衛生洗浄装置
【課題】乾燥機能の自動運転の進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供すること。
【解決手段】人体局部を洗浄する洗浄手段３０と、人体局部を乾燥する乾燥手段（４０，５０）と、洗浄手段３０および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段３０５と、運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段３００と、入力手段３００の信号に応じて洗浄手段３０および前記乾燥手段（４０，５０）を運転制御し、報知手段３０５への報知情報を出力する制御手段１５０と、を有しており、制御手段１５０は、乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、乾燥手段（４０，５０）の運転時間情報を報知手段３０５により報知させる。
【解決手段】人体局部を洗浄する洗浄手段３０と、人体局部を乾燥する乾燥手段（４０，５０）と、洗浄手段３０および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段３０５と、運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段３００と、入力手段３００の信号に応じて洗浄手段３０および前記乾燥手段（４０，５０）を運転制御し、報知手段３０５への報知情報を出力する制御手段１５０と、を有しており、制御手段１５０は、乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、乾燥手段（４０，５０）の運転時間情報を報知手段３０５により報知させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人体局部を洗浄および乾燥する衛生洗浄装置に関し、より詳しくは、乾燥時間情報を報知する報知機能を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
トイレの便器６００上面に設置され人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置の分野においては、使用者の使い勝手を良くすべく様々な提案がされてきた。例えば、人体局部を洗浄する洗浄機能および洗浄後に、人体局部を乾燥する乾燥機能の動作内容を予め設定登録して自動運転させることにより、使用者は最初の運転開始の指示だけすれば全て自動的に運転し、自動的に運転を終了させる衛生洗浄装置が提案されている。
【０００３】
このような自動運転機能を有する衛生洗浄装置としては、自動運転のための設定登録内容を確認するための報知手段を有する装置が知られている（例えば、下記特許文献１を参照）。
【０００４】
図１５は、特許文献１に記載された従来の衛生洗浄装置の操作部を示す模式図を示す。図１５に示すように、洗浄機能および乾燥機能の運転のパターンを予め設定登録できる。特定のパタ−ン番号として設定登録したパタ−ンを、利用者が実行させたい場合、当該パタ−ン番号に対応するパタ−ン番号選択ボタン１０３を押すだけで自動進行を実行できる。
【０００５】
パタ−ン番号各々にどのようなパタ−ンが設定登録されているか否かは、登録／内容表示ボタン１０１の操作で確認する。操作部の登録／内容表示ボタン１０１を一度押すと、液晶パネル１０２に「登録済」が点灯し、さらに設定登録済のパタ−ン番号に対応する数字だけが点灯するように構成されている。
【０００６】
続けて登録／内容表示ボタン１０１を押すと、液晶パネル１０２に「内容表示」が点灯し、さらにパタ−ン番号選択ボタン１０３を押すと、既設定登録パターンの内容が液晶パネル１０２に表示され、確認できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−０４５３６４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、上記特許文献１に記載の従来の衛生洗浄装置であっても、使い勝手のよさの観点からは未だ改善の余地があった。
【０００９】
すなわち、先に述べたように、特許文献１に記載の衛生洗浄装置では、洗浄機能や乾燥機能の運転時間設定値は確認できるようになっているが、運転中の洗浄や乾燥の進行状況が分からないため、運転が何時終了するのかが分からない不安や不満があった。
【００１０】
洗浄機能は一般的に短時間で終了するので、さほど問題にならないが、乾燥機能は人体局部に付着する水滴を最終的に蒸発させて乾かす必要があるので、長い時間が必要となる。そのため、乾燥運転が開始された場合に、経過時間や終了タイミングを把握できないのは使用者にとって待ち時間が長く感じたり、設定が間違っていたり、故障を疑ったりとい
った不信感を抱くおそれがあった。
【００１１】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、人体局部を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄手段により濡れた人体局部を乾燥する乾燥手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段と、前記入力手段の信号に応じて前記洗浄手段および前記乾燥手段を運転制御し、前記報知手段への報知情報を出力する制御手段と、を少なくとも有しており、前記制御手段は、前記乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、前記乾燥手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる（請求項１）。
【００１３】
上述のように、本発明の衛生洗浄装置は、使用者が乾燥手段の自動運転を行う際に運転時間情報を報知するようにしたので、乾燥運転の経過状況を使用者が確認できるため、乾燥運転が何時終了するのか分からずに不安になることがなくなる。故に、本発明の衛生洗浄装置は、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することができる。
【００１４】
前記乾燥手段の運転終了までのカウントダウン時間を前記報知手段により報知させるようにしたものである（請求項２）。
【００１５】
この構成により、使用者は乾燥運転の進行状況と運転終了までの待ち時間が直接的に確認することができるため、乾燥運転終了までの待ち時間の不安や不満がより解消できる。
【００１６】
また、本発明の衛生洗浄装置においては、前記制御手段が、乾燥に必要な所定時間に遅延時間を加えた延長設定時間で前記乾燥手段を自動停止させるとともに、前記所定時間までの運転時間情報を前記報知手段により報知させるようにしたものである（請求項３）。
【００１７】
この場合、報知手段により使用者に乾燥に必要な時間経過情報を報知し、所定時間が経過しても乾燥運転は継続する。そして、使用者はこの時間情報に基づいて自ら運転を停止するように構成している。すなわち、使用者は時間情報から局部の乾燥状態を判断して、好みの状態で自ら運転を停止するので、使用者の乾燥状態に対する満足度合いを向上できる。
【００１８】
また、人体局部に付着した水滴を、一般の温風だけによる乾燥運転で蒸発・乾燥させる場合、長時間の乾燥を余儀なくされていた。この乾燥時間を短縮する観点から、本発明の衛生洗浄装置においては、前記乾燥手段が、人体局部に付着した水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段とを備え、前記制御手段は、前記水滴除去手段および前記温風手段をそれぞれ自動停止させるとともに、少なくとも前記水滴除去手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる（請求項４）。
【００１９】
また、本発明の衛生洗浄装置において、上述の構成（請求項４）を採用する場合、前記制御手段は、前記水滴除去手段と前記温風手段との自動停止時間の短い方の運転時間情報を前記報知手段により報知させ、一方が停止した場合に他方の運転時間情報に切換えて前記報知手段により報知させることが好ましい（請求項５）。
【００２０】
この場合、単一の報知手段により順番に運転時間情報を報知することができるので、使用者にとって注目すべき情報が一箇所に集約できるので分かりやすい。また、製造コスト（部品コストの削減、組立作業の削減による不良品の発生低減など）もできるようになる。
【００２１】
また、より使用者の好みに対応する観点から、本発明の衛生洗浄装置においては、前記制御手段が、前記乾燥手段の自動停止までの運転時間が予め複数設定されており、使用者が前記複数の運転時間のうちから所望の運転時間を選択可能に構成されているので、乾燥時間と乾燥度合いを使用者の好みに応じて選択できるようになり、より使い勝手のよい衛生洗浄装置を提供できる（請求項６）。
【発明の効果】
【００２２】
本発明によれば、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の第１実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す外観斜視図
【図２】同衛生洗浄装置における遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図３】同衛生洗浄装置における制御手段の構成を示すブロック図
【図４】同衛生洗浄装置における洗浄手段及び制御手段の構成を示すブロック図
【図５】同衛生洗浄装置における空気噴出手段、温風手段及び制御手段の構成を示すブロック図
【図６】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の構成を示す斜視図、（ｂ）同衛生洗浄装置におけるノズル突出時の駆動手段の構成を示す斜視図、（ｃ）視線Ｌ１の方向から駆動手段を透視した透視断面図
【図７】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル洗浄手段の横断面を示す模式図、（ｂ）同ノズル洗浄手段の縦断面を示す模式図
【図８】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズルの正面図、（ｂ）同ノズルを切断した場合のＡ−Ａ断面図、（ｃ）乾燥設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図、（ｄ）おしり洗浄設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図、（ｅ）ビデ設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図
【図９】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の側面図、（ｂ）同駆動手段を切断した場合のＡ−Ａ部分断面図、（ｃ）同駆動手段を切断した場合のＢ−Ｂ部分断面図
【図１０】同衛生洗浄装置のノズル位置の制御動作を示すタイムチャート
【図１１】同衛生洗浄装置における制御動作を示すタイムチャート
【図１２】（ａ）同衛生洗浄装置が「おしり洗浄」運転状態の模式的断面図、（ｂ）同衛生洗浄装置が「乾燥」第１ステップの運転状態の模式的断面図、（ｃ）同衛生洗浄装置が「乾燥」第２ステップの運転状態の模式的断面図
【図１３】同衛生洗浄装置における「乾燥」運転状態の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図１４】同衛生洗浄装置における「乾燥」運転状態の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図１５】従来の衛生洗浄装置の操作部を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、図面を参照しながら本発明の衛生洗浄装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【００２５】
（第１実施形態）
図１は本発明の衛生洗浄装置の第１実施形態及びそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。
【００２６】
図１に示すように、このトイレ装置１０００はトイレットルーム内に設置されるものであり、主として、便器６００と、この便器６００上に載置された衛生洗浄装置１００とから構成されている。
【００２７】
上記の衛生洗浄装置１００は、主として、便器６００の用便用の開口部の後方の縁部分上に配置される本体部２００と、便座部４００と、便蓋部５００と、遠隔操作装置３００と、入室検知センサ７００とから構成されている。便座部４００は、本体部２００に開閉可能に取り付けられている。また、便蓋部５００も、本体部２００に開閉可能に取り付けられている。
【００２８】
図１に示すように、本体部２００は、主として、人体局部を洗浄する洗浄手段３０と、この洗浄により濡れた人体局部を乾燥させる乾燥手段と、制御手段１５０とから構成され、その乾燥手段は、ノズル２０を含む水滴除去手段５０（空気噴出手段）と、温風手段４０とから構成されている。
【００２９】
更に、本体部２００には、その正面上部に着座センサ６１０が設けられている。この着座センサ６１０は、使用者の着座を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、着座センサ６１０は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部４００上に使用者が存在することを検知する構成とされている。
【００３０】
入室検知センサ７００は、トイレットルームの入口等の使用者の入室及び退室が検知しやすい場所を選んで取り付けられるものである。この入室検知センサ７００は、使用者のトイレットルームへの入室及びトイレットルームからの退室を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、入室検知センサ７００は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する構成とされている。
【００３１】
本体部２００の制御手段１５０（図３、図４参照）は、遠隔操作装置３００、入室検知センサ７００及び着座センサ６１０から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置１００の後述する動作を制御するものである。
【００３２】
図１に示すように、水滴除去手段５０は、主として、加圧空気を供給するエアポンプ５１と、この加圧空気を噴出する空気噴出口２１を先端部に有する筒状のノズル２０と、空気噴出口２１から噴出される加圧空気の噴流を前後左右に移動するために、ノズル２０をその軸方向に進退駆動させる動作とノズル２０をその軸を回転中心として回動駆動させる動作を行うための駆動手段５２とにより構成されている。駆動手段５２は、ノズル２０の進退駆動と回動駆動とを同時に実行できる構成を有するとともに、進退駆動と回動駆動とをそれぞれ独立に実行できる構成も有している。
【００３３】
この水滴除去手段５０から噴出する加圧空気は使用者の局部の「被乾燥面」に到達する風速が秒速２０〜５０ｍの能力を備えており、「被乾燥面」における噴流の当接範囲は直径約１ｃｍ程度の大きさとなるように設定されている。
【００３４】
また、ノズル２０には、洗浄水を噴出する第１の洗浄水噴出口２２を含む洗浄手段３０
の洗浄ノズル部３３が一体的に構成されている。この洗浄手段３０は、主として、ノズル２０に設けられた第１の洗浄水噴出口２２と第２の洗浄水噴出口２３以外に水道水の供給を開閉する開閉弁３４と、水道水を加熱する温水加熱手段３１と、温水加熱手段３１からの温水をノズル２０の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁３２と、上述の洗浄ノズル部３３とで構成されている。
【００３５】
なお、第１の洗浄水噴出口２２はおしり洗浄用洗浄水を噴出し、おしり（使用者の局部）の「被洗浄面」を洗浄するためのものであり、第２の洗浄水噴出口２３はビデ用洗浄水を噴出し、ビデ（使用者の局部）の「被洗浄面」を洗浄するためのものである。「被洗浄面」及び「被乾燥面」は、いずれも使用者の局部を中心とした体表面であるが、特に本実施形態においては、「被洗浄面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち使用者の排泄により汚れうる範囲であることが好ましい。
【００３６】
この「被洗浄面」の範囲は、使用者の体型の分布、便器６００の大きさ、便器６００の形状、洗浄水の吐出量範囲、洗浄水の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被洗浄面」の範囲は、排泄により汚れうる範囲を検知可能なセンサなど（排泄物中の水分などを検知する赤外線センサなど）により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
【００３７】
また、本実施形態における「被乾燥面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち洗浄水により洗浄処理された際に洗浄水で濡れうる範囲であることが好ましい。さらに、「被乾燥面」の範囲（面積）が「被洗浄面」の範囲（面積）以上であり、かつ、「被乾燥面」に被洗浄面の全範囲が含まれるよう設定されていることが好ましい。なお、この「洗浄水で濡れうる範囲」には、通常、上述の「被洗浄面」の範囲、すなわち、「人体局部およびその周辺のうち使用者の排泄により汚れうる範囲」が含まれるが、「洗浄水で濡れうる範囲」に「被洗浄面」の範囲が含まれない場合には、「被乾燥面」の範囲は、「洗浄水で濡れうる範囲」と「被洗浄面」の範囲とを含む範囲であることが好ましい。
【００３８】
この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める場合と同様に、使用者の体系の分布、便器６００の大きさ、便器６００の形状、加圧空気の吐出量範囲、加圧空気の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める構成と同様に、洗浄水で濡れうる範囲を検知可能なセンサなど（水分を検知する赤外線センサなど）により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
【００３９】
温風手段４０は、温風を噴き出す温風噴出口４２と、温風噴出口４２に導かれる空気を加熱する温風ヒータ４３と、内臓の温風ヒータ４３に送風して温風を供給する送風手段であるエアファン４１とにより構成されている。温風噴出口４２より噴出する温風は、水滴除去手段５０から噴出する加圧空気の流速より遅く、その風速は秒速１０ｍ以下であり、使用者の局部の被乾燥面に対して当接面積が広くなるように、被乾燥面の略全面に温風が拡散するように構成している。
【００４０】
図２は、図１に示した衛生洗浄装置における遠隔操作装置３００の一例を示す模式図（正面図）である。遠隔操作装置３００は、使用者のスイッチ操作信号を本体部２００に送信し、衛生洗浄装置を駆動制御する入力手段であるとともに、図１に示す洗浄手段３０、温風手段４０、及び水滴除去手段５０の運転状態（経過時間または終了までの時間）を報知する報知手段でもある。そして、コントローラ本体部３０１の下部にコントローラ蓋部３０２が開閉自在に設けられた構造を有する。
【００４１】
図２（ａ）に示すように、コントローラ蓋部３０２が閉じられた状態で、コントローラ本体部３０１の上部には乾燥モードスイッチ３２０ａ、３２０ｂ、３２０ｃ、洗浄の強さ調整スイッチ３２２，３２３、洗浄運転や乾燥運転の運転状況を表示する報知手段である液晶パネル３０５が設けられ、コントローラ蓋部３０２には停止スイッチ３１１、乾燥スイッチ３１４、おしりスイッチ３１２及びビデスイッチ３１３が設けられている。
【００４２】
なお、上記の運転状況とは、運転モードや運転状態を表すもので、洗浄手段３０においては、洗浄運転ＯＮ／ＯＦＦ状態、洗浄水勢、洗浄温度、洗浄水の噴流位置、洗浄運転経過時間、人体局部の洗浄度合などが含まれる。また、温風手段４０、及び水滴除去手段５０においては、乾燥運転ＯＮ／ＯＦＦ状態、温風風量、温風温度、温風運転経過時間、人体局部の乾燥度合などが含まれ、水滴除去手段においては、加圧空気の噴流パターン工程、加圧空気噴出経過時間、人体局部の水滴除去度合などが含まれる。
【００４３】
本実施形態では、運転モードを「洗浄」「乾燥」「準備中」の文字を液晶パネル３０５の上部の運転状況に応じて点灯させる。また、洗浄中であれば洗浄運転の経過時間を液晶パネル３０５下部に表示する。乾燥中の場合は加圧空気噴出運転の残り時間を表示する。
【００４４】
上記各スイッチは使用者により操作される。これにより、遠隔操作装置３００から図１の本体部２００に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部２００の制御手段１５０（図３、図４、図５参照）は、受信した信号に基づいて本体部２００（図１参照）及び便座部４００（図１参照）の各構成部の動作を制御する。
【００４５】
例えば、使用者がおしりスイッチ３１２またはビデスイッチ３１３を操作することにより、後述するノズル２０（図３参照）から使用者の局部の被洗浄面へ洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ３１１を操作することにより、ノズル２０から使用者の局部の被洗浄面への洗浄水の噴出が停止される。
【００４６】
使用者が乾燥スイッチ３１４を操作することにより、使用者の局部の被乾燥面に後述する水滴除去手段５０（図４参照）から加圧空気が噴出されると同時に温風手段４０（図４参照）からも温風が吹き出される。
【００４７】
また、使用者が乾燥モードスイッチ３２０ａ，３２０ｂ，３２０ｃを選択操作することにより、前述の使用者の局部の被乾燥面に噴出される乾燥空気の噴出時間や噴出パターンなどの噴出条件が変更され、使用状況や使用者の好みにより任意に選択することが可能となっている。乾燥モードスイッチ３２０ａは短時間で乾燥を終了したい場合の「短縮乾燥運転」、乾燥モードスイッチ３２０ｂは局部を標準的に乾燥させる「標準乾燥運転」、乾燥モードスイッチ３２０ｃは乾燥時間を標準より長く設定して、局部を確実に乾燥させてさらっと仕上げる「しっかり乾燥運転」、をそれぞれ選択できるようになっている。
【００４８】
また、使用者が強さ調整スイッチ３２２，３２３を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等が調整される。
【００４９】
液晶パネル３０５は、おしりスイッチ３１２またはビデスイッチ３１３を操作して洗浄運転が開始された場合に、洗浄運転の経過時間が秒単位で数値表示される。停止スイッチ３１１を操作して洗浄運転が終了すると時間表示をゼロクリアする。また、乾燥スイッチ３１４を操作した場合、加圧空気による人体局部の水滴除去運転の運転時間をカウントダウンするように液晶パネル３０５に表示する。すなわち、水滴除去運転の運転時間が例えば３０秒であれば３０からスタートして、１秒経過毎に表示時間を減算して水滴除去運転終了時にゼロになるように表示される。
【００５０】
図２（ｂ）に、コントローラ蓋部３０２が開かれた状態の遠隔操作装置３００の正面図が示されている。図２（ｂ）に示すように、コントローラ蓋部３０２により覆われるコントローラ本体部３０１の下部には、上述の停止スイッチ３１１、乾燥スイッチ３１４、おしりスイッチ３１２及びビデスイッチ３１３に加えて、便蓋部５００の自動開閉の入り切りスイッチ３１５、温風温度調整スイッチ３４０、水温調整スイッチ３３３、便座温度調整スイッチ３３４、除菌スイッチ３３５が設けられている。
【００５１】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置３００から本体部２００に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部２００の制御手段１５０は、受信した信号に基づいて本体部２００及び便座部４００の各構成部の動作を制御する。
【００５２】
自動開閉の入り切りスイッチ３１５はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉の入り切りスイッチ３１５のつまみを操作することにより、便蓋部５００（図１参照）の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉の入り切りスイッチ３１５のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便蓋部５００が開閉される。
【００５３】
使用者が温風温度調整スイッチ３４０を操作することにより、温風手段４０から使用者の局部に吹き出される温風の温度が調整される。この温風温度調整スイッチ３４０は、一回押す毎に温風温度の設定が、温風温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされている。この「切」の設定で運転した場合は、温風ヒータ４３（図４参照）がオフとなり送風だけとなる。
【００５４】
なお、本実施形態においては、図２（ｂ）に示すように、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられている。
【００５５】
また、使用者が水温調整スイッチ３３３を操作することにより、ノズル２０から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。この水温調整スイッチ３３３も上述の温風温度調整スイッチ３４０と同様に、水温調整スイッチ３３３は、一回押す毎に洗浄水の温度の設定が、洗浄水の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
【００５６】
更に、使用者が便座温度調整スイッチ３３４を操作することにより、便座部４００の温度が調整される。この便座温度調整スイッチ３３４も上述の温風温度調整スイッチ３４０と同様に、便座温度調整スイッチ３３４は、一回押す毎に便座の温度の設定が、便座の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
【００５７】
次に、制御手段１５０の構成について説明を行う。
【００５８】
図３は図１に示した衛生洗浄装置１００における制御手段１５０および入出力装置の構成を示すブロック図である。
【００５９】
図３に示す制御手段１５０は、主として、制御部１５１と、記憶部１５２と、入出力部１５３とを有している。そして、制御部１５１は、入出力部１５３の入力条件に応じて、記憶部１５２内の制御ルーチンや制御パラメータに基づいてプログラムを実行し、入出力部１５３を介して構成機器を制御する。
【００６０】
入出力部１５３は、遠隔操作装置３００の操作信号はじめ入室検知センサ７００、着座センサ６１０、室温検出手段６２０などの各種センサの信号を入力し制御部１５１へ送る一方、制御部１５１からの制御信号に基づいて開閉弁３４、温水加熱手段３１、切換弁３２、第１のモータ５３、第２のモータ５４、エアポンプ５１、エアファン４１、温風ヒータ４３などの構成機器を駆動する。
【００６１】
次に、本体部２００内に設けられた洗浄手段３０について説明を行う。
【００６２】
図４は図１に示した衛生洗浄装置１００における洗浄手段３０及び制御手段１５０の構成を示すブロック図である。
【００６３】
図４に示す洗浄手段３０は、主として、開閉弁３４と、温水加熱手段３１と、切換弁３２と、ノズル２０と、ノズル洗浄手段３５と、駆動手段５２と、制御手段１５０とを有している。また、駆動手段５２には、後述する第１のモータ５３ 及び第２のモータ５４が含まれている。切換弁３２は、温水加熱手段３１からの温水をノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２方向と第２の洗浄水噴出口２３方向と、ノズル洗浄手段３５方向に切換駆動するためのものである。そして、制御手段１５０は、開閉弁３４、温水加熱手段３１、切換弁３２、第１のモータ５３及び第２のモータ５４の動作を制御する。
【００６４】
次に、本体部２００内に設けられた乾燥機能について説明を行う。
【００６５】
図５は図１に示した衛生洗浄装置１００における水滴除去手段５０、温風手段４０及び制御手段１５０の構成を示すブロック図である。
【００６６】
図５に示すように、水滴除去手段５０は、ノズル２０と、エアポンプ５１と、駆動手段５２と、制御手段１５０と、室温検出手段６２０とを有している。すなわち、水滴除去手段５０は上述の洗浄手段３０に対し、ノズル２０、駆動手段５２及び制御手段１５０を共有する構成とされている。先に述べたように、駆動手段５２には、後述する第１のモータ５３ 及び第２のモータ５４が含まれている。温風手段４０は、エアファン４１、温風ヒータ４３及び温風噴出口４２を含んでいる。そして、制御手段１５０は、室温検出手段６２０の検出信号を入力し、エアポンプ５１、第１のモータ５３ 、第２のモータ５４、エアファン４１及び温風ヒータ４３の動作を制御する。
【００６７】
室温検出手段６２０は、衛生洗浄装置１００の雰囲気温度が検出できるように本体部２００（図１参照）に内蔵されている。この室温検出手段６２０は、サーミスタにより室温を検出する構成を有している。
【００６８】
本実施形態においては、使用者の要求により、使用者の局部の被乾燥面を乾燥させる乾燥工程を実行する場合、制御手段１５０は、温風手段４０と水滴除去手段５０を同時に駆
動させて、温風手段４０により送風される温風を、水滴除去手段５０により噴出される加圧空気により誘引しながら両者を混合して被乾燥面に噴出する第１の乾燥運転と、水滴除去手段５０だけを駆動して加圧空気だけ被乾燥面に噴出する第２の乾燥運転と、温風手段４０だけを駆動して温風だけ被乾燥面に吹き出す第３の乾燥運転の３通りの運転パターン実行し、被乾燥面を乾燥させる。
【００６９】
図６は図１に示した衛生洗浄装置１００における洗浄手段３０及び水滴除去手段５０に搭載される駆動手段５２の構成を示す斜視図である。図６（ａ）はノズル２０収納時の駆動手段５２の構成を示す斜視図である。また、図６（ｂ）はノズル２０突出時の駆動手段５２の構成を示す斜視図である。更に、図６（ｃ）は（ｂ）に示した駆動手段を（ｂ）中に示す視線Ｌ１の方向（ノズル２０の軸方向）から透視した場合における、支持部５５、ノズルホルダ５８、チューブ３９、及び、シャフト６６の位置関係を示す透視断面図である。
【００７０】
図６に示すように、駆動手段５２は、主として、人体局部の方向に加圧空気を噴出する空気噴出口２１を先端部に有する筒状のノズル２０と、ノズル２０の後端部に一体的に接続されており、ノズル２０をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ５８と、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸の方向に進退可能に支持する支持部５５と、支持部５５に固定されており、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸方向に進退駆動する進退駆動手段と、支持部５５に固定されており、ノズル２０の軸を回転中心としてノズル２０を回動駆動する回動手段とを含む構成を有している。
【００７１】
上述の構成を有する駆動手段５２によれば、ノズル２０から噴出する加圧空気の被乾燥面に対する当接範囲を使用者の局部の被乾燥面の全面に亘り任意に移動させることができる。
【００７２】
ノズル２０の空気流入口、洗浄水流入口４５ｂのそれぞれには、ノズル２０への加圧空気及び洗浄水の供給を行うための４本のチューブ３９（チューブ３９ａ、チューブ３９ｂ、チューブ３９ｃ、及び、チューブ３９ｄ）が接続されている。
【００７３】
４本のチューブ３９はその一端がノズル２０の空気流入口に接続されているものとノズル２０の洗浄水流入口４５ｂに接続されているものがある。また、４本のチューブ３９の他端は固定部（図示せず）に固定されている。この固定部はエアポンプ５１に連通する構成を有しており、また、温水加熱手段３１からの洗浄水（温水）をノズル２０の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁３２にも連通する構成を有している。
【００７４】
上述のように、本実施形態の場合、４本のチューブ３９はその一端がノズル２０の空気流入口又はノズル２０の洗浄水流入口４５ｂに接続されているので、ノズル２０の回動にともなってチューブ３９も回動（又は移動）する構成となっている。
【００７５】
ここで、ノズル２０が回動して空気噴出口２１から加圧空気を噴出する際のノズル２０の回動範囲（回動角度範囲）は、使用者の局部の被乾燥面へ加圧空気が適切にあたる範囲となるように予め位置決めされている。そして、この位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、これら４本のチューブ３９は空気流入口４５ａ又は洗浄水流入口４５ｂと、固定部とに接続されている。
【００７６】
より具体的には、４本のチューブ３９は、空気流入口４５ａ又は洗浄水流入口４５ｂと、固定部とに接続される際にＵ字状に屈曲されているが、屈曲されることにより上述のノズル２０の位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、４本のチューブ３９の
各々に加わる、いわゆるねじり作用が十分に小さくなるように接続されている。
【００７７】
また、４本のチューブ３９がノズル２０の回動にともなって回動（又は移動）する場合において、４本のチューブ３９がシャフト６６に接触しないように、チューブ３９はシャフト６６に対して最小限の間隔があくように配置されている。
【００７８】
このことについて、図６（ｃ）を用い、４本のチューブ３９のうちのチューブ３９ａを代表例として説明する。
【００７９】
図６（ｃ）に示すように、チューブ３９ａの一端はノズルホルダ５８の内部に位置する空気流入口４５ａ（図８参照）に接続されており、チューブ３９ａの他端はノズル２０の外側にある固定部（図示せず）に固定されている。そして、図６（ｃ）に示す視線Ｌ１の方向から透視した場合、チューブ３９ａの両端を結ぶ軸心の線Ｌ２と、チューブ３６ａの空気流入口４５ａに接続されている一端の軸心から外にのばした仮想の線Ｌ３（後述の支持部５５の設置面に略平行な線Ｌ４に平行な線Ｌ３）との角度θが以下のように調節されている。
【００８０】
すなわち、チューブ３９ａがノズル２０の回動にともなって回動（又は移動）する場合において、チューブ３９ａがシャフト６６に接近しても接触しないように（チューブ３９はシャフト６６に対して最小限の間隔があくように）上記角度θが調節されている。
【００８１】
次に、支持部５５について説明する。本実施形態の場合、支持部５５は、駆動手段５２全体を支える構成とされている。
【００８２】
図６（ａ）、図６（ｂ）及び後述の図９（ａ）に示すように、支持部５５は、略三角柱状（底面が略直角三角形）の形状を有する構造体であり、当該三角柱をその側面が底になるように本体部２００内に立設されている。
【００８３】
より詳しくは、支持部５５は、本体部２００内に立設される際に、上記略三角柱状の構造体の３つの側面のうち面積が最大の側面（直角三角形の長辺を含む略長方形の側面）が、上方を向きかつ奥の後方から前方に向けて前傾する状態（下がる状態）となるよう立設されている。なお、上記の前傾する状態とされている側面（以下、この側面を「支持部５５の上面」という）の長手方向はノズル２０の軸の方向と略平行となるように構成されている。
【００８４】
また、支持部５５の上記略直角三角形の底面は、以下、本明細書においては、「支持部５５の側面」という。更に、以下、本明細書において、「前方向」とは図６のＡ方向を示し、「後方向」とはＢ方向を示す。具体的には、前方向は便座部４００に着座した用便者の視線でみて前面の方向に略一致する方向であり、後方向は用便者の視線で見て背面の方向に略一致する方向である。
【００８５】
上記の支持部５５の上面上には、ノズル２０が、空気噴出口２１の形成された先端部が下がるように前傾姿勢で配置されている。この際、ノズル２０の軸の方向は、使用者の局部の被乾燥面を乾燥する乾燥作業を行う際に、空気噴出口２１が形成された先端部が予め設定される乾燥作業に適した位置にまでのびることが可能な方向に設定されている。
【００８６】
より詳しく説明すると、支持部５５の上面上において、ノズル２０の後端部には当該ノズル２０をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ５８が配置されている。更に支持部５５の上面にはノズルホルダ５８をノズル２０の軸の方向に進退可能に保持するレール部５６が後方から前方にむけて延びるように設けられている。
【００８７】
また、支持部５５のレール部５６の前方の先端部には貫通孔を有する筒状のガイド部５７が設けられている。そして、このガイド部５７の貫通孔には、ノズル２０が進退自在及び回動に挿入されている。このガイド部５７は摺動性のよい構成材料で構成されており、更に、ノズル２０がスムーズに貫通孔において回転及び摺動するように、ノズル２０との間には適度なクリアランスが設けられている。
【００８８】
これにより、図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すようにノズルホルダ５８は、レール部５６に沿ってノズル２０の軸の方向にスライド（進退移動）することになる。そして、このノズルホルダ５８の進退移動の動作に合わせてノズル２０もレール部５６に沿って進退移動することになる。
【００８９】
次に、支持部５５に固定されており、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸方向に進退駆動する進退駆動手段について説明する。
【００９０】
進退駆動手段は、支持部５５に固定された第１のモータ５３と、第１のモータ５３及びノズルホルダ５８に連接されており第１のモータ５３の回転軸の回転運動をノズル２０及びノズルホルダ５８の進退駆動に変換する第１の連接手段と有している。
【００９１】
第１の連接手段は、主として、原動プーリ６０、従動プーリ５９ａ、従動プーリ５９ｂ、テンションプーリ５９ｃ、これらの４つのプーリに接続されており、原動プーリ６０を介して第１のモータ５３の回転軸の回転運動を従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂに伝達するタイミングベルト６１により構成されている。
【００９２】
ここで、第１のモータ５３は、略直角三角形状の支持部５５の側面の略直角の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。さらに、原動プーリ６０は、その回転中心となる貫通孔を有している。この原動プーリ６０の貫通孔に第１のモータ５３の回転軸が嵌合され、第１のモータ５３に対して原動プーリ６０が正逆回転可能に固定されている。
【００９３】
また、従動プーリ５９ａは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面の角部のうちガイド部５７に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。従動プーリ５９ｂは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面の角部のうちノズルホルダ５８に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。
【００９４】
そして、タイミングベルト６１は、原動プーリ６０、従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂを囲み、かつ、それぞれの回転面に接触されている。これにより、タイミングベルト６１は、原動プーリ６０を介して第１のモータ５３の回転軸の回転運動を従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂに伝達することができるようになる。
【００９５】
更に、テンションプーリ５９ｃは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面において、原動プーリ６０と従動プーリ５９ａとの間に位置するタイミングベルト６１をその回転軸で押圧できるよう原動プーリ６０と従動プーリ５９ａとの間に回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。これにより、タイミングベルト６１のテンションを十分に保持することができるようになる。
【００９６】
また、従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂの間に位置するタイミングベルト６１の部分は、その回転方向がレール部５６の軸方向と略平行となるように配置されている。この従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂの間に位置するタイミングベルト６１の部分に
は、ノズルホルダ５８に設けられたアーム部５８ａが連結されている。これにより、ノズルホルダ５８及びノズル２０は、第１のモータ５３の回転により動くタイミングベル６１の動きに応じてレール部５６に沿ってノズル２０の軸方向に前後に進退駆動することになる。
【００９７】
次に、ノズル２０をその軸を回転中心として回動駆動する回動手段について説明する。回動手段は、主として、支持部５５の上面の後端に固定された第２のモータ５４と、第２のモータ５４及びノズル２０に連接されており第２のモータ５４の軸の回転運動をノズル２０の回転駆動に変換する第２の連接手段と、を有している。
【００９８】
その第２の連接手段は、主として、断面が正方形のシャフト６６と、第２のモータ５４の回転をシャフト６６に伝達する第１の伝達手段と、シャフト６６の回転をノズル２０に伝える回転体とから構成されている。
【００９９】
第１の伝達手段は、主として、歯車Ａ６２と、歯車Ｂ６３とから構成されている。歯車Ａ６２は、第２のモータ５４の軸に嵌合されている。また、歯車Ｂ６３は、シャフト６６の後端部に一体に嵌合されている。シャフト６６は、ノズル２０の軸と略平行になるように、両端を支持部５５に回転自在に支持されている。
【０１００】
回転体は、お互いに噛合う歯車Ｃ６４と歯車Ｄ６５により成り、歯車Ｃ６４は、ノズルホルダ５８に対し、ノズル２０の進退駆動に連動するように固定され、シャフト６６の回転に連動して回転可能に、シャフト６６に嵌合されている。すなわち、歯車Ｃ６４は、中心に断面形状が正方形の穴を有し、この穴にシャフト６６が摺動可能に嵌っている。また、歯車Ｄ６５は、ノズル２０の最後端に直結され、ノズルホルダ５８に回転自在に保持されている。したがって歯車Ｃ６４の回転動作が、ノズル２０の回転動作となる。
【０１０１】
このように、回動手段は、第２のモータ５４の正逆回転に応じてノズル２０が回転し、空気噴出口２１から噴出する空気噴流は図５のＣ及びＤの右左方向に揺動する。
【０１０２】
なお、本実施形態では、第１の伝達手段として歯車Ａ６２と歯車Ｂ６３を用いたが、第１の伝達手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第１の伝達手段としては、第２のモータ５４とシャフト６６を直結して、第２のモータ５４の回転をシャフト６６に直接伝達する構成を採用してもよい。この場合、歯車Ａ６２と歯車Ｂ６３が不要となるので、第２の電動モータの動力の伝達ロスや動力の伝達不良を十分に低減できるようになる。また、部品コスト削減、組み立て作業の削減による不良品の発生低減などにより、製造コストの削減もできるようになる。
【０１０３】
次に、図７を用いてノズル洗浄手段３５について詳細に説明する。
【０１０４】
図７（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル洗浄手段３５の横断面を示す模式図である。また、図７（ｂ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル洗浄手段３５の縦断面を示す模式図である。
【０１０５】
図７（ａ）、図７（ｂ）に示すように、ノズル洗浄手段３５は、ガイド部５７と一体に構成され、入水口３６、洗浄室３７、洗浄水拡散部３８を含んで構成されており、洗浄水が入水口３６より供給され、洗浄水拡散部３８の段差に衝突して洗浄室３７に拡散するので、洗浄水がノズル２０の表面を洗い流すことができる。
【０１０６】
次に図８を用いてノズル２０を中心としたノズルユニットの構成について説明する。
【０１０７】
図８（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル２０をその空気噴出口２１の側からみた場合の正面図である。図８（ｂ）は（ａ）に示したＡ−Ａ線に沿ってノズル２０を切断した場合の断面図である。図８（ｃ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者が乾燥設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。図８（ｄ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者がおしり洗浄設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。図８（ｅ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者がビデ設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。
【０１０８】
図８に示すノズル２０は円柱形状（筒状形状）を有し、先端近傍の外周方向に空気噴出口２１と第１の洗浄水噴出口２２と第２の洗浄水噴出口２３とが設けられ、内部に加圧空気を空気噴出口２１に導くエア流路２４と、おしり洗浄用の洗浄水を第１の洗浄水噴出口２２に導く水用流路ａ２５と水用流路ｂ２６と、ビデ用洗浄水を第２の洗浄水噴出口２３に導く水用流路ｃ２７が設けられている。
【０１０９】
ノズル２０外周部には、ノズル２０の外周面を覆い、回動自在に設けたノズルカバー２８が配置され、ノズル２０の第１，第２の洗浄水噴出口２２，２３と空気噴出口２１とに対向する一つの開口部２９が形成されている。
【０１１０】
したがって、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を変えることで、開口部２９に望む噴出口を切換えることができる。図８（ｃ）は開口部２９と空気噴出口２１を一致させた場合を示し、図８（ｄ）は開口部２９と第１の洗浄水噴出口２２を一致させた場合、図８（ｅ）は開口部２９と第２の洗浄水噴出口２３を一致させた場合を示す。このように運転モードに応じて噴出口を簡単に切換えることができる。
【０１１１】
第１の洗浄水噴出口２２は、水用流路ｂ２６からの平行流に、水用流路ａ２５からの旋回流を合成して噴出するので、平行流と旋回流の割合を調整することにより噴流の広がりと強さを変更することができる。
【０１１２】
ノズルカバー２８はパイプ状のステンレス金属により構成することにより、細菌の繁殖が抑制されより衛生性を向上できる。
【０１１３】
エアポンプ５１からの加圧空気は、チューブ３９ａに接続された空気流入口４５ａからエア流路２４に供給される。また、切換弁３２からの洗浄水は、チューブ３９ｂに接続された洗浄水流入口４５ｂから水用流路ｂ２６に供給される。
【０１１４】
同様に水用流路ａ２５と水用流路ｃ２７にも洗浄水流入口（図示せず）及び洗浄水流入口（図示せず）が形成されており、それぞれにチューブ３９ｃ、チューブ３９ｄ（図６参照）が接続されている。
【０１１５】
これら４本のチューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄには、ノズル２０が回転や前後駆動する際に、ねじれ又は屈曲されることに対する応力（復元力）が発生する。そのため、この力を低減する観点から、４本のチューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄは、ゴムやエラストマなどの可撓性素材を構成材料として構成されている。
【０１１６】
空気流入口４５ａ、洗浄水流入口（図示せず）、洗浄水流入口４５ｂ、洗浄水流入口（図示せず）は、円筒状のノズルホルダ５８の内側に配置されている。この構成により、チューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄを空気流入口４５ａ、洗浄水流入口、洗浄水流入口４５ｂ、洗浄水流入口４５ｂに接続してＵ字状に屈曲して構成する際、ノズル２０の後端部の寸法を小さくすることができる。そのため、ノズル２０をコンパクトに構成するこ
とができるので、ノズル２０を本体部２００に収納する時に、ノズル２０が本体部２００内へ完全に収容される構成とすることが容易にできるようになる。
【０１１７】
次にノズルカバー２８とノズル２０の角度設定の構成について図９を用いて説明する。図９（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル２０収納時の駆動手段５２の側面図である。図９（ｂ）は（ａ）に示したＡ−Ａ線に沿ってノズル２０及び駆動手段５２を切断した場合の部分断面図である。図９（ｃ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０及び駆動手段５２を切断した場合の部分断面図である。
【０１１８】
図９（ａ）、（ｂ）に示す支持部５５とノズルホルダ５８にはノズルカバー２８の回転を抑制する回転抑制手段であるストッパ７１、ストッパ７２が設けられている。
【０１１９】
ストッパ７１は、支持部５５の後部に配置されている。ノズル２０が進退駆動（前後駆動）の最終端に移動し収納状態になった場合に、ノズルカバー２８のアーム７３がこのストッパ７１の内部に収容されることで、収納状態においてノズルカバー２８の回動範囲が制限されることになる。この状態で、ノズル２０を回動駆動すれば、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を変更することができる。
【０１２０】
また、図９（ｂ）に示すように、このストッパ７１は、ノズル２０の左右両側に設けられており、何れの方向からでも角度変更が可能とされている。
【０１２１】
ストッパ７１と同様に、ストッパ７２もノズルホルダ５８の左右両側に配置されている。このストッパ７２は、ノズルカバー２８の回動範囲を制限するだけでなく、ノズル２０の回転角度も制限できるように構成されている。すなわち、ノズルカバー２８のアーム７３がストッパ７２に当たる状態となるときに、ノズル２０のアーム２０ａもストッパ７２に当たる状態となるように構成されている。これにより、ノズル２０とノズルカバー２８とは、同じ回動範囲で規制されるように設定されることとなる。
【０１２２】
また、ノズルカバー２８のアーム７３がストッパ７２に当たっている状態で更にノズル２０を回転させることによってもノズル２０とノズルカバー２８の相対角度を変更することができる。
【０１２３】
図９（ｃ）に示すように、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を所定角度に保持する角度保持手段７４は、ノズルカバー２８に構成したバネ性のある凸部７５と、ノズル２０外周面に設けた３箇所の凹部７６ａ、７６ｂ、７６ｃによって成り、凸部７５と凹部の一箇所が嵌合される構成となっている。これにより、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を所定角度に保持することができる。
【０１２４】
以下に制御手段１５０における制御動作について図１０〜図１４を用いて説明する。
【０１２５】
図１０は、制御手段１５０による「おしり洗浄」運転、「ビデ洗浄」運転、及び、「乾燥」運転におけるノズル２０の噴出口（空気噴出口２１、第１の洗浄水噴出口２２、第２の洗浄水噴出口２３）とノズルカバー２８の開口部２９との相対角度設定の制御動作を示すタイムチャートを示す。
【０１２６】
図１１は制御手段１５０による「おしり洗浄」運転、及び、「乾燥」運転における制御動作を示すタイムチャートを示す。
【０１２７】
図１２（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「おしり洗浄」運転状態にある場合の模式的断面図、図１２（ｂ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「乾燥」の第１ステ
ップの運転状態にある場合の模式的断面図、図１２（ｃ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「乾燥」の第２ステップの運転状態にある場合の模式的断面図、をそれぞれ示す。
【０１２８】
図１３は図１に示した衛生洗浄装置１００における「乾燥」の第１ステップの運転状態及び第２ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
【０１２９】
図１４は図１に示した衛生洗浄装置１００における「乾燥」の第３ステップの運転状態及び第４ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
【０１３０】
図１０に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間Ｔ０の時点（経過時間ゼロの時点）では、ノズル２０の前後方向（進退方向）は後端の収納位置に配置されている。ノズル２０の回動方向は、回動手段７０に設けた中心部位置を検出する位置センサ（図示せず）の検出位置に角度設定されている。この角度は中心角度となりノズル２０の空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致して上方に設定されている。すなわち、ノズル２０は「乾燥」に設定されている。
【０１３１】
使用者が遠隔操作装置３００（図２を参照）のおしりスイッチ３１２を押下操作する経過時間Ｔ１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動する。
【０１３２】
この時点で、遠隔操作装置３００の報知手段である液晶パネル３０５の「洗浄」と「準備中」を点灯させる。これにより使用者は洗浄水が噴出されていないが操作が受け付けられたことを認識できる。
【０１３３】
次に、経過時間Ｔ２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる左端角度（−９０°）まで角度変更する。
【０１３４】
次に、経過時間Ｔ３では第１のモータ５３を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで運転させて、アーム７３をストッパ７１に嵌め込むように移動する。この動作によりノズルカバー２８はストッパ７１により角度が保持される。
【０１３５】
次に、経過時間Ｔ４で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２とノズルカバー２８の開口部２９が一致するように、ノズル２０を右方向に回転させる（約＋９０°）。ここではノズル２０を回転させると、角度が保持されたノズルカバー２８との相対角度が変わり、ノズルカバー２８に対してノズル２０の回転角度を変えることができる。
【０１３６】
次に、経過時間Ｔ５では再び第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。そして、経過時間Ｔ６で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように、ノズル２０を右方向に回転させる（約＋９０°）。
Ｔ７で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動する。そして経過時間Ｔ８で動作を完了する。
【０１３７】
以上の経過時間Ｔ１から経過時間Ｔ８までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９におしり洗浄用の第１の洗浄水噴出口２２の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１３８】
次に使用者が遠隔操作装置３００のビデスイッチ３１３を押下操作する場合の動作について説明する。
【０１３９】
なお、この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル２０の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。
【０１４０】
まず、経過時間Ｔ１１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ１２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる右端角度（＋９０°）まで角度変更する。
【０１４１】
おしり洗浄と同様にこの時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「洗浄」と「準備中」を点灯させる。
【０１４２】
次に、経過時間Ｔ１３では第１のモータ５３を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで運転させて、アーム７３をストッパ７１に嵌め込むように移動し、ノズルカバー２８をストッパ７１により保持する。
【０１４３】
次に、経過時間Ｔ１４で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第２の洗浄水噴出口２３とノズルカバー２８の開口部２９が一致するように、ノズル２０を左方向に回転させる（約−９０°）。
【０１４４】
次に、経過時間Ｔ１５では再び第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ１６で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第２の洗浄水噴出口２３及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように、ノズル２０を左方向に回転させる（約−９０°）。
【０１４５】
次に、経過時間Ｔ１７で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動する。そしてＴ１８で動作を完了する。
【０１４６】
以上の経過時間Ｔ１１から経過時間Ｔ１８までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９にビデ用の第２の洗浄水噴出口２３の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１４７】
次に、使用者が遠隔操作装置３００の乾燥スイッチ３１４を押下操作する場合の動作について説明する。
【０１４８】
この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル２０の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。ただしノズルカバー２８の開口部２９の方向は未定とする。
【０１４９】
まず、経過時間Ｔ２１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ２２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる右端角度（＋９０°）まで角度変更する。もし経過時間Ｔ２２時点でノズルカバー２８の開口部２９と第１の洗浄水噴出口２２が一致していた場合は、アーム７３がストッパ７２に当たり、ノズルカバー２８はノズル２０との相対角度が変わり、空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致するまで角度が変わる。
【０１５０】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「乾燥」と「準備中」を点灯させる。
【０１５１】
次に、経過時間Ｔ２３で第２のモータ５４を反転させて、ノズル２０が反対側のストッパ７２に当たる左端角度（−１８０°）まで角度変更する。もし、経過時間Ｔ２３時点でノズルカバー２８の開口部２９と第２の洗浄水噴出口２３が一致していた場合は、アーム７３が反対側のストッパ７２に当たり、ノズルカバー２８はノズル２０との相対角度が変わり、空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致するまで角度が変わる。
【０１５２】
このように、ノズルカバー２８の開口部２９に対してノズル２０がどの方向を向いていても上記動作によって開口部２９と空気噴出口２１とが一致する。
【０１５３】
そして経過時間Ｔ２４で第２のモータ５４を再び反転させて、空気噴出口２１及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように回転させる。例えば約９０°回転させる。
【０１５４】
次に、経過時間Ｔ２５で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動させる。そして経過時間Ｔ２６で動作を完了する。
【０１５５】
以上の経過時間Ｔ２１から経過時間Ｔ２６までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９に空気噴出口２１の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１５６】
次に、おしり洗浄から乾燥運転の制御動作について説明する。
【０１５７】
図１１に示す「乾燥」運転の運転モードは図２に示した乾燥モードスイッチ３２０ｂが選択された状態の「標準乾燥運転」であり、温風温度調整スイッチ３４０は「中」設定とした状態のタイムチャートである。
【０１５８】
この「標準乾燥運転」は、乾燥運転における水滴除去手段による加圧空気を被乾燥面に噴射して被乾燥面の水滴が充分に除去でき得る運転の所要時間を実験的に求めて設定して、水滴除去手段を自動停止するように制御させている。図１１では経過時間Ｔ８からＴ１６までの時間が所要時間に相当する。例えば所要時間は３０秒である。
【０１５９】
また、水滴除去手段の運転が終了しても温風手段は継続し、乾燥運転としては終了しない。温風手段の運転は上記の所要時間に遅延時間を加えた延長設定時間により自動停止するように制御させている。例えば遅延時間は６０秒である。ただし図１１に示すタイムチャートでは自動停止前に手動で停止している。
【０１６０】
図１１に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間Ｔ０の時点（経過時間ゼロの時点）では、ノズル２０前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置を検出する位置センサ（図示せず）の検出位置に角度設定されている。
【０１６１】
使用者が遠隔操作装置３００のおしりスイッチ３１２を押下操作する経過時間Ｔ１において、図１０で説明したようにノズルカバー２８の開口部２９におしり洗浄用の第１の洗浄水噴出口２２の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして同時に、開閉弁３４が開き、水道水が温水加熱手段３１に流れ込む、内臓の流量センサ（図示せず）が水流を検出すると、温水加熱手段３１への通電が開始され、加熱された温水が供給し始める。この時ノズル２０は収納位置にあるので、第１の洗浄水噴出口２２から噴出される充分に温まっていない温水はガイド部５７の内面に当た
り便器６００内に排出される。
【０１６２】
温水加熱手段３１からの出湯温度が所定の温度（例えば３６℃）に達した時点Ｔ２（経過時間Ｔ２）において、温水加熱手段３１及び開閉弁３４を停止し、第１のモータ５３を運転させてノズル２０を中心部位置（例えば前方１００ｍｍ）まで前進させる。
【０１６３】
そして経過時間Ｔ３において温水加熱手段３１及び開閉弁３４の運転を再開して、使用者の被洗浄面に洗浄水を噴出する。温水加熱手段３１への電力制御は、出湯温度を検出する温度センサ（図示せず）の検出温度が設定温度（例えば４０℃）になるように公知ＰＩＤやＦＦ制御を用いて行う。また、洗浄水の流量は切換弁３２の弁開度を調整することにより使用者の好みの量に設定されている。このおしり洗浄における被洗浄面の濡れ状態は図１２（ａ）に示すように洗浄水が直接当たる中心部だけでなく、水滴が流れて周辺部を濡らしてしまう。
【０１６４】
またこの時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の上部の「準備中」を消灯させ、「洗浄」のみを点灯させる。そして液晶パネル３０５下部の「経過」を点灯し、経過時間Ｔ３からの洗浄運転経過時間を表示させる。
【０１６５】
おしり洗浄が終了し、使用者が遠隔操作装置３００の停止スイッチ３１１を押下操作する経過時間Ｔ４において、温水加熱手段３１及び開閉弁３４を停止し、切換弁３２を第１の洗浄水噴出口２２方向からノズル洗浄手段３５方向へ切換え、ノズル２０からの洗浄水噴出を停止すると同時に、第１のモータ５３を逆転させてノズル２０を収納位置まで後退させて、洗浄動作を終了する。
【０１６６】
この時点で、遠隔操作装置３００の液晶パネル３０５の「洗浄」と「経過」を消灯させ、時間表示をゼロクリアさせる。
【０１６７】
なお、本実施形態では、おしり洗浄における動作を説明したが、遠隔操作装置３００のビデスイッチ３１３押下操作するビデ洗浄を押下操作する場合においても、基本となるシーケースは同様である。ただ、ビデ洗浄の場合は、ビデに対応するノズル２０の位置と流量設定に変更される。
【０１６８】
次に経過時間Ｔ４から所定時間経過後の経過時間Ｔ５ａにおいて、開閉弁３４を開き図６のノズル洗浄手段３５における、入水口３６より洗浄水を供給して洗浄水拡散部３８を介してノズル２０に洗浄水を噴き付け、ノズル洗浄を行なう。
【０１６９】
そして、図１１に示す経過時間Ｔ５ｂで開閉弁３４を停止してノズル洗浄を終了する。この動作は「乾燥」運転が選択されると仮定して、事前にノズル２０を洗浄する。
【０１７０】
次に、経過時間Ｔ６において使用者が遠隔操作装置３００の乾燥スイッチ３１４を押下操作すると、図１０を用いて説明したようにノズルカバー２８の開口部２９に空気噴出口２１の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作の説明について省略する。そして温風ヒータ４３が通電されヒータ自身の温度上昇が開始される。このようにエアファン４１を運転する前に温風ヒータ４３に通電することにより、放熱が少ない状態でヒータが加熱されるので高速にヒータ温度を上昇させることができる。
【０１７１】
この時同時にエアポンプ５１が短時間（たとえば１秒間）だけ運転され、加圧空気がノズル２０の空気噴出口２１より一瞬噴出される。この動作は、洗浄室３７内にノズル２０先端が収納状態で、空気噴射口２１より加圧空気を噴出させることにより、洗浄室３７内を加圧空気がノズル２０に沿って高速に流れるので、ノズル２０表面に付着した水滴が吹
き飛ばされる。したがって、使用者に対して水滴の再付着を防止する。
【０１７２】
次に、経過時間Ｔ７でエアファン４１の運転を開始して、温風噴出口４２から温風を吹出す。吹出される温風温度は加熱された温風ヒータ４３を通過するため、始めから高温の温風温度となる。そして、前述のヒータ加熱量に制御されて高温（例えば６０℃）の温風が吹き出されるように設定される。そして温風噴出口４２から使用者の洗浄面である被乾燥面の略全面に対して送風される。
【０１７３】
その後、第１のモータ５３を運転させてノズル２０を最前進位置（例えば前方１５０ｍｍ）まで前進させながら、第２のモータ５４を運転させてノズル２０の左右角度を右端角度（例えば＋５０°）まで角度変更する。
【０１７４】
次に、経過時間Ｔ８において、エアポンプ５１の運転を開始して、被乾燥面に対して空気噴出口２１から加圧空気の噴出を開始する。
【０１７５】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２）の液晶パネル３０５の上部の「準備中」を消灯させ、「乾燥」のみを点灯させる。そして液晶パネル３０５下部の「残り」を点灯し、経過時間Ｔ８から経過時間Ｔ１６までの運転残り時間を１秒単位でカウントダウン表示させる。この残り時間表示によって使用者は乾燥運転の進捗状況を把握できる。
【０１７６】
そして、経過時間Ｔ８から経過時間Ｔ９の第１ステップにおいて、駆動手段５２の第２のモータ５４と第１のモータ５３の運転方向及び運転速度を制御して、ノズル２０の前後駆動を所定範囲（例えば前方５０ｍｍから１５０ｍｍ）で高速に往復運転し、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から右側所定角度（例えば＋５０°から＋２０°）まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
【０１７７】
この第１ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の右側所定位置から前後方向に高速に移動しながら徐々に中心部に接近してくる。したがて、図１２の動作パターンＰ１に示すように、空気噴流当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの右端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。
【０１７８】
この結果、図１２（ｂ）に示すように、洗浄水の噴出範囲よりも外側から加圧空気の噴出を開始するので、被乾燥面の右側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１７９】
図１１の経過時間Ｔ９では一旦エアポンプ５１を停止して、ノズル２０の左右角度を左端角度（例えば−５０°）まで角度変更する。そして経過時間Ｔ１０において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１８０】
そして経過時間Ｔ１０から経過時間Ｔ１１の第２ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を第１ステップと同様に所定範囲（例えば前方５０ｍｍから１５０ｍｍ）で高速に往復運転し、同時にノズル２０の左右角度を左端角度から左側所定角度（例えば−５０°から−２０°）まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
【０１８１】
この第２ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の左側所定距離から前後方向に高速に移動する周期移動しながら徐々に中心部に漸進移動して接近してくる。したがて、図１２の動作パターンＰ２に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの左端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図１１（
Ｃ）に示すように、被乾燥面の左側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１８２】
以上の第１ステップと第２ステップによって被洗浄面に付着して残る水滴は中心部を中心に前後残るのみとなる。
【０１８３】
人体の臀部は肛門や陰茎の洗浄中心部に対して左右両サイドに凸部が形成されているため、便座に座った場合に洗浄中心部より左右両サイドが低くなる。したがって、洗浄水が左右に濡れ広がりやすく、乾燥時に最初に中心部に空気噴流を当ててしまうと、付着した水滴が左右に大きく広がり、濡れ面積が拡大してしまう。上述のように第１ステップと第２ステップによって被洗浄面の水滴が左右に広がるのを防止しながら吹き飛ばすので、効率の良い乾燥ができる。
【０１８４】
第２ステップの終了時点Ｔ１１（経過時間Ｔ１１）では、ノズル２０を最前進位置まで前進させる。そして、経過時間Ｔ１１から経過時間Ｔ１２の第３ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を最先進位置から中心部方向にゆっくり後退させながら、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
【０１８５】
この第３ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に中心部に接近してくる。したがて、図１４の動作パターンＰ３に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの先端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Ｇに向けて徐々に斬新移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Ｇより前方に残る水滴を、中心部Ｇ方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１８６】
次に、経過時間Ｔ１２では一旦エアポンプ５１を停止して、ノズル２０の前後方向位置を後部所定位置（例えば前方５０ｍｍ）まで移動させる。そして経過時間Ｔ１３において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１８７】
そして経過時間Ｔ１３から経過時間Ｔ１４の第４ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を後部所定位置から中心部方向にゆっくり前進させながら、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第４ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら後方の所定距離から前方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【０１８８】
したがて、図１３の動作パターンＰ４に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの後端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Ｇより後方に残る水滴を、中心部Ｇ方向に集めながら吹き飛ばすことができる。以上の第１から第４ステップによって被乾燥面に付着して残る水滴は中心部のみとなる。
【０１８９】
次に、上述の第１ステップから第４ステップでの被乾燥面に付着する水滴への作用を説明する。各ステップの動作中の被乾燥面への空気噴流の駆動方向が、中心部に向けて移動する速度より、中心部に対して略接線方向の移動速度の方を充分に速くしているので、被乾燥面に衝突して広がる空気流れ方向が、前記の略接線方向に対して垂直方向の流れ成分が多くなる。
【０１９０】
したがって、この略接線方向に駆動する空気噴流と中心部の間に付着する水滴は、略接線方向に対して垂直方向の空気流に押されて中心部方向に移動するように作用する。そして徐々に空気噴流を中心部に接近させるので、中心部方向に集まってくる。この動きを第
１から第４ステップにおいて右、左、前、後の４方向から行うことによって、水滴は中心部に集まる。このように第１ステップから第４ステップが被乾燥面に付着する水滴を被乾燥面の中心部に集める工程となる。
【０１９１】
経過時間Ｔ１４では再びエアポンプ５１を停止して、ノズル２０の前後方向位置を前方の所定位置（例えば前方１３０ｍｍ）まで移動させる。そして経過時間Ｔ１５において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１９２】
そして、経過時間Ｔ１５から経過時間Ｔ１６の第５のステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を前方の所定位置から後退を開始し、中心部を通過して、中心部より後方の所定距離（例えば前方５０ｍｍ）までをゆっくりと後退する。同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
【０１９３】
この第５のステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動する周期移動をしながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に漸進移動をして中心部に接近し、さらに中心部を通過して後方の所定位置まで漸進移動する。したがって被乾燥面に対して空気噴流の当たる位置が前方から中心部を通って後方に徐々に移動するので、被乾燥面の中央部に残る水滴を、完全に吹き飛ばすことができる。すなわち、この第５のステップが集めた水滴を吹き飛ばす工程となる。
【０１９４】
経過時間Ｔ１６で所要時間が経過となりエアポンプ５１を自動停止して、ノズル２０の前後方向は最前進位置（例えば前方１５０ｍｍ）まで移動させる。ノズル２０の左右方向は、中心角度に戻す。
【０１９５】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２）の液晶パネル３０５の「残り」を消灯させ、「経過」を点灯させる。そして時間表示をゼロクリアさせて、経過時間Ｔ１６からの運転経過時間を表示する。すなわちこの時点で乾燥に必要な時間運転したことになる。これ以降の運転は使用者の好みに応じて継続される。
【０１９６】
経過時間Ｔ１７ａから経過時間Ｔ１７ｂでノズル２０の前後方向を収納位置に向けて移動させながら、開閉弁３４を開きノズル洗浄を行なう。この間でノズル２０全体に洗浄水が噴き付けられ、ノズル２０全体の洗浄ができる。そして経過時間Ｔ１７ｂでは開閉弁３４を停止して、ノズル洗浄を終了する。
【０１９７】
乾燥が終了し、使用者が遠隔操作装置３００の停止スイッチ３１１を押下操作する経過時間Ｔ１８で温風ヒータ４３の運転を停止する。この時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「乾燥」と「経過」を消灯させ、時間表示をゼロクリアさせる。そして、経過時間Ｔ１９でエアファン４１を停止することによって、温風ヒータ４３の余熱を減少させて乾燥運転が終了する。
【０１９８】
以上、本発明の第１実施形態における衛生洗浄装置について説明したが、本発明の衛生洗浄装置は上述した第１実施形態のみに限定されるものではない。
【０１９９】
例えば、第１実施形態では、乾燥手段として人体局部に付着する水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段５０と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段４０とを備えた構成としたが、単に温風を吹出すだけの乾燥手段でもよい。
【０２００】
また、第１実施形態では運転時間情報の報知を、秒数で表示したが、液晶パネルを用いたレベルメータ表示や、複数のＬＥＤの点灯による報知でもよい。さらに音声や音、振動による報知でも良いし、音や振動と表示を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０２０１】
本発明の衛生洗浄装置は、乾燥の自動運転における運転状況を使用者に報知することができるので、シャワーや手洗い等で濡れた身体の乾燥にも応用できる。また、食器洗浄機や洗車機、部品洗浄機などの洗浄機の分野・用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【０２０２】
３０ 洗浄手段
４０ 温風手段
５０ 水滴除去手段
１００ 衛生洗浄装置
１５０ 制御手段
３００ 遠隔操作装置（入力手段）
３０５ 報知手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人体局部を洗浄および乾燥する衛生洗浄装置に関し、より詳しくは、乾燥時間情報を報知する報知機能を備えた衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
トイレの便器６００上面に設置され人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置の分野においては、使用者の使い勝手を良くすべく様々な提案がされてきた。例えば、人体局部を洗浄する洗浄機能および洗浄後に、人体局部を乾燥する乾燥機能の動作内容を予め設定登録して自動運転させることにより、使用者は最初の運転開始の指示だけすれば全て自動的に運転し、自動的に運転を終了させる衛生洗浄装置が提案されている。
【０００３】
このような自動運転機能を有する衛生洗浄装置としては、自動運転のための設定登録内容を確認するための報知手段を有する装置が知られている（例えば、下記特許文献１を参照）。
【０００４】
図１５は、特許文献１に記載された従来の衛生洗浄装置の操作部を示す模式図を示す。図１５に示すように、洗浄機能および乾燥機能の運転のパターンを予め設定登録できる。特定のパタ−ン番号として設定登録したパタ−ンを、利用者が実行させたい場合、当該パタ−ン番号に対応するパタ−ン番号選択ボタン１０３を押すだけで自動進行を実行できる。
【０００５】
パタ−ン番号各々にどのようなパタ−ンが設定登録されているか否かは、登録／内容表示ボタン１０１の操作で確認する。操作部の登録／内容表示ボタン１０１を一度押すと、液晶パネル１０２に「登録済」が点灯し、さらに設定登録済のパタ−ン番号に対応する数字だけが点灯するように構成されている。
【０００６】
続けて登録／内容表示ボタン１０１を押すと、液晶パネル１０２に「内容表示」が点灯し、さらにパタ−ン番号選択ボタン１０３を押すと、既設定登録パターンの内容が液晶パネル１０２に表示され、確認できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２０００−０４５３６４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、上記特許文献１に記載の従来の衛生洗浄装置であっても、使い勝手のよさの観点からは未だ改善の余地があった。
【０００９】
すなわち、先に述べたように、特許文献１に記載の衛生洗浄装置では、洗浄機能や乾燥機能の運転時間設定値は確認できるようになっているが、運転中の洗浄や乾燥の進行状況が分からないため、運転が何時終了するのかが分からない不安や不満があった。
【００１０】
洗浄機能は一般的に短時間で終了するので、さほど問題にならないが、乾燥機能は人体局部に付着する水滴を最終的に蒸発させて乾かす必要があるので、長い時間が必要となる。そのため、乾燥運転が開始された場合に、経過時間や終了タイミングを把握できないのは使用者にとって待ち時間が長く感じたり、設定が間違っていたり、故障を疑ったりとい
った不信感を抱くおそれがあった。
【００１１】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、人体局部を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄手段により濡れた人体局部を乾燥する乾燥手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段と、前記入力手段の信号に応じて前記洗浄手段および前記乾燥手段を運転制御し、前記報知手段への報知情報を出力する制御手段と、を少なくとも有しており、前記制御手段は、前記乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、前記乾燥手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる（請求項１）。
【００１３】
上述のように、本発明の衛生洗浄装置は、使用者が乾燥手段の自動運転を行う際に運転時間情報を報知するようにしたので、乾燥運転の経過状況を使用者が確認できるため、乾燥運転が何時終了するのか分からずに不安になることがなくなる。故に、本発明の衛生洗浄装置は、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することができる。
【００１４】
前記乾燥手段の運転終了までのカウントダウン時間を前記報知手段により報知させるようにしたものである（請求項２）。
【００１５】
この構成により、使用者は乾燥運転の進行状況と運転終了までの待ち時間が直接的に確認することができるため、乾燥運転終了までの待ち時間の不安や不満がより解消できる。
【００１６】
また、本発明の衛生洗浄装置においては、前記制御手段が、乾燥に必要な所定時間に遅延時間を加えた延長設定時間で前記乾燥手段を自動停止させるとともに、前記所定時間までの運転時間情報を前記報知手段により報知させるようにしたものである（請求項３）。
【００１７】
この場合、報知手段により使用者に乾燥に必要な時間経過情報を報知し、所定時間が経過しても乾燥運転は継続する。そして、使用者はこの時間情報に基づいて自ら運転を停止するように構成している。すなわち、使用者は時間情報から局部の乾燥状態を判断して、好みの状態で自ら運転を停止するので、使用者の乾燥状態に対する満足度合いを向上できる。
【００１８】
また、人体局部に付着した水滴を、一般の温風だけによる乾燥運転で蒸発・乾燥させる場合、長時間の乾燥を余儀なくされていた。この乾燥時間を短縮する観点から、本発明の衛生洗浄装置においては、前記乾燥手段が、人体局部に付着した水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段とを備え、前記制御手段は、前記水滴除去手段および前記温風手段をそれぞれ自動停止させるとともに、少なくとも前記水滴除去手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる（請求項４）。
【００１９】
また、本発明の衛生洗浄装置において、上述の構成（請求項４）を採用する場合、前記制御手段は、前記水滴除去手段と前記温風手段との自動停止時間の短い方の運転時間情報を前記報知手段により報知させ、一方が停止した場合に他方の運転時間情報に切換えて前記報知手段により報知させることが好ましい（請求項５）。
【００２０】
この場合、単一の報知手段により順番に運転時間情報を報知することができるので、使用者にとって注目すべき情報が一箇所に集約できるので分かりやすい。また、製造コスト（部品コストの削減、組立作業の削減による不良品の発生低減など）もできるようになる。
【００２１】
また、より使用者の好みに対応する観点から、本発明の衛生洗浄装置においては、前記制御手段が、前記乾燥手段の自動停止までの運転時間が予め複数設定されており、使用者が前記複数の運転時間のうちから所望の運転時間を選択可能に構成されているので、乾燥時間と乾燥度合いを使用者の好みに応じて選択できるようになり、より使い勝手のよい衛生洗浄装置を提供できる（請求項６）。
【発明の効果】
【００２２】
本発明によれば、乾燥機能の自動運転において進行状況が把握でき安心して使える衛生洗浄装置を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の第１実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を示す外観斜視図
【図２】同衛生洗浄装置における遠隔操作装置の一例を示す模式図
【図３】同衛生洗浄装置における制御手段の構成を示すブロック図
【図４】同衛生洗浄装置における洗浄手段及び制御手段の構成を示すブロック図
【図５】同衛生洗浄装置における空気噴出手段、温風手段及び制御手段の構成を示すブロック図
【図６】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の構成を示す斜視図、（ｂ）同衛生洗浄装置におけるノズル突出時の駆動手段の構成を示す斜視図、（ｃ）視線Ｌ１の方向から駆動手段を透視した透視断面図
【図７】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル洗浄手段の横断面を示す模式図、（ｂ）同ノズル洗浄手段の縦断面を示す模式図
【図８】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズルの正面図、（ｂ）同ノズルを切断した場合のＡ−Ａ断面図、（ｃ）乾燥設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図、（ｄ）おしり洗浄設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図、（ｅ）ビデ設定を選択した場合のノズルを切断した状態のＢ−Ｂ断面図
【図９】（ａ）同衛生洗浄装置におけるノズル収納時の駆動手段の側面図、（ｂ）同駆動手段を切断した場合のＡ−Ａ部分断面図、（ｃ）同駆動手段を切断した場合のＢ−Ｂ部分断面図
【図１０】同衛生洗浄装置のノズル位置の制御動作を示すタイムチャート
【図１１】同衛生洗浄装置における制御動作を示すタイムチャート
【図１２】（ａ）同衛生洗浄装置が「おしり洗浄」運転状態の模式的断面図、（ｂ）同衛生洗浄装置が「乾燥」第１ステップの運転状態の模式的断面図、（ｃ）同衛生洗浄装置が「乾燥」第２ステップの運転状態の模式的断面図
【図１３】同衛生洗浄装置における「乾燥」運転状態の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図１４】同衛生洗浄装置における「乾燥」運転状態の空気噴流の移動パターンを示す模式図
【図１５】従来の衛生洗浄装置の操作部を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、図面を参照しながら本発明の衛生洗浄装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【００２５】
（第１実施形態）
図１は本発明の衛生洗浄装置の第１実施形態及びそれを備えるトイレ装置を示す外観斜視図である。
【００２６】
図１に示すように、このトイレ装置１０００はトイレットルーム内に設置されるものであり、主として、便器６００と、この便器６００上に載置された衛生洗浄装置１００とから構成されている。
【００２７】
上記の衛生洗浄装置１００は、主として、便器６００の用便用の開口部の後方の縁部分上に配置される本体部２００と、便座部４００と、便蓋部５００と、遠隔操作装置３００と、入室検知センサ７００とから構成されている。便座部４００は、本体部２００に開閉可能に取り付けられている。また、便蓋部５００も、本体部２００に開閉可能に取り付けられている。
【００２８】
図１に示すように、本体部２００は、主として、人体局部を洗浄する洗浄手段３０と、この洗浄により濡れた人体局部を乾燥させる乾燥手段と、制御手段１５０とから構成され、その乾燥手段は、ノズル２０を含む水滴除去手段５０（空気噴出手段）と、温風手段４０とから構成されている。
【００２９】
更に、本体部２００には、その正面上部に着座センサ６１０が設けられている。この着座センサ６１０は、使用者の着座を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、着座センサ６１０は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部４００上に使用者が存在することを検知する構成とされている。
【００３０】
入室検知センサ７００は、トイレットルームの入口等の使用者の入室及び退室が検知しやすい場所を選んで取り付けられるものである。この入室検知センサ７００は、使用者のトイレットルームへの入室及びトイレットルームからの退室を検知できれば特に限定されないが、例えば、反射型の赤外線センサを採用することができる。この場合、入室検知センサ７００は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する構成とされている。
【００３１】
本体部２００の制御手段１５０（図３、図４参照）は、遠隔操作装置３００、入室検知センサ７００及び着座センサ６１０から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置１００の後述する動作を制御するものである。
【００３２】
図１に示すように、水滴除去手段５０は、主として、加圧空気を供給するエアポンプ５１と、この加圧空気を噴出する空気噴出口２１を先端部に有する筒状のノズル２０と、空気噴出口２１から噴出される加圧空気の噴流を前後左右に移動するために、ノズル２０をその軸方向に進退駆動させる動作とノズル２０をその軸を回転中心として回動駆動させる動作を行うための駆動手段５２とにより構成されている。駆動手段５２は、ノズル２０の進退駆動と回動駆動とを同時に実行できる構成を有するとともに、進退駆動と回動駆動とをそれぞれ独立に実行できる構成も有している。
【００３３】
この水滴除去手段５０から噴出する加圧空気は使用者の局部の「被乾燥面」に到達する風速が秒速２０〜５０ｍの能力を備えており、「被乾燥面」における噴流の当接範囲は直径約１ｃｍ程度の大きさとなるように設定されている。
【００３４】
また、ノズル２０には、洗浄水を噴出する第１の洗浄水噴出口２２を含む洗浄手段３０
の洗浄ノズル部３３が一体的に構成されている。この洗浄手段３０は、主として、ノズル２０に設けられた第１の洗浄水噴出口２２と第２の洗浄水噴出口２３以外に水道水の供給を開閉する開閉弁３４と、水道水を加熱する温水加熱手段３１と、温水加熱手段３１からの温水をノズル２０の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁３２と、上述の洗浄ノズル部３３とで構成されている。
【００３５】
なお、第１の洗浄水噴出口２２はおしり洗浄用洗浄水を噴出し、おしり（使用者の局部）の「被洗浄面」を洗浄するためのものであり、第２の洗浄水噴出口２３はビデ用洗浄水を噴出し、ビデ（使用者の局部）の「被洗浄面」を洗浄するためのものである。「被洗浄面」及び「被乾燥面」は、いずれも使用者の局部を中心とした体表面であるが、特に本実施形態においては、「被洗浄面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち使用者の排泄により汚れうる範囲であることが好ましい。
【００３６】
この「被洗浄面」の範囲は、使用者の体型の分布、便器６００の大きさ、便器６００の形状、洗浄水の吐出量範囲、洗浄水の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被洗浄面」の範囲は、排泄により汚れうる範囲を検知可能なセンサなど（排泄物中の水分などを検知する赤外線センサなど）により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
【００３７】
また、本実施形態における「被乾燥面」の範囲は、人体局部およびその周辺のうち洗浄水により洗浄処理された際に洗浄水で濡れうる範囲であることが好ましい。さらに、「被乾燥面」の範囲（面積）が「被洗浄面」の範囲（面積）以上であり、かつ、「被乾燥面」に被洗浄面の全範囲が含まれるよう設定されていることが好ましい。なお、この「洗浄水で濡れうる範囲」には、通常、上述の「被洗浄面」の範囲、すなわち、「人体局部およびその周辺のうち使用者の排泄により汚れうる範囲」が含まれるが、「洗浄水で濡れうる範囲」に「被洗浄面」の範囲が含まれない場合には、「被乾燥面」の範囲は、「洗浄水で濡れうる範囲」と「被洗浄面」の範囲とを含む範囲であることが好ましい。
【００３８】
この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める場合と同様に、使用者の体系の分布、便器６００の大きさ、便器６００の形状、加圧空気の吐出量範囲、加圧空気の吐出圧範囲などを考慮して、実験およびシミュレーションのうちの何れかにより予め求めて設定しておいてもよい。また、この「被乾燥面」の範囲も、「被洗浄面」の範囲を求める構成と同様に、洗浄水で濡れうる範囲を検知可能なセンサなど（水分を検知する赤外線センサなど）により、使用者が衛生洗浄装置を使用する度毎にセンシングして最適な範囲を求める構成としてもよい。
【００３９】
温風手段４０は、温風を噴き出す温風噴出口４２と、温風噴出口４２に導かれる空気を加熱する温風ヒータ４３と、内臓の温風ヒータ４３に送風して温風を供給する送風手段であるエアファン４１とにより構成されている。温風噴出口４２より噴出する温風は、水滴除去手段５０から噴出する加圧空気の流速より遅く、その風速は秒速１０ｍ以下であり、使用者の局部の被乾燥面に対して当接面積が広くなるように、被乾燥面の略全面に温風が拡散するように構成している。
【００４０】
図２は、図１に示した衛生洗浄装置における遠隔操作装置３００の一例を示す模式図（正面図）である。遠隔操作装置３００は、使用者のスイッチ操作信号を本体部２００に送信し、衛生洗浄装置を駆動制御する入力手段であるとともに、図１に示す洗浄手段３０、温風手段４０、及び水滴除去手段５０の運転状態（経過時間または終了までの時間）を報知する報知手段でもある。そして、コントローラ本体部３０１の下部にコントローラ蓋部３０２が開閉自在に設けられた構造を有する。
【００４１】
図２（ａ）に示すように、コントローラ蓋部３０２が閉じられた状態で、コントローラ本体部３０１の上部には乾燥モードスイッチ３２０ａ、３２０ｂ、３２０ｃ、洗浄の強さ調整スイッチ３２２，３２３、洗浄運転や乾燥運転の運転状況を表示する報知手段である液晶パネル３０５が設けられ、コントローラ蓋部３０２には停止スイッチ３１１、乾燥スイッチ３１４、おしりスイッチ３１２及びビデスイッチ３１３が設けられている。
【００４２】
なお、上記の運転状況とは、運転モードや運転状態を表すもので、洗浄手段３０においては、洗浄運転ＯＮ／ＯＦＦ状態、洗浄水勢、洗浄温度、洗浄水の噴流位置、洗浄運転経過時間、人体局部の洗浄度合などが含まれる。また、温風手段４０、及び水滴除去手段５０においては、乾燥運転ＯＮ／ＯＦＦ状態、温風風量、温風温度、温風運転経過時間、人体局部の乾燥度合などが含まれ、水滴除去手段においては、加圧空気の噴流パターン工程、加圧空気噴出経過時間、人体局部の水滴除去度合などが含まれる。
【００４３】
本実施形態では、運転モードを「洗浄」「乾燥」「準備中」の文字を液晶パネル３０５の上部の運転状況に応じて点灯させる。また、洗浄中であれば洗浄運転の経過時間を液晶パネル３０５下部に表示する。乾燥中の場合は加圧空気噴出運転の残り時間を表示する。
【００４４】
上記各スイッチは使用者により操作される。これにより、遠隔操作装置３００から図１の本体部２００に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。本体部２００の制御手段１５０（図３、図４、図５参照）は、受信した信号に基づいて本体部２００（図１参照）及び便座部４００（図１参照）の各構成部の動作を制御する。
【００４５】
例えば、使用者がおしりスイッチ３１２またはビデスイッチ３１３を操作することにより、後述するノズル２０（図３参照）から使用者の局部の被洗浄面へ洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ３１１を操作することにより、ノズル２０から使用者の局部の被洗浄面への洗浄水の噴出が停止される。
【００４６】
使用者が乾燥スイッチ３１４を操作することにより、使用者の局部の被乾燥面に後述する水滴除去手段５０（図４参照）から加圧空気が噴出されると同時に温風手段４０（図４参照）からも温風が吹き出される。
【００４７】
また、使用者が乾燥モードスイッチ３２０ａ，３２０ｂ，３２０ｃを選択操作することにより、前述の使用者の局部の被乾燥面に噴出される乾燥空気の噴出時間や噴出パターンなどの噴出条件が変更され、使用状況や使用者の好みにより任意に選択することが可能となっている。乾燥モードスイッチ３２０ａは短時間で乾燥を終了したい場合の「短縮乾燥運転」、乾燥モードスイッチ３２０ｂは局部を標準的に乾燥させる「標準乾燥運転」、乾燥モードスイッチ３２０ｃは乾燥時間を標準より長く設定して、局部を確実に乾燥させてさらっと仕上げる「しっかり乾燥運転」、をそれぞれ選択できるようになっている。
【００４８】
また、使用者が強さ調整スイッチ３２２，３２３を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等が調整される。
【００４９】
液晶パネル３０５は、おしりスイッチ３１２またはビデスイッチ３１３を操作して洗浄運転が開始された場合に、洗浄運転の経過時間が秒単位で数値表示される。停止スイッチ３１１を操作して洗浄運転が終了すると時間表示をゼロクリアする。また、乾燥スイッチ３１４を操作した場合、加圧空気による人体局部の水滴除去運転の運転時間をカウントダウンするように液晶パネル３０５に表示する。すなわち、水滴除去運転の運転時間が例えば３０秒であれば３０からスタートして、１秒経過毎に表示時間を減算して水滴除去運転終了時にゼロになるように表示される。
【００５０】
図２（ｂ）に、コントローラ蓋部３０２が開かれた状態の遠隔操作装置３００の正面図が示されている。図２（ｂ）に示すように、コントローラ蓋部３０２により覆われるコントローラ本体部３０１の下部には、上述の停止スイッチ３１１、乾燥スイッチ３１４、おしりスイッチ３１２及びビデスイッチ３１３に加えて、便蓋部５００の自動開閉の入り切りスイッチ３１５、温風温度調整スイッチ３４０、水温調整スイッチ３３３、便座温度調整スイッチ３３４、除菌スイッチ３３５が設けられている。
【００５１】
これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置３００から本体部２００に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、本体部２００の制御手段１５０は、受信した信号に基づいて本体部２００及び便座部４００の各構成部の動作を制御する。
【００５２】
自動開閉の入り切りスイッチ３１５はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉の入り切りスイッチ３１５のつまみを操作することにより、便蓋部５００（図１参照）の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉の入り切りスイッチ３１５のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便蓋部５００が開閉される。
【００５３】
使用者が温風温度調整スイッチ３４０を操作することにより、温風手段４０から使用者の局部に吹き出される温風の温度が調整される。この温風温度調整スイッチ３４０は、一回押す毎に温風温度の設定が、温風温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされている。この「切」の設定で運転した場合は、温風ヒータ４３（図４参照）がオフとなり送風だけとなる。
【００５４】
なお、本実施形態においては、図２（ｂ）に示すように、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられている。
【００５５】
また、使用者が水温調整スイッチ３３３を操作することにより、ノズル２０から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。この水温調整スイッチ３３３も上述の温風温度調整スイッチ３４０と同様に、水温調整スイッチ３３３は、一回押す毎に洗浄水の温度の設定が、洗浄水の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
【００５６】
更に、使用者が便座温度調整スイッチ３３４を操作することにより、便座部４００の温度が調整される。この便座温度調整スイッチ３３４も上述の温風温度調整スイッチ３４０と同様に、便座温度調整スイッチ３３４は、一回押す毎に便座の温度の設定が、便座の温度が高い順に、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定と切り替わる構成とされており、「高」の設定、「中」の設定、「低」の設定、「切」の設定の４段階の設定のうちの何れの設定状態にあるかを使用者が視認し易いように、「高」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「中」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータと、「低」の設定の際に発光する棒グラフ状のインジケータが設けられた構成とされている。
【００５７】
次に、制御手段１５０の構成について説明を行う。
【００５８】
図３は図１に示した衛生洗浄装置１００における制御手段１５０および入出力装置の構成を示すブロック図である。
【００５９】
図３に示す制御手段１５０は、主として、制御部１５１と、記憶部１５２と、入出力部１５３とを有している。そして、制御部１５１は、入出力部１５３の入力条件に応じて、記憶部１５２内の制御ルーチンや制御パラメータに基づいてプログラムを実行し、入出力部１５３を介して構成機器を制御する。
【００６０】
入出力部１５３は、遠隔操作装置３００の操作信号はじめ入室検知センサ７００、着座センサ６１０、室温検出手段６２０などの各種センサの信号を入力し制御部１５１へ送る一方、制御部１５１からの制御信号に基づいて開閉弁３４、温水加熱手段３１、切換弁３２、第１のモータ５３、第２のモータ５４、エアポンプ５１、エアファン４１、温風ヒータ４３などの構成機器を駆動する。
【００６１】
次に、本体部２００内に設けられた洗浄手段３０について説明を行う。
【００６２】
図４は図１に示した衛生洗浄装置１００における洗浄手段３０及び制御手段１５０の構成を示すブロック図である。
【００６３】
図４に示す洗浄手段３０は、主として、開閉弁３４と、温水加熱手段３１と、切換弁３２と、ノズル２０と、ノズル洗浄手段３５と、駆動手段５２と、制御手段１５０とを有している。また、駆動手段５２には、後述する第１のモータ５３ 及び第２のモータ５４が含まれている。切換弁３２は、温水加熱手段３１からの温水をノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２方向と第２の洗浄水噴出口２３方向と、ノズル洗浄手段３５方向に切換駆動するためのものである。そして、制御手段１５０は、開閉弁３４、温水加熱手段３１、切換弁３２、第１のモータ５３及び第２のモータ５４の動作を制御する。
【００６４】
次に、本体部２００内に設けられた乾燥機能について説明を行う。
【００６５】
図５は図１に示した衛生洗浄装置１００における水滴除去手段５０、温風手段４０及び制御手段１５０の構成を示すブロック図である。
【００６６】
図５に示すように、水滴除去手段５０は、ノズル２０と、エアポンプ５１と、駆動手段５２と、制御手段１５０と、室温検出手段６２０とを有している。すなわち、水滴除去手段５０は上述の洗浄手段３０に対し、ノズル２０、駆動手段５２及び制御手段１５０を共有する構成とされている。先に述べたように、駆動手段５２には、後述する第１のモータ５３ 及び第２のモータ５４が含まれている。温風手段４０は、エアファン４１、温風ヒータ４３及び温風噴出口４２を含んでいる。そして、制御手段１５０は、室温検出手段６２０の検出信号を入力し、エアポンプ５１、第１のモータ５３ 、第２のモータ５４、エアファン４１及び温風ヒータ４３の動作を制御する。
【００６７】
室温検出手段６２０は、衛生洗浄装置１００の雰囲気温度が検出できるように本体部２００（図１参照）に内蔵されている。この室温検出手段６２０は、サーミスタにより室温を検出する構成を有している。
【００６８】
本実施形態においては、使用者の要求により、使用者の局部の被乾燥面を乾燥させる乾燥工程を実行する場合、制御手段１５０は、温風手段４０と水滴除去手段５０を同時に駆
動させて、温風手段４０により送風される温風を、水滴除去手段５０により噴出される加圧空気により誘引しながら両者を混合して被乾燥面に噴出する第１の乾燥運転と、水滴除去手段５０だけを駆動して加圧空気だけ被乾燥面に噴出する第２の乾燥運転と、温風手段４０だけを駆動して温風だけ被乾燥面に吹き出す第３の乾燥運転の３通りの運転パターン実行し、被乾燥面を乾燥させる。
【００６９】
図６は図１に示した衛生洗浄装置１００における洗浄手段３０及び水滴除去手段５０に搭載される駆動手段５２の構成を示す斜視図である。図６（ａ）はノズル２０収納時の駆動手段５２の構成を示す斜視図である。また、図６（ｂ）はノズル２０突出時の駆動手段５２の構成を示す斜視図である。更に、図６（ｃ）は（ｂ）に示した駆動手段を（ｂ）中に示す視線Ｌ１の方向（ノズル２０の軸方向）から透視した場合における、支持部５５、ノズルホルダ５８、チューブ３９、及び、シャフト６６の位置関係を示す透視断面図である。
【００７０】
図６に示すように、駆動手段５２は、主として、人体局部の方向に加圧空気を噴出する空気噴出口２１を先端部に有する筒状のノズル２０と、ノズル２０の後端部に一体的に接続されており、ノズル２０をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ５８と、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸の方向に進退可能に支持する支持部５５と、支持部５５に固定されており、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸方向に進退駆動する進退駆動手段と、支持部５５に固定されており、ノズル２０の軸を回転中心としてノズル２０を回動駆動する回動手段とを含む構成を有している。
【００７１】
上述の構成を有する駆動手段５２によれば、ノズル２０から噴出する加圧空気の被乾燥面に対する当接範囲を使用者の局部の被乾燥面の全面に亘り任意に移動させることができる。
【００７２】
ノズル２０の空気流入口、洗浄水流入口４５ｂのそれぞれには、ノズル２０への加圧空気及び洗浄水の供給を行うための４本のチューブ３９（チューブ３９ａ、チューブ３９ｂ、チューブ３９ｃ、及び、チューブ３９ｄ）が接続されている。
【００７３】
４本のチューブ３９はその一端がノズル２０の空気流入口に接続されているものとノズル２０の洗浄水流入口４５ｂに接続されているものがある。また、４本のチューブ３９の他端は固定部（図示せず）に固定されている。この固定部はエアポンプ５１に連通する構成を有しており、また、温水加熱手段３１からの洗浄水（温水）をノズル２０の方向とノズル洗浄部方向とに流路を切換える切換弁３２にも連通する構成を有している。
【００７４】
上述のように、本実施形態の場合、４本のチューブ３９はその一端がノズル２０の空気流入口又はノズル２０の洗浄水流入口４５ｂに接続されているので、ノズル２０の回動にともなってチューブ３９も回動（又は移動）する構成となっている。
【００７５】
ここで、ノズル２０が回動して空気噴出口２１から加圧空気を噴出する際のノズル２０の回動範囲（回動角度範囲）は、使用者の局部の被乾燥面へ加圧空気が適切にあたる範囲となるように予め位置決めされている。そして、この位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、これら４本のチューブ３９は空気流入口４５ａ又は洗浄水流入口４５ｂと、固定部とに接続されている。
【００７６】
より具体的には、４本のチューブ３９は、空気流入口４５ａ又は洗浄水流入口４５ｂと、固定部とに接続される際にＵ字状に屈曲されているが、屈曲されることにより上述のノズル２０の位置決めした状態が使用経過とともに狂わないように、４本のチューブ３９の
各々に加わる、いわゆるねじり作用が十分に小さくなるように接続されている。
【００７７】
また、４本のチューブ３９がノズル２０の回動にともなって回動（又は移動）する場合において、４本のチューブ３９がシャフト６６に接触しないように、チューブ３９はシャフト６６に対して最小限の間隔があくように配置されている。
【００７８】
このことについて、図６（ｃ）を用い、４本のチューブ３９のうちのチューブ３９ａを代表例として説明する。
【００７９】
図６（ｃ）に示すように、チューブ３９ａの一端はノズルホルダ５８の内部に位置する空気流入口４５ａ（図８参照）に接続されており、チューブ３９ａの他端はノズル２０の外側にある固定部（図示せず）に固定されている。そして、図６（ｃ）に示す視線Ｌ１の方向から透視した場合、チューブ３９ａの両端を結ぶ軸心の線Ｌ２と、チューブ３６ａの空気流入口４５ａに接続されている一端の軸心から外にのばした仮想の線Ｌ３（後述の支持部５５の設置面に略平行な線Ｌ４に平行な線Ｌ３）との角度θが以下のように調節されている。
【００８０】
すなわち、チューブ３９ａがノズル２０の回動にともなって回動（又は移動）する場合において、チューブ３９ａがシャフト６６に接近しても接触しないように（チューブ３９はシャフト６６に対して最小限の間隔があくように）上記角度θが調節されている。
【００８１】
次に、支持部５５について説明する。本実施形態の場合、支持部５５は、駆動手段５２全体を支える構成とされている。
【００８２】
図６（ａ）、図６（ｂ）及び後述の図９（ａ）に示すように、支持部５５は、略三角柱状（底面が略直角三角形）の形状を有する構造体であり、当該三角柱をその側面が底になるように本体部２００内に立設されている。
【００８３】
より詳しくは、支持部５５は、本体部２００内に立設される際に、上記略三角柱状の構造体の３つの側面のうち面積が最大の側面（直角三角形の長辺を含む略長方形の側面）が、上方を向きかつ奥の後方から前方に向けて前傾する状態（下がる状態）となるよう立設されている。なお、上記の前傾する状態とされている側面（以下、この側面を「支持部５５の上面」という）の長手方向はノズル２０の軸の方向と略平行となるように構成されている。
【００８４】
また、支持部５５の上記略直角三角形の底面は、以下、本明細書においては、「支持部５５の側面」という。更に、以下、本明細書において、「前方向」とは図６のＡ方向を示し、「後方向」とはＢ方向を示す。具体的には、前方向は便座部４００に着座した用便者の視線でみて前面の方向に略一致する方向であり、後方向は用便者の視線で見て背面の方向に略一致する方向である。
【００８５】
上記の支持部５５の上面上には、ノズル２０が、空気噴出口２１の形成された先端部が下がるように前傾姿勢で配置されている。この際、ノズル２０の軸の方向は、使用者の局部の被乾燥面を乾燥する乾燥作業を行う際に、空気噴出口２１が形成された先端部が予め設定される乾燥作業に適した位置にまでのびることが可能な方向に設定されている。
【００８６】
より詳しく説明すると、支持部５５の上面上において、ノズル２０の後端部には当該ノズル２０をその軸を回転中心として回動自在となるように支持するノズルホルダ５８が配置されている。更に支持部５５の上面にはノズルホルダ５８をノズル２０の軸の方向に進退可能に保持するレール部５６が後方から前方にむけて延びるように設けられている。
【００８７】
また、支持部５５のレール部５６の前方の先端部には貫通孔を有する筒状のガイド部５７が設けられている。そして、このガイド部５７の貫通孔には、ノズル２０が進退自在及び回動に挿入されている。このガイド部５７は摺動性のよい構成材料で構成されており、更に、ノズル２０がスムーズに貫通孔において回転及び摺動するように、ノズル２０との間には適度なクリアランスが設けられている。
【００８８】
これにより、図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すようにノズルホルダ５８は、レール部５６に沿ってノズル２０の軸の方向にスライド（進退移動）することになる。そして、このノズルホルダ５８の進退移動の動作に合わせてノズル２０もレール部５６に沿って進退移動することになる。
【００８９】
次に、支持部５５に固定されており、ノズル２０及びノズルホルダ５８を、ノズル２０の軸方向に進退駆動する進退駆動手段について説明する。
【００９０】
進退駆動手段は、支持部５５に固定された第１のモータ５３と、第１のモータ５３及びノズルホルダ５８に連接されており第１のモータ５３の回転軸の回転運動をノズル２０及びノズルホルダ５８の進退駆動に変換する第１の連接手段と有している。
【００９１】
第１の連接手段は、主として、原動プーリ６０、従動プーリ５９ａ、従動プーリ５９ｂ、テンションプーリ５９ｃ、これらの４つのプーリに接続されており、原動プーリ６０を介して第１のモータ５３の回転軸の回転運動を従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂに伝達するタイミングベルト６１により構成されている。
【００９２】
ここで、第１のモータ５３は、略直角三角形状の支持部５５の側面の略直角の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。さらに、原動プーリ６０は、その回転中心となる貫通孔を有している。この原動プーリ６０の貫通孔に第１のモータ５３の回転軸が嵌合され、第１のモータ５３に対して原動プーリ６０が正逆回転可能に固定されている。
【００９３】
また、従動プーリ５９ａは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面の角部のうちガイド部５７に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。従動プーリ５９ｂは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面の角部のうちノズルホルダ５８に近い側の角部にその回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。
【００９４】
そして、タイミングベルト６１は、原動プーリ６０、従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂを囲み、かつ、それぞれの回転面に接触されている。これにより、タイミングベルト６１は、原動プーリ６０を介して第１のモータ５３の回転軸の回転運動を従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂに伝達することができるようになる。
【００９５】
更に、テンションプーリ５９ｃは原動プーリ６０が配置されている支持部５５の側面において、原動プーリ６０と従動プーリ５９ａとの間に位置するタイミングベルト６１をその回転軸で押圧できるよう原動プーリ６０と従動プーリ５９ａとの間に回転軸の軸方向が当該側面の法線方向と略平行となるように配置されている。これにより、タイミングベルト６１のテンションを十分に保持することができるようになる。
【００９６】
また、従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂの間に位置するタイミングベルト６１の部分は、その回転方向がレール部５６の軸方向と略平行となるように配置されている。この従動プーリ５９ａ及び従動プーリ５９ｂの間に位置するタイミングベルト６１の部分に
は、ノズルホルダ５８に設けられたアーム部５８ａが連結されている。これにより、ノズルホルダ５８及びノズル２０は、第１のモータ５３の回転により動くタイミングベル６１の動きに応じてレール部５６に沿ってノズル２０の軸方向に前後に進退駆動することになる。
【００９７】
次に、ノズル２０をその軸を回転中心として回動駆動する回動手段について説明する。回動手段は、主として、支持部５５の上面の後端に固定された第２のモータ５４と、第２のモータ５４及びノズル２０に連接されており第２のモータ５４の軸の回転運動をノズル２０の回転駆動に変換する第２の連接手段と、を有している。
【００９８】
その第２の連接手段は、主として、断面が正方形のシャフト６６と、第２のモータ５４の回転をシャフト６６に伝達する第１の伝達手段と、シャフト６６の回転をノズル２０に伝える回転体とから構成されている。
【００９９】
第１の伝達手段は、主として、歯車Ａ６２と、歯車Ｂ６３とから構成されている。歯車Ａ６２は、第２のモータ５４の軸に嵌合されている。また、歯車Ｂ６３は、シャフト６６の後端部に一体に嵌合されている。シャフト６６は、ノズル２０の軸と略平行になるように、両端を支持部５５に回転自在に支持されている。
【０１００】
回転体は、お互いに噛合う歯車Ｃ６４と歯車Ｄ６５により成り、歯車Ｃ６４は、ノズルホルダ５８に対し、ノズル２０の進退駆動に連動するように固定され、シャフト６６の回転に連動して回転可能に、シャフト６６に嵌合されている。すなわち、歯車Ｃ６４は、中心に断面形状が正方形の穴を有し、この穴にシャフト６６が摺動可能に嵌っている。また、歯車Ｄ６５は、ノズル２０の最後端に直結され、ノズルホルダ５８に回転自在に保持されている。したがって歯車Ｃ６４の回転動作が、ノズル２０の回転動作となる。
【０１０１】
このように、回動手段は、第２のモータ５４の正逆回転に応じてノズル２０が回転し、空気噴出口２１から噴出する空気噴流は図５のＣ及びＤの右左方向に揺動する。
【０１０２】
なお、本実施形態では、第１の伝達手段として歯車Ａ６２と歯車Ｂ６３を用いたが、第１の伝達手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第１の伝達手段としては、第２のモータ５４とシャフト６６を直結して、第２のモータ５４の回転をシャフト６６に直接伝達する構成を採用してもよい。この場合、歯車Ａ６２と歯車Ｂ６３が不要となるので、第２の電動モータの動力の伝達ロスや動力の伝達不良を十分に低減できるようになる。また、部品コスト削減、組み立て作業の削減による不良品の発生低減などにより、製造コストの削減もできるようになる。
【０１０３】
次に、図７を用いてノズル洗浄手段３５について詳細に説明する。
【０１０４】
図７（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル洗浄手段３５の横断面を示す模式図である。また、図７（ｂ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル洗浄手段３５の縦断面を示す模式図である。
【０１０５】
図７（ａ）、図７（ｂ）に示すように、ノズル洗浄手段３５は、ガイド部５７と一体に構成され、入水口３６、洗浄室３７、洗浄水拡散部３８を含んで構成されており、洗浄水が入水口３６より供給され、洗浄水拡散部３８の段差に衝突して洗浄室３７に拡散するので、洗浄水がノズル２０の表面を洗い流すことができる。
【０１０６】
次に図８を用いてノズル２０を中心としたノズルユニットの構成について説明する。
【０１０７】
図８（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル２０をその空気噴出口２１の側からみた場合の正面図である。図８（ｂ）は（ａ）に示したＡ−Ａ線に沿ってノズル２０を切断した場合の断面図である。図８（ｃ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者が乾燥設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。図８（ｄ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者がおしり洗浄設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。図８（ｅ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０（使用者がビデ設定を選択した場合の状態）を切断した場合の断面図である。
【０１０８】
図８に示すノズル２０は円柱形状（筒状形状）を有し、先端近傍の外周方向に空気噴出口２１と第１の洗浄水噴出口２２と第２の洗浄水噴出口２３とが設けられ、内部に加圧空気を空気噴出口２１に導くエア流路２４と、おしり洗浄用の洗浄水を第１の洗浄水噴出口２２に導く水用流路ａ２５と水用流路ｂ２６と、ビデ用洗浄水を第２の洗浄水噴出口２３に導く水用流路ｃ２７が設けられている。
【０１０９】
ノズル２０外周部には、ノズル２０の外周面を覆い、回動自在に設けたノズルカバー２８が配置され、ノズル２０の第１，第２の洗浄水噴出口２２，２３と空気噴出口２１とに対向する一つの開口部２９が形成されている。
【０１１０】
したがって、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を変えることで、開口部２９に望む噴出口を切換えることができる。図８（ｃ）は開口部２９と空気噴出口２１を一致させた場合を示し、図８（ｄ）は開口部２９と第１の洗浄水噴出口２２を一致させた場合、図８（ｅ）は開口部２９と第２の洗浄水噴出口２３を一致させた場合を示す。このように運転モードに応じて噴出口を簡単に切換えることができる。
【０１１１】
第１の洗浄水噴出口２２は、水用流路ｂ２６からの平行流に、水用流路ａ２５からの旋回流を合成して噴出するので、平行流と旋回流の割合を調整することにより噴流の広がりと強さを変更することができる。
【０１１２】
ノズルカバー２８はパイプ状のステンレス金属により構成することにより、細菌の繁殖が抑制されより衛生性を向上できる。
【０１１３】
エアポンプ５１からの加圧空気は、チューブ３９ａに接続された空気流入口４５ａからエア流路２４に供給される。また、切換弁３２からの洗浄水は、チューブ３９ｂに接続された洗浄水流入口４５ｂから水用流路ｂ２６に供給される。
【０１１４】
同様に水用流路ａ２５と水用流路ｃ２７にも洗浄水流入口（図示せず）及び洗浄水流入口（図示せず）が形成されており、それぞれにチューブ３９ｃ、チューブ３９ｄ（図６参照）が接続されている。
【０１１５】
これら４本のチューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄには、ノズル２０が回転や前後駆動する際に、ねじれ又は屈曲されることに対する応力（復元力）が発生する。そのため、この力を低減する観点から、４本のチューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄは、ゴムやエラストマなどの可撓性素材を構成材料として構成されている。
【０１１６】
空気流入口４５ａ、洗浄水流入口（図示せず）、洗浄水流入口４５ｂ、洗浄水流入口（図示せず）は、円筒状のノズルホルダ５８の内側に配置されている。この構成により、チューブ３９ａ、３９ｂ、３９ｃ、３９ｄを空気流入口４５ａ、洗浄水流入口、洗浄水流入口４５ｂ、洗浄水流入口４５ｂに接続してＵ字状に屈曲して構成する際、ノズル２０の後端部の寸法を小さくすることができる。そのため、ノズル２０をコンパクトに構成するこ
とができるので、ノズル２０を本体部２００に収納する時に、ノズル２０が本体部２００内へ完全に収容される構成とすることが容易にできるようになる。
【０１１７】
次にノズルカバー２８とノズル２０の角度設定の構成について図９を用いて説明する。図９（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００におけるノズル２０収納時の駆動手段５２の側面図である。図９（ｂ）は（ａ）に示したＡ−Ａ線に沿ってノズル２０及び駆動手段５２を切断した場合の部分断面図である。図９（ｃ）は（ａ）に示したＢ−Ｂ線に沿ってノズル２０及び駆動手段５２を切断した場合の部分断面図である。
【０１１８】
図９（ａ）、（ｂ）に示す支持部５５とノズルホルダ５８にはノズルカバー２８の回転を抑制する回転抑制手段であるストッパ７１、ストッパ７２が設けられている。
【０１１９】
ストッパ７１は、支持部５５の後部に配置されている。ノズル２０が進退駆動（前後駆動）の最終端に移動し収納状態になった場合に、ノズルカバー２８のアーム７３がこのストッパ７１の内部に収容されることで、収納状態においてノズルカバー２８の回動範囲が制限されることになる。この状態で、ノズル２０を回動駆動すれば、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を変更することができる。
【０１２０】
また、図９（ｂ）に示すように、このストッパ７１は、ノズル２０の左右両側に設けられており、何れの方向からでも角度変更が可能とされている。
【０１２１】
ストッパ７１と同様に、ストッパ７２もノズルホルダ５８の左右両側に配置されている。このストッパ７２は、ノズルカバー２８の回動範囲を制限するだけでなく、ノズル２０の回転角度も制限できるように構成されている。すなわち、ノズルカバー２８のアーム７３がストッパ７２に当たる状態となるときに、ノズル２０のアーム２０ａもストッパ７２に当たる状態となるように構成されている。これにより、ノズル２０とノズルカバー２８とは、同じ回動範囲で規制されるように設定されることとなる。
【０１２２】
また、ノズルカバー２８のアーム７３がストッパ７２に当たっている状態で更にノズル２０を回転させることによってもノズル２０とノズルカバー２８の相対角度を変更することができる。
【０１２３】
図９（ｃ）に示すように、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を所定角度に保持する角度保持手段７４は、ノズルカバー２８に構成したバネ性のある凸部７５と、ノズル２０外周面に設けた３箇所の凹部７６ａ、７６ｂ、７６ｃによって成り、凸部７５と凹部の一箇所が嵌合される構成となっている。これにより、ノズル２０とノズルカバー２８との相対角度を所定角度に保持することができる。
【０１２４】
以下に制御手段１５０における制御動作について図１０〜図１４を用いて説明する。
【０１２５】
図１０は、制御手段１５０による「おしり洗浄」運転、「ビデ洗浄」運転、及び、「乾燥」運転におけるノズル２０の噴出口（空気噴出口２１、第１の洗浄水噴出口２２、第２の洗浄水噴出口２３）とノズルカバー２８の開口部２９との相対角度設定の制御動作を示すタイムチャートを示す。
【０１２６】
図１１は制御手段１５０による「おしり洗浄」運転、及び、「乾燥」運転における制御動作を示すタイムチャートを示す。
【０１２７】
図１２（ａ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「おしり洗浄」運転状態にある場合の模式的断面図、図１２（ｂ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「乾燥」の第１ステ
ップの運転状態にある場合の模式的断面図、図１２（ｃ）は図１に示した衛生洗浄装置１００が「乾燥」の第２ステップの運転状態にある場合の模式的断面図、をそれぞれ示す。
【０１２８】
図１３は図１に示した衛生洗浄装置１００における「乾燥」の第１ステップの運転状態及び第２ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
【０１２９】
図１４は図１に示した衛生洗浄装置１００における「乾燥」の第３ステップの運転状態及び第４ステップの運転状態にある場合の被乾燥面の空気噴流の移動パターンを示す模式図である。
【０１３０】
図１０に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間Ｔ０の時点（経過時間ゼロの時点）では、ノズル２０の前後方向（進退方向）は後端の収納位置に配置されている。ノズル２０の回動方向は、回動手段７０に設けた中心部位置を検出する位置センサ（図示せず）の検出位置に角度設定されている。この角度は中心角度となりノズル２０の空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致して上方に設定されている。すなわち、ノズル２０は「乾燥」に設定されている。
【０１３１】
使用者が遠隔操作装置３００（図２を参照）のおしりスイッチ３１２を押下操作する経過時間Ｔ１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動する。
【０１３２】
この時点で、遠隔操作装置３００の報知手段である液晶パネル３０５の「洗浄」と「準備中」を点灯させる。これにより使用者は洗浄水が噴出されていないが操作が受け付けられたことを認識できる。
【０１３３】
次に、経過時間Ｔ２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる左端角度（−９０°）まで角度変更する。
【０１３４】
次に、経過時間Ｔ３では第１のモータ５３を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで運転させて、アーム７３をストッパ７１に嵌め込むように移動する。この動作によりノズルカバー２８はストッパ７１により角度が保持される。
【０１３５】
次に、経過時間Ｔ４で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２とノズルカバー２８の開口部２９が一致するように、ノズル２０を右方向に回転させる（約＋９０°）。ここではノズル２０を回転させると、角度が保持されたノズルカバー２８との相対角度が変わり、ノズルカバー２８に対してノズル２０の回転角度を変えることができる。
【０１３６】
次に、経過時間Ｔ５では再び第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。そして、経過時間Ｔ６で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第１の洗浄水噴出口２２及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように、ノズル２０を右方向に回転させる（約＋９０°）。
Ｔ７で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動する。そして経過時間Ｔ８で動作を完了する。
【０１３７】
以上の経過時間Ｔ１から経過時間Ｔ８までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９におしり洗浄用の第１の洗浄水噴出口２２の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１３８】
次に使用者が遠隔操作装置３００のビデスイッチ３１３を押下操作する場合の動作について説明する。
【０１３９】
なお、この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル２０の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。
【０１４０】
まず、経過時間Ｔ１１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ１２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる右端角度（＋９０°）まで角度変更する。
【０１４１】
おしり洗浄と同様にこの時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「洗浄」と「準備中」を点灯させる。
【０１４２】
次に、経過時間Ｔ１３では第１のモータ５３を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで運転させて、アーム７３をストッパ７１に嵌め込むように移動し、ノズルカバー２８をストッパ７１により保持する。
【０１４３】
次に、経過時間Ｔ１４で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第２の洗浄水噴出口２３とノズルカバー２８の開口部２９が一致するように、ノズル２０を左方向に回転させる（約−９０°）。
【０１４４】
次に、経過時間Ｔ１５では再び第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ１６で第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０の第２の洗浄水噴出口２３及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように、ノズル２０を左方向に回転させる（約−９０°）。
【０１４５】
次に、経過時間Ｔ１７で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動する。そしてＴ１８で動作を完了する。
【０１４６】
以上の経過時間Ｔ１１から経過時間Ｔ１８までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９にビデ用の第２の洗浄水噴出口２３の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１４７】
次に、使用者が遠隔操作装置３００の乾燥スイッチ３１４を押下操作する場合の動作について説明する。
【０１４８】
この場合もまだ操作がされていない状態では、ノズル２０の前後方向は後端の収納位置に配置されており、ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置に角度設定されているものとする。ただしノズルカバー２８の開口部２９の方向は未定とする。
【０１４９】
まず、経過時間Ｔ２１において、第１のモータ５３を運転させてアーム７３とストッパ７１が干渉しない位置（約１０ｍｍ前方）まで移動させる。次に、経過時間Ｔ２２において、第２のモータ５４を回転させて、ノズル２０がストッパ７２に当たる右端角度（＋９０°）まで角度変更する。もし経過時間Ｔ２２時点でノズルカバー２８の開口部２９と第１の洗浄水噴出口２２が一致していた場合は、アーム７３がストッパ７２に当たり、ノズルカバー２８はノズル２０との相対角度が変わり、空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致するまで角度が変わる。
【０１５０】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「乾燥」と「準備中」を点灯させる。
【０１５１】
次に、経過時間Ｔ２３で第２のモータ５４を反転させて、ノズル２０が反対側のストッパ７２に当たる左端角度（−１８０°）まで角度変更する。もし、経過時間Ｔ２３時点でノズルカバー２８の開口部２９と第２の洗浄水噴出口２３が一致していた場合は、アーム７３が反対側のストッパ７２に当たり、ノズルカバー２８はノズル２０との相対角度が変わり、空気噴出口２１とノズルカバー２８の開口部２９が一致するまで角度が変わる。
【０１５２】
このように、ノズルカバー２８の開口部２９に対してノズル２０がどの方向を向いていても上記動作によって開口部２９と空気噴出口２１とが一致する。
【０１５３】
そして経過時間Ｔ２４で第２のモータ５４を再び反転させて、空気噴出口２１及びノズルカバー２８の開口部２９が上方を向くように回転させる。例えば約９０°回転させる。
【０１５４】
次に、経過時間Ｔ２５で第１のモータ５３を運転してノズル２０を収納位置（約１０ｍｍ後方）まで移動させる。そして経過時間Ｔ２６で動作を完了する。
【０１５５】
以上の経過時間Ｔ２１から経過時間Ｔ２６までの動作によって、ノズルカバー２８の開口部２９に空気噴出口２１の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定することができる。
【０１５６】
次に、おしり洗浄から乾燥運転の制御動作について説明する。
【０１５７】
図１１に示す「乾燥」運転の運転モードは図２に示した乾燥モードスイッチ３２０ｂが選択された状態の「標準乾燥運転」であり、温風温度調整スイッチ３４０は「中」設定とした状態のタイムチャートである。
【０１５８】
この「標準乾燥運転」は、乾燥運転における水滴除去手段による加圧空気を被乾燥面に噴射して被乾燥面の水滴が充分に除去でき得る運転の所要時間を実験的に求めて設定して、水滴除去手段を自動停止するように制御させている。図１１では経過時間Ｔ８からＴ１６までの時間が所要時間に相当する。例えば所要時間は３０秒である。
【０１５９】
また、水滴除去手段の運転が終了しても温風手段は継続し、乾燥運転としては終了しない。温風手段の運転は上記の所要時間に遅延時間を加えた延長設定時間により自動停止するように制御させている。例えば遅延時間は６０秒である。ただし図１１に示すタイムチャートでは自動停止前に手動で停止している。
【０１６０】
図１１に示すように、まだ操作がされていない状態の経過時間Ｔ０の時点（経過時間ゼロの時点）では、ノズル２０前後方向は後端の収納位置に配置されている。ノズル２０の左右方向は、回動手段７０に設けた中心部位置を検出する位置センサ（図示せず）の検出位置に角度設定されている。
【０１６１】
使用者が遠隔操作装置３００のおしりスイッチ３１２を押下操作する経過時間Ｔ１において、図１０で説明したようにノズルカバー２８の開口部２９におしり洗浄用の第１の洗浄水噴出口２２の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作について省略する。そして同時に、開閉弁３４が開き、水道水が温水加熱手段３１に流れ込む、内臓の流量センサ（図示せず）が水流を検出すると、温水加熱手段３１への通電が開始され、加熱された温水が供給し始める。この時ノズル２０は収納位置にあるので、第１の洗浄水噴出口２２から噴出される充分に温まっていない温水はガイド部５７の内面に当た
り便器６００内に排出される。
【０１６２】
温水加熱手段３１からの出湯温度が所定の温度（例えば３６℃）に達した時点Ｔ２（経過時間Ｔ２）において、温水加熱手段３１及び開閉弁３４を停止し、第１のモータ５３を運転させてノズル２０を中心部位置（例えば前方１００ｍｍ）まで前進させる。
【０１６３】
そして経過時間Ｔ３において温水加熱手段３１及び開閉弁３４の運転を再開して、使用者の被洗浄面に洗浄水を噴出する。温水加熱手段３１への電力制御は、出湯温度を検出する温度センサ（図示せず）の検出温度が設定温度（例えば４０℃）になるように公知ＰＩＤやＦＦ制御を用いて行う。また、洗浄水の流量は切換弁３２の弁開度を調整することにより使用者の好みの量に設定されている。このおしり洗浄における被洗浄面の濡れ状態は図１２（ａ）に示すように洗浄水が直接当たる中心部だけでなく、水滴が流れて周辺部を濡らしてしまう。
【０１６４】
またこの時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の上部の「準備中」を消灯させ、「洗浄」のみを点灯させる。そして液晶パネル３０５下部の「経過」を点灯し、経過時間Ｔ３からの洗浄運転経過時間を表示させる。
【０１６５】
おしり洗浄が終了し、使用者が遠隔操作装置３００の停止スイッチ３１１を押下操作する経過時間Ｔ４において、温水加熱手段３１及び開閉弁３４を停止し、切換弁３２を第１の洗浄水噴出口２２方向からノズル洗浄手段３５方向へ切換え、ノズル２０からの洗浄水噴出を停止すると同時に、第１のモータ５３を逆転させてノズル２０を収納位置まで後退させて、洗浄動作を終了する。
【０１６６】
この時点で、遠隔操作装置３００の液晶パネル３０５の「洗浄」と「経過」を消灯させ、時間表示をゼロクリアさせる。
【０１６７】
なお、本実施形態では、おしり洗浄における動作を説明したが、遠隔操作装置３００のビデスイッチ３１３押下操作するビデ洗浄を押下操作する場合においても、基本となるシーケースは同様である。ただ、ビデ洗浄の場合は、ビデに対応するノズル２０の位置と流量設定に変更される。
【０１６８】
次に経過時間Ｔ４から所定時間経過後の経過時間Ｔ５ａにおいて、開閉弁３４を開き図６のノズル洗浄手段３５における、入水口３６より洗浄水を供給して洗浄水拡散部３８を介してノズル２０に洗浄水を噴き付け、ノズル洗浄を行なう。
【０１６９】
そして、図１１に示す経過時間Ｔ５ｂで開閉弁３４を停止してノズル洗浄を終了する。この動作は「乾燥」運転が選択されると仮定して、事前にノズル２０を洗浄する。
【０１７０】
次に、経過時間Ｔ６において使用者が遠隔操作装置３００の乾燥スイッチ３１４を押下操作すると、図１０を用いて説明したようにノズルカバー２８の開口部２９に空気噴出口２１の角度を一致させて、噴出方向を上方に設定する。ここではこの動作の説明について省略する。そして温風ヒータ４３が通電されヒータ自身の温度上昇が開始される。このようにエアファン４１を運転する前に温風ヒータ４３に通電することにより、放熱が少ない状態でヒータが加熱されるので高速にヒータ温度を上昇させることができる。
【０１７１】
この時同時にエアポンプ５１が短時間（たとえば１秒間）だけ運転され、加圧空気がノズル２０の空気噴出口２１より一瞬噴出される。この動作は、洗浄室３７内にノズル２０先端が収納状態で、空気噴射口２１より加圧空気を噴出させることにより、洗浄室３７内を加圧空気がノズル２０に沿って高速に流れるので、ノズル２０表面に付着した水滴が吹
き飛ばされる。したがって、使用者に対して水滴の再付着を防止する。
【０１７２】
次に、経過時間Ｔ７でエアファン４１の運転を開始して、温風噴出口４２から温風を吹出す。吹出される温風温度は加熱された温風ヒータ４３を通過するため、始めから高温の温風温度となる。そして、前述のヒータ加熱量に制御されて高温（例えば６０℃）の温風が吹き出されるように設定される。そして温風噴出口４２から使用者の洗浄面である被乾燥面の略全面に対して送風される。
【０１７３】
その後、第１のモータ５３を運転させてノズル２０を最前進位置（例えば前方１５０ｍｍ）まで前進させながら、第２のモータ５４を運転させてノズル２０の左右角度を右端角度（例えば＋５０°）まで角度変更する。
【０１７４】
次に、経過時間Ｔ８において、エアポンプ５１の運転を開始して、被乾燥面に対して空気噴出口２１から加圧空気の噴出を開始する。
【０１７５】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２）の液晶パネル３０５の上部の「準備中」を消灯させ、「乾燥」のみを点灯させる。そして液晶パネル３０５下部の「残り」を点灯し、経過時間Ｔ８から経過時間Ｔ１６までの運転残り時間を１秒単位でカウントダウン表示させる。この残り時間表示によって使用者は乾燥運転の進捗状況を把握できる。
【０１７６】
そして、経過時間Ｔ８から経過時間Ｔ９の第１ステップにおいて、駆動手段５２の第２のモータ５４と第１のモータ５３の運転方向及び運転速度を制御して、ノズル２０の前後駆動を所定範囲（例えば前方５０ｍｍから１５０ｍｍ）で高速に往復運転し、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から右側所定角度（例えば＋５０°から＋２０°）まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
【０１７７】
この第１ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の右側所定位置から前後方向に高速に移動しながら徐々に中心部に接近してくる。したがて、図１２の動作パターンＰ１に示すように、空気噴流当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの右端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。
【０１７８】
この結果、図１２（ｂ）に示すように、洗浄水の噴出範囲よりも外側から加圧空気の噴出を開始するので、被乾燥面の右側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１７９】
図１１の経過時間Ｔ９では一旦エアポンプ５１を停止して、ノズル２０の左右角度を左端角度（例えば−５０°）まで角度変更する。そして経過時間Ｔ１０において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１８０】
そして経過時間Ｔ１０から経過時間Ｔ１１の第２ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を第１ステップと同様に所定範囲（例えば前方５０ｍｍから１５０ｍｍ）で高速に往復運転し、同時にノズル２０の左右角度を左端角度から左側所定角度（例えば−５０°から−２０°）まで中心角度に向けてゆっくりと駆動させる。
【０１８１】
この第２ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、使用者の被乾燥面の左側所定距離から前後方向に高速に移動する周期移動しながら徐々に中心部に漸進移動して接近してくる。したがて、図１２の動作パターンＰ２に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの左端の接線方向に高速に往復移動する周期移動しながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、図１１（
Ｃ）に示すように、被乾燥面の左側に広がって付着した水滴を、中心部方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１８２】
以上の第１ステップと第２ステップによって被洗浄面に付着して残る水滴は中心部を中心に前後残るのみとなる。
【０１８３】
人体の臀部は肛門や陰茎の洗浄中心部に対して左右両サイドに凸部が形成されているため、便座に座った場合に洗浄中心部より左右両サイドが低くなる。したがって、洗浄水が左右に濡れ広がりやすく、乾燥時に最初に中心部に空気噴流を当ててしまうと、付着した水滴が左右に大きく広がり、濡れ面積が拡大してしまう。上述のように第１ステップと第２ステップによって被洗浄面の水滴が左右に広がるのを防止しながら吹き飛ばすので、効率の良い乾燥ができる。
【０１８４】
第２ステップの終了時点Ｔ１１（経過時間Ｔ１１）では、ノズル２０を最前進位置まで前進させる。そして、経過時間Ｔ１１から経過時間Ｔ１２の第３ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を最先進位置から中心部方向にゆっくり後退させながら、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
【０１８５】
この第３ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に中心部に接近してくる。したがて、図１４の動作パターンＰ３に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの先端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Ｇに向けて徐々に斬新移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Ｇより前方に残る水滴を、中心部Ｇ方向に集めながら吹き飛ばすことができる。
【０１８６】
次に、経過時間Ｔ１２では一旦エアポンプ５１を停止して、ノズル２０の前後方向位置を後部所定位置（例えば前方５０ｍｍ）まで移動させる。そして経過時間Ｔ１３において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１８７】
そして経過時間Ｔ１３から経過時間Ｔ１４の第４ステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を後部所定位置から中心部方向にゆっくり前進させながら、同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。この第４ステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動に移動しながら後方の所定距離から前方に向かって徐々に中心部に接近してくる。
【０１８８】
したがて、図１３の動作パターンＰ４に示すように、空気噴流の当接範囲Ｅは被乾燥面Ｆの後端の接線方向に高速に往復移動する周期移動をしながら中心部Ｇに向けて徐々に漸進移動するので、図のようにジグザグの移動軌跡が描かれる。この結果、被乾燥面の中心部Ｇより後方に残る水滴を、中心部Ｇ方向に集めながら吹き飛ばすことができる。以上の第１から第４ステップによって被乾燥面に付着して残る水滴は中心部のみとなる。
【０１８９】
次に、上述の第１ステップから第４ステップでの被乾燥面に付着する水滴への作用を説明する。各ステップの動作中の被乾燥面への空気噴流の駆動方向が、中心部に向けて移動する速度より、中心部に対して略接線方向の移動速度の方を充分に速くしているので、被乾燥面に衝突して広がる空気流れ方向が、前記の略接線方向に対して垂直方向の流れ成分が多くなる。
【０１９０】
したがって、この略接線方向に駆動する空気噴流と中心部の間に付着する水滴は、略接線方向に対して垂直方向の空気流に押されて中心部方向に移動するように作用する。そして徐々に空気噴流を中心部に接近させるので、中心部方向に集まってくる。この動きを第
１から第４ステップにおいて右、左、前、後の４方向から行うことによって、水滴は中心部に集まる。このように第１ステップから第４ステップが被乾燥面に付着する水滴を被乾燥面の中心部に集める工程となる。
【０１９１】
経過時間Ｔ１４では再びエアポンプ５１を停止して、ノズル２０の前後方向位置を前方の所定位置（例えば前方１３０ｍｍ）まで移動させる。そして経過時間Ｔ１５において、エアポンプ５１の運転を再開して、加圧空気の噴出を開始する。
【０１９２】
そして、経過時間Ｔ１５から経過時間Ｔ１６の第５のステップにおいて、ノズル２０の前後駆動を前方の所定位置から後退を開始し、中心部を通過して、中心部より後方の所定距離（例えば前方５０ｍｍ）までをゆっくりと後退する。同時にノズル２０の左右角度を右端角度から左端角度まで高速に往復駆動させる。
【０１９３】
この第５のステップの動作は、ノズル２０からの空気噴流が、被乾燥面上を左右方向に高速に移動する周期移動をしながら前方の所定位置から後方に向かって徐々に漸進移動をして中心部に接近し、さらに中心部を通過して後方の所定位置まで漸進移動する。したがって被乾燥面に対して空気噴流の当たる位置が前方から中心部を通って後方に徐々に移動するので、被乾燥面の中央部に残る水滴を、完全に吹き飛ばすことができる。すなわち、この第５のステップが集めた水滴を吹き飛ばす工程となる。
【０１９４】
経過時間Ｔ１６で所要時間が経過となりエアポンプ５１を自動停止して、ノズル２０の前後方向は最前進位置（例えば前方１５０ｍｍ）まで移動させる。ノズル２０の左右方向は、中心角度に戻す。
【０１９５】
この時点で、遠隔操作装置３００（図２）の液晶パネル３０５の「残り」を消灯させ、「経過」を点灯させる。そして時間表示をゼロクリアさせて、経過時間Ｔ１６からの運転経過時間を表示する。すなわちこの時点で乾燥に必要な時間運転したことになる。これ以降の運転は使用者の好みに応じて継続される。
【０１９６】
経過時間Ｔ１７ａから経過時間Ｔ１７ｂでノズル２０の前後方向を収納位置に向けて移動させながら、開閉弁３４を開きノズル洗浄を行なう。この間でノズル２０全体に洗浄水が噴き付けられ、ノズル２０全体の洗浄ができる。そして経過時間Ｔ１７ｂでは開閉弁３４を停止して、ノズル洗浄を終了する。
【０１９７】
乾燥が終了し、使用者が遠隔操作装置３００の停止スイッチ３１１を押下操作する経過時間Ｔ１８で温風ヒータ４３の運転を停止する。この時点で、遠隔操作装置３００（図２を参照）の液晶パネル３０５の「乾燥」と「経過」を消灯させ、時間表示をゼロクリアさせる。そして、経過時間Ｔ１９でエアファン４１を停止することによって、温風ヒータ４３の余熱を減少させて乾燥運転が終了する。
【０１９８】
以上、本発明の第１実施形態における衛生洗浄装置について説明したが、本発明の衛生洗浄装置は上述した第１実施形態のみに限定されるものではない。
【０１９９】
例えば、第１実施形態では、乾燥手段として人体局部に付着する水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段５０と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段４０とを備えた構成としたが、単に温風を吹出すだけの乾燥手段でもよい。
【０２００】
また、第１実施形態では運転時間情報の報知を、秒数で表示したが、液晶パネルを用いたレベルメータ表示や、複数のＬＥＤの点灯による報知でもよい。さらに音声や音、振動による報知でも良いし、音や振動と表示を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０２０１】
本発明の衛生洗浄装置は、乾燥の自動運転における運転状況を使用者に報知することができるので、シャワーや手洗い等で濡れた身体の乾燥にも応用できる。また、食器洗浄機や洗車機、部品洗浄機などの洗浄機の分野・用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【０２０２】
３０ 洗浄手段
４０ 温風手段
５０ 水滴除去手段
１００ 衛生洗浄装置
１５０ 制御手段
３００ 遠隔操作装置（入力手段）
３０５ 報知手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
人体局部を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄手段により濡れた人体局部を乾燥する乾燥手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段と、前記入力手段の信号に応じて前記洗浄手段および前記乾燥手段を運転制御し、前記報知手段への報知情報を出力する制御手段と、を少なくとも有しており、
前記制御手段は、前記乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、前記乾燥手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる衛生洗浄装置。
【請求項２】
前記制御手段は、前記乾燥手段の運転終了までのカウントダウン時間を前記報知手段により報知させる請求項１に記載の衛生洗浄装置。
【請求項３】
前記制御手段は、前記所定時間に遅延時間を加えた延長設定時間で前記乾燥手段を自動停止させるとともに、前記所定時間までの運転時間情報を前記報知手段により報知させる請求項１に記載の衛生洗浄装置。
【請求項４】
前記乾燥手段は、人体局部に付着した水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段とを備え、
前記制御手段は、前記水滴除去手段および前記温風手段をそれぞれ自動停止させるとともに、少なくとも前記水滴除去手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる請求項１〜３のうち何れか１項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項５】
前記制御手段は、前記水滴除去手段と前記温風手段との自動停止時間の短い方の運転時間情報を前記報知手段により報知させ、一方が停止した場合に他方の運転時間情報に切換えて前記報知手段により報知させる請求項４に記載の衛生洗浄装置。
【請求項６】
前記乾燥手段の自動停止までの運転時間が予め複数設定されており、使用者が前記複数の運転時間のうちから所望の運転時間を選択可能に構成されている請求項１〜５のうち何れか１項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項１】
人体局部を洗浄する洗浄手段と、前記洗浄手段により濡れた人体局部を乾燥する乾燥手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転状態を報知する報知手段と、前記洗浄手段および前記乾燥手段の運転条件設定と運転開始および運転停止とを指示する入力手段と、前記入力手段の信号に応じて前記洗浄手段および前記乾燥手段を運転制御し、前記報知手段への報知情報を出力する制御手段と、を少なくとも有しており、
前記制御手段は、前記乾燥手段を運転開始から乾燥に必要な所定時間で自動停止させるとともに、前記乾燥手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる衛生洗浄装置。
【請求項２】
前記制御手段は、前記乾燥手段の運転終了までのカウントダウン時間を前記報知手段により報知させる請求項１に記載の衛生洗浄装置。
【請求項３】
前記制御手段は、前記所定時間に遅延時間を加えた延長設定時間で前記乾燥手段を自動停止させるとともに、前記所定時間までの運転時間情報を前記報知手段により報知させる請求項１に記載の衛生洗浄装置。
【請求項４】
前記乾燥手段は、人体局部に付着した水滴を加圧空気により除去する水滴除去手段と、温風により前記人体局部を乾燥する温風手段とを備え、
前記制御手段は、前記水滴除去手段および前記温風手段をそれぞれ自動停止させるとともに、少なくとも前記水滴除去手段の運転時間情報を前記報知手段により報知させる請求項１〜３のうち何れか１項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項５】
前記制御手段は、前記水滴除去手段と前記温風手段との自動停止時間の短い方の運転時間情報を前記報知手段により報知させ、一方が停止した場合に他方の運転時間情報に切換えて前記報知手段により報知させる請求項４に記載の衛生洗浄装置。
【請求項６】
前記乾燥手段の自動停止までの運転時間が予め複数設定されており、使用者が前記複数の運転時間のうちから所望の運転時間を選択可能に構成されている請求項１〜５のうち何れか１項に記載の衛生洗浄装置。
【図３】
【図４】
【図５】
【図７】
【図１０】
【図１１】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１】
【図２】
【図６】
【図８】
【図９】
【図１２】
【図４】
【図５】
【図７】
【図１０】
【図１１】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１】
【図２】
【図６】
【図８】
【図９】
【図１２】
【公開番号】特開２０１１−１４０７７１（Ｐ２０１１−１４０７７１Ａ）
【公開日】平成２３年７月２１日（２０１１．７．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−９７３（Ｐ２０１０−９７３）
【出願日】平成２２年１月６日（２０１０．１．６）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年７月２１日（２０１１．７．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１月６日（２０１０．１．６）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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