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衛生洗浄装置
説明

衛生洗浄装置

【課題】電解槽においてポールチェンジを行った際に剥離するスケールによる吐水口の閉塞を確実に防止することができる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】衛生洗浄装置10は、電解槽1が電圧極性を反転した後から所定期間内に生成した殺菌水を、流路16の電解槽1と洗浄ノズル14の吐水口との間から水洗大便器に排出可能な排出機構28を備え、排出機構28は、流路16の電解槽1と洗浄ノズル14の間から分岐した排出流路22を含み、この排出流路22は、排出流路22を開放した状態において、流路16の排出流路22が分岐した個所よりも上流の吐水流路18よりも圧力損失が小さくなっており、電解槽1は、電解処理を行っている間は、電圧極性を反転することが禁止されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関し、水洗大便器に取り付けられる人体局部を洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、給水を加熱タンク内で加熱し、加熱した温水を浄水用のノズルから人体局部に向けて吐出する衛生洗浄装置が広く用いられている。このような衛生洗浄装置では、ノズルヘッド部分が人体局部に接近した状態で温水を吐出するため、汚水や汚物を浴びやすい。このため、ノズル自体を洗浄する機能を備えた衛生洗浄装置が用いられ始めている。
【0003】
ノズルを洗浄する機能を備えた装置の一つとして、例えば特許文献1(特に、段落0036−0043参照)には、電解槽内で水道水を電気分解し、これにより発生した次亜塩素酸を含む殺菌水によりノズルを殺菌洗浄する装置が開示されている。
【0004】
また、このような殺菌水を生成する際には、電解槽の電極にナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム等を主成分とするスケールが電極の陰極側に付着する。
そして、電解槽の電極に付着するスケールの量が多くなると、電解性能が低下し、殺菌水生成能力が低下してしまう恐れがある。
そこで、安定した殺菌水生成能力を維持するため、例えば特許文献2に記載されているように、電極の陰極側に付着したスケールを除去するため、電極間に印加する電圧の極性を反転(すなわち、ポールチェンジ)することにより、電極表面に付着したスケールを除去することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3487447号明細書
【特許文献2】特開平7−124560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載されている「ポールチェンジによるスケール除去方法」を、衛生洗浄装置に適用し、ポールチェンジを頻繁に行うことにより、殺菌水生成能力の低下のない衛生洗浄装置を提供することができる。
しかしながら、頻繁にポールチェンジを行うことによって、殺菌水生成能力の低下は抑制できるが、ポールチェンジの頻度と電極寿命には相関関係があり、ポールチェンジの頻度が高くなると、電極寿命が著しく低下するといった新たな問題が生じる。
ここで、「電極の長寿命化」と「殺菌水生成能力確保」の両立が図れるように、ポールチェンジの頻度をできるだけ低くすることが考えられるが、ポールチェンジの頻度を低くすると、「ポールチェンジ直後」に大量のスケールが電極から剥離し、「ポールチェンジ直後」に生成された殺菌水が原因でノズルの吐水口が閉塞してしまう、という新たな課題が生じることを見出した。
衛生洗浄装置において、ノズルの吐水口から吐水される洗浄水は、人体の局部を洗浄するために使用されるものであり、吐水に十分な刺激と洗浄力を持たせる必要がある。吐水に十分な刺激と洗浄力を持たせるためには、所望の流速で洗浄水を吐水する必要があり、吐水口の閉塞を抑制するためにノズルの吐水口を単純に大きくすることができず、衛生洗浄装置においてこの課題は極めて大きな問題となる。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、電解槽においてポールチェンジを行った際に剥離するスケールによる吐水口の閉塞を確実に防止することができる衛生洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、水洗大便器に取り付けられ、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐水口を備えた洗浄ノズルと、給水源から供給された水を洗浄ノズルの吐水口まで導く流路と、流路に設けられ、少なくとも一対の電極を備え、これらの電極の間に電圧を印加して水を電解処理することにより殺菌水を生成するとともに、一対の電極の間に印加する電圧極性を反転させる電解槽と、電解槽が電圧極性を反転した後から所定時間内に生成した殺菌水を、流路の電解槽と吐水口の間の領域から上記水洗大便器に排出する排出機構と、を有し、排出機構は、流路の電解槽と吐水口の間の領域から分岐した排出流路を備え、この排出流路は、排水流路が開放した状態において、流路の排出流路が分岐した領域から吐水口までの吐水流路よりも、圧力損失が小さくなっており、電解槽は、電解処理を行っている間は電圧極性を反転することが禁止されるようになっていることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明によれば、電解槽の電極間に印加する電圧を反転した後、所定時間、吐水口の上流から殺菌水を排出することとしたため、電圧反転直後のスケールを大量に含む殺菌水により吐水口が閉塞されるのを防止できる。さらに、電解処理中は、吐水口に向かう水流が発生してしまうが、電解処理の開始後、停止前は、電圧反転を行わないため、このような水流の影響によりスケールを含む殺菌水が吐水口へ流れるのを抑止できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、電解槽は、電圧極性の反転をともなう電解処理が、その直前の電解処理の終了後、所定の時間が経過した後に実行されるようになっている。
このように構成された本発明によれば、電圧極性の反転の直前に電解処理を行うことがなくなるため、電圧極性の反転に電解処理により生じる吐水口への水流が残っていることを防止できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、電解槽は、電解処理の累計処理時間が所定の設定時間に達すると、電圧極性を反転するとともに、電解処理の開始後、停止前に累計処理時間が設定時間に到達した場合には、電圧極性を反転させないようになっている。
電圧極性を反転させた場合、反転直後は電解性能は不安定なものとなる。このため、反転直後は反転前よりも電解性能が低下する恐れがある。
電圧極性の反転のタイミングは、様々な方法で決定できるが、このように構成された本発明によれば、このように電解処理中での電圧極性の反転を抑制することにより、殺菌水の電解濃度がばらつくのを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、電解槽は、電解処理中に累計処理時間が所定の設定時間に達すると予測される場合には、この電解処理の開始時、又は、次回の電解処理の開始時に電圧極性の反転を行う。
このように構成された本発明によれば、上記のタイミングで電圧極性を反転させることで、本来の電圧極性の反転による機能を損なうことがない。
【0013】
本発明において、好ましくは、設定時間は、変更可能であり、より好ましくは、更に、電解槽により電解処理される水の温度を検知する水温検知手段を有し、電解槽の設定時間は、水温検知手段により検知された水温が高いほど、短くなるように設定される。
このように構成された本発明によれば、スケールの付着量は水温が高いほど付着しやすいが、水温が高いほど設定時間を短くすることにより、電圧極性の反転により大量のスケールが剥離することを防止できる。
【0014】
本発明において、好ましくは、電解槽の電圧極性の反転は、排出流路を開放し、排出流路へ安定した水流が形成された後に実行されてもよい。
このように構成された本発明によれば、スケールを大量に含む電圧極性の反転直後の殺菌水の吐水口への流れこみをさらに抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の衛生洗浄装置によれば、電解槽においてポールチェンジを行った際に剥離するスケールによる吐水口の閉塞を確実に防止しつつ、電極の長寿命化と殺菌水生成能力確保の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による衛生洗浄装置に用いられる電解槽を説明するための模式図である。
【図2】図1に示す電解槽における、ポールチェンジ後の排水時間と電極板に付着していたカルシウム(スケール)の付着量との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態による衛生洗浄装置が設置された水洗大便器を示す斜視図である。
【図4】図3に示す衛生洗浄装置の殺菌洗浄時の流路系統図である。
【図5】図3に示す衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽の電極板の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部により計測された電解槽の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブの開閉を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態による衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽の電極板の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部により計測された電解槽の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブの開閉を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態による衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽の電極板の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部により計測された電解槽の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブの開閉を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の衛生洗浄装置の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本実施形態の衛生洗浄装置において用いられている電解槽及び本発明の発明者らが発見した課題について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による衛生洗浄装置に用いられる電解槽を説明するための模式図である。同図に示すように、電解槽1は、一対の電極板2,4を有し、これら電極板2,4の間に電圧を印加することにより、水を電気分解する。なお、図1(A)には、電極板2が陰極となり、電極板4が陽極となるように電圧が印加された状態が示されている。
【0018】
水道水には塩素イオンが含まれているため、水道水を電気分解することにより、陽極側の電極板4では塩素が発生する。このようにして発生した塩素は水に溶解し、さらに、水に溶解した塩素イオンが電気分解されることにより、次亜塩素酸が発生する。このようにして、電解槽1は次亜塩素酸を含む殺菌水を生成することができる。
【0019】
また、この際、陰極側の電極板2では水道水中に含まれるカルシウムイオンが炭酸カルシウム(スケール)として電極板2に付着する。このように電極板2に炭酸カルシウムが付着してしまうと、殺菌水の生成能力が低下してしまう。
【0020】
そこで、本実施形態の衛生洗浄装置の電解槽1は、例えば、殺菌水の累計生成時間が所定の時間に達するなどの所定のタイミングで、図1(A)に示す状態から、図1(B)に示す状態へと電極板2,4の間に印加する電圧を反転させる、いわゆるポールチェンジを行う。図1(B)に示す状態へとポールチェンジを行うことにより、陰極として機能していた電極板2が陽極となり、陽極として機能していた電極板4が陰極となる。このため、炭酸カルシウムが付着していた電極板2において酸が生成され、この酸により炭酸カルシウムが溶解するため、電極板2に付着していた炭酸カルシウムを剥離させることができる。
【0021】
次に、本願発明者らは、このような電解槽1における、ポールチェンジ後の排水時間と電極へのカルシウム(スケール)の付着量との関係を検討したので、以下説明する。本検討では、電極間に印加する電圧が10Vと、5Vとである状態における、ポールチェンジ後の排水時間とカルシウム(スケール)の付着量との関係を調べた。
【0022】
図2は、図1に示す電解槽における、ポールチェンジ後の経過時間と経過時間後に電極から剥離するカルシウム量との関係を示すグラフである。同図に示すように、ポールチェンジ後、所定時間経過すると電極から剥離するカルシウム量は大きく減少している。このことから、電極に付着したスケールは、ポールチェンジ直後に大部分が剥離してしまうことがわかる。
【0023】
また、図2に示すように、電極に印加する電圧が10Vの場合には、電極に印加する電圧が5Vの場合に比べて、ポールチェンジ後に電極に付着するスケール量が約半分程度まで減少している。このことから、電極に印加する電圧が大きいほど、ポールチェンジ後、短時間の間に、より大量のスケールが剥離することがわかる。
【0024】
上記の結果を踏まえ、以下に説明する本発明の一実施形態による衛生洗浄装置では、電解槽を作動させて殺菌を行う際、ポールチェンジ後、所定の時間に生成された殺菌水をノズルの上流において排出することとしている。以下、本実施形態の衛生洗浄装置について詳細に説明する。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態による衛生洗浄装置が設置された水洗大便器を示す斜視図である。同図に示すように、衛生洗浄装置100は、水洗式の洋式大便器110の便器120上に設置されて用いられる。そして、コントローラにより操作することにより、洗浄ノズル14が便器120内に進出し、洗浄水を洗浄ノズル14の先端から人体局所(おしりなど)に向けて噴出することにより、人体局所を洗浄することができる。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態による衛生洗浄装置の殺菌洗浄時の流路系統図である。なお、同図には、殺菌洗浄に関連しない要素については図示を省略しているが、本実施形態の衛生洗浄装置は、周知の人体局部を洗浄するために必要な構成を備えている。
図4に示すように、本実施形態による殺菌洗浄時における衛生洗浄装置の流路系統10は、例えば水道管などの給水源12と洗浄ノズル14とが流路16、18により結ばれており、この流路16に上記説明した電解槽1が設けられている。流路16の電解槽1の下流には分岐部20が設けられており、分岐部20から洗浄ノズル14へと延びる吐水流路18と、分岐部20から下方に向かって延びる排水流路22とに分岐している。
【0027】
吐水流路18は、洗浄ノズル14の吐水口における断面積(すなわち、吐水流路18の最小流路断面積)が、排水流路22の最小流路断面積に比べて小さくなるように構成されている。これにより、吐水流路18に比べて、排水流路22の圧力損失が小さくなっている。
【0028】
吐水流路18は洗浄ノズル14まで延びており、吐水流路18を通って供給された殺菌水はこの洗浄ノズル14の吐出口から吐出される。これにより、洗浄ノズル14の胴体を殺菌洗浄することができる。
【0029】
排出流路22の分岐部20の下流側には、制御部24と通信可能に接続された排出バルブ26が設けられている。排出バルブ26は、制御部24の指令に基づいて開閉し、排出流路22への水の流入を制御する。これら排出流路22及び排出バルブ26により排出機構28が構成される。なお、本実施形態では、流路16を分岐して排出流路22を設けているが、これに限らずに、流路16の下面に開口を設けるのみでもよい。
【0030】
また、制御部24には、予め、ポールチェンジ直後に、排出バルブ26を開放する所定の設定排出時間TOPが設定されている。この排水バルブ26を開放する設定排出時間TOPは、電極板2、4の間に印加する電圧や、電気分解する水の温度に応じて決定するとよい。例えば、図1を参照して説明したように、電極板2,4の間に印加する電圧が大きい場合には、ポールチェンジ直後から短時間でスケールが剥離するため、短くするとよく、電極板2,4の間に印加する電圧が小さい場合には、長くするとよい。また、スケールは、水温が低いよりも水温が高いときの方が大きい。このため、水温センサから受信した電解槽内の水の水温が高いほど、累計時間設定値TOPが短くなるように設定するとよい。
【0031】
制御部24は、ポールチェンジ後の所定のタイミングから設定排出時間tOPの間、排出バルブ26を開く。なお、排出バルブ26を開くタイミングは、少なくともポールチェンジ直後に電解槽1で生成された殺菌水が、分岐部20に到達するようなタイミングとして設定されている。ポールチェンジを実施することにより、それまで陰極であった側の電極板2に付着していたスケールが剥離する。これに対して、本実施形態の衛生洗浄装置では、排出バルブ26が開放されているため、殺菌水は排出流路22に流れ込み、便器のボウルへと排出される。これにより、スケールを含んだ殺菌水は排出流路22を介して、便器のボウルへと排出され、洗浄ノズル14には流れ込まなくなるため、洗浄ノズル14の吐水口がスケールにより閉塞されることを防止できる。
【0032】
また、制御部24は、電解槽1を駆動させると、電解槽1の電解処理を行った時間の累計である累計電解時間Tを計測する。また、制御部24には、予め、ポールチェンジを実施するタイミングを決定する所定の累計時間設定値TPCが設定されている。この累計時間設定値TPCは、例えば、電極板の間に印加する電圧が5Vの場合に60秒程度にするとよい。
【0033】
ここで、制御部24は、電解処理中に累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達した際、すぐにポールチェンジを行うことが考えられる。しかしながら、殺菌洗浄工程中には、電解槽1から吐出流路18へ流れる水流が生じているため、ポールチェンジ直後に排出バルブ26を開放したとしても、排出流路22への水流が形成されるまでの間、スケールを含む殺菌水が吐水流路18へと流れ込んでしまうという問題が生じる。
【0034】
この問題を解決するべく、本実施形態の衛生洗浄装置では、以下に説明するようなタイミングでポールチェンジを実施することとしている。
図5は、本実施形態の衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽1の電極板2,4の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部24により計測された電解槽1の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブ26の開閉を示す図である。なお、図5(A)〜(C)のグラフは、横軸(時間軸)が一致するように記載されている。
【0035】
t=t1において、使用者による衛生洗浄装置の操作部(不図示)に殺菌洗浄を実施する旨の入力があると、制御部24は、排出バルブ26を閉鎖した状態で、電解槽1を駆動する。これにより、電解槽1で生成された殺菌水は吐出流路18へ流れ込み、洗浄ノズル14の吐出口から排出され、洗浄ノズル14を殺菌洗浄することができる。そして、所定の洗浄ノズル14の殺菌洗浄作業が完了すると、t=t2において電解槽1を停止させる。このt=t1〜t2の間、図5(B)に示すように、制御部24により測定される電解槽1の累計電解時間Tは増加する。
【0036】
t=t3において、再び、使用者による衛生洗浄装置の操作部(不図示)に殺菌洗浄を実施する旨の入力があると、上記の場合と同様に、制御部24は、排出バルブ26を閉鎖した状態で、電解槽1を駆動する。そして、t=t4において累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに達したとする。本実施形態の衛生洗浄装置では、電解槽1による電解処理の実施中は、吐出流路18内に洗浄ノズル14へ流れる水流が発生しているため、電解処理中であるt=t4において累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達したとしても、t=t5において電解槽1を停止させるまでポールチェンジを行わない。
【0037】
さらに、t=t5において電解槽1を停止した後も衛生洗浄装置の水路には、殺菌洗浄装置10から吐水流路18へ流れる水流が残っている。このように吐水流路18に水流が残った状態でポールチェンジを行ってしまうと、この水流によりスケールを含んだ殺菌水が吐水流路18に流れ込み洗浄ノズル14がスケールにより閉塞される虞がある。そこで、本実施形態では、制御部24は、電解処理工程の完了後、吐出流路18内の水流が落ち着くのに十分な時間経過するまでの間は、例え、操作部(不図示)に殺菌洗浄を実施する旨の入力があったとしても、電解槽1を作動させないこととしている。
【0038】
電解処理工程の完了後、吐出流路18内の水流が落ち着くのに十分な時間経過した後、t=t6において、再び使用者による衛生洗浄装置の操作部(不図示)に殺菌洗浄を実施する旨の入力があったとする。t=t6は、電解槽1による電解処理を行っておらず、さらに、前回の電解処理から十分な時間が経過しているため、吐出流路18内に水流が残っていない。そこで、制御部24は、このように累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達した電解処理の次の電解処理を行う時(t=t6)において、電解槽1のポールチェンジを実施する。
【0039】
そして、制御部24は、ポールチェンジを実施した後、所定のタイミング(t=t7)から設定排出時間tOP、排出バルブ26を開く。これにより、ポールチェンジ後に電解槽1で生成されたスケールを含む殺菌水は確実に排出流路22に流れ込み、便器のボウルへと排出される。このため、洗浄ノズル14の吐水口がスケールにより閉塞されることを防止できる。
【0040】
本実施形態によれば、ポールチェンジ後、所定時間、排出バルブ26を開放することとしたため、ポールチェンジ直後に電極板から剥離した大量のスケールを含む殺菌水を排出流路22から便器へ排出することができ、吐水流路18へスケールが流れ込むのを抑止できる。
【0041】
さらに、電解処理中は電解槽1から吐出流路18へ水流が生じているため、仮に、電解処理中に排出バルブ26を開放しても、しばらくの間は吐出流路18への水流が残ってしまうが、本実施形態では、電解処理中にはポールチェンジを行わないこととしたため、吐出流路18へ水流が生じていないタイミングで排出バルブ26を開放することができ、確実にスケールを含む殺菌水を排出流路22へと導き、便器へと排出することができる。これにより、洗浄ノズル14の吐水口にスケールが詰まることをより確実に抑止できる。
【0042】
また、本実施形態では、電解処理が完了した後、所定の時間、電解処理を行うことが禁止されているため、電解処理後の電解槽1から吐出流路18へ流れる水流が残っている間にポールチェンジが行われることがないため、吐水流路18へスケールが流れ込むのをより確実に防止できる。
【0043】
なお、上記の実施形態では、電解槽1における電解工程中に累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達した場合に、次の電解工程開始時にポールチェンジを行うこととしたが、これに限らず、実施予定の電解工程中に累計電解時間が累計時間設定値に到達することが予め推定できる場合には、当該実施予定の電解工程の開始時にポールチェンジを行ってもよい。
【0044】
図6は、本発明の第2実施形態による衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽1の電極板2,4の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部24により計測された電解槽1の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブ26の開閉を示す図である。なお、第2実施形態においても衛生洗浄装置の構成は第1実施形態と同じであり、ポールチェンジのタイミングのみが異なる。
【0045】
図6(A)に示すように、t11〜t12の間、電解処理を行った後、累計時間設定値TPCと、累計電解時間Tとの差が電解処理を行う時間よりも短い場合には、制御部24は、次回に行う電解工程中に累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達すると判定することができる。
【0046】
このような場合には、図6(A)に示すように、次回の電解工程の開始時(すなわち、t13)においてポールチェンジを実施するとともに、電解槽1を作動させる。そして、ポールチェンジ時に電解処理した殺菌水が排出機構28から排出されるような所定のタイミング(t=t14)から設定排出時間TOP、排出バルブ26を開く。これにより、ポールチェンジにより電極板から剥離したスケールを含む殺菌水を排出機構28から便器へ排出することができる。このように本実施形態においても、上記説明した実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
また、上記の実施形態では、ポールチェンジ後の所定のタイミングから設定排出時間までの間、排出バルブ26を開くこととしたが、これに限らず、ポールチェンジを行う前に、予め、排出バルブ26を開いておいてもよい。
【0048】
図7は、本発明の第3実施形態による衛生洗浄装置における殺菌洗浄中の各要素の動作を説明するための図であり、(A)は、電解槽1の電極板2,4の間に印加される電圧を示すグラフ、(B)は、制御部24により計測された電解槽1の累計電解時間を示すグラフ、(C)は、排出バルブ26の開閉を示す図である。なお、第3実施形態においても衛生洗浄装置の構成は第1実施形態と同じであり、排出バルブ26を開放するタイミングのみが異なる。
【0049】
本実施形態において、図7(A)に示すように、t23〜t25の間、電解処理を行っている間のt24において、累計電解時間Tが累計時間設定値TPCに到達したとする。このような場合に、制御部24は、次回の電解処理の開始時(t=t23)にポールチェンジを行うが、本実施形態では、ポールチェンジよりも所定時間前のt=t26において、排出バルブ26を開いておく。なお、この所定時間は、排出バルブ26を開いてから、排出流路22に安定した水流が形成されるのに十分な時間となるように決定される。
【0050】
そして、このように排出バルブ26を開いた後、電解槽1から排出流路22へ安定した水流が形成されてからt=t27において、制御部24は、電解槽1のポールチェンジを行う。そして、t=t26からTOP´経過した後のt=t28において排出バルブ26を閉鎖し、t=t29において電解槽1を停止する。
【0051】
本実施形態によれば、例えば、連続して電解処理を行う場合などにおいても、ポールチェンジ前に確実に電解槽1から排出流路22へ安定した水流が形成されるため、スケールを含んだ殺菌水の吐出流路18への流れ込みをより抑えることができる。このため、洗浄ノズル14の吐出口の閉塞をより確実に防止できる。
【符号の説明】
【0052】
1 電解槽
2,4 電極板
10 流路系統
14 洗浄ノズル
16 流路
18 吐水流路
20 分岐部
22 排水流路
26 排出バルブ
28 排出機構
100 衛生洗浄装置
110 洋式便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に取り付けられ、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置であって、
人体局部に向けて洗浄水を吐出する吐水口を備えた洗浄ノズルと、
給水源から供給された水を前記洗浄ノズルの吐水口まで導く流路と、
前記流路に設けられ、少なくとも一対の電極を備え、これらの電極の間に電圧を印加して水を電解処理することにより殺菌水を生成するとともに、前記一対の電極の間に印加する電圧極性を反転させる電解槽と、
前記電解槽が電圧極性を反転した後から所定時間内に生成した殺菌水を、前記流路の電解槽と吐水口の間の領域から上記水洗大便器に排出する排出機構と、を有し、
前記排出機構は、前記流路の電解槽と吐水口の間の領域から分岐した排出流路を備え、この排出流路は、排水流路が開放した状態において、前記流路の前記排出流路が分岐した領域から前記吐水口までの吐水流路よりも、圧力損失が小さくなっており、
前記電解槽は、前記電解処理を行っている間は前記電圧極性を反転することが禁止されるようになっていることを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記電解槽は、前記電圧極性の反転をともなう電解処理が、その直前の電解処理の終了後、所定の時間が経過した後に実行されるようになっている請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記電解槽は、前記電解処理の累計処理時間が所定の設定時間に達すると、前記電圧極性を反転するとともに、前記電解処理の開始後、停止前に前記累計処理時間が前記設定時間に到達した場合には、前記電圧極性を反転させないようになっている請求項2記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記電解槽は、電解処理中に累計処理時間が所定の設定時間に達すると予測される場合には、この電解処理の開始時、又は、次回の電解処理の開始時に前記電圧極性の反転を行う請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記電解槽の前記設定時間は可変である請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
更に、前記電解槽により電解処理される水の温度を検知する水温検知手段を有し、前記電解槽の前記設定時間は、前記水温検知手段により検知された水温が高いほど、短くなるように設定されている請求項5記載の衛生洗浄装置。
【請求項7】
前記電解槽の電圧極性の反転は、前記排出流路を開放し、前記排出流路へ安定した水流が形成された後に実行される請求項2記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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