説明

表示システムおよび映像データ受信方法

【課題】複数のソース機器との間の無線データ転送を正常に実行することができる表示装置システムを実現する。
【解決手段】シンク側無線転送装置301は、シンク機器101から取得される物理アドレスにソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することによって複数の物理アドレスを生成し、生成された物理アドレスそれぞれをソース側無線転送装置それぞれに無線送信する。シンク機器から送信されるソース切り換え要求を受信した場合、シンク側無線転送装置301は、シンク機器へのコンテンツデータの送信に使用されるソース側無線転送装置を、ソース切り換え要求に含まれる物理アドレスに関連付けられた識別子に対応するソース側無線転送装置に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のソース機器との間の無線データ転送を実行するための表示装置システムおよび映像データ受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像データを伝送するためのインタフェースとして、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)などのインタフェース規格が用いられている。HDMIインタフェースは、デジタルテレビジョン信号のようなコンテンツデータを、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、セットトップボックス、および他の各種ソース機器から、TV、プロジェクタ、および他の各種シンク機器に送信するために使用される。ソース機器とシンク機器との間は一本のケーブルを介して接続される。ソース機器から出力されるコンテンツデータ(映像データ、オーディオデータ)は一本のケーブルを介してシンク機器に伝送される。
【0003】
しかし、ケーブル接続はソース機器およびシンク機器それぞれの設置場所を制限するので、ソース機器およびシンク機器をそれぞれ任意の場所に配置することは困難となる。
【0004】
特許文献1には、機器間を無線接続する無線伝送装置が開示されている。この装置は無線インタフェースと有線インタフェースとを有している。この装置は、無線インタフェースを介して物理アドレスを含むメッセージを受信した時、自身の物理アドレスと受信したメッセージに含まれる物理アドレスとから生成した物理アドレスを含むメッセージを生成し、この生成したメッセージを有線インタフェースに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−153827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術は、各機器に対して物理アドレスが既に割り当てられていることを前提としており、無線伝送装置を含むシステム内の各機器に物理アドレスを割り当てるための仕組みについては考慮されていない。
【0007】
シンク機器とソース機器との間の無線接続は、例えば、シンク機器に有線接続されたシンク側無線転送装置(シンク側無線アダプタ)とソース機器に有線接続されたソース側無線転送装置(ソース側無線アダプタ)とを用いることによって実現し得る。この場合、例えば、シンク側無線転送装置がシンク機器から取得した物理アドレスをそのままソース側無線転送装置に転送するという方法を用いれば、ソース機器はソース側無線転送装置から物理アドレスを取得することができる。
【0008】
しかし、複数のソース機器にそれぞれ有線接続された複数のソース側無線転送装置が存在する環境においては、もしシンク側無線転送装置が、シンク機器から取得した物理アドレスをそのまま各ソース側無線転送装置に転送すると、同じ物理アドレスがソース機器それぞれに重複して割り当てられてしまう。この結果、ソース機器それぞれを別々の機器として扱うことができなくなるので、例えば、アクティブなソース機器、つまりシンク機器へコンテンツデータを送信するソース機器、を切り替えるためのルーチング制御等を正常に実行することが困難となる。
【0009】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、複数のソース機器との間の無線データ転送を正常に実行することができる表示装置システムおよび映像データ受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の表示装置システムは、映像を表示する表示装置と、映像データを出力する複数の映像出力機器に夫々接続された無線送信装置から無線送信される前記映像データを受信する無線受信装置とを具備し、前記無線受信装置は、前記表示装置システムに関するアドレスに基づいた、前記無線送信装置毎に異なるアドレスを前記無線送信装置の夫々に送信する送信手段と、前記無線送信装置に送信したアドレスのうちの1つに対応する前記無線送信装置を選択する選択手段と、選択された前記無線送信装置から前記映像データを受信する受信手段とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のソース機器との間の無線データ転送を正常に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ケーブルを介して接続されたシンク機器とソース機器とを含むシステムの構成例を示すブロック図。
【図2】シンク機器に有線接続されたシンク側無線転送装置とソース機器に有線接続されたソース側無線転送装置とを含むシステムの構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線転送装置を含むシステムの構成例を示すブロック図。
【図4】同実施形態の無線転送装置の構成例を示すブロック図。
【図5】同実施形態の無線転送装置を含むシステムの他の構成例を示すブロック図。
【図6】同実施形態の無線転送装置を含むシステムのさらに他の構成例を示すブロック図。
【図7】同実施形態の無線転送装置およびソース側無線転送装置それぞれの構成例を示すブロック図。
【図8】同実施形態の無線転送装置によって実行される物理アドレス変更処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、シンク機器とソース機器との間がケーブルを介して直接接続される通常のシステム構成例について説明する。HDMIケーブルなどを用いて、例えばTVとDVDプレーヤをケーブル接続すると、高画質の映像を楽しむことが可能である。図1では、シンク機器101のHDMI入力ポートとソース機器201のHDMI出力ポートとの間はケーブル(HDMIケーブル)を介して接続されている。シンク機器101は1以上のHDMI入力ポートを有する受信機器である。例えば、TV、プロジェクタといったディスプレイ装置は、シンク機器101として機能し得る。ソース機器201はHDMI出力ポートを有する送信機器であり、例えば、DVDプレーヤ、パーソナルコンピュータ、および他の各種の映像出力機器がソース機器201として機能し得る。ソース機器201はケーブル経由でシンク機器101内のEDID(Enhanced Extended Display Identification Data)と呼ばれるデータを読み出すことで、シンク機器101の能力を判定することができる。EDIDは、シンク機器101の能力を示す識別情報である。EDIDの中には、シンク機器101のHDMI入力ポートに接続された機器に割り当てるための物理アドレスが含まれている。この物理アドレスをソース機器201が取得することで、物理アドレスがそれぞれ割り当てられた機器から構成されるHDMIネットワークを構築することができる。通常、HDMIネットワークにおいては、各機器にはユニークな物理アドレスが割り当てられる。物理アドレスは各機器のネットワークトポロジー上の位置をユニークに識別するための情報であり、シンク機器101にコンテンツデータを送信するアクティブなソース機器を切り替えるためのルーチング制御等に使用される。
【0014】
ルートデバイスであるシンク機器101の物理アドレスは“0.0.0.0”である。シンク機器101は、自身の物理アドレスにHDMI入力ポートのポート番号を付加することによって、そのHDMI入力ポートに接続された機器に割り当てるための物理アドレス“1.0.0.0”を生成し、その生成した物理アドレスをEDIDの中に設定する。EDIDはHDMI入力ポート毎に用意される。もし、シンク機器101が2つのHDMI入力ポートを有するならば、2つのHDMI入力ポートそれぞれに対応する2つのEDIDがシンク機器101内に用意される。シンク機器101は、第1のHDMI入力ポートに対応するEDIDに、物理アドレス“1.0.0.0”を設定する。またシンク機器101は、第2のHDMI入力ポートに対応するEDIDに、物理アドレス“2.0.0.0”を設定する。ソース機器201がケーブル経由でシンク機器101の第1のHDMI入力ポートに接続されているならば、ソース機器201は、シンク機器101の第1のHDMI入力ポートに対応するEDIDをリードすることにより、物理アドレス“1.0.0.0”を自身の物理アドレスとして取得することができる。
【0015】
ところで、近年、無線技術が発達し、大量の情報量を持つ高画質の映像データを無線信号によって伝送することが可能となってきた。図2は、HDMIケーブルをワイヤレス化するためのシステム構成の例を示している。
【0016】
図2においては、シンク側無線転送装置300がシンク装置101の第1のHDMI入力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続され、ソース側無線転送装置400がソース機器201のHDMI出力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続されている。シンク側無線転送装置300とソース側無線転送装置400との間の通信は無線信号によって実行することができる。シンク側無線転送装置300およびソース側無線転送装置400の各々は、受信した有線信号を無線信号に変換して送信する機能と、受信した無線信号を有線信号に変換して送信する機能とを有している。したがって、シンク側無線転送装置300およびソース側無線転送装置400の各々は、無線中継機能(フォワーディング機能)を実行するための無線アダプタとして機能し得る。
【0017】
ソース側無線転送装置400は、ソース機器201から送信されるコンテンツデータおよび他の各種制御要求データを受信し、受信したコンテンツデータおよび制御要求データをシンク側無線転送装置300にそのまま転送する。シンク側無線転送装置300は、ソース側無線転送装置400から無線送信されるコンテンツデータおよび他の各種制御要求データを受信し、受信したコンテンツデータおよび制御要求データをシンク機器101にそのまま転送する。
【0018】
また、シンク側無線転送装置300は、シンク機器101から受信した各種制御データを受信し、受信した制御データをソース側無線転送装置400にそのまま転送する。同様に、ソース側無線転送装置400は、シンク側無線転送装置300によって転送されるシンク機器101からの制御データを受信し、受信したデータをソース機器201にそのまま転送する。
【0019】
例えば、ソース機器201から出力されるリード要求(EDIDリード要求)は、ソース側無線転送装置400、シンク側無線転送装置300を介して、シンク機器101に送られる。シンク機器101からリードされるEDIDデータは、シンク側無線転送装置300、ソース側無線転送装置400を介して、ソース機器201に送られる。よって、ソース機器201は、リード要求(EDIDリード要求)を出力するだけで、自身の物理アドレスをシンク機器101から取得することができる。
【0020】
したがって、シンク側無線転送装置300およびソース側無線転送装置400それぞれの無線中継機能(フォワーディング機能)は、シンク装置101およびソース機器201に何ら改良を加えることなく、シンク装置101とソース機器201との間を接続するためのHDMIケーブルを無線化することを可能にする。
【0021】
ところが、ソース側無線転送装置とソース機器とを含む新たなペア(例えば、2台目のDVDプレーヤと、この2台目のDVDプレーヤに有線接続されたソース側無線転送装置)が図2のシステムに追加されると、一つのシンク側無線転送装置300に対して2つのソース側無線転送装置が存在するという1対2の構成となる。この場合、シンク側無線転送装置300のフォワーディング機能により、同一のEDIDデータが2つのソース側無線転送装置にそれぞれ送られてしまい、この結果、2つのソース機器に同一の物理アドレスが割り当てられてしまう可能性がある。この場合、各ソース機器のネットワークトポロジー上の位置を識別することができなくなり、ルーチング制御等を正しく実行することができなくなる可能性がある。
【0022】
そこで、本実施形態では、複数のソース機器にそれぞれ有線接続された複数のソース側無線中継装置それぞれに対して、異なる物理アドレスを送信することができる無線中継装置(シンク側無線転送装置)を提供する。この無線中継装置は、複数のソース機器にそれぞれ有線接続された複数のソース側無線中継装置が存在する環境においても、複数のソース機器に対して、それらソース機器のHDMIネットワーク内の位置を識別するための異なる物理アドレスを割り当てることを可能にする。
【0023】
図3は本発明の一実施形態に係る無線転送装置を用いたシステム構成例を示している。以下、図3を参照して、本実施形態の無線転送装置の説明を行う。図3において、シンク側無線転送装置301と表記されているのが本実施形態の無線転送装置に相当する。
【0024】
シンク側無線転送装置301は、シンク機器101のHDMI入力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続されている。シンク機器101はTVのようなディスプレイ装置である。ソース側無線転送装置401は、ソース機器201のHDMI出力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続されている。ソース機器201は、例えば、DVDプレーヤである。ソース側無線転送装置402は、ソース機器202のHDMI出力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続されている。ソース機器202は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。ソース側無線転送装置403は、ソース機器203のHDMI出力ポートにHDMIケーブルを介して有線接続されている。ソース機器203は、例えば、2台目のDVDプレーヤである。
【0025】
シンク側無線転送装置301およびソース側無線転送装置401,402,403の各々は、上述の無線中継機能(フォワーディング機能)を有している。シンク側無線転送装置301は、ソース側無線転送装置401,402,403内の任意の一つを転送対象ソース側無線転送装置として選択し、選択したソース側無線転送装置から無線通信されるコンテンツデータをシンク機器101のHDMI入力ポートに転送することができる。シンク側無線転送装置301は、さらに、ソース側無線転送装置401,402,403に対して異なる物理アドレスを無線送信するための物理アドレス制御機能を有している。またさらに、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101から送信されるソース切り替え要求(ソース機器切り替え要求)に応答して、転送対象のソース側無線転送装置、つまりシンク機器へのコンテンツデータの送信に使用されるソース側無線転送装置を、切り替えるための経路切り替え機能も有している。
【0026】
物理アドレス制御機能は、個々のソース機器201,202,203に対してユニークな物理アドレスを割り当てるために使用される。シンク側無線転送装置301は、シンク機器101から取得した物理アドレスの値をソース側無線転送装置毎に異なる値に変更することにより、異なる物理アドレスをソース側無線転送装置それぞれに無線送信する。すなわち、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101から取得した物理アドレス、例えば“1.0.0.0”、に対してソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することによって3つの物理アドレス、例えば、“1.1.0.0”、“1.2.0.0”、“1.3.0.0”を生成する。そして、シンク側無線転送装置301は、3つの物理アドレス、“1.1.0.0”,“1.2.0.0”,“1.3.0.0”をソース側無線転送装置401,402,403にそれぞれ無線送信する。
【0027】
ソース機器201は、ソース側無線転送装置401から物理アドレス“1.1.0.0”を自身の物理アドレスとして取得することができる。同様に、ソース機器202は、ソース側無線転送装置402から物理アドレス“1.2.0.0”を自身の物理アドレスとして取得することができ、ソース機器203は、ソース側無線転送装置403から物理アドレス“1.3.0.0”を自身の物理アドレスとして取得することができる。
【0028】
シンク側無線転送装置301では、生成された3つの物理アドレス“1.1.0.0”,“1.2.0.0”,“1.3.0.0”はソース側無線転送装置401,402,403それぞれの識別子(ステーションID)と関連づけられた状態でシンク側無線転送装置301内のアドレステーブルに保存される。
【0029】
なお、物理アドレスを生成するタイミング、および生成した物理アドレスをソース側無線転送装置に送信するタイミングとしては、様々なタイミングを使用し得る。例えば、ソース機器からのEDIDリード要求の受信をトリガに、物理アドレスを生成することができる。
【0030】
例えば、ソース機器201がEDIDリード要求を出力すると、このEDIDリード要求はソース側無線転送装置401によってシンク側無線転送装置301に無線送信される。ソース側無線転送装置401からのEDIDリード要求の受信時には、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101のEDIDデータをリードすることによってシンク機器101から物理アドレスを取得し、その物理アドレスにある値を付加することによって一つの物理アドレスを生成し、その物理アドレスを、EDIDリード要求を送信したソース側無線転送装置401に無線送信する。この生成された物理アドレスはソース側無線転送装置401の識別子と一緒にアドレステーブルに格納される。この後、別のソース側無線転送装置、例えばソース側無線転送装置402からEDIDリード要求を受信した時に、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101のEDIDデータをリードすることによってシンク機器101から物理アドレスを再び取得する。そして、シンク側無線転送装置301は、アドレステーブルを参照することにより、既に生成された物理アドレスとは異なる値の物理アドレスを生成する。この生成された物理アドレスは、EDIDリード要求を送信したソース側無線転送装置402に無線送信されると共に、ソース側無線転送装置402の識別子と一緒にアドレステーブルに格納される。
【0031】
次に、経路切り替え機能について説明する。
【0032】
シンク機器101から送信されるソース切り替え要求には、アクティブなソース機器を指定するための物理アドレスが含まれている。シンク側無線転送装置301は、ソース切り替え要求内の物理アドレスに対応する識別子をアドレステーブルから取得し、取得した識別子に対応するソース側無線転送装置を、転送対象のソース側無線転送装置に切り替える。すなわち、シンク側無線転送装置301は、取得した識別子に対応するソース側無線転送装置を転送対象のソース側無線転送装置として選択し、この選択したソース側無線転送装置から無線送信されるコンテンツデータをシンク機器101のHDMI入力ポートに転送する。これにより、シンク機器101へのコンテンツデータのストリーミングに使用されるソース機器を、転送対象のソース側無線転送装置として選択されたソース側無線転送装置に有線接続されたソース機器に切り換えることが出来る。
【0033】
シンク側無線転送装置301の物理アドレス制御機能および経路切り替え機能は、シンク側無線転送装置301とソース側無線転送装置401,402,403とが仮想的な無線AVアンプとして機能することを可能にする。シンク側無線転送装置301に無線接続可能なソース側無線転送装置の個数は3に限られず、任意の個数のソース側無線転送装置をシンク側無線転送装置301に無線接続することができる。したがって、仮想的な無線AVアンプの入力ポート数は可変である。
【0034】
次に、図4を参照して、シンク側無線転送装置301の構成を説明する。
【0035】
シンク側無線転送装置301は、有線インタフェース11、無線通信インタフェース12、物理アドレス情報検出部13、物理アドレス情報変更部14、物理アドレス情報管理部15、記憶装置16、電波強度測定部17、無線経路変更部18等を備えている。
【0036】
有線インタフェース11はケーブルを介してシンク機器101との通信を実行する。無線通信インタフェース12は、ソース側無線転送装置401,402,403の各々との無線通信を実行する。有線インタフェース11と無線通信インタフェース12との間のデータ転送は、物理アドレス情報検出部13、物理アドレス情報変更部14、物理アドレス情報管理部15、記憶装置16、電波強度測定部17、無線経路変更部18を含む制御部によって制御される。
【0037】
物理アドレス情報検出部13は、有線インタフェース11を介してシンク機器101から取得される情報に含まれる物理アドレスを検出する。物理アドレス情報変更部14は、検出された物理アドレスにソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することによって異なる複数の物理アドレスを生成し、生成された物理アドレスそれぞれをソース側無線転送装置401,402,403に無線送信する。物理アドレス情報管理部15は、生成された物理アドレスそれぞれをソース側無線転送装置401,402,403の識別子に関連づけて記憶装置16内のアドレステーブルに格納する。無線経路変更部18は、シンク機器101から送信されるソース切り換え要求に含まれる物理アドレスに対応する識別子をアドレステーブルから取得し、コンテンツデータ転送対象のソース側無線転送装置を、取得した識別子に対応するソース側無線転送装置に切り替える。すなわち、無線経路変更部18は、取得した識別子に対応するソース側無線転送装置から無線送信されるコンテンツデータをシンク機器101に転送するコンテンツデータ転送制御を実行する。
【0038】
以下、シンク側無線転送装置301で行われる内部処理を処理手順ごとに説明する。
【0039】
(1) シンク側無線転送装置301は、基本機能として、シンク機器101と接続された有線インタフェース11より入力されたデータを、無線通信インタフェース12を介しソース側無線転送装置401,402,403の各々へ無線送信する機能、および、ソース側無線転送装置401,402,403の各々から無線送信されるデータを、有線インタフェース11を介しシンク機器101へ送信する機能を有している。
【0040】
シンク機器とソース機器の間で転送されるデータの一つにEDIDがある。ソース機器201,202,203の各々は自身の映像出力信号の詳細を決定するために、シンク機器101が持つEDIDと呼ばれるデータをリードする必要がある。EDIDにはシンク機器101の表示能力などを示す情報と、シンク機器101に接続されたソース機器に割り当てるための物理アドレスとが含まれている。あるソース機器がEDIDリード要求を出力すると、そのEDIDリード要求は、そのソース機器に接続されたソース側無線転送装置からシンク側無線転送装置301に無線送信される。ソース側無線転送装置から無線送信されるEDIDリード要求の受信に応答して、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101のEDIDデータを有線インタフェース11を介してリードし、そのリードしたEDIDデータを無線通信インタフェース12を介して、EDIDデータの要求元のソース側無線転送装置へ返答する。
【0041】
(2) 物理アドレス情報検出部13は、シンク機器101から取得された転送対象の情報の中から物理アドレスを検出する。転送対象の情報がEDIDデータである場合、物理アドレス情報検出部13は、そのEDIDデータ内の物理アドレスを検出し、物理アドレス情報変更部14に対して、検出された物理アドレスの値を変更すべきことを指示する。
【0042】
(3) 物理アドレス情報変更部14は、EDIDデータ内の物理アドレスの値を変更し、変更された物理アドレスを含むEDIDデータを無線通信インタフェース12を介してEDIDデータの要求元のソース側無線転送装置に無線送信する。物理アドレスの値の変更は、EDIDデータの要求元のソース側無線転送装置毎に異なる物理アドレスが生成されるように実行される。具体的には、物理アドレス情報変更部14は、物理アドレス情報検出部13によって検出された物理アドレスにソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することによって、ソース側無線転送装置毎に異なる物理アドレスを生成する。例えば、変更前の物理アドレス内の有効桁(最後の有効桁)の次の桁がソース側無線転送装置毎に異なるように変更される。物理アドレスは4桁長のアドレスで表記され、各桁は4ビットから構成される。例えば、変更前の物理アドレスが“1.0.0.0”である場合、有効桁(0でない桁)の次の桁である2桁目をソース側無線転送装置ごとに変更すればよい。変更後の物理アドレスの値は、“1.1.0.0”、“1.2.0.0”、“1.3.0.0”となる。すなわち、物理アドレス情報変更部14は、リードしたEDIDデータ内の物理アドレスの値を、この物理アドレスの値にEDIDリード要求を送信したソース側無線転送装置に対応する値を付加することによって得られる値に置換し、この置換された物理アドレスを含むEDIDデータを、無線通信インタフェース12を介してEDIDデータの要求元のソース側無線転送装置に無線送信する。
【0043】
また複数のソース側無線転送装置に送られる物理アドレスの値が重複するのを回避するために、物理アドレス情報変更部14は、EDIDデータの要求元のソース側無線転送装置の識別子(ステーションID)と変更後の物理アドレスの値とのペアを、物理アドレス情報管理部15に与える。
【0044】
(4) 物理アドレス情報管理部15は、変更後の物理アドレスの各々をステーションIDと関連づけて記憶装置16内のアドレステーブルに格納する。このアドレステーブルにより、いつでもステーションIDで表わされる各ソース側無線転送装置と物理アドレスの対応付けを行うことが可能となる。
【0045】
ここまでの処理により、図3のように各ソース機器へ異なる物理アドレスが割り当てられる。各ソース機器は、自身の物理アドレスを他の全ての機器にブロードキャストする。したがって、シンク機器101は、全てのソース機器それぞれの物理アドレスを認識することができる。
【0046】
(5) シンク機器101は、自身にコンテンツデータを送信するソース機器を切り換えるために、例えば、HDMI−CECと呼ばれる制御プロトコルを用いて、ソース切り換え要求を送信することが可能である。ソース切り換え要求には、切り換えたいソース機器を示す物理アドレス、つまり新たにアクティブなソース機器とすべきソース機器を示す物理アドレスが含まれる。
【0047】
(6) 無線経路変更部18は、有線インタフェース11に入力されるシンク機器101からの制御コマンドを解析し、この制御コマンドがソース切り換え要求であるか否かを判定する。制御コマンドがソース切り換え要求である場合、無線経路変更部18は、ソース切り換え要求に含まれる物理アドレスに対応するステーションIDを取得する。さらに、無線経路変更部18は、転送対象のソース側無線転送装置を取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置に切り替える指示を無線通信インタフェース12に送信する。そして、無線経路変更部18は、取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置から無線送信されるコンテンツデータを有線インタフェース11を介してシンク機器101に転送する。なお、ソース切り換え要求は無線通信インタフェース12を介して、取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置にも送信される。もちろん、全てのソース側無線転送装置に対してソース切り換え要求を送信しても良い。
【0048】
以上のように、本実施形態では、シンク側無線転送装置301は、複数のソース側無線転送装置それぞれに対応する複数の異なる物理アドレスを生成してソース側無線転送装置それぞれに送信すると共に、生成した物理アドレスそれぞれをソース側無線転送装置それぞれの識別子に関連付けて管理する。したがって、全てのソース機器に異なる物理アドレスを割り当てることが可能となり、HDMIネットワークを正常に機能させることができる。
【0049】
なお、シンク側無線転送装置301は、シンク機器101にシンク側無線転送装置301が有線接続された時に、シンク機器101から物理アドレスを取得し、その物理アドレスを用いて、シンク側無線転送装置301に無線接続されたソース側無線転送装置の個数分の物理アドレスを生成しても良い。
【0050】
次に別の実施の形態について述べる。
【0051】
以下、シンク側無線転送装置301で行われる内部処理を処理手順ごとに説明する。
(1) あるソース機器がEDIDリード要求を出力した時、そのソース機器に接続されたソース側無線転送装置はEDIDリード要求をシンク側無線転送装置301に無線送信する。シンク側無線転送装置301は、シンク機器101のEDIDデータを有線インタフェース11を介してリードする。
【0052】
(2) 物理アドレス情報検出部13は、リードされたEDIDデータ内の物理アドレスを検出し、物理アドレス情報変更部14に対して、検出された物理アドレスの値を変更すべきことを指示する。
【0053】
(3) 電波強度測定部17は、無線通信インタフェース12と協働して、ソース側無線転送装置401,402,403の各々から送信される無線信号の電波強度を測定する。これにより、ソース側無線転送装置毎に現在の無線通信環境が把握可能となり、コンテンツデータの伝送の安定度がわかる。なるべく電波強度の強いソース側無線転送装置に接続されたソース機器をアクティブなソース機器として使用した方がユーザーにとってはメリットがあることになる。
【0054】
(4) 物理アドレス情報変更部14は、EDIDデータ内の物理アドレスの値を変更し、変更された物理アドレスを含むEDIDデータを無線通信インタフェース12を介してEDIDデータの要求元のソース側無線転送装置に無線送信する。物理アドレスの値の変更は、EDIDデータの要求元のソース側無線転送装置毎に異なる物理アドレスが生成されるように実行される。具体的には、物理アドレス情報変更部14は、物理アドレス情報検出部13によって検出された物理アドレスにソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することによって、ソース側無線転送装置毎に異なる物理アドレスを生成する。例えば、変更前の物理アドレス内の有効桁の次の桁がソース側無線転送装置毎に異なるように変更される。物理アドレス情報変更部14は、各ソース側無線転送装置の電波強度情報を電波強度測定部17から取得し、電波強度の強い順に若い(小さい)物理アドレスが割り当てられるような値変更を行う。すなわち、物理アドレス情報変更部14は、複数のソース側無線転送装置の中で最も電波強度の強いソース側無線転送装置に対して最小の物理アドレスが与えられるように、電波強度測定部17による電波強度の測定結果に基づいて、シンク機器101から取得された変更前の物理アドレスに対して付加すべき値をソース側無線転送装置毎に変更する。電波強度の強いソース側無線転送装置ほど、変更前の物理アドレスに対して付加されるべき値は小さい値となる。例えば、ソース側無線転送装置401の電波強度が最も強く、次にソース側無線転送装置403の電波強度が強く、ソース側無線転送装置402の電波強度が最も弱かった場合を想定する。変更前の物理アドレスが“1.0.0.0”のとき、ソース側無線転送装置401、402、403それぞれに対応するソース機器201,202,203対しては、“1.1.0.0”、“1.3.0.0”、“1.2.0.0”という物理アドレスが割り当てられる。物理アドレス情報変更部14は、EDIDデータの要求元のソース側無線転送装置の識別子(ステーションID)と変更後の物理アドレスの値とのペアを、物理アドレス情報管理部15に与える。このとき、電波強度がある一定値より弱く、安定した送受信が望めない場合、物理アドレス情報変更部14は、該当するソース機器に対し、無効を示す物理アドレス“F.F.F.F”を割り当てるようなアドレス変更を行うことが可能である。“F.F.F.F”を含むEDIDデータを取得したソース機器はネットワークから除外することができる。
【0055】
(5) 物理アドレス情報管理部15は、変更後の物理アドレスの各々をステーションIDと関連づけて記憶装置16内のアドレステーブルに格納する。このアドレステーブルにより、いつでもステーションIDで表わされる各ソース側無線転送装置と物理アドレスの対応付けを行うことが可能となる。
【0056】
ここまでの処理により、図3のように各ソース機器へ異なる物理アドレスが割り当てられる。
【0057】
(6) 各ソース機器は、自身の物理アドレスを他の全ての機器にブロードキャストする。具体的には、各ソース機器は、シンク機器101に対し、自分に割り当てられた物理アドレスと共に自分がネットワークに接続されていることを表明するための制御コマンドを送信する。これには、例えばHDMI−CECと呼ばれる制御プロトコルが使用される。シンク機器101は各ソース機器から送られてきた上記のコマンドから各ソース機器の物理アドレス情報を取得し、ユーザーにアクティブなソース機器を切り換える指示を行わせるGUIメニューなどを構築することが可能である。GUIメニュー上に表示される接続機器情報リストの表示順としては、通常、物理アドレスの若い順(小さい順)に表示されることが多いため、電波強度順に若い物理アドレスを割り当てるようにすれば、切り換え先候補として、電波強度順にソース機器がリストアップされるなどの効果が期待できる。
【0058】
(7) シンク機器101は、自身にコンテンツデータを送信するソース機器を切り換えるために、例えば、HDMI−CECと呼ばれる制御プロトコルを用いて、ソース切り換え要求を送信することが可能である。ソース切り換え要求には、切り換えたいソース機器を示す物理アドレス、つまり新たにアクティブなソース機器とすべきソース機器を示す物理アドレスが含まれる。
【0059】
(8) 無線経路変更部18は、有線インタフェース11に入力されるシンク機器101からの制御コマンドを解析し、この制御コマンドがソース切り換え要求であるか否かを判定する。制御コマンドがソース切り換え要求である場合、無線経路変更部18は、ソース切り換え要求に含まれる物理アドレスに対応するステーションIDを取得する。さらに、無線経路変更部18は、転送対象のソース側無線転送装置を取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置に切り替える指示を無線通信インタフェース12に送信する。そして、無線経路変更部18は、取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置から無線送信されるコンテンツデータを有線インタフェース11を介してシンク機器101に転送する。なお、ソース切り換え要求は無線通信インタフェース12を介して、取得されたステーションIDに対応するソース側無線転送装置に送信される。もちろん、全てのソース側無線転送装置に対してソース切り換え要求を送信しても良い。
【0060】
以上の処理により、全てのソース機器に異なる物理アドレスを割り当てることが可能となり、HDMIネットワークが正常に機能するようになる。
【0061】
次にさらなる別の実施の形態について述べる。
【0062】
先の各実施形態においては、ソース側無線転送装置がただ一つの有線接続インタフェースを持ち、ソース側無線転送装置とソース機器との間の一対一の関係が保証されている場合に対応する物理アドレス管理について述べた。
【0063】
今回は、ソース側無線転送装置が複数のHDMI入力ポートを持ち、さらにそれぞれの入力ポートにケーブル接続されたソース機器ごとに異なる物理アドレスが割り当てられる場合を想定して説明を行う。
【0064】
図5は、HDMIネットワーク内の各機器に対する物理アドレス(図中及び以下PA
と称す)の割り当てを示した図である。PAは4桁長のアドレスで表記され、各桁は4ビットから構成される。通常、ROOTデバイスであるTVの物理アドレスは“0.0.0.0”である。シンク機器またはRepeater機器は、その下位階層の機器に対して割り当てるためのPAを生成する。生成されるPAの値は、階層が1段下がるごとに、有効桁が1桁ずらされる。生成されたPAは、シンク機器またはRepeater機器内のEDIDに格納される。各機器は、その上位階層の機器のEDIDをDDC(Display Data Channel)経由でリードすることにより、自機器のPAを得ることができる。
【0065】
しかしながら、PAは4桁で表現されているため、必然的に、5層の深さの階層までしか管理することができない。もし、図5のように、シンク機器101−シンク側無線転送装置301−ソース側無線転送装置401−アンプ(AMP)501−セットトップボックス(STB)503−パーソナルビデオレコーダ(PVR)504と接続すると、5階層目のSTB503までは正しくPAが割り当てられるが、6階層目のPVR504にはPAを割り当てることができない。これは、シンク側無線転送装置501およびソース側無線転送装置401−403が、2階層分を使用しているためである。
【0066】
図6は、本実施形態で用いられる、PAの割り当てを示した図である。
【0067】
このPA割り当ては、図5と同じデバイス接続方法が適用されるシステムであっても、6階層目のPVR504に対して正しくPAを割り当てることを可能にする。以下、このようなPA割り当てを実現するための構成について述べる。
【0068】
図7は、図6に示すシンク側無線転送装置301およびソース側無線転送装置401それぞれの構成を示している。図6に示す他のソース側無線転送装置402,403も、ソース側無線転送装置401と同じ構成である。
【0069】
シンク側無線転送装置301は、HDMI出力ポート21、無線処理部22、AV(オーディオ・ビデオ)転送部23、HDMI出力部24、制御部25、PA処理部26、およびPA管理部27を備えている。
【0070】
HDMI出力ポート21および無線処理部22は、図4の有線インタフェース11および無線通信インタフェース12にそれぞれ相当する。無線処理部22によって受信されたコンテンツデータ(AVデータ)は、AV転送部23、HDMI出力部24、HDMI出力ポート21を介してシンク機器101のHDMI入力ポートに送られる。制御部25は、図4の物理アドレス情報検出部13、電波強度測定部17、および無線経路変更部18等に相当し、シンク機器101へのコンテンツデータの転送、およびシンク機器101と各ソース側無線転送装置との間の各種制御データの転送を制御する。この制御部25は、HDMIケーブル内のディスプレイデータチャネルDDCと称される信号線を介して、EDIDデータのようなデータをシンク機器101からリードすることができる。
【0071】
PA処理部26は、図4の物理アドレス情報変更部14と同様の機能を有している。このPA処理部26は、さらに、図6に示すようなPA割り当てを実現するためのPA処理機能を有している。すなわち、PA処理部26は、シンク機器101から取得した物理アドレスの有効桁(最後の有効桁)の次桁を表す4ビットの内の上位ビット部に対してソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することにより、ソース側無線転送装置それぞれに対応する異なる物理アドレスを生成する。このように、有効桁の次桁の4ビットの内の上位ビット部のみを使用してソース側無線転送装置それぞれに対応する物理アドレスを生成することにより、有効桁の次桁の4ビットの内の下位ビット部は、各ソース側無線転送装置に接続された各ソース機器に物理アドレスを割り当てるためのアドレス領域として使用し得る。
【0072】
PA管理部27は、図4で説明したアドレステーブルと同様に、各ソース側無線転送装置に割り当てる物理アドレスを、ステーションIDのような識別子と関連付けて格納する。
【0073】
ソース側無線転送装置401は、複数のHDMI入力ポート31,32,33を有している。また、ソース側無線転送装置401は、HDMI入力ポート31,32,33に接続される複数のソース機器をサポートするために、HDMI入力切替部34、HDMI入力部35、AV転送部36、無線処理部37、制御部38、PA処理部39、およびPA管理部40等を備えている。
【0074】
HDMI入力切替部34はスイッチとして機能し、アクティブなソース機器を切り換えるために、HDMI入力ポート31,32,33内の任意の一つから入力されるコンテンツデータ(AVデータ)を選択する。HDMI入力部35、AV転送部36、および無線処理部37は、あるソース機器からのコンテンツデータをシンク側無線転送装置301に無線転送するために使用される。制御部38は、ソース機器からシンク側無線転送装置301へのコンテンツデータの転送、および各ソース機器とシンク側無線転送装置301との間の各種制御データの転送を制御する。PA処理部39は、PA管理部40と協働して、HDMI入力ポート31,32,33にそれぞれ接続されるソース機器に割り当てるための物理アドレスを生成する。
【0075】
以下、シンク側無線転送装置301によって実行されるPA処理について具体的に説明する。
【0076】
シンク側無線転送装置301のHDMI出力ポート21は、HDMIケーブルを介してシンク機器101のHDMI入力ポートに接続される。シンク側無線転送装置301の制御部25は、シンク側無線転送装置301がシンク機器101を検出することができる。この検出には、例えば、シンク機器101からのホットプラグ検出信号等を用いることができる。ホットプラグ検出信号がアクティブになった時、制御部25は、シンク機器101のEDIDデータをリードし、これによって自身の物理アドレス“1.0.0.0”をシンク機器101から取得することが出来る。
【0077】
図6のシステム構成においては、シンク側無線転送装置301はRepeater機器として機能し得る。この場合、シンク側無線転送装置301は、その下位階層の各機器に対してPAを割り当てる必要がある。シンク側無線転送装置301のPA処理部26は、シンク側無線転送装置301に割り当てられたPA=1.0.0.0(図8の(a))を用いて、下位階層のための幾つかのPAを生成する。このとき、生成するPAの個数は、シンク側無線転送装置301に無線接続されているソース側無線転送装置の個数だけ必要となる。PAの生成においては、PA処理部26は、PA(=1.0.0.0)の2桁目の4ビットの内の上位2ビット部のみに対してソース側無線転送装置毎に異なる値を付加することにより、幾つかの異なる値のPAを生成する。
【0078】
すなわち、PA処理部26は、PA(=1.0.0.0)の2桁目の4ビットをフルに使用するのではなく、PA(=1.0.0.0)の2桁目の4ビットの内のMSB側の2ビットのみを使用して、まず、PA=1.4.0.0(図8の(b))を生成する。PA=1.4.0.0は、変更前の物理アドレス“1.0.0.0”の2桁目に、0x4(=0b0100)を付加することによって生成される。記号“0x”は、16進表記を示している。また記号“0b”は、2進データを示している。物理アドレス“1.4.0.0”は、ソース側無線転送装置401に割り当てるための物理アドレスとして使用される。
【0079】
同様に、PA処理部26は、PA(=1.0.0.0)の2桁目の4ビットの内のMSB側の2ビットのみを使用して、PA=1.8.0.0と、PA=1.C.0.0を生成する。“1.8.0.0”は、変更前の物理アドレス“1.0.0.0”の2桁目に、0x8(=0b1000)を付加することによって生成される。物理アドレス“1.8.0.0”は、ソース側無線転送装置402に割り当てるための物理アドレスとして使用される。また“1.C.0.0”は、変更前の物理アドレス“1.0.0.0”の2桁目に、0xC(=0b1100)を付加することによって生成される。物理アドレス“1.C.0.0”は、ソース側無線転送装置403に割り当てるための物理アドレスとして使用される。
【0080】
このように、2桁目の4ビットの内の上位2ビットの値のみソース側無線転送装置毎に変更することによって各ソース側無線転送装置に割り当てるための物理アドレスを生成することにより、各ソース側無線転送装置は、自身の物理アドレスの2桁目の4ビットの内の下位2ビットを自由に使用することができる。換言すれば、シンク側無線転送装置301は、自身の物理アドレスの2桁目の4ビットの内の上位2ビットのみを用いて各ソース側無線転送装置の物理アドレスを生成することにより、各ソース側無線転送装置が自らの複数入力ポートに接続された複数の機器に対して異なる物理アドレスを割り当てるために使用可能なアドレス領域を残すことができる。
【0081】
PA管理部27は、PA処理部26によって生成された物理アドレスそれぞれを、ソース側無線転送装置401,402,403それぞれの識別子(例えばステーションID、MACアドレス、等)と関連付けてアドレステーブルに格納する。生成された物理アドレスそれぞれがアドレステーブルに格納された後、制御部25は、生成された物理アドレス(=1.4.0.0)を無線処理部22を介してソース側無線転送装置401に送信する処理を実行する。さらに、制御部25は、生成された物理アドレス(=1.8.0.0)を無線処理部22を介してソース側無線転送装置402に送信し、また生成された物理アドレス(=1.C.0.0)を無線処理部22を介してソース側無線転送装置403に送信する。
【0082】
図7のソース側無線転送装置401は、シンク側無線転送装置301から無線送信される物理アドレス“1.4.0.0”を受信する。ソース側無線転送装置401のPA処理部39は、受信した物理アドレス“1.4.0.0”を自機器の物理アドレスとしてPA管理部40内のアドレステーブルに格納する。ソース側無線転送装置401もRepeater機器であるため、下位階層の機器に対してPAを割り当てる必要がある。
【0083】
そこで、ソース側無線転送装置401のPA処理部39は、HDMI入力ポート31,32,33にそれぞれ対応する3つの物理アドレスを、自身の物理アドレス“1.4.0.0”の最後の有効桁である2桁目の4ビットの内のLSB側の2ビットを用いて生成する。この場合、3つの物理アドレスは、物理アドレス“1.4.0.0”の最後の有効桁である2桁目の4ビットの内の下位2ビット部に対してHDMI入力ポート毎に異なる値を付加する事によって生成される。具体的には、LSB側の2ビットにより、HDMI入力ポート31,32.33それぞれに対応するポートアドレスが生成される。HDMI入力ポート31のポートアドレスは0x1、HDMI入力ポート32のポートアドレスは0x2、HDMI入力ポート32のポートアドレスは0x3となる。
【0084】
PA処理部39は、自身の物理アドレス“1.4.0.0”の2桁目に、各HDMI入力ポートのポートアドレスを付加することにより、つまり物理アドレス“1.4.0.0”の2桁目と各ポートアドレスとのOR演算(論理和演算)をすることにより、HDMI入力ポート31の物理アドレス“1.5.0.0”(図8の(c))、HDMI入力ポート32の物理アドレス“1.6.0.0”、およびHDMI入力ポート33の物理アドレス“1.7.0.0”を生成する。生成された物理アドレス“1.5.0.0”,“1.6.0.0”,“1.7.0.0”はそれぞれ対応するHDMI入力ポートのポート番号と共にアドレステーブルに格納される。さらに、PA処理部39は、作成された物理アドレス“1.5.0.0”をHDMI入力ポート31に対応するEDIDデータ内にセットする(図8の(d))。同様に、PA処理部39は、作成された物理アドレス“1.6.0.0”をHDMI入力ポート32に対応するEDIDデータ内にセットし、また作成された物理アドレス“1.7.0.0”をHDMI入力ポート33に対応するEDIDデータ内にセットする。
【0085】
図6において、AMP501は、ソース側無線転送装置401のHDMI入力ポート31に接続されている。またソース機器601はソース側無線転送装置401のHDMI入力ポート32に接続され、ソース機器602はソース側無線転送装置401のHDMI入力ポート33に接続されている。AMP501は、HDMI入力ポート31に対応するEDIDデータをリードすることにより、自身の物理アドレス“1.5.0.0”を取得することができる。同様に、ソース機器601は、HDMI入力ポート32に対応するEDIDデータをリードすることにより、自身の物理アドレス“1.6.0.0”を取得することができ、ソース機器602は、HDMI入力ポート33に対応するEDIDデータをリードすることにより、自身の物理アドレス“1.7.0.0”を取得することができる。
【0086】
このように、本実施形態では、シンク側無線転送装置301は、自身の物理アドレスの最後の有効桁の次の桁の4ビットの内の上位2ビットのみを用いて各ソース側無線転送装置に割り当てるための物理アドレスを生成することにより、各ソース側無線転送装置が4ビットの内の下位2ビットをソース機器に割り当てるべき物理アドレスの生成に使用することを可能にする。よって、4桁のPAで、6層の深さの階層を管理することが出来る。
【0087】
なお、本実施形態では、PAの2桁目の4ビットを上位ビット部と下位ビット部に分け、上位ビット部を各ソース側無線転送装置に対する物理アドレスの割り当てに使用したが、2桁目に限られないことは云うまでもない。
【0088】
また、本実施形態では、PAの2桁目の4ビットを上位2ビットと下位2ビットとに分割したが、上位3ビットと下位1ビットとに分割し、上位3ビットを各ソース側無線転送装置に対する物理アドレスの割り当てに使用し、下位1ビットを各ソース側無線転送装置に接続された各機器に対する物理アドレスの割り当てに使用してもよい。また、上位1ビットを各ソース側無線転送装置に対する物理アドレスの割り当てに使用し、下位3ビットを各ソース側無線転送装置に接続された各機器に対する物理アドレスの割り当てに使用してもよい。
【0089】
以上説明したように、本各実施形態では、シンク側無線転送装置は、複数のソース側無線転送装置それぞれに対応する複数の異なる物理アドレスを生成してソース側無線転送装置それぞれに送信すると共に、生成した物理アドレスそれぞれをソース側無線転送装置それぞれの識別子に関連付けて管理する。したがって、アクティブなソース機器を切り換えるためのルーティング制御を正しく実行することが出来、複数のソース機器にそれぞれ有線接続された複数のソース側無線転送装置の各々とシンク機器との間の無線データ転送を正常に実行することが可能となる。
【0090】
なお、本各実施形態では、有線インタフェースとしてHDMIを例示して説明したが、本各実施形態は、HDMIと同様の物理アドレス管理を使用する様々な有線インタフェースに適用することができる。
【0091】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
11…有線インタフェース、12…無線通信インタフェース、13…物理アドレス情報検出部、14…物理アドレス情報変更部、15…物理アドレス情報管理部、16…記憶装置、17…電波強度測定部、18…無線経路変更部、101…シンク機器、201,202,203…ソース機器、301…シンク側無線転送装置、401,402,403…ソース側無線転送装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示装置と、
映像データを出力する複数の映像出力機器に夫々接続された無線送信装置から無線送信される前記映像データを受信する無線受信装置とを具備し、
前記無線受信装置は、
前記表示装置システムに関するアドレスに基づいた、前記無線送信装置毎に異なるアドレスを前記無線送信装置の夫々に送信する送信手段と、
前記無線送信装置に送信したアドレスのうちの1つに対応する前記無線送信装置を選択する選択手段と、
選択された前記無線送信装置から前記映像データを受信する受信手段と
を具備する表示装置システム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記表示装置システムに関する前記アドレスの夫々の桁のうち、桁の値が0である最も上位の桁の値が前記無線送信装置毎に異なる値である前記アドレスを前記無線送信装置の夫々に送信する、請求項1記載の表示装置システム。
【請求項3】
前記送信手段は、前記表示装置システムに関する前記アドレスの夫々の桁のうち、桁の値が0である最も上位の桁を示す複数ビットの内の上位ビット部の値が、前記無線転送装置毎に異なる値である前記アドレスを、前記無線送信装置の夫々に送信する、請求項1記載の表示装置システム。
【請求項4】
前記送信手段は、前記表示装置システムに関するアドレスに基づいて前記無線送信装置毎に異なるアドレスを生成し、当該生成した夫々のアドレスを夫々の無線送信装置に送信する、請求項1記載の表示装置システム。
【請求項5】
前記表示装置は、複数の前記無線送信装置のうち1つの装置のアドレスを含む切替要求を前記無線受信装置に出力する出力手段を備え、
前記選択手段は、前記表示装置からの前記切替要求に含まれるアドレスに対応する前記無線送信装置を選択する、請求項1記載の表示装置システム。
【請求項6】
映像を表示する表示装置と、映像データを出力する映像出力機器に接続された無線送信装置から無線送信される前記映像データを受信する無線受信装置とを備える表示装置システムにおける映像データ受信方法であって、
前記表示装置システムに関するアドレスに基づいた、前記無線送信装置毎に異なるアドレスを、複数の前記映像出力機器に夫々接続された無線送信装置の夫々に送信することと、
前記無線送信装置に割り当てたアドレスのうち1つに対応する前記無線送信装置を選択することと、
選択された前記無線送信装置から前記映像データを受信することと
を具備する映像データ受信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−30243(P2011−30243A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203316(P2010−203316)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【分割の表示】特願2009−121199(P2009−121199)の分割
【原出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】