表示シートを備える機器の組立方法および表示シートを備える機器
【課題】表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法を実現する。
【解決手段】非透明部分(1b)を有する表示シート(1)を筐体(2)へ貼り付ける工程は、表示シート(1)を紫外線硬化型接着剤を介して筐体(2)に貼り合わせる第1の工程と、第1の工程の後に筐体(2)に貼り合わされた表示シート(1)に紫外線照射装置を用いて表示シート(1)の外面側から紫外線(UV)を照射し、紫外線(UV)を表示シート(1)の非透明部分(1b)の少なくとも一部を透過させることによって紫外線硬化型接着剤(3)を硬化させる第2の工程とを含んでいる。
【解決手段】非透明部分(1b)を有する表示シート(1)を筐体(2)へ貼り付ける工程は、表示シート(1)を紫外線硬化型接着剤を介して筐体(2)に貼り合わせる第1の工程と、第1の工程の後に筐体(2)に貼り合わされた表示シート(1)に紫外線照射装置を用いて表示シート(1)の外面側から紫外線(UV)を照射し、紫外線(UV)を表示シート(1)の非透明部分(1b)の少なくとも一部を透過させることによって紫外線硬化型接着剤(3)を硬化させる第2の工程とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銘板などの表示シートを機器の筐体へ貼り付けて機器を組み立てる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を始めとする機器の筐体(=キャビネット:ケース、パッケージ、ハウジング、箱、エンクロージャなどを含む「外殻」を指す)には、商品名、商標、文字、品番、デザインなどを表示する目的で、銘板などの表示シートが貼り付けられることが多い。また、当該表示シートには、機器の内部構造を視覚的に隠蔽して当該機器の外観を整えるための意匠性を演出する目的が加えられることも多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、慣用技術として、カード状の受信機の片面全面に化粧的にデザインされたラベルが貼り付けられることが記載されている。図19に示すように、当該ラベル100は、ポリカーボネートやポリエステルなどの可撓性のある透明なシート状の基材101(厚さ0.1〜0.2mm)に、化粧のデザインを印刷した印刷部102と、両面接着テープなどの接着部103とが設けられたものである。片面が開口したケース104に金属パネル105と絶縁パネル106とが組合されて格納されており、これらの部品の表面に上記ラベル100が接着部103によって貼り付けられている。
【0004】
銘板および表示デバイスなどの表示部材や、その他の部材を、両面テープによって本体、筐体などの貼付け土台へ貼り付けることは、特許文献2−10にも開示されている。
【0005】
また、上記表示部材を貼付け土台へ貼り付ける方法として、熱硬化型接着剤を用いる方法もある。特許文献11には、光学用部材を熱硬化型の粘着層を用いて基板に固定することが記載されている。特許文献12には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合した樹脂を用いて、貫通孔を塞ぐ蓋部材を固着することが記載されている。
【0006】
透明部材を貼付け土台へ貼り付ける方法としては、特許文献11、13−18に、紫外線硬化型接着剤や光硬化型接着剤を用いる方法が開示されている。特許文献17には、図20に示すように、裏面に抜き文字形状の表示部202を有する樹脂キートップ201がゴム状弾性体からなるキーシート203の表面に、固着部204によって固着されて構成された照光式樹脂キートップ付きキーシート200が記載されている。表示部201は光が透過する透光部分202aと光が遮蔽される遮光部分202bとからなり、固着部204は透光性を有するものであって、例えば紫外線硬化型のアクリル樹脂系接着剤に紫外線を照射することによって形成される。
【0007】
その他に、特許文献19には防水弾性シートあるいは弾性接着剤を用いた組立てが、特許文献20にはレーザ溶着による組立てが、特許文献21には耐水性の高い粘着シートによる貼付けが、それぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特許公開公報「特開平6−161356号公報:1994年6月7日公開」
【特許文献2】日本国特許公開公報「特開2010−20574号公報:2010年1月28日公開」
【特許文献3】日本国特許公開公報「特開2010−26255号公報:2010年2月4日公開」
【特許文献4】日本国特許公開公報「特開2009−108314号公報:2009年5月21日公開」
【特許文献5】日本国特許公開公報「特開2009−177793号公報:2009年8月6日公開」
【特許文献6】日本国特許公開公報「特開2008−233590号公報:2008年10月2日公開」
【特許文献7】日本国特許公開公報「特開2005−167788号公報:2005年6月23日公開」
【特許文献8】日本国特許公開公報「特開2002−100887号公報:2002年4月5日公開」
【特許文献9】日本国特許公開公報「特開2009−108314号公報:2009年5月21日公開」
【特許文献10】日本国特許公開公報「特開2007−273304号公報:2007年10月18日公開」
【特許文献11】日本国特許公開公報「特開2008−185870号公報:2008年8月14日公開」
【特許文献12】日本国特許公開公報「特開2010−62285号公報:2010年3月18日公開」
【特許文献13】日本国特許公開公報「特開2009−8703号公報:2009年1月15日公開」
【特許文献14】日本国特許公開公報「特開2003−149655号公報:2003年5月21日公開」
【特許文献15】日本国特許公開公報「特開2010−96968号公報:2010年4月30日公開」
【特許文献16】日本国特許公開公報「特開2007−233160号公報:2007年9月13日公開」
【特許文献17】日本国特許公開公報「特開2003−242854号公報:2003年8月29日公開」
【特許文献18】日本国特許公開公報「特開2001−337607号公報:2001年12月7日公開」
【特許文献19】日本国特許公開公報「特開2004−208046号公報:2004年7月22日公開」
【特許文献20】日本国特許公開公報「特開2008−212435号公報:2008年9月18日公開」
【特許文献21】日本国特許公開公報「特開2003−327933号公報:2003年11月19日公開」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、表示シートを機器の筐体に貼り付ける、従来の機器の組立て方法においては、次のような問題が発生する。
【0010】
表示シートを両面テープによって筐体に貼り付ける方法では、まず、手作業が主体で自動化が困難であることから作業性が低く、従って生産性(スループット)が低いという第1の問題がある。例えば両面テープを、手作業によって貼付け領域の大きさおよび形状に加工した上で、当該貼付け領域に貼り合わせるという作業を行わなくてはならない。また、貼り付けられた表示シートを加圧機によって加圧して密着性を高める作業が必要であり、加圧機におけるワーク位置の整合工程なども生産性を低下させる要因となる。
【0011】
第2の問題は、上記のように手作業による貼付けを行うことにより、両面テープの加工精度や貼付け位置にばらつきが生じて、表示シートの貼付け品質にばらつきが生じることである。
【0012】
第3の問題は、材料費や加工費が嵩んでコストが高くなることである。
【0013】
第4の問題は、平坦面以外の形状の貼付け土台に対する適用が困難であるということである。例えば鋭角を有する形状の鋭角頂点付近への貼付けは困難である。
【0014】
第5の問題は、両面テープによって表示シートが貼付けられた箇所の防水性を確保することが困難であるということである。
【0015】
第6の問題は、両面テープの粘着成分が吸湿、溶出、アウトガス化することによる不具合が発生するという懸念があることである。
【0016】
第7の問題は、両面テープの厚みが一般に大きいため、表示シートの隆起や、表示シートの上面側と筐体内部側との距離が大きくなることによる不都合が生じることである。表示シートの隆起は、周囲筐体との表面高さが揃わずに機器の美観を損ねる原因となる、あるいは、周囲筐体との表面高さを揃えるために表示シートの貼付け領域を筐体内部側に向かって大きく窪ませる構造が必要になるという不都合を招く。表示シートの上面側と筐体内部側との距離が大きくなることは、例えば、表示シートが筐体内部の電気接点と作動連結されるスイッチドームを有している場合に、ユーザがスイッチドームをクリックした際のクリック感に違和感を覚える、電気接点間の接触度が低下する、などの不都合を招く。
【0017】
次に、表示シートを熱硬化型接着剤などの加熱工程を要する接着剤によって筐体に貼り付ける方法では、接着剤の熱硬化に時間を要し、生産性が低下するという第1の問題がある。また、加熱される各部材に熱負荷が加わるため、各部材に耐熱性が要求されるという第2の問題が生じる。特に、表示シートはPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMMA)などの低耐熱性(熱可塑性)フィルムを備えたものが多いため、高価な高耐熱性のシートを用いなければならなくなることは生産上、非常に不利である。さらに、第3の問題として、接着剤を塗布してから一定時間以内に貼付け処理を完了させないと、放置した塗布接着剤が次第に乾燥・硬化して粘着工程に資することが不可能になるという、可使時間(いわゆるポットライフ)の制約がある。
【0018】
また、特許文献11、13−18に示される紫外線硬化型接着剤や光硬化型接着剤の使用は、紫外線や光を透明部材を通して接着剤に照射することで行われている。また、ストップウォッチやタイマーのような一般機器では、表示窓部のような機器内部からユーザへ向って表示を行う部位を除いては、非透明部材で被覆されて内部が視認できないようになっており、銘板などの表示シートも通常は全体として非透明部分が大半を占めるものである。表示シートの非透明部分は、一般に、透明シートに塗布・印刷されたインク層で構成される。従って、表示シートを紫外線硬化型接着剤を用いて筐体に貼り付けるのに、表示シート本来の機能に反する紫外線透過用の領域を別途設ける発想しかなかった。
【0019】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法、および表示シートを備える機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シート を機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、第2の工程において、筐体に貼り合わされた表示シートに紫外線照射装置を用いて表示シートの外面側から紫外線を照射し、紫外線を表示シートの非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって、紫外線硬化型接着剤を硬化させる。
【0022】
紫外線硬化型接着剤を非透明部分を透過させて硬化させることにより表示シートを筐体に貼り付けるので、手作業に依存する処理が少なく、非常に短時間で容易に貼付け工程を行うことができる。また、工程が容易であるため、貼付け品質が高く、安定する。これにより、表示シートのエンボス加工部などの意匠性を高める部分の損傷を防ぐことができる。また、材料費や加工費も低く抑えられる。また、紫外線硬化型接着剤を用いているので、表示シートが貼り付けられた箇所の防水性を確保することが容易である。紫外線硬化型接着剤が硬化物に変化するので、吸湿、溶出、アウトガスなどによる不具合が発生する懸念が少ない。
【0023】
さらには、紫外線硬化型接着剤の厚みを両面テープとは異なって非常に薄く設定することができ、これにより意匠性を高めることもできる。また、紫外線硬化型接着剤は塗布前に液状であるので、塗布領域の形状に自由度があることから、表示シート形状によらず、貼付けを安定して行うことができる。また、表示シートに耐熱性が無くても、すなわち熱可塑性であっても、加熱履歴としては紫外線照射時の光源から受ける熱負荷程度である。従って、表示シートが受ける熱負荷は熱硬化型接着剤が受ける熱負荷よりもはるかに小さく、表示シートの基材層に汎用のフィルムを用いることが可能である。
【0024】
以上により、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法を実現することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記表示シートは、熱可塑性フィルムを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の発明によれば、表示シートが熱可塑性フィルムを備えていても、紫外線硬化型接着剤を用いることにより、受ける熱負荷が小さいので変形しにくいという効果を奏する。
【0027】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記非透明部分の上記少なくとも一部の紫外線透過率は、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にあることを特徴としている。
【0028】
上記の発明によれば、表示シートの非透明部分の紫外線が透過する少なくとも一部として、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にある紫外線透過率を有するインク層を用いることができるので、紫外線硬化型接着剤を用いるための表示シートを容易に調達することができるという効果を奏する。
【0029】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記紫外線照射装置はコンベア搬送方式の装置であり、上記第2の工程において上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線を照射するときに、上記紫外線照射装置のコンベアによって上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を搬送し、上記紫外線照射装置の紫外線光源から上記コンベアで搬送される被照射体へ照射される紫外線束を板面によって分割して上記被照射体に照射させる金属板を配置した状態で、搬送される上記筐体に貼り合わされた上記被照射体としての上記表示シートに対して上記紫外線光源によって紫外線を照射することを特徴としている。
【0030】
上記の発明によれば、金属板によって紫外線束から分割された2つの照射束の大部分は、表示シートに照射される前に金属板によって反射され、その散乱光がそれぞれの照射束の領域に別々に照射される。このときの紫外線照射分布においては、紫外線の被照射体へ与えられる総エネルギーは、金属板が配置されない場合の被照射体へ与えられる総エネルギーとほとんど変わらない。この結果、紫外線が紫外線光源の焦点の位置に集中して照射されることが回避可能になり、表示シートの表面全域に亘って紫外線が時間的に平均化して照射される効果、すなわち、エネルギーが時間的に平均化して与えられる効果が得られる。このように、金属板は、被照射体である表示シートを含む筐体に対する遮熱板として機能する。
【0031】
以上のように、紫外線照射装置に金属板を配置することにより、エネルギーが時間的に平均化されて表示シートに照射されるので、表示シートの過熱を防ぐことができるとともに、紫外線硬化型接着剤の硬化が良好に進行し、良質の接着部を形成することができるという効果を奏する。
【0032】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記第2の工程において、上記金属板を、上記金属板が配置されない場合の上記紫外線束の上記被照射体への焦点が上記板面を含む平面上に位置するように配置することを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、金属板によって紫外線束から分割された2つの照射束の大部分は、紫外線光源の焦点の位置に集束する前に金属板によって反射される。従って、光源直下、すなわち金属板の直下の位置における紫外線照度が、金属板が配置されない場合の紫外線照度よりも減少し、光源直下に対して2つの照射束の各領域にそれぞれ極大値を有するような、エネルギーを良好に平均化する分布となるという効果を奏する。
【0034】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記第2の工程において、
上記金属板を、上記板面が上記被照射体に照射される上記紫外線束を上記コンベアの搬送方向上流側の照射束と搬送方向下流側の照射束とに分割するように配置し、
上記板面の搬送方向下流側から冷却ブローを行うことを特徴としている。
【0035】
上記の発明によれば、金属板の板面に対して搬送方向下流側から冷却ブローを行うことにより、供給された冷却媒体が金属板の板面に沿って下降し、光源直下から搬送方向下流側へと移動してきた表示シートを効率的に冷却する。これにより、紫外線照射によって加熱される表示シートを、さらに温度上昇しにくくすることができるという効果を奏する。
【0036】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記筐体は外部に開口する開口部を有する内部中空空間を備え、
上記第1の工程において、上記筐体に対して上記開口部を閉塞するように上記表示シートを貼り合わせ、
上記第1の工程の後に上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を冷却処理する中間工程を行い、
上記中間工程の後に上記第2の工程を行うことを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、第1の工程の後に、冷却処理を行う中間工程を経てから第2の工程を行うと、中間工程により冷却された内部中空空間内の空気が第2の工程の熱負荷を受けても大きく膨張することがない。従って、表示シートが湾曲などの変形を起こさず、表示シートの接着部からの剥離も生じないという効果を奏する。
【0038】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記表示シートは上記筐体の内部の電気接点と連結されるスイッチドームを備えていることを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、紫外線硬化型接着剤を用いるので、貼付け工程後のスイッチドームの高さが良好で変形も生じない。従って、表示シートの意匠性を確保することができるとともに、スイッチドームのクリック感が良好になるという効果を奏する。
【0040】
本発明の表示シートを備える機器は、上記課題を解決するために、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられたことを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けられた表示シートを備える、意匠性および高品質の機器を実現することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、以上のように、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シート を機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいる。
【0043】
以上により、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法を実現することができるという効果を奏する。
【0044】
本発明の表示シートを備える機器は、以上のように、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられている。
【0045】
以上により、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けられた表示シートを備える、意匠性および高品質の機器を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、表示シートの非透明部分を透過した紫外線によって紫外線硬化型接着剤が硬化する状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートの平面図を、(b)は(a)のA−A線断面図をそれぞれ示す。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体の平面図を、(b)は(a)のB−B線断面図をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に紫外線硬化型接着剤が塗布された状態を示す平面図を、(b)は(a)のC−C線断面図をそれぞれ示す。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートを筐体に貼り合わせる工程を説明する斜視図を、(b)は表示シートが筐体に貼り合わされてできる加工体の平面図を、(c)は(b)のD−D線断面図をそれぞれ示す。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置の構成を示す斜視図を、(b)は紫外線照射装置の側面図を、(c)は紫外線照射装置の上面図をそれぞれ示す。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する側面図を、(b)は紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する上面図をそれぞれ示す。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置によって表示シートに照射される紫外線束を示す側面図を、(b)は表示シートの搬送位置に応じた紫外線照度分布を示すグラフをそれぞれ示す。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、金属板が配置された紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する側面図を示す。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は金属板が配置された紫外線照射装置によって表示シートに照射される紫外線束が分割される状態を説明する側面図を、(b)は表示シートの搬送位置に応じた紫外線照度分布を示すグラフをそれぞれ示す。
【図11】本発明の実施形態を示すものであり、表示シートの搬送開始後の時間に応じた温度変化を示すグラフを示す。
【図12】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートによって密閉された内部中空空間を筐体に有する加工体を加温する工程を説明する側面図を、(b)は加温された加工体の内部空気が膨張して表示シートを押し上げる現象を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図13】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に紫外線硬化型接着剤が塗布された状態を示す平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を冷却処理する工程を説明する図を、(d)は(c)で冷却処理された加工体の表示シートに紫外線照射装置によって紫外線を照射する工程を説明する側面図および平面図をそれぞれ示す。
【図14】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルの表示シートの剥離強度試験方法を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルの気密性(防水性)評価試験方法を説明する図である。
【図16】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルのスイッチドームの意匠性およびクリック感の評価方法を説明する図である。
【図17】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に両面テープを貼り合わせる工程を説明する平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を加圧処理することを説明する図をそれぞれ示す。
【図18】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に熱硬化型接着剤を塗布する工程を説明する平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を加熱処理することを説明する図をそれぞれ示す。
【図19】従来技術を示すものであり、表示シートが両面テープによって筐体に貼り付けられている状態を示す断面図である。
【図20】従来技術を示すものであり、透明部材が紫外線硬化型接着剤を用いて筐体に貼り付けられている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の実施形態を、図1ないし図18を用いて以下に説明する。
【0048】
図2に、本実施形態において筐体への貼付け工程に用いられる表示シート1の構成を示す。上記貼付け工程は、上記筐体を有する機器の組立工程の一部をなす。図2(a)は表示シート1の平面図を示し、図2(b)は表示シート1を中心線であるA−A線に沿って切断した断面図を示す。
【0049】
表示シート1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる基材層1aとインク層1bとを備えている。また、基材層1aには、ボタン状に隆起したスイッチドーム1a−1が形成されている。スイッチドーム1a−1は押下されると内側に窪むように変形し、筐体2内に設けられた電気接点どうしを接触させる。
【0050】
インク層1bは基材層1aに塗布や印刷などによって形成された、表示シート1の非透明部分を構成する層である。ここで、非透明とは、紫外線域および可視光域を含む200nm−800nmの波長範囲の光に対して、一般に透明性が失われるとみなせる70%未満の透過率を示すことを指すものとする。また、当該インク層1bは、紫外線の波長範囲の少なくとも一部においてゼロよりも大きな透過率を有する。なお、ここでは一例として、当該インク層1bは、典型的な材料で、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において、紫外線硬化型接着剤の硬化性と意匠性(隠蔽性)を両立する3%から50%までの範囲にある紫外線透過率を有している。このような典型的な材料のインク層1bを用いれば、本実施形態に適合する、紫外線硬化型接着剤を用いるための表示シートを容易に調達することができる。上記基材層1aとして、PETフィルムの他に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMMA)などを用いることもできる。これらのフィルムは熱可塑性(低耐熱性)を示すが、熱可塑性(低耐熱性)を示さないフィルムを基材層1に用いてもよい。
【0051】
本実施形態では、基材層1aに厚さ300μmのPETフィルムを用い、インク層1bに白インクを用いた。ここでは白インクとして東洋インキ製造株式会社製のSS8-611を用いたが、インク層1bの色および材質は任意でよい。また、貼付け工程の前のスイッチドームの高さ(隆起高さ)を500μm−1000μmの範囲で様々に設定した。
【0052】
なお、図2(a)・(b)に仮想線で示したように、表示シート1には、筐体に貼り付けられた状態で筐体の液晶表示部などの表示部を外部に向って露出させる表示部用窓1a−2が形成されていてもよい。
【0053】
図3に、表示シート1が貼り付けられる筐体2の構成を示す。図3(a)は筐体2の平面図を示し、図3(b)は筐体2を中心線であるB−B線に沿って切断した断面図を示す。
【0054】
筐体2は例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂成形品からなり、上面側から深さ方向に窪んだ凹部2aと内部中空空間2bとを備えている。凹部2aの底面2a−1は表示シート1が貼り付けられる貼り付け部となっている。また、底面2a−1内に開口部2b−1が形成されており、この開口部2b−1を介して内部中空空間2bが外部に開口している。図3(a)では、凹部2aおよび開口部2b−1は矩形形状をなしているが、これらの形状は任意でよい。なお、筐体2に、内部中空空間2bおよび開口部2b−1は必ずしも備えられていなくてもよい。
【0055】
図4に、筐体2に接着剤3を塗布する工程を示す。図4(a)は、接着剤3が筐体2に塗布された状態を示す平面図を示し、図4(b)は、図4(a)の中心線であるC−C線に沿って切断した断面図を示す。
【0056】
ここで使用する接着剤は紫外線硬化型接着剤である。紫外線硬化型接着剤として、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、および、ビニルエーテル系樹脂のうちから選ばれる1つ以上の樹脂と光重合開始剤とを少なくとも含有する接着剤が使用可能である。例えば、変性アクリレートなどのベース樹脂に、アクリレートモノマーなどの反応性希釈剤、アルキルフェノン系やアシルフォスフィンオキサイド系などの光重合開始剤、および、その他の添加剤が混合されている。本実施形態では、紫外線硬化型接着剤として協立化学社製のX-8181を用いた。上記のような構成成分を有する紫外線硬化型接着剤は、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化性を有する。
【0057】
接着剤3は、塗布前には液状であり、筐体2に備えられる凹部2aの底面2a−1内の一部領域または全領域に塗布される。ここでは、一例として、接着剤3を50mg塗布し、接着剤3が塗布された領域は、底面2a−1の内部に、開口部2b−1を取り囲むように矩形環状に形成されている。
【0058】
図5に、接着剤3が塗布された筐体2に表示シート1を貼り合わせる工程(第1の工程)を示す。図5(a)は、筐体2の凹部2a内に表示シート1を載置するときの状態を示す斜視図を示す。図5(b)は、表示シート1が接着剤3を介して筐体2に貼り合わされた状態を示す平面図を示す。図5(c)は、図5(b)の筐体2を中心線であるD−D線に沿って切断した断面図を示す。
【0059】
図5(a)に示すように、表示シート1は、スイッチドーム1a−1が隆起している側とは反対側の面を接着剤3の塗布面に向けて、筐体2の凹部2a内に載置される。この作業は手作業で行うことができるが、フィルム貼付け装置を用いてもよく、当該フィルム貼付け装置による自動化も可能である。表示シート1を凹部2a内へ載置した後には、表示シート1を表側から適度に加圧する。これにより、図5(b)・(c)に示すように、表示シート1が筐体2に貼り合わされた加工体4が構成される。筐体2における凹部2aの深さは適宜設定されるが、図5(c)に示すように、表示シート1の全体の厚みが凹部2aの深さとほぼ等しいと、加工体4あるいは後の完成品(例えばストップウォッチ)の意匠性を高めることができるとともに、貼付け作業が比較的容易になる。前述の図4のように開口部2b−1を取り囲むように接着剤3が塗布されている場合には、図5(b)・(c)に示すように、表示シート1は、筐体2に貼り合わされた状態で筐体2の開口部2b−1を閉塞する。
【0060】
表示シート1の筐体2への貼付け工程において、上述した図4の工程と図5の工程とを含む、表示シート1を接着剤3を介して筐体2に貼り合わせる工程を、第1の工程とする。
【0061】
次に、上記貼付け工程において、第1の工程の後に、筐体2に貼り合わされた表示シート1に紫外線を照射して接着剤3を硬化させる第2の工程について、実施例を挙げながら説明する。
【実施例1】
【0062】
図6に、第2の工程において表示シート1に紫外線を照射するのに用いる紫外線照射装置10の構成を示す。図6(a)は紫外線照射装置10の斜視図、図6(b)は紫外線照射装置10の側面図、図6(c)は紫外線照射装置10の上面図を示す。
【0063】
紫外線照射装置10は例えばコンベア搬送方式の装置であり、光源11、コンベア12、および、冷却ブロー装置13を備えている。光源11は、光源11aとコールドミラー11bとがランプハウス11c内に収められた構成を有している。光源11aは高圧水銀灯からなり、例えば波長300nm−400nmの紫外線を含む光を放射する。コールドミラー11bは光源11aから放射された紫外線のうち、被照射体へ直接照射されない紫外線を反射して焦点へ導く。光源11aから被照射体へ直接照射される紫外線と、コールドミラー11bによって反射された紫外線とが合わさって、被照射体へ向う紫外線束が構成される。コンベア12は被照射体を搬送し、光源11の直下を通過する。冷却ブロー装置13は、光源11の直下を通過した被照射体に、斜め上方の空間からエアブローなどの冷却ブローを行うことにより冷却を行う。冷却ブローには、エアブローの他に、被照射体の照射面が不用意に活性化しないように不活性ガスによるブローを用いてもよい。光源ランプ11aから被照射体までの照射距離は、例えば数cm−数十cmの範囲で可変である。また、光源ランプ11aの出力は、例えばkWオーダーで可変である。また、紫外線の照射時間は任意に設定可能であり、コンベア12の搬送速度と光源ランプ11aの出力との相関関係により適宜決定される。紫外線の照射時間(接着剤3の硬化時間)は例えば10秒−30秒程度の範囲の照射時間に設定される。照射時間中に光源ランプ11aの出力変動が生じにくいように、光源ランプ11aは空冷または水冷などによる強制冷却機構を備えていることが好ましい。なお、冷却ブロー装置13は備えられていなくてもよい。
【0064】
本実施例では、紫外線照射装置10として(株)たけでん社製のクランデージECS-401GXを用いた。また、紫外線照度が250mW/cm2、紫外線照射量が3000mJ/cm2となるように、光源ランプ11aの出力および照射距離を設定した。紫外線の照射時間(硬化時間)は15秒とした。
【0065】
図7に、紫外線照射装置10によって表示シート1に紫外線を照射する工程を示す。図7(a)に加工体4がコンベア12により搬送される状態の側面図を示し、図7(a)に図7(a)の上面図を示す。図示の便宜上、光源11については破線で示した。
【0066】
図7においては、紫外線の被照射体は、加工体4の特に表示シート1である。従って、図7(a)に示すように、紫外線の照射距離Lは、光源ランプ11aから直下を通過する表示シート1の表面までの距離を表し、紫外線束の焦点Fは、光源ランプ11aから直下を通過する表示シート1の表面に下ろした各垂線の足が結ばれてできる、コンベア12の搬送方向に直交する水平方向の線分をなす。焦点Fの高さ位置は、例えばランプハウス11cの鉛直方向位置を調節して、光源ランプ11aおよびコールドミラー11bを鉛直方向に移動させることによって調節される。
【0067】
図8に、加工体4が光源ランプ11aの直下を通過するときの状態を説明する図を示す。図8(a)は、光源ランプ11aの直下を通過する表示シート1に表示シート1の外面側から紫外線束UVが照射される状態を示している。紫外線束UVは、光源ランプ11aからの直接照射分の紫外線と、コールドミラー11bからの反射分の紫外線とが足し合わされた光束である。焦点Fが光源ランプ11aの直下に位置する表示シート1の表面上に設定されているので、表示シート1の表面に高効率で紫外線を照射することができる。図8(b)に、コンベア12による加工体4の搬送位置と、表示シート1の表面各部における紫外線照度との関係を示す。加工体4、従って表示シート1が光源直下(光源ランプ11aの直下)を通過する位置において上記紫外線照度は最大値を示す。当該紫外線照度は、光源直下から離れるにつれて指数関数的に減衰するガウス型分布を有する。
【0068】
このようにして表示シート1に照射された紫外線束UVは、図1に示すように、表示シート1を透過して接着剤3に到達する。図1では、接着剤3が硬化する様子を示すために、加工体4を中心線に沿ってではなく、接着剤3の塗布領域に沿って切断した断面を示してある。照射光として表示シート1に入射した紫外線束UVは、表示シート1においては透過光として、透明部分である基材層1aと非透明部分であるインク層1bとを順次透過する。紫外線が供給された接着剤は、ラジカル重合反応などの重合反応を主として起こし、硬化する。従って、表示シート1に接着剤3にまで至る紫外線透過用の透明部分を設けなくとも、接着剤3を十分に硬化させることができる。
【0069】
このように、本実施例では、第2の工程において、筐体2に貼り合わされた表示シート1に紫外線照射装置10を用いて表示シート1の外面側から紫外線を照射し、紫外線を表示シート1の非透明部分を透過させることによって、紫外線硬化型接着剤である接着剤3を硬化させる。なお、図1では、インク層1bすなわち非透明部分の全領域に対して紫外線を透過させる例が示されているが、これに限らず、非透明部分の一部に紫外線を透過させる方法も可能である。非透明部分に、紫外線透過率が3%を下回るような紫外線をほとんどあるいは全く透過させない材質によって形成された領域がある場合などは、このように紫外線が透過する非透明部分の一部にのみ紫外線を透過させる方法が有効である。
【0070】
以上のように、本実施例では紫外線硬化型接着剤を非透明部分を透過させて硬化させることにより表示シート1を筐体2に貼り付けるので、手作業に依存する処理が少なく、非常に短時間で容易に貼付け工程を行うことができる。また、工程が容易であるため、貼付け品質が高く、安定する。これにより、エンボス加工部などの意匠性を高める部分の損傷を防ぐことができる。また、材料費や加工費も低く抑えられる。また、接着剤3に紫外線硬化型接着剤を用いているので、表示シート1が貼り付けられた箇所の防水性を確保することが容易である。紫外線硬化型接着剤が硬化物に変化するので、吸湿、溶出、アウトガスなどによる不具合が発生する懸念が少ない。
【0071】
さらには、接着剤3の厚みを両面テープとは異なって非常に薄く設定することができ、これにより意匠性を高めることもできる。また、接着剤3は塗布前に液状であるので、塗布領域の形状に自由度があることから、表示シート1の形状によらず、貼付けを安定して行うことができる。また、表示シート1に、とりわけ基材層1aに耐熱性が無くても、すなわち熱可塑性であっても、加熱履歴としては紫外線照射時の光源11から受ける熱負荷程度である。従って、表示シート1が受ける熱負荷は熱硬化型接着剤が受ける熱負荷よりもはるかに小さく、基材層1aに汎用のフィルムを用いることが可能である。表示シート1が熱可塑性フィルムを備えていても、紫外線硬化型接着剤を用いることにより、受ける熱負荷が小さいので変形しにくい。
【0072】
以上により、前述したような両面テープや熱硬化型接着剤を用いる貼付けにおける問題を解決することができる。
【実施例2】
【0073】
本実施例では、前述の図4および図5と同様にして作成した加工体4に対して、図9に示すように、図6の構成に1枚の金属板14を追加配置した構成の紫外線照射装置10を用いて紫外線照射を行うことによって第2の工程を行う。金属板14は平板状をなし、例えばステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、タングステン(W)などの金属から選ばれる材料からなる。金属板14として特に金属光沢のあるものが望ましく、金属表面処理が施されたものでもよい。
【0074】
金属板14は、図8に示された被照射体へ照射される紫外線束UVを、図9のように照射束UV1と照射束UV2との2つの照射束に分割する。紫外線束UV1と紫外線束UV2とはそれぞれ被照射体へ照射される。ここでは、金属板14は、光源ランプ11aの直下に、板面が鉛直方向およびコンベア12の搬送方向に対して直交するように配置されている。従って、この場合に、金属板14は、金属板14の板面を含む平面上に、金属板14が配置されない場合の紫外線束UVの焦点Fが位置するように、配置されている。図9では金属板14の厚みが誇張されて示されているが、当該厚みは、例えば0.1mm−1mm程度といったように、図7に示す照射距離Lに比して非常に小さいので、金属板14の板面は、ほぼ1つの平面上にあるとみなせる。上記のような金属板14の配置により、照射束UV1は、金属板14の板面に対して搬送方向上流側の照射束となり、照射束UV2は、金属板14の板面に対して搬送方向下流側の照射束となる。
【0075】
この場合に、図9(a)に示すように、照射束UV1と照射束UV2との大部分は、焦点Fの位置に集束する前に金属板14によって反射され、その散乱光が搬送方向上流側の領域と搬送方向下流側の領域とに別々に照射されることとなる。図10(b)に、このときの表示シート1の表面各部における紫外線照度分布を示す。光源直下、すなわち金属板14の直下の位置における紫外線照度は、図8(b)のものよりも減少し、光源直下に対して搬送方向上流側の領域と搬送方向下流側の領域とにそれぞれ極大値を有する分布へと変わる。この分布においては、被照射体へ与えられる総エネルギーは、図8(b)の分布によって被照射体へ与えられる総エネルギーとほとんど変わらない。この結果、焦点Fの位置に紫外線が集中して照射されることが回避可能となり、表示シート1の表面全域に亘って紫外線が時間的に平均化して照射される効果、すなわち、エネルギーが時間的に平均化して与えられる効果が得られる。このように、金属板14は、被照射体である表示シート1を含む筐体2に対する遮熱板として機能する。エネルギーが時間的に平均化されて表示シート1に照射されることによって、表示シート1の過熱を防ぐことができるとともに、接着剤3の硬化が良好に進行し、良質の接着部を形成することができる。
【0076】
なお、金属板14は、少なくとも被照射体へ照射される紫外線束UVを分割することができればよいので、必ずしも被照射体へ届かないような範囲を通過する紫外線束までをも分割する必要はない。被照射体へ届かないような範囲としては、加工体4に対して搬送方向に直交する方向にはみ出してコンベア12に到達するような紫外線束の通過範囲が挙げられる。但し、上記例のように筐体2まで遮熱することができれば、筐体2に極めて低耐熱の材料を用いることが可能になる。
【0077】
また、図10に示すように、金属板14は、被照射体へ照射される紫外線束UVを分割するような配置として、上述のように光源直下において板面が鉛直方向およびコンベア12の搬送方向に対して直交するような第1の配置の他に、次のような配置も可能である。例えば、金属板14を、第1の配置から、焦点Fの線分を軸として角度θだけ傾斜させたような第2の配置が可能である。また例えば、金属板14を、第1の配置から、搬送方向に距離Δxだけ平行移動させたような第3の配置が可能である。第1の配置、第2の配置、および第3の配置において、金属板14を鉛直軸を中心として任意角度だけ回転させたような第4の配置も可能である。これら、第2の配置、第3の配置、および第4の配置によっても、被照射体へ照射される紫外線束UVが金属板14によって分割されるので、全紫外線が焦点Fの位置に集束して被照射体が過熱されることを防止することができる。
【0078】
また、本実施例では、図10(a)に示すように、冷却ブロー装置13によって、金属板14の板面に対して搬送方向下流側からエアブローを行う。これにより、供給された冷却媒体のエアは金属板14の板面に沿って下降し、光源直下から搬送方向下流側へと移動してきた加工体4を効率的に冷却する。これにより、紫外線照射によって加熱される加工体4、とりわけ表示シート1を、さらに温度上昇しにくくすることができる。この効果は、金属板14の前述した他の配置によっても大なり小なり得ることができる。なお、金属板14のみでも過熱防止効果があるので、冷却ブロー装置13による冷却ブローは必ずしも行われなくてよい。
【0079】
図11に、図10の紫外線照射方法による表示シート1の温度変化を、その他の方法による温度変化と比較して示す。横軸は加工体4がコンベア12によって搬送開始されてからの時間を示し、縦軸は表示シート1の温度を示す。金属板14として厚さ500μmのステンレス板を用いた。また、紫外線の照射時間(硬化時間)は15秒とした。
【0080】
曲線21は、図7の紫外線照射方法において冷却ブローを行わなかったもの、曲線22は、図7のエアブローを伴う紫外線照射方法によるもの、曲線23は、図9の金属板(遮熱板)14を配置するとともにエアブローを伴う紫外線照射方法によるものの、それぞれについての表示シート1の温度変化を示す。
【0081】
コンベア12によって搬送される加工体4は約11秒後に光源直下を通過し、光源11から受けたエネルギーにより、その後にやや遅れて温度上昇が起こる。曲線21は160℃を超える温度上昇を伴い、曲線22は110℃付近までの温度上昇を伴う。これに対して、本実施例に従う曲線23は、60℃程度までしか温度上昇を伴わない。
【0082】
このように、本実施例では、金属板14による遮熱効果と、さらには金属板14の板面を利用した冷却ブローを併用することによる冷却効果とによって、加工体4とりわけ表示シート1の温度上昇を非常に低く抑えることができる。
【実施例3】
【0083】
本実施例では、前述の図4および図5と同様にして作成した加工体4に対して、図13(c)に示す中間工程を行ってから、図6の紫外線照射装置10を用いて紫外線照射を行うことによって第2の工程を行う。
【0084】
図4および図5において、内部中空空間2bを有する筐体2に対して、開口部2b−1を閉塞するように表示シート1を貼り合わせる例について説明した。この場合には、第1の工程によって、内部中空空間2bが表示シート1によって密閉されるため、第1の工程の後に内部中空空間2b内に閉じ込められた空気が熱膨張するようなことがあると、膨張した空気が貼り合わされた表示シート1を圧迫する。
【0085】
この現象を、図12を用いて具体的に説明する。図12(a)に示すように、図4および図5と同様にして作成された加工体4を、実験的に熱負荷を与える目的でオーブン31内に置き加温する。この熱負荷が大きいと、時間経過とともに内部中空空間2b内の空気が熱膨張し、図12(b)に示すように、膨張した空気が表示シート1を内面側から押し上げようとする。これによって、表示シート1は熱膨張を起こすとともに、空気による押し上げ圧力によって湾曲しながら持ち上げられる。表示シート1がこのように湾曲すると、表示シート1と接着剤3との接着力が弱まり、ついには剥離に至ることもある。
【0086】
そこで本実施例では、図12(a)・(b)に示す第1の工程と、図12(c)に示す中間工程と、図12(d)に示す第2の工程とを順次行う。
【0087】
図12(a)の工程は、図4に示す工程と同じく、筐体2に接着剤3を塗布する工程である。接着剤3が塗布された筐体2の平面図と、当該筐体2の中心線であるE−E線に沿った断面図とが示されている。
【0088】
図12(b)の工程は、図12(a)の工程の後に行われ、図5に示す工程と同じく、筐体2に表示シート1を貼り合わせる工程である。表示シート1が筐体2に貼り合わされてできた加工体4の平面図と、当該加工体4の中心線であるF−F線に沿った断面図とが示されている。
【0089】
図12(c)の工程は、図12(b)の工程の後に行われ、加工体4をスポットクーラーなどの冷却設備32によって冷却する工程である。冷却設備32は、加工体4に流体の冷媒を供給するものでもよいし、加工体4の雰囲気温度を低温に維持するクーラーでもよい。
【0090】
図12(d)の工程は、図12(c)の工程の後に行われ、図7に示したような紫外線照射装置10を用いて接着剤3を紫外線硬化させる工程である。
【0091】
このように、第1の工程の後に、冷却処理を行う中間工程を経てから第2の工程を行うと、中間工程により冷却された内部中空空間2b内の空気が第2の工程の熱負荷を受けても大きく膨張することがない。従って、表示シート1が湾曲などの変形を起こさず、表示シート1が接着部から剥離することもない。
【0092】
以上、各実施例について説明した。
〔サンプルの評価〕
次に、第1の工程と、上記各実施例の工程とを行うことによって作成した機器(加工体4)のサンプルについて、表示シート1の剥離強度試験、接着部の気密性(防水性)の評価試験、および、スイッチドームの意匠性およびクリック感の評価の各評価を行った。
【0093】
図14に、表示シート1の剥離強度試験方法を示す。
【0094】
図14に示すように、剥離強度試験では、フォースゲージ41を使用し、サンプルの筐体2の裏側から内部中空空間2bに至る穴をあけ、サンプルの裏側から当該穴を通して鉛直下方を向くY方向に表示シート1を押し下げた。そして、表示シート1を押し下げた際の剥離強度を測定した。
【0095】
図15に、接着部の気密性(防水性)の評価試験方法を示す。
【0096】
図15に示すように、60℃の水(お湯)が深さ20cmに入れられた水槽51にサンプルを20時間浸漬し、接着剤3による接着部3aから内部中空空間2bへの水分の浸入の有無を観察した。
【0097】
図16に、スイッチドームの意匠性およびクリック感の評価方法を示す。
【0098】
図16に示すように、スイッチドーム1a−1の高さ(隆起高さ)Hを測定して、表示シート1の意匠性が確保されているか否かを評価した。また、スイッチドーム1a−1を指で押さえた感触が優れているか否かを確認することによってクリック感を評価した。
〔比較サンプル〕
本実施形態に従って作成したサンプルに対して上述の評価を行う上で、次のような比較サンプルを作成して同時に評価した。
【0099】
図17に、比較例1のサンプルとして表示シート1を両面テープによって筐体2に貼り付けたものを作成する工程を示す。表示シート1および筐体2は図2および図3のものと同じである。
【0100】
図17(a)に示すように、矩形環状に加工した両面テープ61(厚さ150μm)を筐体2の凹部2aの底面2a−1内に貼り合わせる。筐体2の平面図と、筐体2の中心線であるG−G線に沿った断面図とが示されている。
【0101】
次いで、図17(b)に示すように、両面テープ61が貼り合わされた箇所に表示シート1を貼り合わせて加工体62を形成する。加工体62の平面図と、加工体62の中心線であるH−H線に沿った断面図とが示されている。
【0102】
そして、図17(c)に示すように、両面テープ61の粘着性を発現させるために、加工体62の貼付け部を指により約30Nの力で加圧し、サンプルを作成する。
【0103】
図18に、比較例2のサンプルとして、表示シート1を熱硬化型接着剤によって貼り付けたものを作成する工程を示す。表示シート1および筐体2は図2および図3のものと同じである。
【0104】
図18(a)に示すように、筐体2の図4と同様の領域に熱硬化型接着剤71を塗布する。筐体2の平面図と、筐体2の中心線であるI−I線に沿った断面図とが示されている。
【0105】
次いで、図18(b)に示すように、熱硬化型接着剤71が塗布された箇所に表示シート1を貼り合わせて加工体72を形成する。加工体72の平面図と、加工体72の中心線であるJ−J線に沿った断面図とが示されている。
【0106】
そして、加工体72をオーブン73に入れ、100℃で2時間加熱して熱硬化型接着剤71を硬化させることにより、サンプルを作成する。
【0107】
また、図示しないが、比較例3のサンプルとして、湿気硬化型接着剤を用いて図4および図5と同様にして表示シート1を筐体2に貼り合わせ、そのまま放置して硬化させただけのものを作成した。
〔評価結果〕
以上の本実施形態に従って作成された各サンプルと、比較例1−3の各サンプルとについて、前述の評価を行った結果を、表1および表2に示す。
【0108】
表1には、実施例1−3により3通りに作成したサンプルS1−S3の評価結果をまとめた。サンプルS1は実施例1によるもの、サンプルS2は実施例2によるもの、サンプルS3は実施例3によるものである。また、表2には、比較例1−3のサンプルR1−R3の評価結果をまとめた。サンプルR1は比較例1によるもの、サンプルR2は比較例2によるもの、サンプルR3は比較例3によるものである。また、以上の各サンプルについて、同じものを20個ずつ作成して評価した。項目(H)の「貼合わせ時間」は、表示シート1を筐体2に貼り合わせる工程に要する時間を指す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
本実施形態によるサンプルS1−S3の全てにおいて、項目(E)の剥離強度は100N以上を示し、防水性を確保できる水準の接着強度が得られた。従って、これを反映するように、サンプルS1−S3の項目(F)の気密性についても、全20個中の全てに水分の浸入が確認されず、気密が良好であることが分かった。サンプルS1−S3の項目(G)については、全工程終了後のスイッチドーム1a−1の高さが750μm以上確保されており、意匠性が良好であることが確認された。また同じ項目(G)において、サンプルS1−S3の全サンプルともスイッチドーム1a−1のクリック感が良好であった。なお、表1には、項目(A)のスイッチドームの高さについて1000μmに設計したもののみが示されているが、これに限らず、項目(A)においてスイッチドーム1a−1の高さを500μm−1000μmの範囲で様々に設計した他のサンプルについても、全工程終了後のスイッチドーム1a−1の高さ(変形度合い)で表される意匠性、およびクリック感はいずれも良好であった。
【0112】
一方、両面テープを用いたサンプルR1については、剥離強度が40N程度を示し、気密性についても全20個中18個に水分の浸入が確認されなかったが、残る2個には浸水があった。サンプルR1についてはスイッチドーム1a−1のクリック感が良好でなかった。
【0113】
熱硬化型接着剤を用いたサンプルR2については、スイッチドーム1a−1が工程の間に熱変形してしまうとともにスイッチドーム1a−1の高さが500μmに満たなかった。また、スイッチドーム1a−1のクリック感が良好でなかった。
【0114】
湿気硬化型接着剤を用いたサンプルR3については、剥離強度が60N程度を示し、全20個中の全てに水分の浸入が確認され、気密性が全く確保されないことが分かった。
【0115】
以上、本実施形態について説明した。
【0116】
なお、本発明が適用される機器としては、ストップウォッチや携帯機器などを含む一般の電子機器や小型から大型までのあらゆる電気機器の他に、電気駆動されない部品類および装置類が全て含まれる。
【0117】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を技術常識に基づいて適宜変更したものやそれらを組み合わせて得られるものも本発明の実施形態に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、銘板が貼り付けられる機器に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 表示シート
1a 基材層(熱可塑性フィルム)
1b インク層(非透明部分)
2 筐体
2b 内部中空空間
2b−1 開口部
3 接着剤(紫外線硬化型接着剤)
4 加工体(機器)
10 紫外線照射装置
14 金属板
UV 紫外線束
UV1 照射束(搬送方向上流側の照射束)
UV2 照射束(搬送方向下流側の照射束)
【技術分野】
【0001】
本発明は、銘板などの表示シートを機器の筐体へ貼り付けて機器を組み立てる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を始めとする機器の筐体(=キャビネット:ケース、パッケージ、ハウジング、箱、エンクロージャなどを含む「外殻」を指す)には、商品名、商標、文字、品番、デザインなどを表示する目的で、銘板などの表示シートが貼り付けられることが多い。また、当該表示シートには、機器の内部構造を視覚的に隠蔽して当該機器の外観を整えるための意匠性を演出する目的が加えられることも多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、慣用技術として、カード状の受信機の片面全面に化粧的にデザインされたラベルが貼り付けられることが記載されている。図19に示すように、当該ラベル100は、ポリカーボネートやポリエステルなどの可撓性のある透明なシート状の基材101(厚さ0.1〜0.2mm)に、化粧のデザインを印刷した印刷部102と、両面接着テープなどの接着部103とが設けられたものである。片面が開口したケース104に金属パネル105と絶縁パネル106とが組合されて格納されており、これらの部品の表面に上記ラベル100が接着部103によって貼り付けられている。
【0004】
銘板および表示デバイスなどの表示部材や、その他の部材を、両面テープによって本体、筐体などの貼付け土台へ貼り付けることは、特許文献2−10にも開示されている。
【0005】
また、上記表示部材を貼付け土台へ貼り付ける方法として、熱硬化型接着剤を用いる方法もある。特許文献11には、光学用部材を熱硬化型の粘着層を用いて基板に固定することが記載されている。特許文献12には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合した樹脂を用いて、貫通孔を塞ぐ蓋部材を固着することが記載されている。
【0006】
透明部材を貼付け土台へ貼り付ける方法としては、特許文献11、13−18に、紫外線硬化型接着剤や光硬化型接着剤を用いる方法が開示されている。特許文献17には、図20に示すように、裏面に抜き文字形状の表示部202を有する樹脂キートップ201がゴム状弾性体からなるキーシート203の表面に、固着部204によって固着されて構成された照光式樹脂キートップ付きキーシート200が記載されている。表示部201は光が透過する透光部分202aと光が遮蔽される遮光部分202bとからなり、固着部204は透光性を有するものであって、例えば紫外線硬化型のアクリル樹脂系接着剤に紫外線を照射することによって形成される。
【0007】
その他に、特許文献19には防水弾性シートあるいは弾性接着剤を用いた組立てが、特許文献20にはレーザ溶着による組立てが、特許文献21には耐水性の高い粘着シートによる貼付けが、それぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特許公開公報「特開平6−161356号公報:1994年6月7日公開」
【特許文献2】日本国特許公開公報「特開2010−20574号公報:2010年1月28日公開」
【特許文献3】日本国特許公開公報「特開2010−26255号公報:2010年2月4日公開」
【特許文献4】日本国特許公開公報「特開2009−108314号公報:2009年5月21日公開」
【特許文献5】日本国特許公開公報「特開2009−177793号公報:2009年8月6日公開」
【特許文献6】日本国特許公開公報「特開2008−233590号公報:2008年10月2日公開」
【特許文献7】日本国特許公開公報「特開2005−167788号公報:2005年6月23日公開」
【特許文献8】日本国特許公開公報「特開2002−100887号公報:2002年4月5日公開」
【特許文献9】日本国特許公開公報「特開2009−108314号公報:2009年5月21日公開」
【特許文献10】日本国特許公開公報「特開2007−273304号公報:2007年10月18日公開」
【特許文献11】日本国特許公開公報「特開2008−185870号公報:2008年8月14日公開」
【特許文献12】日本国特許公開公報「特開2010−62285号公報:2010年3月18日公開」
【特許文献13】日本国特許公開公報「特開2009−8703号公報:2009年1月15日公開」
【特許文献14】日本国特許公開公報「特開2003−149655号公報:2003年5月21日公開」
【特許文献15】日本国特許公開公報「特開2010−96968号公報:2010年4月30日公開」
【特許文献16】日本国特許公開公報「特開2007−233160号公報:2007年9月13日公開」
【特許文献17】日本国特許公開公報「特開2003−242854号公報:2003年8月29日公開」
【特許文献18】日本国特許公開公報「特開2001−337607号公報:2001年12月7日公開」
【特許文献19】日本国特許公開公報「特開2004−208046号公報:2004年7月22日公開」
【特許文献20】日本国特許公開公報「特開2008−212435号公報:2008年9月18日公開」
【特許文献21】日本国特許公開公報「特開2003−327933号公報:2003年11月19日公開」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、表示シートを機器の筐体に貼り付ける、従来の機器の組立て方法においては、次のような問題が発生する。
【0010】
表示シートを両面テープによって筐体に貼り付ける方法では、まず、手作業が主体で自動化が困難であることから作業性が低く、従って生産性(スループット)が低いという第1の問題がある。例えば両面テープを、手作業によって貼付け領域の大きさおよび形状に加工した上で、当該貼付け領域に貼り合わせるという作業を行わなくてはならない。また、貼り付けられた表示シートを加圧機によって加圧して密着性を高める作業が必要であり、加圧機におけるワーク位置の整合工程なども生産性を低下させる要因となる。
【0011】
第2の問題は、上記のように手作業による貼付けを行うことにより、両面テープの加工精度や貼付け位置にばらつきが生じて、表示シートの貼付け品質にばらつきが生じることである。
【0012】
第3の問題は、材料費や加工費が嵩んでコストが高くなることである。
【0013】
第4の問題は、平坦面以外の形状の貼付け土台に対する適用が困難であるということである。例えば鋭角を有する形状の鋭角頂点付近への貼付けは困難である。
【0014】
第5の問題は、両面テープによって表示シートが貼付けられた箇所の防水性を確保することが困難であるということである。
【0015】
第6の問題は、両面テープの粘着成分が吸湿、溶出、アウトガス化することによる不具合が発生するという懸念があることである。
【0016】
第7の問題は、両面テープの厚みが一般に大きいため、表示シートの隆起や、表示シートの上面側と筐体内部側との距離が大きくなることによる不都合が生じることである。表示シートの隆起は、周囲筐体との表面高さが揃わずに機器の美観を損ねる原因となる、あるいは、周囲筐体との表面高さを揃えるために表示シートの貼付け領域を筐体内部側に向かって大きく窪ませる構造が必要になるという不都合を招く。表示シートの上面側と筐体内部側との距離が大きくなることは、例えば、表示シートが筐体内部の電気接点と作動連結されるスイッチドームを有している場合に、ユーザがスイッチドームをクリックした際のクリック感に違和感を覚える、電気接点間の接触度が低下する、などの不都合を招く。
【0017】
次に、表示シートを熱硬化型接着剤などの加熱工程を要する接着剤によって筐体に貼り付ける方法では、接着剤の熱硬化に時間を要し、生産性が低下するという第1の問題がある。また、加熱される各部材に熱負荷が加わるため、各部材に耐熱性が要求されるという第2の問題が生じる。特に、表示シートはPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMMA)などの低耐熱性(熱可塑性)フィルムを備えたものが多いため、高価な高耐熱性のシートを用いなければならなくなることは生産上、非常に不利である。さらに、第3の問題として、接着剤を塗布してから一定時間以内に貼付け処理を完了させないと、放置した塗布接着剤が次第に乾燥・硬化して粘着工程に資することが不可能になるという、可使時間(いわゆるポットライフ)の制約がある。
【0018】
また、特許文献11、13−18に示される紫外線硬化型接着剤や光硬化型接着剤の使用は、紫外線や光を透明部材を通して接着剤に照射することで行われている。また、ストップウォッチやタイマーのような一般機器では、表示窓部のような機器内部からユーザへ向って表示を行う部位を除いては、非透明部材で被覆されて内部が視認できないようになっており、銘板などの表示シートも通常は全体として非透明部分が大半を占めるものである。表示シートの非透明部分は、一般に、透明シートに塗布・印刷されたインク層で構成される。従って、表示シートを紫外線硬化型接着剤を用いて筐体に貼り付けるのに、表示シート本来の機能に反する紫外線透過用の領域を別途設ける発想しかなかった。
【0019】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法、および表示シートを備える機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シート を機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、第2の工程において、筐体に貼り合わされた表示シートに紫外線照射装置を用いて表示シートの外面側から紫外線を照射し、紫外線を表示シートの非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって、紫外線硬化型接着剤を硬化させる。
【0022】
紫外線硬化型接着剤を非透明部分を透過させて硬化させることにより表示シートを筐体に貼り付けるので、手作業に依存する処理が少なく、非常に短時間で容易に貼付け工程を行うことができる。また、工程が容易であるため、貼付け品質が高く、安定する。これにより、表示シートのエンボス加工部などの意匠性を高める部分の損傷を防ぐことができる。また、材料費や加工費も低く抑えられる。また、紫外線硬化型接着剤を用いているので、表示シートが貼り付けられた箇所の防水性を確保することが容易である。紫外線硬化型接着剤が硬化物に変化するので、吸湿、溶出、アウトガスなどによる不具合が発生する懸念が少ない。
【0023】
さらには、紫外線硬化型接着剤の厚みを両面テープとは異なって非常に薄く設定することができ、これにより意匠性を高めることもできる。また、紫外線硬化型接着剤は塗布前に液状であるので、塗布領域の形状に自由度があることから、表示シート形状によらず、貼付けを安定して行うことができる。また、表示シートに耐熱性が無くても、すなわち熱可塑性であっても、加熱履歴としては紫外線照射時の光源から受ける熱負荷程度である。従って、表示シートが受ける熱負荷は熱硬化型接着剤が受ける熱負荷よりもはるかに小さく、表示シートの基材層に汎用のフィルムを用いることが可能である。
【0024】
以上により、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法を実現することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記表示シートは、熱可塑性フィルムを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の発明によれば、表示シートが熱可塑性フィルムを備えていても、紫外線硬化型接着剤を用いることにより、受ける熱負荷が小さいので変形しにくいという効果を奏する。
【0027】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記非透明部分の上記少なくとも一部の紫外線透過率は、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にあることを特徴としている。
【0028】
上記の発明によれば、表示シートの非透明部分の紫外線が透過する少なくとも一部として、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にある紫外線透過率を有するインク層を用いることができるので、紫外線硬化型接着剤を用いるための表示シートを容易に調達することができるという効果を奏する。
【0029】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記紫外線照射装置はコンベア搬送方式の装置であり、上記第2の工程において上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線を照射するときに、上記紫外線照射装置のコンベアによって上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を搬送し、上記紫外線照射装置の紫外線光源から上記コンベアで搬送される被照射体へ照射される紫外線束を板面によって分割して上記被照射体に照射させる金属板を配置した状態で、搬送される上記筐体に貼り合わされた上記被照射体としての上記表示シートに対して上記紫外線光源によって紫外線を照射することを特徴としている。
【0030】
上記の発明によれば、金属板によって紫外線束から分割された2つの照射束の大部分は、表示シートに照射される前に金属板によって反射され、その散乱光がそれぞれの照射束の領域に別々に照射される。このときの紫外線照射分布においては、紫外線の被照射体へ与えられる総エネルギーは、金属板が配置されない場合の被照射体へ与えられる総エネルギーとほとんど変わらない。この結果、紫外線が紫外線光源の焦点の位置に集中して照射されることが回避可能になり、表示シートの表面全域に亘って紫外線が時間的に平均化して照射される効果、すなわち、エネルギーが時間的に平均化して与えられる効果が得られる。このように、金属板は、被照射体である表示シートを含む筐体に対する遮熱板として機能する。
【0031】
以上のように、紫外線照射装置に金属板を配置することにより、エネルギーが時間的に平均化されて表示シートに照射されるので、表示シートの過熱を防ぐことができるとともに、紫外線硬化型接着剤の硬化が良好に進行し、良質の接着部を形成することができるという効果を奏する。
【0032】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記第2の工程において、上記金属板を、上記金属板が配置されない場合の上記紫外線束の上記被照射体への焦点が上記板面を含む平面上に位置するように配置することを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、金属板によって紫外線束から分割された2つの照射束の大部分は、紫外線光源の焦点の位置に集束する前に金属板によって反射される。従って、光源直下、すなわち金属板の直下の位置における紫外線照度が、金属板が配置されない場合の紫外線照度よりも減少し、光源直下に対して2つの照射束の各領域にそれぞれ極大値を有するような、エネルギーを良好に平均化する分布となるという効果を奏する。
【0034】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記第2の工程において、
上記金属板を、上記板面が上記被照射体に照射される上記紫外線束を上記コンベアの搬送方向上流側の照射束と搬送方向下流側の照射束とに分割するように配置し、
上記板面の搬送方向下流側から冷却ブローを行うことを特徴としている。
【0035】
上記の発明によれば、金属板の板面に対して搬送方向下流側から冷却ブローを行うことにより、供給された冷却媒体が金属板の板面に沿って下降し、光源直下から搬送方向下流側へと移動してきた表示シートを効率的に冷却する。これにより、紫外線照射によって加熱される表示シートを、さらに温度上昇しにくくすることができるという効果を奏する。
【0036】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記筐体は外部に開口する開口部を有する内部中空空間を備え、
上記第1の工程において、上記筐体に対して上記開口部を閉塞するように上記表示シートを貼り合わせ、
上記第1の工程の後に上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を冷却処理する中間工程を行い、
上記中間工程の後に上記第2の工程を行うことを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、第1の工程の後に、冷却処理を行う中間工程を経てから第2の工程を行うと、中間工程により冷却された内部中空空間内の空気が第2の工程の熱負荷を受けても大きく膨張することがない。従って、表示シートが湾曲などの変形を起こさず、表示シートの接着部からの剥離も生じないという効果を奏する。
【0038】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、上記課題を解決するために、
上記表示シートは上記筐体の内部の電気接点と連結されるスイッチドームを備えていることを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、紫外線硬化型接着剤を用いるので、貼付け工程後のスイッチドームの高さが良好で変形も生じない。従って、表示シートの意匠性を確保することができるとともに、スイッチドームのクリック感が良好になるという効果を奏する。
【0040】
本発明の表示シートを備える機器は、上記課題を解決するために、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられたことを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けられた表示シートを備える、意匠性および高品質の機器を実現することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の表示シートを備える機器の組立方法は、以上のように、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シート を機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいる。
【0043】
以上により、表示シートを、当該表示シートの特性を活かして、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けることにより機器を組み立てることのできる、表示シートを備える機器の組立方法を実現することができるという効果を奏する。
【0044】
本発明の表示シートを備える機器は、以上のように、
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられている。
【0045】
以上により、高効率、高品質、および安価に筐体に貼り付けられた表示シートを備える、意匠性および高品質の機器を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、表示シートの非透明部分を透過した紫外線によって紫外線硬化型接着剤が硬化する状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートの平面図を、(b)は(a)のA−A線断面図をそれぞれ示す。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体の平面図を、(b)は(a)のB−B線断面図をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に紫外線硬化型接着剤が塗布された状態を示す平面図を、(b)は(a)のC−C線断面図をそれぞれ示す。
【図5】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートを筐体に貼り合わせる工程を説明する斜視図を、(b)は表示シートが筐体に貼り合わされてできる加工体の平面図を、(c)は(b)のD−D線断面図をそれぞれ示す。
【図6】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置の構成を示す斜視図を、(b)は紫外線照射装置の側面図を、(c)は紫外線照射装置の上面図をそれぞれ示す。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する側面図を、(b)は紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する上面図をそれぞれ示す。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は紫外線照射装置によって表示シートに照射される紫外線束を示す側面図を、(b)は表示シートの搬送位置に応じた紫外線照度分布を示すグラフをそれぞれ示す。
【図9】本発明の実施形態を示すものであり、金属板が配置された紫外線照射装置によって表示シートに紫外線を照射する工程を説明する側面図を示す。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は金属板が配置された紫外線照射装置によって表示シートに照射される紫外線束が分割される状態を説明する側面図を、(b)は表示シートの搬送位置に応じた紫外線照度分布を示すグラフをそれぞれ示す。
【図11】本発明の実施形態を示すものであり、表示シートの搬送開始後の時間に応じた温度変化を示すグラフを示す。
【図12】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は表示シートによって密閉された内部中空空間を筐体に有する加工体を加温する工程を説明する側面図を、(b)は加温された加工体の内部空気が膨張して表示シートを押し上げる現象を説明する断面図をそれぞれ示す。
【図13】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に紫外線硬化型接着剤が塗布された状態を示す平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を冷却処理する工程を説明する図を、(d)は(c)で冷却処理された加工体の表示シートに紫外線照射装置によって紫外線を照射する工程を説明する側面図および平面図をそれぞれ示す。
【図14】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルの表示シートの剥離強度試験方法を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルの気密性(防水性)評価試験方法を説明する図である。
【図16】本発明の実施形態を示すものであり、サンプルのスイッチドームの意匠性およびクリック感の評価方法を説明する図である。
【図17】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に両面テープを貼り合わせる工程を説明する平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を加圧処理することを説明する図をそれぞれ示す。
【図18】本発明の実施形態を示すものであり、(a)は筐体に熱硬化型接着剤を塗布する工程を説明する平面図および断面図を、(b)は(a)の筐体に表示シートが貼り合わされた加工体の状態を示す平面図および断面図を、(c)は(b)の加工体を加熱処理することを説明する図をそれぞれ示す。
【図19】従来技術を示すものであり、表示シートが両面テープによって筐体に貼り付けられている状態を示す断面図である。
【図20】従来技術を示すものであり、透明部材が紫外線硬化型接着剤を用いて筐体に貼り付けられている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の実施形態を、図1ないし図18を用いて以下に説明する。
【0048】
図2に、本実施形態において筐体への貼付け工程に用いられる表示シート1の構成を示す。上記貼付け工程は、上記筐体を有する機器の組立工程の一部をなす。図2(a)は表示シート1の平面図を示し、図2(b)は表示シート1を中心線であるA−A線に沿って切断した断面図を示す。
【0049】
表示シート1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる基材層1aとインク層1bとを備えている。また、基材層1aには、ボタン状に隆起したスイッチドーム1a−1が形成されている。スイッチドーム1a−1は押下されると内側に窪むように変形し、筐体2内に設けられた電気接点どうしを接触させる。
【0050】
インク層1bは基材層1aに塗布や印刷などによって形成された、表示シート1の非透明部分を構成する層である。ここで、非透明とは、紫外線域および可視光域を含む200nm−800nmの波長範囲の光に対して、一般に透明性が失われるとみなせる70%未満の透過率を示すことを指すものとする。また、当該インク層1bは、紫外線の波長範囲の少なくとも一部においてゼロよりも大きな透過率を有する。なお、ここでは一例として、当該インク層1bは、典型的な材料で、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において、紫外線硬化型接着剤の硬化性と意匠性(隠蔽性)を両立する3%から50%までの範囲にある紫外線透過率を有している。このような典型的な材料のインク層1bを用いれば、本実施形態に適合する、紫外線硬化型接着剤を用いるための表示シートを容易に調達することができる。上記基材層1aとして、PETフィルムの他に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、メタクリル樹脂(PMMA)などを用いることもできる。これらのフィルムは熱可塑性(低耐熱性)を示すが、熱可塑性(低耐熱性)を示さないフィルムを基材層1に用いてもよい。
【0051】
本実施形態では、基材層1aに厚さ300μmのPETフィルムを用い、インク層1bに白インクを用いた。ここでは白インクとして東洋インキ製造株式会社製のSS8-611を用いたが、インク層1bの色および材質は任意でよい。また、貼付け工程の前のスイッチドームの高さ(隆起高さ)を500μm−1000μmの範囲で様々に設定した。
【0052】
なお、図2(a)・(b)に仮想線で示したように、表示シート1には、筐体に貼り付けられた状態で筐体の液晶表示部などの表示部を外部に向って露出させる表示部用窓1a−2が形成されていてもよい。
【0053】
図3に、表示シート1が貼り付けられる筐体2の構成を示す。図3(a)は筐体2の平面図を示し、図3(b)は筐体2を中心線であるB−B線に沿って切断した断面図を示す。
【0054】
筐体2は例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂成形品からなり、上面側から深さ方向に窪んだ凹部2aと内部中空空間2bとを備えている。凹部2aの底面2a−1は表示シート1が貼り付けられる貼り付け部となっている。また、底面2a−1内に開口部2b−1が形成されており、この開口部2b−1を介して内部中空空間2bが外部に開口している。図3(a)では、凹部2aおよび開口部2b−1は矩形形状をなしているが、これらの形状は任意でよい。なお、筐体2に、内部中空空間2bおよび開口部2b−1は必ずしも備えられていなくてもよい。
【0055】
図4に、筐体2に接着剤3を塗布する工程を示す。図4(a)は、接着剤3が筐体2に塗布された状態を示す平面図を示し、図4(b)は、図4(a)の中心線であるC−C線に沿って切断した断面図を示す。
【0056】
ここで使用する接着剤は紫外線硬化型接着剤である。紫外線硬化型接着剤として、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、および、ビニルエーテル系樹脂のうちから選ばれる1つ以上の樹脂と光重合開始剤とを少なくとも含有する接着剤が使用可能である。例えば、変性アクリレートなどのベース樹脂に、アクリレートモノマーなどの反応性希釈剤、アルキルフェノン系やアシルフォスフィンオキサイド系などの光重合開始剤、および、その他の添加剤が混合されている。本実施形態では、紫外線硬化型接着剤として協立化学社製のX-8181を用いた。上記のような構成成分を有する紫外線硬化型接着剤は、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化性を有する。
【0057】
接着剤3は、塗布前には液状であり、筐体2に備えられる凹部2aの底面2a−1内の一部領域または全領域に塗布される。ここでは、一例として、接着剤3を50mg塗布し、接着剤3が塗布された領域は、底面2a−1の内部に、開口部2b−1を取り囲むように矩形環状に形成されている。
【0058】
図5に、接着剤3が塗布された筐体2に表示シート1を貼り合わせる工程(第1の工程)を示す。図5(a)は、筐体2の凹部2a内に表示シート1を載置するときの状態を示す斜視図を示す。図5(b)は、表示シート1が接着剤3を介して筐体2に貼り合わされた状態を示す平面図を示す。図5(c)は、図5(b)の筐体2を中心線であるD−D線に沿って切断した断面図を示す。
【0059】
図5(a)に示すように、表示シート1は、スイッチドーム1a−1が隆起している側とは反対側の面を接着剤3の塗布面に向けて、筐体2の凹部2a内に載置される。この作業は手作業で行うことができるが、フィルム貼付け装置を用いてもよく、当該フィルム貼付け装置による自動化も可能である。表示シート1を凹部2a内へ載置した後には、表示シート1を表側から適度に加圧する。これにより、図5(b)・(c)に示すように、表示シート1が筐体2に貼り合わされた加工体4が構成される。筐体2における凹部2aの深さは適宜設定されるが、図5(c)に示すように、表示シート1の全体の厚みが凹部2aの深さとほぼ等しいと、加工体4あるいは後の完成品(例えばストップウォッチ)の意匠性を高めることができるとともに、貼付け作業が比較的容易になる。前述の図4のように開口部2b−1を取り囲むように接着剤3が塗布されている場合には、図5(b)・(c)に示すように、表示シート1は、筐体2に貼り合わされた状態で筐体2の開口部2b−1を閉塞する。
【0060】
表示シート1の筐体2への貼付け工程において、上述した図4の工程と図5の工程とを含む、表示シート1を接着剤3を介して筐体2に貼り合わせる工程を、第1の工程とする。
【0061】
次に、上記貼付け工程において、第1の工程の後に、筐体2に貼り合わされた表示シート1に紫外線を照射して接着剤3を硬化させる第2の工程について、実施例を挙げながら説明する。
【実施例1】
【0062】
図6に、第2の工程において表示シート1に紫外線を照射するのに用いる紫外線照射装置10の構成を示す。図6(a)は紫外線照射装置10の斜視図、図6(b)は紫外線照射装置10の側面図、図6(c)は紫外線照射装置10の上面図を示す。
【0063】
紫外線照射装置10は例えばコンベア搬送方式の装置であり、光源11、コンベア12、および、冷却ブロー装置13を備えている。光源11は、光源11aとコールドミラー11bとがランプハウス11c内に収められた構成を有している。光源11aは高圧水銀灯からなり、例えば波長300nm−400nmの紫外線を含む光を放射する。コールドミラー11bは光源11aから放射された紫外線のうち、被照射体へ直接照射されない紫外線を反射して焦点へ導く。光源11aから被照射体へ直接照射される紫外線と、コールドミラー11bによって反射された紫外線とが合わさって、被照射体へ向う紫外線束が構成される。コンベア12は被照射体を搬送し、光源11の直下を通過する。冷却ブロー装置13は、光源11の直下を通過した被照射体に、斜め上方の空間からエアブローなどの冷却ブローを行うことにより冷却を行う。冷却ブローには、エアブローの他に、被照射体の照射面が不用意に活性化しないように不活性ガスによるブローを用いてもよい。光源ランプ11aから被照射体までの照射距離は、例えば数cm−数十cmの範囲で可変である。また、光源ランプ11aの出力は、例えばkWオーダーで可変である。また、紫外線の照射時間は任意に設定可能であり、コンベア12の搬送速度と光源ランプ11aの出力との相関関係により適宜決定される。紫外線の照射時間(接着剤3の硬化時間)は例えば10秒−30秒程度の範囲の照射時間に設定される。照射時間中に光源ランプ11aの出力変動が生じにくいように、光源ランプ11aは空冷または水冷などによる強制冷却機構を備えていることが好ましい。なお、冷却ブロー装置13は備えられていなくてもよい。
【0064】
本実施例では、紫外線照射装置10として(株)たけでん社製のクランデージECS-401GXを用いた。また、紫外線照度が250mW/cm2、紫外線照射量が3000mJ/cm2となるように、光源ランプ11aの出力および照射距離を設定した。紫外線の照射時間(硬化時間)は15秒とした。
【0065】
図7に、紫外線照射装置10によって表示シート1に紫外線を照射する工程を示す。図7(a)に加工体4がコンベア12により搬送される状態の側面図を示し、図7(a)に図7(a)の上面図を示す。図示の便宜上、光源11については破線で示した。
【0066】
図7においては、紫外線の被照射体は、加工体4の特に表示シート1である。従って、図7(a)に示すように、紫外線の照射距離Lは、光源ランプ11aから直下を通過する表示シート1の表面までの距離を表し、紫外線束の焦点Fは、光源ランプ11aから直下を通過する表示シート1の表面に下ろした各垂線の足が結ばれてできる、コンベア12の搬送方向に直交する水平方向の線分をなす。焦点Fの高さ位置は、例えばランプハウス11cの鉛直方向位置を調節して、光源ランプ11aおよびコールドミラー11bを鉛直方向に移動させることによって調節される。
【0067】
図8に、加工体4が光源ランプ11aの直下を通過するときの状態を説明する図を示す。図8(a)は、光源ランプ11aの直下を通過する表示シート1に表示シート1の外面側から紫外線束UVが照射される状態を示している。紫外線束UVは、光源ランプ11aからの直接照射分の紫外線と、コールドミラー11bからの反射分の紫外線とが足し合わされた光束である。焦点Fが光源ランプ11aの直下に位置する表示シート1の表面上に設定されているので、表示シート1の表面に高効率で紫外線を照射することができる。図8(b)に、コンベア12による加工体4の搬送位置と、表示シート1の表面各部における紫外線照度との関係を示す。加工体4、従って表示シート1が光源直下(光源ランプ11aの直下)を通過する位置において上記紫外線照度は最大値を示す。当該紫外線照度は、光源直下から離れるにつれて指数関数的に減衰するガウス型分布を有する。
【0068】
このようにして表示シート1に照射された紫外線束UVは、図1に示すように、表示シート1を透過して接着剤3に到達する。図1では、接着剤3が硬化する様子を示すために、加工体4を中心線に沿ってではなく、接着剤3の塗布領域に沿って切断した断面を示してある。照射光として表示シート1に入射した紫外線束UVは、表示シート1においては透過光として、透明部分である基材層1aと非透明部分であるインク層1bとを順次透過する。紫外線が供給された接着剤は、ラジカル重合反応などの重合反応を主として起こし、硬化する。従って、表示シート1に接着剤3にまで至る紫外線透過用の透明部分を設けなくとも、接着剤3を十分に硬化させることができる。
【0069】
このように、本実施例では、第2の工程において、筐体2に貼り合わされた表示シート1に紫外線照射装置10を用いて表示シート1の外面側から紫外線を照射し、紫外線を表示シート1の非透明部分を透過させることによって、紫外線硬化型接着剤である接着剤3を硬化させる。なお、図1では、インク層1bすなわち非透明部分の全領域に対して紫外線を透過させる例が示されているが、これに限らず、非透明部分の一部に紫外線を透過させる方法も可能である。非透明部分に、紫外線透過率が3%を下回るような紫外線をほとんどあるいは全く透過させない材質によって形成された領域がある場合などは、このように紫外線が透過する非透明部分の一部にのみ紫外線を透過させる方法が有効である。
【0070】
以上のように、本実施例では紫外線硬化型接着剤を非透明部分を透過させて硬化させることにより表示シート1を筐体2に貼り付けるので、手作業に依存する処理が少なく、非常に短時間で容易に貼付け工程を行うことができる。また、工程が容易であるため、貼付け品質が高く、安定する。これにより、エンボス加工部などの意匠性を高める部分の損傷を防ぐことができる。また、材料費や加工費も低く抑えられる。また、接着剤3に紫外線硬化型接着剤を用いているので、表示シート1が貼り付けられた箇所の防水性を確保することが容易である。紫外線硬化型接着剤が硬化物に変化するので、吸湿、溶出、アウトガスなどによる不具合が発生する懸念が少ない。
【0071】
さらには、接着剤3の厚みを両面テープとは異なって非常に薄く設定することができ、これにより意匠性を高めることもできる。また、接着剤3は塗布前に液状であるので、塗布領域の形状に自由度があることから、表示シート1の形状によらず、貼付けを安定して行うことができる。また、表示シート1に、とりわけ基材層1aに耐熱性が無くても、すなわち熱可塑性であっても、加熱履歴としては紫外線照射時の光源11から受ける熱負荷程度である。従って、表示シート1が受ける熱負荷は熱硬化型接着剤が受ける熱負荷よりもはるかに小さく、基材層1aに汎用のフィルムを用いることが可能である。表示シート1が熱可塑性フィルムを備えていても、紫外線硬化型接着剤を用いることにより、受ける熱負荷が小さいので変形しにくい。
【0072】
以上により、前述したような両面テープや熱硬化型接着剤を用いる貼付けにおける問題を解決することができる。
【実施例2】
【0073】
本実施例では、前述の図4および図5と同様にして作成した加工体4に対して、図9に示すように、図6の構成に1枚の金属板14を追加配置した構成の紫外線照射装置10を用いて紫外線照射を行うことによって第2の工程を行う。金属板14は平板状をなし、例えばステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、タングステン(W)などの金属から選ばれる材料からなる。金属板14として特に金属光沢のあるものが望ましく、金属表面処理が施されたものでもよい。
【0074】
金属板14は、図8に示された被照射体へ照射される紫外線束UVを、図9のように照射束UV1と照射束UV2との2つの照射束に分割する。紫外線束UV1と紫外線束UV2とはそれぞれ被照射体へ照射される。ここでは、金属板14は、光源ランプ11aの直下に、板面が鉛直方向およびコンベア12の搬送方向に対して直交するように配置されている。従って、この場合に、金属板14は、金属板14の板面を含む平面上に、金属板14が配置されない場合の紫外線束UVの焦点Fが位置するように、配置されている。図9では金属板14の厚みが誇張されて示されているが、当該厚みは、例えば0.1mm−1mm程度といったように、図7に示す照射距離Lに比して非常に小さいので、金属板14の板面は、ほぼ1つの平面上にあるとみなせる。上記のような金属板14の配置により、照射束UV1は、金属板14の板面に対して搬送方向上流側の照射束となり、照射束UV2は、金属板14の板面に対して搬送方向下流側の照射束となる。
【0075】
この場合に、図9(a)に示すように、照射束UV1と照射束UV2との大部分は、焦点Fの位置に集束する前に金属板14によって反射され、その散乱光が搬送方向上流側の領域と搬送方向下流側の領域とに別々に照射されることとなる。図10(b)に、このときの表示シート1の表面各部における紫外線照度分布を示す。光源直下、すなわち金属板14の直下の位置における紫外線照度は、図8(b)のものよりも減少し、光源直下に対して搬送方向上流側の領域と搬送方向下流側の領域とにそれぞれ極大値を有する分布へと変わる。この分布においては、被照射体へ与えられる総エネルギーは、図8(b)の分布によって被照射体へ与えられる総エネルギーとほとんど変わらない。この結果、焦点Fの位置に紫外線が集中して照射されることが回避可能となり、表示シート1の表面全域に亘って紫外線が時間的に平均化して照射される効果、すなわち、エネルギーが時間的に平均化して与えられる効果が得られる。このように、金属板14は、被照射体である表示シート1を含む筐体2に対する遮熱板として機能する。エネルギーが時間的に平均化されて表示シート1に照射されることによって、表示シート1の過熱を防ぐことができるとともに、接着剤3の硬化が良好に進行し、良質の接着部を形成することができる。
【0076】
なお、金属板14は、少なくとも被照射体へ照射される紫外線束UVを分割することができればよいので、必ずしも被照射体へ届かないような範囲を通過する紫外線束までをも分割する必要はない。被照射体へ届かないような範囲としては、加工体4に対して搬送方向に直交する方向にはみ出してコンベア12に到達するような紫外線束の通過範囲が挙げられる。但し、上記例のように筐体2まで遮熱することができれば、筐体2に極めて低耐熱の材料を用いることが可能になる。
【0077】
また、図10に示すように、金属板14は、被照射体へ照射される紫外線束UVを分割するような配置として、上述のように光源直下において板面が鉛直方向およびコンベア12の搬送方向に対して直交するような第1の配置の他に、次のような配置も可能である。例えば、金属板14を、第1の配置から、焦点Fの線分を軸として角度θだけ傾斜させたような第2の配置が可能である。また例えば、金属板14を、第1の配置から、搬送方向に距離Δxだけ平行移動させたような第3の配置が可能である。第1の配置、第2の配置、および第3の配置において、金属板14を鉛直軸を中心として任意角度だけ回転させたような第4の配置も可能である。これら、第2の配置、第3の配置、および第4の配置によっても、被照射体へ照射される紫外線束UVが金属板14によって分割されるので、全紫外線が焦点Fの位置に集束して被照射体が過熱されることを防止することができる。
【0078】
また、本実施例では、図10(a)に示すように、冷却ブロー装置13によって、金属板14の板面に対して搬送方向下流側からエアブローを行う。これにより、供給された冷却媒体のエアは金属板14の板面に沿って下降し、光源直下から搬送方向下流側へと移動してきた加工体4を効率的に冷却する。これにより、紫外線照射によって加熱される加工体4、とりわけ表示シート1を、さらに温度上昇しにくくすることができる。この効果は、金属板14の前述した他の配置によっても大なり小なり得ることができる。なお、金属板14のみでも過熱防止効果があるので、冷却ブロー装置13による冷却ブローは必ずしも行われなくてよい。
【0079】
図11に、図10の紫外線照射方法による表示シート1の温度変化を、その他の方法による温度変化と比較して示す。横軸は加工体4がコンベア12によって搬送開始されてからの時間を示し、縦軸は表示シート1の温度を示す。金属板14として厚さ500μmのステンレス板を用いた。また、紫外線の照射時間(硬化時間)は15秒とした。
【0080】
曲線21は、図7の紫外線照射方法において冷却ブローを行わなかったもの、曲線22は、図7のエアブローを伴う紫外線照射方法によるもの、曲線23は、図9の金属板(遮熱板)14を配置するとともにエアブローを伴う紫外線照射方法によるものの、それぞれについての表示シート1の温度変化を示す。
【0081】
コンベア12によって搬送される加工体4は約11秒後に光源直下を通過し、光源11から受けたエネルギーにより、その後にやや遅れて温度上昇が起こる。曲線21は160℃を超える温度上昇を伴い、曲線22は110℃付近までの温度上昇を伴う。これに対して、本実施例に従う曲線23は、60℃程度までしか温度上昇を伴わない。
【0082】
このように、本実施例では、金属板14による遮熱効果と、さらには金属板14の板面を利用した冷却ブローを併用することによる冷却効果とによって、加工体4とりわけ表示シート1の温度上昇を非常に低く抑えることができる。
【実施例3】
【0083】
本実施例では、前述の図4および図5と同様にして作成した加工体4に対して、図13(c)に示す中間工程を行ってから、図6の紫外線照射装置10を用いて紫外線照射を行うことによって第2の工程を行う。
【0084】
図4および図5において、内部中空空間2bを有する筐体2に対して、開口部2b−1を閉塞するように表示シート1を貼り合わせる例について説明した。この場合には、第1の工程によって、内部中空空間2bが表示シート1によって密閉されるため、第1の工程の後に内部中空空間2b内に閉じ込められた空気が熱膨張するようなことがあると、膨張した空気が貼り合わされた表示シート1を圧迫する。
【0085】
この現象を、図12を用いて具体的に説明する。図12(a)に示すように、図4および図5と同様にして作成された加工体4を、実験的に熱負荷を与える目的でオーブン31内に置き加温する。この熱負荷が大きいと、時間経過とともに内部中空空間2b内の空気が熱膨張し、図12(b)に示すように、膨張した空気が表示シート1を内面側から押し上げようとする。これによって、表示シート1は熱膨張を起こすとともに、空気による押し上げ圧力によって湾曲しながら持ち上げられる。表示シート1がこのように湾曲すると、表示シート1と接着剤3との接着力が弱まり、ついには剥離に至ることもある。
【0086】
そこで本実施例では、図12(a)・(b)に示す第1の工程と、図12(c)に示す中間工程と、図12(d)に示す第2の工程とを順次行う。
【0087】
図12(a)の工程は、図4に示す工程と同じく、筐体2に接着剤3を塗布する工程である。接着剤3が塗布された筐体2の平面図と、当該筐体2の中心線であるE−E線に沿った断面図とが示されている。
【0088】
図12(b)の工程は、図12(a)の工程の後に行われ、図5に示す工程と同じく、筐体2に表示シート1を貼り合わせる工程である。表示シート1が筐体2に貼り合わされてできた加工体4の平面図と、当該加工体4の中心線であるF−F線に沿った断面図とが示されている。
【0089】
図12(c)の工程は、図12(b)の工程の後に行われ、加工体4をスポットクーラーなどの冷却設備32によって冷却する工程である。冷却設備32は、加工体4に流体の冷媒を供給するものでもよいし、加工体4の雰囲気温度を低温に維持するクーラーでもよい。
【0090】
図12(d)の工程は、図12(c)の工程の後に行われ、図7に示したような紫外線照射装置10を用いて接着剤3を紫外線硬化させる工程である。
【0091】
このように、第1の工程の後に、冷却処理を行う中間工程を経てから第2の工程を行うと、中間工程により冷却された内部中空空間2b内の空気が第2の工程の熱負荷を受けても大きく膨張することがない。従って、表示シート1が湾曲などの変形を起こさず、表示シート1が接着部から剥離することもない。
【0092】
以上、各実施例について説明した。
〔サンプルの評価〕
次に、第1の工程と、上記各実施例の工程とを行うことによって作成した機器(加工体4)のサンプルについて、表示シート1の剥離強度試験、接着部の気密性(防水性)の評価試験、および、スイッチドームの意匠性およびクリック感の評価の各評価を行った。
【0093】
図14に、表示シート1の剥離強度試験方法を示す。
【0094】
図14に示すように、剥離強度試験では、フォースゲージ41を使用し、サンプルの筐体2の裏側から内部中空空間2bに至る穴をあけ、サンプルの裏側から当該穴を通して鉛直下方を向くY方向に表示シート1を押し下げた。そして、表示シート1を押し下げた際の剥離強度を測定した。
【0095】
図15に、接着部の気密性(防水性)の評価試験方法を示す。
【0096】
図15に示すように、60℃の水(お湯)が深さ20cmに入れられた水槽51にサンプルを20時間浸漬し、接着剤3による接着部3aから内部中空空間2bへの水分の浸入の有無を観察した。
【0097】
図16に、スイッチドームの意匠性およびクリック感の評価方法を示す。
【0098】
図16に示すように、スイッチドーム1a−1の高さ(隆起高さ)Hを測定して、表示シート1の意匠性が確保されているか否かを評価した。また、スイッチドーム1a−1を指で押さえた感触が優れているか否かを確認することによってクリック感を評価した。
〔比較サンプル〕
本実施形態に従って作成したサンプルに対して上述の評価を行う上で、次のような比較サンプルを作成して同時に評価した。
【0099】
図17に、比較例1のサンプルとして表示シート1を両面テープによって筐体2に貼り付けたものを作成する工程を示す。表示シート1および筐体2は図2および図3のものと同じである。
【0100】
図17(a)に示すように、矩形環状に加工した両面テープ61(厚さ150μm)を筐体2の凹部2aの底面2a−1内に貼り合わせる。筐体2の平面図と、筐体2の中心線であるG−G線に沿った断面図とが示されている。
【0101】
次いで、図17(b)に示すように、両面テープ61が貼り合わされた箇所に表示シート1を貼り合わせて加工体62を形成する。加工体62の平面図と、加工体62の中心線であるH−H線に沿った断面図とが示されている。
【0102】
そして、図17(c)に示すように、両面テープ61の粘着性を発現させるために、加工体62の貼付け部を指により約30Nの力で加圧し、サンプルを作成する。
【0103】
図18に、比較例2のサンプルとして、表示シート1を熱硬化型接着剤によって貼り付けたものを作成する工程を示す。表示シート1および筐体2は図2および図3のものと同じである。
【0104】
図18(a)に示すように、筐体2の図4と同様の領域に熱硬化型接着剤71を塗布する。筐体2の平面図と、筐体2の中心線であるI−I線に沿った断面図とが示されている。
【0105】
次いで、図18(b)に示すように、熱硬化型接着剤71が塗布された箇所に表示シート1を貼り合わせて加工体72を形成する。加工体72の平面図と、加工体72の中心線であるJ−J線に沿った断面図とが示されている。
【0106】
そして、加工体72をオーブン73に入れ、100℃で2時間加熱して熱硬化型接着剤71を硬化させることにより、サンプルを作成する。
【0107】
また、図示しないが、比較例3のサンプルとして、湿気硬化型接着剤を用いて図4および図5と同様にして表示シート1を筐体2に貼り合わせ、そのまま放置して硬化させただけのものを作成した。
〔評価結果〕
以上の本実施形態に従って作成された各サンプルと、比較例1−3の各サンプルとについて、前述の評価を行った結果を、表1および表2に示す。
【0108】
表1には、実施例1−3により3通りに作成したサンプルS1−S3の評価結果をまとめた。サンプルS1は実施例1によるもの、サンプルS2は実施例2によるもの、サンプルS3は実施例3によるものである。また、表2には、比較例1−3のサンプルR1−R3の評価結果をまとめた。サンプルR1は比較例1によるもの、サンプルR2は比較例2によるもの、サンプルR3は比較例3によるものである。また、以上の各サンプルについて、同じものを20個ずつ作成して評価した。項目(H)の「貼合わせ時間」は、表示シート1を筐体2に貼り合わせる工程に要する時間を指す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
本実施形態によるサンプルS1−S3の全てにおいて、項目(E)の剥離強度は100N以上を示し、防水性を確保できる水準の接着強度が得られた。従って、これを反映するように、サンプルS1−S3の項目(F)の気密性についても、全20個中の全てに水分の浸入が確認されず、気密が良好であることが分かった。サンプルS1−S3の項目(G)については、全工程終了後のスイッチドーム1a−1の高さが750μm以上確保されており、意匠性が良好であることが確認された。また同じ項目(G)において、サンプルS1−S3の全サンプルともスイッチドーム1a−1のクリック感が良好であった。なお、表1には、項目(A)のスイッチドームの高さについて1000μmに設計したもののみが示されているが、これに限らず、項目(A)においてスイッチドーム1a−1の高さを500μm−1000μmの範囲で様々に設計した他のサンプルについても、全工程終了後のスイッチドーム1a−1の高さ(変形度合い)で表される意匠性、およびクリック感はいずれも良好であった。
【0112】
一方、両面テープを用いたサンプルR1については、剥離強度が40N程度を示し、気密性についても全20個中18個に水分の浸入が確認されなかったが、残る2個には浸水があった。サンプルR1についてはスイッチドーム1a−1のクリック感が良好でなかった。
【0113】
熱硬化型接着剤を用いたサンプルR2については、スイッチドーム1a−1が工程の間に熱変形してしまうとともにスイッチドーム1a−1の高さが500μmに満たなかった。また、スイッチドーム1a−1のクリック感が良好でなかった。
【0114】
湿気硬化型接着剤を用いたサンプルR3については、剥離強度が60N程度を示し、全20個中の全てに水分の浸入が確認され、気密性が全く確保されないことが分かった。
【0115】
以上、本実施形態について説明した。
【0116】
なお、本発明が適用される機器としては、ストップウォッチや携帯機器などを含む一般の電子機器や小型から大型までのあらゆる電気機器の他に、電気駆動されない部品類および装置類が全て含まれる。
【0117】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態を技術常識に基づいて適宜変更したものやそれらを組み合わせて得られるものも本発明の実施形態に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、銘板が貼り付けられる機器に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 表示シート
1a 基材層(熱可塑性フィルム)
1b インク層(非透明部分)
2 筐体
2b 内部中空空間
2b−1 開口部
3 接着剤(紫外線硬化型接着剤)
4 加工体(機器)
10 紫外線照射装置
14 金属板
UV 紫外線束
UV1 照射束(搬送方向上流側の照射束)
UV2 照射束(搬送方向下流側の照射束)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートを機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいることを特徴とする表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項2】
上記表示シートは、熱可塑性フィルムを備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項3】
上記非透明部分の上記少なくとも一部の紫外線透過率は、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項4】
上記紫外線照射装置はコンベア搬送方式の装置であり、上記第2の工程において上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線を照射するときに、上記紫外線照射装置のコンベアによって上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を搬送し、上記紫外線照射装置の紫外線光源から上記コンベアで搬送される被照射体へ照射される紫外線束を板面によって分割して上記被照射体に照射させる金属板を配置した状態で、搬送される上記筐体に貼り合わされた上記被照射体としての上記表示シートに対して上記紫外線光源によって紫外線を照射することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項5】
上記第2の工程において、上記金属板を、上記金属板が配置されない場合の上記紫外線束の上記被照射体への焦点が上記板面を含む平面上に位置するように配置することを特徴とする請求項4に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項6】
上記第2の工程において、
上記金属板を、上記板面が上記被照射体に照射される上記紫外線束を上記コンベアの搬送方向上流側の照射束と搬送方向下流側の照射束とに分割するように配置し、
上記板面の搬送方向下流側から冷却ブローを行うことを特徴とする請求項4または5に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項7】
上記筐体は外部に開口する開口部を有する内部中空空間を備え、
上記第1の工程において、上記筐体に対して上記開口部を閉塞するように上記表示シートを貼り合わせ、
上記第1の工程の後に上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を冷却処理する中間工程を行い、
上記中間工程の後に上記第2の工程を行うことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項8】
上記表示シートは上記筐体の内部の電気接点と連結されるスイッチドームを備えていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項9】
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられたことを特徴とする表示シートを備える機器。
【請求項1】
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートを機器の筐体に貼り付ける貼付け工程を含む、表示シートを備える機器の組立方法であって、
上記貼付け工程は、上記表示シートを紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わせる第1の工程と、上記第1の工程の後に上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに紫外線照射装置を用いて上記表示シートの外面側から紫外線を照射し、上記紫外線を上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過させることによって上記紫外線硬化型接着剤を硬化させる第2の工程とを含んでいることを特徴とする表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項2】
上記表示シートは、熱可塑性フィルムを備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項3】
上記非透明部分の上記少なくとも一部の紫外線透過率は、紫外線の波長範囲の少なくとも一部において3%から50%までの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項4】
上記紫外線照射装置はコンベア搬送方式の装置であり、上記第2の工程において上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線を照射するときに、上記紫外線照射装置のコンベアによって上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を搬送し、上記紫外線照射装置の紫外線光源から上記コンベアで搬送される被照射体へ照射される紫外線束を板面によって分割して上記被照射体に照射させる金属板を配置した状態で、搬送される上記筐体に貼り合わされた上記被照射体としての上記表示シートに対して上記紫外線光源によって紫外線を照射することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項5】
上記第2の工程において、上記金属板を、上記金属板が配置されない場合の上記紫外線束の上記被照射体への焦点が上記板面を含む平面上に位置するように配置することを特徴とする請求項4に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項6】
上記第2の工程において、
上記金属板を、上記板面が上記被照射体に照射される上記紫外線束を上記コンベアの搬送方向上流側の照射束と搬送方向下流側の照射束とに分割するように配置し、
上記板面の搬送方向下流側から冷却ブローを行うことを特徴とする請求項4または5に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項7】
上記筐体は外部に開口する開口部を有する内部中空空間を備え、
上記第1の工程において、上記筐体に対して上記開口部を閉塞するように上記表示シートを貼り合わせ、
上記第1の工程の後に上記表示シートが貼り合わされた上記筐体を冷却処理する中間工程を行い、
上記中間工程の後に上記第2の工程を行うことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項8】
上記表示シートは上記筐体の内部の電気接点と連結されるスイッチドームを備えていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の表示シートを備える機器の組立方法。
【請求項9】
少なくとも一部に非透明部分を有する表示シートが筐体に貼り付けられて組み立てられた、表示シートを備える機器であって、
上記表示シートは紫外線硬化型接着剤を介して上記筐体に貼り合わされ、上記筐体に貼り合わされた上記表示シートに上記表示シートの外面側から紫外線が照射され、上記紫外線が上記表示シートの上記非透明部分の少なくとも一部を透過することによって上記紫外線硬化型接着剤が硬化し、上記表示シートが上記筐体に貼り付けられたことを特徴とする表示シートを備える機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−194289(P2012−194289A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57280(P2011−57280)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
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