の外面側を包み込むように覆うことにより、着用者の鼻口部を電磁波から遮蔽して保護するためである。
【0019】
電磁波遮蔽性と通気性を有する生地は、窓のカーテン用、壁のシールド用、ベッドの蚊帳用、電磁波遮蔽シャツ用等として各種製品が市販されている(例えば、株式会社エコロガのシールドデライトSDL−250)。電磁波遮蔽性は、導電性の高い銅、銀等の金属細線をポリエステル繊維や天然繊維と混紡して糸とし、それを生地に織り上げることで付与されている。
【0020】
このような構成のマスクカバー1を衛生マスク2の外面に取り付けるには、最初にマスクカバー1の左右の延設部9をカバー本体部8の左右に展開した状態にする(図1)。次に、図5に示すように衛生マスク2の左右の端部と左右の耳掛け紐5をそれぞれカバー本体部8と左右の帯状部材10の間に通した状態とする。この状態にて図6に示すようにマスクカバー1の左右の延設部9を衛生マスク2の左右端部を包むように折り畳む。そして、折り畳んだ先端部を衛生マスク2の内面と帯状部材10の間に通す。これによりマスクカバー1は衛生マスク2の外面側を覆う状態で取り付けられる。
【0021】
本実施形態のマスクカバー1によれば、衛生マスク2の外面側は電磁波遮蔽性と通気性を有する生地で覆われるので、マスク着用者の鼻口部は外部から侵入する電磁波から遮蔽されて保護される。また、本マスクカバー1は略矩形で左右両側に耳掛け紐5を有する衛生マスク2に着脱できる構成となっているため、衛生マスク2として市販の使い捨て衛生マスクを使用できる利点を有する。また、上下方向に折り畳んだプリーツ11を形成しておけばプリーツ6を有する衛生マスク2にも適用できる。
【符号の説明】
【0022】
図面中、1はマスクカバー、2は衛生マスク、5は耳掛け紐、8はカバー本体部、9は延設部、10は帯状部材、11はプリーツを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形で左右両側に耳掛け紐を有する衛生マスクの外面に装着して使用するマスクカバーであって、該マスクカバーは前記衛生マスクのマスク本体外面を覆うことのできる略矩形のカバー本体部と、
該カバー本体部の左右端縁部の中央部から前記衛生マスクの耳掛け紐の上下固定端間隔より僅かに狭い上下幅で延設された延設部と、
前記カバー本体部の内面側における左右端縁部より中央寄り部分においてカバー本体部の上下端縁間に張り渡された左右一対の帯状部材とを備え、
前記カバー本体部と延設部とは導電性細線を繊維と混紡して電磁波遮蔽性と通気性を持たせた生地を用いて製作されており、
前記マスクカバーを前記衛生マスクの外面に装着する際は、前記延設部をカバー本体部の左右に展開した状態にて衛生マスクの左右端部と左右の耳掛け紐をそれぞれ前記カバー本体部と左右一対の帯状部材の間に通し、該状態にて前記マスクカバーの左右の延設部を衛生マスクの左右端部を包むように折り畳んでその先端部を衛生マスク内面と帯状部材の間に通すことによりマスクカバーが衛生マスクを覆うように装着されるよう構成されていることを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクカバーにおいて、前記カバー本体部の上下方向中央部には上下方向に折り畳まれて左右方向に延びる複数本のプリーツが形成してあることを特徴とするマスクカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217660(P2012−217660A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86865(P2011−86865)
【出願日】平成23年4月9日(2011.4.9)
【出願人】(511090888)株式会社エコロガ (1)
【Fターム(参考)】