説明

衛生洗浄装置

【課題】使用者が現在意図しない洗浄流体の噴出モードを使用者に体感させずに済ませる。
【解決手段】ノズルを備え、ノズルから使用者にとって体感の異なる洗浄流体を選択的に複数の噴出モードで噴出する洗浄流体噴出機構と、使用者が操作して3以上の噴出モードを所定の順序で選択するよう構成された一の操作具と、少なくとも一の噴出モードについて、条件付き実行をするよう洗浄流体噴出機構を制御する制御部と、を備え、条件付き実行は、一の噴出モードが一の操作具により選択されると、ある時間待機し、待機する時間内に一の噴出モードの次の噴出モードが一の操作具により選択された場合には一の噴出モードを実行せず、待機する時間内に次の噴出モードが一の操作具により選択されなかった場合には一の噴出モードを実行するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衛生洗浄装置は、使用者の局部に向けて所定のノズルより噴出される洗浄水の噴出モードを複数用意しており、所定の操作具によって複数の洗浄水の噴出モードのうちのいずれか一つを使用者の好みに応じて適宜選択可能としている。
さらに、近年、衛生洗浄装置は、上記の噴出モードの選択機能以外にも様々な機能を搭載するようになっており、袖部などの操作箇所に搭載機能毎に操作具を用意する必要が生じている。しかし、操作箇所のスペースの制約上、さらには操作箇所の小型化の要請により、多数の操作具を配置することが困難であるため、一の操作具によって複数の機能を選択可能とさせる衛生洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
なお、特許文献1に開示された衛生洗浄装置は、ノーマル洗浄動作からターボ洗浄動作に移行させるターボスイッチを、ノーマル洗浄動作を開始させる局部洗浄スイッチに集約させている。具体的には、特許文献1の衛生洗浄装置は、局部洗浄動作を行うための条件が成立した状態で局部洗浄スイッチをオンすると、局部洗浄動作を実行していない状態であれば局部洗浄動作を開始し、局部洗浄動作としてノーマル洗浄動作を実行している状態であればノーマル洗浄動作からターボ洗浄動作に移行する。また、局部洗浄動作としてターボ洗浄動作を実行している状態であれば、局部洗浄スイッチがオン状態を維持している限り、ターボ洗浄動作を継続するように局部洗浄機構を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−144350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された衛生洗浄装置においては、ターボ洗浄動作を実行するには、ノーマル洗浄動作を実行する必要がある。この従来例の場合、ノーマル洗浄動作は通常必要な洗浄動作であるので特に問題は生じない。しかし、3つ以上の洗浄水の噴出モードを一の操作具で切り替える場合には、使用者にとって現在意図しない洗浄水の噴出モードを体感せざるを得ないという問題が生じる可能性がある。
【0006】
例えば、特許文献1に開示された衛生洗浄装置において、ノーマル洗浄動作、ターボ洗浄動作の他に、ノズルの噴出口より洗浄水を広角噴出して局部を優しく洗浄するワイド洗浄動作を有し、局部洗浄スイッチによってノーマル洗浄動作、ターボ洗浄動作、ワイド洗浄動作の順序で切り替えることが可能な構成を考える。
【0007】
この構成においては、使用者は、例えば「今のノーマル洗浄動作では刺激が強いから、お尻に優しいワイド洗浄動作に切り替えたい」と感じたときに、局部洗浄スイッチを二回操作して途中のターボ洗浄動作を体感しなければ、ノーマル洗浄動作からワード洗浄動作に移行することができない。つまり、使用者は、ノーマル洗浄動作では刺激が強いと感じたからワイド洗浄動作に移行しようと操作したにも関らず、ノーマル洗浄動作よりも更に刺激の強いターボ洗浄動作を体感しなければならず、不便さを感じることになる。
【0008】
また、使用者は、「今のワイド洗浄動作では刺激が物足りないので、より刺激の強いターボ洗浄動作に切り替えたい」と感じた場合や、「今のターボ洗浄動作では刺激が強すぎるので、ノーマル洗浄動作に切り替えたい」と感じた場合についても同様に、現在意図しない洗浄動作を体感しなければならず、不便さを感じることになる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、少なくとも3つ以上の体感の異なる洗浄流体の噴出モードを一の操作具で切り替える場合において、使用者が現在意図しない噴出モードを使用者に体感させることを防ぐことにより、利便性を向上させた衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明の衛生洗浄装置は、ノズルを備え、当該ノズルから使用者にとって体感が互いに異なる態様で洗浄流体を噴出する複数の噴出モードを有する洗浄流体噴出機構と、使用者が操作して前記複数の噴出モードを所定の順序で選択するよう構成された一の操作具と、少なくとも一の前記噴出モードについて、条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する制御部と、を備え、前記条件付き実行は、一の前記噴出モードが前記一の操作具により選択されると、ある時間待機し、当該待機する時間内に当該一の噴出モードの次の噴出モードが前記一の操作具により選択された場合には当該一の噴出モードを実行せず、当該待機する時間内に当該次の噴出モードが前記一の操作具により選択されなかった場合には当該一の噴出モードを実行するものである。
【0011】
上記の構成により、使用者は、前記一の噴出モードを体感したくない場合には、前記一の噴出モードが前記一の操作具により選択されてから実行されるまでの間に、前記一の操作具により前記次の噴出モードを選択すれば、前記一の噴出モードが実行されず、前記次の噴出モードが実行されることになる。従って、使用者にとって現在意図しない前記一の噴出モードを体感しなくて済む。
【0012】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、全ての前記噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、としてもよい。
【0013】
上記の構成により、上記の条件付き実行を全ての噴出モードを対象とすることができる。
【0014】
上記の衛生洗浄装置において、前記洗浄流体は洗浄水であり、前記複数の噴出モードは、前記ノズルから洗浄水を基準流量で噴出する第1の噴出モードと、前記ノズルから前記第1の噴出モードと比べて洗浄水を広角に噴出する第2の噴出モードと、前記ノズルから前記第1の噴出モードと比べて洗浄水を前記基準流量よりも強い流量で噴出する第3の噴出モードと、を有してもよい。
【0015】
上記の構成により、使用者は、第1乃至第3の噴出モードのうち条件付き実行の対象とする少なくともいずれか一の噴出モードを体感したくない場合には、前記一の噴出モードが前記一の操作具により選択されてから実行されるまでの間に、前記一の操作具により前記次の噴出モードを選択すれば、前記一の噴出モードが実行されず、前記次の噴出モードが実行されることになる。従って、使用者にとって現在意図しない前記一の噴出モードを体感しなくて済む。
【0016】
上記の衛生洗浄装置において、前記一の操作具は、使用者が操作して、前記第1の噴出モード、前記第2の噴出モード、及び前記第3の噴出モードの順序で前記3つの噴出モードを選択するよう構成されている、としてもよい。
【0017】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、前記第3の噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、としてもよい。
上記の構成により、使用者は、洗浄水が広角に噴出される第2の噴出モードを体感中に、洗浄水を基準流量で噴出する第1の噴出モードに切り替えたいと感じた場合には、基準流量よりも強い流量で噴出する第3の噴出モードを体感しなくて済むようになる。
【0018】
上記の衛生洗浄装置において、前記制御部は、前記第1乃至第3の噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、としてもよい。
【0019】
上記の構成により、使用者は、現在体感中の第1乃至第3の噴出モードから、次の噴出モードを体感することなく更に次の噴出モードに切り替えたいと感じた場合には、操作具を2回操作することにより、次の噴出モードを体感することなく、更に次の噴出モードに切り替えることが可能となる。
【0020】
上記の衛生洗浄装置において、前記洗浄流体噴出機構は、出口ポートの軸心に向かって直進する方向に洗浄水が通水される直進流路の入口ポートである直進ポートと、該直進流路内で洗浄水が通水する方向の周囲を回転する方向に洗浄水が通水される旋回流路の入口ポートである旋回ポートとを有した前記ノズルと、洗浄水が供給される給水ポートを前記直進ポートと連結した直進吐出ポート又は前記直進吐出ポート及び前記旋回ポートと連結した旋回吐出ポートと連通させる切替弁と、前記直進流路内を通水する洗浄水に空気を混入させる空気供給機構と、を備え、前記制御部は、前記第1の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポートのみと連通させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御し、前記第2の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポート及び前記旋回吐出ポートと連通させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御し、前記第3の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポートのみと連通させ、かつ前記直進流路内を通水する洗浄水に空気を混入させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御する、としてもよい。
【0021】
上記の構成により、使用者が現在体感中の第1乃至第3の噴出モードから次の噴出モードを体感することなく、更に次の噴出モードに切り替える場合、当該次の噴出モードに係る切替弁及び空気供給機構の動作が不要となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使用者にとって体感の異なる洗浄流体の少なくとも3つ以上の噴出モードを一の操作具の操作により所定の順番で選択することが可能な衛生洗浄装置において、使用者が現在意図しない洗浄流体の噴出モードを使用者に体感させずに済ませることができ、その利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置を示す外観斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の便座本体部の構成を示した図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る便座本体部の洗浄水供給機構及びノズル駆動機構の構成を示す模式図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る便座本体部内部に設けられるノズル装置の外観斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係るノズル装置における洗浄水供給機構を説明するための図である。
【図6A】図6Aは本発明の実施の形態1に係るコントローラ蓋部が閉じた状態の遠隔操作装置の正面図である。
【図6B】図6Bは本発明の実施の形態1に係るコントローラ蓋部が開かれた状態の遠隔操作装置の正面図である。
【図7A】図7Aは本発明の実施の形態1に係るおしり洗浄モードを示す図である。
【図7B】図7Bは本発明の実施の形態1に係るワイド洗浄モードを示す図である。
【図7C】図7Cは本発明の実施の形態1に係るバブル洗浄モードを示す図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1に係る洗浄モード切替を説明するための状態遷移図である。
【図9A】図9Aは本発明の実施の形態1に係る洗浄モードの切替例を説明するための図である。
【図9B】図9Bは本発明の実施の形態1に係る洗浄モードの切替例を説明するための図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1に係るその他の衛生洗浄装置の外観斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1に係るその他の衛生洗浄装置の袖部の平面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態2に係る洗浄モード切替を説明するための状態遷移図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
[衛生洗浄装置の構成]
図1は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置を示す外観斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置の便座本体部の構成を示した図である。以下では、図2を参照しつつ、図1を用いて実施の形態1に係る衛生洗浄装置の構成を説明する。
【0025】
衛生洗浄装置100は、トイレットルーム(toilet room)内に設置される便器700の上面に取り付けられる。衛生洗浄装置100は、便座本体部200、遠隔操作装置300、便座部400及び蓋部500を備えている。
【0026】
便座本体部200は、通信インタフェース202と、着座検出器610と、を有する。また、便座本体部200には、人体洗浄ノズル840、洗浄水供給機構204、ノズル駆動機構206が設けられている。なお、人体洗浄ノズル840と、洗浄水供給機構204と、ノズル駆動機構206とにより構成される機構が、本発明に係る洗浄流体噴出機構の実施の形態を表している。さらに、便座本体部200には、遠隔操作装置300、着座検出器610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の全体の制御を司る制御部90が内蔵されている。
【0027】
通信インタフェース202は、便座本体部200と遠隔操作装置300との間で通信を行うためのインタフェースである。
【0028】
着座検出器610は、便座本体部200の正面上部に設けられている。着座検出器610は、本実施形態の場合、反射型の赤外線センサを採用している。赤外線センサを用いる場合には、使用者が便座に着座することで使用者の人体によって反射された赤外線の受光レベルを検出することにより、使用者の着座を検知する。
【0029】
なお、着座検出器610は、赤外線センサの他に、マイクロスイッチ、静電容量、又は超音波センサを用いることができる。マイクロスイッチを用いる場合には、使用者が便座に座ったときの体重に基づいて使用者の着座を検知する。便座の支持部である脚部や便座回動軸にマイクロスイッチを埋設して荷重によりON/OFFするように構成するような場合や、静電容量を用いる場合には、便座の内部に配設されたアルミシートとトイレ床面とにより形成される静電容量は使用者が便座に着座すると変化するので、この静電容量の変化幅を検出することにより使用者の着座を検知するような構成をとってもよい。超音波センサを用いる場合には、例えば本体や遠隔操作手段に設けた超音波センサにより使用者が便座に着座することで使用者の人体によって反射した超音波を検出することにより、使用者の着座を検知する。
【0030】
人体洗浄ノズル840は、用便後の使用者の人体局部に洗浄水(温水)を噴出するノズルであり、便座本体部200の正面下部に設けられている。人体洗浄ノズル840には、お尻洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルなどが含まれる。また、人体洗浄ノズル840は、後述のおしり洗浄モード、ワイド洗浄モード、及びバブル洗浄モードそれぞれに対応した機構を具備している。
【0031】
本実施の形態では、人体洗浄ノズル840は管状の内部に2つの流路を有し、先端の噴出孔から噴出する直前でこれらの2つの流路を合流させている。これらの2つの流路のうち1つは噴出孔(出口ポート)の軸心に向かって直進する方向に洗浄水が通水される直進流路(図3中の符号851を参照)であり、もう1つはこの直進流路の直進方向の周りに回転する方向に洗浄水が通水されて合流するように軸心に対して偏心して設けられた旋回流路(図3中の符号852を参照)である。これらの2つの流路を流れる洗浄水の流量比を制御することで、ノズル20から噴出する噴流の形状が変化するようになっている。
【0032】
これらの2つの流路のうちの直進流路の洗浄水の流量比が高ければ、直進力の強い洗浄水が人体洗浄ノズル840から噴出される。このような洗浄水の噴出の態様のことを「おしり洗浄モード(又は直噴モード)」と呼んでいる。
【0033】
これらの2つの流路のうちの旋回流路の流量比を高くすることで、合流した際に回転力を付与された洗浄水が噴出孔から噴出される際に、旋回流となって噴出してワイドな噴流形状とすることができる。このような洗浄水の噴出の態様のことを「ワイド洗浄モード(又はワイドモード)」と呼んでいる。
【0034】
便座本体部200には空気ポンプ(図3中の符号14を参照)が設けられており、洗浄水に空気を強制混入することで、より洗浄力を高める噴流とするため、人体洗浄ノズル840へ通水する流路の途中で上記の空気ポンプから送出された空気を混入して噴出孔から噴出する構成としている。おしり洗浄モードの噴流に空気を混入したこのような洗浄水の噴出の態様のことを「バブル洗浄モード(又はエアモード)」と呼んでいる。
【0035】
洗浄水供給機構204は、人体洗浄ノズル840に洗浄水を供給するための機構であり、水道配管や当該水道配管に設けられる制御弁などが含まれている。なお、洗浄水供給機構204は、水道配管から供給される洗浄水を不図示の加熱手段により温水にした上で人体洗浄ノズル840等に供給する。
【0036】
ノズル駆動機構206は、人体洗浄ノズル840を駆動するための機構であり、モータ、ラックギア、ピニオンギアなどが含まれる。人体洗浄ノズル840は、ノズル駆動機構206によって所定の初期位置から洗浄水の噴出位置までの距離範囲に渡って進退するよう構成されている。
【0037】
なお、図示しないが、便座本体部200の正面下部に、便器700の内面に向けて洗浄水を噴出する便器ノズルが設けられている。便器プレ洗浄モードの場合には、この便器ノズルから便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される。便器後部洗浄モードの場合には、この便器ノズルから便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される。
【0038】
制御部90は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成されている。本発明において、制御部は単独の制御部のみならず複数の制御部からなる制御部群をも意味する。従って、制御部90は、単独の制御部によって集中制御するよう構成されてもよく、協働する複数の制御部によって分散制御するよう構成されてもよい。制御部90は、着座検出器610により使用者が便座部400に着座したことを検出した場合に、当該着座の検出に連動した所定の動作が行われるように制御を行う。なお、所定の動作には、例えば、人体洗浄ノズル840より使用者の局部に洗浄水を噴出させるお尻・ビデ洗浄動作、便器ノズルより便器700内部に洗浄水を噴出する便器洗浄動作、洗浄後に濡れた局部を乾燥させる乾燥動作、人体洗浄ノズル840や洗浄水供給機構206の通水流路の内部を除菌する除菌動作、便器700内部の臭気を所定のフィルタで脱臭する脱臭動作などが含まれる。
【0039】
さらに、制御部90は、遠隔操作装置300に設けられた所定の操作具が使用者により操作されることによって、当該所定の操作具の操作に対応づけられている所定の動作が行われるように制御を行う。
【0040】
遠隔操作装置300は、便座本体部200を遠隔操作する装置であり、便座部400に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。使用者に対する遠隔操作装置300によって操作可能な機能については後述する。
【0041】
[便座本体部の洗浄水供給機構及びノズル駆動機構の構成]
図3は、便座本体部200の洗浄水供給機構及びノズル駆動機構の構成を示す模式図である。図3に示されるように、便座本体部200は、分岐水栓2、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7、流量センサ8、熱交換器9、水ポンプ11、バッファタンク12、ノズル装置800、バキュームブレーカ31,61、サーミスタTH1,TH2及び制御部90を備えている。
【0042】
水道配管1には分岐水栓2が介挿される。分岐水栓2と熱交換器9との間に接続される配管3には、上流から下流に向かって、ストレーナ4、逆止弁5、定流量弁6、止水電磁弁7、サーミスタTH1及び流量センサ8がこの順で介挿される。熱交換器9とノズル装置800との間に接続される配管10には、上流から下流に向かって、サーミスタTH2、水ポンプ11及びバッファタンク12がこの順で介挿される。
【0043】
ノズル装置800は、流路切替弁13、空気ポンプ14、人体洗浄ノズル840及びノズル洗浄ノズル820を備えている。人体洗浄ノズル840には、直進流路851、旋回流路852及びビデ流路853が形成される。流路切替弁13には切替弁モータ13mが接続される。
【0044】
流路切替弁13は複数のポートを備えている。流路切替弁13の複数のポートには、人体洗浄ノズル840の直進流路851、旋回流路852、及びビデ流路853、並びにノズル洗浄ノズル820がそれぞれ接続される。空気ポンプ14は、流路切替弁13とノズル装置800の直進流路851とを接続する後述のホースh6,h7の間に接続される。
バキュームブレーカ31は、止水電磁弁7と流量センサ8との間の配管3の部分から延設される分岐配管30に接続され、熱交換器9の洗浄水噴出口よりも上方の位置に配置される。バキュームブレーカ31には、分岐配管32の一端が接続される。分岐配管30と分岐配管32とはバキュームブレーカ31を介して連結される。分岐配管32の他端は、例えば便器内に排水されるよう構成している。
【0045】
バキュームブレーカ61はバッファタンク12に設けられ、熱交換器9よりも上方の位置に配置される。なお、バキュームブレーカ61及びバッファタンク12は一体的に形成されるので、バッファタンク12も熱交換器9よりも上方の位置に配置される。
次に、便座本体部200における洗浄水の流れ及び制御部90による便座本体部200の各構成部の制御について説明する。
【0046】
水道配管1を流れる浄水が、洗浄水として分岐水栓2によりストレーナ4に供給される。これにより、洗浄水に含まれるゴミ及び不純物等がストレーナ4により除去される。次に、逆止弁5により配管3内における洗浄水の逆流が防止され、定流量弁6により配管3内を流れる洗浄水の流量が一定に維持される。そして、止水電磁弁7により熱交換器9への洗浄水の供給状態が切り替えられる。止水電磁弁7の動作は、制御部90により制御される。
【0047】
サーミスタTH1は、配管3内を流れる洗浄水の温度を測定し、その測定した温度値を制御部90に与える。流量センサ8は、配管3内を流れる洗浄水の流量を測定し、その測定した流量値を制御部90に与える。熱交換器9は、配管3を通して供給される洗浄水を設定された温度に加熱する。
【0048】
続いて、水ポンプ11は、熱交換器9により加熱された洗浄水を加熱しつつ、バッファタンク12を通してノズル装置800の流路切替弁13に供給する。サーミスタTH2は、配管10内を流れる洗浄水の温度を測定し、その測定した温度値を制御部90に与える。熱交換器9及び水ポンプ11の動作は、流量センサ8により測定された流量値及びサーミスタTH1,TH2により測定された温度値に基づいて制御部90により制御される。なお、バッファタンク12は、加熱された洗浄水の温度緩衝部として作用する。これにより、流路切替弁13に供給される洗浄水の温度むらの発生が抑制される。
【0049】
人体洗浄ノズル840は、使用者の局部の洗浄を行うために用いられ、ノズル洗浄ノズル820は、人体洗浄ノズル840における洗浄水の噴出部分を洗浄するために用いられる。
【0050】
ノズル装置800の流路切替弁13は、切替弁モータ13mが動作することにより、水ポンプ11から供給された洗浄水を人体洗浄ノズル840又はノズル洗浄ノズル820に選択的に供給する。これにより、人体洗浄ノズル840又はノズル洗浄ノズル820から洗浄水が噴出される。切替弁モータ13mの動作は、制御部90により制御される。
【0051】
水ポンプ11からの洗浄水が人体洗浄ノズル840の直進流路851に供給される状態で、使用者によりおしり水流スイッチ327(図6A、図6B参照)が操作されてバブル洗浄モードが選択されると、空気ポンプ14が動作する。この結果、空気ポンプ14は流路切替弁13から直進流路851に流れる洗浄水に空気を混入させ、ノズル装置800から後述する洗浄水の水塊が断続的に噴出される。
【0052】
止水電磁弁7から熱交換器9に供給される洗浄水のうち、ノズル装置800において使用されない余剰な洗浄水は、分岐配管30及び分岐配管32を介して捨て水として便器内に流される。すなわち、分岐配管30及び分岐配管32は捨て水回路として機能する。
なお、熱交換器9の上流側にはバキュームブレーカ31が設けられており、熱交換器9の下流側にはバキュームブレーカ61が設けられている。これらの構成により、配管3内又は配管10内が負圧になった場合に、熱交換器9からの洗浄水の抜けが防止される。その結果、熱交換器9の空焚きが防止される。
【0053】
[ノズル装置の構造]
図4は、便座本体部200内部に設けられるノズル装置800の外観斜視図である。
【0054】
図4に示されるように、便座本体部200は、便器の上端面に取り付けられる下部ケーシング部200Uを備える。下部ケーシング部200U上にノズル装置800及び洗浄水供給機構204が設けられる。なお、図4においては、下部ケーシング200Uに設けられるノズル装置800以外の構成要素の図示は省略する。
【0055】
ノズル装置800は、ノズルガイド台890を有する。ノズルガイド台890は、下部ケーシング200Uの略中央部に設けられる。下部ケーシング200Uにおけるノズルガイド台890の側方には、ノズル装置800の一部を構成する空気ポンプ14(空気供給機構)が設けられる。
【0056】
ノズルガイド台890の上部には、略円柱形状を有する人体洗浄ノズル840が水平面に対して傾斜した状態で進退可能に設けられる。人体洗浄ノズル840は、人体の局部の洗浄時にノズルガイド台890の前端部から外方へ突出し、人体の局部の非洗浄時にノズルガイド台890の前端部の内側に収容される。さらに、ノズルガイド台890には、人体洗浄ノズル840に隣接するように流路切替弁13が設けられる。流路切替弁13には、切替弁モータ13mが接続される。
【0057】
人体洗浄ノズル840の下方の中央部にはノズル進退モータ846aが設けられる。また、人体洗浄ノズル840及び流路切替弁13の下方の後部には、図3に示した水ポンプ11とその水ポンプ11を駆動するための水ポンプモータ11mとが設けられている。
本実施の形態では、ノズル装置800の給水系に関する各構成要素間の接続には、複数のホースh1〜h8が用いられる。
【0058】
この状態で、下部ケーシング部200U、ノズル装置800及び洗浄水供給機構を覆うように上部ケーシングが取り付けられる。上部ケーシングには、図1の便座部400及び蓋部410が取り付けられる。
【0059】
図5は、ノズル装置800における洗浄水供給機構を説明するための図である。図5では、図4に示した空気ポンプ14を除くノズル装置800の構成要素の一部が示される。人体洗浄ノズル840の内部には、直進流路851、旋回流路852及びビデ流路853が形成される(図3参照)。
【0060】
人体洗浄ノズル840の後端部には、直進流路851、旋回流路852及びビデ流路853にそれぞれ連通する直進ポート851p、旋回ポート852p及びビデポート853pが設けられている。
【0061】
ノズルガイド台890の前端部には、人体の局部の洗浄が行われない場合、人体洗浄ノズル840の先端部を収容可能な先端ケーシング821が取り付けられる。先端ケーシング821は、人体洗浄ノズル840がノズルガイド台890に収容された状態で、人体洗浄ノズル840の先端部及びその近傍の領域を覆うように筒状に形成される。
【0062】
先端ケーシング821の上部には、先端ケーシング821の内部に洗浄水を供給するノズル洗浄ノズル820が設けられる。ノズル洗浄ノズル820には、ノズル洗浄ポート820pが設けられる。先端ケーシング821の前端部には、先端ケーシング821の前端部開口を開閉可能なノズルシャッタ822が設けられる。
【0063】
流路切替弁13には、給水ポート131、ノズル洗浄吐出ポート132、旋回吐出ポート133、ビデ吐出ポート134及び直進吐出ポート135が設けられている。流路切替弁13は外筒とその内部に挿入された内筒とから成る。その外筒には各種ポート131乃至135が設けられ、その内筒には複数の孔部及び溝部が形成される。
【0064】
切替弁モータ13mは、例えば回転軸の回転角度を調整可能なステッピングモータである。切替弁モータ13mの回転軸は、流路切替弁13の内筒の一端に接続される。これにより、切替弁モータ13mが動作することにより、流路切替弁13の外筒の内部で内筒が回転する。そして、その回転角度に応じて、流路切替弁13の給水ポート131が、ノズル洗浄吐出ポート132、旋回吐出ポート133、ビデ吐出ポート134、又は直進吐出ポート135の少なくともいずれか一つと選択的に連通する。
【0065】
また、流路切替弁13の内筒が外筒に対して所定の回転角度にある状態では、給水ポート131が、ノズル洗浄吐出ポート132、旋回吐出ポート133、ビデ吐出ポート134又は直進吐出ポート135のいずれとも連通しない状態(完全閉止状態)となる。このとき、給水ポート131から供給される洗浄水は、流路切替弁13の内筒の外周面により押し戻される。なお、押し戻された洗浄水は、図3に示したバキュームブレーカ31まで逆流し、分岐配管32を経て便器内に放出される。
【0066】
図1に示した着座検出器610が使用者の便座部400への着座を検出した場合、流路切替弁13が上記の完全閉止状態に制御される。これにより、使用者が便器を使用する前に便器ノズルから洗浄水が放出されることにより便器の内表面に水膜が形成され、便器の内表面に汚物等が付着することを防止できる。
【0067】
人体洗浄ノズル840の下方の後部に設けられる水ポンプ11は、洗浄水の給水ポート及び吐出ポートを有する。水ポンプ11の給水ポートにはホースh1の一端が接続され、水ポンプ11の吐出ポートにはホースh2の一端が接続される。ホースh1,h2は図3に示した配管10に相当する。流路切替弁13の給水ポート131にはホースh2の他端が接続される。これにより、流路切替弁13の給水ポート131は、ホースh2を介して水ポンプ11の吐出ポートに接続される。
【0068】
流路切替弁13のノズル洗浄吐出ポート132は、ホースh3を介してノズル洗浄ノズル820のノズル洗浄ポート820pに接続される。流路切替弁13の旋回吐出ポート133は、ホースh4を介して人体洗浄ノズル840の旋回ポート852pに接続される。流路切替弁13のビデ吐出ポート134は、ホースh5を介して人体洗浄ノズル840のビデポート853pに接続される。
【0069】
流路切替弁13の直進吐出ポート135は、ホースh6を介してT字管803の一つのポートに接続される。T字管803の他の1つのポートは、ホースh7を介して人体洗浄ノズル840の直進ポート851pに接続される。また、T字管803のさらに他の1つのポートは、ホースh8を介して図4に示した空気ポンプ14に接続される。
【0070】
人体の局部の洗浄時には、流路切替弁13の給水ポート131に供給される洗浄水が人体洗浄ノズル840の直進ポート851p、旋回ポート852p及びビデポート853pの少なくとも一つに供給される。例えば、直進ポート851pのみに洗浄水が供給された場合、人体洗浄ノズル840から直線流が人体の局部に向けて噴出されるおしり洗浄モード(図7A参照)が遂行される。また、直進ポート851p及び旋回ポート852pに洗浄水が供給された場合、直線流に旋回成分が付与されて、人体洗浄ノズル840から広がり角度を有する分散旋回流が人体の局部に向けて噴出されるワイド洗浄モード(図7B参照)が遂行される。
【0071】
また、人体洗浄ノズル840の直進ポート851pに洗浄水が供給されている状態で、かつ使用者により図6A、図6Bに示されるおしり水流スイッチ327(図6A、図6B参照)が操作された場合には、流路切替弁13からホースh6を通してT字管803に送られる洗浄水に、図4に示した空気ポンプ14からホースh8を通して空気が混入される。これにより、人体洗浄ノズル840から人体の局部に洗浄水が独立した水塊として断続的に噴出されるバブル洗浄モード(図7C参照)が遂行される。
【0072】
さらに、人体洗浄ノズル840の洗浄時には、流路切替弁13の給水ポート131に供給される洗浄水が、ノズル洗浄ノズル820のノズル洗浄ポート820pに供給される。この場合、ノズル洗浄ノズル820から先端ケーシング821の内部に洗浄水が供給される。このとき、先端ケーシング821の内部では、洗浄水が人体洗浄ノズル840の外周面に沿って旋回するように流れる。これにより、人体洗浄ノズル840の先端部及びその近傍の領域が洗浄される。
【0073】
[遠隔操作装置の構成]
図6Aは、遠隔操作装置300の正面図である。遠隔操作装置300は、コントローラ本体部301の下部にコントローラ蓋部302が開閉自在に設けられた構造を有する。
【0074】
図6Aに示すように、コントローラ蓋部302が閉じられた状態で、コントローラ本体部301の上部には乾燥スイッチ320、強さ調整スイッチ322、323及び位置調整スイッチ325、326が設けられ、コントローラ蓋部302には停止スイッチ311、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313が設けられている。また、コントローラ本体301は、例えば、マイクロコンピュータからなる制御部(図示せず)と通信インタフェース(図示せず)とを備えていて、これらによって、各スイッチの操作に応じた所定の信号が無線送信される。
【0075】
使用者により、上記各スイッチが操作される。これにより、遠隔操作装置300から便座本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。便座本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて便座本体部200及び便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0076】
例えば、使用者がおしりスイッチ312又はビデスイッチ313を操作することにより、人体洗浄ノズル840から使用者の局部に洗浄水が噴出される。また、使用者が停止スイッチ311を操作することにより、人体洗浄ノズル840から使用者の局部への洗浄水の噴出が停止される。
【0077】
また、使用者がおしり水流スイッチ327を操作することにより、人体洗浄ノズル840の噴出口からの洗浄水の噴出モードとして、図7Aに示すおしり洗浄モード(本発明に係る第1の噴出モード)、図7Bに示すワイド洗浄モード(本発明に係る第2の噴出モード)、図7Cに示すバブル洗浄モード(本発明に係る第3の噴出モード)の順に切り替えられる。なお、おしり水流スイッチ327は、本発明に係る一の操作具の実施の形態を表 している。
【0078】
図7Aに示すおしり洗浄モードとは、人体洗浄ノズル840の噴出口から通常の水流を直射噴出するデフォルト(default)の洗浄水の噴出モードのことである。図7Bに示すワイド洗浄モードとは、人体洗浄ノズル840の噴出口からおしり洗浄モードよりも広角に洗浄水を噴出するモードのことである。図7Cに示すバブル洗浄モードとは、人体洗浄ノズル840の噴出口から空気(気泡)が混入した刺激感のある洗浄水を噴出するモードのことである。
【0079】
デフォルトのおしり洗浄モードが設定されている場合には、ワイド洗浄モード表示部328及びバブル洗浄モード表示部329がともに消灯している。おしり水流スイッチ327を操作することによりおしり洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替える場合には、ワイド洗浄モード表示部328のみが点灯する。おしり水流スイッチ327を操作することによりワイド洗浄モードからバブル洗浄モードに切り替える場合には、ワイド洗浄モード表示部328が消灯するとともにバブル洗浄モード表示部329が点灯する。おしり水流スイッチ327を操作することによりバブル洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替える場合には、ワイド洗浄モード表示部328及びバブル洗浄モード表示部329がともに消灯する。
【0080】
また、使用者が乾燥スイッチ320を操作することにより、使用者の局部に便座本体部200に設けられる乾燥ユニット(図示せず)から温風が噴出される。また、使用者が強さ調整スイッチ322、323を操作することにより、使用者の局部に噴出される洗浄水の流量及び圧力等が調整される。
【0081】
さらに、使用者が位置調整スイッチ325、326を操作することにより、人体洗浄ノズル840の位置がノズル駆動機構206の駆動により調整される。それにより、使用者の局部への洗浄水の噴出位置が調整される。
【0082】
図6Bには、コントローラ蓋部302が開かれた状態の遠隔操作装置300の正面図が示されている。
【0083】
コントローラ蓋部302により覆われるコントローラ本体部301の下部には、停止スイッチ311、おしりスイッチ312及びビデスイッチ313に加えて、自動開閉スイッチ331、水温調整スイッチ332、便座温度調整スイッチ333、除菌スイッチ335及び便器洗浄スイッチ336が設けられている。これらのスイッチが操作される場合にも、遠隔操作装置300から便座本体部200に各スイッチに応じた所定の信号が無線送信される。これにより、便座本体部200の制御部90は、受信した信号に基づいて便座本体部200及び便座部400の各構成部の動作を制御する。
【0084】
自動開閉スイッチ331はつまみにより構成されている。使用者が自動開閉スイッチ331のつまみを操作することにより、蓋部500の開閉動作が設定される。すなわち、自動開閉スイッチ331のつまみがオンの位置にある場合、使用者のトイレットルームへの入室に応じて蓋部500が開閉される。
【0085】
使用者が水温調整スイッチ332を操作することにより、人体洗浄ノズル840から使用者の局部に噴出される洗浄水の温度が調整される。使用者が便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座部400の温度が調整される。
【0086】
また、使用者が除菌スイッチ335を操作することにより、便座本体部200の洗浄水供給機構204に銀イオンを含む洗浄水が流れて、除菌動作が行われる。この除菌動作は、除菌可能な温水による洗浄水の通水、排出を行ってもよい。
【0087】
自動開閉スイッチ331と同様に、便器洗浄スイッチ336はつまみにより構成されている。使用者が便器洗浄スイッチ336のつまみを操作することにより、便器ノズル40による便器プレ洗浄及び便器後部洗浄の動作が設定される。すなわち、便器洗浄スイッチ336のつまみがオンの位置にある場合には、使用者のトイレットルームへの入室に応じて便器ノズル40から便器700内部の広い範囲に洗浄水が噴出される。
[衛生洗浄装置の洗浄モードの切替動作]
図8は、本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置における洗浄モードの切替動作を説明するための状態遷移図である。
【0088】
図8中において、S0はおしり洗浄モードが選択されて実行される状態を表しており、S1はワイド洗浄モードが選択されて実行される状態を表しており、S2はバブル洗浄モードが選択されて実行される状態を表しており、S3は選択されたバブル洗浄モードの実行を待機する状態(待機モード)を表している。なお、ワイド洗浄モード(S1)とバブル洗浄モード(S2)との間に設定される待機モードS3が、本発明に係る条件付き実行における待機状態の実施の形態を表している。
【0089】
また、各状態間を結んでいる矢印付きの実線はその矢印の向きに状態が遷移することを表している。さらに、矢印付きの実線に付される「○/△」で表現される語句は、「○」が状態遷移を行うためのアクション(入力)を表しており、「△」は「○」のアクションの結果として引き起こされるイベント(出力)を表している。例えば、「スイッチ押下/待機」で表現される語句は、「スイッチ押下」が状態遷移を行うためのアクション(入力)を表しており、「待機」は「スイッチ押下」のアクションの結果として引き起こされるイベント(出力)を表している。
【0090】
まず、おしり洗浄モードが実行される状態S0において、おしり水流スイッチ327が押下されると、おしり洗浄モードが実行される状態S0からワイド洗浄モードが実行される状態S1に遅滞なく切り替わる。このとき、ノズル装置800の動作としては、切替弁モータ13mが動作することにより、流路切替弁13において、給水ポート131が直進吐出ポート135のみと連通した状態から、給水ポート131が直進吐出ポート135及び旋回吐出ポート133と連通した状態に切り替わる。また、このとき、ワイド洗浄モード表示部238が点灯することにより、使用者は、おしり洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替わったことを視覚的に把握できる。
【0091】
つぎに、ワイド洗浄モードが実行される状態S1において、おしり水流スイッチ327が押下されると、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から、バブル洗浄モードの実行を待機する待機モードS3に移行する。つまり、おしり水流スイッチ327が押下されても即座に、ワイド洗浄モードが実行される状態S1からバブル洗浄モードが実行される状態S2に切り替わらない。このとき、ノズル装置800の動作としては、流路切替弁13において、給水ポート131が直進吐出ポート135及び旋回吐出ポート133と連通した状態を継続する。なお、おしり水流スイッチ327の押下を契機として、ワイド洗浄モード表示部238が消灯するとともにバブル洗浄モード表示部239が点灯するため、使用者は、おしり水流スイッチ327の押下自体は正常に行われたことを視覚的に把握できる。
【0092】
つぎに、待機モードS3において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでの間に、おしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)された場合には、当該再度押下されてから所定の時間T1を経過した後に、待機モードS3から、バブル洗浄モードが実行される状態S2を経由せずに、おしり洗浄モードが実行される状態S0に移行する。このとき、ノズル装置800の動作としては、切替弁モータ13mが動作することにより、流路切替弁13において、給水ポート131が直進吐出ポート135及び旋回吐出ポート133と連通した状態から、給水ポート131が直進吐出ポート135のみと連通した状態に切り替わる。なお、おしり水流スイッチ327が連押しされることよって、ワイド洗浄モード表示部238及びバブル洗浄モード表示部239は消灯するので、使用者は、バブル洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替わったことを視覚的に把握できる。
【0093】
一方、待機モードS3において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでの間に、おしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)されなかった場合には、待機モードS3からバブル洗浄モードが実行される状態S2に移行する。
【0094】
つぎに、バブル洗浄モードが実行される状態S2において、おしり水流スイッチ327が押下されると、バブル洗浄モードが実行される状態S2から、おしり洗浄モードが実行される状態S0に遅滞なく切り替わる。このとき、ノズル装置800の動作としては、切替弁モータ13mが動作することにより、流路切替弁13において、給水ポート131が直進吐出ポート135及び旋回吐出ポート133と連通した状態から、直進吐出ポート135と連通した状態に切り替わるとともに、直進流路851に流れる洗浄水に対して空気ポンプ14から空気が混入される。なお、このとき、ワイド洗浄モード表示部238及びバブル洗浄モード表示部239が消灯することにより、使用者はバブル洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替わったことを視覚的に把握できる。
【0095】
図9A、図9Bは、図8に示した状態遷移図に基づく本発明の実施の形態1に係る洗浄モードの切替動作の一例を説明するための図である。
【0096】
図9Aに示す例では、時刻t0以前ではワード洗浄モードが実行される状態S1とする。そして、時刻t0においておしり水流スイッチ327が押下されると、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から待機モードS3に移行する。その後、時刻t0から所定の時間T1を経過した時刻t2において、待機モードS3からバブル洗浄モードが実行される状態S2に移行する。
【0097】
図9Bに示す例では、図9Aと同様に時刻t0以前ではワード洗浄モードが実行される状態S1とする。そして、時刻t0においておしり水流スイッチ327が押下されると、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から待機モードS3に移行する。その後、時刻t0から時刻t2までの間の所定の時間T1内の時刻t1において、おしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)された場合には、時刻t2を経過しても待機モードS3が継続する。つまり、ワイド洗浄モードからバブル洗浄モードに切り替わらない。その後、おしり水流スイッチ327が再度押下されてから所定の時間T1が経過した時刻t3において、待機モードS3からおしり洗浄モードが実行される状態S0に移行する。
【0098】
上記の切替動作によって、使用者は、例えば「今のワイド洗浄モードでは広範囲におしりが濡れてしまうから、デフォルトのおしり洗浄モードに切り替えたい」と感じた場合とする。このとき、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から、おしり水流スイッチ327を所定時間内に二回連続して押下することにより、バブル洗浄モードを体感することなく、おしり洗浄モードが実行される状態S0に切り替えることができる。つまり、使用者は、おしり水流スイッチ327を操作することにより、ワイド洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替えたい場合に、刺激の強いバブル洗浄モードを体感するという不便さから解放される。また、ワイド洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替わる過程でバブル洗浄モードに切り替わらないので、空気ポンプ14の無駄な駆動がなくなり、空気ポンプ14の寿命を長くすることができる。
【0099】
[変形例]
上記の実施の形態では、図6A、図6Bに示すように遠隔操作装置300におしり水流スイッチ327、ワイド洗浄モード表示部328、バブル洗浄モード表示部329を設けるように説明したが、図10、図11に示すように袖部250を具備した衛生洗浄装置100において、その袖部250に図6A、図6Bに示したもの同様のおしり水流スイッチ254、ワイド洗浄モード表示部255、バブル洗浄モード表示部256を設けるようにしてもよい。つまり、本発明に係る一の操作具は、使用者が便座部400に着座した際に操作が容易となる位置に配置されるものであればよい。
【0100】
また、上記の実施の形態では、本発明に係る洗浄流体を洗浄水とし、本発明に係る一の操作具をおしり水流スイッチ327のようにスイッチとした例を説明したが、これに限られない。例えば、便器洗浄スイッチ336のつまみのように使用者が操作するつまみの実施の形態であってもよい。
【0101】
また、例えば、使用者のおしりに洗浄水を吐出することを選択するおしりスイッチ312によって3つの噴出モードを切り替えるように構成されてもよい。つまり、おしりスイッチ312の操作によって、人体洗浄ノズル840からの噴出モードを決定した上で、当該決定された噴出モードの洗浄水が使用者の局部に噴出されるように構成されてもよい。
【0102】
また、上記の実施の形態では、おしり水流スイッチ327を押下する毎に、おしり洗浄モード、ワイド洗浄モード、バブル洗浄モードの順に繰り返し切り替わることを説明したが、3つの洗浄モードが切り替わる順序は上記の順に限定されない。例えば、おしり水流スイッチ327を押下する毎に、おしり洗浄モード、バブル洗浄モード、ワイド洗浄モードの順に繰り返し切り替わるようにしてもよい。
【0103】
また、上記の実施の形態では、おしり水流スイッチ327を押下する毎に切り替わる洗浄水の噴出モードとしては、おしり洗浄モード、バブル洗浄モード、及びワイド洗浄モードの3つを例示したが、これらの洗浄水の噴出モードに限定されず、使用者の体感の異なる洗浄水の噴出モードであればよい。例えば、人体洗浄ノズル840の噴出口から洗浄水が螺旋状に旋回する噴出モード(スパイラル洗浄モード)、人体洗浄ノズル840の噴出口から洗浄水がリズミカルに単位時間あたりの流量を可変させて噴出される噴出モード(リズム洗浄モード)、人体洗浄ノズル840が進退しながら噴出口より洗浄水を噴出する噴出モード(ムーブ洗浄モード)等も本発明に係る条件付き実行の対象とすることができる。
【0104】
本実施の形態では1つの人体洗浄ノズル840で複数の洗浄モードを実現できる構成であったが、このような構成に限らず、洗浄形態を異ならせた複数のノズルを備えて複数のノズルを使い分けすることでモード変更するような構成としてもよい。また、上記各洗浄モードの実現については、上記構成に限らず、例えば空気の混入のさせ方を変え、自然吸気方式とすることで柔らかな洗浄感の得られる「ワイド洗浄モード」として実現する構成としてもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態では、ワイド洗浄モードの実行(S1)からバブル洗浄モードの実行(S2)に切り替える場合に待機モードS3を設ける(本発明に係る条件付き実行の実施形態)ようにしたが、おしり洗浄モードの実行(S0)からワイド洗浄モードの実行(S1)に切り替える場合に、待機モードS3に相当する待機モードを設けるようにしてもよい。この場合、使用者は、例えば「今のおしり洗浄モードでは刺激が物足りないので、より刺激の強いバブル洗浄モードに切り替えたい」と感じた場合とする。このとき、おしり洗浄モードが実行される状態S0から、おしり水流スイッチ327を所定時間内に二回連続して押下することにより、ワイド洗浄モードを体感することなく、バブル洗浄モードが実行される状態S2に切り替えることができる。つまり、使用者は、おしり水流スイッチ327を操作することにより、おしり洗浄モードからバブル洗浄モードに切り替えたい場合に、広範囲におしりが濡れるワイド洗浄モードを体感するという不便さから解放される。また、おしり洗浄モードからバブル洗浄モードに切り替わる過程でワイド洗浄モードに切り替わらないので、流路切替弁13において、給水ポート131が直進吐出ポート135と連通した状態を維持することになる。つまり、切替弁モータ13mが駆動されず、流路切替弁13の無駄な回転を発生させずに済ませることができる。
【0106】
また、バブル洗浄モードの実行(S2)からおしり洗浄モードの実行(S0)に切り替える場合に、待機モードS3に相当する待機モードを設けるようにしてもよい。この場合、使用者は、例えば「今のバブル洗浄モードでは刺激が強すぎるので、お尻に優しいワイド洗浄モードに切り替えたい」と感じた場合とする。このとき、バブル洗浄モードが実行される状態S2から、おしり水流スイッチ327を所定時間内に二回連続して押下することにより、おしり洗浄モードを体感することなく、ワイド洗浄モードが実行される状態S1に切り替えることができる。つまり、使用者は、おしり水流スイッチ327を操作することにより、バブル洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替えたい場合に、おしり洗浄モードを体感するという不便さから解放される。また、バブル洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替わる過程でおしり洗浄モードに切り替わらないので、空気ポンプ14から直進流路851への空気の混入を停止するとともに、流路切替弁13において給水ポート13を直進吐出ポート135及び旋回吐出ポート133を連通させることができ、バブル洗浄モードからワイド洗浄モードへ速やかに移行できる。
【0107】
また、一の操作具で少なくとも3つの体感の異なる洗浄流体の噴出モードを切り替える例としては、洗浄流体を空気とした少なくとも3つの体感の異なる乾燥モードを対象としてもよい。例えば、洗浄流体が水とした場合の上記のおしり洗浄モード、バブル洗浄モード、ワイド洗浄モードのように、デフォルトのノーマル乾燥モード、ノーマル乾燥モードの乾燥風よりも単位時間あたりの風量を強くしたターボ乾燥モード、ノーマル乾燥モードよりも広角に乾燥風を噴出するワイド乾燥モードを対象とすることができる。なお、人体洗浄ノズル840が、洗浄水の噴出と併せて、使用者の局部を乾燥させる温かい空気の噴出をも併せて行う洗浄・乾燥兼用ノズルである場合には、一の操作具により少なくとも3つの体感の異なる乾燥モードを対象とする本発明に係る衛生洗浄装置は、衛生洗浄装置100と同様の構成及び動作で実現することができる。
【0108】
上述したように、洗浄および乾燥について3つ以上のモード変更を行う場合を説明したが、これに限らず、高速昇温が可能な暖房便座においての便座温度の設定、いわゆる瞬間式の熱交換器を搭載した温水洗浄便座における温水温度の設定などに対しても、モード変更の際の制御方式として用いることもできる。これらの瞬間式の暖房便座や瞬間式の熱交換器であれば、モード変更操作に即応答して便座温度や温水温度を変更することができる。よって、人体はその温度変化を直接感知することになる。このような場合であっても、待機モードを適宜設けることで、使用者の使用感を損ねない快適な衛生洗浄装置を実現することができる。そして、単に多数のモードに対応するスイッチを設けることに比べ、制限のある操作部領域、部材を有効に活用して構成することが可能となる。
【0109】
なお、3つ以上のモードのうちの一つとして「切」設定も含むことも考えられる。例えば、使用者の局部に噴出される洗浄水の温度をロータリー式で「切」設定も含めて4段階(「高温」、「中温」、「低温」、「切」)に切り替える水温調整スイッチ332や、便座部400の温度をロータリー式で「切」設定も含めて4段階(「高温」、「中温」、「低温」、「切」)に切り替える便座温度調整スイッチ333についても、本発明を適用できる。例えば、衛生洗浄装置100に瞬間暖房便座や瞬間熱交換の機能が具備される場合、水温調整スイッチ332や便座温度調整スイッチ333によって洗浄水の温度や便座部400の温度が瞬時に切り替えられ、使用者のこの温度の急変を容易に体感する。ここで、水温調整スイッチ332や便座温度調整スイッチ333が「高温」設定から「切」設定に切り替わるように操作されると、使用者はヒューっと温度が冷める不快感を体感することになる。従って、水温調整スイッチ332や便座温度調整スイッチ333の操作に対して本発明に係る条件付き実行を適用すると、例えば、洗浄水の温度や便座部400の温度が「高温」設定の状態から、水温調整スイッチ332や便座温度調整スイッチ333を所定時間内に二回連続して操作することにより、「切」設定の状態を体感することなく、「低温」設定の状態に切り替えることができ、急激な温度変化を体感するという不快感が生じなくなる。
【0110】
なお、本実施の形態では、瞬間式の熱交換器9として説明したが、複数の体感の異なる洗浄流体を噴出する機構を備えたノズル装置に洗浄水を供給するものであれば、貯湯式のタンクを備えて温水供給する構成であったり、湯と水を混合して適温に調温して温水供給する構成であったりしてもよい。
(実施の形態2)
[衛生洗浄装置の洗浄モードの切替動作]
本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1に係る衛生洗浄装置100の構成自体は同一であるが、上記の洗浄モードの切替動作のみが異なっている。
【0111】
図12は本発明の実施の形態2に係る衛生洗浄装置における洗浄モードの切替動作を説明するための状態遷移図である。図8に示す本発明の実施の形態1に係る状態遷移図と相違する点は、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から、バブル洗浄モードが実行される状態S2に切り替わるまでの間のみならず、おしり洗浄モードが実行される状態S0から、ワード洗浄モードが実行される状態S1に切り替わるまでの間と、バブル洗浄モードが実行される状態S2から、おしり洗浄モードが実行される状態S0に切り替わるまでの間と、において、待機モードS3と同様の待機モードを設けた点にある。
【0112】
まず、おしり洗浄モードが実行される状態S0において、おしり水流スイッチ327が押下されると、おしり洗浄モードが実行される状態S0から待機モードS5に移行する。待機モードS5は、選択されたワイド洗浄モードの実行を待機するモードである。なお、ワイド洗浄モード表示部238が点灯することにより、使用者はおしり洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替わったことを把握できる。
【0113】
待機モードS5において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでの間に、おしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)された場合には、待機モードS5から待機モードS3に移行する。待機モードS3は、選択されたバブル洗浄モードの選択を待機するモードのことである。なお、おしり水流スイッチ327の連押しによって、ワイド洗浄モード表示部238は消灯するとともにバブル洗浄モード表示部239は点灯するので、使用者は、おしり水流スイッチ327の押下自体は正常に行われたことを把握できる。
【0114】
一方、待機モードS5において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでにおしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)されない場合には、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過したとき、待機モードS5からワイド洗浄モードが実行される状態S1に移行する。
【0115】
つぎに、ワイド洗浄モードが実行される状態S1において、おしり水流スイッチ327が押下されると、ワイド洗浄モードが実行される状態S1から待機モードS3に移行する。なお、おしり水流スイッチ327の押下を契機として、ワイド洗浄モード表示部238が消灯するとともにバブル洗浄モード表示部239が点灯する。このため、使用者は、おしり水流スイッチ327の押下自体は正常に行われたことを把握できる。
【0116】
待機モードS3において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでにおしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)された場合には、待機モードS3から待機モードS4に移行する。なお、おしり水流スイッチ327の連押しによって、ワイド洗浄モード表示部238及びバブル洗浄モード表示部239は消灯するので、使用者は、おしり水流スイッチ327の押下自体は正常に行われたことを把握できる。
【0117】
一方、待機モードS3において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでにおしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)されない場合には、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過したとき、待機モードS3からバブル洗浄モードが実行される状態S2に移行する。
【0118】
つぎに、バブル洗浄モードが実行される状態S2において、おしり水流スイッチ327が押下されると、バブル洗浄モードが実行される状態S2から待機モードS4に移行する。待機モードS4は、選択されたおしり洗浄モードの選択を待機するモードのことである。このとき、ワイド洗浄モード表示部238及びバブル洗浄モード表示部239が消灯することにより、使用者はバブル洗浄モードからおしり洗浄モードに切り替わったことを把握できる。
【0119】
待機モードS4において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでにおしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)された場合には、待機モードS4から待機モードS5に移行する。なお、おしり水流スイッチ327の連押しによって、ワイド洗浄モード表示部238のみが点灯するので、使用者は、おしり水流スイッチ327の押下自体は正常に行われたことを把握できる。
【0120】
一方、待機モードS4において、おしり水流スイッチ327が押下されてから所定の時間T1を経過するまでの間に、おしり水流スイッチ327が再度押下(連押し)されなかった場合には、おしり水流スイッチ327が再度押下されてから所定の時間T1を経過したときに、待機モードS4からおしり洗浄モードが実行される状態S0に移行する。
【0121】
上記の切替動作によって、例えば、使用者は「今のおしり洗浄モードでは洗浄のための刺激がもの足りないから、刺激の強いしっかり洗浄できるバブル洗浄モードに切り替えたい」と感じた場合には、広範囲に濡れが生じるワイド洗浄モードを体感することなく、おしり洗浄モードからバブル洗浄モードに切り替えることができる。また、使用者は、「今のバブル洗浄モードでは刺激が強すぎるので、おしりに優しいワイド洗浄モードに切り替えたい」と感じた場合には、現在意図しないおしり洗浄モードを体感することなく、バブル洗浄モードからワイド洗浄モードに切り替えることができる。
[変形例]
本発明の実施の形態2においても、本発明の実施の形態1と同様の変形例を採用することができる。
【0122】
なお、実施の形態1及び2においては、洗浄モード(噴出モード)が3つである場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、2つの噴出モード以上であればよい。例えば、使用者は、一の操作具によって一方の噴出モードから他方の噴出モードに間違えて切り替えてしまった場合に、本発明に係る条件付き実行によって、当該他方の噴出モードを体感することなく、当該一方の噴出モードに戻すことができる。
【0123】
また、実施の形態1及び2においては、使用者が、待機状態(待機モード)において次の洗浄モードを選択しない場合には、一方向にのみ(巡回するように)洗浄モードを選択することが可能なように構成されているが、本発明はこれに限定されず、使用者が、待機状態(待機モード)において次の洗浄モードを選択しない場合には、所定の順序で複数の洗浄モードを選択することが可能なように構成されていればよい。例えば、複数の洗浄モードを往復するように選択可能に構成したり、複数の洗浄モードを、複数のグループに分割し、各グループにおいて、その複数の洗浄モードを一方向にのみ(巡回するように)又は往復するように選択可能に構成してもよい。
【0124】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、ノズルより噴出される洗浄流体の体感の異なる少なくとも3つの噴出モードを一の操作具により所定の順番で繰り返し切り替え可能な衛生洗浄装置にとって有益である。
【符号の説明】
【0126】
1…水道配管
2…分岐水栓
3…配管
30…分岐配管
31…バキュームブレーカ
32…分岐配管
10…配管
11…水ポンプ
11m…水ポンプモータ
12…バッファタンク
13…流路切替弁
131…給水ポート
132…ノズル洗浄吐出ポート
133…旋回吐出ポート
134…ビデ吐出ポート
135…直進吐出ポート
13m…切替弁モータ
14…空気ポンプ
4…ストレーナ
40…便器ノズル
400…便座部
410…蓋部
5…逆止弁
500 蓋部
6…定流量弁
61…バキュームブレーカ
610…着座検出器
7…止水電磁弁
700…便器
8…流量センサ
800…ノズル装置
803…T字管
820…ノズル洗浄ノズル
820p…ノズル洗浄ポート
821…先端ケーシング
822…ノズルシャッタ
840…人体洗浄ノズル
846a…ノズル進退モータ
851…直進流路
851p…直進ポート
852…旋回流路
852p…旋回ポート
853…ビデ流路
853p…ビデポート
890…ノズルガイド台
9…熱交換器
TH1、TH2…サーミスタ
h1、h2、h3、h4、h5、h6…ホース
100…衛生洗浄装置
90…制御部
200…便座本体部
200U…下部ケーシング部
202…通信インタフェース
204…洗浄水供給機構
206…ノズル駆動機構
238…ワイド洗浄モード表示部
239…バブル洗浄モード表示部
250…袖部
254…水流スイッチ
255…ワイド洗浄モード表示部
256…バブル洗浄モード表示部
300…遠隔操作装置
301…コントローラ本体部
302…コントローラ蓋部
311…停止スイッチ
312…おしりスイッチ
313…ビデスイッチ
320…乾燥スイッチ
322…調整スイッチ
325…位置調整スイッチ
327…おしり水流スイッチ
328…ワイド洗浄モード表示部
329…バブル洗浄モード表示部
331…自動開閉スイッチ
332…水温調整スイッチ
333…便座温度調整スイッチ
335…除菌スイッチ
336…便器洗浄スイッチ
400…便座部
40…便器ノズル
500…蓋部
610…着座検出器
700…便器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを備え、当該ノズルから使用者にとって体感が互いに異なる態様で洗浄流体を噴出する複数の噴出モードを有する洗浄流体噴出機構と、
使用者が操作して前記複数の噴出モードを所定の順序で選択するよう構成された一の操作具と、
少なくとも一の前記噴出モードについて、条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する制御部と、を備え、
前記条件付き実行は、一の前記噴出モードが前記一の操作具により選択されると、ある時間待機し、当該待機する時間内に当該一の噴出モードの次の噴出モードが前記一の操作具により選択された場合には当該一の噴出モードを実行せず、当該待機する時間内に当該次の噴出モードが前記一の操作具により選択されなかった場合には当該一の噴出モードを実行する
ものである、衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、全ての前記噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄流体は洗浄水であり、
前記複数の噴出モードは、
前記ノズルから洗浄水を基準流量で噴出する第1の噴出モードと、
前記ノズルから前記第1の噴出モードと比べて洗浄水を広角に噴出する第2の噴出モードと、
前記ノズルから前記第1の噴出モードと比べて洗浄水を前記基準流量よりも強い流量で噴出する第3の噴出モードと、
を有する、請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記一の操作具は、使用者が操作して、前記第1の噴出モード、前記第2の噴出モード、及び前記第3の噴出モードの順序で前記3つの噴出モードを選択するよう構成されている、請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3の噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1乃至第3の噴出モードについて、前記条件付き実行をするよう前記洗浄流体噴出機構を制御する、請求項4に記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄流体噴出機構は、
出口ポートの軸心に向かって直進する方向に洗浄水が通水される直進流路の入口ポートである直進ポートと、該直進流路内で洗浄水が通水する方向の周囲を回転する方向に洗浄水が通水される旋回流路の入口ポートである旋回ポートとを有した前記ノズルと、
洗浄水が供給される給水ポートを前記直進ポートと連結した直進吐出ポート又は前記直進吐出ポート及び前記旋回ポートと連結した旋回吐出ポートと連通させる切替弁と、
前記直進流路内を通水する洗浄水に空気を混入させる空気供給機構と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポートのみと連通させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御し、
前記第2の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポート及び前記旋回吐出ポートと連通させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御し、
前記第3の噴出モードの場合、前記切替弁の前記給水ポートを前記直進吐出ポートのみと連通させ、かつ前記直進流路内を通水する洗浄水に空気を混入させるように前記切替弁及び前記空気供給機構を制御する、
請求項5又は6に記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−80351(P2011−80351A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182747(P2010−182747)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】