説明

衛生器具の取付装置および衛生器具の取付方法

【課題】周辺壁の施工誤差を良好に吸収して、すっきりとした状態に設置できる衛生器具の取付方法を提供する。
【解決手段】上縁および左右側縁にL型アングル8が設けられたパネルフレーム6と架台5を備えた自立型ユニットフレーム1を床Fに固定し、給水管,排水管を連結し、自立型ユニットフレーム1の周辺の壁W工事の終了後に、L型アングル8に見切り材2を取り付け、その後に仕上げパネル3と大便器4を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大便器等の衛生器具の取付装置および取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、大便器を支持する架台と、仕上げパネルの取付面となるパネルフレームと、門型状の見切り枠が一体化された自立型ユニットフレームを用いて、大便器等の衛生器具を周辺の壁部から独立させて自立型ユニットフレームに取り付ける取付構造が存在する。
【特許文献1】特開2006−283520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の衛生器具の取付構造では、パネルフレームと見切り枠が一体に構成されており、パネルフレームに対する上方および左右側方のそれぞれの周辺壁間で段差が周辺の壁下地工事が終了後に生じないように、パネルフレームの位置を調整して施工している。しかし、施工誤差をゼロにするのは困難であり、周辺壁取り付け後に施工誤差が生じたことが分かっても、自立型ユニットフレーム全体を前後に位置調節するのは非常に困難であり、周辺壁の施工誤差を良好に吸収することはできないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、周辺壁の施工誤差を良好に吸収して、周辺壁との段差のないすっきりとした施工状態が得られる衛生器具の取付装置および衛生器具の取付方法を提供するものであり、その請求項1は、床面に固定する架台と、架台から立設され衛生器具及び仕上げパネルを取り付けるパネルフレームとからなる自立型ユニットフレームを備え、該パネルフレームの上縁および左右側縁にはL型アングルが取り付けられ、該L型アングルには、周辺壁と仕切るための見切り材を後付けできるように構成されていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記見切り材は、前記L型アングルに固定する片と、前記周辺壁の端部を覆うことのできる片を有していることである。
【0006】
また、請求項3は、前記L型アングルは、パネルフレームに対し前後方向の位置調整が可能に設けられていることである。
【0007】
また、衛生器具の取付方法は、上縁および左右側縁にL型アングルが設けられたパネルフレームを備えた自立型ユニットフレームを固定する工程と、前記自立型ユニットフレームの給水管および排水管を連結する工程と、前記自立型ユニットフレームの周辺の壁工事の終了後に前記L型アングルに見切り材を取り付ける工程と、前記自立型ユニットフレームに対し衛生器具を取り付ける工程と、を含むことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衛生器具の取付装置は、床面に固定する架台と、架台から立設され衛生器具及び仕上げパネルを取り付けるパネルフレームとからなる自立型ユニットフレームを備え、該パネルフレームの上縁および左右側縁にはL型アングルが取り付けられ、該L型アングルには、周辺壁と仕切るための見切り材を後付けできるように構成されていることにより、自立型ユニットフレームが設置され、その後に周辺の壁工事が行われた後に、自立型ユニットフレームのパネルフレームに取り付けられているL型アングルに対して見切り材を後付けして、見切り材により自立型ユニットフレームと周辺壁とを仕切ることができる。
なお、見切り材を付ける前にL型アングルが周辺壁の施工のガイドとなることで、周辺壁の施工誤差を小さくして、すっきりとした設置状態が得られるものとなる。
【0009】
また、前記見切り材は、前記L型アングルに固定する片と、前記周辺壁の端部を覆うことのできる片を有していることにより、自立型ユニットフレームのL型アングルに見切り材を固定すると、良好に周辺壁の端部を見切り材で覆うことができ、見映え良くすっきりとした設置状態が得られるものとなる。
【0010】
また、前記L型アングルは、パネルフレームに対し前後方向の位置調整が可能に設けられていることにより、周辺壁の厚さに対応させてL型アングルを前後に動かして前後位置を調整することができ、周辺壁との間に段差が生ずることなく面一状となるように良好に調整することができる。
また、L型アングルを介して周辺壁の工事の後においても、前後位置を調整して、周辺壁の施工誤差を良好に吸収して、周辺壁との間に段差が生じないようにすっきりと設置することができるものとなる。
【0011】
また、衛生器具の取付方法は、上縁および左右側縁にL型アングルが設けられたパネルフレームを備えた自立型ユニットフレームを固定する工程と、前記自立型ユニットフレームの給水管および排水管を連結する工程と、前記自立型ユニットフレームの周辺の壁工事の終了後に前記L型アングルに見切り材を取り付ける工程と、前記自立型ユニットフレームに対し衛生器具を取り付ける工程と、を含むこととしたため、自立型ユニットフレームを設置して、その周辺の壁工事が終了した後にL型アングルに見切り材を取り付けて、見切り材により自立型ユニットフレームと周辺壁を良好に仕切り、すっきりとした設置状態が得られるものとなる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、壁掛け式大便器の設置状態の正面構成図であり、床F上に設置された自立型ユニットフレーム1は周辺壁Wと分離されて設置され、自立型ユニットフレーム1と周辺壁Wとを仕切る見切り材2,2,2が、自立型ユニットフレーム1の上縁および左右両側縁に周辺壁Wの工事の後に取り付けられて、その後に自立型ユニットフレーム1の前面には仕上げパネル3が取り付けられ、仕上げパネル3の前面に大便器4が取り付けられるものである。
【0013】
図2は、自立型ユニットフレーム1の設置状態の正面側からの透視図であり、また図3は、自立型ユニットフレーム1による大便器4の取付状態の側面断面構成図であり、図4は、更に図3の要部を拡大して示している。
自立型ユニットフレーム1は、床Fにアンカーボルト7,7を介して固定状に設置される架台5と、枠組み形成されたパネルフレーム6と、パネルフレーム6の上縁および左右側縁に取り付けられたL型アングル8,8,8で構成されており、架台5からパネルフレーム6が立設され、パネルフレーム6には、フラッシュバルブ11の取付部や給水管の接続部等が設けられており、また、架台5の前面には排水口9が設けられ、排水口9には横方向に延びる横引き配管10が接続されている。
【0014】
また、パネルフレーム6に予め取り付けられているL型アングル8は、図4の拡大図で示すように、パネルフレーム6の上縁および左右の側縁にそれぞれ取り付けられて正面視門型状に配置されている。
各L型アングル8は、パネルフレーム6にLアングル固定ネジ20を介して固定された固定片8aと、固定片8aのパネルフレーム6前面側から直角に折り曲げられた案内片8bでL字状断面に形成されており、L型アングル8の固定片8aには前後方向に延びる図示しない長孔が形成されていて、この長孔を介してL型アングル8はパネルフレーム6に対し前後方向の位置を調節できるように構成されている。
【0015】
また、このL型アングル8に後付けされる見切り材2は、L型アングル8の案内片8bにネジ21を介して当接状に固定される固定片2aと、固定片2aの端部から前方側へ延びる端面覆蓋片2bと、端面覆蓋片2bの先端で直角に固定片2aと反対側に折り曲げられた前面覆蓋片2cで階段状断面に形成されており、この見切り材2の固定片2aをL型アングル8にネジ21で固定した時には、見切り材2の端面覆蓋片2bと前面覆蓋片2cで、周辺壁Wを構成する周辺壁下地Waの端部を覆うことができるように構成されている。なお、上縁および左右の側縁にそれぞれ取り付けられ正面視門型状に配置される各見切り材2は、上縁,左右縁の合わせ部分でぴったりと当接するように、45°にカットされた端縁を備えている。
【0016】
次に、施工手順を説明する。
先ず、架台5とパネルフレーム6と門型状に配置されたL型アングル8,8,8が一体化された自立型ユニットフレーム1を、図5に示すように、床Fにアンカーボルト7で固設し、床Fの所定位置に自立型ユニットフレーム1を設置する。
【0017】
次に、図6に示すように、自立型ユニットフレーム1の架台5に設けられた排水口9に接続されている横引き配管10に対して、床面側へ排水を導く排水用エルボ12を接続し、また、パネルフレーム6のフラッシュバルブ11に対して中水給水管13を接続し、更に、温水洗浄便座の給水として上水給水管14を接続して施工する。なお、本実施例では、便器洗浄水に中水を利用しているが、便器洗浄水と温水洗浄便座の給水を上水給水管1本で構成しても良い。
【0018】
その後に、図7に示すように、壁施工業者により自立型ユニットフレーム1の周辺に周辺壁Wが施工されるのであるが、床F上に下ランナー15を固設し、また天井側には上ランナー16を固設し、下ランナー15と上ランナー16間に縦方向に複数本の縦軽量形鋼17,17,17を立設させ、各縦軽量形鋼17,17間を貫通させて振れ止め用の棒鋼18を横方向に配設して施工する。
なお、縦軽量形鋼17は、自立型ユニットフレーム1に設けられている左右側縁のL型アングル8に沿わせて良好に位置合わせして施工することができ、また、上縁側のL型アングル8に沿わせて、その上方に横軽量形鋼17aを良好に位置合わせして施工することができ、施工が容易なものとなる。
その後に、縦軽量形鋼17および横軽量形鋼17aの前面に、図3および図4に示すようにビス22を介して周辺壁下地Waを取り付け、その後に周辺壁下地Waの表面に仕上げを施して周辺壁Wが形成される。なお、各L型アングル8の案内片8bが周辺壁下地Waの施工のガイドとなる。
【0019】
この壁施工業者による周辺壁Wの仕上げ工事が終わった後に、図8に示すように、自立型ユニットフレーム1と周辺壁Wを仕切る見切り材2が、衛生器具のユニット業者により取り付けられる。
即ち、自立型ユニットフレーム1の上縁側のL型アングル8および左右側縁のL型アングル8,8の案内片8b,8bに、それぞれ見切り材2の固定片2aをネジ21で固定し、見切り材2の端面覆蓋片2bと前面覆蓋片2cで周辺壁Wの端部を覆うことができ、すっきりとした設置状態が得られるものである。
なお、周辺壁下地Waの厚みに対応させて、予めL型アングル8の前後位置を調整しておけば、L型アングル8に見切り材2を取り付けることで、周辺壁Wの前後方向の施工誤差を良好に見切り材2で隠して吸収することができるものであり、また、見切り材2をL型アングル8にネジ21で固定した後においても、固定ネジ20を緩めてL型アングル8の前後位置を調整することで、良好に周辺壁Wの施工誤差を吸収することができるものである。さらに、L型アングル8に周辺壁下地Waをビスで固定するようにすれば、L型アングル8より若干浮いていることによる周辺壁下地Waの施工誤差を吸収可能である。
【0020】
その後に、図9に示すように、自立型ユニットフレーム1のパネルフレーム6の前面に仕上げパネル3を図3および図4に示すように取り付け、更に仕上げパネル3の下部前面に大便器4を取り付けることができるものである。なお、仕上げパネル3を取り付けた時には、この仕上げパネル3と周辺壁W間に段差が生ずることなく面一状にすっきりとした設置状態が得られるものである。
【0021】
なお、本例では、壁掛け式大便器の設置施工を例示しているが、ユニットフレーム1の上縁側のL型アングル8および左右側縁のL型アングル8,8に、それぞれ見切り材2を後付けで固定し、見切り材2で周辺壁Wの端部を覆うことができる構造は、床置きタイプの大便器や小便器においても、更に、その他の衛生器具の取り付けにおいても、適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】壁掛け式大便器の設置状態の正面構成図である。
【図2】設置状態の正面透視図である。
【図3】設置状態の側面断面構成図である。
【図4】図3の要部拡大構成図である。
【図5】施工手順を示し、自立型ユニットフレームを床に設置した状態図である。
【図6】更に設置した自立型ユニットフレームに配管を接続する工程図である。
【図7】更に設置した自立型ユニットフレームの周辺に軽量形鋼を施工し、周辺壁を施工する工程図である。
【図8】周辺壁の施工後に、周辺壁と自立型ユニットフレームを仕切る見切り材を取り付ける工程図である。
【図9】更に自立型ユニットフレームの前面に仕上げパネルと大便器を取り付けた施工工程図である。
【符号の説明】
【0023】
1 自立型ユニットフレーム
2 見切り材
2a 固定片
2b 端面覆蓋片
2c 前面覆蓋片
3 仕上げパネル
4 大便器
5 架台
6 パネルフレーム
7 アンカーボルト
8 L型アングル
8a 固定片
8b 案内片
9 排水口
10 横引き配管
12 排水用エルボ
13,14 給水管
17 縦軽量形鋼
17a 横軽量形鋼
18 棒鋼
20 L型アングル固定ネジ
21 ネジ
22 ビス
F 床
W 周辺壁
Wa 周辺壁下地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に固定する架台と、架台から立設され衛生器具及び仕上げパネルを取り付けるパネルフレームとからなる自立型ユニットフレームを備え、
該パネルフレームの上縁および左右側縁にはL型アングルが取り付けられ、該L型アングルには、周辺壁と仕切るための見切り材を後付けできるように構成されていることを特徴とする衛生器具の取付装置。
【請求項2】
前記見切り材は、前記L型アングルに固定する片と、前記周辺壁の端部を覆うことのできる片を有していることを特徴とする請求項1に記載の衛生器具の取付装置。
【請求項3】
前記L型アングルは、パネルフレームに対し前後方向の位置調整が可能に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衛生器具の取付装置。
【請求項4】
上縁および左右側縁にL型アングルが設けられたパネルフレームを備えた自立型ユニットフレームを固定する工程と、前記自立型ユニットフレームの給水管および排水管を連結する工程と、前記自立型ユニットフレームの周辺の壁工事の終了後に前記L型アングルに見切り材を取り付ける工程と、前記自立型ユニットフレームに対し衛生器具を取り付ける工程と、を含むことを特徴とする衛生器具の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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