説明

衛生洗浄装置

【課題】トイレ室内の温度が高くなった場合でも、精度よく人の入室を検知できる焦電センサーを有する衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】衛生洗浄装置10は、人体から放射される赤外線を検知し、その検知結果を、センサー出力信号として出力する、焦電センサー52と、このセンサー出力信号を増幅して、増幅出力信号として出力する、増幅回路54と、増幅出力信号が、増幅出力信号の定常値Vrefから、変動閾値Vth1又は変動閾値Vth2より大きな幅で変動したか否かにより、人体の有無に変化があったか否かを判定し、この判定結果を、判定結果信号として出力する、判定回路56と、この判定結果信号に基づいて、人体無しから人体有りに変化したと推定し得る場合に、衛生洗浄装置10に所定の動作を実行させる、制御部42とを備えている。そして、判定回路56は、周囲の温度が高くなるに従って、変動閾値Vth1、Vth2を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、特に、トイレ室内の温度に拘わらず、人の入室を安定して検知できる焦電センサーを有する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大便器に取り付けられて使用される衛生洗浄装置には、様々なオート機能が搭載されている。このオート機能の1つには、人がトイレ室内に入室することによって、自動的に便蓋が開く、便蓋自動開閉機能がある。また、別のオート機能として、人がトイレ室内に入室すると、暖房便座の温度を適温まで昇温させる、節電形の便座暖房機能がある。この便座暖房機能は、人がトイレ室内にいない場合は、便座の温度をある程度、低く維持しておき、人の入室を検知した時点で、便座の温度を適温まで急速に上げることにより、暖房便座を使用する使用者の快適性を維持しつつ、消費エネルギーの低減を図るものである。このようなオート機能を実現する上では、トイレ室内に人が入室したことを、高い精度で検知するセンサーが必須となる。
【0003】
このようなセンサーとして、特開2007−321440号公報(特許文献1)では、焦電センサーが用いられている。この焦電センサーは、人体から放射される赤外線を検知して、検知対象である人体の有無を検知するセンサーである。焦電センサーは、センサーとして検知可能な方向性が広く、広いエリア範囲にわたって人体の有無を検知できるため、トイレ室内への人の入室を検知するためのセンサーとして好適である。
【0004】
ところが、焦電センサーは、周囲の温度が高くなると、人体を検知しにくくなるという特性を有している。これは、焦電センサーが、人体とその周囲との間の温度差を利用して、人体の有無を検知する仕組みのセンサーであることから、周囲の温度、つまりトイレ室内の温度が人間の体温(標準的には36度)に近づくに従って、人体と周囲との間の温度差が小さくなり、人の入室を検知しにくくなるのである。
【0005】
このため、夏場などのトイレの室内が高温になるような場合には、焦電センサーを用いて、人の入室を精度よく検知できず、上述した様々なオート機能が正常に動作しないことがあるという問題があった。このため、特開2009−58463号公報(特許文献2)では、焦電センサーの検知結果であるセンサー出力信号が入力される増幅回路の増幅率を、周囲の温度が高くなるに従って大きくして、周囲の温度が上昇した場合でも、この増幅回路の後段に設けられた判定回路には、大きな振幅の増幅出力信号が入力されるようにし、人の入室を高い精度で検知できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−321440号公報
【特許文献2】特開2009−58463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特開2009−58463号公報(特許文献2)に開示のように増幅回路の増幅率を大きくすると、図1に示す増幅回路の増幅特性から分かるように、その特性も変化してしまう。この増幅特性の変化は、増幅回路の時定数が変化してしまうことから生ずる。図1の例では、元々の増幅特性がCHR1で表されるとすると、増幅率を大きくした後の増幅特性はCHR2に示されるようになる。この増幅特性CHR1と増幅特性CHR2とを比べると分かるように、増幅率を大きくすると、増幅される周波数帯域も広くなってしまい、本来であれば増幅されるべきでない周波数帯のセンサー出力信号まで大きな増幅率で増幅されてしまう。
【0008】
例えば、波長が0.1m/sに相当する周波数よりも低い周波数のセンサー出力信号を増幅して、判定回路に出力すると、判定回路は、便蓋が自動的に開状態から閉状態に移行する際の便蓋を検知してしまったり、風で揺らぐカーテンを検知してしまったりする可能性が高くなる。このような外乱を、人が入室したと誤検知してしまうことは、極力避ける必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、トイレ室内の温度が高くなった場合でも、精度よく人の入室を検知できる焦電センサーを有する衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る衛生洗浄装置は、人体から放射される赤外線を検知し、その検知結果を、センサー出力信号として出力する、焦電センサーと、前記焦電センサーから出力された前記センサー出力信号が入力され、このセンサー出力信号を増幅して、増幅出力信号として出力する、増幅回路と、前記増幅回路から出力された前記増幅出力信号が入力され、前記増幅出力信号が、前記増幅出力信号の定常値から、変動閾値より大きな幅で変動したか否かにより、人体の有無に変化があったか否かを判定し、この判定結果を、判定結果信号として出力する、判定回路と、前記判定回路から出力された前記判定結果信号が入力され、この判定結果信号に基づいて、人体無しから人体有りに変化したと推定し得る場合に、当該衛生洗浄装置に所定の動作を実行させる、制御部と、を備えており、前記判定回路は、当該判定回路の周囲の温度が高くなるに従って、前記変動閾値を小さくする、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、判定回路の周囲の温度、つまりは、衛生洗浄装置が設けられているトイレ室内の温度が、高くなった場合でも、焦電センサーを用いて、人体の有無の変化をより確実に検出できるようになる。このため、トイレ室内が高温になる暑い夏場などにおいても、トイレ室内に使用者が入室したことに伴い実行されるべき所定の動作を、衛生洗浄装置に実行させることができる。
【0012】
この場合、前記判定回路の周囲の温度に応じて抵抗が変化する、感温抵抗素子を用いて、周囲の温度が高くなるに従って変動閾値が小さくなる判定回路を構成するようにしてもよい。このように、感温抵抗素子を用いることにより、判定回路の周囲の温度が高くなるに従い、変動閾値が小さくなる判定回路を、容易に構成することができる。
【0013】
この場合、前記判定回路は、周囲の温度の変化に対する抵抗値の変化特性が異なる2つの感温抵抗素子を用いて、前記変動閾値における前記定常値からプラス方向への閾値であるプラス方向変動閾値と、前記変動閾値における前記定常値からマイナス方向への閾値であるマイナス方向変動閾値とを定めるようにしてもよい。このように、特性の異なる2つの感温抵抗素子を用いることにより、高い正確性をもって、変動閾値を定めることができるようになる。
【0014】
これらの場合、例えば、前記感温抵抗素子には、サーミスタ抵抗を用いることができる。サーミスタ抵抗は、汎用部品であることから、その入手が容易であり、且つ、安価である。
【0015】
また、前記判定回路は、第1電圧の第1電源と、第1ノードとの間に接続された、第1抵抗素子と、前記第1ノードと、前記第1電圧より低い第2電圧の第2電源との間に接続された、第1感温抵抗素子と、前記第1電源と、第2ノードとの間に接続された、第2感温抵抗素子と、前記第2ノードと、前記第2電源との間に接続された、第2抵抗素子と、非反転入力端子が前記第1ノードに接続され、反転入力端子に前記増幅出力信号が入力される、第1差動増幅器と、非反転入力端子に前記増幅出力信号が入力され、反転入力端子が前記第2ノードに接続される、第2差動増幅器と、を備え、前記第1差動増幅器と前記第2差動増幅器から、前記判定結果信号が出力されるようにしてもよい。
【0016】
このような具体的な回路構成により、判定回路を構成することが可能である。また、増幅出力信号の定常値からプラス側の変動閾値を第1感温抵抗素子を利用して定めることができ、増幅出力信号の定常値からマイナス側の変動閾値を第2感温抵抗素子を利用して定めることができるので、プラス側及びマイナス側の変動閾値を、温度変化に追従して精度よく変化するように、定めることができる。このため、衛生洗浄装置の周囲の温度が高くなっても、人体の有無をより確実に検知することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る衛生洗浄装置によれば、衛生洗浄装置が設置されているトイレ室内の温度に拘わらず、焦電センサーを用いて安定的に人の入室を検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】増幅回路の増幅率を変化させた場合における、増幅回路の増幅特性の変化の一例をグラフにして示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置と、この衛生洗浄装置が取り付けられた大便器とを示す側面図(トイレ室内に人が入室する前の状態)である。
【図3】図2の衛生洗浄装置の構成の一例を、機能ブロックとして説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置と、この衛生洗浄装置が取り付けられた大便器とを示す側面図(トイレ室内に人が入室した後の状態)である。
【図5】図3に示した衛生洗浄装置における人体検知ユニットの内部構成の一例を、機能ブロックとして説明するための図である。
【図6】図5に示した人体検知ユニットにおける判定回路の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図7】図6の判定回路における、温度変化に対するサーミスタ抵抗Rth1、Rth2と電圧V1の変化の一例をグラフにして示す図である。
【図8】図6の判定回路における、温度変化に対するサーミスタ抵抗Rth1、Rth2と電圧V2の変化の一例をグラフにして示す図である。
【図9】周囲の温度が20℃の場合における、上側閾値の電圧V1と、下側閾値の電圧V2と、増幅出力信号の電圧の変化の一例を、グラフにして示す図である。
【図10】周囲の温度が35℃の場合における、上側閾値の電圧V1と、下側閾値の電圧V2と、増幅出力信号の電圧の変化の一例を、グラフにして示す図である。
【図11】手前側にマイナスエリアが形成され、奥側にプラスエリアが形成される向きに、焦電センサーが組み込まれた衛生洗浄装置の設けられたトイレ室内に、人が入る様子を上方から見た平面図である。
【図12】図11に対応する増幅出力信号の電圧の変動の一例をグラフにして示す図である。
【図13】手前側にプラスエリアが形成され、奥側にマイナスエリアが形成される向きに、焦電センサーが組み込まれた衛生洗浄装置の設けられたトイレ室内に、人が入る様子を上方から見た平面図である。
【図14】図13に対応する増幅出力信号の電圧の変動の一例をグラフにして示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態は、増幅回路から出力された増幅出力信号が定常値から変動閾値より大きな変動をしたか否かにより、人体の有無に変化があったか否かを判定する判定回路が設けられている衛生洗浄装置において、この判定回路の周囲の温度が高くなるに従って、変動閾値を小さくすることにより、高い温度でも精度よく人体の有無の変化を検知できるようにし、トイレ室内に人が入室したことを高い確度で検知できるようにしたものである。より詳しくを、以下に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る衛生洗浄装置10と、この衛生洗浄装置10が取り付けられた大便器20とを示す側面図である。この図2に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10は、衛生洗浄装置本体12と、便蓋14と、便座16とを備えて構成されている。衛生洗浄装置本体12には、この衛生洗浄装置10の動作を制御する制御機能が内蔵されている。便蓋14と便座16とは、衛生洗浄装置本体12に回動可能に連結されている。これら衛生洗浄装置10と大便器20とは、トイレの室内に設けられている。
【0021】
図3は、衛生洗浄装置10の構成の一例を機能ブロックとして表す図である。この図3に示すように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10は、洗浄機能部30と、便蓋開閉ユニット32と、便座開閉ユニット34と、便座暖房ユニット36と、室内暖房ユニット38と、人体検知ユニット40と、制御部42とを備えて、構成されている。制御部42は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成されており、これら洗浄機能部30と、便蓋開閉ユニット32と、便座開閉ユニット34と、便座暖房ユニット36と、室内暖房ユニット38に対する各種の制御を実行する。
【0022】
洗浄機能部30は、便座16に座った使用者の局部に向けて、吐出ノズルから洗浄水を吐出して、使用者の局部を洗浄する機能を有する。また、この洗浄機能部30には、衛生洗浄装置10に供給された水道水を加熱して、温水にする機能も備わっており、使用者の設定に応じて、温水になった洗浄水を吐出ノズルから吐出することも可能に構成されている。したがって、本実施形態における「水」という文言には、冷水のみならず、加熱された温水をも含んでいると解釈すべきである。
【0023】
便蓋開閉ユニット32は、衛生洗浄装置10に設けられた便蓋14を自動的に開閉する機能部である。特に、本実施形態においては、人体検知ユニット40がトイレ室内に人が入ったことを検知した場合に、便蓋開閉ユニット32は、便蓋14を閉状態から開状態に自動的に移行させる。すなわち、人体検知ユニット40がトイレ室内への人の入室を検知した場合に、便蓋開閉ユニット32は、図2に示すような閉状態にある便蓋14を開き、図4に示すような開状態に移行して、使用者が、衛生洗浄装置10を使用し得る状態にする。便座開閉ユニット34は、衛生洗浄装置10に設けられた便座16を自動的に開閉する機能部である。
【0024】
便座暖房ユニット36は、使用者が行った設定に応じて、便座16を暖める機能部である。特に、本実施形態においては、トイレ室内に人がいない場合には、便座16は設定より低い温度に保持されており、人体検知ユニット40がトイレ室内に人が入室したことを検知した場合に、便座暖房ユニット36は、便座16を昇温して、便座16の温度を設定された温度にする。このようにすることにより、便座16を使用する使用者の快適性を維持しつつ、消費電力の抑制を図っている。室内暖房ユニット38は、この衛生洗浄装置10が設置されているトイレ室内の暖房を行う機能部である。
【0025】
図5は、本実施形態に係る人体検知ユニット40の内部構成の一例を説明するブロック図である。この図5に示すように、本実施形態に係る人体検知ユニット40は、レンズ50と、焦電センサー52と、増幅回路54と、判定回路56とを備えて構成されている。
【0026】
焦電センサー52は、レンズ50を介して、人体から放射される赤外線を検知して、その検知結果を、センサー出力信号として、増幅回路54に出力する。すなわち、焦電センサー52は、検知対象範囲の温度変化を赤外線を利用して検知し、焦電作用に基づいて電気信号に変換して、センサー出力信号として出力する。本実施形態においては、このセンサー出力信号は電圧信号であり、トイレ室内に人の入退室がない場合は、所定の電圧である定常値を有するように構成されているが、人体の有無に変化があると、このセンサー出力信号の電圧は、定常値からプラス方向とマイナス方向に変動する。
【0027】
増幅回路54には、焦電センサー52から出力されたセンサー出力信号が入力される。そして、この増幅回路54は、電圧信号であるセンサー出力信号の振幅を増幅して、増幅出力信号として、判定回路56に出力する。
【0028】
判定回路56には、この増幅出力信号が入力され、増幅出力信号が、定常値から変動閾値より大きな変動をしたか否かにより、トイレ室内の人体の有無に変化があったか否かを判定する。そして、判定回路56は、その判定結果を、判定結果信号として、制御部42に出力する。
【0029】
制御部42では、判定回路56から入力された判定結果信号に基づいて、トイレ室内に人が入室したかどうかを判断し、人が入室したと推定し得る場合には、この衛生洗浄装置10に対して、所定の動作を実行させる。具体的には、上述したように、制御部42は、便蓋開閉ユニット32に、便蓋14を開状態にするための起動命令を発する。また、制御部42は、便座暖房ユニット36に、便座16を昇温するための起動命令を発する。
【0030】
図6は、本実施形態に係る判定回路56の具体的な回路構成の一例を示す図である。この図6に示すように、本実施形態に係る判定回路56は、抵抗R1、R2、サーミスタ抵抗Rth1、Rth2、差動増幅器OP1、OP2とを備えて、構成されている。抵抗R1、R2は、所定の固定的な抵抗値を有している。サーミスタ抵抗Rth1、Rth2は、周囲の温度が変化するに従って抵抗値が変化する感温抵抗素子の一例である。
【0031】
抵抗R1は、電圧V0の電源と、ノードND1との間に接続されており、サーミスタ抵抗Rth1は、ノードND1とグランドとの間に接続されている。つまり、抵抗R1とサーミスタ抵抗Rth1は、電圧V0の電源とグランドとの間に、直列に接続されている。なお、本実施形態においては、例えば5Vの電源が使用されているため、電圧V0は5Vである。
【0032】
サーミスタ抵抗Rth2は、電圧V0の電源と、ノードND2との間に接続されており、抵抗R2は、ノードND2とグランドとの間に接続されている。つまり、サーミスタ抵抗Rth2と抵抗R2は、電圧V0の電源とグランドとの間に、直列に接続されている。換言すれば、抵抗R1とサーミスタ抵抗Rth1とを含むパスと、サーミスタ抵抗Rth2と抵抗R2とを含むパスとが、電圧V0の電源とグランドとの間に、並列に形成されている。
【0033】
ノードND1の電圧をV1とすると、この電圧V1は、差動増幅器OP1の非反転入力端子に入力されている。この差動増幅器OP1の反転入力端子には、増幅回路54から出力された増幅出力信号が入力される。そして、この差動増幅器OP1からは、電圧V1と、増幅出力信号の電圧との差分に応じて、0V又は5Vの判定結果信号が出力される。つまり、電圧V1よりも増幅出力信号の電圧が低い場合には、5Vの判定結果信号が出力され、電圧V1よりも増幅出力信号の電圧が高い場合には、0Vの判定結果信号が出力される。
【0034】
一方、ノードND2の電圧をV2とすると、この電圧V2は、差動増幅器OP2の反転入力端子に入力されている。この差動増幅器OP2の非反転入力端子には、増幅回路54から出力された増幅出力信号が入力される。そして、この差動増幅器OP2からは、電圧V2と、増幅出力信号の電圧との差分に応じて、0V又は5Vの判定結果信号が出力される。つまり、電圧V2よりも増幅出力信号の電圧が高い場合には、5Vの判定結果信号が出力され、電圧V2よりも増幅出力信号の電圧が低い場合には、0Vの判定結果信号が出力される。
【0035】
詳しくは後述するが、本実施形態においては、電圧V1より電圧V2の方が低くなるように設定されている。このため、電圧V1が上側閾値を構成し、電圧V2が下側閾値を構成する。そして、判定回路56は、入力された増幅出力信号の電圧が、上側閾値の電圧V1と下側閾値の電圧V2との間にある場合には、5Vの判定結果信号を出力し、入力された増幅出力信号の電圧が、上側閾値の電圧V1より大きい場合、又は、下側閾値の電圧V2よりも小さい場合には、ローレベルの判定結果信号を出力する。つまり、本実施形態においては、判定結果信号は、ローレベル(0V)又はハイレベル(5V)により構成されるデジタル信号となっている。
【0036】
この図6の回路構成によれば、電圧V1は、V1=(V0×Rth1)/(R1+Rth1)で表すことができ、電圧V2は、V2=(V0×R2)/(R2+Rth2)で表すことができる。サーミスタ抵抗Rth1、Rth2は、温度によって抵抗値が変わる感温抵抗素子であるため、電圧V1、V2も、この判定回路56の周囲の温度によって電圧値が変化することとなる。
【0037】
ここで、判定回路56の周囲の温度とは、直接的には、サーミスタ抵抗Rth1、Rth2が設けられている判定回路56の内部の温度であるが、実質的には、判定回路56の周囲の温度を検知していることとなり、つまりは、焦電センサー52が検知しようとしているトイレ室内の温度(気温)を意味していることとなる。
【0038】
図6に示した判定回路56の回路構成によれば、本発明の第1電圧の第1電源の一例が、電圧V0の電源であり、本発明の第2電圧の第2電源の一例が、グランドであり、本発明の第1抵抗素子の一例が、抵抗R1であり、本発明の第1感温抵抗素子の一例が、サーミスタ抵抗Rth1であり、本発明の第2抵抗素子の一例が、抵抗R2であり、本発明の第2感温抵抗素子の一例が、サーミスタ抵抗Rth2であり、本発明の第1差動増幅器の一例が、差動増幅器OP1であり、本発明の第2差動増幅器の一例が、差動増幅器OP2である。
【0039】
図7は、本実施形態における、周囲の温度と電圧V1の関係と、周囲の温度とサーミスタ抵抗Rth1、Rth2の抵抗値の関係を表したグラフを示す図である。図8は、本実施形態における、周囲の温度と電圧V2の関係と、周囲の温度とサーミスタ抵抗Rth1、Rth2の抵抗値の関係を表したグラフを示す図である。
【0040】
これら図7及び図8から分かるように、本実施形態においては、周囲の温度が高くなるに従って、サーミスタ抵抗Rth1、Rth2は、抵抗値が小さくなる特性を有している。このため、周囲の温度が高くなるに従って、電圧V1は小さくなり、電圧V2は大きくなる。
【0041】
さらに、本実施形態においては、電圧V1が小さくなる割合と、電圧V2が大きくなる割合が、等しくなるように設定されている。すなわち、温度が高くなることにより電圧V1が小さくなる大きさと、電圧V2が大きくなる大きさとが、同等になるように設定されている。これは、図7及び図8のグラフで見ると、電圧V1のマイナス方向への傾きa1と、電圧V2のプラス方向への傾きa2とが、等しくなることを意味している。
【0042】
このような電圧V1、V2の温度の特性を実現するために、本実施形態においては、サーミスタ抵抗Rth1、Rth2が、Rth1=(a−b×Rth2)/(c−d×Rth2)という条件を満たすように選定されている。但し、a=(V0−2×Vref)×R1×R2、b=2×Vref×R1、c=2×(Vref−V0)×R2、d=V0−2×Vrefであり、Vrefは、増幅出力信号の電圧の定常値を示している。
【0043】
電圧V1、V2の温度に対する変化は、図9及び図10に例示するような、判定回路56における、判定基準の変化をもたらす。図9は、周囲の温度が20℃である場合の電圧V1、V2の値と、判定回路56に入力された増幅出力信号の波形の一例を示す図である。図10は、周囲の温度が35℃である場合の電圧V1、V2の値と、判定回路56に入力された増幅出力信号の波形の一例を示す図である。これら図9及び図10においては、焦電センサー52が人体無しから人体有りの変化を検知した場合における、増幅出力信号の波形の一例を示している。
【0044】
図9に示すように、周囲の温度が20℃の場合には、人体無しから人体有りに変化した際に判定回路56に入力される増幅出力信号の振幅は、比較的大きい。すなわち、人体無しから人体有りに変化したことに伴い、増幅出力信号は、定常値から大きく変動する。この変動は、定常値からプラス方向への変動と、定常値からマイナス方向への変動がある。
【0045】
そして、判定回路56は、プラス方向への変動により、増幅出力信号の電圧が上側閾値の電圧V1より大きくなっている間は、人体無しから人体有りに変化したことを示す判定結果信号、つまりローレベルの判定結果信号を出力する。
【0046】
ここで、この図9におけるプラス方向への変動閾値Vth1を、Vth1=(電圧V1)−(増幅出力信号の定常値Vref)とすると、判定回路56は、入力された増幅出力信号の電圧が、この変動閾値Vth1よりも大きな幅でプラス方向に変動したか否かを判断し、増幅出力信号の電圧が、定常値Vrefから変動閾値Vth1よりも大きな幅でプラス方向に変動した場合に、人体の有無に変化があったと判定することを意味している。
【0047】
同様に、判定回路56は、マイナス方向への変動により、増幅出力信号の電圧が下側閾値の電圧V2より小さくなった場合に、人体無しから人体有りに変化したことを示す判定結果信号、つまりローレベルの判定結果信号を出力する。
【0048】
ここで、この図9におけるマイナス方向への変動閾値Vth2を、Vth2=(増幅出力信号の定常値Vref)−(電圧V2)とすると、判定回路56は、入力された増幅出力信号の電圧が、この変動閾値Vth2よりも大きな幅でマイナス方向に変動したか否かを判断し、増幅出力信号の電圧が、定常値Vrefから変動閾値Vth2よりも大きな幅でマイナス方向に変動した場合に、人体の有無に変化があったと判定することを意味している。
【0049】
一方、図10に示すように、周囲の温度が35℃の場合には、人体無しから人体有りに変化した際に判定回路56に入力される増幅出力信号の振幅は、比較的小さい。すなわち、人体無しから人体有りに変化したことに伴う、増幅出力信号の振幅は、周囲の温度が20℃の場合と比べて小さい。このため、増幅出力信号の電圧は、定常値から小さく変動する。この変動も。20℃のときと同様に、定常値からプラス方向への変動と、定常値からマイナス方向への変動がある。
【0050】
そして、判定回路56は、プラス方向への変動により、増幅出力信号の電圧が電圧V1より大きくなった場合に、人体無しから人体有りに変化したことを示す判定結果信号、つまりローレベルの判定結果信号を出力する。但し、図7にも示したように、35℃の場合の上側閾値の電圧V1は、20℃の場合の電圧V1と比べると、低い電圧値になっている。このため、この図10におけるプラス方向への変動閾値Vth1は、図9における変動閾値Vth1よりも小さくなる。
【0051】
判定回路56は、入力された増幅出力信号の電圧が、この変動閾値Vth1よりも大きな幅でプラス方向に変動したか否かを判断し、増幅出力信号の電圧が、定常値から変動閾値Vth1よりも大きな幅でプラス方向に変動した場合に、人体の有無に変化があったことを意味する、ローレベルの判定結果信号を出力する。このため、周囲の温度が35℃の場合には、20℃の場合と比べると、増幅出力信号の電圧のプラス方向への変動が小さくても検知できることとなる。
【0052】
同様に、判定回路56は、マイナス方向への変動により、増幅出力信号の電圧が電圧V2より低くなった場合に、人体無しから人体有りに変化したことを示す判定結果信号、つまりローレベルの判定結果信号を出力する。但し、図8にも示したように、35℃の場合の下側閾値の電圧V2は、20℃の場合の電圧V2と比べると、高い電圧値になっている。このため、この図10におけるマイナス方向への変動閾値Vth2は、図9における変動閾値Vth2よりも小さくなる。
【0053】
判定回路56は、入力された増幅出力信号の電圧が、この変動閾値Vth2よりも大きな幅でマイナス方向に変動したか否かを判断し、増幅出力信号の電圧が、定常値から変動閾値Vth2よりも大きな幅でマイナス方向に変動した場合に、人体の有無に変化があったと判定することを意味する、ローレベルの判定結果信号を出力する。このため、周囲の温度が35℃の場合には、20℃の場合と比べると、増幅出力信号の電圧のマイナス方向への変動が小さくても検知できることとなる。
【0054】
さらに、これらのことから分かるように、本実施形態の判定回路56においては、増幅出力信号の電圧が、マイナス方向には大きく変動せずに、プラス方向にだけ大きく変動した場合でも、変動閾値Vth1よりも大きな幅で変動した時点で、ローレベルの判定結果信号を出力する。また、増幅出力信号の電圧が、プラス方向には大きく変動せずに、マイナス方向にだけ大きく変動した場合でも、変動閾値Vth2よりも大きな幅で変動した時点で、ローレベルの判定結果信号を出力する。つまり、本実施形態に係る判定回路56によれば、プラス方向とマイナス方向のいずれか一方にだけ、増幅出力信号の電圧が大きく変動した場合でも、これを検知することができる。本実施形態において、このように、プラス方向とマイナス方向のいずれか一方にだけ、増幅出力信号の電圧が大きく変動した場合でも、判定回路56がこれを検知して、人の有無に変化があったと判定できるようにしているのは、一般的な焦電センサー52の特性により、プラス方向とマイナス方向のいずれか一方にだけ、増幅出力信号の電圧が振幅する場合が多いからである。
【0055】
この理由を、以下、図11乃至図14を用いて、説明する。図11は、トイレ室内60内における人体の有無の変化を焦電センサー52を用いて検知する様子を説明する平面図であり、人の入室方向手前側に焦電センサー52におけるマイナスの浮遊電荷で検知を行うマイナスエリア62が設けられ、人の入室方向奥側に焦電センサー52におけるプラスの浮遊電荷で検知を行うプラスエリア64が設けられているレイアウトを示している。図12は、図11のトイレ室内60に人が入室した場合の増幅出力信号の電圧の変化の一例をグラフで示す図である。
【0056】
図13は、トイレ室内60内の人体の有無を焦電センサー52を用いて検知する様子を説明する平面図であり、人の入室方向手前側に焦電センサー52におけるプラスの浮遊電荷で検知を行うプラスエリア64が設けられ、人の入室方向奥側に焦電センサー52におけるマイナスの浮遊電荷で検知を行うマイナスエリア62が設けられているレイアウトを示している。図14は、図13のトイレ室内60に人が入室した場合の増幅出力信号の電圧の変化の一例をグラフで示す図である。
【0057】
図11に示すレイアウトの場合、トイレ室内60に人が入室すると、まず、マイナスエリア62に進入する。このため、焦電センサー52でマイナスの浮遊電荷が多量に生成され、焦電センサー52からのセンサー出力信号はマイナス方向に大きく変動し、このため、図12に示すように、増幅出力信号の電圧もマイナス方向に大きく変動する。その後、人はトイレ室内60の中央部まで入り、プラスエリア64にも進入する。このとき、焦電センサー52においては、プラスの浮遊電荷が多量に生成されるが、それまで生成されていたマイナスの浮遊電荷に打ち消されてしまい、焦電センサー52からのセンサー出力信号は、プラス方向にはあまり大きく変動せず、このため、図12に示すように、増幅出力信号の電圧もプラス方向には、あまり大きく変動しない。
【0058】
これに対して、図13に示すレイアウトの場合、トイレ室内60に人が入室すると、まず、プラスエリア64に進入する。このため、焦電センサー52でプラスの浮遊電荷が多量に生成され、焦電センサー52からのセンサー出力信号はプラス方向に大きく変動し、このため、図14に示すように、増幅出力信号の電圧もプラス方向に大きく変動する。その後、人はトイレ室内60の中央部まで入り、マイナスエリア62にも進入する。このとき、焦電センサー52においては、マイナスの浮遊電荷が多量に生成されるが、それまで生成されていたプラスの浮遊電荷に打ち消されてしまい、焦電センサー52からのセンサー出力信号は、マイナス方向にはあまり大きく変動せず、このため、図14に示すように、増幅出力信号の電圧もマイナス方向には、あまり大きく変動しない。
【0059】
このような焦電センサー52の特性があることから、本実施形態においては、周囲の温度の変化によって変動する変動閾値Vth1、Vth2と定常値Vrefとの差を同じにすることにより、判定回路56は、増幅出力信号の電圧が定常値からプラス方向に変動閾値Vth1より大きな幅で変動した場合でも、マイナス方向に変動閾値Vth2より大きな幅で変動した場合でも、トイレ室内60の人体の有無に変化があったと判定できるようにしているのである。
【0060】
このように、判定回路56が、増幅出力信号の電圧のプラス方向への変動とマイナス方向への変動の双方を検出するようにしているのは、結局のところ、焦電センサー52のマイナスエリア62とプラスエリア64の位置関係が、図11の位置関係になるか、それとも、図13の位置関係になるか、予め特定できないためである。すなわち、衛生洗浄装置10に焦電センサー52を組み込む際に、この焦電センサー52の向きは、図11の向きと図13の向きの二通りがあることとなる。しかし、焦電センサー52は、部品の向きとして、どちらがマイナスエリア62となり、どちらがプラスエリア64となるのか、識別し得ない構成となっている。このため、図11の向きで焦電センサー52が衛生洗浄装置10に取り付けられた場合でも、図13の向きで焦電センサー52が衛生洗浄装置10に取り付けられた場合でも、この焦電センサー52を用いて、トイレ室内60への人の入室を適切に判別できるようにしているのである。
【0061】
また、焦電センサー52の特性上、トイレ室内60から人が退室する場合も、人の有無に変動があることから、通常であれば、これを検知して、増幅出力信号の電圧も相応の振幅を示すこととなる。ただし、この場合は、衛生洗浄装置10に対して何らかの操作が行われてから短い時間しか経過しておらず、また、便蓋開閉ユニット32で閉状態になっている便蓋14を開状態に移行してから短い時間しか経過していないというような、何らかの前提条件があることから、焦電センサー52が人の退室を検知して、判定回路56が人体の有無に変化のあったことを示すローレベルの判定結果信号を制御部42に出力したとしても、衛生洗浄装置10としては、誤った動作はしないように設計することが可能である。したがって、制御部42は、判定回路56から出力された判定結果信号が、人体の有無に変化のあったことを示している場合でも、これらの諸条件に鑑みて、この判定結果信号が人体無しから人体有りに変化したことを意味していると推定できる場合にのみ、上述した便蓋14の開動作や便座16の昇温動作などを実行するようにすればよい。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る衛生洗浄装置10によれば、判定回路56の周囲の温度が高くなるに従って、変動閾値Vth1、Vth2を小さくするようにしたので、トイレ室内60の温度が高くなっても、トイレ室内60に使用者が入室したことを、より高い確度で検知できるようになる。このため、制御部42は、使用者の入室に伴い実行すべき動作を、より高い精度で、衛生洗浄装置10に実行させることができる。
【0063】
また、判定回路56を構成する感温抵抗素子として、汎用性が高いサーミスタ抵抗Rth1、Rth2を用いることとしたので、判定回路56を安価に実現することができる。
【0064】
さらに、定常値Vrefからプラス方向の変動閾値Vth1を、抵抗R1とサーミスタ抵抗Rth1で定義し、定常値Vrefからマイナス方向の変動閾値Vth2を、抵抗R2とサーミスタ抵抗Rth2で定義することとしたので、周囲の温度の変化に対して、高い正確性をもって、変動閾値Vth1と変動閾値Vth2とを変化させることができる。特に、本実施形態においては、温度変化に対する変動閾値Vth1の変化の大きさと変動閾値Vth2の変化の大きさを同等にする必要があることから、これら変動閾値Vth1、Vth2を個別に定義できることにより、高い正確性と設計の容易性とを確保することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態においては、判定回路56が、増幅出力信号の電圧のプラス方向への変動とマイナス方向への変動の双方を検出するようにしているが、これを一方にすることも可能である。すなわち、焦電センサー52を衛生洗浄装置10に取り付ける際の向きを、図11の向き、或いは、図13の向きとなるように、制限できるようにすれば、判定回路56は、プラス方向、或いは、マイナス方向への変動のみに基づいて、トイレ室内60の人体の有無に変化があったと判定することも可能である。
【0066】
具体的には、まず、焦電センサー52のマイナスエリア62とプラスエリア64の向きを特定するために、何らかの情報を焦電センサー52の部品に付加する。この情報は、マイナスエリア62とプラスエリア64が形成される向きを特定するための、いわゆる目印でよい。
【0067】
そして、衛生洗浄装置10の製造過程において、図11の向きにマイナスエリア62とプラスエリア64とが形成されるように焦電センサー52を衛生洗浄装置10に取り付けるようにすれば、判定回路56は、増幅出力信号の電圧が定常値Vrefからマイナス方向に変動閾値Vth2より大きく変動した場合にだけ、トイレ室内60の人体の有無に変化があったと判定すればよく、プラス方向への変動に関しては判定をする必要性が無くなる。
【0068】
逆に、衛生洗浄装置10の製造過程において、図13の向きにマイナスエリア62とプラスエリア64とが形成されるように焦電センサー52を衛生洗浄装置10に取り付けるようにすれば、判定回路56は、増幅出力信号の電圧が定常値Vrefからプラス方向に変動閾値Vth1より大きく変動した場合にだけ、トイレ室内60の人体の有無に変化があったと判定すればよく、マイナス方向への変動に関しては判定をする必要性が無くなる。
【符号の説明】
【0069】
10 衛生洗浄装置
12 衛生洗浄装置本体
14 便蓋
16 便座
20 大便器
30 洗浄機能部
32 便蓋開閉ユニット
34 便座開閉ユニット
36 便座暖房ユニット
38 室内暖房ユニット
40 人体検知ユニット
42 制御部
50 レンズ
52 焦電センサー
54 増幅回路
56 判定回路
R1、R2 抵抗
Rth1、Rth2 サーミスタ抵抗
OP1、OP2 差動増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体から放射される赤外線を検知し、その検知結果を、センサー出力信号として出力する、焦電センサーと、
前記焦電センサーから出力された前記センサー出力信号が入力され、このセンサー出力信号を増幅して、増幅出力信号として出力する、増幅回路と、
前記増幅回路から出力された前記増幅出力信号が入力され、前記増幅出力信号が、前記増幅出力信号の定常値から、変動閾値より大きな幅で変動したか否かにより、人体の有無に変化があったか否かを判定し、この判定結果を、判定結果信号として出力する、判定回路と、
前記判定回路から出力された前記判定結果信号が入力され、この判定結果信号に基づいて、人体無しから人体有りに変化したと推定し得る場合に、当該衛生洗浄装置に所定の動作を実行させる、制御部と、
を備えており、
前記判定回路は、当該判定回路の周囲の温度が高くなるに従って、前記変動閾値を小さくする、ことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記判定回路の周囲の温度に応じて抵抗が変化する、感温抵抗素子を用いることにより、前記判定回路は、前記判定回路の周囲の温度が高くなるに従って、前記変動閾値が小さくなるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記判定回路は、周囲の温度の変化に対する抵抗値の変化特性が異なる2つの感温抵抗素子を用いて、前記変動閾値における前記定常値からプラス方向への閾値であるプラス方向変動閾値と、前記変動閾値における前記定常値からマイナス方向への閾値であるマイナス方向変動閾値とを定めている、ことを特徴とする請求項2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記感温抵抗素子は、サーミスタ抵抗である、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記判定回路は、
第1電圧の第1電源と、第1ノードとの間に接続された、第1抵抗素子と、
前記第1ノードと、前記第1電圧より低い第2電圧の第2電源との間に接続された、第1感温抵抗素子と、
前記第1電源と、第2ノードとの間に接続された、第2感温抵抗素子と、
前記第2ノードと、前記第2電源との間に接続された、第2抵抗素子と、
非反転入力端子が前記第1ノードに接続され、反転入力端子に前記増幅出力信号が入力される、第1差動増幅器と、
非反転入力端子に前記増幅出力信号が入力され、反転入力端子が前記第2ノードに接続される、第2差動増幅器と、
を備え、
前記第1差動増幅器と前記第2差動増幅器から、前記判定結果信号が出力される、ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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