衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ
【課題】 屋外設置のガスメータへの落雪や外的衝撃による振動の伝達を緩和し、感震器とマイコンを内蔵したマイコンメータに対して、地震以外の振動要因による誤作動の防止を図るための衝撃振動抑制装置を備えたガスメータを提供する。
【解決手段】 ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする。
【解決手段】 ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衝撃振動抑制装置を備えた屋外設置のガスメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に、豪雪地域における屋外設置のガス供給設備の雪害の状況を示す。
1はガス容器、2はガスメータである。このガスメータ2には、震度5強相当以上の大きな地震の時に作動して自動的にガスを止める安全装置として、感震器とマイクロコンピュータを内蔵したマイコンメータが備えられている。
3は家屋、4は屋根、5は雪、6は隣家である。 屋根4からの落雪5aと燐家6の雪降ろしなどによる落雪5bがガスメータ2に影響を与える状況を示している。
【0003】
図6(a),(b)に示す事例は、ガス容器1及びガスメータ2を覆うようにした一般的な雪対策である。
(a)雪対策として収納庫8を設け、ガス容器1及びガスメータ2は収納庫8内に収容して屋根9で雪5を受けるようにしている。
(b)雪対策として家屋の軒下に雪囲い10を設け、ガス容器1は架台11上に固定しガスメータ2とともに軒下から雪囲い10で雪5から保護した事例で、この雪囲い10は下端を杭12によって支えられている。
【0004】
従来例として、特許文献1の特開平08-219438号公報「LPガス供給設備及びLPガス供給設備用ユニット」の発明技術がある。この発明には、ガス遮断の情報の読み取り、検針、操作性を容易にした、基台と側パネルと屋根パネルなどからなるLPガス供給設備用ユニットが開示されている。
【0005】
特許文献2の実用新案登録第3035648号公報「ガスメータ用固定装置」の考案技術がある。この考案には、ガスメータの配管をフレキ管などの可とう性を有する配管の場合でも、ガスメータの設置を可能とし、衝撃を受けたときに、ガスメータが揺動して、感震器が誤作動しないように、壁面に固定可能とした受け金具と支持金具を設けた構造が開示されている。
【0006】
特許文献3の特開平08-160149号公報「地震判別推論装置及びこれを用いたガスメータ」の発明技術がある。この発明には、地震の判別精度を高めて誤判別とガスの遮断を防止するために、外乱に起因する固有振動周波数のON/OFF信号を外乱信号除去手段12で除去した後に、推論手段13によって地震であるか否かを推論する手段が開示されている。
【0007】
特許文献4の特開平07-57168号公報「制御装置」の発明技術には、地震の震動と、人や物の衝突等による外乱振動とを判別可能とするように、感震器及び振動センサーに接続される処理装置を備えて判定する構成が開示されている。
【0008】
さらに、本出願人に係る発明技術には、特許文献5の特願2011-058025号「保護装置を設けたガスメータ」がある。この発明は、屋外設置のガスメータ上部に積もる雪や、落雪によってマイコンメータの感震器が誤作動しないようにカバーを設置して保護したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08-219438号公報
【特許文献2】実用新案登録 第3035648号公報
【特許文献3】特開平08-160149号公報
【特許文献4】特開平07-57168号公報
【特許文献5】特願2011-058025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示すように、豪雪地域では、屋根4からの雪5の落雪5aや雪降ろしの際の落雪5bによって屋外設置のガスメータ2が損傷することがあり、さらに、感震器とマイコンメータを内蔵しているガスメータ2の場合には、落雪5a,5bなど外的衝撃による振動によって、マイコンメータの地震検知機能が働いて感震器が誤作動し、ガスの供給が停止することがあった。
【0011】
また、図6に示すような降雪地域での一般的な雪対策には、次のような課題があった。
(a)雪対策として収納庫8を設け、屋根9上で雪5を受けるようにした事例は、収納庫8の設置場所の確保と内部点検が必要である。
(b)雪対策として雪囲い10を設け、架台11上に固定したガス容器1及びガスメータ2を、杭12によって支えた雪囲い10で保護した事例は、雪囲い10や杭12の設置と豪雪時の維持管理が大変である。
【0012】
特許文献1の特開平08-219438号公報「LPガス供給設備及びLPガス供給設備用ユニット」の発明技術は、ガス遮断の情報の読み取り、検針、操作性を容易にした、基台と側パネルと屋根パネルなどからなるLPガス供給設備用ユニットが開示されているが、ユニットの設置と維持管理が必要であった。
【0013】
特許文献2の実用新案登録第3035648号公報「ガスメータ用固定装置」の考案技術は、ガスメータが衝撃を受けたときに、ガスメータが揺動して感震器が誤作動しないように、壁面に固定した構造が開示されているが、落雪の衝撃には対応が難しく、その衝撃を受けたときにガスメータが揺動して、感震器が誤作動する心配があった。
【0014】
特許文献3の特開平08-160149号公報「地震判別推論装置及びこれを用いたガスメータ」の発明技術は、地震の判別精度を高めて誤判別とガスの遮断を防止するために、外乱に起因する固有振動周波数のON/OFF信号を外乱信号除去手段12で除去した後に、推論手段13によって地震であるか否かを推論する手段が開示されているが、降雪と落雪への対応をするものではなかった。
【0015】
特許文献4の特開平07-57168号公報「制御装置」の発明技術は、地震の震動と、人や物の衝突等による外乱振動とを判別可能とするように、感震器及び振動センサーに接続される処理装置を備えて判定する構成が開示されているが、降雪と落雪への直接的な対応をするものではなかった。
【0016】
さらに、特許文献5の本出願人に係る特願2011-058025号「保護装置を設けたガスメータ」の発明技術は、屋外設置のガスメータ上部に積もる雪や、落雪によってマイコンメータの感震器が誤作動しないようにカバーを設置して保護したものであり、降雪及び落下物等外力からの保護は可能だが、振動抑制への対応をするものではなかった。
【0017】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、屋外設置のガスメータへの落雪や外的衝撃による振動の伝達を緩和し、感震器とマイコンを内蔵したマイコンメータに対して、地震以外の振動要因による誤作動の防止を図るための衝撃振動抑制装置を備えたガスメータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項3に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたので、
落雪など外的衝撃による垂直方向及び水平方向の振動の緩和を図るため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動を防止することができる。
【0022】
請求項2に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたので、
落雪など上部からの外的衝撃に対して空気圧によって弾力的に荷重を支えて振動を緩和するため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動を防止することができる。
【0023】
請求項3に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたので、
落雪など外的衝撃による振動は地震による震動と識別されるため、地震以外の外的震動によってガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの全体を覆うハウスカバーを示す説明図である。
【図2】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの全体を覆うハウスカバーの他の事例を示す説明図である。
【図3】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの周囲を覆うボックスカバーを示す説明図である。
【図4】外部信号の伝達状況を示す説明図である。
【図5】従来一般的な事例で、ガス容器及びガスメータを設置し降雪による被害を受けている状況を示す側面説明図である。
【図6】(a)(b)は、従来一般の降雪対策を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータの構造を、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は、家屋の屋根の下方に設置するガスメータの全体を覆うハウスカバーを設けた図で、図2は他の事例を示す正面説明図である。
図3は、ガスメータの周囲を覆うボックスカバーを設けた図である。
図4は、外部信号の伝達経路の概要を示す図である。
なお、各図中の共通する部位や部材には同一の番号を付している。
【0026】
図1はガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けた場合を示す。3は家屋、4は屋根、4aは軒、5は雪を示す。
このハウスカバー14は、張出した軒4a下の基版13上に設置し、雪5がガスメータ2上のハウスカバー14の頂部14aへかからない位置に設置している場合を示す。
制振機構15は、ハウスカバー14の下脚部に設ける緩衝材16と、ハウスカバー14の内側面とガスメータ2側面との間に設ける緩衝材17とで形成する。
この緩衝材16、17は、ゴム材やコイルバネなどの弾力材を適用する。
【0027】
このように、ガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に制振機構15を設けることによって、周辺の雪降ろしなど外的衝撃から伝わる振動(矢印に示す)を緩和してガスメータ2に伝えないため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動に伴う不用意なガス供給の停止を確実に防止することができる。
【0028】
図2は、ガスメータの全体を覆うハウスカバー14の他の事例で、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けた場合を示す。3は家屋、4は屋根、4bは軒、5は雪を示す。
このハウスカバー14は、軒4bから外側にはみ出た基版13上に位置し、雪5がガスメータ2上のハウスカバー14の頂部14bへかかる位置に設置されている場合を示す。落雪はガスメータ2上のハウスカバー14の傾斜した頂部14bに沿って外側へ落すようにしている。
制振機構15は、ハウスカバー14の下脚部に設ける緩衝材16と、ハウスカバー14の内側面とガスメータ2側面との間に設ける緩衝材17とで形成する。この緩衝材16、17は、ゴム材やコイルバネなどの弾力材を適用する。18は緩衝構造の取付具で、家屋3壁面から振動がガスメータ2へ伝わらないように形成している。
【0029】
このように、ガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に制振機構15を設けることによって、屋根4上に積もる雪5がハウスカバー14の頂部14bの上に落下してもガスメータ2に当たることがない。また、基版13上への落雪による衝撃振動は、緩衝材16、17によって緩和されるため、ガスメータ2に内蔵されているマイコンメータが地震以外の衝撃振動によって誤作動することなくガスの供給が停止することがなくなる。
さらに、周辺の雪降ろしなどの外的衝撃から伝わる振動(矢印に示す)も緩和してガスメータ2に伝えることがない。
【0030】
図3は、この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの周囲を覆う頂部鋭角錘状のボックスカバー21を示す。
このボックスカバー21は、地面から支柱23で支えている。
衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24は、シリンダ25と空圧ピストン26とで空圧構造に形成する事例を示す。空圧構造のシリンダ25と空圧ピストン26は、ボックスカバー21の垂直な外周壁部の周方向に沿った全体位置に設けるか、或いは複数個隔離した適当な支承箇所に設置する。この空圧構造は凍結することがなく、空気ポンプやコンプレッサなどを使って安全かつ簡単に空気圧の設定やメンテナンスを行うことができる。
また、制振機構24は、図示はしないが、汎用の油圧・液圧シリンダを用いたジャッキ構造の装置を採用することもできる。さらに制振機構24には、図示はしないが、簡単に設置可能なバネ構造や弾性体構造の装置を使用してもよい。
【0031】
このように、ガスメータ2の周囲を覆うボックスカバー21に衝撃振動を緩和する制振機構24を設けることによって、雪5の落雪5a,5bがボックスカバー21の屋根22の上に落下しても上部からの外的衝撃に対して空気圧によって弾力的に荷重を支えて振動を緩和するため、ガスメータ2を損傷させることがない。
さらに、感震器とマイコンを内蔵している屋外設置のガスメータ2の場合には、ガスメータ2に内蔵されているマイコンメータが誤作動することなくガスの供給が停止することがなくなる。
このボックスカバー21は、場所を取らず簡単に設置することができ、風雨や外部からの衝撃も保護することができる。
【0032】
図4は、外部信号の伝達状況の概要を示す。
27は振動を検知するセンサで、ガスメータ2から離れた家屋内外など所定の安定した場所に設置する。28は制御機構でガスメータ2内部に設置する。センサ27からの外部信号をガスメータ2の制御機構28に伝達し、ガスメータ2が落雪5a,5bなどによって受ける外的衝撃の振動と比較し、制御機構28によって地震による震動かどうかを判定してマイコンメータの感震器の誤作動を抑制する。
つまり、ガスメータ2だけが振動しセンサ27が振動を受けない場合は、制御機構28は地震とは判定することなくマイコンメータが作動することがなく、両者が振動する場合には地震による震動と判定するように形成する。
【0033】
このように、落雪など外的衝撃によるガスメータ2への振動は、制御機構28によってガスメータ2から離れた所定場所に設置されたセンサ27の信号と比較し、地震による震動が識別されるため、地震以外の外的振動によってガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動するのを防止することができる。
よって、屋根4上に積もる雪5がガスメータ2の上に落下し衝撃を受けて振動したり、或いは他の外的衝撃を受けて振動したとしても、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動することなく不用意にガスの供給が停止することもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、雪の落下による衝撃、振動の防止対策に限らず、屋外設置のマイコンメータなどの機器への雪害や暴風雨、或いは他の外的衝撃振動による誤作動の防止にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1ガス容器
2ガスメータ
3家屋
4屋根
5雪
6隣家
7雪降ろし
8収納庫
9屋根板
10雪囲い
11架台
12クイ
13基版
14ハウスカバー
15制振機構
16緩衝材
17緩衝材
18取付具
21ボックスカバー
22屋根
23支柱
24制振機構
25シリンダ
26空圧ピストン
27センサ
28制御機構
【技術分野】
【0001】
この発明は、衝撃振動抑制装置を備えた屋外設置のガスメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に、豪雪地域における屋外設置のガス供給設備の雪害の状況を示す。
1はガス容器、2はガスメータである。このガスメータ2には、震度5強相当以上の大きな地震の時に作動して自動的にガスを止める安全装置として、感震器とマイクロコンピュータを内蔵したマイコンメータが備えられている。
3は家屋、4は屋根、5は雪、6は隣家である。 屋根4からの落雪5aと燐家6の雪降ろしなどによる落雪5bがガスメータ2に影響を与える状況を示している。
【0003】
図6(a),(b)に示す事例は、ガス容器1及びガスメータ2を覆うようにした一般的な雪対策である。
(a)雪対策として収納庫8を設け、ガス容器1及びガスメータ2は収納庫8内に収容して屋根9で雪5を受けるようにしている。
(b)雪対策として家屋の軒下に雪囲い10を設け、ガス容器1は架台11上に固定しガスメータ2とともに軒下から雪囲い10で雪5から保護した事例で、この雪囲い10は下端を杭12によって支えられている。
【0004】
従来例として、特許文献1の特開平08-219438号公報「LPガス供給設備及びLPガス供給設備用ユニット」の発明技術がある。この発明には、ガス遮断の情報の読み取り、検針、操作性を容易にした、基台と側パネルと屋根パネルなどからなるLPガス供給設備用ユニットが開示されている。
【0005】
特許文献2の実用新案登録第3035648号公報「ガスメータ用固定装置」の考案技術がある。この考案には、ガスメータの配管をフレキ管などの可とう性を有する配管の場合でも、ガスメータの設置を可能とし、衝撃を受けたときに、ガスメータが揺動して、感震器が誤作動しないように、壁面に固定可能とした受け金具と支持金具を設けた構造が開示されている。
【0006】
特許文献3の特開平08-160149号公報「地震判別推論装置及びこれを用いたガスメータ」の発明技術がある。この発明には、地震の判別精度を高めて誤判別とガスの遮断を防止するために、外乱に起因する固有振動周波数のON/OFF信号を外乱信号除去手段12で除去した後に、推論手段13によって地震であるか否かを推論する手段が開示されている。
【0007】
特許文献4の特開平07-57168号公報「制御装置」の発明技術には、地震の震動と、人や物の衝突等による外乱振動とを判別可能とするように、感震器及び振動センサーに接続される処理装置を備えて判定する構成が開示されている。
【0008】
さらに、本出願人に係る発明技術には、特許文献5の特願2011-058025号「保護装置を設けたガスメータ」がある。この発明は、屋外設置のガスメータ上部に積もる雪や、落雪によってマイコンメータの感震器が誤作動しないようにカバーを設置して保護したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08-219438号公報
【特許文献2】実用新案登録 第3035648号公報
【特許文献3】特開平08-160149号公報
【特許文献4】特開平07-57168号公報
【特許文献5】特願2011-058025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示すように、豪雪地域では、屋根4からの雪5の落雪5aや雪降ろしの際の落雪5bによって屋外設置のガスメータ2が損傷することがあり、さらに、感震器とマイコンメータを内蔵しているガスメータ2の場合には、落雪5a,5bなど外的衝撃による振動によって、マイコンメータの地震検知機能が働いて感震器が誤作動し、ガスの供給が停止することがあった。
【0011】
また、図6に示すような降雪地域での一般的な雪対策には、次のような課題があった。
(a)雪対策として収納庫8を設け、屋根9上で雪5を受けるようにした事例は、収納庫8の設置場所の確保と内部点検が必要である。
(b)雪対策として雪囲い10を設け、架台11上に固定したガス容器1及びガスメータ2を、杭12によって支えた雪囲い10で保護した事例は、雪囲い10や杭12の設置と豪雪時の維持管理が大変である。
【0012】
特許文献1の特開平08-219438号公報「LPガス供給設備及びLPガス供給設備用ユニット」の発明技術は、ガス遮断の情報の読み取り、検針、操作性を容易にした、基台と側パネルと屋根パネルなどからなるLPガス供給設備用ユニットが開示されているが、ユニットの設置と維持管理が必要であった。
【0013】
特許文献2の実用新案登録第3035648号公報「ガスメータ用固定装置」の考案技術は、ガスメータが衝撃を受けたときに、ガスメータが揺動して感震器が誤作動しないように、壁面に固定した構造が開示されているが、落雪の衝撃には対応が難しく、その衝撃を受けたときにガスメータが揺動して、感震器が誤作動する心配があった。
【0014】
特許文献3の特開平08-160149号公報「地震判別推論装置及びこれを用いたガスメータ」の発明技術は、地震の判別精度を高めて誤判別とガスの遮断を防止するために、外乱に起因する固有振動周波数のON/OFF信号を外乱信号除去手段12で除去した後に、推論手段13によって地震であるか否かを推論する手段が開示されているが、降雪と落雪への対応をするものではなかった。
【0015】
特許文献4の特開平07-57168号公報「制御装置」の発明技術は、地震の震動と、人や物の衝突等による外乱振動とを判別可能とするように、感震器及び振動センサーに接続される処理装置を備えて判定する構成が開示されているが、降雪と落雪への直接的な対応をするものではなかった。
【0016】
さらに、特許文献5の本出願人に係る特願2011-058025号「保護装置を設けたガスメータ」の発明技術は、屋外設置のガスメータ上部に積もる雪や、落雪によってマイコンメータの感震器が誤作動しないようにカバーを設置して保護したものであり、降雪及び落下物等外力からの保護は可能だが、振動抑制への対応をするものではなかった。
【0017】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、屋外設置のガスメータへの落雪や外的衝撃による振動の伝達を緩和し、感震器とマイコンを内蔵したマイコンメータに対して、地震以外の振動要因による誤作動の防止を図るための衝撃振動抑制装置を備えたガスメータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項3に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたので、
落雪など外的衝撃による垂直方向及び水平方向の振動の緩和を図るため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動を防止することができる。
【0022】
請求項2に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたので、
落雪など上部からの外的衝撃に対して空気圧によって弾力的に荷重を支えて振動を緩和するため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動を防止することができる。
【0023】
請求項3に係る発明の衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたので、
落雪など外的衝撃による振動は地震による震動と識別されるため、地震以外の外的震動によってガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの全体を覆うハウスカバーを示す説明図である。
【図2】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの全体を覆うハウスカバーの他の事例を示す説明図である。
【図3】この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの周囲を覆うボックスカバーを示す説明図である。
【図4】外部信号の伝達状況を示す説明図である。
【図5】従来一般的な事例で、ガス容器及びガスメータを設置し降雪による被害を受けている状況を示す側面説明図である。
【図6】(a)(b)は、従来一般の降雪対策を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータの構造を、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は、家屋の屋根の下方に設置するガスメータの全体を覆うハウスカバーを設けた図で、図2は他の事例を示す正面説明図である。
図3は、ガスメータの周囲を覆うボックスカバーを設けた図である。
図4は、外部信号の伝達経路の概要を示す図である。
なお、各図中の共通する部位や部材には同一の番号を付している。
【0026】
図1はガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けた場合を示す。3は家屋、4は屋根、4aは軒、5は雪を示す。
このハウスカバー14は、張出した軒4a下の基版13上に設置し、雪5がガスメータ2上のハウスカバー14の頂部14aへかからない位置に設置している場合を示す。
制振機構15は、ハウスカバー14の下脚部に設ける緩衝材16と、ハウスカバー14の内側面とガスメータ2側面との間に設ける緩衝材17とで形成する。
この緩衝材16、17は、ゴム材やコイルバネなどの弾力材を適用する。
【0027】
このように、ガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に制振機構15を設けることによって、周辺の雪降ろしなど外的衝撃から伝わる振動(矢印に示す)を緩和してガスメータ2に伝えないため、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータの誤作動に伴う不用意なガス供給の停止を確実に防止することができる。
【0028】
図2は、ガスメータの全体を覆うハウスカバー14の他の事例で、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けた場合を示す。3は家屋、4は屋根、4bは軒、5は雪を示す。
このハウスカバー14は、軒4bから外側にはみ出た基版13上に位置し、雪5がガスメータ2上のハウスカバー14の頂部14bへかかる位置に設置されている場合を示す。落雪はガスメータ2上のハウスカバー14の傾斜した頂部14bに沿って外側へ落すようにしている。
制振機構15は、ハウスカバー14の下脚部に設ける緩衝材16と、ハウスカバー14の内側面とガスメータ2側面との間に設ける緩衝材17とで形成する。この緩衝材16、17は、ゴム材やコイルバネなどの弾力材を適用する。18は緩衝構造の取付具で、家屋3壁面から振動がガスメータ2へ伝わらないように形成している。
【0029】
このように、ガスメータ2の全体を地面から覆うハウスカバー14に制振機構15を設けることによって、屋根4上に積もる雪5がハウスカバー14の頂部14bの上に落下してもガスメータ2に当たることがない。また、基版13上への落雪による衝撃振動は、緩衝材16、17によって緩和されるため、ガスメータ2に内蔵されているマイコンメータが地震以外の衝撃振動によって誤作動することなくガスの供給が停止することがなくなる。
さらに、周辺の雪降ろしなどの外的衝撃から伝わる振動(矢印に示す)も緩和してガスメータ2に伝えることがない。
【0030】
図3は、この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータであって、ガスメータの周囲を覆う頂部鋭角錘状のボックスカバー21を示す。
このボックスカバー21は、地面から支柱23で支えている。
衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24は、シリンダ25と空圧ピストン26とで空圧構造に形成する事例を示す。空圧構造のシリンダ25と空圧ピストン26は、ボックスカバー21の垂直な外周壁部の周方向に沿った全体位置に設けるか、或いは複数個隔離した適当な支承箇所に設置する。この空圧構造は凍結することがなく、空気ポンプやコンプレッサなどを使って安全かつ簡単に空気圧の設定やメンテナンスを行うことができる。
また、制振機構24は、図示はしないが、汎用の油圧・液圧シリンダを用いたジャッキ構造の装置を採用することもできる。さらに制振機構24には、図示はしないが、簡単に設置可能なバネ構造や弾性体構造の装置を使用してもよい。
【0031】
このように、ガスメータ2の周囲を覆うボックスカバー21に衝撃振動を緩和する制振機構24を設けることによって、雪5の落雪5a,5bがボックスカバー21の屋根22の上に落下しても上部からの外的衝撃に対して空気圧によって弾力的に荷重を支えて振動を緩和するため、ガスメータ2を損傷させることがない。
さらに、感震器とマイコンを内蔵している屋外設置のガスメータ2の場合には、ガスメータ2に内蔵されているマイコンメータが誤作動することなくガスの供給が停止することがなくなる。
このボックスカバー21は、場所を取らず簡単に設置することができ、風雨や外部からの衝撃も保護することができる。
【0032】
図4は、外部信号の伝達状況の概要を示す。
27は振動を検知するセンサで、ガスメータ2から離れた家屋内外など所定の安定した場所に設置する。28は制御機構でガスメータ2内部に設置する。センサ27からの外部信号をガスメータ2の制御機構28に伝達し、ガスメータ2が落雪5a,5bなどによって受ける外的衝撃の振動と比較し、制御機構28によって地震による震動かどうかを判定してマイコンメータの感震器の誤作動を抑制する。
つまり、ガスメータ2だけが振動しセンサ27が振動を受けない場合は、制御機構28は地震とは判定することなくマイコンメータが作動することがなく、両者が振動する場合には地震による震動と判定するように形成する。
【0033】
このように、落雪など外的衝撃によるガスメータ2への振動は、制御機構28によってガスメータ2から離れた所定場所に設置されたセンサ27の信号と比較し、地震による震動が識別されるため、地震以外の外的振動によってガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動するのを防止することができる。
よって、屋根4上に積もる雪5がガスメータ2の上に落下し衝撃を受けて振動したり、或いは他の外的衝撃を受けて振動したとしても、ガスメータ2に内蔵されている感震器付きマイコンメータが誤作動することなく不用意にガスの供給が停止することもない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明に係る衝撃振動抑制装置を備えたガスメータは、雪の落下による衝撃、振動の防止対策に限らず、屋外設置のマイコンメータなどの機器への雪害や暴風雨、或いは他の外的衝撃振動による誤作動の防止にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1ガス容器
2ガスメータ
3家屋
4屋根
5雪
6隣家
7雪降ろし
8収納庫
9屋根板
10雪囲い
11架台
12クイ
13基版
14ハウスカバー
15制振機構
16緩衝材
17緩衝材
18取付具
21ボックスカバー
22屋根
23支柱
24制振機構
25シリンダ
26空圧ピストン
27センサ
28制御機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【請求項2】
ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【請求項3】
ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【請求項1】
ガスメータ2の全体を地面から上方にわたって覆うハウスカバー14を設置し、このハウスカバー14の下脚部と側面内部の各位置に、外的な衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構15を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【請求項2】
ガスメータの周囲を覆うボックスカバー21を設置し、このボックスカバー21の外周側壁下部に、衝撃振動を緩和して感震器の誤作動を抑制する制振機構24を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【請求項3】
ガスメータ2の設置場所から隔離した所定の場所に振動を検知するセンサ27を設け、このセンサ27が受ける振動の外部信号をガスメータ2に伝達してガスメータ2が直接受ける振動と比較して地震による震動かどうかを判定し、感震器の誤作動を抑制する制御機構28を設けたことを特徴とする衝撃振動抑制装置を備えたガスメータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−202940(P2012−202940A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70331(P2011−70331)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000147729)株式会社石井鐵工所 (67)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000147729)株式会社石井鐵工所 (67)
【Fターム(参考)】
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