衛生洗浄装置
【課題】洗浄水が人体に付着することを防止しつつ、汚物が便器に付着することを十分に防止することができる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器ノズル40を備えた衛生洗浄装置100であって、便器ノズル40は便器ノズル本体部41と、便器ノズル本体部41に挿入した噴流形成部材42を備え、便器ノズル本体部41と噴流形成部材42との間に隙間を形成し、噴流形成部材42は便器ノズル本体部41の内部で遊動可能に設置したことにより、洗浄水の流路である隙間が不均一の場合、流路の圧力分布が不均一となり便器ノズル40から噴出する噴流が偏った噴流となるが、噴流形成部材42を遊動可能に設置したことで、洗浄水の水圧により隙間が均一になる方向に作用し、噴流形成部材42の位置が自動的に補正され、便器ノズル40からの噴流が均一となる。
【解決手段】便器ノズル40を備えた衛生洗浄装置100であって、便器ノズル40は便器ノズル本体部41と、便器ノズル本体部41に挿入した噴流形成部材42を備え、便器ノズル本体部41と噴流形成部材42との間に隙間を形成し、噴流形成部材42は便器ノズル本体部41の内部で遊動可能に設置したことにより、洗浄水の流路である隙間が不均一の場合、流路の圧力分布が不均一となり便器ノズル40から噴出する噴流が偏った噴流となるが、噴流形成部材42を遊動可能に設置したことで、洗浄水の水圧により隙間が均一になる方向に作用し、噴流形成部材42の位置が自動的に補正され、便器ノズル40からの噴流が均一となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器を洗浄する便器ノズルを有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚物が便器に付着することを防止するために、種々の衛生洗浄装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の衛生洗浄装置においては、人が便座に着座した場合に、洗浄水が便器ノズルから便器の内面に向かって吐出される。それにより、便器の内面が洗浄水により濡らされて水膜が便器面に構成されることにより、汚物が便器に付着することが防止される。
【特許文献1】特開平7−189319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の衛生洗浄装置においては、便器ノズルは便器ノズル本体の先端に蓋体を装着し、ノズル本体と蓋体との間に所定隙間を構成することにより、この隙間を噴出口として構成し、便器ノズル先端全周より便器内面に噴流を吐出するものであった。
【0005】
便器洗浄に使用できる水量は、衛生洗浄装置で使用する水量1L/min前後と同程度の水量であり、この程度の水量で便器の内面に一様に噴流が拡がるように噴出するためには、噴流の一様性など、バラツキ要素を勘案すると、噴流が全周に噴出するとして、噴流の噴出速度が少なくとも4m/sec以上であることが必要であった。噴流の噴出速度として、4m/secを実現するためには、便器ノズルの先端を直径4mmとすれば、便器ノズル先端の隙間の幅は0.3mm以下とすることが必要となる。この便器ノズル先端の隙間全周から噴出される噴流が一様に拡がるためには、流路の隙間0.3mmに対して、流路の隙間のバラツキが少なくとも±0.05mmの幅には入っていないと噴流が均一に拡がらないという課題があった。この軸方向の隙間のバラツキを±0.05mmに押さえることは、非常な困難を伴うものであった。
【0006】
また、便器ノズルから噴出される噴流の噴出角度がばらつく、あるいは安定しないという課題があった。便器ノズルから噴出される噴流の噴出角度は、噴出口に構成された噴出角度により決まるが、噴流が非常に狭い噴出口から噴出し、また、この噴流口の、噴流の噴出方向への長さが短いため、噴出口のわずかなバリや、あるいは噴出口にあるわずかな曲面などにより、噴流の噴出方向が容易に変化し、所定の噴出角度が得られないという課題があった。
【0007】
また、便器ノズルより噴出される噴流の便器の上下方向に対する到達位置は便器面に出来るだけ均一な水膜を構成するため、便器より飛び出さない範囲で出来るだけ便器面の上方に設定することが望ましい。従って噴流の到達位置は便器上面近くに設定することになるが、噴流自体がばらけて噴出された場合、噴流の飛沫が便器上面を飛び越え便座あるいは、トイレの床面を濡らす可能性があった。便器面に一様に到達するように薄く拡げられた噴流は、流速が4m以上と速く、また噴流自体が薄い膜状となるため、噴流がばらけやすく、特に吐出する噴流の噴出口で流れに乱れがあると、便器面に到達する位置では噴流は非常にばらけ易くなり、このばらけた水泡が飛び散って便座あるいは便器外にまで到達するという課題があった。
【0008】
また、噴出口が非常に狭いため、汚れやスケールが噴出口に付着し、噴流の噴出方向が変化したり、極端な場合はつまったりする課題があり、またこの噴出口を掃除しようとした場合に噴出口が非常に狭いため掃除しにくいという課題もあり十分な清潔性を確保する観点から改善の余地があった。
【0009】
本発明は、上述の従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、便器ノズルからの噴流の噴出方向、噴出範囲の精度を高めるとともに噴流の安定性を向上させて、便器ノズルからの噴流が便器面に広い範囲で一様に到達して水膜を構成できる構成を有し、十分な清潔性も有する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、洗浄水の供給源から供給される洗浄水を便器の内面に向けて噴出する便器ノズルを有する衛生洗浄装置であって、前記便器ノズルは略筒状の便器ノズル本体部と、前記便器ノズル本体部の内部に挿入した略柱状の噴流形成部材と、有しており、前記便器ノズル本体部と前記噴流形成部材との間には、略全周に亘り隙間が形成されており、前記噴流形成部材は、前記便器ノズル本体部の内部で遊動可能に設置されている、衛生洗浄装置を提供する。
【0011】
本発明(第1の発明)の衛生洗浄装置では、上記の構成により、噴流形成部材を遊動可能に設置したことで、洗浄水の水圧により隙間が均一になる方向に作用し、噴流形成部材の位置が自動的に補正され、便器ノズルからの噴流が均一となる。また、本発明の衛生洗浄装置では、構成部品の一部を着脱可能とすることで、十分な清潔性を確保しそれを維持することも容易となる。
【0012】
一方、従来技術のように洗浄水の流路である隙間が不均一の場合、流路の圧力分布が不均一となり便器ノズルから噴出する噴流が偏った噴流とになる。
【0013】
また、本発明(第2の発明)は、特に第1の発明において、前記噴流形成部材の外面および前記便器ノズルの内面の少なくとも一方に突出する羽根部材が設けられており、前記羽根部材の寸法が前記隙間の寸法よりも小さく形成されることにより、前記噴流形成部材が前記便器ノズル本体部の内部で遊動可動に設置されている衛生洗浄装置を提供する。
【0014】
これにより、羽根部材により流路となる隙間を全周に亘り確実に形成することができるとともに、遊動の範囲を限定することで洗浄水の乱流や衝撃による噴流形成部材の不要な遊動を抑制し、安定した噴流を得ることができる。
【0015】
更に、本発明(第3の発明)は、特に第2の発明において、前記羽根部材が前記噴流形成部材の外面に設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0016】
このように、突出形状である羽根部材は略柱状の噴流形成部材の外面に形成することで加工が容易となり、必要な寸法精度を容易に維持できるため、便器ノズルの性能を容易に確保することができる。
【0017】
また、本発明(第4の発明)は、特に第1の発明〜第3の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記便器ノズルの流入部近傍に整流部が設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0018】
これにより、便器ノズルに流入する流れが整流されて、便器ノズルから噴出する噴流をより均一なものとすることができる。
【0019】
更に、本発明(第5の発明)は、特に第1の発明〜第4の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記便器ノズル本体部に挿入された前記噴流形成部材が着脱可能な構成とされている衛生洗浄装置を提供する。
【0020】
これにより、噴流形成部材あるいは便器ノズル本体の開口部が汚れた場合でも、噴流形成部材を便器ノズル本体より外すことにより、容易に清掃することができ、清掃が終わった後は、また元の位置に容易に戻すことができる。
【0021】
また、本発明(第6の発明)は、特に第1の発明〜第5の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記羽根部材が前記噴流形成部材の挿入軸部の略全長に亘って設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0022】
これにより、羽根部材の長さを長くすることで、噴流形成部材の傾きを抑制し、噴流の拡がりの均一性を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の衛生洗浄装置によれば、便器ノズルから便器面に安定して噴出される噴流を得ることができると共に、噴流の拡がりの均一性を確保することができ、便器面を均一に濡らして汚れの付着を防止することができる。また、本発明の衛生洗浄装置によれば、構成部品の一部を着脱可能とすることで、十分な清潔性を確保しそれを維持することも容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
<1>衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置の外観
図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。トイレ装置1000はトイレットルーム内に設置される。
【0026】
トイレ装置1000において、便器700には衛生洗浄装置100が取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。蓋部500を除く衛生洗浄装置100の各構成要素が、後述の便座装置110を構成する。
【0027】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、図示しない洗浄水供給機構が設けられるとともに、後述の制御部90(図3)が内蔵される。
【0028】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ610が示されている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0029】
さらに、図1では、本体部200の正面下部に設けられる便器ノズル40が便器700の内側に突出している状態が示されている。この便器ノズル40は、上述の洗浄水供給機構に接続されている。
【0030】
洗浄水供給機構は、図示しない水道配管に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水を便器ノズル40に供給する。それにより、便器ノズル40から便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される(便器プレ洗浄)。または、便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される(便器後部洗浄)。詳細は後述する。
【0031】
また、洗浄水供給機構は、後述のノズル部20(図3)に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水をノズル部20に供給する。それにより、ノズル部20から使用者の局部に洗浄水が噴出される。
【0032】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。
【0033】
入室検知センサ600は、トイレットルームの入口等に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0034】
本体部200の制御部90(図3)は、遠隔操作装置300、入室検知センサ600および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0035】
<2>遠隔操作装置の構成
図2は、図1の遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0036】
図2(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥スイッチ320、強さ調整スイッチ322、323および位置調整スイッチ325、326が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313が設けられている。
【0037】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から図1の本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部90(図3)は、受信した信号に基づいて本体部200(図1)および便座部400(図1)の各構成部の動作を制御する。
【0038】
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、後述するノズル部20(図3)から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0039】
使用者が乾燥スイッチ320を操作することにより、使用者の局部に後述する乾燥ユニット210(図64)から温風が噴出される。また、使用者が強さ調整スイッチ322,323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量および圧力等が調整される。
【0040】
さらに、使用者が位置調整スイッチ325,326を操作することにより、後述するおしりノズル21(図3)または後述するビデノズル22(図3)の位置が調整される。それにより、使用者の局部への洗浄水の噴出位置が調整される。
【0041】
図2(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。図2(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、上述の停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313に加えて、自動開閉スイッチ331、水温調整スイッチ332、便座温度調整スイッチ333、除菌スイッチ335および便器洗浄スイッチ336が設けられている。
【0042】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0043】
自動開閉スイッチ331はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉スイッチ331のつまみを操作することにより、蓋部500(図1)の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉スイッチ331のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて蓋部500が開閉される。
【0044】
使用者が水温調整スイッチ332を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0045】
また、使用者が除菌スイッチ335を操作することにより、本体部200の洗浄水供給機構に銀イオンを含む洗浄水が流れ、除菌動作が行われる。
【0046】
自動開閉スイッチ331と同様に、便器洗浄スイッチ336はつまみにより構成されている。使用者が便器洗浄スイッチ336のつまみを操作することにより、便器ノズル40による便器プレ洗浄および便器後部洗浄の動作が設定される。
【0047】
すなわち、便器洗浄スイッチ336のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便器ノズル40から便器700内部の広い範囲に洗浄水が噴出される。また、使用者の便座部400への着座中に便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される。
【0048】
<3>本体部における給水系および制御系の構成
図3は、本体部200の構成を示す模式図である。図3に示すように、本体部200は、分岐水栓2、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7、流量センサ8、熱交換器9、ポンプ11、バッファタンク12、人体用切替弁13、ノズル部20、バキュームブレーカ31、61、便器ノズル40、便器ノズルモータ40m、ランプ50および制御部90を含む。
【0049】
ノズル部20は、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23を含み、人体用切替弁13は切替弁モータ13mを含む。
【0050】
図3に示すように、水道配管1には分岐水栓2が介挿される。分岐水栓2と熱交換器9との間に接続される配管3には、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7および流量センサ8が順に介挿される。熱交換器9と人体用切替弁13との間に接続される配管10には、ポンプ11およびバッファタンク12が介挿される。
【0051】
人体用切替弁13の複数のポートにノズル部20のおしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23がそれぞれ接続される。
【0052】
バキュームブレーカ31は、止水電磁弁7と流量センサ8との間の配管3から延びる分岐配管30に接続され、熱交換器9および便器ノズル40の洗浄水噴出口よりも上方の位置に配置される。バキュームブレーカ31には、分岐配管32の一端が接続される。分岐配管30と分岐配管32とはバキュームブレーカ31を介して連結される。便器ノズル40は、分岐配管32の他端に接続される。便器ノズルモータ40mおよびランプ50は、便器ノズル40の近傍に取り付けられる。バキュームブレーカ61はバッファタンク12に設けられ、熱交換器9よりも上方の位置に配置される。なお、バキュームブレーカ61およびバッファタンク12は一体的に形成されている。したがって、バッファタンク12も熱交換器9よりも上方の位置に配置される。
【0053】
次に、本体部200における洗浄水の流れおよび制御部90による本体部200の各構
成部の制御について説明する。
【0054】
水道配管1を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓2によりストレーナ4に供給される。これにより、洗浄水に含まれるゴミおよび不純物等はストレーナ4により除去される。
【0055】
次に、逆止弁5により配管3内における洗浄水の逆流が防止され、定流量弁6により配管3内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。そして、止水電磁弁7により熱交換器9への洗浄水の供給状態が切替えられる。止水電磁弁7の動作は、制御部90により制御される。
【0056】
配管3において、流量センサ8は、配管3内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部90に測定流量値を与える。熱交換器9は、配管3を通して供給される洗浄水を所定の温度に加熱する。熱交換器9の動作は、流量センサ8により測定された測定流量値に基づいて制御部90により制御される。
【0057】
続いて、熱交換器9により加熱された洗浄水が、ポンプ11によりバッファタンク12を通して人体用切替弁13に圧送される。ポンプ11の動作は、制御部90により制御される。
【0058】
バッファタンク12は、加熱された洗浄水の温度緩衝部として作用する。これにより、人体用切替弁13に圧送される洗浄水の温度むらの発生が抑制される。なお、熱交換器9とバッファタンク12との合計の容量は、15cc〜30ccであることが好ましく、20cc〜25ccであることがより好ましい。
【0059】
人体用切替弁13においては、切替弁モータ13mが動作することにより、ポンプ11から圧送された洗浄水が、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかに供給される。これにより、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかから洗浄水が噴出する。切替弁モータ13mの動作は、制御部90により制御される。
【0060】
おしりノズル21およびビデノズル22は、使用者の局部の洗浄を行うために用いられる。ノズル洗浄ノズル23は、おしりノズル21およびビデノズル22の便器700内に突出する部分を洗浄するために用いられる。
【0061】
止水電磁弁7から熱交換器9に供給される洗浄水のうちノズル部20において使用されない余剰な洗浄水は、分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して捨て水として便器700(図1)内に流される。すなわち、分岐配管30および分岐配管32は捨て水回路として機能する。便器ノズル40の詳細は後述する。
【0062】
なお、本例においては、熱交換器9と便器ノズル40との間にバキュームブレーカ31が設けられ、熱交換器9とノズル部20との間にバキュームブレーカ61が設けられている。それにより、熱交換器9内の洗浄水が分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して外部に流出することならびに配管10およびノズル部20を介して外部に流出することが防止される。その結果、熱交換器9の空焚きが防止される。
【0063】
また、バキュームブレーカ31により、便器ノズル40側からの汚水等の逆流が防止されるとともに、バキュームブレーカ61によりノズル部20側からの汚水等の逆流が防止される。
【0064】
また、バッファタンク12とバキュームブレーカ61とが一体的に設けられているので、本体部200を小型化することができる。また、バキュームブレーカ61によりバッファタンク12内の冷水が排出されるので、おしり洗浄時に、おしりノズル21から冷水が噴出されることを防止することができる。
【0065】
<4>便器ノズルの構成および動作
(4−a)便器ノズルの説明
次に、便器ノズル40について説明する。図4は、衛生洗浄装置100の縦断面図である。図4に示すように、便器ノズル40は、本体部200の下部でノズル部20に近接した位置に配置され、その先端部が便器700の内部に位置する。便器ノズル40の近傍にはLED(発光ダイオード)等からなるランプ50が設けられている。
【0066】
なお、以下においては、図4に示すように、衛生洗浄装置100の本体部200側を後方とし、便座部400の先端側を前方として各部について説明する。
【0067】
便器ノズル40およびその近傍に設けられるランプ50の前方側を覆うように、便器ノズルカバー40Kが設けられている。便器ノズルカバー40Kは透明な樹脂により形成されている。これにより、ランプ50が発光すると、その光は便器ノズルカバー40Kを通して便器700の内部に照射される。
【0068】
図5は、図4の便器ノズル40およびその周辺の構造を説明するための拡大断面図である。図5に示すように、便器ノズル40は、筒状の便器ノズル本体部41の先端部に棒状の噴流形成部材42が挿入された構造を有する。便器ノズル本体部41の内部では、便器ノズル本体部41の内面と噴流形成部材42の外周面との間に隙間が形成されている。便器ノズル本体部41の後端部には、図3の分岐配管32の一部を構成する接続管44が接続される。
【0069】
これにより、接続管44(分岐配管32)から便器ノズル本体部41に洗浄水(捨て水)が供給されると、その洗浄水は、便器ノズル本体部41の内面と噴流形成部材42の外周面との間の隙間を通って便器ノズル40の先端部から噴出される。
【0070】
便器ノズル本体部41の後端部には、回転片43の一端が固定されている。回転片43の他端は、後述する本体下部ケーシング200Aに固定された便器ノズルモータ40mに接続されている。これにより、便器ノズルモータ40mが動作すると、便器ノズル本体部41の先端部が回動する。
【0071】
ここで、便器ノズル40の待機時、すなわち、使用者がトイレットルームに入室していないときには、便器ノズル40の先端部が便器ノズルカバー40Kの内面に近接するように位置決めされる。以下、この便器ノズル40の位置を収納位置と称する。また便器ノズル40が、下方に移動して便器洗浄を行う位置を以下、突出位置と称する。
【0072】
便器ノズル40は捨て水の出口も兼用をした場合、便器ノズル40が便器洗浄の位置で固着した状態となると、使用者の用便中に便器洗浄の噴流が常時出ていることになり、使用上不都合が生ずることになる。従ってこの場合には、使用者が手でノズルを収納位置まで押し込むなどの対応が必要である。
【0073】
図5において、便器ノズル本体部41の後端部には、回転片43の一端が固定されている。回転片43の他端は、後述する本体下部ケーシング200Aに固定された便器ノズルモータ40mに接続されている。これにより、便器ノズルモータ40mが動作すると、便器ノズル本体部41の先端部が回動する。さらに回転片43にはトーションバネ40Sが挿入され、回転片43に設けた固定部43aと便器ノズルカバー40Kに設けた固定溝
40Kbによりトーションバネ40Sは固定部され、便器ノズル本体部41がノズル収納位置側に付勢されている。便器ノズルモータ40mと回転片43との間には駆動系のガタが存在し、また便器ノズルモータ40mが減速ギアを用いている場合などではこの減速ギアのバックラッシュが存在するため、手動で便器ノズル本体部41を収納位置まで移動させても、収納位置で停止せず、ガタ分だけ便器ノズル本体部41が戻ってしまうことになる。トーションバネにより便器ノズル本体部41がノズル収納側に付勢されておれば、このガタ分がトーションバネにより吸収されるため、手動操作によりノズル本体部41を所定の収納位置で固定することができる。
【0074】
トーションバネ40Sのトルクについては、便器ノズル本体部41と接続される配管44により生ずる張力と同等以上に設定されているため、便器ノズル本体部41がノズル収納側に容易に設定することができる。
【0075】
(4−b)便器ノズルの他の構造例(ノズルが中間位置で停止時の対応)
温水洗浄便座の制御が不能となり、便器ノズルが中間位置で停止して、噴流が噴出した場合、噴流が便器から飛び出して、床面に漏水する可能性があるため便器ノズルがどの位置で停止しても、少なくとも便器面を飛び出さないように構成する必要がある。
【0076】
図5において、便器ノズルカバー40K は便器ノズル本体部41の先端部が回動して噴出される噴流が散布位置から収納位置に移動する過程で噴流が便器面より外側に飛び出さないように、ノズルカバー40Kの遮蔽部40kaを構成している。これにより便器ノズル本体部41がどの位置で停止しても、噴流が便器外に飛び出すことはなく、漏水を防止することができる。
【0077】
またこのノズルカバー40Kが便器ノズル40をカバーしかつ、便器ノズル40に外力が作用すると、便器ノズル40がノズルカバー40Kの遮蔽部の内側に移動するため、外力に対して便器ノズルに過負荷が作用することはない。
【0078】
この状態で、図1の入室検知センサ600により使用者のトイレットルームへの入室が検知されると、便器ノズルモータ40mが動作する。これにより、便器ノズル40の先端部が図5の矢印Aで示す方向に回動する。そして、上述の便器プレ洗浄が開始される。
【0079】
図6は、便器プレ洗浄時における衛生洗浄装置100の縦断面であり、図7は図6の状態の便器ノズル40およびその周辺の構造を説明するための拡大断面図である。
【0080】
まず、図6および図7に示すように、使用者のトイレットルームへの入室が検知され、便器ノズル40の先端部が回動すると、その先端部が便器ノズルカバー40Kの下方に移動し、便器700の内部空間に露出するように位置決めされる。以下、この便器ノズル40の位置を便器洗浄位置と称する。
【0081】
この状態で、接続管44から便器ノズル本体部41に洗浄水が供給される。これにより、便器ノズル40の先端部から洗浄水が噴出される。
【0082】
便器ノズル40から噴出される洗浄水は、便器ノズル40の軸心に対してほぼ直交する方向へ放射状に噴出される。
【0083】
これにより、図6に示すように、便器700の廃棄口700Dを中心とする内面の広い範囲に洗浄水が噴出される。それにより、使用者のトイレットルームへの入室時に乾燥している便器700の内面が、洗浄水により濡らされる。
【0084】
また、このとき、ランプ50が発光することにより、使用者は便器プレ洗浄が行われていることを視認することができる。
【0085】
上記のように、使用前の便器700の内面が濡らされることにより、便器700の内面への汚物の付着が防止される。
【0086】
なお、便器プレ洗浄動作は、後述するように、所定時間の経過、使用者の便座部400への着座、または使用者による遠隔操作装置300の操作により停止される。
【0087】
便器プレ洗浄の終了時には、再び便器ノズルモータ40mが動作する。これにより、便器ノズル40の先端部が再び便器ノズルカバー40Kの内側に移動し、便器ノズルカバー40Kの内面に近接する。すなわち、便器プレ洗浄後には、便器ノズル40は再び収納位置に移動する。このとき、便器ノズル40の先端部からは洗浄水が継続して噴出される。それにより、便器後部洗浄が開始される。
【0088】
便器後部洗浄時には、図4の矢印B、Cで示すように、便器ノズル40から便器700の後方側の内面に噴出される洗浄水が、その内面に衝突して便器700内を流れ落ちる。
【0089】
これにより、使用者によるトイレ装置1000の使用時に、便器700の後方側の内面に汚物が付着することが確実に防止される。
【0090】
また、このとき便器ノズル40から便器ノズルカバー40Kの内面に噴射される洗浄水は、便器ノズルカバー40Kの内面に衝突し、便器ノズル40の先端部に跳ね返る。これにより、便器ノズル40の先端部が洗浄され、便器ノズル40の先端部の汚染が防止される。
【0091】
その後、例えば使用者が便座部400から起立することにより、便器後部洗浄が停止される。すなわち、便器ノズル40からの洗浄水の噴出が停止される。
【0092】
(4−b)便器ノズルの構造の詳細
ここで、便器ノズル40の先端部の構造の詳細について説明する。図8は、図4の便器ノズル40の先端部の構造を示す断面図である。図8(a)に便器ノズル40の先端部における縦断面図が示され、図8(b)に図8(a)のC14−C14線断面図が示されている。
【0093】
図8(a)に示すように、便器ノズル本体部41の先端部開口41hから、その内部に噴流形成部材42が挿入される。噴流形成部材42は、挿入軸部42aを有する。図8(b)に示すように、挿入軸部42aにはその軸心から外方へ放射状に延びる3枚の羽根部材42bが形成されている。羽根部材42bから噴流形成部材42の先端部に向かって、径大部42c、拡大部42dおよびフランジ部42eが形成されている。
【0094】
径大部42cの直径は挿入軸部42aの直径よりも大きい。また、拡大部42dは噴流形成部材42の先端部に向かってさらに漸次径大となっており、噴流形成部材42の先端部の直径は先端部開口41hの直径よりも大きい。また、フランジ部42eの外径は、便器ノズル本体部41の外径よりも大きい。
【0095】
便器ノズル本体部41の内面には、段差部41dが形成されている。便器ノズル本体部41に噴流形成部材42が挿入されると、段差部41dと噴流形成部材42の羽根部材42bとが当接する。このとき、羽根部材42bは、噴流形成部材42と便器ノズル本体部41との間のスペーサとして作用する。それにより、噴流形成部材42が便器ノズル本体
部41の内部で位置決めされる。
【0096】
この状態で、噴流形成部材42の径大部42cは便器ノズル本体部41の先端部開口41hから突出し、拡大部42dおよびフランジ部42eは便器ノズル本体部41の外部に位置する。
【0097】
挿入軸部42aおよび径大部42cの外径は便器ノズル本体部41の内径よりも小さい。そのため、便器ノズル本体部41の内面と、噴流形成部材42の外周面との間には、上述のように隙間が形成されている。この隙間が洗浄水の流路41sとなる。
【0098】
図5の接続管44から洗浄水が供給されると、その洗浄水は流路41sを通り、径大部42cと便器ノズル本体41で構成される加速流路41tにより、流れは設定流速まで加速され、拡大部42dで流れが偏向されて、フランジ部42eの全周に拡がりフランジ部端42fより放射状の噴流が構成される。
【0099】
従って、洗浄水は便器ノズル40の軸心に対してほぼ直交する方向へ放射状に噴出される。
【0100】
噴流が一様に便器面に拡がるための速度として4m/secが必要であり、これを実現するためには、挿入軸部42aの径大部42cの直径が4mm、洗浄流量が1L/minとすれば、加速流路41tの流路幅は0.3mm程度の狭い流路となる。
【0101】
(4−c)便器ノズルの別の構造の詳細(噴流形成部材のフローティング支持)
図9は便器ノズル40の他の実施の形態を示す断面図である。図8の実施の形態では羽根部材42bが便器ノズル本体部41と当接し、径大部42cが便器ノズル本体部41と同軸に支持されるように構成されているが、この実施の形態では羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定の隙間(0.05mm程度)を設けている。便器ノズル40より噴流を噴出した状態では、加速流路41tの流路断面の圧力分布は加速流路41tの流路幅が一様であれば、圧力分布は一定であるが、加速流路41tの流路幅が一様でないときは、圧力分布が生じ、流路幅の狭いところは圧力が高くなる。羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定の隙間(0.05mm程度)を設け、羽根部材42jが羽根部材42jに作用する力により自由に動けるような構成でフローティング支持をすれば、流路幅の狭いところは、流路幅が広くなるように加速流路41tを通過する流体の圧力により自動補正が可能であり、実際に便器ノズルの動作にてこの自動補正が作用することを確認した。
【0102】
羽根部材42jが便器ノズル本体部41と当接し、径大部42cが便器ノズル本体部41と同軸に支持されるように構成することは可能であるが、成型品のバラツキ、形状精度など管理する項目が多く、フローティング支持構成とすることで、これら精度管理条件を緩和することができる。
【0103】
このフローティング支持構成を実現する上で、挿入軸部42aの傾きを抑制するために羽根部材42kは軸方向の長さが図10に示したようにほぼ挿入軸部42aの全長にわたる程度に長いほうが望ましい。
【0104】
また、図11に示すように、羽根部材42mを挿入軸部42aの両端部近傍のみに設けることで、全長に亘り設けた場合と同様に傾きを抑制する効果を得ることができ、しかも、羽根部材42mの長さが短くなることで、羽根部材42の寸法の管理範囲を少なくなり、生産性の向上を図ることができる。
【0105】
(4−d)便器ノズルの別の構造の詳細(挿入軸部の流れの安定化)
図11に便器ノズルの他の実施の形態を示す。挿入軸部42aに流路41sでの整流効果を発揮する円環状の突起体である整流部42gを設けたものである。便器ノズル40の接続管44から流入した水は流入する方向により偏向した流れを生ずる場合があり、この偏向した流れのままで便器ノズル40の先端まで到達すると噴流の拡がりも偏向したものとなる。接続管44の近くに設けた整流部42gにより流れが整流されて一様な拡がりの噴流を得ることができる。
【0106】
(4−e)噴流形成部材の着脱構成
図10および図11は着脱可能とした噴流形成部材42を示し、図12は噴流形成部材42を便器ノズル本体41に挿入した状態の断面図を示す。
【0107】
便器ノズル40自体を使用者が掃除する際に、最も汚れ易い、噴流形成部材42を、着脱可能としたものである。挿入軸部42aは後方に爪部42hが構成されており、図12に示すように便器ノズル本体部41に設けた段差部41eに係合して止まるよう構成されている。
【0108】
この爪部42hについては、強度を向上させるため、補強のリブ42iなどを設けることが望ましい。
【0109】
噴流形成部材42を着脱自在の構成とすることにより使用者は容易にこの挿入軸部42a引き抜いて掃除することができる。
【0110】
(4−f)便器プレ洗浄時の洗浄水の噴出流速
図13は、図4の便器ノズル40から噴出される洗浄水の噴出流速と広がり幅との関係を示す図である。
【0111】
まず、噴出流速および広がり幅について説明する。図13(a)に噴出流速および広がり幅の定義を説明するための図が示されている。
【0112】
図13(a)では、軸心が鉛直方向と平行となるように配置された便器ノズル40から洗浄水が噴出する状態が示されている。
【0113】
ここで、噴出流速とは、矢印WVで示すように、便器ノズル40の先端部から水平方向に噴出される洗浄水の流速をいう。また、広がり幅とは、矢印WWで示すように、便器ノズル40から100mm下方において洗浄水が供給される領域の外径をいう。
【0114】
図13(b)に、便器ノズル40から洗浄水を噴出させた場合の実験結果が示されている。図13(b)において縦軸は洗浄水の広がり幅WWを示し、横軸は洗浄水の噴出流速を示し、実線は広がり幅WWと噴出流速との関係を示す。
【0115】
図13(b)に示すように、洗浄水の噴出流速を2m/sより大きくした場合には、広がり幅が200mmより大きくなる。この場合、便器700の内面の十分広い領域に洗浄水を供給することができるので、便器700の内面に汚物が付着することを十分に防止することができる。
【0116】
また、洗浄水の噴出流速を10m/sより小さくした場合には、広がり幅が1000mmより小さくなる。この場合、便器700の外方へ洗浄水が飛散することを防止することができる。また、洗浄水の噴出流速を10m/sより小さくすることにより、便器ノズル40から噴出された洗浄水が便器700の内面で大きく跳ね返ることを防止することができる。それにより、洗浄水が便器700の外方へ飛散することを十分に防止することがで
きる。
【0117】
したがって、洗浄水の噴出速度を2m/s〜10m/sの範囲で設定することにより、洗浄水が便器700の外方に飛散することを十分に防止しつつ便器700に汚物が付着することを十分に防止することができる。なお、洗浄水の噴出速度は、4m/s〜8m/sの範囲で設定されることがより好ましい。この場合、洗浄水が便器700の外方に飛散することを確実に防止しつつ便器700に汚物が付着することを確実に防止することができる。
【0118】
(4−g)便器プレ洗浄の動作タイミングと制御フロー
本例においては、使用者がトイレットルームに入室した際に制御部90の制御により便器プレ洗浄が開始される。また、使用者がトイレ装置1000を使用している場合には、制御部90の制御により便器後部洗浄が行われる。すなわち、使用者が便座部400(図1)に着座している場合には、便器ノズル40(図1)から前方側への洗浄水の飛散が阻止される。それにより、使用者に洗浄水が付着することが防止される。
【0119】
制御部90は、所定時間の経過、使用者の便座部400への着座、または使用者による遠隔操作装置300の操作に基づいて便器プレ洗浄から便器後部洗浄への移行を行う。
【0120】
ここで、上記の所定時間は、使用者がトイレットルームに入室してから便座部400に着座するまでの平均的な時間に基づいて予め決定される。そこで、本発明者らは、この所定時間を決定するために、使用者がトイレットルームに入室してから便座部400上に着座するまでの時間(以下、入室着座時間と呼ぶ。)を調査した。この調査は、所定人数の使用者についてトイレットルームを使用させ、各使用者の入室着座時間を測定し、入室着座時間ごとの累積百分率を算出することにより行った。
【0121】
図14は、入室着座時間の調査結果を示す図である。図14において、横軸は入室着座時間を示し、縦軸は使用者の累積百分率を示す。
【0122】
図14に示すように、本調査によれば、使用者の多く(9割以上の使用者)は、トイレットルームに入室した後約6秒間経過してから便座部400に着座することが明らかとなった。そこで、本例においては上記の所定時間を6秒に設定した。この場合、使用者が便座部400に着座する直前に便器プレ洗浄から便器後部洗浄への移行を行うことができる。それにより、使用者の着座前に便器700の内面を十分に濡らすとともに、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを確実に防止することができる。
【0123】
次に、制御部90(図3)による便器洗浄処理(便器プレ洗浄および便器後部洗浄)の制御フローについて説明する。
【0124】
図15は、制御部90による便器洗浄処理の制御フローを示す図である。
【0125】
図15に示すように、制御部90は、まず、便器ノズルモータ40m(図3)を制御することにより、便器ノズル40を収納位置(図4および図5に示す位置)で保持する(ステップS1)。
【0126】
次に、制御部90は、入室検知センサ600(図1)の出力信号に基づいて、使用者がトイレットルームに入室したか否かを判別する(ステップS2)。使用者がトイレットルームに入室した場合、制御部90は、便器ノズルモータ40mを制御することにより、便器ノズル40を便器洗浄位置(図6および図7に示す位置)に移動させる(ステップS3)。
【0127】
次に、制御部90は、止水電磁弁7(図3)および切替弁モータ13m(図3)等を制御することにより便器ノズル40から洗浄水を噴出させるとともに、ランプ50を点灯させる(ステップS4)。
【0128】
次に、制御部90は、使用者がトイレットルームに入室してから所定時間(例えば、6秒)経過したか否かを判別する(ステップS5)。所定時間経過していない場合、制御部90は、使用者により停止スイッチ311(図2)が押下されたか否かを判別する(ステップS6)。
【0129】
停止スイッチ311が押下されていない場合、制御部90は、着座センサ610(図1)の出力信号に基づいて、使用者が便座部400(図1)に着座したか否かを判別する(ステップS7)。使用者が便座部400に着座していない場合、制御部90は、ステップS5の処理に戻る。
【0130】
ステップS5において所定時間経過したと判別された場合、制御部90はランプ50を消灯する(ステップS8)。次に、制御部90は、便器ノズルモータ40m(図3)を制御することにより、便器ノズル40を収納位置(図4および図5に示す位置)に移動させる(ステップS9)。
【0131】
次に、制御部90は、着座センサ610(図1)の出力信号に基づいて、使用者が起立したか否かを判別する(ステップS10)。使用者が起立したと判別された場合、制御部90は、止水電磁弁7(図3)等を制御することにより、便器ノズル40からの洗浄水の噴出を停止する(ステップS11)。これにより、制御部90による便器洗浄処理が終了する。
【0132】
ステップS2において使用者が入室していないと判別された場合、制御部90は、使用者が入室するまで待機する。
【0133】
ステップS6において使用者により停止スイッチ311が押下された場合、またはステップS7において使用者が便座部400に着座した場合、制御部90はステップS8の処理に進む。
【0134】
ステップS10において使用者が起立していない場合、制御部90は、使用者が起立するまで待機する。
【0135】
以上のように、本例においては、使用者がトイレットルームに入室してから所定時間が経過することにより、便器プレ洗浄が終了される。この場合、上述したように、使用者の着座前に便器700の内面を十分に濡らすとともに、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを確実に防止することができる。
【0136】
また、使用者が停止スイッチ311を押下するか、あるいは使用者が便座部400に着座することにより、便器プレ洗浄が終了される。したがって、使用者が上記所定時間内に便座部400に着座した場合にも、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを防止することができる。
【0137】
また、使用者が便座部400に着座している場合には、便器後部洗浄が行われる。それにより、便器700の内面の後方側に汚物が付着することを確実に防止することができる。
【0138】
なお、図15の制御フローでは、ステップS3において便器ノズル40が便器洗浄位置に移動した後にステップS4において洗浄水の噴出を開始しているが、便器ノズル40が便器洗浄位置に移動する前すなわち収納位置に保持されている状態で洗浄水の噴出を開始してもよい。この場合、便器プレ洗浄が行われる前に、便器ノズル40の洗浄を行うことができる。それにより、便器ノズル40の汚染を確実に防止することができる。
【0139】
また、図15の制御フローでは、ステップS2において使用者の入室を確認した場合に便器ノズル40を便器洗浄位置に移動させているが、便器ノズル40を予め便器洗浄位置で待機させてもよい。この場合、便器プレ洗浄を迅速に開始することができるので、十分な量の洗浄水を便器700に供給することができる。それにより、便器700に汚物が付着することをより確実に防止することができる。なお、便器ノズル40を予め便器洗浄位置で待機させる場合には、例えば、使用者がトイレ装置1000の使用を終えた後、所定時間経過した時点で便器ノズル40を便器洗浄位置に移動させてもよい。
【0140】
また、便器ノズル40から洗浄水を噴出させる場合には、人体用切替弁13を制御することによりノズル部20(図3)への洗浄水の供給を停止してもよい。この場合、便器ノズル40に十分な量の洗浄水を供給することができるので、便器700を洗浄水で十分に濡らすことができる。その結果、便器700に汚物が付着することを十分に防止できる。
【0141】
(4−h)便器洗浄および便器ノズルに関する効果
以上のように、本実施の形態においては、使用者が便座部400に着座する前に、便器のプレ洗浄が行われる。それにより、便器700の内面の略全域を洗浄水で濡らすことができるので、便器700に汚物が付着することを防止することができる。
【0142】
また、便器ノズル40の羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定のクリアランス(0.05mm程度)を設け、羽根部材42bが羽根部材42bに作用する力により自由に動けるような構成でフローティング支持をしたため、流路幅の不均一が加速流路41tを通過する流体の圧力により自動補正されるため、噴流を均一に便器面に拡げることができる。
【0143】
また、挿入軸部42aに流路41sでの整流効果を発揮する円環状の突起体42gを設けため、便器ノズル40の接続管44から流入した水は、流れが整流され噴流を均一に便器面に拡げることができる。
【0144】
また、噴流形成部材42を着脱自在の構成とすることにより使用者は容易にこの噴流形成部材42引き抜いて掃除することができるため、便器ノズル40を清潔に保つことができる。
【0145】
なお、本実施の形態においては、羽根部材は全て噴流形成部材の外面に設置した構成を説明したが、この構成に限るものではなく、羽根部材を便器ノズル本体部の内面に設置する構成でも同様な効果を得ることが可能である。また、羽根部材を噴流形成部材の外面と便器ノズル本体部の内面の両方に設置することも可能である。これらの各構成の選択は各部材の加工性や強度等を考慮して決定されるものであるが、本実施の形態においては、加工性を考慮して羽根部材を噴流形成部材の外面に設置した。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上のように、本発明にかかわる衛生洗浄装置は、全周に噴出するノズルの噴射を均一にすることが可能となるので、他の散水装置等の用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置の外観を示す斜視図
【図2】(a)は本発明の実施の形態1における遠隔操作装置のコントローラ蓋部を開いた状態の外観斜視図(b)は遠隔操作装置のコントローラ蓋部を開いた状態の前面の操作面を示す正面図
【図3】本発明の実施の形態1における本体部の構成を示す模式図
【図4】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の縦断面図
【図5】図4の便器ノズルおよびその周辺の構造を説明するための拡大断面図
【図6】便器プレ洗浄時における衛生洗浄装置の縦断面
【図7】図6の状態の便器ノズルおよびその周辺の構造を説明するための拡大断面図
【図8】(a)は図4の便器ノズルの先端部の詳細構造を示す断面図(b)は(a)のC14−C14の断面図
【図9】(a)は図4の便器ノズルの先端部の別の詳細構造を示す断面図(b)は(a)のC14−C14の断面図
【図10】便器ノズルの噴流形成部材の構造を示す斜視図
【図11】便器ノズルの噴流形成部材の別の構造を示す斜視図
【図12】図11の噴流形成部材を便器ノズル本体に挿入した状態を示す断面図
【図13】(a)は便器ノズルの噴出流速と広がり幅の定義を説明示す模式図(b)は噴出流速と広がり幅との関係を示すグラフ
【図14】入室着座時間の調査結果を示すグラフ
【図15】制御部による便器洗浄処理の制御フローを示すフローチャート
【符号の説明】
【0148】
40 便器ノズル
41 便器ノズル本体部
42 噴流形成部材
42a 挿入軸部
42b、42j、42k、42m 羽根部材
42g 整流部材
100 衛生洗浄装置
700 便器
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器を洗浄する便器ノズルを有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚物が便器に付着することを防止するために、種々の衛生洗浄装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の衛生洗浄装置においては、人が便座に着座した場合に、洗浄水が便器ノズルから便器の内面に向かって吐出される。それにより、便器の内面が洗浄水により濡らされて水膜が便器面に構成されることにより、汚物が便器に付着することが防止される。
【特許文献1】特開平7−189319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の衛生洗浄装置においては、便器ノズルは便器ノズル本体の先端に蓋体を装着し、ノズル本体と蓋体との間に所定隙間を構成することにより、この隙間を噴出口として構成し、便器ノズル先端全周より便器内面に噴流を吐出するものであった。
【0005】
便器洗浄に使用できる水量は、衛生洗浄装置で使用する水量1L/min前後と同程度の水量であり、この程度の水量で便器の内面に一様に噴流が拡がるように噴出するためには、噴流の一様性など、バラツキ要素を勘案すると、噴流が全周に噴出するとして、噴流の噴出速度が少なくとも4m/sec以上であることが必要であった。噴流の噴出速度として、4m/secを実現するためには、便器ノズルの先端を直径4mmとすれば、便器ノズル先端の隙間の幅は0.3mm以下とすることが必要となる。この便器ノズル先端の隙間全周から噴出される噴流が一様に拡がるためには、流路の隙間0.3mmに対して、流路の隙間のバラツキが少なくとも±0.05mmの幅には入っていないと噴流が均一に拡がらないという課題があった。この軸方向の隙間のバラツキを±0.05mmに押さえることは、非常な困難を伴うものであった。
【0006】
また、便器ノズルから噴出される噴流の噴出角度がばらつく、あるいは安定しないという課題があった。便器ノズルから噴出される噴流の噴出角度は、噴出口に構成された噴出角度により決まるが、噴流が非常に狭い噴出口から噴出し、また、この噴流口の、噴流の噴出方向への長さが短いため、噴出口のわずかなバリや、あるいは噴出口にあるわずかな曲面などにより、噴流の噴出方向が容易に変化し、所定の噴出角度が得られないという課題があった。
【0007】
また、便器ノズルより噴出される噴流の便器の上下方向に対する到達位置は便器面に出来るだけ均一な水膜を構成するため、便器より飛び出さない範囲で出来るだけ便器面の上方に設定することが望ましい。従って噴流の到達位置は便器上面近くに設定することになるが、噴流自体がばらけて噴出された場合、噴流の飛沫が便器上面を飛び越え便座あるいは、トイレの床面を濡らす可能性があった。便器面に一様に到達するように薄く拡げられた噴流は、流速が4m以上と速く、また噴流自体が薄い膜状となるため、噴流がばらけやすく、特に吐出する噴流の噴出口で流れに乱れがあると、便器面に到達する位置では噴流は非常にばらけ易くなり、このばらけた水泡が飛び散って便座あるいは便器外にまで到達するという課題があった。
【0008】
また、噴出口が非常に狭いため、汚れやスケールが噴出口に付着し、噴流の噴出方向が変化したり、極端な場合はつまったりする課題があり、またこの噴出口を掃除しようとした場合に噴出口が非常に狭いため掃除しにくいという課題もあり十分な清潔性を確保する観点から改善の余地があった。
【0009】
本発明は、上述の従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、便器ノズルからの噴流の噴出方向、噴出範囲の精度を高めるとともに噴流の安定性を向上させて、便器ノズルからの噴流が便器面に広い範囲で一様に到達して水膜を構成できる構成を有し、十分な清潔性も有する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明は、洗浄水の供給源から供給される洗浄水を便器の内面に向けて噴出する便器ノズルを有する衛生洗浄装置であって、前記便器ノズルは略筒状の便器ノズル本体部と、前記便器ノズル本体部の内部に挿入した略柱状の噴流形成部材と、有しており、前記便器ノズル本体部と前記噴流形成部材との間には、略全周に亘り隙間が形成されており、前記噴流形成部材は、前記便器ノズル本体部の内部で遊動可能に設置されている、衛生洗浄装置を提供する。
【0011】
本発明(第1の発明)の衛生洗浄装置では、上記の構成により、噴流形成部材を遊動可能に設置したことで、洗浄水の水圧により隙間が均一になる方向に作用し、噴流形成部材の位置が自動的に補正され、便器ノズルからの噴流が均一となる。また、本発明の衛生洗浄装置では、構成部品の一部を着脱可能とすることで、十分な清潔性を確保しそれを維持することも容易となる。
【0012】
一方、従来技術のように洗浄水の流路である隙間が不均一の場合、流路の圧力分布が不均一となり便器ノズルから噴出する噴流が偏った噴流とになる。
【0013】
また、本発明(第2の発明)は、特に第1の発明において、前記噴流形成部材の外面および前記便器ノズルの内面の少なくとも一方に突出する羽根部材が設けられており、前記羽根部材の寸法が前記隙間の寸法よりも小さく形成されることにより、前記噴流形成部材が前記便器ノズル本体部の内部で遊動可動に設置されている衛生洗浄装置を提供する。
【0014】
これにより、羽根部材により流路となる隙間を全周に亘り確実に形成することができるとともに、遊動の範囲を限定することで洗浄水の乱流や衝撃による噴流形成部材の不要な遊動を抑制し、安定した噴流を得ることができる。
【0015】
更に、本発明(第3の発明)は、特に第2の発明において、前記羽根部材が前記噴流形成部材の外面に設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0016】
このように、突出形状である羽根部材は略柱状の噴流形成部材の外面に形成することで加工が容易となり、必要な寸法精度を容易に維持できるため、便器ノズルの性能を容易に確保することができる。
【0017】
また、本発明(第4の発明)は、特に第1の発明〜第3の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記便器ノズルの流入部近傍に整流部が設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0018】
これにより、便器ノズルに流入する流れが整流されて、便器ノズルから噴出する噴流をより均一なものとすることができる。
【0019】
更に、本発明(第5の発明)は、特に第1の発明〜第4の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記便器ノズル本体部に挿入された前記噴流形成部材が着脱可能な構成とされている衛生洗浄装置を提供する。
【0020】
これにより、噴流形成部材あるいは便器ノズル本体の開口部が汚れた場合でも、噴流形成部材を便器ノズル本体より外すことにより、容易に清掃することができ、清掃が終わった後は、また元の位置に容易に戻すことができる。
【0021】
また、本発明(第6の発明)は、特に第1の発明〜第5の発明のうちのいずれか1つの発明において、前記羽根部材が前記噴流形成部材の挿入軸部の略全長に亘って設けられている衛生洗浄装置を提供する。
【0022】
これにより、羽根部材の長さを長くすることで、噴流形成部材の傾きを抑制し、噴流の拡がりの均一性を確保することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の衛生洗浄装置によれば、便器ノズルから便器面に安定して噴出される噴流を得ることができると共に、噴流の拡がりの均一性を確保することができ、便器面を均一に濡らして汚れの付着を防止することができる。また、本発明の衛生洗浄装置によれば、構成部品の一部を着脱可能とすることで、十分な清潔性を確保しそれを維持することも容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
<1>衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置の外観
図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。トイレ装置1000はトイレットルーム内に設置される。
【0026】
トイレ装置1000において、便器700には衛生洗浄装置100が取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成される。蓋部500を除く衛生洗浄装置100の各構成要素が、後述の便座装置110を構成する。
【0027】
本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、図示しない洗浄水供給機構が設けられるとともに、後述の制御部90(図3)が内蔵される。
【0028】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ610が示されている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0029】
さらに、図1では、本体部200の正面下部に設けられる便器ノズル40が便器700の内側に突出している状態が示されている。この便器ノズル40は、上述の洗浄水供給機構に接続されている。
【0030】
洗浄水供給機構は、図示しない水道配管に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水を便器ノズル40に供給する。それにより、便器ノズル40から便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される(便器プレ洗浄)。または、便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される(便器後部洗浄)。詳細は後述する。
【0031】
また、洗浄水供給機構は、後述のノズル部20(図3)に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水をノズル部20に供給する。それにより、ノズル部20から使用者の局部に洗浄水が噴出される。
【0032】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。
【0033】
入室検知センサ600は、トイレットルームの入口等に取り付けられる。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0034】
本体部200の制御部90(図3)は、遠隔操作装置300、入室検知センサ600および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0035】
<2>遠隔操作装置の構成
図2は、図1の遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0036】
図2(a)に示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥スイッチ320、強さ調整スイッチ322、323および位置調整スイッチ325、326が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313が設けられている。
【0037】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から図1の本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部200の制御部90(図3)は、受信した信号に基づいて本体部200(図1)および便座部400(図1)の各構成部の動作を制御する。
【0038】
例えば、使用者がおしりスイッチ312またはビデスイッチ313を操作することにより、後述するノズル部20(図3)から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0039】
使用者が乾燥スイッチ320を操作することにより、使用者の局部に後述する乾燥ユニット210(図64)から温風が噴出される。また、使用者が強さ調整スイッチ322,323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量および圧力等が調整される。
【0040】
さらに、使用者が位置調整スイッチ325,326を操作することにより、後述するおしりノズル21(図3)または後述するビデノズル22(図3)の位置が調整される。それにより、使用者の局部への洗浄水の噴出位置が調整される。
【0041】
図2(b)に、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。図2(b)に示すように、コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、上述の停止スイッチ311、おしりスイッチ312およびビデスイッチ313に加えて、自動開閉スイッチ331、水温調整スイッチ332、便座温度調整スイッチ333、除菌スイッチ335および便器洗浄スイッチ336が設けられている。
【0042】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて本体部200および便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0043】
自動開閉スイッチ331はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉スイッチ331のつまみを操作することにより、蓋部500(図1)の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉スイッチ331のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて蓋部500が開閉される。
【0044】
使用者が水温調整スイッチ332を操作することにより、ノズル部20から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0045】
また、使用者が除菌スイッチ335を操作することにより、本体部200の洗浄水供給機構に銀イオンを含む洗浄水が流れ、除菌動作が行われる。
【0046】
自動開閉スイッチ331と同様に、便器洗浄スイッチ336はつまみにより構成されている。使用者が便器洗浄スイッチ336のつまみを操作することにより、便器ノズル40による便器プレ洗浄および便器後部洗浄の動作が設定される。
【0047】
すなわち、便器洗浄スイッチ336のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便器ノズル40から便器700内部の広い範囲に洗浄水が噴出される。また、使用者の便座部400への着座中に便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される。
【0048】
<3>本体部における給水系および制御系の構成
図3は、本体部200の構成を示す模式図である。図3に示すように、本体部200は、分岐水栓2、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7、流量センサ8、熱交換器9、ポンプ11、バッファタンク12、人体用切替弁13、ノズル部20、バキュームブレーカ31、61、便器ノズル40、便器ノズルモータ40m、ランプ50および制御部90を含む。
【0049】
ノズル部20は、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23を含み、人体用切替弁13は切替弁モータ13mを含む。
【0050】
図3に示すように、水道配管1には分岐水栓2が介挿される。分岐水栓2と熱交換器9との間に接続される配管3には、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7および流量センサ8が順に介挿される。熱交換器9と人体用切替弁13との間に接続される配管10には、ポンプ11およびバッファタンク12が介挿される。
【0051】
人体用切替弁13の複数のポートにノズル部20のおしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23がそれぞれ接続される。
【0052】
バキュームブレーカ31は、止水電磁弁7と流量センサ8との間の配管3から延びる分岐配管30に接続され、熱交換器9および便器ノズル40の洗浄水噴出口よりも上方の位置に配置される。バキュームブレーカ31には、分岐配管32の一端が接続される。分岐配管30と分岐配管32とはバキュームブレーカ31を介して連結される。便器ノズル40は、分岐配管32の他端に接続される。便器ノズルモータ40mおよびランプ50は、便器ノズル40の近傍に取り付けられる。バキュームブレーカ61はバッファタンク12に設けられ、熱交換器9よりも上方の位置に配置される。なお、バキュームブレーカ61およびバッファタンク12は一体的に形成されている。したがって、バッファタンク12も熱交換器9よりも上方の位置に配置される。
【0053】
次に、本体部200における洗浄水の流れおよび制御部90による本体部200の各構
成部の制御について説明する。
【0054】
水道配管1を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓2によりストレーナ4に供給される。これにより、洗浄水に含まれるゴミおよび不純物等はストレーナ4により除去される。
【0055】
次に、逆止弁5により配管3内における洗浄水の逆流が防止され、定流量弁6により配管3内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。そして、止水電磁弁7により熱交換器9への洗浄水の供給状態が切替えられる。止水電磁弁7の動作は、制御部90により制御される。
【0056】
配管3において、流量センサ8は、配管3内を流れる洗浄水の流量を測定し、制御部90に測定流量値を与える。熱交換器9は、配管3を通して供給される洗浄水を所定の温度に加熱する。熱交換器9の動作は、流量センサ8により測定された測定流量値に基づいて制御部90により制御される。
【0057】
続いて、熱交換器9により加熱された洗浄水が、ポンプ11によりバッファタンク12を通して人体用切替弁13に圧送される。ポンプ11の動作は、制御部90により制御される。
【0058】
バッファタンク12は、加熱された洗浄水の温度緩衝部として作用する。これにより、人体用切替弁13に圧送される洗浄水の温度むらの発生が抑制される。なお、熱交換器9とバッファタンク12との合計の容量は、15cc〜30ccであることが好ましく、20cc〜25ccであることがより好ましい。
【0059】
人体用切替弁13においては、切替弁モータ13mが動作することにより、ポンプ11から圧送された洗浄水が、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかに供給される。これにより、おしりノズル21、ビデノズル22およびノズル洗浄ノズル23のいずれかから洗浄水が噴出する。切替弁モータ13mの動作は、制御部90により制御される。
【0060】
おしりノズル21およびビデノズル22は、使用者の局部の洗浄を行うために用いられる。ノズル洗浄ノズル23は、おしりノズル21およびビデノズル22の便器700内に突出する部分を洗浄するために用いられる。
【0061】
止水電磁弁7から熱交換器9に供給される洗浄水のうちノズル部20において使用されない余剰な洗浄水は、分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して捨て水として便器700(図1)内に流される。すなわち、分岐配管30および分岐配管32は捨て水回路として機能する。便器ノズル40の詳細は後述する。
【0062】
なお、本例においては、熱交換器9と便器ノズル40との間にバキュームブレーカ31が設けられ、熱交換器9とノズル部20との間にバキュームブレーカ61が設けられている。それにより、熱交換器9内の洗浄水が分岐配管30、分岐配管32および便器ノズル40を介して外部に流出することならびに配管10およびノズル部20を介して外部に流出することが防止される。その結果、熱交換器9の空焚きが防止される。
【0063】
また、バキュームブレーカ31により、便器ノズル40側からの汚水等の逆流が防止されるとともに、バキュームブレーカ61によりノズル部20側からの汚水等の逆流が防止される。
【0064】
また、バッファタンク12とバキュームブレーカ61とが一体的に設けられているので、本体部200を小型化することができる。また、バキュームブレーカ61によりバッファタンク12内の冷水が排出されるので、おしり洗浄時に、おしりノズル21から冷水が噴出されることを防止することができる。
【0065】
<4>便器ノズルの構成および動作
(4−a)便器ノズルの説明
次に、便器ノズル40について説明する。図4は、衛生洗浄装置100の縦断面図である。図4に示すように、便器ノズル40は、本体部200の下部でノズル部20に近接した位置に配置され、その先端部が便器700の内部に位置する。便器ノズル40の近傍にはLED(発光ダイオード)等からなるランプ50が設けられている。
【0066】
なお、以下においては、図4に示すように、衛生洗浄装置100の本体部200側を後方とし、便座部400の先端側を前方として各部について説明する。
【0067】
便器ノズル40およびその近傍に設けられるランプ50の前方側を覆うように、便器ノズルカバー40Kが設けられている。便器ノズルカバー40Kは透明な樹脂により形成されている。これにより、ランプ50が発光すると、その光は便器ノズルカバー40Kを通して便器700の内部に照射される。
【0068】
図5は、図4の便器ノズル40およびその周辺の構造を説明するための拡大断面図である。図5に示すように、便器ノズル40は、筒状の便器ノズル本体部41の先端部に棒状の噴流形成部材42が挿入された構造を有する。便器ノズル本体部41の内部では、便器ノズル本体部41の内面と噴流形成部材42の外周面との間に隙間が形成されている。便器ノズル本体部41の後端部には、図3の分岐配管32の一部を構成する接続管44が接続される。
【0069】
これにより、接続管44(分岐配管32)から便器ノズル本体部41に洗浄水(捨て水)が供給されると、その洗浄水は、便器ノズル本体部41の内面と噴流形成部材42の外周面との間の隙間を通って便器ノズル40の先端部から噴出される。
【0070】
便器ノズル本体部41の後端部には、回転片43の一端が固定されている。回転片43の他端は、後述する本体下部ケーシング200Aに固定された便器ノズルモータ40mに接続されている。これにより、便器ノズルモータ40mが動作すると、便器ノズル本体部41の先端部が回動する。
【0071】
ここで、便器ノズル40の待機時、すなわち、使用者がトイレットルームに入室していないときには、便器ノズル40の先端部が便器ノズルカバー40Kの内面に近接するように位置決めされる。以下、この便器ノズル40の位置を収納位置と称する。また便器ノズル40が、下方に移動して便器洗浄を行う位置を以下、突出位置と称する。
【0072】
便器ノズル40は捨て水の出口も兼用をした場合、便器ノズル40が便器洗浄の位置で固着した状態となると、使用者の用便中に便器洗浄の噴流が常時出ていることになり、使用上不都合が生ずることになる。従ってこの場合には、使用者が手でノズルを収納位置まで押し込むなどの対応が必要である。
【0073】
図5において、便器ノズル本体部41の後端部には、回転片43の一端が固定されている。回転片43の他端は、後述する本体下部ケーシング200Aに固定された便器ノズルモータ40mに接続されている。これにより、便器ノズルモータ40mが動作すると、便器ノズル本体部41の先端部が回動する。さらに回転片43にはトーションバネ40Sが挿入され、回転片43に設けた固定部43aと便器ノズルカバー40Kに設けた固定溝
40Kbによりトーションバネ40Sは固定部され、便器ノズル本体部41がノズル収納位置側に付勢されている。便器ノズルモータ40mと回転片43との間には駆動系のガタが存在し、また便器ノズルモータ40mが減速ギアを用いている場合などではこの減速ギアのバックラッシュが存在するため、手動で便器ノズル本体部41を収納位置まで移動させても、収納位置で停止せず、ガタ分だけ便器ノズル本体部41が戻ってしまうことになる。トーションバネにより便器ノズル本体部41がノズル収納側に付勢されておれば、このガタ分がトーションバネにより吸収されるため、手動操作によりノズル本体部41を所定の収納位置で固定することができる。
【0074】
トーションバネ40Sのトルクについては、便器ノズル本体部41と接続される配管44により生ずる張力と同等以上に設定されているため、便器ノズル本体部41がノズル収納側に容易に設定することができる。
【0075】
(4−b)便器ノズルの他の構造例(ノズルが中間位置で停止時の対応)
温水洗浄便座の制御が不能となり、便器ノズルが中間位置で停止して、噴流が噴出した場合、噴流が便器から飛び出して、床面に漏水する可能性があるため便器ノズルがどの位置で停止しても、少なくとも便器面を飛び出さないように構成する必要がある。
【0076】
図5において、便器ノズルカバー40K は便器ノズル本体部41の先端部が回動して噴出される噴流が散布位置から収納位置に移動する過程で噴流が便器面より外側に飛び出さないように、ノズルカバー40Kの遮蔽部40kaを構成している。これにより便器ノズル本体部41がどの位置で停止しても、噴流が便器外に飛び出すことはなく、漏水を防止することができる。
【0077】
またこのノズルカバー40Kが便器ノズル40をカバーしかつ、便器ノズル40に外力が作用すると、便器ノズル40がノズルカバー40Kの遮蔽部の内側に移動するため、外力に対して便器ノズルに過負荷が作用することはない。
【0078】
この状態で、図1の入室検知センサ600により使用者のトイレットルームへの入室が検知されると、便器ノズルモータ40mが動作する。これにより、便器ノズル40の先端部が図5の矢印Aで示す方向に回動する。そして、上述の便器プレ洗浄が開始される。
【0079】
図6は、便器プレ洗浄時における衛生洗浄装置100の縦断面であり、図7は図6の状態の便器ノズル40およびその周辺の構造を説明するための拡大断面図である。
【0080】
まず、図6および図7に示すように、使用者のトイレットルームへの入室が検知され、便器ノズル40の先端部が回動すると、その先端部が便器ノズルカバー40Kの下方に移動し、便器700の内部空間に露出するように位置決めされる。以下、この便器ノズル40の位置を便器洗浄位置と称する。
【0081】
この状態で、接続管44から便器ノズル本体部41に洗浄水が供給される。これにより、便器ノズル40の先端部から洗浄水が噴出される。
【0082】
便器ノズル40から噴出される洗浄水は、便器ノズル40の軸心に対してほぼ直交する方向へ放射状に噴出される。
【0083】
これにより、図6に示すように、便器700の廃棄口700Dを中心とする内面の広い範囲に洗浄水が噴出される。それにより、使用者のトイレットルームへの入室時に乾燥している便器700の内面が、洗浄水により濡らされる。
【0084】
また、このとき、ランプ50が発光することにより、使用者は便器プレ洗浄が行われていることを視認することができる。
【0085】
上記のように、使用前の便器700の内面が濡らされることにより、便器700の内面への汚物の付着が防止される。
【0086】
なお、便器プレ洗浄動作は、後述するように、所定時間の経過、使用者の便座部400への着座、または使用者による遠隔操作装置300の操作により停止される。
【0087】
便器プレ洗浄の終了時には、再び便器ノズルモータ40mが動作する。これにより、便器ノズル40の先端部が再び便器ノズルカバー40Kの内側に移動し、便器ノズルカバー40Kの内面に近接する。すなわち、便器プレ洗浄後には、便器ノズル40は再び収納位置に移動する。このとき、便器ノズル40の先端部からは洗浄水が継続して噴出される。それにより、便器後部洗浄が開始される。
【0088】
便器後部洗浄時には、図4の矢印B、Cで示すように、便器ノズル40から便器700の後方側の内面に噴出される洗浄水が、その内面に衝突して便器700内を流れ落ちる。
【0089】
これにより、使用者によるトイレ装置1000の使用時に、便器700の後方側の内面に汚物が付着することが確実に防止される。
【0090】
また、このとき便器ノズル40から便器ノズルカバー40Kの内面に噴射される洗浄水は、便器ノズルカバー40Kの内面に衝突し、便器ノズル40の先端部に跳ね返る。これにより、便器ノズル40の先端部が洗浄され、便器ノズル40の先端部の汚染が防止される。
【0091】
その後、例えば使用者が便座部400から起立することにより、便器後部洗浄が停止される。すなわち、便器ノズル40からの洗浄水の噴出が停止される。
【0092】
(4−b)便器ノズルの構造の詳細
ここで、便器ノズル40の先端部の構造の詳細について説明する。図8は、図4の便器ノズル40の先端部の構造を示す断面図である。図8(a)に便器ノズル40の先端部における縦断面図が示され、図8(b)に図8(a)のC14−C14線断面図が示されている。
【0093】
図8(a)に示すように、便器ノズル本体部41の先端部開口41hから、その内部に噴流形成部材42が挿入される。噴流形成部材42は、挿入軸部42aを有する。図8(b)に示すように、挿入軸部42aにはその軸心から外方へ放射状に延びる3枚の羽根部材42bが形成されている。羽根部材42bから噴流形成部材42の先端部に向かって、径大部42c、拡大部42dおよびフランジ部42eが形成されている。
【0094】
径大部42cの直径は挿入軸部42aの直径よりも大きい。また、拡大部42dは噴流形成部材42の先端部に向かってさらに漸次径大となっており、噴流形成部材42の先端部の直径は先端部開口41hの直径よりも大きい。また、フランジ部42eの外径は、便器ノズル本体部41の外径よりも大きい。
【0095】
便器ノズル本体部41の内面には、段差部41dが形成されている。便器ノズル本体部41に噴流形成部材42が挿入されると、段差部41dと噴流形成部材42の羽根部材42bとが当接する。このとき、羽根部材42bは、噴流形成部材42と便器ノズル本体部41との間のスペーサとして作用する。それにより、噴流形成部材42が便器ノズル本体
部41の内部で位置決めされる。
【0096】
この状態で、噴流形成部材42の径大部42cは便器ノズル本体部41の先端部開口41hから突出し、拡大部42dおよびフランジ部42eは便器ノズル本体部41の外部に位置する。
【0097】
挿入軸部42aおよび径大部42cの外径は便器ノズル本体部41の内径よりも小さい。そのため、便器ノズル本体部41の内面と、噴流形成部材42の外周面との間には、上述のように隙間が形成されている。この隙間が洗浄水の流路41sとなる。
【0098】
図5の接続管44から洗浄水が供給されると、その洗浄水は流路41sを通り、径大部42cと便器ノズル本体41で構成される加速流路41tにより、流れは設定流速まで加速され、拡大部42dで流れが偏向されて、フランジ部42eの全周に拡がりフランジ部端42fより放射状の噴流が構成される。
【0099】
従って、洗浄水は便器ノズル40の軸心に対してほぼ直交する方向へ放射状に噴出される。
【0100】
噴流が一様に便器面に拡がるための速度として4m/secが必要であり、これを実現するためには、挿入軸部42aの径大部42cの直径が4mm、洗浄流量が1L/minとすれば、加速流路41tの流路幅は0.3mm程度の狭い流路となる。
【0101】
(4−c)便器ノズルの別の構造の詳細(噴流形成部材のフローティング支持)
図9は便器ノズル40の他の実施の形態を示す断面図である。図8の実施の形態では羽根部材42bが便器ノズル本体部41と当接し、径大部42cが便器ノズル本体部41と同軸に支持されるように構成されているが、この実施の形態では羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定の隙間(0.05mm程度)を設けている。便器ノズル40より噴流を噴出した状態では、加速流路41tの流路断面の圧力分布は加速流路41tの流路幅が一様であれば、圧力分布は一定であるが、加速流路41tの流路幅が一様でないときは、圧力分布が生じ、流路幅の狭いところは圧力が高くなる。羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定の隙間(0.05mm程度)を設け、羽根部材42jが羽根部材42jに作用する力により自由に動けるような構成でフローティング支持をすれば、流路幅の狭いところは、流路幅が広くなるように加速流路41tを通過する流体の圧力により自動補正が可能であり、実際に便器ノズルの動作にてこの自動補正が作用することを確認した。
【0102】
羽根部材42jが便器ノズル本体部41と当接し、径大部42cが便器ノズル本体部41と同軸に支持されるように構成することは可能であるが、成型品のバラツキ、形状精度など管理する項目が多く、フローティング支持構成とすることで、これら精度管理条件を緩和することができる。
【0103】
このフローティング支持構成を実現する上で、挿入軸部42aの傾きを抑制するために羽根部材42kは軸方向の長さが図10に示したようにほぼ挿入軸部42aの全長にわたる程度に長いほうが望ましい。
【0104】
また、図11に示すように、羽根部材42mを挿入軸部42aの両端部近傍のみに設けることで、全長に亘り設けた場合と同様に傾きを抑制する効果を得ることができ、しかも、羽根部材42mの長さが短くなることで、羽根部材42の寸法の管理範囲を少なくなり、生産性の向上を図ることができる。
【0105】
(4−d)便器ノズルの別の構造の詳細(挿入軸部の流れの安定化)
図11に便器ノズルの他の実施の形態を示す。挿入軸部42aに流路41sでの整流効果を発揮する円環状の突起体である整流部42gを設けたものである。便器ノズル40の接続管44から流入した水は流入する方向により偏向した流れを生ずる場合があり、この偏向した流れのままで便器ノズル40の先端まで到達すると噴流の拡がりも偏向したものとなる。接続管44の近くに設けた整流部42gにより流れが整流されて一様な拡がりの噴流を得ることができる。
【0106】
(4−e)噴流形成部材の着脱構成
図10および図11は着脱可能とした噴流形成部材42を示し、図12は噴流形成部材42を便器ノズル本体41に挿入した状態の断面図を示す。
【0107】
便器ノズル40自体を使用者が掃除する際に、最も汚れ易い、噴流形成部材42を、着脱可能としたものである。挿入軸部42aは後方に爪部42hが構成されており、図12に示すように便器ノズル本体部41に設けた段差部41eに係合して止まるよう構成されている。
【0108】
この爪部42hについては、強度を向上させるため、補強のリブ42iなどを設けることが望ましい。
【0109】
噴流形成部材42を着脱自在の構成とすることにより使用者は容易にこの挿入軸部42a引き抜いて掃除することができる。
【0110】
(4−f)便器プレ洗浄時の洗浄水の噴出流速
図13は、図4の便器ノズル40から噴出される洗浄水の噴出流速と広がり幅との関係を示す図である。
【0111】
まず、噴出流速および広がり幅について説明する。図13(a)に噴出流速および広がり幅の定義を説明するための図が示されている。
【0112】
図13(a)では、軸心が鉛直方向と平行となるように配置された便器ノズル40から洗浄水が噴出する状態が示されている。
【0113】
ここで、噴出流速とは、矢印WVで示すように、便器ノズル40の先端部から水平方向に噴出される洗浄水の流速をいう。また、広がり幅とは、矢印WWで示すように、便器ノズル40から100mm下方において洗浄水が供給される領域の外径をいう。
【0114】
図13(b)に、便器ノズル40から洗浄水を噴出させた場合の実験結果が示されている。図13(b)において縦軸は洗浄水の広がり幅WWを示し、横軸は洗浄水の噴出流速を示し、実線は広がり幅WWと噴出流速との関係を示す。
【0115】
図13(b)に示すように、洗浄水の噴出流速を2m/sより大きくした場合には、広がり幅が200mmより大きくなる。この場合、便器700の内面の十分広い領域に洗浄水を供給することができるので、便器700の内面に汚物が付着することを十分に防止することができる。
【0116】
また、洗浄水の噴出流速を10m/sより小さくした場合には、広がり幅が1000mmより小さくなる。この場合、便器700の外方へ洗浄水が飛散することを防止することができる。また、洗浄水の噴出流速を10m/sより小さくすることにより、便器ノズル40から噴出された洗浄水が便器700の内面で大きく跳ね返ることを防止することができる。それにより、洗浄水が便器700の外方へ飛散することを十分に防止することがで
きる。
【0117】
したがって、洗浄水の噴出速度を2m/s〜10m/sの範囲で設定することにより、洗浄水が便器700の外方に飛散することを十分に防止しつつ便器700に汚物が付着することを十分に防止することができる。なお、洗浄水の噴出速度は、4m/s〜8m/sの範囲で設定されることがより好ましい。この場合、洗浄水が便器700の外方に飛散することを確実に防止しつつ便器700に汚物が付着することを確実に防止することができる。
【0118】
(4−g)便器プレ洗浄の動作タイミングと制御フロー
本例においては、使用者がトイレットルームに入室した際に制御部90の制御により便器プレ洗浄が開始される。また、使用者がトイレ装置1000を使用している場合には、制御部90の制御により便器後部洗浄が行われる。すなわち、使用者が便座部400(図1)に着座している場合には、便器ノズル40(図1)から前方側への洗浄水の飛散が阻止される。それにより、使用者に洗浄水が付着することが防止される。
【0119】
制御部90は、所定時間の経過、使用者の便座部400への着座、または使用者による遠隔操作装置300の操作に基づいて便器プレ洗浄から便器後部洗浄への移行を行う。
【0120】
ここで、上記の所定時間は、使用者がトイレットルームに入室してから便座部400に着座するまでの平均的な時間に基づいて予め決定される。そこで、本発明者らは、この所定時間を決定するために、使用者がトイレットルームに入室してから便座部400上に着座するまでの時間(以下、入室着座時間と呼ぶ。)を調査した。この調査は、所定人数の使用者についてトイレットルームを使用させ、各使用者の入室着座時間を測定し、入室着座時間ごとの累積百分率を算出することにより行った。
【0121】
図14は、入室着座時間の調査結果を示す図である。図14において、横軸は入室着座時間を示し、縦軸は使用者の累積百分率を示す。
【0122】
図14に示すように、本調査によれば、使用者の多く(9割以上の使用者)は、トイレットルームに入室した後約6秒間経過してから便座部400に着座することが明らかとなった。そこで、本例においては上記の所定時間を6秒に設定した。この場合、使用者が便座部400に着座する直前に便器プレ洗浄から便器後部洗浄への移行を行うことができる。それにより、使用者の着座前に便器700の内面を十分に濡らすとともに、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを確実に防止することができる。
【0123】
次に、制御部90(図3)による便器洗浄処理(便器プレ洗浄および便器後部洗浄)の制御フローについて説明する。
【0124】
図15は、制御部90による便器洗浄処理の制御フローを示す図である。
【0125】
図15に示すように、制御部90は、まず、便器ノズルモータ40m(図3)を制御することにより、便器ノズル40を収納位置(図4および図5に示す位置)で保持する(ステップS1)。
【0126】
次に、制御部90は、入室検知センサ600(図1)の出力信号に基づいて、使用者がトイレットルームに入室したか否かを判別する(ステップS2)。使用者がトイレットルームに入室した場合、制御部90は、便器ノズルモータ40mを制御することにより、便器ノズル40を便器洗浄位置(図6および図7に示す位置)に移動させる(ステップS3)。
【0127】
次に、制御部90は、止水電磁弁7(図3)および切替弁モータ13m(図3)等を制御することにより便器ノズル40から洗浄水を噴出させるとともに、ランプ50を点灯させる(ステップS4)。
【0128】
次に、制御部90は、使用者がトイレットルームに入室してから所定時間(例えば、6秒)経過したか否かを判別する(ステップS5)。所定時間経過していない場合、制御部90は、使用者により停止スイッチ311(図2)が押下されたか否かを判別する(ステップS6)。
【0129】
停止スイッチ311が押下されていない場合、制御部90は、着座センサ610(図1)の出力信号に基づいて、使用者が便座部400(図1)に着座したか否かを判別する(ステップS7)。使用者が便座部400に着座していない場合、制御部90は、ステップS5の処理に戻る。
【0130】
ステップS5において所定時間経過したと判別された場合、制御部90はランプ50を消灯する(ステップS8)。次に、制御部90は、便器ノズルモータ40m(図3)を制御することにより、便器ノズル40を収納位置(図4および図5に示す位置)に移動させる(ステップS9)。
【0131】
次に、制御部90は、着座センサ610(図1)の出力信号に基づいて、使用者が起立したか否かを判別する(ステップS10)。使用者が起立したと判別された場合、制御部90は、止水電磁弁7(図3)等を制御することにより、便器ノズル40からの洗浄水の噴出を停止する(ステップS11)。これにより、制御部90による便器洗浄処理が終了する。
【0132】
ステップS2において使用者が入室していないと判別された場合、制御部90は、使用者が入室するまで待機する。
【0133】
ステップS6において使用者により停止スイッチ311が押下された場合、またはステップS7において使用者が便座部400に着座した場合、制御部90はステップS8の処理に進む。
【0134】
ステップS10において使用者が起立していない場合、制御部90は、使用者が起立するまで待機する。
【0135】
以上のように、本例においては、使用者がトイレットルームに入室してから所定時間が経過することにより、便器プレ洗浄が終了される。この場合、上述したように、使用者の着座前に便器700の内面を十分に濡らすとともに、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを確実に防止することができる。
【0136】
また、使用者が停止スイッチ311を押下するか、あるいは使用者が便座部400に着座することにより、便器プレ洗浄が終了される。したがって、使用者が上記所定時間内に便座部400に着座した場合にも、便器ノズル40から噴出される洗浄水が使用者に付着することを防止することができる。
【0137】
また、使用者が便座部400に着座している場合には、便器後部洗浄が行われる。それにより、便器700の内面の後方側に汚物が付着することを確実に防止することができる。
【0138】
なお、図15の制御フローでは、ステップS3において便器ノズル40が便器洗浄位置に移動した後にステップS4において洗浄水の噴出を開始しているが、便器ノズル40が便器洗浄位置に移動する前すなわち収納位置に保持されている状態で洗浄水の噴出を開始してもよい。この場合、便器プレ洗浄が行われる前に、便器ノズル40の洗浄を行うことができる。それにより、便器ノズル40の汚染を確実に防止することができる。
【0139】
また、図15の制御フローでは、ステップS2において使用者の入室を確認した場合に便器ノズル40を便器洗浄位置に移動させているが、便器ノズル40を予め便器洗浄位置で待機させてもよい。この場合、便器プレ洗浄を迅速に開始することができるので、十分な量の洗浄水を便器700に供給することができる。それにより、便器700に汚物が付着することをより確実に防止することができる。なお、便器ノズル40を予め便器洗浄位置で待機させる場合には、例えば、使用者がトイレ装置1000の使用を終えた後、所定時間経過した時点で便器ノズル40を便器洗浄位置に移動させてもよい。
【0140】
また、便器ノズル40から洗浄水を噴出させる場合には、人体用切替弁13を制御することによりノズル部20(図3)への洗浄水の供給を停止してもよい。この場合、便器ノズル40に十分な量の洗浄水を供給することができるので、便器700を洗浄水で十分に濡らすことができる。その結果、便器700に汚物が付着することを十分に防止できる。
【0141】
(4−h)便器洗浄および便器ノズルに関する効果
以上のように、本実施の形態においては、使用者が便座部400に着座する前に、便器のプレ洗浄が行われる。それにより、便器700の内面の略全域を洗浄水で濡らすことができるので、便器700に汚物が付着することを防止することができる。
【0142】
また、便器ノズル40の羽根部材42jと便器ノズル本体部41と所定のクリアランス(0.05mm程度)を設け、羽根部材42bが羽根部材42bに作用する力により自由に動けるような構成でフローティング支持をしたため、流路幅の不均一が加速流路41tを通過する流体の圧力により自動補正されるため、噴流を均一に便器面に拡げることができる。
【0143】
また、挿入軸部42aに流路41sでの整流効果を発揮する円環状の突起体42gを設けため、便器ノズル40の接続管44から流入した水は、流れが整流され噴流を均一に便器面に拡げることができる。
【0144】
また、噴流形成部材42を着脱自在の構成とすることにより使用者は容易にこの噴流形成部材42引き抜いて掃除することができるため、便器ノズル40を清潔に保つことができる。
【0145】
なお、本実施の形態においては、羽根部材は全て噴流形成部材の外面に設置した構成を説明したが、この構成に限るものではなく、羽根部材を便器ノズル本体部の内面に設置する構成でも同様な効果を得ることが可能である。また、羽根部材を噴流形成部材の外面と便器ノズル本体部の内面の両方に設置することも可能である。これらの各構成の選択は各部材の加工性や強度等を考慮して決定されるものであるが、本実施の形態においては、加工性を考慮して羽根部材を噴流形成部材の外面に設置した。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上のように、本発明にかかわる衛生洗浄装置は、全周に噴出するノズルの噴射を均一にすることが可能となるので、他の散水装置等の用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置およびそれを備えるトイレ装置の外観を示す斜視図
【図2】(a)は本発明の実施の形態1における遠隔操作装置のコントローラ蓋部を開いた状態の外観斜視図(b)は遠隔操作装置のコントローラ蓋部を開いた状態の前面の操作面を示す正面図
【図3】本発明の実施の形態1における本体部の構成を示す模式図
【図4】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の縦断面図
【図5】図4の便器ノズルおよびその周辺の構造を説明するための拡大断面図
【図6】便器プレ洗浄時における衛生洗浄装置の縦断面
【図7】図6の状態の便器ノズルおよびその周辺の構造を説明するための拡大断面図
【図8】(a)は図4の便器ノズルの先端部の詳細構造を示す断面図(b)は(a)のC14−C14の断面図
【図9】(a)は図4の便器ノズルの先端部の別の詳細構造を示す断面図(b)は(a)のC14−C14の断面図
【図10】便器ノズルの噴流形成部材の構造を示す斜視図
【図11】便器ノズルの噴流形成部材の別の構造を示す斜視図
【図12】図11の噴流形成部材を便器ノズル本体に挿入した状態を示す断面図
【図13】(a)は便器ノズルの噴出流速と広がり幅の定義を説明示す模式図(b)は噴出流速と広がり幅との関係を示すグラフ
【図14】入室着座時間の調査結果を示すグラフ
【図15】制御部による便器洗浄処理の制御フローを示すフローチャート
【符号の説明】
【0148】
40 便器ノズル
41 便器ノズル本体部
42 噴流形成部材
42a 挿入軸部
42b、42j、42k、42m 羽根部材
42g 整流部材
100 衛生洗浄装置
700 便器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水の供給源から供給される洗浄水を便器の内面に向けて噴出する便器ノズルを有する衛生洗浄装置であって、
前記便器ノズルは略筒状の便器ノズル本体部と、
前記便器ノズル本体部の内部に挿入した略柱状の噴流形成部材と、
を有しており、
前記便器ノズル本体部と前記噴流形成部材との間には、略全周に亘り隙間が形成されており、
前記噴流形成部材は、前記便器ノズル本体部の内部で遊動可能に設置されている、
衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記噴流形成部材の外面および前記便器ノズルの内面の少なくとも一方に突出する羽根部材が設けられており、前記羽根部材の寸法が前記隙間の寸法よりも小さく形成されることにより、前記噴流形成部材が前記便器ノズル本体部の内部で遊動可動に設置されている、
請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記羽根部材が前記噴流形成部材の外面に設けられている、
請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記便器ノズルの流入部近傍に整流部が設けられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記便器ノズル本体部に挿入された前記噴流形成部材が着脱可能な構成とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記羽根部材が前記噴流形成部材の挿入軸部の略全長に亘って設けられている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項1】
洗浄水の供給源から供給される洗浄水を便器の内面に向けて噴出する便器ノズルを有する衛生洗浄装置であって、
前記便器ノズルは略筒状の便器ノズル本体部と、
前記便器ノズル本体部の内部に挿入した略柱状の噴流形成部材と、
を有しており、
前記便器ノズル本体部と前記噴流形成部材との間には、略全周に亘り隙間が形成されており、
前記噴流形成部材は、前記便器ノズル本体部の内部で遊動可能に設置されている、
衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記噴流形成部材の外面および前記便器ノズルの内面の少なくとも一方に突出する羽根部材が設けられており、前記羽根部材の寸法が前記隙間の寸法よりも小さく形成されることにより、前記噴流形成部材が前記便器ノズル本体部の内部で遊動可動に設置されている、
請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記羽根部材が前記噴流形成部材の外面に設けられている、
請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記便器ノズルの流入部近傍に整流部が設けられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記便器ノズル本体部に挿入された前記噴流形成部材が着脱可能な構成とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記羽根部材が前記噴流形成部材の挿入軸部の略全長に亘って設けられている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の衛生洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−97331(P2009−97331A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248724(P2008−248724)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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