説明

表示システム

【課題】表示の管理や変更を容易に行えるとともに、自動改札機での改札処理に影響を受けることなく情報を発信できるようにする。
【解決手段】駅の改札口に設置された自動改札機300に電子ペーパディスプレイユニット100が設置されており、データ管理装置200は、電子ペーパディスプレイユニット100にネットワーク400を介して表示用データを配信する。電子ペーパディスプレイユニット100は、改札処理に付随する情報を表示するディスプレイユニット304とは別に設置されており、データ管理装置200は、電子ペーパディスプレイユニット100に、例えば広告のデータや列車の運行状況のデータを配信して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動改札機を利用して情報発信するようにした表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅の改札では、非接触ICカードを利用した自動改札機が普及している。非接触ICカードは、定期券情報、乗車券や特急券等のデジタルチケット情報、ストアードフェア(SF)の残額情報等のデータを書き換え可能に記憶する。そして、アンテナ及びリーダ/ライタを備えた自動改札機が非接触ICカードと無線通信を行い、非接触ICカードから情報を取得したり、非接触ICカードの情報を書き換えたりする改札処理を行う。
【0003】
この種の自動改札機には、改札処理に付随する情報、例えば改札処理において判断した定期券情報の有効性やSFの利用料金及び残額情報等を表示する表示手段(ディスプレイ)が設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−44885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動改札機は、不特定多数の乗降客が利用する点で、有効な情報発信源となりうる。これまでも、自動改札機の空きスペースに広告用ステッカーを貼ること等が行われていた。しかしながら、広告用ステッカーを貼る場合、掲示期間等の管理を別途行わなければならず、その貼り替え作業にも手間や費用がかかってしまう。
【0006】
また、例えば特許文献1には、自動改札機の表示手段に広告情報を表示する広告システムが開示されている。しかしながら、上述したように、自動改札機の表示手段は、本来、改札処理に付随する情報を表示するためのものである。そのため、自動改札機の表示手段を利用するのでは、改札処理時、すなわち乗降客が自動改札機を通過する時に広告情報が表示されず、また、広告表示が不定期なものとなり、有効な情報発信がなされているとはいえない。
【0007】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、表示の管理や変更を容易に行えるとともに、自動改札機での改札処理に影響を受けることなく情報を発信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による表示システムは、改札処理に付随する情報を表示する表示手段とは別に自動改札機に設置された電子ペーパディスプレイ装置と、前記電子ペーパディスプレイ装置にネットワークを介して表示用データを配信するデータ管理装置とを備え、前記電子ペーパディスプレイ装置は前記データ管理装置から配信された表示用データを表示することを特徴とする。なお、本発明でいう改札処理とは、自動改札機において磁気券或いは非接触ICカードから情報を読み取る処理をいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示の管理や変更を容易に行えるとともに、自動改札機での改札処理に影響を受けることなく情報を発信させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には、本発明を適用した実施形態に係る表示システムの構成を示す。同図に示すように、駅の改札口に設置された自動改札機300には、電子ペーパディスプレイユニット100が設置される。また、データ管理サーバ200は、電子ペーパディスプレイユニット100にネットワーク400やHUB401を介して表示用データを配信する。なお、図1では1台の自動改札機300しか図示しないが、データ管理装置200は駅ごとに設置され、或いは、複数の駅を管理するように設置されており、データ管理装置200には複数台の自動改札機300の電子ペーパディスプレイユニット100が接続する。
【0011】
(自動改札機300及び電子ペーパディスプレイユニット100)
自動改札機300は、図2に示すように、駅の改札口において左右に並べて設置されることにより、その間に乗降客が通行する通路を構成する。図2の例は、1つの通路構成で入出場の両方の機能を持つように自動改札機300が設置された例であり、例えば図中右側が改札側の自動改札機、図中左側が集札側の自動改札機となっている。
【0012】
自動改札機300の上面には、入口側に磁気券を投入する投入口301、非接触ICカードの読み取り部302aが設けられる。自動改札機300の主制御部303(図1を参照)は、投入口301に投入された磁気券、或いは、読み取り部302aにかざされた非接触ICカードから情報を読み取って、その情報に基づいて各種処理を行う。
【0013】
また、自動改札機300の上面には、出口側に磁気券を排出する排出口(不図示)を有するディスプレイユニット304が設けられており、改札処理に付随する情報、例えば改札処理において判断した定期券情報の有効性や、SFの利用料金及び残額情報等を表示する。
【0014】
自動改札機300の側面には、入口側及び出口側の二箇所に扉305が設けられており、改札処理に応じて開閉し、乗降客の通行を規制したり、許可したりする。
【0015】
ここで、自動改札機300の上面には、読み取り部302aを有するIC判定ユニット302とディスプレイユニット304との間に電子ペーパディスプレイユニット100が設置される。すなわち、図3に示すように、自動改札機300の骨組みとなるステンレスフレーム306上に、入口側から、IC判定ユニット302、電子ペーパディスプレイユニット100、ディスプレイユニット304が連設される。
【0016】
電子ペーパディスプレイユニット100は、図4に示すように、ネットワーク400に接続するための端子101aを備えた電子ペーパディスプレイ101と、電子ペーパディスプレイ101を取り囲む樹脂製のフレーム102とを含んでユニット化されており、全体として薄板形状となっている。
【0017】
このようにした電子ペーパディスプレイユニット100をステンレスフレーム306上に載置すると、図3に示すように、自動改札機300の上面部を構成する他の部位、すなわちIC判定ユニット302及びディスプレイユニット304に段差なく連続するようになっている。これにより、自動改札機300の上面部において外観上の一体感を生じさせることができる。
【0018】
現行の自動改札機300では、IC判定ユニット302と、ディスプレイユニット304との間に、段差をなくために薄板形状の樹脂製のパネル(不図示)を載置していたが、そのパネルの全て或いは一部に替えて、電子ペーパディスプレイユニット100を載置するようにしたものである。このように自動改札機300そのものに改良や設計変更をほとんど加えることなく、電子ペーパディスプレイユニット100を簡易に設置することができる。
【0019】
また、図1に示すように、自動改札機300の入口側正面にも、投入口301の下方に電子ペーパディスプレイユニット100が設置される。なお、電子ペーパディスプレイユニット100の構造は既述したとおりであり、自動改札機300の入口側正面部を構成する他の部位に段差なく連続するようになっている点も同様である。
【0020】
電子ペーパディスプレイは電力供給がなくても表示が残存するので、表示更新時にのみ電力が消費され、低消費電力化を図ることができる。したがって、図1に示すように、自動改札機300の電源307を電子ペーパディスプレイユニット100の電源として使用しても、自動改札機300で電力不足になることはない。もちろん、自動改札機300の電源307とは別に、電子ペーパディスプレイユニット100専用の電源を設けてもよい。例えば太陽電池等の電源も含めて電子ペーパディスプレイユニット100をユニット化させておけば、自動改札機300側との接続作業を行う必要もなくなる。
【0021】
本実施形態では、乗降客が視認しやすい自動改札機300の上面及び入口側正面の両方に電子ペーパディスプレイユニット100を配置したが、そのうちのいずれか一方にのみ配置してもよい。自動改札機300の上面に電子ペーパディスプレイユニット100を設置する場合には、より視認性を高めるために、図3に示すように、電子ペーパディスプレイユニット100の表示画面が入口側に向くように傾斜させるのが好ましい。
【0022】
(データ管理装置200)
データ管理装置200は、電子ペーパディスプレイユニット100に表示させる表示用データをデータベース201として蓄積するとともに、その表示用データを電子ペーパディスプレイユニット100に配信する。データベース201に蓄積される表示用データは、自動改札機300での改札処理に付随しない内容のデータ、例えば広告のデータである。
【0023】
データ管理装置200において、202は管理部であり、データベース201として蓄積される表示用データやネットワーク400を介して配信した表示用データを管理する。例えば、どの広告のデータをどの駅の電子ペーパディスプレイユニット100(地域)にどれだけの期間(時間)表示させるかといった表示スケジュール従って表示用データを管理する。また、時間帯や曜日に応じて広告を変更するようにしておけば、広告のターゲットを絞り込んで、高い広告効果が期待できる。
【0024】
203は配信部であり、管理部202による制御下、電子ペーパディスプレイユニット100にネットワーク400を介して表示用データを配信する。既述したように、電子ペーパディスプレイは電力供給がなくても表示が残存するので、配信部203から表示用データが配信されると電子ペーパディスプレイユニット100の表示が更新され、次に表示用データが配信されるまではそのまま表示が残存する。
【0025】
204はログ生成部であり、電子ペーパディスプレイユニット100による表示状況を記録したログを生成する。例えば、電子ペーパディスプレイユニット100ごとに、どの広告データをどれだけの期間表示させたかについてのログを生成する。広告の場合、その掲示場所や掲示期間によって当然ながら料金は異なり、このログを生成しておくことにより、広告主に対して明確な料金体系で課金することができる。
【0026】
なお、本実施形態では広告を例に説明したが、自動改札機300での改札処理に付随しない内容のデータであればよく、例えば列車の運行状況のデータを配信して表示させるようにしてもよい。
【0027】
図5には、データ管理装置200のハードウェア構成例を示す。データ管理装置200は、CPU20と、入力装置21と、表示装置22と、記憶装置23と、通信装置24とを含み、各部はバス25を介して接続される。記憶装置23はROM、RAM、HD等により構成されており、データ管理装置200の動作を制御するプログラムが格納される。CPU20がプログラムを実行することによってデータ管理装置200の機能、又は処理を実現する。また、記憶装置23にデータベース201が格納される。また、入力装置21はキーボードやポインティングデバイス等で構成され、この入力装置21を用いて表示スケジュールを入力することができる。
【0028】
以上述べたように、自動改札機300に電子ペーパディスプレイユニット100を設置するとともに、データ管理装置200で表示用データを一元的に管理し、その表示用データをネットワーク400を介して配信するようにしたので、表示の管理や変更を容易に行うことができる。
【0029】
さらに、電子ペーパディスプレイユニット100を、改札処理に付随する情報を表示するディスプレイユニット304とは別に設けたので、乗降客が自動改札機300を通過する時に情報が表示されなかったり、表示が不定期なものとなったりすることがなく、自動改札機300を有効な情報発信源とすることができる。
【0030】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、上記実施形態では、データ管理装置200からデータが配信されると電子ペーパディスプレイユニット100の表示が更新される例を説明したが、例えば電子ペーパディスプレイユニット100側に、データ管理装置200から配信された複数種のデータを記憶するメモリと、データ管理装置200から送信された表示スケジュールに従ってメモリ内のデータを電子ペーパディスプレイ100に表示させる表示制御回路とを持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【図2】自動改札機の外観図である。
【図3】自動改札機の上面部の構成を示す図である。
【図4】電子ペーパディスプレイユニットの構成を示す図である。
【図5】データ管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
100 電子ペーパディスプレイユニット
101 電子ペーパディスプレイ
102 フレーム
200 データ管理装置
201 データベース
202 管理部
203 配信部
204 ログ生成部
300 自動改札機
400 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札処理に付随する情報を表示する表示手段とは別に自動改札機に設置された電子ペーパディスプレイ装置と、
前記電子ペーパディスプレイ装置にネットワークを介して表示用データを配信するデータ管理装置とを備え、
前記電子ペーパディスプレイ装置は前記データ管理装置から配信された表示用データを表示することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記電子ペーパディスプレイ装置は、前記自動改札機の上面及び入口側正面のうち少なくともいずれか一方に設置されることを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記電子ペーパディスプレイ装置は、電子ペーパディスプレイと、前記電子ペーパディスプレイを取り囲むフレームとを含んでユニット化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記データ管理装置は、前記電子ペーパディスプレイ装置による表示状況を記録したログを生成するログ生成手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示用データは広告のデータ、又は、交通機関の運行状況のデータを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−217098(P2008−217098A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49796(P2007−49796)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)