説明

衝突検知センサの取付構造

【課題】シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器を配設しつつ、衝突検知センサを車体中央部から外れた位置に配置した場合にも、衝突検知センサによる衝突検知性能の低下を防止すること。
【解決手段】衝突検知センサの取付構造は、シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、その車載機器の右側方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを上下1対の連結部により連結すると共にその上側連結部の近傍に衝突検知センサが取付けられる第1連結ステー32と、車載機器の左側方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを連結する第2連結ステー33とを設け、第1連結ステー32と第2連結ステー33とを連結する剛性部材34を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突検知センサの取付構造に関し、特にシュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器を配設した場合にも、衝突検知センサによる衝突検知性能が低下しないように構成されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車にはラジエータやコンデンサーを取付ける為のシュラウドが設けられ、このシュラウドはシュラウドアッパーとシュラウドロアと1対のシュラウドサイドとで矩形枠状に形成され、フロントバンパーの後側近くに配置され車体前部に支持されて取付けられている。車体前部には、左右のフロントサイドフレームが設けられ、近年、これらフロントサイドフレームの前端部に、衝突エネルギーを吸収可能な左右のクラッシュカンを介して車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントを連結する構造が主流である。
【0003】
車体前部には、エアバッグユニットを作動させる為に車両の衝突を検知する衝突検知センサが設けられ、特許文献1には、シュラウドアッパーの中央部とバンパーレインフォースメントとを連結する連結ステーを設け、シュラウドアッパーに連結ステーが連結される連結部の近傍に衝突検知センサを取付ける構造が開示されており、車両の衝突時には、バンパーで受けた衝突荷重がバンパーレインフォースメントに伝達され、その衝突荷重が連結ステーを介して衝突検知センサに伝達される。
【特許文献1】特開2002−225748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、車体前部にミリ波レーダーを設け、前方を走行している車両などの障害物との相対速度や距離に基づいて衝突の危険性を検知するものがある。車体前部にミリ波レーダーを設ける場合には、ミリ波レーダーの検知精度の観点からシュラウドの中央部分に設けることが望ましく、その場合には、シュラウドアッパーの中央部分に連結ステーを設けることができないため、ミリ波レーダーの左右両側方の一方に連結ステーを設け、シュラウドアッパーにその連結ステーが連結される連結部の近傍に衝突検知センサを設けることになる。
【0005】
このような場合に、衝突検知センサが取付けられた側の側方からの衝突に対しては、車両の衝突部位から連結ステーまでの距離が短いので、衝突荷重が伝達途中に大きく減衰することなく連結ステーを介して衝突検知センサに伝達され、衝突検知センサによる所定の衝突検知性能が維持される。
しかし、衝突検知センサが取付けられた側とは反対側の側方からの衝突に対しては、衝突部位から連結ステーまでの距離が長いので、衝突荷重が伝達途中に大きく減衰してしまい、衝突検知センサによる衝突検知性能が低下する虞がある。
【0006】
本発明の目的は、シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器を配設しつつ、衝突検知センサを取付けた側とは反対側の側方から衝突した場合にも、衝突検知センサによる衝突検知性能の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の衝突検知センサの取付構造は、シュラウドアッパーの中央部分とバンパーレインフォースメントとを連結する連結ステーを備え、シュラウドアッパーに連結ステーが連結される連結部の近傍に衝突検知センサを取付ける構造であって、前記シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、その車載機器の左右両側方の一方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを上下1対の連結部により連結すると共にその上側連結部の近傍に衝突検知センサが取付けられる第1連結ステーと、前記車載機器の左右両側方の他方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを連結する第2連結ステーとを設け、前記第1連結ステーと第2連結ステーとを連結する剛性部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
衝突検知センサの取付構造においては、シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、車載機器の左右両側方に第1,第2連結ステーが設けられ、第1連結ステーの上側連結部の近傍に衝突検知センサが取付けられ、第1,第2連結ステーを連結する剛性部材が設けられている。衝突検知センサを取付けた側(第1連結ステー側)に衝突荷重が作用したとき、その衝突荷重は、バンパーと第1連結ステーを介して第1連結ステーの上側連結部に伝達されるため、衝突検知センサにより確実に検知される。衝突検知センサを取付けた側とは反対側(第2連結ステー側)に衝突荷重が作用した際には、バンパーと第2連結ステーと剛性部材を介して、第1連結ステーの上側連結部に伝達されるため、衝突検知センサにより確実に検知される。
【0009】
請求項2の衝突検知センサの取付構造は、請求項1の発明において、前記第1連結ステーと第2連結ステーと剛性部材は鋼板部材で構成され、溶接接合により一体的に構成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の衝突検知センサの取付構造は、請求項1又は2の発明において、前記第1連結ステーの上端部分に一体的に接合され且つ衝突検知センサが取付けられるブラケットを設け、前記衝突検知センサは、ブラケットの前面に固定された締結具にブラケットの後方から取付けボルトを締結することで取付けられ、前記第1連結ステーの上端部分は、締結具を跨ぐようにブラケットと剛性部材に接合されることを特徴とする。
請求項4の衝突検知センサの取付構造は、請求項3の発明において、前記ブラケットは、衝突検知センサの後端部より後方に延びる延出部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、その車載機器の左右両側方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントを連結する第1,第2連結部材と、これらを連結する剛性部材とを設け、第1連結ステーの上側連結部の近傍に衝突検知センサを配置したので、第1連結ステー側に衝突荷重が作用した場合には、バンパーレインフォースメントと第1連結ステーを介して衝突荷重が第1連結ステーの上側連結部に伝達されるため、衝突の発生を衝突検知センサにより確実に検知することができる。
【0012】
第2連結ステー側に衝突荷重が作用した場合には、バンパーレインフォースメントと第1連結ステーを介して衝突荷重が第1連結ステーの上側連結部に伝達されることに加え、バンパーレインフォースメントと第2連結ステーと剛性部材を介して衝突荷重が第1連結ステーの上側連結部に伝達されるため、衝突の発生を衝突検知センサにより確実に検知することができる。このように、車体の幅方向の中央部から外れた側部に衝突検知センサを配置しながら、車体の左側への衝突時にも車体の右側への衝突時にも、衝突検知センサにより確実に検知することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、第1連結ステーと第2連結ステーと剛性部材は鋼板部材で構成され、溶接接合により一体的に構成されたので、これらをシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントに組み付ける際の組み付け性が向上する。
【0014】
請求項3の発明によれば、第1連結ステーの上端部分に一体的に接合され且つ衝突検知センサが取付けられるブラケットを設け、衝突検知センサは、ブラケットの前面に固定された締結具にブラケットの後方から取付けボルトを締結することで取付けられ、第1連結ステーの上端部分は、締結具を跨ぐようにブラケットと剛性部材に接合されるので、衝突検知センサを締結している締結具を第1連結ステーで保護することができ、締結具が緩んで衝突検知センサが脱落するのを防止できる。しかも、簡単な構成で実現できるので部品点数が増加することもない。
【0015】
請求項4の発明によれば、ブラケットは、衝突検知センサの後端部より後方に延びる延出部を備えたので、衝突検知センサがシュラウドアッパーに接触したりするのを防止でき、衝突検知センサを保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の衝突検知センサの取付構造は、シュラウドアッパーの中央部分とバンパーレインフォースメントとを連結する連結ステーを備え、シュラウドアッパーに連結ステーが連結される連結部の近傍に衝突検知センサを取付ける構造であって、シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、その車載機器の左右両側方の一方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを上下1対の連結部により連結すると共にその上側連結部の近傍に衝突検知センサが取付けられる第1連結ステーと、車載機器の左右両側方の他方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを連結する第2連結ステーとを設け、第1連結ステーと第2連結ステーとを連結する剛性部材を設けたものである。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動車の車体前部1には、前後方向に延びる1対のフロントサイドフレーム(図示略)が設けられ、これらフロントサイドフレームの前端にはクラッシュカン3が夫々固定され、左右1対のクラッシュカン3の前端に車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント4が固定的に連結され、左右のフロントサイドフレーム及びクラッシュカン3に、合成樹脂製の矩形枠状のシュラウド5が支持されて固定されている。
【0018】
前記フロントサイドフレームの前端のフランジ部材2にクラッシュカン3が固定されている。バンパーレインフォースメント4は左右方向に延びるハット形断面形状に構成されている。シュラウド5は正面視にて矩形枠状でほぼ鉛直姿勢に配置され、シュラウド5は1対のクラッシュカン3の間にバンパーレインフォースメント4の後側近く(エンジンルームの前端部)に配置されている。
【0019】
フランジ部材2はクラッシュカン3の後端部において上下左右に張出す鉛直板状に形成されている。クラッシュカン3は角筒状に形成され、車両衝突時にバンパーレインフォースメント4を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形して潰れることで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るようなサイズ、形状に構成されている。シュラウド5は、シュラウドアッパー6と、シュラウドロア7と、左右1対のシュラウドサイド8とで矩形枠状に一体的に形成されている。シュラウド5は、ラジエータとコンデンサーの全周を囲繞して保持可能に構成されている。
【0020】
図1、図3、図4に示すように、シュラウドアッパー6と左右のシュラウドサイド8とを連結して補強する1対の斜材10が設けられている。シュラウドアッパー6とシュラウドロア7の中央部分において、シュラウドアッパー6とシュラウドロア7を連結する左右1対のシュラウドステー11が設けられ、シュラウド5の剛性確保が図られている。
各シュラウドステー11は上下に細長い鋼製部材であり、このシュラウドステー11の上端には側面視L字形のブラケット12がリベット15やボルトにて固定され、このブラケット12は前方から締結されるボルト13とナット14とでシュラウドアッパー6の下端部に固定されている。シュラウドステー11の下端部はシュラウドロア7に前記と同様にボルト締結される。
【0021】
図1、図3、図4に示すように、シュラウドアッパー6の中央部の下方近傍には、ミリ波レーダー20が配設されている。このミリ波レーダー20は、前方の車両などの障害物までの距離や相対速度を検知するものである。ミリ波レーダー20のケースは直方体状に形成され、ケースの4隅には固定片20aが形成されている。このミリ波レーダー20を取り付ける為、左右1対のシュラウドステー11の上部の前面にわたる取付け板9が設けられ、この取付け板9の左右両端部がボルト17とナット17aにより左右のシュラウドステー11に夫々固定され、この取付け板9の3つの取付け部には夫々前方向きの位置調節用ボルト20bが設けられ、これらボルト20bによりミリ波レーダー20のケースの3つの固定片20aが前後方向位置調節自在にボルト結合されている。
【0022】
次に、衝突検知センサ31を取付ける取付構造と、これに関連するシュラウド等の周辺構造について説明する。衝突検知センサ31は、車両の衝突時にエアバッグを展開させる為に衝突を検知する為のものである。図1、図3に示すように、バンパーレインフォースメント4の中央部分の左右部位の後端部には、左右1対のフランジ部18,19が形成されている。図4に示すように、シュラウドアッパー6の後側には、前開き方式のフード(ボンネット)をロックする為のフードロック21がブラケット22を介して設けられ、そのブラケット22は剛性部材34をシュラウドアッパー6に取付ける為のボルト44,45とナット44a,45aにより固定されている。
【0023】
図1〜図6に示すように、シュラウド5の中央部分の前側において、ミリ波レーダー20の左右両側の位置には、鋼板製の第1,第2連結ステー32,33がほぼ縦向きに配設されると共に、第1,第2連結ステー32,33の上端部分を一体的に連結する鋼板製の剛性部材34が配設されている。第1連結ステー32の上端部分の後面には衝突検知センサ31が取付けられるブラケット39が設けられている。
【0024】
第1連結ステー32の水平断面はフランジ付きの溝形であり、第1連結ステー32は、ミリ波レーダー20の右側方に配設されている。第1連結ステー32の上半分は剛性アップのため上方ほど広幅に形成され、第1連結ステー32の下半分は下方ほど前方移行するようにやや傾斜状に構成されている。第1連結ステー32の上端部分には左右1対のフランジ部32a,32bが形成され、フランジ部32aには第1連結ステー32を剛性部材34に位置決めする為の位置決め用の穴32cが形成されている。第1連結ステー32の下端部にはバンパーレインフォースメント4のフランジ部18に連結する為のボルト穴32dが形成され、第1連結ステー32の下端部がフランジ部18の後面に前方から通して締結されるボルト40とナット40aとで固定されている。
【0025】
図1〜図6に示すように、第2連結ステー33の水平断面はフランジ付きの溝形であり、第2連結ステー33はミリ波レーダー20の左側方に配設されている。第2連結ステー33の上半分は剛性アップのため上方ほど広幅に形成され、第2連結ステー33の下半分は下方ほど前方移行するようにやや傾斜状に構成されている。第2連結ステー33の上端部分には左右1対のフランジ部33a,33bが形成され、フランジ部33aには第2連結ステー33を剛性部材34に位置決めする為の位置決め用の穴33cが形成され、第2連結ステー33の下端部にはバンパーレインフォースメント4のフランジ部19に連結する為のボルト穴33dが形成され、第2連結ステー33の下端部がフランジ部19の後面に前方から通して締結されるボルト41とナット41aとで固定されている。
【0026】
剛性部材34は、第1,第2連結ステー32,33の上端部分を一体的に連結するものであり、この剛性部材34を介して第1,第2連結ステー32,33の上端部分がシュラウドアッパー6に固定されている。剛性部材34は、前方に張出す張出部35と、張出部35から左右に延びる1対の連結板部36,37とを有する。剛性部材34の左右両端部分以外の部分は、シュラウドアッパー6の前面に密着する形状に形成されている。張出部35と連結板部36,37との連結部分には補強用ビード38が夫々形成されている。
連結板部36,37の上端部には、シュラウドアッパー6の係合部6aに係合する鉤状の係合部36a,37aが夫々形成されている。連結板部36,37の上端部分には、第1,第2連結ステー32,33を剛性部材34に組付ける際の位置決め用の穴36b,37bとボルト穴36c,37cが夫々形成されている。
【0027】
第1連結ステー32を剛性部材34に固着する際、第1連結ステー32の位置決め用の穴32cと連結板部36の位置決め用の穴36bとを一致させた状態でフランジ部32a,32bを剛性部材34の連結板部36と、後述のブラケット39に夫々溶接接合する。 第2連結ステー33を剛性部材34に固着する際、第2連結ステー33の位置決め用の穴33cと連結板部37の位置決め用の穴37bを一致させた状態でフランジ部33a,33bを剛性部材34の連結板部37に夫々溶接接合する。剛性部材34は、その左右のボルト穴36c,37cに通したボルトによりシュラウドアッパー6に固着されている。
【0028】
図2,図3,図5〜図8に示すように、第1連結ステー32の上端部分をシュラウドアッパー6に連結する上側連結部の近傍部には、ブラケット39を介して衝突検知センサ31が取り付けられている。第1連結ステー32の上端部分の後側には、ほぼボックス形のブラケット39が設けられ、衝突検知センサ31はブラケット39の後面側に配設され、ブラケット39の前面に固着されたナット42(締結具)に衝突検知センサ31のボルト43を後方から締結することで取付けられている。
【0029】
ブラケット39の上端部と下端部には後方へ所定長さ延びた延出部39aが形成され、ブラケット39の左端部には後方へ所定長さ延びたフランジ部39cが形成されいる。
両延出部39aは、ブラケット39に取付けられた衝突検知センサ31の後端部よりも後方に延びている。第1連結ステー32の広幅の上端部分は、衝突検知センサ31を取り付ける為のナット42を跨いでいる。第1連結ステー32の上端部分の左側のフランジ部32aフランジ部39cと共に剛性部材34の連結板部36の前面に溶接接合され、第1連結ステー32の上端部分の右側のフランジ部32bがブラケット39の前面に溶接接合され、第1連結ステー32の上端部分がナット42に接触しないようになっている。
また、第2連結ステー33の上端部分のフランジ部33a,33bは、剛性部材34の連結板部37の前面に溶接接合されている。
【0030】
次に、衝突検知センサ31の取付構造の作用、効果について説明する。
以上のように、シュラウドアッパー6の中央部の前側の下方近傍にミリ波レーダー20を配設した関係上、シュラウドアッパー6の中央部の前側に衝突検知センサ31を装備することができない。しかし、ミリ波レーダー20の左右両側にシュラウドアッパー6とバンパーレインフォースメント4とを連結する第1,第2連結ステー32,33を設け、これら第1,第2連結ステー32,33の上端部分を剛性部材34により一体的に連結し、右側の第1連結ステー32の上端部分をシュラウドアッパー6に連結する上側連結部の近傍部位に、衝突検知センサ31を取付けたため、車体前端部の右側に衝突荷重が作用した場合にも、車体前端部の左側に衝突荷重が作用した場合にも、衝突検知センサ31により応答遅れなしに衝突を確実に検知することができる。
【0031】
即ち、右側に衝突荷重が作用した場合には、バンパーレインフォースメント4から第1連結ステー32とブラケット39を介して衝突検知センサ31に確実に衝突荷重が伝搬するため、衝突検知センサ31により確実に検知することができる。左側に衝突荷重が作用した場合には、バンパーレインフォースメント4から第1連結ステー32を介して衝突荷重が衝突検知センサ31に伝達されることに加え、バンパーレインフォースメント4から第2連結ステー32と剛性部材34とブラケット39を介して衝突検知センサ31に確実に衝突荷重が伝搬するため、衝突検知センサ31により確実に検知することができる。こうして、衝突検知センサ31による衝突検知性能の低下を防止できる。
【0032】
第1,第2連結ステー32,33と剛性部材34は鋼板部材で構成され、これらが溶接接合により一体的に構成されたので、シュラウドアッパー6とバンパーレインフォースメント4に対して取付ける構造を簡単にすることができる。ブラケット39の後側であって、ブラケット39の延出部39a,39bとフランジ部39cとで囲繞される部位に衝突検知センサ31を取付けるため、衝突検知センサ31を保護する保護性能を高めることができる。
【0033】
衝突検知センサ31は、ブラケット39の前面に固定したナット42にブラケット39の後方から取付けボルト43を締結することで取付けられ、第1連結ステー32の上端部分は、ナット42を跨ぐようにブラケット39と剛性部材34に接合されるので、衝突検知センサ31を締結しているナット42を第1連結ステー32で保護することができるうえ、ナット42が緩むこともなく、衝突検知センサ31の取付け状態を安定的に維持することができる。
【0034】
しかも、ブラケット39は衝突検知センサ31の後端部より後方に延びる延出部39a,39bを備えたので、組付け時などに衝突検知センサ31にシュラウドアッパー6やたの部材が接触するのを防止でき、衝突検知センサ31の破損を防止できる。
【0035】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]シュラウドアッパー6の中央部の下方近傍に配設される車載機器は、ミリ波レーダー20以外の他の車載機器(例えば、モニターカメラ等)であってもよい。
2]第2連結ステー33の上側連結部の近傍部位に衝突検知センサ31を設けてもよいが、前記の衝突検知センサ31の取付け構造と左右対称の構造となるので、詳しい説明は省略する。
【0036】
3〕前記ブラケット39を省略し、剛性部材34の右端部分を、第1連結ステー32の後方に対応する位置まで延長して、そこにブラケット39に相当する部分を形成して衝突検知センサ31を取り付けてもよい。その他、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更された種々の形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例に係るシュラウウドとバンパーレインフォースメント等の斜視図である。
【図2】図1の衝突検知センサの取付ける取付け構造の要部の拡大斜視図である。
【図3】図1のIII −III 線断面図である。
【図4】左右のシュラウドステーとミリ波レーダーの斜視図である。
【図5】第1,第2連結ステーと剛性部材とブラケット等の斜視図である。
【図6】第1,第2連結ステーと剛性部材とブラケット等の背面図である。
【図7】衝突検知センサを取付ける取付構造の平面図である。
【図8】図1のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
【0038】
4 バンパーレインフォースメント
6 シュラウドアッパー
20 ミリ波レーダー
31 衝突検知センサ
32,33 第1,第2連結ステー
34 剛性部材
39 ブラケット
39a 延出部
42 ナット
43 取付けボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュラウドアッパーの中央部分とバンパーレインフォースメントとを連結する連結ステーを備え、シュラウドアッパーに連結ステーが連結される連結部の近傍に衝突検知センサを取付ける構造であって、
前記シュラウドアッパーの中央部の下方近傍に衝突検知センサ以外の車載機器が配設され、その車載機器の左右両側方の一方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを上下1対の連結部により連結すると共にその上側連結部の近傍に衝突検知センサが取付けられる第1連結ステーと、
前記車載機器の左右両側方の他方にシュラウドアッパーとバンパーレインフォースメントとを連結する第2連結ステーとを設け、
前記第1連結ステーと第2連結ステーとを連結する剛性部材を設けたことを特徴とする衝突検知センサの取付構造。
【請求項2】
前記第1連結ステーと第2連結ステーと剛性部材は鋼板部材で構成され、溶接接合により一体的に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の衝突検知センサの取付構造。
【請求項3】
前記第1連結ステーの上端部分に一体的に接合され且つ衝突検知センサが取付けられるブラケットを設け、前記衝突検知センサは、ブラケットの前面に固定された締結具にブラケットの後方から取付けボルトを締結することで取付けられ、
前記第1連結ステーの上端部分は、締結具を跨ぐようにブラケットと剛性部材に接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝突検知センサの取付構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、衝突検知センサの後端部より後方に延びる延出部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の衝突検知センサの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−30534(P2007−30534A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212192(P2005−212192)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】