説明

衣類脱臭方法および衣類脱臭システム

【課題】衣類脱臭に使用される衣類脱臭方法およびシステムにおいて、従来の衣類脱臭方法においては脱臭に使用する高温の水蒸気を生成するために大きなエネルギーを必要とした。また、高温の蒸気を使用する場合、衣類が濡れやすくその濡れにより衣類の縮みや傷みを生じることがあった。また、専用の衣類収納庫を設ける必要があり、装置の簡易化が求められていた。
【解決手段】浴室2と浴室2内の空気に微細水滴を付加する微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5と浴室2内の空気を加熱する加熱手段108と、浴室2内の空気を換気する換気手段17と、浴室2内の空気を除湿する除湿手段106を備え、浴室2内に微細な水滴を供給し、浴室2内に保持した衣類の脱臭を行うことによって衣類を濡らすことなく消費エネルギーを抑え、特別な収納庫を用いることなく衣類の脱臭を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常の生活により着臭した衣類の脱臭方法とその脱臭に用いる衣類脱臭システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常生活において着臭してしまった衣類の脱臭を行うためには洗濯を行うなどの方法がとられてきた。しかしながら、スーツなどの一部の衣類に関しては、通常の洗濯方法では洗濯の際に縮みを生じてしまうなどの問題があり、ドライクリーニングなどの実施をする必要があったが、ドライクリーニングの実施には設備の問題や費用の問題により、一般家庭での実施は困難であった。そこで、一般家庭においても洗濯を行うことなく簡単に衣類の脱臭を行う方法が検討されてきた。
【0003】
従来、この種の衣類脱臭方法及び衣類脱臭装置は、衣類を収納庫内に吊り下げ保持し、収納庫内に高温多湿の空気を供給し脱臭する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その衣類脱臭方法及び衣類脱臭装置について図3を参照しながら説明する。
【0005】
図3に示すように、衣類脱臭装置101は収納庫102と収納庫内に設けられた吸入口103と、収納庫内に空気を吹出すための吹出口104と、吸入口103から吸入した空気を送風し吹出口104から吹出すための送風機105と、送風機105により収納庫102から吸引された収納庫102内の空気を除湿するための除湿手段106と、吸入口103から吸引された収納庫102内の空気を加湿するための高温蒸気発生手段107と、吸入口103から吸引された収納庫102内の空気を加熱するための加熱手段108と、収納庫内に衣類を吊り下げ保持するためのハンガー体109からなり、収納庫102内に脱臭対象となる衣類をハンガー体109に吊り下げ保持し、送風機105と加熱手段108を運転すると、収納庫102内が所定の温度に達するまでの間、空気加熱手段108により加熱された空気が収納庫102内を循環する。その後、除湿手段106と蒸気発生手段107の運転が開始されると収納庫102内を循環している空気は次第に蒸気を含んで高温多湿(例えば60〜70℃)の空気となる。この高温多湿の空気により、衣類には水分と熱が与えられる。水分と熱が与えられると衣類に付着した臭い成分は与えられた水分に溶け込んだ後、熱により蒸発させられ、衣類から離脱する。衣類から離脱した臭い成分は除湿手段により空気中に含まれる水分とともに回収され、装置外に排出される。
【特許文献1】特許第3106537号公報(第3−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の衣類脱臭方法及び衣類脱臭装置においては、高温蒸気の形態で水分供給を行うため、収納庫内の温度によっては衣類の濡れが進行し、衣類の縮みや傷みを生じる原因となるため、衣類の濡れを生じない衣類脱臭方法が望まれていた。また、衣類の脱臭を行う際に脱臭を行う水分を水蒸気という形態で供給するため、高温蒸気の生成に非常に大きなエネルギーを必要とした。また、専用の収納庫などの特別な装置を用いることなく、簡易的に衣類の脱臭を行う手段が望まれている。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、衣類を濡らすことなく、比較的少ないエネルギー消費で衣類の脱臭を行うことができ、なおかつ、特別な収納庫などを用いることなく衣類の脱臭が行える衣類脱臭方法及び衣類脱臭システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明が講じた第一の解決手段は、微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類の脱臭を行うようにしたものである。
【0009】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明が講じた第二の解決手段は、微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類を濡らすことなく脱臭を行うようにしたものである。
【0011】
この手段により、衣類を濡らすことなく、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明が講じた第三の解決手段は、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、衣類を収納した空間に、その生成した微細水滴を充満させるようにしたものである。
【0013】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明が講じた第四の解決手段は、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に供給し、前記空間内において衣類を微細水滴に暴露するようにしたものである。
【0015】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明が講じた第五の解決手段は、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に搬送し、前記空間に衣類を収納し、搬送された微細水滴を前記衣類に供給して前記衣類に付着した臭いを除去するようにしたものである。
【0017】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明が講じた第6の解決手段は、室と、前記室に粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成手段と、前記室内に衣類を保持する保持手段と、を備え、前期微細水滴生成手段により生成された微細水滴を前記室内に供給し、室内に前記保持手段により衣類を保持して前記衣類の脱臭を行うようにしたものである。
【0019】
この手段により、衣類を濡らすことなく、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となるとともに特別な収納庫を設けることなく衣類の脱臭が可能となる。
【0020】
また、本発明が講じた第七の解決手段は、前記室を浴室としたものである。
【0021】
この手段により、特別な衣類収納空間を準備することなく衣類の脱臭が可能となる。
【0022】
また、本発明が講じた第八の解決手段は、前記微細水滴生成手段を、粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成部と、前記微細水滴生成部で生成した微細水滴を浴室に搬送する搬送手段により構成したものである。
【0023】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明が講じた第九の解決手段は、前記浴室に供給される微細水滴を高温にする加熱手段をさらに備え、前記浴室内に加熱された微細水滴を供給するようにしたものである。
【0025】
この手段により、エネルギー消費を抑えながら、脱臭の効果を大きくすることが可能となる。
【0026】
また、本発明が講じた第十の解決手段は、前記浴室を乾燥するための乾燥手段をさらに備え、微細水滴生成手段による微細水滴生成運転を一定期間実行した後、前記乾燥手段による乾燥運転を一定期間実行するようにしたものである。
【0027】
この手段により、操作者が特別な操作を行うことなく衣類の脱臭、乾燥が行えるようになる。
【0028】
また、本発明が講じた第十一の解決手段は、前記乾燥手段を、前記浴室内を加熱する加熱手段と、前記浴室内を換気する換気手段により構成したものである。
【0029】
この手段により、衣類脱臭運転後の乾燥を効率的に行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明が講じた第十二の解決手段は、浴室内を除湿する除湿手段をさらに備え、前記乾燥運転時に浴室の除湿を行うようにしたものである。
【0031】
この手段により、衣類脱臭運転後の乾燥運転時間を短縮することが可能となる。
【0032】
また、本発明が講じた第十三の解決手段は、微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整する制御手段をさらに備え、前記制御手段により微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整するようにしたものである。
【0033】
この手段により、衣類の脱臭、乾燥を効率的に行うことが可能となり、消費エネルギーを低減することが可能となる。
【0034】
また、本発明が講じた第十四の解決手段は、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成量を調整するようにしたものである。
【0035】
この手段により、衣類の脱臭運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることが可能となる。
【0036】
また、本発明が講じた第十五の解決手段は、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて乾燥時間を調整するようにしたものである。
【0037】
この手段により、乾燥運転時のエネルギー消費を必要最小限に抑えることが可能となる。
【0038】
また、本発明が講じた第十六の解決手段は、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成時間を調整するようにしたものである。
【0039】
この手段により、衣類の脱臭運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、衣類を濡らさないため、衣類の縮みや傷みを生じることなく、消費エネルギーを抑えながら効果的に衣類の脱臭・乾燥を行うことが可能となる。
【0041】
また、特別な収容庫を設けることなく、簡単に衣類の脱臭・乾燥を実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明によれば、微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類の脱臭を行う衣類脱臭方法を提供することができる。
【0043】
また、本発明によれば、微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類を濡らすことなく脱臭を行う衣類脱臭方法を提供することができる。
【0044】
また、本発明によれば、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、衣類を収納した空間に、その生成した微細水滴を充満させることにより、衣類に付着した臭いを除去する衣類脱臭方法を提供することができる。
【0045】
また、本発明によれば、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に供給し、前記空間内において衣類を微細水滴に暴露することにより、衣類に付着した臭いを除去する衣類脱臭方法を提供することができる。
【0046】
また、本発明によれば、粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に搬送し、前記空間に衣類を収納し、搬送された微細水滴を前記衣類に供給して前記衣類に付着した臭いを除去する衣類脱臭方法を提供することができる。
【0047】
また、本発明によれば、室と、前記室に粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成手段と、前記室内に衣類を保持する保持手段と、を備え、前期微細水滴生成手段により生成された微細水滴を前記室内に供給し、室内に前記保持手段により衣類を保持して前記衣類の脱臭を行うことで、衣類を濡らすことなく、消費エネルギーを抑えながら、効果的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0048】
また、本発明によれば、前記室を浴室とすることで特別な収納庫を用いることなく衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0049】
また、微細水滴生成手段を、粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成部と、前記微細水滴生成部で生成した微細水滴を浴室に搬送する搬送手段により構成することで衣類を濡らすことなく、消費エネルギーを抑えながら効率的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0050】
また、浴室に供給する微細水滴を高温にする加熱手段をさらに備え、前記浴室内に加熱された微細水滴を供給することで衣類を濡らすことなく、消費エネルギーを抑えながら効率的に衣類の脱臭を行うことが可能となる。
【0051】
また、前記浴室を乾燥するための乾燥手段をさらに備え、微細水滴生成手段による微細水滴生成運転を一定期間実行した後、前記乾燥手段による乾燥運転を一定期間実行することで操作者の手を煩わせることなく簡単に衣類の脱臭・乾燥が実施できるようになる。
【0052】
また、前記乾燥手段を、前記浴室内を加熱する加熱手段と、前記浴室内を換気する換気手段により構成することで衣類脱臭運転後の乾燥を効率的に行うことが可能となる。
【0053】
また、浴室内を除湿する除湿手段をさらに備え、前記乾燥運転時に浴室の除湿を行うことで衣類脱臭運転後の乾燥を効率よく行うことが可能となる。
【0054】
また、微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整する制御手段をさらに備え、前記制御手段により微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整することで、衣類の脱臭運転及び乾燥運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【0055】
また、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成時間を調整することで衣類脱臭運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【0056】
また、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成量を調整することで衣類脱臭運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【0057】
また、浴室の湿度を検出する湿度センサーをさらに備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて乾燥時間を調整することで乾燥運転時の消費エネルギーを必要最小限に抑えることができる。
【0058】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0059】
(実施の形態1)
図1に示すように、衣類脱臭システム1は浴室2に隣接するように取り付けられた収容体3内に浴室2内の空気を吸い込むための吸入口103、加熱加湿した空気を浴室内に吹出すための吹出口104、浴室2内の空気を搬送するための送風路4及び送風機105、搬送される浴室内空気に100μm以下の微細水滴を付加するための微細水滴生成部5、搬送される浴室内空気を加熱するための加熱手段108を備えている。微細水滴生成部5は図2に示すように、衣類脱臭システム1外部から微細水滴生成用の水を供給する水供給路6、供給された水を加熱するための供給水加熱部7(例えばヒーター等)、供給された水を噴霧するための噴射ノズル8、噴射された霧状の水を回転運動もしくは往復運動などの稼動する壁面に衝突させて微細水滴を生成するための水破砕部9、生成された微細水滴のうち、100μmを超える大きさの水滴を除去するエリミネータ10により構成されている。吸入口103近傍には浴室内の温湿度を検出するためのサーミスタや高分子センサー等の温湿度検知手段11が設けられており、微細水滴の生成量、生成時間、乾燥時間をコントロールするための制御手段12に検知した浴室内温湿度情報を伝達している。浴室2内には衣類を吊り下げ保持するためのハンガーポール13が設けられており、ハンガー14に保持された衣類を吊り下げ保持することが可能となっている。微細水滴生成手段15は、微細水滴生成部5と、微細水滴生成部5で生成した微細水滴を浴室に搬送する搬送手段である送風機105を備えている。
【0060】
浴室2内のハンガーポール13にハンガー14に保持された衣類を吊り下げ保持した状態で衣類脱臭システム1の運転を開始すると、微細水滴生成手段15の送風機105が運転を開始し、浴室2内の空気を吸引し、その吸引された浴室2内の空気に微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5により100μm以下の水滴が付加され、加熱手段108により40〜50℃程度まで加熱された後、再び浴室2内に供給され、循環処理される。この際、温湿度検知手段11により検知された浴室内温湿度に基づき、あらかじめ設定された衣類脱臭時の微細水滴生成量(例えば100g/min程度)、微細水滴生成時間(例えば10min程度)、乾燥時間(例えば10min程度)の最適値を決定し、決定した値に基づいて微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5、送風機105、及び加熱手段108、の運転条件を変更する。
【0061】
浴室2内に供給された100μm以下の水滴は浴室2内に吊り下げ保持された衣類に接近、付着し、衣類に付着している臭気成分を微細水滴内に溶解させる。その後、加熱手段108により昇温された空気により再び浴室2内空気に蒸発する。蒸発した脱臭後の水分を含んだ空気は再び吸入口103から微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5に循環吸引され、送風路4に設けられた除湿手段106により内部に含んだ臭気成分とともに回収される。除湿手段106は供給された空気を冷却することにより水分を結露させる方式であり、回収された臭気成分を含む水は排水口16より装置外部に排水される。除湿手段106により臭気成分及び水分を除去された空気は、再び加熱手段108により加熱、微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5により微細水滴を付加された状態となり浴室2に循環供給される。
【0062】
一般的な衣類脱臭システムにおいては、衣類脱臭の際に高温蒸気を生成することで衣類に付着した臭気成分の除去を行うため、高温蒸気を生成するための気化潜熱分のエネルギーを投入する必要がある。しかしながら、本発明における微細水滴生成手段15では、衣類脱臭用の水を装置内では蒸発させず、微細水滴として装置外に供給するため、蒸発潜熱分のエネルギーを供給する必要が無く、同一の衣類脱臭効果を得る場合においても消費するエネルギーを少なくすることが可能となる。
【0063】
送風路4には吸入口103から吸引した浴室2内空気を浴室2外に排気するための排気ファン及び排気流路、浴室外の空気を送風路4内に供給するための給気流路を備えた換気手段17(換気できれば良く、例えば換気扇等)が設けられており、微細水滴生成運転終了後の乾燥運転時に、浴室2外の空気に比べると高温高湿な浴室2内の空気を浴室2外に排出し、浴室2外の空気を浴室2内に供給することで浴室2内の乾燥を促進させている。
【0064】
衣類脱臭運転(微細水滴付加運転)時には、温湿度検知手段11により検知した浴室内温湿度の数値に基づき、あらかじめ最適な微細水滴生成量、微細水滴生成時間、乾燥時間を記憶した制御手段12により微細水滴生成量、微細水滴生成時間、乾燥時間を決定し、微細水滴生成手段15における微細水滴生成量、生成時間、加熱手段108による加熱量、加熱時間、換気手段17による換気量、換気時間、除湿手段106による除湿量、除湿時間を変更する。それぞれの最適値に関しては、あらかじめデータを採取しておき、吸込温湿度に基づいて決定する。一例としては、浴室内温度40〜45℃、相対湿度60〜70%程度の値となる各運転条件の決定が望ましい。
【0065】
微細水滴生成手段15の微細水滴生成部5で生成する微細水滴は極力水滴径が小さいことが望ましいが、100μm以下の水滴であればよく、微細水滴の量は多いほど脱臭効果が大きくなる。推定ではあるが、水滴径が小さい場合、衣類への浸透効果が高くなると考えられ、衣類脱臭効果も高くなりやすい。100μm以上のサイズの水滴を浴室内に供給した場合、浴室2内に吊り下げ保持した衣類への水滴の付着量(体積)が増加し、加熱による乾燥量よりも水滴の付着量が上回るため、衣類の濡れが進行してしまう。水滴径を100μm以下とすることにより、衣類に縮みや傷みを生じるほどの濡れを生じさせること無く、脱臭効果を得ることができる。
【0066】
なお、本実施例においては吸込温湿度による制御対象を、微細水滴生成量、微細水滴生成時間、乾燥時間のすべてにおいて変更する構成としたが、いずれか一つ、もしくはいずれか二つの制御対象としてもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0067】
また、本実施例においては衣類脱臭運転(微細水滴生成運転)時に同時に除湿手段106による除湿運転を実施する構成としたが、微細水滴生成を行った後の乾燥運転時に除湿手段106による除湿運転を実施する構成としてもよく、その作用効果に差異を生じないが、望ましくは、微細水滴生成運転時に除湿運転を行うことで脱臭効果が高くなる。
【0068】
また、本実施例においては、加湿手段108により浴室内空気の加熱を行うと同時に微細水滴生成運転を実施する構成としたが、衣類脱臭運転時には微細水滴生成運転のみの実施でもよく、その作用効果に差異を生じず、望ましくは微細水滴生成運転と加熱手段108による浴室2内空気の加湿を同時に行うことで衣類脱臭効果が高くなる。
【0069】
また、本実施例では水破砕部9を回転運動または往復運動する構成としたが、噴射ノズル8から噴霧された水滴を固定された壁面に衝突させる構成としてもよく、その作用効果に差異を生じず、望ましくは噴霧された水滴と水破砕部9の壁面との相対速度が大きくなる構成をとることによって微細水滴の水滴径をより小さくすることができる。
【0070】
また、本実施例では着臭した衣類を収納する収容庫として浴室2を利用したが、衣類を保持するための空間が確保できる収容庫であればよく、その作用効果に差異を生じず、望ましくは、一般家庭で使用される収納庫に本発明の脱臭方法、脱臭システムを取り付けることで特別な収納庫を用いることなく衣類の脱臭が可能となる。
【0071】
また、衣類の収納方法として吊り下げ保持するためのハンガー14を例としてあげたが、衣類の収納方法は上記吊り下げ保持に限定するものではなく、衣類を保持するための棚の設置等によってもその作用効果に差異を生じない。望ましくは、衣類全体に微細水滴が浸透しやすくなる収納形態が望ましく、衣類を広げた状態で保持できる収納方法をとることで衣類の脱臭効果を高めることができる。
【0072】
また、本実施例では吹出口104から吹出される微細水滴を含む空気を浴室2内に充満させ、浴室2内に衣類を吊り下げ保持することにより衣類の脱臭を行う構成としたが、吹出口104近傍に衣類脱臭装置から吹出される微細水滴を含む空気の吹出し方向を変更するための吹出し方向変更板などを設けて吹出し方向を変更し、微細水滴を含む空気を直接衣類に吹き付ける構成としてもよく、その作用効果に差異を生じず、望ましくは、衣類脱臭装置から吹出される微細水滴のうち、衣類に供給される微細水滴の割合が多くなることによって同一の効果を得るために必要となる微細水滴の生成量が少なくてすみ、ひいては衣類脱臭装置で消費するエネルギーを抑えることが可能となる。
【0073】
また、本実施例では除湿手段として空気を冷却することで結露させ除湿する方法をとったが、ゼオライトなどの吸湿材を利用した除湿方法をとってもよく、その作用効果に差異を生じない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
浴室に取り付けた衣類脱臭装置を用いて容易に浴室内の加熱、加湿を行うことができ、浴室をミストサウナとして使用する用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1の衣類脱臭システムを示す概略図
【図2】同微細水滴生成部の概略図
【図3】従来の衣類脱臭装置を示す概略図
【符号の説明】
【0076】
1 衣類脱臭システム
2 浴室
3 収容体
4 送風路
5 微細水滴生成部
6 水供給路
7 供給水加熱部
8 噴射ノズル
9 水破砕部
10 エリミネータ
11 温湿度検知手段
12 制御手段
13 ハンガーポール
14 ハンガー
15 微細水滴生成手段
16 排水口
17 換気手段
101 脱臭装置
103 吸入口
104 吹出口
105 送風機
106 除湿手段
108 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類の脱臭を行う衣類脱臭方法。
【請求項2】
微細な水滴を生成し、生成した水滴を含む空気により衣類を濡らすことなく脱臭を行う衣類脱臭方法。
【請求項3】
粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、衣類を収納した空間に、その生成した微細水滴を充満させる衣類脱臭方法。
【請求項4】
粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に供給し、前記空間内において衣類を微細水滴に暴露する衣類脱臭方法。
【請求項5】
粒径100μm以下の微細な水滴を生成し、生成した微細水滴を空間内に搬送し、前記空間に衣類を収納し、搬送された微細水滴を前記衣類に供給する、衣類脱臭方法。
【請求項6】
室と、前記室に粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成手段と、前記室内に衣類を保持する保持手段と、を備え、前記微細水滴生成手段により生成された微細水滴を前記室内に供給し、前記室内に前記保持手段により衣類を保持して前記衣類の脱臭を行う衣類脱臭システム。
【請求項7】
室が浴室であることを特徴とする請求項6に記載の衣類脱臭システム。
【請求項8】
微細水滴生成手段は、粒径100μm以下の微細水滴を生成する微細水滴生成部と、前記微細水滴生成部で生成した微細水滴を浴室に搬送する搬送手段を備えている、請求項6または7記載の衣類脱臭システム。
【請求項9】
浴室に供給される微細水滴を高温にする加熱手段を備え、前記浴室内に加熱された微細水滴を供給する、請求項6、7または8記載の衣類脱臭システム。
【請求項10】
浴室を乾燥するための乾燥手段を備え、微細水滴生成手段による微細水滴生成運転を一定期間実行した後、前記乾燥手段による乾燥運転を一定期間実行する、請求項6、7、8または9記載の衣類脱臭システム。
【請求項11】
乾燥手段は、浴室内を加熱する加熱手段と、前記浴室内を換気する換気手段を備えている、請求項10記載の衣類脱臭システム。
【請求項12】
浴室内を除湿する除湿手段を備え、乾燥運転時に浴室の除湿を行う、請求項10または11記載の衣類脱臭システム。
【請求項13】
微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整する制御手段を備え、前記制御手段により微細水滴生成量、微細水滴生成時間、および乾燥時間のすくなくとも何れか一つを調整する、請求項6、7、8、9、10、11または12項記載の衣類脱臭システム。
【請求項14】
浴室の湿度を検出する湿度センサーを備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成時間を調整する、請求項13記載の衣類脱臭システム。
【請求項15】
浴室の湿度を検出する湿度センサーを備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて微細水滴生成量を調整する、請求項13記載の衣類脱臭システム。
【請求項16】
浴室の湿度を検出する湿度センサーを備え、前記湿度センサーが検出する浴室の湿度に応じて乾燥時間を調整する、請求項13記載の衣類脱臭システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−37917(P2007−37917A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228175(P2005−228175)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】