説明

表示システム

【課題】物体の認識精度を向上させつつ、認識結果に応じた映像を表示することが可能な技術を提供する。
【解決手段】投射された赤外光を拡散させて認識物体に赤外光を投射する赤外光用導光板部110と、認識物体の認識結果に応じた映像を出力映像として表示する映像表示部130と、投射された白色光を拡散させて映像表示部130に白色光を投射する白色光用導光板部120と、を備える、映像表示装置100、を有することを特徴とする、表示システム10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エンタテイメント分野をはじめとした多くの分野において、テーブル型ディスプレイが普及してきており、テーブル型ディスプレイの天板に置かれた物体や利用者の身体(指や手のひらなど)の接触を認識する技術が注目されている。特許文献1によれば、カードの裏面に印刷されている模様またはコードを、筐体内に配された映像取得装置と不可視光源により取得することで、そのカードの種別と位置情報を認識するアーケードタイプのカードゲーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−046649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来存在する技術によれば、接触した物体の認識結果に応じた情報提示を行うことができないという問題がある。また、従来存在する技術によれば、筐体内に配された映像取得装置により取得される映像が、様々な要因によって不鮮明になってしまい、天板上での物体認識の精度がある程度以上向上しないといった問題がある。
【0005】
このような要因としては、例えば、プロジェクタを使用した場合のように下部から映像投射を行うことにより生じるノイズや不可視光源を使用することによって発生するノイズ(例えば、写り込みやスポットによるノイズ)が一例として挙げられる。その他の要因としては、プロジェクタによる映像を結像させるための素材(例えば、トレーシングペーパなどの光拡散の性質を持った素材)により光が拡散されることも一例として挙げられる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、物体の認識精度を向上させつつ、認識結果に応じた映像を表示することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、投射された赤外光を拡散させて認識物体に前記赤外光を投射する赤外光用導光板部と、前記認識物体の認識結果に応じた映像を出力映像として表示する映像表示部と、投射された白色光を拡散させて前記映像表示部に前記白色光を投射する白色光用導光板部と、を備える、映像表示装置、を有することを特徴とする、表示システムが提供される。
【0008】
前記表示システムは、入力映像を取得する映像取得装置と、前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体を認識し、前記認識物体の認識結果に応じた前記出力映像を前記映像表示部に表示させる映像処理装置と、をさらに備えてもよい。
【0009】
前記映像処理装置は、前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体を認識し、認識結果に応じた出力映像を前記映像表示部に表示させてもよい。
【0010】
前記表示システムは、認識結果と出力映像とを関連付けるための関連付けデータを記憶する認識用データベースをさらに備え、前記映像処理装置は、前記認識結果に関連付けられている前記出力映像を前記関連付けデータに基づいて取得し、取得した前記出力映像を前記映像表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記映像表示装置は、前記映像表示部を基準として、所定方向に前記赤外光用導光板部を有しており、前記所定方向とは逆方向に前記白色光用導光板部を有していてもよい。
【0012】
前記映像表示装置は、前記映像表示部を基準として、所定方向に前記赤外光用導光板部および前記白色光用導光板部を有していてもよい。
【0013】
前記映像取得装置は、前記赤外光の投射されている期間であり、かつ、前記白色光が投射されていない期間に、前記入力映像の取得を行ってもよい。
【0014】
前記映像処理装置は、前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体の位置を物体位置として認識し、認識した前記物体位置に対応する出力映像を前記映像表示部に表示させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、物体の認識精度を向上させつつ、認識結果に応じた映像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る表示システムの使用例を示す図である。
【図2】表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】映像表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】映像表示装置のハードウェア構成の変形例を示す図である。
【図5】映像取得装置により取得される入力映像の一例を示す図である。
【図6】認識用DBに登録されている情報の一例を示す図である。
【図7】映像取得装置による映像取得の一例を説明するための図である。
【図8】埋め込みコードにより物体が認識される場合の動作を示すフローチャートである。
【図9】身体の一部が物体として認識される場合の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0019】
[構成の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る表示システムの使用例を示す図である。図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る表示システムの使用例について説明する。図1に示すように、本発明の実施形態に係る表示システム10は、映像表示装置100と、映像処理装置200と、映像取得装置300とを備える。
【0020】
映像表示装置100は、接触面を有しており、その接触面に対して接触された物体が認識された場合には、その認識結果に応じた情報を利用者に対して提示することができる。利用者に対する情報の提示は、映像表示装置100により表示された映像(以下、「出力映像」とも言う。)が利用者に閲覧されることにより実現される。出力映像は、静止画データにより構成されてもよいし、動画データにより構成されてもよく、テキストデータにより構成されてもよい。映像表示装置100が有する接触面については後に詳細に説明する。
【0021】
認識される物体(以下、認識物体とも言う。)は、利用者の身体の一部(例えば、利用者の指先)であってもよい。
【0022】
映像処理装置200は、映像表示装置100が有する接触面に対して接触された物体を認識する機能を有する。より詳細には、映像処理装置200は、映像取得装置300により取得された映像(以下、「入力映像」とも言う。)から認識物体を認識し、認識物体の認識結果に応じた出力映像を映像表示装置100に表示させる。映像表示装置100と映像処理装置200とは、図1に示したように有線により接続されていてもよいし、無線により接続されていてもよい。
【0023】
映像取得装置300は、入力映像を取得する機能を有する。より詳細には、映像取得装置300は、映像表示装置100が有する接触面に対して接触された物体を撮影することにより入力映像を取得する機能を有する。映像取得装置300により取得される入力映像は、静止画データにより構成されてもよいし、動画データにより構成されてもよい。映像取得装置300と映像処理装置200とは、図1に示したように有線により接続されていてもよいし、無線により接続されていてもよい。
【0024】
なお、映像取得装置300は、例えば、赤外線カメラにより構成される。図1に示した例では、映像取得装置300は、単一の赤外線カメラにより構成されているが、複数の赤外線カメラにより構成されていてもよい。映像取得装置300が複数の赤外線カメラにより構成される場合には、複数の赤外線カメラの各々により取得された映像が結合されることにより入力映像が取得され得る。
【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る表示システム10の機能構成を示すブロック図である。図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る表示システム10が有する機能の詳細について説明する。
【0026】
上記した通り、表示システム10は、映像表示装置100と、映像処理装置200と、映像取得装置300とを備える。また、図2に示したように、映像表示装置100は、赤外光用導光板部110と、白色光用導光板部120と、映像表示部130と、赤外光投射部140と、白色光投射部150とを備える。
【0027】
映像処理装置200は、映像処理部210および認識用DB(Data Base)220を備える。映像表示装置100および映像取得装置300の各々が有する機能は、図1を参照しながら説明した通りである。認識用DB220は、映像処理部210により使用されるデータを記憶するデータベースである。認識用DB220が記憶するデータの詳細については後に説明する。
【0028】
赤外光投射部140は、赤外光を投射する機能を有する。赤外光用導光板部110は、赤外光投射部140により投射された赤外光を赤外光用導光板部110の内部に導く。赤外光用導光板部110の内部に導かれた赤外光は、赤外光用導光板部110の表面において拡散される。赤外光用導光板部110の表面において拡散された赤外光の一部または全部は、認識物体に到達する。
【0029】
赤外光用導光板部110の表面に接触された認識物体に赤外光が到達し、その認識物体により反射された赤外光が映像取得装置300に到達すれば、映像取得装置300により取得された入力映像から認識物体が容易に認識され得る。なお、赤外光用導光板部110の表面は、映像表示装置100が有する上記した接触面に相当する。
【0030】
白色光投射部150は、白色光を投射する機能を有する。白色光用導光板部120は、白色光投射部150により投射された白色光を白色光用導光板部120の内部に導く。白色光用導光板部120の内部に導かれた白色光は、白色光用導光板部120の表面において拡散される。白色光用導光板部120の表面において拡散された白色光の一部または全部は、映像表示部130に到達する。
【0031】
映像表示部130は、映像表示装置100が有する接触面に対して接触された物体が認識された場合に、その認識結果に応じた映像を表示することができる。映像表示部130は、白色光用導光板部120から拡散された白色光を透過することにより、映像表示部130を基準として、白色光用導光板部120が配置されている方向とは逆方向からの映像の閲覧を可能とする必要がある。したがって、映像表示部130は、例えば、透過型液晶パネルにより構成される。
【0032】
かかる構成によれば、接触した物体の認識結果に応じた情報提示を利用者に行うことができる。また、かかる構成によれば、赤外光投射部140により投射された赤外光が赤外光用導光板部110の表面全体において略均一に拡散される。そのため、映像取得装置300により取得される映像の鮮明度を向上させ、物体認識の精度を向上させることができる。
【0033】
その理由は、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合のように下部から映像投射を行うことにより生じるノイズや不可視光源を使用することによって発生するノイズ(例えば、写り込みやスポットによるノイズ)が生じないからである。また、本実施形態によれば、プロジェクタによる映像を結像させるための素材(例えば、トレーシングペーパなどの光拡散の性質を持った素材)により光が拡散されることがないからである。
【0034】
また、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合のように結像のために大きな光路長を要さないため、表示システム10を小型化することが可能となるという効果を奏する。さらに、認識物体400に赤外光を投射する赤外光用導光板部110と認識物体400との距離が比較的短いため、赤外光の反射率を向上させ、減衰率を低下させることができ、物体認識の精度を向上させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合と比較して、発生する熱量を低減させることができるという効果をも奏し得る。かかる効果は、以下に説明するように、側面から白色光および赤外光を投射するエッジライト方式のLCD(Liquid Crystal Display)を映像表示装置100として使用することにより、より顕著となる。また、プロジェクタを使用した場合には、プロジェクタに使用されるランプの寿命が短いことが一般的であり、ランプ交換のためにコストが必要となるが、本実施形態によれば、そのような事態を免れることが可能となる。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る表示システム10が有する映像表示装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る表示システム10が有する映像表示装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
【0037】
図3に示すように、映像表示装置100のハードウェア構成の一例においては、白色光用導光板部120は、映像表示部130を基準として、所定方向(例えば、映像表示部130を基準として、認識物体400が存在しない方向)に配置されており、赤外光用導光板部110は、所定方向とは逆方向(例えば、映像表示部130を基準として、認識物体400が存在する方向)に配置されている。以下、「下方」を所定方向の一例とし、「上方」を所定方向とは逆方向の一例として説明を続ける。
【0038】
赤外光投射部140により投射された赤外光は、赤外光用導光板部110の表面において拡散される。赤外光用導光板部110の表面において拡散された赤外光(赤外光線R)は、上方および下方に投射される。図3に示した例では、赤外光用導光板部110の表面から上方に投射された赤外光は認識物体400により反射され、認識物体400により反射された赤外光は、映像取得装置300に到達する必要がある。したがって、赤外光用導光板部110は、図3に示したように、映像表示部130の上方に配置されてもよいが、赤外光用導光板部110が配置される位置は特に限定されない(例えば、図4に示した変形例参照)。
【0039】
例えば、認識物体400に埋め込みコード410が付加されていれば、映像処理部210は、映像取得装置300により取得された入力映像から認識物体400に付された埋め込みコード410を認識し、認識した埋め込みコード410に対応する出力映像を映像表示部130に表示させることができる。埋め込みコード410は、画像自体であってもよいし、画像から変換されるビット列により構成されていてもよい。
【0040】
例えば、赤外光を吸収する性質を有する物質と赤外光を反射する性質を有する物質との組み合わせが認識物体400に付加されている場合、映像処理部210は、入力映像から検出される領域ごとの赤外光量に基づいて、埋め込みコード410を認識することができる。したがって、埋め込みコード410自体は、赤外光を吸収する性質を有する物質により構成されていてもよいし、赤外光を反射する性質を有する物質により構成されていてもよい。
【0041】
埋め込みコード410は、例えば、認識物体400の裏面に埋め込まれている。なお、認識物体400の種類ごとに一意の埋め込みコード410が割り当てられていてもよいし、複数種類の認識物体400対して同一の埋め込みコード410が割り当てられてもよい。
【0042】
白色光投射部150により投射された白色光(白色光線W)は、白色光用導光板部120の表面において拡散される。白色光用導光板部120の表面において拡散された白色光は、上方および下方に投射される。上記した通り、映像表示部130により表示された映像を映像表示部130の上方から閲覧することを可能とするためには、白色光用導光板部120の表面において拡散される白色光が映像表示部130を上方に透過する必要がある。したがって、白色光用導光板部120は、映像表示部130の下方に配置される。
【0043】
図4は、本発明の実施形態に係る表示システム10が有する映像表示装置100のハードウェア構成の変形例を示す図である。図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る表示システム10が有する映像表示装置100のハードウェア構成の変形例について説明する。
【0044】
図4に示すように、映像表示装置100のハードウェア構成の変形例においては、赤外光用導光板部110は、映像表示部130を基準として、下方向に配置されており、白色光用導光板部120も、赤外光用導光板部110と同様に、映像表示部130を基準として、下方向に配置されている。さらに、図4に示したように、赤外光用導光板部110と白色光用導光板部120とは、同一の導光板として構成された両光用導光板部115として配置されてもよい。
【0045】
図5は、本発明の実施形態に係る映像取得装置300により取得される入力映像の一例を示す図である。図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る映像取得装置300により取得される入力映像の一例について説明する。
【0046】
図5に示すように、例えば、入力映像310が映像取得装置300により取得される。入力映像310には、接触面に接触した認識物体311が映されている。接触面に接触した認識物体400からは赤外光が反射されるため、接触面に接触した認識物体311は、赤外光の検出量が所定値より大きい領域(以下、「赤外光検出領域」とも言う。)として映されている。
【0047】
認識物体311の中には、埋め込みコード312が含まれている。例えば、図5に示した例では、埋め込みコード312は、赤外光の検出量が所定値より小さい領域に隣接する形式で赤外光の検出量が所定値より大きい領域として認識物体311の中に含まれているが、赤外光の検出量が所定値より小さい領域として認識物体311の中に含まれていてもよい。
【0048】
また、図5に示すように、例えば、入力映像310には、接触面に接触した身体部分313が映されていてもよい。接触面に接触した身体部分313は、認識物体の一例として、映像処理部210により検出され得る。接触面に接触した身体部分からも赤外光が反射されるため、接触面に接触した身体部分313は、接触面に接触した認識物体311は、赤外光の検出量が所定値より大きい領域として映されている。
【0049】
なお、接触した身体部分313は、認識物体の一例としてではなく、認識物体とは区別されるように映像処理部210により検出されてもよい。例えば、映像処理部210は、埋め込みコード312が埋め込まれた認識物体311の範囲外に存在する赤外光検出領域を、接触した身体部分313として検出することができる。さらに、映像処理部210は、後に説明するように、閾値以上の大きさを有する赤外光検出領域を接触した身体部分313として検出してもよい。
【0050】
図6は、本発明の実施形態に係る認識用DB220に登録されている情報の一例を示す図である。図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る認識用DB220に登録されている情報の一例について説明する。
【0051】
図6に示すように、例えば、認識用DB220に登録されている情報は、埋め込みコード定義ファイル、表示ファイル名、検出領域および表示指定領域を関連付けるための関連付けデータにより構成される。埋め込みコード定義ファイル(例えば、「a.dat」や「b.dat」)には、埋め込みコード410が定義されている。図6に示した例では、埋め込みコード定義ファイルとして、「a.dat」ファイルや「b.dat」ファイルが登録されている。表示ファイル名は、映像表示部130により表示される映像が含まれたファイルの名称である。図6に示した例では、表示ファイル名として、「001.jpg」や「002.jpg」が登録されている。
【0052】
検出領域は、認識物体400の接触が検出された領域を示している。図6に示した例では、検出領域として、「天板右」や「天板左」が登録されている。表示指定領域は、映像表示部130により映像が表示される領域を示している。図6に示した例では、表示指定領域として、映像が表示される矩形領域の各頂点(左上,右上,左下,右下)=(0,200,400,1000)(300,400,600,800)(300,400,600,800)が登録されている。
【0053】
映像処理部210は、認識結果に関連付けられている出力映像を関連付けデータに基づいて取得し、取得した出力映像を映像表示部130に表示させる。認識結果は、埋め込みコードであってもよいし、検出領域であってもよい。認識結果が埋め込みコードである場合、映像処理部210は、入力映像から認識した埋め込みコード410に関連付けられている出力映像を関連付けデータに基づいて取得し、取得した出力映像を映像表示部130に表示させることができる。より詳細には、映像処理部210は、入力映像した埋め込みコード410が記述されている埋め込みコード定義ファイルを検索し、その埋め込み定義ファイルに関連付けられている表示ファイル名の映像を出力映像として取得することができる。
【0054】
また、映像処理部210は、その表示ファイル名と検出領域とに関連付けられている表示指定領域に基づいて、出力映像を表示させることができる。すなわち、映像処理部210は、映像取得装置300により取得された入力映像から認識物体400の位置を物体位置として認識し、認識した物体位置に対応する出力映像を映像表示部130に表示させることができる。
【0055】
図7は、本発明の実施形態に係る映像取得装置300による映像取得の一例を説明するための図である。図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る映像取得装置300による映像取得の一例について説明する。
【0056】
映像取得装置300による映像取得のタイミングは特に限定されないが、例えば、図7に示すように、映像取得装置300は、赤外光投射部140により赤外光の投射されている期間であり、かつ、白色光投射部150により白色光が投射されていない期間に、撮影を行うことにより、入力映像の取得を行ってもよい。このようにすれば、映像取得装置300が赤外線カメラにより構成される場合、映像取得装置300により取得される映像の鮮明度が増すため、認識物体400がより確実に認識されることが期待される。
【0057】
しかし、映像取得装置300により取得される映像の鮮明化は、他の手法を採用することにより図ることも可能である。すなわち、例えば、可視光カットフィルタを使用して白色光をカットする処理を施すことにより、映像取得装置300により取得される映像の鮮明化を図ることも可能である。
【0058】
[動作の説明]
図8は、埋め込みコードにより物体が認識される場合の動作を示すフローチャートである。図8を参照しながら、埋め込みコードにより物体が認識される場合の動作について説明する。
【0059】
図8に示すように、まず、表示システム10が起動されて、表示システム10による動作が開始される(ステップS100)。映像取得装置300は、入力映像を取得する(ステップS101)。続いて、映像処理部210は、映像取得装置300により取得された入力映像から、物体認識用の埋め込みコード部分を切り出す処理を行う(ステップS102)。映像処理部210は、例えば、入力映像に対して2値化処理を行った上でハフ変換などを用いて4辺を算出し、算出した4辺の頂点により規定される領域を埋め込みコード部分として切り出すことができる。
【0060】
続いて、映像処理部210は、埋め込みコード部分から取得された埋め込みコードが認識用DB220(例えば、図6参照)に登録されているか否か(あるいは、埋め込みコードが認識用DB220により一意に特定されるか否か)を判定する(ステップS103)。当該判定は、例えば、取得された埋め込みコードと埋め込みコード定義ファイルとの照合により行われ得る。埋め込みコード定義ファイルには、例えば、白黒のパターンが数値化された形式の埋め込みコードが記述されている。
【0061】
映像処理部210は、埋め込みコードが認識用DB220に登録されていない(あるいは、埋め込みコードが認識用DB220により一意に特定されない)と判定した場合には(ステップS103で「No」)、ステップS101に戻る。一方、映像処理部210は、埋め込みコードが認識用DB220に登録されている(あるいは、埋め込みコードが認識用DB220により一意に特定される)と判定した場合には(ステップS103で「Yes」)、ステップS104に進む。
【0062】
続いて、映像処理部210は、登録内容に応じた出力映像を生成する(ステップS104)。より詳細には、映像処理部210は、認識用DB220に登録されている内容にしたがって映像を生成する。例えば、取得された埋め込みコードが埋め込み定義ファイル「a.dat」に記述されている場合、検出領域が「天板右」の場合には、表示指定領域(0,200,400,1000)にしたがって出力映像が生成され、検出領域が「天板左」の場合には、表示指定領域(300,400,600,800)にしたがって出力映像が生成される。
【0063】
続いて、映像表示装置100は、生成された出力映像を表示する(ステップS105)。表示システム10が継続して動作する場合には、ステップS101からステップS105を再度実行する旨の指示が与えられるが、表示システム10が継続して動作しない場合には、表示システム10による動作が終了する(ステップS106)。
【0064】
図9は、身体の一部が物体として認識される場合の動作を示すフローチャートである。図9を参照しながら、身体の一部が物体として認識される場合の動作について説明する。
【0065】
図9に示すように、まず、表示システム10が起動されて、表示システム10による動作が開始される(ステップS200)。映像取得装置300は、入力映像を取得する(ステップS201)。続いて、映像処理部210は、映像取得装置300により取得された入力映像から、身体の一部による接触面への接触を検出する。
【0066】
ここで、上記したように、例えば、映像処理部210は、埋め込みコード312が埋め込まれた認識物体311の範囲外に存在する赤外光検出領域を、接触した身体部分313として検出することができる。さらに、映像処理部210は、例えば、入力映像に対して2値化処理を行った上で閾値以上の面積を有する領域(例えば、赤外光検出領域)が入力映像に存在するか否かを判定し(ステップS202)、閾値以上の面積を有する領域を、接触した身体部分313として検出することもできる。また、映像処理部210は、閾値以上の面積を有する領域の重心座標を接触位置として検出することもできる。
【0067】
映像処理部210は、閾値以上の面積を有する領域が入力映像に存在しないと判定した場合には(ステップS202で「No」)、ステップS201に戻る。一方、映像処理部210は、閾値以上の面積を有する領域が入力映像に存在すると判定した場合には(ステップS202で「Yes」)、ステップS203に進む。
【0068】
続いて、映像処理部210は、認識結果に応じた出力映像を生成する(ステップS203)。より詳細には、映像処理部210は、重心座標に応じた出力映像を生成してもよい。この場合には、マウスを使用したクリック操作と同様の操作感を利用者に与えることができる。また、映像処理部210は、重心座標の移動量に応じた出力映像を生成してもよい。この場合には、マウスを使用したドラッグ操作と同様の操作感を利用者に与えることができる。
【0069】
続いて、映像表示装置100は、生成された出力映像を表示する(ステップS204)。表示システム10が継続して動作する場合には、ステップS201からステップS204を再度実行する旨の指示が与えられるが、表示システム10が継続して動作しない場合には、表示システム10による動作が終了する(ステップS205)。
【0070】
[効果の説明]
本発明の実施形態によれば、接触した物体の認識結果に応じた情報提示を利用者に行うことができる。また、かかる構成によれば、赤外光投射部140により投射された赤外光が赤外光用導光板部110の表面全体において略均一に拡散される。そのため、映像取得装置300により取得される映像の鮮明度を向上させ、物体認識の精度を向上させることができる。
【0071】
その理由は、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合のように下部から映像投射を行うことにより生じるノイズや不可視光源を使用することによって発生するノイズ(例えば、写り込みやスポットによるノイズ)が生じないからである。また、本実施形態によれば、プロジェクタによる映像を結像させるための素材(例えば、トレーシングペーパなどの光拡散の性質を持った素材)により光が拡散されることがないからである。
【0072】
また、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合のように結像のために大きな光路長を要さないため、表示システム10を小型化することが可能となるという効果を奏する。さらに、認識物体400に赤外光を投射する赤外光用導光板部110と認識物体400との距離が比較的短いため、赤外光の反射率を向上させ、減衰率を低下させることができ、物体認識の精度を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態によれば、プロジェクタを使用した場合と比較して、発生する熱量を低減させることができるという効果をも奏し得る。かかる効果は、以下に説明するように、側面から白色光および赤外光を投射するエッジライト方式のLCD(Liquid Crystal Display)を映像表示装置100として使用することにより、より顕著となる。また、プロジェクタを使用した場合には、プロジェクタに使用されるランプの寿命が短いことが一般的であり、ランプ交換のためにコストが必要となるが、本実施形態によれば、そのような事態を免れることが可能となる。
【0074】
[変形例の説明]
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、本実施形態では、認識用DB220には、埋め込みコード定義ファイルが登録されていることとしたが、認識用DB220には、入力画像から切り出される部分画像とマッチングされる画像が埋め込みコード定義ファイルの代わりに登録されていてもよい。その場合には、映像処理部210により入力画像から切り出される部分画像とマッチする画像が登録されていると判定されれば、その画像により物体が認識され得る。
【0076】
また、本実施形態では、映像処理部210は、利用者の身体の一部(例えば、指など)の接触を認識するに際して、赤外光の検出領域のうち閾値以上の面積を有する領域を切り出し、切り出した領域に基づいて判定することとしたが、かかる例に限定されない。例えば、映像処理部210は、五指のすべての接触に対する認識のように、複数の領域の各々に対して接触認識の処理を実行してもよい。また、映像処理部210は、最も面積が大きい領域を接触領域と判定してもよい。また、映像処理部210は、面積の時間変化に基づいた判定を行ってもよく、例えば、フリック操作などを判定してもよい。
【0077】
さらに、認識用DB220は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリなどにより構成され得る。映像処理部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などから構成され、記憶装置により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。あるいは、映像処理部210は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0078】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 表示システム
100 映像表示装置
110 赤外光用導光板部
115 両光用導光板部
120 白色光用導光板部
130 映像表示部
140 赤外光投射部
150 白色光投射部
200 映像処理装置
210 映像処理部
220 認識用DB
300 映像取得装置
400 認識物体





【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射された赤外光を拡散させて認識物体に前記赤外光を投射する赤外光用導光板部と、
前記認識物体の認識結果に応じた映像を出力映像として表示する映像表示部と、
投射された白色光を拡散させて前記映像表示部に前記白色光を投射する白色光用導光板部と、
を備える、映像表示装置、
を有することを特徴とする、表示システム。
【請求項2】
入力映像を取得する映像取得装置と、
前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体を認識し、前記認識物体の認識結果に応じた前記出力映像を前記映像表示部に表示させる映像処理装置と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記映像処理装置は、
前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体を認識し、認識結果に応じた出力映像を前記映像表示部に表示させることを特徴とする、請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記表示システムは、
認識結果と出力映像とを関連付けるための関連付けデータを記憶する認識用データベースをさらに備え、
前記映像処理装置は、
前記認識結果に関連付けられている前記出力映像を前記関連付けデータに基づいて取得し、取得した前記出力映像を前記映像表示部に表示させることを特徴とする、請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記映像表示装置は、
前記映像表示部を基準として、所定方向に前記白色光用導光板部を有しており、前記所定方向とは逆方向に前記赤外光用導光板部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項6】
前記映像表示装置は、
前記映像表示部を基準として、所定方向に前記赤外光用導光板部および前記白色光用導光板部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項7】
前記映像取得装置は、
前記赤外光の投射されている期間であり、かつ、前記白色光が投射されていない期間に、前記入力映像の取得を行うことを特徴とする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項8】
前記映像処理装置は、
前記映像取得装置により取得された前記入力映像から前記認識物体の位置を物体位置として認識し、認識した前記物体位置に対応する出力映像を前記映像表示部に表示させることを特徴とする、請求項2に記載の表示システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58094(P2013−58094A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196262(P2011−196262)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】