説明

衝撃解析装置、方法及びプログラム

【課題】
配送品質の向上に役立つ情報を生成する。
【解決手段】
本発明に係る衝撃解析装置は、荷物のIDと当該荷物に加わった衝撃力に関するデータと当該衝撃を検出した日時のデータとを含む衝撃データを格納する衝撃データ格納部と、荷物のIDと当該荷物のIDの読取り場所及び読取り時刻とを含む配送データを格納する配送データ格納部と、配送データ格納部及び衝撃データ格納部から特定の荷物のIDに対応して記録されているデータを読み出し、読み出された衝撃データのうち所定の条件を満たすものと、読み出された配送データとを用いて、特定の荷物に対する衝撃の発生及び配送過程を時系列化したデータを生成し、記憶装置に格納する時系列データ生成手段とを有する。このように衝撃データ及び配送データを組み合わせることにより、配送過程と衝撃の関係が時系列で把握可能となり、問題点を抽出しやすくなる。従って、配送品質の向上が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送中に荷物に加わる衝撃の解析技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2000−302211号公報には、荷物が物流過程で受ける環境の影響を簡単に確認し、品質保証を行うことを可能にするための技術が開示されている。具体的には、物流過程で荷物に添付されるデータキャリアに、環境の影響を監視する加速度センサ、衝撃センサ、湿度センサ、温度センサおよび圧力センサを設ける。検知情報は、A/Dでデジタル変換され、CPUによってメモリに記憶されて蓄積される。RTCが出力する時刻もメモリに記憶される。メモリの記憶内容は、CPUがIrDAを介して外部から読出し指令を受けると、メモリから読出されて、IrDAを介して送信される。メモリには、荷物に関する識別情報も記憶され、荷物に関する識別情報と、物流過程で荷物が受けた環境の影響とを合わせて読出して確認する。但し、配送業者における配送品質を向上させることを目的とするものではないため、解析内容も配送業者向けではない。
【0003】
また、特開平8−62240号公報には、荷主が運送保険の締結された荷物を運送して荷受人に引渡しするにあたって、荷物が運送中に受ける衝撃データを収集記録して内容物を確認することなくその良否を判定して品質保証を行うことができる一方、万一事故発生時、規定値以上のGが加わった場合の保証請求を円滑に行うことのできる運送品の落下等の衝撃データ記録方法等が開示されている。具体的には、荷物Lに衝撃を検知してメモリする衝撃データ記録用カードCを貼着して運送し、運送後に該カードCをデータ表示装置のスロットより装置内に装入して、衝撃データグラフを得る。衝撃データ記録用カードには、カード状に形成されたハウジング内に、小形・薄型の衝撃検知センサと、該出力によりG値を通常は1分毎等一定時間毎にメモリし、10G以上等規定値以上のG値の入力があるときはリアルタイムにG値と時刻をメモリする手段を備えたもの等を用いる。このように記録されたデータは、保険ということでは配送業者のためとは言えるが、配送品質を向上させることを目的とするものではないので、解析内容も配送業者向けではない。
【特許文献1】特開2000−302211号公報
【特許文献2】特開平8−62240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外航貨物保険・運送保険を問わず、貨物事故の中で破損事故はかなりのウェイトを占めている。また、この破損事故の主要な要因として考えられているのが輸送中又は荷扱い時に発生する衝撃や振動(以下、衝撃と記す)である。
【0005】
しかし、「いつ」「どこで」「どの程度の」衝撃が荷物に加わっているかについては、上で述べた技術では取得できていない。従って、配送品質の向上を具体的に行うことができないという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、配送品質の向上に役立つ情報を生成するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る衝撃解析装置は、荷物のIDと当該荷物に加わった衝撃力に関するデータと当該衝撃を検出した日時のデータとを含む衝撃データを格納する衝撃データ格納部と、荷物のIDと当該荷物のIDの読取り場所及び読取り時刻とを含む配送データを格納する配送データ格納部と、配送データ格納部及び衝撃データ格納部から特定の荷物のIDに対応して記録されているデータを読み出し、読み出された衝撃データのうち所定の条件を満たすものと、読み出された配送データとを用いて、特定の荷物に対する衝撃の発生及び配送過程を時系列化したデータを生成し、記憶装置に格納する時系列データ生成手段とを有する。このように衝撃データ及び配送データを組み合わせることにより、配送過程と衝撃の関係が時系列で把握可能となり、問題点を抽出しやすくなる。従って、配送品質の向上が可能となる。
【0008】
また、上で述べた時系列データ生成手段が、読み出された配送データに含まれる、特定の荷物のIDの読取り場所に対応する作業コードを特定する手段をさらに含むようにしてもよい。読取り場所であってもよいが、例えば荷卸し中なのか荷積み中なのかを示した方がわかりやすい場合もあるためである。
【0009】
さらに、衝撃データ格納部に格納された衝撃データに対して荷物のIDを基に集計処理を行って荷物のID毎に衝撃力分布データを生成し、記憶装置に格納する手段をさらに有するようにしてもよい。このようにすれば、当該荷物が全体としてどのように取り扱われたかを把握することができる。
【0010】
また、荷物のIDから配送業者を特定し、記憶装置に格納された荷物のID毎の衝撃力分布データを各配送業者の衝撃力分布データに変更し、記憶装置に格納する手段をさらに有するようにしてもよい。荷物のIDが配送業者毎に異なる場合には、配送業者毎にデータを整理することができ、配送業者の配送品質の向上を図ることができるようになる。
【0011】
本発明に係る衝撃解析装置を、通常のコンピュータにより実現させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介してディジタル信号にて頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配送品質の向上に役立つ情報を生成することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態では、複数の配送業者が、衝撃記録計付きの同じ荷物を、同じ区間配送して、衝撃記録計の衝撃データ(いつどのような衝撃が発生したかに関するデータ)を得ると共に、配送業者が記録している配送記録データ(いつどこ(配送センタなど)を通過したかに関するデータ)をさらに取得し、このようなデータを解析して配送品質を向上させるためのデータを生成、そして提示する。
【0014】
図1に、本発明の一実施の形態に係る衝撃解析装置の機能ブロック図を示す。本実施の形態における衝撃解析装置は、衝撃データ取得部1と、衝撃データ格納部3と、配送記録データ取得部5と、配送記録データ格納部7と、位置データ処理部9と、修正配送記録データ格納部11と、衝撃分布データ生成部13と、衝撃分布データ格納部15と、時系列データ生成部17と、時系列データ格納部19と、出力部21とを含む。衝撃データ取得部1は、取得した衝撃データを衝撃データ格納部3に格納する。同様に、配送記録データ取得部5は、取得した配送記録データを配送記録データ格納部7に格納する。位置データ処理部9は、衝撃データ格納部3と配送記録データ格納部7とに格納されたデータを用いて処理を行い、処理結果を修正配送記録データ格納部11に格納する。時系列データ生成部17は、衝撃データ格納部3と修正配送記録データ格納部11とに格納されたデータを用いて処理を行い、処理結果を時系列データ格納部19に格納する。また、衝撃分布データ生成部13は、衝撃データ格納部3に格納されたデータを用いて処理を行い、処理結果を衝撃分布データ格納部15に格納する。出力部21は、衝撃データ格納部3、衝撃分布データ格納部15、時系列データ格納部19等に格納されたデータを用いて表示データ生成処理を行い、生成した表示データを表示装置に表示する。
【0015】
次に、図2乃至図12を用いて図1に示した衝撃解析装置の処理内容を説明する。まず、衝撃データ取得部1は、衝撃記録計101と有線又は無線で通信することにより、当該衝撃記録計101が記録したデータを取得して、衝撃データ格納部3に格納する(ステップS1)。衝撃記録計101は、図3に示すように、荷物100の内部又は外部などに設置され、衝撃値(G)及び日時などのデータを定期的(例えば1秒ごとから10分ごとなどの設定)に記録するものである。この衝撃記録計101は、従来からあるものであるから、ここではこれ以上説明しない。なお、荷物100には、当該荷物100に直接又は当該荷物100に添付された伝票などにバーコード102が付されている。バーコード102は、2次元バーコードであっても良いし、1次元のバーコードであってもよい。また、場合によってはICタグの場合もある。予め衝撃記録計101と、荷物100のIDとの対応付けを把握しておき、衝撃データ格納部3に格納しておく。
【0016】
衝撃データ格納部3に格納されるデータの一例を図4に示す。図4の例では、計測時刻毎に、X軸正方向の衝撃値XG(+)、衝撃検出時間(ms)、X軸負方向の衝撃値XG(−)、衝撃検出時間(ms)、Y軸正方向の衝撃値YG(+)、衝撃検出時間(ms)、Y軸負方向衝撃値YG(−)、衝撃検出時間(ms)、Z軸正方向の衝撃値ZG(+)、衝撃検出時間(ms)、Z軸負方向の衝撃値ZG(−)と、衝撃検出時間(ms)が含まれる。なお、図4では、1つの荷物100についてのレコードであって、以下の処理で抽出される、少なくとも1つの方向において10Gを超えるレコードのみを示している。また、衝撃データ格納部3には、複数の荷物100についてのレコードも格納され得る。
【0017】
次に、配送記録データ取得部5は、衝撃記録計101が設置された荷物100のバーコード読取り結果を取得し、配送記録データ格納部7に格納する(ステップS3)。例えば配送業者のサーバに蓄積されるバーコード102の読取り結果から、衝撃記録計101が設置された荷物100に付されたバーコード102の読取り結果を抽出し、当該抽出後のデータを取得する。配送業者のサーバには、例えば図5(a)に示すように、バーコードの読取り場所、ID(バーコード番号)、読取り時刻が登録されているが、配送記録データ格納部7には、図5(b)に示すように、衝撃記録計101が設置された荷物100に付されたバーコードの読取り場所、荷物100のID(バーコード番号:例えばA00001)、読取り時刻が登録される。
【0018】
次に、位置データ処理部9は、衝撃データ格納部3を参照して処理すべき荷物のID(バーコード番号)を特定し、当該荷物のIDに対応するレコードを配送記録データ格納部7から抽出してソートし、読取り場所の情報を作業コードに振り替えて、修正配送記録データ格納部11に登録する(ステップS5)。本例では例えばA00001を処理すべき荷物のIDとして特定し、配送記録データ格納部7(図5(b))からID(A00001)に関連するレコードを抽出すると共にソートする。そして、読取り場所及び予め定められたルールに従って作業コードを特定して、読取り場所に代わって登録する。例えば図5(b)に示すようなデータを修正配送記録データ格納部11に格納する。図5(b)の例では、図5(c)に示すように、最初の第1配送車のバーコード・リーダで読み込まれた場合には「集荷」の作業コードに振り替えられ、2番目の第1物流センタのバーコード・リーダで読み込まれた場合には「集荷荷卸」の作業コードに振り替えられ、3番目の第1物流センタのバーコード・リーダで読み込まれた場合には「運行積込」の作業コードに振り替えられ、4番目の第2物流センタのバーコード・リーダで読み込まれた場合には「運行荷卸」の作業コードに振り替えられ、5番目の第2物流センタのバーコード・リーダで読み込まれた場合には「配送積込」の作業コードに振り替えられ、6番目の第2配送車のバーコード・リーダで読み込まれた場合には「配送完了」の作業コードに振り替えられる。通常の配送はこのような配送過程を経るため、ルール化しておき読取り場所を作業コードに振り替える。なお、これ以外の場合には、例えば衝撃解析装置のユーザに指定を求めるようにしても良い。また、振り替えを行わないような処理を採用しても良い。
【0019】
そして、時系列データ生成部17は、修正配送記録データ格納部11と衝撃データ格納部3とに格納されたデータを用いて、バーコード読取り結果に含まれる作業コードと衝撃データとの関連付けを行い、時系列データを生成し、時系列データ格納部19に格納する(ステップS7)。具体的には、衝撃データ格納部3に格納されているレコードのうちいずれかの方向の衝撃値が所定値(例えば10G)以上のレコードを抽出し、当該レコード内における最大衝撃値をその時の衝撃値として特定する。また、衝撃データ格納部3に格納されたレコードにおけるID(バーコード番号)と同じIDのレコードを修正配送記録データ格納部11から抽出する。そして、抽出レコードを時刻でソートする。
【0020】
時系列データ格納部19には例えば図6に示すようなデータが格納される。図6の例では、レコード番号と、時刻と、作業コードと、衝撃値とが登録されている。図6に示すようなデータを生成することにより、どのような作業時、又はどのパス(配送経路)上で衝撃が加えられたかを特定するためのデータが生成されることになる。図6の例では、集荷から集荷荷卸の間に2回、集荷荷卸から運行積込の間に2回、運行積込から運行荷卸の間に2回、運行荷卸から配送積込の間に1回、配送積込から配送完了の間に2回、所定値以上の衝撃が発生している。時刻データを詳しく見れば、どの作業、どのパスが大きな問題なのかを特定できる。
【0021】
また、衝撃分析データ生成部13は、衝撃データ格納部3に格納されたデータを用いて衝撃分布データを生成し、衝撃分布データ格納部15に格納する(ステップS9)。衝撃データ格納部3に格納されている荷物のID(バーコード番号)毎に、予め定められた各衝撃値範囲の度数をカウントし、合計発生回数及び平均衝撃値等の統計値を算出する。衝撃分布データ格納部15には、例えば図7に示すようなデータが格納される。図7の例では、荷物100のID(バーコード番号)と、10G以上20G未満の範囲の度数と、20G以上30G未満の範囲の度数と、30G以上40G未満の範囲の度数と、40G以上50G未満の範囲の度数と、50G以上の範囲の度数と、合計発生回数と、平均衝撃値(例えば10G以上のレコードについての平均)とが含まれる。また、本実施の形態では、小型の荷物のID(A00001乃至A00004)と、大型の荷物のID(B00001乃至B00004)とを分けており、図7のようなデータが得られれば、各配送業者について、大型荷物の配送状況、小型荷物の配送状況を把握することができる。図示していないが、荷物のIDと配送業者の企業コード及び大型又は小型の別(荷物サイズ)を対応付けて登録しておき、後にデータの区分けを行う。
【0022】
以上の処理が、衝撃解析装置のユーザにデータを提示する前の処理である。
【0023】
次に、図8乃至図12を用いてユーザにデータを提示・出力する際の処理について説明する。出力部21は、ユーザに対して処理対象企業の入力を促し、ユーザから処理対象企業の入力を受け付ける(ステップS11)。例えば企業コードなどの入力を受け付ける。そうすると、荷物のIDが特定される。また、出力部21は、ユーザに対して表示態様の入力を促し、ユーザから表示態様の指定を含む表示指示を受け付ける(ステップS13)。
【0024】
その後、出力部21は、ユーザからの表示指示が各社比較グラフの表示であるか判断する(ステップS15)。もし、ユーザからの表示指示が各社比較グラフの表示であると判断された場合には、出力部21は、衝撃分布データ格納部15に格納されたデータを用いて各社比較グラフを生成し、表示装置に表示する(ステップS16)。又はプリンタなどの出力装置に出力する。例えば図9に示すようなデータを表示装置等に出力する。図9の例では、縦軸が会社/荷物サイズを表し、横軸が度数(回数)を表している。ここでは、図7で示した衝撃分布データ格納部15に格納されたデータから、荷物のIDを処理対象企業を「貴社」に、残りの企業をA社乃至C社に置換している。また、荷物のIDと荷物サイズとの対応関係に従って、「小」又は「大」を合わせて表示している。また、各社(荷物サイズを含む)の各衝撃値範囲の度数を、値の小さい範囲からその度数を積み上げる形の棒グラフで表している。図9では色分けしていないが、各衝撃値範囲を色分けすればよりわかりやすいグラフとなる。この例では、処理対象企業の度数は、荷物サイズにかかわらず多いことが分かる。また、処理対象企業では、値の大きい衝撃が比較的多く発生していることも分かる。このように処理対象企業の配送品質の概要を相対的に把握することができるようになる。ステップS16の後にステップS29に移行する。
【0025】
一方、ユーザからの表示指示が各社比較グラフの表示ではないと判断すると、各社比較テーブルの表示が指示されたか判断する(ステップS17)。もし、各比較テーブルの表示が指示されたと判断された場合には、出力部21は、衝撃分布データ格納部15に格納されたデータを用いて各社比較テーブルを生成し、表示装置に表示する(ステップS19)。又はプリンタなどの出力装置に出力する。例えば図10に示すようなデータを表示装置等に出力する。図10の例では、図7で示したデータとほぼ同じであり、荷物のIDを、「貴社」又はA社乃至C社及び荷物サイズに置換している。各社比較グラフと同様のデータを数値で得ることができ、より細かく各配送会社の配送品質の実体を把握することができる。ステップS19の後にステップS29に移行する。
【0026】
さらに、ユーザからの表示指示が各社比較テーブルではないと判断すると、処理対処企業の個別グラフ表示であるか判断する(ステップS21)。もし、処理対象企業の個別グラフ表示である場合には、出力部21は、衝撃分布データ格納部15に格納されたデータを用いて処理対象企業の個別グラフを生成し、表示装置に表示する(ステップS23)。又はプリンタなどの出力装置に出力する。例えば図11(a)に示すようなデータを表示装置等に出力する。図11(a)の例では、荷物サイズ別に、縦軸が件数、横軸が衝撃値範囲(G範囲)を表すグラフが含まれている。なお、A社が処理対象企業であれば、図11(b)のようなグラフが表示され、B社が処理対象企業であれば、図11(c)のようなグラフが表示され、C社が処理対象企業であれば図11(d)のようなグラフが表示される。また、ステップS16で図11(a)乃至(d)を表示させるようにしても良い。いずれにせよ、どのような衝撃値範囲において度数(件数)が多くなっているかを把握できる。図11(a)乃至(d)が全て表示されれば、各社の相対比較も行うことができる。
【0027】
また、ユーザからの表示指示が処理対象企業の個別グラフ表示ではないと判断された場合には、処理対象企業の時系列データ表示が指示されたか判断する(ステップS25)。処理対象企業の時系列データ表示が指示された場合には、出力部21は、処理対象企業の時系列データを生成し、表示装置に表示する(ステップS27)。又はプリンタなどの出力装置に出力する。例えば図12に示すようなデータを表示装置等に出力する。図12の例では、縦軸が件数(度数)を表しており、横軸が時間を表す。また、グラフの上段には、配送過程における作業コードに対応する情報(集荷、集荷荷卸、運行積込、運行荷卸、配送積込、配送完了)、下段には、発生した10G以上の衝撃を示しており、これに対応してグラフ内に棒グラフを示している。
【0028】
図12のような表示から、どの程度の頻度で10G以上の衝撃が発生しているのか、どの程度の衝撃なのかだけではなく、その発生タイミングについて検討することができる。すなわち、トラックなどの配送途中で発生した衝撃なのか、物流センタなどにおける積み卸しで発生しているのかを判断することができる。物流センタのバーコード・リーダの配置状況にもよるが、運行荷卸の直後に発生している41.2Gの衝撃は、荷卸によって発生していると考えられる。その他、20:21、20:30、20:54、20:57、07:00の衝撃についても荷卸又は荷積によるものと推定できる。このように様々な検討を行い、そのための対策を施すことができるようになる。ステップS27の後にステップS29に移行する。
【0029】
ユーザからの表示指示が処理対象企業の時系列データ表示ではないと判断された場合、処理終了か判断する(ステップS29)。もし、処理終了が指示されていない場合にはステップS15に戻る。一方、処理終了が指示されている場合には処理を終了させる。
【0030】
以上のように、ユーザの要求に応じて様々な表示を行うことができ、処理対象企業の問題点につき考察を行うことができる。必要な対策についても考察することができる。
【0031】
以上本発明の一実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図13に示すような衝撃記録計101aを用いるようにしても良い。すなわち、衝撃記録計101aは、時刻データを出力するクロック1011と、衝撃値を計測する衝撃検出部1012と、例えばGPS(Global Positioning System)における受信機である位置検出部1013と、衝撃検出部1012で検出された衝撃値、クロック1011からの時刻データ及び位置検出部1013からの位置データを格納する衝撃データ格納部1014と、衝撃データ格納部1014に格納されたデータを送信する例えば無線通信機であるデータ送信部1015とを有する構成であってもよい。
【0032】
その場合には、例えば図14に示すようなシステムを構築することができる。すなわち、衝撃記録計101aは、トラック207で配送される途中でも、定期的に又は所定値以上の衝撃値が測定された場合に無線基地局206及びネットワーク201を介して衝撃データ格納部1014に格納されているデータを、記録集計サーバ203に送信する。記録集計サーバ203は、衝撃解析装置の機能に加え、ウェブ(Web)サーバ機能を有している。従って、ネットワーク201を介して接続しているユーザ端末202のWebブラウザからのアクセスに応じて、記録集計サーバ203が図9乃至12などの表示データをHTML(Hyper Text Markup Language)ファイル等のWebデータとしてユーザ端末202に送信するようにしてもよい。また、配送記録データについては、バーコードリーダ208で読み取って配送記録データ格納部205に蓄積され、同じくネットワーク201に接続されている配送業者サーバ204から記録集計サーバ203に送信するようにしても良い。
【0033】
さらに、衝撃記録計101aではなく、位置検出部1013を有しない衝撃記録計101aと、位置検出部1013及びデータ送信部を有する位置データ記録モジュールとの両方を荷物100に設置するようにしても良い。また、位置データ記録モジュールについては、トラック207に設置するようにしても良い。この際、位置検出部1013で検出された位置データについては、位置データ記録モジュールが有するデータ送信部から随時送信するようにしても良いし、位置データ記録モジュール内のデータ記憶装置に格納しておき、後に直接又はネットワーク201を介して記録集計サーバ203に転送するようにしても良い。この場合には、記録集計サーバ203では、衝撃値と位置データを時刻で同期させる処理が必要となる。さらに、従来用いられていた衝撃記録計101を用いるようにしても良い。このような場合には、位置データ記録モジュールについてもデータ送信部を有さない構成であってもよい。このような場合には、主にオフラインで記録集計サーバ203にデータを入力し、記録集計サーバ203では、衝撃値と位置データを時刻で同期させる処理が必要となる。
【0034】
また、図1に示した衝撃解析装置の機能ブロックは必ずしもプログラムモジュールに対応するものではない。
【0035】
また、上記衝撃解析装置、記録集計サーバ、ユーザ端末、配送業者サーバなどは、コンピュータ装置であって、図15に示すように、メモリ2501とCPU2503とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施例における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。本発明の実施例では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態における衝撃解析装置の機能ブロック図である。
【図2】データ解析処理の処理フローを示す図である。
【図3】荷物の一例を示す図である。
【図4】衝撃データ格納部に格納されたデータの一例を示す図である。
【図5】(a)配送記録データ格納部に格納される前のデータの一例、(b)配送記録データ格納部に格納されるデータの一例、(c)修正配送記録データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】時系列データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図7】衝撃分布データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図8】データ表示の処理フローを示す図である。
【図9】各社比較グラフ表示の一例を示す図である。
【図10】各社比較テーブル表示の一例を示す図である。
【図11】(a)乃至(d)は、処理対象企業の個別グラフ表示の一例を示す図である。
【図12】時系列データ表示の一例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態における衝撃記録計の機能ブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態におけるシステム概要図である。
【図15】コンピュータの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1 衝撃データ取得部 3 衝撃データ格納部 5 配送記録データ取得部
7 配送記録データ格納部 9 位置データ処理部
11 修正配送記録データ格納部 13 衝撃分布データ生成部
15 衝撃分布データ格納部 17 時系列データ生成部
19 時系列データ格納部 21 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物のIDと当該荷物に加わった衝撃力に関するデータと当該衝撃を検出した日時のデータとを含む衝撃データを格納する衝撃データ格納部と、
荷物のIDと当該荷物のIDの読取り場所及び読取り時刻とを含む配送データを格納する配送データ格納部と、
前記配送データ格納部及び前記衝撃データ格納部から特定の荷物のIDに対応して記録されているデータを読み出し、読み出された前記衝撃データのうち所定の条件を満たすものと、読み出された前記配送データとを用いて、前記特定の荷物に対する衝撃の発生及び配送過程を時系列化したデータを生成し、記憶装置に格納する時系列データ生成手段と、
を有する衝撃解析装置。
【請求項2】
前記時系列データ生成手段が、
読み出された前記配送データに含まれる、前記特定の荷物のIDの読取り場所に対応する作業コードを特定する手段
をさらに含む請求項1記載の衝撃解析装置。
【請求項3】
前記衝撃データ格納部に格納された前記衝撃データに対して前記荷物のIDを基に集計処理を行って前記荷物のID毎に衝撃力分布データを生成し、記憶装置に格納する手段
をさらに有する請求項1又は2記載の衝撃解析装置。
【請求項4】
前記荷物のIDから配送業者を特定し、前記記憶装置に格納された前記荷物のID毎の衝撃力分布データを各配送業者の衝撃力分布データに変更し、前記記憶装置に格納する手段
をさらに有する請求項3記載の衝撃解析装置。
【請求項5】
荷物のIDと当該荷物に加わった衝撃力に関するデータと当該衝撃を検出した日時のデータとを含む衝撃データを格納する衝撃データ格納部と、荷物のIDと当該荷物のIDの読取り場所及び読取り時刻とを含む配送データを格納する配送データ格納部とから特定の荷物のIDに対応して記録されているデータを読み出すステップと、
読み出された前記衝撃データのうち所定の条件を満たすものと、読み出された前記配送データとを用いて、前記特定の荷物に対する衝撃の発生及び配送過程を時系列化したデータを生成し、記憶装置に格納するステップと、
を含み、コンピュータに実行される衝撃解析方法。
【請求項6】
荷物のIDと当該荷物に加わった衝撃力に関するデータと当該衝撃を検出した日時のデータとを含む衝撃データを格納する衝撃データ格納部と、荷物のIDと当該荷物のIDの読取り場所及び読取り時刻とを含む配送データを格納する配送データ格納部とから特定の荷物のIDに対応して記録されているデータを読み出すステップと、
読み出された前記衝撃データのうち所定の条件を満たすものと、読み出された前記配送データとを用いて、前記特定の荷物に対する衝撃の発生及び配送過程を時系列化したデータを生成し、記憶装置に格納するステップと、
をコンピュータに実行させる衝撃解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−1760(P2007−1760A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187356(P2005−187356)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(595140170)東京海上日動火災保険株式会社 (13)