説明

衛生用紙入りカートン

【課題】カートン本体を構成する妻面における内フラップと上面側外フラップとをしっかりと接合することが可能な衛生用紙入りカートンを提供する。
【解決手段】本発明の衛生用紙入りカートン1は、上面2、底面4、一対の側面6、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすカートン本体16を備え、妻面が、一対の側面6のそれぞれの端縁から延出された内フラップ26が妻面側に折り曲げられて、その表面に、底面4の端縁から延出された底面側外フラップ30と、上面2の端縁から延出された上面側外フラップ28と、が順次折り重ねられて接合されることによって形成されており、内フラップ26の表面における底面側外フラップ30が積層されていない部位の一部に、底面側外フラップ30の厚みに相当する突出部56が形成されてなり、内フラップ26の突出部56と、上面側外フラップ28とが接着剤で接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛生用紙入りカートンに関する。更に詳しくは、カートン本体を構成する妻面における内フラップと上面側外フラップとをしっかりと接合することが可能な衛生用紙入りカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ティシュペーパーは、直方体や立方体の箱(以下、「カートン」ともいう)の内部空間に収納された形で使用されている。使用者は、ティシュペーパーを使用するに際し、箱の一面(通常は箱の上面)に設けられている所定形状の取出口形成用切込線を切り離すことによって、箱に細長い取出口を形成することができる(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
特に、ホテルや旅館などの客室、また種々の接客を行う営業事務所等においては、上面が略正方形のカートンに衛生用紙を収納した衛生用紙入りカートンが用いられることがある。例えば、立方体形状のカートンをキューブ型、また、その高さ方向の距離が上面を構成する一辺の長さの半分程度の直方体形状のカートンをハーフキューブ型と呼んでいる。
【0004】
上記したキューブ型形状やハーフキューブ型形状のカートンは、一般の家庭等で頻繁に用いられている横長のカートンと比較してコンパクトなものであることから、設置スペースが小さくて済むという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−112503号公報
【特許文献2】特開平8−104378号公報
【特許文献3】特開2001−219980号公報
【特許文献4】特開2003−170976号公報
【特許文献5】特開2002−29580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなカートンは、例えば、紙材料等からなる展開型のカートンを折り曲げることによって、上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に形成される。しかしながら、従来、展開型のカートンの内フラップと底面側外フラップと上面側外フラップとを折り重ねて妻面を形成する際には、底面側外フラップの厚み分だけ、積層した内フラップと底面側外フラップとに段差ができてしまい、内フラップが上面側外フラップにしっかりと接合されないということがあった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、内フラップと底面側外フラップとの段差をなくすことができる衛生用紙入りカートンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、内フラップの表面における底面側外フラップが積層されていない部位の少なくとも一部に、底面側外フラップの厚みに相当する突出部を形成することによって、内フラップと底面側外フラップとの段差をなくすことができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す衛生用紙入りカートンが提供される。
【0009】
[1] 上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなし、その一面に細長形状の取出口を形成するための取出口形成用切込線が形成されたカートン本体と、前記カートン本体の内部空間に収納された複数の衛生用紙と、を備え、前記妻面が、一対の前記側面のそれぞれの端縁から組立折曲線を介して延出された内フラップが妻面側に折り曲げられて、その表面に、前記底面の端縁から組立折曲線を介して延出された底面側外フラップと、前記上面の端縁から組立折曲線を介して延出された上面側外フラップと、が順次折り重ねられて接合されることによって形成されており、前記内フラップの表面における前記底面側外フラップが積層されていない部位の一部に、前記底面側外フラップの厚みに相当し、その周囲全域に亘って内フラップの表面から突出する段差を有する突出部が形成されてなり、前記内フラップの前記突出部と、前記上面側外フラップとが接着剤で接合されてなる衛生用紙入りカートン。
【0010】
[2] 前記底面側外フラップは、前記底面の端縁から、前記底面と同じ幅で延出され、その先端部にその幅が狭くなった幅狭部を有する前記[1]に記載の衛生用紙入りカートン。
【0011】
[3] 前記底面側外フラップの前記幅狭部の両側方に、前記内フラップの前記突出部がそれぞれ形成されており、前記内フラップの二つの前記突出部と、前記底面側外フラップの幅狭部とにわたって一直線上に接着剤が塗布されて、前記妻面が形成されている前記[2]に記載の衛生用紙入りカートン。
【発明の効果】
【0012】
本発明の衛生用紙入りカートンは、上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなすカートン本体の妻面を形成する際に、内フラップと底面側外フラップとの段差をなくすことができ、内フラップと上面側外フラップとの接合を良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す衛生用紙入りカートンの取出口形成用切込線を破断した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体を組み立てる前の展開型のカートンを示す平面図である。
【図4】図1に示す衛生用紙入りカートンの上面を示す平面図である。
【図5】衛生用紙入りカートンにおける領域Aの他の例を示す拡大平面図である。
【図6】衛生用紙入りカートンにおける領域Aの他の例を示す拡大平面図である。
【図7】衛生用紙入りカートンにおける領域Aの他の例を示す拡大平面図である。
【図8】衛生用紙入りカートンにおける領域Aの他の例を示す拡大平面図である。
【図9】図4に示す衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体の上面を、A−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図10】図4に示す衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体の上面を、B−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図11】図3に示す展開型のカートンを組み立てて衛生用紙入りカートンを製造する工程の一例を示す斜視図である。
【図12】図3に示す展開型のカートンを組み立てて衛生用紙入りカートンを製造する工程の他の例を示す斜視図である。
【図13】本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を説明する説明図であり、他の実施形態の展開型のカートンを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図14】本発明の衛生用紙入りカートンの他の実施形態を説明する説明図であり、他の実施形態の展開型のカートンを組み立てる工程を示す斜視図である。
【図15】本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体を組み立てる前の展開型のカートンの他の例を示す平面図である。
【図16】図15に示す展開型カートンをC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0015】
[1]衛生用紙入りカートン:
本発明の衛生用紙入りカートンは、例えば、図1に示すように、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された6面体の箱状をなし、その一面に細長形状の取出口を形成するための取出口形成用切込線14が形成されたカートン本体16と、カートン本体16の内部空間に収納された複数の衛生用紙と、を備えた衛生用紙入りカートン1である。なお、図1に示すカートン本体16は、上面2、底面4、一対の側面6(6a,6b)、及び一対の妻面8を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された6面体の箱状をなしている。
【0016】
また、図3に示すように、上面2の端縁からは、組立折曲線を介して上面側外フラップ28が延出されており、これと同様に、底面4の端縁からは、組立折曲線を介して底面側外フラップ30が延出されている。更に、底面4の一の側縁部からは、組立折曲線を介して、側面接合代32が延出されている。このような展開型のカートン100を用いてカートン本体を形成する場合には、まず、各組立折曲線を折り曲げ、側面接合代32と側面6bを接合して、上面2、底面4、及び一対の側面6の4面を有する角筒体を形成し、その後、内フラップ26を妻面側に折り曲げ、その表面に、底面側外フラップ30と上面側外フラップ28とを順次折り重ねることによって一対の妻面8(図1参照)を形成する。このようにして、図3に示す展開型のカートン100を、図1に示すようなカートン本体16とすることができる。
【0017】
そして、図3、図13及び図14に示すように、本発明の衛生用紙入りカートン103,104は、カートン本体16の内フラップ26が、その表面に底面側外フラップ30が積層されていない部位の一部を、底面側外フラップ30の厚みに相当する分の高さだけ内フラップ26の表面側に突出させた、即ち、その周囲全域に亘って内フラップ26の表面から突出する段差を有する突出部56が形成されてなり、内フラップ26の突出部56と、上面側外フラップ28とが接着剤で接合されている。
【0018】
例えば、従来、展開型のカートンの内フラップと底面側外フラップと上面側外フラップとを折り重ねて妻面を形成する際には、底面側外フラップの厚み分だけ、積層した内フラップと底面側外フラップとに段差ができてしまい、内フラップが上面側外フラップにしっかりと接合されないということがあった。
【0019】
上記したように、内フラップの表面における底面側外フラップ30が積層されていない部位の一部に、底面側外フラップ30の厚みに相当する突出部を形成することによって、内フラップ26と底面側外フラップ30との段差をなくすことができる。
【0020】
更に、底面側外フラップと内フラップの突出部とが一直線上に配置されるように構成することによって、底面側外フラップから内フラップの突出部にかけて一直線に接着剤を塗布して、内フラップと上面側外フラップとの接合を良好に行うことが可能となる。また、このように構成することによって、妻面を形成する際の接着剤の量を削減することも可能となる。
【0021】
なお、図13に示す衛生用紙入りカートン103は、各内フラップ26の、底面側外フラップ30が積層されていない部位、具体的には、底面側外フラップ30の幅狭部34の両側方に突出部56がそれぞれ形成されている。また、底面側外フラップ30は、底面4の端縁から、底面4と同程度の幅で所定長さ延出され、その先端部にその幅(即ち、先端部の幅)が狭くなった幅狭部34を有している。そして、内フラップ26の二つの突出部56と、底面側外フラップ30の幅狭部34とにわたって一直線上に接着剤を塗布した例を示している。
【0022】
また、図14に示す衛生用紙入りカートン104は、各内フラップ26の、底面側外フラップ30が積層されていない部位、具体的には、底面側外フラップ30の幅狭部34の両側方が一段突出し、更に、この突出した部分における接着剤が塗布される部位がもう一段突出することによって、二段に突出した突出部56が形成された場合の例を示している。
【0023】
図13及び図14は、本発明の衛生用紙入りカートンを説明する説明図であり、展開型のカートンを組み立てる工程の例を示す斜視図である。
【0024】
なお、このような内フラップの突出部は、例えば、原紙を所要の展開形状に打ち抜いて展開型のカートンを形成する際に、上記内フラップの突出部を形成する部位に凹凸を設けた抜き型を用いて、打ち抜き時の面圧によって、展開型のカートンと同時に形成することができる。
【0025】
また、図1においては、衛生用紙入りカートンのカートン本体16の取出口形成用切込線14は、上記取出口の外周形状と一致する細長い環状に形成されている。この取出口形成用切込線14が破断され、取出口形成用切込線14の内側の領域Aを構成する紙片が取り除かれることによって、カートン本体16の取出口が形成される。図1に示す衛生用紙入りカートン1においては、上記した領域Aは、その長手方向に沿う長軸L1と、この長軸L1に直交する短軸L2とを境としてそれぞれ対称な形状となっている。
【0026】
上記した領域Aには、線状の補強用リブ17が形成されており、この補強用リブ17は、取出口形成用切込線14上の点P1を起点とし、領域Aの中央領域を通過し、取出口形成用切込線14上の点P2を終点とするものであり、この補強用リブ17は、領域Aを上記長軸L1と上記短軸L2で四分割した場合に、点P1と点P2とが対角をなす領域A1,A2に存在するように形成されている。ここで、図1は、本発明の衛生用紙入りカートンの一の実施形態を示す斜視図である。
【0027】
上記した領域Aの長軸L1とは、領域Aの長手方向に沿う中心軸のことである。また、領域Aの短軸L2とは、上記長軸L1に直交する中心軸のことである。図1に示す衛生用紙入りカートン1においては、領域Aが長円形状であり、領域Aの短軸L2は、上記長軸L1に直交する短手方向の中心軸となっている。
【0028】
なお、図1においては、衛生用紙入りカートン1の補強用リブ17が、取出口形成用切込線14上の点P1,点P3を起点とし、長軸L1上の点P4で収束した後、領域Aの中心点Oを通過し、長軸L1上の点P5で分岐し、取出口形成用切込線14上の点P2,点P6を終点とするものであり、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P3と点P6とが対角をなす領域A3,A4に存在し、点P1と点P3とが長軸L1を挟んで隣接する領域A1,A3に存在し、点P2と点P6とが長軸L1を挟んで隣接する領域A2,A4に存在するように形成されている場合の例を示している。
【0029】
このような衛生用紙入りカートン1は、取出口の開封動作を容易にさせることができる。具体的には、衛生用紙入りカートン1は、取出口形成用切込線14に囲まれた領域Aが、カートン本体16の内部に指で押し込まれることによって、取出口が開封される。
【0030】
上記領域Aには特定形状の補強用リブ17が形成されているため、この補強用リブ17によって、領域Aの長手方向中央部の曲げ強度が高められている。このため、領域Aの一部分がカートン本体16の内部に指で押し込まれると、領域Aは上記中央部(長手方向中央部)の形状を保持しながら、領域Aの上記中央部全体がカートン本体16の内部に押し込まれることとなり、取出口形成用切込線14が破断され、取出口が開封される。
【0031】
また、領域Aは、上記中央部の形状が保持された状態でカートン本体16の内部に押し込まれるため、領域Aの長手方向端部は、領域Aの上記中央部に相反するように上方に反り返るような力が作用しており、この力によって領域Aの長手方向端部の取出口形成用切込線14も良好に破断される。
【0032】
また、このようにして取出口形成用切込線14が破断されると、図2に示すように、カートン本体16の内部に収納された衛生用紙10によって、領域Aを構成する紙片12が押し戻されるため、この紙片12の除去が容易になる。また、上記したように領域Aの長手方向端部は上方に反り返るように折り曲がっているため、紙片12の除去の際に、その端部が摘み易くなっている。
【0033】
特に、この衛生用紙入りカートン1は、その内部に衛生用紙10が収納されているため、領域Aの長手方向中央部がカートン本体16の内部に押し込まれると、領域Aとともに押し込まれた衛生用紙10によって、領域Aの長手方向中央部以外の部分、即ち、領域Aの長手方向端部が上方に押し上げられるため、領域Aを構成する紙片12が更に取り除き易くなる。
【0034】
また、図1及び図2に示すように、上記のようにして取出口の開封を行うことにより、取出口形成用切込線14を逸れてカートン本体16を破損してしまうようなことがなく、取出口形成用切込線14は正常に破断される。
【0035】
このような衛生用紙入りカートンは、上記したように領域Aが指で押し込まれることにより、一度に且つ簡単に取出口形成用切込線が破断されるため、開封後に廃棄される紙片が一つで済み、余分なごみの発生を抑えることができる。例えば、従来の衛生用紙入りカートンにおいては、取出口形成用切込線の内側の領域を引き剥がすために、この領域の長手方向端部に略U字状の引き剥がし用切込線が形成されたものがあるが、このようなカートンは、開封時に、上記領域を構成する紙片と、この領域の長手方向端部を剥がした小紙片との二つのゴミが発生してしまう。
【0036】
ここで、図2は、図1に示す衛生用紙入りカートンの取出口形成用切込線を破断した状態を示す斜視図である。なお、図2において、図1に示す衛生用紙入りカートンの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
なお、特許文献1〜4に示すような従来のカートンは、取出口を開封する際に、取出口形成用切込線によって囲われた領域の端部を摘み、その領域を上方に引き剥がして取出口を形成するものである。しかしながら、上記したように取出口形成用切込線によって囲われた領域を引き剥がして取出口を形成する作業(開封作業)は、非常に手間の掛かるものであり、また、この切込線が上手く破れずに、切込線以外の箇所が切れたり破れたりしてしまうという問題があった。
【0038】
特に、ホテルや旅館などは、客室の清掃時において、カートンの交換を一度に行うため、大量の数のカートンを開封しなければならず、開封作業に極めて手間が掛かるという問題があった。また、このようなホテルや旅館などは、美観を重視するため、取出口の開封時において、カートンに切れや破れが発生してしまったものについては、更に別のカートンと交換しなければならないという問題もあった。
【0039】
また、取出口形成用切込線によって囲われた領域の端部側に略U字状の引き剥がし用切込線を形成して、上記領域を摘み易くしたカートンも提案されているが、このようなカートンは、取出口の開封時に切り離される紙片の数が多くなり、上記したように大量の数のカートンを開封する場合に、ごみの処理に手間が掛かってしまうという問題もあった。
【0040】
[1−1]カートン本体:
「カートン本体」とは、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された6面体の箱状をなすとともに、その一面に細長形状の取出口を形成するための取出口形成用切込線が形成された箱体である。
【0041】
カートン本体を構成する紙材質について特に制限はない。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
【0042】
[1−1A]箱状:
「箱状」とは、6つの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成される形状である。このような形状としては、例えば、直方体状、立方体状等の形状を挙げることができる。これらの形状では、例えば、上面と底面、一の側面と他の側面、一の妻面と他の妻面が対向するように平行に配置される。
【0043】
なお、上述した補強用リブを有する場合には、カートン本体が、略正方形の衛生用紙を収納する立方体形状、又は上面が略正方形で、高さ方向の距離が前記上面の一辺の長さよりも短い直方体形状のものであることが好ましい。例えば、カートン本体が立方体形状に形成されているものは、キューブ型と呼ばれ、高さ方向の距離がキューブ型のものよりも短いものはハーフキューブ型と呼ばれている。従来、家庭用として用いられる一般的な直方体形状のカートン本体は、その上面の大きさが、縦240mm、横115mm程度のものであるが、上記した立方体形状や直方体形状のカートン本体は、通常、一辺が95〜120mmの正方形、又は正方形に近い長方形となっているものが多く用いられている。
【0044】
このような立方体形状や直方体形状のカートン本体を備えた衛生用紙入りカートンは、一般的な家庭用として用いられるよりも、例えば、ホテルや旅館などの客室、また種々の接客を行う営業事務所等に多く用いられる。
【0045】
このような立方体形状や直方体形状のカートン本体は、上面が長方形のカートン本体と比較して、上面の最長辺が短いため、取出口形成用切込線の内側の領域Aの長軸の長さも短くなっている。このため、領域Aがカートン本体の内部に指で押し込まれた場合に、補強用リブに沿って、領域Aを取り囲む取出口形成用切込線全体に応力が伝わり易く、取出口形成用切込線が簡便且つ正確に破断される。
【0046】
例えば、上面の形状が、一辺の長さが他辺の長さの二倍程度の長方形であるカートン本体の場合には、補強用リブの形状やカートン本体の紙材質等によっても異なるが、領域Aの長軸の長さが、直方体形状等のカートン本体に比較的して長くなってしまう。このため、領域Aの指で押し込まれる位置が悪かったり、領域Aを押す力が弱すぎたりする場合には、指で押し込まれた周辺の取出口形成用切込線は破断されるものの、領域Aの長手方向端部までは応力が十分に伝達せずに、取出口形成用切込線が完全には破断され難くなってしまうことがある。
【0047】
例えば、ホテルや旅館などにおいては、カートンの交換に伴い、大量の数のカートンを開封する必要があるが、上述した補強用リブを有する衛生用紙入りカートンを用いることによって、上記したカートンの開封を伴う作業の簡便化を図ることが可能となる。また、このような衛生用紙入りカートンは、取出口の開封時において、カートンに切れや破れ等が生じ難いため、美観を重視するホテルや旅館などに好適に用いることができる。
【0048】
「カートン本体」は、例えば、紙材料等からなる展開型のカートンを折り曲げることによって、上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に形成される。図3に示す展開型のカートン100は、一枚の紙材料によって、組立折曲線を介して上面2、底面4、及び一対の側面6が形成されており、側面6の端縁からは、組立折曲線を介して内フラップ26が延出されている。また、カートン本体16の一面(通常は上面2)には、取出口形成用切込線14が形成されている。
【0049】
[1−1B]取出口形成用切込線:
「取出口形成用切込線」とは、衛生用紙入りカートンの細長形状の取出口を形成するために、取出口の外周形状と一致する細長い環状に形成された切込線である。衛生用紙入りカートンには、この取出口形成用切込線の内側の領域Aに補強用リブが形成されていてもよい。使用者は、この取出口形成用切込線を破断し、領域Aを構成する紙片をカートン本体から取り除くことによって取出口を形成することができ、このようにして形成した取出口から衛生用紙を取り出すことが可能となる。
【0050】
取出口形成用切込線は、直線状の切れ目(スリット)で形成されていても、部分的につながりを有するミシン目状のものでもよく、包装業界でジッパーと呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)や、二重線のミシン目でもよい。
【0051】
なお、上述した取出口形成用切込線が、断続的に配置された複数の切れ目と、前記切れ目よりも短い非切断部分とによって構成されたものであることが好ましい。このように構成することによって、取出口の開封がより容易となる。
【0052】
なお、衛生用紙入りカートンにおいては、細長い形状の領域Aの長手方向端部側を構成する外周と、長手方向中央部側を構成する外周とで、上記切れ目及び非切断部分の少なくとも一方の長さに差異を持たせることによって、領域Aの押し込み作業、換言すれば、取出口形成用切込線の破断作業を更に容易にすることができる。具体的には、領域Aの長手方向端部側を構成する外周の取出口形成用切込線をより小さな力で破断させることができるようなものとすることが好ましい。
【0053】
例えば、上記したように、取出口形成用切込線が、断続的に配置された複数の切れ目と、この切れ目よりも短い非切断部分とによって構成されたものである場合には、図4に示すように、取出口形成用切込線14は、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周(弧P1P3及び弧P2P6)における各切れ目の長さが、点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周(弧P1P6及び弧P2P3)における各切れ目の長さよりも長くなるように形成されていることが好ましい。
【0054】
このように構成することによって、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ領域Aの外周における非切断部分の相対的な比率が低くなり、取出口形成用切込線の破断が容易になる。即ち、領域Aの中央部がカートン本体の内側に押し込まれることにより、点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ領域Aの外周の取出口形成用切込線が破断された場合には、この時点で破断された外周(弧P1P6及び弧P2P3)よりも破断され易く構成されている、長手方向端部側を構成する外周(弧P1P3及び弧P2P6)の取出口形成用切込線は既に破断されている。このため、例えば、取出口の開封時において、領域Aの長手方向中央部側を構成する外周(弧P1P6及び弧P2P3)のみが破断されるという事態を回避することができる。
【0055】
また、例えば、図4に示すように、取出口形成用切込線14は、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周(弧P1P3及び弧P2P6)における各非切断部分の長さが、点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周(弧P1P6及び弧P2P3)における各非切断部分の長さよりも短くなるように形成されていてもよい。
【0056】
このように、実際に、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ領域Aの外周における各非切断部分の長さを短くすることによっても、上記と同様に取出口形成用切込線の破断が容易になる。なお、図4においては、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ領域Aの外周における各切れ目の長さが長く、且つ各非切断部分の長さが短くなるように構成されており、より効率よく取出口を開封することができる。
【0057】
[1−1C]領域A:
図4に示すように、取出口形成用切込線14の内側の領域Aには、取出口形成用切込線14上の点P1を起点とし、領域Aの中央領域を通過し、取出口形成用切込線14上の点P2を終点とする線状の補強用リブ17が形成されている。そして、この補強用リブ17は、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、上記点P1と点P2とが対角をなす領域A1,A2に存在するように形成されている。
【0058】
なお、上述した領域Aの中央領域は、領域Aを長手方向及び短手方向にそれぞれ3等分した場合の中央部分の領域のことである。なお、領域Aの中央領域を通過する補強用リブ17は、この領域Aの中央領域に存在する領域Aの中心点Oを通過していることが好ましい。なお、領域Aは長軸L1と短軸L2とを境としてそれぞれ対称な形状であるため、領域Aの長軸L1と短軸L2との交点が、領域Aの中心点Oとなる。
【0059】
補強用リブは、領域Aの長手方向中央部の曲げ強度を高めるために形成されたものである。このような補強用リブは、例えば、図1に示すような形状に配置されることによって、領域Aの長手方向中央部の曲げ強度を高めることが可能なものであれば特に制限はない。特に、衛生用紙入りカートンにおいては、補強用リブとして領域Aに別途補強材を配置したものではなく、溝状のもの、例えば、カートン本体を構成する原紙を線状に屈曲して形成したものや、上記した原紙を部分的に線状に圧縮して形成したものを好適に用いることができる。
【0060】
なお、補強用リブの起点と終点の数については、それぞれ一つに限定されることはなく、例えば、図1〜図4に示すように、補強用リブの起点と終点が二つ以上のものであってもよい。
【0061】
衛生用紙入りカートン1においては、補強用リブ17が、取出口形成用切込線14上の点P1,点P3を起点とし、長軸L1上の点P4で収束した後、領域Aの中心点Oを通過し、長軸L1上の点P5で分岐し、取出口形成用切込線14上の点P2,点P6を終点とするものであり、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P3と点P6とが対角をなす領域A3,A4に存在し、点P1と点P3とが長軸L1を挟んで隣接する領域A1,A3に存在し、点P2と点P6とが長軸L1を挟んで隣接する領域A2,A4に存在するように形成されていることが好ましい。
【0062】
ここで、図4は、図1に示す衛生用紙入りカートンにおける上面を示す平面図である。
【0063】
図4に示すような補強用リブ17は、領域Aの長手方向中央部の曲げ強度を高めて、取出口形成用切込線を簡便且つ正常に破断させることができるとともに、領域Aの中心点Oを含む長手方向中央部が指で押し込まれた際に、長軸L1上の補強用リブ17を伝って応力が伝達した後、点P4及び点P5から、各起点(点P1,点P3)及び各終点(点P2,点P6)に向かって応力を伝達させることができる。このようにして補強用リブ17によって伝達された応力は、領域Aの長手方向端部側に抜ける力となって伝わるため、領域Aの長手方向端部がより上方に反り返り易くなり、領域Aの長手方向端部の取出口形成用切込線がより破断され易くなる。
【0064】
更に、衛生用紙入りカートンは、図4に示すように、点P1と点P3とが、点P4から等距離に存在し、点P1、点P4、点P3、及び中心点Oによって、補強用リブ17の一端側がY字状に形成されているとともに、点P2と点P6とは、点P5から等距離に存在し、点P2、点P5、点P6、及び中心点Oによって、補強用リブ17の他端側がY字状に形成されていることが好ましい。
【0065】
このように構成することによって、取出口形成用切込線14上の点P1、点P2、点P3、及び点P6に均等に応力が伝わり、領域Aの長手方向端部側に抜ける力がより効率的に加わるようになる。
【0066】
また、長軸L1上に、点P4から、領域Aの中心点Oを通過し、点P5まで延びる補強用リブが形成されることにより、領域Aが指で押し込まれた場合に、例えば、中心点Oから逸れた部位が押し込まれたとしても、上記長軸L1上の補強用リブで、中心点Oから逸れて加えられた応力を受け止めることができ、受け止めた力を有効に伝達させることができる。
【0067】
更に、衛生用紙入りカートン1においては、図4に示すように、領域Aに、取出口形成用切込線14上の点P1と点P3とを繋ぐ、ミシン目様の切込線からなる第一折曲補助線61と、取出口形成用切込線14上の点P2と点P6とを繋ぐ、ミシン目様の切込線からなる第二折曲補助線62とが更に形成されていることが好ましい。
【0068】
このように構成することによって、第一及び第二折曲補助線に沿って、領域Aの長手方向端部側が上方に反り返り易くなり、取出口の開封がより容易になる。
【0069】
なお、図4においては、Y字状に形成されている補強用リブが収束又は分岐する点、即ち、点P4及び点P5が、領域Aの長軸L1上に存在しているが、この点P4及び点P5は、これまでに説明した補強用リブを有する場合の効果を得られる範囲内において、領域Aの長軸L1から多少ずれて存在していてもよい。また、この補強用リブは、領域Aの中心点Oを通過するものであるが、上記と同様に、補強用リブが領域Aの中心点Oから多少ずれて形成されていてもよい。
【0070】
なお、補強用リブの形状については、図4に示す形状に限定されることはなく、少なくとも一つの起点(例えば、点P1)と、一つの終点(例えば、点P2)とが、領域Aの中央領域を通過するように形成され、この起点と終点とが、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、対角をなす領域A1,A2に存在するように形成されていればよい。例えば、領域Aに形成される補強用リブは、図5〜図8に示すような形状のものであってもよい。ここで、図5〜図8は、衛生用紙入りカートンにおける領域Aの他の例を示す拡大平面図である。なお、図5〜図8において、図4に示す領域Aの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
例えば、図5においては、取出口形成用切込線14上の点P1を起点とし、領域Aの中心点Oを通過し、取出口形成用切込線14上の点P2を終点とする補強用リブ17を示している。この補強用リブ17は、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P1と点P2とが対角をなす領域A1,A2に存在するように形成されている。図5における補強用リブ17は、点P1を起点とし点P2を終点とする直線状の補強用リブである。このような補強用リブであっても、補強用リブが形成されている領域Aの長手方向中央部の曲げ強度を高めることができ、領域Aは、上記中央部の形状が保持された状態でカートン本体の内部に押し込まれるため、取出口形成用切込線が正常に破断される。
【0072】
なお、このように補強用リブが一本の直線状のものである場合には、補強用リブの太さを太くすることによって、領域Aの長手方向中央部の形状保持及び応力の伝達を良好に行うことが可能となる。
【0073】
また、図6においては、取出口形成用切込線14上の点P1,点P3を起点とし、領域Aの中心点Oを通過し、取出口形成用切込線14上の点P2,点P6を終点とする補強用リブ17を示している。この補強用リブ17は、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P3と点P6とが対角をなす領域A3,A4に存在し、点P1と点P3とが長軸L1を挟んで隣接する領域A1,A3に存在し、点P2と点P6とが長軸L1を挟んで隣接する領域A2,A4に存在するように形成されている。即ち、この補強用リブ17は、点P1,点P3の二点を起点とし、点P2,点P6の二点を終点とし、中心点Oが交点となる、全体形状がX字状に形成された補強用リブ17である。このように構成することによって、図4に示す補強用リブ17が形成された場合と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、図7においては、取出口形成用切込線14上の点P1,点P3を起点とし、長軸L1上の点P4で収束した後、領域Aの中心点Oを通過し、長軸L1上の点P5で分岐し、取出口形成用切込線14上の点P2,点P6を終点とする補強用リブ17を示している。この補強用リブ17は、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P3と点P6とが対角をなす領域A3,A4に存在し、点P1と点P3とが長軸L1を挟んで隣接する領域A1,A3に存在し、点P2と点P6とが長軸L1を挟んで隣接する領域A2,A4に存在するように形成されている。
【0075】
そして、この図7においては、点P1と点P3とは、点P4から等距離に存在し、点P1、点P4、及び点P3によって、補強用リブの一端側がU字状に形成されているとともに、点P2と点P6とは、点P5から等距離に存在し、点P2、点P5、及び点P6によって、補強用リブの他端側がU字状に形成されている。このように、補強用リブの形状については直線に限定されることはなく、取出口形成用切込線14上の起点から、領域Aの中央領域を通過して、少なくとも対角をなす領域に存在する取出口形成用切込線14上の終点とする連続した補強用リブであればよい。このように構成することによって、図4に示す補強用リブ17が形成された場合と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、図8においては、図4における領域Aから第一折曲補助線61と第二折曲補助線62とを除いた補強用リブが形成された場合の例を示している。
【0077】
これまでに説明した補強用リブは、原紙に折り目線(例えば、組立折曲線)を形成する方法と同様の方法によって形成することができる。例えば、通常の打抜型を用いた打抜工程において、原紙を、硬化紙製等の雌型を設けた鉄板と金属製の罫線板との間に挟み込んで型押することによって形成することができる。このような方法によれば、上記原紙の補強用リブに対応する部位を、原紙の表面側が凹状となり、原紙の裏面側が凸状となった補強用リブを形成することができる。
【0078】
また、補強用リブは、例えば、平坦な面上に載置した原紙を、押し刃等により、補強用リブに対応する部位を押圧して形成することもできる。このような方法によれば、原紙の補強用リブに対応する部位が部分的に圧縮された補強用リブを形成することができる。
【0079】
また、図4に示すような第一折曲補助線61及び第二折曲補助線62は、部分的につながりを有するミシン目によって構成されているため、従来公知のミシン目形成用のカッター等を用いて形成することができる。なお、ミシン目様の切込線とは、断続的に配置された複数の切れ目と、切れ目のない非切断部分とによって構成された切込線であり、図4においては、切れ目と非切断部分との長さが同程度の長さになるように構成されている。
【0080】
なお、取出口形成用切込線の形状(領域Aの外周形状)については、細長い環状であれば特に制限はなく、カートン本体や衛生用紙の形状に応じて適宜選択すればよい。例えば、楕円形状、長円形状、長方形状、菱形状、細長い多角形状等の形状を挙げることができる。
【0081】
また、このような取出口形成用切込線は、カートン本体の上面に形成されることが多いが、特にそのような制限があるわけではない。例えば、カートン本体の上面以外の他の面に形成されていてもよい。また、取出口形成用切込線は一の面のみに形成されていなければならないわけではなく、二以上の面(例えば、上面と底面)に形成されていてもよい。
【0082】
また、本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体は、取出口を形成する面の内側に、取出口を被覆するフィルムが配設されていないフィルムレスカートンであることが好ましい。このように構成することによって、領域Aがカートン本体の内部に指で押し込まれる際に、領域Aがカートン本体の内部に押し込まれ易くなり、取出口の開封が容易になる。更に、カートン本体の内部に収納された衛生用紙によって、切り離された紙片が押し戻されるため、切り離された紙片の除去が容易になる。
【0083】
なお、本発明の衛生用紙入りカートンにおいては、上記したフィルムレスカートンに限定されることはなく、取出口を形成する面の内側に、取出口を被覆するフィルムが配設されたフィルム付きカートンであってもよい。
【0084】
[1−1D]強度保持罫:
図1に示すように、本発明の衛生用紙入りカートンのカートン本体16には、取出口形成用切込線14の形成面に、領域Aを囲うように、カートン本体16を構成する原紙を圧縮した強度保持罫18が形成されていることが好ましい。この強度保持罫18は、上述したように、カートン本体16を構成する原紙(通常5層程度の多層構造を有している)を部分的に圧縮して、原紙の強度を向上させたものである。
【0085】
このように構成することによって、領域Aの外周における原紙の強度を向上させることができ、取出口の開封時において、領域Aが押し込まれる際の応力によってもカートン本体16が型崩れせず、取出口形成用切込線14を良好に破断させることができる。また、仮に、開封時に、取出口形成用切込線14を外れて破れが生じた場合であっても、この強度保持罫18によって破れを食い止めることができる。
【0086】
なお、特に限定されることはないが、図1に示すように、領域Aを二重以上囲うように強度保持罫18a,18bが形成されていることが更に好ましい。このように構成することによって、領域Aの外周における原紙の強度をより向上させることができる。
【0087】
また、この強度保持罫は、例えば、図9及び図10に示す強度保持罫18aのように、領域Aの外縁から一定の幅をもって、カートン本体16を構成する原紙を帯状に圧縮して形成されたであることが好ましい。このように構成することによって、領域A外縁における原紙の強度を向上させることができ、取出口の開封時に取出口形成用切込線14を外れて原紙が破けてしまうことを有効に防止することができる。
【0088】
ここで、図9は、図4に示す衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体の上面を、A−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図10は、B−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0089】
なお、この強度保持罫は、上記した補強用リブ17と同様の方法によって形成することができる。図9及び図10においては、カートン本体16を構成する原紙の上面側から圧縮された部分が、原紙の下面側に突出して、原紙の上面が凹状で、且つ原紙の下面が対応した凸状に形成された強度保持罫18の例を示している。
【0090】
[1−1E]カートン本体の妻面の構成:
次に、本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体が、上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられた6面体の箱状をなす場合における、妻面の構成について説明する。図3に示す展開型のカートン100においては、上面側外フラップ28が底面側外フラップ30の全面を覆うように、即ち、上面側外フラップ28が一つの妻面と同程度の大きさに構成されている。
【0091】
また、図3に示す展開型のカートン100の底面側外フラップ30は、底面4の端縁から、底面4と同程度の幅で所定長さ延出された後、その幅が狭くなった幅狭部34を有している。このように構成することによって、例えば、妻面を接合する際の接合部を一直線上に形成(いわゆる、「一条打ち」)した場合に特に有効である。
【0092】
例えば、図3に示す展開型のカートン100を組み立てて衛生用紙入りカートンを製造する場合には、まず、展開型のカートン100の各組立折曲線を折り曲げ、側面接合代と側面を接合して角筒状のカートンを形成し、その内部に複数の衛生用紙からなる衛生用紙束を収納する。次に、図11に示すように、二つの内フラップ26を妻面側に折り曲げ、その内フラップ26の表面に底面側外フラップ30を折り曲げた後、二つの内フラップ26と底面側外フラップ30の幅狭部34との双方にわたって一直線上に接着剤を塗布して妻面の接合部27を形成する。その後、上面側外フラップを折り曲げて、接合部27によって内フラップ26と底面側外フラップ30とに接合することにより、箱状をなすカートン本体16の内部空間に衛生用紙が収納された衛生用紙入りカートン101を製造することができる。
【0093】
上記したようにして接合部27を形成することにより、妻面の接合強度を保持しつつ、接着剤の使用量を削減することができる。また、接着剤の使用量が少ないため、使用後の空のカートンの解体も容易になる。
【0094】
なお、妻面を接合するための接合部の形状、即ち、接着剤の塗布方法については、上記した一条打ちに限定されることはなく、例えば、図12に示すように、内フラップ26と底面側外フラップ30とが重なり合った際に露出する内フラップ26の表面に、接着剤を塗布し、妻面の接合部27を形成して、衛生用紙入りカートン102を製造してもよい。このように構成することによって、上述した一条打ちの場合と同様の効果を得ることができる。なお、このような場合には、底面側外フラップ30は、内フラップ26と上面側外フラップ28とに挟まれた状態で妻面が形成される。
【0095】
ここで、図11及び図12は、図3に示す展開型のカートンを組み立てて衛生用紙入りカートンを製造する工程の例を示す斜視図である。なお、図11及び図12において、図3に示す展開型のカートンの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
[1−1F]カートン本体のその他の構成:
また、本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体には、妻面を展開するための解体用切込線が形成されていてもよい。例えば、図3に示す展開型のカートン100においては、底面4の端縁の二つの頂点を起点として、円弧状の解体用切込線50が形成された場合の例を示している。なお、このような解体用切込線の形状については、上記した円弧状に限定されることはない。また、解体用切込線は、底面以外の面、例えば、妻面や上面に形成されていてもよい。
【0097】
なお、図3に示す展開型のカートン100の解体用切込線50は、外側ミシン目と、前記外側ミシン目の内側に位置して前記外側ミシン目の少なくとも一部に沿うように形成された内側ミシン目と、により構成される二重ミシン目となっている。
【0098】
また、本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体は、カートン本体を構成する少なくとも一面に、原紙の少なくとも一部を凹凸状に加工した凹凸デザインを有していてもよい。
【0099】
この凹凸デザインは、衛生用紙入りカートンにおけるロゴマークやロゴタイプのようなものであってもよいし、例えば、子供向けの各種キャラクターや、花柄、動物、植物等の図案、文字、記号等であってもよい。このような凹凸デザインをカートン本体に形成することによって、商品(衛生用紙入りカートン)に高級感を与えることができるとともに、視覚的要素による差別化を図ることができる。
【0100】
このような凹凸デザインは、原紙にエンボス加工のような凹凸加工を施すことによって形成することができるが、衛生用紙入りカートンにおける凹凸デザインは、原紙に補強用リブを形成する際に、この補強用リブと同時形成されたものであることが好ましい。
【0101】
このように構成することによって、カートン本体の成形工程を簡略化することができ、その少なくとも一面に凹凸デザインを有するカートン本体を簡便且つ安価に製造することができる。
【0102】
この凹凸デザインは、カートン本体の少なくとも一面に形成されていればよい。例えば、衛生用紙入りカートンに高級感を与えたり、商品の差別化を図るための意匠的な凹凸デザインである場合には、カートン本体の側面や上面に形成されていることが好ましい。
【0103】
図15及び図16においては、凹凸デザイン58として、衛生用紙入りカートンのロゴマークである図案が、カートン本体を構成する展開型のカートン110の側面6a,6bの略中央部分に、それぞれ1個ずつ形成された場合の例を示している。
【0104】
ここで、図15は、本発明の衛生用紙入りカートンを構成するカートン本体を組み立てる前の展開型のカートンの他の例を示す平面図である。また、図16は、図15に示す展開型カートンをC−C’線に沿って切断した断面を示す模式図である。なお、図15及び図16において、図3に示す展開型のカートンの各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0105】
なお、この凹凸デザインは、例えば、カートン本体の少なくとも一面に、複数個形成されていてもよい。また、カートン本体の少なくとも一面、例えば、側面全体が、凹凸による図案等によって構成された凹凸デザインとなっていてもよい。
【0106】
また、図15及び図16に示す展開型のカートン110においては、この凹凸デザイン58が、原紙の裏面側(即ち、カートン本体の内側)に向かって凸になるように形成されたものの場合の例を示しているが、凹凸デザインは、例えば、原紙の表面側(即ち、カートン本体の外側)に向かって凸になるように形成されたものであってもよいし、原紙の表面側と裏面側とに凹凸が形成されたものであってもよい。
【0107】
凹凸デザインを形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上記凹凸デザインに対応した押し型(凹凸デザインの反転型)を用いて形成することができる。例えば、補強用リブと同時形成する場合には、前記補強用リブ及び凹凸デザインのそれぞれの反転形状が形成された押し型を用いて、展開型のカートンの打ち抜きの際に同時に形成することができる。このように構成することによって、凹凸デザインが少なくとも一面に形成されたカートン本体を簡便且つ安価に形成することができる。
【0108】
なお、衛生用紙入りカートンが、上述した補強用リブ以外に、原紙の凹凸によって形成された部位を有するものである場合には、この補強用リブを含む凹凸状の部位の少なくとも一つと、上記凹凸デザインとが同一の成形工程によって形成されたものであることが好ましい。
【0109】
例えば、この凹凸デザインは、カートン本体の上面の領域Aの外周に形成された強度保持罫と同時形成されたものであってもよいし、上記した内フラップの突出部と同時に形成されたものであってもよい。
【0110】
[1−2]衛生用紙:
本発明の衛生用紙入りカートンに用いられる衛生用紙の種類については特に制限はなく、例えば、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー、ハンドタオル等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙(例えば、紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)等を挙げることができる。
【0111】
中でも、一の衛生用紙が折り畳まれ、その折り返し部分に他の衛生用紙が挟み込まれた状態で折り畳まれることによって、複数枚の衛生用紙が連続的に積層された衛生用紙束を用いることが好ましい。このような積層構造の衛生用紙は、最上層の衛生用紙を取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層の衛生用紙の一部が取出口から突出し、衛生用紙の取り出しが容易なものとなる利点がある(いわゆるポップアップ方式)。
【0112】
また、上記したように、本発明の衛生用紙入りカートンにおいては、カートン本体として略正方形の衛生用紙を収納する立方体形状、又は上面が略正方形で、高さが前記上面の一辺の長さよりも低い直方体形状のものを好適に用いることができることから、このようなカートン本体の内部空間に収納するのに適した、略正方形の衛生用紙を好適に用いることができる。
【実施例】
【0113】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0114】
本実施例においては、紙材料からなる原紙を、図15に示すような形状に打ち抜いて展開型のカートンを形成し、この展開型のカートンを組み立てて、上面、底面、及び一対の側面の4面を有する角筒体を形成し、この角筒体の内部空間に複数の衛生用紙を収納した後、内フラップを妻面側に折り曲げ、その表面に、底面側外フラップと上面側外フラップとを順次折り重ねることによって、衛生用紙入りカートンを製造した。
【0115】
本実施例に用いられた展開型のカートン110は、組立折曲線を介して上面2、底面4、一対の側面6が形成されており、側面6の端縁からは、組立折曲線を介して内フラップ26が延出されている。また、上面2には、細長形状の取出口を形成するための取出口形成用切込線14が形成されている。また、上面2の端縁からは、組立折曲線を介して上面側外フラップ28が延出されており、これと同様に、底面4の端縁からは、組立折曲線を介して底面側外フラップ30が延出されている。更に、底面4の一の側縁部からは、組立折曲線を介して、側面接合代32が延出されている。
【0116】
本実施例においては、カートンの上面2及び底面4を一辺(縦横)12cmの正方形とし、カートンの高さに相当する側面6の幅を5.2cmとした。また、取出口形成用切込線14の内側の領域Aは、長軸の長さが9.4cm、短軸の長さが3.4cmの長円形状とした。
【0117】
また、このカートンの上面2における取出口形成用切込線14の内側の領域Aには、補強用リブ17を形成した。この補強用リブ17は、取出口形成用切込線14上の点P1,点P3を起点とし、長軸上の点P4で収束した後、領域Aの中心点Oを通過し、長軸上の点P5で分岐し、取出口形成用切込線14上の点P2,点P6を終点とするものであり、更に、領域Aを長軸L1と短軸L2で四分割した場合に、点P1と点P2とが対角をなす領域A1,A2に存在し、且つ点P3と点P6とが対角をなす領域A3,A4に存在するとともに、点P1と点P3とが長軸L1を挟んで隣接する領域A1,A3に存在し、且つ点P2と点P6とが長軸L1を挟んで隣接する領域A2,A4に存在するように形成した。
【0118】
なお、この補強用リブ17は、点P1と点P3とが、点P4から等距離に存在し、点P1、点P4、点P3、及び中心点Oによって、補強用リブ17の一端側がY字状に形成され、点P2と点P6とが、点P5から等距離に存在し、点P2、点P5、点P6、及び中心点Oによって、補強用リブ17の他端側がY字状に形成されている。
【0119】
なお、点P1から点P3までの長さ、及び点P6から点P2までの長さは3cmとし、点P1から点P6までの長さ、及び点P3から点P2までの長さは4.5cmとした。また、点P1と点P3とを結ぶ直線から点P4までの長さ、及び点P6と点P2とを結ぶ直線から点P5までの長さは1mmとした。また、点P4から点P5までの長さは2.5cmとした。
【0120】
また、この領域Aには、点P1と点P3とを繋ぐ、ミシン目様の切込線からなる第一折曲補助線61、及び点P2と点P6とを繋ぐ、ミシン目様の切込線からなる第二折曲補助線62を形成した。この第一及び第二折曲補助線61,62は、4mm間隔で切れ目と非切断部分とが交互に配置されたミシン目とした。
【0121】
取出口を形成するための取出口形成用切込線14は、断続的に配置された複数の切れ目と、この切れ目よりも短い非切断部分とによって構成されたものとし、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周における各切れ目の長さを、点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周における各切れ目の長さよりも長くなるように形成した。また、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周における各非切断部分の長さを、点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ、領域Aの外周における各非切断部分の長さよりも短くなるようにした。
【0122】
点P1と点P6、及び点P2と点P3をそれぞれ結ぶ領域Aの外周における各非切断部分の長さは、1.5mmとし、各点を結ぶそれぞれの外周に各5個ずつ形成した。また、点P1と点P3、及び点P2と点P6をそれぞれ結ぶ領域Aの外周における各非切断部分の長さは、0.5mmとし、各点を結ぶそれぞれの外周に各3個ずつ形成した。
【0123】
また、本実施例においては、カートン本体の取出口形成用切込線14が形成された面に、領域Aを二重に囲うように、カートン本体(展開型のカートン100)を構成する原紙を圧縮した強度保持罫18(18a,18b)を形成した。二つの強度保持罫18の間隔は約5mmとし、内側に形成された強度保持罫18aは、領域Aの外縁から約3mmの幅をもって、カートン本体を構成する原紙を帯状に圧縮したものとした。
【0124】
また、本実施例においては、カートン本体におけるそれぞれの側面6a,6bに、凹凸デザイン58を形成した。なお、この凹凸デザインは、衛生用紙入りカートンのロゴマークを模したものであり、カートン本体を構成する原紙を、上記凹凸デザインの形状に裏面側に向けて凸となるように、即ち、表面側に凹状の凹凸デザインが出現するように形成したものである。
【0125】
この凹凸デザインは、展開型のカートンを製作する打抜型を用いた打抜工程において、上記した補強用リブと同時に形成した。
【0126】
また、本実施例においては、展開型のカートンの内フラップに、図13に示すような突出部56を形成した。この突出部56は、側面6の端縁に平行な辺の長さが2cm、側面6の端縁に垂直な辺の長さが1.5cmの長方形状とし、底面側外フラップ30の厚みに相当する分の高さだけ内フラップ26の表面側に突出させて形成した。
【0127】
この突出部56は、紙材料からなる原紙を打ち抜いて展開型のカートン100を形成する際に、突出部56を形成する部位に凹凸を設けた抜き型を用いて、打ち抜き時の面圧によって、展開型のカートン100の打ち抜きと同時に形成した。
【0128】
更に、本実施例においては、展開型のカートン100の底面4に、図15に示すような解体用切込線50を形成した。この解体用切込線50は、底面4の端縁の二つの頂点を起点として、円弧状された二重ミシン目とした。具体的には、外側ミシン目と、この外側ミシン目の内側に位置して、前記外側ミシン目の少なくとも一部に沿うように形成された内側ミシン目と、により構成される二重の解体用切込線50である。なお、上記外側ミシン目の切れ目の長さは4mmとし、上記内側ミシン目の切れ目の長さは1mmとした。
【0129】
本実施例においては、上記のように構成された展開型のカートン100の各組立折曲線を折り曲げ、側面接合代32と側面6bを接合して、上面2、底面4、及び一対の側面6の4面を有する角筒体を形成した後、この角筒体の内部空間に、複数の衛生用紙を積層した衛生用紙束を収納した。
【0130】
衛生用紙は、21cm×20cmの衛生用紙を二枚一組とした。また、衛生用紙を積層した衛生用紙束は、一の衛生用紙が折り畳まれ、その折り返し部分に他の衛生用紙が挟み込まれた状態で折り畳まれて連続的に積層されたものを用いた。
【0131】
このような衛生用紙束を角筒体の内部空間に挿入した後、図13に示すように、内フラップ26と底面側フラップ30とを折り畳んだ後、内フラップ26の突出部56に接着剤を塗布し、更にその上に上面側フラップ28を折り畳んで、内フラップ26と底面側フラップ30とに上面側フラップ28を接合して、衛生用紙入りカートンを製造した。
【0132】
本実施例の衛生用紙入りカートンは、取出口形成用切込線に囲まれた領域Aをカートン本体の内部に指で押し込むことによって、取出口形成用切込線を破断させて、取出口の開封を行うことができた。この領域Aは、補強用リブによって領域Aの長手方向中央部の曲げ強度が高められているため、領域Aの上記中央部の形状が保持された状態でカートン本体の内部に押し込まれるため、領域Aの力が加わった部位だけでなく、領域Aの上記中央部全域の取出口形成用切込線を一度に破断させることができた。
【0133】
また、領域Aの長手方向端部は、領域Aの上記中央部に相反するように上方に反り返るような力が作用しており、この力によって領域Aの長手方向端部の切込線を破断させることができた。更に、本実施例においては、取出口形成用切込線が、領域Aの長手方向中央部側よりも長手方向端部側が破断し易くなっているため、領域Aの長手方向中央部の切込線が破断される前、又は長手方向中央部の切込線が破断されるのと同時期に、長手方向端部側の切込線が破断されるように構成されていた。
【0134】
また、本実施例の衛生用紙入りカートンは、領域Aに形成された補強用リブが、その起点と終点とがそれぞれ二つずつ存在し、一端側及び他端側がY字状に形成されたものであり、且つ各起点及び各終点をそれぞれ繋ぐ第一及び第二折曲補助線が形成されているため、補強用リブに沿って各起点及び各終点に伝達された力が、領域Aの長手方向端部側に抜ける力となって伝わるように構成されているため、取出口の開封がより容易なものとなった。
【0135】
また、この衛生用紙入りカートンの領域Aの外周には、強度保持罫が形成されているため、補強用リブをカートン本体の内部に指で押し込んで切取線を破断する際に、カートン本体を構成する原紙が破け難くなっており、開封時にカートンの切れや破れ等が発生しなかった。特に、本実施例においては、領域Aの外縁から一定(3mm)の幅をもって、帯状の強度保持罫が形成されていたため、領域Aの外周部分の強度が良好に保持されていた。
【0136】
また、本実施例の衛生用紙入りカートンは、内フラップの表面に突出部を形成したため、各フラップを折り曲げて形成した妻面において、内フラップと底面側外フラップとに段差が生じず、内フラップが上面側外フラップにしっかりと接合されていた。また、妻面を形成する際の接着剤の量を削減することもできた。
【0137】
カートン本体の内部空間に収納された衛生用紙束は、複数枚の衛生用紙が連続的に積層されたものであるため、最上層の衛生用紙を取り出すことにより、これに挟み込まれていた次層の衛生用紙の一部が取出口から突出し、衛生用紙の取り出しが容易であった。
【0138】
また、本実施例の衛生用紙入りカートンは、底面に、解体用切込線が形成されているため、カートン本体の内部空間に収納した衛生用紙を使い切った後には、底面の解体用切込線を破断して、カートンを簡単に解体することができた。特に、本実施例においては、解体用切込線を二重ミシン目としたため、解体用切込線の破断がし易くなっており、力が分散し易い空の状態のカートン本体の解体を容易に行うことができた。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の衛生用紙入りカートンは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等の衛生用紙を収納したカートンとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0140】
1,101,102,103,104:衛生用紙入りカートン、2:上面、4:底面、6,6a,6b:側面、8,8a,8b:妻面、10:衛生用紙、12:紙片、14:取出口形成用切込線、16:カートン本体、17:補強用リブ、18:強度保持罫、26:内フラップ、27:接合部、28:上面側外フラップ、30:底面側外フラップ、32:接合代(側面接合代)、34:幅狭部、50:解体用切込線、56:突出部、58:凹凸デザイン、61:第一折曲補助線、62:第二折曲補助線、100,110:展開型のカートン、A,A1,A2,A3,A4:取出口形成用切込線の内側の領域、L1:長軸、L2:短軸、O:領域Aの中心点、P1,P3:点(補強用リブの起点)、P2,P6:点(補強用リブの終点)、P4,P5:点(長軸上の点)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、底面、一対の側面、及び一対の妻面を有する形状に折り曲げられ、これらの面によって区画された、衛生用紙を収納し得る内部空間が形成された箱状をなし、その一面に細長形状の取出口を形成するための取出口形成用切込線が形成されたカートン本体と、前記カートン本体の内部空間に収納された複数の衛生用紙と、を備え、
前記妻面が、一対の前記側面のそれぞれの端縁から組立折曲線を介して延出された内フラップが妻面側に折り曲げられて、その表面に、前記底面の端縁から組立折曲線を介して延出された底面側外フラップと、前記上面の端縁から組立折曲線を介して延出された上面側外フラップと、が順次折り重ねられて接合されることによって形成されており、
前記内フラップの表面における前記底面側外フラップが積層されていない部位の一部に、前記底面側外フラップの厚みに相当し、その周囲全域に亘って内フラップの表面から突出する段差を有する突出部が形成されてなり、
前記内フラップの前記突出部と、前記上面側外フラップとが接着剤で接合されてなる衛生用紙入りカートン。
【請求項2】
前記底面側外フラップは、前記底面の端縁から、前記底面と同じ幅で延出され、その先端部にその幅が狭くなった幅狭部を有する請求項1に記載の衛生用紙入りカートン。
【請求項3】
前記底面側外フラップの前記幅狭部の両側方に、前記内フラップの前記突出部がそれぞれ形成されており、前記内フラップの二つの前記突出部と、前記底面側外フラップの幅狭部とにわたって一直線上に接着剤が塗布されて、前記妻面が形成されている請求項2に記載の衛生用紙入りカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−254378(P2010−254378A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153975(P2010−153975)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【分割の表示】特願2007−281535(P2007−281535)の分割
【原出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】