説明

表示パネル、表示装置および電子機器

【課題】帯電および腐食の双方を防止することの可能な表示パネルならびにそれを備えた表示装置および電子機器を提供する。
【解決手段】表示パネル20には、液晶層24を下側基板23および上側基板25で挟み込んだパネル部が設けられており、パネル部の上方にバリア層26および偏光板28が設けられている。バリア層26と偏光板28との間には、透明性を有すると共に導電性を有する粘着層27が設けられている。バリア層26および粘着層27はともに、水分に対する耐腐食性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視点ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することの可能なマルチビュー表示、または特定の視点で3次元映像(立体映像)を視認することの可能な3次元表示を行うことの可能な表示パネル、およびそれを備えた表示装置に関する。また、本発明は、上述の表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチビュー表示または3次元表示の可能な表示装置が実用化されている。そのような表示装置の1つとして、例えば、表示パネルの表示領域上にバリア層を備えたものが知られている。そのようなバリア層の1つとして、例えば、特許文献1では、遮光領域によって隔たれた光透過性の複数のスリットが設けられたものが開示されている。また、例えば、特許文献2では、液晶に電圧が印加されることにより遮光領域が生成されるバリア液晶が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−281440号公報
【特許文献2】特開平8−106070号公報
【特許文献3】特開2010−204406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような表示パネルに対して、外部から静電気等の高い電位が加えられたときに、表示異常が発生する場合があった。特に、表示パネル内の電極が一方の基板側にだけ設けられている場合には、他方の基板側に静電気などの電荷が蓄積されやすいので、上記の問題が顕著に発生していた。この対策として、例えば、特許文献3では、バリア層を金属で構成し、バリア層に静電シールド機能を持たせることが開示されている。
【0005】
しかし、バリア層を金属で構成した場合には、外部環境下の水分が表示パネル内に侵入したときに、バリア層が腐食してしまうという問題がある。特許文献3の実施例では、バリア層の直上にガラス基板が設けられているので、ガラス基板側からの水分の侵入はほとんどないが、表示パネルの側面から水分が侵入し、バリア層の腐食が進行するものと考えられる。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、帯電および腐食の双方を防止することの可能な表示パネルならびにそれを備えた表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による表示パネルは、複数の画素が行列状に配置されたパネル部と、パネル部の上方または下方に配置され、かつ遮光領域および光透過領域が規則的に配置されたバリア層と、パネル部の上方に配置された透明導電層とを備えている。
【0008】
本発明による表示装置は、表示パネルと、表示パネルを支持する筐体とを備えている。表示パネルは、上記の表示パネルと同一の構成要素を有している。本発明による電子機器は、上記の表示装置を備えている。
【0009】
本発明による表示パネル、表示装置および電子機器では、バリア層とは別体で、パネル部の上方に透明導電層が設けられている。これにより、バリア層および透明導電層のそれぞれに適した材料を選択することができるので、バリア層および透明導電層のそれぞれに対して、水分に対する耐腐食性を持たせることが可能である。
【0010】
本発明において、表示パネルが、透明導電層と導電性部材とを互いに電気的に接続する導電体をさらに備えていてもよい。表示パネルが上記の導電体を備えている場合に、パネル部は、導電性部材を含む第1基板を有していてもよいし、表示パネルが、導電性部材を当該表示パネル上面端部に備えていてもよい。
【0011】
本発明において、透明導電層は、例えば、粘着層である。透明導電層が粘着層である場合に、表示パネルが、透明導電層に接する偏光板を備え、パネル部が液晶層を有していてもよい。また、透明導電層が粘着層である場合に、表示パネルが、透明導電層に接する透明基板を備え、パネル部が発光層を有していてもよい。
【0012】
本発明において、表示パネルが、透明導電層とパネル部との間に基板を備え、透明導電層が反射防止層であってもよい。ここで、基板は、偏光板であってもよいし、透明基板であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による表示パネル、表示装置および電子機器によれば、バリア層とは別体で、パネル部の上方に透明導電層を設け、バリア層および透明導電層のそれぞれに対して、水分に対する耐腐食性を持たせることができるようにしたので、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る表示装置の断面構成の一例を表す図である。
【図2】デュアルビュー表示のときのパネル部およびバリア層の断面構成の一例を表す図である。
【図3】3次元表示のときのパネル部およびバリア層の断面構成の一例を表す図である。
【図4】図1の表示装置の第1変形例を表す断面図である。
【図5】図1の表示装置の第2変形例を表す断面図である。
【図6】図1の表示装置の第3変形例を表す断面図である。
【図7】図1の表示装置の第4変形例を表す断面図である。
【図8】図1の表示装置の第5変形例を表す断面図である。
【図9】図1の表示装置の第6変形例を表す断面図である。
【図10】図1の表示装置の第7変形例を表す断面図である。
【図11】図1の表示装置の第8変形例を表す断面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る表示装置の断面構成の一例を表す図である。
【図13】図12の表示装置の第1変形例を表す断面図である。
【図14】図12の表示装置の第2変形例を表す断面図である。
【図15】図12の表示装置の第3変形例を表す断面図である。
【図16】一適用例に係る電子機器の一例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(液晶表示装置)
2.第2の実施の形態(有機EL表示装置)
3.適用例(電子機器)
【0016】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表したものである。なお、図1は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。表示装置1は、表示パネル20と、表示パネル20の背後に配置されたバックライト10と、表示パネル20およびバックライト10を支持する筐体30とを備えている。
【0017】
バックライト10は、表示パネル20を背後から照明する面発光源である。表示パネル20の上面が映像表示面となっており、筐体30は、少なくとも映像表示面に対応して開口を有している。また、筐体30は、例えば、少なくとも、上記の開口を形作るフレーム部分において導電性を有しており、好ましくは、フレーム部分を含む全体において導電性を有している。なお、本実施の形態では、筐体30は、非導電性であってもよい。
【0018】
表示パネル20は、外部から入力される映像信号に応じて各画素(図示せず)が駆動される透過型のパネルである。表示パネル20は、例えば、図1に示したように、液晶層24を一対の基板(下側基板23および上側基板25)で挟み込んだパネル部(後述のパネル部40に相当する。)を有している。下側基板23は、いわゆるTFT(Thin Film Transistor)基板であり、後述する導電体31と電気的に接続されるコモン配線を有している。コモン配線は、表示装置1の使用時に接地電位となる配線である。上側基板25は、いわゆるCF(カラーフィルター)基板である。
【0019】
表示パネル20は、例えば、図1に示したように、パネル部の下方(下側基板23側)に、粘着層22および偏光板21を有している。偏光板21は、粘着層22を介して下側基板23に固定されている。表示パネル20は、例えば、図1に示したように、パネル部の上方(上側基板25側)に、バリア層26を有している。バリア層26は、例えば、上側基板25の上面に直接形成されている。なお、バリア層26は、ガラス基板(図示せず)にバリア層26を形成したものを上側基板25の上面に貼り合わせたものであってもよい。表示パネル20は、例えば、図1に示したように、さらに、粘着層27、偏光板28およびAR(反射防止)層29を有している。偏光板28は、粘着層27を介して上側基板25に固定されている。AR層29は、偏光板28上に塗布することにより形成されたものである場合には、AR層29は、偏光板28に直接、接している。AR層29がフィルムからなる場合には、例えば、図示しない粘着層を介して偏光板28に固定されている。なお、本実施の形態では、必要に応じて、AR層29を省略することが可能である。
【0020】
本実施の形態では、粘着層27は、偏光板28とバリア層26とを互いに固定するだけでなく、透光性で導電性も有している。粘着層27は、さらに、水分に対する耐腐食性を有している。粘着層27は、例えば、特開平7−153313に記載されているような針状ITO(酸化インジウムスズ)を含む粘着剤からなる。
【0021】
表示パネル20は、さらに、例えば、図1に示したように、導電体31を有している。導電体31は、表示パネル20のうち上側基板25側に静電気などの電荷が溜まるのを防止するためのものである。本実施の形態では、導電体31は、導電性を有する粘着層27と、下側基板23のコモン配線とを互いに電気的に接続しており、例えば、柱状金属からなる。
【0022】
表示パネル20は、視点ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することの可能なマルチビュー表示、または特定の視点で3次元映像(立体映像)を視認することの可能な3次元表示を行うことの可能な表示パネルである。図2は、表示パネル20においてマルチビュー表示を行っている様子を模式的に表したものである。図3は、表示パネル20において3次元表示を行っている様子を模式的に表したものである。
【0023】
液晶層24を下側基板23および上側基板25で挟み込んだパネル部40は、例えば、図2、図3に示したように、複数の画素42が行列状に配置された表示領域を有している。各画素42は、複数の色の光を出射することが可能となっており、例えば、色ごとに2つのサブピクセル41を有している。各サブピクセル41は、例えば、赤、緑または青の光を出射することが可能となっている。各画素42は、例えば、図2、図3に示したように、2つの赤色用のサブピクセル41R、2つの緑色用のサブピクセル41G、および2つの青色用のサブピクセル41Bからなる。
【0024】
各画素42に含まれる複数のサブピクセル41は、例えば、ストライプ配列となっている。画素42同士の間や、サブピクセル41同士の間には、遮光部であるブラック43が配置されている。ブラック43は、例えば、面内で格子状に形成されている。
【0025】
バリア層26は、パネル部40の各画素42から出射された光(画像光)の一部を遮蔽するものである。バリア層26は、デュアルビュー表示のときには、一部の画素42を遮蔽することにより、観察者Hが2つの適視方向(後述のd1,d2)(図2参照)ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することを可能にするものである。このとき、表示装置1は、いわゆるデュアルビュー表示装置となっている。また、バリア層26は、3次元表示のときには、一部の画素42を遮蔽することにより、観察者Hの右目e1および左目e2(図3参照)ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することを可能にするものである。このとき、表示装置1は、いわゆる3次元表示装置となっている。
【0026】
バリア層26は、例えば、図2、図3に示したように、パネル部40と対向する位置に配置されている。バリア層26は、例えば、図2、図3に示したように、複数の光透過領域26Bが2次元配置されるとともに、各光透過領域26Bの周囲に遮光領域26Aが配置されたバリアパターンを有している。
【0027】
バリア層26は、水分に対する耐腐食性を有している。遮光領域26Aは、例えば、遮光部材によって構成されている。遮光部材としては、例えば、樹脂に黒色顔などを含有させたものが挙げられる。一方、光透過領域26Bは、例えば、開口となっている。複数の光透過領域26Bは、規則的に配置されており、行方向および列方向に2次元配置されている。遮光領域26Aおよび光透過領域26Bは、例えば、市松状に(つまり行方向および列方向に交互に)配置されている。
【0028】
バリア層26は、デュアルビュー表示のときには、例えば、図2に示したように、観察者Hが第1適視方向d1から表示パネル20を眺めたときに、各光透過領域26Bを介して所定のサブピクセル41の全体または一部が見える位置に配置されている。さらに、バリア層26は、デュアルビュー表示のときには、例えば、図2に示したように、観察者Hが第2適視方向d2から表示パネル20を眺めたときに、各光透過領域26Bを介して、先のサブピクセル41とは異なるサブピクセル41の全体または一部が見える位置に配置されている。つまり、各光透過領域26Bは、例えば、観察者Hが第1適視方向d1または第2適視方向d2から表示パネル20を眺めたときに、1つの光透過領域26Bから互いに異なる1つのサブピクセル41の全体または一部を視認可能に構成されている。このとき、観察者Hは、第1適視方向d1または第2適視方向d2から表示パネル20を眺めたときに、例えば、画素42ごとに、RGBの3色のサブピクセル41を視認することができる。
【0029】
バリア層26は、3次元表示のときには、例えば、図3に示したように、観察者Hが右目e1から表示パネル20を眺めたときに、各光透過領域26Bを介して所定のサブピクセル41の全体または一部が見える位置に配置されている。さらに、バリア層26は、3次元表示のときには、例えば、図3に示したように、観察者Hが左目e2から表示パネル20を眺めたときに、各光透過領域26Bを介して、先のサブピクセル41とは異なるサブピクセル41の全体または一部が見える位置に配置されている。つまり、各光透過領域26Bは、例えば、観察者Hが右目e1または左目e2から表示パネル20を眺めたときに、1つの光透過領域26Bから互いに異なる1つのサブピクセル41の全体または一部を視認可能に構成されている。このとき、観察者Hは、右目e1または左目e2から表示パネル20を眺めたときに、例えば、画素42ごとに、RGBの3色のサブピクセル41を視認することができる。
【0030】
[動作]
本実施の形態では、バックライト10から出力された光がパネル部40の各画素42で変調され、所定の画像光がバリア層26に出力される。その後、画像光の一部は、バリア層26の遮光領域26Aで遮断され、光透過領域26Bを透過した光が表示パネル20の映像表示面から出力される。映像表示面から出力された光は、例えば、バリア層26がデュアルビュー表示用となっている場合には、第1適視方向d1と平行な線分上の所定の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。さらに、映像表示面から出力された光は、例えば、第2適視方向d2と平行な線分上の所定の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。また、映像表示面から出力された光は、例えば、バリア層26が3次元表示用となっている場合には、右目e1の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。さらに、映像表示面から出力された光は、例えば、左目e2の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。これにより、観察者Hは3次元映像を視認することができる。
【0031】
[効果]
本実施の形態では、バリア層26とは別体で、パネル部40の上方に、透明導電層である粘着層27が設けられている。これにより、バリア層26および粘着層27のそれぞれに適した材料を選択することができるので、バリア層26および粘着層27のそれぞれに対して、水分に対する耐腐食性を持たせることが可能である。例えば、バリア層26において、遮光領域26Aを、樹脂に黒色顔などを含有させたもので構成し、光透過領域26Bを開口とし、粘着層27を、上述の針状ITOを含む粘着剤で構成することができる。このように、本実施の形態では、バリア層26を、水分に対して腐食しやすい金属薄膜で構成していない。従って、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0032】
[変形例]
(第1変形例)
上記実施の形態では、導電体31が柱状金属からなる場合が例示されていたが、例えば、金属ペーストで構成されていてもよい。導電体31が金属ペーストで構成されている場合には、例えば、図4に示したように、導電体31を、表示パネル20の側面に配置することが可能である。このとき、導電体31は、粘着層27の端部と、下側基板23のコモン配線とを互いに電気的に接続している。
【0033】
(第2変形例)
上記実施の形態では、粘着層27が導電性を有している場合が例示されていたが、例えば、AR層29が導電性を有していてもよい。この場合に、導電体31は、図5に示したように、表示パネル20の上面端部(つまり、AR層29の上面端部)に配置され、筐体30と、AR層29とを互いに電気的に接続している。このとき、導電体31は、柱状金属からなっていてもよいし、金属ペーストで構成されていてもよい。これにより、表示パネル20のうち上側基板25側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記実施の形態と同様、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0034】
(第3変形例)
上記第2変形例では、導電体31が表示パネル20の上面端部に設けられている場合が例示されていたが、例えば、図6に示したように、表示パネル20の側面に配置されていてもよい。ただし、この場合には、導電体31は、金属ペーストで構成されていることが好ましい。
【0035】
(第4変形例)
上記実施の形態ならびに第1変形例ないし第3変形例では、バリア層26が上側基板25の上に配置されている場合が例示されていたが、例えば、下側基板23の下に配置されていてもよい。例えば、図7に示したように、バリア層26が下側基板23の下に、下側基板23に接して形成されていてもよい。
【0036】
(第5変形例)
上記実施の形態において、バリア層26を、上側基板25の上ではなく、例えば、図8に示したように、下側基板23の下に配置した場合に、粘着層22が、粘着層27と同様の構成となっていることが好ましい。具体的には、粘着層22は、偏光板21とバリア層26とを互いに固定するだけでなく、透光性で導電性も有している。粘着層22は、さらに、水分に対する耐腐食性を有している。粘着層22は、例えば、特開平7−153313に記載されているような針状ITOを含む粘着剤からなる。
【0037】
本変形例において、表示パネル20は、例えば、図8に示したように、粘着層22と筐体30とを互いに電気的に接続する導電体32をさらに有していることが好ましい。これにより、表示パネル20のうち上側基板25だけでなく下側基板23側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記実施の形態と同様、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0038】
(第6変形例)
上記第1変形例において、バリア層26を、上側基板25の上ではなく、例えば、図9に示したように、下側基板23の下に配置した場合に、粘着層22が、粘着層27と同様の構成となっていることが好ましい。具体的には、粘着層22は、偏光板21とバリア層26とを互いに固定するだけでなく、透光性で導電性も有している。粘着層22は、さらに、水分に対する耐腐食性を有している。粘着層22は、例えば、特開平7−153313に記載されているような針状ITOを含む粘着剤からなる。
【0039】
本変形例において、表示パネル20は、例えば、図9に示したように、粘着層22と筐体30とを互いに電気的に接続する導電体32をさらに有していることが好ましい。これにより、表示パネル20のうち上側基板25だけでなく下側基板23側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記第1変形例と同様、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0040】
(第7変形例)
上記第2変形例において、バリア層26を、上側基板25の上ではなく、例えば、図10に示したように、下側基板23の下に配置した場合に、粘着層22が、上記の第6変形例における粘着層22と同様の構成となっていることが好ましい。
【0041】
本変形例において、表示パネル20は、例えば、図10に示したように、粘着層22と筐体30とを互いに電気的に接続する導電体32をさらに有していることが好ましい。これにより、表示パネル20のうち上側基板25だけでなく下側基板23側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記第2変形例と同様、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0042】
(第8変形例)
上記第3変形例において、バリア層26を、上側基板25の上ではなく、例えば、図11に示したように、下側基板23の下に配置した場合に、粘着層22が、上記の第6変形例における粘着層22と同様の構成となっていることが好ましい。
【0043】
本変形例において、表示パネル20は、例えば、図11に示したように、粘着層22と筐体30とを互いに電気的に接続する導電体32をさらに有していることが好ましい。これにより、表示パネル20のうち上側基板25だけでなく下側基板23側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記第3変形例と同様、表示パネル20において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0044】
<2.第2の実施の形態>
[構成]
図12は、第2の実施の形態に係る表示装置2の断面構成の一例を表したものである。なお、図12は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。表示装置2は、表示パネル50と、表示パネル50を支持する筐体30とを備えている。
【0045】
表示パネル50は、外部から入力される映像信号に応じて各画素(図示せず)が駆動される自発光型のパネルである。表示パネル50は、例えば、図12に示したように、有機EL層52を一対の基板(下側基板51および上側基板53)で挟み込んだパネル部(上記実施の形態のパネル部40に対応する。)を有している。下側基板51は、いわゆるTFT基板であり、導電体31と電気的に接続されるコモン配線を有している。コモン配線は、表示装置2の使用時に接地電位となる配線である。上側基板53は、ガラス基板などの透明基板である。
【0046】
表示パネル50は、例えば、図12に示したように、パネル部の上方(上側基板53側)に、バリア層26を有している。バリア層26は、例えば、上側基板53の上面に直接形成されている。なお、バリア層26は、ガラス基板(図示せず)にバリア層26を形成したものを上側基板53の上面に貼り合わせたものであってもよい。表示パネル50は、例えば、図12に示したように、さらに、粘着層27、支持基板54およびAR(反射防止)層29を有している。支持基板54は、粘着層27を介して上側基板53に固定されており、例えば、ガラス基板からなる。AR層29は、支持基板54上に塗布することにより形成されたものである場合には、AR層29は、支持基板54に直接、接している。AR層29がフィルムからなる場合には、例えば、図示しない粘着層を介して支持基板54に固定されている。なお、本実施の形態では、必要に応じて、AR層29を省略することが可能である。
【0047】
本実施の形態では、粘着層27は、支持基板54とバリア層26とを互いに固定するだけでなく、透光性で導電性も有している。粘着層27は、さらに、水分に対する耐腐食性を有している。粘着層27は、上記実施の形態と同様、例えば、特開平7−153313に記載されているような針状ITO(酸化インジウムスズ)を含む粘着剤からなる。
【0048】
表示パネル50は、さらに、例えば、図12に示したように、導電体31を有している。導電体31は、表示パネル50のうち上側基板53側に静電気などの電荷が溜まるのを防止するためのものである。本実施の形態では、導電体31は、導電性を有する粘着層27と、下側基板51のコモン配線とを互いに電気的に接続しており、例えば、柱状金属からなる。
【0049】
表示パネル50は、上記実施の形態の表示パネル20と同様、マルチビュー表示、または3次元表示を行うことの可能な表示パネルである。
【0050】
有機EL層52を下側基板51および上側基板52で挟み込んだパネル部40は、例えば、図2、図3に示したように、複数の画素42が行列状に配置された表示領域を有している。
【0051】
バリア層26は、パネル部40の各画素42から出射された光(画像光)の一部を遮蔽するものである。バリア層26は、デュアルビュー表示のときには、一部の画素42を遮蔽することにより、観察者Hが2つの適視方向(後述のd1,d2)(図2参照)ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することを可能にするものである。このとき、表示装置2は、いわゆるデュアルビュー表示装置となっている。また、バリア層26は、3次元表示のときには、一部の画素42を遮蔽することにより、観察者Hの右目e1および左目e2(図3参照)ごとでそれぞれ異なる2次元映像(平面映像)を視認することを可能にするものである。このとき、表示装置2は、いわゆる3次元表示装置となっている。
【0052】
[動作]
本実施の形態では、各画素42から出力された画像光がバリア層26に入射する。その後、画像光の一部は、バリア層26の遮光領域26Aで遮断され、光透過領域26Bを透過した光が表示パネル50の映像表示面から出力される。映像表示面から出力された光は、例えば、バリア層26がデュアルビュー表示用となっている場合には、第1適視方向d1と平行な線分上の所定の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。さらに、映像表示面から出力された光は、例えば、第2適視方向d2と平行な線分上の所定の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。また、映像表示面から出力された光は、例えば、バリア層26が3次元表示用となっている場合には、右目e1の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。さらに、映像表示面から出力された光は、例えば、左目e2の位置(視点)で結像し、2次元映像(平面映像)が生成される。これにより、観察者Hは3次元映像を視認することができる。
【0053】
[効果]
本実施の形態では、バリア層26とは別体で、パネル部40の上方に、透明導電層である粘着層27が設けられている。これにより、バリア層26および粘着層27のそれぞれに適した材料を選択することができるので、バリア層26および粘着層27のそれぞれに対して、水分に対する耐腐食性を持たせることが可能である。例えば、バリア層26において、遮光領域26Aを、樹脂に黒色顔などを含有させたもので構成し、光透過領域26Bを開口とし、粘着層27を、上述の針状ITOを含む粘着剤で構成することができる。このように、本実施の形態では、バリア層26を、水分に対して腐食しやすい金属薄膜で構成していない。従って、表示パネル50において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0054】
[変形例]
(第1変形例)
上記実施の形態では、導電体31が柱状金属からなる場合が例示されていたが、例えば、金属ペーストで構成されていてもよい。導電体31が金属ペーストで構成されている場合には、例えば、図13に示したように、導電体31を、表示パネル50の側面に配置することが可能である。このとき、導電体31は、粘着層27の端部と、下側基板51のコモン配線とを互いに電気的に接続している。
【0055】
(第2変形例)
上記実施の形態では、粘着層27が導電性を有している場合が例示されていたが、例えば、AR層29が導電性を有していてもよい。この場合に、導電体31は、図14に示したように、表示パネル20の上面端部(つまり、AR層29の上面端部)に配置され、筐体30と、AR層29とを互いに電気的に接続している。このとき、導電体31は、柱状金属からなっていてもよいし、金属ペーストで構成されていてもよい。これにより、表示パネル50のうち上側基板53側に静電気などの電荷が溜まるのを防止することができる。従って、上記第2の実施の形態と同様、表示パネル50において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0056】
(第3変形例)
上記第2変形例では、導電体31が表示パネル50の上面端部に設けられている場合が例示されていたが、例えば、図15に示したように、表示パネル50の側面に配置されていてもよい。ただし、この場合には、導電体31は、金属ペーストで構成されていることが好ましい。
【0057】
<3.適用例>
次に、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1,2の一適用例について説明する。図16は、本適用例に係る電子機器100の概略構成の一例を表す斜視図である。電子機器2は、携帯電話機であり、例えば、図16に示したように、本体部111と、本体部111に対して開閉可能に設けられた表示体部112とを備えている。本体部111は、操作ボタン115と、送話部116を有している。表示体部112は、表示装置113と、受話部117とを有している。表示装置113は、電話通信に関する各種表示を、表示装置113の表示画面114に表示するようになっている。電子機器100は、表示装置113の動作を制御するための制御部(図示せず)を備えている。この制御部は、電子機器100全体の制御を司る制御部の一部として、またはその制御部とは別に、本体部111または表示体部112の内部に設けられている。
【0058】
表示装置113は、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1,2と同一の構成を備えている。これにより、表示パネル20,50において、帯電および腐食の双方を防止することが可能である。
【0059】
以上、実施の形態、その変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0060】
例えば、上記実施の形態、その変形例および適用例では、各遮光領域26Aが遮光部材によって構成され、各光透過領域26Bが開口となっている場合が例示されていた。しかし、バリア層26が、遮光領域26Aの光学的な性質を、外部からの制御信号に基づいて制御可能な動的な構成となっていてもよい。このとき、駆動回路は、パネル部40だけでなく、バリア層26も駆動するようになっている。
【0061】
なお、上記実施の形態およびその変形例に係る表示装置1,2を適用可能な電子機器としては、以上に説明した携帯電話機等の他にも、パーソナルコンピュータ、液晶テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、インストルメント・クラスタ(計器盤)、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末器等が挙げられる。
【符号の説明】
【0062】
1,2…表示装置、10…バックライト、20,50…表示パネル、21,28…偏光板、22,27…粘着層、23,51…下側基板、24…液晶層、25,53…上側基板、26…バリア層、26A…遮光領域、26B…光透過領域、29…AR層、30…筐体、31,32…導電体、40…パネル部、41,41R,41G,41B…サブピクセル、42…画素、43…ブラック、d1…第1適視領域、d2…第2適視領域、e1…右目、e2…左目、H…観察者、100…電子機器、111…本体部、112…表示体部、113…表示装置、114…表示画面、115…操作ボタン、116…送話部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に配置されたパネル部と、
前記パネル部の上方または下方に配置され、かつ遮光領域および光透過領域が規則的に配置されたバリア層と、
前記パネル部の上方に配置された透明導電層と
を備え、
前記バリア層および前記透明導電層は、水分に対する耐腐食性を有する
表示パネル。
【請求項2】
前記透明導電層と導電性部材とを互いに電気的に接続する導電体をさらに備えた
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記パネル部は、前記導電性部材を含む第1基板を有する
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記導電性部材を当該表示パネル上面端部に備えた
請求項2に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記透明導電層は粘着層である
請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記透明導電層に接する偏光板を備え、
前記パネル部は、液晶層を有する
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記透明導電層に接する透明基板を備え、
前記パネル部は、発光層を有する
請求項5に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記透明導電層と前記パネル部との間に基板を備え、
前記透明導電層は反射防止層である
請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記基板は偏光板である
請求項8に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記基板は透明基板である
請求項8に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記バリア層および前記透明導電層は、水分に対する耐腐食性を有する
請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記バリア層は、前記遮光領域に遮光部材を有し、前記光透過領域に開口を有する
請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記バリア層は、前記遮光領域の光学的な性質を、外部からの制御信号に基づいて制御可能となっている
請求項11に記載の表示パネル。
【請求項14】
表示パネルと、
前記表示パネルを支持する筐体と
を備え、
前記表示パネルは、
複数の画素が行列状に配置されたパネル部と、
前記パネル部の上方または下方に配置され、かつ遮光領域および光透過領域が規則的に配置されたバリア層と、
前記パネル部の上方に配置された透明導電層と
を有する
表示装置。
【請求項15】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
表示パネルと、
前記表示パネルを支持する筐体と
を有し、
前記表示パネルは、
複数の画素が行列状に配置されたパネル部と、
前記パネル部の上方または下方に配置され、かつ遮光領域および光透過領域が規則的に配置されたバリア層と、
前記パネル部の上方に配置された透明導電層と
を有する
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−220806(P2012−220806A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87914(P2011−87914)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(598172398)株式会社ジャパンディスプレイウェスト (90)
【Fターム(参考)】