説明

衝突予測装置

【課題】従来に比して衝突の誤判定を低減した衝突予測装置を提供する。
【解決手段】自車両に搭載され、当該自車両と他車両との衝突を予測する衝突予測装置であって、自車両の周囲に電磁波を送信し、他車両から反射された当該電磁波の反射波を受信することによって当該他車両の走行情報を検出する他車両情報検出手段と、他車両の走行情報が検出された場合、自車両と他車両との衝突の危険性が高いか否かを当該走行情報に応じて判定する衝突判定手段と、自車両周辺が渋滞しているか否かを判定する渋滞状況判別手段と、渋滞状況判別手段の判定結果に応じて衝突判定手段の判定感度を低減する感度変更手段とを備える、衝突予測装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突予測装置に関し、より特定的には、車両の衝突の危険を予測する衝突予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両周囲に存在する障害物をレーダー装置などにより検出し、自車両と当該障害物とが衝突する危険性を予測する衝突予測装置が開発されている。
【0003】
上記のような衝突予測装置として、例えば、レーダーおよびカメラによって他車両を検出し、自車両と他車両とが衝突する危険性を予測する衝突予知システムの制御装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される衝突予知システムの制御装置は、カメラ画像に基づいて推定した他車両の存在範囲、およびレーダーによって検出した他車両と自車両との相対位置に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の衝突予測装置においては、他車両の相対位置等の情報に基づいて自車両と他車両との衝突の危険性を判定しているため、他車両の相対位置等の情報を誤って検出し易い状況下では、自車両と他車両との衝突の危険性を誤って予測する可能性が高くなるおそれがあった。
【0006】
一般的に、上記のような衝突予測装置に用いられるレーダー装置は、電磁波などの搬送波を自車両周囲に放射し、当該搬送波が障害物に反射されて成る反射波を受信することによって、当該障害物の位置や移動情報を算出する。例えば、自車両300の後端に電磁波式のレーダー装置91を備え、当該レーダー装置91によって後続車両400を検出する場合を想定する。通常、図6に示すように、レーダー装置91から放射された搬送波W1は、後続車両400のフロントバンパ等により1回反射され、反射波W2としてレーダー装置91に受信される。なお、図6は、レーダー装置91が送受信する搬送波が1回反射された後に受信される様子を示すイメージ図である。
【0007】
一方、渋滞中など自車両300と後続車両400との車間距離が比較的短い状況では、図7に示すように、搬送波W1が複数回反射した後、レーダー装置91に受信される場合がある。具体的には、後続車両400のフロントバンパ等により反射されて成る反射波W2が、自車両300のリアバンパ等で再度反射されて反射波W3となる。そして、反射波3は、さらに後続車両400の前面で反射されて反射波W4となった後にレーダー装置91に受信される場合がある。なお、図7は、レーダー装置91が送受信する搬送波が複数回反射された後に受信される様子を示すイメージ図である。搬送波が複数回反射することによって自車両300と後続車両400との実際の車間距離以上の距離を伝搬した場合、レーダー装置91は、後続車両400の位置情報を誤って検出してしまう場合がある。より具体的には、レーダー装置91は、実際の車間距離に反射回数を乗じた値として、自車両300と後続車両400との車間距離を誤って算出してしまう場合がある。また、レーダー装置91が自車両300に対する後続車両400の相対速度を各車両間の車間距離に基づいて算出する場合において、上記のように車間距離を誤って算出していると、レーダー装置91は、当該相対速度を実際よりも大きな値に誤って算出してしまう場合がある。
【0008】
このように、相対位置や、相対速度等の情報が誤って検出された場合、衝突予測装置は、誤検出された当該各情報に基づいて、例えば、後続車両400が自車両300に実際よりも急速に接近していると誤認識してしまう場合があった。すなわち、従来の衝突予測装置では、渋滞時など、他車両の相対位置等の情報を誤って検出し易い状況下において、自車両と他車両との衝突の危険性を誤って判定する可能性が高くなるおそれがあった。
【0009】
本発明は上記の課題を鑑みて成されたものであり、従来に比して衝突の誤判定を低減した衝突予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本願は以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、自車両に搭載され、当該自車両と他車両との衝突を予測する衝突予測装置であって、自車両の周囲に電磁波を送信し、他車両から反射された当該電磁波の反射波を受信することによって当該他車両の走行情報を検出する他車両情報検出手段と、他車両の走行情報が検出された場合、自車両と他車両との衝突の危険性が高いか否かを当該走行情報に応じて判定する衝突判定手段と、自車両周辺が渋滞しているか否かを判定する渋滞状況判別手段と、渋滞状況判別手段の判定結果に応じて衝突判定手段の判定感度を低減する感度変更手段とを備える、衝突予測装置である。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、渋滞状況判別手段は、自車両から他車両までの距離を検出する距離検出手段と、他車両が、自車両から予め定められた距離以内に、予め定められた時間以上継続して存在しているか否かを判定する距離判定手段と、少なくとも、距離判定手段によって自車両から予め定められた距離以内に予め定められた時間以上継続して存在していると判定された場合に、自車両周辺が渋滞していると判定する総合判定手段とを含むことを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、距離算出手段は、電磁波の照射方向の画像を撮像する撮像手段と、他車両までの距離を画像中における他車両の位置に基づいて算出する距離算出手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第2および第3の発明の何れかにおいて、自車両の走行速度を検出する自車速度検出手段をさらに備え、渋滞状況判別手段は、自車両の走行速度が予め定められた速度閾値以下であるか否か判定する速度判定手段をさらに含み、総合判定手段は、距離判定手段によって自車両から予め定められた距離以内に予め定められた時間以上継続して存在していると判定され、且つ速度判定手段によって自車両の走行速度が速度閾値以下であると判定された場合に、自車両周辺が渋滞していると判定することを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1および4の発明の何れかにおいて、渋滞状況判別手段の判定結果の確実性が高いか否かを判定する確実性判定手段をさらに備え、感度変更手段は、渋滞状況判別手段によって自車両周辺が渋滞していると判定された場合、衝突判定手段の判定感度を確実性判定手段の判定結果に応じた量だけ低減することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第5の発明において、自車両が走行する道路の渋滞情報を外部から受信する交通情報受信手段をさらに備え、確実性判定手段は、交通情報受信手段によって自車両が走行する道路の渋滞情報が受信された場合、渋滞状況判別手段の判定結果の確実性が高いと判定することを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第4の発明において、自車両が走行する道路の渋滞情報を外部から受信する交通情報受信手段と、総合判定手段は、距離判定手段によって自車両から予め定められた距離以内に、予め定められた時間以上継続して存在していると判定され、且つ速度判定手段によって自車両の走行速度が速度閾値以下であると判定され、且つ交通情報受信手段によって自車両が走行する道路の渋滞情報が受信された場合に、自車両周辺が渋滞していると判定することを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第1から7の発明の何れかにおいて、他車両の走行情報が算出された場合、自車両および他車両の衝突回避に必要な必要減速度を他車両の走行情報に基づいて算出する減速度算出手段と、必要減速度が予め定められた減速度閾値以下であるか否かを判定する必要減速度判定手段とをさらに備え、衝突判定手段は、必要減速度が減速度閾値以下である場合にのみ、自車両と他車両との衝突の危険性が高いか否かを判定し、感度変更手段は、渋滞状況判別手段によって自車両周辺が渋滞していると判定された場合、減速度閾値を現時点より大きな値に変更することによって、衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第1から7の発明において、感度変更手段は、渋滞状況判別手段によって自車両周辺が渋滞していると判定された場合、他車両情報検出手段が送信する電磁波の強度を現時点より小さくして他車両の走行情報を検出し難くすることによって、衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、第1から7の発明において、感度変更手段は、渋滞状況判別手段によって自車両周辺が渋滞していると判定された場合、他車両情報検出手段による電磁波の送信を停止して他車両の走行情報の検出を停止することによって、衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第3の発明において、他車両情報検出手段は、自車両後方に電磁波を送信して自車両後方に存在する他車両を検出し、撮像手段は、自車両後方を撮像することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、従来に比して車両同士の衝突の誤判定を低減することができる。具体的には、自車両の周囲が渋滞している状況下、すなわち他車両を検出するための電磁波が複数回反射して他車両の走行情報を誤検出し易い状況下においては、衝突判定の感度が低減される。そのため、実際に衝突の危険性が比較的低いにも拘わらず衝突の危険性が高いと誤った判定をし易い状況下において、当該誤った判定をし難くすることができる。
【0022】
第2の発明によれば、自車両周囲が渋滞しているか否かを簡単な処理で判定することができる。
【0023】
第3の発明によれば、自車両から他車両までの距離を正確且つ容易に検出することができる。
【0024】
第4の発明によれば、自車両周囲が渋滞しているか否かを、より正確に比較的簡単な処理で判定することができる。
【0025】
第5の発明によれば、渋滞しているか否かの判定結果の確実性に応じて衝突を判定する際の判定感度を低減することができるため、当該判定感度を適切に設定することができる。
【0026】
第6の発明によれば、渋滞しているか否かの判定結果の確実性を簡単な処理で判定することができる。
【0027】
第7の発明によれば、自車両周囲が渋滞しているか否かを、より正確に比較的簡単な処理で判定することができる。
【0028】
第8の発明によれば、衝突の判定に用いる閾値の大きさを変更することによって、容易に衝突判定の判定感度を低減することができる。すなわち、自車両と他車両とが衝突する危険性が高いと判定し難くすることができる。
【0029】
第9の発明によれば、他車両の検出のために送受信する電磁波の強度を低減することによって、多重に反射した当該電磁波を受信し難くして、当該他車両の走行情報の誤検出を低減することができる。すなわち、他車両の走行情報の誤検出を低減することによって、自車両と他車両とが衝突する危険性が高いと誤って判定し難くすることができる。
【0030】
第10の発明によれば、他車両の検出を停止することによって、他車両の走行情報の誤検出を無くすことができる。すなわち、自車両と他車両とが衝突する危険性が高いと誤って判定することを無くすことができる。
【0031】
第11の発明によれば、自車両後方から接近する後続車両と自車両との衝突の誤判定を抑制することができる。また、近年普及が進んでいるバックカメラなどの撮像装置を流用して安価に本発明に係る衝突予測装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】衝突予測装置1の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図3】自車両100の後方を撮像したカメラ画像の一例
【図4】第2の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図5】第3の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例
【図6】レーダー装置91が送受信する搬送波が1回反射された後に受信される様子を示すイメージ図
【図7】図7は、レーダー装置91が送受信する搬送波が複数回反射された後に受信される様子を示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る衝突予測装置1について説明する。先ず、図1を参照して衝突予測装置1の構成について説明する。なお、図1は、衝突予測装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように。衝突予測装置1は、レーダー装置11、カメラ装置12、車速センサ13、ナビゲーション装置14、衝突判定ECU20、および警報装置30を備える。なお、本実施形態においては、衝突予測装置1が自車両100に搭載される例について説明する。
【0034】
レーダー装置11は、自車両100の周囲に電磁波を送受信することによって、自車両100の周囲に存在する物体を検出する装置である。本実施形態においては、レーダー装置11が、図7に示すレーダー装置91と同様に自車両100の後端に搭載され、自車両100の後方に存在する物体を検出する例について説明する。レーダー装置11は、自車両100の後方において他車両200を検出した場合、自車両100に対する当該他車両200の走行情報を検出する。具体的には、レーダー装置11は、他車両200の走行情報として、当該他車両200の自車両100に対する相対速度VR(km/h)、および当該移動体から自車両100までの車間距離L(km)を検出する。そして、レーダー装置11は、相対速度VRおよび車間距離Lを示すデータを衝突判定ECU20へ送信する。なお、レーダー装置11が相対速度VRおよび車間距離Lを検出する方法は、従来周知の任意の手法を用いて良い。また、自車両100の後方に存在する物体を検出可能であれば、レーダー装置11の搭載位置は任意の位置として良い。
【0035】
カメラ装置12は、自車両100の周囲の画像を撮像する撮像装置である。カメラ装置12は、典型的には、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサを備えた撮像装置である。カメラ装置12は、レーダー装置11の検出方向を撮像可能な位置に搭載される。具体的には、カメラ装置12は、自車両100のトランク後端部等に搭載される。以下では、カメラ装置12が撮像した画像をカメラ画像と呼称する。カメラ装置12は、自車両100後方のカメラ画像を撮像すると当該カメラ画像のデータを衝突判定ECU20へ送信する。
【0036】
車速センサ13は、自車両100の走行速度VJ(km/h)を検出するセンサ装置である。車速センサ13は、検出した自車両100の走行速度VJを示すデータを衝突判定ECU20へ送信する。なお、車速センサ13が走行速度VJを検出する方法は、従来周知の任意の手法を用いて良い。
【0037】
ナビゲーション装置14は、自車両100が走行する道路の交通情報を外部から取得する装置である。なお、以下では、自車両100が走行する道路を走行道路と呼称する。上記の交通情報には、少なくとも走行道路が渋滞しているか否かを示す渋滞情報が含まれる。例えば、ナビゲーション装置14は、VICS(登録商標)などのシステムを利用し、道路交通情報を取得する。より具体的には、ナビゲーション装置14は、交通情報センターに配備されたコンピュータと無線通信を行うことによって道路交通情報を取得する。ナビゲーション装置14は、道路交通情報を取得すると、当該情報を示すデータを衝突判定ECU20へ送信する。
【0038】
衝突判定ECU20は、典型的には、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)などの情報処理装置、メモリなどの記憶装置、およびインターフェース回路などを備える制御装置である。衝突判定ECU20は、レーダー装置11、カメラ装置12、車速センサ13、およびナビゲーション装置14から取得したデータに基づいて、自車両100と他車両とが衝突する危険性が高いか否か判定する。また、衝突判定ECU20は、自車両100と他車両とが衝突する危険性が高いと判定した場合、警報装置30を動作させる指示信号を警報装置30に送信する。なお、衝突判定ECU20の詳細な処理については後述する。
【0039】
警報装置30は、自車両100のドライバーに対して、自車両100と他車両とが衝突する危険性が高い状況であることを報知する装置である。警報装置30は、衝突判定ECU20から受信する指示信号に応じて、警報を報知する。警報装置30は、例えば、自車両100の車室内に警報音を出力することによって、衝突の危険性をドライバーに報知する。なお、警報装置30は、警報音を出力する以外にも任意の手法で衝突の危険性をドライバーに報知して構わない。例えば、警報装置30は、自車両100の車室内に設けられた表示装置に画像を表示させたり、ランプを点灯させたりして衝突の危険性をドライバーに報知しても良い。
【0040】
次いで、図2を参照して、衝突判定ECU20が実行する処理について説明する。図2は、衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例である。衝突判定ECU20は、例えば、自車両100のIG電源がオンに設定された場合に、図2のフローチャートの処理を開始する。衝突判定ECU20は、図2のフローチャートの処理を開始すると、先ず、ステップS1の処理を実行する。
【0041】
ステップS1において、衝突判定ECU20は、カメラ画像を取得する。具体的には、衝突判定ECU20は、カメラ装置12から送信されるカメラ画像のデータを受信し、記憶装置に記憶する。ステップS1の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS2へ処理を進める。
【0042】
ステップS2において、衝突判定ECU20は、後続車両が一定時間接近しているか否か判定する。具体的には、衝突判定ECU20は、自車両100の後方に他車両が所定距離以内に所定時間以上継続して存在しているか否か判定する。以下、衝突判定ECU20が、自車両100の後方に他車両が所定距離以内に所定時間以上継続して存在しているか否かをカメラ画像に基づいて判定する方法について説明する。
【0043】
先ず、衝突判定ECU20は、カメラ画像中において他車両を検出する。例えば、衝突判定ECU20は、図3に示すカメラ画像をステップS1において取得している場合、当該カメラ画像中の他車両200を検出する。次いで、衝突判定ECU20は、他車両200を示す画像の輪郭(エッジ)を検出し、他車両200の輪郭の下端を検出する。そして、衝突判定ECU20は、カメラ画像中における、カメラ画像の下端から他車両200の下端までの距離Dを算出する。距離Dは、自車両100と他車両200との車間距離が長いほど、大きな値となる。したがって、衝突判定ECU20は、距離Dが予め定められた距離閾値Dth以下である場合、他車両200が自車両100から所定距離以内に存在していると判定する。なお、距離閾値Dthは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶された任意の定数である。
【0044】
衝突判定ECU20は、他車両200が自車両100から所定距離以内に存在している状態であると判定した場合、当該状態の継続時間Tを計測する。そして、衝突判定ECU20は、継続時間Tが時間閾値Tth以上であるか否か判定する。なお、時間閾値Tthは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶された任意の定数である。継続時間Tが時間閾値Tth以上である場合、自車両100の後方に他車両が所定距離以内に所定時間以上継続して存在している、すなわち後続車両が一定時間接近していると判定する。衝突判定ECU20は、後続車両が一定時間接近していると判定した場合、処理をステップS3へ進める。一方、衝突判定ECU20は、距離Dが予め定められた距離閾値Dthより大きい場合、および、継続時間Tが予め定められた時間閾値Tth未満である場合、後続車両が一定時間接近していないと判定する。衝突判定ECU20は、後続車両が一定時間接近していないと判定した場合、処理をステップS7へ進める。
【0045】
なお、上述ステップS2に示した処理は一例であり、衝突判定ECU20は、従来周知の手法を用いて後続車両が一定時間接近しているか否か判定して構わない。
【0046】
後続車両が一定時間継続して自車両100に接近している場合、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いと考えられる。すなわち、上記ステップS1およびステップS2の処理によれば、衝突判定ECU20は、自車両100の周囲が渋滞しているか否かを簡単な処理で判定することができる。また、衝突判定ECU20は、カメラ画像に基づいて後続車両を検出するため、自車両100と後続車両との車間距離が狭い状況、すなわち、電磁波式のレーダー装置等で後続車両の位置を正確に検出し難い状況であっても、後続車両の接近状況を確実に判定することができる。
【0047】
図2の説明に戻り、ステップS3において、衝突判定ECU20は、自車速度VJを検出する。具体的には、衝突判定ECU20は、車速センサ13から自車速度VJの値を示すデータを取得する。ステップS3の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS4へ処理を進める。
【0048】
ステップS4において、衝突判定ECU20は、自車速度VJが速度閾値Vth以下であるか否か判定する。なお、速度閾値Vthは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶された任意の定数である。衝突判定ECU20は、自車速度VJが速度が速度閾値Vth以下であると判定した場合、処理をステップS5へ進める。一方、衝突判定ECU20は、自車速度VJが速度が速度閾値Vthより大きいと判定した場合、処理をステップS7へ進める。
【0049】
自車速度VJが比較的小さい値である場合、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いと考えられる。すなわち、上記ステップS3およびステップS4の処理によれば、自車両100の周囲が渋滞しているか否かを、より正確に簡単な処理で判定することができる。つまるところ、衝突判定ECU20は、自車両100後方の所定距離内に一定時間継続して他車両が存在し、且つ、自車速度VJが速度閾値Vth以下である場合に、自車両100の周囲が渋滞していると判定する。一方、衝突判定ECU20は、自車両100後方の所定距離内に一定時間継続して他車両が存在していない場合、および自車速度VJが速度閾値Vthより大きい場合、自車両100の周囲が渋滞していないと判定する。
【0050】
ステップS5において、衝突判定ECU20は、道路交通情報を受信する。具体的には、衝突判定ECU20は、ナビゲーション装置14が取得した道路交通情報を、当該ナビゲーション装置14から受信する。ステップS5の処理を完了すると、衝突判定ECU20は処理をステップS6へ進める。
【0051】
ステップS6において、衝突判定ECU20は、走行道路の渋滞情報を受信したか否か判定する。具体的には、衝突判定ECU20は、ステップS5において受信した道路交通情報において自車両100が走行する走行道路が渋滞している旨の渋滞情報が含まれていたか否か判定する。衝突判定ECU20は、走行道路の渋滞情報を受信したと判定した場合、処理をステップS9へ進める。一方、衝突判定ECU20は、走行道路の渋滞情報を受信していないと判定した場合、処理をステップS8へ進める。
【0052】
道路交通情報において自車両100が走行する走行道路が渋滞していると示されている場合、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いと考えられる。したがって、上記ステップS5およびステップS6の処理によれば、上記ステップS1からステップS4の処理において自車両100の周囲が渋滞していると判定された場合に、当該判定結果の確実性を判定することができる。
【0053】
ステップS7において、衝突判定ECU20は、減速度閾値Gthの値を基本値αに設定する。減速度閾値Gthは、自車両100に接近する車両の有無を判別するための閾値である。基本値αは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶された任意の定数である。ステップS7の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0054】
ステップS8において、衝突判定ECU20は、減速度閾値Gthの値を補正値βに設定する。補正値βは、基本値αより大きな任意の定数である。補正値βは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶される。ステップS8の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0055】
ステップS9において、衝突判定ECU20は、減速度閾値Gthの値を補正値γに設定する。補正値γは、補正値βより大きな任意の定数である。補正値γは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶される。ステップS9の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0056】
上記ステップS1からステップS9の処理によれば、自車両100の周囲が渋滞していると判定された場合、減速度閾値Gthの値を自車両100の周囲が渋滞していないと判定された場合に比べて大きな値に補正することができる。
【0057】
また、上記ステップS5およびステップS6の処理によれば、自車両100の周囲が渋滞しているか否かの判定結果の確実性に応じて減速度閾値Gthの値の補正量を変更することができる。すなわち、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、減速度閾値Gthの値を大きな値に設定することができる。
【0058】
ステップS10において、衝突判定ECU20は、必要減速度Gnを算出する。必要減速度Gnは、自車両100および他車両200が現時点の速度で走行を継続したと想定した場合に、互いの衝突を回避するために必要な減速度である。衝突判定ECU20は、先ず、レーダー装置11から、相対速度VR、および車間距離Lを取得する。そして、下式(1)に基づいて必要減速度Gnを算出する。なお、式(1)においてgは重力加速度を表す。また、式(1)において)「^」はべき乗数を表す。
Gn=VR^2/(2×g×L) …(1)
衝突判定ECU20は、算出した必要減速度Gnを記憶装置に記憶する。ステップS10の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS11へ処理を進める。
【0059】
ステップS11において、衝突判定ECU20は、接近車両があるか否か判定する。具体的には、衝突判定ECU20は、必要減速度Gnが減速度閾値Gth以上であるか否か判定する。そして、衝突判定ECU20は、必要減速度Gnが減速度閾値Gth以上である場合、接近車両があると判定し、処理をステップS12へ進める。一方、衝突判定ECU20は、必要減速度Gnが減速度閾値Gthより小さい場合、接近車両がないと判定し、処理をステップS14へ進める。
【0060】
ステップS12において、衝突判定ECU20は、衝突の危険性が高いか否か判定する。具体的には、先ず、衝突判定ECU20は、下式(2)に基づいて衝突予測時間TTCを算出する。なお、衝突判定ECU20は、上述ステップS10において取得した相対速度VR、車間距離Lを用いて衝突予測時間TTCを算出する。
TTC=L/VR …(2)
そして、衝突判定ECU20は、衝突予測時間TTCが衝突判定閾値TTCth以下であるか否か判定する。衝突判定閾値TTCthは、自車両100が他車両と衝突する危険性が高いか否か判定するための閾値である。衝突判定閾値TTCthは、予め衝突判定ECU20の記憶装置に記憶された任意の定数である。衝突判定ECU20は、衝突予測時間TTCが衝突判定閾値TTCth以下である場合、衝突の危険性が高いと判定し、処理をステップS13へ進める。一方、衝突判定ECU20は、衝突予測時間TTCが衝突判定閾値TTCth以下である場合、衝突の危険性が高いと判定し、処理をステップS14へ進める。
【0061】
なお、上述ステップS12の処理は一例であり、衝突判定ECU20は、自車両100と他車両とが衝突する危険性が高いか否かを従来周知の手法を用いて判定して構わない。
【0062】
ステップS13において、衝突判定ECU20は、警報を報知する。具体的には、衝突判定ECU20は、警報装置30に警報を報知する指示信号を送信する。ステップS13の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS14へ処理を進める。
【0063】
上述ステップS10からステップS13の処理によれば、自車両100に接近する他車両が検出された場合に、自車両100と当該他車両とが衝突する危険性が高いか否か判定される。そして、自車両100と当該他車両とが衝突する危険性が高いと判定された場合、警報により当該衝突の危険が自車両100のドライバーに報知される。したがって、ドライバーは、自車両100と当該他車両とが衝突の危険を感知して、当該衝突を回避する操作を行うことができる。
【0064】
ここで、ステップS11の処理によれば、減速度閾値Gthが大きいほど、接近車両があると判定され難くなる。そして、上述の通り、予めステップS1からステップS9において、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、減速度閾値Gthの値が大きな値に設定されている。したがって、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、接近車両があると判定され難くなる。その結果、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、ステップS12の衝突判定が実行され難くなる。故に、他車両の走行情報を誤検出し易い状況においては、衝突判定の実行を抑制し、誤判定による不要な警報の報知を低減することができる。
【0065】
ステップS14において、衝突判定ECU20は、IG電源がオフに設定されたか否か判定する。衝突判定ECU20は、IG電源がオフに設定されたと判定した場合、図2のフローチャートの処理を終了する。一方、衝突判定ECU20は、IG電源がオンに設定されていると判定した場合、処理をステップS1へ処理を戻し、上記各ステップの処理を繰り返し実行する。
【0066】
以上に述べた通り、本発明の第1の実施形態に係る衝突予測装置1によれば、従来の衝突予測装置に比して車両同士の衝突の誤判定を低減することができる。
【0067】
なお、上記第1の実施形態では、衝突判定ECU20がステップS5およびステップS6の処理により道路交通情報を用いて自車両100の周囲が渋滞状況の判定結果の確実性をさらに判定する例について説明したが、衝突判定ECU20は、当該ステップS5およびステップS6の処理を省略しても構わない。具体的には、衝突判定ECU20は、ステップS4において自車速度VJが速度が速度閾値Vth以下であると判定した場合、ステップS5およびステップS6の処理を省略し、処理をステップS8へ進めて良い。このような処理によれば、衝突判定ECU20は、少ない処理量で素早く車両100周囲の渋滞状況を判定することができる。また、ナビゲーション装置14を備えない構成で安価に本発明の衝突予測装置を構成することができる。
【0068】
また、衝突判定ECU20は、ステップS1およびステップS2の処理のみによって自車両100の周囲が渋滞しているか否か判定しても構わない。具体的には、衝突判定ECU20は、後続車両が一定時間接近していると判定した場合、ステップS3からステップS6の処理を省略し、処理をステップS8へ進めて良い。このような処理によっても衝突判定ECU20は、少ない処理量で素早く車両100周囲の渋滞状況を判定することができる。
【0069】
また、上記第1の実施形態では、衝突判定ECU20が自車両100の周囲が渋滞している可能性の高さに応じて減速度閾値Gthの値を段階的に設定する例について説明したが、衝突判定ECU20は、減速度閾値Gthの値を自車両100の周囲が渋滞しているか否かに応じて予め定められた大小何れかの値に択一的に設定しても構わない。例えば、衝突判定ECU20は、ステップS6において走行道路の渋滞情報を受信していないと判定した場合、処理をステップS7へ進めて減速度閾値Gthの値を基本値αに設定して構わない。つまり、衝突判定ECU20は、自車両100後方の所定距離内に一定時間継続して他車両が存在し(ステップS2でYes)、且つ、自車速度VJが速度閾値Vth以下であり(ステップS4でYes)、且つ走行道路の渋滞情報を受信している(ステップS6でYes)場合に、自車両100の周囲が渋滞していると判定しても良い。このような処理によれば、複数の補正値を予め衝突判定ECU20に記憶させる必要がなく、衝突判定ECU20に要する記憶領域を低減することができる。また、自車両100の周囲が渋滞しているか否かを、より確実に判定することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、衝突判定ECU20が自車両100の周囲が渋滞しているか否かの判定結果および当該判定結果の確実性に応じて減速度閾値Gthの値を変更する例について説明したが、衝突判定ECU20は、自車両100の周囲が渋滞しているか否かの判定結果および当該判定結果の確実性に応じてレーダー装置11が送信する電磁波の強度(以下、電磁波強度Eと呼称する。)を変更する処理を行って構わない。
【0071】
以下、第2の実施形態に係る衝突予測装置について説明する。なお、第2の実施形態に係る衝突予測装置の構成は、第1の実施形態に係る衝突予測装置1と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0072】
次いで、図4を参照して第2の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理について説明する。図4は、第2の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例である。図4において、上述図2の各ステップと同様の処理を行うステップについては同様の符号を付して示す。
【0073】
図4に示すように、第2の実施形態に係る衝突判定ECU20は、上述ステップS7の処理に替えてステップA7の処理を実行する。具体的には、ステップA7において、衝突判定ECU20は、電磁波強度Eの値を基本値δに設定する。基本値δは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶された任意の定数である。ステップA7の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0074】
また、第2の実施形態に係る衝突判定ECU20は、上述ステップS8の処理に替えてステップA8の処理を実行する。具体的には、ステップA8において、衝突判定ECU20は、電磁波強度Eの値を補正値εに設定する。補正値εは、基本値δより小さな任意の定数である。補正値εは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶される。ステップA8の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0075】
また、第2の実施形態に係る衝突判定ECU20は、上述ステップS9の処理に替えてステップA9の処理を実行する。具体的には、ステップA9において、衝突判定ECU20は、電磁波強度Eの値を補正値μに設定する。補正値μは、補正値δより小さな任意の定数である。補正値μは、衝突判定ECU20の記憶装置に予め記憶される。ステップA9の処理を完了すると、衝突判定ECU20は、ステップS10へ処理を進める。
【0076】
上記ステップS1からステップS6、およびステップA7からステップA9の処理によれば、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、電磁波強度Eが小さな値に設定される。したがって、自車両100の周囲が渋滞している可能性が高いほど、レーダー装置11による他車両の検知感度が鈍くなる。すなわち、衝突判定ECU20が自車両と他車両とが衝突する危険が高いと判定し難くすることができる。また、電磁波強度Eの値が小さく設定されるほど、レーダー装置11から送信される電磁波が複数回反射してからレーダー装置11に受信される現象が発生し難くなる。すなわち、レーダー装置11によって他車両の走行情報が誤検出され難くなる。
【0077】
なお、上記補正値μの値はゼロであっても良い。より詳細には、衝突判定ECU20は、上記ステップA9において、電磁波強度Eの値をゼロに設定し、レーダー装置11からの電磁波の送信を停止しても構わない。レーダー装置11からの電磁波の送信を停止する場合、他車両が検出されないため、他車両の走行情報の誤検出を無くすことができる。すなわち、自車両100と他車両とが衝突する危険性が高いと誤って判定することを無くすことができる。
【0078】
以上に述べた通り、本発明の第2の実施形態に係る衝突予測装置によれば、第1の実施形態と同じく、従来に比して車両同士の衝突の誤判定を低減することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
上記第1の実施形態では、衝突判定ECU20が自車両100の周囲が渋滞しているか否かの判定結果の信憑性の高さに応じて減速度閾値Gthの値を変更する例について説明したが、衝突判定ECU20は、自車両100の周囲が渋滞しているか否かの信憑性が比較的高い場合に、衝突の判定を実行しない処理を行って構わない。
【0080】
図5は、第3の実施形態に係る衝突判定ECU20が実行する処理を示すフローチャートの一例である。図5において、上述図2の各ステップと同様の処理を行うステップについては同様の符号を付して示す。具体的には、図5に示すように、第3の実施形態に係る衝突判定ECU20は、ステップS5の処理を完了するとステップB6の処理を実行する。
【0081】
ステップB6において、衝突判定ECU20は、上述ステップS6と同様にして、走行道路の渋滞情報を受信したか否か判定する。そして、衝突判定ECU20は、走行道路の渋滞情報を受信したと判定した場合、ステップS10からステップS13の処理は省略し、処理をステップS14へ進める。一方、衝突判定ECU20は、走行道路の渋滞情報を受信していないと判定した場合、処理をステップS8へ進める。
【0082】
上記ステップS1からステップS5、およびステップA6の処理によれば、自車両100の周囲が渋滞している可能性が比較的高い状況であると判定された場合、自車両100が他車両と衝突する危険性が高いか否かの判定の実行を停止することができる。したがって、他車両の走行情報を誤検出し易い状況において、衝突判定ECU20が衝突の誤判定をすることがなく、当該誤判定による不要な警報の報知を低減することができる。
【0083】
以上に述べた通り、本発明の第3の実施形態に係る衝突予測装置によれば、第1の実施形態と同じく、従来に比して車両同士の衝突の誤判定を低減することができる。
【0084】
なお、上記各実施形態においては、レーダー装置11が自車両100の後方に存在する物体を検出する例について説明したが、レーダー装置11が自車両100周囲の任意の方向に存在する物体を検出する構成としても構わない。例えば、レーダー装置11を自車両100のフロントバンパに搭載し、自車両100の先行車両を検出する構成としても良い。なお、このような構成とする場合、カメラ装置12は、自車両100の前方を撮像可能な位置に搭載される。このような構成によれば、先行車両と自車両100との衝突の誤判定を抑制することができる。
【0085】
また、上記各実施形態においては、衝突判定ECU20が、自車両100と他車両200とが衝突する可能性が高いと判定した場合に警報装置30を動作させる例について説明したが、衝突判定ECU20は、警報装置30に限らず、自車両100に搭載された任意の装置を制御して構わない。例えば、衝突判定ECU20は、自車両100と他車両200とが衝突する可能性が高いと判定した場合、衝突を回避すべく自車両100のアクセル装置やブレーキ装置を自動的に動作させて、自車両100の加減速状態を制御しても構わない。また、衝突判定ECU20は、自車両100と他車両200とが衝突する可能性が高いと判定した場合、衝突の衝撃から乗員を保護するべく、自車両100のシートベルトの拘束力やヘッドレストの位置等を制御しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る衝突予測装置は、誤判定の少ない車両の衝突予測装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 衝突予測装置
11、91 レーダー装置
12 カメラ装置
13 車速センサ
14 ナビゲーション装置
20 衝突判定ECU
30 警報装置
100、300 自車両
200 他車両
400 後続車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載され、当該自車両と他車両との衝突を予測する衝突予測装置であって、
前記自車両の周囲に電磁波を送信し、他車両から反射された当該電磁波の反射波を受信することによって当該他車両の走行情報を検出する他車両情報検出手段と、
前記他車両の走行情報が検出された場合、前記自車両と前記他車両との衝突の危険性が高いか否かを当該走行情報に応じて判定する衝突判定手段と、
前記自車両周辺が渋滞しているか否かを判定する渋滞状況判別手段と、
前記渋滞状況判別手段の判定結果に応じて前記衝突判定手段の判定感度を低減する感度変更手段とを備える、衝突予測装置。
【請求項2】
前記渋滞状況判別手段は、
前記自車両から前記他車両までの距離を検出する距離検出手段と、
前記他車両が、前記自車両から予め定められた距離以内に、予め定められた時間以上継続して存在しているか否かを判定する距離判定手段と、
少なくとも、前記距離判定手段によって前記自車両から予め定められた距離以内に予め定められた時間以上継続して存在していると判定された場合に、前記自車両周辺が渋滞していると判定する総合判定手段とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の衝突予測装置。
【請求項3】
前記距離算出手段は、
前記電磁波の照射方向の画像を撮像する撮像手段と、
前記自車両から前記他車両までの距離を前記画像中における前記他車両の位置に基づいて算出する距離算出手段とを含むことを特徴とする、請求項2に記載の衝突予測装置。
【請求項4】
前記自車両の走行速度を検出する自車速度検出手段をさらに備え、
前記渋滞状況判別手段は、前記自車両の走行速度が予め定められた速度閾値以下であるか否か判定する速度判定手段をさらに含み、
前記総合判定手段は、前記距離判定手段によって前記自車両から予め定められた距離以内に予め定められた時間以上継続して存在していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記自車両の走行速度が前記速度閾値以下であると判定された場合に、前記自車両周辺が渋滞していると判定することを特徴とする、請求項2および3の少なくとも何れか1つに記載の衝突予測装置。
【請求項5】
前記渋滞状況判別手段の判定結果の確実性が高いか否かを判定する確実性判定手段をさらに備え、
前記感度変更手段は、前記渋滞状況判別手段によって前記自車両周辺が渋滞していると判定された場合、前記衝突判定手段の判定感度を前記確実性判定手段の判定結果に応じた量だけ低減することを特徴とする、前記請求項1および4の少なくとも何れか1つに記載の衝突予測装置。
【請求項6】
前記自車両が走行する道路の渋滞情報を外部から受信する交通情報受信手段をさらに備え、
前記確実性判定手段は、前記交通情報受信手段によって前記自車両が走行する道路の渋滞情報が受信された場合、前記渋滞状況判別手段の判定結果の確実性が高いと判定することを特徴とする、請求項5に記載の衝突予測装置。
【請求項7】
前記自車両が走行する道路の渋滞情報を外部から受信する交通情報受信手段と、
前記総合判定手段は、前記距離判定手段によって前記自車両から予め定められた距離以内に、予め定められた時間以上継続して存在していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記自車両の走行速度が前記速度閾値以下であると判定され、且つ前記交通情報受信手段によって前記自車両が走行する道路の渋滞情報が受信された場合に、前記自車両周辺が渋滞していると判定することを特徴とする、請求項4に記載の衝突予測装置。
【請求項8】
前記他車両の走行情報が算出された場合、前記自車両および前記他車両の衝突回避に必要な必要減速度を前記他車両の走行情報に基づいて算出する減速度算出手段と、
前記必要減速度が予め定められた減速度閾値以下であるか否かを判定する必要減速度判定手段とをさらに備え、
前記衝突判定手段は、前記必要減速度が前記減速度閾値以下である場合に、前記自車両と前記他車両との衝突の危険性が高いか否かを判定し、
前記感度変更手段は、前記渋滞状況判別手段によって前記自車両周辺が渋滞していると判定された場合、前記減速度閾値を現時点より大きな値に変更することによって、前記衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする、請求項1から7の少なくとも何れか1つに記載の衝突予測装置。
【請求項9】
前記感度変更手段は、前記渋滞状況判別手段によって前記自車両周辺が渋滞していると判定された場合、前記他車両情報検出手段が送信する前記電磁波の強度を現時点より小さくして前記他車両の走行情報を検出し難くすることによって、前記衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする、請求項1から7の少なくとも何れか1つに記載の衝突予測装置。
【請求項10】
前記感度変更手段は、前記渋滞状況判別手段によって前記自車両周辺が渋滞していると判定された場合、前記他車両情報検出手段による前記電磁波の送信を停止して前記他車両の走行情報の検出を停止することによって、前記衝突判定手段の判定感度を低減することを特徴とする、請求項1から7の少なくとも何れか1つに記載の衝突予測装置。
【請求項11】
前記他車両情報検出手段は、前記自車両後方に前記電磁波を送信して前記自車両後方に存在する他車両を検出し、
前記撮像手段は、前記自車両後方を撮像することを特徴とする、請求項3に記載の衝突予測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−113286(P2011−113286A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268897(P2009−268897)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】