説明

衛生洗浄装置

【課題】ハイパーソニック効果によりトイレ空間の快適性を向上させると共に、低コストで小型に構成できる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】便器2上に載置される便座6と、便器2の開口部上および便座上を覆うための便蓋5と、便座及び便蓋5を軸支する装置本体15と、20kHz〜100kHzの範囲内の所定周期の高周波信号を発生する高周波信号発生部10と、高周波信号発生部10で発生した正弦波信号を高周波音に変換する高周波音供給部16と、制御部27と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響設備を有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用便の時に使用者の局部を洗浄する衛生洗浄装置としては、トイレ室内をくつろぎの空間として、使用者が感じる快適性を向上させるべく様々な改善がなされてきた。その1つの手段として、衛生洗浄装置に音響設備を付加して、好みの音楽をトイレ室内で再生する手段が提案されている。
【0003】
例えば、図10(特許文献1の図1を参照)に示すように、便器を配置したトイレ室100内にリモートコントローラ装置101及びプレーヤ102を設け、収納ケース103内にスピーカー104を設けて、使用者がリモートコントローラ装置101を操作することにより、プレーヤ102で再生した音楽をスピーカー104で再生して、その再生音をトイレ室100内に流すトイレ用音響システムを有する便座装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、近年では、可聴周波数範囲の音をとともに、可聴周波数範囲を超える周波数範囲の環境音を人間に対して印加することにより、ハイパーソニック効果を得られることが、実験的に証明されている。
【0005】
その具体的手段として、図11に示すようなものがある。同図に示すように、SACDフォーマットによる信号ディスク105、信号ディスク105を再生するSACDプレーヤ106、SACDプレーヤ106からの電気信号を可聴周波数成分(LF)と高周波成分(HF)とに分離する前置増幅器107、前置増幅器107で分離した電気信号をそれぞれ増幅させる電力増幅器108、可聴周波数成分を再生するスピーカー109、および高周波音を再生するスーパーツィーター110で構成された環境設定装置が提案されている(特許文献2の図61を参照)。
【0006】
都市空間型環境は、10KHz以下の音の発生源が多く、高周波成分の音源が有ったとしても、高周波成分の音は乱立する建物等の影響により減衰し易く、可聴周波数の騒音(都市空間型環境音)が充満した環境といえる。
【0007】
熱帯雨林型環境は、障害物が少ないことから、高周波成分の音が減衰し難いため、可聴周波数の騒音以外にも50KHz以下の高周波成分の音を多く含んだ熱帯雨林型環境音に満ちた環境といえる。
【0008】
後者の発明は、20KHz以上の周波数成分を含む熱帯雨林自然環境音に満ちた環境を作り、人間の脳基幹部を活性化して、人間の脳に優しい環境を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−116092号公報
【特許文献2】特開2005−111261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に示すトイレ用音響システムは、コンパクトディスク(CD
)やミニディスク(MD)などの記録媒体に音を記録する場合、音信号を44.1kHzのサンプリング信号でサンプリングしながら録音再生するため、最高約20KHzまでの音信号しか再生することができず、特許文献1の音響システムに特許文献2の技術を単純に適用することができなかった。
【0011】
そのため、ハイパーソニック効果を得るためには、20KHz以上の高周波成分を含む音情報を記憶する大容量のメモリーが必要であり、メモリーに記憶した情報を再生する装置も必要となった。しかし、これらの装置は決して安価なものではなく、安価なシステムを提供するという観点から更に改善の余地があった。
【0012】
また、上述の特許文献2に記載の従来の環境設定装置は、ハイパーソニック効果を得るために、多くの回路ブロックを要し、スーパーツィーター110や、スピーカー109が必要であり、トイレ空間のように限られたスペースに設置するには、装置が大き過ぎるという問題があった。
【0013】
また、上述の特許文献2では、熱帯雨林型環境音に関して、「非定常なゆらぎ構造(一定の周期を有さないゆらぎ音構造)は、その後の検討で、本発明者らの研究に使う音源として必須なものであることがわかった。というのは、この超高周波成分を、平均パワースペクトルを等しくしたゆらぎのない定常性の帯域雑音に入れ換えたり、周期性の正弦波に変えると、その効果を喪い、あるいは負の効果を導くからである。」としている(特許文献2の段落[0565]参照)。
【0014】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、実験を重ねて改善の余地を検討し、本発明をするに至った。本発明は、ハイパーソニック効果によりトイレ空間の快適性を向上させると共に、低コストで小型に構成できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、周期性を有する正弦波音を使用した場合であっても、特許文献2で提案している「非定常なゆらぎ構造(一定の周期を有さないゆらぎ構造)」を使用した場合と同様に、ハイパーソニック効果を得られることを実験的に見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明の衛生洗浄装置は、用便用の開口部を有する便器に載置された装置本体と、前記装置本体に回動自在に軸支され前記便器の前記開口部上に載置された状態で使用者が着座する着座面を有する便座と、前記装置本体に回動自在に軸支され前記便器の前記開口部上および前記便座上を覆うための便蓋と、20kHz〜100kHzの範囲内の所定周期の正弦波信号を発生する高周波信号発生部と、前記正弦波信号を高周波音に変換する高周波音供給部と、少なくとも前記高周波信号発生部の動作を制御する制御部と、を備えたものである(請求項1)。
【0017】
この構成により、使用者が便座に着座して本装置を作動させると、所定周期の高周波音が高周波音供給部から発せられ、使用者の耳や皮膚から脳に高周波音の刺激が伝わり、使用者をリラックスさせるハイパーソニック効果が得られ、トイレ空間内に滞在するときの快適性を向上することができる。また、この衛星洗浄装置は、CD,メモリー等の記憶媒体を用いることなく、少ない回路ブロック数で構成できるため、装置全体を小型且つ低コストで構成することができる。
【0018】
さらに、本発明の衛生洗浄装置は、高周波信号発生部が装置本体に設けられており、高周波音供給部が便蓋に設けられていることが好ましい(請求項2)。
【0019】
これにより、高周波音供給部から発した高周波音が、障害物などの影響を受けることなく、使用者の背面至近距離から使用者へ伝えられ、空間内を伝播する高周波音を減衰させないから、使用者の受容する高周波音を増加させることができる。従って、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。
【0020】
さらに、本発明の衛生洗浄装置は、高周波信号発生部及び高周波音供給部が便蓋に設けられていることが好ましい(請求項3)。
【0021】
これにより、高周波音供給部から発した高周波音が、障害物などの影響を受けることなく、使用者の背面至近距離から使用者へ伝えられるので、空間内を伝播中の高周波音が減衰しないから、使用者が受容する高周波音を増加させることができる。そして、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。さらに、高周波信号発生部と高周波音供給部を近接して設けることで、高周波信号発生部と高周波音供給部との間を電気信号が伝達する時に、飛来ノイズが混入することを防止でき、ノイズやひずみのない高周波音を供給することができる。
【0022】
また、本発明の衛生洗浄装置は、少なくとも高周波音供給部が装置本体に設けられていることが好ましい(請求項4)。
【0023】
これにより、使用者に至近距離から高周波音を供給することで、空気中での高周波音の減衰を減らすことが可能となり、使用者の受容する高周波音を増加させることができる。このため、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上することができる。また、便蓋の重量を軽量化することが可能となり、便蓋可動部の負荷を軽減することができる。
【0024】
さらに、本発明の衛生洗浄装置は、装置本体とは別体に設けられたリモートコントローラを有しており、高周波信号発生部及び高周波音供給部が前記リモートコントローラに設けられていることが好ましい(請求項5)。
【0025】
この構成により、リモートコントローラをトイレ空間の壁等に設置すれば、高周波音供給部から発した高周波音が、障害物などの影響を受けることなく、使用者の至近距離から使用者に供給され、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。また、リモートコントローラを壁等から取り外せば、高周波音供給部の持ち運びが可能となり、使用者がトイレ空間以外の空間に居ても、使用者にハイパーソニック効果を与えることができる。
【0026】
また、本発明の衛生洗浄装置は、高周波音供給部と使用者との距離が10cm〜100cmの範囲で用いられることが好ましい(請求項6)。
【0027】
この構成により、高周波音供給部から発する高周波音を減衰させずに使用者に伝達することが可能となり、使用者が受容する高周波音を増加させて、ハイパーソニック効果をより効果的に得て、トイレ空間内の快適性を十分に向上させることができる。
【0028】
さらに、本発明の衛生洗浄装置は、高周波音供給部の動作状態を報知する報知手段を有することが好ましい(請求項7)。
【0029】
これにより、報知手段により視覚的に高周波音の表示を行うことができ、高周波音が供給されているかどうかの判断を視覚的に容易に行うことができる。
【0030】
また、本発明の衛生洗浄装置は、高周波音の音圧レベルがトイレ空間内の騒音の音圧レベルよりも大きくなるように、高周波信号発生部の動作を制御することが好ましい(請求項8)。
【0031】
これにより、高周波音供給部から発した所定周期の高周波音が、使用者の耳から脳に刺激を伝え、使用者をリラックスさせるハイパーソニック効果が得られ、トイレ空間内に滞在するときの快適性を向上することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の衛生洗浄装置によれば、所定周期の高周波音が便座に着座した使用者に供給され、高周波音の刺激が使用者の耳や皮膚から脳に伝わり、使用者をリラックスさせるハイパーソニック効果が得られ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。また、装置全体を少ない回路ブロック数で構成でき、装置全体を小型且つ低コストで構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る衛生洗浄装置の外観図
【図2】同衛生洗浄装置におけるリモートコントローラの一例を示す斜視図
【図3】同衛生洗浄装置におけるリモートコントローラ及び装置本体の回路構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2実施形態に係る衛生洗浄装置を示す外観図
【図5】本発明の第3実施形態に係る衛生洗浄装置におけるリモートコントローラの一例を示す斜視図
【図6】本発明の第4実施形態に係る衛生洗浄装置におけるリモートコントローラの概略図
【図7】実施例における音質主観評価図
【図8】実施例における脳波変化図
【図9】実施例における高周波音供給部の音圧レベル図
【図10】特許文献1に記載の従来の衛生洗浄装置を示す外観図
【図11】特許文献2に記載の従来の環境設定装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の衛生洗浄装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【0035】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の衛生洗浄装置1について説明する。図1は、本発明の衛生洗浄装置の第1実施形態を示す外観図である。
【0036】
図1に示すように、トイレ室(トイレ空間)3内には、用便用の開口部を有する便器2と、便器2に供給する洗浄水を貯水した洗浄水タンク19と、水道管から洗浄水タンク19へ洗浄水を供給するための給水配管(図示せず)とが設けられている。
【0037】
そして、衛生洗浄装置1は、主として、人体検知部4と、便蓋5と、便座6と、リモートコントローラ14と、装置本体15と、電気ケーブル7とから構成されている。そして、衛星洗浄装置1は、この便器2の開口部上に載置され、電気ケーブル7はトイレ室3の壁面に設けられたコンセントに接続されている。また、衛生洗浄装置1のリモートコントローラ14は、通常、トイレ室3の壁の所定箇所に取付具(図示せず)を設けて、その取付具内に取り外し可能に収納されている。
【0038】
まず、便座6について説明する。
【0039】
便座6は、装置本体15に対して回動自在に軸支されており、便器2の開口部上に載置された状態で、使用者が着座する着座面を有している。この便座6内には、この着座面を加熱する加熱ヒータ(図示せず)が内蔵されている。
【0040】
次に、人体検知部4について説明する。
【0041】
図1に示す人体検知部4は、トイレットルームに使用者が入室しているか否かを検知し、その検知情報を装置本体15に送信するものである。この人体検知部4は、衛生洗浄装置1の設置環境において、トイレ室3に入室又は退室する使用者を検知しやすい場所、例えば、トイレ室3の入口付近等に取り付けられる。
【0042】
この人体検知部4は、例えば、赤外線の発光部と、赤外線の受光部とを有する反射型の赤外線センサなどの光学センサが好ましく採用される。人体検知部4として赤外線センサを採用した場合、人体検知部4は、その発光部から発射される赤外線がトイレ室3内に入室した使用者の身体に当って反射し、反射した赤外線を着座検知部18の受光部で受光し、使用者がトイレ室3へ入室しているか否かの情報を検知する。
【0043】
次に、リモートコントローラ14について説明する。
【0044】
図2は、衛生洗浄装置におけるリモートコントローラの一例を示す模式図である。
【0045】
図2に示すように、リモートコントローラ14の前面には、おしりスイッチ20、ビデスイッチ21、乾燥スイッチ22、インジケータ23、調節スイッチ24、停止スイッチ25、癒しスイッチ26等の各スイッチが設けられている。
【0046】
リモートコントローラ14は、使用者が上記各スイッチを操作すると、各スイッチの動作に応じた所定の信号をリモートコントローラ14から装置本体15の制御部27(図3参照)に無線送信するように構成されている。更に、後述する装置本体15の制御部27(図3参照)は、リモートコントローラ14から受信した信号に基づいて装置本体15及び便座6の各構成部の動作を制御するように構成されている。
【0047】
例えば、使用者がおしりスイッチ20又はビデスイッチ21を操作すると、そのスイッチ動作に応じて制御部27が作動し、ノズル8(図1、図4参照)から使用者の局部に洗浄水が噴出されるように構成されている。そして、使用者が調整スイッチ24を操作すると、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等(洗浄水の強さ)を調整することができる。
【0048】
図2に示すように、リモートコントローラ14の前面における調整スイッチ24の左側には、インジケータ23が設けてある。インジケータ23は、調整スイッチ24の操作で変化する洗浄水の強度を5段階に分けて表示することができ、使用者に5段階表示で視覚的に認識させることができる。
【0049】
また、使用者が停止スイッチ25を操作すると、停止スイッチ25の動作に応じて制御部27が作動し、ノズル8から使用者の局部へ噴出する洗浄水を停止するように構成されている。
【0050】
さらに、使用者が乾燥スイッチ22を操作すると、乾燥スイッチ22の動作に応じて制
御部27が作動し、乾燥手段9(図3参照)から使用者の局部およびその周辺へ向けて温風が吹き出すように構成されている。そして、使用者が調節スイッチ24を操作すると、送風される温風の温度を調節することができる。また、温風を送風しつつ調節スイッチ24が操作されると、インジケータ23が調節スイッチ24の操作で変化する温風の温度を5段階で表示する。さらに、使用者が停止スイッチ25を操作すると、停止スイッチ25の動作に応じて制御部27が作動し、乾燥手段9から使用者の局部への温風の送風を停止する。
【0051】
また、使用者が癒しスイッチ26を操作すると、癒しスイッチ26の動作に応じて制御部27が作動し、後述する高周波信号発生部10(図3参照)により高周波信号が発生され、後述する高周波音供給部16(図1、図3参照)がその高周波信号を高周波音に変換して使用者に供給するように構成されている。
【0052】
さらに、このとき、使用者が調節スイッチ24を操作すると、後述する高周波音供給部16から使用者に供給される高周波音の大きさを調節できる構成になっており、使用者の好みに合わせて高周波音の大きさに調節することができる。すなわち、使用者が調節スイッチ24を操作すると、超音波制御部11(図3参照)が発振回路12へ与える制御信号を制御することにより、発振回路12(図3参照)の発振出力(高周波信号)のレベルが変化し、高周波音供給部16から発する高周波音の音圧レベルを調節して、適度な大きさの高周波音を使用者に供給できるように構成されている。
【0053】
そして、使用者が停止スイッチ25を操作すると、停止スイッチ25の動作に応じて制御部27が作動し、高周波信号発生部10による高周波信号の発生が停止され、高周波音供給部16から使用者へ供給される高周波音が停止するように構成されている。
【0054】
なお、高周波信号を停止する手段としては、超音波制御部11から発振回路12へ与える制御信号をゼロにして発振回路12の発振出力をゼロにして、高周波音供給部16から出力する高周波音を停止しても構わないし、発振回路12と高周波音供給部16との間を繋ぐ配線を遮断しても構わない。また、発振回路12を含む高周波信号発生部10の電源供給ライン(図示せず)に供給する電源電圧を遮断しても構わない。
【0055】
次に、便蓋5について説明する。
【0056】
便蓋5は、装置本体15に対して回動自在に軸支されている。便蓋5の裏面には高周波音供給部16が配置されており、高周波信号発生部10で発生した高周波信号を高周波音に変換して、使用者の背後における至近距離から使用者に高周波音を供給する構成になっている。ここで、便蓋5の裏面とは、便座6に着座した使用者の背面に対向する面のことである。
【0057】
次に、装置本体15について説明する。
【0058】
図3は、図1に示した衛生洗浄装置におけるリモートコントローラ14及び装置本体15の構成を示すブロック図である。
【0059】
図1及び図3に示すように、装置本体15は、主に、使用者の局部に洗浄水を噴出する洗浄ノズル8と、洗浄後の使用者の局部及びその周辺に温風を送風する乾燥手段9と、高周波信号を発生する高周波信号発生部10と、高周波信号発生部10で発生した高周波信号を高周波音に変換する高周波音供給部16と、使用者が着座したことを検知する着座検知部18と、制御部27とから構成されている。
【0060】
制御部27は、人体検知部4、リモートコントローラ14及び着座検知部18から送信される信号に基づいて、洗浄ノズル8、乾燥手段9及び高周波信号発生部10の動作を制御する。また、装置本体15には、人体検知部4が使用者の入室を検知した検知信号に基づき、便蓋5を自動開閉させる便蓋自動開閉機構(図示せず)が内蔵されている。
【0061】
次に、着座検知部18について説明する。
【0062】
図1に示すように、着座検知部18は、装置本体15の上面、即ち便座6よりも高い位置に設けられ、例えば、赤外線発光部と赤外線受光部とを有する反射型の赤外線センサなどの光学センサが好ましく採用される。着座検知部18として赤外線センサを採用した場合、着座検知部18は、その赤外線発光部から発射される赤外線が便座6の着座面に着座した使用者の身体に当って反射し、反射した赤外線を着座検知部18の赤外線受光部で受光し、使用者の着座の有無を検知することができる。
【0063】
次に、高周波信号発生部10について説明する。
【0064】
図3に示すように、高周波信号発生部10は、超音波制御部11と、発振回路12とから構成されている。
【0065】
超音波制御部11は、制御部27に接続されており、制御部27からのディジタル制御信号に基づいて、2つのアナログ制御信号を生成し、第1および第2のアナログ制御信号に応じて発振回路12の動作を制御する。
【0066】
また、発振回路12は、回路構成する回路素子の定数によって発振周波数が決定され、第1のアナログ制御信号のレベルに応じて回路素子の定数を可変して発振周波数を変調することができ、20kHz〜100kHzの周波数範囲内において周波数変調した所定周期の正弦波(電圧)で発振する。そして、発振回路12は、超音波制御部11から印加される第2のアナログ制御信号によって発振出力レベルが制御される。発振回路12の出力には接続コード17を介して高周波音供給部16に接続されており、第2の制御信号のレベルに応じて高周波信号の振幅を変調することができる。
【0067】
なお、発振回路12は、コンデンサ(図示せず)、抵抗素子(図示せず)および可変抵抗回路(図示せず)を組み合わせた回路網で構成しても構わない。この場合は、その可変抵抗回路に与える第1のアナログ制御信号を制御して可変抵抗回路の抵抗値特性を可変することで、発振周波数を可変することができる。
【0068】
また、発振回路12は、ジャイレータ回路(図示せず)とコンデンサ(図示せず)で共振回路を構成し、その共振回路を含んだ回路網で発振回路を構成しても構わない。この場合は、そのジャイレータ回路に与える第1のアナログ制御信号を制御してジャイレータ回路のインダクタンス値特性を可変することで、共振周波数に依存する発振周波数を可変することができる。更に、圧電素子等の振動子を組み込んで発振回路を構成しても良い。
【0069】
次に、高周波音供給部16は、高周波信号発生部10(又は発振回路12)の出力から印加される高周波信号を高周波音に変換して出力する。これにより、高周波音供給部16は、20kHz〜100kHzの高周波音を使用者に供給することができる。なお、高周波音供給部16は、電気信号を音波に変換するものであれば良く、特に限定はされるものではないが、例えば、圧電装置やスピーカーを採用することができる。
【0070】
以下に制御部27における制御動作について図1、図2及び図3に基づいて説明する。
【0071】
使用者がトイレ室3内に入室すると、人体検出部4により使用者の入室が検知され、人体検出部4より、人体検知信号が装置本体15の制御部27に送信され、使用者の入室と同時に便蓋5が自動で開成される。その後、使用者により、リモートコントローラ14の癒しスイッチ26が操作されると、その操作信号が制御部27へと送信され、制御部27はディジタル制御信号を超音波制御部11へ送信する。すると、超音波制御部11は、ディジタル制御信号に応じた第1および第2のアナログ制御信号を生成し、その制御信号を発振回路12へ供給する。
【0072】
発振回路12は、20kHz〜100kHzの所定周期の正弦波で発振を行い、その発振出力である高周波信号を高周波音供給部16へ供給する。高周波音供給部16は、この高周波信号を高周波の音波に変換して、高周波音を使用者へ供給する。
【0073】
図1に示すように、高周波音供給部16を便蓋5の裏面に設け、便蓋5を開いて倒立した状態で使用者が便座6に着座すると、使用者の背面至近距離から使用者に向けて高周波音を供給することができるため、高周波音が高周波音供給部16から使用者に到達するまでに減衰することを低減でき、使用者の受容する高周波音を増加させることができる。そして、使用者の脳をリラックスさせるハイパーソニック効果が十分に得られ、トイレ空間内の快適性を向上させることができる。また、本発明の衛生洗浄装置は、高周波音をメモリーに記憶して再生する必要がないため、回路が簡素に構成され、衛生洗浄装置全体を小型かつ低コストで構成することができる。
【0074】
また、高周波音供給部16を便蓋5に設けたことにより、高周波音供給部16から発した高周波音が、障害物などの影響を受けることなく使用者に供給されるため、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。
【0075】
また、使用者の背面至近距離から高周波音を供給することで、空気中での高周波音の減衰を減らすことが可能となり、使用者の受容する高周波音を増加させることができる。そして、高周波信号発生部10と高周波音供給部16との配線距離を短くすることで、高周波信号発生部10と高周波音供給部16との間を接続する配線にノイズが混入することを抑制することが可能となり、ノイズや歪の少ない高周波音を使用者に供給することができる。
【0076】
なお、上述した本実施形態は、高周波信号発生部10を装置本体15に設け、高周波音供給部16を便蓋5に設けた形態について説明したが、これに限定されるものではなく、高周波信号発生部10及び高周波音供給部16を便蓋5に設けても、同様な作用効果が得られる。
【0077】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る衛生洗浄装置について、図面を用いて詳細に説明する。図4は、第2実施形態の衛生洗浄装置を示す外観図である。
【0078】
第2実施形態に係る衛生洗浄装置が、第1実施形態に係る衛生洗浄装置と異なるのは、高周波信号発生部10及び高周波音供給部16が装置本体15に設けられている点であり、第1実施形態と同一部位は同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
なお、上述した第1実施形態と同様に、使用者にハイパーソニック効果をより確実に与えるという観点から、高周波音供給部16と使用者との間に隙間を設けることが好ましく、後述する実施例から、高周波音供給部16と使用者との間の距離としては、10cm〜100cmであることが好ましい。
【0080】
したがって、高周波音供給部16を装置本体15に設ける場合には、装置本体15の袖部15aに設けることが好ましい。
【0081】
この構成により、使用者に至近距離から高周波音を供給することで、空気中での高周波音の減衰を減らすことが可能となり、使用者の受容する高周波音を増加させることができる。このため、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、トイレ空間の快適性を向上させることができる。
【0082】
また、装置本体15に高周波信号発生部10及び高周波音供給部が設けられているため、便蓋5を軽量化することが可能となり、便蓋可動部の負荷を軽減することができる。
【0083】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係る衛生洗浄装置について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、第3実施形態の衛生洗浄装置を示す外観図である。
【0084】
第3実施形態に係る衛生洗浄装置が、第1および第2実施形態に係る衛生洗浄装置と異なるのは、高周波信号発生部10及び高周波音供給部16がリモートコントローラ14に設けられている点であり、第1および第2実施形態と同一部位は同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図5に示すように、高周波音供給部16をリモートコントローラ14に設けたことにより、高周波音供給部16から供給される高周波音が、障害物などの影響を受けることなく使用者に供給され、使用者に確実にハイパーソニック効果を与えることができ、使用者がトイレ室3内に居るときの快適性を向上させることができる。
【0086】
また、高周波音供給部16を内蔵したリモートコントローラ14は、人による持ち運びが自在であり、リモートコントローラ14を持ち運んだ先のトイレ室3以外の居住空間でも、使用者にハイパーソニック効果を与えることができる。
【0087】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態に係る衛生洗浄装置について、図面を用いて詳細に説明する。図6は、第4実施形態の衛生洗浄装置におけるリモートコントローラを示す概略図である。
【0088】
第4実施形態に係る衛生洗浄装置が、第1〜3実施形態に係る衛生洗浄装置と異なるのは、リモートコントローラ14に報知手段30を設けている点であり、第1〜3実施の形態と同一部位は同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
図6に示すように、報知手段30は、高周波信号発生部10が動作していることを使用者に視覚的に報知するものであり、高周波音供給部16から高周波音を発しているときに点灯するLED、ランプ等の表示素子であっても良いし、動作状態のON/OFFを活字で表示するものや、高周波信号の大きさをレベル表示する表示装置であっても良い。
【0090】
衛生洗浄装置は、高周波音供給部16から20KHz以上の高周波音の刺激を使用者の脳に与えて、使用者の精神状態をリラックスさせるハイパーソニック効果を得るものであり、使用者がトイレ室3内に居るときの快適性を改善するものである。しかし、その高周波音供給部16が高周波音を発しているか否かは、人間の聴覚では判断できない。
【0091】
高周波信号発生部10の動作に応じて報知手段30を点灯することで、高周波音供給部
16から高周波音を発していると判断することができ、報知手段30が点灯している時は高周波音が停止していると、使用者は視覚的に判断することができる。
【0092】
従って、使用者がリモートコントローラ14の癒しスイッチ26を操作ミスして、衛生洗浄装置の周波信号発生部10を作動できなかった場合は、報知手段30が消灯状態を継続していることを使用者が確認して、周波信号発生部10の停止状態を確認することができる。そして、使用者が癒しスイッチ26を再度操作することで、周波信号発生部10を作動させ、ハイパーソニック効果を得ることができる。また、衛生洗浄装置が停止していることは、報知手段30の消灯状態で確認することができ、高周波音が人の耳に聞こえなくても、衛生洗浄装置の動作状態を視覚で確認することができる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の衛生洗浄装置について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0094】
一般的に、使用者にハイパーソニック効果を効果的に与えるという観点から、使用者に供給する高周波音としては、一定周期の安定な音ではなく、非定常なゆらぎ構造を有する高周波域の自然環境音が望ましく、非定常のゆらぎ構造を有する音楽が必要であると言われていた。
【0095】
しかしながら、本発明者らは鋭意検討の結果、ホワイトノイズなど騒音環境下においても、非定常のゆらぎ構造を有する高周波域の自然環境音ではなく、所定周期の高周波音(人工音)を使用した場合であっても、高周波域の自然環境音と同様にハイパーソニック効果を得ることができることを見出した。
【0096】
以下、その結果について詳しく説明する。
【0097】
(実施例1)
以下に示す条件により、図1及び図3に示した衛生洗浄装置の高周波音供給部16から使用者に供給する高周波音を含む音を生成した。
【0098】
すなわち、所定周期の高周波信号として、中心周波数40kHzを中心にした正弦波信号を0.1秒の周期で45kHz〜35kHzの範囲で三角波状に周波数変調させるとともに、その正弦波信号の振幅(音圧)を2秒の周期で+5dB〜−5dBの範囲で三角波状に振幅変調させた高周波信号を生成した。そして、この所定周期の高周波信号をホワイトノイズとともに高周波音供給部16へ供給し、高周波音とホワイトノイズを含んだ音を生成した。
【0099】
(比較例1)
可聴域の騒音として、ホワイトノイズを供給した。
【0100】
(比較例2)
自然環境音(一定の周期を有さないゆらぎ構造を有する高周波音を含む音)として、高周波音を含む楽曲から20kHz以下の可聴域の周波数を取り除き、高周波音のみを取り出して、ホワイトノイズを混合して供給した。
【0101】
なお、上述の実施例1、比較例1、及び比較例2に記載のホワイトノイズは、トイレ空間内の騒音(音圧レベルがおよそ20dB〜40dBの騒音)を想定したものであり、上述の実施例1、比較例1、及び比較例2においては、ホワイトノイズの音圧レベルを40dBとしている。これは、トイレ内の騒音としては高い値であり、家庭内のトイレとして
は、使用者がうるさいと感じる音圧レベルである。
【0102】
【表1】

【0103】
[音質主観評価]
実施例1の音において、所定周期の高周波音とホワイトノイズとの音圧比を変化させて被験者に供給し、音質主観評価を行った。音質主観評価は、5人の被験者が受ける感覚で行った。また、被験者とスピーカー(パナソニック社製、形式番号SB−SF100)との距離は、10cmとしている。
【0104】
音質主権評価を行った結果を図7に示す。図7において、横軸は、被験者に供給する高周波音とホワイトノイズとの音圧比である。また、縦軸は、音質の快適性を7段階で評価したもので、図7の縦軸に示す「0」に近づくほど被験者は非常に不快であると感じており、図7の縦軸に示す「6」に近づくほど被験者は非常に快適であると感じている。
【0105】
具体的には、「0」を「非常に不快」、「1」を「不快」、「2」を「やや不快」、「3」を「どちらでもない」、「4」を「やや快適」、「5」を「快適」、「6」を「非常に快適」とし、評価を行った。
【0106】
図7に示した結果から明らかなように、人工の高周波音を使用者に供給した場合であっても、被験者に供給する高周波音とホワイトノイズとの音圧比を1以上にしたとき、被験者は、高周波音とホワイトノイズとの音圧比を0にしたとき(高周波音を供給していないとき)に比べ、快適であると感じていることが確認された。
【0107】
[脳波測定]
聴覚に異常のない健康な成人男性3人の被験者に、実施例1、比較例1、及び、比較例2の音をスピーカー(パナソニック社製、形式番号SB−SF100)から供給したときの被験者の脳波を測定した。被験者とスピーカーとの距離は、100cmとしている。また、被験者に供給される高周波音とホワイトノイズとの音圧比が「1」となるようにしている。
【0108】
脳波測定は、脳波計測装置(ひとセンシング社製、商品名:中枢リズムモニタ)を用いて、右耳朶を接地し、左耳朶を基準として、後頭部Pz(国際10/20法)から脳波を収集し、α波(8〜13Hz)含有量およびβ(13〜30Hz)含有量を測定し、α/β比を算出した。
【0109】
実施例1、比較例1、及び、比較例2の音を供給したときの被験者の脳波(α含有量/β含有量)を測定した結果を図8に示す。図8において、被験者に実施例1、比較例1、
及び、比較例2のそれぞれの音を供給する前の被験者の脳波のα/β比を「1」としている。図8において、縦軸は、被験者の脳波のα/β比の変化量である。
【0110】
一般的に、脳波のα/β比測定において、α含有量が多くなるほど、被験者はリラックスしているとされている。したがって、図8においては、被験者に実施例1、比較例1、及び、比較例2のそれぞれの音を供給する前の被験者の脳波のα/β比に比べて、被験者に実施例1、比較例1、及び、比較例2のそれぞれの音を供給したときの被験者の脳波のα/β比が増えているほど、被験者は快適に感じていることを示している。
【0111】
逆に、被験者に実施例1、比較例1、及び比較例2のそれぞれの音を供給する前の被験者の脳波のα/β比に比べて、被験者に実施例1、比較例1、及び比較例2のそれぞれの音を供給したときの被験者の脳波のα/β比が減っているほど、被験者は不快に感じていることを示している。
【0112】
図8に示した実験結果から明らかなように、被験者に比較例1のホワイトノイズ音を供給した場合、被験者のα/β比が減少しており、被験者は可聴域のホワイトノイズ音を聴くことで、不快に感じていることが確認できた。
【0113】
また、被験者に比較例2の音を供給した場合、被験者に可聴域のホワイトノイズ音を聞かせて不快になる環境下であるにも拘らず、α/β比の低下が防止され、高周波音の供給により快適性が向上していることが確認された。
【0114】
さらに、被験者に実施例1の音を供給した場合、比較例2と同様またはそれ以上にα/β比が上昇することが認められ、所定周期の高周波音を供給することにより、使用者が感じる快適性がより向上していることが確認された。
【0115】
以上の実験結果より、人工音を使用した場合であっても、トイレ空間の騒音(約20〜40dB)以上の音圧レベルで、所定周期の高周波音を供給することで、ハイパーソニック効果を得ることができると判断できる。
【0116】
[高周波音の減衰減少効果]
高周波音供給部から使用者までの距離による高周波音の減衰減少効果について測定した。
【0117】
高周波音の減衰減少効果の測定は、高周波音供給部として、便蓋5に組み込み可能な大きさを想定し、98kHzまで再生可能な1.2cmスーパーツィーター(パナソニック社製、形式番号SB−SF100)を使用し、使用者として、集音マイク(Bruel&Kjer社製、形式番号4136)を使用して行った。
【0118】
具体的には、周波数が20kHz〜90kHzの正弦波の高周波信号は、パーソナルコンピュータで作成した。その高周波信号をオーディオインターフェース(NI製、商品名AUDIO KONTLOR1)およびアンプ(パナソニック社製、形式番号SU−XR57)で増幅して、増幅した高周波信号をスピーカーから高周波音として再生した。そして、再生した音を上述の集音マイクで集音し、その後、アンプ(Kemo製、形式番号VBF8)で増幅した後、上述の集音マイク(Bruel&Kjer社製、形式番号4136)の出力電圧の周波数特性を解析した。また、集音マイクとスピーカーとの距離は、1cm、5cm、30cm、50cm、及び100cmの5つの測定点として、集音マイクの出力電圧を測定した。
【0119】
図9は、高周波音供給部16から使用者までの距離に対する高周波音の音圧レベルを示
す特性図である。図9において、横軸は高周波音の周波数であり、縦軸は集音マイクの出力電圧から換算したdB値である。
【0120】
図9では、集音マイクの出力電圧のdB値が大きいほど、集音マイクの設置位置まで高周波音が到達していることを示しており、スピーカーと集音マイクとの距離が離れるほど、高周波音の各周波数における集音マイクの出力電圧値は減少することが確認された。
【0121】
トイレ空間内の騒音として40dBを想定した場合、図7に示すように、使用者にハイパーソニック効果をより効果的に与えるという観点からは、高周波音とノイズとの音圧比を「1」以上とすることが好ましい。この観点から、使用者と高周波音供給部16との距離は、30cm以上であることが好ましい。
【0122】
なお、使用者と高周波音供給部16との距離が30cmよりも離れる場合であっても、高周波音の音量を大きくして高周波音とノイズとの音圧比が「1」以上になるようにすれば、使用者にハイパーソニック効果を効率的に与えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上のように本発明の衛生洗浄装置は、使用者の至近距離で高周波音を呈示する構成としたことで高周波音の減衰を減らし、ハイパーソニック効果による快適性の向上を図るものであるため、快適性の向上などの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0124】
1 衛生洗浄装置
2 便器
3 トイレ室
4 人体検知部
5 便蓋
6 便座
7 電気ケーブル
8 洗浄ノズル
10 高周波信号発生部
15 装置本体
16 高周波音供給部
18 着座検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用便用の開口部を有する便器に載置された装置本体と、
前記装置本体に回動自在に軸支され前記便器の前記開口部上に載置された状態で使用者が着座する着座面を有する便座と、
前記装置本体に回動自在に軸支され前記便器の前記開口部上および前記便座上を覆うための便蓋と、
20kHz〜100kHzの範囲内の所定周期の正弦波信号を発生する高周波信号発生部と、
前記正弦波信号を高周波音に変換する高周波音供給部と、
少なくとも前記高周波信号発生部の動作を制御する制御部と、
を備えた衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記高周波信号発生部が前記装置本体に設けられており、前記高周波音供給部が前記便蓋に設けられている請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記高周波信号発生部及び前記高周波音供給部が前記便蓋に設けられている請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
少なくとも前記高周波音供給部が前記装置本体に設けられている請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記装置本体とは別体に設けられたリモートコントローラを有しており、
前記高周波信号発生部及び前記高周波音供給部が前記リモートコントローラに設けられている請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記高周波音供給部と前記使用者との距離が10cm〜100cmの範囲で用いられる請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記高周波音供給部の動作状態を報知する報知手段を有する請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の衛生洗浄装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記高周波音の音圧レベルがトイレ空間内の騒音の音圧レベルよりも大きくなるように、前記高周波信号発生部の動作を制御する請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の衛生洗浄装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−140772(P2011−140772A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−974(P2010−974)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】