説明

衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システム

【課題】通信範囲内に多数の車両が存在しても円滑な通信を行うことができる衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システムの提供。
【解決手段】車両が所定の範囲に進入した場合に車両の走行状況を示す走行情報を受信し、または車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を所定の範囲に進入した他車両に送信する路側通信部と、交差点情報と、車両が交差点に進入した場合に車両同士が衝突の可能性を判定する衝突可能性判定条件とを記憶する路側記憶部と、路側通信部が車両から走行情報を受信した場合に、受信した走行情報と、道路情報と、交差点情報とに基づいて車両が進入した交差点を特定し、受信した走行情報と衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した交差点において車両が他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、車両が他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ判定結果を出力する衝突可能性判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点などにおいて車両の衝突を防止する衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路交通における車両の安全運転の支援や、道路交通の効率化を目指して、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)が広く普及している。
【0003】
ITSでは、車両の安全運転を支援するサービスのひとつとして、無線通信装置を搭載した車両が、走行路側に設置された路側通信局や無線通信装置搭載の車両から、周囲の車両位置や道路状況などの交通情報を受信し、車両同士の交通衝突事故を回避するための警告等をドライバに行うことによって、車両同士の衝突を防止するサービスが検討されている。
【0004】
このサービスは、車両に搭載された車載無線装置は、定期的に、自車両の位置や、移動方向、あるいは速度などの車両走行情報を測定し、定期的に車両走行情報パケットを送信するものである。周囲の車両は、車両走行情報パケットを受信することによって、自車両以外の周囲の車両との衝突可能性を判断し、車両同士の衝突事故を防止するものである。
【0005】
しかしながら、車両無線通信装置が、他の車両無線通信装置との間で直接通信を行うことができないような場合、例えば、互いに見通しが効かないような交差点に車両が位置する場合などにおいては、車両同士の出会い頭の衝突事故を防止するためには、交差点の全方向の進入路に対して車両走行情報パケットの送受信が可能な位置に路側通信装置を設置し、警告等を通知する必要がある。
【0006】
例えば、特許文献1では、路側通信装置が、交差点の全方向の進入路に向けて定期的にパケットを送出すると、その交差点に進入しようとする車両の車載無線装置はそのパケットを受信すると、路側通信装置に対して自車両と他車両とを識別する符号を含むパケットを返信する。
【0007】
そして、路側通信装置は、車両から返信されたパケットを受け取り、その車両の進入許可を判定し、その判定結果をその車両の車載無線装置に送信する。その車両の車載無線装置は、路側通信装置から返信されたパケットを受け取り、判定結果を運転者に通知し、進入不可と判定されている場合、運転者に対して車両の停止をさせる表示、または注意を喚起する表示を行うことによって、交差点における車両の衝突を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−175896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、携帯電話などで用いられている基地局が制御を担うネットワーク方式と異なり、基地局を介さずに自律的にネットワークを形成することによって通信し、各車両の車両間通信装置が、自車両の位置、速度、および移動方向などの車両の走行状態を表す車両走行情報を、車両のIDとともに周辺のすべての他車両の車載無線通信装置と交換しているため、通信中にパケットの衝突が生じて通信が失敗する場合がある。
【0010】
無線通信を行う場合、通常は複数の無線通信装置間で無線チャネルを共有して通信するため、送信範囲内で情報を送信できることができるのは無線通信装置1台のみであり、他の送信範囲内にある無線通信装置は受信のみ行うことができる。そのため複数の無線通信装置が同時に通信行う場合、無線衝突といわれる信号の衝突現象が発生し、上述したような現象が生じる。
【0011】
ところで、CSMA/CA(Carrier-Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれる無線衝突回避技術においては、無線通信装置は、パケットを送信する前に、他の無線通信装置が通信を行っているかを検知し送信を一旦中止する。そして、無線通信装置は、あるランダムに決められた時間の間に待機した後、衝突現象が生じないようにパケットを再送信している。
【0012】
しかし、無線通信装置の台数が増加すると、再送信したパケットの通信待ちが頻発して通信の遅延や失敗が生じ、無線通信の品質が劣化したり、通信容量が減少してしまうという問題がある。ITSにおいては、車両の安全運転を支援するサービスを提供する目的で無線通信を行うため、通信範囲内に多数の車両が存在した場合であっても、円滑な通信を可能とすることが重視される。
【0013】
この点について、上述した特許文献1に記載された技術を用いて、衝突現象が生じる場合について説明する。通信範囲内にある車両の最大収容台数Nとする。ここで、路側通信装置の通信範囲内を路側通信ネットワークと定義すると、路側通信ネットワーク内の路側通信装置は、定期的に全方向に向けてパケットを定期的に送信する。パケットを受信した車両は、受信したパケットに対して自車両と他車両とを識別する符号を含むパケットを路側通信装置に返信する。そして、路側通信装置は、車両から返信されたパケットを受け取り、進入許可、または進入不許可を判定し、交差点に進入しようとする全車両に送信する。
【0014】
車両走行情報の送信時間Tsを求める場合、その送信周期Td、送信速度Vx、通信範囲内において通信する車両走行情報のデータ量Dxから、車両走行情報の送信時間Ts0=Dx/Vxが求められる。さらに、上述したCSMA/CA方式によって通信する場合、無線通信チャンネルが使用されているか否かを確認するために必要な時間と、送受信の切り替えに必要な時間との和Ts1が求められる。従って、パケットの送信時間は、Ts=Ts0+Ts1として求められる。したがって、通信範囲内の路側通信ネットワークに収容できる最大車両台数Nは、N=Td/Tsとして求められる。
【0015】
例えば、路側無線通信装置が、間隔を50msとしてパケットを定期的に送信した場合、その周辺の車両から返信される返信パケットと、その返信パケットに対する進入許可、または、進入不許可パケットを発生させるため、送信周期Tdはその半分の25msとなる。また、データ量Dxが1024bit(=パケット量12×8bit)であり、Vx=1Mbps、Ts0=0.01024ms、およびTs1=1msとした場合、最大収容可能台数Nは24台となる。
【0016】
しかしながら、例えば、路側通信装置が設置されている交差点周辺が渋滞に巻き込まれている場合などには、上述した最大収容可能台数を超えた多数の車両が存在することとなる場合があり、円滑な通信を行うことができないという問題があった。
【0017】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通信範囲内に多数の車両が存在する場合であっても、円滑な通信を行うことができる衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した目的を達成するために、本発明にかかる衝突防止装置は、路側に設置され、車両同士の衝突を防止するための衝突防止装置であって、車両が所定の範囲に進入した場合に前記車両の走行状況を示す走行情報を受信し、または前記車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する路側通信部と、少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報と、前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とを記憶する路側記憶部と、前記路側通信部が前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、前記道路情報と、前記交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記判定結果を出力する衝突可能性判定部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる衝突防止システムは、車両同士の衝突を防止する衝突防止システムであって、前記車両に搭載される車載通信装置は、自車両の走行状況を示す走行情報を検出する検出部と、前記走行情報を送信し、または前記自車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を受信する車両通信部と、車両通信部が受信した前記判定結果を表示する表示部と、を備え、路側に設置される衝突防止装置は、前記車両が所定の範囲に進入した場合に前記走行情報を受信し、または前記判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する路側通信部と、少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報と、前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とを記憶する路側記憶部と、前記路側通信部が前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、前記道路情報と、前記交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記判定結果を出力する衝突可能性判定部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記衝突防止装置で行われる衝突防止方法および衝突防止プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通信範囲内に多数の車両が存在する場合であっても、円滑な通信を行うことができる衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態における衝突防止システムが適用される場面の例を示すイメージ図である。
【図2】図1に示した衝突防止システムの全体構成を示すイメージ図である。
【図3】図2に示した路側通信装置の物理的な構成を示す図である。
【図4】路側通信装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図5】走行情報のパケット形式のフォーマットの例を示す図である。
【図6】道路DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図7】交差点DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図8】衝突可能性条件DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図9】ある交差点Cに進入した車両と交差点指定範囲との関係を示すイメージ図である。
【図10】車両DBのレイアウトの例を示す図である。
【図11】図2に示したITSセンタサーバの物理的な構成を示す図である。
【図12】ITSセンタサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
【図13】図2に示した車載通信装置の物理的な構成を示す図である。
【図14】車載通信装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図15】衝突防止システムが、ある交差点において車両から走行情報を受信し、衝突結果を送信するまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】ITSセンタサーバが、路側通信装置の各種DBを設定または更新するまでの処理の手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる衝突防止装置、衝突防止方法、衝突防止プログラム、および衝突防止システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態における衝突防止システム1000が適用される場面の例を示すイメージ図である。図1では、ある交差点Cを含む交差点範囲CAの中に、車両V1および車両V2が進入した場合の例を示している。図1に示すように、車両V1および車両V2は、交差点Cに対して互いに交差する方向(垂直)で、交差点Cに進入している。
【0025】
このとき、車両V1および車両V2は、路側通信装置100に対して自車両の位置、速度、移動方向等を含む走行状況を示す情報(以下、走行情報と呼ぶ。)を定期的に送信し、路側通信装置100は、これらの車両から送信された走行情報を分析して車両同士の衝突の可能性を判定し、衝突する可能性がある旨の結果(以下、衝突判定結果と呼ぶ。)を交差点範囲CAに進入した車両に送信する。その後、車両V1および車両V2では、路側通信装置100から受信した衝突判定結果を受信し、警告の表示等を行う。
【0026】
なお、衝突判定結果に代えて受信した走行情報を周辺に送信しても良い。この場合、受信した走行情報を分析して車両同士の衝突の可能性を判定し、衝突判定のある場合のみ走行情報を周辺の車両に送信する。走行車両を受信した車両は走行情報と自車両の走行情報から衝突を判定し、衝突判定結果をもとに警告の表示等を行う。
【0027】
図2は、図1に示した衝突防止システム1000の全体構成を示すイメージ図である。図2に示すように、衝突防止システム1000は、路側通信装置100と、ITSセンタサーバ200と、車両V1等に搭載されている車載通信装置300と、ネットワークNと、を含んで構成されている。
【0028】
路側通信装置100は、無線通信によって交差点範囲CAに進入した車両の走行情報を受信し、車両同士の衝突の可能性を判定するものである。路側通信装置100は、交差点Cに少なくとも1台以上配置されている。
【0029】
図3は、図2に示した路側通信装置100の物理的な構成を示す図である。図3に示すように、路側通信装置100は、記憶装置101と、CPU102と、メモリ103と、入出力インタフェース104と、バス105と、インフラネットワーク送受信部106と、無線送受信部107と、を含んで構成され、無線送受信部107には、アンテナ108が接続されている。
【0030】
なお、ネットワークNは、WAN(Wide Area Network)等の一般的な広域通信網である。また、アンテナ108は送受信兼用であり、アンテナ108が送信信号を出力している場合には、無線送受信部107によって送信用に切り替えられ、アンテナ108が受信信号を出力している場合には、無線送受信部107によって受信用に切り替えられるものとする。
【0031】
記憶装置101は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体であり、車両同士の衝突の可能性を判定するための各種の条件や、その条件にしたがって車両同士の衝突の可能性を判定するためのプログラムやパラメータ等を記憶する。記憶装置101が記憶する具体的な内容については、路側通信装置100の機能を説明する際にあわせて説明する。
【0032】
CPU102は、プロセッサ等の演算装置であり、車両同士の可能性を判定したり、その結果を車両に送信する。CPU102は、記憶装置101が記憶する種々のプログラムを読み出して、後述するメモリ103にロードし、ロードしたプログラムに記載された種々の命令に従って、後述する各種の処理を実行する。
【0033】
メモリ103は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置であり、上述したCPU102がロードしたプログラムや、プログラムが計算した結果等を一時的に記憶する。
【0034】
入出力インタフェース104は、インフラネットワーク送受信部106および無線送受信部107と、上述した記憶装置101、CPU102、メモリ103とを接続するインタフェースカードである。
【0035】
バス105は、記憶装置101、CPU102、メモリ103、および入出力インタフェース104を接続するものである。
【0036】
インフラネットワーク送受信部106は、NIC(Network Interface Card)等の通信媒体であり、ネットワークNを介して、後述するITSセンタサーバ200との通信を媒介する。
【0037】
無線送受信部107は、車両V1等との間でアンテナ108を介して走行情報を受信したり、CPU102が車両同士の衝突の危険性を判定した場合に、その結果の車両V1等への送信を媒介する。続いて、路側通信装置100の機能的な構成について説明する。
【0038】
図4は、路側通信装置100の機能的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、路側通信装置100は、通信処理部1100と、車両情報処理部1200と、を含んで構成されている。通信処理部1100および車両情報処理部1200は、図3に示したCPU102が実行する機能を示している。まず、通信処理部1100について説明する。
【0039】
通信処理部1100は、入出力インタフェース104を介して、インフラネットワーク送受信部106や無線送受信部107が車両V1やITSセンタサーバ200との間で通信を行った場合において、その通信された種々の情報をCPU102に取り込んだり、あるいは通信するために必要な情報を、入出力インタフェース104を介して、インフラネットワーク送受信部106や無線送受信部107に出力するものである。
【0040】
図4に示すように、通信処理部1100は、無線送受信部1101と、送受信部1102と、車両情報転送部1103と、車両走行情報受信処理部1104と、を含んで構成されている。
【0041】
無線送受信部1101は、無線送受信部107から受け取ったパケット形式の車両の走行情報を受信し、車両情報転送部1103および車両走行情報受信処理部1104に出力する。また、無線送受信部1101は、後述する車両情報転送部1103が出力した衝突判定結果や、車両情報転送部1103がパケット形式に変換した車両の走行情報を、入出力インタフェース104を介して無線送受信部107に出力する。
【0042】
図5は、走行情報のパケット形式のフォーマットの例を示す図である。図5に示すように、車両を一意に特定するための車両ID(Identifier)と、車両が位置する緯度を示す車両緯度情報1と、車両緯度情報1が北緯または南緯のいずれであるかを示す車両緯度情報2と、車両が位置する経度を示す車両経度情報1と、車両経度情報1が東経または西経のいずれであるかを示す車両経度情報2と、車両の位置を測位した時刻を示す測位時間と、車両の進行方向を示す車両進行方向情報と、車両の走行速度を示す車両走行速度情報と、を含んでいる。
【0043】
図5に示す例では、車両IDが「1000」として登録されている車両が、測位時間が「12:35:19.00」の時点では、「4807.038247」(北緯)、「01131.324523」(東経)の位置において、東経0度の方向から東経90度の方向(北向き)に60度の方向に、時速60kmで走行していることを示している。なお、図5に示した例では、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)で用いられているNMEA-0183フォーマット形式のGlobal Positioning System Fix Dataから抜き出した走行情報を記載しているが、このように車両の走行情報が得られるものであればその形式はいずれでもよい。続いて、図4に戻り、送受信処理部1102について説明する。
【0044】
送受信処理部1102は、インフラネットワーク送受信部106から受け取った交差点Cの規模や場所等の交差点に関する情報(以下、交差点情報と呼ぶ。)や、車両同士の衝突の可能性を判定するための条件(以下、衝突可能性判定条件と呼ぶ。)、あるいは交差点Cを構成する道路の場所や幅等の道路に関する情報(以下、道路情報と呼ぶ。)を、車両情報処理部1200に出力する。
【0045】
車両情報転送部1103は、無線送受信部1101から出力されたパケット形式の走行情報を後述する車両情報処理部1200が読み取り可能な形式に変換し、変換した走行情報を出力する。
【0046】
また、車両情報転送部1103は、車両情報処理部1200の衝突可能性判定部1201から出力された衝突判定結果をパケット形式に変換し、変換した後の衝突判定結果を無線送受信部1101に出力する。
【0047】
車両走行情報受信処理部1104は、無線送受信部1101から出力されたパケット形式の走行情報を後述する記憶部1300の車両DB1301のレイアウトに変換し、変換した走行情報を出力する。続いて、車両情報処理部1200について説明する。
【0048】
車両情報処理部1200は、図4に示したように、衝突可能性判定部1201と、車両DB更新部1202と、道路DB更新部1203と、衝突可能性判定条件更新部1204と、交差点DB更新部1205と、を含んで構成されている。
【0049】
衝突可能性判定部1201は、通信処理部1100の車両情報転送部1103から走行情報を受け取ると、受け取った走行情報(例えば、図1に示した車両V1の走行情報)とその走行情報以外の走行情報(例えば、図1に示した車両V2の走行情報)とを比較し、車両同士の衝突の可能性を判定し、衝突判定結果を車両情報転送部1103に出力する。
【0050】
具体的には、衝突可能性判定部1201は、車両情報転送部1103から受け取った走行情報と、記憶部1300に記憶される道路DB1302と、交差点DB1303と、衝突可能性条件DB1304とを参照し、衝突の可能性を判定する。
【0051】
図6は、道路DB1302に記憶される情報の例を示す図である。図6に示すように、道路DB1302には、道路を一意に特定するための道路IDと、道路の一端の緯度を示す道路緯度情報1Aと、道路緯度情報1Aが北緯または南緯のいずれであるかを示す道路緯度情報2Aと、道路の一端の経度を示す道路経度情報1Aと、道路経度情報1Aが北緯または南緯のいずれであるかを示す道路経度情報2Aと、道路の他の一端の緯度を示す道路緯度情報1Bと、道路緯度情報1Bが北緯または南緯のいずれであるかを示す道路緯度情報2Bと、道路の他の一端の経度を示す道路経度情報1Bと、道路経度情報1Bが北緯または南緯のいずれであるかを示す道路経度情報2Bと、優先道路であるか否かを示す優先情報と、道路の1車線あたりの幅を示す車線幅情報と、道路の車線の数を示す車線数情報と、これらのデータを道路DBに登録した時間を示す道路登録時間情報と、を含んでいる。
【0052】
図6に示す例では、道路IDが「1000」として登録されている道路の場所(位置)は、その一端が、北緯(道路緯度情報2Aが「N」)「4807.038247」、東経(道路経度情報2Aが「E」)「01131.324523」であり、道路の他の一端が、北緯(道路緯度情報2Bが「N」)「4807.038147」、東経(道路経度情報2Bが「E」)「01131.324423」であることを示している。さらに、この道路は優先道路であり(優先情報が「1」)、車線幅が3m(車線幅情報が「3」)、4車線(車線情報が「4」)であることを示している。そして、これらの情報が、道路DB1302に「12:35:19.00」に登録されたことを示している。
【0053】
これと同様に、道路IDが「1001」として登録されている道路の場所(位置)は、その一端が、北緯「4807.038248」、東経「01131.324524」に位置し、道路の他の一端が、北緯「4807.038047」、東経「01131.324324」であることを示している。さらに、この道路は非優先道路であり、車線幅が4m、2車線であることを示している。そして、これらの情報が、道路DB1302に「12:35:19.02」に登録されたことを示している。このように、道路は、2つの地点を結ぶ線分として定義されている。
【0054】
なお、道路の位置を示すために、走行情報と同様に、GPSで用いられているMNEA形式でその位置を示しているが、これらに代えて、例えば、地球を中心とする地心座標系等の座標系を用いて定義することとしてもよい。また、図6に示したように、道路をある2つの地点として定義するのではなく、2以上の複数の地点によって定義してもよい。さらに、優先情報を車線の数等によって定めず、例えば、工事情報等を受信して、その状況(進行許可の有無等)に応じて定めることとしてもよい。
【0055】
図7は、交差点DB1303に記憶される情報の例を示す図である。図7に示すように、交差点DB1303には、交差点を一意に特定するための交差点IDと、交差点の緯度を示す交差点緯度情報1と、交差点緯度情報1が北緯または南緯のいずれであるかを示す交差点道路緯度情報2と、交差点の経度を示す交差点経度情報1と、交差点経度情報1が北緯または南緯のいずれであるかを示す交差点経度情報2と、交差点を構成する道路を示す複数の道路IDと、これらのデータを交差点DBに登録した時間を示す交差点登録時間情報と、を含んでいる。
【0056】
図7に示す例では、交差点IDが「1600」として登録されている交差点は、北緯(交差点緯度情報2が「N」)「4807.038247」、東経(道路経度情報2が「E」)「01131.324523」の地点に位置し、その交差点は、道路IDが「1000」である道路と「1001」である道路から構成されていることを示している。そして、これらの情報が、交差点DB1303に「12:35:19.00」に登録されたことを示している。このように、交差点DB1303には、道路が交差する場合において、それらの道路が交差する、ある1つの地点として定義されている。
【0057】
また、図8は、衝突可能性条件DB1304に記憶される情報の例を示す図である。図8に示すように、衝突可能性条件DB1304には、衝突の条件を一意に特定するための条件IDと、その条件を適用する交差点を示す交差点IDと、その交差点における車両の速度の許容速度を示す車両車速閾値と、その条件を適用する交差点の範囲を示す交差点指定範囲と、これらのデータを衝突可能性条件DBに登録した時間を示す条件登録時間情報と、を含んでいる。
【0058】
図8に示す例では、条件IDが「2000」として登録されている条件は、交差点IDが「1600」である交差点において、車両が時速40km以上の速度で、交差点から半径20m以内の範囲に進入した場合に、車両同士が衝突する可能性があるとするものであり、これらの情報が、衝突可能性条件DB1304に「12:35:19.00」に登録されたことを示している。
【0059】
これと同様に、条件IDが「2001」として登録されている条件は、交差点IDが「1602」である交差点において、車両が時速30km以上の速度で、交差点から半径10m以内の範囲に進入した場合に、車両同士が衝突する可能性があるとするものであり、これらの情報が、衝突可能性条件DB1304に「12:35:19.01」に登録されたことを示している。
【0060】
図9は、ある交差点Cに進入した車両と交差点指定範囲との関係を示すイメージ図である。図9では、車両V11とV12とが優先道路R1を利用して交差点Cに進入した場合、交差点指定範囲はそれぞれCa1に示した範囲であり、車両V21とV22とが優先道路R2を利用して交差点Cに進入した場合、交差点指定範囲はそれぞれCa2に示した範囲であることを示している。
【0061】
より具体的には、図9に示した交差点Cが、図8に示した交差点IDが「1600」である交差点とした場合、交差点Cの交差点指定範囲Ca1およびCa2は、優先道路R1と非優先道路R2における車両V11等と車両V21等の進行方向の長さ(距離)「20m」となる。このように、交差点指定範囲は、交差点を起点として、その交差点を構成する道路上の、交差点とは反対方向のある位置までの範囲(交差点の手前の範囲)である。
【0062】
なお、図9に示した例では、交差点指定範囲は、道路上の範囲である前提で説明しているが、例えば、交差点C付近を中心とし、上述した車両V11等と車両V21等の進行方向の長さ(距離)を半径とした円のような交差点指定範囲CA等の他の形状であってもよい。後述するように、衝突可能性判定部1201は、この交差点範囲CA内に進入した交差点Cを構成すべての道路上の車両のうち、衝突の可能性がある車両についてのみ衝突判定結果を送信している。
【0063】
衝突可能性判定部1201は、上述した道路DB1302、交差点DB1303、衝突可能性条件DB1304を参照し、車両から受信した走行情報に含まれる車両緯度情報1や車両経度情報1、および車両進行方向情報等を読み取り、その車両が走行している道路とその向きを特定する。
【0064】
例えば、衝突可能性判定部1201は、受信した走行情報に含まれる車両緯度情報1や車両経度情報1、および車両進行方向情報等を読み取ると、読み取った車両緯度情報1および車両経度情報1と、道路DB1302に含まれる道路緯度情報1A、道路経度情報1A、道路緯度情報1B、道路緯度情報1B等とを比較する。そして、衝突可能性判定部1201は、車両緯度情報1および車両経度情報1が、これらの道路情報に含まれているか否かを判別し、これらの道路情報に含まれていると判別した場合に、車両がその道路を走行していると判定する。その後、衝突可能性判定部1201は、その道路の道路IDを特定するとともに、その道路が優先道路であるか否かを判定する。このように、優先道路であるか否かを判定する理由は、通常は、優先道路を走行して交差点に進入する車両のほうが、上述した車両車速閾値を越える場合が多く、衝突の危険性を引き起こす車両が非優先道路に比べて多いためである。
【0065】
その後、衝突可能性判定部1201は、特定した道路の道路IDをキーにして交差点DB1303を参照し、特定した道路を含む交差点の交差点IDを特定する。さらに、衝突可能性判定部1201は、特定した交差点IDを含む条件IDを、衝突可能性条件DB1304の中から特定し、特定した条件IDに対応する車両車速閾値と交差点指定範囲とを読み取る。
【0066】
そして、衝突可能性判定部1201は、走行情報を送信した車両が、交差点指定範囲に進入したか否かを判定し、さらに、その車両の速度が車両車速閾値を越えているか否かを判定し、その車両の速度が車両車速閾値を越えていると判定した場合、衝突判定結果を出力する。
【0067】
例えば、図5に示した車両ID「1000」の車両が、図5に示した位置および方向に自足60kmで走行している場合、その車両から受信した車両経度情報1、および車両進行方向情報等を含む道路ID「1000」の道路を特定する。
【0068】
そして、衝突可能性判定部1201は、特定した道路の道路ID「1000」をキーに交差点DB1303を参照し、交差点ID「1600」を特定する。さらに、衝突可能性判定部1201は、特定した交差点ID「1600」を含む条件ID「2000」を、衝突可能性条件DB1304の中から特定し、特定した条件IDに対応する車両車速閾値「40km」と交差点指定範囲「20m」とを読み取る。
【0069】
そして、衝突可能性判定部1201は、走行情報を送信した車両が、交差点指定範囲に進入したか否かを判定し、さらに、その車両の速度が車両車速閾値を越えているか否かを判定する。図5に示した走行情報を送信した車両は、車両車速閾値「40km」よりも速い時速60kmで走行しているため、車両の速度が車両車速閾値を越えていると判定し、衝突判定結果を出力する。
【0070】
その後、衝突可能性判定部1201は、交差点に進入しているすべての車両のうち、衝突の可能性のある車両を特定し、特定した車両にのみ衝突判定結果を送信させる情報(例えば、ヘッダ情報)を付加して出力する。衝突の可能性のある車両の具体的な特定方法としては、例えば、特開平7−104062号公報に開示されているように、車両速度と移動方向から未来の車両位置を推定して行うこととしてもよい。
【0071】
そして、出力された衝突判定結果は、車両情報転送部1103によってパケット形式に変換され、無線送受信部1101によって、交差点範囲にある車両に送信される。例えば、図7に示した交差点ID「1600」の交差点では、図5に示した道路ID「1000」の優先道路と、道路ID「1001」の非優先道路の交差点指定範囲にある車両のうち、衝突の可能性がある車両にのみ衝突判定結果を送信する。なお、衝突判定結果の代わりに受信した走行情報を周辺に送信しても良い。この場合、受信した走行情報を分析して車両同士の衝突の可能性を判定し、衝突判定のある場合のみ走行情報を周辺の車両に送信する。
【0072】
なお、以下の説明では、衝突可能性判定部1201は、車両から走行情報を受信する都度衝突判定結果を出力することとしているが、ある周期ごと(例えば、5分に1度)に衝突判定結果を出力することとしてもよい。続いて、図4に戻り、車両DB更新部1202について説明する。
【0073】
車両DB更新部1202は、車両走行情報受信処理部1104が出力した車両DB1301のレイアウトに変換された後の走行情報を車両DB1301に格納する。
【0074】
図10は、車両DB1301のレイアウトの例を示す図である。図10に示すように、走行情報と同様に、車両IDと、車両緯度情報1と、車両緯度情報1が北緯または南緯のいずれであるかを示す車両緯度情報2と、車両経度情報1と、車両経度情報1が東経または西経のいずれであるかを示す車両経度情報2と、車両の位置を測位した時刻を示す測位時間と、車両の進行方向を示す車両進行方向情報と、車両の走行速度を示す車両走行速度情報とを含み、さらに、これらのデータを車両DBに登録した時間を示す車両走行情報登録時間情報と、を含んでいる。図10に示す例では、図5に示した走行情報が、測位時間「12:35:19:00」に測位され、車両走行情報登録時間情報「12:35:19:01」に登録されたことを示している。
【0075】
なお、車両DB更新部1202は、走行情報に含まれる車両IDをキーに、既に同じ車両IDを含む走行情報が車両DBに登録されているか否かを判定し、既に同じ車両IDを含む走行情報が車両DBに登録されていると判定した場合、上述した各情報を上書き更新する。また、車両DB更新部1202は、定期的(例えば、1ヶ月に一度)に、車両DBに登録されている走行情報を削除するものとする。続いて、図4に戻り、道路DB更新部1203について説明する。
【0076】
道路DB更新部1203は、送受信処理部1102が出力した道路情報を、図6に示した道路DB1302に登録する。
【0077】
衝突可能性判定条件更新部1204は、送受信処理部1102が出力した衝突可能性判定条件を、図8に示した衝突可能性判定条件DB1304に登録する。
【0078】
交差点DB更新部1205は、送受信処理部1102が出力した交差点情報を、図7に示した交差点DB1303に登録する。
【0079】
なお、これらの交差点情報、衝突可能性判定条件、あるいは道路情報は、後述するように、ITSセンタサーバ200によって設定されるものである。
【0080】
記憶部1300は、車両DB1301と、道路DB1302と、交差点DB1303と、衝突可能性判定条件DB1304と、を含んで構成されている。これらの各DBの具体的な内容については、図6〜図8、及び図9を用いて既に説明しているので、ここではその説明を省略する。続いて、図2に戻り、ITSセンタサーバ200について説明する。
【0081】
図11は、図2に示したITSセンタサーバ200の物理的な構成を示す図である。図11に示すように、ITSセンタサーバ200は、記憶装置201と、CPU202と、メモリ203と、入出力インタフェース204と、バス205と、インフラネットワーク送受信部206と、入力装置207と、表示装置208と、を含んで構成されている。
【0082】
記憶部201は、後述する道路情報設定部2201、衝突可能性判定条件設定部2202、交差点情報設定部2203を機能させるためのプログラムやパラメータ等を記憶する。
【0083】
CPU202は、プロセッサ等の演算装置であり、記憶装置201が記憶する種々のプログラムを読み出して、後述するメモリ203にロードし、ロードしたプログラムに記載された種々の命令に従って、後述する各種の処理を実行する。
【0084】
メモリ203は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置であり、上述したCPU202がロードしたプログラムや、プログラムが計算した結果等を一時的に記憶する。
【0085】
入出力インタフェース204は、インフラネットワーク送受信部206と、上述した記憶装置201、CPU202、メモリ203とを接続するインタフェースカードである。
【0086】
バス205は、記憶装置201、CPU202、メモリ203、および入出力インタフェース204を接続するものである。
【0087】
インフラネットワーク送受信部206は、NIC(Network Interface Card)等の通信媒体であり、ネットワークNを介して、上述した路側通信装置100との通信を媒介する。
【0088】
入力装置207は、例えば、キーボードやマウスから構成され、道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報等の各種の情報の入力を受け付ける。これらの情報は、衝突防止システム1000の管理者等によって入力されるものとする。
【0089】
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイから構成され、入力装置207が管理者等からの上述した各種の情報の入力を受け付けた場合に、その内容を表示する。管理者等は、表示装置208に表示された内容を確認した上で、道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報等を路側通信装置100に送信することとなる。続いて、ITSセンタサーバ200の機能的な構成について説明する。
【0090】
図12は、ITSセンタサーバ200の機能的な構成を示すブロック図である。図12に示すように、ITSセンタサーバ200は、通信処理部2100と、情報設定部2200と、入力受付部2300と、表示部2400と、を含んで構成されている。通信処理部2100および車両情報処理部2200は、図11に示したCPU202が実行する機能を示している。まず、通信処理部2100について説明する。
【0091】
通信処理部2100(送受信処理部2101)は、入出力インタフェース204を介して、インフラネットワーク送受信部20が路側通信装置100との間で通信を行った場合において、道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報等を、入出力インタフェース204を介して、路側通信装置100に送信するインフラネットワーク送受信部206に出力する。また、通信処理部2100は、インフラネットワーク送受信部206を介して、路側通信装置100から更新情報(後述)にしたがって路側通信装置100の各種DBを更新した旨の確認情報を受信する。続いて、情報設定部2200について説明する。
【0092】
図12に示すように、情報設定部2200は、道路情報設定部2201と、衝突可能性判定条件情報設定部2202と、交差点情報設定部2203と、を含んで構成されている。
【0093】
道路情報設定部2201は、入力受付部2300が受け付けた道路情報をパケット形式に変換し、通信処理部2100に出力する。
【0094】
衝突可能性判定条件情報設定部2202は、入力受付部2300が受け付けた衝突可能性判定条件をパケット形式に変換し、通信処理部2100に出力する。
【0095】
交差点情報設定部2203は、入力受付部2300が受け付けた交差点情報をパケット形式に変換し、通信処理部2100に出力する。
【0096】
入力受付部2300は、図6〜図8に示した道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報の設定や更新を行うための更新情報の入力や、更新指示を受け付ける。
【0097】
表示部2400は、入力受付部2300が受け付けた更新情報を表示する。また、表示部2400は、通信処理部2100が確認情報を受信すると、入力受付部2300が受け付けた更新指示にしたがって路側通信装置100が設定または更新した後の更新情報を表示する。
【0098】
このように、入力受付部2300が受け付けた道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報は、道路情報設定部2201、衝突可能性判定条件情報設定部2202、交差点情報設定部2203によってパケット形式に変換されて通信処理部2100に出力され、通信処理部2100は、路側通信装置100にこれらの更新情報を送信している。したがって、管理者等は、ITSセンタサーバ200とは遠隔地にある路側通信装置100に対して、必要に応じて、その設定や更新を行い、その場で更新情報の内容を確認することができる。
【0099】
例えば、ある交差点IDの交差点の事故率が高いと判断される場合には、衝突可能性判定条件として、その交差点の車両車速閾値をこれまでよりも遅い数値に設定し、設定した衝突可能性判定条件を、その交差点に設置されている路側通信装置100に送信し、路側通信装置100の衝突可能性判定条件更新部1204が、その条件に従って、衝突可能性判定条件DB1304を更新することができる。したがって、管理者等は、わざわざ現場に向かわなくとも、速やかに各種の更新情報を設定または更新し、その内容を確認することができる。
【0100】
なお、上述した各種の情報を設定する対象となる路側通信装置100を指定する方法については、例えば、IPアドレスを指定することによって行うことができるが、特にこれに限定されるものではない。また、送信されるパケット形式に変換された情報についても、特に限定されないが、例えば、先頭にプリアンブルを有し、さらに、必要な場合はMAC(Media Access Control address)のようなヘッダ等を有し、これらの後に、設定された具体的な情報が続くフォーマットを有するものである。
【0101】
また、道路情報設定部2201、衝突可能性判定条件情報設定部2202、交差点情報設定部2203は、不図示のタイマ等を参照し、それぞれの情報を設定する際の時刻を取得し、取得した時刻を、上述した道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報とともに出力する。その後、道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報とともに出力された時刻が、路側通信装置100装置に送信され、道路DB更新部1203や、衝突可能性判定条件更新部1204、あるいは交差点DB更新部1203によって、道路DB1302の道路登録時間情報、衝突可能性判定条件DB1304の条件登録時間情報、あるいは交差点登録時間情報として、それぞれのDBに登録される。続いて、図2に戻り、車載通信装置300について説明する。
【0102】
図13は、図2に示した車載通信装置300の物理的な構成を示す図である。図13に示すように、車載通信装置300は、記憶装置301と、CPU302と、メモリ303と、入出力インタフェース304と、バス305と、送受信部306と、表示装置307と、車載センサ装置308と、を含んで構成されている。なお、送受信部306には、アンテナ309が接続されているが、図3に示したアンテナ108と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0103】
記憶部301は、例えば、自車両からの発信信号の出力強度を決定するためのプログラムや各種のパラメータ、あるいは他車両を記憶する。
【0104】
CPU302は、プロセッサ等の演算装置であり、記憶装置301が記憶する種々のプログラムを読み出して、後述するメモリ303にロードし、ロードしたプログラムに記載された種々の命令に従って、後述する各種の処理を実行する。
【0105】
メモリ303は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置であり、上述したCPU202がロードしたプログラムや、プログラムが計算した結果等を一時的に記憶する。
【0106】
入出力インタフェース304は、送受信部306と、表示装置307と、車載センサ装置308と、上述した記憶装置301、CPU302、メモリ303とを接続するインタフェースカードである。
【0107】
バス305は、記憶装置301、CPU302、メモリ303、および入出力インタフェース304を接続するものである。
【0108】
送受信部306は、NIC(Network Interface Card)等の通信媒体であり、車両との間でアンテナ309を介して走行情報を送信したり、路側通信装置100からの衝突判定結果の受信を媒介する。
【0109】
表示装置307は、例えば、液晶ディスプレイから構成され、路側通信装置100から受信した衝突判定結果にしたがって警告画面を表示する。
【0110】
車載センサ装置308は、自車両の走行情報を測定するものであり、例えば、ナビゲーションシステムのGPS、ジャイロスコープ、コンパス、ジャイロコンパス、スピードセンサ等の各種のセンサである。GPSは、不図示のタイマから現在の時刻を読み取り、自車両の緯度および経度を測定している。また、ジャイロスコープは自車両の加速度や角度を測定している。また、コンパス、ジャイロコンパスは自車両の移動方向を測定している。スピードセンサは自車両の速度を測定している。このように測定された走行情報が、送受信部306によって路側通信装置100に送信される。
【0111】
なお、車載通信装置300は、単一の半導体チップに構成されてもよいし、マルチチップで構成されてもよい。また、CPU302、記憶装置302、およびメモリ303として、ECU(Electronic Control Unit)やカーナビゲーション装置のためのデータプロセッサを流用する場合には、入出力インタフェース304および送受信部306を他の異なる半導体集積回路によって構成することができる。続いて、車載通信装置300の機能的な構成について説明する。
【0112】
図14は、車載通信装置300の機能的な構成を示すブロック図である。図14に示すように、車載通信装置300は、通信処理部3100と、車両情報処理部3200と、車両センサ処理部3300と、を含んで構成されている。通信処理部3100および車両情報処理部3200は、図13に示したCPU102が実行する機能を示している。まず、通信処理部3100について説明する。
【0113】
通信処理部3100は、入出力インタフェース304を介して、送受信部306がI路側通信装置100との間で通信を行った場合において、その通信された種々の情報をCPU102に取り込んだり、あるいは通信するために必要な情報を、入出力インタフェース304を介して、送受信部306に出力するものである。
【0114】
図14に示すように、通信処理部3100は、無線送受信部3101と、自車両走行情報受信部3102と、を含んで構成されている。
【0115】
無線送受信部3101は、後述する車両センサ情報処理部3300が測定し、車両情報処理部3200が変換したパケット形式の自車両の走行情報を、入出力インタフェース304を介して送受信部306に出力する。また、無線送受信部3101は、送受信部306から受け取った衝突判定結果を、自車両情報送信処理部3102に出力する。
【0116】
自車両情報送信処理部3102は、無線送受信部3101から受信した衝突判定結果を、車両情報処理部3200に出力する。また、自車両情報送信処理部3102は、車両センサ情報処理部3300が測定し、車両情報処理部3200によって、図5に示したフォーマット形式に変換された走行情報を受け取ると、受け取った走行情報をパケット形式に変換する。続いて、車両情報処理部3200について説明する。
【0117】
図14に示すように、車両情報処理部3200は、自車両走行情報処理部3201と、警告部3203と、を含んで構成されている。
【0118】
自車両走行情報処理部3201は、通信処理部3100から受け取った衝突判定結果を、後述する警告部3202が、表示装置307に表示可能な形式にレイアウトを変換する。また、自車両走行情報処理部3201は、車両センサ情報処理部3300が測定した、自車両の位置、走行速度、進行方向等の情報を受け取ると、これらの情報を図5に示したフォーマット形式に変換する。
【0119】
警告部3202は、自車両走行情報処理部3201から衝突判定結果を受け取ると、表示装置307に衝突の危険性がある旨の警告を表示させる。なお、以下では、この警告は表示装置307に表示される前提で説明しているが、例えば、マイク等の音声出力装置に、その旨を出力することとしてもよい。さらには、バイブレータ等を振動させることによって、衝突の危険性をドライバに知らせることとしてもよい。続いて、車両センサ情報処理部3300について説明する。
【0120】
図14に示すように、車両センサ情報処理部3300は、自車両位置検出部3301と、自車両走行速度検出部3302と、自車両進行方向検出部3303と、を含んで構成されている。
【0121】
自車両位置検出部3301は、例えば、GPSであり、自車両走行速度検出部3302は、例えば、スピードセンサ、ジャイロスコープであり、自車両進行方向検出部3303は、例えば、コンパス、ジャイロコンパスである。これらの各部の機能については、図13を用いて車載センサ装置308を説明した際に説明しているので、ここではその説明を省略する。
【0122】
続いて、衝突防止システム1000で行われる処理について説明する。図15は、衝突防止システム1000が、ある交差点において車両から走行情報を受信し、衝突結果を送信するまでの処理の手順を示すフローチャートである。以下では、既に車両から走行情報が送信されているものとして説明している。
【0123】
図15に示すように、衝突可能性判定部1201は、受信した走行情報に含まれる車両緯度情報1および車両経度情報1と、道路DB1302に含まれる道路緯度情報1A、道路経度情報1A、道路緯度情報1B、道路緯度情報1B等とを比較し(ステップS1501)、その車両が走行している道路の道路IDを特定する(ステップS1502)。
【0124】
そして、衝突可能性判定部1201は、特定した道路IDの道路が優先道路であるか否かを判定し(ステップS1503)、特定した道路IDの道路が優先道路ではないと判定した場合(ステップS1503;No)、ステップS1509に進み、衝突危険性なしと判定し、処理を終了させる。
【0125】
一方、衝突可能性判定部1201は、特定した道路IDの道路が優先道路であると判定した場合(ステップS1503;Yes)、特定した道路を含む交差点の交差点IDを特定し、車両が交差点指定範囲に進入したか否かを判定する(ステップS1504)。
【0126】
そして、衝突可能性判定部1201は、車両が交差点指定範囲に進入していないと判定した場合(ステップS1504;No)、そのまま待機する。
【0127】
一方、衝突可能性判定部1201は、車両が交差点指定範囲に進入したと判定した場合(ステップS1504;Yes)、優先道路を走行しているその車両の速度が車両車速閾値を越えているか否かを判定する(ステップS1505)し、その車両の速度が車両車速閾値を越えていないと判定した場合(ステップS1505;No)、ステップS1509に進む。
【0128】
一方、衝突可能性判定部1201は、その車両の速度が車両車速閾値を越えていると判定した場合(ステップS1505;Yes)、さらに、非優先道路を走行している車両の速度が車両車速閾値を越えているか否かを判定する(ステップS1506)。
【0129】
そして、衝突可能性判定部1201は、非優先道路を走行している車両の速度が車両車速閾値を越えていないと判定した場合(ステップS1506;No)、ステップS1509に進む。
【0130】
一方、衝突可能性判定部1201は、非優先道路を走行している車両の速度が車両車速閾値を越えていると判定した場合(ステップS1506;Yes)、衝突危険ありと判定し(ステップS1507)、衝突判定結果を出力する(ステップS1508)。
そして、ステップS1508の処理が終了すると、その後、衝突判定結果が、衝突可能性があると判定された車両に対して送信され、車両に搭載された車載通信装置300が警告を表示する。
【0131】
このように、路側に設置され、車両同士の衝突を防止するための路側通信装置100は、通信部と無線送受信部1101が、車両が所定の範囲に進入した場合に車両の走行状況を示す走行情報を受信し、または車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を所定の範囲に進入した他車両に送信し、記憶部1300が、少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、道路が交差する地点を示す交差点情報と、車両が交差点に進入した場合における車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とを記憶し、衝突可能性判定部1201が、無線送受信部1101が車両から走行情報を受信した場合に、受信した走行情報と、道路情報と、交差点情報とに基づいて車両が進入した交差点を特定し、受信した走行情報と衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した交差点において車両が他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、車両が他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ判定結果を出力するので、通信範囲内に多数の車両が存在する場合であっても、円滑な通信を行うことができる。例えば、路側通信装置100は、交差点指定範囲内の衝突の可能性のある車両にのみ衝突判定結果を送信するので、その交差点範囲内の車両の最大収容可能台数を増やすことができる。また、交差点範囲内における路側通信装置100と車両との間の衝突現象を低減させることができ、その結果、路側通信装置100と車両との間における通信の品質を維持するとともに、通信効率の低下を抑制することができる。
【0132】
また、路側通信装置100が衝突判定結果の代わりに走行情報を送信する場合においても、交差点において車両が他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、車両が他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ走行情報を出力するので、走行情報をそのまま送信する場合と比較して通信範囲内に多数の車両が存在する場合であっても、円滑な通信を行うことができる。
【0133】
続いて、ITSセンタサーバ200が、道路情報、衝突可能性判定条件、交差点情報の設定や更新を行うための更新情報を路側通信装置100に送信し、道路DB1302、交差点DB1303、衝突可能性判定DB1304を設定または更新する場合について説明する。
【0134】
図16は、ITSセンタサーバ200が、路側通信装置100の各種DBを設定または更新するまでの処理の手順を示すシーケンス図である。
【0135】
図16に示すように、ITSセンタサーバ200が、更新情報の入力および更新指示を受け付けると、受け付けられた更新情報を路側通信装置100に送信し(ステップS1601)、路側通信装置100の道路DB更新部1203、衝突可能性判定条件更新部1204、交差点更新部1205は、それぞれのDBを更新情報にしたがって更新し(ステップS1602)、路側通信装置100は、ITSセンタサーバ200に確認情報を送信する(ステップS1603)。その後、ITSセンタサーバ200の表示部2400は、更新情報を表示し、管理者等が更新情報の内容を確認する。
【0136】
このように、ITSセンタサーバ200は、入力受付部2300が、道路情報と交差点情報と衝突可能性判定条件との入力を受け付け、送受信処理部2101が、入力受付部2300が受け付けた道路情報と交差点情報と衝突可能性判定条件とを路側通信装置10に送信し、路側通信装置100は、送受信処理部1102が、ITSセンタサーバ200から送信された道路情報と交差点情報と衝突可能性判定条件とを受信し、設定部(道路DB更新部1203、衝突可能性判定条件更新部1204、交差点DB更新部1205)が、送受信処理部1101が受信した道路情報と交差点情報と衝突可能性判定条件とを記憶部1300に設定するので、管理者等は、ITSセンタサーバ200とは遠隔地にある路側通信装置100に対して、必要に応じて、その設定や更新を行い、その場で更新情報の内容を確認することができる。
【0137】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0138】
1000:衝突防止システム1000、100:路側通信装置、200:ITSセンタサーバ、300:車載通信装置、1100:通信処理部(路側通信装置)、1200:車両情報処理部、1101:無線送受信部、1102:送受信部(路側通信装置)、1103:車両情報転送部、1104:車両走行情報受信処理部、1201:衝突可能性判定部、1202:車両DB更新部、1203:道路DB更新部、1204:衝突可能性判定条件更新部、1205:交差点DB更新部、1300:記憶部(路側通信装置)、1301:車両DB、1302:道路DB、1303:交差点DB、1304:衝突可能性判定条件DB、通信処理部2100(ITSセンタサーバ)、2101:送受信処理部(ITSセンタサーバ)、2200:情報設定部、2300:入力受付部、2400:表示部、2201:道路情報設定部、2202:衝突可能性判定条件情報設定部、2203:交差点情報設定部、3100:通信処理部(車載通信装置)、3200:車両情報処理部、3300:車両センサ処理部、3101:無線送受信部、3102:自車両走行情報受信部、3201:自車両走行情報処理部、3202:警告部、3301:自車両位置検出部、3302:自車両走行速度検出部、3303:自車両進行方向検出部、N:ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側に設置され、車両同士の衝突を防止するための衝突防止装置であって、
車両が所定の範囲に進入した場合に前記車両の走行状況を示す走行情報を受信し、または前記車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する路側通信部と、
少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報と、前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とを記憶する路側記憶部と、
前記路側通信部が前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、前記道路情報と、前記交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記判定結果を出力する衝突可能性判定部と、
を備えることを特徴とする衝突防止装置。
【請求項2】
前記衝突可能性判定部は、少なくとも前記自車両の位置と前記自車両の移動方向と前記自車両の移動方向とを含む前記走行情報と前記衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の衝突防止装置。
【請求項3】
前記路側通信部は、前記所定の範囲に進入した前記交差点を構成するすべての道路上の前記他車両に前記判定結果を送信する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の衝突防止装置。
【請求項4】
車両同士の衝突を防止するための衝突防止方法であって、
車両が所定の範囲に進入した場合に前記車両の走行状況を示す走行情報を受信する受信ステップと、
前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を出力する衝突可能性判定ステップと、
前記衝突可能性判定ステップにおいて出力された前記判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する送信ステップと、
を含むことを特徴とする衝突防止方法。
【請求項5】
コンピュータに、
車両が所定の範囲に進入した場合に前記車両の走行状況を示す走行情報を受信する受信ステップと、
前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を出力する衝突可能性判定ステップと、
前記衝突可能性判定ステップにおいて出力された前記判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する送信ステップと、
を実行させることを特徴とする衝突防止プログラム。
【請求項6】
車両同士の衝突を防止する衝突防止システムであって、
前記車両に搭載される車載通信装置は、
自車両の走行状況を示す走行情報を検出する検出部と、
前記走行情報を送信し、または前記自車両が他車両と衝突の可能性がある旨の判定結果を受信する車両通信部と、
車両通信部が受信した前記判定結果を表示する表示部と、を備え、
路側に設置される衝突防止装置は、
前記車両が所定の範囲に進入した場合に前記走行情報を受信し、または前記判定結果を前記所定の範囲に進入した前記他車両に送信する路側通信部と、
少なくとも2以上の道路の場所を示す道路情報と、前記道路が交差する地点を示す交差点情報と、前記車両が前記交差点に進入した場合における前記車両同士が衝突の可能性があるか否かを判定するための条件である衝突可能性判定条件とを記憶する路側記憶部と、
前記路側通信部が前記車両から前記走行情報を受信した場合に、受信した前記走行情報と、前記道路情報と、前記交差点情報とに基づいて前記車両が進入した交差点を特定し、受信した前記走行情報と前記衝突可能性判定条件とに基づいて、特定した前記交差点において前記車両が前記他車両と衝突の可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記他車両と衝突の可能性があると判定した場合にのみ前記判定結果を出力する衝突可能性判定部と、
を備えることを特徴とする衝突防止システム。
【請求項7】
前記道路情報と前記交差点情報と前記衝突可能性判定条件との入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部が受け付けた前記道路情報と前記交差点情報と前記衝突可能性判定条件とを前記衝突防止装置に送信する設定通信部と、を備えたサーバ装置をさらに備え、
前記衝突防止装置は、
前記路側通信部が、前記サーバ装置から送信された前記道路情報と前記交差点情報と前記衝突可能性判定条件とを受信し、
前記路側通信部が受信した前記道路情報と前記交差点情報と前記衝突可能性判定条件とを前記路側記憶部に設定する設定部をさらに備えること、
を特徴とする請求項6に記載の衝突防止システム。
【請求項8】
前記車載通信装置の前記車両通信部と前記衝突防止装置の前記路側通信部とは、CSMA/CA(Carrier-Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式によって通信する、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の衝突防止システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−118519(P2011−118519A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273451(P2009−273451)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】