説明

衝突被害軽減装置

【課題】車両、特に大型車の周囲に衝突する衝突対象物への被害を軽減することができるようにした、衝突被害軽減装置を提供する。
【解決手段】車両1の周囲に装着され、車両1への衝突を検出するタッチセンサ11と、車両1の周囲に設けられ、車両1に衝突した磁性を有する衝突対象物20を車両1の周囲に吸着する電磁石10と、電磁石10の磁力の発生を制御し、衝突対象物20の吸着と非吸着とを切り替える制御手段14と、を備える。
制御手段14は、タッチセンサ11により車両1への衝突が検出されたら、電磁石10に一時的に磁力を発生させて衝突対象物20の吸着状態を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特にトラックのような大型車に、小型車両や二輪車等の衝突対象物が側方や後方から衝突した場合に、これらの衝突対象物の巻き込みや潜り込みによる被害を軽減する、衝突被害軽減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両同士の衝突時の被害を軽減するためのシステムや構造が提案されている。例えば、特許文献1に記載の車両構造は、車両同士の小オーバーラップ衝突時において、衝突対象物が車幅方向外側に相対的に滑って移動することを抑制する滑り抑制手段を備えており、これによりバンパリンフォースメントからサイドメンバに効率よく衝突荷重を伝達して、車室の変形を抑制している。この滑り抑制手段としては、突起部材や電磁石を含む構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−162344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の衝突の態様として、上記の特許文献1のように車両同士が正面から衝突するもの以外に、車両の側方や後方からの衝突により、他の車両や二輪車等の車体側方への巻き込みや、車体側方や後方からの潜り込み等がある。上記の特許文献1に記載の車両構造では、このような衝突に対してはその被害を軽減することができない。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、車両、特に大型車の周囲に衝突する衝突対象物への被害を軽減することができるようにした、衝突被害軽減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の衝突被害軽減装置は、車両の周囲に装着され、前記車両への衝突を検出するタッチセンサと、前記車両の前記周囲に設けられ、前記車両に衝突した磁性を有する衝突対象物を前記車両の前記周囲に吸着する電磁石と、前記電磁石の磁力の発生を制御し、前記衝突対象物の吸着と非吸着とを切り替える制御手段と、を備える。
また、前記制御手段は、前記タッチセンサにより前記車両への衝突が検出されたら、前記電磁石に一時的に磁力を発生させて前記衝突対象物の吸着状態を保持することを特徴としている。
【0006】
また、車両に装備されたブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を作動させるアクチュエータと、前記アクチュエータの作動を制御する前記制御手段とを有する自動ブレーキ装置をさらに備え、前記制御手段は、前記タッチセンサにより前記車両への衝突が検出されたら、前記アクチュエータを作動させることが好ましい。
また、前記車両の前記周囲に装着され、前記衝突対象物の前記車両への衝突時の衝撃を軽減する緩衝材をさらに備えることが好ましい。
【0007】
また、前記車両が大型車であり、前記車両の車体側方に設けられ、車長方向に延びる左右一対の鉄製のサイドガードをさらに備え、前記電磁石が、前記サイドガードの周囲に導線を巻きつけることにより構成されていることが好ましい。
また、前記車両が大型車であり、前記車両の車体後方に設けられ、車幅方向に延びる鉄製のリヤアンダランプロテクタをさらに備え、前記電磁石が、前記リヤアンダランプロテクタの周囲に導線を巻きつけることにより構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両の衝突被害軽減装置によれば、タッチセンサにより車両への衝突が検出されたら、車両の周囲に設けられた電磁石の磁力により衝突対象物を車両の周囲へ吸着させるため、衝突対象物の車体下部への潜り込みや、衝突対象物の車体側方への巻き込みを防止することができ、衝突対象物への被害を軽減することができる。
また、自動ブレーキ装置を備えている場合、車両と衝突対象物とが衝突したら車両に自動ブレーキがかかるため、衝突してから停止するまでの被害を軽減することができる。
【0009】
また、車両の周囲に緩衝材を装着している場合、衝突時の衝撃を吸収して軽減することができるため、衝突時の被害をさらに軽減することができる。
また、電磁石が、もともと車両に設けられているサイドガードやリヤアンダランプロテクタを利用して構成することにより、装置構成を簡素化することができ、コスト増を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる衝突被害軽減装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる衝突被害軽減装置の全体構成を示す模式的な概略図であり、図2(a)はその側面図、図2(b)はその背面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる衝突被害軽減装置の要部構成を示す模式的な部分拡大図であり、図3(a)はその斜視図、図3(b)は断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる衝突被害軽減装置の動作を説明する制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.構成]
[1−1.全体構成]
以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
【0012】
本実施形態にかかる衝突被害軽減装置は、様々な自動車(車両)に適用可能であるが、特に、大型車の場合は、一般車両よりも他の小型車両や二輪車、自転車等の車体側方への巻き込みや車体下部への潜り込みが発生する可能性が高いため、ここでは、車側下部がボディパネルで覆われていないトラックに適用した例で説明する。なお、以下、トラックの進行方向を前方とし、前方を基準に左右を定め、重力の方向を下方として説明する。
【0013】
図2(a)及び図2(b)に示すように、トラック(車両)1は、車両本体2の進行方向後方にバンボディ4を架装した貨物用車両であり、車両本体2は、運転席を有するキャビン3や、エンジンやシャーシ(いずれも図示略)等を備えて構成されている。バンボディ4は、車両本体2のシャーシ上に取り付けられており、後方の開口を開閉するリヤドア5が設けられている。キャビン3の下方には左右一対の前輪6が設けられ、バンボディ4の下方には左右一対の後前輪7aと後後輪7bが設けられている。
【0014】
トラック1は、バンボディ4の下方に、車体側方から車体下部への潜り込みを防止するための左右一対のサイドガード8と、車体後方から車体下部への潜り込みを防止するためのリヤアンダランプロテクタ9とを備えている。
サイドガード8は、車体側方であって前輪6と後前輪7aとの間に位置し、車長方向(前後方向)に延びる鉄製の3本のサイドバー8aと、サイドバー8aを車両本体2に支持する複数のサイドステー8bとから構成されている。ここでは、サイドバー8aは、図3(b)に示すように、断面正方形の棒状の部材で形成されている。なお、サイドバー8aの形状はこれに限られず、例えば断面円形や板状であってもよく、中実のものが好ましい。また、サイドバー8a及びサイドステー8bの数はこれに限られない。また、サイドガード8は後後輪7bの後方にも設けられていてもよい。
【0015】
リヤアンダランプロテクタ9は、後方のリヤドア5の下方であって、サイドガード8と略同じ高さに位置し、車幅方向(左右方向)に延びる鉄製のリヤバー9aと、リヤバー9aを車両本体2に支持する2本のリヤステー9bとから構成されている。リヤバー9aは、板状の部材で形成されている。なお、リヤバー9aの形状はこれに限られず、例えば断面円形や断面正方形の棒状の部材であってもよく、中実のものが好ましい。また、リヤバー9a及びリヤステー9bの数はこれに限られない。
【0016】
本実施形態にかかる衝突被害軽減装置は、これらサイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9を利用して構成される。
【0017】
[1−2.衝突被害軽減装置の構成]
図1に示すように、衝突被害軽減装置は、トラック1に装備されたコントローラ(制御手段,ECU)14の機能要素の1つである衝突制御用ECU14aと、トラック1の周囲に装着され、トラック1への衝突を検出するタッチセンサ11と、トラック1の周囲に設けられた電磁石10とを有する。さらに、衝突被害軽減装置は、電磁石10へ電流を供給するためのバッテリ15と、トラック1の車速を検出する車速センサ16と、衝突被害軽減装置の作動を解除するための解除スイッチ17と、自動ブレーキ装置30とを有して構成されている。
【0018】
自動ブレーキ装置30は、コントローラ14の機能要素の1つである自動ブレーキ用ECU14bと、トラック1に装備されたブレーキ機構19と、ブレーキ機構19を作動させるエア圧式のアクチュエータ18とから構成され、タッチセンサ11によりトラック1への衝突が検出されると、自動ブレーキ用ECU14bはアクチュエータ18を作動させて自動ブレーキを作動させるように制御する。なお、アクチュエータ18はエア圧式に限られず油圧等の他の流体圧式や、例えば電気式のアクチュエータを利用して、ブレーキ装置の油圧回路とは別個に各車輪のブレーキを直接的に作動させるように構成してもよい。
【0019】
コントローラ14は、ブレーキ制御や衝突被害軽減制御等にかかる各種演算処理を実行するCPU、ブレーキ制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート等を備えて構成されている。コントローラ14の入力側には、タッチセンサ11や車速センサ16等の各種センサ類やバッテリ15及び解除スイッチ17が接続されている。
【0020】
解除スイッチ17は、例えば、運転席付近に装備された図示しないコンソール上に設けられ、ドライバの操作により衝突被害軽減装置の作動を解除するスイッチである。解除スイッチ17が操作されると、コントローラ14に解除信号が送信され、衝突被害軽減装置による制御が解除される。なお、解除スイッチ17は、ドライバが容易に操作できる位置であれば、コンソール上に設けられていなくてもよい。
【0021】
一方、コントローラ14の出力側には、ブレーキ機構19を作動させるアクチュエータ18が接続されている。ブレーキ機構19は、例えば、ドライバのブレーキ操作に応じてエア圧を利用して各車輪に制動力を発生させるフルエア式のドラムブレーキ等の一般的な構成となっている。また、アクチュエータ18は、ドライバによるブレーキ操作とは別に自動ブレーキ用ECU14bからの指令に基づき、自動ブレーキとして各車輪に任意の大きさのブレーキを発生させることができるように構成されている。
【0022】
また、コントローラ14の出力側には、トラック1に衝突した磁性を有する衝突対象物(例えば、車両や二輪車や自転車等)20をトラック1の周囲に吸着するための電磁石10が接続されている。衝突制御用ECU14aは、タッチセンサ11によりトラック1への衝突が検出されたら、バッテリ15の電力を利用して電磁石10に電流を流し、一時的に磁力を発生させて磁性を有する衝突対象物20を吸着し、吸着状態を保持するように制御する。
【0023】
また、衝突が検出されない場合及びトラック1が走行していない場合は、電磁石10に磁力が発生しないように制御する。つまり、衝突制御用ECU14aは、衝突対象物20の吸着と非吸着とを切り替える。なお、磁性を有する衝突対象物20とは、例えば車体全体が強磁性体金属製の車両や、非金属製の車体の内部や一部に金属製の磁性を有する部分を含むもの等を意味する。
【0024】
次に、電磁石10の構成について、図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。本実施形態では、車体側方のサイドガード8及び車体後方のリヤアンダランプロテクタ9のいずれも電磁石として構成され、車体側方及び後方のいずれからの衝突にも対応できるようになっている。図3(a)及び図3(b)では、例としてサイドガード8について説明する。なお、リヤアンダランプロテクタ9についても、サイドガード8と同様に構成されている。
【0025】
図3に示すように、電磁石10は、鉄製のサイドガード8のサイドバー8aを芯として、その周囲に導線13が複数回巻きつけられて構成されている。本実施形態にかかる衝突被害軽減装置は、衝突制御用ECU14aから導線13に電流を流すことにより、サイドガード8を磁力を有する電磁石にして、磁性を有する衝突対象物20をサイドガード8に吸着させる。なお、解除スイッチ17がドライバにより操作されると、導線13への通電が中止され、サイドガード8での磁力の発生を中止する。
【0026】
導線13を巻きつけたサイドバー8aの車体外側の面には、緩衝材12が装着されており、さらにその緩衝材12にはテープ式のタッチセンサ11が装着されている。緩衝材12は、トラック1の周囲(ここではサイドガード8の車体外側の面)に装着され、衝突対象物20のトラック1への衝突時の衝撃を吸収し軽減する部材であり、例えば、気泡緩衝材やゴムやゲル等の弾力性のある部材で形成されている。なお、ここでは、緩衝材12は、サイドバー8aの車体外側の面に沿って車長方向に延びて装着されている。
【0027】
タッチセンサ11は、サイドバー8aに装着された緩衝材12の車体外側の面に装着されており、トラック1へ衝突対象物20が衝突したことを検出する。タッチセンサ11はコントローラ14の入力側に接続されており、タッチセンサ11による検出結果はコントローラ14へ送られる。なお、本実施形態で用いられるタッチセンサは一般的なものであるため、詳細な構成についての説明は省略する。また、タッチセンサはテープ式のものに限られない。
【0028】
[2.作用,効果]
本実施形態にかかる衝突被害軽減装置は上述のように構成されているので、衝突被害軽減制御は、図4のフローチャートに従って所定周期tで繰り返し実施することができる。下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。なお、タッチセンサ11や車速センサ16等のセンサ類による検出は常時行っている。また、図4のフローチャートは、トラック1が走行中の場合〔例えば、車速Vが走行判定閾値V0以上(V≧V0)〕にのみ実施される。
【0029】
図4に示すように、まず、ステップS10において、フラグFが0であるか否かを判定する。スタート時ではフラグF=0であるため、最初はYESルートとなりステップS20へ進む。ステップS20では、タッチセンサ11によってトラック1への衝突が検出されたか否かを判定する。衝突が検出されない場合は、何ら問題ないためフラグFを0のままにし(ステップS90)、リターンする。一方、タッチセンサ11により衝突が検出されたら、自動ブレーキを作動させ(ステップS30)、電磁石10に電流を流してサイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9に磁力を発生させる(ステップS40)。
【0030】
ステップS50において、ドライバによる解除スイッチ17の操作がされていないか否かを判定する。ドライバの判断により衝突被害軽減制御が解除された場合は、フラグFを0のままにして(ステップS90)、リターンする。一方、解除スイッチ17の操作がされていない場合は、トラック1が停止したか否か判定し(ステップS60)、未だトラック1が停止していなければ、フラグFを1として(ステップS80)、リターンする。一方、トラック1が停止していれば、電磁石10への通電を停止し、サイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9での磁力発生を停止させ(ステップS70)、終了する。
【0031】
リターンして再び制御ロジックがスタートしたときは、フラグFが0の場合はステップS20の判定へ進む。また、フラグFが1に設定されている場合は、ステップS10からNOルートに進み、ステップS60の判定に進む。
すなわち、トラック1の側方から小型車両や二輪車等の磁性を有する衝突対象物20が衝突した場合は、サイドガード8に装着されたタッチセンサ11が衝突を検出し、コントローラ14の自動ブレーキ用ECU14bにより自動ブレーキが作動するとともに、衝突制御用ECU14aにより導線13に電流が流れサイドガード8が電磁石10となる。そして、トラック1に衝突した衝突対象物20をサイドガード8に吸着させ、車体下部への潜り込みや、車体側方への巻き込みを防ぐ。トラック1が停止したら、導線13への通電を停止させて電磁石10の磁力を解除し、衝突対象物20の吸着を解除する。
【0032】
また、トラック1の後方から小型車両や二輪車等の磁性を有する衝突対象物20が衝突した場合、リヤアンダランプロテクタ9に装着されたタッチセンサ11が衝突を検出し、コントローラ14の自動ブレーキ用ECU14bにより自動ブレーキが作動するとともに、衝突制御用ECU14aにより導線13に電流が流れ、リヤアンダランプロテクタ9が電磁石10となる。そして、トラック1に衝突した衝突対象物20をリヤアンダランプロテクタ9に吸着させ、車体下部への潜り込みを防ぐ。トラック1が停止したら、導線13への通電を停止させて電磁石10の磁力を解除し、衝突対象物20の吸着を解除する。
【0033】
したがって、本実施形態にかかる衝突被害軽減装置によれば、走行中にタッチセンサ11によりトラック1への衝突が検出されたら、トラック1の側方及び後方に設けられた電磁石10の磁力により衝突対象物20をトラック1のサイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9へ吸着させることができるため、衝突対象物20の車体下部への潜り込みを防止することができる。また、トラック1の車体側方に衝突対象物20を吸着することができるため、トラック1の右左折時等に車体側方への巻き込みも防止することができる。したがって、衝突対象物20への被害を軽減することができる。
【0034】
また、衝突被害軽減装置に自動ブレーキ装置30を包含して設けることにより、衝突してから停止するまでの被害をより軽減することができる。また、トラック1の周囲に緩衝材12を装着することにより、衝突対象物20の被害をさらに軽減することができる。
また、電磁石10を、もともとトラック1に装備されているサイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9を利用して構成することにより、装置を簡素化することができ、コスト増を抑制することができる。
【0035】
[3.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上記実施形態では、サイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9のいずれにも導線13を巻きつけ、電磁石10として構成したが、サイドガード8及びリヤアンダランプロテクタ9のいずれか一方のみを電磁石10として構成してもよい。また、サイドガード8やリヤアンダランプロテクタ9の全部を電磁石10として構成しなくてもよく、部分的に導線13を巻きつけて電磁石10としてもよい。
【0036】
また、もともとトラック1に装備されているサイドガード8やリヤアンダランプロテクタ9を利用せずに、電磁石10′を別個に装着してもよい。この場合、車両の側方及び後方のみでなく、前方にも電磁石10′を装着して、車両全周に設けてもよい。
また、電磁石10の磁力の大きさは、導線13の巻き数や導線13に流す電流の大きさや鉄芯の断面積の大きさ等を変更することにより適宜変更可能である。
【0037】
また、解除スイッチ17は設けられていなくてもよい。また、上記実施形態では、トラック1に適用した例で説明したが、車両はトラックに限られず、また、大型車にも限られない。
【符号の説明】
【0038】
1 トラック(車両)
8 サイドガード
9 リヤアンダランプロテクタ
10,10′ 電磁石
11 タッチセンサ
12 緩衝材
13 導線
14 コントローラ(制御手段,ECU)
14a 衝突制御用ECU
14b 自動ブレーキ用ECU
18 アクチュエータ
19 ブレーキ機構
20 衝突対象物
30 自動ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に装着され、前記車両への衝突を検出するタッチセンサと、
前記車両の前記周囲に設けられ、前記車両に衝突した磁性を有する衝突対象物を前記車両の前記周囲に吸着する電磁石と、
前記電磁石の磁力の発生を制御し、前記衝突対象物の吸着と非吸着とを切り替える制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記タッチセンサにより前記車両への衝突が検出されたら、前記電磁石に一時的に磁力を発生させて前記衝突対象物の吸着状態を保持する
ことを特徴とする、衝突被害軽減装置。
【請求項2】
前記車両に装備されたブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を作動させるアクチュエータと、前記アクチュエータの作動を制御する前記制御手段とを有する自動ブレーキ装置をさらに備え、
前記制御手段は、前記タッチセンサにより前記車両への衝突が検出されたら、前記アクチュエータを作動させる
ことを特徴とする、請求項1記載の衝突被害軽減装置。
【請求項3】
前記車両の前記周囲に装着され、前記衝突対象物の前記車両への衝突時の衝撃を軽減する緩衝材をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の衝突被害軽減装置。
【請求項4】
前記車両が大型車であり、
前記車両の車体側方に設けられ、車長方向に延びる左右一対の鉄製のサイドガードをさらに備え、
前記電磁石が、前記サイドガードの周囲に導線を巻きつけることにより構成されている
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突被害軽減装置。
【請求項5】
前記車両が大型車であり、
前記車両の車体後方に設けられ、車幅方向に延びる鉄製のリヤアンダランプロテクタをさらに備え、
前記電磁石が、前記リヤアンダランプロテクタの周囲に導線を巻きつけることにより構成されている
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝突被害軽減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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