説明

衛生洗浄装置

【課題】静電霧化装置の必要以上の故障判定を行うことを抑制することができる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】衛生洗浄装置に一体に設けられトイレルームの脱臭と除菌を行う静電霧化装置800において、霧化電極832と対向電極833と間の放電電流の異常を検知する異常検知手段740と異常検知の回数をカウントするカウント手段750と時計手段730とを備え、異常検知手段740が検知した異常検知の回数が所定時間内に連続して所定回数以上カウントされた場合に、静電霧化装置800を故障と判定することにより、故障判定に費やす時間を長くすることにより、結露水による霧化電極832と対向電極833間の短絡状態が解消することが可能となり、必要以上に故障判定を行うことを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は臭気物質の脱臭機能と細菌類の除菌機能を有する静電霧化装置を備えた衛生洗浄装置の異常検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレルームの壁や床に付着蓄積した臭気物質や細菌類の分解除去の方法としては、トイレルーム内の壁面に人体検知センサを備えた静電霧化装置を設置し、人体検知センサによる人体検知の終了に連動して静電霧化装置の運転を開始するものとし、臭気物質や細菌類の分解除去に使用する帯電微粒子水の生成は、ペルチェ素子により空気中の水分を冷却して生成した結露水に高電圧を印加することにより、ナノメータサイズの帯電微粒子水を生成してトイレルーム内に放出し、壁や床面に付着した臭気物質や菌類を分解することにより脱臭および除菌しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ペルチェ素子を使用した静電霧化装置の異常状態を検知する異常検知手段としては、静電霧化装置の断線を検知する断線検知手段と、静電霧化装置の放電電流の異常を検知する放電電流異常検知手段とを備え、静電霧化装置の運転開始時に断線検知手段により断線を検知し、断線が検知された場合は静電霧化装置への通電を遮断し、断線が検知されない場合は静電霧化装置への通電を継続する。
【0004】
次に、静電霧化装置への通電が継続されている状態で、放電電流異常検知手段により放電電流の異常検知を実施する。放電電流異常検知手段は、静電霧化装置の放電電極と対向電極間に結露した水や塵埃等の異物が付着して短絡に近い状態になっていることを検知するものである。放電電流異常検知手段が異常を検知し所定時間(例えば、5秒間)継続すると静電霧化装置の運転を停止するとともに、カウンタに異常カウントを記録する。
【0005】
所定時間(例えば、30分間)経過後に、静電霧化装置に通電を再開して再運転を実施する。再運転時に放電電流異常が検知された場合には、静電霧化装置の運転を再度停止し、カウンタに異常カウントを記録する。一回の運転で放電電流の異常が連続して所定回数(例えば、24回)カウントされた場合は、故障と判定して故障表示手段により故障表示を行う。また、一回の運転で、放電電流異常が連続して所定回数に達する前に、所定時間(例えば、10分間)放電電流異常が検知されない場合は、異常回数のカウントをクリアしてリセットするように制御されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−299466号公報
【特許文献2】特開2009−198107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、特許文献1に記載の構成であれば、ペルチェ素子を使用して空気中の水分を結露させる静電霧化装置の場合、空気中の湿度や温度により必要以上の結露水が生成され、帯電微粒子水を生成する電極間が短絡に近い状態となり静電微粒子水が生成されないことがあり、このような異常状態を検知する機能を備えていないため、帯電微粒子水の生成が効果的になされないことが懸念される。
【0008】
また、特許文献2に記載の構成においては、1回の運転において所定回数以上の異常が
連続して検知された場合、故障と判定して故障表示を行うようになっている。結露水による電極間の短絡は、空気中の湿度や温度に起因するため、原因となる空気の性状が変化するには時間が要するため、ある程度長い時間(例えば、24時間)をかけて異常の判定を行うことが必要であり、引用文献2の構成の場合、必要以上に故障表示が実施されることが懸念される。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、必要以上の結露水により電極間が短絡状態となる異常を適切に検知するとともに、短絡状態の回復も適切に検知することにより、必要以上の故障表示を抑制し、安定して使用できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衛生洗浄装置は、便器上に載置される本体と、本体に起倒自在に枢支された便座と、人体局部を洗浄する洗浄手段と、トイレルーム内の人体を検知する人体検知手段と、本体に内蔵され、水を静電霧化して生成した帯電微粒子水を前記本体よりトイレルーム内に放出する静電霧化装置と、制御部とを含み、静電霧化装置は、空気を送給する送風機と、帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットとを備え、静電霧化ユニットは、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却基板に連接された霧化電極と、霧化電極に対向して設けられた対向電極と、ペルチェ素子に低電圧を印加するペルチェ印加手段と、霧化電極と対向電極に高電圧を印加する電極印加手段とを備え、制御部は、電極印加手段の電流値の異常を検知する異常検知手段と、異常検知手段が検知した異常検知の回数をカウントするカウント手段と、時間を計時する時計手段とを備え、制御部は、人体検知手段が人体検知を終了した後に予め設定した運転時間に基づき静電霧化装置を運転するとともに運転時間を積算し、第1の所定時間内に積算した運転時間の合計が第2の所定時間に到達した以降は静電霧化装置の運転を停止し、第1の所定時間経過後は積算した運転時間をクリアしてリセットするものとし、制御部は、連続した運転時間ごとにカウント手段が連続して所定回数の異常をカウントした場合に静電霧化ユニットを故障と判定することを特徴とした衛生洗浄装置である。
【0011】
これにより、静電霧化装置は第1の所定時間内には第2の所定時間以上の運転はなされない構成であり、例えば、第1の所定時間内に多数回の人体検知がなされた場合においても静電霧化装置の運転時間は第2の所定時間が上限となり、しかも1回の運転時間も予め設定されたものであるため、第1の所定時間内における運転回数の上限が設けられている。
【0012】
そのため、故障と判定する所定回数を第1の所定時間内における運転回数の上限より多く設定しておけば、2回以上の第1の所定時間に亘って連続して異常が検知されなければ故障と判定されることはなく、判定に費やす時間を長くすることにより、結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態が解消することが可能となり、必要以上に故障判定を行うことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の衛生洗浄装置は、故障の判定に費やす時間を長くすることにより、結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態が解消することが可能となり、必要以上の故障判定を行うことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における衛生洗浄装置の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における本体のカバーを取り外した状態の平面図
【図3】本発明の実施の形態1における本体のカバーを取り外した状態の側面図
【図4】図2のAAで示す脱臭装置の断面図
【図5】図2のBBで示す静電霧化装置の断面図
【図6】図2のCCで示す静電霧化装置の断面図
【図7】本発明の実施の形態1における静電霧化装置の点検蓋の斜視図
【図8】本発明の実施の形態1における静電霧化装置の静電霧化ユニットの正面図
【図9】本発明の実施の形態1における静電霧化装置を中心とした衛生洗浄装置の制御系のブロック図
【図10】本発明の実施の形態1における静電霧化装置の駆動開始を示すフローチャート
【図11】本発明の実施の形態1における静電霧化装置の24時間における制御のフローチャート
【図12】本発明の実施の形態1における静電霧化装置の異常検知のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、便器上に載置される本体と、前記本体に起倒自在に枢支された便座と、
人体局部を洗浄する洗浄手段と、トイレルーム内の人体を検知する人体検知手段と、前記本体に内蔵され、水を静電霧化して生成した帯電微粒子水を前記本体よりトイレルーム内に放出する静電霧化装置と、制御部とを含み、前記静電霧化装置は、空気を送給する送風機と、帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、を備え、前記静電霧化ユニットは、ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却基板に連接された霧化電極と、前記霧化電極に対向して設けられた対向電極と、前記ペルチェ素子に低電圧を印加するペルチェ印加手段と、前記霧化電極と前記対向電極に高電圧を印加する電極印加手段とを備え、前記制御部は、前記電極印加手段の電流値の異常を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段が検知した異常検知の回数をカウントするカウント手段と、時間を計時する時計手段とを備え、前記制御部は、前記人体検知手段が人体検知を終了した後に予め設定した運転時間に基づき前記静電霧化装置を運転するとともに前記運転時間を積算し、第1の所定時間内に積算した前記運転時間の合計が第2の所定時間に到達した以降は前記静電霧化装置の運転を停止し、前記第1の所定時間経過後は積算した前記運転時間をクリアしてリセットするものとし、前記制御部は、連続した前記運転時間ごとに前記カウント手段が連続して所定回数の異常をカウントした場合に前記静電霧化ユニットを故障と判定することを特徴とした衛生洗浄装置。
【0016】
これにより、静電霧化装置は第1の所定時間内には第2の所定時間以上の運転はなされない構成であり、例えば、第1の所定時間内に多数回の人体検知がなされた場合においても静電霧化装置の運転時間は第2の所定時間が上限となり、しかも1回の運転時間も予め設定されたものであるため、第1の所定時間内における運転回数の上限が設けられている。
【0017】
そのため、故障と判定する所定回数を第1の所定時間内における運転回数の上限より多く設定しておけば、2回以上の第1の所定時間に亘って連続して異常が検知されなければ故障と判定されることはなく、判定に費やす時間を長くすることにより、結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態が解消することが可能となり、必要以上に故障判定を行うことを抑制することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記異常検知手段が異常を検知すると、前記制御部は、前記静電霧化ユニットの前記通電手段と前記印加手段の駆動を停止し、前記送風機の駆動のみを継続することとしたものである。
【0019】
これにより、異常検知手段が異常を検知した後の運転時間の間は送風のみが継続されるため、結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態の解消が促進されるため、必要以上
の故障判定がなされることをより抑制することができる。
【0020】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、静電霧化装置の故障を記憶する記憶手段と、故障を表示する故障表示手段と、前記故障表示手段を表示させる操作手段と、を備え、前記記憶手段に故障が記憶されている状態で、前記操作手段を操作することにより、前記故障表示手段の表示が可能としたものである。
【0021】
これにより、故障の表示は意図的に操作手段を操作しなければ確認することができないため、衛生洗浄装置のメインの機能ではない静電霧化装置の故障を必要以上に使用者が認知することによる不安や煩わしさを抑制することができるとともに、サービスマン等が故障状態を適切に認知することができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における衛生洗浄装置を便器上に設置した状態の外観の斜視図を示し、図2は衛生洗浄装置の本体のカバーを取り外した状態の平面図を示し、図3は本体のカバーを取り外した状態の左側の側面図を示し、図4は図2のAAで示す本体に内蔵された脱臭装置の断面図を示すものである。
【0024】
<1>衛生洗浄装置の構成
図1に示すように、衛生洗浄装置100は、本体200、便蓋210、便座220、リモートコントローラ300、人体検知センサ310により構成され、本体200、便蓋210、便座220は一体で構成され便器110の上面に設置される。
【0025】
なお、本実施の形態においては衛生洗浄装置100の本体200の設置側を後方、便座220の設置側を前方とし、後方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0026】
本体200には、便蓋210および便座220が便座便蓋回動機構(図示せず)を介して開閉可能に取り付けられている。図1に示すように便蓋210を開放した状態においては、便蓋210は衛生洗浄装置100の最後部に位置するように起立する。また、便蓋210を閉成すると便座220の上面を隠蔽する。便座220は便座ヒータ(図示せず)を内蔵しており、便座の着座面が快適な温度になるように加熱する。
【0027】
本体200の前面コーナー部には着座検知センサ230が設置してある。この着座検知センサ230は反射型の赤外線センサであり、人体から反射された赤外線を検出することにより便座220上に使用者が存在することを検知する。
【0028】
本体200の右側には本体200と一体に袖部240が突出して形成されており、袖部240の内部には静電霧化装置800が内蔵されている。袖部240の上面には操作部241と表示部242が配置されており、操作部241には衛生洗浄装置100の最も重要な機能である洗浄機能を操作するお尻洗浄スイッチ241aと、袖部に内蔵した静電霧化装置800の電源スイッチである静電霧化スイッチ241bが配置されており、表示部242には衛生洗浄装置100の電源の「入」、「切」を表示する電源表示灯242aと静電霧化装置800の電源の「入」、「切」を表示する静電霧化表示灯242bが設置されている。
【0029】
リモートコントローラ300には、複数の操作スイッチ301が設けられている。操作
スイッチ301の中でメインのものはお尻洗浄スイッチ301aとビデ洗浄スイッチ301bと停止スイッチ301cでありリモートコントローラ300の中心部に配置されている。リモートコントローラ300は便座220上に着座した使用者が操作可能なトイレルームの壁面等の場所に取り付けられ、衛生洗浄装置100の各機能の操作を行う。
【0030】
人体検知センサ310はトイレルームの壁面等に取り付けられる。人体検知センサ310は、焦電センサであり、トイレルームの壁面などの温度と、入室した使用者の体温との温度変化を検出してトイレルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0031】
本発明の衛生洗浄装置100はトイレルームに使用者が存在しない場合は、便座ヒータへの通電を停止、もしくは20℃程度の低温に保温している。トイレルームに使用者が入室すると、人体検知センサ310からの信号を受け、便座ヒータに通電を行う。便座ヒータは800W程度の非常に高出力のヒータであり、使用者がトイレルームに入室してから便座に着座するまでの6秒から10秒程度の間に、便座220の着座面を40℃程度の適温に温める。便座が適温に達した後は、便座ヒータへの通電を50W程度の低ワットに下げ、適温を保つ。使用者がトイレルーム内から出ると、便座ヒータへの通電を停止、もしくは20℃程度の低温保温となる。つまり、トイレルームに使用者がいないときの電力を大幅に削減した衛生洗浄装置である。
【0032】
図2に示すように、本体200の内部には、中央部に洗浄ノズルユニット400が設置されており、本体200の右側には乾燥装置500と脱臭装置600と制御部700等が設置してある。また、本体200の左側には、洗浄水供給機構450と熱交換器460と静電霧化装置800等が設置してある。洗浄ノズルユニット400と洗浄水供給機構450と熱交換器460とで人体局部を洗浄する洗浄手段を構成している。
【0033】
洗浄水供給機構450と熱交換器460は洗浄ノズルユニット400に接続されており、水道配管から供給される洗浄水を熱交換器460で加熱した温水を洗浄ノズルユニット400に供給し、洗浄ノズル410から使用者の局部に向けて温水を噴出し、使用者の局部を洗浄するものである。
【0034】
洗浄ノズルユニット400は、お尻を洗浄するお尻洗浄ノズル部と女性の局部を洗浄するビデノズル部を有する洗浄ノズル410と、洗浄ノズルを本体200内に収容した収納位置と本体200から突出して洗浄動作を行う洗浄位置との間を進退移動する駆動手段(図示せず)と、熱交換器460からの洗浄水を洗浄ノズル410に切換えて供給する切換弁(図示せず)等が一体に組み込まれている。
【0035】
乾燥装置500は、洗浄ノズルユニット400に近接して設置されている。乾燥装置500の噴出口は、使用者の局部を効果的に乾燥するため可能な限り本体200の中央に配置することが望ましく、ケーシング(図示せず)の前方を中央に向けて湾曲させた形状を成している。
【0036】
乾燥装置500の後方には制御部700が、側方には脱臭装置600が設置されている。脱臭装置600は、便器110内の臭気を吸引するために、吸込口を本体200の中央に向けて湾曲させて設けてある。
【0037】
脱臭装置600は図4に示すように風路を形成するダクト610と、ダクト610の内部に配設され臭気を脱臭する脱臭体620と、臭気を吸引するシロッコファンによる送風機630とを主構成部材として構成されている。
【0038】
ダクト610の一端は本体200の便器内に対向する底面に吸気口611を開口し、他
端は本体200の後面に排気口612を開口している。ダクト610の吸気口611側から脱臭体620と送風機630が順次配置されている。
【0039】
脱臭体620は本体200の外面から着脱自在に装着されており、脱臭体620はハニカム状の断面形状をしており、臭気物質を含んだ空気がハニカム孔の上流側から下流側に通過する間に臭気物質が孔壁に吸着し脱臭体620の触媒作用により分解除去される。
【0040】
脱臭体は、シリカ、アルミナ、カーボン等を主成分とするものであり、悪臭の代表とされる腐卵臭の主な臭気物質である硫化水素や、タマネギやキャベツ等の腐敗臭の臭気物質であるメチルメルカプタン等の臭気物質を触媒作用により分解除去を行う。
【0041】
制御部700は、リモートコントローラ300に配置され操作スイッチ301と袖部240に配置された操作部241設けられた操作スイッチの操作信号と、人体検知センサ310および着座検知センサ230から送信される信号に基づいて衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0042】
<2>衛生洗浄装置の動作および作用
次に、上記構成の衛生洗浄装置の動作および作用について説明する。
【0043】
使用者がトイレルームに入室し、人体検知センサ310が人体を検知すると、人体検知センサ310の信号により、制御部700は便座便蓋回動機構を駆動して便蓋210を開放するするとともに、便座220の便座ヒータへの通電を開始して便座220の着座面が着座に適した40℃程度になるように、10秒以内に昇温させる。
【0044】
使用者が、便座220に着座すると、着座検知センサ230が着座を検知し、制御部700が着座信号を受信することにより、本体200の操作部241およびリモートコントローラの操作スイッチ301により洗浄機能の操作が可能となる。
【0045】
また、制御部700は脱臭装置600の送風機630の駆動を開始し、便器110内の空気を吸気口611から矢印D1に示すようにダクト610内に吸引し、ダクト内を矢印D2の方向に進み、矢印D3で示すように脱臭体620のハニカム孔を通過し、矢印D4で示すように送風機630の吸引口から送風機630内に吸引され、送風機630から吐出された空気は矢印D5で示すように本体200の底板に設けられた排気口612から下方に向かって排出される。排出された空気は本体200の底板と便器110の上面に形成された間隙を通過して、本体200の後方に排気される。
【0046】
この間、脱臭装置600に吸引された臭気物質を含んだ空気は、脱臭体620のハニカム孔を通過する間に、臭気物質がハニカム孔の孔壁に吸着され、脱臭体620の触媒作用により臭気物質が分解除去され、脱臭体620を通過後の空気は臭気物質を除去されたほとんど無臭状態となり、排気口612からトイレルーム内に放出される。
【0047】
上記のように、用便中に便器110内で発生する臭気物質のほとんどは、脱臭装置600により分解除去されトイレルーム全体の臭気が拡散されることを効果的に抑制することができる。
【0048】
使用者が用便を終了し、洗浄手段により局部の洗浄を終了した後に便座220から立ち上がり、トイレルームから退出して人体検知センサ310が人体の検知を終了してから、所定時間経過後(本実施の形態においては3分後)に、制御部700は脱臭装置600の駆動を停止するとともに静電霧化装置の800の駆動を開始し、静電霧化装置の800は所定時間経過後(本実施の形態においては10分後)に停止する。
【0049】
また、静電霧化装置800は1日(24時間)に駆動する合計時間を60分に設定されており、1日の駆動時間が60分を超えた場合には静電霧化装置800は駆動されない。すなわち、通常の状態においては、衛生洗浄装置100の7回目以降の使用においては、静電霧化装置800は駆動されないようになっている。
【0050】
静電霧化装置800の詳細な構成と、動作および作用は後述する。
【0051】
<3>静電霧化装置の構成
図5は図2のBBで示す静電霧化装置の断面図であり、静電霧化装置の吸気ダクトスペースの断面図を示すものである。図6は図2のCCで示す静電霧化装置の断面図であり、静電霧化装置の主要部分の断面を示すものである。図7は静電霧化装置のケースに付属する点検蓋の斜視図であり、図8静電霧化装置の静電霧化ユニットの正面図を示すものである。
【0052】
図1および図2に示すように静電霧化装置800は本体200の側部に一体に設けられた袖部240の内部に設置されており、袖部240の底部よりトイレルーム内の空気を吸引し、袖部240の前面下端部より前方に向かって帯電微粒子水を含む空気をトイレルーム空間に吐出する構成となっている。
【0053】
図6に示すように静電霧化装置800は、風路を形成するケース810と、ケース810の内部に配設され外気を吸引するシロッコファンによる送風機820と、帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニット830とを主構成部材として構成されている。
【0054】
図5に示すようにケース810は後方の下面に設けた吸気口811から吸引した空気を送給する吸気ダクトスペース812と、図6に示すように送風機820を収容する送風機スペース813と、中央部に静電霧化ユニット830を配置する静電霧化スペース814と、前方下方に略L字型に折れ曲がった吐出ダクトスペース815と、吐出ダクトスペース815の終端は本体200の前方に向けて開放された吐出口816が設けられている。
【0055】
吸気口811の外方には網目状のフィルタ850が着脱可能に設置されており、吸気する空気に含まれる塵埃を除去する構成となっている。また、吐出口816の外方にはルーバ851が設置されており、吐出口816から異物が進入することを抑制する構成となっている。
【0056】
吸気ダクトスペース812と送風機スペース813は左右に重なりあって配置されており、吸気ダクトスペース812を通過して空気は送風機スペース813の略中央から送風機820に吸引される構成となっている。
【0057】
図5に示すように、吸気ダクトスペース812には両側壁から突出した3個の障壁812a、812b、812cが設けられており、3個の障壁812a、812b、812cは中央部で一部が重なり合って状態で設置されており、吸気口811から進入した水や異物が障壁812a、812b、812cに当たることによって直接奥に侵入して送風機820等を損傷したり漏電等の異常が発生すること防止する構成となっている。
【0058】
また図6に示すように、吸気ダクトスペース812と同様に、吐出ダクトスペース815にも両側壁から突出した障壁815a、815bが設けられており、2枚の障壁815a、815bは中央部で一部が重なり合って状態で設置されており、吸気口811から進入した水や異物が直接奥に侵入して静電霧化ユニット830等を損傷したり漏電等の異常が発生することを防止する構成となっている。
【0059】
吸気ダクトスペース812に設けた障壁812a、812b、812cと吐出ダクトスペース815に設けた障壁815a、815bは、いずれもスムーズな送風が行えるように湾曲した形状に形成されている。
【0060】
吐出口816近傍の吐出ダクトスペース815底面には略長方形の点検開口817が設けられており、点検開口817は通常は着脱可能な点検蓋840で閉塞されており、例えば吐出口816から進入した汚水等で吐出ダクトスペース815が汚染された場合には、点検蓋840を取り外して吐出ダクトスペース815と点検蓋840の清掃を行うことができる。
【0061】
例えば、男子小用時の異常動作や子供のいたずらにより、便器110の外部に放尿された場合、特に静電霧化装置800の吐出口816は便器110の上面より低い位置に配置されているため、小便がルーバ851を介して吐出口816よりケース810の内部に侵入し吐出口816の近傍に付着して大量の臭気物質で汚染されることがある。
【0062】
このような異常使用がなされ大量の臭気物質が蓄積された場合、静電霧化装置800の通常の機能では短時間に分解することが難しいため、点検蓋840を取り外して点検蓋840を洗浄するとともに、点検開口817より吐出口816近傍のケース810の内部を清掃し、静電霧化装置800の機能を維持することができる。点検蓋840を取り外した状態においても、障壁815a、815bにより点検開口817から侵入した水や異物が奥まで侵入することが防止される。
【0063】
図7に示すように、点検蓋840は略長方形の形状であり、後縁部には上下に異なる位置に設けたリブで形成した係合部841と、前縁部には樹脂材料の弾性を利用して変形可能なストッパ842が形成されている。点検蓋840の中央部から後方は上方に向かって湾曲した局面が形成された風向変更部843が形成ており、上方から送給された空気が前方に向かってスムーズに風向が変更されるようになっている。
【0064】
この風向変更部843の形状を変更することにより、吐出口816から吐出する風向を変更することができる。したがって風向変更部843の異なる形状の点検蓋840を複数個あらかじめ準備しておけば、衛生洗浄装置100の設置後トイレルームの形状や広さに合わせて風向きを変更することが可能である。
【0065】
点検蓋840の係合部841を点検開口817の開口縁に係合し、前部を点検開口817に押し付けることによりストッパ842が点検開口817の前縁に係合されることにより、点検開口817を閉塞することができる。また、点検蓋840を取り外す場合はストッパ842を後方に押し込むことによりストッパ842と点検開口817との係合が開放され点検蓋840を取り外すことができる。
【0066】
静電霧化ユニット830は図6に示すように、空気中の水分を結露させて水を生成する結露水生成部831と、生成された水に電圧を印加する霧化電極832と、霧化電極832に対向して設けられた対向電極833とで構成されている。
【0067】
結露水生成部831は、冷却基板835aと放熱基板835bとを有するペルチェ素子835と、ペルチェ素子835の放熱基板835bに連接されたアルミニウム製の放熱フィン836から成る。ペルチェ素子835には通電用のリード線835cとコネクタ835dが接続されており、コネクタ835dを介して制御部700と電気的に接続されておいる。ペルチェ素子835には制御部700により0〜1V程度の直流電流が印加される。
【0068】
ペルチェ素子835の冷却基板835aには尖鋭形状の霧化電極832が設置されており、ペルチェ素子835の冷却基板835aに結露した水が霧化電極832に搬送される構成となっている。
【0069】
尖鋭形状の霧化電極832と対向する位置に、霧化電極832を包囲するように略ドーム状の対向電極833が配置されており、霧化電極832と対向電極833にはそれぞれ通電用の接続端子832a、833aが設けられており、接続端子832a、833aを介して制御部700と電気的に接続されている。霧化電極832と対向電極833間には制御部700により約3500Vの電流が印加される。
【0070】
なお、本実施の形態における静電霧化装置800の静電霧化ユニット830にはペルチェ素子835を備えた結露水生成部831により空気中から水を供給しているが、水の供給はこの方法に限るものではなく、予め貯水した水を霧化電極に供給する構成でも帯電微粒子水の生成は可能である。
【0071】
<4>静電霧化装置の制御系の構成
図9は主に静電霧化装置の制御系を中心とした衛生洗浄装置のブロック図である。
【0072】
図9に示すように、制御部700には静電霧化装置800の静電霧化ユニット830の駆動を制御する静電霧化駆動部710と、送風機820の駆動を制御する送風機駆動部720が設けられている。静電霧化駆動部710は霧化電極832と対向電極833の間に約3500Vの高電圧を直流電流を印加する電極印加部711と、ペルチェ素子835に0〜1V程度の低電圧の直流電流を印加するペルチェ印加部712で構成されている。このように静電霧化ユニット830と送風機820の駆動は個別に行うことが可能な構成となっている。また制御部700は、静電霧化装置の駆動時間や1日を設定する24時間等の計時を行う時計手段として時計部730を備えている。
【0073】
制御部700の異常検知機能としては、電極印加部711に流れる異常電流を検知する異常検知部740と、異常検知部740で検知した異常検知の回数をカウントするカウント部750と、カウント部750でカウントした回数が連続して7回以上であれば、霧化電極832と対向電極833が故障であると判定する故障判定部760と、故障判定部760が判定した故障の回数を記憶する記憶部770を備えている。
【0074】
記憶部770に故障の情報が記憶されている場合は、リモートコントローラ300に設けられた複数の操作スイッチ301の中から、お尻洗浄スイッチ301aと停止スイッチ301cを同時に2秒間以上押すことにより、静電霧化表示灯242bが点滅表示することにより確認することができる構成となっている。
【0075】
<5>静電霧化装置の動作および作用
図10は静電霧化装置が駆動を開始されるまでの制御のフローチャートを示すものであり、図11は24時間における静電霧化装置の制御のフローチャートを示すものである。
【0076】
図10に示すように、制御部700は、リモートコントローラ300の操作、本体200の操作部241の操作、便座便蓋開閉機構の動作が全て終了し、人体検知センサ310が人体の検知を終了してから3分間経過した時点で人体検知の終了を確定して静電霧化装置800の運転を開始する。
【0077】
制御部700が所定の設定条件により静電霧化装置800の駆動を開始させると、送風機820と、ペルチェ素子835と、霧化電極832と、対向電極833への通電が開始
される。
【0078】
送風機820は、本体200の袖部240の底部に設けられた吸気口811からフィルタ850を介してトイレルーム内の空気を吸引して静電霧化ユニット830に向けて送風する。矢印E1で示すように吸気口811から吸引された空気は、矢印E2で示すように障壁812a、812b、812cの隙間を通過して矢印E3で示すように送風機820の吸気口から吸引される。
【0079】
図6に示すように、矢印E4に示すように送風機820から静電霧化ユニット830に向けて送風された空気は、一部はペルチェ素子835の冷却基板835aと霧化電極832と対向電極833の低温部とへ向かって送風される。また一部の空気は静電霧化ユニット830の放熱フィン836を通過して放熱フィン836の放熱により昇温される。静電霧化ユニット830を通過した空気は矢印E5で示すように吐出ダクトスペース815の障壁815a、815bの隙間を通過して下方に送風され、矢印E6に示すように吐出ダクトスペース815の底部に設置された点検蓋840の風向変更部843により前方に風向が変更されて吐出口816よりルーバ851を介してトイレルーム内に放出される。
【0080】
静電霧化ユニット830の低温部に送給された空気はペルチェ素子835の冷却基板835aに接することにより空気中の水分が結露し結露水が生成される。生成された結露水は霧化電極832の表面に送給され、霧化電極832と対向電極833間に約3500Vの高電圧を印加することで、結露水にレイリー分裂を生じさせ、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が発生する。すなわち、静電霧化ユニット830を通過後の空気は、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が含まれたものであり、吐出口816よりトイレルーム内に帯電微粒子水が放出される。
【0081】
吐出口816より放出された帯電微粒子水はトイレルーム空間に飛散してトイレルーム内に浮遊する臭気物質や、壁面や天井面や床面等に付着する。帯電微粒子水はナノメータサイズと非常に小さく壁表面の細孔内部に入り込むことが可能であることから壁表面に付着した臭気物質やカビ類に対しても脱臭効果や防カビ効果が得られるのである。
【0082】
特に、ナノメータサイズの帯電微粒子水は、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、メタン、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド等の臭気物質の分解除去と各種菌類への殺菌効果を備えており、トイレルーム内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気物質や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0083】
制御部は、静電霧化装置800は運転を開始してから10分後に運転を停止する。また静電霧化装置800は人体検知が終了すると毎回運転されるものではなく、1日(24時間)に最大60分間のみ運転されるように設定されている。
【0084】
図11は24時間における静電霧化装置800の運転制御を示すタイムチャートであり、図に示すように、24時間に亘り静電霧化装置800が10分間づつ運転される運転時間を積算してカウントし、60分に到達した時点以降は静電霧化装置800の運転は行わない。すなわち、基本的には静電霧化装置800は1日に6回運転されることになる。
24時間経過した時点で、24時間の経過時間のカウントと、24時間に積算された運転時間のカウントをクリアしてリセットし、新たな24時間のカウントを開始する。
【0085】
一方、静電霧化装置800の運転中に使用者がトイレルームに入室し人体検知センサ310が人体検知を開始した場合、制御部700は静電霧化装置800の運転を直ちに停止させる。そして使用者がトイレルームから退出して人体検知が終了してから3分間経過後に前記のように10分間の運転を行う。この場合、24時間における最大60分間の運転
時間の残りが10分間未満の場合、残り時間のみの運転を行う。このように、静電霧化装置800の運転中に人体検知を行って運転を停止させた場合には、1日に7回以上静電霧化装置800が運転されることがあるが、運転時間の合計は60分である。
【0086】
このように、静電霧化装置800の1日に運転される運転時間の合計を上限60分としているのは、静電霧化装置800で生成される帯電微粒子水はトイレルームの壁面や床面に付着した臭気物質や菌類等に直接接触して脱臭や除菌の作用を発揮するものであり、排便に伴う直接的な脱臭とは異なり、長期間に亘り安定して供給することにより効果が得られるものであり、不必要に長時間放出することによる無駄なエネルギーの抑制と静電霧化装置の800の耐久性を維持することができるという効果が得られるためである。
【0087】
<6>静電霧化装置の異常検知制御
図12は静電霧化装置の異常検知制御のフローチャートを示すものである。
【0088】
静電霧化装置800の霧化電極832に過剰な結露水が発生し、霧化電極832と対向電極833との距離が極端に短くなった場合や、霧化電極832と対向電極833が結露水により短絡状態となった場合に、所定の静電霧化機能を発揮することができなくなることがある。また、霧化電極832と対向電極833に塵埃等の異物が付着した場合にも同様な不具合が発生する。
【0089】
これらの不具合が発生した場合は、いずれも霧化電極832と対向電極833間の絶縁抵抗値が低下するため放電電流の異常値として検知できるものである。過剰結露水による不具合は空気中の温度や湿度に起因するものであり、温度や湿度が変化すれば正常状態に自然復帰する可能性が高いものである。これに対して、塵埃等の異物の付着による不具合は、通常の場合、自然に復帰することはなく故障と判定して対応処置を講ずる必要がある。
【0090】
本実施の形態においては、放電電流の異常値を検知した場合、異常検知の回数をカウントするカウント部を設け、カウント部によりカウントした異常回数が連続して所定の回数(本実施の形態においては7回)に達した場合に、静電霧化装置800の静電霧化ユニット830の故障と判定するようにしている。
【0091】
図9に示すように、静電霧化装置800の運転が開始されると、送風機駆動部720と静電霧化駆動部710の駆動が開始され、静電霧化駆動部710の電極印加部711から霧化電極832と対向電極833に約3500Vの直流電流が印可されるとともに、電極印加部711から異常検知部740に放電電流の情報がフィードバックされる。フィードバックされた放電電流が閾値以下の場合には、異常検知部740は正常と判定し、静電霧化駆動部710の通電は継続され、10分間の運転時間が終了後に停止する。
【0092】
一方、放電電流が閾値以上の場合は、異常検知部740は異常と判定し、静電霧化駆動部710の通電を停止するとともにカウント部750に1回目の異常カウントとして記憶される。このとき送風機駆動部720の駆動は継続され、10分間の運転時間が終了後に停止する。送風機820の駆動を継続させるのは、送風することにより霧化電極832と対向電極833に付着した結露水の蒸発の促進や塵埃の除去の効果が期待できるためである。
【0093】
図12に示すように、次回の静電霧化装置800の運転時に同様に異常が検知された場合には、2回目の異常カウントがカウント部750に記録される。カウント部750には7回までの異常がカウントされるようになっているが、静電霧化装置800の10分間の運転時間ごとに連続して異常が検知された場合に積算されるものであり、7回目の異常検
知の前に正常な運転がなされた場合にはカウント部750に記録された異常カウントはクリアされリセットされる。7回目の異常がカウントされた場合は、故障判定部760は静電霧化装置800の故障と判定して記憶部770に故障回数として記憶する。
【0094】
上記のように、10分間の運転を1日に6回行う通常の運転モードのばあい、翌日の最初の運転時に異常が検知されない場合は故障と判定されることはない。例えば、夜間に長時間に亘り衛生洗浄装置が使用されず、電極に付着した結露水が自然蒸発して正常状態に復帰した場合などに対応できるようになっている。
【0095】
記憶部770に故障回数が記憶された後は、静電霧化装置800の運転制御は正常状態と同様のパターンで継続され、異常状態が解消されない場合は、故障回数の記録が積算されていく。
【0096】
また、静電霧化装置800の故障を検査する場合は、リモートコントローラ300のお尻洗浄スイッチ301aと停止スイッチ301cを同時に2秒以上押すことにより、記憶部770に故障回数が記憶されている場合は、静電霧化表示灯242bが点滅表示することにより故障を認知することが可能である。
【0097】
上記のように本実施の形態における衛生洗浄装置は、1日(24時間)に60分間以上の運転はなされない構成であり、1日に多数回の人体検知がなされた場合においても静電霧化装置の運転時間は60分間が上限となり、しかも1回の運転時間も10分間であるため1日の運転回数の上限が設けられており、脱臭や除菌の効果があまり期待できない無駄な運転を抑制することができ、無駄なエネルギーの消費と静電霧化装置の耐久を維持することができる。
【0098】
また、故障と判定する異常検知の回数7回として1日の運転回数である6回以上に設定したことにより、2日間に亘って連続して異常が検知されなければ故障と判定されることはなく、夜間の衛生洗浄装置の不使用時に結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態が解消することが可能となり、必要以上に故障判定を行うことを抑制することができる。
【0099】
また、異常検知手段が異常を検知した後も送風機の運転を継続することにより、結露水による霧化電極と対向電極間の短絡状態の解消が促進されるため、必要以上の故障判定がなされることをより抑制することができる。
【0100】
また、故障の表示はリモートコントローラのお尻洗浄スイッチと停止スイッチを同時に二秒間以上押すという特殊操作により確認することとしたことにより、衛生洗浄装置のメインの機能ではない静電霧化装置の故障を必要以上に使用者が認知することによる不安や煩わしさを抑制することができるとともに、サービスマン等が故障状態を適切に認知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明にかかる衛生洗浄装置は放電電極の異常を検知することができるので、電極間の放電作用を使用する電気機器の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0102】
100 衛生洗浄装置
110 便器
200 本体
241 操作部
242b 静電霧化表示灯(故障表示手段)
220 便座
400 洗浄ノズルユニット(洗浄手段)
450 洗浄水供給機構(洗浄手段)
460 熱交換器(洗浄手段)
700 制御部
711 電極印加部(電極印加手段)
712 ペルチェ印加部(ペルチェ印加手段)
730 時計部(時計手段)
740 異常検知部(異常検知手段)
750 カウント部(カウント手段)
770 記憶部(記憶手段)
800 静電霧化装置
835 ペルチェ素子
835a 冷却基板
832 霧化電極
833 対向電極
820 送風機
830 静電霧化ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に載置される本体と、
前記本体に起倒自在に枢支された便座と、
人体局部を洗浄する洗浄手段と、
トイレルーム内の人体を検知する人体検知手段と、
前記本体に内蔵され、水を静電霧化して生成した帯電微粒子水を前記本体よりトイレルーム内に放出する静電霧化装置と、
制御部と、を含み、
前記静電霧化装置は、空気を送給する送風機と、帯電微粒子水を生成する静電霧化ユニットと、を備え、
前記静電霧化ユニットは、ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却基板に連接された霧化電極と、前記霧化電極に対向して設けられた対向電極と、前記ペルチェ素子に低電圧を印加するペルチェ印加手段と、前記霧化電極と前記対向電極に高電圧を印加する電極印加手段と、を備え、
前記制御部は、前記電極印加手段の電流値の異常を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段が検知した異常検知の回数をカウントするカウント手段と、時間を計時する時計手段と、を備え、
前記制御部は、前記人体検知手段が人体検知を終了した後に予め設定した運転時間に基づき前記静電霧化装置を運転するとともに前記運転時間を積算し、第1の所定時間内に積算した前記運転時間の合計が第2の所定時間に到達した以降は前記静電霧化装置の運転を停止し、前記第1の所定時間経過後は積算した前記運転時間をクリアしてリセットするものとし、
前記制御部は、連続した前記運転時間ごとに前記カウント手段が連続して所定回数の異常をカウントした場合に前記静電霧化ユニットを故障と判定することを特徴とした、
衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記異常検知手段が異常を検知すると、
前記制御部は、前記静電霧化ユニットの前記ペルチェ印加手段と前記電極印加手段の駆動を停止し、前記送風機の駆動のみを継続することを特徴とした、
請求項1に記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
静電霧化装置の故障を記憶する記憶手段と、故障を表示する故障表示手段と、前記故障表示手段を表示させる操作手段と、を備え、
前記記憶手段に故障が記憶されている状態で、前記操作手段を操作することにより、前記故障表示手段の表示が可能なことを特徴とした、
請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−44151(P2013−44151A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182392(P2011−182392)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】