説明

衛生薄葉紙収納紙箱

【課題】
ティッシュペーパー等の衛生用紙の収納箱に吊り下げ用治具を取り付けることができる収納箱を提供する。
【解決手段】
衛生用紙の取出し口を有する頂面部及びこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結する4側面部からなる方体形状の衛生用紙収納箱において、少なくとも側面部に吊り下げ用治具用のミシン目あるいは切込みを有する穴(抜穴)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパー等の衛生用紙の収納箱に関する。特にベッドの手すりやタオル掛け等に収納シートを容易に取り出せる状態に取り付けることができる収納箱の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ティッシュペーパーは化粧落としや鼻かみ、食事時の口拭き、テーブル周りの汚れ拭きなど生活の場で様々に使用されている。入院患者や自宅療養中の人にとっても大変便利である。しかしベットで寝ている病人にとって問題なのは収納箱の置き場所である。枕元やベッド脇のテーブルなどに置いているが、収納箱を潰してしまったり、床に落としたり、手が届きにくく取り出しに手間取ったりと使い勝手が悪いことがあった。
また家庭での洗面所での使用において、洗面台回りにおくと、水しぶきが飛ぶなどして収納箱が濡れてしまい不衛生になりやすいことがあった。これまでも専用のスタンドやホルダーを利用してベットの手すり等に取り付ける工夫は行われていたが、スタンドやホルダーは大型で携帯しにくいなどの不具合があった。特許文献1には、上面(頂面部)に形成した取出し口の開口部形成用切り離し片を利用して手すり等に固定するティッシュペーパー収納箱が提案されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−141407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された収納箱のように、頂面部に形成した取出し口の開口部形成用切り離し片を収納箱の底面または側面に施した切れ目に通することにより手すり等に固定するティッシュペーパー収納箱の場合には、専用の治具を必要としないが、収納箱を形成する板紙を使用するため、開口部の大きさに限定され、ループ状のする手間がかかることやループサイズの調整がし難いなどの課題があった。そこで本発明の目的は、比較的入手が容易であり、広範に利用されている小型で携帯性に優れる市販のS字型フック等を吊り下げ冶具として利用し、これを容易に取り付けることができる収納箱を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の第1は、衛生用紙の取出し口を有する頂面部及びこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結し対向する前・後側面部と左・右側面とからなる直方体形状の衛生用紙収納箱において、側面の少なくとも1つの面に吊り下げ治具を挿通するためのミシン目あるいは切れ目を有している穴を備えていることを特徴とする衛生用紙収納箱である。また、本発明の第2は、衛生用紙の取出し口を有する頂面部及びこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結し対向する前・後側面部と左・右側面とからなる直方体形状の衛生用紙収納箱において、頂面及び/又は底面部、側面の少なくとも1面に吊り下げ治具を挿通するためのミシン目あるいは切れ目を有している穴を備えていることを特徴とする衛生用紙収納箱である。更に、また本発明の第3は、衛生用紙収納箱において、頂面及び、前・後側面の少なくとも1面に前記ミシン目あるいは切れ目を有する穴を収納箱の夫々の長手方向中央から略左右対称にそれぞれ2以上備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、S字状フック等の吊り下げ具を収納箱の側面の開口に挿通させて吊り下げることができる。さらに頂面部と側面部に跨って貫通すれば両面に荷重が分散され、収納箱の特別の補強をしなくとも破損しにくい。また、開口を1面にのみ施した場合には、吊り下げ具を差し込む方向を途中で反転させる必要があり第二の開口位置がわかり難いが、本発明の場合には頂面や底面と側面の開口に向け貫通方向に真っ直ぐに串通しすればよく、作業がしやすい。更にまた小型の吊り下げ具でも挿通が容易であり、吊り下げ具がシート引出しの邪魔になりにくく、シートが密に充填されている場合でもシート積層体を軽く押し付けながら挿通が可能である。
また取り出し口のある頂面が傾斜した状態で収納箱を保持することができ、ベッドに寝ながらの使用においても引出し易い。穴の位置を変更すれば角度調整も容易である。更に吊り下げ具は、収納箱の左右対称に開口部を設けれることにより吊り下げ状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の衛生用紙収納箱の使用例を示す斜視図である。
【図2】本発明の衛生用紙収納箱に設けられる抜き穴の位置を示す斜視図である。
【図3】本発明の抜き穴用ミシン目または切り込みの一例である。
【図4】本発明の衛生用紙収納箱にS字状フックを取付けた場合の断面図(a),(b),(c),(d) である。
【図5】開口部の位置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施形態について説明する。本発明の衛生用紙収納箱は、通例、箱の上面(頂面部)に、ミシン目等の切込線によって形成される衛生用紙の取出口を有している。内部に収納される衛生用紙は、ティッシュペーパー、ペーパータオル、トイレットペーパー(但しロールを除く)、などの使い捨て紙である。本発明においては、これらの使い捨て紙の総称として、衛生用紙と言う語句を用いている。一般に、「ティッシュペーパー」と言う語句は、トイレットペーパーなどの使い捨て紙全般を指す語句として用いる場合も多いが、狭義では、顔ふき紙、化粧紙などと称され、通常ドライクレープを有した吸水性のある衛生用紙である。なお、「ペーパータオル」は、タオルの代用品としてパルプ繊維を主原料として製造されるペーパーである。
【0009】
本発明の衛生用紙収納箱は、木材パルプ、古紙などを原料とする板紙や段ボールを主体として、頂面部と底面部と前・後側面部とからなる角筒状体に、シート積層体を充填後、頂面部と底面部と前・後側面部から夫々伸びるフラップを折畳んで閉鎖することにより、左・右側面部を形成して直方体の収納箱をする。
【0010】
本発明においては、後側面部又は/且つ後側面部に吊り下げ具が挿入するミシン目線あるいは切れ目を有する穴を配置することを特徴とする。頂面や底面にも穴用のミシン目線あるいは切れ目等を有する場合には、使用時にミシン目線あるいは切れ目を開口し、フック状の留め具を頂面(底面)から側面に向け、あるいは側面から頂面(底面)に向けて貫通させる。収納箱に予め開口を設けておいても良いが、吊り下げ具の取付け時にミシン目を打ち抜きあるいは切れ目に押し破って開口させることが衛生面から好ましい。ミシン目や切れ目以外にもハーフカット等としておいても良い。
使用するフック状の吊り下げ具は、一般的にS字型フック等と呼ばれており家庭用としても広く市販されているものが使用できる。線径(太さ)は2mmφ〜5mmφ程度、屈曲部は曲率半径30mm〜60mm程度のものが使い易い。
収納箱の開口部はこのS字型フックが挿通できるだけの大きさがあれば十分で、大き過ぎるとシートの引き出しを繰り返す間に開口部が広がりやすく破損の原因となる。また、本発明におけるミシン目や切れ目等は個数に制限はなく1つの面に2個以上設けても良い。収納箱の取出口は、通常は中央部に設けられているが収納箱傾斜を考慮して、開口から離れる方向に偏位しても良く、この場合には開口部の設置位置の自由度が増す。
【0011】
更に、取り出し口に収納箱内側より貼付されるポリエチレン等のフィルムを延出させて、収納箱に設けられる抜き穴やミシン目あるいは切り込みを補強してもよい。また収納箱の開口の周縁に予め、または使用中に環状のシールなどで補強してもよい。
【0012】
以下本発明の実施形態を図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0013】
図は本発明の実施形態の一例であって、図1には本発明の衛生用紙収納箱の使用を示す。まず、吊り下げ具20をティシュペーパー収納箱10に取り付け、吊り下げ具20の他方端のフックを利用してベッドの手すりやパイプに取付ける。収納箱頂面部1が手前に傾斜して保持される。図2は吊り下げ具20を取り付けた状態を示す。収納箱の頂面部1と後側面部3のそれぞれ2箇所ずつに吊り下げ具20(線径に2.5mmφ、全長100mm)の取り付け時に開口が形成されるようにミシン目線が設けられている。図3は、頂面部1と側面部の開口の位置と収納箱吊り下げ時の箱の角度を示す模式図である。頂面部に設けられる1つの開口用ミシン目あるいは切れ目とこれに近接する収納箱角部との最短距離をLとして、これに左右方向に対応する前・後側面の前記開口用ミシン目あるいは切れ目とこれに近接する収納箱角部との最短距離Lとした場合、吊り下げ具の形状やサイズにも影響されるが、LとL両者の大きさを調整することにより吊り下げ時の傾斜が決定される。一般的には図3(b)に示す通りLを大きくすると収納箱の傾斜が、図3(a)の場合に比べ増すが、串通し時に、シートを噛みこみやすくなる。実施例では、L=20mm、L=15mmとした。特に補強手段を有さない場合にはL、Lは共に収納箱の強度を考慮して10mm以上とすることが好ましく、両者の比(L/L)は、0.7〜3.0が好ましい。

【符号の説明】
【0014】
1 頂面部
2 底面部
3 後側面部
4 左側面図
5 補強シール
6 抜き穴様のミシン目又は切り込み
10 衛生用紙収納箱
20 吊り下げ具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用紙の取出し口を有する頂面部及びこれに対向する底面部並びにこれら頂面部と底面部を連結し対向する前・後側面部と左・右側面部とからなる直方体形状の衛生用紙収納箱において、前記側面部の少なくとも1つの面に吊り下げ具を挿通するためのミシン目あるいは切れ目を有する穴を備えていることを特徴とする衛生用紙収納箱。
【請求項2】
前記衛生用紙収納箱において、頂面部及び/又は底面部及び、側面部の少なくとも1面に吊り下げ具を挿通するためのミシン目あるいは切れ目を有する穴を備えていることを特徴とする請求項1記載の衛生用紙収納箱。
【請求項3】
前記衛生用紙収納箱において、前記頂面部及び/又は底面部及び、前記前・後側面部の少なくとも1面に前記ミシン目あるいは切れ目を有する穴を収納箱の夫々の長手方向中央から略左右対称にそれぞれ2以上備えていることを特徴とする請求項2記載の衛生用紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−171642(P2012−171642A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34432(P2011−34432)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000183462)日本製紙クレシア株式会社 (112)
【Fターム(参考)】