説明

表札

【課題】
石材と金属材とを複合した表札であって、外観性においてそれぞれの材料が持つ良さを出し、また立体的で豪華な意匠性を作り出すことが可能な表札を提供する。
【解決手段】
天然石、人工石、磁器質タイルから選ばれた1種からなる四角形の基板2と、該基板の表面7の一部に重なる表面板5と基板の一側端面8に接合する支持板6とを有するステンレス板又はアルミニウム板からなる化粧板3と、化粧板の表面板よりも外形が小さく、基板の表面と表面板との間に介在させるスペーサ板4とからなり、化粧板の表面板を、スペーサ板を介して基板の表面に接着するとともに、化粧板の支持板を基板の端面に接着し、姓名等の表示部9を表面板又は基板の露出部の一方又は双方に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関や門柱等に設置する表札に係わり、更に詳しくは石材と金属材とを複合した表札に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、御影石の表面に文字を彫刻した表札、あるいはステンレス板に文字を彫刻した表札、あるいはステンレス製の切り文字をステンレス板の貼り合わした表札等は公知である。また、近年は個性を出し、また豪華さを出すために石材と金属材を複合した表札も提供されるようになってきた。
【0003】
特許文献1には、天然石層と、FRP樹脂層と、耐候性材層を有し、該天然石層は薄板状で、該FRP樹脂層は該天然石層の一面に接着剤により接着されかつ自身を貫通して該天然石層に入り込んでいる孔に充填された別の接着剤により局所的に高強度に接着され、該耐候性材層は該FRP樹脂層に接着剤により接着された天然石を利用した表札が記載されている。ここで、耐候性材層がステンレス板となっており、該ステンレス板と該FRP樹脂層に互いに連通する掛け孔が穿たれている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の表札は、確かに天然石とステンレス板を複合した表札ではあるが、天然石とステンレス板の外形が同じであり、それらをFRP樹脂層を介して強固に接着した構造であるので、外観性においては単純な直方体の表札である。つまり、天然石からなる基板の表面をステンレス板で覆った外観であり、ステンレス板の厚みが1mmでも十分な剛性を持たせることはできる。
【特許文献1】実用新案登録第3031978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、石材と金属材とを複合した表札であって、外観性においてそれぞれの材料が持つ良さを出し、また立体的で豪華な意匠性を作り出すことが可能な表札を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、天然石、人工石、磁器質タイルから選ばれた1種からなる四角形の基板と、該基板の表面の一部に重なる表面板と前記基板の一側端面に接合する支持板とを有するステンレス板又はアルミニウム板からなる化粧板と、前記化粧板の表面板よりも外形が小さく、前記基板の表面と表面板との間に介在させるスペーサ板とからなり、前記化粧板の表面板を、スペーサ板を介して前記基板の表面に接着するとともに、前記化粧板の支持板を前記基板の端面に接着し、姓名等の表示部を前記表面板又は前記基板の露出部の一方又は双方に設けたことを特徴とする表札を構成した(請求項1)。
【0007】
ここで、前記スペーサ板の端縁を前記化粧板の表面板の端縁よりも内側に後退した位置に設けてなることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記化粧板の表面板の一端縁を曲線で形成してなることも好ましい(請求項3)。
【0009】
また、前記化粧板の表面板に単又は複数の開口を形成してなることも好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
以上にしてなる請求項1に係る発明の表札は、天然石、人工石、磁器質タイルから選ばれた1種からなる四角形の基板と、該基板の表面の一部に重なる表面板と前記基板の一側端面に接合する支持板とを有するステンレス板又はアルミニウム板からなる化粧板と、前記化粧板の表面板よりも外形が小さく、前記基板の表面と表面板との間に介在させるスペーサ板とからなり、前記化粧板の表面板を、スペーサ板を介して前記基板の表面に接着するとともに、前記化粧板の支持板を前記基板の端面に接着し、姓名等の表示部を前記表面板又は前記基板の露出部の一方又は双方に設けたので、外観性において基板と化粧板とを構成する材料の持つ良さを同時に備えて豪華さが倍増し、また化粧板は表面板がスペーサ板を介して基板の表面に接着するとともに、支持板が基板の一端面に接着する構造であるので、化粧板の支持強度が非常に高いとともに、立体感もあるのである。また、前記化粧板は、ステンレス板又はアルミニウム板から表面板と支持板とをL字状に屈曲して形成したので、それ自体の曲げ強度が高くなる。更に、化粧板の支持板が基板の端面に接着するので、この端面側の強度の向上と外観性の向上が共に図れるのである。
【0011】
請求項2によれば、前記スペーサ板の端縁を前記化粧板の表面板の端縁よりも内側に後退した位置に設けてなるので、化粧板の表面板の端縁に影が生じて、基板の表面から浮き出たように見えるので、より立体感を高めることができ、豪華さも増すのである。
【0012】
請求項3によれば、前記化粧板の表面板の一端縁を曲線で形成してなるので、外観性において材料の持つ硬いイメージを和らげることができる。
【0013】
請求項4によれば、前記化粧板の表面板に単又は複数の開口を形成してなるので、化粧板の表面板に変化を持たせ、より立体感を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る表札の第1実施形態を示し、図1は表札の斜視図、図2はその断面図を示し、図中符号1は表札、2は基板、3は化粧板、4はスペーサ板、5は表面板、6は支持板をそれぞれ示している。
【0015】
本発明に係る表札1は、図1及び図2に示すように、天然石、人工石、磁器質タイルから選ばれた1種からなる四角形の基板2と、該基板2の表面7の一部に重なる表面板5と前記基板2の一側端面8に接合する支持板6とを有するステンレス板又はアルミニウム板からなる化粧板3と、前記化粧板3の表面板5よりも外形が小さく、前記基板2の表面7と表面板5との間に介在させるスペーサ板4とからなり、前記化粧板3の表面板5を、スペーサ板4を介して前記基板2の表面7に接着するとともに、前記化粧板3の支持板6を前記基板2の端面8に接着し、姓名等の表示部9を前記表面板5又は前記基板2の露出部の一方又は双方に設けた構造である。
【0016】
本実施形態としては、前記基板2として黒御影石を用い、前記化粧板3として1.2mm厚のステンレス板から作製し、前記スペーサ板4として3mm厚の透明アクリル板を用いた。前記アクリル板は黒色等に着色したものを用いても良い。本発明では、前記基板2を黒御影石とし、前記化粧板3をステンレス板とすることが最も好ましい。
【0017】
第1実施形態の前記基板2は、13mm厚の略正方形の黒御影石から作製し、前記化粧板3は、前記表面板5と支持板6をL字状に曲げて作製している。ここで、前記化粧板3の上下寸法は、前記基板2の上下寸法に一致させ、表面板5の横幅は基板2の横幅の略1/3に設定するとともに、該表面板5の一端縁10を波形の曲線にカットしている。また、前記スペーサ板4は、前記化粧板3の表面板5より小さく、略相似形で縮小した形状となっている。
【0018】
そして、前記化粧板3の表面板5と前記基板2の表面7との間に、前記スペーサ板4を挟んで間に接着剤を塗布して強固に接着すると同時に、前記化粧板3の支持板6を前記基板2の左側端面8に接着する。この状態で、前記スペーサ板4の右側端縁11は、前記化粧板3の表面板5の右側端縁10よりも内側に後退した位置になっている。同様に上下端縁においても、表面板5の端縁12よりもスペーサ板4の端縁13は内側の後退した位置になっている。このようにすることによって、前記化粧板3の表面板5が前記基板2の表面7から浮き上がったように見え、より立体的に見えるのである。
【0019】
本実施形態では、前記基板2の表面7で右側の露出部分に文字をブラスト彫刻塗装仕上げにより形成し、表示部9としている。
【0020】
次に、第2実施形態は、図3及び図4に示すように、基本構造は前述の第1実施形態と同様であるが、前記化粧板3の表面板5の端縁10の形状が異なる。本実施形態では、前記化粧板3の表面板5の端縁10は直線状であり、該端縁10に沿った表面板5には上下方向に一定間隔で四角形の開口14,…を形成している。そして、前記スペーサ板4の端縁11も直線状であり、前記開口14,…の背面位置に当該スペーサ板4が存在しても、また存在しなくても良い。何れの場合も、前記開口14,…の存在によって化粧板3がより立体的に見えるのである。その他の構成は、前述の第1実施形態と同様であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0021】
次に、第3実施形態は、図5及び図6に示すように、基本構造は前述の第1実施形態と同様であるが、右側に化粧板3を設けている。前記化粧板3は、表面板5の右側に支持板6を折曲形成し、該支持板6を前記基板2の右側端面8に接着している。また、前記表面板5の左側端縁10とスペーサ板4の左側端縁11は直線状となっている。そして、前記化粧板3の上下寸法は、前記基板2の上下寸法よりも小さく設定し、前記基板2の上下中央部に前記化粧板3を固定している。本実施形態では、前記化粧板3の表面板5に文字を刻設し、その凹部内を塗料で着色して表示部9を形成するとともに、前記基板2の表面7の露出部分に桜の花びら模様をブラスト彫刻塗装仕上げにより形成し、表示部9としている。
【0022】
次に、第4実施形態は、図7及び図8に示すように、基本構造は前述の第1実施形態と同様であるが、横長の長方形の基板2の上側に化粧板3を設けている。前記化粧板3は、表面板5の上側に支持板6を折曲形成し、該支持板6を前記基板2の上側端面8に接着している。また、前記表面板5の下側端縁10とスペーサ板4の下側端縁11は直線状となっている。そして、前記化粧板3の左右寸法は、前記基板2の左右寸法よりも小さく設定し、前記基板2の左右中央部に前記化粧板3を固定している。本実施形態も前記化粧板3の表面板5に表示部9を形成している。
【0023】
最後に、第5実施形態は、図9及び図10に示すように、基本構造は前述の第1実施形態及び第4実施形態と同様であるが、横長の長方形の基板2の左側に化粧板3を設けている。前記化粧板3は、表面板5の左側に支持板6を折曲形成し、該支持板6を前記基板2の左側端面8に接着している。また、前記表面板5の右側端縁10とスペーサ板4の右側端縁11は直線状となっている。そして、前記化粧板3の上下寸法は、前記基板2の上下寸法よりも十分小さく設定し、横長の帯状となっており、前記基板2の上下中央部より下方寄り位置に前記化粧板3を固定している。本実施形態も前記化粧板3の表面板5に表示部9を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表札の斜視図である。
【図2】同じく第1実施形態の表札の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る表札の斜視図である。
【図4】同じく第2実施形態の表札の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る表札の斜視図である。
【図6】同じく第3実施形態の表札の断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る表札の斜視図である。
【図8】同じく第4実施形態の表札の断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る表札の斜視図である。
【図10】同じく第5実施形態の表札の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 表札、
2 基板、
3 化粧板、
4 スペーサ板、
5 表面板、
6 支持板、
7 表面、
8 端面、
9 表示部、
10 端縁、
11 端縁、
12 端縁、
13 端縁、
14 開口。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然石、人工石、磁器質タイルから選ばれた1種からなる四角形の基板と、該基板の表面の一部に重なる表面板と前記基板の一側端面に接合する支持板とを有するステンレス板又はアルミニウム板からなる化粧板と、前記化粧板の表面板よりも外形が小さく、前記基板の表面と表面板との間に介在させるスペーサ板とからなり、前記化粧板の表面板を、スペーサ板を介して前記基板の表面に接着するとともに、前記化粧板の支持板を前記基板の端面に接着し、姓名等の表示部を前記表面板又は前記基板の露出部の一方又は双方に設けたことを特徴とする表札。
【請求項2】
前記スペーサ板の端縁を前記化粧板の表面板の端縁よりも内側に後退した位置に設けてなる請求項1記載の表札。
【請求項3】
前記化粧板の表面板の一端縁を曲線で形成してなる請求項1又は2記載の表札。
【請求項4】
前記化粧板の表面板に単又は複数の開口を形成してなる請求項1〜3何れかに記載の表札。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−198927(P2009−198927A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42241(P2008−42241)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(301006024)株式会社ホームサイン (4)