説明

衝撃吸収具ハウジングと、これを用いた車両用衝撃吸収具

【課題】簡素な構成で良好な衝撃エネルギー吸収性能を有し、且つ衝撃吸収具全体の衝撃エネルギー吸収性能の設計も容易な衝撃吸収具ハウジングを提供する。
【解決手段】衝撃吸収部材15を車両に設置するための衝撃吸収具ハウジング10であって、衝撃吸収部材15の軸方向両端部をそれぞれ保持する二つの保持部10aと、衝撃吸収部材15の外方において両保持部10aを連結する二つの対向する連結アーム10bとを有する外郭形状を呈する。連結アーム10bは、保持部10aから外方へ向けてく字状に屈曲している。そして、軸方向の圧縮荷重が作用したとき、連結アーム10bは、屈曲部10cが圧縮荷重に対する逃げ機構となって衝撃吸収部材15から離間する方向に移動しながら座屈変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に衝撃吸収部材を設置するための衝撃吸収具ハウジングと、これの内部に衝撃吸収部材を備える車両用衝撃吸収具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、衝突時の衝撃から乗員や歩行者を保護するため、フロントフェンダパネルの内側やラダーフレームなどの各所に、衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収具が設置されている。このような衝撃吸収具として、例えば下記特許文献1が提案されている。特許文献1では、金属製の衝撃吸収具ハウジングと、中空円筒形の金属製衝撃吸収部材を具備する複数個の車両用衝撃吸収具を連結してなる。衝撃吸収具ハウジングは、互いに平行に配された中央平板部、平板状の前側壁部、平板状の後側壁部同士が、それぞれ外方に湾曲した円弧状の第1の連結アームと第2の連結アームとによって連結され、側面視略8字状の外郭形状に形成されている。そのうえで、中央平板部と前側壁部の間、及び中央平板部と後側壁部の間に、それぞれ衝撃吸収部材が固定されている。そして、衝撃吸収部材の軸方向に圧縮荷重が作用すると、衝撃吸収具ハウジングの衝突エネルギー吸収性能と、衝撃吸収部材の衝突エネルギー吸収性能が互いに協調して機能する構成となっている。すなわち、衝撃吸収部材が圧縮変形することによる衝撃エネルギーの吸収に加えて、衝撃吸収具ハウジングも圧縮荷重に抗して(反力を生じながら)変形する構成とし、その変形に伴って衝撃エネルギーを吸収させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−6896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の衝撃吸収具ハウジングは略8字形状を呈する複雑な形状であり、当該8字が縦方向に潰れるように変形させているので、衝突エネルギーの吸収効率が悪い。そこで、特許文献1では複数個の衝撃吸収具を連結することで、上記問題に対応している。しかし、これでは部品点数が増加するので、設置スペースを大型化する必要が生じたり、重量増加や設置が煩雑になるなどの問題も生じる。
【0005】
なお、衝撃エネルギーの吸収性能は、衝撃吸収具の変位に対する圧縮荷重(反力)によって指標される。そして、衝撃吸収具は、初期変位での圧縮荷重の立ち上がりが速く、衝撃吸収具がこれ以上圧縮変形できなくなる「底付き状態」となるまでの変位量が大きく、初期変位から底付き状態までほぼ一定の圧縮荷重を維持することが好ましい。これに対し特許文献1では、衝撃吸収具ハウジングの破損も前提としているので、初期変位での圧縮荷重の立ち上がりが悪く、しかも複数個の衝撃吸収具を連結しているので、初期変位から底付き状態までの圧縮荷重が安定していない。
【0006】
また、衝撃吸収具ハウジングにも衝撃エネルギーの吸収機能を持たせると、衝撃吸収部材の衝撃エネルギー吸収性能とのバランスを考慮しながら衝撃吸収具全体の衝撃エネルギー吸収性能を設計する必要があるので、衝撃吸収具全体の衝撃エネルギー吸収性能を設計し難い。
【0007】
そこで、本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意検討の結果、衝撃吸収具ハウジングと衝撃吸収部材の機能(役割)をそれぞれ明確に分担させ、衝撃吸収具ハウジングは圧縮荷重に対して逃げる(受け流す)構造として専ら設置固定用として使用する一方、衝撃エネルギーは専ら衝撃吸収部材によって吸収させる構成とすることで、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は上記課題を解決するものであって、簡素な構成で良好な衝撃エネルギー吸収性能を有し、且つ衝撃吸収具全体の衝撃エネルギー吸収性能の設計も容易な衝撃吸収具ハウジングと、これを用いた車両用衝撃吸収具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段として、本発明は車両に衝撃吸収部材を設置するための衝撃吸収具ハウジングであって、前記衝撃吸収部材の軸方向両端部をそれぞれ保持する二つの保持部と、前記衝撃吸収部材の外方において前記両保持部を連結する連結アームとを有する外郭形状を呈し、前記連結アームは、前記両保持部から外方へ向けてく字状に屈曲している。そして、衝撃吸収部材軸方向の圧縮荷重が作用したとき、前記連結アームは、これの屈曲部が前記圧縮荷重に対する逃げ機構となって前記衝撃吸収部材から離間する方向に移動しながら、座屈変形可能となっている。
【0010】
これによれば、圧縮荷重が作用したときに連結アーム部分が逃げ機構となって圧縮荷重を受け流すので、基本的に衝撃吸収具ハウジング自体は衝撃エネルギーを吸収しない。また、連結アームはこれの屈曲部が衝撃吸収部材から離間する方向に移動しながら座屈変形するので、衝撃吸収部材の圧縮変形を阻害しない。これにより、衝撃エネルギーを専ら衝撃吸収部材によって的確に吸収させることができ、初期変位での圧縮荷重の立ち上がりが速く、且つ初期変位から底付き状態まで安定した圧縮荷重(反力)を維持することができる。しかも、衝撃吸収部材の目付け(密度)、厚み、外形寸法等を適宜調整することで、衝撃吸収具全体による衝撃エネルギー吸収性能の設計も容易となる。また、二つの保持部と、両保持部を連結する連結アームとを有する簡素な構成なので、コンパクト化、軽量化、コスト削減などにも有利となる。
【0011】
なお、二つの保持部のうち、少なくとも一方好ましくは双方を、前記衝撃吸収部材の軸方向端面を覆う平板状としておく。これによれば、平板状の保持部によって圧縮荷重を全面的に受け止めるので、衝撃吸収部材を確実に圧縮変形させることができる。また、衝撃吸収部材を保持する形状としては、後述のように衝撃吸収部材を外周から保持する筒状に形成することも可能であるが、この場合、筒部によって外周が保持されている部分は圧縮変形できず、衝撃エネルギーを吸収でいない部分が生じるが、平板状としていれば、このような問題はなく衝撃吸収部材の軸方向端部も圧縮変形させることができる。すなわち、衝撃吸収部材が圧縮変形する際の変位量を大きくすることができる。
【0012】
保持部を平板状とした場合、その内面には前記衝撃吸収部材を位置決め保持する位置決め片を設けておくことが好ましい。これにより、衝撃吸収部材の位置ズレが防止され、衝突による圧縮荷重を適格に受け止めて衝撃エネルギーの吸収性能を最大限発揮させることができる。
【0013】
二つの保持部のうち一方を平板状とした場合は、他方の保持部は、前述のように前記衝撃吸収部材を外周から保持する筒状に形成することもできる。なお、衝撃吸収具は車両を構成する二つの部材間に設置されることが前提なので、衝突による圧縮荷重が作用しても、車両構成部材によって衝撃吸収部材が受け止められるので、当該衝撃吸収部材が筒部から抜け外れることはない。
【0014】
前記連結アームは、前記保持部の一側方のみに設けることもできるが、前記保持部の両側方において対向状に設けることが好ましい。これによれば、圧縮荷重が二つの連結アームに均等に作用し、衝撃吸収具ハウジングを円滑に変形させることができると共に、衝撃吸収部材も軸方向へ適格に圧縮変形させることができる。
【0015】
また、上記構成の衝撃吸収具ハウジングと、該衝撃吸収具ハウジング内に保持された衝撃吸収部材とからなる、車両用衝撃吸収具も提案される。ここでの衝撃吸収部材としては、中心軸を囲むように平巻きされた紙製の筒部材(以下、平巻紙筒と称す)や、発泡樹脂製のブロック体を使用できる。中でも、平巻紙筒が好ましい。平巻紙筒であれば、植物由来の材料からなるので、環境負荷が小さい。また、紙筒としては、トイレットペーパーの芯のように、中心軸を囲むように螺旋状に巻回された筒部材もあるが、中心軸を囲むように平巻きされた紙筒であれば、軽量でありながら良好な衝撃エネルギーの吸収性能を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、衝撃吸収具全体の衝撃エネルギー吸収性能の設計も容易な衝撃吸収具ハウジング及び車両用衝撃吸収具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】衝撃吸収具の斜視図である。
【図2】衝撃吸収具の分解斜視図である。
【図3】衝撃吸収具の圧縮変形状態を示す斜視図である。
【図4】衝撃吸収具ハウジングが変形する様子を示す側面図である。
【図5】衝撃吸収具の設置例を示す側面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】衝撃吸収具の衝撃エネルギー吸収性能を示すグラフである。
【図8】衝撃吸収具ハウジングの実施形態2を示す斜視図である。
【図9】衝撃吸収具ハウジングの実施形態3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下に、本発明の代表的な実施の形態について具体的に説明する。衝撃吸収具1は、自動車等の車両に設置されて衝突時の衝撃エネルギーを吸収するための部材であって、図1、図2に示すように、車両に設置固定するための衝撃吸収具ハウジング(以下、単にハウジングと称す)10と、ハウジング10内に保持された衝撃吸収部材15とからなる。
【0019】
ハウジング10は金属製であり、衝撃吸収部材15の軸方向両端部をそれぞれ保持する二つの保持部10aと、衝撃吸収部材15の外方において両保持部10aを連結する連結アーム10bとを有する、中空外郭形状を呈する。両保持部10aは、衝撃吸収部材15の軸方向端面を覆う大きさの平板状であり、衝撃吸収部材15を軸方向両端から挟み込むように保持する。
【0020】
連結アーム10bは、両保持部10aの対向する側縁からそれぞれ外方に向けて斜めに延在して、ハウジング10の両側方において対向状に二つ設けられており、両連結アーム10bは、外方へ向けてく字状に屈曲している。本実施形態のハウジング10は、長方形の平板材から、長手方向両端部にフランジ部10cを有するような略台形状に折り曲げ形成した二枚の板材を、一方を反転させた状態でフランジ部10c同士を突き合わせて溶接等によって接合することで、中空外郭形状に形成されている。これにより、フランジ部10cにおいて強固に接合されると共に、フランジ部10cの根元部(連結アーム10bの屈曲部)が円滑に変形可能となるので、後述のように衝突時の圧縮荷重に対して的確に逃げ機構として機能する。また、ハウジング10は金属製で上記構成となっていることで、衝撃吸収具1を車両へ設置固定した状態での剛性も確保される。なお、連結アーム10bの屈曲部は、軸方向において衝撃吸収部材15の中央に位置している。
【0021】
また、両保持部10aの内面であって、連結アーム10bが延在する両側縁(連結アーム10bの根元)には、それぞれ衝撃吸収部材15を位置決め保持する位置決め片10dが設けられている。また、両保持部10aの中央部には、衝撃吸収具1をボルトによって車両へ締結固定する場合にボルトが挿通されるボルト孔10eが穿設されている。
【0022】
衝撃吸収部材15としては、従来からこの種の衝撃吸収具において一般的に使用されている公知の発泡樹脂製ブロック体を特に制限無く使用することもできるが、本実施形態では、中心軸を囲むように平巻きされた紙製の筒部材からなる平巻紙筒が使用されている。衝撃吸収具全体による衝撃エネルギー吸収性能は、設置箇所において想定される圧縮荷重等に応じて、衝撃吸収部材15の目付け、厚み、外形寸法等を調整することで適宜設計すればよい。
【0023】
次に、衝撃吸収具1に衝突に伴う圧縮荷重が作用したときの作用機能について説明する。衝撃吸収具1は、車両の衝突方向と軸方向が平行になるように設置される。そのうえで、衝突に伴って衝撃吸収具1に軸方向の圧縮荷重が作用すると、当該圧縮荷重をハウジング10の両保持部10aが受けて、図3に示すように、ハウジング10及びその内部に配された衝撃吸収部材15が軸方向に押し潰されるように圧縮変形する。
【0024】
このときハウジング10は、図4に示すように、両連結アーム10bが屈曲部(フランジ部10c)において座屈変形することで、両保持部10a同士は互に平行状態を保ちながら近接する方向に変形していく。これにより、衝撃吸収部材15は軸方向からずれることなく真っ直ぐ圧縮変形することができ、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。しかも、両連結アーム10bは、これの屈曲部が衝撃吸収部材15から離間する方向に移動しながら座屈変形することで、圧縮荷重に対する逃げ機構として機能し、ハウジング10は圧縮荷重を受け流すので、衝撃吸収部材15の圧縮変形を阻害することもない。したがって、衝撃吸収部材15の衝撃エネルギー吸収性能を設計するだけで、衝撃吸収具1による全体的な衝撃エネルギー吸収性能を容易に設計できる。
【0025】
衝撃吸収具1は、典型的にはボルト孔10eを介してハウジング10を車両の適所へボルト留めすればよいが、保持部10aの外面を溶接や接着等によって車両へ固定することもできる。衝撃吸収具1の設置場所は、乗員や歩行者等を保護するために衝突エネルギーを吸収すべき場所であれば特に限定されない。例えば、フェンダパネルとボディパネルとの間、バンパリインホースとサイドメンバとの間、ドアパネルとドアトリムとの間、ピラーとピラートリムとの間、天井パネルとルーフライナとの間、フロアパネルとカーペットとの間などに設置することができる。
【0026】
図5、図6に、フロントフェンダパネルとボディパネルとの間に衝撃吸収具1を設置した例を示す。図5はエンジンルームの内側から見た側面図であり、図6は図5のVI−VI線断面図である。
【0027】
図5,6に示すように、車体前部の側面にはフロントフェンダパネル50が配設されている。フロントフェンダパネル50は、前輪の上方側を覆い意匠面を構成する外側縦壁部50aと、当該外側縦壁部50aの上端部から垂下されて内方(エンジンルーム側)へ水平に屈曲された内側縦壁部50bとを有する。フロントフェンダパネル50の内側縦壁部50bの下方には、エプロンアッパメンバ54が配設されている。エプロンアッパメンバ54は下向きに開放された略コ字状断面とされており、車両前後方向を長手方向として配設されている。
【0028】
左右一対のフロントフェンダパネル50の内側縦壁部50bの上端部間には、エンジンルームを開閉するフード56が配設されている。フード56の幅方向両端部の下縁側には、ゴム製のシール材(図示せず)が配設されており、フロントフェンダパネル50の内側縦壁部50bの垂直部50b1へ弾性変形した状態で圧接されるようになっている。フロントフェンダパネル50の内側縦壁部50bは、前後一対の衝撃吸収具1を介してエプロンアッパメンバ54に取り付けられている。衝撃吸収具1は、上方の保持部10aにおいてフロントフェンダパネル50の内側縦壁部50bへボルト58によって締結固定されている。下方の保持部10aも、エプロンアッパメンバ54に当接している。
【0029】
そして、車両が歩行者等と衝突してフロントフェンダパネル50へ上方から荷重が負荷されると、当該荷重を受けて衝撃吸収具1が圧縮変形することで衝撃エネルギーが吸収され、歩行者や乗員へのダメージが軽減される構成となっている。
【実施例】
【0030】
以下に、上記実施形態1と同じ構成の具体的な実施例を用いて衝撃エネルギーの吸収性能を評価した結果について説明するが、本発明は当該実施例に限られるものではない。
【0031】
評価用の実施例には次の衝撃吸収具を用いた。
<ハウジング>
材質;アルミニウム(A5052)
板厚;0.5mm
保持部寸法;42×42mm
内面高さ;70mm
位置決め片の高さ;5mm
連結アームの外方突出量;10mm
<衝撃吸収部材>
種類;平巻紙筒
外形寸法;40×40mm
高さ;70mm
厚み;2.8mm
目付け;約2200g/m2
【0032】
上記構成の実施例を、株式会社島津製作所製の圧縮試験機(オートグラフAG−100KNE型)へ設置し、2mm/minの条件で軸方向に圧縮した場合の、変位量と圧縮荷重(反力)との関係を測定した。その結果を図7に示す。
【0033】
図7の結果から明らかなように、本発明の衝撃吸収具によれば、初期変位での圧縮荷重の立ち上がりが速く、且つ初期変位から底付き状態まで安定した圧縮荷重(反力)が維持されているので、良好な衝撃エネルギー吸収性能を有することが確認された。
【0034】
(変形例)
以上、本発明の代表的な実施形態1について説明したが、これに限られず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、図8に示す実施形態2のように、ハウジング10を構成する二つの保持部のうち、一方を平板状の保持部10aとし、他方の保持部10fは、衝撃吸収部材を外周から保持する筒状に形成することもできる。この場合、筒状の保持部10fには、位置決め片10dは不要である。なお、筒状の保持部10f側は車両の構成部材へ固定できないので、ボルト孔10eを有する平板状の保持部10a側において車両へ固定することになる。但し、衝撃吸収具を車両へ設置した際、筒状の保持部10fも車両の構成部材へ当接支持されているので、衝突時に内部の衝撃吸収部材が筒状の保持部10fから抜け外れることはない。その他は上記実施形態1と同じなので、同じ部材(部位)に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0035】
また、図9に示す実施形態3のように、連結アーム10bはハウジング10の一側方のみに設けるだけでもよい。この場合、二つの保持部10a・10fは、片持ち梁状に連結支持される。その他は実施形態1や実施形態2と同じなので、同じ部材(部位)に同じ符号を付してその説明を省略する。当然、二つの保持部が共に平板状の保持部10aの場合であっても、ハウジング10の一側方のみに連結アーム10bを設けることもできる。
【0036】
また、上記実施形態1〜3では二枚の板部材を軸方向(図面基準では上下)に突き合せ接合しているが、二枚の板部材を軸方向と直交する方向(図面基準では左右)から突き合せて接合することもできる。また、必ずしも二枚の板部材によって構成する必要も無く、各部位を構成する複数枚(三枚以上)の板部材をそれぞれ溶接して連結させることもできる。さらに、連結アーム10bは、圧縮荷重に対して逃がし機構となるようなく字状に屈曲している限り、必ずしもフランジ部10cは必要ない。
【符号の説明】
【0037】
1 衝撃吸収具
10 ハウジング
10a 平板状の保持部
10b 連結アーム
10d 位置決め片
10f 筒状の保持部
15 衝撃吸収部材
50 フロントフェンダパネル
54 エプロンアッパメンバ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に衝撃吸収部材を設置するための衝撃吸収具ハウジングであって、
前記衝撃吸収部材の軸方向両端部をそれぞれ保持する二つの保持部と、前記衝撃吸収部材の外方において前記両保持部を連結する連結アームとを有する外郭形状であり、
前記連結アームは、前記両保持部から外方へ向けてく字状に屈曲しており、
衝撃吸収部材軸方向の圧縮荷重が作用したとき、前記連結アームは、これの屈曲部が前記圧縮荷重に対する逃げ機構となって前記衝撃吸収部材から離間する方向に移動しながら座屈変形可能な、衝撃吸収具ハウジング。
【請求項2】
前記二つの保持部のうち、一方又は双方が、前記衝撃吸収部材の軸方向端面を覆う平板状であり、
該平板状の保持部の内面には、前記衝撃吸収部材を位置決め保持する位置決め片が設けられている、請求項1に記載の衝撃吸収具ハウジング。
【請求項3】
前記二つの保持部のうち一方を平板状とした場合、
他方の保持部は、前記衝撃吸収部材を外周から保持する筒状に形成されている、請求項2に記載の衝撃吸収具ハウジング。
【請求項4】
前記連結アームは、前記保持部の両側方において対向状に設けられている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の衝撃吸収具ハウジング。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の衝撃吸収具ハウジングと、該衝撃吸収具ハウジング内に保持された衝撃吸収部材とからなる、車両用衝撃吸収具。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材が、中心軸を囲むように平巻きされた紙製の筒部材である、請求項5に記載の車両用衝撃吸収具。
【請求項7】
前記衝撃吸収部材が、発泡樹脂製のブロック体である、請求項5に記載の車両用衝撃吸収具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−44339(P2013−44339A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180377(P2011−180377)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】