説明

表示システム

【課題】ユーザーが3D眼鏡を装着しているか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて3次元映像と2次元映像の切り替えを行う。
【解決手段】表示システムは、状態通知信号を発信する信号発信部を有する3次元映像鑑賞用の眼鏡と、物体の表面に映像を投射するプロジェクターとを有する。プロジェクターは、眼鏡の信号発信部から発信され、物体の表面によって反射された状態通知信号を受信する信号受信部と、信号受信部が受信した状態通知信号に基づいて眼鏡がユーザーにより装着されているか判定する判定部と、判定部により眼鏡がユーザーにより装着されていると判定された場合、3次元映像を示す映像信号を選択し、判定部により眼鏡がユーザーにより装着されていないと判定された場合、2次元映像を示す映像信号を選択する映像信号選択部と、映像信号選択部により選択された映像信号に基づいて物体の表面に映像を投射する映像投射部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターを用いて映像をスクリーンに投射する表示システムにおいて2次元映像(2D映像とも言う)と3次元映像(立体視を可能にする映像。3D映像とも言う)の表示の切り替えを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像を表示可能な表示システムが知られている。そのような表示システムにおいて3D映像を表示する場合、映像表示装置に右眼用映像と左眼用映像とを順次表示したり、合成して表示したりし、3D映像を鑑賞するユーザーは右眼用映像と左目用映像を分離する3D映像鑑賞用の眼鏡(3D眼鏡とも言う)を装着する。映像表示装置に3D映像が表示されているときに、ユーザーが3D眼鏡を装着していないと、左右の映像が重なり合って見えるため、非常に見づらい映像となる。そのため、ユーザーが3D眼鏡を装着しているか否かを判断して、その眼鏡を装着している場合には、3D映像を映像表示装置に表示させ、その眼鏡を装着していない場合には、2次元映像を映像表示装置に表示させるための技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ユーザーが3D眼鏡を装着していることを映像表示装置へ通知する手段として、3D眼鏡の装着及び非装着に対応してオン/オフされるスイッチ手段を3D眼鏡に設け、有線または無線によってスイッチ手段の状態を映像表示装置に通知したり、映像表示装置に発光手段と受光手段を設け、この発光手段からの光を受光手段へ反射させるミラーを3D眼鏡に設けたりすることが記載されている。また、特許文献1には、3D眼鏡に設けるミラーを、マイクロ・コーナー・キューブ・ミラーなどの回帰反射体とすることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、観察者が3D眼鏡を装着すると観察者の額で押されてオン状態になり、眼鏡を外すとオフ状態になるプッシュスイッチを眼鏡に設け、プッシュスイッチがオン状態となると発光センサーが発光し、観察者が眼鏡を装着していることを示す信号をモニターの映像選択回路に通知することが記載されている。また、特許文献2には、3D眼鏡が液晶シャッター眼鏡の場合には、シャッター電源スイッチのオン、オフに応じて発光センサーを制御したり、眼鏡に反射板を設け、その反射の有無により映像選択回路を制御したりしてもよい旨の記載がある。
【0005】
特許文献3には、3D眼鏡(立体眼鏡)に、ユーザーによる立体眼鏡の着用の有無を感知する接触式センサーまたは非接触式センサーからなるセンサー部と、画像情報再生装置と双方向通信を行う送受信部(赤外線送受信部及びRF(Radio Frequency)送受信部)とを設け、センサー部により感知されたユーザーによる立体眼鏡の着用の有無を示す信号に応じて、画像情報再生装置において3D又は2D画像を選択的に生成することが記載されている。また、特許文献3には、ユーザーによる立体眼鏡の着用の有無と関係なしに手動で2D又は3D画像モードを選択できるように、モードを手動で選択するスイッチを立体眼鏡に設けることが記載されている。
【0006】
特許文献4には、圧力センサー、温度センサー、または視聴者が3D眼鏡(めがね装置)を着用した際に顔の一部分によって押下されるボタンによって、視聴者によるめがね装置の着用を検知する着用検知部をめがね装置に設けることが開示されている。また、特許文献4には、めがね装置と映像出力装置の通信は有線によってもよいし無線によってもよく、無線であれば、例えばBluetooth(登録商標)、赤外線などの不可視光線でもよいし、可視光線によってもよい旨記載されている。
【0007】
特許文献5には、立体観察用眼鏡に制御信号を確実に入射させるため、プロジェクターの赤外線発光部より出射された、左眼用の映像と右眼用の映像との表示状態に応じた光信号をスクリーンに反射させて液晶シャッター眼鏡に入射させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−4453号公報
【特許文献2】特開平11−75223号公報
【特許文献3】特開2010−154533号公報
【特許文献4】特開2006−196995号公報
【特許文献5】特開平9−9299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した先行技術文献に記載の技術においては、ユーザーが3D眼鏡を装着していることを眼鏡に設けられたスイッチのオン/オフによって検出する場合、ユーザーがスイッチをオフし忘れると、ユーザーが眼鏡を装着していなくても装着していると誤検知する恐れがある。また、接触式または非接触式のセンサーによりユーザーが3D眼鏡を装着していることを検知する場合、眼鏡がユーザーに装着されていないときに、異物がセンサーに接触すると、眼鏡がユーザーに接触しているものと誤検知する可能性がある。
【0010】
特許文献1または特許文献2に記載のように、3D眼鏡にミラー(反射板)を設けると共に、映像表示装置に発光手段と受光手段を設け、発光手段から発せられた光が眼鏡に設けられたミラーによって反射され受光手段に到達したか否かによってユーザーによる3D眼鏡の装着の有無を検知する場合、ミラーを眼鏡に設けることから、ミラーの大きさが制限されるため、反射光(信号)が微弱となり、検出されないことがある。
【0011】
これに対し本発明は、ユーザーが3次元映像鑑賞用の眼鏡を装着しているか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて3次元映像と2次元映像の切り替えを行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、3次元映像鑑賞用の眼鏡であって、当該眼鏡が動作可能であることを示す状態通知信号を発信する信号発信部を有する眼鏡と、物体の表面に映像を投射するプロジェクターとを有し、前記プロジェクターは、前記眼鏡の前記信号発信部から発信され、前記物体の表面によって反射された前記状態通知信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信した前記状態通知信号に基づいて前記眼鏡がユーザーにより装着されているか判定する判定部と、前記判定部により前記眼鏡がユーザーにより装着されていると判定された場合、3次元映像を示す映像信号を選択し、前記判定部により前記眼鏡がユーザーにより装着されていないと判定された場合、2次元映像を示す映像信号を選択する映像信号選択部と、前記映像信号選択部により選択された映像信号に基づいて前記物体の前記表面に映像を投射する映像投射部とを有する表示システムを提供する。
この表示システムによれば、3次元映像鑑賞用の眼鏡がユーザーにより装着されているかの判定を、映像が投射される物体の表面によって反射され信号受信部により受信された眼鏡からの状態通知信号に基づいて行わない場合と比べて、ユーザーが3次元映像鑑賞用の眼鏡を装着しているか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて3次元映像と2次元映像の切り替えを行うことができる。
【0013】
好ましい態様において、前記信号発信部は前記状態通知信号を間隔を置いて繰り返し発信し、前記眼鏡は、前記信号発信部による前記状態通知信号の発信間隔を設定する間隔設定部を有してもよい。
この表示システムによれば、状態通知信号の発信間隔を状況に応じて設定することができる。
【0014】
さらに好ましい態様において、前記間隔設定部は、前記状態通知信号の発信間隔を前記眼鏡のバッテリーの残量が少なくなるにつれて長くなるように設定してもよい。
この表示システムによれば、状態通知信号の発信間隔を眼鏡のバッテリーの残量が少なくなるにつれて長くなるように設定しない場合と比べて、眼鏡のバッテリーの使用時間を延ばすことができる。
【0015】
さらに別の好ましい態様において、前記間隔設定部は、前記状態通知信号の発信間隔を予め定められた期間第1の間隔に設定した後、前記第1の間隔より長い第2の間隔に設定してもよい。
この表示システムによれば、状態通知信号の発信間隔を予め定められた期間第1の間隔に設定した後、第1の間隔より長い第2の間隔に設定しない場合と比べて、眼鏡のバッテリーの使用時間を延ばすことができる。
【0016】
さらに別の好ましい態様において、前記間隔設定部は、予め定められた間隔で、前記状態通知信号の発信間隔を第1の間隔と、前記第1の間隔より長い第2の間隔とで切替えてもよい。
この表示システムによれば、常時第1の間隔で信号の発信を行う場合と比べて、眼鏡のバッテリーの使用時間を延ばすことができる。
【0017】
さらに別の好ましい態様において、前記眼鏡は、当該眼鏡のユーザーによる着脱を検知する着脱検知部を有し、前記信号発信部は、前記着脱検知部が、前記眼鏡が前記ユーザーに装着されたことを検知するのに応じて、前記状態通知信号の発信を開始してもよい。
この表示システムによれば、信号発信部からの状態通知信号の発信を、眼鏡に設けられた着脱検知部が眼鏡がユーザーに装着されたことを検知するのに応じて開始しない場合と比べて、ユーザーが眼鏡を装着していないときに、信号発信部から状態通知信号が発信される可能性が低減される。
【0018】
さらに別の好ましい態様において、前記信号発信部が発信する状態通知信号は、予め決められた第1の偏光軸を有する光により伝送され、前記物体の前記表面により反射された前記状態通知信号は、前記第1の変更軸に対し略90度回転された第2の偏光軸を有する光により伝送され、前記信号受信部は、前記第2の偏光軸を有する光を受信してもよい。
この表示システムによれば、眼鏡の信号発信部から直接プロジェクターの信号受信部へ向けて状態通知信号が発せられたとしても、当該状態通知信号が信号受信部によって受信されることがない。
【0019】
さらに別の好ましい態様において、前記3次元映像は、右眼用の画像と左眼用の画像が時分割で交互に現れる映像であり、前記眼鏡は、前記右眼用の画像が表示されたとき開状態となり前記左眼用の画像が表示されたとき閉状態となるよう駆動される右眼用シャッターと、前記右眼用の画像が表示されたとき閉状態となり前記左眼用の画像が表示されたとき開状態となるよう駆動される左眼用シャッターとを有し、前記プロジェクターは、前記映像信号選択部により前記3次元映像が選択されたとき、前記右眼用シャッター及び前記左眼用シャッターの開閉タイミングを示す信号であるシャッター同期信号を前記3次元映像に基づいて生成し、前記映像信号選択部により前記2次元映像が選択されたとき、前記シャッター同期信号の生成を停止する同期信号生成部と、前記同期信号生成部により生成された前記シャッター同期信号を、前記眼鏡へと送信する同期信号送信部とを有してもよい。
この表示システムによれば、3次元映像が表示されるときは、眼鏡のシャッターの開閉動作を行い、2次元映像が表示されるときは、眼鏡のシャッターの開閉動作を停止することができる。
【0020】
さらに別の好ましい態様において、前記信号受信部は、前記プロジェクターの本体とは別体であり、プロジェクターの本体と有線または無線により接続されていてもよい。
この表示システムによれば、信号受信部がプロジェクターの本体と一体に設けられている場合と比べて、信号受信部の配置の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態に係る表示システムの構成を示す模式図。
【図2】プロジェクターの映像投射部の構成を示す平面図。
【図3】眼鏡の外観を例示する図。
【図4】表示システムの機能的構成を示すブロック図。
【図5】変形例1に係る眼鏡の機能的構成を示すブロック図。
【図6】変形例3に係る赤外線受光部、赤外線発光部及びスクリーンを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システム1の全体構成を示す図である。表示システム1は、プロジェクター10、3D眼鏡20、及びスクリーンSCを有する。プロジェクター10は、入力された映像信号に応じた画像をスクリーンSCに投射するフロントプロジェクターである。本実施形態において、プロジェクター10に入力される映像信号が示す映像は、右眼用の画像(以下、「右眼画像」という。)と左眼用の画像(以下、「左眼画像」という。)とが時分割で交互に現れる3D映像とする。尚、ここでいう映像は、主として動画像のことを想定しているが、静止画像を含んでもよい。スクリーンSCは、プロジェクター10から投射される映像を映し出す平面を提供する。通常、スクリーンSCの表面は、スクリーンSC上に表示された映像を様々な位置から見ることができるように、入射した光を拡散反射する性質を有する。眼鏡20は、右眼画像及び左眼画像を、眼鏡20を装着したユーザーの右眼及び左眼に独立して視覚させるための3D眼鏡である。スクリーンSCに投射された映像を見るユーザーは、スクリーンSCに対峙する。
【0023】
図2は、プロジェクター10の映像投射部の構成を示す平面図である。本例において、プロジェクター10は、液晶パネルをRGB各色のライトバルブとして用いた3板式プロジェクターである。
【0024】
図2に示されるように、プロジェクター10の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源を有するランプユニット2102が設けられている。ランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によってR(赤)色、G(緑)色、B(青)色の3原色に分離される。分離された投射光は、各原色に対応するライトバルブ100R、100Gおよび100Bにそれぞれ導かれる。なお、B色の光は、他のR色やG色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124を有するリレーレンズ系2121を介して導かれる。
【0025】
プロジェクター10において、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bの各々は、画素毎に透過率を設定可能な液晶パネルからなる。ライトバルブ100R、100G及び100Bには、R色、G色、B色のそれぞれの原色成分の階調レベルを指定する映像信号が供給され、供給された映像信号に応じて、ライトバルブ100R、100G及び100Bがそれぞれ駆動される。ライトバルブ100R、100G、100Bによってそれぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、R色およびB色の光は90度に屈折し、G色の光は直進する。したがって、各原色の画像が合成された後、スクリーンSCには、投射レンズ群2114によってカラー画像が投射される。
【0026】
なお、ライトバルブ100R、100Gおよび100Bには、ダイクロイックミラー2108によって、R色、G色、B色のそれぞれに対応する光が入射するので、カラーフィルターを設ける必要はない。また、ライトバルブ100R、100Bの透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射される。したがって、ライトバルブ100R、100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を表示する構成となっている。尚、図2では、ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶パネルを透過型とし、透過型のプロジェクターを構成したが、液晶パネルを反射型とし、反射型のプロジェクターを構成してもよい。
【0027】
図3は、眼鏡20の外観を例示する図である。図3に示すように、眼鏡20は、フレーム201を有しており、通常の視力矯正用眼鏡のレンズに相当する部分に、右眼用液晶シャッター206R(右眼用シャッターの一例)及び左眼用液晶シャッター206L(左眼用シャッターの一例)が設けられている。液晶シャッター206R及び液晶シャッター206Lは、プロジェクター10から送信される、後述するシャッター同期信号に応じて開閉する。ここで、液晶シャッター206R、206Lが「開」であるとは、透過率が所定のしきい値(例えば90%)以上の状態にあることをいい、「閉」であるとは、透過率が所定のしきい値(例えば10%)以下の状態にあることをいう。
【0028】
また、フレーム201のユーザーの耳に掛ける部分(テンプル)には電源スイッチ202が設けられている。電源スイッチ202をオンにすることで、フレーム201に組み込まれた図示しないバッテリーの電圧が液晶シャッター206R、206Lに供給され、液晶シャッター206R、206Lは、シャッター同期信号に応じた開閉動作が可能な状態となる。ユーザーは、3D映像を鑑賞したいとき、電源スイッチ202をオンにして眼鏡20を装着する。また、眼鏡20は、フレーム201の前面(即ち、眼鏡20がユーザーによって装着されたとき、ユーザーの前方に向く面)に設けられた赤外線受光部203と赤外線発光部204を有する。赤外線受光部203は、例えばフォトダイオードなどの受光素子を有し、プロジェクター10から赤外線伝送により送信されるシャッター同期信号を受信する。赤外線発光部204は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの発光素子を有し、ユーザーが電源スイッチ202をオンにするのに応じて、眼鏡20が動作可能であることを示す状態通知信号を眼鏡20の前方に向けて発信する。状態通知信号は、強度が一定の赤外光でもよいし、所望の情報を含むように変調された赤外光でもよい。赤外線発光部204は、本発明の信号発信部の一例である。
【0029】
図4は、プロジェクター10、眼鏡20、スクリーンSCを含む表示システム1の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、プロジェクター10は、映像信号取得部11、映像信号変換部12、映像信号選択部13、映像投射部14、同期信号生成部15、赤外線発光部16、赤外線受光部17、及び着脱判定部18を有する。映像信号変換部12、映像信号選択部13、同期信号生成部15、及び着脱判定部18の機能は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置により、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等の記憶装置に格納されたプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0030】
映像信号取得部11は、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤーやパーソナルコンピューターなどの外部装置から映像信号を取得する。上記したように、本例では、外部装置から入力される映像信号は3D映像を示す映像信号(以下、3D映像信号という)であることを想定している。映像信号変換部12は、映像信号取得部11が取得した3D映像信号を変換して、2D映像を示す映像信号(以下、2D映像信号という)を生成する。映像信号変換部12によって生成された2D映像信号及び映像信号取得部11が取得した3D映像信号は、映像信号選択部13に入力される。
【0031】
映像信号選択部13は、後述する着脱判定部18からのユーザーが眼鏡20を装着しているか否かに関する判定結果に基づいて、入力された2D映像信号と3D映像信号の一方を選択し、映像投射部14へ供給する。
【0032】
映像投射部14の構成は、図2に例示されている。映像投射部14に入力された映像信号は、映像投射部14のライトバルブ100R、100G、100Bの制御に用いられ、映像投射部14は、映像信号に応じた映像をスクリーンSCに投射する。映像信号選択部13から映像投射部14に供給される映像信号が3D映像信号の場合、映像投射部14は、3D映像信号に含まれる右眼画像及び左眼画像を時分割で交互にスクリーンSCに投射し、スクリーンSC上に表示する。
【0033】
同期信号生成部15は、映像信号選択部13から映像投射部14に供給される映像信号が3D映像信号の場合、この3D映像信号に基づいてシャッター同期信号を生成する。ここで、シャッター同期信号とは、スクリーンSCに右眼画像が表示されるときには、眼鏡20の右眼用液晶シャッター206Rが開状態となり、左眼用液晶シャッター206Lが閉状態となり、スクリーンSCに左眼画像が表示されるときには、眼鏡20の右眼用液晶シャッター206Rが閉状態となり、左眼用液晶シャッター206Lが開状態となるように(即ち、スクリーンSCに表示される画像に同期して液晶シャッター206R、206Lの開閉がなされるように)、眼鏡20の液晶シャッター206R、206Lを制御するときの制御タイミングを示す信号である。同期信号生成部15は、映像信号選択部13から映像投射部14に供給される映像信号が2D映像信号の場合、シャッター同期信号の生成を停止する。
【0034】
赤外線発光部16は、例えばLEDなどの赤外線発光素子を有し、同期信号生成部15により生成されたシャッター同期信号を赤外線伝送によって送信する。赤外線発光部16は、プロジェクター10の本体とは別体として設け、プロジェクター10の本体に有線または無線で接続してもよい。その場合、赤外線発光部16を、スクリーンSCの近くに、スクリーンSCに対峙したユーザーの方に向くように配置し、赤外線発光部16から発信されたシャッター同期信号が眼鏡20の赤外線受光部203で受信されるようにしてもよい。あるいは、赤外線発光部16をプロジェクター10の本体と一体に設け、赤外線発光部16からシャッター同期信号をスクリーンSCに向けて発信し、スクリーンSCによって反射されたシャッター同期信号が眼鏡20の赤外線受光部203で受信されるようにしてもよい。尚、映像信号選択部13から映像投射部14に供給される映像信号が2D映像信号の場合、同期信号生成部15によるシャッター同期信号の生成はなされないので、赤外線発光部16はシャッター同期信号の発信を停止する。赤外線発光部16は、本発明の同期信号送信部の一例である。
【0035】
赤外線受光部17は、例えばフォトダイオードなどの赤外線受光素子を有し、眼鏡20の赤外線発光部204から発信された状態通知信号を受信し、受信した状態通知信号に応じた信号を着脱判定部18に出力する。ここで、赤外線受光部17は、眼鏡20の赤外線発光部204から発信された状態通知信号(赤外光)を直接受信するのではなく、眼鏡20の赤外線発光部204から発信され、スクリーンSCによって反射された状態通知信号を受信するように、スクリーンSCに向けて配置される。赤外線受光部17は、プロジェクター10の本体とは別体とし、プロジェクター10の本体に有線または無線で接続してもよいし、あるいは、プロジェクター10の本体と一体に設けてもよい。赤外線受光部17を、プロジェクター10の本体とは別体とした場合、赤外線受光部17の配置の自由度が向上する。赤外線受光部17を、プロジェクター10の本体と一体に設ける場合、プロジェクター10からスクリーンSCに映像を投射しているとき、赤外線受光部17が眼鏡20の赤外線発光部204から発信されスクリーンSCで反射された光を受信できるように、赤外線受光部17をプロジェクター10の本体の前面(投射光が出力される方向に向いた面)に設けるとよい。赤外線受光部17は、本発明の信号受信部の一例である。
【0036】
着脱判定部18は、赤外線受光部17からの出力信号に基づき、眼鏡20がユーザーによって装着されているか否かを判定する。この判定方法については後に詳述する。
【0037】
眼鏡20は、図3に示した電源スイッチ202、赤外線受光部203、赤外線発光部204、及び液晶シャッター206R、206Lに加え、液晶シャッター駆動部210、発光制御部220、及びバッテリー残量検知部230を有する。液晶シャッター駆動部210及び発光制御部220の機能は、CPUなどの演算処理装置によりROMやフラッシュメモリー等の記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0038】
液晶シャッター駆動部210は、赤外線受光部203が受信したシャッター同期信号に基づいて、液晶シャッター206R、206Lを開閉駆動する。赤外線受光部203によりシャッター同期信号が受信されないときは、液晶シャッター206R、206Lの開閉駆動を停止する(液晶シャッター206R、206Lは開状態となる)。発光制御部220は、電源スイッチ202がオンになるのに応じて、赤外線発光部204から、後述する間隔設定部221により設定された間隔で繰り返し状態通知信号が発信されるように、赤外線発光部204を制御する。バッテリー残量検知部230は、眼鏡20のバッテリー(図示せず)の残量を示す信号を発光制御部220に入力する。発光制御部220は、間隔設定部221を有し、この間隔設定部221は、バッテリー残量検知部230から入力された信号によって示されるバッテリー残量に応じて、赤外線発光部204から発信される状態通知信号の間隔を設定する。具体的には、間隔設定部221は、バッテリー残量が多いときは、状態通知信号の発信間隔を短く設定し、バッテリー残量が少なくなるにつれて状態通知信号の発信間隔が長くなるように設定する。これにより、バッテリーをより長時間使用することができる。
【0039】
上述したように、眼鏡20の赤外線発光部204は眼鏡20の前面に設けられており、ユーザーが眼鏡20を装着しているとき、ユーザーの前方に向けて状態通知信号を発信する。従って、ユーザーがスクリーンSCに表示された映像を見るべくスクリーンSCを向いているときには、赤外線発光部204からの状態通知信号はスクリーンSCに向けて発信される。赤外線発光部204からスクリーンSCに向けて発信された状態通知信号は、スクリーンSCにより拡散反射され、プロジェクター10の赤外線受光部17によって受信される。
【0040】
プロジェクター10の着脱判定部18は、赤外線受光部17の出力信号に基づいて、ユーザーが眼鏡20を装着しているか否かを判定する。具体的には、着脱判定部18は、眼鏡20の赤外線発光部204から発せられた状態通知信号が予め定められた間隔より短い間隔で赤外線受光部17に受信されているときは、ユーザーが眼鏡20を装着していると判定し、そうでないときは、ユーザーは眼鏡20を外していると判定する。
【0041】
着脱判定部18により、ユーザーが眼鏡20を装着していると判定されると、映像信号選択部13は、3D映像信号を選択し、その結果、スクリーンSCには3D映像が表示される。また、映像信号選択部13が3D映像信号を選択するのに応じて、同期信号生成部15は3D映像信号に基づきシャッター同期信号を生成し、生成されたシャッター同期信号は赤外線発光部16から出力され、眼鏡20の赤外線受光部203により受信される。そして、眼鏡20の液晶シャッター駆動部210は、赤外線受光部203が受信したシャッター同期信号に基づいて、液晶シャッター206R、206Lを開閉駆動する。
【0042】
一方、着脱判定部18により、ユーザーが眼鏡20を外していると判定されると、映像信号選択部13は2D映像信号を選択し、その結果、スクリーンSCには2D映像が表示される。また、映像信号選択部13が2D映像信号を選択するのに応じて、同期信号生成部15はシャッター同期信号の生成を停止する。眼鏡20の液晶シャッター駆動部210は、赤外線受光部203によりシャッター同期信号が受信されないので、液晶シャッター206R、206Lの開閉駆動を停止する。
【0043】
尚、状態通知信号が一定の強度の赤外光からなる場合、赤外線受光部17が状態通知信号を受信しているか否かは、赤外線受光部17の出力信号を予め定められた閾値と比較することにより判断してよい。また、上記の予め定められた間隔は、間隔設定部221により設定され得る最長の間隔としてよい。あるいは、赤外線発光部204から発信される状態通知信号に、間隔設定部221で設定されている間隔を示す情報を含ませ、着脱判定部18は、赤外線発光部204から発信される状態通知信号に含まれる間隔を示す情報を抽出し、当該情報に基づいて、判定に用いる予め定められた間隔を設定してもよい。
【0044】
このように、本実施形態によれば、赤外線受光部17は、眼鏡20の赤外線発光部204から発信され、スクリーンSCによって反射された状態通知信号を受信する。従って、眼鏡20の電源スイッチ202がオン状態となっていても、ユーザーが眼鏡20を装着していなければ、眼鏡20の赤外線発光部204から発信される状態通知信号は、赤外線受光部17によって受信されず、着脱判定部18は眼鏡20はユーザーによって装着されていないと判定する。その結果、スクリーンSCには3D映像の表示はなされず2D映像が表示される。ユーザーが眼鏡20の電源スイッチ202をオンした後、眼鏡20を装着してスクリーンSCに向いた場合、眼鏡20の赤外線発光部204から発信された状態通知信号は、赤外線受光部17によって受信され、それに応じて、スクリーンSCに3D映像の表示がなされる。このように、本実施形態によれば、眼鏡20をユーザーが装着しているか否かを高精度に判定し、それに応じて、3D映像と2D映像の表示の切り替えがなされる。
【0045】
また、スクリーンSCは入射した光を拡散反射する性質を有するので、赤外線受光部17の位置及び向きを厳密に設定しなくても、眼鏡20の赤外線発光部204から発信されスクリーンSCで反射された状態通知信号は赤外線受光部17で受信される。
【0046】
2.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0047】
2−1.変形例1
眼鏡20は、眼鏡20がユーザーにより装着されているか否かを検知する着脱検知部240を有していてもよい。着脱検知部240は、公知のいずれの態様であってもよい。例えば、特許文献2に記載されているような眼鏡20がユーザーに装着されたとき、ユーザーの額で押されてオン状態となり、眼鏡20を外すとオフ状態になるるプッシュスイッチによりユーザーによる眼鏡20の着脱を検知してもよいし、特許文献4に記載されているような圧力センサーや温度センサーを用いてユーザーによる眼鏡20の着脱を検知してもよい。例えば、圧力センサーを用いる場合、眼鏡20がユーザーに装着されたとき圧力がかかる部分(眼鏡20のテンプルの内側面や鼻パッドなど)に圧力センサーを設け、予め定められた圧力より高い圧力が圧力センサーにより検出されたとき、ユーザーにより眼鏡20が装着されたと検知し、予め定められた圧力以下の圧力が圧力センサーにより検出されたとき、ユーザーは眼鏡20を装着していないと検知する。温度センサーを用いる場合、眼鏡20がユーザーに装着されたとき、ユーザーの肌に接触する部分、例えば、装着時にユーザーの鼻に接するフレームの部分に温度センサーを設け、予め定められた温度より高い温度が温度センサーにより検出されたとき、眼鏡20がユーザーに装着されたと検知し、予め定められた温度以下の温度が温度センサーにより検出されたとき、ユーザーは眼鏡20を装着していないと検知する。
【0048】
図5は、変形例1に係る眼鏡20の機能的構成を示すブロック図である。図5において、図4と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図5に示した眼鏡20は、着脱検知部240を有する点が、図4に示した眼鏡20と異なる。着脱検知部240は眼鏡20の装着状態を表す信号を発光制御部220に入力する。発光制御部220は、電源スイッチ202がオンされ且つ着脱検知部240からの信号によってユーザーにより眼鏡20が装着されたことが示されると、赤外線発光部204を制御して、間隔設定部221により設定された間隔で状態通知信号を発信させる。また、ユーザーが眼鏡20を外したときには、これを着脱検知部240で検知し、それに応じて、発光制御部220は赤外線発光部204からの状態通知信号の発信を停止させる。これにより、ユーザーが眼鏡20を装着していないときに、赤外線発光部204から状態通知信号が発信される可能性が低減されるので、眼鏡20における電力消費が低減する。
【0049】
また、変形例1に係る眼鏡20では、ユーザーが眼鏡20を外したとき、電源スイッチ202をオンしたまま、赤外線発光部204がスクリーンSCに向くように眼鏡20を置いた場合であっても、赤外線発光部204からの状態通知信号の発信が停止されるので、赤外線発光部204から発せられた状態通知信号がスクリーンSCで反射され、プロジェクター10の赤外線受光部17に受信されることがない。従って、赤外線受光部17からの出力信号に基づいてなされる着脱判定部18におけるユーザーが眼鏡20を装着しているか否かの判定の精度が向上する。
【0050】
2−2.変形例2
上記実施形態では、間隔設定部221は、眼鏡20のバッテリー残量に応じて、赤外線発光部204から発信される状態通知信号の間隔を設定したが、本発明はこれに限定されない。間隔設定部221は、ユーザーの操作に応じて、赤外線発光部204から発信される状態通知信号の間隔を設定してもよい。例えば、赤外線発光部204から発信される状態通知信号の間隔を「長」、「普通」、「短」の中からユーザーが選択可能とするユーザーインターフェース(例えば、「長」、「普通」、「短」に対応したボタン)を眼鏡20のフレームに設け、間隔設定部221は、ユーザーが「長」、「普通」、「短」のいずれを選択したかに応じて、赤外線発光部204から発信される状態通知信号の間隔を設定してもよい。
【0051】
あるいは、眼鏡20の電源スイッチ202がオンにされた後、または、ユーザーが発信間隔を選択する操作を行った後、予め定められた時間が経過するまでは、設定された間隔(第1の間隔)で状態通知信号を発信し、予め定められた時間が経過したら、状態通知信号を発信する間隔を、より長い間隔(第2の間隔)としてもよい。電源スイッチ202がオンにされた直後は短い間隔で状態通知信号を発信することで、プロジェクター10にユーザーが眼鏡20を装着したことを速やかに通知し、3D映像を表示することができる。また、3D映像が表示された後、状態通知信号の発信間隔を長くすることにより、眼鏡20のバッテリーの使用時間を延ばすことができる。
【0052】
また、状態通知信号を発信する間隔を予め定められた周期で切替えてもよい。例えば、予め定められた間隔(例えば15分間隔)で状態通知信号の発信間隔を短い間隔(第1の間隔)と、第1の間隔より長い第2の間隔とで切替えてもよい。この場合、常時、短い発信間隔で状態通知信号を発信する場合と比べて、バッテリーを使用可能な時間が長くなる。
【0053】
2−3.変形例3
図1に示した表示システム1の例では、映像を鑑賞するユーザーは、プロジェクター10の後方に位置しているが、ユーザーがプロジェクター10の前方に位置する場合もある。ユーザーがプロジェクター10の前方に位置する場合、眼鏡20を装着したユーザーが後を振り向いた場合など、眼鏡20の赤外線発光部204から発信された状態通知信号が、直接、プロジェクター10の赤外線受光部17に到達することが考えられる。そのような場合でも、プロジェクター10の赤外線受光部17は、眼鏡20の赤外線発光部204から直接到達した状態通知信号を受信せず、スクリーンSCによって反射された状態通知信号のみを受信することが望ましい。
【0054】
図6は、変形例3に係る赤外線受光部17、赤外線発光部204及びスクリーンSCを示す模式図である。図6に示すように、この例では、プロジェクター10の赤外線受光部17は偏光フィルター17aを有し、偏光フィルター17aを介して光を受光する。また、眼鏡20の赤外線発光部204は偏光フィルター204aを有し、赤外線発光部204から出射された光は偏光フィルター204aを介して出力される。赤外線発光部204から出射された光が偏光フィルター204aを通過するとき、偏光フィルター204aによって定められる第1の偏光軸を有する光のみが変更フィルタ204aを通過する。偏光フィルター204aを通過した第1の偏光軸を有する光は、スクリーンSCで反射される。本例において、スクリーンSCは、入射した光の偏光軸を略90度回転させる材料からなる。従って、スクリーンSCにより反射された光は、偏光フィルター204aを通過した光が有する1の偏光軸に対し、偏光軸が90度回転した第2の偏光軸を有する。スクリーンSCにより反射された光は、偏光フィルター17aを通過し、赤外線受光部17に受光される。ここで、偏光フィルター17aは、第2の偏光軸を有する光のみを通過させるように向きが定められている。このような構成において、眼鏡20の赤外線発光部204から発せられた光は偏光フィルター204aを通過することで第1の偏光軸を有するので、直接プロジェクター10の赤外線受光部17へ向けて発せられたとしても、赤外線受光部17の偏光フィルター17aを通過することができず、赤外線受光部17によって受光されない。
【0055】
2−4.変形例4
上記実施形態では、赤外線発光部204は、発光制御部220の間隔設定部221によって定められる間隔を置いて繰り返し状態通知信号を発信した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。赤外線発光部204は、間隔をあけず連続的に状態通知信号を発してもよい。この場合、プロジェクター10の着脱判定部18は、赤外線受光部17の出力信号に基づいて、眼鏡20の赤外線発光部204から発せられた状態通知信号が赤外線受光部17に受信されていると判断される場合は、ユーザーが眼鏡20を装着していると判定し、そうでない場合は、ユーザーは眼鏡20を外していると判定してよい。
【0056】
2−5.変形例5
上記実施形態では、プロジェクター10から映像をスクリーンSCに投射したが、本発明はこれに限らない。スクリーンSCの代わりに壁などを用いてもよく、映像が投射される物体は、光を拡散反射する面を有するものであればよい。
【0057】
2−6.変形例6
上記実施形態では、ユーザーは一人であったが、本発明はこれに限定されない。ユーザーは複数でもよく、各ユーザーがそれぞれの眼鏡20を装着してもよい。この場合、各眼鏡20の赤外線発光部204から発信される状態通知信号に、各眼鏡を識別する識別情報を含ませるとよい。着脱判定部18は、各眼鏡20毎に、ユーザーに装着されているか否かを判定する。この場合、例えば、映像信号選択部13は、着脱判定部18により眼鏡20を装着していると判定されるユーザーが少なくとも一人いる場合、3D映像信号を選択し、着脱判定部18により眼鏡20を装着していると判定されるユーザーが一人もいない場合、2D映像信号を選択してもよい。あるいは、映像を鑑賞するユーザーの数が予めわかっている場合、図示しないユーザーインタフェースを介してユーザーの数を入力してプロジェクター10の記憶装置に格納しておき、眼鏡20を装着していると着脱判定部18により判定されるユーザーの数が、眼鏡20を外していると着脱判定部18により判定されるユーザーの数以上の場合、映像信号選択部13は、3D映像信号を選択し、そうでない場合、映像信号選択部13は2D映像信号を選択するものとしてもよい。眼鏡20を外していると着脱判定部18により判定されるユーザーの数は、入力されたユーザーの数から、眼鏡20を装着していると着脱判定部18により判定されるユーザーの数を引くことで求められる。
【0058】
2−7.変形例7
上記実施形態では、プロジェクター10に入力される映像信号が示す映像は、右眼用の画像と左眼用の画像とが時分割で交互に現れる3D映像であり、眼鏡20はプロジェクター10から送信されるシャッター同期信号に応じて開閉する右眼用液晶シャッター206R及び左眼用液晶シャッター206Lを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、右眼用の画像と左眼用の画像を偏光軸(偏光方向)の異なる光で投影して、眼鏡20に右眼用及び左眼用の偏光フィルターを設け、右眼用の画像と左眼用の画像を分離してもよい。
【0059】
2−8.他の変形例
プロジェクター10は、光源とライトバルブ100R、100G、100Bとを用いた構成に限定されず、別の方式のプロジェクターであってもよい。例えば、CRT(Cathode Ray Tube)に表示された画像を投影するCRT方式のプロジェクターでもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、映像信号変換部12により、3D映像信号を2D映像信号に変換したが、本発明はこれに限定されない。例えば、映像信号を記録したDVD等の媒体に2D映像信号と3D映像信号が共に含まれている場合、媒体に記録された映像信号を再生する外部装置が、映像信号選択部18の指示に応じて、2D映像信号または3D映像信号を選択的に再生するようにしてもよい。
【0061】
更に、上記実施形態では、プロジェクター10の赤外線受光部17は、眼鏡20の赤外線発光部204から発信され、スクリーンSCによって反射された状態通知信号を受信したが、本発明はこれに限定されない。赤外線以外の光を用いてもよい。ただし、可視光よりも赤外線のような不可視光を用いるほうが、スクリーンSCに可視光が映りこまず、また、プロジェクターの信号受信部が、プロジェクターからスクリーンSCに投影されスクリーンSCにより反射された光を、眼鏡20から発信された状態通知信号と誤検知することがないため好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1…表示システム、10…プロジェクター、11…映像信号取得部、12…映像信号変換部、13…映像信号選択部、14…映像投射部、15…同期信号生成部、16…赤外線発光部、17…赤外線受光部、17a…偏光フィルター、18…着脱判定部、100R、100G、100B…ライトバルブ、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ群、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ、20…眼鏡、201…フレーム、202…電源スイッチ、203…赤外線受光部、204…赤外線発光部、204a…偏光フィルター、206R…右眼用液晶シャッター、206L…左眼用液晶シャッター、210…液晶シャッター駆動部、220…発光制御部、221…間隔設定部、230…バッテリー残量検知部、240…着脱検知部、SC…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元映像鑑賞用の眼鏡であって、当該眼鏡が動作可能であることを示す状態通知信号を発信する信号発信部を有する眼鏡と、
物体の表面に映像を投射するプロジェクターと
を有し、
前記プロジェクターは、
前記眼鏡の前記信号発信部から発信され、前記物体の表面によって反射された前記状態通知信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した前記状態通知信号に基づいて前記眼鏡がユーザーにより装着されているか判定する判定部と、
前記判定部により前記眼鏡がユーザーにより装着されていると判定された場合、3次元映像を示す映像信号を選択し、前記判定部により前記眼鏡がユーザーにより装着されていないと判定された場合、2次元映像を示す映像信号を選択する映像信号選択部と、
前記映像信号選択部により選択された映像信号に基づいて前記物体の前記表面に映像を投射する映像投射部と
を有する表示システム。
【請求項2】
前記信号発信部は前記状態通知信号を間隔を置いて繰り返し発信し、
前記眼鏡は、前記信号発信部による前記状態通知信号の発信間隔を設定する間隔設定部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記間隔設定部は、前記状態通知信号の発信間隔を前記眼鏡のバッテリーの残量が少なくなるにつれて長くなるように設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記間隔設定部は、前記状態通知信号の発信間隔を予め定められた期間第1の間隔に設定した後、前記第1の間隔より長い第2の間隔に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項5】
前記間隔設定部は、予め定められた間隔で、前記状態通知信号の発信間隔を第1の間隔と、前記第1の間隔より長い第2の間隔とで切替える
ことを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項6】
前記眼鏡は、当該眼鏡のユーザーによる着脱を検知する着脱検知部を有し、
前記信号発信部は、前記着脱検知部が、前記眼鏡が前記ユーザーに装着されたことを検知するのに応じて、前記状態通知信号の発信を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記信号発信部が発信する状態通知信号は、予め決められた第1の偏光軸を有する光により伝送され、
前記物体の前記表面により反射された前記状態通知信号は、前記第1の変更軸に対し略90度回転された第2の偏光軸を有する光により伝送され、
前記信号受信部は、前記第2の偏光軸を有する光を受信する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記3次元映像は、右眼用の画像と左眼用の画像が時分割で交互に現れる映像であり、
前記眼鏡は、前記右眼用の画像が表示されたとき開状態となり前記左眼用の画像が表示されたとき閉状態となるよう駆動される右眼用シャッターと、前記右眼用の画像が表示されたとき閉状態となり前記左眼用の画像が表示されたとき開状態となるよう駆動される左眼用シャッターとを有し、
前記プロジェクターは、
前記映像信号選択部により前記3次元映像が選択されたとき、前記右眼用シャッター及び前記左眼用シャッターの開閉タイミングを示す信号であるシャッター同期信号を前記3次元映像に基づいて生成し、前記映像信号選択部により前記2次元映像が選択されたとき、前記シャッター同期信号の生成を停止する同期信号生成部と、
前記同期信号生成部により生成された前記シャッター同期信号を、前記眼鏡へと送信する同期信号送信部と
を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項9】
前記信号受信部は、前記プロジェクターの本体とは別体であり、プロジェクターの本体と有線または無線により接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−62642(P2013−62642A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199114(P2011−199114)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】