説明

衝撃低減部材

【課題】従来の座屈構造ではエネルギー吸収が困難な薄型(特に1cm以下の厚さ)に形成することのできる衝撃低減部材及びこれを用いた衝撃低減部品を提供する。
【解決手段】液体、直径15μm以上、長さ500μm以上の繊維、及び粒子から構成される複合材料であって、前記粒子が、アスペクト比5以上の針状形状であることを特徴とする衝撃低減部材及びこれを封入してなる衝撃低減部品によって、上記課題は解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車に設置されるものであって、衝突時に衝撃を受ける乗員もしくは歩行者の保護のための衝撃低減部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より自動車の衝突後に乗員に加わる慣性力によって、ステアリング、内装材など二次衝突する際のエネルギーを緩和する装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の内装ピラーの裏面リブ構造に関する発明では、樹脂製のピラー裏面にエネルギー吸収に優れた構造を設け、短いストロークにして頭部障害値(HIC値)を低減できる構造が提案されている。
【0003】
また、歩行者保護に関しては、例えば、特許文献2に記載のエンジンフード裏面に関する発明では当該部位に座屈構造を設け、特許文献1と同じく頭部障害値を低減できる構造が提案されている。
【特許文献1】特開平9−220985号公報
【特許文献2】特開平7−285464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2のいずれの場合でも、これらの文献に記載されている従来構造より短いストロークでのエネルギー吸収は高いものの、座屈構造によるエネルギー吸収であるため、内装材料への設置にあっては、数cm(5cm程度)の厚さが必要であり、見栄えが悪くなること、エンジンフードの設置にあっては、衝突初期に歩行者が接触するバンパーへの適用が極めて困難であるという欠点がある。これらの欠点は、レイアウトに影響を及ぼさないような、1cm以下の厚さでのエネルギー吸収がこれらの座屈構造では得られないことに起因する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、従来の座屈構造ではエネルギー吸収が困難な薄型(特に1cm以下の厚さ)に形成することのできる衝撃低減部材及びこれを用いた衝撃低減部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これら特許文献1、2に記載の従来構造が、座屈構造であるがゆえに、硬さ変化が小さく、しかも座屈に応じて底付きして硬さが急激に上昇することによるものであることをつきとめ、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなることで衝突速度を低減しながら、徐々に柔らかくなっていく材料を発明し、従来の欠点を解決するに至った。
【0007】
すなわち本発明の目的は、液体、直径15μm以上、長さ500μm以上の繊維及び粒子から構成される複合材料であって、前記粒子が、アスペクト比5以上の針状形状であることを特徴とする衝撃低減部材により達成することができる。
【0008】
なた、本発明の他の目的は、自動車の内装および/または外装に上記衝撃低減部材を封入した複合物を設置したことを特徴とする歩行者もしくは乗員の衝撃低減部品により達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の衝撃緩衝部材によれば、衝突時の歪速度の高いときの針状形状粒子の凝集性(即ち、歪印加で針状形状粒子が凝集、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させること)を利用した従来にない薄型の衝撃緩衝部材を提供することができる。これによって、衝突のエネルギーを吸収し、乗員、歩行者の負傷を低減することができ、形状自由度が高く、また意匠性に悪影響を与えない安全な衝撃緩衝部品を提供することができる。
【0010】
また、この他に、本発明の衝撃緩衝部材及びこれを用いた衝撃緩衝部品では、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなることで衝突速度を低減しながら、徐々に柔らかくなっていく材料(複合材料)を用いることで、特に外部信号を必要とせずに、上記の硬度変化を提供できる点も利点として挙げることができる。これは、センサー、アクチュエータを必要としないことを意味し、経済的に優れるだけでなく、スペース効率、設置部位の選択自由度においても極めて有利な点となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の衝撃低減部材は、液体、直径15μm以上、長さ500μm以上の繊維及び粒子から構成される複合材料であって、前記粒子が、アスペクト比5以上の針状形状であることを特徴とするものである。これにより、衝突時の歪速度の高いときに、歪印加で針状形状粒子が凝集、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができ、衝撃を減速させながら衝突のエネルギーを吸収し、緩やかに底付きさせることができる。そのため、頭部障害値を大幅に低減できるなど、乗員、歩行者の負傷を低減することができる。特に、アスペクト比5以上の針状形状粒子では、通常時(非衝突時)でも、連鎖構造になっているので、衝突時の歪速度の高い、
また本発明の衝撃低減部材は、液状物であるため、任意の形状の容器に封入して用いることができるなど、形状自由度が高く、また薄型のシート状容器(特に形状自由度の高い樹脂製容器等)に封入して用いることもでき、こうした従来の座屈構造ではエネルギー吸収が困難な薄型(特に1cm以下の厚さ)の衝撃低減部品にあっても、上記したダイラタンシー(歪速度硬化性)を有効に発現させることができるため(後述する実施例参照のこと)、意匠性に悪影響を与えることなく内装ピラーの内側やエンジンフード(ボンネット)の裏側の形状に沿わせて適用ができるほか、従来適用が困難であったバンパーの内側などにも、その形状に沿わせて適用することができる点で優れている。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみに制限されることはない。
【0013】
図1は、本発明の衝撃低減部材が、衝突などにより外部から応力を受けた際の変化の様子を模式的に表した図面である。このうち図1Aは、本発明の衝撃低減部材の通常時(衝突などにより外部から応力を受けていない状態)の様子を模式的に表した図面であり、図1Bは、本発明の衝撃低減部材が、衝突などにより外部から応力を受けた時の様子を模式的に表した図面である。
【0014】
図1A、Bに示すように、本発明の衝撃低減部材11は、液体12、直径15μm以上、長さ500μm以上の繊維13、粒子14から構成される複合材料であって、前記粒子14はアスペクト比5以上の針状形状の粒子である。更に本発明の作用効果を損なわない範囲内において、アスペクト比5未満の球状形状の粒子(図示せず、以下、粒子14’とも記する。)を適量含んでいてもよい。図1では、アスペクト比5以上の針状形状の粒子14を用いた際の硬度変化の様子を示している。
【0015】
図1Aに示すように、針状形状の粒子14は、通常時は液体12に分散したコロイド状態で存在し、繊維13もまたこの液体12中に存在している。図1Bに示すように、本発明の衝撃低減部材11は、衝突などにより外部から応力を受けるなどして、圧縮方向に高い歪速度が与えられることによって、コロイド状態で分散していた針状形状の粒子14が凝集し、連鎖構造をとる。本発明では、粒子14近傍に繊維13が存在するため、針状形状の粒子14は、繊維13に沿って、特に表面エネルギーが安定する繊維13の長軸方向(繊維13が織布形態や不織布形態の場合には布表面の面内方向)に沿って凝集(図1Bのように針状形状の粒子14が粒子の長軸方向に重なるように並んで凝集する)、あるいは繊維13を端点にして凝集する特性を有する。このような粒子14の凝集によって、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができる(これにより、衝撃低減部材11の圧縮弾性率ないし粘度が変化することになる。)。したがって、前記衝撃低減部材11は、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなる(図1Bに示す状態に変化する)ことで衝突速度を低減しながら、徐々に柔らかくなっていく(図1Aに示す状態に回復する)特性を示す。本発明では、上記したような特性を有する複合材料により構成された衝撃低減部材11を用いることで、特に外部信号を必要とせずに、上記の硬度変化を提供できるものである。
【0016】
なお、図1C及び図1Dは、液体12に針状形状の粒子14と共に球状形状の粒子14’を分散した実施形態を表したものである。この場合にも、上記図1A、Bで説明したのと同様のメカニズムが得られる。即ち、図1Cに示すように、針状形状の粒子14及び球状形状の粒子14’は、通常時は液体12に分散したコロイド状態で存在し、繊維13もまたこの液体12中に存在している。図1Dに示すように、衝撃低減部材11は、衝突などにより外部から応力を受けるなどして、圧縮方向に高い歪速度が与えられることによって、コロイド状態で分散していた針状形状の粒子14及び球状形状の粒子14’が凝集し、連鎖構造をとる。本発明では、粒子14及び14’近傍に繊維13が存在するため、針状形状の粒子14及び球状形状の粒子14’は、繊維13に沿って、特に表面エネルギーが安定する繊維13の長軸方向(繊維13が織布形態や不織布形態の場合には布表面の面内方向)に沿って凝集(図1Dのように針状形状の粒子14が粒子の長軸方向に重なるように並んで凝集し、更にこれらの粒子間やその隙間に球状形状の粒子14’が入り込むようにして凝集する)、あるいは繊維13を端点にして凝集する特性を有する。このような粒子14及び14’の凝集によって、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができる(これにより、衝撃低減部材11の圧縮弾性率ないし粘度が変化することになる。)。したがって、衝撃低減部材11は、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなる(図1Dに示す状態に変化する)ことで衝突速度を低減しながら、徐々に柔らかくなっていく(図1Cに示す状態に回復する)特性を示す。本実施形態でも、上記したような特性を有する複合材料により構成された衝撃低減部材11を用いることで、特に外部信号を必要とせずに、上記の硬度変化を提供できるものである。
【0017】
以下、本発明につき、各構成要件ごとに、より詳しく説明する。
【0018】
(1)粒子14
(i)粒子の形状(アスペクト比及び粒子の(断面)直径)
本発明の衝撃低減部材に用いられる複合材料を構成する粒子14は、アスペクト比5以上、好ましくは5〜100、より好ましくは20〜100、特に好ましくは50〜100の針状形状であることを特徴とするものである。
【0019】
ここで、粒子のアスペクト比および粒子の(断面)直径は、透過型電子顕微鏡で観察した100個の粒子の平均値を意味する。アスペクト比は、図8Aに示すように、粒子の長径(長軸長さ)の最大値(L)と、短径方向(短軸方向)の断面の長径Lおよび短径Lの平均値(L=(L+L)/2)との比(L/L)として求められる(ここで、L≧Lであり、L=Lの場合は断面形状が円形である)。次に、粒子の(断面)直径は、粒子の短径方向(短軸方向)の断面の長径Lおよび短径Lの平均値(L)を意味する。なお、粒子が中空形状や海島形状の場合でも、図8Aの中実粒子と同様に、図8Bに示すようにして、粒子のアスペクト比および粒子の(断面)直径を求めることができる。なお、アスペクト比5未満の球状形状の粒子についても、同様の方法で測定することができる。後述するアスペクト比5未満の球状形状の粒子の平均粒径とは、アスペクト比の算出に用いた粒子のLとLの平均値(L+L)/2を用いるものとする(ここで、L≧Lであり、球状形状の粒子の場合には、L=L(=L=L)である。)。
【0020】
また、後述する繊維13の直径および繊維の長さは、走査型電子顕微鏡で観察した5個の繊維の平均値を意味する。繊維の(断面)直径は、図8Cに示すように、繊維(の短径方向)の断面の長径Lおよび短径Lの平均値(L=(L+L)/2)を意味する(ここで、L≧Lであり、L=Lの場合は断面形状が円形である)。繊維の長さは、繊維の長径(長軸長さ)の最大値(L)を意味する。なお、繊維が中空形状や海島形状の場合でも、図8Cの中実繊維と同様に、図8Dに示すようにして、繊維の直径および繊維の長さを求めることができる。
【0021】
粒子14は、球体(球状形状)ではなく、5以上のアスペクト比を有する針状形状であることによって、5未満、特に3以下のアスペクト比を有する球体(球状形状)の粒子14’を用いる場合に比して、低い粒子濃度でも該粒子に高い歪速度が与えられることで凝集を起こすことができる。粒子が針状形状であれば、球状形状の粒子14’よりも表面エネルギーが大きいためである。その結果、衝撃低減部材を用いた自動車等では、従来にない薄い衝撃低減部品構造で、衝突のエネルギーを吸収し、乗員、歩行者の負傷(頭部障害値)を有効に低減することができる。粒子14のアスペクト比は、高いほど凝集しやすい傾向があり、また粒子14の断面直径が小さいほど凝集しやすい傾向にある。本発明者らの検討では、こうした凝集は、粒子14の断面直径が1000nm以下である場合に好適に起こり得るものである。これは、針状形状の粒子14の断面直径が1000nm以下であれば、自動車の衝突において、乗員、歩行者が受ける歪速度である10〜10000(1/s)の範囲内で粒子14の凝集を起こすことができるためである。かかる観点からは、粒子14の断面直径の上限は、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下であることが望ましい。一方、針状形状の粒子14の断面直径の下限は5nm以上が必要である。針状形状の粒子14の断面直径が5nm以上であれば、事前(=図1Aに示すように、通常時であって、衝突などにより外部から応力を受けるなどして、圧縮方向に高い歪速度が与えられていない状態)に粒子が凝集することなく、安定に液体に分散させることができ、本発明が意図する歪速度に応じて凝集状態が変化する、というメカニズムが得られる。また本発明者らは、アスペクト比5以上の針状形状の粒子14を合成しているが、断面直径が5nm未満の針状形状粒子は極めて製造が困難で、実質的に製造が困難である。かかる観点から、針状形状の粒子14の断面直径の下限は、好ましくは5nm以上であることが望ましい。以上のことから粒子14の断面直径としては、5〜1000nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは5〜20nmの範囲である。
【0022】
(ii)粒子濃度
粒子14の濃度は、粒子の直径(L)、アスペクト比(L/L)に依存するが、歪速度10〜10000(1/s)の範囲内で粒子14が凝集を起こすためには、粒子濃度、粒子直径およびアスペクト比は、概ね下記の関係式を満たすことが好ましい。後述の液体12への分散性からは、粒子14の濃度は40vol%以下であることが分散安定性の点で相応しい。粒子14の濃度が40vol%を超える場合には、通常時(図1Aの状態)に針状形状の粒子が凝集してしまうおそれがある。粒子14の濃度の下限については、本発明者らが実施した実験からは、5vol%が最低量である。粒子14の凝集は、下記の関係式にしたがって起こる傾向にあるが、粒子濃度に従う凝集の度合いを考慮すると、5vol%が下限となる。したがって、粒子14の濃度は、液体12、繊維13、および粒子14から構成される複合材料の体積に対して、5〜40vol%、好ましくは10〜40vol%、より好ましくは10〜20vol%である。
【0023】
上記に規定した粒子の濃度は、アスペクト比5以上の針状形状の粒子の濃度であるが、本発明の衝撃低減部材では、後述するように、更に本発明の作用効果を損なわない範囲内において、アスペクト比5未満の球状形状の粒子14’を適量混合した粒子(14+14’)を用いてもよい。こうした場合の粒子(14+14’)の濃度についても、下記の関係式を満足するのが望ましく、液体への分散安定性、およびの粒子濃度に従う凝集の度合いを考慮すると、液体12、繊維13、および粒子14及び粒子14’から構成される複合材料の体積に対して、5〜40vol%、好ましくは10〜40vol%、より好ましくは10〜20volとするのが望ましい。この場合、下記関係式のアスペクト比、粒子濃度、粒子直径は、いずれも粒子(混合物)全体について測定した値を用いるものとする。
【0024】
【数1】

【0025】
(iii)粒子の材質
粒子14の材質に関しては、衝撃低減部材を用いた従来にない薄い構造で、衝突時の歪速度の高いときに、硬くなることで衝突速度を低減しながら徐々に柔らかくなるのに適した材質からなる粒子であればよく、特に限定されない。例えば、アルミナ(ベーマイト(γアルミナ)、αアルミナなど)、シリカ、チタニア、ジルコニア、カルシア(酸化カルシウム)などの粒子を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。上記の粒子直径、アスペクト比を経済的に有利に得るためには、アルミナ粒子がもっとも相応しい。本発明者らは、アルミナ原料を用いて、種々の温度、原料濃度で実施し、本発明に規定する、粒子の直径(短軸径)5〜1000nm、アスペクト比5以上の針状形状のアルミナ粒子を得ることができた。なお、本発明者らが実施例で製造したアルミナ粒子は、X線回折の結果から、ベーマイト(γアルミナ1水和物)であるが、後述するようにαアルミナの針状形状粒子も製造可能である。具体的には、後述する粒子の製造方法の項にて、説明する。
【0026】
(iv)粒子の製造方法
粒子14の製造方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の製造方法を用いることができる。例えば、本発明者らは、アルミナ原料を用いて、種々の温度、原料濃度で実施し、本発明に規定する粒子直径5〜1000nm、アスペクト比5以上の針状形状のものを製造する方法などを用いることができる。
【0027】
具体的には、例えば、(1)特開2006−62905号公報に記載の製造方法のように、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜80であって、一般式Al・nHOで表されるアルミナ粒子の製造方法(一般式においてn=1であり、前記アルミナ粒子がベーマイト(γアルミナ1水和物)であるものの製造方法に適したものである。更に、アルミナ粒子が内部に中空部を有するものに適した製造方法でもある。)であって、アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する工程と、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す工程と、前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す工程と、前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す工程と、前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施す工程と、を具えることを特徴とする、アルミナ粒子の製造方法により製造することができる。
【0028】
この際、前記アルミニウム金属塩水溶液濃度と前記アルカリ水溶液濃度との比は、モル比において、1:2〜4であることが望ましい。
【0029】
また、前記アルミニウム金属塩水溶液の濃度は、1.0M〜3.0Mであることが望ましく、前記アルカリ水溶液の濃度は、4.0M〜10.0Mであることが望ましい。
【0030】
更に、前記反応混合物のpHを変化させることにより、前記ベーマイト粒子の形態を変化させることが望ましい。
【0031】
また、前記第1の熱処理における前記第1の温度は、室温から140℃の温度範囲であることが望ましい。
【0032】
更に、前記第2の熱処理における前記第2の温度は、140℃〜250℃の温度範囲であることが望ましい。
【0033】
更にまた、前記第3の熱処理における前記第3の温度は、130℃以下の温度範囲であることが望ましい。
【0034】
また、前記第2の熱処理における前記第2の温度から、前記第3の熱処理における前記第3の温度までの冷却時間が10分以内であることが望ましい。
【0035】
更に、前記第4の熱処理における前記第4の温度は、100℃〜180℃の温度範囲であることが望ましい。
【0036】
あるいは、(2)特開2006−62905号公報に記載の他の製造方法のように、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜400nm、アスペクト比が5〜80であって、一般式Al・nHOで表されるアルミナ粒子の製造方法(一般式においてn=0であり、前記アルミナ粒子がαアルミナであるものの製造方法に適したものである。更に、アルミナ粒子が内部に中空部を有するものに適した製造方法でもある。)であって、アルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する工程と、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第1の温度で第1の熱処理を施す工程と、前記第1の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第1の熱処理における前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を施す工程と、前記第2の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を前記第2の熱処理における前記第2の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を施す工程と、前記第3の熱処理の後、前記ゲル状物質を含む前記反応混合物を室温以上の第4の温度で第4の熱処理を施す工程と、前記第4の熱処理を経て得たベーマイト粒子に対して焼成処理を施す工程と、を具えることを特徴とする、アルミナ粒子の製造方法により製造することができる。
【0037】
この際、前記アルミニウム金属塩水溶液濃度と前記アルカリ水溶液濃度との比が、モル比において、1:2〜4であることが望ましい。
【0038】
また、前記アルミニウム金属塩水溶液の濃度は、1.0M〜3.0Mであることが望ましく、前記アルカリ水溶液の濃度は、4.0M〜10.0Mであることが望ましい。
【0039】
更に、前記反応混合物のpHを変化させることにより、前記ベーマイト粒子の形態を変化させることが望ましい。
【0040】
また、前記第1の熱処理における前記第1の温度は、室温から140℃の温度範囲であることが望ましい。
【0041】
更に、前記第2の熱処理における前記第2の温度は、140℃〜250℃の温度範囲であることが望ましい。
【0042】
更にまた、前記第3の熱処理における前記第3の温度は、130℃以下の温度範囲であることが望ましい。
【0043】
また、前記第2の熱処理における前記第2の温度から、前記第3の熱処理における前記第3の温度までの冷却時間が10分以内であることが望ましい。
【0044】
更に、前記第4の熱処理における前記第4の温度は、100℃〜180℃の温度範囲であることが望ましい。
【0045】
なお、本発明者らが実施例で製造したアルミナ粒子は、X線回折の結果から、ベーマイト(γアルミナ1水和物)であるが、上記したようにαアルミナも製造可能である。
【0046】
更に、(3)特願2004−259933号に記載の製造方法により製造することもできる。
【0047】
また、従来公知の方法により、本願発明に規定するアスペクト比5以上の針状形状の他の材質(アルミナ以外の材質)による粒子を得ることもできる。
【0048】
(v)球状形状の粒子14’
前記粒子14はアスペクト比5以上の針状形状の粒子であるが、更に本発明の作用効果を損なわない範囲内において、アスペクト比5未満の球状形状の粒子14’を適量含んでいてもよい。これは、安価に粒子を得るためには、アスペクト比の高い粒子だけでなく、安価に製造乃至入手可能なアスペクト比の低い粒子も併用し増量することが有効な手段となるためである。例えば、一般に知られているシリカ粒子の場合、球体に近い形状のため、アスペクト比は低下してしまうが、粒子を増量する上で、安価なシリカ粒子を用いることで部材もまた安価に提供することが可能となる。
【0049】
上記球状形状の粒子14’の形状としては、アスペクト比5未満、好ましくは1以下、より好ましくは1〜2の範囲である。
【0050】
球状形状の粒子14’の平均粒径としては、5〜1000nm、好ましくは5〜50nm、より好ましくは5〜20nmである。かかる球状形状の粒子14’の平均粒径に関しては、上記針状形状の粒子直径と同様の理由が当てはまるものであり、球状形状の粒子14’の平均粒径が小さいほど凝集しやすい傾向にある。こうした凝集は、球状形状の粒子14’の平均粒径が1000nm以下であることが必要である。球状形状の粒子14’の平均粒径が1000nmを超える場合、自動車の衝突において、乗員、歩行者が受ける歪速度である10〜10000(1/s)の範囲内で凝集が極めて起こりにくいからである。一方、下限は5nm以上が必要である。平均粒径5nm未満の粒子14’は事前(=図1Cに示すように、通常時であって、衝突などにより外部から応力を受けるなどして、圧縮方向に高い歪速度が与えられていない状態)の凝集が強く安定分散ができないため、本発明が意図する歪速度に応じて凝集状態が変化する、というメカニズムを得ることが困難となるおそれがある。球状形状の粒子14’の平均粒径が5nm未満の粒子は製造が困難で、実質的に製造が困難という点もある。なお、ここでいう、球状形状の粒子14’の平均粒径の測定方法に関しては、アスペクト比5以上の針状形状の粒子14の項で既に説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0051】
球状形状の粒子14’の材質としては、特に制限されるものではないが、上記の如く、安価に製造乃至入手可能なものであることが望ましく、かかる観点からは、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
【0052】
アスペクト比5以上の針状形状の粒子14の配合量(M)と、アスペクト比5未満の球状形状の粒子14’との配合量(M)との比率(M:M)は、上記に規定する粒子(14+14’)の濃度を満足する範囲において、M:M=100:0〜100、好ましくは100:25〜100、より好ましくは100:25〜50の範囲を満足するのが望ましい。一方、M100質量部に対してMが100質量部以下であれば、球状形状の粒子14’よりも表面エネルギーが大きい針状形状の粒子14の配合量が相対的に高く保持できるため、本発明の作用目的の1つである低い粒子濃度での凝集を有効に発現させることができる点で優れているほか、粒子濃度を下げられるので、流体12、繊維13、粒子14及び粒子14’から構成される複合材料の密度を下げることができる。M100質量部に対するMの下限は特に制限されるものではないが、25質量部以上であれば、球状形状の粒子14’の配合量を相対的に高くすることができるため、安価に粒子を得ることができる点で優れている。
【0053】
(2)繊維13
次に繊維13について説明する。
【0054】
(i)繊維13の直径(L
繊維13は粒子(針状形状の粒子14、更に球状形状の粒子14’が配合される場合には、当該球状形状の粒子14’を含むものとする)の凝集を補助する役目と、衝撃低減部材11自体の形状安定性を担うものであることから、繊維13の直径は、重要なパラメータとなる。しっかりしたものが必要な場合は、繊維直径は大きい方が良く、逆にしなやかなものが必要であれば、繊維直径の小さいものが好ましい。但し、繊維直径が15μmを下回ると、粒子14、14’の凝集力が低下する傾向があるので、下限としては15μmが必要である。かかる観点から、繊維13の直径の下限としては、好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上である。繊維13の直径の上限については、特に限定は無いが、本数が著しく減少し、粒子14、14’の凝集が起こりにくくなることから、実質的には1mm程度が上限となる。繊維13の直径の上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【0055】
(ii)繊維13の長さ(L
繊維13の長さは、500μm以上が必要である。これは、繊維13に粒子14、14’が集まるため、繊維13が短いと粒子14、14’の凝集塊が小さくなり、凝集力が低下するためである。また、繊維13が短いと、通常時(図1Aの状態)に液体12中に安定的に分散しにくく、沈殿するおそれがあるためでもある。繊維13を柱にして、粒子14、14’が凝集するため、上述の繊維13の直径15μm以上で、500μm以上が必要な範囲となる。より好ましくは、繊維13の長さは10mm以上、さらに好ましくは1000mm以上である。繊維13の長さの上限は、任意である。例えば、繊維の形態が後述の織布や不織布の場合のように、限定はない。即ち、自動車の内装および/または外装に当該衝撃低減部材を封入した複合物を設置した衝撃低減部品の場合には、当該衝撃低減部品全体をカバーするような形状に切り出した織布ないし不織布形態の繊維を用いるのが望ましいが、これらに何ら制限されるものではない。織布や不織布ではなく、繊維(長繊維ないし短繊維の形態)のままで液体中に分散させる場合にも長さの上限はない。
【0056】
(iii)繊維13の材料(材質)
本発明者らが種々の繊維で検討を行った結果、粒子14、14’の凝集に関しては、繊維13の影響が、粒子濃度などの値に比べて極めて影響が小さいことが分かった。
【0057】
よって、繊維13の材料(材質)としては、特に制限されず、例えば、アラミド繊維、ナイロン(登録商標)繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維などの有機繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、金属繊維、炭素繊維(カーボンファイバー)などの無機繊維が用いられうる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。繊維の材質及び織り方の形態によって、衝撃低減部材11の貫通性は大きく影響を受けるため、特に耐貫通性を高めたい場合は、強度の高い繊維材料を選ぶことが望ましい。耐貫通性を高めたい場合は、アラミド繊維を用いることが好ましい。これは、繊維13にアラミド繊維とナイロン繊維とをそれぞれ用いて実施した場合に、ややアラミド繊維の方が、耐貫通性には優れている傾向が見られたためである。よって、本発明では、上記した種々の繊維を用いた硬度変化特性(=本発明が意図する歪速度に応じて凝集状態が変化する、というメカニズム特性)や耐貫通性等の特性を予め測定しておくことで、要求特性に応じた繊維を好適に選択することができる。但し、耐貫通性については、設置される部位によって要求特性が変わるので、特にここでは限定しない。
【0058】
(iv)繊維13の形態
繊維13の形態については、特に制限されるものではなく、繊維を、長繊維ないし短繊維などの単繊維の形態のまま使用してもよいほか、こうした繊維を編んだ形態、織った形態、これら編み、織りしたものを積層した形態、不織布(繊維と繊維を適当な熱や接着剤、あるいは高圧水流のような物理的・化学的手段や機械的手段を用いて絡ませたり接着したりして作る布状シート)の形態などを用いてもよい。これらの形態は、1つの形態で用いてもよいし、2種以上の形態を併用しても良い。繊維13の形態としては、織布、不織布であることが望ましい形態である。織布、不織布の形態で用いる場合、単繊維に比べて取り扱いが容易であり、混合しやすい(特に衝撃低減部材を封入した複合物一面に存在させやすい)ため、液体12、粒子14、繊維13の複合工程(混合分散する工程)にあたって、繊維13の混合が簡単に行えるようになる。また、織布、不織布の形態で用いる場合、例えば、自動車の内装や外装の衝撃低減部品の設置面の一面(全面)に繊維13が存在することになり(後述する図5A参照のこと。)、耐貫通性がもっとも有利になり、破壊強度を高めることに寄与する。特に自動車のドア部品などに設置する場合には、その利点を享受することができる。
【0059】
(v)繊維13の混合割合
繊維13の混合割合は、液体12、繊維13、および粒子14、14’から構成される複合材料の体積に対して、3〜30vol%、好ましくは10〜30vol%である。繊維13の混合割合が10vol%以上の場合には、低い濃度の粒子14、14’を用いた場合でも、高い歪速度が加えられた際に、粒子14、14’近傍に繊維13が存在するため、粒子14(14’)は繊維13に沿って凝集、あるいは繊維13を端点にして凝集し、連鎖構造をとることができる。これにより本発明が意図する歪速度に応じて凝集状態が変化するというメカニズムを得ることができる。一方、繊維13の混合割合が30vol%以下の場合、より低い濃度の粒子14、14’を用いても、高い歪速度が加えられた際に、低濃度の粒子14、14’近傍に繊維13がより確実に存在するため、低濃度の粒子14(14’)が効果的に繊維13に沿って凝集、あるいは繊維13を端点にして凝集し、連鎖構造をとることができる。これにより本発明が意図する歪速度に応じて凝集状態が変化するというメカニズムを得ることができる。繊維13の混合割合が30vol%を超えると、相対的に粒子の濃度が低下することになるため、歪速度に応じて凝集、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることで凝集状態が変化するというメカニズムを得るのが困難となるおそれがある。また、繊維13の混合割合が3vol%以上、好ましくは5vol%以上の場合には、このような連鎖構造を発現させるための粒子量を多くせざるを得なくなるおそれもなく好適である。
【0060】
(3)液体12
次に液体12について説明する。
【0061】
(i)液体の材料(材質)
液体12は、環境温度に対して液体自体が変質、変態しないことが不可欠である。また、粒子14、14’を安定的に分散させることができるものが望ましい。なお、粒子の分散性に関しては、必要に応じて、適当な分散安定剤(例えば、パラトルエンスルホン酸等)を加えて、粒子14、14’、更には単繊維(織布の場合には、特に分散させなくとも、図5Aに示すように液体中に存在させるようにしてもよい)を安定的に分散させるようにしてもよい。自動車用途としては、部位にもよるが−40℃〜90℃の温度域に対して、これらの特性を維持する必要がある。かかる観点から、自動車用途での液体12としては、−40℃〜90℃の温度域で変質、変態しないものが望ましい。この点から、水系のものは使用が困難である。上述の針状形状のアルミナ粒子14、更には球状形状のシリカ粒子14’などの粒子を安定的に分散する上で、エタノール、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、エチレングリコール等の液体が好ましく用いられうる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。火災、揮発の防止という観点では、エチレングリコールが最も適している。
【0062】
(ii)液体12への粒子14、14’の分散安定性を改善する手段
液体12への分散を安定させるための粒子14、14’の処方については、既存の任意の手法を用いることができる。例えば、上述の針状形状のアルミナ粒子14、更には球状形状のシリカ粒子14’のいずれにおいても、粒子表面には水酸基を有しているため、水以外の液体には分散しにくい傾向がある。そこで、粒子14、14’の処方(表面処理ないし表面改質方法)としては、リン酸、スルホン酸、カルボン酸などの有機酸による処理、またはシランカップリング剤、チタンカップリング剤などによる疎水化処理等によって、エチレングリコールなどの有機溶媒(液体12)に十分分散を安定させることができる。なお、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸などの分散剤(分散安定剤)を加えてもよい。
【0063】
(4)その他の添加剤
本発明の衝撃低減部材の複合材料には、上記液体、繊維及び粒子の他にも、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、更に必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体)、他の添加剤、p−トルエンスルホン酸などの分散剤(分散安定剤)、水等の添加剤を適量配合して用いてもよい。
【0064】
次に、本発明の歩行者もしくは乗員の衝撃低減部品は、自動車の内装および/または外装に本発明の衝撃低減部材を内包した複合物を設置したことを特徴とするものである。
【0065】
本発明の衝撃低減部品22は、以上説明してきた、液体12、粒子14、繊維13から構成される複合材料(=衝撃低減部材11)を適当な封入容器21に内包(封入)した構造体(=複合物)を自動車の内装や外装に用いることで、乗員や歩行者の障害を低減できる衝撃低減部品(自動車内装のピラーや外装のバンパーフードなど)を提供することができる。
【0066】
(i)封入容器21の材質
複合材料(=衝撃低減部材11)を封入するのに用いられる封入容器21の材質(包材)としては、使用目的に応じて、適宜決定すればよく、例えば、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂製のシートや容器に内包したもの、金属と樹脂の多層シート(ラミネートシート)に内包したもの、アルミニウム等の金属製の容器に内包したものなどを用いることができる。これらは、衝突時に、内容物の衝撃低減部材が歪印加で針状形状粒子が凝集、高濃度化し、ダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができるように、素早くかつ容易に変形するものを用いる必要がある。好ましくは、形状自由度が得られやすくい材質のものを用いるのが望ましく、ポリエステル、ポリウレタンなどを好適に利用することができる。
【0067】
(ii)封入容器21の厚さ
封入容器の厚さは、用いる材質の種類によって強度や変形のし易さなどが異なることから、一義的に規定するのは困難であり、事前に実施例に示すような実験を通じて、最適な厚さを決定すればよい。特に衝撃低減部材全体の厚さを1cm以下にするのが望ましいことから、封入容器の厚さは4〜8mm、好ましくは4〜6mmである。封入容器の厚さが4mm以上あれば、形状保持性が優れるほか、衝突時に加わる衝撃で、容器が破損して内容物が漏出することなく、所望のダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させることができる程度の適度な強度を保持することができる。一方、封入容器の厚さが1cm以下、好ましくは8mm以下、とりわけ6mm以下であれば、衝撃低減部材全体の厚さを薄くすることができ、種々の適用先が選定できるようになる。特に、内装材(例えば、内装ピラー)などに利用するような場合、エアバックが動作する20ms程度(衝突からの時間)の短時間で、衝撃低減部材にダイラタンシー(歪速度硬化性)を発現させ、硬さのピークを持っていくことができ、頭部障害値(HIC値)を低減でき、乗員の安全を確保することができる点で優れている。また、歩行者に対しても、衝突から20ms程度の短時間で硬さのピークを持っていくことにより、頭部障害値に代表される人体へのダメージを低減できる点で優れている。
【0068】
(iii)封入容器21の形状
封入容器の形状は、特に制限されるものではなく、使用目的に応じて適宜決定すればよい。そのため、例えば、図5に示すような、同じ厚さの封入容器にしてもよいし、適用部位に応じて、凹凸形状や湾曲形状を有するような封入容器を用いてもよい。
【実施例】
【0069】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例に示す形態のみに制限されるわけではない。
【0070】
なお、以下の実施例、比較例における吸収エネルギーは、以下の方法にて計測した結果であり、撃芯が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測した。
【0071】
<吸収エネルギーの計測方法>
・ASTM D3763「Standard test method for high−speed punncture propertise of plastic」に従って計測した。
【0072】
・試験条件
撃芯;φ1/2インチ
先端;R1/4インチ
荷重;125N
試験温度;23℃
衝突初期の歪速度;2200 1/s
また、以下の実施例、比較例における粒子および繊維の形状、長さ、断面は、以下の分析方法および分析機器にて計測した結果である。
【0073】
<(a)粒子形状の計測方法>
試料(アルミナ粒子またはシリカ粒子)を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡(TEM)にて、その試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
【0074】
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕微鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<(b)粒子長さの計測方法>
上記(a)での透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子の長さを測定した。粒子の短軸長さ(直径ないし短軸径)、長軸長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定するものとした。
【0075】
ソフト名:Scion Image for Windows(登録商標) Scion corp.
<(c)粒子断面の計測方法>
凍結乾燥して得られた粒子(アルミナ粒子またはシリカ粒子)をエボキシ樹脂に入れ、粒子を樹脂に包理した。硬化した樹脂を常温にてウルトラミクロトームを用いて厚さ約60〜100nmに薄片化した。その後、TEM用グリッドに薄片をつけ、観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕徹鏡像を300KV、40万倍にて撮影し、観察した。
【0076】
・エポキシ樹脂:EPON812応研商事株式会社
・ウルトラミクロトーム:FC−S型ミクロトームREICHERT社
・透過型電子顕微鏡:H−9000株式会社日立製作所
<(d)繊維の長さ、直径の計測方法>
乾固させた試料を走査電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて繊維の長さ、直径を測定するものとした。
【0077】
また、以下の実施例1〜5で用いた直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子は、以下の製造方法により、作製したものを使用した。
【0078】
<針状形状のアルミナ粒子の製造方法>
機械攪拌機を備えたテフロン製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ150℃で、1日加熱を続けた(第4の熱処理)。
【0079】
その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶を得た。この無色結晶はX線回折の結果、ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ100nm、短軸長さ(径)10nm、アスペクト比が約10の針状であることが判明した。
【0080】
(実施例1)
図2に記載の厚さ1mmの袋状のポリエステルシート21(外形10cm×10cm)に、下記の液体12、繊維13および粒子14の混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)160cmを充填した。図3及び図4に記載のように全周5mmの圧着しろ(圧着部)23をとって封入し、封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製した。図4における封入体22の厚さ(H)は約20mmである。
【0081】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ガラス繊維、直径(L)15μm、長さ(L)500μm
粒子14;直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子14=90:5:5
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、460Jのエネルギー吸収が計測された。
【0082】
(実施例2)
混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)を以下のものに代えたこと以外は、実施例1と同様に封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製し、吸収エネルギーを計測した。
【0083】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ガラス繊維、直径(L)15μm、長さ(L)500μm
粒子14;直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子14=80:5:15
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、420Jのエネルギー吸収が計測された。
【0084】
(実施例3)
混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)を以下のものに代えたこと以外は、実施例1と同様に封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製し、吸収エネルギーを計測した。
【0085】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ガラス繊維、直径(L)15μm、長さ(L)500μm
粒子14;直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子14=55:5:40
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、660Jのエネルギー吸収が計測された。
【0086】
(実施例4)
混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)を以下のものに代えたこと以外は、実施例1と同様に封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製し、吸収エネルギーを計測した。
【0087】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ナイロン繊維を用いた織布形態;繊維の直径(L)130μm、繊維の長さ(L)(=織布の1辺の長さ)90mm、織布の厚さ(図5Bの符号h参照)270μm、織布の糸間距離(=縦糸13a間ないし横糸13b間;図5Bの符号d参照)155μm、織布の空隙率30%
粒子14;直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子14=70:5:25
なお、本実施例では、ナイロン繊維を用いた織布形態の繊維13は、図5Aに記載のように、2枚使用した。このナイロン繊維を用いた織布形態の繊維13の大きさは、封入体(複合物=衝撃低減部品)22内の大きさに相当するサイズ、即ち、縦90mm×横90mm×厚さ270μmのものを用いた。また、本実施例でも、図2の袋状のポリエステルシート21に、上記液体12、繊維13および粒子14の混合物160cmを充填し、封入したが、ここでは、これら混合物のうち、まず2枚の繊維13を図5Aのように袋状のポリエステルシート21内に挿入し、その後、液体12と粒子14の混合物を充填し、封入した。
【0088】
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、840Jのエネルギー吸収が計測された。
【0089】
(実施例5)
液体12、繊維13および粒子14の混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)を下記の液体12、繊維13、粒子14及び粒子14’の混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)に代えたこと以外は、実施例1と同様に封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製し、吸収エネルギーを計測した。
【0090】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ナイロン繊維を用いた織布形態;繊維(L)の直径130μm、繊維の長さ(L)(=織布の1辺の長さ)90mm、織布の厚さ(図5Bの符号h参照)270μm、織布の糸間距離(=縦糸13a間ないし横糸13b間;図5Bの符号d参照)155μm、織布の空隙率30%
粒子14;直径(L)10nm、長さ(L)100nmのアスペクト比10の針状形状のアルミナ粒子
粒子14’;平均粒径15nm(即ち、直径(L)15nm、長さ(L)15nm)のアスペクト比がほぼ1)の球状形状のシリカ粒子
アルミナ粒子14とシリカ粒子14’は、1:1(体積比)で混合した。
【0091】
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子(14+14’)=70:5:25
なお、本実施例でも、ナイロン繊維を用いた織布形態の繊維13は、図5Aに記載のように、2枚使用した。このナイロン繊維を用いた織布形態の繊維13の大きさは、封入体(複合物=衝撃低減部品)22内の大きさに相当するサイズ、即ち、縦90mm×横90mm×厚さ270μmのものを用いた。本実施例でも、図2の袋状のポリエステルシート21に、上記液体12、繊維13、粒子14及び粒子14’の混合物160cmを充填し、封入したが、ここでは、これら混合物のうち、まず2枚の繊維13を図5Aのように袋状のポリエステルシート21内に挿入し、その後、液体12、粒子14及び粒子14’の混合物を充填し、封入した。
【0092】
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、780Jのエネルギー吸収が計測された。
【0093】
(比較例1)
従来構造(座屈構造)を模擬したものとしてポリプロピレンにて、図6及び図7に記載の形状のリブ付き板67とリブなし板79を(嵌め)合わせた衝撃低減部品を用いて、実施例1などと同じエネルギー吸収の計測を行った。
【0094】
ここで、図6は、リブ68付き板67で、ベース部分の板67は、板厚2mmであり、リブ68部分は、リブ肉厚1mm、リブ高さ16mmである。リブ68は、7mm間隔で9本設置されている。図7Aは、図6のリブ付き板に(嵌め)合わせる板79で、板厚2mmのリブなし板である。図7Bに示すように、図6及び図7Aに記載の形状のリブ68付き板67とリブなし板79を(嵌め)合わせることで衝撃低減部品71が形成されている。
【0095】
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、280Jのエネルギー吸収が計測された。
【0096】
(比較例2)
混合物(複合材料=衝撃緩衝部材11)を以下のものに代えたこと以外は、実施例1と同様に封入体(複合物=衝撃低減部品)22を作製し、吸収エネルギーを計測した。
【0097】
液体12;エチレングリコール
繊維13;ガラス繊維、直径(L)15μm、長さ(L)500μm
体積混合割合;液体12:繊維13:粒子14=95:5:0
上記の計測条件によって、撃芯41が停止するまでに吸収されたエネルギーを計測し、貫通に要する吸収エネルギーを算出した結果、20Jのエネルギー吸収が計測された。
【0098】
実施例1〜5及び比較例1、2の結果を表1に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
表1に示すように、実施例1〜5と比較例1〜2との比較から、本発明の衝撃低減部材及びこれを用いた衝撃低減部材は、薄い構造にもかかわらず、高いエネルギーを吸収することができることが確認できた。このことから、自動車等の衝撃緩衝が必要な部位に好適に利用できることが分かる。
【0101】
なお、上記実施例と比較例とで対比可能なように、衝撃低減部品(封入体)の厚さを2cmとしているが、これは、比較例1の座屈構造では、これ以下にすると、もはやエネルギー吸収が困難であり、衝撃低減部品として体をなさず対比困難なため、2cmとしたものである。一方、上記実施例では、本発明の目的である、内装材(例えば、内装ピラー裏面)への設置や外装材(例えば、エンジンフード裏面やバンパー)への設置にあって、レイアウトや見栄え(意匠性)に影響を及ぼさないような薄型(特に、1cm以下の厚さ)でも、十分なエネルギー吸収ができることを特徴とするものである。かかる観点から、本実施例1〜5について、さらに混合物(衝撃低減部材)の充填量を変えて、厚さ1cmと0.5cmの衝撃低減部品(封入体)を作製し、エネルギー吸収を計測したが、上記表1に示す高いエネルギー吸収値と大差のない結果が得られることが確認できた。この際、実施例1〜3では混合物の体積混合割合は変えずに充填量のみ変えて厚さの異なる衝撃低減部品(封入体)を作製した。また実施例4、5では、繊維13に同じ織布を用い、液体と粒子の体積混合割合は変えずに、液体と粒子の混合物の充填量のみ変えて厚さの異なる衝撃低減部品(封入体)を作製した。
【0102】
本発明を実施例により詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨内であれば種々の変形が可能である。液体、繊維、粒子の他に加える、酸化防止剤及び熱安定剤等の添加剤、これらを包む素材に関しても適宜用途に応じて改変可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1A】本発明の衝撃低減部材が、衝突などにより外部から応力を受けた際の変化の様子を模式的に表した図面である。このうち図1Aは、アスペクト比5以上の針状形状の粒子を用いた場合における、本発明の衝撃低減部材の通常時(衝突などにより外部から応力を受けていない状態)の様子を模式的に表した図面である。
【図1B】図1Bは、図1Aで用いた本発明の衝撃低減部材が、衝突などにより外部から応力を受けた時の様子を模式的に表した図面である。
【図1C】図1Cは、アスペクト比5以上の針状形状の粒子とアスペクト比5未満の球状形状の粒子を併用した場合における、本発明の衝撃低減部材の通常時(衝突などにより外部から応力を受けていない状態)の様子を模式的に表した図面である。
【図1D】図1Dは、図1Cで用いた本発明の衝撃低減部材が、衝突などにより外部から応力を受けた時の様子を模式的に表した図面である。
【図2】実施例1〜5及び比較例2に使用した混合物を封入するための袋状のポリエステルシート(混合物封入前)の斜視図である。
【図3】実施例1〜3及び比較例2に使用した混合物の封入体(封入後)の平面図である。
【図4】図3のA−A’線の断面概略図である。
【図5】図5Aは、実施例4、5に使用した混合物の封入体(封入後)の断面概略図である。図5Bは、図5Aに用いたナイロン繊維を用いた織布の一部を拡大して模式的に表した断面概略図である。
【図6】比較例1に使用した構造体の一方のリブ付き板の図面であって、図6Aは平面図であり、図6Bは、図6AのB−B’線の断面概略図である。
【図7】図7Aは、比較例1に使用した構造体のもう一方のリブなし板の断面概略図である。図7Bは、図6のリブ付き板と図7Aのリブなし板を(嵌め)合わせてなる従来構造(座屈構造)の衝撃低減部品の断面概略図である。
【図8A】粒子のアスペクト比および粒子直径、並びに繊維の直径および長さの取り方を模式的に表した概略図である。このうち、図8Aは、球状形状の中実粒子のアスペクト比および粒子直径の取り方を模式的に表した概略図面である。
【図8B】図8Bは、球状形状の中空粒子のアスペクト比および粒子直径の取り方を模式的に表した概略図面である。
【図8C】図8Cは、中実繊維の直径および長さの取り方を模式的に表した概略図面である。
【図8D】図8Dは、中空繊維の直径および長さの取り方を模式的に表した概略図面である。
【符号の説明】
【0104】
11 衝撃緩衝部材(複合材料=混合物(液体+繊維+粒子))、
12 液体、
13 繊維(ガラス繊維、ナイロン繊維による織布)、
13a 織布の縦糸、
13b 織布の横糸、
14 針状形状の粒子、
14’ 球状形状の粒子、
21 袋状のポリエステルシート(封入容器)、
22 衝撃緩衝部材(混合物)を内包した(封入後の)衝撃低減部品(複合物=封入体)、
23 圧着しろ(圧着部分)、
41 撃芯、
67 リブ付き板のベース部分の板、
68 リブ付き板のリブ(部分)、
71 従来構造(座屈構造)の衝撃低減部品、
79 リブなし板、
H 衝撃低減部品(=封入体)の厚さ、
h 織布の厚さ、
d 織布の糸間距離、
粒子の長径(長軸長さ)の最大値、
粒子の短径方向(短軸方向)の断面の長径、
粒子の短径方向(短軸方向)の断面の短径、
繊維の長径(長軸長さ)の最大値、
繊維(の短径方向)の断面の長径、
繊維(の短径方向)の断面の短径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、
直径15μm以上、長さ500μm以上の繊維、及び
粒子、
から構成される複合材料であって、前記粒子が、アスペクト比5以上の針状形状であることを特徴とする衝撃低減部材。
【請求項2】
前記繊維が、織布の形態で用いられていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃低減部材。
【請求項3】
前記アスペクト比5以上の針状形状の粒子が、断面直径5〜1000nmのアルミナ粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の衝撃低減部材。
【請求項4】
前記粒子が、アスペクト比5以上の針状形状の粒子と、アスペクト比5未満の球状形状の粒子との混合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃低減部材。
【請求項5】
前記複合材料のうち、前記粒子が、5〜40vol%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃低減部材。
【請求項6】
自動車の内装および/または外装に請求項1〜5のいずれか1項に記載の衝撃低減部材を封入した複合物を設置したことを特徴とする歩行者もしくは乗員の衝撃低減部品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公開番号】特開2008−95708(P2008−95708A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274392(P2006−274392)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】