説明

衝撃検知装置

【課題】電子機器に加えられた衝撃を検知する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】プリント基板10上には、部品20が搭載されている。部品20は、底面に接続端子CT1〜CT4を有する。プリント基板10上には、接続端子DT1〜DT4が形成され、接続端子CT1〜CT4と接続端子DT1〜DT4との間が半田ボールB1〜B4により接合される。接続端子CT1、CT2間は回路211により、接続端子CT3、CT4間は回路212により接続され、接続端子DT2、DT3間は回路113により接続される。また、プリント基板10上には、接続端子DT1と接続された測定用端子101と、接続端子DT4と接続された測定用端子102とが形成されている。機器に衝撃が加わると、半田ボールにクラックが発生して測定用端子101、102間の抵抗値が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などに加えられた衝撃を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型ゲーム機、ノートパソコン、携帯情報端末、携帯音楽プレーヤなど、様々な電子機器が存在する。これら電子機器は、ユーザが持ち歩くことが多いため、誤って落下させる場合がある。また、携帯型の機器でなくとも、機器を購入して持ち帰るときや、機器の設置作業中などに誤って落下させる場合はある。たとえば、DVDプレーヤ、デスクトップパソコン、プリンタなどを購入し、その製品を搬送する途中で落下させるような場合が考えられる。
【0003】
電子機器を落下させるのは、ユーザだけではない。たとえば、電気メータの設置作業員が、設置作業中に誤って電気メータを落下させる場合もある。
【0004】
電子機器は、精密な部品で構成されているため、落下によって、電装部品、基板等が破壊、変形する場合があり、電子機器の故障の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−91219号公報
【特許文献2】特開2007−64711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器に初期不良がある場合には、ユーザは、無償でメーカによるサポートを受けることができるであろう。これに対して、ユーザが誤って電子機器を落下させ、電子機器を故障させた場合には、修理費用は、ユーザが負担する必要がある。
【0007】
しかし、修理依頼を受けたメーカ側で、故障の原因が初期不良によるものなのか、ユーザが電子機器を落下させたことが原因であるかを判別することが難しい。実際には、ユーザが電子機器を落下させたにもかかわらず、初期不良だと偽って報告を受けても、原因を特定することは困難である。
【0008】
上記特許文献1では、機器に加速度センサを搭載している。加速度センサが機器の落下を検知すると、機器を安全な動作状態に制御するようにしている。
【0009】
上記特許文献2では、電子機器の筐体内に衝撃検知用のボールが取り付けられている。ボールは、筐体内でフレームを介して中空状態で取り付けられており、電子機器が落下により衝撃を受けると、ボールがフレームから外れるようになっている。
【0010】
特許文献1は、機器に加速度センサを搭載する構成であるため、機器のコストが高くなるという問題がある。また、機器が落下によっても故障しない安全な状態に制御されることとしているが、そのような制御にもかかわらず故障した場合には、やはり初期不良であるのかどうかを判断することができない。
【0011】
特許文献2は、筐体内のボールがフレームから外れることによって、初期不良か否かの判断を行うことが可能である。しかし、機器内にボールを取り付ける構成であるため、たとえば、薄型の携帯装置などには向かない。
【0012】
本発明は前記問題点に鑑み、電子機器に加えられた衝撃を検知する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1の発明は、機器に対する衝撃を検知する装置であって、プリント基板と、前記プリント基板上に半田ボールを介して取り付けられる部品と、を備え、前記半田ボールによる前記プリント基板と前記部品との間の導通状態が切断されることを利用して、前記機器に対する衝撃を検知することを特徴とする。
【0014】
2の発明は、の発明の衝撃検知装置において、前記プリント基板上に基板上回路が形成され、前記プリント基板上に第1〜第Nの半田ボールを介して前記部品が取り付けられており、前記部品は、前記第1〜第Nの半田ボールとそれぞれ接合される第1〜第Nの接続端子と、部品内連結回路と、を含み、前記基板上回路は、前記第1の半田ボールと接合されるとともに、第1測定端子を有する第1基板上回路と、前記第Nの半田ボールと接合されるとともに、第2測定端子を有する第2基板上回路と、基板上連結回路と、を含み、前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間が導通していることを特徴とする。
【0015】
3の発明は、の発明の衝撃検知装置において、前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間に各半田ボールを接続する複数の回路が直列接続されていることを特徴とする。
【0016】
4の発明は、の発明の衝撃検知装置において、前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間に複数の抵抗が並列接続されていることを特徴とする。
【0017】
5の発明は、の発明の衝撃検知装置において、前記複数の抵抗の抵抗値がそれぞれ異なることを特徴とする。
【0018】
6の発明は、から第5のいずれかの発明の衝撃検知装置において、前記第1〜第Nの半田ボールと前記部品との接合面の径を調整することにより、衝撃検知感度を調整可能としたことを特徴とする。
【0019】
7の発明は、から第5のいずれかの発明の衝撃検知装置において、前記第1〜第Nの半田ボールの組成を変更することにより、衝撃検知感度を調整可能としたことを特徴とする。
【0020】
8の発明は、の発明の衝撃検知装置において、前記プリント基板上に基板上回路が形成され、前記プリント基板上に第1の半田ボールと第2の半田ボールとを介して前記部品が取り付けられており、前記部品は、前記第1の半田ボールと接合される第1接続端子と、前記第2の半田ボールと接合される第2接続端子と、前記第1接続端子と前記第2接続端子との間を連結する部品内連結回路と、を含み、前記基板上回路は、前記第1の半田ボールと接合されるとともに、第1測定端子を有する第1基板上回路と、前記第2の半田ボールと接合されるとともに、第2測定端子を有する第2基板上回路と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の衝撃検知装置は、プリント基板上に半田ボールにより部品を支持する。そして、部品内の導通状態を測定可能な測定端子をプリント基板上に設けた。これにより、機器に加わった衝撃を検知することが可能である。衝撃検知装置は、プリント基板上に非常に小さな部品を搭載するだけの簡易な構成であり、電源も制御装置も不要であり、機器のコストを大きくすることはない。また、機器のサイズを大きくすることもないので、小型の携帯機器などにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】衝撃検知装置が搭載されたプリント基板の平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る衝撃検知装置を示す図である。
【図3】機器が衝撃を受ける前の衝撃検知装置の断面図である。
【図4】機器が衝撃を受けた後の衝撃検知装置の断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る衝撃検知装置を示す図である。
【図6】第3の実施の形態に係る衝撃検知装置を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る衝撃検知装置の抵抗値を示す図である。
【図8】第4の実施の形態に係る衝撃検知装置を示す図である。
【図9】第5の実施の形態に係る衝撃検知装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は、衝撃検知装置2が搭載されたプリント基板10を示す平面図である。プリント基板10は、たとえば、携帯ゲーム装置のメイン基板であり、携帯ゲーム装置のケースに収容される。あるいは、プリント基板10は、電気メータのメイン基板であり、電気メータのケースに収容される。
【0024】
プリント基板10には、様々な半導体部品11、11・・・が搭載されている。半導体部品11、11・・・は、CPU、メモリや、各種のLSIなどである。プリント基板10が、携帯ゲーム装置のメイン基板であれば、CPUや各種LSIにより、携帯ゲーム装置の主要部品を構成している。したがって、このプリント基板10が強い衝撃を受けると、機器の主機能に関わる大きな故障を引き起こすことになる。
【0025】
衝撃検知装置2は、プリント基板10に取り付けられた部品20と、プリント基板10上に形成された測定用端子101、102、回路111、112などを備えて構成されている。
【0026】
衝撃検知装置2は、BGA(Ball Grid Array)あるいはCSP(Chip Scale Package)などのパッケージ部品であり、半田ボール(半田バンプ)を利用してプリント基板10上に取り付けられている。衝撃検知装置2は、たとえば、2cm×2cm〜3cm×3cm程度の面積の小型のパッケージである。
【0027】
{第1の実施の形態}
図2は、第1の実施の形態の衝撃検知装置2を示す図である。図2(a)は、部品20の底面図であり、図2(b)は、部品20が取り付けられるプリント基板10の基板面を示す図である。図2(b)においては、プリント基板10上に形成された回路を見やすくするため、部品20の外形のみを2点鎖線で示している。
【0028】
図2(a)に示すように、部品20の底面側には、4つの接続端子CT1〜CT4が埋め込まれている。一方、図2(b)に示すように、プリント基板10上には、4つの接続端子DT1〜DT4が形成されている。そして、接続端子CT1〜CT4と、接続端子DT1〜DT4とを、それぞれ対向させた状態で、半田ボールB1〜B4により、接続端子CT1〜CT4と接続端子DT1〜DT4とが接合される。これにより、半田ボールB1〜B4を介して、接続端子CT1〜CT4と接続端子DT1〜DT4とが導通する。
【0029】
部品20の内部において、接続端子CT1と接続端子CT2とは、回路211を介して接続され、接続端子CT3と接続端子CT4とは、回路212を介して接続されている。
【0030】
プリント基板10上には、接続端子DT2と接続端子DT3とを接続する回路113が形成されている。また、接続端子DT1と測定用端子101とは回路111により接続され、接続端子DT4と測定用端子102とは回路112により接続されている。
【0031】
これにより、測定用端子101と測定用端子102とは、回路111、回路211、回路113、回路212、回路112を介して導通する。
【0032】
図3は、衝撃検知装置2の断面図である。接続端子CT1と接続端子DT1とが半田ボールB1によって接合され、接続端子CT2と接続端子DT2とが半田ボールB2によって接合されている様子を示している。同じような構造で、接続端子CT3と接続端子DT3とが半田ボールB3によって接合され、接続端子CT4と接続端子DT4とが半田ボールB4によって接合されていることになる。
【0033】
なお、図では、接続端子CT1と接続端子CT2とを接続する回路211を抵抗のシンボルで示しているが、第1の実施の形態においては、回路211、回路212とは抵抗が0の配線である。後で説明する第3、第4の実施の形態においては、部品内の回路として所定の抵抗値を持った抵抗が利用される。また、回路111、112、113についても抵抗0の配線である。
【0034】
衝撃検知装置2の構成は以上説明したとおりである。上述した例と同様、プリント基板10は、携帯ゲーム装置のメイン基板であるとする。衝撃検知装置2が搭載されたプリント基板10を収容する携帯ゲーム装置が故障すると、故障した携帯ゲーム装置が修理センターに持ち込まれる。
【0035】
修理センターでは、サービスマンが故障した携帯ゲーム装置の修理を行うが、このとき、故障の原因が初期不良であるのか、あるいは、ユーザが携帯ゲーム装置を落下させたことが原因であるかを判断する必要がある。
【0036】
サービスマンは、携帯ゲーム装置のケースを開けて、中からプリント基板10を取り出す。そして、測定用端子101、102に抵抗測定機のプラス端子とマイナス端子とを接続する。もし、携帯ゲーム装置が落下などで衝撃を受けていなければ、測定用端子101、102は、回路111、回路211、回路113、回路212、回路112を介して導通しているはずである。この場合、抵抗測定機は、測定用端子101、102間の導通状態(抵抗値0)を検知することができる。これにより、携帯ゲーム装置には、大きな衝撃が加わった形跡がないと判断できる。
【0037】
もし、携帯ゲーム装置が落下などにより大きな衝撃を受けた場合、半田ボールにクラックが発生する。あるいは、半田ボールが接続端子から剥がれる。図4は、半田ボールB2にクラックが発生している様子を示す。この場合、接続端子CT2と接続端子DT2との間が絶縁される。この状態で、抵抗測定機によって、測定用端子101、102間の抵抗を測定すれば、抵抗値が無限大となり、測定用端子101、102間の導通状態が切断されたことを検知できる。これにより、半田ボールにクラックが発生するほどの衝撃、あるいは半田ボールが接続端子から剥がれるほどの衝撃が携帯ゲーム装置に加わったと判断できる。
【0038】
このように、本実施の形態の衝撃検知装置2は、機器に加わった衝撃を検知することが可能である。衝撃検知装置2は、プリント基板10上に非常に小さな部品20を搭載するだけの簡易な構成であり、電源も制御装置も不要であり、機器のコストを大きくすることはない。また、機器のサイズを大きくすることもないので、小型の携帯機器などにも適している。
【0039】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る衝撃検知装置2を示す図である。図5(a)は、部品20の底面図であり、図5(b)は、部品20が取り付けられるプリント基板10の基板面を示す図である。図5(b)においては、プリント基板10上に形成された回路を見やすくするため、部品20の外形のみを2点鎖線で示している。
【0040】
図5(a)に示すように、部品20の底面側には、8つの接続端子CT1〜CT8が埋め込まれている。一方、図5(b)に示すように、プリント基板10上には、8つの接続端子DT1〜DT8が形成されている。そして、接続端子CT1〜CT8と、接続端子DT1〜DT8とを、それぞれ対向させた状態で、半田ボールB1〜B8により、接続端子CT1〜CT8と接続端子DT1〜DT8とが接合される。これにより、半田ボールB1〜B8を介して、接続端子CT1〜CT8と接続端子DT1〜DT8とが導通する。
【0041】
部品20の内部において、接続端子CT1と接続端子CT2とは、回路221を介して接続され、接続端子CT3と接続端子CT4とは、回路222を介して接続され、接続端子CT5と接続端子CT6とは、回路223を介して接続され、接続端子CT7と接続端子CT8とは、回路224を介して接続されている。第1の実施の形態と同様、回路221、222、223、224は、抵抗0の配線である。
【0042】
プリント基板10上には、接続端子DT2と接続端子DT3とを接続する回路123と、接続端子DT4と接続端子DT5とを接続する回路124と、接続端子DT6と接続端子DT7とを接続する回路125とが形成されている。また、接続端子DT1と測定用端子101とは回路111により接続され、接続端子DT8と測定用端子102とは回路112により接続されている。回路111、112、123、124、125についても抵抗0の配線である。
【0043】
これにより、測定用端子101と測定用端子102とは、回路111、回路221、回路123、回路222、回路124、回路223、回路125、回路224、回路112を介して接続される。
【0044】
もし、携帯ゲーム装置が落下などで衝撃を受けていなければ、測定用端子101、102は、回路111、回路221、回路123、回路222、回路124、回路223、回路125、回路224、回路112を介して導通されているはずである。この場合、抵抗測定機は、測定用端子101、102間の導通状態(抵抗値0)を検知することができる。これにより、携帯ゲーム装置に大きな衝撃が加わった形跡がないと判断できる。
【0045】
もし、携帯ゲーム装置が落下などにより大きな衝撃を受けた場合、半田ボールにクラックが発生する。あるいは、半田ボールが接続端子から剥がれる。この状態で、抵抗測定機によって、測定用端子101、102間の抵抗を測定すれば、抵抗値が無限大となり、測定用端子101、102間の導通状態が切断されたことを検知できる。これにより、半田ボールにクラックが発生するほどの衝撃が携帯ゲーム装置に加わったと判断できる。あるいは半田ボールが接続端子から剥がれるほどの衝撃が加わったと判断できる。つまり、第2の実施の形態と同様、回路221、222、223、224は、直列接続されているので、半田ボールB1〜B8のいずれかの導通状態が切断されることで、測定用端子101、102間が絶縁され、抵抗値が無限大となる。
【0046】
{第3の実施の形態}
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態に係る衝撃検知装置2を示す図である。図6(a)は、部品20の底面図であり、図6(b)は、部品20が取り付けられるプリント基板10の基板面を示す図である。図6(b)においては、プリント基板10上に形成された回路を見やすくするため、部品20の外形のみを2点鎖線で示している。
【0047】
図6(a)に示すように、部品20の底面側には、4つの接続端子CT1〜CT4が埋め込まれている。一方、図6(b)に示すように、プリント基板10上には、4つの接続端子DT1〜DT4が形成されている。そして、接続端子CT1〜CT4と、接続端子DT1〜DT4とを、それぞれ対向させた状態で、半田ボールB1〜B4により、接続端子CT1〜CT4と接続端子DT1〜DT4とが接合される。これにより、半田ボールB1〜B4を介して、接続端子CT1〜CT4と接続端子DT1〜DT4とが導通する。
【0048】
部品20の内部において、接続端子CT1と接続端子CT2とが、抵抗231を介して接続され、接続端子CT1と接続端子CT3とが、抵抗232を介して接続され、接続端子CT1と接続端子CT4とが、抵抗233を介して接続されている。
【0049】
プリント基板10上には、接続端子DT2と接続端子DT3とを接続する回路133と、接続端子DT3と接続端子DT4とを接続する回路134と、が形成されている。また、接続端子DT1と測定用端子101とは回路111により接続され、接続端子DT4と測定用端子102とは回路112により接続されている。回路111、112、133、134については抵抗0の配線である。
【0050】
これにより、測定用端子101と測定用端子102とは、回路111、抵抗231、回路133、回路134、回路112を介して接続される。また、測定用端子101と測定用端子102とは、回路111、抵抗232、回路134、回路112を介して接続される。さらに、測定用端子101と測定用端子102とは、回路111、抵抗233、回路112を介して接続される。このように、測定用端子101と測定用端子102との間において、3つの抵抗231、232、233が並列接続される。
【0051】
図7は、抵抗231、232、233の合成抵抗を示す図である。ここでは、図6(a)に示すように、抵抗231の抵抗値はR、抵抗232の抵抗値は2R、抵抗233の抵抗値は、4Rであるとする。
【0052】
図7において、“0”は、半田ボールにクラック(あるいは剥がれ)が発生し、絶縁されている状態を示し、“1”は、半田ボールが導通状態にあることを示している。たとえば、状態4であれば、半田ボールB2は、クラックが発生して絶縁状態となり、半田ボールB3、B4は、導通状態にあることを示している。
【0053】
図に示すように、半田ボールB2、B3、B4の状態によって、抵抗231、232、233の合成抵抗は状態1から状態8までの8つのパターンが存在する。たとえば、半田ボールB2、B4は導通状態にあり、半田ボールB3が絶縁状態にある状態6であれば、合成抵抗は、4R/5となる。
【0054】
もし、携帯ゲーム装置が落下などで衝撃を受けていなければ、測定用端子101、102は、並列接続された3つの抵抗231、232、233の全てを介して導通されているはずである。この場合、抵抗測定機は、状態8の合成抵抗として4R/7を測定できる。これにより、携帯ゲーム装置に大きな衝撃が加わった形跡がないと判断できる。
【0055】
もし、携帯ゲーム装置が落下などにより大きな衝撃を受けた場合、半田ボールにクラックが発生する。あるいは、半田ボールが接続端子から剥がれる。これにより、抵抗測定機によって、測定用端子101、102間の抵抗を測定すれば、抵抗値が状態8以外の値をとり、半田ボールの導通状態が切断されるほどの衝撃が携帯ゲーム装置に加わったと判断できる。
【0056】
さらに、測定した合成抵抗値から、どの半田ボールの導通状態が切断されたかを即座に特定することができる。たとえば、合成抵抗値が4R/6であれば、状態7が該当するので、半田ボールB4の導通状態が切断されたことが分かる。これにより、衝撃検知装置2のどの部分、あるいはどの方向に強く力が加わったかを推定することができる。
【0057】
このように、プリント基板10に衝撃検知装置2を実装させることで、低コスト、簡易な構成でありながら、機器に落下などによる大きな衝撃が加わったことを検知できる。さらには、第3の実施の形態によれば、機器のどの方向、どの部分に強い力が加わったかを特定することができる。
【0058】
半田ボールB1の導通状態が切断された場合には、抵抗値が無限大になるため、落下などにより衝撃が加わったことは判別可能であるが、衝撃が強く加わった場所を特定することはできない。このため、衝撃が加わり難い位置が存在する場合には、その位置に接続端子CT1、DT1の位置をあわせるとよい。
【0059】
{第4の実施の形態}
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態に係る衝撃検知装置2を示す図である。図8(a)は、部品20の底面図であり、図8(b)は、部品20が取り付けられるプリント基板10の基板面を示す図である。図8(b)においては、プリント基板10上に形成された回路を見やすくするため、部品20の外形のみを2点鎖線で示している。
【0060】
図8(a)に示すように、部品20の底面側には、9つの接続端子CT1〜CT9が埋め込まれている。一方、図8(b)に示すように、プリント基板10上には、9つの接続端子DT1〜DT9が形成されている。そして、接続端子CT1〜CT9と、接続端子DT1〜DT9とを、それぞれ対向させた状態で、半田ボールB1〜B9により、接続端子CT1〜CT9と接続端子DT1〜DT9とが接合される。これにより、半田ボールB1〜B9を介して、接続端子CT1〜CT9と接続端子DT1〜DT9とが導通する。
【0061】
部品20の内部には、接続端子CT1〜CT8と接続端子CT9とを接続する抵抗241〜248が並列接続されている。
【0062】
プリント基板10上には、接続端子DT1と接続端子DT2とを接続する回路143と、接続端子DT2と接続端子DT3とを接続する回路144と、接続端子DT3と接続端子DT4とを接続する回路145と、接続端子DT4と接続端子DT5とを接続する回路146と、接続端子DT5と接続端子DT6とを接続する回路147と、接続端子DT6と接続端子DT7とを接続する回路148と、接続端子DT7と接続端子DT8とを接続する回路149とが形成されている。また、接続端子DT9と測定用端子101とは回路111により接続され、接続端子DT8と測定用端子102とは回路112により接続されている。回路111、112、143〜149については、抵抗0の配線である。
【0063】
これにより、測定用端子101と測定用端子102との間は、8個の抵抗241〜248が並列接続された状態となる。
【0064】
もし、携帯ゲーム装置が落下などで衝撃を受けていなければ、測定用端子101、102は、並列接続された8つの抵抗241〜248の全てを介して導通されているはずである。この場合、抵抗測定機は、8つの並列接続された抵抗241〜248の合成抵抗を測定できる。これにより、携帯ゲーム装置に大きな衝撃が加わった形跡がないと判断できる。
【0065】
もし、携帯ゲーム装置が落下などにより大きな衝撃を受けた場合、半田ボールにクラックが発生する。あるいは、半田ボールが接続端子から剥がれる。いずれかの半田ボールの導通状態が切断された場合には、抵抗測定機によって、測定用端子101、102間の抵抗を測定すれば、正常な場合と比べて抵抗値が異なる値をとる。これにより、半田ボールの導通状態が切断されるほどの衝撃が携帯ゲーム装置に加わったと判断できる。そして、第3の実施の形態と同様、8つの抵抗241〜248を異なる抵抗値で構成しておけば、測定した合成抵抗値から、どの半田ボールの導通状態が切断されたかを即座に特定することができる。これにより、機器にどの方向に強い力が加わったかを推定することができる。
【0066】
{第5の実施の形態}
図9は、第5の実施の形態に係る衝撃検知装置2の断面図である。図に示すように、半田ボールB2と接続端子CT2との接続面の径に比べて半田ボールB1と接続端子CT1との接続面の径が小さくなっている。あるいは、半田ボールB2と接続端子DT2との接続面の径に比べて半田ボールB1と接続端子DT1との接続面の径が小さくなっている。 半田ボールとパッケージとの接続面の径が小さい場合、衝撃が加わったときに、接続面に加わる力が集中するため、クラックあるいは接続端子からの剥がれが発生する可能性が高くなる。これにより、半田ボールの衝撃に対する耐久性を調整することができる。図9の例であれば、半田ボールB1の衝撃に対する強度を、半田ボールB2の強度より弱くすることができる。このように、半田ボールの径を調整することで、衝撃を検知する感度を調整することができる。
【0067】
あるいは、半田ボールの組成を変えることで、衝撃を検知する感度を調整することもできる。
【0068】
{本発明の本質的な構成}
上記第1の実施の形態においては、4個の半田ボールB1〜B4が、部品20内の回路211、212とプリント基板10上の回路113によって導通されている。このような構成は、むしろ本発明の応用的な実施の形態であり、本発明の本質的な特徴を備える最もシンプルな構成としては、接続端子CT1と接続端子CT2との間を1つの配線で連結するだけの構成が考えられる。この場合、測定用端子101、102間は、回路111、CT1−CT2間の配線、回路112で導通されることになる。この場合であっても、半田ボールB1、B2のいずれかの導通状態が切断されることにより、衝撃を検知することが可能である。
【0069】
本発明の衝撃検知装置2は、半田ボールの導通状態が切断されることにより、導通状態の変化、あるいは抵抗値の変化を検知するものである。したがって、機器が落下によって衝撃を受けた場合の他にも、機器に無理な力が加わった場合などにも衝撃を検知する手段として利用できる。たとえば、窓の鍵に本発明の衝撃検知装置を取り付ける。そして、強引に窓が開けられた場合には、その衝撃を検知するなどの目的で利用することもできる。この場合にも、衝撃の発生を電気的に検知することが可能であり、セキュリティシステムにおいて衝撃を検知するなど、電子制御が容易である。
【符号の説明】
【0070】
2 衝撃検知装置
10 プリント基板
20 部品
101,102 測定用端子
111,112,113 回路
123,124,125 回路
133,134 回路
143,144,145,146,147,148,149 回路
211,212 回路
221,222,223,224 回路
231,232,233 抵抗
241,242,243,244,245,246,247,248 抵抗
B1〜B8 半田ボール
CT1〜CT8 接続端子
DT1〜DT8 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に対する衝撃を検知する装置であって、
プリント基板と、
前記プリント基板上に半田ボールを介して取り付けられる部品と、
を備え、
前記半田ボールによる前記プリント基板と前記部品との間の導通状態が切断されることを利用して、前記機器に対する衝撃を検知し、
前記プリント基板上に基板上回路が形成され、前記プリント基板上に第1〜第N(N:自然数、N≧3)の半田ボールを介して前記部品が取り付けられており、
前記部品は、
前記第1〜第Nの半田ボールとそれぞれ接合される第1〜第Nの接続端子と、
部品内連結回路と、
を含み、
前記基板上回路は、
前記第1の半田ボールと接合されるとともに、第1測定端子を有する第1基板上回路と、
前記第Nの半田ボールと接合されるとともに、第2測定端子を有する第2基板上回路と、
基板上連結回路と、
を含み、
前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間が導通しており、
前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間に各半田ボールを接続する複数の回路が直列接続されており、
前記複数の回路を構成する各回路は、導線のみからなる回路、または、導線および抵抗器のみからなる回路である、
衝撃検知装置。
【請求項2】
機器に対する衝撃を検知する装置であって、
プリント基板と、
前記プリント基板上に半田ボールを介して取り付けられる部品と、
を備え、
前記半田ボールによる前記プリント基板と前記部品との間の導通状態が切断されることを利用して、前記機器に対する衝撃を検知し、
前記プリント基板上に基板上回路が形成され、前記プリント基板上に第1〜第N(N:自然数、N≧3)の半田ボールを介して前記部品が取り付けられており、
前記部品は、
前記第1〜第Nの半田ボールとそれぞれ接合される第1〜第Nの接続端子と、
部品内連結回路と、
を含み、
前記基板上回路は、
前記第1の半田ボールと接合されるとともに、第1測定端子を有する第1基板上回路と、
前記第Nの半田ボールと接合されるとともに、第2測定端子を有する第2基板上回路と、
基板上連結回路と、
を含み、
前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間が導通しており、
前記第1〜第Nの半田ボールが、前記部品内連結回路と前記基板上連結回路によって連結されることにより、前記第1測定端子と前記第2測定端子との間に複数の抵抗が並列接続されていることを特徴とする衝撃検知装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108996(P2013−108996A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−49050(P2013−49050)
【出願日】平成25年3月12日(2013.3.12)
【分割の表示】特願2009−31187(P2009−31187)の分割
【原出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)