説明

衝撃耐性ポリウレアウレタンおよび調製の方法

【課題】高衝撃耐性を有するポリウレアウレタンを提供すること。
【解決手段】本発明は、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンに関する。このポリウレアウレタンは、ポリイソシアネートおよびポリエーテル含有ポリオール材料を含む、プレポリマーを含み得る。このプレポリマーは、アミン含有硬化剤と反応して、本発明のポリウレアウレタンを生成し得る。1つの実施形態において、このポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、少なくとも部分的に硬化されかつ両面に硬性コーティングを有する平面構造のレンズ(2.2mmの最大中心厚さを有する)として試験される場合、高衝撃試験によって規定される場合に、1秒間あたり少なくとも148フィートの衝撃耐性を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年11月16日に出願された番号60/332,827を有する米国仮特許出願の改変である。
【0002】
本発明は、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンに関する。
【0003】
一般的に、光学的に透明なプラスチック物質は、その衝撃耐性、ならびに物質が歪みを受ける温度および圧力によって特徴づけられる。
【0004】
高衝撃耐性を有するポリウレアウレタンについての必要性がある。
【0005】
本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用される場合、明白におよび明確に1つの対象に限定されなければ、単数形「a」「an」および「the」は、複数の対象を包含することが注目される。
【0006】
本明細書の目的のため、別に示されていなければ、明細書および特許請求の範囲で使用されている成分の量、反応条件などを示す全ての数は、全ての例で用語「約」によって修飾されているように理解されるべきである。従って、反対に示されていなければ、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値のパラメーターは、本発明によって得られることが求められた所望の特性に依存して変化し得る近似値である。最低でも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限するための試みではなく、各数値のパラメーターは、報告される有効な数字の数を考慮しておよび通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈される。
【0007】
本発明の広範囲を示す数値の範囲および数値パラメーターは、近似値であることにもかかわらず、特定の実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数値は、これら各々の試験測定で見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤りを本質的に包含する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを包含し、少なくとも部分的に硬化される場合および平面構造中で2.2mmの最大中心厚さを有する両表面上に硬性コーティングを有するレンズとして試験される場合、該ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、高衝撃試験(High Impact Test)によって規定されるように一秒当り少なくとも148フィートの衝撃耐性を有する。
【0009】
さらに、本発明は、以下の反応生成物を含有するポリエーテル含有ポリウレアウレタンを包含する:
a.ポリイソシアネートおよび少なくとも1つのポリエーテル含有ポリオール物質を含むポリウレアウレタンプレポリマー;ならびに
b.アミン含有硬化剤、
ここで、該プレポリマーは、2.0から4.5未満のNCO対OHの当量比を有する。
【0010】
さらに、本発明は、以下の工程を包含するポリエーテル含有ポリウレアウレタンを調製する方法を包含する:
a.少なくとも1つのポリエーテル含有ポリオールとポリイソシアネートを反応させて、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーを形成する工程;および
b.アミン含有硬化剤と該プレポリマーを反応させる、工程であって、ここで、該プレポリマーは、2.0から4.5未満のNCO対OHの当量比を有する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、さらに以下を提供する。
(項目1)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンであって、該ポリウレアウレタンは、少なくとも部分的に硬化され、かつ両面に硬性コーティングを有する、平面構造の、2.2mmの最大中心厚さを有するレンズとして試験される場合、高衝撃試験によって規定される場合に、1秒間あたり少なくとも148フィートの衝撃耐性を有する、ポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目2)
ポリエーテルポリオールから誘導されるブロック部分を含む、項目1に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目3)
前記ポリエーテルポリオールが、以下の式:
H−(O−CRRCRR−Y−(CRRCRR−Y−O)−(CRRCRR−Y−O)−H
を有し、ここで、Rは、水素またはC〜Cアルキルを表し得;Yは、CHを表し得;nは、0〜6の整数であり得;a、b、およびcは、各々、0〜300の整数であり得、ここで、a、bおよびcは、該ポリオールの重量平均分子量が32,000を超えないように選択される、項目2に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目4)
73℃において2,000cPs未満の粘度を有する、項目1に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目5)
プレポリマーおよびアミン含有硬化剤を含む、項目1に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目6)
前記プレポリマーが、ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオール材料を含む、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目7)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目6に記載のポリエーテルポリウレアウレタン。
(項目8)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目7に記載のポリエーテルポリウレアウレタン。
(項目9)
前記ポリイソシアネートが、シクロヘキシルメタンおよびその異性体混合物から選択される、項目7に記載のポリエーテルポリウレアウレタン。
(項目10)
前記ポリイソシアネートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のトランス−トランス異性体から選択される、項目7に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目11)
前記ポリイソシアネートが、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼン)およびこれらの混合物から選択される、項目7に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目12)
前記プレポリマーが、2.0〜4.5未満のNCO/OH当量比を有する、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目13)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、ポリエーテルポリオールおよびその混合物から選択される、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目14)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、200〜32,000の重量平均分子量を有する、項目6に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目15)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、2,000〜15,000の数平均分子量を有する、項目14に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目16)
前記アミン含有硬化剤が、以下の化学式:
【化1】

を有する材料およびその混合物から選択され、ここで、RおよびRが、各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基から選択され、そしてRが、水素および塩素から選択される、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目17)
前記アミン含有硬化剤が、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)である、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目18)
前記アミン含有硬化剤が、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン;2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、およびこれらの混合物から選択される、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目19)
前記アミン含有硬化剤が、1.0 NCO/0.60 NH〜1.0 NCO/1.20 NHのNCO/NH当量比を有する、項目5に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目20)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンであって、以下:
(a)ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオールを含む、プレポリマー;ならびに
(b)アミン含有硬化剤、
の反応生成物を含み、ここで、該プレポリマーが、2.0〜4.5未満のNCO/OH当量比を有する、ポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目21)
2.1〜4.0のNCO/OH当量比を有する、項目20に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目22)
ポリエーテルポリオールから誘導されるブロック部分を含む、項目20に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目23)
前記ポリエーテルポリオールが、以下の式:
H−(O−CRRCRR−Y−(CRRCRR−Y−O)−(CRRCRR−Y−O)−H
を有し、ここで、Rは、水素またはC〜Cアルキルを表し得;Yは、CHを表し得;nは、0〜6の整数であり得;a、b、およびcは、各々、0〜300の整数であり得、ここで、a、bおよびcは、該ポリオールの重量平均分子量が32,000を超えないように選択される、項目22に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目24)
73℃において2,000cPs未満の粘度を有する、項目20に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目25)
前記ポリエーテル含有ポリウレアウレタンが、プレポリマーおよびアミン含有硬化剤を含む、項目20に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目26)
前記プレポリマーが、ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオール材料を含む、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目27)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目28)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目27に記載のポリエーテルポリウレアウレタン。
(項目29)
前記ポリイソシアネートが、シクロヘキシルメタンおよびその異性体混合物から選択される、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目30)
前記ポリイソシアネートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のトランス,トランス異性体から選択される、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目31)
前記ポリイソシアネートが、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼン)およびこれらの混合物から選択される、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目32)
前記プレポリマーが、2.0〜4.5未満のNCO/OH当量比を有する、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目33)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、ポリエーテルポリオールおよびその混合物から選択される、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目34)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、200〜32,000の重量平均分子量を有する、項目26に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目35)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、2,000〜15,000の数平均分子量を有する、項目29に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目36)
前記アミン含有硬化剤が、以下の化学式:
【化2】

を有する材料およびその混合物から選択され、ここで、RおよびRが、各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基から選択され、そしてRが、水素および塩素から選択される、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目37)
前記アミン含有硬化剤が、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)である、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目38)
前記アミン含有硬化剤が、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン;2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、およびこれらの混合物から選択される、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目39)
前記アミン含有硬化剤が、1.0 NCO/0.60 NH〜1.0 NCO/1.20 NHのNCO/NH当量比を有する、項目25に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目40)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを調製する方法であって、以下の工程:
(a)ポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオールと反応させて、ポリエーテル含有ポリウレアプレポリマーを形成する工程;および
(b)該プレポリマーを、アミン含有硬化剤と反応させる工程、
を包含し、ここで、該プレポリマーが、2.0〜4.5未満のNCO/OH当量比を有する、方法。
(項目41)
2,000cPs未満の粘度を有する、項目40に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目42)
前記ポリエーテル含有ポリウレアウレタンが、プレポリマーおよびアミン含有硬化剤を含む、項目40に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目43)
前記プレポリマーが、ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオール材料を含む、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目44)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目45)
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、およびこれらの混合物から選択される、項目44に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目46)
前記ポリイソシアネートが、シクロヘキシルメタンおよびその異性体混合物から選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目47)
前記ポリイソシアネートが、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のトランス−トランス異性体から選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目48)
前記ポリイソシアネートが、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼン)およびこれらの混合物から選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目49)
前記プレポリマーが、2.1〜4.0未満のNCO/OH当量比を有する、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目50)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、ポリエーテルポリオールおよびその混合物から選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目51)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、200〜32,000の数平均分子量を有する、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目52)
前記ポリエーテル含有ポリオール材料が、2,000〜15,000の数平均分子量を有する、項目46に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目53)
ポリエーテルポリオールから誘導されるブロック部分を含む、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目54)
前記ポリエーテルポリオールが、以下の式:
H−(O−CRRCRR−Y−(CRRCRR−Y−O)−(CRRCRR−Y−O)−H
を有し、ここで、Rは、水素またはC〜Cアルキルを表し得;Yは、CHを表し得;nは、0〜6の整数であり得;a、b、およびcは、各々、0〜300の整数であり得、ここで、a、bおよびcは、該ポリオールの重量平均分子量が32,000を超えないように選択される、項目43に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目56)
前記アミン含有硬化剤が、以下の化学式:
【化3】

を有する材料およびその混合物から選択され、ここで、RおよびRが、各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基から選択され、そしてRが、水素および塩素から選択される、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目57)
前記アミン含有硬化剤が、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)である、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目58)
前記アミン含有硬化剤が、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン;2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、およびこれらの混合物から選択される、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目59)
前記アミン含有硬化剤が、1.0 NCO/0.60 NH〜1.0 NCO/1.20 NHのNCO/NH当量比を有する、項目42に記載のポリエーテル含有ポリウレアウレタン。
(項目60)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを含む光学物品であって、該ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、少なくとも部分的に硬化され、かつ両面に硬性コーティングを有する、平面構造の、2.2mmの最大中心厚さを有するレンズとして試験される場合、高衝撃試験によって規定される場合に、1秒間あたり少なくとも148フィートの衝撃耐性を有する、光学物品。
(項目61)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを含む光学物品であって、該ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、以下:
(a)ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオールを含む、プレポリマー;ならびに
(b)アミン含有硬化剤、
の反応生成物を含み、ここで、該プレポリマーが、2.0〜4.5のNCO/OH当量比を有する、光学物品。
(項目62)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを含むフォトクロミック物品であって、該ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、少なくとも部分的に硬化され、かつ両面に硬性コーティングを有する、平面構造の、2.2mmの最大中心厚さを有するレンズとして試験される場合、高衝撃試験によって規定される場合に、1秒間あたり少なくとも148フィートの衝撃耐性を有する、フォトクロミック物品。
(項目63)
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンを含むフォトクロミック物品であって、該ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、以下:
(a)ポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリエーテル含有ポリオールを含む、プレポリマー;ならびに
(b)アミン含有硬化剤、
の反応生成物を含み、ここで、該プレポリマーが、2.0〜4.5のNCO/OH当量比を有する、フォトクロミック物品。
【0012】
非限定的な実施形態では、本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、透明体の適用(例えば、構築的なガラスはめ作業、乗り物のガラスはめ作業、暴徒鎮圧用の盾、航空機の天蓋、顔面マスク、バイザー、眼レンズおよび日光レンズ、保護メガネ類、並びに透明な防護具)について使用され得る。本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、少なくとも一つの次に示す特性を示し得ることが、発見された:光学的な透明さ、良い衝撃(ballistic)特性、良い化学的耐性、および認容可能な加熱歪み温度。
【0013】
本発明のポリウレアウレタンの調製で有効なポリイソシアネートは、多数および広く変化される。非限定的な例としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられ得るが、これらに限定されず、ここで、一つ以上のイソシアナト基は、脂環式環、脂環式ポリイソシアネートに直接的に付着され、ここで、一つ以上のイソシアナト基は、脂環式環、芳香族ポリイソシアネートに直接的に接着されず、ここで、一つ以上のイソシアナト基は、芳香族環、および芳香族ポリイソシアネートに直接的に付着され、ここで、一つ以上のイソシアナト基は、芳香族環、およびその混合物に直接的に付着されない。非限定的な実施形態では、芳香族ポリイソシアネートが使用される場合、一般には、ポリウレアウレタンに色(例えば、黄色)を引き起こさない物質を選択するように注意が払われるべきである。
【0014】
本発明の代替の非限定的な実施形態で、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、その環状ダイマーおよび環状トリマー、ならびにその混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。適切なポリイソシアネートの非限定的な例としては、Bayerから市販されているDesmodur N3300(ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー);Desmodur
N3400(60%ヘキサメチレンジイソシアネートダイマーおよび40%ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)が挙げられ得るが、これらに限られない。非限定的な実施形態で、ポリイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびその異性体混合物を含み得る。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「異性体混合物」は、ポリイソシアネートのシス−シス、トランス−トランス、およびシス−トランス異性体の混合物を意味する。本発明中での使用のための異性体混合物の非限定的な例は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のトランス−トランス異性体を包含し得え、本明細書中以下では、「PICM」(パライソシアナトシクロヘキシルメタン)、PICMのシス−トランス異性体、PICMのシス−シス異性体、およびその混合物と称される。
【0015】
本発明中での使用に適切な異性体としては、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の次に示す3つの異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
【化4】

1つの非限定的実施形態において、本発明で使用されるPICMは、本明細書で参考として援用される米国特許第2,644,007号;米国特許第2,680,127号;および米国特許第2,908,703に開示される手順のように当業者に周知の手順により、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(PACM)をホスゲン化することによって調製され得る。ホスゲン化の際、PACM異性体混合物は、室温で液相、部分的液相または固相においてPICMを産生し得る。別の非限定的実施形態において、PACMアイソマー混合物は、水ならびにメタノ−ルおよびエタノールなどのアルコールの存在下で、メチレンジアニリンの水素添加および/またはPACMアイソマー混合物の断片的結晶化によって得られ得る。
【0017】
本発明の別の非限定的な実施形態において使用され得るさらなる脂肪族および環状脂肪族ジイソシナネートは、Arco Chemicalから商品名TMXDI.RTM.(Meta)として市販される3−イソシアネート−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシナネート(「IPDI」)およびCytec Industries
Inc.から市販されるメタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)−ベンゼン)を含む本発明のもう1つの非限定的実施形態において、使用され得る。
【0018】
本明細書および請求項に使用されるように、用語「脂肪族および環状脂肪族ジイソシアネート」は、2つのジイソシアネート活性端基を有する直鎖または環状につながった6〜100の炭素原子を指す。本発明の1つの非限定的実施形態において、本発明で使用するための脂肪族および環状脂肪族ジイソシアネートは、TMXDIおよび式R−(NCO)化合物を含み得、ここで、Rは、脂肪族基または環状脂肪族基を表す。
【0019】
ポリエーテル含有ポリオールを含むエーテルおよびこれらの調製方法が、当業者に公知である。種々のタイプおよび分子量の多くのポリエーテル含有ポリオールは、種々の会社から市販されている。ポリエーテル含有ポリオールの非限定的例示は、ポリオキシアルキレンポリオールおよびポリオキシ化ポリオールを含むが、これらに限定されない。ポリオキシアルキレンポリオールは、公知の方法に従って調製され得る。1つの非限定的実施形態において、ポリオキシアルキレンポリオールは、エチレン、グリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールであるがこれらに限定されない多価ポリハイドロ化開始剤または多価開始剤の混合物を有する酸触媒または塩基触媒の添加を用いて、アルキレンオキシドまたはアルキレンオキシドの混合物を縮合調製され得る。アルキレンオキシドの非限定的例示は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、アラルキレンオキシド(例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物)を含み得る。さらなる非限定的な実施形態において、ポリオキシアルキレンポリオールは、無作為または段階的なオキシアルキル化を用いたアルキレンオキシドの混合液を用いて調製され得る。そのようなポリオキシアルキレンポリオールの非限定的例示として、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン(例えば、ポリプロピレングリコールであるが、これに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
1つの非限定的実施形態において、ポリアルコキシ化ポリオールは、以下の一般式Iによって表され得る。
【0021】
【化5】

ここで、mおよびnは、各々、正の整数であり得、mおよびnの合計は、5〜70である;RおよびRは、各々、水素、メチルまたはエチルであり得;そしてAは、1〜8の炭素原子、フェニレンおよびC〜Cのアルキル置換フェニレンを含み得る直鎖または分枝鎖アルキレンのような2価の結合基であり得る。選択された2価の結合基との組み合わせにおいて、mおよびnの選択値は、ポリオ−ルの分子量を決定し得る。
【0022】
ポリアルコキシル化ポリオールは、当該分野で公知の方法により調製され得る。1つの非限定的な実施形態において、4,4’−イソプロピルリデンジフェノールのようなポリオールは、ヒドロキシ官能性を有するエトキシ化、プロキシ化またはブトキシ化ポリオールと一般に称される物質を形成するために、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが挙げられるがこれらに限定されないオキシラン含有物質と反応させられ得る。ポリアルコキシ化ポリオールの調製において使用するのに適したポリオールの非限定的例示は、開示が本明細書に参考として援用される米国特許第6,187,444B1号の10欄の1〜20行に記載のポリオールを含み得る。
【0023】
本明細書および請求項に使用されるように、用語「ポリエーテル含有ポリオール」は、三フッ化ホウ素、塩化スズ(IV)および塩化スルホニルであるが、これらに限定されないルイス酸触媒の存在下において、テトラヒドロフランの重合により調製される一般に公知のポリ(オキシテトラメチレン)ジオールを含み得る。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシドおよびテトラヒドロフランが挙げられるがこれらに限定されない環状エーテルと、例えば、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタニジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコールに限定されないがこれらのような脂肪酸ジオールをとの共重合により調製されるポリエーテルを含み得る。ポリエーテル含有ポリオールの適合性の混合物もまた、使用され得る。本明細書に使用されるように、用語「適合性」は、ポリオールが単相を形成するために互いに完全に可溶性であることを意味する。
【0024】
1つの非限定的な実施形態において、本発明において使用するためのポリエーテル含有ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびそれらの混合物を含み得る。
【0025】
ポリエステルグリコールに限定されないがこのようなポリエステルポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,10−デカンジオールのような2〜10の炭素原子を有する1種以上の低分子量のグリコールとともに、4〜10の炭素原子を有する1つ以上のジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸またはセバシン酸のような)のエステル化生成物を含み得る。ポリエステルポリオールを生成するための公知のエステル化手順は、例えば、D.M.Young、F.Hostettlerらの論文、「Polyesters from Lactone」Union Carbide F−40,147ページに記載されている。
【0026】
ポリカーボネートポリオールは、当該分野で公知であり、そしてRavecarbTM107(Enichem S.p.A.)のように市販されている。1つの非限定的実施形態においてポリカーボネートポリオールは、明細書中で以下に記載されるようなジオールのような有機グリコールを、ポリウレアウレタンのグリコール成分および米国特許第4,160,853号に記載のようなジアルキルカーボネートと共同で、反応させることにより生成され得る。1つの非限定的な実施形態において、ポリオールは、H−(O−C(O)−O−(CH−OHのようなポリヘキサメチルカーボネートを含み得、ここで、nは、4〜24または4〜10あるいは5〜7の整数である。
【0027】
1つの非限定的な実施形態において、グリコール材料は、500未満の分子量を有するポリオールのような低分子量のポリオール、およびその適合性混合物を含み得る。本明細書に使用される場合、用語「適合性」は、グリコールが、単相を形成するために互いに完全に可溶性であることを意味する。これらのポリオールの非限定的な例は、低分子量ジオールおよびトリオールを含み得るがこれらに限定されない。さらなる非限定的な実施形態において、選択されるトリオールの量は、ポリウレタンにおける高い度合いの架橋を避けるような量である。高い度合いの架橋は、中程度の温度および圧力により形成可能でない熱硬化性ポリウレタンを生じ得る。有機グリコールは、代表的には2〜16または2〜6あるいは2〜10の炭素原子を含む。そのようなグリコールの非限定的な例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン、グリセリン、テトラメチロールメタン(例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルエタンおよびトリメチロ−ルプロパンであるが、これらに限定されない)およびその異性体を含み得るがこれらに限定されない。
【0028】
代替の非限定的な実施形態において、ポリエーテル含有ポリオールは、少なくとも200、または少なくとも1000、または少なくとも2000の重量平均分子量を有し得る。別の非限定的な実施形態において、ポリエーテル含有ポリオール材料は、10000未満、または15000未満、または20000未満、または32000未満の重量平均分子量を有し得る。
【0029】
限定されない実施形態において、本発明で用いるポリエーテル含有ポリオール物質は、少なくとも1つの低分子量ジカルボン酸(例えば、アジピン酸)から生成されるターエステル(terester)を含み得る。
【0030】
本発明で用いるポリエーテルグリコールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられ得るが、これに限定されない。
【0031】
限定されない実施形態において、このポリエーテル含有ポリオールは、エチレンオキシド−プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド−ブチレンオキシドのブロックを含むブロックポリマーを含み得る。限定されない実施形態において、このポリエーテル含有ポリオールは、以下の化学式のブロックポリマーを含み得る:
【0032】
【化6】

ここで、Rは、水素またはC〜Cアルキルを表し得;Yは、CHを表し得;nは、0から6までの整数であり得;a、b、およびcは、それぞれ0から300までの整数であり得、ここで、a、bおよびcは、ポリオールの重量平均分子量が32,000を超えないように選択される。
【0033】
さらなる限定されない実施形態において、BASFから市販されるPluronicR、PluronicL62D、TetronicRおよびTetronicは、本発明において、ポリエーテル含有ポリオール物質として使用され得る。
【0034】
本発明において、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーに含まれる、OHに対するNCO(すなわち、イソシアネート)の当量比は、OH1.0当たり2.0から4.5未満までのNCOの量であり得る。
【0035】
本発明における使用に適するアミン含有硬化剤は、多数でありかつ広く多様である。限定されない例としては、1分子当たり1より多いアミノ基を有するポリアミン(各アミノ基は、一級アミノ基(−NH)および二級アミノ基(−NH−)から独立して選択される)が挙げられるが、これらに限定されない。代替の限定されない実施形態において、アミン含有硬化剤は、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、およびそれらの混合物から選択され得る。さらなる限定されない実施形態において、このアミノ基は、全て一級基である。薄い色(low color)を有するポリウレアウレタンの生成が望ましい実施形態において、アミン硬化剤は、比較的薄い色を有するように選択され得、そして/あるいは、アミンが色(例えば、黄色)を発するのを防止するような様式で生産および/または貯蔵され得る。
【0036】
本発明における使用に適するアミン含有硬化剤としては、以下の化学式を有する物質が挙げられるが、これに限定されない:
【0037】
【化7】

ここで、RおよびRは、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基から独立して選択され得、そしてRは、水素および塩素から選択され得る。本発明で用いるアミン含有硬化剤の限定されない例としては、Lonza Ltd.(Basel、Switzerland)製の以下の化合物が挙げられる:
【0038】
【化8】

ここで、R、RおよびRは、上述の化学式に対応する。
【0039】
限定されない実施形態において、このアミン含有硬化剤としては、ジアミン硬化剤(例えば、合衆国において、Air Products and Chemical,Inc.(Allentown,Pa.)から入手可能である4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、(Lonzacure.RTM.M−CDEA)が挙げられるがこれらに限定されない。代替の限定されない実施形態において、本発明で用いるアミン含有硬化剤としては、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエンおよびそれらの混合物(集合的に、「ジエチルトルエンジアミン」または「DETDA」)(Ethacure 100の商品名でAlbemarle Corporationから市販されている);ジメチルチオトルエンジアミン「DMTDA」(Ethacure 300の商品名でAlbemarle Corporationから市販されている);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(MOCAの商品名でKingyorker Chemicalsから市販されている)が挙げられ得る。DETDAは、25℃で156cPsの粘度を有し、室温で液体であり得る。DETDAは、異性体であり得、2,4−異性体範囲は75〜81%であり得、一方、2,6−異性体範囲は18〜24%であり得る。
【0040】
非限定的な実施形態において、Ethacure100Sの名の下で入手可能である、色安定化されたバージョンEthacure100(すなわち、黄色を薄める添加剤を含む処方物)は、本発明中で使用され得る。
【0041】
別の実施形態では、本発明での使用のためのアミン含有硬化剤が、DEDTA、以下の構造を有する化合物
【0042】
【化9】

およびその混合物から選ばれ得る。
【0043】
本発明のポリウレアウレタンは、ワンショット法、準プレポリマー(quasi−prepolymer)法または完全プレポリマー法のより調製され得、これらの方法の全ては、当該分野で公知であり、米国特許第5,962,617号で開示される;この開示は本明細書中で参考として援用される。ワンショット法において、反応物の全ては、同時に一緒に混合され得る。準プレポリマー法において、ポリオールの全量の一般的に30%〜80%が、ポリイソシアネートと反応してプレポリマーを形成し、次いで、ポリオールの残りの20%〜70%が、アミン含有硬化剤と一緒にプレポリマーに加えられ得る。代わりの非限定的な実施形態において、ポリイソシアネート(すなわち、NCO)は、1.0OHに対して1より大きく4.5より小さなNCOの当量比において、または1.0OHに対して2.0〜4.0のNCOの当量比において、ポリエーテル含有ポリオール物質と混合され得、190゜F〜300゜Fの範囲内での温度に加熱され得る。混合物を加熱するための期間は非常に変わり得る。一般的に、より低い温度でこの混合物は、より高い温度で使用され得るよりも長い期間の間加熱され得る。例えば、260゜F〜265゜Fの温度で、この混合物は、5時間〜10時間の間加熱され得、275゜F〜290゜Fの温度で、3時間〜5時間の間加熱され得る。非限定的実施形態において、この混合物は、乾燥窒素下で加熱され、ポリイソシアネートのポリエーテル含有ポリオール物質とのプレポリマーを形成する反応を容易にし得る。次いで、この熱源は、除かれ、このプレポリマーは冷却され得る。さらなる非限定的実施形態において、プレポリマーは、160゜Fの温度に冷却され得る。プレポリマーは、24時間の間この温度に保たれ得る。冷却に続いて、プレポリマー中に存在するNCOの量を、当該分野で公知の種々の方法によって決定し得る。非限定的実施形態において、プレポリマー中に存在するNCOは次いで、ASTM−D−2572−91のような当該分野で公知の種々の方法により、決定され得る。
【0044】
本発明の非限定的な実施形態において、プレポリマー中に存在するNCOは、次のように決定され得る。2グラムのポリウレアウレタンのサンプルを、エルレンマイヤーフラスコに加え得る。サンプルを窒素でパージし得、次いでいくらかのガラスビーズ(5mm)を加え得る。この混合物に、ピペットで20mlの1Nジブチルアミン(トルエン中)を加え得る。この混合物を、撹拌し、ふたをし得る。次いで,このフラスコを熱源上に配置し得、このフラスコを少し還流するまで加熱し得、この温度で15分間保ち得、次いで室温に冷やし得る。テフロン(登録商標)の一片を、ストッパーとジョイントとの間に配置して、加熱の間の圧力増加を防ぎ得る。加熱サイクルの間、内容物は、完全な溶解および反応のために、しばしば撹拌し得る。ブランクの値は、Titrino751 ダイナミック自動滴定機を用いて、20mlのピペットで量った1Nジブチルアミン(DBA)および1Nの塩酸(HCl)を含む50mlのメタノールの直接の滴定により、得られ得、決定され得る。HClの規定度およびDBAブランクの平均値は、計算され得、この値を、自動滴定機にプログラムし得る。このサンプルを冷却した後、この内容物を、およそ50ml〜60mlのメタノールを有するビーカーに移し得る。磁気撹拌子を加え得、サンプルをプログラムされたTitrino751自動滴定機を用いて1N HClで滴定し得る。NCOおよびIEW(イソシアネート当量)のパーセントは、以下の式に従って計算され得る:
%NCO=(mLブランク−mLサンプル)(HCl規定度)(4.2018)/サンプル重量、グラム;
IEW=(サンプル重量、グラム)1000/(mLブランク−mLサンプル)(HCl規定度)。
「HCl規定度」の値を、以下のように決定し得る。以前に計量されたビーカーに0.4gの第1標準NaCOを加え得、この重量を、記録し得る。これに50mLの脱イオン化水およびNaCOを加え得、磁気による撹拌で溶解し得る。Titrino751自動滴定機を使用して、1N HClを用いて第1標準液を滴定し得、この容積を記録し得る。この手順は、合計3回の滴定のためにさらに2回繰り返され得、この平均は、以下の式に従って規定度として使用され得る。
【0045】
HCl規定度=標準重量、グラム/(mL HCl)(0.053)。
【0046】
非限定的な実施形態において、追加のポリイソシアネートをプレポリマーに加え、異なる(例えば、より高いまたはより低い)当量のNCO/OHを達成し得る。次いで、このプレポリマーを、約160゜F〜180゜Fの温度で、ジアミン硬化剤のようなアミン含有硬化剤と反応させ得る。代替の非限定的な実施形態において、アミン含有硬化剤は、1.0NCOに対して0.60〜1.20NH、または1.0NCOに対して0.90〜1.0NH、または1.0NCOに対して0.92〜0.96NHの当量比において存在し得る。次いで、このポリウレアウレタンは、4時間〜24時間の間、230゜F〜300゜Fの温度で硬化させ得る。
【0047】
非限定的な実施形態において、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーは、130゜F以下の温度で、過剰な量のポリイソシアネートをポリエーテル含有ポリオール物質と反応させることにより、調製され、自由に流動するプレポリマーを生成し得る。本明細書および請求項で用いられるように、用語「自由に流動する」は、非ゲル物質のことをいう。130゜Fを超える温度にプレポリマーを熱することで、ポリイソシアネートとポリエーテル含有ポリオール物質との間の反応速度を加速し得、これはプレポリマーの早すぎるゲル化およびそれに続くポリウレアウレタンの早すぎるゲル化に帰し得る。レンズ鋳造の工程に関して、プレポリマーの早すぎるゲル化およびそれに続くポリウレアウレタンの早すぎるゲル化は、欠陥のあるレンズを作り出し得る。
【0048】
代替の非限定的な実施形態において、ポリイソシアネートは、ポリエーテル含有ポリオール物質と一緒に、過剰に存在し、73゜Fの温度でBrookfield Viscosmeterを使用して計測した場合、2000cPsより少ない、または600cPsより少ない、または300cPsより少ない粘度を有するプレポリマーを生成し得る。使用される過剰な量のポリイソシアネートは、1.0OHに対して2.0〜4.5NCOの等量比であり得る。プレポリマーの粘度は、選ばれた特定のポリイソシアネートおよびポリマー含有ポリオール物質に依存し得る。非限定的な実施形態において、前に述べた範囲の高い方の端でのNCO/OH当量比を有する混合物は、前に述べた範囲の低いほうの端での粘度を有するプレポリマーを形成し得る。
【0049】
ポリウレタン形成材料の反応を増強するために、適切なウレタン形成触媒が、本発明で使用され得る。適切なウレタン形成触媒は、NCOおよびOH含有材料の反応によるウレタン形成に特異的な触媒であり得、そしてこれらは、アロホネートおよびイソシアネート形成を導く副反応を促進する傾向をほとんど有さない。適切な触媒の非限定的な実施例は、ルイス塩基、ルイス酸およびUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、1992、A21巻、673〜674頁に記載されるような挿入触媒(insertion catalyst)の群から選択され得る。非限定的な実施形態において、触媒は、有機酸の第一スズ塩(例えば第一スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズジマレエート、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびこれらの混合物が挙げられるがこれに限定されない)であり得る。代替の非限定的な実施形態において、触媒は、亜鉛オクトエート、ビスマス、または鉄アセチルアセトネートであり得る。
【0050】
さらなる適切な触媒の非限定的な実施例は、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、およびN,N−ジメチルベンジルアミンが挙げられるが、これに限定されない)を含み得る。このような適切な第3級アミンは、米国特許第5,693,738号、第10欄、6〜38行に開示されており、この開示は、本明細書で参考として援用される。
【0051】
非限定的な実施形態において、触媒は、アミン含有硬化剤に取り込まれ得る。触媒量は、選択された特定の触媒に依存して広く変化し得る。代替の非限定的な実施形態において、触媒量は、反応混合物の総量を基準にして、5重量%未満、または3重量%未満、または1重量%未満であり得る。例えば、ジブチルスズジラウレートは、ポリウレタン形成材料の100部分につき0.0005〜0.02部分の量で用いられ得る。使用される触媒量は、用いられる硬化温度に依存し得る。
【0052】
本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、様々な方法(注型、圧縮成形、圧伸または射出成形が挙げられるが、これらに限定されない)によって物品に形成され得る。非限定的な実施形態において、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、レンズに注型され得る。ポリエーテル含有ポリウレアウレタンの注型は、良好な光学的特徴を有するレンズを製造し得る。
【0053】
注型プロセスの非限定的な実施形態において、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーおよびアミン含有硬化剤混合物は、硬化する前に鋳型に鋳造され得る。さらなる非限定的な実施形態において、本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、適切な硬化時間および硬化温度の選択によって部分的に硬化し得、そして次にポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、鋳型から除去され得、所望の形状に形成され得る。ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、単純な形状または複雑な形状に形成され得、そして次に十分に硬化され得る。
【0054】
レンズは、磨耗耐性コーティング(例えば、当該分野で磨耗および擦過からプラスチック表面を保護すると知られている有機シラン型磨耗耐性コーティング)により前面および/または背面をコーティングされ得る。有機シランコーティングは、硬性コーティングと言われ得、そして当該分野で公知である。様々な有機シラン硬性コーティングが米国特許第4,756,973号、第5欄、1〜45行;および米国特許第5,462,806号、第1欄、58行から第2欄、8行および第3欄、52行から第5欄、50行に開示され、この開示は、本明細書で参考として援用される。有機シラン硬性コーティングのさらなる非限定的な実施例は、米国特許第4,731,264号;同第5,134,191号;および同第5,231,156号に開示され、これらの開示もまた本明細書で参考として援用される。非限定的な実施形態において、レンズの前面および背面は、SDC Coatings,Incorporatedから市販されるSDC1154またはPPG Industries,Incorporatedから市販されるHiGard 1080でコーティングされ得る。
【0055】
磨耗および擦過耐性を提供する他のコーティング(例えば、多官能性アクリル硬性コーティング、メラミンべースの硬性コーティング、ウレタンベースの硬性コーティング、アルキルベース硬性コーティング、シリカゾルベース硬性コーティングまたは他の有機もしくは無機/有機ハイブリッドの硬性コーティング)が、磨耗耐性コーティングとして使用され得る。
【0056】
さらなる非限定的な実施形態において、例えば反射防止コーティングのような付加的コーティングが、硬性コーティング層に塗布され得る。反射防止コーティングの例は、米国特許第6,175,450号に記載され、この開示は、本明細書で参考として援用される。非限定的な実施形態において、レンズの前面および/または背面が、Essilor’s Reflection Free抗反射コーティングでコーティングされ得る。このコーティングは、Essilor’s Reflection Free Processを使用して塗布され得る。
【0057】
非限定的な実施形態において、レンズの前面および/または背面が、紫外線硬化可能硬性コーティング(例えば、UltraOpticsより市販されるUVXおよびUVNVSが挙げられるが、これに限定されない)でコーティングされ得る。
【0058】
一般的に、非コーティングレンズの衝撃耐性は、コーティングレンズの衝撃耐性よりも高くなり得る。レンズへの硬性コーティングの塗布は、レンズの衝撃強度の減少という結果となり得る。衝撃強度は、硬性コーティングレンズ上への反射防止コーティングの塗布によりさらに減少され得る。衝撃強度における減少量は、レンズへの塗布用に選択された特定の硬性コーティングおよび反射防止コーティングに依存され得る。
【0059】
本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、良好な衝撃耐性を有し得る。代替の非限定的な実施形態は、少なくとも部分的に硬化されそして2.0mmから2.2mmの厚さを有し、かつ両表面上に硬性コーティングを有するレンズとして試験された場合、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンは、高衝撃試験(High Impact Test)で測定した場合、少なくとも148フィート/秒、または少なくとも170フィート/秒、または少なくとも300フィート/秒の衝撃に耐え得る。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「高衝撃試験」は、Z87.1−200X、2002年9月12日、ANSI Z87.1−1989(R1998)のBallot Draft委員会改訂、第7.5.2.1章「High Velocity Impact」および第14.3章「Test for High Impact Prescription Lenses」に従う以下の手順のことを言及する。International Certification Services Laboratories,Incorporatedにより製造されたUniversal Lens Tester(ULT−II)はこの手順において使用される。6.25の最大ベースカーブを有する平面拡大能レンズ(Plano power lens)は、55mm+0.04mm/−0.25mmの直径に対する産業安全ベベルを有するへりの付いた円形であり得る。各レンズは、各々のさらなる衝撃に対して使用されている、新しいレンズで一度試験され得る。各レンズは、試験レンズがレンズホルダーのベベルに対してしっかり保持されるように試験ホルダーに取り付けられ得る。高速衝撃試験としては、各レンズの中心上に150フィート/秒の速度でミサイルを発射することが挙げられる。このミサイルは、重さ1.06グラム(0.037オンス)の6.35mm(0.25インチ)の鉄球から成る。この試験は、2つのさらなるサンプルレンズにより反復され得る。試験ホルダーを完全に通るレンズの任意の後方置換;レンズの任意の破損;内部表面からのレンズの一部の任意の剥離;あるいはレンズの任意の全厚透過がある場合、このレンズは、試験に失敗したとみなされ得る。本明細書で使用される場合、「破損」は二つ以上の分離片になるレンズの全厚にわたるひび、または肉眼に明らかな任意のレンズ材料の内部表面からの剥離を言う。どのレンズの不具合も失敗となる。全ての試験レンズが合格した場合、その貧弱点で同じかまたはより厚い厚さの処方レンズ(同じ製造会社により、同じ材料で、同じコーティングおよびプロセスで製造された)は、「+」マークを有し得る。
【0060】
非限定的な実施形態において、少量の少なくとも三官能性またはそれより高い官能性のポリオール(例えば、これらに限定されないが、トリオール、テトロール、ペントールおよびそれらの混合物)は、反応物質の等量に基づいて架橋を生成するのに十分な量で、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーに加えられ得る。さらに非限定的な実施形態において、これらの物質のうち少なくとも1つは、全反応物質に基づいて少なくとも0.01重量%、または少なくとも0.5重量%、または99重量%未満、または5重量%未満の架橋を生成するように加えられる。適切な非限定的な例としては、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリセリトール(pentaerytheritol)、ジペンタエリセリトール、ソルビトール、スクロース、マンニトールおよびそれらの混合物が挙げられる。さらに非限定的な例としては、エチレン、プロピレンまたはブチレンオキシドによって連鎖伸長された物質が挙げられる。プレポリマーへのこれらの物質の少なくとも1つの追加は、加熱ひずみ温度を上昇させ得、そしていくつかの場合においては、硬化ポリウレタンのバラスティック特性(ballastic)を改善し得る。
【0061】
本発明の代替の非限定的な実施形態において、当該分野で公知の種々の添加物は、本発明のポリエーテル含有ポリウレアウレタンの調製において利用され得る。非限定的な例としては、種々の抗酸化剤、紫外線安定剤、カラーブロッカー、蛍光増白剤および離型剤が挙げられる。非限定的な1実施形態において、少なくとも1つの抗酸化剤は、全反応物質に基づいて、5重量%以下の量でプレポリマーに加えられ得る。本発明で使用され得る適切な抗酸化剤としては、多官能性ヒンダードフェノール型の抗酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。多官能性ヒンダードフェノール型抗酸化剤の1つの非限定的な例としては、Ciba Geigyから市販されているIrganox1010が挙げられ得る。
【0062】
代替の非限定的な実施形態において、UV安定剤は、硬化工程の前またはその間のいずれかに、全反応物質に基づいて、5.0重量%以下の量、または全反応物質に基づいて、0.5〜4.0重量%の量で、ポリエーテル含有ポリウレアウレタンプレポリマーに加えられ得る。本発明での使用のために適切なUV安定剤としては、ベンゾトリアゾールが挙げられるが、これに限定されない。ベンゾトリアゾールUV安定剤の非限定的な例としては、Cyasorb 5411、Cyasorb 3604およびTinuvin 328が挙げられる。Cyasorb 5411および3604は、American Cyanamidから市販されており、そしてTinuvin 328は、Ciba Geigyから市販されている。
【0063】
代替の非限定的な1実施形態において、ヒンダードアミン光安定剤は、UV保護を増強するために加えられ得る。ヒンダードアミン光安定剤の非限定的な例としては、Ciba
Geigyから市販されているTinuvin 765が挙げられ得る。
【0064】
本発明のポリエーテル含有ポリウレタンは、フォトクロミック物品を生成する際に使用され得る。米国特許出願番号09/793,886および09/794,026(ともに2000年3月20日に出願され、そして米国特許商標庁において係属中)は、フォトクロミック物品の生成を開示する。これら2つの出願は、本明細書中で参考として援用される。
【0065】
フォトクロミック物品(例えば、レンズ)を調製するために使用される場合、ポリウレアウレタンは、マトリックスに組み込まれたフォトクロミック物質を活性化する電磁スペクトルの一部分(すなわち、有色形態または開形態のフォトクロミック物質を生成する紫外線(UV)光の波長)およびUV活性化形態(すなわち、開形態)におけるフォトクロミック物質の最大吸収波長を含む可視スペクトルの一部に対して透明であるべきである。本発明のポリウレアウレタンと共に利用され得るフォトクロミックな物質は、フォトクロミック有機化合物または組み込まれ得る(例えば、そのようなポリウレアウレタンに溶解、分散または拡散され得る)このような化合物を含む物質である。
【0066】
本発明のフォトクロミック物品を形成するための使用を企図されたフォトクロミック有機物質の第1の群は、590ナノメートルより大きい可視範囲(例えば、590〜700ナノメートル)内の活性化された最大吸収を有するものである。これらの材料は、適切な溶媒またはマトリックス中で紫外線光に曝露される場合、代表的に青色、青みがかった緑色または青みがかった紫色を呈する。本発明で有益なそのような物質の種類の非限定的な例としては、スピロ(インドリン)ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンゾオキサジンが挙げられるが、これらに限定されない。このようなフォトクロミック物質のこれらの種類および他の種類は、公知である。例えば、米国特許:3,562,172;3,578,602;4,215,010;4,342,668;5,405,958;4,637,698;4,931,219;4,816,584;4,880,667;4,818,096を参照のこと。
【0067】
本発明のフォトクロミック物品を形成するための使用を企図されたフォトクロミック有機物質の第2の群は、400ナノメートルと500ナノメートル未満との間の可視範囲内の少なくとも1つの最大吸収および2つの吸収最大を有するものである。これらの材料は、適切な溶媒またはマトリックス中で紫外線光に曝露される場合、代表的に黄橙色を呈する。このような化合物としては、特定のクロメン(すなわち、ベンゾピランおよびナフトピラン)が挙げられるが、これらに限定されない。このようなクロメンの多くは、公知である(例えば、米国特許3,567,605;4,826,977;5,066,818;4,826,977;5,066,818;5,466,398;5,384,077;5,238,931;および5,274,132)。
【0068】
本発明のフォトクロミック物品を形成するための使用を企図されたフォトクロミック有機物質の第3の群は、400ナノメートルと500ナノメートルの間の可視範囲内の最大吸収および500ナノメートルと700ナノメートルの間の可視範囲内の別の最大吸収を有するものである。これらの材料は、適切な溶媒またはマトリックス中で紫外線光に曝露される場合、代表的に黄色/茶色から紫色/灰色の範囲の色を呈する。これらの物質の非限定的な例としては、ピラン環および置換されたかまたは置換されていない複素環式環(例えば、ベンゾピランのベンゼン部分に縮合したベンゾチエノ環またはベンゾフラノ環)の2位に置換基を有する特定のベンゾピラン化合物が挙げられる。このような材料は、米国特許第5,429,774号に記載される。
【0069】
企図された他のフォトクロミック物質としては、フォトクロミック有機金属ジチゾネート(すなわち、(アリールアゾ)−チオホルミックアリールヒドラジデート、例えば、米国特許第3,361,706号に記載されている水銀ジチゾネート)が挙げられる。フルギドおよびフルギミド(例えば、米国特許第4,931,220号の第20欄、第5行から第21欄第38行に記載されている、3−フリルおよび3−チエニルフルギドおよびフルギミド)。
【0070】
前述の特許に記載されるそのようなフォトクロミック物質に関する開示は、本明細書中に参考として援用される。本発明のフォトクロミック物品は、フォトクロミック物質またはフォトクロミック物質の混合物を含み得る。フォトクロミックな物質の混合物は、特定の活性化された色(例えば、灰色または茶色の中間の色)を獲得するために使用され得る。
【0071】
本明細書中に記載されるフォトクロミック物質の各々は、化合物の混合物が適用されるかまたはそれらが組み込まれるポリウレタン/ポリメリゼート(polymerizate)が、所望の結果として生じる色(例えば、実質的に中間の色(例えば、露光されていない太陽光で活性化された場合の灰色または茶色の薄暗い色(すなわち活性化されたフォトクロミック物質の色を与える可能性のある中間の色))を呈するような量および割合で使用され得る。前述した使用されるフォトクロミック物質の相対量は、変化し、そしてそのような化合物の活性化された種の色および最終的な所望の色の相対的な強度に一部依存する。
【0072】
本明細書中に記載される、フォトクロミック化合物またはフォトクロミック物質は、当該分野で記載されている種々の方法によって、ポリウレタン/重合物(polymerizate)に適用され得るか、または組み込まれ得る。このような方法は、以下の工程を包含するが、これらに限定されない:物質を、ポリウレタン/重合物中に溶解または分散差せる工程(例えば、フォトクロミック物質の高温溶液中へのポリウレタン/重合物の液浸によるか、または熱転写による、ポリウレタン/重合物中へのフォトクロミック物質の吸収);重合物の隣接する層の間の分離層として(例えば、ポリマーフィルムの一部として)フォトクロミック物質を提供する工程;および、ポリウレタン/重合物の表面に置かれるコーティングとしてか、またはコーティングの部分としてフォトクロミック物質を適用する工程。用語「吸収(imbibition)」または「吸収する(imbibe)」は、ポリウレタン/重合物へのフォトクロミック物質単独の浸透、多孔性ポリマーへのフォトクロミック物質の溶媒補助移動吸収、気相移動、および他のこのような移動機構を意味し、そして含むことが意図される。吸収方法の1つの非限定的な例は、以下の工程を包含する:フォトクロミック物質で、フォトクロミック物品をコーティングする工程;フォトクロミック物品の表面を加熱する工程;およびフォトクロミック物品の表面から残留コーティングを除去する工程。
【0073】
ポリウレタン/重合物に適用されるかまたは組み込まれるものと同じものを含む、フォトクロミック物質または組成物の量は、重要ではないが、但し、その十分な量を使用して、裸眼で認識可能な、活性化に対するフォトクロミック効果を生じる。一般に、このような量は、フォトクロミック量として記載され得る。使用される特定の量は、しばしば、照射に対して所望される色の強度、およびフォトクロミック物質を組み込むかまたは適用するのに使用される方法に基づく。代表的には、より多くのフォトクロミック物質が適用されるかまたは組み込まれると、より色強度が強くなる。一般に、フォトクロミック光学ポリウレタン/重合物に組み込まれるかまたは適用される、総フォトクロミック物質の量は、フォトクロミック物質が組み込まれるか、または適用される表面の、1cmあたり0.15〜0.35mgの範囲であり得る。
【0074】
フォトクロミック物質が、組成物の重合(例えば、注型硬化)より前に、多成分有機組成物に添加され得ることもまた、企図される。しかし、これがなされると、フォトクロミック物質が、例えば、存在し得るインヒビターおよび/またはイソシアネート、イソチオシアネートならびに第1および第2の成分のアミン基との、潜在的に有害な相互作用に耐性であることが、代表的である。これらの有害な相互作用は、例えば、それらを開放形態または閉鎖形態のいずれかで捕捉することによって、フォトクロミック物質の失活を生じ得る。フォトクロミック物質はまた、フォトクロミック色素および金属酸化物にカプセル化された有機フォトクロミック物質を含み得、この後者は、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号に記載される。米国特許第4,931,220号に記載されるように、有機ポリウレタン/重合物のマトリックス中に十分にカプセル化された有機フォトクロミック物質はまた、硬化前に、本発明の多成分組成物中に組み込まれ得る。フォトクロミック物質が、硬化前に、本発明の多成分有機組成物に添加される場合、これらは、第1成分と第2成分を一緒に混合する前に、第2成分に代表的に組み込まれる。
【実施例】
【0075】
以下の実施例の各々において、成分AのNCO濃度を、ASTM−D−2572−91に従って、以下の滴定手順を使用して決定した。この滴定方法は、三角フラスコに成分Aの2グラムのサンプルを添加する工程からなる。このサンプルを、窒素でパージし、次いで、いくつかのガラスビーズ(5mm)を添加した。この混合物に、20mLの1Nジブチルアミン(トルエン中)をピペットで添加した。この混合物をかき混ぜ、蓋をした(capped)。次いで、このフラスコを熱源の上に置き、そしてフラスコを熱してわずかに還流させ、この温度で15分間維持し、次いで、室温まで冷却した。テフロン(登録商標)の小片を、ストッパーとジョイントの間に置いて、加熱中の圧力増加を防止したことに留意のこと。加熱サイクルの間、完全な溶液および反応の目的で、内容物を頻繁にかき混ぜた。ブランクの値を、Titrino 751動的自動滴定装置を使用する、ピペットで取った20mLの1Nジメチルアミン(DBA)+50mLのメタノールの、1N塩酸(HCl)の直接滴定によって得、そして決定した。一旦、HCl規定度についての平均値およびDBAブランクが算出されると、その値を自動滴定装置にプログラムした。サンプルが冷却した後、内容物を約50〜60mLのメタノールの入ったビーカーに移した。磁気攪拌棒を加え、前もってプログラムしたTitrino 751自動滴定機を使用して、サンプルを1N HClで滴定した。NCO割合およびIEW割合(イソシアネート当量)を、以下の式:
%NCO=(ブランクmL−サンプルmL)(HCl規定度)(4.2018)/サンプ
ル重量、グラム
IEW=(サンプル重量、グラム)1000/(ブランクmL−サンプルmL)(HCl規定度)。
に従って、自動的に算出した。「HCl規定度」値を、以下のように決定した。前もって計量したビーカーに、0.4グラムのNaCO第一標準物質を加え、重量を記録した。これに、50mLの脱イオン水を加え、NaCOを磁気攪拌しながら溶解した。組み合せのpH電極(すなわち、Metrohm組み合せガラス電極、番号6.0222.100)を備える自動滴定装置(すなわち、50mLのビュレットを備えるMetrohm GPD Titrino 751動的自動滴定装置)を使用して、1N HClで第一標準物質を滴定し、その容量を記録した。この工程を、3回の滴定の全てに対して、さらに2回繰り返し、そして平均を、以下の式:
HCl規定度=標準物質重量、グラム/(HCl mL)(0.053)。
に従って、規定度として使用した。
【0076】
さらに、以下の実施例の各々において、以下のレンズ注型工程を使用して、成分Aプレポリマーから6つの半仕上げのレンズを作製した。成分AおよびDETDA(成分Bと呼ばれる)を特別に設計したMax Machinery製の成形機に注入した。DETDAを、Albemarle Corporationから入手した。成形機は、Urethane Processor、型番601−000−232(Max Machinery in Healdsburg,Californiaから入手した)であった。成分Aおよび成分Bを、機械に加え、短期間、高せん断で混合した。成分Bおよび成分Aは、0.95〜1.0のモル比で存在した。次いで、混合した混合物を、レンズ型に注入した。この型を130℃の温度の対流式オーブン内に6時間置いた。注型半仕上げレンズを、オーブンから取り出して、冷却した。レンズの前面を、SDC 1154の商品名でSDC Incorporatedから入手した、市販の硬性コーティングでコーティングした。このコーティングを、スピンコーティングデバイスを使用して、1100rpmで13秒間、レンズをスピンすることによって塗布し、その後、120℃の温度で3時間の硬化時間をおいた。次いで、レンズを20/20 Optical Laboratoryに送り、ここで、レンズを直径55mmに切り、2.1mmの中央の厚さを有する平面拡大能(plano power)に表面処理した(surfaced)。各レンズの背面を、UVXの商品名でUltraOpticsによって製造されている、市販のUV硬化可能なコーティングで硬性コーティングした。次いで、これらのレンズをエシロール(Essilor)に送り、エシロールの無反射プロセスを使用するエシロールの無反射抗反射コーティングでコーティングした。
【0077】
次いで、注型レンズを、強衝撃試験によって衝撃強度について試験した。「強衝撃試験」は、Z87.1−200X、2002年9月12日、Committee Ballot Draft Revision of ANSI Z87.1−1989(R1998)、7.5.2.1節「High Velocity Impact」および14.3節「Test for High Impact Prescription Lenses」に従って実施される、以下の手順をいう。Universal Lens Tester(ULT−II)(International Certification Services Laboratories,Incorporated製)を、この手順において使用した。6.25の最大底部曲線を有する平面拡大能レンズの縁を丸くし、これは、直径55mm+0.04mm/−0.25mmまでの工業的に安全な斜面である。各レンズを、それぞれさらなる衝撃のために使用される新しいレンズとともに、一度試験した。試験レンズがレンズホルダーの斜面に対して堅固に保持されるように,各レンズを試験ホルダーに取り付けた。高速衝撃試験は、各レンズの中央に1秒あたり150フィートの速度でミサイルを発射する工程を含んだ。このミサイルは、1.06グラム(0.037オンス)の重量の6.35mm(0.25インチ)の鉄球からなった。このレンズは、試験ホルダーを完全に通り抜けたレンズの後方移動;レンズの破損;その内部表面からのレンズの一部の剥離;またはレンズの全厚貫通のいずれかがあった場合にも、試験に不合格であるとみなされた。本明細書中に記載されるように、「破損」とはレンズの完全な厚さから2つ以上の別々の小片へのクラッキング、または裸眼で見えるいずれかのレンズ材料の内部表面からの剥離をいう。任意の1つのレンズの破損は、1つの破損を構成する。
【0078】
(実施例1)
窒素ブランケットを含む反応容器中で、4.5当量の400MWポリカプロラクトン、0.58当量の750MWポリカプロラクトン、3.387当量のトリメチロールプロパン、1.695当量のPluracol P2000および27.44当量のDesmodur Wを、室温で一緒に混合した。Desmodur Wは、20重量パーセントのトランス−トランス異性体ならびに80重量パーセントのシス−シス異性体およびシス−トランス異性体を含む、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート(isocyante))を表す。Desmodur Wは、Bayer Corporationから入手し、Pluracol P2000はBASFから入手した。反応混合物を78℃の温度まで加熱して、実質的に透明な混合物を得た。この混合物に、20ppmのジブチルスズラウリエート(dibutyltinlaureate)触媒を加え、熱を除去した。触媒の添加は発熱反応を生じ、温度が上昇し始め、123℃で最高となった。持続的にかき混ぜながら反応を行い、そして周囲条件下で冷却した。約116℃の温度で、以下の物質を加えた:0.5wt%のIrganox 1010(Ciba Geigyから入手)、2wt%のUV吸収装置Cyasorb 5411(American Cyanamid/Cytecから入手)および1.5ppmのExalite Blue 78−13(Excitonから入手)。混合物を、さらに1時間、100℃でかき混ぜ、次いで、室温まで冷却した。この混合物を成分Aプレポリマーという。成分Aプレポリマーのイソシアネート(NCO)濃度を、上記の工程に従って、決定した。理論的なNCO%を、10.3であると決定し、そして実験的なNCO%は10.1であった。次いで、成分Aプレポリマーを上記のレンズの注型工程中で使用し、そして結果として得られたレンズを上記の対象手順を使用して、高衝撃試験を行った。このレンズは、1秒あたり150フィートの最高速度に耐え得た。
【0079】
(実施例2)
Pluracol P2000の代わりに1.695のPluronic L62Dを使用したこと以外は、実施例2について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用した。理論上のNCO%を10.3であると決定し、そして実験的なNCO%は10.1であった。次いで、成分Aプレポリマーを、上記のレンズの注型工程中で使用し、そして結果として得られたレンズを上記の対象手順を使用して、高衝撃試験を行った。このレンズは、1秒あたり300フィートの速度で、破損および/または破砕しなかった。
【0080】
(実施例3)
Pluracol P2000の代わりに1.356当量のPluracol P2000と0.338当量のPluracol E2000の混合物を使用したこと以外は、実施例3について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用した。理論上のNCO%を10.3であると決定し、そして実験的なNCO%は9.02であった。次いで、成分Aプレポリマーを、上記のレンズの注型工程中で使用し、そして結果として得られたレンズを上記の対象手順を使用して、高衝撃試験を行った。このレンズは、1秒あたり137フィートの最高速度に耐え得た。
【0081】
(実施例4)
Pluracol P2000の代わりに1.695当量のToneTMPolyol
0241を使用したこと以外は、実施例4について、実施例1に記載したのと同じ手順を使用した。成分Aプレポリマーを、上記のレンズの注型工程中で使用し、そして結果として得られたレンズを上記の対象手順を使用して、高衝撃試験を行った。このレンズは、1秒あたり146フィートの最高速度に耐え得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテル含有ポリウレアウレタンであって、該ポリウレアウレタンは、少なくとも部分的に硬化され、かつ両面に硬性コーティングを有する、平面構造の、2.2mmの最大中心厚さを有するレンズとして試験される場合、高衝撃試験によって規定される場合に、1秒間あたり少なくとも148フィートの衝撃耐性を有する、ポリエーテル含有ポリウレアウレタン。

【公開番号】特開2007−146181(P2007−146181A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51931(P2007−51931)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【分割の表示】特願2003−545705(P2003−545705)の分割
【原出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】