衣類
手のような身体部分を収容するための開口部が設けられ、少なくとも2つの隣接する室にさらに分割されている、少なくとも1つの内部空間を取り囲む外部層を含む、例えば手袋の形状の1個の衣類が開示される。各室は、内部空間の開口部に配置された少なくとも1つの室開口部を包含し、そして手のような身体部分を選択的に収容する。各室の材料は、例えば、絶縁材料、機能層材料、耐切断性材料、耐熱性及び/又は耐火性材料を付与してもよい、少なくとも1つの保護材料層を用いて構成できる。本発明の設計により、未使用の室は圧縮された状態で内部空間に配置されつつ、所望する保護効果に応じて、手袋の使用者は設けられた室の1つに手を選択的に入れることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で着用者が少なくとも2つの異なる機能室の間を変更可能な衣類、特に手袋に関する。従って、この衣類は、例えば、身体部分、特に手の指の場合における、高い絶縁性能並びに高い可撓性及び触知性などの、様々に相反する要求を満たすことが可能である。従って、着用者は同一の衣類を様々な用途に使用できる。
【背景技術】
【0002】
特定機能の特性を備えた衣類は、様々な用途、例えば屋外作業、スポーツ活動、スキー自転車又はオートバイの運転、軍事行動又は消火活動に従事する場合などで着用される。それぞれの活動に応じて、衣類は、液体不透過性、防風性、水蒸気透過性、断熱性、難燃性又は耐切断性であるように設計してもよい。これらの特性は、衣類においてそれ自体が独立してそれぞれ実現されてもよく、これらの特性の1つ又は複数との組みあわせでもよい。
【0003】
これらの衣類は、ある層の上に他の層が配置された数多くの材料層から一般に構成され、これらの材料層の少なくとも1つは保護材料層である。防水性かつ水蒸気透過性の衣類の場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、親水性含浸剤もしくは親水性層が付与された延伸PTFE、通気性ポリウレタン層、又はポリエーテルエステル共重合体のようなエラストマーの、フィルム又は膜の形状の薄い機能層、及びそれらの積層体が、保護材料層として加工されることが多い。
【0004】
現在の保護衣類は、数多くの要求を同時に満足することが期待されている。しかしながら多くの場合、これらの要求は競合する特性であり、競合する特性とは、ある特性を実現することによって他の特性が制約されることを意味する。例えば、スキーグローブは、寒さ、湿気及び風から保護することを目的とする。この理由から、スキーグローブは数多くの材料層、例えば少なくとも1つの絶縁層と防水性かつ防風性の層とを含み、これらはある層の上に他の層が位置する層として、外部材料と一緒にグローブを形成する。この多層構造体はグローブの厚さを増大し、そのことが、着用者の指の操作性(dexterity)、すなわち指の素早さ、及び指のグリップや感覚の特性(触知性)を低下させる。手についての触知可能な操作性(tactile dexterities)は、厚く剛直なグローブ構造によって制約される。グリップする動き及び握りしめる動作が安全に行えないため、指の操作性が制約されると事故の危険が増大する。さらに、絶縁材料を使用した場合、絶縁性能を着用者の異なる要求に合わせて様々に適合させることができないといった不都合もある。活動の強度及び周囲条件に応じて、冬用衣類は、無活動フェーズの間の冷却効果に対する保護を提供しなければならない一方で、保護衣類は、動きの自由度を最大にし、かつ可能な限り活動フェーズ(登山、スキー)において熱を散逸しなければならない。
【0005】
さらなる例、オートバイのグローブの例において、雨中で運転する場合の最適なグリップは、防水性及び断熱性と相反する。グローブに防水性機能層を組みあわせると、指とグローブの外部材料との間にある、このさらなる層が、オートバイのハンドルにおけるグリップ感を制限し、従ってオートバイの制御を制限することにつながる場合がある。その原因の一つは、防水性機能層が外部材料に接着されて、そのことがグローブの厚さ及びグローブの曲げ剛性を増大することである。防水性機能層がアウターグローブの内側でインナーグローブとして緩く取り付けられている構造体において、一方に対して他方が摺動する層の動きによって、少なくとも指先で、防水性機能層が擦り切れる場合がある。
【0006】
作業用手袋としての保護手袋は、外部からの液体及び/又は気体に加えて熱の進入、又は切断/穿刺などから保護するために、一般に数多くの保護層を備えている。しかしながら、これらの保護層のいくつか、例えば切断及び穿刺から保護する層などは、時々必要になるだけでありながら、実際は手袋に取り外せないように一体化されて、剛直で厚く、重い手袋を形成する。しかしながら、そもそも保護手袋の場合、指の良好な操作性又は触知性は、要求される作業又は活動を安全に行うために重要である。
【0007】
従来技術は、手袋において競合する特性を組みあわせるという課題を解決する様々な方法を提示している。
【0008】
米国特許第4662006号(Ross)は、多層化したアウターグローブ及び多層化した除去可能な(取り外し可能な、交換可能な)ライナーグローブを含む、多層化した手袋を記載している。アウターグローブは、外側に撥水性層、内側に断熱層、及び外部層と内部層との間に配置された防水通気性層から構成される。加えて、内部絶縁層の内表面には滑り層が備わっている。ライナーグローブは、アウターグローブの内部で選択的に配置でき、追加の断熱を提供する。ライナーグローブは、異種の絶縁材料から構成され、ライナーグローブの外表面は粗面層が備わっている。滑り層及び粗面層を使用することにより、アウターグローブ内へのライナーグローブの挿入が補助される一方で、ライナーグローブがアウターグローブ内の所望位置に保持される。アウターグローブ内にライナーグローブを固定するために、固定手段、例えばジップファスナー又はベルクロ(登録商標)ファスナーなどが、ライナーグローブ及びアウターグローブの袖口に設けられる。手袋の使用者はアウターグローブを分離して着用できる。追加の断熱を必要とする場合、使用者は最初に手をライナーグローブに入れて、その後ライナーグローブと一緒に手をアウターグローブに滑り込ませればよい。2つのグローブは袖口の固定手段により互いに固定される。必要な場合にライナーグローブを使用可能にするため、ライナーグローブを常に分離して携行しなければならないことが欠点である。さらに、あるグローブを他のグローブに挿入すると非常に厚い多層化したグローブとなり、そのことは着用者にとって指の触知性が非常に低いことを意味する。
【0009】
米国特許第4785477号(Marzo)は、手の4本の指を受容するためのグローブ部分及び親指を受容するための親指部分を備えたミットを記載しており、親指部分を備えたそのミットは、着用者の引張感度(tensile sensitivity)を制限する、断熱材料からなる。グローブ部分は、人差し指を受容するための分離した人差し指区画を備えており、その区画はグローブ部分とつながっている。人差し指区画は薄い可撓性材料から作られており、人差し指の操作性を制約しない。人差し指区画は、グローブ部分の手の前面にある開口部を通ってグローブ部分とつながっている。通常、4本の指の全ては保温のためにグローブ部分にある。ある仕事のために、人差し指をグローブ部分から開口部を通して人差し指区画へと挿入する。このためにミットを脱ぐ必要はない。
【0010】
この構造体の欠点は、人差し指区画が人差し指のみを目的としており、他の指及び親指は引き続き触知性が制約されることである。人差し指のみが2つの機能的位置を選択できる。人差し指室を手の前面の開口部に適合させる必要があるため、そのようなミットを製造することは非常に複雑である。
【0011】
米国特許第5542125号(Zuckerwar)は、2つの交換可能なキャップを備えた基体を含む手袋を記載している。キャップの一方は指のキャップであり、他方はミトンのキャップである。それぞれのキャップは、固定手段によって取り外し可能に基体に結合される。基体及び2つのキャップは、防水性及び絶縁性の材料から製造される。基体は手の背面、手の前面、手首及び親指を覆う。基体の下部開口部は、ジップファスナー又はベルクロ(登録商標)ファスナーのような固定手段を含んでいる。キャップはそれらに適した固定手段を備えている。指について手作業の操作性が必要な場合、個々の指と一緒にキャップが基体に固定される。主に寒さに対する保護が必要な場合、ミトンキャップが基体に固定される。手自体は常に基体の中にある。要求に応じて、一方のキャップ又は他方のキャップのいずれかを基体に固定する。常に1つのキャップのみが基体にある。常に1つのキャップのみが基体に固定可能であるため、第2のキャップを必要な場合に備え、分離して携行しなければならないことが欠点である。キャップの交換は熟練と時間を要し、従って複雑である。
【0012】
米国特許第4759084号(Madnickら)は、選択的に形成された化学的加熱要素を受容するための、選択的に形成された室を備えた手袋を記載している。例えば、手の前面領域に長方形に形成された室がある。ある実施態様では、室を備えた手袋は指なし手袋であってよく、さらなる実施態様では、その指なしの手袋は、寒中で使用するための、アウターグローブ中の取り外し可能なインナーライナーグローブである。特別な実施態様には、アウターグローブと、そのアウターグローブ内に挿入可能なライナーグローブとが含まれる。ライナーグローブは、指の先端から内側に向かい、手の背面の材料と手の前面の材料との間に配置され、かつ化学的加熱要素が外側から挿入される室を、指の領域に有する。ライナーグローブ中の指は、加熱要素が指の背面又は指の前面のいずれを暖めることが目的であるかに応じ、選択に従って室の上側又は下側に位置していてよい(図19〜21)。グローブインサート(ミトングローブ)の指領域は、内側に向かって折り畳まれた材料層を用いて、同じ機能を備えた2つの室へとさらに分割される。外側に形成された折り畳み部には、指を暖める化学加熱要素がある。指が折り畳み部の上に位置している場合(上室)、指の前面が暖められ、指が折り畳み部の下に位置している場合(下室)、指の背面が暖められる。この発明のインサートはアウターグローブ内に挿入されることを意図していることが欠点である。このことは、結果としてこれまでと同様に、全体の手袋には数多くの材料層があって、それらの層が手の触知性を大幅に妨げるという、最終的な影響を及ぼす。人差し指のみがインサートの開口部を通ってアウターグローブへと延ばすことができて、この一本の指の感触が改善される。室の有する唯一の機能は、指の背面又は指の前面に加熱要素を配置することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の問題及び上記先行技術から、本発明の目的は、外部条件及び/又は様々な作業条件下での外来物質及び/又は気候条件に対する十分な保護を着用者に提供しながら、同時に衣類の中に位置する身体部分の動きの自由度及び操作性を十分なものにする、改良された衣類、特に改良された手袋を提供することである。本発明の目的は、特に、手の指の触知性及び操作性を確保しつつ、外来物質又は異物のような外部の影響に対する十分な保護を着用者に提供する、改良された手袋である。衣類は、着用者のために簡単に構成されることを意図しており、取り扱いが簡単である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、請求項1は、身体部分を受容するための少なくとも1つの開口部を備えた少なくとも1つの内部空間を取り囲む外部層を有する衣類を提案する。この内部空間は少なくとも2つの隣接する室に分割され、各室は、内部空間開口部に配置された少なくとも1つの室開口部を有する。従って、隣接する室は互いに平行に配置される。内部空間開口部に配置されるとは、その少なくとも2つの室開口部が、それらが内部空間開口部を満たすように、内部空間開口部に挿入されることを意味する。
【0015】
独立請求項38は、独立した解決方法として、手を受容するための内部空間を取り囲む外部層を有する手袋を、特許請求の対象としている。この内部空間は少なくとも2つの隣接する室に分割され、各室は室開口部を有し、その室開口部は内部空間開口部に配置される。従って、隣接する室は互いに平行に配置される。ここでもまた、内部空間開口部に配置されるとは、少なくとも2つの室開口部が、それらが内部空間開口部を満たすように、内部空間開口部に挿入されることを意味する。
【0016】
その結果、本発明の構造体は、衣類の内部、特に手袋の内部で、着用者が1つの同じ身体部分のための少なくとも2つの室を選択的に装備することを可能にする。従って、着用者は身体部分又は手を、手袋の一方又は他方の室のいずれかに挿入できる。
【0017】
2つの室が設けられることが好ましいが、内部空間に2つより多い室が配置されてもよい。内部空間は第1室開口部を備えた第1室と、第2室開口部を備えた第2室とを有し;身体部分又は手を選択的に受容するために、内部空間開口部内で室開口部が互いに隣り合って配置されるように、これらの室が互いに平行に配置されることが好ましい。このために、内部空間開口部は、内部空間開口部端部を備え、各室開口部は室開口部端部を備え、室開口部端部は、特に縫合されて、内部空間端部に接合される。少なくとも2つの室のそれぞれは内部空間の形状を有しており、手袋の場合、例えば各室はアウターグローブのグローブ形状を有する。
【0018】
着用者が1つの室を使用する場合、他の室は完全に圧縮されて、外部層の内表面の部分に接しているように、室は設計される。従って、実際のところ1つの室のみが使用可能である。着用者が所望する機能に対応する室を使用するように、室は機能的に異なる。従って、第1室は少なくとも1つの第1機能を有してよく、第2室は少なくとも1つの第2機能を有してよい。第1機能及び第2機能には違いがある。いくつかの実施態様では、機能は同じであってもよいがその程度が異なる。例えば、室が異なる厚さの絶縁層を備えていてもよく、その結果、異なる水準の絶縁能力を有してもよい。本発明の衣類は、結果的に異なる機能を発揮し、このとき着用者は追加の衣類を着用する必要はない。各室は、目的の機能に必要な材料層を専ら含有する室材料を有する。
【0019】
先行技術で提供される、ある層の上に他の層が配置される材料層は、競合する特性を備えた材料層を含む室がないように、本発明の少なくとも2つの室の間で分割される。室は少なくとも1つの室材料を有し、外部層は少なくとも1つの外部層材料を有する。2つの室を備えた実施態様では、第1室が第1室材料で構成され、第2室が第2室材料で構成される。第1室材料は大抵の場合第2室材料と異なる。異なるとは、室材料が、それらの材料組成、厚さ、材料層の配置などにおいて、互いに異なることを意味する。従って、室材料の選択により、少なくとも1つの特別な機能を各室に割り当てることができる。一方の室が、例えば水、気体及び風に対する保護を担当し、他方の室が寒さから身体部分を保護する効果を有し、又は一方の室が熱及び火に対する保護、もしくは穿刺及び切断の危険に対する保護を提供する。一方の室の室材料の厚さがさらなる室の室材料の厚さより薄いことが好ましい。例えば、異なる絶縁の要求を満足するために、一方の室が厚い絶縁層を有し、さらなる室が薄い絶縁層を有する。さらに、手袋の場合、主に手の指の操作性を保持するために、例えば厚い室材料が手の背面領域に配置され、薄い室材料が手の前面領域に位置する。ある実施態様では、少なくとも1つの室が、少なくとも部分的に外部層材料からなる。特にある例では、第2室が第1室材料と外部層材料とを用いて形成される。
【0020】
少なくとも1つの室材料及び/又は外部層材料は、少なくとも1つの保護材料層を有する。この保護材料層は、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料及びこれらの層の組み合わせを含む群からの少なくとも1つの層を有する。機能層材料の層は、液体不透過性であって、そして延伸ポリテトラフルオロエチレンの微多孔質高分子膜を有することが好ましい。
【0021】
第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の第1保護材料層を有することが好ましい。このことは、第1室材料の室が主に対応する身体部分又は手の断熱を担当するという利点を有する。第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層と少なくとも1つの機能層材料の層とを含む第1保護材料層を有することが好ましい。この材料の組み合わせは、絶縁効果に加えて、機能層が例えば液体、水、空気又は風の進入に対する保護を提供するという利点を有する。第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の第1保護材料層を有することが好ましい。このことにより、必要であれば、穿刺又は切断による怪我から着用者を特に保護できる。
【0022】
第2室材料は布地材料の層を有することが好ましい。このことは、第2室が特に薄い室壁を有し、その結果身体部分又は手の触知性をほとんど制約しないという効果を有利に実現する。さらなる実施態様では、第2室材料は、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の第2保護材料層を有する。このことは、第2室もいくらかの断熱を提供することを意図している場合に有利である。しかしながら、身体部分又は手の触知性が制約されないように、この絶縁層は第1室材料と比較して薄い。さらなる実施態様では、第2室材料は、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の第2保護材料層を有する。ここでは、第2室のみが、例えば防水性のような特徴を有することに利点がある。
【0023】
外部層材料は、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の第3保護材料層を有することが好ましい。この構造は、いずれの室の機能を選択したか関係なく、結果として熱及び火から消防士を保護するため、特に消防士にとって有利である。外部材料層が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の第3保護材料層、好ましくは液体不透過性機能材料層を有することが好ましい。この実施態様は、衣類又は手袋が全体として液体不透過性に作られ、着用者が室の機能をさらに選択できる点で有利である。外部層材料が少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の第2保護材料層を有することが好ましい。このことは、衣類又は手袋がいかなる時も穿刺又は切断による怪我から保護する点で有利である。
【0024】
外部層から室が引き出されることを防止し、着用者が容易に所望の室へと滑り入れることが可能なように、室は外部層に固定されなければならない。このために、内部空間の開口部内でかつ外部層の内表面にて、室が互いに固定される。ある実施態様では、少なくとも1つの室が外部層に接合される。室が互いに入れ替わることができないように、室が内部空間に取り付けられていることが好ましく、例えば、少なくとも2つの室は、例えば室の端部領域にて、又は指の先端及び室開口部にて、互いに縫合又は接着される。
【0025】
ある実施態様では、少なくとも2つの室の形成を、内部空間の横断面を中央で内部空間の長軸方向において区切る、少なくとも1つの可撓性材料層を用いて行ってもよい。ある室を使用する場合に、材料層を外部シェルの内表面に完全に接触させることが可能であり、そうすることで使用していない室を完全に圧縮するために、可撓性材料層の領域が、内部空間の内部領域の少なくとも半分であることが重要である。このように、各室は着用者に大体同じ室体積を提供する。可撓性材料層は少なくとも1つの室材料から形成される。
【0026】
さらなる実施態様では、第1室材料が、内部空間と同じ形状である第1衣類インサートを形成する。この衣類インサートは、インサートの片面が可撓性材料層を形成するように、内部空間の長軸に沿って内部空間内に設けられる。本発明のさらなる実施態様では、いずれの場合も、一方の上に他方が配置されかつ互いに隣接するインサートの複数面を用いて可撓性材料層が形成されるように、内部空間内で内部空間の長軸に沿って第1衣類インサートに平行に同じように固定された、追加の第2衣類インサートを第2室材料が形成する。
【0027】
主に着用者を保護し着用感を改善するが、例えば動きの自由度及び接触感覚を維持するなどの特性を可能にする必要のない材料層を、第1室が含むことが好ましい。一方で、着用者の身体構造上の特徴に適合するように作られ、その結果着用者の触知特性が大部分保持される、少なくとも1つの薄い材料層を用いて第2室が構成される。手袋の例では、第1室は、手袋の手背面領域に割り当てられ、絶縁層又は穿刺及び切断から保護する複数の絶縁層のようなより厚い層を含む。第2室は、手袋の手前面領域に割り当てられ、指の可動度をこれ以上制限しないために、仮にあったとしても非常に薄い材料層のみを有する。着用者は必要に応じて、一方又は他方の室のいずれかを使用できる。着用者がある室に変更すると、他の室は自動的に圧縮されて、別の室が使用されている最中にそれぞれ邪魔にならない。室が互いに隣接して配置され、その結果衣類又は手袋の内部で平行に配置されるために、着用者は特定機能のための追加手袋を分離して携行する必要はなく、必要であれば、追加手袋に変更するか追加手袋をさらに取り付ける。特に、困難かつ面倒な、異なる機能を備えた生地の小片の接合/フィッティングはもはや必要ではない。本発明の解決方法を用いると、将来的には、触知性を犠牲にした追加保護層によって生じる不都合に着用者は制約されない。優れた触知性が望まれる場合、着用者は対応する薄い室へと滑り込ませるだけでよい。特定の保護機能が最も重要な場合、着用者は特定の保護材料層を備えた室へと変更する。
【0028】
他の実施態様では、ある室が薄い絶縁層のみを有する一方で、他の室が少なくとも1つのより厚い絶縁層又は数多くの絶縁層を有するといった、様々な絶縁要求を室が満足する。その結果、着用者は、外部条件に応じて、高絶縁効果及びより低い絶縁効果を選択できる。
【0029】
この場合、各室が配置される内部空間の形状を各室は有する。例えば、一例として、内部空間がジャケットの袖の内部であってよく、少なくとも2つの室はそれぞれ同様にジャケットの袖の形状を有する。
【0030】
ズボンの脚の内部空間が関係する場合、少なくとも2つの室はそれぞれズボンの脚の形状である。
【0031】
内部空間が靴の内部空間の場合、少なくとも2つの室の形状はそれぞれ、靴の内部に対応する。
【0032】
さらなる実施態様では、本発明は、手背面領域及び手前面領域を備えた外部層を有する手袋によって実現され、外部層によって形成された内部空間は第1室及び第2室に分割される。第1室が手背面領域と第2室との間に配置され、かつ第2室が第1室と手前面領域との間に配置されるように、室は内部空間内で隣接して配置される。例えば、室を含む手袋全体が水などの液体の進入から保護されるような液体不透過性機能層などの、保護材料層を備えた外部層材料を外部層は有する。少なくとも1つの絶縁材料層及び少なくとも1つの布地材料層を有する多層化した第1インナーグローブによって、第1室が形成されてもよい。少なくとも1つの布地材料層を有する第2インナーグローブによって、第2室が形成されてもよい。
【0033】
そのような手袋は、寒い場合の第1絶縁室と指の触知特性が要求される場合の第2の薄い触知室とを液体不透過性手袋の内部で選択する可能性を着用者に与える。第1絶縁室は手背面領域に位置し、従来のスキーグローブであってよい。第2室は布地インナーライナーのみを含み、手前面領域に配置される。第1室の片面と第2室の片面とはそれぞれ互いに接触し、滑らないように互いに接合される。着用者が第2室に入る場合、第1室は手の背面に沿って完全に押し付けられる。その結果、指の周縁領域の3/4と手には厚い絶縁材料層がなく、結果として、優れた指の触知性及び操作性を有する。
【0034】
さらなる実施態様は上述したような本発明の手袋を提供する。上記と異なる点として、第1室は、布地層に接合された液体不透過性機能材料層の形状の保護材料層を備えたインナーグローブを含む。さらに、このインナーグローブは絶縁材料層を含んでもよい。第2室は外部層の材料及び第1室のみによって形成される。第2下部室では、ライダーの手とオートバイのハンドルとの間に外部層材料のみがあるため、この実施態様は特にオートバイ用グローブに適している。結果として、ライダーは運転について最適のグリップ感を有する。必要であれば、例えば雨中運転する場合、ライダーは、触知性が非常に高い第2室から、多少絶縁性かつ防水性に作られた第1室へと変更する。
【0035】
さらなる実施態様では、火、衝撃、切断又は穿刺からの保護を提供する層などの保護材料層が、絶縁層又は液体不透過性層の代わりに第1室内に設けられてもよい。例えば、第1室がこれらの保護材料層の1つ又は複数を備えてもよい。要求に応じて、第2室が手に必要な触知特性を提供する限り、第1室の保護材料層を互いに様々に変更してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
これより本発明を図に基づいてより詳細に説明する。図1〜14では手袋の例により本発明を説明する。様々に記載された実施態様において、同じ部分には同じ符号が付されている。記載中選択される位置表示、例えば、上部、下部、側部などは、直接記載され表示された数字に適用し、位置変化がある場合、同じように新しい位置へと移動される。図示及び記載した典型的な実施態様からの個々の特徴又は特徴の組み合わせはそれ自体で、独立した、発明的な又は本発明による、解決方法を示しうる。
【0037】
本発明の用語のいくつかを以下より詳細に説明する。
【0038】
「外部層」は衣類の最外部領域を形成し、外部環境と接触する外部領域を有する。外部層は1つ又は複数の材料層を含み、使用者の身体部分を受容するための少なくとも1つの内部空間を取り囲む内表面を有する。さらに、外部層は、溶接された、接着された、又は縫合されたシームなどの接合要素を用いて接合されていてもよい、1つ又は複数の外部層部分によって形成されてもよい。この場合、外部層部分は、同じ又は異なる材料、特に布地材料、革材料、可撓性プラスチックなどからなっていてよく、これらの材料は、従来技術で知られている方法によって処理されていてもよく、例えば、疎水化、疎油化、エンボス加工などが施されていてもよい。布地材料は織布又は編み布であって、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアラミド、ナイロン及び綿を含む群から選択してもよい。
【0039】
本発明の「衣類」は図に示した手袋の実施態様に限定されない。衣類は、使用者の身体部分を覆う任意の所望の生地によって形成されてもよい。本発明の衣類の好ましい形態変形は、特に手袋に関係するが、ズボン、特にズボンの脚、ジャケット、特にジャケットの袖、又は靴もまた関係する場合がある。
【0040】
「手袋」とは指あり手袋又はミトンである。いずれの形状の手袋も、手背面領域(手の上側部分)、手前面領域(手の内側部分)及び指の間に存在する指側面部分を有し、それらが互いに縫合されることが好ましい。ミトンは、4本の指が共通のカバーの中にあるように、4本の指を全て取り囲む指の側面部分を4本の指領域に有する。
【0041】
用語「手背面領域」とは、指の背面及び親指の背面を含む手の背面を覆う、手袋の手の上側部分である。用語「手前面領域」とは、親指の付け根と、指及び親指の関係する領域を含む、手のひら又は手の前面を覆う、手袋の手の内側部分である。
【0042】
さらなる実施態様では、アウターグローブは指あり手袋及びミトンの組み合わせである。このために、手背面領域はミトン状に形成され、手前面領域は指あり手袋の形状である。この組み合わせ手袋は、手前面領域で個々の指の可動性及び触知性が再生される一方で、手背面領域で指が共通のカバーによって覆われるという利点を有する。
【0043】
ある実施態様では、本発明の手袋はそれ自体が、さらなるアウターグローブに挿入されてそのアウターグローブに既知の固定手段で固定される、インナーグローブ(グローブインサート)である。インナーグローブのアウターグローブへの固定は、取り外せないものであってもよく、インナーグローブを取り除いて結果的に交換できるような場合において、取り外し可能であってもよい。
【0044】
用語「室」とは、外部層の内部空間内に配置されており、そして外部層材料及び室材料によって部分的に形成されているか少なくとも1つの室材料によって形成されている、空間である。室は、使用者の身体部分を受容するために供されて身体部分の外形と大部分が一致し、外部層の内部空間の寸法にされている。本発明によれば、少なくとも2つの室が内部空間に設けられる。身体部分がある室の中にある場合に、その室が内部空間を完全に満たすように、室は外部層の内部空間内で互いに平行に配置される。その結果、身体部分の入っていない他の室は、もはや大部分について室の中に空間体積がないように、内部空間の長軸に沿って押し付けられる。従って、この押し付けられた室は、手前面領域又は手背面領域のいずれかの内表面に沿って位置する。
【0045】
「インサート」は、外部層の内部に位置して着用者の皮膚を覆うインナーグローブのような、インナー衣類に関する。インナーグローブは一般に非常に薄く、毒性及び/又は非毒性の液体及び/又は気体及び/又は機械的作用による汚染から保護する、1つ又は複数の薄い保護材料層を特に有してもよい。インサートは液体不透過性、好ましくは防水性、及び/又は水蒸気透過性であってよい。インサートは膜又は積層体のインサートであることが好ましい。インサートの一例は、第1室又は第2室を取り囲む、非常に薄いインナーグローブである。しかしながら、インサートを布地ライナー材料のみから製造してもよい。
【0046】
本発明について「積層体」とは、少なくとも1つの機能層及び少なくとも1つの布地層を有する、層の複合体である。少なくとも1つの機能層及び少なくとも1つの布地層は、先行技術で知られている手段及び方法によって互いに接合される。機能層は高分子材料で作られることが好ましい。
【0047】
用語「触知性」とは、何かを感じる、触る又は把握する能力であって、触知性とは指先の感度として説明されることが多い。
【0048】
「布地層」(布地材料、布地)とは、編み布又は織布である。この材料は、合成繊維、天然繊維、又は合成繊維と天然繊維の混合物を有する。
【0049】
「保護材料層」は、例えば手袋などの衣類において外来物質及び/又は異物という外部の影響から着用者を保護する、材料層又は積層体である。保護材料層は、外部材料の構成部分であって環境に直接面するように作られてもよい。しかしながら、衣類の内側に配置して着用者に直接面するように作られてもよい。
【0050】
「水進入圧試験(スーター試験)」:水進入圧試験は、材料サンプルの片面に対して水を押し付けて、水の透過について材料サンプルの他面を観察することに本質的に基づく、静水抵抗試験である。20±2℃の蒸留水を表面積100cm2のサンプル材料に徐々に加圧する試験方法に従い、水圧を測定する。水圧上昇は60±3cm(H2O/分)である。その後、水圧を水がサンプルの他面に現れた時点の圧力とする。正確な手順は1981年のISO規格No.811に規定されている。「防水性」とは、少なくとも7kPa、好ましくは7kPaを超えて、好ましくは10kPaの水の進入圧に耐える材料を意味するものと理解される。原則としてISO811−1981の記載に基づくスーター試験も使用されることが多い。この試験方法は、材料サンプルの片面に対して水を押し付けて、水の透過について材料サンプルの他面を観察するという、材料サンプルに作用する圧力の小さな変化に基づく。試験に関しては、水を直径7.62cmのサンプル領域に適用できるように、材料サンプルをホルダーのゴムシールの間にきつく固定する。気圧0.07bar(7kPa)でサンプルの片面に水を供給する。サンプルの反対面を3分間水の透過について目視観察する。水の透過が観察できなかった場合、サンプルは試験に合格し、防水性であると見なされる。
【0051】
「水蒸気透過抵抗Ret」:Ret値は、本発明の機能層のようなシート状構造体又は複合材料(積層体)の特有の材料特性であり、一定の分圧勾配下において所与の面積を通る蒸発潜熱流束を決定する。「水蒸気透過性」は、水蒸気透過抵抗Retが150m2Pa/W未満である材料を定義する。シート状構造体はRetが20m2Pa/W未満であることが好ましい。水蒸気透過性はHohenstein MDM 乾燥法によって測定され、Bekleidungsphysiologischen Instituts(衣料生理学研究所)e.V. Hohensteinの標準試験規格No.BPI 1.4(1987)に記載されている。
【0052】
「微多孔質」とは、材料の内部構造を通る非常に小さい微視的な空孔を有する材料を意味するものと理解され、その空孔は、材料の一方の表面から他の表面に、連結して連続した接続又は通路を形成する。空孔の寸法に従い、結果として材料は空気及び水蒸気を透過するが、液体水は空孔を通過できない。
【0053】
図1は本発明の原理を概略的に示す。このために、指あり手袋10の形状の衣類を図1に図示する。指あり手袋の代わりにミトンが用意されてもよい。原則として、本発明の衣類が意図するのは、衣類の着用者の少なくとも1つの身体部分を、外部から作用する外来物質及び/又は異物との接触から確実に保護することである。同時に、着用者の接触感覚及び動きの自由度が維持されることを予定している。特に水が外来物質として考慮されるが、一部の状況下で着用者にとって健康に害があり毒性となりうる、他の種類の外来物質又は媒体、例えば化学物質、アルカリ性又は酸性物質、微粒子、気体、エアロゾル、例えば臭気粒子などの粒子なども可能である。外来物質は、炎、火、蒸気及び熱の状態で作用する場合もある。機械的に衣類を傷つけることが可能な、尖った鋭いものが、異物として理解される。異物には、切断及び打ち抜き道具、ナイフ、はさみ、破片、断片などが含まれる。
【0054】
手袋10は、使用者の手を受容するための内部空間13を取り囲む、内表面12を備えた外部層11を有する。内部空間13は、手を出し入れするための、内部空間端部18を備えた内部空間開口部14を有する。内部空間は様々な形状を取ることができる。手袋の場合、内部空間は手袋の内側である。例えば衣類がズボンの場合、内部空間はズボンの脚の内側であってよい。ジャケットの場合、内部空間はジャケットの1つの袖の内側であってよい。靴の場合、内部空間は靴の内側であってよい。
【0055】
手袋10は、手背面領域16及び手前面領域17に加えて、指の間に位置する指側面部分を有し、それらは互いに接合され、好ましくは縫合される。特別な実施態様、例えば消防用手袋の場合など、外部層は、手首を覆いさらに超えて着用者の腕を覆う袖口を有してもよい。この場合、内部空間開口部を手首領域に設けてもよい。
【0056】
内部空間13は少なくとも2つの隣接する室20、30に分割される。要求に応じて、内部空間13内に3以上の室を設けることも可能である。
【0057】
隣接とは、室20、30が互いに平行に配置され、その結果少なくとも1つの共通の室壁を有することを意味し、その室壁は内部空間13の長軸方向において内部空間13の横断面を完全に分割する。各室はそれ自体が区切られており、内部空間開口部14に配置された少なくとも1つの室開口部21、31を有する。例えば、衣類がジャケットの袖又はズボンの脚の場合、腕又は脚を所望の室を通して挿入できるように、各室が2つの室開口部を有していなければならない。室20、30が内部空間13の長軸にそって内部空間13を満たすように、それらは互いに平行に隣り合って位置する。室開口部21、31は、内部空間開口部14の中に位置して内部空間開口部14を満たす。結果として、内部空間開口部14は、2つの室開口部21、31及びそれらの室開口部端部22、32によって形成される。従って、親指の先端を含む指の先端(ミトンの場合は手袋の先端)から内部空間開口部14に至るまで、各室は他の室に平行にそれぞれ延在する。少なくとも1つの可撓性材料層又は室壁15を用いて個々の室を形成してもよく、その可撓性材料層又は室壁15は、内部空間13の長軸6の方向において、内部空間13の横断面を中央で分割する。可撓性材料層15とは、その材料層が、内部空間13の中で剛直かつ動かないように位置していないことを意味する。反対に、材料層15は、可撓性材料から作られ、室の用途に応じて手背面領域16又は手前面領域17のいずれかで外部層11の内表面12に接触できるように、その寸法について設計される。ある実施態様では、材料層15をその周縁端部で外部層11に接合してもよい。図1では、可撓性材料層15は手の前面の形状の材料層であり、親指の先端を含む指の先端から内部空間開口部14に至るまで、内部空間13の長軸6に沿って内部空間13を分割する。従って、内部空間13は手の形状で同じ大きさの2つの室に分割される。手の形状とは、指あり手袋の場合は、各室が4本の指と親指を備えた手の形状を有することを意味し、ミトンの場合は、親指のみがそれ自身の指区画を有し、そして他の指の領域は単一の切れ目のない区画によって形成されている手袋の形状を、各室が有することを意味する。
【0058】
従って、手袋の使用者は一方の室20又は他の室30を選択して手を挿入可能である。手が一方の室内にある場合、他の室は長手方向について圧縮され、材料層15は手背面領域16又は手前面領域17のいずれかに位置する。この原理を図4〜7及び10〜11に示す。例えば図4は図2の長手方向の部分断面を示し、手8が上側の第1室20に位置しており、その結果、材料層15が手前面領域17に位置して、下側の第2室30が圧縮される。手8が下側の第2室30に同様に位置してもよく、その結果、上側の第1室20が手背面領域16で圧縮される。
【0059】
本発明によれば、各室は少なくとも1つの特別な機能を着用者に提供する。手袋の場合、手前面領域17に最も近い室が、主に手の良好な触知性を保証する。このために、指の操作性及び手のグリップ感を大部分維持するために、室は可能な限り少ない層から構成される。手背面領域16に割り当てられた室は、例えば熱又は寒さなどの外部の影響、切断及び穿刺、液体及び/又は毒性のもしくは危険な気体から手を保護することを主に目的とする。これらの保護機能を個別に又は組みあわせてこの室に付与してもよい。このために、室は1つ又は複数の保護材料層、例えば絶縁材料層又は液体不透過性機能層などを含む。衣類がジャケットの袖又はズボンの脚の場合、一般に、室は様々な絶縁性能を提供し、同時に十分な動きの自由度を確保することを目的とする。
【0060】
図1に示す手袋10の場合、第1室20及び第2室30が設けられる。第1室20が手背面領域16と第2室30との間に配置され、第2室30が第1室20と手前面領域17との間に配置されるように、室20、30が内部空間13の長軸6に沿って互いに隣接して配置される。従って、図1に示した様式によれば、2つの室20、30は、内部空間13の中で一方が他方の上に配置される。使用者が手袋を着用する際に第1室20と第2室30から選択できるように、室開口部21、31も同様に、内部空間開口部14の内部で一方が他方の上に設けられる。さらに、各室20、30の室開口部21、31は、好ましくは室開口部21、31が内部空間開口部14を満たすように、内部空間開口部14で一体化される。このために、各室の室開口部端部22、32は内部空間端部18に部分的に接合される。図1に概略的に示されるように、各室開口部端部の1つの部分のみが、内部空間端部の1つの部分に接合される。室開口部端部と内部空間端部との接合は、例えば縫合、接着又は溶接によって行われる。
【0061】
本発明によれば、室20、30は少なくとも1つの室材料を有し、外部層11は少なくとも1つの外部層材料を有する。ある実施態様では、第1室20が第1室材料を有し、第2室30が第2室材料を有する。第1室材料は第2室材料と異なることが好ましく、このことは、それぞれの実施態様に相当するやり方で、室がそれぞれ異なる材料層から構成され、結果として異なる機能も発揮することを意味する。室材料又は外部層材料は、少なくとも1つの保護材料層45を用いて構成される。室材料及び外部層材料の両方が少なくとも1つの保護材料層を含む実施態様も可能である。この保護材料層45は、以下の材料層の少なくとも1つを有する:少なくとも1つの絶縁材料の層、少なくとも1つの機能層材料の層、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層、少なくとも1つの耐切断性材料の層。保護材料層は、上述した層のうち1つ又はこれらの層の多数の組み合わせを有してもよい。強化層として又はライナー層として機能する少なくとも1つのさらなる布地層に、保護材料層が接合されることが好ましい。少なくとも1つの保護材料層45は、上述した望ましくない外来物質及び/又は異物との接触から、包まれた身体部分又は手を保護する。この場合、衣類又は手袋は、外部層もしくは室(もしくは複数の室)のいずれか、又は外部層及び室(もしくは複数の室)に見られる、1つ又は複数の保護材料層を含んでもよい。
【0062】
絶縁材料の保護材料層は、身体部分又は手を寒さから保護する、あるいは反対に身体から周囲環境への熱移動を防ぐ目的に役立つ。ある典型的な実施態様によれば、絶縁材料は、脱脂綿、フォーム、不織布、フェルト、ステープルファイバー、ダウンなどのような通例使用される断熱材料の少なくとも1つである。絶縁材料は、多孔質材料であって、結果として水蒸気透過性であることが好ましい。Thinsulate(登録商標)又はThermolite(登録商標)のような材料を、例えば絶縁材料として使用できる。ある典型的な実施態様では、絶縁材料は布裏地層に接合される。さらなる実施態様では、絶縁材料は、制御可能な絶縁構造体を用いて形成される。この実施態様によると、絶縁構造体は少なくとも1つの膨張性区画を有する。膨張性区画は、区画の周囲に沿って気密であるように互いに接合された、好ましくは接着された、可撓性で空気不透過性の、好ましくはさらに防水性でもある2つの層によって形成される。膨張性区画は、所望の体積に設定するために、区画に空気を導入可能であるか、あるいは空気を区画から放出可能である、少なくとも1つの開口部を有する。絶縁構造体の好ましい実施態様では、多孔質絶縁材料が膨張性区画の内側に配置される。多孔質絶縁層は、2つの気密層の間に配置され、適切であれば、接着シームで一体化される。そこでは接着剤が多孔質絶縁材料を貫通し、そして2つの層を接合して、防水性で気密性のシームを形成する。絶縁性能が最大の場合、絶縁層は膨張しており、内部絶縁材料は厚くて羊毛状である。絶縁性能を減少する場合、前述の厚い絶縁材料が薄い層に圧縮されるまで、空気を区画から放出する。本発明の室20、30の一方が、膨張可能で収縮可能な絶縁構造体を少なくとも部分的に有してもよい。手袋の場合、好ましくは、手背面領域に割り当てられた第1室に膨張性絶縁構造体が付与される。
【0063】
機能層材料の保護材料層とは、液体及び/又は気体物質の進入に対するバリア層を意味するものと理解される。そのような機能層は、膜、フィルム又はコーティングであってよい。例えば、液体不透過性機能層は、少なくとも液体水の進入に対するバリアを形成し、理想的には液体の化学物質に対するバリアも形成する。ある実施態様では、機能層は液体不透過性及び水蒸気透過性である。また、機能層は、水蒸気透過性及び防風性、又は水蒸気透過性、防水性及び防風性であってもよい。機能層の存在は衣類の着用感を高める。なぜなら着用者の汗が内側から外側へと移動し、同時に水及び/又は風の進入が止まるからである。従って、衣類は全体で防水性及び水蒸気透過性である。また、機能層は化学的毒物及び/又は生物的毒物に対するバリア層であってもよい。これらの毒物は、液体状もしくは気体状、エアロゾルとして、又は粒子状で生じる場合がある。機能層は本質的にこれらの毒物に対して不透過性である。
【0064】
「水蒸気透過性」とは、水蒸気透過抵抗Retが150m2Pa/W未満である材料を意味するものとして理解される。機能層のRetは20m2Pa/W未満であることが好ましい。機能層は、少なくとも7kPa(0.07bar)分の圧力で液体水の進入を防ぐならば、液体不透過性と見なされる。液体不透過性機能層の水の進入圧は7kPaを超えることが好ましい。機能層は少なくとも1つの布地材料層と接合されて布地積層体を形成することが好ましい。布地材料層は織布もしくは編み布又は不織物であってよい。非常に多くの材料、例えばポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリオレフィン及びその他が、材料層の材料として考慮されうる。布地材料層は、滑らかな又は粗面化した、ポリエステルの編み布であることが好ましく、あるいは、消防用保護衣類に使用する場合、アラミドの編み布であることが好ましい。ある実施態様では、機能層は、布地材料層が機能層の片面に取り付けられている2枚重ねの積層体の形状であってよい。また、機能層は、布地材料層が機能層の各面に配置されている3枚重ねの積層体の形状であってもよい。さらなる実施態様では、機能層が外部層の内表面に向かい、そして布地材料層が衣類の内部空間に面するように、布地積層体が外部層11の内面にライナー構造体として固定される。上述した防水性及び水蒸気透過性の機能層を備えた布地積層体は、商品名GORE−TEX(登録商標)積層体で、W.L. Gore & Associatesから入手できる。
【0065】
また、機能層材料が、化学保護材料及び生物保護材料を含んでもよい。これらの保護材料は、液体、エアロゾル、気体又は粒子の状態の、危険性物質又は毒性物質との接触から保護する。従来から知られているこれらの保護材料は、特に、危険性物質又は毒性物質を、はじく及び吸収することによって、支配する又は結合することによって、分解又は破壊することによって、機能層の厚みを通るそれらの物質の移動を防ぐために使用される。例えば、そのような保護材料は、例えば活性炭に基づく収着剤に危険性化学物質を吸着する、化学吸着保護システムを有してもよい。
【0066】
他の保護システムは、危険性物質の触媒的クラッキングなどの、危険性物質と反応してそれらと結合するか分解する化学成分又は他の成分を含む。化学保護及び生物保護用途については、例えば不透過性層又は選択的透過性層を有する積層体、例えばW.L. Gore & Associates, Inc. (Elkton, MD, USA)から入手可能なGORE−PAK(登録商標)材料などを使用してもよい。さらなる実施態様では、機能層は、化学的毒物及び/又は生物的毒物に対するバリア層であり、そして少なくとも1つの液体不透過性、空気不透過性及び水蒸気透過性の膜と、化学的毒物及び/又は生物的毒物を吸着する吸着材に基づく、特に活性炭に基づく、少なくとも1つの吸着層とを有する。
【0067】
機能層は、多孔質及び/又は非多孔質の材料を有してもよい。例えば、機能層は、多孔質高分子層と、親水性高分子の連続した水蒸気透過性高分子層との複合体であってもよい。多孔質高分子層は微多孔質高分子膜であることが好ましい。一般に使用される微多孔質膜の厚さは、5μm〜500μmであり、50μm〜300μmであることが好ましく、5μm〜40μmであることが特に好ましい。合成高分子及び合成エラストマーが微多孔質膜用の高分子として考慮される。適した高分子は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン及びポリエステルを含むポリオレフィン、ポリケトン、ポリスルホン、ポリカーボネート、フルオロポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体などであってよい。特に好ましい微多孔質高分子膜材料は、微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。熱及び高温に関して非常に安定であって燃焼せず溶融もしないため、ePTFEで作った膜が特に適している。これらの材料の特徴は、多数の開放し相互連結した微視的空洞、大きい空洞体積、高強度、追従性(compliant)、可撓性、安定な化学特性、高い水蒸気輸送量、及び表面が良好な防汚特性を備えていることである。米国特許第3953566号及び第4187390号に、そのような微多孔質延伸PTFE膜の調製が記載されており、それらの内容を本出願に援用する。ある実施態様では、ePTFE膜は、水蒸気透過性で連続した親水性高分子層を有する。以下に限定されないが、適した連続の水蒸気透過性高分子は、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリエーテルエステル共重合体類、又はポリエーテルエステルアミド共重合体類からのものである。親水性組成物の適したポリエーテルエステル共重合体は、US−A−4493870(Vrouenraets)及びUS−A−4725481(Ostapachenko)に開示されている。適したポリウレタンはUS−A−4194041(Gore)に記載されている。適した親水性組成物は、US−A−42340838(Foyら)に見出すことができる。好ましい種類の連続の水蒸気透過性高分子はポリウレタンであり、特に、US−A−4532316(Henn)に記載されたような、オキシエチレン単位を含むものである。膜に追加の保護及び強度を提供する布裏地材料を膜に設けることが好ましい。裏地材料は、機能層の少なくとも1つの表面に、連続又は不連続の接着層を用いて積層してもよい。裏地材料は、織った、編んだ、天然又は合成の布地材料のシート状布地構造体であることが有利である。スクリム及び不織物もまた使用できる。ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ガラスファイバー、フルオロポリマーや、あるいはPTFEから織られた布地が、布地材料として特に適している。代わりに、さらなるシート状布地構造体を、膜の他の表面に配置してもよい。
【0068】
難燃性及び/又は耐熱性材料の保護材料層は、炎又は過度の温度との接触によって生じる燃焼に対してある程度の保護を提供し、そして、合成繊維、特に、例えばNomex(登録商標)の商品名で入手可能な、アラミド繊維及びパラアラミド繊維のような材料を含む。この保護材料層の難燃特性のために、材料は適切な量の少なくとも1つの難燃性繊維状材料を有する。ある実施態様では、規格EN533(1997)に適合して延焼を制限するために、材料の少なくとも50%が難燃性繊維状材料を含む。そのような繊維状材料を、アラミド、ポリイミド、プレオックス(preox)繊維、PBI又はメラミン樹脂繊維状材料を含む材料からなる群から選択してもよい。難燃性繊維状材料は耐熱性でなければならない。難燃性繊維状材料がアラミドから形成されることが好ましい。ある実施態様では、保護材料層は、アラミドの安定な繊維100%からなる。アラミドは非常に難燃性で、耐熱性、そして耐引裂き性である。難燃性繊維状材料はヤーンの形状を取ることが好ましい。難燃性繊維状材料は、LOI(限界酸素指数)値によって特徴付けてもよい。LOI値は、材料が依然として燃焼するのにちょうど十分な最小酸素含量に相当する。LOI値が30〜40%酸素を超える高分子システムは、自己消火性、すなわち内在的に難燃性である。テクニカルポリマーのLOI値は16〜30%である。一般にLOIが25より大きい繊維を難燃性であると見なす。難燃性繊維状材料のLOI値が少なくとも25であることが望ましい。上に列記した繊維状材料は、LOI値で28〜33を達成し、例えば、ポリイミドはLOI値で38を達成し、PBIはその値が40であり、プレオックス繊維はさらにその値が56〜58である。個々の繊維状材料に関するLOI値は文献から入手でき、例えば、the Denkendorf fiber table of the Institut fuer Textil− und Verfahrenstechnik(繊維化学・化学繊維研究所), Denkendorf,ドイツから入手できる。難燃性及び/又は耐熱性の保護材料層は、手袋の手背面領域などの少なくともいくつかの領域で外部材料を形成することが好ましい。
【0069】
耐穿刺性及び耐切断性材料の保護材料層は、切断、穿刺などの外部からの機械的負傷から保護する目的に役立つ。この目的に適した材料は、金属の織布もしくは編み布、又はアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン、グラファイト、スチールもしくはPTFE繊維の特に安定なヤーンの布地材料であってよい。特に好ましいのは、Kevlar(登録商標)繊維のようなパラアラミド繊維のヤーン、又はCordura(登録商標)のようなポリアミド6,6のヤーン、又は列記した材料の混合ヤーンもしくは混合繊維である。この耐穿刺性及び耐切断性の保護材料層は、外部層11の構成部分であって外部層の内表面又は外表面を少なくとも部分的に覆うか、あるいは第1又は第2室材料の構成部分である。
【0070】
第1室材料は、上述した層からなる群から選択される、少なくとも1つの第1保護材料層45aを有していてよい。また、第1室材料において多数の保護材料層を組みあわせてもよい。第1保護材料層が少なくとも1つの布地層に接合されることが好ましい。その上、第1室材料は、1つの布地材料のみからなっていてもよく、あるいは外部層11によって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0071】
ある実施態様では、第2室材料は少なくとも1つの第2保護材料層45bを有し、その層は、上述した層からなる群から選択してもよく、好ましくは第1室材料の第1保護材料層とは異なる。また、第2室材料は、布地材料、革又は合成皮革の少なくとも1つの層を有してもよい。布地材料は織布又は編み布であってよく、そして、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアラミド及び綿などの可能な材料からなっていてよい。さらなる実施態様では、第2室材料は外部層11によって少なくとも部分的に形成される。
【0072】
外部層11は少なくとも1つの外部層材料を有する。外部層は、衣類の最外部領域を形成し、外部環境と接触する外部領域を有する。ある実施態様では、外部層11は少なくとも1つの第3保護材料層45cを有する。外部層材料として、第3保護材料層が、外部層全体又はある大きさに切断された(cut-to-size)外部層の小片を形成してもよく、あるいは外部層材料に追加して設けられてもよい。外部層11は、外部層材料と、外部層材料の内表面に配置された液体不透過性機能層とを有することが好ましい。液体不透過性機能層は、さらに水蒸気透過性である。液体不透過性機能層は、グローブインサートの形状を取ることが好ましく、そのグローブインサートは微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とその膜の片面に接着された水蒸気透過性ポリウレタン層とを備えた少なくとも1つの積層体を有する。手袋のさらなる実施態様では、外部層は手背面領域において難燃性及び/又は耐穿刺性材料から作られてよく、そして外部層は手前面領域において布地材料から作られてもよい。
【0073】
図2〜図7は本発明の第1実施態様を示す。この第1実施態様では、着用者が寒さに対する絶縁機能と優れた指の触知性機能とを選択できる防水性手袋を説明する。図2は、この第1実施態様の追加材料層を備えた、図1の線II−IIに沿った長手方向の部分断面を示す。手袋10は、内部空間13を取り囲む外部層11を有する。外部層11は、外部層11の内表面12を完全に覆う、グローブインサート40の形状の液体不透過性保護材料層45cを有する。液体不透過性インサート40を、防水性であるようにインサート40の指及び親指の先端に固定されている接合タブ52を用いて、外部層11に取り付けてもよい。このために、接合タブ52を、外部材料11の指及び親指の先端に縫いつけてもよい。さらにインサート40の手開口部を内部空間開口部14に接合する。その代わりとして、例えば不連続接着層を用いて、インサート40を外部層11の内表面12に少なくとも部分的に接着してもよい。内部空間13は、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34を用いて、内部空間13の長軸に沿って2つの室に分割される。両方のインナーグローブ24、34はそれぞれ、それらのインナーグローブが内部空間13よりわずかに小さく、結果として各インナーグローブがそれ自体で内部空間13を満たすことが可能であるような寸法にされる。2つのインナーグローブ24、34は、内部空間の長軸に沿って互いに平行に、内部空間13の中で隣接して配置される。各インナーグローブはそれ自体が内部空間の形状である。従って、インナーグローブは指の先端から内部空間開口部14まで延在し、そして、それぞれのインナーグローブ開口部は互いに隣り合って配置されて内部空間開口部14と一体化している。
【0074】
第1室は、手背面領域16に位置して第1インナーグローブ24を有する。第1インナーグローブ24は第1室材料から製造され、そして布地ライナー層44に接合された絶縁材料42の第1保護材料層45aを有する。絶縁層42及びライナー層44を、例えば、これらの層の間に配置された不連続接着層又は水蒸気透過性の連続接着層を用いて、互いに接着してもよい。2つの層を、インナーグローブの周縁部に沿った接合シームを単に用いて、互いに同じように接合してもよい。絶縁層42は、例えば脱脂綿のような多孔質絶縁材料から作られる。また、多孔質絶縁材料の代わりに、膨張性絶縁構造体を付与してもよい。絶縁層42の厚さは、所望する絶縁性能に応じて選択できる。絶縁層に加えて、さらなる保護材料層を第1室に付与してもよい。インナーグローブ24を形成するために、第1室材料の2つの層は、一方の上に他方が配置され、そして、例えば接着又は縫合を用いて、ミトン又は指あり手袋の周縁部の形状に沿って互いに接合される。その後、インナーグローブは、この周縁部シームに沿って切り抜かれるか打ち抜かれる。布地ライナー層44は、第1室の内側に向いていて、着用者に快適な着用感を与える。
【0075】
第2室は、手前面領域17に位置して第2インナーグローブ34を有する。第2インナーグローブ34は第2室材料からなり、布地層46を有する。また、布地層46の代わりに、少なくとも1つの第2保護材料層45bを付与してもよい。さらなる構成では、布地層46を非常に薄い絶縁層の形状で第2保護材料層と組み合わせる。
【0076】
インナーグローブ24、34の両方とも、手背面領域26、36及び手前面領域27、37をそれぞれ有する。2つのインナーグローブ24、34の手背面領域及び手前面領域のうち、互いに隣接するそれぞれの層は、共通の室壁である可撓性材料層15を形成する。インナーグローブの手背面領域及び手前面領域は互いに接合されることが好ましい。接合は、連続又は不連続の接着によって全表面積にわたり行ってもよく、あるいは、好ましくは縫合又は接着によって、開口部領域及びインナーグローブの指先端領域において部分的に行ってもよい。第1インナーグローブ24が手袋10の手背面領域16に向いており、かつ第2インナーグローブ34が手袋10の手前面領域17に向いている場合、結果として、材料層15が、第2インナーグローブ34の手背面領域26及び第1インナーグローブ24の手前面領域27によって形成される。
【0077】
第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34は、内部空間13の中であってかつインサート40の内部に配置される。この場合、第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36は、一方の上に他方が配置されて、内部空間13を横断面について長軸に沿って2つの機能室に分割する可撓性材料層15を形成する。第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36の接合は、例えば、接合タブ52を用いてインナーグローブ24、34の指の先端及び親指の先端を接合し、可撓性材料層15の端部領域14においてインナーグローブ開口部の端部を接合することによって行ってもよい。さらなる構成によれば、手前面領域27及び手背面領域36は、互いに少なくとも部分的に接着されてもよい。
【0078】
図2は、インナーグローブ24、34、インサート40及び外部層11を互いに固定する可能な方法を示す。防水性インサート40は、指の先端及び親指の先端に接合タブ52が設けられ、接合タブは、例えば接着又は溶接によって、各指の先端及び親指にてそれぞれインサートの内側及び外側に固定され、接合タブの一部は固定用途のために固定されずに残っている。液体不透過性インサートが損傷せず、そしてその結果液体不透過性を失うことが重要である。インナー接合タブの固定されていない部分において、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34の指及び親指のそれぞれの先端を、好ましくは縫合によって固定する。アウター接合タブの固定されていない部分は外部層11に縫合される。
【0079】
第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34のインナーグローブ開口部はそれぞれ、第1室開口部21及び第2室開口部31を形成し、それらは内部空間開口部14の内部に配置される。インナーグローブ24、34の端部25、35は、内部空間開口部の端部18に接合され、好ましくは縫合される。しかしながら、これは、可撓性材料層15に属さない端部領域のみに適用される。可撓性材料層15の層は、それらの端部領域19において互いに好ましくは縫合される。従って、第1インナーグローブの端部領域25は、手背面領域において内部空間開口部の対応する端部18に接合され、好ましくは縫合され、そして第2インナーグローブ34の端部領域35は、手前面領域において内部空間開口部の対応する端部18に接合され、好ましくは縫合される。
【0080】
可撓性材料層15は、内部空間13の横断面の内部で、手背面領域16と手前面領域17の間を長軸に沿って自由に移動可能である。手8が第1インナーグローブ24の中にあるとき、可撓性材料層15は、圧縮された第2インナーグローブ34と一緒に手前面領域17に位置し、手8が第2インナーグローブ34の中にあるとき、可撓性材料層15は圧縮された第1インナーグローブ24と一緒に手背面領域16に位置する。
【0081】
図3は、第1実施態様において、インナーグローブ24、34のいずれにも手が入っていない、図1の線III−IIIに沿った横断面を示す。可撓性材料層15は、第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36によって形成される。材料層15は、手によって手背面領域16又は手前面領域17のいずれかに押し付けることができるように、内部空間13の中を移動可能であって適切な寸法にされる。横断面の周縁領域を拡大した細部は、外側から内側に向かって、アウターグローブの中にシーム54を用いて形成された外部層11と、外部層11の内表面12を覆うインサート40とを示す。第1インナーグローブ24は、第1室材料をインナーグローブに接合する周縁部シーム57を有する。第2インナーグローブ34は周縁部シーム56を用いて形成される。第1室材料は、絶縁材料層42及び布地ライナー層44を有する第1保護材料層45aを有する。第1及び第2インナーグローブ24、34は、インサート40の内部に配置されて内部空間13を満たす。
【0082】
図4は、手8が第1インナーグローブ24の中にある、すなわち第1使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。その結果、手8全体が絶縁材料42によって囲まれて、結果として寒さから保護される。液体不透過性インサート40は、少なくとも水の進入に対する保護をさらに提供する。第2インナーグローブ34は、手前面領域17で平らに押し付けられている。
【0083】
図5は、手8が第1インナーグローブ24に入っている、図4の線V−Vに沿った横断面を示す。この横断面は手首の位置で見たが、同じ横断面構造が手袋の親指又は指の領域でも得られる。手8が第1インナーグローブ24の中にあるということは、第2インナーグローブ34は手袋10の手前面領域17において圧縮されることを意味する。防水性インサート40は、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34の両方を取り囲む。
【0084】
図6は、図2の長手方向の部分断面を概略的に示す。手袋は、その構造において図2の手袋に相当し、手8が第2インナーグローブ34の中にあり、結果として第2使用状況にある点が異なる。絶縁層42及び布地ライナー層44を含む組立体全体が、手袋10の手背面領域16に位置するように、第1インナーグローブ24が圧縮される。その結果、指及び手を囲む領域の約3/4が絶縁されず、第2インナーグローブ34の布地層46、インサート40及び外部層11によって囲まれるのみとなる。従って、指の操作性を妨げる厚い絶縁層42はもはやなく、指はグリップ動作のために十分な動きの自由度を有する。さらに、指は手背面領域にのみ絶縁材料を有するため、指はいくらか冷却される。
【0085】
図7は、図6の線VII−VIIに沿った横断面を示し、図7の手袋10を通して手8が第2インナーグローブ34に挿入され、従って第1インナーグローブ24が、手袋10の手背面領域16において圧縮されるように配置される。その結果、手の触知性を妨げがちな厚い層が手背面領域16に配置され、手の指を手前面領域17で良好に動かすことが可能になる。
【0086】
図8〜図11は、本発明の可能な第2実施態様を概略的に示す。この実施態様の場合、着用者は、保護機能か指の触知性が優れる又は動きの自由度が大きいという機能のどちらかを選択する。保護機能は多様であってよく、水及び/又は風及び/又は危険性外部物質からの保護、穿刺及び/又は切断からの保護、熱又は寒さからの保護を、個々に又は組み合わせて含む。例えば、手袋10はオートバイ用グローブであってよい。オートバイ用グローブの着用者にとって、乗車中又はオートバイの操作中の指の優れた触知性は重要である。しかしながら特別な状況では、天候からの保護、特に手袋の防水性が最も重要である。
【0087】
図8は、この第2実施態様の追加の材料層を有する、図2の長手方向の部分断面を示す。手袋10は、好ましくは革から作られた外部層11を有する。ここでも、手袋10は第1室20及び第2室30を有し、内部空間13の長軸方向について内部空間13の横断面を中央で分割する可撓性材料層15によって、これらの室が形成される。第1室20は手背面領域16に割り当てられ、第2室30は手前面領域17に割り当てられる。第1室20は液体不透過性インナーグローブ60によって形成され、第2室30は外部層11の内表面12及びインナーグローブ60の手前面領域67によって形成される。インナーグローブ60の手前面領域67は同時に可撓性材料層15となる。インナーグローブ60は、第1室材料を含み、そして保護材料層として少なくとも1つの液体不透過性積層体50を有する。積層体50は、少なくとも1つの布地ライナー層44に接合された、少なくとも1つの液体不透過性、好ましくは防水性の、機能層41を有する。機能層はさらに防風性及び水蒸気透過性であってもよい。防水性、防風性及び水蒸気透過性の膜を使用することが好ましい。ある実施態様では、積層体50は、好ましくは1つの表面にポリウレタンの連続層及び上に積層されたライナー材料が付与された、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の防水性及び水蒸気透過性の微多孔質膜を有する。そのような積層体を含むインナーグローブ60は、例えば、W.L. Gore & Associates GmbH, Putzbrunn, DEから入手できる。そのようなインナーグローブ60は着用者を特に水から保護する。
【0088】
液体不透過性積層体とは別に、第1室材料がさらなる保護材料層を有してもよい。例えば、液体不透過性積層体は絶縁層を備えてもよく、あるいは耐切断性材料の層を有する。
【0089】
インナーグローブ60を、手袋10の手背面領域16に点状に接着してもよく、格子状又は連続的に適用された接着剤を代わりに使用してもよい。ここでは、第2室30を作製可能にするために、インナーグローブ60の手背面領域1のみを外部層11に確実に接合しなければならない。詳しくは、インナーグローブ60の端部の略半分のみが内部空間開口部の端部に接合され、その結果、インナーグローブ60の手前面領域67が、第1室20と第2室30との間に可撓性材料層15を形成する。図2に関して説明したように、インナーグローブ60を、手袋の指の先端及び親指の先端にて接合タブを用いて固定してもよい。この場合、インナーグローブ60の周縁端部を、外周縁部の周りで外部層11の端部にさらに接合する。接着による解決方法と同様の方法で、インナーグローブ60の端部を、インナーグローブ60の手背面領域1において内部空間開口部の端部に接合し、その結果、手前面領域67が、第1室20と第2室30との間に可撓性材料層15を形成する。
【0090】
図9は、図8の線IX−IXに沿った横断面を示す。インナーグローブ60の手前面領域67は、2つの室20、30の間に可撓性材料層15を形成する。インナーグローブ60の手背面領域66は、不連続の接着層55を用いて、外部層11の内表面12に固定される。図9において周縁領域を拡大した細部は、これらの層をこの部分で組み立てるやり方を示す。外部層11はシーム54を用いて接合される。インナーグローブ60は、液体不透過性機能層41及び布地ライナー層44の積層体50を含む保護材料層45を有する。インナーグローブ60は、接着シーム58を用いて形成される。インナーグローブの手背面領域66は、不連続の接着層を用いて外部層11に固定される。
【0091】
図10は、手8が第1室20に入っている、図8の長手方向の部分断面を示す。手8は液体不透過性インナーグローブ60の中にあり、従って第1室20の中にある。第2室30は圧縮され、インナーグローブ60の手前面領域67は外部層11の手前面領域17にある。
【0092】
図11は、手8が第2室30に入っている、図8の長手方向の部分断面を示す。第1室20、従ってインナーグローブ60の全体は、手袋10の手背面領域16で圧縮される。その結果、外部層11のみが手8の下側を覆い、手袋の着用者はこの領域において指の優れた触知性を有する。例えばオートバイの運転時の手の動作を確実に行うことができる。
【0093】
図12は、本発明によって、外部層11の内部空間13の中で第1室20又は第2室30を形成するために使用される、あるいはグローブインサート40として、外部層11の内表面12を覆う、インナーグローブ24、34、60、40を示す。液体不透過性機能層及び少なくとも1つの布地層を有する積層体を使用することが好ましい。布地層のない積層体を使用することも可能である。
【0094】
インナーグローブは第1材料層80及び第2材料層85を有する。第1材料層及び第2材料層が両方とも第1室材料又は第2室材料を含んでもよい。しかしながら、それらの層が異なる材料を含んでもよい。第1材料層及び第2材料層は、適当な接合手段によって所望の周縁端部に沿って互いに接合され、こうしてシーム56、57、58が形成される。向かい合う面が同じ材料で作られているように、ある層の上に他の層が配置された同じ構造体の2つの向かい合う材料層によって、インナーグローブが製造される。このシームは防水性であることが好ましい。着用者の手を受容するための開口部が設けられる。適当な接合手段の例は、縫合、接着、高周波シール、溶接、例えば超音波溶接、マイクロ波溶接及びヒートシールである。ある実施態様では、シームは、適当な接着剤、例えばポリウレタン接着剤、ホットメルト接着剤又は反応性ホットメルト接着剤などを用いて形成される。
【0095】
図13は、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。この断面は第1及び第2材料層80、85の実施態様を示す。第1及び第2材料層80、85はそれぞれ、布地ライナー層44に接合された保護材料層45を有する。保護材料層45及びライナー層44を、一方の上に他方を緩く置いてもよく、インナーグローブの周縁部シールのみを用いて互いに接合してもよい。また、それらを、連続的又は不連続的に適用された接着層を用いて、それらの表面積全体で互いに接合してもよい。通気性材料層が望ましい場合、接着層は、通気性の連続した接着剤又は不連続の接着剤のいずれかでなければならない。通気性接着剤とは親水性接着剤を指す。通気親水性接着剤は、高い水蒸気透過率を有し、そして層間に良好な接着をもたらす。通気性接着剤の例として、ポリエーテル−ポリウレタン、及び水分硬化性ポリエーテル−ポリウレタンが挙げられる。必要であれば、接着層がフィラーを含んでもよい。不連続の接着剤は、通気性又は非通気性のいずれであってもよい。不連続の接着剤は、保護材料層50又はライナー層のいずれかに適用してもよい。適用方法には、例えば格子印刷、グラビア印刷、スプレー及び従来技術で知られている全ての他の方法が含まれる。保護材料層は、所望する保護機能に応じて様々な材料を含む。インナーグローブを形成するために、保護材料層50及び布地ライナー層44は、所望するグローブ周縁部に沿ってシーム57を用いて互いに接合される。
【0096】
図14は、さらなる実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。第1材料層80及び第2材料層85はそれぞれ、防水性の3枚重ね積層体によって形成される。3枚重ね積層体は、2つの布地層44、46の間に配置された防水性及び水蒸気透過性のePTFE膜48を含む。これらの層を不連続の接着層を用いて互いに接合することが好ましい。2つの材料層80、85は、接着シーム58を用いて防水性であるようにインナーグローブに接合される。
【実施例】
【0097】
例1:本発明の衣類をスキーグローブの形状で製造する。アウターグローブは多数のグローブ部分(ある大きさに切断された(cut-to-size)小片)から製造する。アウターグローブは、手の上側部分、手の内側部分、及び指の間に位置する指側面部分を含む。これらの部分を互いに縫合する。手の上側部分及び指側面部分は、単位面積あたりの質量が120g/m2のポリエステルからなる。手の内側部分は手の上側部分と同じ布地材料からなるが、指の下側及び手のひらの領域において、布地材料の代わりに革を使用してもよい。アウターグローブの外側を撥水剤で疎水性にする。
【0098】
液体不透過性グローブインサートを製造する。このために、液体不透過性機能層及び布地層を含む2枚重ね布地積層体を製造する。機能層は、米国特許第4194041号による水蒸気透過性非孔質ポリウレタンコーティングを有する、微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。機能層を、ポリウレタン接着剤の複数の接着点をもちいて、片面で布地層に積層する。布地層をポリプロピレンから製造する。積層体の質量は50〜60g/m2である(ISO 9073−1による)。2つの布地積層体の一方の上に他方を配置して、グローブの輪郭に沿って防水性であるようにそれらを互いに接合することによって、インサートを形成する。このために、接着ビーズを積層体の布地層に適用する。接着ビーズをグローブインサートの外周縁部の形状に配置する。接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト接着剤である。第2積層体を第1積層体の上に配置し、布地層は一方の上に他方を配置する。2つの積層体を一緒に押し付けて、布地層を通して機能層へと接着剤を押し出し、そして2つの積層体を互いに接合する。その後、完成したグローブインサートを、手の形状にパンチで打ち抜く。グローブインサートは防水性及び水蒸気透過性である。そのようなグローブインサートは、W.L. Gore & Associates GmbH, Feldkirchenから入手可能である。
【0099】
第1室を第1インナーグローブの形状に製造する。このために、絶縁材料の2つの層を設ける。絶縁材料は、単位面積あたりの質量が40g/m2であるThinsulate(登録商標)であり、3Mから入手可能である。絶縁材料は、片方の表面に、単位面積あたりの質量が90g/m2である毛羽立てたポリエステルの布地ライナー層を備えている。ライナー層の一方の上に他方が配置されるように、絶縁材料の2つの層の一方の上に他方を配置する。続いて、これらの層を互いに縫合して、アウターグローブより寸法がわずかに小さいグローブを形成する。
【0100】
第2室を第2インナーグローブの形状に製造する。このために、アウターグローブより寸法がわずかに小さいグローブを、単位面積あたりの質量が90g/m2の毛羽立てたポリエステルの布地ライナー材料から縫合する。
【0101】
本発明のグローブを完成するために、最初に2つのインナーグローブを互いに接合する。このために、両方のインナーグローブの指の先端及び親指の先端にて、接合タブとして接着ストリップをそれぞれ縫合する。接着ストリップは、一方の表面に接着コーティングを有する、幅の狭い布地材料の小片である。市販の耐熱性接着剤、好ましくは熱活性化接着剤を、接着コーティングとして使用できる。2つのインナーグローブの接着ストリップをそれぞれ同じ指にて互いに縫合する。続いて、一方の上に他方が配置されている、第2インナーグローブのライナー材料及び第1インナーグローブの絶縁材料の端部を開口部領域で縫合可能なように、第1インナーグローブ及び第2インナーグローブの一方を他方の上に配置する。こうして可撓性材料層が完成する。
【0102】
布地ライナー層が外側を向くように、グローブインサートをその左側の上に折り返す。グローブインサートを2つのインナーグローブに接合し、そこでは、接着ストリップが、指及び親指の先端で、インサートの対応する指の先端及び親指の先端に接着されている。このために、接着ストリップを指のそれぞれの先端の上に配置し、そして圧力及び熱をさっと与えることによって、布地材料を通して機能層へと接着コーティングを浸透させ、そして接着ストリップをインサートに接合する。続いて、インサートを再度その右側の上に折り返すことにより、2つのインナーグローブが隣接して互いに平行であるように、それらのインナーグローブをインサートの内部で整える。インサート開口部の端部領域において、インナーグローブのまだ固定されていない端部をインサートの端部に縫合することもできる。
【0103】
完成したグローブについて、インサートは、アウターグローブの内部に配置されたインナーグローブに固定される。このために、圧力及び熱をさっと与えることにより、インサートの指の先端及び親指の先端にてさらなる接着ストリップを固定する。アウターグローブをその左側に折り返し、そしてアウターグローブの指の先端及び親指の先端を、インサートの接着ストリップの自由な端部に縫合する。続いて、2つのインナーグローブを備えたインサートがアウターグローブの内部にあるように、アウターグローブをその右側に折り返す。最終工程として、インサートの端部がインナーグローブの外端部によってきっちりと取り囲まれるように、アウターグローブ開口部の端部を縫合する。
【0104】
例2:本発明の衣類をオートバイ用グローブの形状で製造する。もっぱら革を材料として使用する以外は、アウターグローブを例1に記載したように製造する。革材料の厚さは0.6mmである。第1室として、グローブインサートを例1に記載したように製造する。続いて、グローブインサートを第1室としてアウターグローブ内に固定する。このために、手背面領域において、インサートの外表面に接着層を付与する。接着層は、格子状のポリウレタンの層であり、剥離紙を用いて表面上で融解する。インサートが型の上でぴんと張って折り目なく配置されるように、手の形状に作製された加熱可能な型の上にインサートを引っ張る。アウターグローブをインサートに被せて引っ張り、インサートの上でぴんと張って折り目なく配置する。手背面領域において、接着層をアウターグローブの内表面とインサートの表面との間に配置する。型を110℃以上に加熱することにより、接着剤を融解して手背面領域で2つの層を接合する。20秒後、グローブを型から引っ張って外す。最終工程として、インサートの手前面領域において端部がグローブ内部で自由に動くことが可能な状態であるように、アウターグローブの端部を手背面領域においてインサートの関係する端部に縫合する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】手袋形状である本発明の衣類を斜視図で示す。
【図2】第1実施態様において、図1の線II−IIに沿った長手方向の部分断面を示す。
【図3】第1実施態様において、図1の線III−IIIに沿った横断面を示す。
【図4】手が第1使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図5】手が第1使用状況にある、図4の線V−Vに沿った横断面を示す。
【図6】手が第2使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図7】手が第2使用状況にある、図6の線VII−VIIに沿った横断面を示す。
【図8】第2実施態様において、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図9】第2実施態様において、図8の線IX−IXに沿った横断面を示す。
【図10】手が第1使用状況にある、図8の長手方向の部分断面を示す。
【図11】手が第2使用状況にある、図8の長手方向の部分断面を示す。
【図12】インナーグローブを斜視図で示す。
【図13】第1実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。
【図14】第2実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で着用者が少なくとも2つの異なる機能室の間を変更可能な衣類、特に手袋に関する。従って、この衣類は、例えば、身体部分、特に手の指の場合における、高い絶縁性能並びに高い可撓性及び触知性などの、様々に相反する要求を満たすことが可能である。従って、着用者は同一の衣類を様々な用途に使用できる。
【背景技術】
【0002】
特定機能の特性を備えた衣類は、様々な用途、例えば屋外作業、スポーツ活動、スキー自転車又はオートバイの運転、軍事行動又は消火活動に従事する場合などで着用される。それぞれの活動に応じて、衣類は、液体不透過性、防風性、水蒸気透過性、断熱性、難燃性又は耐切断性であるように設計してもよい。これらの特性は、衣類においてそれ自体が独立してそれぞれ実現されてもよく、これらの特性の1つ又は複数との組みあわせでもよい。
【0003】
これらの衣類は、ある層の上に他の層が配置された数多くの材料層から一般に構成され、これらの材料層の少なくとも1つは保護材料層である。防水性かつ水蒸気透過性の衣類の場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、親水性含浸剤もしくは親水性層が付与された延伸PTFE、通気性ポリウレタン層、又はポリエーテルエステル共重合体のようなエラストマーの、フィルム又は膜の形状の薄い機能層、及びそれらの積層体が、保護材料層として加工されることが多い。
【0004】
現在の保護衣類は、数多くの要求を同時に満足することが期待されている。しかしながら多くの場合、これらの要求は競合する特性であり、競合する特性とは、ある特性を実現することによって他の特性が制約されることを意味する。例えば、スキーグローブは、寒さ、湿気及び風から保護することを目的とする。この理由から、スキーグローブは数多くの材料層、例えば少なくとも1つの絶縁層と防水性かつ防風性の層とを含み、これらはある層の上に他の層が位置する層として、外部材料と一緒にグローブを形成する。この多層構造体はグローブの厚さを増大し、そのことが、着用者の指の操作性(dexterity)、すなわち指の素早さ、及び指のグリップや感覚の特性(触知性)を低下させる。手についての触知可能な操作性(tactile dexterities)は、厚く剛直なグローブ構造によって制約される。グリップする動き及び握りしめる動作が安全に行えないため、指の操作性が制約されると事故の危険が増大する。さらに、絶縁材料を使用した場合、絶縁性能を着用者の異なる要求に合わせて様々に適合させることができないといった不都合もある。活動の強度及び周囲条件に応じて、冬用衣類は、無活動フェーズの間の冷却効果に対する保護を提供しなければならない一方で、保護衣類は、動きの自由度を最大にし、かつ可能な限り活動フェーズ(登山、スキー)において熱を散逸しなければならない。
【0005】
さらなる例、オートバイのグローブの例において、雨中で運転する場合の最適なグリップは、防水性及び断熱性と相反する。グローブに防水性機能層を組みあわせると、指とグローブの外部材料との間にある、このさらなる層が、オートバイのハンドルにおけるグリップ感を制限し、従ってオートバイの制御を制限することにつながる場合がある。その原因の一つは、防水性機能層が外部材料に接着されて、そのことがグローブの厚さ及びグローブの曲げ剛性を増大することである。防水性機能層がアウターグローブの内側でインナーグローブとして緩く取り付けられている構造体において、一方に対して他方が摺動する層の動きによって、少なくとも指先で、防水性機能層が擦り切れる場合がある。
【0006】
作業用手袋としての保護手袋は、外部からの液体及び/又は気体に加えて熱の進入、又は切断/穿刺などから保護するために、一般に数多くの保護層を備えている。しかしながら、これらの保護層のいくつか、例えば切断及び穿刺から保護する層などは、時々必要になるだけでありながら、実際は手袋に取り外せないように一体化されて、剛直で厚く、重い手袋を形成する。しかしながら、そもそも保護手袋の場合、指の良好な操作性又は触知性は、要求される作業又は活動を安全に行うために重要である。
【0007】
従来技術は、手袋において競合する特性を組みあわせるという課題を解決する様々な方法を提示している。
【0008】
米国特許第4662006号(Ross)は、多層化したアウターグローブ及び多層化した除去可能な(取り外し可能な、交換可能な)ライナーグローブを含む、多層化した手袋を記載している。アウターグローブは、外側に撥水性層、内側に断熱層、及び外部層と内部層との間に配置された防水通気性層から構成される。加えて、内部絶縁層の内表面には滑り層が備わっている。ライナーグローブは、アウターグローブの内部で選択的に配置でき、追加の断熱を提供する。ライナーグローブは、異種の絶縁材料から構成され、ライナーグローブの外表面は粗面層が備わっている。滑り層及び粗面層を使用することにより、アウターグローブ内へのライナーグローブの挿入が補助される一方で、ライナーグローブがアウターグローブ内の所望位置に保持される。アウターグローブ内にライナーグローブを固定するために、固定手段、例えばジップファスナー又はベルクロ(登録商標)ファスナーなどが、ライナーグローブ及びアウターグローブの袖口に設けられる。手袋の使用者はアウターグローブを分離して着用できる。追加の断熱を必要とする場合、使用者は最初に手をライナーグローブに入れて、その後ライナーグローブと一緒に手をアウターグローブに滑り込ませればよい。2つのグローブは袖口の固定手段により互いに固定される。必要な場合にライナーグローブを使用可能にするため、ライナーグローブを常に分離して携行しなければならないことが欠点である。さらに、あるグローブを他のグローブに挿入すると非常に厚い多層化したグローブとなり、そのことは着用者にとって指の触知性が非常に低いことを意味する。
【0009】
米国特許第4785477号(Marzo)は、手の4本の指を受容するためのグローブ部分及び親指を受容するための親指部分を備えたミットを記載しており、親指部分を備えたそのミットは、着用者の引張感度(tensile sensitivity)を制限する、断熱材料からなる。グローブ部分は、人差し指を受容するための分離した人差し指区画を備えており、その区画はグローブ部分とつながっている。人差し指区画は薄い可撓性材料から作られており、人差し指の操作性を制約しない。人差し指区画は、グローブ部分の手の前面にある開口部を通ってグローブ部分とつながっている。通常、4本の指の全ては保温のためにグローブ部分にある。ある仕事のために、人差し指をグローブ部分から開口部を通して人差し指区画へと挿入する。このためにミットを脱ぐ必要はない。
【0010】
この構造体の欠点は、人差し指区画が人差し指のみを目的としており、他の指及び親指は引き続き触知性が制約されることである。人差し指のみが2つの機能的位置を選択できる。人差し指室を手の前面の開口部に適合させる必要があるため、そのようなミットを製造することは非常に複雑である。
【0011】
米国特許第5542125号(Zuckerwar)は、2つの交換可能なキャップを備えた基体を含む手袋を記載している。キャップの一方は指のキャップであり、他方はミトンのキャップである。それぞれのキャップは、固定手段によって取り外し可能に基体に結合される。基体及び2つのキャップは、防水性及び絶縁性の材料から製造される。基体は手の背面、手の前面、手首及び親指を覆う。基体の下部開口部は、ジップファスナー又はベルクロ(登録商標)ファスナーのような固定手段を含んでいる。キャップはそれらに適した固定手段を備えている。指について手作業の操作性が必要な場合、個々の指と一緒にキャップが基体に固定される。主に寒さに対する保護が必要な場合、ミトンキャップが基体に固定される。手自体は常に基体の中にある。要求に応じて、一方のキャップ又は他方のキャップのいずれかを基体に固定する。常に1つのキャップのみが基体にある。常に1つのキャップのみが基体に固定可能であるため、第2のキャップを必要な場合に備え、分離して携行しなければならないことが欠点である。キャップの交換は熟練と時間を要し、従って複雑である。
【0012】
米国特許第4759084号(Madnickら)は、選択的に形成された化学的加熱要素を受容するための、選択的に形成された室を備えた手袋を記載している。例えば、手の前面領域に長方形に形成された室がある。ある実施態様では、室を備えた手袋は指なし手袋であってよく、さらなる実施態様では、その指なしの手袋は、寒中で使用するための、アウターグローブ中の取り外し可能なインナーライナーグローブである。特別な実施態様には、アウターグローブと、そのアウターグローブ内に挿入可能なライナーグローブとが含まれる。ライナーグローブは、指の先端から内側に向かい、手の背面の材料と手の前面の材料との間に配置され、かつ化学的加熱要素が外側から挿入される室を、指の領域に有する。ライナーグローブ中の指は、加熱要素が指の背面又は指の前面のいずれを暖めることが目的であるかに応じ、選択に従って室の上側又は下側に位置していてよい(図19〜21)。グローブインサート(ミトングローブ)の指領域は、内側に向かって折り畳まれた材料層を用いて、同じ機能を備えた2つの室へとさらに分割される。外側に形成された折り畳み部には、指を暖める化学加熱要素がある。指が折り畳み部の上に位置している場合(上室)、指の前面が暖められ、指が折り畳み部の下に位置している場合(下室)、指の背面が暖められる。この発明のインサートはアウターグローブ内に挿入されることを意図していることが欠点である。このことは、結果としてこれまでと同様に、全体の手袋には数多くの材料層があって、それらの層が手の触知性を大幅に妨げるという、最終的な影響を及ぼす。人差し指のみがインサートの開口部を通ってアウターグローブへと延ばすことができて、この一本の指の感触が改善される。室の有する唯一の機能は、指の背面又は指の前面に加熱要素を配置することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の問題及び上記先行技術から、本発明の目的は、外部条件及び/又は様々な作業条件下での外来物質及び/又は気候条件に対する十分な保護を着用者に提供しながら、同時に衣類の中に位置する身体部分の動きの自由度及び操作性を十分なものにする、改良された衣類、特に改良された手袋を提供することである。本発明の目的は、特に、手の指の触知性及び操作性を確保しつつ、外来物質又は異物のような外部の影響に対する十分な保護を着用者に提供する、改良された手袋である。衣類は、着用者のために簡単に構成されることを意図しており、取り扱いが簡単である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、請求項1は、身体部分を受容するための少なくとも1つの開口部を備えた少なくとも1つの内部空間を取り囲む外部層を有する衣類を提案する。この内部空間は少なくとも2つの隣接する室に分割され、各室は、内部空間開口部に配置された少なくとも1つの室開口部を有する。従って、隣接する室は互いに平行に配置される。内部空間開口部に配置されるとは、その少なくとも2つの室開口部が、それらが内部空間開口部を満たすように、内部空間開口部に挿入されることを意味する。
【0015】
独立請求項38は、独立した解決方法として、手を受容するための内部空間を取り囲む外部層を有する手袋を、特許請求の対象としている。この内部空間は少なくとも2つの隣接する室に分割され、各室は室開口部を有し、その室開口部は内部空間開口部に配置される。従って、隣接する室は互いに平行に配置される。ここでもまた、内部空間開口部に配置されるとは、少なくとも2つの室開口部が、それらが内部空間開口部を満たすように、内部空間開口部に挿入されることを意味する。
【0016】
その結果、本発明の構造体は、衣類の内部、特に手袋の内部で、着用者が1つの同じ身体部分のための少なくとも2つの室を選択的に装備することを可能にする。従って、着用者は身体部分又は手を、手袋の一方又は他方の室のいずれかに挿入できる。
【0017】
2つの室が設けられることが好ましいが、内部空間に2つより多い室が配置されてもよい。内部空間は第1室開口部を備えた第1室と、第2室開口部を備えた第2室とを有し;身体部分又は手を選択的に受容するために、内部空間開口部内で室開口部が互いに隣り合って配置されるように、これらの室が互いに平行に配置されることが好ましい。このために、内部空間開口部は、内部空間開口部端部を備え、各室開口部は室開口部端部を備え、室開口部端部は、特に縫合されて、内部空間端部に接合される。少なくとも2つの室のそれぞれは内部空間の形状を有しており、手袋の場合、例えば各室はアウターグローブのグローブ形状を有する。
【0018】
着用者が1つの室を使用する場合、他の室は完全に圧縮されて、外部層の内表面の部分に接しているように、室は設計される。従って、実際のところ1つの室のみが使用可能である。着用者が所望する機能に対応する室を使用するように、室は機能的に異なる。従って、第1室は少なくとも1つの第1機能を有してよく、第2室は少なくとも1つの第2機能を有してよい。第1機能及び第2機能には違いがある。いくつかの実施態様では、機能は同じであってもよいがその程度が異なる。例えば、室が異なる厚さの絶縁層を備えていてもよく、その結果、異なる水準の絶縁能力を有してもよい。本発明の衣類は、結果的に異なる機能を発揮し、このとき着用者は追加の衣類を着用する必要はない。各室は、目的の機能に必要な材料層を専ら含有する室材料を有する。
【0019】
先行技術で提供される、ある層の上に他の層が配置される材料層は、競合する特性を備えた材料層を含む室がないように、本発明の少なくとも2つの室の間で分割される。室は少なくとも1つの室材料を有し、外部層は少なくとも1つの外部層材料を有する。2つの室を備えた実施態様では、第1室が第1室材料で構成され、第2室が第2室材料で構成される。第1室材料は大抵の場合第2室材料と異なる。異なるとは、室材料が、それらの材料組成、厚さ、材料層の配置などにおいて、互いに異なることを意味する。従って、室材料の選択により、少なくとも1つの特別な機能を各室に割り当てることができる。一方の室が、例えば水、気体及び風に対する保護を担当し、他方の室が寒さから身体部分を保護する効果を有し、又は一方の室が熱及び火に対する保護、もしくは穿刺及び切断の危険に対する保護を提供する。一方の室の室材料の厚さがさらなる室の室材料の厚さより薄いことが好ましい。例えば、異なる絶縁の要求を満足するために、一方の室が厚い絶縁層を有し、さらなる室が薄い絶縁層を有する。さらに、手袋の場合、主に手の指の操作性を保持するために、例えば厚い室材料が手の背面領域に配置され、薄い室材料が手の前面領域に位置する。ある実施態様では、少なくとも1つの室が、少なくとも部分的に外部層材料からなる。特にある例では、第2室が第1室材料と外部層材料とを用いて形成される。
【0020】
少なくとも1つの室材料及び/又は外部層材料は、少なくとも1つの保護材料層を有する。この保護材料層は、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料及びこれらの層の組み合わせを含む群からの少なくとも1つの層を有する。機能層材料の層は、液体不透過性であって、そして延伸ポリテトラフルオロエチレンの微多孔質高分子膜を有することが好ましい。
【0021】
第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の第1保護材料層を有することが好ましい。このことは、第1室材料の室が主に対応する身体部分又は手の断熱を担当するという利点を有する。第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層と少なくとも1つの機能層材料の層とを含む第1保護材料層を有することが好ましい。この材料の組み合わせは、絶縁効果に加えて、機能層が例えば液体、水、空気又は風の進入に対する保護を提供するという利点を有する。第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の第1保護材料層を有することが好ましい。このことにより、必要であれば、穿刺又は切断による怪我から着用者を特に保護できる。
【0022】
第2室材料は布地材料の層を有することが好ましい。このことは、第2室が特に薄い室壁を有し、その結果身体部分又は手の触知性をほとんど制約しないという効果を有利に実現する。さらなる実施態様では、第2室材料は、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の第2保護材料層を有する。このことは、第2室もいくらかの断熱を提供することを意図している場合に有利である。しかしながら、身体部分又は手の触知性が制約されないように、この絶縁層は第1室材料と比較して薄い。さらなる実施態様では、第2室材料は、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の第2保護材料層を有する。ここでは、第2室のみが、例えば防水性のような特徴を有することに利点がある。
【0023】
外部層材料は、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の第3保護材料層を有することが好ましい。この構造は、いずれの室の機能を選択したか関係なく、結果として熱及び火から消防士を保護するため、特に消防士にとって有利である。外部材料層が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の第3保護材料層、好ましくは液体不透過性機能材料層を有することが好ましい。この実施態様は、衣類又は手袋が全体として液体不透過性に作られ、着用者が室の機能をさらに選択できる点で有利である。外部層材料が少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の第2保護材料層を有することが好ましい。このことは、衣類又は手袋がいかなる時も穿刺又は切断による怪我から保護する点で有利である。
【0024】
外部層から室が引き出されることを防止し、着用者が容易に所望の室へと滑り入れることが可能なように、室は外部層に固定されなければならない。このために、内部空間の開口部内でかつ外部層の内表面にて、室が互いに固定される。ある実施態様では、少なくとも1つの室が外部層に接合される。室が互いに入れ替わることができないように、室が内部空間に取り付けられていることが好ましく、例えば、少なくとも2つの室は、例えば室の端部領域にて、又は指の先端及び室開口部にて、互いに縫合又は接着される。
【0025】
ある実施態様では、少なくとも2つの室の形成を、内部空間の横断面を中央で内部空間の長軸方向において区切る、少なくとも1つの可撓性材料層を用いて行ってもよい。ある室を使用する場合に、材料層を外部シェルの内表面に完全に接触させることが可能であり、そうすることで使用していない室を完全に圧縮するために、可撓性材料層の領域が、内部空間の内部領域の少なくとも半分であることが重要である。このように、各室は着用者に大体同じ室体積を提供する。可撓性材料層は少なくとも1つの室材料から形成される。
【0026】
さらなる実施態様では、第1室材料が、内部空間と同じ形状である第1衣類インサートを形成する。この衣類インサートは、インサートの片面が可撓性材料層を形成するように、内部空間の長軸に沿って内部空間内に設けられる。本発明のさらなる実施態様では、いずれの場合も、一方の上に他方が配置されかつ互いに隣接するインサートの複数面を用いて可撓性材料層が形成されるように、内部空間内で内部空間の長軸に沿って第1衣類インサートに平行に同じように固定された、追加の第2衣類インサートを第2室材料が形成する。
【0027】
主に着用者を保護し着用感を改善するが、例えば動きの自由度及び接触感覚を維持するなどの特性を可能にする必要のない材料層を、第1室が含むことが好ましい。一方で、着用者の身体構造上の特徴に適合するように作られ、その結果着用者の触知特性が大部分保持される、少なくとも1つの薄い材料層を用いて第2室が構成される。手袋の例では、第1室は、手袋の手背面領域に割り当てられ、絶縁層又は穿刺及び切断から保護する複数の絶縁層のようなより厚い層を含む。第2室は、手袋の手前面領域に割り当てられ、指の可動度をこれ以上制限しないために、仮にあったとしても非常に薄い材料層のみを有する。着用者は必要に応じて、一方又は他方の室のいずれかを使用できる。着用者がある室に変更すると、他の室は自動的に圧縮されて、別の室が使用されている最中にそれぞれ邪魔にならない。室が互いに隣接して配置され、その結果衣類又は手袋の内部で平行に配置されるために、着用者は特定機能のための追加手袋を分離して携行する必要はなく、必要であれば、追加手袋に変更するか追加手袋をさらに取り付ける。特に、困難かつ面倒な、異なる機能を備えた生地の小片の接合/フィッティングはもはや必要ではない。本発明の解決方法を用いると、将来的には、触知性を犠牲にした追加保護層によって生じる不都合に着用者は制約されない。優れた触知性が望まれる場合、着用者は対応する薄い室へと滑り込ませるだけでよい。特定の保護機能が最も重要な場合、着用者は特定の保護材料層を備えた室へと変更する。
【0028】
他の実施態様では、ある室が薄い絶縁層のみを有する一方で、他の室が少なくとも1つのより厚い絶縁層又は数多くの絶縁層を有するといった、様々な絶縁要求を室が満足する。その結果、着用者は、外部条件に応じて、高絶縁効果及びより低い絶縁効果を選択できる。
【0029】
この場合、各室が配置される内部空間の形状を各室は有する。例えば、一例として、内部空間がジャケットの袖の内部であってよく、少なくとも2つの室はそれぞれ同様にジャケットの袖の形状を有する。
【0030】
ズボンの脚の内部空間が関係する場合、少なくとも2つの室はそれぞれズボンの脚の形状である。
【0031】
内部空間が靴の内部空間の場合、少なくとも2つの室の形状はそれぞれ、靴の内部に対応する。
【0032】
さらなる実施態様では、本発明は、手背面領域及び手前面領域を備えた外部層を有する手袋によって実現され、外部層によって形成された内部空間は第1室及び第2室に分割される。第1室が手背面領域と第2室との間に配置され、かつ第2室が第1室と手前面領域との間に配置されるように、室は内部空間内で隣接して配置される。例えば、室を含む手袋全体が水などの液体の進入から保護されるような液体不透過性機能層などの、保護材料層を備えた外部層材料を外部層は有する。少なくとも1つの絶縁材料層及び少なくとも1つの布地材料層を有する多層化した第1インナーグローブによって、第1室が形成されてもよい。少なくとも1つの布地材料層を有する第2インナーグローブによって、第2室が形成されてもよい。
【0033】
そのような手袋は、寒い場合の第1絶縁室と指の触知特性が要求される場合の第2の薄い触知室とを液体不透過性手袋の内部で選択する可能性を着用者に与える。第1絶縁室は手背面領域に位置し、従来のスキーグローブであってよい。第2室は布地インナーライナーのみを含み、手前面領域に配置される。第1室の片面と第2室の片面とはそれぞれ互いに接触し、滑らないように互いに接合される。着用者が第2室に入る場合、第1室は手の背面に沿って完全に押し付けられる。その結果、指の周縁領域の3/4と手には厚い絶縁材料層がなく、結果として、優れた指の触知性及び操作性を有する。
【0034】
さらなる実施態様は上述したような本発明の手袋を提供する。上記と異なる点として、第1室は、布地層に接合された液体不透過性機能材料層の形状の保護材料層を備えたインナーグローブを含む。さらに、このインナーグローブは絶縁材料層を含んでもよい。第2室は外部層の材料及び第1室のみによって形成される。第2下部室では、ライダーの手とオートバイのハンドルとの間に外部層材料のみがあるため、この実施態様は特にオートバイ用グローブに適している。結果として、ライダーは運転について最適のグリップ感を有する。必要であれば、例えば雨中運転する場合、ライダーは、触知性が非常に高い第2室から、多少絶縁性かつ防水性に作られた第1室へと変更する。
【0035】
さらなる実施態様では、火、衝撃、切断又は穿刺からの保護を提供する層などの保護材料層が、絶縁層又は液体不透過性層の代わりに第1室内に設けられてもよい。例えば、第1室がこれらの保護材料層の1つ又は複数を備えてもよい。要求に応じて、第2室が手に必要な触知特性を提供する限り、第1室の保護材料層を互いに様々に変更してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
これより本発明を図に基づいてより詳細に説明する。図1〜14では手袋の例により本発明を説明する。様々に記載された実施態様において、同じ部分には同じ符号が付されている。記載中選択される位置表示、例えば、上部、下部、側部などは、直接記載され表示された数字に適用し、位置変化がある場合、同じように新しい位置へと移動される。図示及び記載した典型的な実施態様からの個々の特徴又は特徴の組み合わせはそれ自体で、独立した、発明的な又は本発明による、解決方法を示しうる。
【0037】
本発明の用語のいくつかを以下より詳細に説明する。
【0038】
「外部層」は衣類の最外部領域を形成し、外部環境と接触する外部領域を有する。外部層は1つ又は複数の材料層を含み、使用者の身体部分を受容するための少なくとも1つの内部空間を取り囲む内表面を有する。さらに、外部層は、溶接された、接着された、又は縫合されたシームなどの接合要素を用いて接合されていてもよい、1つ又は複数の外部層部分によって形成されてもよい。この場合、外部層部分は、同じ又は異なる材料、特に布地材料、革材料、可撓性プラスチックなどからなっていてよく、これらの材料は、従来技術で知られている方法によって処理されていてもよく、例えば、疎水化、疎油化、エンボス加工などが施されていてもよい。布地材料は織布又は編み布であって、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアラミド、ナイロン及び綿を含む群から選択してもよい。
【0039】
本発明の「衣類」は図に示した手袋の実施態様に限定されない。衣類は、使用者の身体部分を覆う任意の所望の生地によって形成されてもよい。本発明の衣類の好ましい形態変形は、特に手袋に関係するが、ズボン、特にズボンの脚、ジャケット、特にジャケットの袖、又は靴もまた関係する場合がある。
【0040】
「手袋」とは指あり手袋又はミトンである。いずれの形状の手袋も、手背面領域(手の上側部分)、手前面領域(手の内側部分)及び指の間に存在する指側面部分を有し、それらが互いに縫合されることが好ましい。ミトンは、4本の指が共通のカバーの中にあるように、4本の指を全て取り囲む指の側面部分を4本の指領域に有する。
【0041】
用語「手背面領域」とは、指の背面及び親指の背面を含む手の背面を覆う、手袋の手の上側部分である。用語「手前面領域」とは、親指の付け根と、指及び親指の関係する領域を含む、手のひら又は手の前面を覆う、手袋の手の内側部分である。
【0042】
さらなる実施態様では、アウターグローブは指あり手袋及びミトンの組み合わせである。このために、手背面領域はミトン状に形成され、手前面領域は指あり手袋の形状である。この組み合わせ手袋は、手前面領域で個々の指の可動性及び触知性が再生される一方で、手背面領域で指が共通のカバーによって覆われるという利点を有する。
【0043】
ある実施態様では、本発明の手袋はそれ自体が、さらなるアウターグローブに挿入されてそのアウターグローブに既知の固定手段で固定される、インナーグローブ(グローブインサート)である。インナーグローブのアウターグローブへの固定は、取り外せないものであってもよく、インナーグローブを取り除いて結果的に交換できるような場合において、取り外し可能であってもよい。
【0044】
用語「室」とは、外部層の内部空間内に配置されており、そして外部層材料及び室材料によって部分的に形成されているか少なくとも1つの室材料によって形成されている、空間である。室は、使用者の身体部分を受容するために供されて身体部分の外形と大部分が一致し、外部層の内部空間の寸法にされている。本発明によれば、少なくとも2つの室が内部空間に設けられる。身体部分がある室の中にある場合に、その室が内部空間を完全に満たすように、室は外部層の内部空間内で互いに平行に配置される。その結果、身体部分の入っていない他の室は、もはや大部分について室の中に空間体積がないように、内部空間の長軸に沿って押し付けられる。従って、この押し付けられた室は、手前面領域又は手背面領域のいずれかの内表面に沿って位置する。
【0045】
「インサート」は、外部層の内部に位置して着用者の皮膚を覆うインナーグローブのような、インナー衣類に関する。インナーグローブは一般に非常に薄く、毒性及び/又は非毒性の液体及び/又は気体及び/又は機械的作用による汚染から保護する、1つ又は複数の薄い保護材料層を特に有してもよい。インサートは液体不透過性、好ましくは防水性、及び/又は水蒸気透過性であってよい。インサートは膜又は積層体のインサートであることが好ましい。インサートの一例は、第1室又は第2室を取り囲む、非常に薄いインナーグローブである。しかしながら、インサートを布地ライナー材料のみから製造してもよい。
【0046】
本発明について「積層体」とは、少なくとも1つの機能層及び少なくとも1つの布地層を有する、層の複合体である。少なくとも1つの機能層及び少なくとも1つの布地層は、先行技術で知られている手段及び方法によって互いに接合される。機能層は高分子材料で作られることが好ましい。
【0047】
用語「触知性」とは、何かを感じる、触る又は把握する能力であって、触知性とは指先の感度として説明されることが多い。
【0048】
「布地層」(布地材料、布地)とは、編み布又は織布である。この材料は、合成繊維、天然繊維、又は合成繊維と天然繊維の混合物を有する。
【0049】
「保護材料層」は、例えば手袋などの衣類において外来物質及び/又は異物という外部の影響から着用者を保護する、材料層又は積層体である。保護材料層は、外部材料の構成部分であって環境に直接面するように作られてもよい。しかしながら、衣類の内側に配置して着用者に直接面するように作られてもよい。
【0050】
「水進入圧試験(スーター試験)」:水進入圧試験は、材料サンプルの片面に対して水を押し付けて、水の透過について材料サンプルの他面を観察することに本質的に基づく、静水抵抗試験である。20±2℃の蒸留水を表面積100cm2のサンプル材料に徐々に加圧する試験方法に従い、水圧を測定する。水圧上昇は60±3cm(H2O/分)である。その後、水圧を水がサンプルの他面に現れた時点の圧力とする。正確な手順は1981年のISO規格No.811に規定されている。「防水性」とは、少なくとも7kPa、好ましくは7kPaを超えて、好ましくは10kPaの水の進入圧に耐える材料を意味するものと理解される。原則としてISO811−1981の記載に基づくスーター試験も使用されることが多い。この試験方法は、材料サンプルの片面に対して水を押し付けて、水の透過について材料サンプルの他面を観察するという、材料サンプルに作用する圧力の小さな変化に基づく。試験に関しては、水を直径7.62cmのサンプル領域に適用できるように、材料サンプルをホルダーのゴムシールの間にきつく固定する。気圧0.07bar(7kPa)でサンプルの片面に水を供給する。サンプルの反対面を3分間水の透過について目視観察する。水の透過が観察できなかった場合、サンプルは試験に合格し、防水性であると見なされる。
【0051】
「水蒸気透過抵抗Ret」:Ret値は、本発明の機能層のようなシート状構造体又は複合材料(積層体)の特有の材料特性であり、一定の分圧勾配下において所与の面積を通る蒸発潜熱流束を決定する。「水蒸気透過性」は、水蒸気透過抵抗Retが150m2Pa/W未満である材料を定義する。シート状構造体はRetが20m2Pa/W未満であることが好ましい。水蒸気透過性はHohenstein MDM 乾燥法によって測定され、Bekleidungsphysiologischen Instituts(衣料生理学研究所)e.V. Hohensteinの標準試験規格No.BPI 1.4(1987)に記載されている。
【0052】
「微多孔質」とは、材料の内部構造を通る非常に小さい微視的な空孔を有する材料を意味するものと理解され、その空孔は、材料の一方の表面から他の表面に、連結して連続した接続又は通路を形成する。空孔の寸法に従い、結果として材料は空気及び水蒸気を透過するが、液体水は空孔を通過できない。
【0053】
図1は本発明の原理を概略的に示す。このために、指あり手袋10の形状の衣類を図1に図示する。指あり手袋の代わりにミトンが用意されてもよい。原則として、本発明の衣類が意図するのは、衣類の着用者の少なくとも1つの身体部分を、外部から作用する外来物質及び/又は異物との接触から確実に保護することである。同時に、着用者の接触感覚及び動きの自由度が維持されることを予定している。特に水が外来物質として考慮されるが、一部の状況下で着用者にとって健康に害があり毒性となりうる、他の種類の外来物質又は媒体、例えば化学物質、アルカリ性又は酸性物質、微粒子、気体、エアロゾル、例えば臭気粒子などの粒子なども可能である。外来物質は、炎、火、蒸気及び熱の状態で作用する場合もある。機械的に衣類を傷つけることが可能な、尖った鋭いものが、異物として理解される。異物には、切断及び打ち抜き道具、ナイフ、はさみ、破片、断片などが含まれる。
【0054】
手袋10は、使用者の手を受容するための内部空間13を取り囲む、内表面12を備えた外部層11を有する。内部空間13は、手を出し入れするための、内部空間端部18を備えた内部空間開口部14を有する。内部空間は様々な形状を取ることができる。手袋の場合、内部空間は手袋の内側である。例えば衣類がズボンの場合、内部空間はズボンの脚の内側であってよい。ジャケットの場合、内部空間はジャケットの1つの袖の内側であってよい。靴の場合、内部空間は靴の内側であってよい。
【0055】
手袋10は、手背面領域16及び手前面領域17に加えて、指の間に位置する指側面部分を有し、それらは互いに接合され、好ましくは縫合される。特別な実施態様、例えば消防用手袋の場合など、外部層は、手首を覆いさらに超えて着用者の腕を覆う袖口を有してもよい。この場合、内部空間開口部を手首領域に設けてもよい。
【0056】
内部空間13は少なくとも2つの隣接する室20、30に分割される。要求に応じて、内部空間13内に3以上の室を設けることも可能である。
【0057】
隣接とは、室20、30が互いに平行に配置され、その結果少なくとも1つの共通の室壁を有することを意味し、その室壁は内部空間13の長軸方向において内部空間13の横断面を完全に分割する。各室はそれ自体が区切られており、内部空間開口部14に配置された少なくとも1つの室開口部21、31を有する。例えば、衣類がジャケットの袖又はズボンの脚の場合、腕又は脚を所望の室を通して挿入できるように、各室が2つの室開口部を有していなければならない。室20、30が内部空間13の長軸にそって内部空間13を満たすように、それらは互いに平行に隣り合って位置する。室開口部21、31は、内部空間開口部14の中に位置して内部空間開口部14を満たす。結果として、内部空間開口部14は、2つの室開口部21、31及びそれらの室開口部端部22、32によって形成される。従って、親指の先端を含む指の先端(ミトンの場合は手袋の先端)から内部空間開口部14に至るまで、各室は他の室に平行にそれぞれ延在する。少なくとも1つの可撓性材料層又は室壁15を用いて個々の室を形成してもよく、その可撓性材料層又は室壁15は、内部空間13の長軸6の方向において、内部空間13の横断面を中央で分割する。可撓性材料層15とは、その材料層が、内部空間13の中で剛直かつ動かないように位置していないことを意味する。反対に、材料層15は、可撓性材料から作られ、室の用途に応じて手背面領域16又は手前面領域17のいずれかで外部層11の内表面12に接触できるように、その寸法について設計される。ある実施態様では、材料層15をその周縁端部で外部層11に接合してもよい。図1では、可撓性材料層15は手の前面の形状の材料層であり、親指の先端を含む指の先端から内部空間開口部14に至るまで、内部空間13の長軸6に沿って内部空間13を分割する。従って、内部空間13は手の形状で同じ大きさの2つの室に分割される。手の形状とは、指あり手袋の場合は、各室が4本の指と親指を備えた手の形状を有することを意味し、ミトンの場合は、親指のみがそれ自身の指区画を有し、そして他の指の領域は単一の切れ目のない区画によって形成されている手袋の形状を、各室が有することを意味する。
【0058】
従って、手袋の使用者は一方の室20又は他の室30を選択して手を挿入可能である。手が一方の室内にある場合、他の室は長手方向について圧縮され、材料層15は手背面領域16又は手前面領域17のいずれかに位置する。この原理を図4〜7及び10〜11に示す。例えば図4は図2の長手方向の部分断面を示し、手8が上側の第1室20に位置しており、その結果、材料層15が手前面領域17に位置して、下側の第2室30が圧縮される。手8が下側の第2室30に同様に位置してもよく、その結果、上側の第1室20が手背面領域16で圧縮される。
【0059】
本発明によれば、各室は少なくとも1つの特別な機能を着用者に提供する。手袋の場合、手前面領域17に最も近い室が、主に手の良好な触知性を保証する。このために、指の操作性及び手のグリップ感を大部分維持するために、室は可能な限り少ない層から構成される。手背面領域16に割り当てられた室は、例えば熱又は寒さなどの外部の影響、切断及び穿刺、液体及び/又は毒性のもしくは危険な気体から手を保護することを主に目的とする。これらの保護機能を個別に又は組みあわせてこの室に付与してもよい。このために、室は1つ又は複数の保護材料層、例えば絶縁材料層又は液体不透過性機能層などを含む。衣類がジャケットの袖又はズボンの脚の場合、一般に、室は様々な絶縁性能を提供し、同時に十分な動きの自由度を確保することを目的とする。
【0060】
図1に示す手袋10の場合、第1室20及び第2室30が設けられる。第1室20が手背面領域16と第2室30との間に配置され、第2室30が第1室20と手前面領域17との間に配置されるように、室20、30が内部空間13の長軸6に沿って互いに隣接して配置される。従って、図1に示した様式によれば、2つの室20、30は、内部空間13の中で一方が他方の上に配置される。使用者が手袋を着用する際に第1室20と第2室30から選択できるように、室開口部21、31も同様に、内部空間開口部14の内部で一方が他方の上に設けられる。さらに、各室20、30の室開口部21、31は、好ましくは室開口部21、31が内部空間開口部14を満たすように、内部空間開口部14で一体化される。このために、各室の室開口部端部22、32は内部空間端部18に部分的に接合される。図1に概略的に示されるように、各室開口部端部の1つの部分のみが、内部空間端部の1つの部分に接合される。室開口部端部と内部空間端部との接合は、例えば縫合、接着又は溶接によって行われる。
【0061】
本発明によれば、室20、30は少なくとも1つの室材料を有し、外部層11は少なくとも1つの外部層材料を有する。ある実施態様では、第1室20が第1室材料を有し、第2室30が第2室材料を有する。第1室材料は第2室材料と異なることが好ましく、このことは、それぞれの実施態様に相当するやり方で、室がそれぞれ異なる材料層から構成され、結果として異なる機能も発揮することを意味する。室材料又は外部層材料は、少なくとも1つの保護材料層45を用いて構成される。室材料及び外部層材料の両方が少なくとも1つの保護材料層を含む実施態様も可能である。この保護材料層45は、以下の材料層の少なくとも1つを有する:少なくとも1つの絶縁材料の層、少なくとも1つの機能層材料の層、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層、少なくとも1つの耐切断性材料の層。保護材料層は、上述した層のうち1つ又はこれらの層の多数の組み合わせを有してもよい。強化層として又はライナー層として機能する少なくとも1つのさらなる布地層に、保護材料層が接合されることが好ましい。少なくとも1つの保護材料層45は、上述した望ましくない外来物質及び/又は異物との接触から、包まれた身体部分又は手を保護する。この場合、衣類又は手袋は、外部層もしくは室(もしくは複数の室)のいずれか、又は外部層及び室(もしくは複数の室)に見られる、1つ又は複数の保護材料層を含んでもよい。
【0062】
絶縁材料の保護材料層は、身体部分又は手を寒さから保護する、あるいは反対に身体から周囲環境への熱移動を防ぐ目的に役立つ。ある典型的な実施態様によれば、絶縁材料は、脱脂綿、フォーム、不織布、フェルト、ステープルファイバー、ダウンなどのような通例使用される断熱材料の少なくとも1つである。絶縁材料は、多孔質材料であって、結果として水蒸気透過性であることが好ましい。Thinsulate(登録商標)又はThermolite(登録商標)のような材料を、例えば絶縁材料として使用できる。ある典型的な実施態様では、絶縁材料は布裏地層に接合される。さらなる実施態様では、絶縁材料は、制御可能な絶縁構造体を用いて形成される。この実施態様によると、絶縁構造体は少なくとも1つの膨張性区画を有する。膨張性区画は、区画の周囲に沿って気密であるように互いに接合された、好ましくは接着された、可撓性で空気不透過性の、好ましくはさらに防水性でもある2つの層によって形成される。膨張性区画は、所望の体積に設定するために、区画に空気を導入可能であるか、あるいは空気を区画から放出可能である、少なくとも1つの開口部を有する。絶縁構造体の好ましい実施態様では、多孔質絶縁材料が膨張性区画の内側に配置される。多孔質絶縁層は、2つの気密層の間に配置され、適切であれば、接着シームで一体化される。そこでは接着剤が多孔質絶縁材料を貫通し、そして2つの層を接合して、防水性で気密性のシームを形成する。絶縁性能が最大の場合、絶縁層は膨張しており、内部絶縁材料は厚くて羊毛状である。絶縁性能を減少する場合、前述の厚い絶縁材料が薄い層に圧縮されるまで、空気を区画から放出する。本発明の室20、30の一方が、膨張可能で収縮可能な絶縁構造体を少なくとも部分的に有してもよい。手袋の場合、好ましくは、手背面領域に割り当てられた第1室に膨張性絶縁構造体が付与される。
【0063】
機能層材料の保護材料層とは、液体及び/又は気体物質の進入に対するバリア層を意味するものと理解される。そのような機能層は、膜、フィルム又はコーティングであってよい。例えば、液体不透過性機能層は、少なくとも液体水の進入に対するバリアを形成し、理想的には液体の化学物質に対するバリアも形成する。ある実施態様では、機能層は液体不透過性及び水蒸気透過性である。また、機能層は、水蒸気透過性及び防風性、又は水蒸気透過性、防水性及び防風性であってもよい。機能層の存在は衣類の着用感を高める。なぜなら着用者の汗が内側から外側へと移動し、同時に水及び/又は風の進入が止まるからである。従って、衣類は全体で防水性及び水蒸気透過性である。また、機能層は化学的毒物及び/又は生物的毒物に対するバリア層であってもよい。これらの毒物は、液体状もしくは気体状、エアロゾルとして、又は粒子状で生じる場合がある。機能層は本質的にこれらの毒物に対して不透過性である。
【0064】
「水蒸気透過性」とは、水蒸気透過抵抗Retが150m2Pa/W未満である材料を意味するものとして理解される。機能層のRetは20m2Pa/W未満であることが好ましい。機能層は、少なくとも7kPa(0.07bar)分の圧力で液体水の進入を防ぐならば、液体不透過性と見なされる。液体不透過性機能層の水の進入圧は7kPaを超えることが好ましい。機能層は少なくとも1つの布地材料層と接合されて布地積層体を形成することが好ましい。布地材料層は織布もしくは編み布又は不織物であってよい。非常に多くの材料、例えばポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリオレフィン及びその他が、材料層の材料として考慮されうる。布地材料層は、滑らかな又は粗面化した、ポリエステルの編み布であることが好ましく、あるいは、消防用保護衣類に使用する場合、アラミドの編み布であることが好ましい。ある実施態様では、機能層は、布地材料層が機能層の片面に取り付けられている2枚重ねの積層体の形状であってよい。また、機能層は、布地材料層が機能層の各面に配置されている3枚重ねの積層体の形状であってもよい。さらなる実施態様では、機能層が外部層の内表面に向かい、そして布地材料層が衣類の内部空間に面するように、布地積層体が外部層11の内面にライナー構造体として固定される。上述した防水性及び水蒸気透過性の機能層を備えた布地積層体は、商品名GORE−TEX(登録商標)積層体で、W.L. Gore & Associatesから入手できる。
【0065】
また、機能層材料が、化学保護材料及び生物保護材料を含んでもよい。これらの保護材料は、液体、エアロゾル、気体又は粒子の状態の、危険性物質又は毒性物質との接触から保護する。従来から知られているこれらの保護材料は、特に、危険性物質又は毒性物質を、はじく及び吸収することによって、支配する又は結合することによって、分解又は破壊することによって、機能層の厚みを通るそれらの物質の移動を防ぐために使用される。例えば、そのような保護材料は、例えば活性炭に基づく収着剤に危険性化学物質を吸着する、化学吸着保護システムを有してもよい。
【0066】
他の保護システムは、危険性物質の触媒的クラッキングなどの、危険性物質と反応してそれらと結合するか分解する化学成分又は他の成分を含む。化学保護及び生物保護用途については、例えば不透過性層又は選択的透過性層を有する積層体、例えばW.L. Gore & Associates, Inc. (Elkton, MD, USA)から入手可能なGORE−PAK(登録商標)材料などを使用してもよい。さらなる実施態様では、機能層は、化学的毒物及び/又は生物的毒物に対するバリア層であり、そして少なくとも1つの液体不透過性、空気不透過性及び水蒸気透過性の膜と、化学的毒物及び/又は生物的毒物を吸着する吸着材に基づく、特に活性炭に基づく、少なくとも1つの吸着層とを有する。
【0067】
機能層は、多孔質及び/又は非多孔質の材料を有してもよい。例えば、機能層は、多孔質高分子層と、親水性高分子の連続した水蒸気透過性高分子層との複合体であってもよい。多孔質高分子層は微多孔質高分子膜であることが好ましい。一般に使用される微多孔質膜の厚さは、5μm〜500μmであり、50μm〜300μmであることが好ましく、5μm〜40μmであることが特に好ましい。合成高分子及び合成エラストマーが微多孔質膜用の高分子として考慮される。適した高分子は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン及びポリエステルを含むポリオレフィン、ポリケトン、ポリスルホン、ポリカーボネート、フルオロポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体などであってよい。特に好ましい微多孔質高分子膜材料は、微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。熱及び高温に関して非常に安定であって燃焼せず溶融もしないため、ePTFEで作った膜が特に適している。これらの材料の特徴は、多数の開放し相互連結した微視的空洞、大きい空洞体積、高強度、追従性(compliant)、可撓性、安定な化学特性、高い水蒸気輸送量、及び表面が良好な防汚特性を備えていることである。米国特許第3953566号及び第4187390号に、そのような微多孔質延伸PTFE膜の調製が記載されており、それらの内容を本出願に援用する。ある実施態様では、ePTFE膜は、水蒸気透過性で連続した親水性高分子層を有する。以下に限定されないが、適した連続の水蒸気透過性高分子は、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリエーテルエステル共重合体類、又はポリエーテルエステルアミド共重合体類からのものである。親水性組成物の適したポリエーテルエステル共重合体は、US−A−4493870(Vrouenraets)及びUS−A−4725481(Ostapachenko)に開示されている。適したポリウレタンはUS−A−4194041(Gore)に記載されている。適した親水性組成物は、US−A−42340838(Foyら)に見出すことができる。好ましい種類の連続の水蒸気透過性高分子はポリウレタンであり、特に、US−A−4532316(Henn)に記載されたような、オキシエチレン単位を含むものである。膜に追加の保護及び強度を提供する布裏地材料を膜に設けることが好ましい。裏地材料は、機能層の少なくとも1つの表面に、連続又は不連続の接着層を用いて積層してもよい。裏地材料は、織った、編んだ、天然又は合成の布地材料のシート状布地構造体であることが有利である。スクリム及び不織物もまた使用できる。ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ガラスファイバー、フルオロポリマーや、あるいはPTFEから織られた布地が、布地材料として特に適している。代わりに、さらなるシート状布地構造体を、膜の他の表面に配置してもよい。
【0068】
難燃性及び/又は耐熱性材料の保護材料層は、炎又は過度の温度との接触によって生じる燃焼に対してある程度の保護を提供し、そして、合成繊維、特に、例えばNomex(登録商標)の商品名で入手可能な、アラミド繊維及びパラアラミド繊維のような材料を含む。この保護材料層の難燃特性のために、材料は適切な量の少なくとも1つの難燃性繊維状材料を有する。ある実施態様では、規格EN533(1997)に適合して延焼を制限するために、材料の少なくとも50%が難燃性繊維状材料を含む。そのような繊維状材料を、アラミド、ポリイミド、プレオックス(preox)繊維、PBI又はメラミン樹脂繊維状材料を含む材料からなる群から選択してもよい。難燃性繊維状材料は耐熱性でなければならない。難燃性繊維状材料がアラミドから形成されることが好ましい。ある実施態様では、保護材料層は、アラミドの安定な繊維100%からなる。アラミドは非常に難燃性で、耐熱性、そして耐引裂き性である。難燃性繊維状材料はヤーンの形状を取ることが好ましい。難燃性繊維状材料は、LOI(限界酸素指数)値によって特徴付けてもよい。LOI値は、材料が依然として燃焼するのにちょうど十分な最小酸素含量に相当する。LOI値が30〜40%酸素を超える高分子システムは、自己消火性、すなわち内在的に難燃性である。テクニカルポリマーのLOI値は16〜30%である。一般にLOIが25より大きい繊維を難燃性であると見なす。難燃性繊維状材料のLOI値が少なくとも25であることが望ましい。上に列記した繊維状材料は、LOI値で28〜33を達成し、例えば、ポリイミドはLOI値で38を達成し、PBIはその値が40であり、プレオックス繊維はさらにその値が56〜58である。個々の繊維状材料に関するLOI値は文献から入手でき、例えば、the Denkendorf fiber table of the Institut fuer Textil− und Verfahrenstechnik(繊維化学・化学繊維研究所), Denkendorf,ドイツから入手できる。難燃性及び/又は耐熱性の保護材料層は、手袋の手背面領域などの少なくともいくつかの領域で外部材料を形成することが好ましい。
【0069】
耐穿刺性及び耐切断性材料の保護材料層は、切断、穿刺などの外部からの機械的負傷から保護する目的に役立つ。この目的に適した材料は、金属の織布もしくは編み布、又はアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン、グラファイト、スチールもしくはPTFE繊維の特に安定なヤーンの布地材料であってよい。特に好ましいのは、Kevlar(登録商標)繊維のようなパラアラミド繊維のヤーン、又はCordura(登録商標)のようなポリアミド6,6のヤーン、又は列記した材料の混合ヤーンもしくは混合繊維である。この耐穿刺性及び耐切断性の保護材料層は、外部層11の構成部分であって外部層の内表面又は外表面を少なくとも部分的に覆うか、あるいは第1又は第2室材料の構成部分である。
【0070】
第1室材料は、上述した層からなる群から選択される、少なくとも1つの第1保護材料層45aを有していてよい。また、第1室材料において多数の保護材料層を組みあわせてもよい。第1保護材料層が少なくとも1つの布地層に接合されることが好ましい。その上、第1室材料は、1つの布地材料のみからなっていてもよく、あるいは外部層11によって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0071】
ある実施態様では、第2室材料は少なくとも1つの第2保護材料層45bを有し、その層は、上述した層からなる群から選択してもよく、好ましくは第1室材料の第1保護材料層とは異なる。また、第2室材料は、布地材料、革又は合成皮革の少なくとも1つの層を有してもよい。布地材料は織布又は編み布であってよく、そして、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアラミド及び綿などの可能な材料からなっていてよい。さらなる実施態様では、第2室材料は外部層11によって少なくとも部分的に形成される。
【0072】
外部層11は少なくとも1つの外部層材料を有する。外部層は、衣類の最外部領域を形成し、外部環境と接触する外部領域を有する。ある実施態様では、外部層11は少なくとも1つの第3保護材料層45cを有する。外部層材料として、第3保護材料層が、外部層全体又はある大きさに切断された(cut-to-size)外部層の小片を形成してもよく、あるいは外部層材料に追加して設けられてもよい。外部層11は、外部層材料と、外部層材料の内表面に配置された液体不透過性機能層とを有することが好ましい。液体不透過性機能層は、さらに水蒸気透過性である。液体不透過性機能層は、グローブインサートの形状を取ることが好ましく、そのグローブインサートは微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とその膜の片面に接着された水蒸気透過性ポリウレタン層とを備えた少なくとも1つの積層体を有する。手袋のさらなる実施態様では、外部層は手背面領域において難燃性及び/又は耐穿刺性材料から作られてよく、そして外部層は手前面領域において布地材料から作られてもよい。
【0073】
図2〜図7は本発明の第1実施態様を示す。この第1実施態様では、着用者が寒さに対する絶縁機能と優れた指の触知性機能とを選択できる防水性手袋を説明する。図2は、この第1実施態様の追加材料層を備えた、図1の線II−IIに沿った長手方向の部分断面を示す。手袋10は、内部空間13を取り囲む外部層11を有する。外部層11は、外部層11の内表面12を完全に覆う、グローブインサート40の形状の液体不透過性保護材料層45cを有する。液体不透過性インサート40を、防水性であるようにインサート40の指及び親指の先端に固定されている接合タブ52を用いて、外部層11に取り付けてもよい。このために、接合タブ52を、外部材料11の指及び親指の先端に縫いつけてもよい。さらにインサート40の手開口部を内部空間開口部14に接合する。その代わりとして、例えば不連続接着層を用いて、インサート40を外部層11の内表面12に少なくとも部分的に接着してもよい。内部空間13は、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34を用いて、内部空間13の長軸に沿って2つの室に分割される。両方のインナーグローブ24、34はそれぞれ、それらのインナーグローブが内部空間13よりわずかに小さく、結果として各インナーグローブがそれ自体で内部空間13を満たすことが可能であるような寸法にされる。2つのインナーグローブ24、34は、内部空間の長軸に沿って互いに平行に、内部空間13の中で隣接して配置される。各インナーグローブはそれ自体が内部空間の形状である。従って、インナーグローブは指の先端から内部空間開口部14まで延在し、そして、それぞれのインナーグローブ開口部は互いに隣り合って配置されて内部空間開口部14と一体化している。
【0074】
第1室は、手背面領域16に位置して第1インナーグローブ24を有する。第1インナーグローブ24は第1室材料から製造され、そして布地ライナー層44に接合された絶縁材料42の第1保護材料層45aを有する。絶縁層42及びライナー層44を、例えば、これらの層の間に配置された不連続接着層又は水蒸気透過性の連続接着層を用いて、互いに接着してもよい。2つの層を、インナーグローブの周縁部に沿った接合シームを単に用いて、互いに同じように接合してもよい。絶縁層42は、例えば脱脂綿のような多孔質絶縁材料から作られる。また、多孔質絶縁材料の代わりに、膨張性絶縁構造体を付与してもよい。絶縁層42の厚さは、所望する絶縁性能に応じて選択できる。絶縁層に加えて、さらなる保護材料層を第1室に付与してもよい。インナーグローブ24を形成するために、第1室材料の2つの層は、一方の上に他方が配置され、そして、例えば接着又は縫合を用いて、ミトン又は指あり手袋の周縁部の形状に沿って互いに接合される。その後、インナーグローブは、この周縁部シームに沿って切り抜かれるか打ち抜かれる。布地ライナー層44は、第1室の内側に向いていて、着用者に快適な着用感を与える。
【0075】
第2室は、手前面領域17に位置して第2インナーグローブ34を有する。第2インナーグローブ34は第2室材料からなり、布地層46を有する。また、布地層46の代わりに、少なくとも1つの第2保護材料層45bを付与してもよい。さらなる構成では、布地層46を非常に薄い絶縁層の形状で第2保護材料層と組み合わせる。
【0076】
インナーグローブ24、34の両方とも、手背面領域26、36及び手前面領域27、37をそれぞれ有する。2つのインナーグローブ24、34の手背面領域及び手前面領域のうち、互いに隣接するそれぞれの層は、共通の室壁である可撓性材料層15を形成する。インナーグローブの手背面領域及び手前面領域は互いに接合されることが好ましい。接合は、連続又は不連続の接着によって全表面積にわたり行ってもよく、あるいは、好ましくは縫合又は接着によって、開口部領域及びインナーグローブの指先端領域において部分的に行ってもよい。第1インナーグローブ24が手袋10の手背面領域16に向いており、かつ第2インナーグローブ34が手袋10の手前面領域17に向いている場合、結果として、材料層15が、第2インナーグローブ34の手背面領域26及び第1インナーグローブ24の手前面領域27によって形成される。
【0077】
第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34は、内部空間13の中であってかつインサート40の内部に配置される。この場合、第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36は、一方の上に他方が配置されて、内部空間13を横断面について長軸に沿って2つの機能室に分割する可撓性材料層15を形成する。第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36の接合は、例えば、接合タブ52を用いてインナーグローブ24、34の指の先端及び親指の先端を接合し、可撓性材料層15の端部領域14においてインナーグローブ開口部の端部を接合することによって行ってもよい。さらなる構成によれば、手前面領域27及び手背面領域36は、互いに少なくとも部分的に接着されてもよい。
【0078】
図2は、インナーグローブ24、34、インサート40及び外部層11を互いに固定する可能な方法を示す。防水性インサート40は、指の先端及び親指の先端に接合タブ52が設けられ、接合タブは、例えば接着又は溶接によって、各指の先端及び親指にてそれぞれインサートの内側及び外側に固定され、接合タブの一部は固定用途のために固定されずに残っている。液体不透過性インサートが損傷せず、そしてその結果液体不透過性を失うことが重要である。インナー接合タブの固定されていない部分において、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34の指及び親指のそれぞれの先端を、好ましくは縫合によって固定する。アウター接合タブの固定されていない部分は外部層11に縫合される。
【0079】
第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34のインナーグローブ開口部はそれぞれ、第1室開口部21及び第2室開口部31を形成し、それらは内部空間開口部14の内部に配置される。インナーグローブ24、34の端部25、35は、内部空間開口部の端部18に接合され、好ましくは縫合される。しかしながら、これは、可撓性材料層15に属さない端部領域のみに適用される。可撓性材料層15の層は、それらの端部領域19において互いに好ましくは縫合される。従って、第1インナーグローブの端部領域25は、手背面領域において内部空間開口部の対応する端部18に接合され、好ましくは縫合され、そして第2インナーグローブ34の端部領域35は、手前面領域において内部空間開口部の対応する端部18に接合され、好ましくは縫合される。
【0080】
可撓性材料層15は、内部空間13の横断面の内部で、手背面領域16と手前面領域17の間を長軸に沿って自由に移動可能である。手8が第1インナーグローブ24の中にあるとき、可撓性材料層15は、圧縮された第2インナーグローブ34と一緒に手前面領域17に位置し、手8が第2インナーグローブ34の中にあるとき、可撓性材料層15は圧縮された第1インナーグローブ24と一緒に手背面領域16に位置する。
【0081】
図3は、第1実施態様において、インナーグローブ24、34のいずれにも手が入っていない、図1の線III−IIIに沿った横断面を示す。可撓性材料層15は、第1インナーグローブ24の手前面領域27及び第2インナーグローブ34の手背面領域36によって形成される。材料層15は、手によって手背面領域16又は手前面領域17のいずれかに押し付けることができるように、内部空間13の中を移動可能であって適切な寸法にされる。横断面の周縁領域を拡大した細部は、外側から内側に向かって、アウターグローブの中にシーム54を用いて形成された外部層11と、外部層11の内表面12を覆うインサート40とを示す。第1インナーグローブ24は、第1室材料をインナーグローブに接合する周縁部シーム57を有する。第2インナーグローブ34は周縁部シーム56を用いて形成される。第1室材料は、絶縁材料層42及び布地ライナー層44を有する第1保護材料層45aを有する。第1及び第2インナーグローブ24、34は、インサート40の内部に配置されて内部空間13を満たす。
【0082】
図4は、手8が第1インナーグローブ24の中にある、すなわち第1使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。その結果、手8全体が絶縁材料42によって囲まれて、結果として寒さから保護される。液体不透過性インサート40は、少なくとも水の進入に対する保護をさらに提供する。第2インナーグローブ34は、手前面領域17で平らに押し付けられている。
【0083】
図5は、手8が第1インナーグローブ24に入っている、図4の線V−Vに沿った横断面を示す。この横断面は手首の位置で見たが、同じ横断面構造が手袋の親指又は指の領域でも得られる。手8が第1インナーグローブ24の中にあるということは、第2インナーグローブ34は手袋10の手前面領域17において圧縮されることを意味する。防水性インサート40は、第1インナーグローブ24及び第2インナーグローブ34の両方を取り囲む。
【0084】
図6は、図2の長手方向の部分断面を概略的に示す。手袋は、その構造において図2の手袋に相当し、手8が第2インナーグローブ34の中にあり、結果として第2使用状況にある点が異なる。絶縁層42及び布地ライナー層44を含む組立体全体が、手袋10の手背面領域16に位置するように、第1インナーグローブ24が圧縮される。その結果、指及び手を囲む領域の約3/4が絶縁されず、第2インナーグローブ34の布地層46、インサート40及び外部層11によって囲まれるのみとなる。従って、指の操作性を妨げる厚い絶縁層42はもはやなく、指はグリップ動作のために十分な動きの自由度を有する。さらに、指は手背面領域にのみ絶縁材料を有するため、指はいくらか冷却される。
【0085】
図7は、図6の線VII−VIIに沿った横断面を示し、図7の手袋10を通して手8が第2インナーグローブ34に挿入され、従って第1インナーグローブ24が、手袋10の手背面領域16において圧縮されるように配置される。その結果、手の触知性を妨げがちな厚い層が手背面領域16に配置され、手の指を手前面領域17で良好に動かすことが可能になる。
【0086】
図8〜図11は、本発明の可能な第2実施態様を概略的に示す。この実施態様の場合、着用者は、保護機能か指の触知性が優れる又は動きの自由度が大きいという機能のどちらかを選択する。保護機能は多様であってよく、水及び/又は風及び/又は危険性外部物質からの保護、穿刺及び/又は切断からの保護、熱又は寒さからの保護を、個々に又は組み合わせて含む。例えば、手袋10はオートバイ用グローブであってよい。オートバイ用グローブの着用者にとって、乗車中又はオートバイの操作中の指の優れた触知性は重要である。しかしながら特別な状況では、天候からの保護、特に手袋の防水性が最も重要である。
【0087】
図8は、この第2実施態様の追加の材料層を有する、図2の長手方向の部分断面を示す。手袋10は、好ましくは革から作られた外部層11を有する。ここでも、手袋10は第1室20及び第2室30を有し、内部空間13の長軸方向について内部空間13の横断面を中央で分割する可撓性材料層15によって、これらの室が形成される。第1室20は手背面領域16に割り当てられ、第2室30は手前面領域17に割り当てられる。第1室20は液体不透過性インナーグローブ60によって形成され、第2室30は外部層11の内表面12及びインナーグローブ60の手前面領域67によって形成される。インナーグローブ60の手前面領域67は同時に可撓性材料層15となる。インナーグローブ60は、第1室材料を含み、そして保護材料層として少なくとも1つの液体不透過性積層体50を有する。積層体50は、少なくとも1つの布地ライナー層44に接合された、少なくとも1つの液体不透過性、好ましくは防水性の、機能層41を有する。機能層はさらに防風性及び水蒸気透過性であってもよい。防水性、防風性及び水蒸気透過性の膜を使用することが好ましい。ある実施態様では、積層体50は、好ましくは1つの表面にポリウレタンの連続層及び上に積層されたライナー材料が付与された、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の防水性及び水蒸気透過性の微多孔質膜を有する。そのような積層体を含むインナーグローブ60は、例えば、W.L. Gore & Associates GmbH, Putzbrunn, DEから入手できる。そのようなインナーグローブ60は着用者を特に水から保護する。
【0088】
液体不透過性積層体とは別に、第1室材料がさらなる保護材料層を有してもよい。例えば、液体不透過性積層体は絶縁層を備えてもよく、あるいは耐切断性材料の層を有する。
【0089】
インナーグローブ60を、手袋10の手背面領域16に点状に接着してもよく、格子状又は連続的に適用された接着剤を代わりに使用してもよい。ここでは、第2室30を作製可能にするために、インナーグローブ60の手背面領域1のみを外部層11に確実に接合しなければならない。詳しくは、インナーグローブ60の端部の略半分のみが内部空間開口部の端部に接合され、その結果、インナーグローブ60の手前面領域67が、第1室20と第2室30との間に可撓性材料層15を形成する。図2に関して説明したように、インナーグローブ60を、手袋の指の先端及び親指の先端にて接合タブを用いて固定してもよい。この場合、インナーグローブ60の周縁端部を、外周縁部の周りで外部層11の端部にさらに接合する。接着による解決方法と同様の方法で、インナーグローブ60の端部を、インナーグローブ60の手背面領域1において内部空間開口部の端部に接合し、その結果、手前面領域67が、第1室20と第2室30との間に可撓性材料層15を形成する。
【0090】
図9は、図8の線IX−IXに沿った横断面を示す。インナーグローブ60の手前面領域67は、2つの室20、30の間に可撓性材料層15を形成する。インナーグローブ60の手背面領域66は、不連続の接着層55を用いて、外部層11の内表面12に固定される。図9において周縁領域を拡大した細部は、これらの層をこの部分で組み立てるやり方を示す。外部層11はシーム54を用いて接合される。インナーグローブ60は、液体不透過性機能層41及び布地ライナー層44の積層体50を含む保護材料層45を有する。インナーグローブ60は、接着シーム58を用いて形成される。インナーグローブの手背面領域66は、不連続の接着層を用いて外部層11に固定される。
【0091】
図10は、手8が第1室20に入っている、図8の長手方向の部分断面を示す。手8は液体不透過性インナーグローブ60の中にあり、従って第1室20の中にある。第2室30は圧縮され、インナーグローブ60の手前面領域67は外部層11の手前面領域17にある。
【0092】
図11は、手8が第2室30に入っている、図8の長手方向の部分断面を示す。第1室20、従ってインナーグローブ60の全体は、手袋10の手背面領域16で圧縮される。その結果、外部層11のみが手8の下側を覆い、手袋の着用者はこの領域において指の優れた触知性を有する。例えばオートバイの運転時の手の動作を確実に行うことができる。
【0093】
図12は、本発明によって、外部層11の内部空間13の中で第1室20又は第2室30を形成するために使用される、あるいはグローブインサート40として、外部層11の内表面12を覆う、インナーグローブ24、34、60、40を示す。液体不透過性機能層及び少なくとも1つの布地層を有する積層体を使用することが好ましい。布地層のない積層体を使用することも可能である。
【0094】
インナーグローブは第1材料層80及び第2材料層85を有する。第1材料層及び第2材料層が両方とも第1室材料又は第2室材料を含んでもよい。しかしながら、それらの層が異なる材料を含んでもよい。第1材料層及び第2材料層は、適当な接合手段によって所望の周縁端部に沿って互いに接合され、こうしてシーム56、57、58が形成される。向かい合う面が同じ材料で作られているように、ある層の上に他の層が配置された同じ構造体の2つの向かい合う材料層によって、インナーグローブが製造される。このシームは防水性であることが好ましい。着用者の手を受容するための開口部が設けられる。適当な接合手段の例は、縫合、接着、高周波シール、溶接、例えば超音波溶接、マイクロ波溶接及びヒートシールである。ある実施態様では、シームは、適当な接着剤、例えばポリウレタン接着剤、ホットメルト接着剤又は反応性ホットメルト接着剤などを用いて形成される。
【0095】
図13は、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。この断面は第1及び第2材料層80、85の実施態様を示す。第1及び第2材料層80、85はそれぞれ、布地ライナー層44に接合された保護材料層45を有する。保護材料層45及びライナー層44を、一方の上に他方を緩く置いてもよく、インナーグローブの周縁部シールのみを用いて互いに接合してもよい。また、それらを、連続的又は不連続的に適用された接着層を用いて、それらの表面積全体で互いに接合してもよい。通気性材料層が望ましい場合、接着層は、通気性の連続した接着剤又は不連続の接着剤のいずれかでなければならない。通気性接着剤とは親水性接着剤を指す。通気親水性接着剤は、高い水蒸気透過率を有し、そして層間に良好な接着をもたらす。通気性接着剤の例として、ポリエーテル−ポリウレタン、及び水分硬化性ポリエーテル−ポリウレタンが挙げられる。必要であれば、接着層がフィラーを含んでもよい。不連続の接着剤は、通気性又は非通気性のいずれであってもよい。不連続の接着剤は、保護材料層50又はライナー層のいずれかに適用してもよい。適用方法には、例えば格子印刷、グラビア印刷、スプレー及び従来技術で知られている全ての他の方法が含まれる。保護材料層は、所望する保護機能に応じて様々な材料を含む。インナーグローブを形成するために、保護材料層50及び布地ライナー層44は、所望するグローブ周縁部に沿ってシーム57を用いて互いに接合される。
【0096】
図14は、さらなる実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。第1材料層80及び第2材料層85はそれぞれ、防水性の3枚重ね積層体によって形成される。3枚重ね積層体は、2つの布地層44、46の間に配置された防水性及び水蒸気透過性のePTFE膜48を含む。これらの層を不連続の接着層を用いて互いに接合することが好ましい。2つの材料層80、85は、接着シーム58を用いて防水性であるようにインナーグローブに接合される。
【実施例】
【0097】
例1:本発明の衣類をスキーグローブの形状で製造する。アウターグローブは多数のグローブ部分(ある大きさに切断された(cut-to-size)小片)から製造する。アウターグローブは、手の上側部分、手の内側部分、及び指の間に位置する指側面部分を含む。これらの部分を互いに縫合する。手の上側部分及び指側面部分は、単位面積あたりの質量が120g/m2のポリエステルからなる。手の内側部分は手の上側部分と同じ布地材料からなるが、指の下側及び手のひらの領域において、布地材料の代わりに革を使用してもよい。アウターグローブの外側を撥水剤で疎水性にする。
【0098】
液体不透過性グローブインサートを製造する。このために、液体不透過性機能層及び布地層を含む2枚重ね布地積層体を製造する。機能層は、米国特許第4194041号による水蒸気透過性非孔質ポリウレタンコーティングを有する、微多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。機能層を、ポリウレタン接着剤の複数の接着点をもちいて、片面で布地層に積層する。布地層をポリプロピレンから製造する。積層体の質量は50〜60g/m2である(ISO 9073−1による)。2つの布地積層体の一方の上に他方を配置して、グローブの輪郭に沿って防水性であるようにそれらを互いに接合することによって、インサートを形成する。このために、接着ビーズを積層体の布地層に適用する。接着ビーズをグローブインサートの外周縁部の形状に配置する。接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト接着剤である。第2積層体を第1積層体の上に配置し、布地層は一方の上に他方を配置する。2つの積層体を一緒に押し付けて、布地層を通して機能層へと接着剤を押し出し、そして2つの積層体を互いに接合する。その後、完成したグローブインサートを、手の形状にパンチで打ち抜く。グローブインサートは防水性及び水蒸気透過性である。そのようなグローブインサートは、W.L. Gore & Associates GmbH, Feldkirchenから入手可能である。
【0099】
第1室を第1インナーグローブの形状に製造する。このために、絶縁材料の2つの層を設ける。絶縁材料は、単位面積あたりの質量が40g/m2であるThinsulate(登録商標)であり、3Mから入手可能である。絶縁材料は、片方の表面に、単位面積あたりの質量が90g/m2である毛羽立てたポリエステルの布地ライナー層を備えている。ライナー層の一方の上に他方が配置されるように、絶縁材料の2つの層の一方の上に他方を配置する。続いて、これらの層を互いに縫合して、アウターグローブより寸法がわずかに小さいグローブを形成する。
【0100】
第2室を第2インナーグローブの形状に製造する。このために、アウターグローブより寸法がわずかに小さいグローブを、単位面積あたりの質量が90g/m2の毛羽立てたポリエステルの布地ライナー材料から縫合する。
【0101】
本発明のグローブを完成するために、最初に2つのインナーグローブを互いに接合する。このために、両方のインナーグローブの指の先端及び親指の先端にて、接合タブとして接着ストリップをそれぞれ縫合する。接着ストリップは、一方の表面に接着コーティングを有する、幅の狭い布地材料の小片である。市販の耐熱性接着剤、好ましくは熱活性化接着剤を、接着コーティングとして使用できる。2つのインナーグローブの接着ストリップをそれぞれ同じ指にて互いに縫合する。続いて、一方の上に他方が配置されている、第2インナーグローブのライナー材料及び第1インナーグローブの絶縁材料の端部を開口部領域で縫合可能なように、第1インナーグローブ及び第2インナーグローブの一方を他方の上に配置する。こうして可撓性材料層が完成する。
【0102】
布地ライナー層が外側を向くように、グローブインサートをその左側の上に折り返す。グローブインサートを2つのインナーグローブに接合し、そこでは、接着ストリップが、指及び親指の先端で、インサートの対応する指の先端及び親指の先端に接着されている。このために、接着ストリップを指のそれぞれの先端の上に配置し、そして圧力及び熱をさっと与えることによって、布地材料を通して機能層へと接着コーティングを浸透させ、そして接着ストリップをインサートに接合する。続いて、インサートを再度その右側の上に折り返すことにより、2つのインナーグローブが隣接して互いに平行であるように、それらのインナーグローブをインサートの内部で整える。インサート開口部の端部領域において、インナーグローブのまだ固定されていない端部をインサートの端部に縫合することもできる。
【0103】
完成したグローブについて、インサートは、アウターグローブの内部に配置されたインナーグローブに固定される。このために、圧力及び熱をさっと与えることにより、インサートの指の先端及び親指の先端にてさらなる接着ストリップを固定する。アウターグローブをその左側に折り返し、そしてアウターグローブの指の先端及び親指の先端を、インサートの接着ストリップの自由な端部に縫合する。続いて、2つのインナーグローブを備えたインサートがアウターグローブの内部にあるように、アウターグローブをその右側に折り返す。最終工程として、インサートの端部がインナーグローブの外端部によってきっちりと取り囲まれるように、アウターグローブ開口部の端部を縫合する。
【0104】
例2:本発明の衣類をオートバイ用グローブの形状で製造する。もっぱら革を材料として使用する以外は、アウターグローブを例1に記載したように製造する。革材料の厚さは0.6mmである。第1室として、グローブインサートを例1に記載したように製造する。続いて、グローブインサートを第1室としてアウターグローブ内に固定する。このために、手背面領域において、インサートの外表面に接着層を付与する。接着層は、格子状のポリウレタンの層であり、剥離紙を用いて表面上で融解する。インサートが型の上でぴんと張って折り目なく配置されるように、手の形状に作製された加熱可能な型の上にインサートを引っ張る。アウターグローブをインサートに被せて引っ張り、インサートの上でぴんと張って折り目なく配置する。手背面領域において、接着層をアウターグローブの内表面とインサートの表面との間に配置する。型を110℃以上に加熱することにより、接着剤を融解して手背面領域で2つの層を接合する。20秒後、グローブを型から引っ張って外す。最終工程として、インサートの手前面領域において端部がグローブ内部で自由に動くことが可能な状態であるように、アウターグローブの端部を手背面領域においてインサートの関係する端部に縫合する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】手袋形状である本発明の衣類を斜視図で示す。
【図2】第1実施態様において、図1の線II−IIに沿った長手方向の部分断面を示す。
【図3】第1実施態様において、図1の線III−IIIに沿った横断面を示す。
【図4】手が第1使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図5】手が第1使用状況にある、図4の線V−Vに沿った横断面を示す。
【図6】手が第2使用状況にある、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図7】手が第2使用状況にある、図6の線VII−VIIに沿った横断面を示す。
【図8】第2実施態様において、図2の長手方向の部分断面を示す。
【図9】第2実施態様において、図8の線IX−IXに沿った横断面を示す。
【図10】手が第1使用状況にある、図8の長手方向の部分断面を示す。
【図11】手が第2使用状況にある、図8の長手方向の部分断面を示す。
【図12】インナーグローブを斜視図で示す。
【図13】第1実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。
【図14】第2実施態様において、図12の線XIII−XIIIに沿った断面を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部層(11)を備えた衣類であって、
前記外部層(11)が少なくとも1つの内部空間(13)を取り囲み、
前記内部空間(13)が、身体部分を受容するための少なくとも1つの開口部(14)を有し、
前記内部空間(13)が、少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割され、
各室が、前記内部空間(13)の開口部(14)に配置されて前記身体部分を選択的に受容することを意図した少なくとも1つの室開口部(21、31)を有する、衣類。
【請求項2】
少なくとも2つの室(20、30)が、前記内部空間(13)内で互いに平行に配置されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記少なくとも2つの室(20、30)のそれぞれが前記内部空間(13)の形状を有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項4】
前記室開口部(21、31)が、前記内部空間開口部(14)を満たしている、請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記内部空間開口部(14)が内部空間端部(18)を有し、各室開口部(21、31)が室開口部端部(22、32)を有し、各室開口部端部(22、32)が前記内部空間端部(18)に接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記内部空間(13)の横断面が、少なくとも1つの可撓性材料層(15)を用いて、前記内部空間の長軸方向において、前記少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項7】
少なくとも1つの室が前記外部層(11)に接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項8】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項9】
前記内部空間(13)が、少なくとも1つの第1機能を有する第1室(20)と、少なくとも1つの第2機能を有する第2室(30)とを有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項10】
前記内部空間(13)が、第1室開口部(21)を備えた第1室(20)と、第2室開口部(31)を備えた第2室(30)とを有し、前記室開口部(21、31)が前記内部空間(13)の前記開口部(14)の内部で互いに並んで配置されるように、前記第1室(20)及び前記第2室(30)が互いに隣接して配置されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項11】
前記室(20、30)が少なくとも1つの室材料を有し、前記外部層(11)が少なくとも1つの外部層材料を有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項12】
前記第1室(20)が第1室材料を有し、前記第2室(30)が第2室材料を有する、請求項9〜11のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項13】
前記第1室材料が前記第2室材料と異なる、請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記可撓性材料層(15)が、少なくとも1つの室材料から形成されている、請求項6又は11のいずれかに記載の衣類。
【請求項15】
前記第2室(20)が、前記第1室材料と前記外部層材料とを用いて形成されている、請求項9〜12のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項16】
前記室材料及び/又は前記外部層材料が、少なくとも1つの保護材料層(45)を有する、請求項11に記載の衣類。
【請求項17】
前記保護材料層(45)が、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料を含む群から少なくとも1つの層を有する、請求項16に記載の衣類。
【請求項18】
前記機能層材料が液体不透過性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項19】
前記機能層材料が水蒸気透過性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項20】
前記機能層材料が防風性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項21】
前記機能層材料が微多孔質高分子膜を有する、請求項17に記載の衣類。
【請求項22】
前記膜が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項21に記載の衣類。
【請求項23】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項24】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層及び少なくとも1つの機能層材料の層を備えた第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項25】
前記第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項26】
前記絶縁材料が膨張性層を有する、請求項23に記載の衣類。
【請求項27】
前記第2室材料が布地材料の層を有する、請求項12に記載の衣類。
【請求項28】
前記第2室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項29】
前記第2室材料が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項30】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項31】
前記外部層材料が、少なくとも1つの液体不透過性機能層材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項32】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項33】
少なくとも1つの室が衣類インサートを用いて形成される、請求項1に記載の衣類。
【請求項34】
前記内部空間が第1室(20)及び第2室(30)を有し、前記第1室(20)が第1衣類インサート(24)を用いて形成され、前記第2室(30)が第2衣類インサート(34)を用いて形成される、請求項1に記載の衣類。
【請求項35】
前記第1衣類インサート(24)及び前記第2衣類インサート(34)が、互いに接合され、そして前記外部層(11)に固定されている、請求項34に記載の衣類。
【請求項36】
前記第1衣類インサート(24)が前記第1室材料を有し、前記第2衣類インサートが前記第2室材料を有する、請求項12又は34のいずれかに記載の衣類。
【請求項37】
前記衣類が、ジャケット、ズボン、手袋又は靴である、請求項1に記載の衣類。
【請求項38】
手(8)を受容するための少なくとも1つの開口部(14)を備えた内部空間(13)を取り囲む外部層(11)を有する手袋(10)であって、
前記内部空間(13)は、少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割され、
各室が、前記内部空間(13)の前記開口部(14)に配置されて前記手を選択的に受容することを意図した室開口部(21、31)を有する、手袋(10)。
【請求項39】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに平行に配置されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項40】
各室(20、30)が前記手袋(10)の形状を有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項41】
前記内部空間開口部(14)が内部空間端部(18)を有し、各室開口部(21、31)が室開口部端部(22、32)を有し、各室開口部端部(22、32)が前記内部空間端部(18)に接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項42】
前記内部空間(13)の横断面が、手の前面の形状の少なくとも1つの可撓性材料層(15)を用いて、前記内部空間の長軸方向において、前記少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項43】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、第1室(20)が前記手背面領域(16)と第2室(30)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記内部空間(13)が前記第1室(20)と前記第1室(20)に隣接する前記第2室(30)とに分割されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項44】
前記内部空間(13)が、第1室開口部(21)を備えた第1室(20)と第2室開口部(31)を備えた隣接する第2室(39)とに分割され、前記室開口部(21、31)が、前記内部空間開口部(14)の中で互いに並んで配置されて前記内部空間開口部(14)を満たしている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項45】
前記内部空間(13)が、少なくとも1つの第1機能を有する第1室(20)と、少なくとも1つの第2機能を有する第2室(30)とを有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項46】
少なくとも1つの室(20、30)が前記外部層(11)に接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項47】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項48】
前記室(20、30)が少なくとも1つの室材料を有し、前記外部層(11)が少なくとも1つの外部層材料を有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項49】
前記第1室(20)が第1室材料を有し、前記第2室(30)が第2室材料を有する、請求項43〜45及び48のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項50】
前記第1室材料が前記第2室材料と異なる、請求項49に記載の手袋(10)。
【請求項51】
前記第2室(30)が、第1室材料と前記外部層材料とを用いて形成されている、請求項48〜49のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項52】
前記室材料及び/又は前記外部層材料が、少なくとも1つの保護材料層(45)を有する、請求項48に記載の手袋(10)。
【請求項53】
前記保護材料層(45)が、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料を含む群から少なくとも1つの層を有する、請求項52に記載の手袋(10)。
【請求項54】
前記機能層材料が液体不透過性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項55】
前記機能層材料が水蒸気透過性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項56】
前記機能層材料が防風性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項57】
前記機能層材料が微多孔質高分子膜を有する、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項58】
前記膜が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項57に記載の手袋(10)。
【請求項59】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項60】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層及び少なくとも1つの機能層材料の層を備えた第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項61】
前記第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項62】
前記絶縁材料が膨張性層を有する、請求項59に記載の手袋(10)。
【請求項63】
前記第2室材料が布地材料の層を有する、請求項49に記載の手袋(10)。
【請求項64】
前記第2室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項65】
前記第2室材料が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項66】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項67】
前記外部層材料が、少なくとも1つの液体不透過性機能層材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項68】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項69】
少なくとも1つの室が、インナーグローブ(インサート)(24、34)を用いて形成される、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項70】
前記インナーグローブ(24、34)が前記外部層(11)に接合されている、請求項69に記載の手袋(10)。
【請求項71】
前記内部空間(13)が、第1室(20)及び第2室(30)を有し、前記第1室(20)が第1インナーグローブ(24)を用いて形成され、前記第2室(30)が第2インナーグローブ(34)を用いて形成されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項72】
前記インナーグローブ(24、34)が、互いに固定され、そして前記外部層(10)に固定されている、請求項71に記載の手袋(10)。
【請求項73】
前記第1インナーグローブ(24)が前記第1室材料を有し、前記第2インナーグローブ(34)が前記第2室材料を有する、請求項49又は71のいずれかに記載の手袋(10)。
【請求項74】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、前記内部空間(13)が第1室(20)と第2室(30)とに分割され、そして前記第1室(20)が前記手背面領域(16)と前記第2室(20)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記室が互いに隣接して配置され、前記外部層(11)が、液体不透過性機能層材料の層を備えた外部層材料を有し、前記第1室(20)が第1室材料の第1インナーグローブ(24)を用いて形成され、前記第1室材料が絶縁材料の層及び布地材料の層を有し、そして前記第2室(30)が、布地材料の層を有する第2室材料の第2インナーグローブ(34)を用いて形成されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項75】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、前記内部空間(13)が第1室(20)と、隣接する第2室(30)とに分割され、そして前記第1室(20)が前記手背面領域(16)と前記第2室(20)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記室が互いに並んで配置され、前記第1室(20)が、液体不透過性機能層材料の層及び布地材料の層を有するインナーグローブ(24)を用いて形成される、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項76】
前記手袋が、アウターグローブの中に引き込むことが可能なインナーグローブである、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項1】
外部層(11)を備えた衣類であって、
前記外部層(11)が少なくとも1つの内部空間(13)を取り囲み、
前記内部空間(13)が、身体部分を受容するための少なくとも1つの開口部(14)を有し、
前記内部空間(13)が、少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割され、
各室が、前記内部空間(13)の開口部(14)に配置されて前記身体部分を選択的に受容することを意図した少なくとも1つの室開口部(21、31)を有する、衣類。
【請求項2】
少なくとも2つの室(20、30)が、前記内部空間(13)内で互いに平行に配置されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記少なくとも2つの室(20、30)のそれぞれが前記内部空間(13)の形状を有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項4】
前記室開口部(21、31)が、前記内部空間開口部(14)を満たしている、請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記内部空間開口部(14)が内部空間端部(18)を有し、各室開口部(21、31)が室開口部端部(22、32)を有し、各室開口部端部(22、32)が前記内部空間端部(18)に接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項6】
前記内部空間(13)の横断面が、少なくとも1つの可撓性材料層(15)を用いて、前記内部空間の長軸方向において、前記少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項7】
少なくとも1つの室が前記外部層(11)に接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項8】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに接合されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項9】
前記内部空間(13)が、少なくとも1つの第1機能を有する第1室(20)と、少なくとも1つの第2機能を有する第2室(30)とを有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項10】
前記内部空間(13)が、第1室開口部(21)を備えた第1室(20)と、第2室開口部(31)を備えた第2室(30)とを有し、前記室開口部(21、31)が前記内部空間(13)の前記開口部(14)の内部で互いに並んで配置されるように、前記第1室(20)及び前記第2室(30)が互いに隣接して配置されている、請求項1に記載の衣類。
【請求項11】
前記室(20、30)が少なくとも1つの室材料を有し、前記外部層(11)が少なくとも1つの外部層材料を有する、請求項1に記載の衣類。
【請求項12】
前記第1室(20)が第1室材料を有し、前記第2室(30)が第2室材料を有する、請求項9〜11のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項13】
前記第1室材料が前記第2室材料と異なる、請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記可撓性材料層(15)が、少なくとも1つの室材料から形成されている、請求項6又は11のいずれかに記載の衣類。
【請求項15】
前記第2室(20)が、前記第1室材料と前記外部層材料とを用いて形成されている、請求項9〜12のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項16】
前記室材料及び/又は前記外部層材料が、少なくとも1つの保護材料層(45)を有する、請求項11に記載の衣類。
【請求項17】
前記保護材料層(45)が、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料を含む群から少なくとも1つの層を有する、請求項16に記載の衣類。
【請求項18】
前記機能層材料が液体不透過性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項19】
前記機能層材料が水蒸気透過性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項20】
前記機能層材料が防風性である、請求項17に記載の衣類。
【請求項21】
前記機能層材料が微多孔質高分子膜を有する、請求項17に記載の衣類。
【請求項22】
前記膜が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項21に記載の衣類。
【請求項23】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項24】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層及び少なくとも1つの機能層材料の層を備えた第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項25】
前記第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項26】
前記絶縁材料が膨張性層を有する、請求項23に記載の衣類。
【請求項27】
前記第2室材料が布地材料の層を有する、請求項12に記載の衣類。
【請求項28】
前記第2室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項29】
前記第2室材料が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項12及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項30】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項31】
前記外部層材料が、少なくとも1つの液体不透過性機能層材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項32】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項11及び16〜17のいずれか1つに記載の衣類。
【請求項33】
少なくとも1つの室が衣類インサートを用いて形成される、請求項1に記載の衣類。
【請求項34】
前記内部空間が第1室(20)及び第2室(30)を有し、前記第1室(20)が第1衣類インサート(24)を用いて形成され、前記第2室(30)が第2衣類インサート(34)を用いて形成される、請求項1に記載の衣類。
【請求項35】
前記第1衣類インサート(24)及び前記第2衣類インサート(34)が、互いに接合され、そして前記外部層(11)に固定されている、請求項34に記載の衣類。
【請求項36】
前記第1衣類インサート(24)が前記第1室材料を有し、前記第2衣類インサートが前記第2室材料を有する、請求項12又は34のいずれかに記載の衣類。
【請求項37】
前記衣類が、ジャケット、ズボン、手袋又は靴である、請求項1に記載の衣類。
【請求項38】
手(8)を受容するための少なくとも1つの開口部(14)を備えた内部空間(13)を取り囲む外部層(11)を有する手袋(10)であって、
前記内部空間(13)は、少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割され、
各室が、前記内部空間(13)の前記開口部(14)に配置されて前記手を選択的に受容することを意図した室開口部(21、31)を有する、手袋(10)。
【請求項39】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに平行に配置されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項40】
各室(20、30)が前記手袋(10)の形状を有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項41】
前記内部空間開口部(14)が内部空間端部(18)を有し、各室開口部(21、31)が室開口部端部(22、32)を有し、各室開口部端部(22、32)が前記内部空間端部(18)に接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項42】
前記内部空間(13)の横断面が、手の前面の形状の少なくとも1つの可撓性材料層(15)を用いて、前記内部空間の長軸方向において、前記少なくとも2つの隣接する室(20、30)に分割されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項43】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、第1室(20)が前記手背面領域(16)と第2室(30)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記内部空間(13)が前記第1室(20)と前記第1室(20)に隣接する前記第2室(30)とに分割されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項44】
前記内部空間(13)が、第1室開口部(21)を備えた第1室(20)と第2室開口部(31)を備えた隣接する第2室(39)とに分割され、前記室開口部(21、31)が、前記内部空間開口部(14)の中で互いに並んで配置されて前記内部空間開口部(14)を満たしている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項45】
前記内部空間(13)が、少なくとも1つの第1機能を有する第1室(20)と、少なくとも1つの第2機能を有する第2室(30)とを有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項46】
少なくとも1つの室(20、30)が前記外部層(11)に接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項47】
前記少なくとも2つの室(20、30)が互いに接合されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項48】
前記室(20、30)が少なくとも1つの室材料を有し、前記外部層(11)が少なくとも1つの外部層材料を有する、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項49】
前記第1室(20)が第1室材料を有し、前記第2室(30)が第2室材料を有する、請求項43〜45及び48のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項50】
前記第1室材料が前記第2室材料と異なる、請求項49に記載の手袋(10)。
【請求項51】
前記第2室(30)が、第1室材料と前記外部層材料とを用いて形成されている、請求項48〜49のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項52】
前記室材料及び/又は前記外部層材料が、少なくとも1つの保護材料層(45)を有する、請求項48に記載の手袋(10)。
【請求項53】
前記保護材料層(45)が、絶縁材料、機能層材料、耐熱性及び/又は難燃性材料、耐切断性材料を含む群から少なくとも1つの層を有する、請求項52に記載の手袋(10)。
【請求項54】
前記機能層材料が液体不透過性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項55】
前記機能層材料が水蒸気透過性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項56】
前記機能層材料が防風性である、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項57】
前記機能層材料が微多孔質高分子膜を有する、請求項53に記載の手袋(10)。
【請求項58】
前記膜が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項57に記載の手袋(10)。
【請求項59】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項60】
前記第1室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層及び少なくとも1つの機能層材料の層を備えた第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項61】
前記第1室材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第1保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項62】
前記絶縁材料が膨張性層を有する、請求項59に記載の手袋(10)。
【請求項63】
前記第2室材料が布地材料の層を有する、請求項49に記載の手袋(10)。
【請求項64】
前記第2室材料が、少なくとも1つの絶縁材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項65】
前記第2室材料が、少なくとも1つの機能層材料の層の形状の、第2保護材料層を有する、請求項49及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項66】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐熱性及び/又は難燃性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項67】
前記外部層材料が、少なくとも1つの液体不透過性機能層材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項68】
前記外部層材料が、少なくとも1つの耐切断性材料の層の形状の、第3保護材料層を有する、請求項48及び52〜53のいずれか1つに記載の手袋(10)。
【請求項69】
少なくとも1つの室が、インナーグローブ(インサート)(24、34)を用いて形成される、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項70】
前記インナーグローブ(24、34)が前記外部層(11)に接合されている、請求項69に記載の手袋(10)。
【請求項71】
前記内部空間(13)が、第1室(20)及び第2室(30)を有し、前記第1室(20)が第1インナーグローブ(24)を用いて形成され、前記第2室(30)が第2インナーグローブ(34)を用いて形成されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項72】
前記インナーグローブ(24、34)が、互いに固定され、そして前記外部層(10)に固定されている、請求項71に記載の手袋(10)。
【請求項73】
前記第1インナーグローブ(24)が前記第1室材料を有し、前記第2インナーグローブ(34)が前記第2室材料を有する、請求項49又は71のいずれかに記載の手袋(10)。
【請求項74】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、前記内部空間(13)が第1室(20)と第2室(30)とに分割され、そして前記第1室(20)が前記手背面領域(16)と前記第2室(20)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記室が互いに隣接して配置され、前記外部層(11)が、液体不透過性機能層材料の層を備えた外部層材料を有し、前記第1室(20)が第1室材料の第1インナーグローブ(24)を用いて形成され、前記第1室材料が絶縁材料の層及び布地材料の層を有し、そして前記第2室(30)が、布地材料の層を有する第2室材料の第2インナーグローブ(34)を用いて形成されている、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項75】
手背面領域(16)及び手前面領域(17)を備え、前記内部空間(13)が第1室(20)と、隣接する第2室(30)とに分割され、そして前記第1室(20)が前記手背面領域(16)と前記第2室(20)との間に配置され、かつ前記第2室(30)が前記第1室(20)と前記手前面領域(17)との間に配置されるように、前記室が互いに並んで配置され、前記第1室(20)が、液体不透過性機能層材料の層及び布地材料の層を有するインナーグローブ(24)を用いて形成される、請求項38に記載の手袋(10)。
【請求項76】
前記手袋が、アウターグローブの中に引き込むことが可能なインナーグローブである、請求項38に記載の手袋(10)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−539337(P2008−539337A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508129(P2008−508129)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003751
【国際公開番号】WO2006/117094
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003751
【国際公開番号】WO2006/117094
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
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