衛生設備取り付け用フレームの設置構造
【課題】施工コストを安価に抑えることが可能であると共に、衛生設備取り付け用フレームを根太上に正確に配置することが可能な衛生設備取り付け用フレームの設置構造を提供する。
【解決手段】大引き2,2間に木製の根太3が架設され、この木製の根太3上に、床材30を間に挟まずに直接にフレーム10が載置され、ボルト20で固定されている。フレーム10の前面側に洋風便器1が取り付けられる。
【解決手段】大引き2,2間に木製の根太3が架設され、この木製の根太3上に、床材30を間に挟まずに直接にフレーム10が載置され、ボルト20で固定されている。フレーム10の前面側に洋風便器1が取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備室の床面から衛生設備取り付け用フレームを立設するための、衛生設備取り付け用フレームの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生設備室の床面から衛生設備取り付け用フレームを立設し、このフレームに便器や手洗い装置等の衛生設備を取り付けることが周知である。
【0003】
この衛生設備取り付け用フレームの設置構造として、特開平2−101883号公報には、室の土台を構成する大引間に、床面支持用の木製根太とは別に、便器取り付け位置に合わせて金属角パイプ製根太を架設し、この金属角パイプ製根太上に便器取り付け用の縦フレームを設置した便器取り付け構造が記載されている。
【0004】
同号公報の便器取り付け構造では、縦フレームを設置する前にこれらの根太上に床面を形成する。この際、該金属角パイプ製根太から上方へ突出するようにボルトを設けると共に、床面のうち該ボルトに重なる部分には該ボルト挿通用の大径孔を設けておき、この大径孔を通して床上面側にボルトを突出させる。縦フレーム設置時には、根太上に形成された床面に縦フレームを載置し、この床面から突出したボルトにより、該床材を介して縦フレームを金属角パイプ製根太に固定する。
【特許文献1】特開平2−101883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開平2−101883号公報の便器取り付け構造にあっては、縦フレームを設置するために金属角パイプ製根太を設けているため、施工コストが嵩む。また、この金属角パイプ製根太上に床面を形成してから縦フレームを設置するので、縦フレーム設置時には金属角パイプ製根太を視認できず、縦フレームを該金属角パイプ製根太上に正確に配置するのが容易ではない。
【0006】
本発明は、施工コストを安価に抑えることが可能であると共に、衛生設備取り付け用フレームを根太上に正確に配置することが可能な衛生設備取り付け用フレームの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、衛生設備室の床から衛生設備取り付け用フレームを立設した衛生設備取り付け用フレームの設置構造において、該衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、床材を挟み込むことなく直接に固定したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、請求項1において、該衛生設備取り付け用フレームが固定される前記根太の側面及び/又は下面に、補強部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、請求項1又は2において、前記根太を上下方向に貫通するボルトにより、前記衛生設備取り付け用フレームが該根太に固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明(請求項1)の衛生設備取り付け用フレームの設置構造にあっては、衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、間に床材を挟み込むことなく直接に固定している。即ち、本発明では、金属角パイプ製根太を用いていないので、該金属角パイプ製根太を用いた場合に比べて施工コストを安価に抑えることが可能である。また、フレームを設置するに当っては、根太とフレームとの間に床材が存在せず、これによりフレーム設置作業者は根太を視認しながら設置作業を行うことができるため、フレームを根太上に正確に配置することが可能である。
【0011】
請求項2のように、この根太の側面及び/又は下面に補強部材を設けることにより、木製の根太をより頑丈なものとすることができる。
【0012】
請求項3のように、この根太を上下方向に貫通するボルトによってフレームを根太に固定することにより、根太の床上荷重に対する強度を徒に低下させることなく、しっかりとフレームを根太に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
第1図は実施の形態に係る衛生設備取り付け用フレームの設置構造を示す、床材敷設前のトイレルーム内の斜視図、第2図は第1図のフレーム固定部付近の拡大斜視図、第3図は根太の下側から見たフレーム固定部付近の斜視図、第4図は第3図のIV−IV線に沿う断面図、第5図は床材敷設後のトイレルーム内の斜視図、第6図は施工完了後のトイレルーム内の斜視図である。
【0015】
この実施の形態では、衛生設備室はトイレルームであり、衛生設備は洋風便器1である。以下の説明において、前後左右とは、この洋風便器1に着座した便器使用者にとっての前後左右である。
【0016】
第1図に示すように、トイレルームの土台を構成する大引2,2間に複数本の木製の根太3が互いに平行に架設されている。この木製の根太3上に、洋風便器取り付け用フレーム10が設置されている。
【0017】
この実施の形態では、隣り合う1対の根太3,3に跨ってフレーム10が配置されている。なお、図示の通り、この実施の形態では、いずれの箇所の根太3,3同士の間隔も該フレーム10の横幅と略同等となっているが、根太3の配置はこれに限定されるものではなく、フレーム10を支持する1対の根太3,3同士の間隔のみがフレーム10の横幅と略同等であり、他の箇所の根太3,3同士の間隔はこれと異なっていてもよい。このフレーム10を支持する根太3は、既設のものであってもよく、別途フレーム10支持用として新設されたものであってもよい。
【0018】
該フレーム10は、この実施の形態では、略方形枠状のロワフレーム11と、該ロワフレーム11の四隅からそれぞれ立設されたピラー部12と、該ピラー部12の上端部同士を連結する略方形枠状のアッパーフレーム13とを有した直方体形状のものである。
【0019】
ロワフレーム11の左右の前後方向延在部11aには、それぞれ、このフレーム10を根太3に固定するためのボルト20が挿通されるボルト挿通孔11bが設けられている。なお、第4図に示すように、この実施の形態では、各前後方向延在部11aに、該前後方向に間隔をおいて2個のボルト挿通孔11bが設けられているが、ボルト挿通孔11bの個数及び配置はこれに限定されない。各ボルト挿通孔11bは、左右方向に延在する長孔状となっている。
【0020】
フレーム10が設置される各根太3にも、それぞれ、これらのボルト挿通孔11bと重なり合う位置関係にて、各根太3を上下方向に貫通するボルト挿通孔3aが設けられている。
【0021】
フレーム10の前面側の左右のピラー部12には、それぞれ、便器取り付け片12aが設けられており、この便器取り付け片12aに対し、洋風便器1がボルト(図示略)等の固定具により固定される。なお、この実施の形態では、該洋風便器1はいわゆる壁掛けタイプのものであり、トイレルームの床面から若干上方へ浮いた状態でフレーム10の前面から前方へ張り出すように、該便器取り付け片12aに取り付けられる。
【0022】
このフレーム10の上部には、便器洗浄、お尻洗浄等に用いられる水や温水を貯留するためのタンク14が収容される。また、このフレーム10内には、該タンク14への給水管や給湯管、該タンク14から洋風便器1への給水管、該洋風便器1からの排水管、該排水管内が負圧になることを防止するための負圧破壊装置、オーバーフロー管等(洋風便器1及びタンク14以外は符号略。)が配設される。このフレーム10の前面上部には、洋風便器1にタンク14から便器洗浄水を供給するためのフラッシュレバー15が配置される。
【0023】
このフレーム10を設置するに当っては、第1〜4図のように、根太3上に床材30(第5,6図)を敷設していない状態にて、該根太3上に直にフレーム10を載置する。そして、ロワフレーム11の各ボルト挿通孔11b及びこれと重なる根太3の各ボルト挿通孔3aにそれぞれボルト20を挿通し、このボルト20にナット21を締め込む。これにより、フレーム10が根太3に対し直接に(両者の間に床材30を挟まずに)固定される。
【0024】
なお、洋風便器1、タンク14並びに各配管等のフレーム10への取り付け作業は、それぞれ、フレーム10を根太3上に設置してから行ってもよく、フレーム10を根太3上に設置する前に行ってもよい。
【0025】
この実施の形態では、フレーム10を根太3に固定し、洋風便器1、タンク14並びに各配管等の該フレーム10への取り付け作業も終了した後、第5図のように、根太3上に床材30を敷設する。ただし、本発明においては、先にフレーム10設置予定領域(並びに必要に応じその周辺部)を空けて根太3上に床材30を敷設しておき、後から、この空いているフレーム10設置予定領域にフレーム10の下部を入り込ませるようにして該フレーム10を根太3に直接固定するようにしてもよい。
【0026】
その後、第6図のように、フレーム10を覆うようにカバー40を装着する。これにより、床面から洋風便器取り付け用フレーム10が立設され、該フレーム10に洋風便器1が取り付けられたトイレルームの施工作業が完了する。
【0027】
この実施の形態の洋風便器取り付け用フレーム10の設置構造にあっては、洋風便器取り付け用フレーム10を、木製の根太3に対し、間に床材30を挟み込むことなく直接に固定している。即ち、この洋風便器取り付け用フレーム10の設置構造では、金属角パイプ製根太を用いていないので、該金属角パイプ製根太を用いた場合に比べて施工コストを安価に抑えることが可能である。また、フレーム10を設置するに当っては、根太3とフレーム10との間に床材30が存在せず、これによりフレーム設置作業者は根太3を視認しながら設置作業を行うことができるため、フレーム10を根太3上に正確に配置することが可能である。
【0028】
本発明においては、フレーム10が設置される根太3に補強部材を設けてもよい。第7〜9図は、それぞれ、根太3に補強部材を設けた構成例を示す、根太3のフレーム固定部付近の拡大斜視図である。
【0029】
第7図の実施の形態では、フレーム10が設置される根太3の一方の側面に、該根太3の側面と略等幅で且つ該根太3の延在方向に所定長さにわたって延在する帯板状の補強部材50が取り付けられている。なお、この実施の形態では、補強部材50はビス51により根太3に固着されているが、補強部材50の根太3への取り付け方法はこれに限定されない(第8,9図の実施の形態においても同様。)。根太3の双方の側面に補強部材50が取り付けられてもよい。
【0030】
第8図の実施の形態では、フレーム10が設置される根太3の下面に、該根太3の下面と略等幅で且つ該根太3の延在方向に所定長さにわたって延在する帯板状の補強部材50Aが取り付けられている。この補強部材50Aには、根太3の各ボルト挿通孔3aと重なり合う位置関係にてボルト挿通孔(図示略)が設けられており、ボルト20は、このボルト挿通孔を通って補強部材50Aの下面側に突出し、ボルト21締めされている。
【0031】
第9図の実施の形態では、第7図の補正部材50と第8図の補強部材50Aとを一体化した如きL字形の補強部材50Bが設けられている。即ち、この補強部材50Bは、根太3の一方の側面と下面とに跨って設けられている。
【0032】
これらの補強部材50,50A,50Bの材質に特に制限はないが、例えば、鉄、アルミ等の金属板や、カーボンファイバー、グラスファイバー等を含有した繊維強化樹脂などを用いることができる。
【0033】
このように補強部材50,50A,50Bにより根太3を補強することにより、木製の根太3をより頑丈なものとすることができる。
【0034】
なお、補強部材の構成は上記のものに限定されない。例えば、本発明においては、根太3の一方の側面と下面とに加え、さらに他方の側面にまで連続するコ字形の補強部材が設けられてもよい。第7図の補強部材50と第8図の補正部材50Aの双方を用いて根太3の各側面と下面とをそれぞれ補強するようにしてもよい。
【0035】
上記の実施の形態では、衛生設備として洋風便器1をフレーム10に取り付けているが、本発明においては、洋風便器以外の衛生設備、例えば手洗い装置やシャワー装置等がフレーム10に設けられてもよい。また、複数の衛生設備(同一種類であってもよく、異なる種類であってもよい。)がフレーム10に取り付けられてもよい。
【0036】
第10,11図は、フレーム10に洋風便器1と手洗い装置4とを取り付けた構成例を示す、トイレルーム内の斜視図である。なお、第10図は洋風便器1側から見た図であり、第11図は手洗い装置4側から見た図である。また、第10,11図においては、フレーム10はカバー40によって覆われた状態にて図示されている。
【0037】
この実施の形態では、フレーム10の前面側に洋風便器1が取り付けられ、これと反対側(後面側)に手洗い装置4が取り付けられている。
【0038】
詳しい図示は省略するが、この実施の形態では、フレーム10の後面側の左右のピラー部12,12間に、所定高さにて手洗い装置取り付け片が架設され、この手洗い装置取り付け片に、取り付け金具を介して手洗い装置4が取り付けられている。
【0039】
もちろん、洋風便器1や手洗い装置4以外の衛生設備をフレーム10に取り付けることも可能である。フレーム10の前面及び後面だけでなく、左右の側面にも衛生設備を取り付けることができる。
【0040】
上記の実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、衛生設備取り付け用フレームの形状は、直方体状以外の形状(例えば円柱状など)とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態に係る衛生設備取り付け用フレームの設置構造を示す、床材敷設前のトイレルーム内の斜視図である。
【図2】図1のフレーム固定部付近の拡大斜視図である。
【図3】根太の下側から見たフレーム固定部付近の斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】床材敷設後のトイレルーム内の斜視図である。
【図6】施工完了後のトイレルーム内の斜視図である。
【図7】根太に補強部材を設けた構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図8】根太に補強部材を設けた別の構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図9】根太に補強部材を設けたさらに別の構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図10】フレームに洋風便器と手洗い装置とを取り付けた構成例を示す、トイレルーム内の斜視図である。
【図11】図10と反対側から見た、トイレルーム内の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 洋風便器
2 大引
3 根太
3a ボルト挿通孔
4 手洗い装置
10 フレーム
11 ロワフレーム
11b ボルト挿通孔
12 ピラー部
12a 洋風便器取り付け片
13 アッパーフレーム
14 タンク
20 ボルト
21 ナット
30 床材
40 カバー
50,50A,50B 補強部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生設備室の床面から衛生設備取り付け用フレームを立設するための、衛生設備取り付け用フレームの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生設備室の床面から衛生設備取り付け用フレームを立設し、このフレームに便器や手洗い装置等の衛生設備を取り付けることが周知である。
【0003】
この衛生設備取り付け用フレームの設置構造として、特開平2−101883号公報には、室の土台を構成する大引間に、床面支持用の木製根太とは別に、便器取り付け位置に合わせて金属角パイプ製根太を架設し、この金属角パイプ製根太上に便器取り付け用の縦フレームを設置した便器取り付け構造が記載されている。
【0004】
同号公報の便器取り付け構造では、縦フレームを設置する前にこれらの根太上に床面を形成する。この際、該金属角パイプ製根太から上方へ突出するようにボルトを設けると共に、床面のうち該ボルトに重なる部分には該ボルト挿通用の大径孔を設けておき、この大径孔を通して床上面側にボルトを突出させる。縦フレーム設置時には、根太上に形成された床面に縦フレームを載置し、この床面から突出したボルトにより、該床材を介して縦フレームを金属角パイプ製根太に固定する。
【特許文献1】特開平2−101883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開平2−101883号公報の便器取り付け構造にあっては、縦フレームを設置するために金属角パイプ製根太を設けているため、施工コストが嵩む。また、この金属角パイプ製根太上に床面を形成してから縦フレームを設置するので、縦フレーム設置時には金属角パイプ製根太を視認できず、縦フレームを該金属角パイプ製根太上に正確に配置するのが容易ではない。
【0006】
本発明は、施工コストを安価に抑えることが可能であると共に、衛生設備取り付け用フレームを根太上に正確に配置することが可能な衛生設備取り付け用フレームの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、衛生設備室の床から衛生設備取り付け用フレームを立設した衛生設備取り付け用フレームの設置構造において、該衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、床材を挟み込むことなく直接に固定したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、請求項1において、該衛生設備取り付け用フレームが固定される前記根太の側面及び/又は下面に、補強部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の衛生設備取り付け用フレームの設置構造は、請求項1又は2において、前記根太を上下方向に貫通するボルトにより、前記衛生設備取り付け用フレームが該根太に固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明(請求項1)の衛生設備取り付け用フレームの設置構造にあっては、衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、間に床材を挟み込むことなく直接に固定している。即ち、本発明では、金属角パイプ製根太を用いていないので、該金属角パイプ製根太を用いた場合に比べて施工コストを安価に抑えることが可能である。また、フレームを設置するに当っては、根太とフレームとの間に床材が存在せず、これによりフレーム設置作業者は根太を視認しながら設置作業を行うことができるため、フレームを根太上に正確に配置することが可能である。
【0011】
請求項2のように、この根太の側面及び/又は下面に補強部材を設けることにより、木製の根太をより頑丈なものとすることができる。
【0012】
請求項3のように、この根太を上下方向に貫通するボルトによってフレームを根太に固定することにより、根太の床上荷重に対する強度を徒に低下させることなく、しっかりとフレームを根太に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
第1図は実施の形態に係る衛生設備取り付け用フレームの設置構造を示す、床材敷設前のトイレルーム内の斜視図、第2図は第1図のフレーム固定部付近の拡大斜視図、第3図は根太の下側から見たフレーム固定部付近の斜視図、第4図は第3図のIV−IV線に沿う断面図、第5図は床材敷設後のトイレルーム内の斜視図、第6図は施工完了後のトイレルーム内の斜視図である。
【0015】
この実施の形態では、衛生設備室はトイレルームであり、衛生設備は洋風便器1である。以下の説明において、前後左右とは、この洋風便器1に着座した便器使用者にとっての前後左右である。
【0016】
第1図に示すように、トイレルームの土台を構成する大引2,2間に複数本の木製の根太3が互いに平行に架設されている。この木製の根太3上に、洋風便器取り付け用フレーム10が設置されている。
【0017】
この実施の形態では、隣り合う1対の根太3,3に跨ってフレーム10が配置されている。なお、図示の通り、この実施の形態では、いずれの箇所の根太3,3同士の間隔も該フレーム10の横幅と略同等となっているが、根太3の配置はこれに限定されるものではなく、フレーム10を支持する1対の根太3,3同士の間隔のみがフレーム10の横幅と略同等であり、他の箇所の根太3,3同士の間隔はこれと異なっていてもよい。このフレーム10を支持する根太3は、既設のものであってもよく、別途フレーム10支持用として新設されたものであってもよい。
【0018】
該フレーム10は、この実施の形態では、略方形枠状のロワフレーム11と、該ロワフレーム11の四隅からそれぞれ立設されたピラー部12と、該ピラー部12の上端部同士を連結する略方形枠状のアッパーフレーム13とを有した直方体形状のものである。
【0019】
ロワフレーム11の左右の前後方向延在部11aには、それぞれ、このフレーム10を根太3に固定するためのボルト20が挿通されるボルト挿通孔11bが設けられている。なお、第4図に示すように、この実施の形態では、各前後方向延在部11aに、該前後方向に間隔をおいて2個のボルト挿通孔11bが設けられているが、ボルト挿通孔11bの個数及び配置はこれに限定されない。各ボルト挿通孔11bは、左右方向に延在する長孔状となっている。
【0020】
フレーム10が設置される各根太3にも、それぞれ、これらのボルト挿通孔11bと重なり合う位置関係にて、各根太3を上下方向に貫通するボルト挿通孔3aが設けられている。
【0021】
フレーム10の前面側の左右のピラー部12には、それぞれ、便器取り付け片12aが設けられており、この便器取り付け片12aに対し、洋風便器1がボルト(図示略)等の固定具により固定される。なお、この実施の形態では、該洋風便器1はいわゆる壁掛けタイプのものであり、トイレルームの床面から若干上方へ浮いた状態でフレーム10の前面から前方へ張り出すように、該便器取り付け片12aに取り付けられる。
【0022】
このフレーム10の上部には、便器洗浄、お尻洗浄等に用いられる水や温水を貯留するためのタンク14が収容される。また、このフレーム10内には、該タンク14への給水管や給湯管、該タンク14から洋風便器1への給水管、該洋風便器1からの排水管、該排水管内が負圧になることを防止するための負圧破壊装置、オーバーフロー管等(洋風便器1及びタンク14以外は符号略。)が配設される。このフレーム10の前面上部には、洋風便器1にタンク14から便器洗浄水を供給するためのフラッシュレバー15が配置される。
【0023】
このフレーム10を設置するに当っては、第1〜4図のように、根太3上に床材30(第5,6図)を敷設していない状態にて、該根太3上に直にフレーム10を載置する。そして、ロワフレーム11の各ボルト挿通孔11b及びこれと重なる根太3の各ボルト挿通孔3aにそれぞれボルト20を挿通し、このボルト20にナット21を締め込む。これにより、フレーム10が根太3に対し直接に(両者の間に床材30を挟まずに)固定される。
【0024】
なお、洋風便器1、タンク14並びに各配管等のフレーム10への取り付け作業は、それぞれ、フレーム10を根太3上に設置してから行ってもよく、フレーム10を根太3上に設置する前に行ってもよい。
【0025】
この実施の形態では、フレーム10を根太3に固定し、洋風便器1、タンク14並びに各配管等の該フレーム10への取り付け作業も終了した後、第5図のように、根太3上に床材30を敷設する。ただし、本発明においては、先にフレーム10設置予定領域(並びに必要に応じその周辺部)を空けて根太3上に床材30を敷設しておき、後から、この空いているフレーム10設置予定領域にフレーム10の下部を入り込ませるようにして該フレーム10を根太3に直接固定するようにしてもよい。
【0026】
その後、第6図のように、フレーム10を覆うようにカバー40を装着する。これにより、床面から洋風便器取り付け用フレーム10が立設され、該フレーム10に洋風便器1が取り付けられたトイレルームの施工作業が完了する。
【0027】
この実施の形態の洋風便器取り付け用フレーム10の設置構造にあっては、洋風便器取り付け用フレーム10を、木製の根太3に対し、間に床材30を挟み込むことなく直接に固定している。即ち、この洋風便器取り付け用フレーム10の設置構造では、金属角パイプ製根太を用いていないので、該金属角パイプ製根太を用いた場合に比べて施工コストを安価に抑えることが可能である。また、フレーム10を設置するに当っては、根太3とフレーム10との間に床材30が存在せず、これによりフレーム設置作業者は根太3を視認しながら設置作業を行うことができるため、フレーム10を根太3上に正確に配置することが可能である。
【0028】
本発明においては、フレーム10が設置される根太3に補強部材を設けてもよい。第7〜9図は、それぞれ、根太3に補強部材を設けた構成例を示す、根太3のフレーム固定部付近の拡大斜視図である。
【0029】
第7図の実施の形態では、フレーム10が設置される根太3の一方の側面に、該根太3の側面と略等幅で且つ該根太3の延在方向に所定長さにわたって延在する帯板状の補強部材50が取り付けられている。なお、この実施の形態では、補強部材50はビス51により根太3に固着されているが、補強部材50の根太3への取り付け方法はこれに限定されない(第8,9図の実施の形態においても同様。)。根太3の双方の側面に補強部材50が取り付けられてもよい。
【0030】
第8図の実施の形態では、フレーム10が設置される根太3の下面に、該根太3の下面と略等幅で且つ該根太3の延在方向に所定長さにわたって延在する帯板状の補強部材50Aが取り付けられている。この補強部材50Aには、根太3の各ボルト挿通孔3aと重なり合う位置関係にてボルト挿通孔(図示略)が設けられており、ボルト20は、このボルト挿通孔を通って補強部材50Aの下面側に突出し、ボルト21締めされている。
【0031】
第9図の実施の形態では、第7図の補正部材50と第8図の補強部材50Aとを一体化した如きL字形の補強部材50Bが設けられている。即ち、この補強部材50Bは、根太3の一方の側面と下面とに跨って設けられている。
【0032】
これらの補強部材50,50A,50Bの材質に特に制限はないが、例えば、鉄、アルミ等の金属板や、カーボンファイバー、グラスファイバー等を含有した繊維強化樹脂などを用いることができる。
【0033】
このように補強部材50,50A,50Bにより根太3を補強することにより、木製の根太3をより頑丈なものとすることができる。
【0034】
なお、補強部材の構成は上記のものに限定されない。例えば、本発明においては、根太3の一方の側面と下面とに加え、さらに他方の側面にまで連続するコ字形の補強部材が設けられてもよい。第7図の補強部材50と第8図の補正部材50Aの双方を用いて根太3の各側面と下面とをそれぞれ補強するようにしてもよい。
【0035】
上記の実施の形態では、衛生設備として洋風便器1をフレーム10に取り付けているが、本発明においては、洋風便器以外の衛生設備、例えば手洗い装置やシャワー装置等がフレーム10に設けられてもよい。また、複数の衛生設備(同一種類であってもよく、異なる種類であってもよい。)がフレーム10に取り付けられてもよい。
【0036】
第10,11図は、フレーム10に洋風便器1と手洗い装置4とを取り付けた構成例を示す、トイレルーム内の斜視図である。なお、第10図は洋風便器1側から見た図であり、第11図は手洗い装置4側から見た図である。また、第10,11図においては、フレーム10はカバー40によって覆われた状態にて図示されている。
【0037】
この実施の形態では、フレーム10の前面側に洋風便器1が取り付けられ、これと反対側(後面側)に手洗い装置4が取り付けられている。
【0038】
詳しい図示は省略するが、この実施の形態では、フレーム10の後面側の左右のピラー部12,12間に、所定高さにて手洗い装置取り付け片が架設され、この手洗い装置取り付け片に、取り付け金具を介して手洗い装置4が取り付けられている。
【0039】
もちろん、洋風便器1や手洗い装置4以外の衛生設備をフレーム10に取り付けることも可能である。フレーム10の前面及び後面だけでなく、左右の側面にも衛生設備を取り付けることができる。
【0040】
上記の実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、衛生設備取り付け用フレームの形状は、直方体状以外の形状(例えば円柱状など)とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態に係る衛生設備取り付け用フレームの設置構造を示す、床材敷設前のトイレルーム内の斜視図である。
【図2】図1のフレーム固定部付近の拡大斜視図である。
【図3】根太の下側から見たフレーム固定部付近の斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】床材敷設後のトイレルーム内の斜視図である。
【図6】施工完了後のトイレルーム内の斜視図である。
【図7】根太に補強部材を設けた構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図8】根太に補強部材を設けた別の構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図9】根太に補強部材を設けたさらに別の構成例を示す、根太のフレーム固定部付近の斜視図である。
【図10】フレームに洋風便器と手洗い装置とを取り付けた構成例を示す、トイレルーム内の斜視図である。
【図11】図10と反対側から見た、トイレルーム内の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 洋風便器
2 大引
3 根太
3a ボルト挿通孔
4 手洗い装置
10 フレーム
11 ロワフレーム
11b ボルト挿通孔
12 ピラー部
12a 洋風便器取り付け片
13 アッパーフレーム
14 タンク
20 ボルト
21 ナット
30 床材
40 カバー
50,50A,50B 補強部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生設備室の床から衛生設備取り付け用フレームを立設した衛生設備取り付け用フレームの設置構造において、
該衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、床材を挟み込むことなく直接に固定したことを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【請求項2】
請求項1において、該衛生設備取り付け用フレームが固定される前記根太の側面及び/又は下面に、補強部材が設けられていることを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記根太を上下方向に貫通するボルトにより、前記衛生設備取り付け用フレームが該根太に固定されていることを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【請求項1】
衛生設備室の床から衛生設備取り付け用フレームを立設した衛生設備取り付け用フレームの設置構造において、
該衛生設備取り付け用フレームを、木製の根太に対し、床材を挟み込むことなく直接に固定したことを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【請求項2】
請求項1において、該衛生設備取り付け用フレームが固定される前記根太の側面及び/又は下面に、補強部材が設けられていることを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記根太を上下方向に貫通するボルトにより、前記衛生設備取り付け用フレームが該根太に固定されていることを特徴とする衛生設備取り付け用フレームの設置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−309051(P2007−309051A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141668(P2006−141668)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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