説明

衣類乾燥機

【課題】回転ドラム内の衣類の乾き度合いを精度よく検出する。
【解決手段】第1の電極9および第2の電極10間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19と、第1および第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段20と、演算手段の出力により回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段21とを備え、第1の電極および第2の電極は、衣類と接触する部分の形状を異なる大きさに形成するとともに内周板の異なる位置に離して配設し、演算手段は、第1および第2の抵抗値検出手段から出力される複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、回転ドラム内の衣類の乾き度合いを判別し、乾燥運転を自動的に終了するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の乾燥をおこなう衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類乾燥機は省エネルギー化が要求されており、乾燥運転を自動的に終了するため、回転ドラム内の衣類の乾き度合いを検出する必要がある。
【0003】
従来、この種の衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類に接触するように設けられた電極の抵抗値を検出する抵抗検出手段と、温度センサにより乾燥中の温風温度を検出する温度検出手段の情報とに基づいて、運転時間を設定するようにしたものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、特許文献1に記載された従来の衣類乾燥機のブロック回路図である。図6において、本体の正面側に設けた温風吹出口を有する内周板に熱源となる正の温度特性を有するヒータ51を配設し、送風ファンの回転によりヒータ51を通って加熱された温風が温風吹出口から回転ドラム内に導入され、衣類が加熱乾燥される。回転ドラムの近傍に位置し内周板の温風吹出口の下部と上部に温度センサ52a、52bを設けて温度を検出するようにしている。
【0005】
抵抗検知手段53では電極54の抵抗値を検出し、温度検知手段55は温度センサ52a、52bからの温度を検出する。制御手段56はマイクロコンピュータを含む各種電子回路から構成されており、抵抗検知手段53および温度検知手段55からの信号を取り込んでヒータ51およびモータ57への通電制御を行う。
【0006】
そして、図7に示すように、電極54の抵抗値Rが所定時間T5連続して設定値bよりも大きくなった時刻t6より、遅延時間T7経過した時刻t8において運転を終了するように構成している。
【0007】
また、電極検知時間比較手段58によって得られた情報は、運転前の被乾燥物が水分を多く含んでいるときは、抵抗比較手段59により抵抗値Rが所定時間T5連続して設定値bよりも大きくなった時刻t6が遅くなる。逆に、運転前の被乾燥物が含んでいる水分が少ないときはt6が早くなる。このt6を電極検知時間比較手段58によって複数の設定値と比較することにより、運転前の被乾燥物の湿り具合を知ることができる。
【0008】
演算手段60は、以上のようにして判断した被乾燥物の容量の大小と、湿り具合に応じた遅延時間T7をあらかじめ設定された値から選択するようにしている。このため、負荷量、湿り度合いに応じて遅延時間が設定でき、最適な運転時間で自動的に運転を停止させることができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−253397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、乾燥運転中に回転ドラム内の衣類の絡まりが生じた場合、一対の電極間の抵抗値が急激に変化するため、乾燥終了検知と衣類の絡まり検知
を判別することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、回転ドラム内の衣類の乾き度合いを精度よく検出できる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、回転ドラム内の衣類に接触するように内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、衣類と接触する部分の形状を異なる大きさに形成するとともに、前記内周板の異なる位置に離して配設し、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の乾き度合いを判別し、乾燥運転を自動的に終了するようにしたものである。
【0013】
これによって、乾燥運転中に複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いの有無を検出し、衣類の乾き状態を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の衣類乾燥機は、乾燥運転中の回転ドラム内の衣類の乾き度合いを精度よく検出することができ、乾燥後の衣類の乾燥率のばらつきを低減し、効率的に乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥機の要部断面図
【図2】同衣類乾燥機の図1のA−A矢視図
【図3】同衣類乾燥機の要部側面図
【図4】同衣類乾燥機の要部システム概略図
【図5】同衣類乾燥機の電極検出抵抗値の時間変化を示すグラフ
【図6】従来の衣類乾燥機のブロック回路図
【図7】同衣類乾燥機の電極の検出抵抗値の時間変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、本体内に回転自在に設けられた回転ドラムと、前記本体の前部に設けられた内周板と、前記回転ドラム内の衣類に接触するように前記内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、衣類と接触する部分の形状を異なる大きさに形成するとともに、前記内周板の異なる位置に離して配設し、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の乾き度合いを判別し、乾燥運転を自動的に終了するようにしたことにより、乾燥運転中において、回転ドラム内の衣類が湿り状態かつ衣類の絡まりがない場合、第1の電極間の抵抗値および第2の電極間の
抵抗値が検出抵抗値より小さく、「湿り状態」であると判断して、低電位信号が第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段にそれぞれ入力される。また、回転ドラム内の衣類が湿り状態かつ衣類の絡まりがある場合、第1の電極間の抵抗値が検出抵抗値より大きく、「乾き状態」であると判断して、高電位信号が第1の抵抗値検出手段に入力され、かつ第2の電極間の抵抗値が検出抵抗値より小さく、「湿り状態」であると判断して、低電位信号が第2の抵抗値検出手段に入力される。また、回転ドラム内の衣類が乾き状態の場合、第1の電極間の抵抗値および第2の電極間の抵抗値が検出抵抗値より大きく、「乾き状態」であると判断して、高電位信号が第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段にそれぞれ入力される。したがって、乾燥運転中に複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いの有無を検出し、衣類の乾き状態を精度よく検出することができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の第1の電極および第2の電極は、内周板の表面から回転ドラム側へ突出する高さが異なるように配設し、衣類と接触する部分の面積が大きい電極の高さを面積が小さい電極より高くしたことにより、衣類と接触する部分の形状、すなわち、面積が大きいと衣類と接触し易く、小さいと接触し難い。また、回転ドラム側へ突出する電極の高さが高いと衣類と接触し易く、低いと接触し難いことから、離れた位置に設けられている第1の電極と第2の電極による検知の差を一層明確にすることができ、回転ドラム内の衣類の絡まり度合いと、乾き状態を精度よく検出することができる。
【0018】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の演算手段は、回転ドラムの回転方向に応じて、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段に接続された複数の検出抵抗を切り換えるようにしたことにより、回転ドラム内の衣類の絡まりがない場合、乾燥運転中の複数の電極間の検出抵抗値が均衡状態となるため、乾燥終了検知と衣類の絡まり検知を判別することができる。
【0019】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する電極検出抵抗値と経過時間を比較演算することにより、衣類の絡まりの有無を検出するようにしたことにより、乾燥運転中の衣類の絡まりの有無に応じて、乾燥運転終了時間を補正することができるため、衣類の絡まりに起因する乾燥運転後(仕上がり)の衣類の乾燥率のばらつきを低減することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における衣類乾燥機の要部断面図、図2は、同衣類乾燥機の図1のA−A矢視図、図3は、同衣類乾燥機の要部側面図、図4は、同衣類乾燥機の要部システム概略図である。
【0022】
図1〜図4において、衣類イ等の乾燥対象を入れて乾燥させる回転ドラム1は、衣類乾燥機の本体2内に回転自在に設けられている。回転ドラム1を駆動するモータ3を設け、モータ3の駆動により回転ドラム用ベルト4を介して回転ドラム1を回転させるようにしている。乾燥用空気は、モータ3の駆動により送風ファン用ベルト5を介して送風ファン6を回転させ、衣類イを入れた乾燥室を構成する回転ドラム1内へ循環風路7を通して乾燥用空気を導入するようにしている。
【0023】
回転ドラム1の前面側に設けた内周板8は、本体2の前部に取り付けられており、回転ドラム1の前部を回転自在に支持している。乾燥運転中は回転ドラム1内で撹拌される衣
類イに接触するように内周板8の回転ドラム1側に、第1の電極9および第2の電極10が設けられており、内周板8の内周8aと外周8bの間に配設されている。
【0024】
第1の電極9は、金属製の導電部材からなる一対の電極部9a、9bと、この一対の電極部9a、9b間を電気的に絶縁する絶縁部材(図示せず)により構成され、また、第2の電極10も第1の電極9と同様に、金属製の導電部材からなる一対の電極部10a、10bと、一対の電極部10a、10b間を電気的に絶縁する絶縁部材(図示せず)により構成されている。
【0025】
一対の電極部9aと9b、および一対の電極部10aと10bは、それぞれ所定の間隔をおいて、近接した位置で対向配置し、回転ドラム1の回転軸1aからの距離が異なるように配置してあり、電極部9aと9bおよび電極部10aと10b間に跨って接触した衣類イの抵抗値を検出する。
【0026】
第1の電極9および第2の電極10は、回転ドラム1の回転方向(矢印ロ方向)にずれた離れた位置で内周板8に設けられている。一方の第1の電極9は、内周板8の回転ドラム1の回転軸1aを通る垂直平面ハに対する左方部に設けられ、他方の第2の電極10は、内周板8の回転ドラム1の回転軸1aを通る垂直平面ハに対する右方部に設けられている。
【0027】
また、第1の電極9および第2の電極10は、回転ドラム1の回転軸1aに対して、角度θ(例えば、略120度)で、回転軸1aより下方または上方に配設され、互いに内周板上8に設けられる位置が回転ドラム1の回転方向に異なることにより、回転ドラム1内の衣類イが複数の一対の電極に接触する単位時間あたりの頻度が互いに異なる。
【0028】
また、第1の電極9および第2の電極10は、衣類イと接触する部分の面積、すなわち、形状を異なる大きさとし、第1の電極9は大きく、第2の電極10は第1の電極9より小さく形成してあり、回転ドラム1内の衣類イが複数の電極に接触する単位時間あたりの頻度が互いに異なる。
【0029】
また、第1の電極9および第2の電極10は、内周板8の表面から回転ドラム1側へ突出する高さHが異なるように配設し、衣類イと接触する部分の面積が大きい第1の電極9の高さを、面積が小さい第2の電極10より高くすることにより、回転ドラム1内の衣類イが複数の電極に接触する単位時間あたりの頻度を異ならせることができ、衣類イと接触する部分の面積が大きい第1の電極9への衣類イの接触頻度をより多く、逆に、面積が小さい第2の電極10への衣類イの接触頻度をより少なくすることができる。
【0030】
ヒートポンプ装置11は、圧縮機12、および圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器13、および高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り弁や毛細管等からなる絞り手段14、および減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器15とを冷媒が循環するように管路16で連結されており、冷媒は、図1の矢印Bの方向に流れて循環し、ヒートポンプサイクルを実現する。制御手段17は、モータ3、ヒートポンプ装置11等を制御し、乾燥運転を制御する。
【0031】
図4において、第1の電極9および第2の電極10は、回転ドラム1内の衣類イに接触するように内周板8の回転ドラム1側に設けられ、湿り状態の衣類イが第1の電極9または第2の電極10に接触した場合、一対の電極部9aと9b、および電極部10aと10b間が電気的に導通するため、電極検出信号が第1の抵抗値検出手段18または第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0032】
また、乾き状態の衣類イが第1の電極9または第2の電極10に接触した場合、一対の電極部9aと9b、および電極部10aと10b間が電気的に導通しないため、電極検出信号が第1の抵抗値検出手段18または第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力されない。
【0033】
制御手段17において、第1の電極9および第2の電極10に接続された第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19からの電極検出信号が演算手段20に入力され、演算処理された信号をドラム回転制御手段21に入力する。制御手段17には、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19、演算手段20、ドラム回転制御手段21が内包されている。
【0034】
制御手段17は、演算手段20において演算処理された信号に基づいて、複数の検出抵抗に接続されたトランジスタをオン/オフすることにより、複数個の一対の電極間の抵抗値を検出するための複数の検出抵抗を切り換える。
【0035】
以上のように構成された衣類乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。まず、乾燥対象である衣類イをドア22を開閉して回転ドラム1内に投入し、乾燥運転を開始すると、モータ3が駆動し、回転ドラム1および送風ファン6が回転して循環風路7に乾燥用空気の流れ(矢印C)が生じる。乾燥用空気は、回転ドラム1内の衣類イから水分を奪って多湿となった後、循環風路7内を通ってヒートポンプ装置11の吸熱器15へ導かれる。
【0036】
吸熱器15で低温の冷媒に熱を奪われた乾燥用空気は、冷却除湿されて乾いた低温の空気となって放熱器13へ運ばれる。吸熱器15で吸熱された熱量に、圧縮機12からの熱量が加わって高温となった冷媒からの放熱で加熱され、吹き出し口23から再び回転ドラム1内へと循環される。以上の繰り返しで衣類イの乾燥が進行する。
【0037】
回転ドラム1内で撹拌される衣類イが第1の電極9および第2の電極10に接触すると、それぞれの一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値と比較される。一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より小さい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類が「湿り状態」であると判断した場合は、低電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0038】
一対の電極間の抵抗値が検出抵抗値より大きい場合、つまり、回転ドラム1内の衣類イが「乾き状態」であると判断した場合は、高電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。
【0039】
演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数を差分演算することにより、回転ドラム1内の衣類の乾き度合いを検出することができる。
【0040】
図5は、実施の形態1における衣類乾燥機の電極検出抵抗値の時間変化を示している。回転ドラム1内の衣類イが、湿り状態かつ衣類の絡まりがない場合(時刻t1)、第1の電極9間の抵抗値24および第2の電極10間の抵抗値25が検出抵抗値より小さいので、つまり回転ドラム1内の衣類イが「湿り状態」であると判断するので、低電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。すなわち、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数は、どちらも乾き状態であると判定される電極検出抵抗値Rdより小さい値となる

【0041】
回転ドラム1内の衣類イが、湿り状態かつ衣類の絡まりがある場合(時刻t2)、第1の電極9間の抵抗値24が電極検出抵抗値Rdより大きいので、つまり回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」であると判断するので、高電位信号が第1の抵抗値検出手段18に入力され、かつ第2の電極10間の抵抗値25が電極検出抵抗値Rdより小さいので、つまり回転ドラム1内の衣類が「湿り状態」であると判断するので、低電位信号が第2の抵抗値検出手段19に入力される。すなわち、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数は、いずれか一方が乾き状態であると判定される電極検出抵抗値Rdより大きい値となる。
【0042】
回転ドラム1内の衣類イが乾き状態の場合(時刻t3)、第1の電極9間の抵抗値24および第2の電極10間の抵抗値25が電極検出抵抗値Rdより大きいので、つまり回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」であると判断するので、高電位信号が第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19にそれぞれ入力される。すなわち、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から入力される単位時間(例えば、10秒間)あたりの高電位信号(回転ドラム1内の衣類が「乾き状態」)のデータ数は、どちらも乾き状態であると判定される電極検出抵抗値Rdより大きい値となる。
【0043】
以上のように、回転ドラム1内の衣類に接触するように内周板8に設けられた第1の電極9および第2の電極10と、第1の電極9に接続され、第1の電極9間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段18と、第2の電極10に接続され、第2の電極10間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段19と、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19に接続された演算手段20と、演算手段20の出力により回転ドラム1の回転を制御するドラム回転制御手段21とを備え、第1の電極9および第2の電極10は、衣類と接触する部分の形状を異なる大きさに形成するとともに、内周板8の異なる位置に離して配設し、演算手段20は、第1の抵抗値検出手段18および第2の抵抗値検出手段19から出力される複数の電極検出抵抗値24、25および複数の電極検出抵抗値24、25の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、回転ドラム1内の衣類の乾き度合いを判別し、乾燥運転を自動的に終了するようにしたものであり、乾燥運転中に複数の電極検出信号を比較演算することにより、回転ドラム1内の衣類の絡まり度合いの有無を検出し、衣類の乾き状態を精度よく検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥機は、乾燥運転中の回転ドラム内の衣類の乾き度合いを精度よく検出することができ、乾燥後の衣類の乾燥率のばらつきを低減し、効率的に乾燥を行うことができるので、衣類乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 回転ドラム
2 本体
8 内周板
9 第1の電極
10 第2の電極
18 第1の抵抗値検出手段
19 第2の抵抗値検出手段
20 演算手段
21 ドラム回転制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に回転自在に設けられた回転ドラムと、前記本体の前部に設けられた内周板と、前記回転ドラム内の衣類に接触するように前記内周板に設けられた第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極に接続され、前記第1の電極間の抵抗値を検出する第1の抵抗値検出手段と、前記第2の電極に接続され、前記第2の電極間の抵抗値を検出する第2の抵抗値検出手段と、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段に接続された演算手段と、前記演算手段の出力により前記回転ドラムの回転を制御するドラム回転制御手段とを備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、衣類と接触する部分の形状を異なる大きさに形成するとともに、前記内周板の異なる位置に離して配設し、前記演算手段は、前記第1の抵抗値検出手段および前記第2の抵抗値検出手段から出力される複数の電極検出抵抗値および複数の電極検出抵抗値の差分のうち少なくともいずれか一方を演算することにより、前記回転ドラム内の衣類の乾き度合いを判別し、乾燥運転を自動的に終了するようにした衣類乾燥機。
【請求項2】
第1の電極および第2の電極は、内周板の表面から回転ドラム側へ突出する高さが異なるように配設し、衣類と接触する部分の面積が大きい電極の高さを面積が小さい電極より高くした請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
演算手段は、回転ドラムの回転方向に応じて、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段に接続された複数の検出抵抗を切り換えるようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
演算手段は、第1の抵抗値検出手段および第2の抵抗値検出手段が検出する電極検出抵抗値と経過時間を比較演算することにより、衣類の絡まりの有無を検出するようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−85796(P2013−85796A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230487(P2011−230487)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】