説明

衛生用紙入りカートン

【課題】意匠性に優れ、需要者の購買意欲を喚起するとともに使用者に斬新な印象を与え、かつ、室内等に配置して使用する際の趣向性及び娯楽性に富んだ衛生用紙入りカートンを提供する。
【解決手段】箱状を呈するカートン本体20と、カートン本体20の内部空間に収納される、複数枚の衛生用紙でそれぞれ構成された二組の衛生用紙束と、を備え、上面2には、衛生用紙をカートン本体20の外部へと、二組の衛生用紙束のそれぞれから取り出す二つの取出口15A,15Bを有する開口部17を形成可能な切込線が形成されており、正面6Aには、それぞれの一部が二つの取出口15A,15Bからカートン本体20の外部へと引き出された二つの衛生用紙5A,5Bと組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成されるデザイン要素25が表されている衛生用紙入りカートン1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、趣向性及び娯楽性に富んだ衛生用紙入りカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィス等で使用されるティシュペーパー等の衛生用紙は、概ね直方体の箱(以下、「カートン」又は「カートン本体」ともいう)の内部空間に収納された状態(衛生用紙入りカートン)で市販されている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような衛生用紙入りカートンは、一つのボックス単位で使用されるものであることから、個々のカートンについてのデザインに工夫が凝らされてきた(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
また、市販の際の見栄えをよくする等の目的で、複数のカートンの側面に互いに異なる第1の図柄を付し、これら複数のカートンを積層した際に第1の図柄が合わさって、複数のカートン全体として一つのまとまりある第2の図柄が形成されるように構成された家庭用薄葉紙収納箱積層体が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−29580号公報
【特許文献2】実公昭62−7540号公報
【特許文献3】特開2003−226339号公報
【特許文献4】特開2005−153898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の家庭用薄葉紙収納箱積層体は、複数のカートンが積層された状態となって初めて、一つのまとまりある第2の図柄を形成するものである。このため、室内等で使用する際に個別のカートンに小分けすると第2の図柄が分断されてしまい、意匠性が低下するという問題があった。更に近年、需要者の購買意欲をより喚起するためには、ティシュペーパー等の衛生用紙の機能を充実させるだけでなく、それらを収納するカートン(箱)自体の外観についても趣向を凝らす必要がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、意匠性に優れ、需要者の購買意欲を喚起するとともに使用者に斬新な印象を与え、かつ、室内等に配置して使用する際の趣向性及び娯楽性に富んだ衛生用紙入りカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、カートン本体の上面に二つの取出口を設けるとともに、カートン本体の正面に、二つの取出口から引き出された二つの衛生用紙と組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成されるデザイン要素を表すことによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、以下に示す衛生用紙入りカートンが提供される。
【0009】
[1]上面、底面、正面、背面、及び一対の妻面を有するとともに、これらの面によって内部空間が区画形成された箱状を呈するカートン本体と、前記カートン本体の前記内部空間に収納される、複数枚の衛生用紙でそれぞれ構成された二組の衛生用紙束と、を備え、前記上面には、前記衛生用紙を前記カートン本体の外部へと、二組の前記衛生用紙束のそれぞれから取り出す二つの取出口を有する開口部を形成可能な切込線が形成されており、前記正面には、それぞれの一部が二つの前記取出口から前記カートン本体の外部へと引き出された二つの前記衛生用紙と組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成されるデザイン要素が表されている衛生用紙入りカートン。
【0010】
[2]二組の前記衛生用紙束のそれぞれを構成する前記衛生用紙が、相互に異なる種類のものである前記[1]に記載の衛生用紙入りカートン。
【0011】
[3]前記デザイン要素が、動物の顔に対応し、それぞれの一部が二つの前記取出口から前記カートン本体の外部へと引き出された二つの前記衛生用紙が、前記動物の両耳に対応する前記[1]又は[2]に記載の衛生用紙入りカートン。
【0012】
[4]前記底面に、前記底面の一部を前記正面の側へと折り返して前記動物の舌又は口に対応するデザインフラップ部を形成可能な切込線が形成されている前記[3]に記載の衛生用紙入りカートン。
【発明の効果】
【0013】
本発明の衛生用紙入りカートンは、意匠性に優れ、需要者の購買意欲を喚起するとともに使用者に斬新な印象を与え、かつ、室内等に配置して使用する際の趣向性及び娯楽性に富んだものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0015】
[1]衛生用紙入りカートン:
本発明の衛生用紙入りカートンは、例えば図1〜3に示すように、箱状のカートン本体20を備えたものである。このカートン本体20の内部空間には、複数枚の衛生用紙でそれぞれ構成された二組の衛生用紙束35A,35Bが収納されている。カートン本体20上面2には、衛生用紙をカートン本体20の外部へと、二組の衛生用紙束35A,35Bのそれぞれから取り出す二つの取出口15A,15Bを有する開口部17を形成可能な切込線14が形成されている。そして、正面6Aには、それぞれの一部が二つの取出口15A,15Bからカートン本体20の外部へと引き出された二つの衛生用紙5A,5Bと組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成されるデザイン要素25が表されている。
【0016】
本発明の衛生用紙入りカートンは、上述のように二つの取出口から引き出された二つの衛生用紙と、正面に表されたデザイン要素とを組み合わせることによって、全体として一つのまとまったデザインが形成されるので、デザインのバリエーションが豊富になるといった利点がある。
【0017】
また、本発明の衛生用紙入りカートンにより形成されるデザインは、単にカートン本体の外周面上にのみ表された平面的な図柄や写真等と異なり、取出口から引き出された二つの衛生用紙と、正面に表されたデザイン要素とを組み合わされて形成される、立体的な広がり(奥行き)を有するデザインである。このため、本発明の衛生用紙入りカートンは、意匠性に優れており、使用者に斬新な印象を与えるとともに、室内等に配置して使用する際の趣向性及び娯楽性に富んだものである。また、これまでにない立体的な広がりを持ったデザインを有するものであることから、需要者の購買意欲を十分に喚起するものである。以下、本発明の衛生用紙入りカートンの更なる詳細について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
[1−1]カートン本体:
図1は、本発明の衛生用紙入りカートンの一実施形態の使用状態を示す斜視図である。また、図2は、本発明の衛生用紙入りカートンの一実施形態の使用状態を示す正面図である。図1及び2に示すように、本実施形態の衛生用紙入りカートン1のカートン本体20は、上面2、底面4、正面6A、背面6B、及び一対の妻面8の計6面を有し、これら6面によって、衛生用紙(束)を収納し得る内部空間が区画形成された箱状を呈している。「箱状」の例としては、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状を挙げることができる。これらの形状では、上面と底面、正面と背面、一対の妻面どうしがそれぞれ対向するように平行に配置される。なかでも、直方体状、より具体的には、カートン本体の正面及び背面側を長辺、妻面側を短辺とする直方体状にカートン本体を構成することが好ましい。なお、前記6面を有する限り、隣接する二つの面で形成される稜線部分を面取りしたものも、本明細書にいう「カートン本体」の概念に含まれる。
【0019】
カートン本体は、例えば、図5に示すような、紙材料等からなるカートンブランク100を折り曲げることによって作製することができる。図5に示すカートンブランク100は、一枚の紙材料によって、折り曲げ線を介して上面2、底面4、正面6A、背面6Bが形成されており、正面6A及び背面6Bのそれぞれの端縁からは、折り曲げ線を介して内フラップ26が延出されている。また、上面2の端縁からは、折り曲げ線を介して上面外フラップ28が延出されており、これと同様に、底面4の端縁からは、折り曲げ線を介して底面外フラップ30が延出されている。更に、底面4の一の側縁部からは、折り曲げ線を介して側面接合代32が延出されており、底面外フラップ30の先端には、上面外フラップ28との接合代である妻面接合代34が付設されている。
【0020】
このようなカートンブランク100は、各折り曲げ線を折り曲げ、側面接合代32と正面6Aを接合した後、妻面接合代34と上面外フラップ28を接合することで、一対の妻面8を形成することができる。こうすることにより、カートン本体20を得ることができる。
【0021】
カートン本体を構成する材質について特に制限はない。但し、カートンブランクを折り曲げて作製する都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
【0022】
図3に示すように、カートン本体20の上面2には開口部形成用切込線14が形成されている。この開口部形成用切込線14を破断することによって、図1に示すような二つの取出口15A,15Bを有する開口部17を形成することができる。これらの取出口15A,15Bを通じてカートン本体20の外部へと、二組の衛生用紙束35A,35Bのそれぞれから衛生用紙5A,5Bを取り出すことが可能となる。
【0023】
開口部の外周形状について特に制限はなく、カートン本体や衛生用紙の形状に応じて適宜選択すればよい。但し、カートン本体として直方体状のものが多く用いられるため、その開口部の形状はカートン本体の長手方向に沿った横長形状とすることが好ましい。従って、開口部の外周形状としては、例えば、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、菱形状、又は多角形状等の形状を挙げることができる。
【0024】
図4は、本発明の衛生用紙入りカートンの他の実施形態を示す斜視図である。図4に示す衛生用紙入りカートン10のカートン本体40の上面2には、二箇所の開口部形成用切込線24A,24Bが形成されている。このように、本発明の衛生用紙入りカートンにおいては、二つの開口部形成用切込線24A,24Bをそれぞれ破断することによって、二つの取出口15A,15Bをそれぞれ有する二つの開口部を形成する態様としてもよい。
【0025】
なお、図5に示すように、開口部形成用切込線14によって包囲された切取片となる部分には、開口部形成用切込線の二点を繋ぐように、引剥がし用切込線52が形成されていてもよい。このような引剥がし用切込線52を形成することで、切取片の引き剥がしが容易となる利点がある。例えば、図5に示すように、略長方形状の開口部形成用切込線14の長手方向の両端部に、略U字状の引剥がし用切込線52を形成することができる。
【0026】
上記の開口部形成用切込線や引剥がし用切込線は、いわゆるミシン目状のものの他、比較的長い切れ目(スリット)が断続的に配置されたものであってもよい。また、ジッパーと称される切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、二重のミシン目であってもよい。
【0027】
また、カートン本体には、底面4に一対の押上片を形成するための押上片形成用切込線54が形成されていてもよい(図5参照)。カートン本体に収納された衛生用紙の残量が少なくなった際に、底面4に形成された押上片形成用切込線54を押圧して押し破り、カートンの内側に折り曲げることによって、一対の押上片を形成する。この押上片によって、カートン内部の衛生用紙が上面側に押し上げられるので、衛生用紙の最後の一枚まで安定してポップアップさせることが可能である。例えば、図5に示すように、底面4の中央部にU字状の押上片形成用切込線54を一対形成することがよく行われる。
【0028】
なお、図1に示すように、カートン本体20には、開口部17をカートン本体20の内側から被覆するように配置され、衛生用紙5A,5Bを取り出すための取出口15A,15B(スリット)が形成されたウインドウフィルム12が貼付されていてもよい。一方、カートン本体は、ウインドウフィルムが貼付されない構造の、所謂フィルムレスカートンであってもよい。
【0029】
図1に示すように、開口部17の内側からウインドウフィルム12を貼り付けると、カートン本体20の外部の塵や異物から、カートン本体20内部の衛生用紙を保護することができる。また、衛生用紙5A,5Bを外部に取出す際に、ウインドウフィルム12に形成された取出口15A,15B(スリット)間の摩擦により、ポップアップした衛生用紙5A,5Bがカートン本体20の内部に落ち込むことが防止され、衛生用紙5A,5Bを取出口15A,15Bから突出させた状態で保持することが可能となる。
【0030】
一方、フィルムレスカートンは、ポリエチレンフィルム等のフィルムの材料コストを削減したり、ウインドウフィルムを貼付する工程を省略したりすることができるために好ましい。また、使用済みのカートン本体を廃棄する際に、ウインドウフィルムを分別して廃棄する必要がないという利点もある。
【0031】
ウインドウフィルムの構成材料は特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリビニルアルコール等のプラスチック;グラシン紙、クラフト紙、ケント紙、インディア紙等の印刷用紙、書道用紙、包装紙、加工原紙等の紙;等を好適に用いることができる。また、上記プラスチックとしては、生分解性プラスチックを用いてもよい。
【0032】
ウインドウフィルムには、透明フィルム、半透明フィルム、不透明フィルム、着色フィルムのいずれもが含まれる。また、文字や模様等が印刷されたフィルムであってもよい。また、ウインドウフィルムの形状は、カートン本体の開口部を被覆することができる限りにおいて、どのような形状のものであってもよい。但し、開口部の形状として横長形状のものが汎用されることから、図1に示すような長方形状のウインドウフィルム12を用いることが好ましい。
【0033】
図1に示すように、取出口15A,15Bは、ウインドウフィルム12をその厚み方向に貫通する切れ目(スリット)である。カートン本体20の内部空間に収納されたティシュペーパーをはじめとする衛生用紙は、このスリット状の取出口15A,15Bを通してカートン本体20の外部へと引き出される。
【0034】
ウインドウフィルムは、例えば、接着部によってカートン本体の内側に貼り付けられている。接着部は、例えば、接着剤、両面テープ、熱融着等によって形成することができる。通常、接着部は開口部を包囲する環状に配置されている。「環状」とは、ある領域を区画するように、線が連続的に結ばれた形状を意味し、一の曲線が連続的に結ばれた形状のみならず、いくつかの直線が連続的に結ばれた形状も含む。具体的には、略長方形状、略長円形状、長楕円形状、長方形状、菱形状、又は多角形状等を挙げることができる。
【0035】
[1−2]衛生用紙束:
図3に示すように、本実施形態の衛生用紙入りカートン1のカートン本体20の内部空間には、複数枚の衛生用紙でそれぞれ構成された二組の衛生用紙束35A,35Bが収納されている。これらの衛生用紙束35A,35Bを構成する衛生用紙の種類について特に制限はなく、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。
【0036】
なかでも、一の衛生用紙が折り畳まれ、その折り返し部分に他の衛生用紙が挟み込まれた状態で折り畳まれることによって、複数枚の衛生用紙が連続的に積層された積層構造の衛生用紙束を、カートン本体の内部空間に収納することが好ましい。このような積層構造の衛生用紙束は、最上層の衛生用紙を取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層の衛生用紙の一部が取出口から突出し、衛生用紙の取出しが容易なものとなる利点がある(いわゆるポップアップ方式)。
【0037】
なお、本発明の衛生用紙入りカートンのカートン本体には、二組の衛生用紙束が収納されているため、二組の衛生用紙束のそれぞれを構成する衛生用紙の種類を、相互に異なるものにすることも好ましい。例えば、一方の衛生用紙束を構成する衛生用紙を通常のティシュペーパーとし、一方の衛生用紙束を構成する衛生用紙をローションテイシュとする等である。これにより、室内等に一つのカートン本体を配置するだけで、同時に二種類の用途に適した衛生用紙を使用することが可能となるので、利便性が向上するとともに、室内等の整理整頓にも寄与する。また、二組の衛生用紙束のそれぞれを構成する衛生用紙の色や形状等についても相互に異なるものにすることができ、この場合には、デザインのバリエーションが豊富になるために好ましい。
【0038】
[1−3]デザイン要素:
図1に示すように、本実施形態の衛生用紙入りカートン1の正面6Aには、デザイン要素25が表されている。このデザイン要素25は、それぞれの一部が二つの取出口15A,15Bからカートン本体20の外部へと引き出された二つの衛生用紙5A,5Bと組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成され得るものである。
【0039】
カートン本体の正面に表されるデザイン要素の種類については、取出口から引き出された二つの衛生用紙と組み合わされて一つのまとまったデザインを構成し得るものであれば、特に限定されるものではない。デザイン要素の具体例としては、図1及び2に示すデザイン要素25のような動物の顔等を挙げることができる。
【0040】
なお、デザイン要素として動物の顔を表した場合には、取出口から引き出された二つの衛生用紙は、その動物の両耳に対応することとなる。なお、動物の両耳を表す図柄を衛生用紙に表すことも、より意匠性に優れた衛生用紙入りカートンを提供可能となるために好ましい。また、カートン本体の底面、一対の妻面、及び背面のそれぞれに、正面に表されたデザイン要素に対応するデザインを表すことも、カートン本体をどの方向から見た場合であっても斬新なデザインを視認可能となるために好ましい。なお、「正面に表されたデザイン要素に対応するデザイン」に相当するものとしては、正面に表されたデザイン要素が動物の顔である場合には、その動物の顔の側面や背面等がある。
【0041】
[1−4]デザインフラップ部:
図1及び2に示す衛生用紙入りカートン1の正面6Aには、デザインフラップ部36が接続されている。このデザインフラップ部36は、正面6Aに表された動物の顔を模したデザイン要素25と意匠的な関連性を有するものであり、動物の舌又は口に対応している。このデザインフラップ部36は、図5に示すように、カートンブランク100の底面4に円弧状の切込線50を形成しておき、衛生用紙入りカートンの使用時に、この切込線50を押圧して押し破るとともに、舌片状に押し抜かれた底面4の一部を正面6Aの側へと折り返すことにより形成することができる。
【0042】
このようなデザインフラップ部を形成することにより、正面に表されたデザイン要素(動物の顔)の意匠性がより優れたものになるとともに、デザインのバリエーションが更に豊富になり、かつ、動物の図柄により現実味が加わるので、趣向性及び娯楽性が更に向上するといった利点がある。
【0043】
なお、上記のようなデザインフラップ部は、底面の一部を正面の側へと折り返すことにより形成するものに限定されず、例えば、妻面、背面、或いは上面の一部を正面の側へと折り返して形成してもよい。
【0044】
[2]衛生用紙入りカートンの製造方法:
本発明の衛生用紙入りカートンを製造するには、先ず、上面、底面、正面、背面、及び一対の妻面を有し、正面に所定のデザイン要素が表されたカートンブランクを用意する。次いで、用意したカートンブランクを折り曲げ線に沿って折り曲げ、正面と正面接合代とを重ね合わせ、その重なり部分を接着剤によって接着することによって、妻面側が開放された角筒状とする。なお、ウインドウフィルムを有するカートン本体を製造するには、カートンブランクの開口部形成用切込線を包囲する位置に接着剤を付着させ、付着した接着剤が乾燥する前に、取出口となるスリットが予め形成されたウインドウフィルムを所定の位置に配置して貼り付ければよい。
【0045】
その後、角筒状のカートンブランクの内部空間に衛生用紙が積層された二組の衛生用紙束を順次装填する。一対の内フラップを折り曲げ線に沿って折り曲げた後、上面外フラップと底面外フラップをその一部が互いに重なり合うように折り曲げ、その重なり部分を接着剤等によって接着することによって、一対の妻面を形成すれば、本発明の衛生用紙収納用カートンを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の衛生用紙入りカートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の衛生用紙を収納したカートンとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の衛生用紙入りカートンの一実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の衛生用紙入りカートンの一実施形態の使用状態を示す正面図である。
【図3】本発明の衛生用紙入りカートンの一実施形態を透明にして示す斜視図である。
【図4】本発明の衛生用紙入りカートンの他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】カートンブランクの一例を示す展開図である。
【符号の説明】
【0048】
1,10:衛生用紙入りカートン、2:上面、4:底面、5A,5B:衛生用紙、6A:正面、6B:背面、8:妻面、12:ウインドウフィルム、14,24A,24B:開口部形成用切込線、15A,15B:取出口、17:開口部、20,40:カートン本体、25:デザイン要素、26:内フラップ、28:上面外フラップ、30:底面外フラップ、32:正面接合代、34:妻面接合代、35A,35B:衛生用紙束、36:デザインフラップ部、50:切込線、52:引剥がし用切込線、54:押上片形成用切込線、100:カートンブランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、底面、正面、背面、及び一対の妻面を有するとともに、これらの面によって内部空間が区画形成された箱状を呈するカートン本体と、
前記カートン本体の前記内部空間に収納される、複数枚の衛生用紙でそれぞれ構成された二組の衛生用紙束と、を備え、
前記上面には、前記衛生用紙を前記カートン本体の外部へと、二組の前記衛生用紙束のそれぞれから取り出す二つの取出口を有する開口部を形成可能な切込線が形成されており、
前記正面には、それぞれの一部が二つの前記取出口から前記カートン本体の外部へと引き出された二つの前記衛生用紙と組み合わされて、全体として一つのまとまったデザインが構成されるデザイン要素が表されている衛生用紙入りカートン。
【請求項2】
二組の前記衛生用紙束のそれぞれを構成する前記衛生用紙が、相互に異なる種類のものである請求項1に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項3】
前記デザイン要素が、動物の顔に対応し、
それぞれの一部が二つの前記取出口から前記カートン本体の外部へと引き出された二つの前記衛生用紙が、前記動物の両耳に対応する請求項1又は2に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項4】
前記底面に、前記底面の一部を前記正面の側へと折り返して前記動物の舌又は口に対応するデザインフラップ部を形成可能な切込線が形成されている請求項3に記載の衛生用紙入りカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292520(P2009−292520A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149448(P2008−149448)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】