説明

表示パネルの製造方法

【課題】分割露光を行う場合に、隔壁における露光マスクの繋ぎ合わせ部分のズレを目立たなくする表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】基板320上に隔壁層311を形成する第1工程と、青色用開口部310Rに対応するマスクパターンを有する第1露光マスク10を用いて隔壁層311を露光する第2工程と、赤色用開口部310G及び緑色用開口部310Gに対応するマスクパターンを有する第2露光マスク20を用いて隔壁層311を露光する第3工程と、隔壁層311を除去することにより、隔壁層311に、赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bを形成して、隔壁310を形成する第4工程と、各開口部に発光層341を形成する第5工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法に関し、特に、複数の開口部が形成された隔壁を有する有機EL(Electro Luminescence)表示パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示パネル等の表示パネルでは、マトリクス状に配列された複数の画素によって表示領域が構成されている。複数の画素のそれぞれは、赤色、緑色及び青色の3色に対応するサブ画素によって構成されている。さらに、各サブ画素は、各色に対応する発光層を有し、各発光層はバンクと呼ばれる隔壁によって区画されている。各発光層は、発光色ごとに、隔壁の各開口部内に形成されている。このような隔壁としては、複数のサブ画素を列単位で区画するラインバンクやサブ画素単位で区画するピクセルバンク等がある。
【0003】
隔壁は、感光性樹脂を用いて形成されることが多く、例えば、基板上にポジ型の感光性樹脂又はネガ型の感光性樹脂を塗布し、その後、所定のマスクパターンを有する露光マスク(レチクル)を用いて露光及び現像することによって開口部を形成する。これにより、所定形状の隔壁を形成することができる。
【0004】
近年、表示パネルの大画面化に伴って基板も大型化し、一枚の露光マスクを用いて一度に所定形状の隔壁を形成することが困難になってきている。このため、隔壁を形成する領域を複数の領域に分割し、この分割した複数の領域に対応させた複数の露光マスクを用いて露光を行う方法(分割露光)が提案されている。また、大型の基板ではない場合であっても、露光装置の方式によっては、分割露光を行うことが必要な場合もある。
【0005】
このような分割露光による隔壁の形成方法について、図16を用いて説明する。図16は、従来の分割露光による隔壁の形成方法を説明するための図である。図16(a)は、一般的な表示パネルの平面図であり、図16(b)は、同表示パネルにおける表示領域の一部拡大図である。
【0006】
図16(a)に示すように、表示パネル1100の表示領域1200は、マトリクス状に配列された複数の画素1300によって構成されている。表示パネル1100の表示領域1200に隔壁を形成する際、図16(a)に示すように、例えば、表示領域1200を9つの領域(ブロック)に均等に分割して行う。具体的には、9つの分割領域1200A〜1200Iの各分割領域に対応する1枚の露光マスクを準備し、この露光マスクを用いて9つの分割領域1200A〜1200Iに対して順次9回の露光を行うことによって表示領域1200全体の露光を行う。なお、表示領域1200全体の露光が完了した後は、現像等することによって開口部を形成することで所定形状の隔壁を得ることができる。
【0007】
しかしながら、このように表示領域を単純に分割してしまうと、露光精度の問題で分割領域毎に露光マスクの位置ズレが生じて、隔壁における露光マスクの繋ぎ合わせ部分(分割ライン)が顕著化してしまうという問題がある。すなわち、図16(a)において、9つの分割領域1200A〜1200Iのそれぞれに対して露光マスクの位置合わせを正確に行うことができなかった場合に、露光マスクの繋ぎ合わせ部分において隣接画素における隔壁のパターンがずれてしまうという問題がある。例えば、図16(b)に示すように、分割領域1200Dに対応する画素1300Dの隔壁のパターンと、分割領域1200Dの右側に隣接する分割領域1200Eに対応する画素1300Eの隔壁パターンとが、画素の列方向にずれてしまう場合がある。
【0008】
そこで、分割露光を行う場合に、露光マスクの繋ぎ合わせ部分で一方の露光マスクが他方の露光マスクと重なるようにして露光を行うとともに、分割ラインが一直線とならないように露光マスクの重なり部分におけるマスクパターンを例えば1画素を基本とする千鳥状として露光するパターン形成方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に開示されたパターン形成方法は、画素の電極等をパターン形成するものであり、図17に示すように、個々の画素パターンの3個分が第1露光マスク2100と第2露光マスク2200との重なり部分となっており、第1露光マスク2100のパターン形成領域2101及び第2露光マスク2200のパターン形成領域2201と、第1露光マスク2100の遮光領域2102及び第2露光マスク2200の遮光領域2202とが、縦方向及び横方向に交互に千鳥状に並んでいる。これにより、仮に、露光マスクの繋ぎ合わせ部分にズレが生じたとしても、そのズレを目立たなくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−236930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、露光マスクのパターンを画素単位で工夫しただけでは、露光マスクの繋ぎ合わせ部分にズレが生じた場合に、隔壁における露光マスクの繋ぎ合わせ部分のズレが認識されてしまうという問題がある。すなわち、露光マスクの位置ズレに伴う画素ズレの軽減が十分ではないという問題がある。
【0012】
また、図17に示すような方法では、千鳥状という複雑なマスクパターンを有する露光マスクが必要となり、レチクル数又は露光数(ショット数)が増えるという問題がある。
【0013】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、分割露光を行う場合であっても、露光マスクのマスクパターンを複雑にすることなく、隔壁における露光マスクの繋ぎ合わせ部分のズレを目立たなくする表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するために、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様は、隔壁によって区画された発光層を有する表示パネルの製造方法であって、基板上に隔壁層を形成する第1工程と、第1の複数の開口部に対応する第1露光マスクを用いて、前記隔壁層の第1領域を露光する第2工程と、第2の複数の開口部に対応する第2露光マスクを用いて、前記第1領域の一部と重複するように前記隔壁層の第2領域を露光する第3工程と、前記第1及び第2の複数の開口部に対応する領域における前記隔壁層を除去することにより前記隔壁層に前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部を形成して、前記隔壁を形成する第4工程と、前記第1及び第2の複数の開口部の各々に前記発光層を形成する第5工程と、を含み、前記第1及び第2の複数の開口部は、所定個の開口部を一単位として一画素を構成するように形成され、前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記第1領域と前記第2領域とが重複する領域である重複領域における前記第1の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の一の開口部に対応するように構成され、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の前記一の開口部以外の他の開口部に対応するように構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、露光マスクの繋ぎ合わせ部分における隔壁のパターンずれを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの構成を説明するための図である。
【図2】図1のA−A’線における発明の実施の形態1に係る表示パネルの断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法における当該表示パネルと露光マスクとの配置関係を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【図6A】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法において、図3に示す重複領域における第1露光マスクと第2露光マスクとの配置関係を示す図である。
【図6B】図6Aに示すマスクの配置によって形成された隔壁のパターンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の各工程を説明するための断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【図10A】本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法において、図3に示す重複領域における第1露光マスクと第2露光マスクとの配置関係を示す図である。
【図10B】図11Aに示すマスクの配置によって形成された隔壁のパターンを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法における表示パネルの分割領域を説明するための図である示す図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法に用いられる露光マスクの構成を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法における露光マスクとの配置関係を説明するための図である。
【図16】従来の分割露光による隔壁の形成方法を説明するための図である。
【図17】特許文献1に開示されたパターン形成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様は、基板上に隔壁層を形成する第1工程と、第1の複数の開口部に対応する第1露光マスクを用いて、前記隔壁層の第1領域を露光する第2工程と、第2の複数の開口部に対応する第2露光マスクを用いて、前記第1領域の一部と重複するように前記隔壁層の第2領域を露光する第3工程と、前記第1及び第2の複数の開口部に対応する領域における前記隔壁層を除去することにより前記隔壁層に前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部を形成して、前記隔壁を形成する第4工程と、前記第1及び第2の複数の開口部の各々に前記発光層を形成する第5工程と、を含み、前記第1及び第2の複数の開口部は、所定個の開口部を一単位として一画素を構成するように形成され、前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記第1領域と前記第2領域とが重複する領域である重複領域における前記第1の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の一の開口部に対応するように構成され、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の前記一の開口部以外の他の開口部に対応するように構成される。
【0018】
本態様によれば、分割露光によって隔壁を形成する際、隔壁層における第1露光マスクと第2露光マスクとの重複領域において、第1露光マスクを用いて露光する第1領域と第2露光マスクを用いて露光する第2領域との境が、複数の開口部を含む一画素単位ではなく、一画素内の複数の開口部のうちの1つの開口部に対応するサブ画素単位で区分けされている。
【0019】
これにより、第1露光マスクを用いて露光する第1領域と第2露光マスクを用いて露光する第2領域との境を画素単位で区分けする場合と比較して、第1露光マスクと第2露光マスクとを重複させる領域をより狭くすることが可能となる。このため、露光マスクの重複領域を小さくする分だけ、重複領域に形成される開口部の視認性を低下させることができる。この結果、仮に、第1露光マスク及び第2露光マスクの位置がずれて、第1露光マスクによって形成された開口部と第2露光マスクによって形成された開口部とにズレが生じたとしても、露光マスクの重複領域自体を小さくできるので、一枚の表示パネルに対して複数の露光マスクを用いて隔壁を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0020】
また、第1露光マスクによって形成された開口部と第2露光マスクによって形成された開口部とにズレが生じたとしても、このズレは一画素内でのズレである。人は、表示画素を見るとき、一画素内のそれぞれの開口部によって放出される光を混同させて、画素毎に、ある特定の色を表示する画素として認識する。従って、仮に、一画素内でズレが生じたとしても、人が認識する表示画素としては大きな差異が無いので、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0021】
さらに、第1露光マスクによる露光領域(第1領域)と第2露光マスクによる露光領域(第2領域)との境をサブ画素単位とすることにより、第1露光マスクによる露光領域と第2露光マスクによる露光領域との境を直線状とすることができる。これにより、隔壁層の重複領域に対応する第1露光マスク及び第2露光マスクのマスクパターンを直線状にすることができ、マスクパターンを単純化することができる。従って、レチクル数やショット数を増加させることなく、隔壁層の重複領域における開口部のパターンのズレを目立たなくすることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記一画素を構成する前記所定個の開口部の各々は、複数色の各々に対応し、前記複数色は、青色を含み、前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記一の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成され、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記他の開口部が前記複数色の中の前記青色以外の色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成されることが好ましい。
【0023】
本態様によると、一画素内において、第1露光マスクを用いて形成される開口部は青色の光を発する発光層が形成される開口部に対応し、第2露光マスクを用いて形成される開口部は青色以外の色の光を発する発光層が形成される開口部に対応する。これにより、隔壁層の重複領域において、第1露光マスクにより形成された開口部と、第2露光マスクにより形成された開口部とにズレが生じたとしても、青色の光を発する発光層に対応する開口部と青色以外の色の光を発する発光層に対応する開口部との間においてズレが生じずることなる。この場合、ズレの発生箇所は、画素と画素との間ではなく、サブ画素とサブ画素との間となり、一画素内に紛れることになる。特に、青色は人の目による視認性が低いので、仮に、青色の光を発する発光層に対応する開口部と青色以外の色の光を発する発光層に対応する開口部とにズレが生じていたとしても、人の目にはズレとして認識されにくくなる。この結果、一枚の表示パネルに対して複数の露光マスクを用いて隔壁を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記一画素を構成する前記所定個の開口部は、更に、赤色の光を発する前記発光層に対応する開口部及び緑色の光を発する前記発光層に対応する開口部を含み、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記他の開口部が前記赤色及び緑色の各々の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成される、とすることができる。
【0025】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記隔壁層に形成された前記第1及び第2の複数の開口部は、前記一画素内における各色の光を発する発光層の単位で分離していることが好ましい。
【0026】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクは、前記一画素を構成する前記所定個の開口部が配列される配列方向に対して垂直な方向に配列されるように配置され、前記第1及び第2の複数の開口部のうち前記重複領域に形成される開口部は、前記配列方向に対して垂直な方向に配列された前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクによって形成される、としてもよい。あるいは、前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクは、前記一画素を構成する前記所定個の開口部が配列される配列方向に対して平行に配列されるように配置され、前記第1及び第2の複数の開口部のうち前記重複領域に形成される開口部は、前記配列方向に対して平行な方向に配列された前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクによって形成される、としてもよい。
【0027】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクを用いた露光は、ポジ方式であり、前記第1及び第2の複数の開口部に対応する前記隔壁層を露光するようにしてもよい。あるいは、前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクを用いた露光は、ネガ方式であり、前記第1及び第2の複数の開口部以外の領域に対応する前記隔壁層を露光するようにしてもよい。
【0028】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記第6工程において形成される前記発光層は、有機発光層である、とすることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記第1及び第2の複数の開口部を構成する前記一画素には、第1の一画素と第2の一画素とが含まれ、前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第1の複数の開口部が、少なくとも、前記第1の一画素内における一の開口部と、前記第2の一画素内における一の開口部とに対応するように構成され、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の複数の開口部が、少なくとも、前記第1の一画素内における他の開口部と、前記第2の一画素内における他の開口部とに対応するように構成され、前記第4工程において、前記第1の一画素内の前記一の開口部と前記第2の一画素内の前記他の開口部とが、同じ色の光を発する前記発光層に対応する開口部となるように形成されることが好ましい。
【0030】
本態様によると、重複領域に対応する第1露光マスク及び第2露光マスクの各々のマスクパターンは、異なる色の光を発する発光層及び同じ色の光を発する発光層の開口部に対応するパターンを有するように構成されている。すなわち、隔壁層の重複領域に対応する第1露光マスク及び第2露光マスクの各々には、一画素分の開口部に相当するマスクパターンが形成されている。これにより、重複領域に形成される開口部の規則性が緩和されるので、重複領域における各画素内での開口部のズレを一層認識されにくくすることができる。この結果、一枚の表示パネルに対して複数の露光マスクを用いて隔壁を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0031】
さらに、本発明に係る表示パネルの製造方法の一態様において、前記第1及び第2の一画素を構成する前記所定個の開口部の各々は、複数色の各々に対応し、前記複数色は、青色を含み、前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第1の一画素内の前記一の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成され、前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の一画素内の前記他の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成されることが好ましい。
【0032】
本態様によると、重複領域に対応する第1露光マスク及び第2露光マスクの各々には、一画素分の開口部に相当するマスクパターンが形成されていることに加えて、さらに、1個の開口部を青色の光を発する発光層に対応する開口部としている。これにより、重複領域に形成される開口部の規則性を緩和することができるとともに、人の目による視認性が低い青色に対応する開口部を境としてズレが生じるので人の目にはズレとして認識されにくくなる。この結果、一枚の表示パネルに対して複数の露光マスクを用いて隔壁を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0033】
(実施の形態)
以下、本発明に係る表示パネルの製造方法について、実施の形態に基づいて図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。また、全ての図を通じて同じ構成要素には同じ符号を付しており、詳しい説明は省略又は簡略化する。
【0034】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る表示パネル100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの構成を説明するための図である。図2は、図1のA−A’線における同表示パネルの断面図である。
【0035】
図1(a)に示すように、表示パネル100は、画像が表示される表示領域200を備える。表示領域200は複数の画素によって構成されており、複数の画素は隔壁(バンク)によって区画されている。表示パネル100において隔壁を形成する場合、表示領域200を複数の領域(ブロック)に分割して露光及び現像等を行う。例えば、図1(a)に示すように、表示領域200を2つの分割領域200Aと分割領域200Bとに左右均等に分割して露光及び現像等を行う。
【0036】
分割領域200A及び200Bの各々は、露光マスクの1ショットに対応し、マトリクス状に配列された複数の画素300によって構成されている。また、各画素300は、複数の開口部が形成された隔壁310を有しており、本実施の形態における隔壁310は、図1(b)に示すように、赤色の光を発する発光層(赤色発光層)に対応する開口部である赤色用開口部310Rと、緑色の光を発する発光層(緑色発光層)に対応する開口部である緑色用開口部310Gと、青色の光を発する発光層(青色発光層)に対応する開口部である青色用開口部310Bとを有する。
【0037】
また、本実施の形態における表示パネル100は、発光層等の有機材料が塗布方式によって形成された有機EL表示パネルであって、図2に示すように、基板320と、基板320上に順次形成された、下部電極(陽極)330、発光層341を含む有機層340、及び上部電極(陰極)350からなる有機EL素子と、発光層341を複数の発光領域に分離して区画するための所定形状の隔壁310と、封止樹脂層350と、透光基板370とを備える。
【0038】
隔壁310は、発光色ごとに発光層341を分離して区画するためのバンクであり、例えば、レジストなどの黒色の感光性樹脂によって構成されている。
【0039】
基板320は、例えば、透明の無アルカリガラスからなる透明ガラス基板である。なお、図示しないが、基板320と有機EL素子との間に、薄膜トランジスタ等の回路素子を含む駆動回路と当該駆動回路を平坦化するための平坦化膜とからなる平坦化層を備えていてもよい。
【0040】
下部電極330は、画素ごとに分離形成された陽極(アノード)であり、反射電極として形成することができる。下部電極330は、例えば、アルミニウム(Al)などの反射金属によって構成することができる。
【0041】
発光層341は、隔壁310の赤色用開口部310Rに対応する赤色発光層341Rと、隔壁310の緑色用開口部310Gに対応する緑色発光層341Gと、隔壁310の青色用開口部310Bに対応する青色発光層341Bとからなる。
【0042】
赤色発光層341R、緑色発光層341G及び青色発光層341Bの各発光層は、下部電極330と上部電極350とに所定の電圧が印加されることにより注入された電子と正孔とが再結合して生じるエネルギーにより、当該発光層を構成する発光材料が励起されて発光する。各発光層は、発光色ごとに所定の電界発光機能を有する有機材料によって構成された有機発光層である。
【0043】
上部電極350は、下部電極330と対向するように形成された陰極(カソード)であり、透明電極として構成することができる。上部電極350は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明金属酸化物によって構成することができる。なお、上部電極350は、全画素に共通の共通電極である。
【0044】
また、有機層340は、発光層341の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を有するように構成しても構わない。また、図示しないが、上部電極350上には封止樹脂層360が形成され、その上には接着樹脂層(不図示)を介してガラス基板等の透光基板370が接着される。
【0045】
次に、隔壁310を形成する場合における表示パネル100と露光マスクとの関係について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法における当該表示パネルと露光マスクとの配置関係を説明するための図である。
【0046】
図3に示すように、本実施の形態では、第1露光マスク10と第2露光マスク20との2種類の露光マスクを用いて隔壁310を形成する。図3において横線のハッチングで示される第1露光マスク10は、図1に示される分割領域200Aに対応するように配置される。また、図3において縦線のハッチングで示される第2露光マスク20は、図1に示される分割領域200Bに対応するように配置される。
【0047】
第1露光マスク10は、隔壁310を形成するためのベース層となる隔壁層における第1領域を露光するためのフォトマスクであり、隔壁310の第1の複数の開口部に対応するパターンが描画されている。一方、第2露光マスク20は、隔壁層における第2領域を露光するためのフォトマスクであり、隔壁310の第2複数の開口部に対応するパターンが描画されている。
【0048】
また、隔壁層を露光する際、第1露光マスク10と第2露光マスク20とは、隔壁層上において、第1露光マスク10によって露光される第1領域と第2露光マスク20によって露光される第2領域とが一部重複するように配置される。すなわち、図3に示すように、隔壁層には、第1露光マスク10によって露光される第1領域と第2露光マスク20によって露光される第2領域とが重複する領域(重複露光領域)として、重複領域30が設定されている。
【0049】
重複領域30は、第1露光マスク10と第2露光マスク20とが横方向に重なり合う部分に対応する領域であり、第1露光マスク10と第2露光マスク20とは、各露光時において各露光マスクの重複領域30が一致するように配置される。すなわち、第1露光マスク10及び第2露光マスク20は、各露光時において、一画素を構成する所定個の開口部が配列される配列方向に対して平行に配列されるように配置される。
【0050】
次に、第1露光マスク10及び第2露光マスク20のマスクパターンについて、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【0051】
図4(a)に示すように、第1露光マスク10においては、基本領域11におけるマスクパターンと、基本領域11の周辺の領域である周辺領域12におけるマスクパターンとが異なっている。
【0052】
基本領域11のマスクパターンは、一画素単位で全て同じパターンとなっており、隔壁310における一画素分の所定個の開口部に対応するように構成される。本実施の形態における基本領域11のマスクパターンは、図4(b)に示すように、一画素当たり、一画素分の開口部(RGB3つの開口部)が含まれるようなパターンであり、具体的には、赤色用開口部310Rに対応する開口である赤色用開口パターン11Rと、緑色用開口部310Gに対応する開口である緑色用開口パターン11Gと、青色用開口部310Bに対応する開口である青色用開口パターン11Bとからなる。
【0053】
一方、周辺領域12のマスクパターンは、一画素当たり、一画素内の一つの開口部に対応するパターンであり、本実施の形態では、サブ画素単位で全て同じパターンとなるように構成されている。具体的に、周辺領域12のマスクパターンは、図4(c)に示すように、青色用開口部310Bに対応する開口である青色用開口パターン12Bのみによって構成されている。また、周辺領域12における青色用開口パターン12Bは、画素の列方向に沿って描画されている。
【0054】
なお、本実施の形態において、基本領域11の青色用開口パターン11Bと、周辺領域12の青色用開口パターン12Bとは同じ形状及び大きさである。
【0055】
また、図5(a)に示すように、第2露光マスク20においては、基本領域21におけるマスクパターンと、基本領域21の周辺の領域である周辺領域22におけるマスクパターンとが異なっている。なお、第2露光マスク20は、第1露光マスク10と全体の形状及び大きさが同じである。また、第2露光マスク20における基本領域21と第1露光マスク10における基本領域11とは同じ形状及び大きさであり、第2露光マスク20における周辺領域22と第1露光マスク10における周辺領域12とも同じ形状及び大きさである。
【0056】
第2露光マスク20の基本領域21のマスクパターンは、第1露光マスク10の基本領域11のマスクパターンと同じであり、一画素単位で全て同じパターンとなっており、隔壁310における一画素分の所定個の開口部に対応するように構成される。従って、本実施の形態における基本領域21のマスクパターンは、図5(b)に示すように、一画素当たり、一画素分の開口部(RGB3つの開口部)が含まれるようなパターンであり、具体的には、赤色用開口部310Rに対応する開口である赤色用開口パターン21Rと、緑色用開口部310Gに対応する開口である緑色用開口パターン21Gと、青色用開口部310Bに対応する開口である青色用開口パターン21Bとからなる。
【0057】
一方、第2露光マスク20の周辺領域22のマスクパターンと第1露光マスク10の周辺領域12のマスクパターンとは、隔壁310における一画素内のサブ画素単位の開口部に対応するように構成されている点は同じであるが、互いに異なる色の光を発する発光層の開口部に対応する点で異なる。
【0058】
すなわち、第2露光マスク20の周辺領域22のマスクパターンは、隔壁310における一画素内の他の開口部に対応するパターンであり、図5(c)に示すように、赤色用開口部310Rに対応する開口である赤色用開口パターン22Rと、緑色用開口部310Gに対応する開口である緑色用開口パターン22Gとからなる。赤色用開口パターン22Rと緑色用開口パターン22Gとは、画素の列方向に沿って並列に描画されている。なお、第2露光マスク20の周辺領域22におけるマスクパターンは、第1露光マスク10の周辺領域12におけるマスクパターンと同様に、サブ画素単位で全て同じパターンとなるように構成されている。
【0059】
なお、本実施の形態において、基本領域21における赤色用開口パターン21R及び緑色用開口パターン21Gと、周辺領域22における赤色用開口パターン22R及び緑色用開口パターン22Gとは、同じ形状及び大きさである。
【0060】
このように、第1露光マスク10と第2露光マスク20とにおいて、隔壁層の重複領域30に対応する周辺領域12及び22のマスクパターンは、同一画素内に形成される複数の開口部が割り当てられるように構成されている。本実施の形態では、第1露光マスク10の周辺領域12における青色用開口パターン12Bと、第2露光マスク20の周辺領域22における赤色用開口パターン22R及び緑色用開口パターン22Gとで、一画素分の3つのRGBの開口部に対応するように構成されている。
【0061】
また、本実施の形態において、表示領域200全体に対して、第1露光マスク10及び第2露光マスク20の2つのマスクを用いて順次露光するので、表示領域200全体における隔壁310の全ての開口部は、第1の複数の開口部と第2の複数の開口部とによって構成される。隔壁310における第1及び第2の複数の開口部は、所定個の開口部を一単位として一画素を構成するように形成され、本実施の形態では、RGB3個の開口部を一単位として一画素が構成されている。
【0062】
次に、第1露光マスク10及び第2露光マスク20を用いて露光する際における両マスクの配置と、このときに形成される隔壁310とについて、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法において、図3に示す重複領域における第1露光マスクと第2露光マスクとの配置関係を示す図である。図6Bは、図6Aに示すマスクの配置によって形成された隔壁のパターンを示す図である。
【0063】
図6Aに示すように、第1露光マスク10及び第2露光マスク20は、画素の行方向における第1露光マスク10の周辺領域12と第2露光マスク20の周辺領域22とが丁度重なり合うようにして配置される。この場合、周辺領域12及び22は、第1露光マスク10と第2露光マスク20とが重複する重複領域30と一致する。
【0064】
このとき、重複領域30における第1露光マスク10と第2露光マスク20とで構成されるマスクパターンが、一画素分の各開口部に割り当てられるように構成されているので、重複領域30に形成される一画素当たりの開口部は、第1露光マスク10と第2露光マスク20とで丁度一画素分の数の開口部となるように形成される。本実施の形態では、図6Aに示すように、重複領域30に形成される一画素当たりの開口部は、第1露光マスク10と第2露光マスク20とで丁度RGB3つの開口部となるように形成される。
【0065】
このように配置される第1露光マスク10と第2露光マスク20とを用いて、隔壁層に対して露光及び現像等を施すことにより、図6Bに示すように、重複領域30における隔壁層に、赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bが形成され、所定形状の隔壁310を形成することができる。
【0066】
このとき、第1露光マスク10又は第2露光マスク20が所定の位置からずれて、図6Bに示すように、第1露光マスク10によって形成された青色用開口部310Bと第2露光マスク20によって形成された赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間にズレが生じたとしても、このズレは、一画素を構成するサブ画素単位のズレであるので、重複領域30に形成される青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間のズレは目立たない。これにより、露光マスクの位置ズレに伴う画素ズレを軽減することができる。
【0067】
また、第1露光マスク10による露光領域(第1領域)と第2露光マスク20による露光領域(第2領域)との境をサブ画素単位とすることによって、図6A及び図6Bに示すように、第1露光マスク10によって露光される第1領域と第2露光マスク20によって露光される第2領域との境が直線状であっても、重複領域30における隔壁310の開口部のパターンのズレを目立たなくすることができる。すなわち、第1露光マスク10及び第2露光マスク20のマスクパターンを単純化した場合であっても、隔壁310における開口部のパターンのズレを目立たなくすることができる。このように、本実施の形態ではマスクパターンを単純化することができるので、レチクル数やショット数を増加させることがない。
【0068】
なお、図6Aでは、第1露光マスク10と第2露光マスク20とが重なるように図示されているが、露光の際には、第1露光マスク10と第2露光マスク20とが同時に重なることはなく、第1露光マスク10及び第2露光マスク20のいずれか一方のマスクでの露光が終わった後に、他方のマスクでの露光を行う。
【0069】
次に、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法について説明する。本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法は、基板上に隔壁層を形成する第1工程と、第1露光マスクを用いて隔壁層の第1領域を露光する第2工程と、第2露光マスクを用いて隔壁層の第2領域を露光する第3工程と、露光領域に従って隔壁層に複数の開口部を形成して所定形状の隔壁を形成する第4工程と、複数の開口部に発光層を形成する第5工程とを含む。以下、各工程について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る表示パネルの製造方法の各工程を説明するための断面図である。なお、図7では、重複領域30(周辺領域12、22)のみを図示している。また、第1露光マスク10の基本領域11及び第2露光マスク20の基本領域21に対応する露光については説明しないが、基本領域11及び21における露光は、一画素内におけるRGB3つの開口部に対応する隔壁層311の領域に対して同時に行われる。
【0070】
まず、図7(a)に示すように、基板320上に、感光性樹脂からなる隔壁層311を形成する(第1工程)。なお、基板320には平坦化層が形成されており、隔壁層311を形成する前に、図2に示すように、当該平坦化層上に所定形状の下部電極330をパターン形成しておいても構わない。
【0071】
次に、図7(b)に示すように、第1露光マスク10を用いて、隔壁層311の第1領域を露光する(第2工程)。このとき、第1露光マスク10の青色用開口パターン12Bによって、青色用開口部310Bに対応する隔壁層311の第1領域が露光される。
【0072】
この第1露光マスク10による第1露光工程は、例えば、まずは、図1に示す分割領域200Aに対して行う。この場合、分割領域200A以外の領域は、露光されないように遮光されている。
【0073】
次に、図7(c)に示すように、第2露光マスク20を用いて、重複領域30において第1露光マスク10の周辺領域12と第2露光マスク20の周辺領域22とが重複するようにして隔壁層311の第2領域を露光する(第3工程)。このとき、第1露光マスク10の青色用開口パターン12Bによって、青色用開口部310Bに対応する隔壁層311の第1領域が露光される。
【0074】
この第2露光マスク20による第2露光工程は、例えば、図1に示す分割領域200Bに対して行う。この場合、分割領域200B以外の領域は、露光されないように遮光されている。
【0075】
これにより、図7(d)に示すように、重複領域30における隔壁層311の露光が完了する。すなわち、重複領域30の隔壁層311において、一画素を構成する所定個の開口部に対応する部分の露光が完了する。本実施の形態では、一画素を構成する3つの開口部、すなわち、赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bに対応する部分の隔壁層311が露光される。
【0076】
表示領域200全体の露光が完了した後は、所定の現像液を用いて隔壁層311を現像することにより、図7(e)に示すように、第1露光工程及び第2露光工程によって露光された部分の隔壁層311を除去し、隔壁層311に複数の開口部を形成して所定形状の隔壁310を形成する(第4工程)。本実施の形態では、隔壁層311に、赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bの3つの開口部が形成される。
【0077】
次に、図7(f)に示すように、隔壁310の各開口部に発光層341を形成する(第5工程)。具体的には、隔壁310における赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bのそれぞれに対応して、赤色発光層341R、緑色発光層341G及び青色発光層341Bが含まれるように、所定の有機材料からなる有機層340を形成する。その後、有機層340上に上部電極350を形成する。なお、その後は、上部電極350上に封止樹脂層360を形成し、その上に接着樹脂層(不図示)を形成して透光基板370を貼り合わせることによって表示パネル100が完成する。
【0078】
以上、本実施の形態によれば、分割露光によって隔壁310を形成する際、重複領域30において、第1露光マスク10を用いて露光する領域と第2露光マスク20を用いて露光する領域との境がサブ画素単位で区分けされている。
【0079】
これにより、露光領域の境を画素単位で設ける場合と比較して、第1露光マスク10と第2露光マスク20とを重複させる領域をより狭くすることができる。このため、当該露光マスクの重複領域を小さくする分だけ、重複領域に形成される開口部の視認性を低下させることができる。この結果、仮に、第1露光マスク10又は第2露光マスク20が所定の位置からずれて、第1露光マスク10によって形成された青色用開口部310Bと第2露光マスク20によって形成された赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間にズレが生じたとしても、露光マスクの重複領域自体を小さくすることができるので、分割露光によって隔壁310を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0080】
また、このように、第1露光マスク10によって形成された青色開口部310Bと第2露光マスク20によって形成された赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとにズレが生じたとしても、このズレは一画素内でのズレである。人は、表示画素を見るとき、一画素内のそれぞれの開口部によって放出される色の光を混同させて、画素毎に、ある特定の色を表示する画素として認識する。従って、仮に、一画素内でズレが生じたとしても、人が認識する表示画素としては大きな差異が無いので、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0081】
また、本実施の形態のように、第1露光マスク10による露光領域(第1領域)と第2露光マスク20による露光領域(第2領域)との境をサブ画素単位とすることにより、第1露光マスク10による露光領域と第2露光マスク20による露光領域との境を直線状とすることができる。これにより、重複領域30に対応する第1露光マスク10及び第2露光マスク20のマスクパターンを直線状することができ、マスクパターンを単純化することができる。従って、レチクル数やショット数を増加させることなく、重複領域30における青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間のパターンのずれを目立たなくすることができる。
【0082】
さらに、本実施の形態では、重複領域30における第1露光マスク10のマスクパターンは、青色発光層341Bが形成される青色用開口部310Bに対応する青色用開口パターン12Bで構成されている。また、重複領域30における第2露光マスク20のマスクパターンは、赤色発光層341Rが形成される赤色用開口部310Rに対応する赤色用開口パターン22Rと、緑色発光層341Gが形成される緑色用開口部310Gに対応する緑色用開口パターン22Gとからなる。すなわち、第1露光マスク10と第2露光マスク20との分割ラインが、緑色用開口部310Gと青色用開口部310Bとの間にあり、青色用開口部310Bを基準として設定されている。
【0083】
これにより、重複領域30において、第1露光マスク10又は第2露光マスク20が所定の位置からずれたとしても、青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間において、開口部のパターンのズレが生じることになる。この場合、ズレの発生箇所は、画素と画素との間ではなく、一画素内に紛れることになる。特に、青色は人の目による視認性が低いため、仮に、青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間にズレが生じていたとしても、人の目にはズレとして認識されにくくなる。この結果、分割露光によって隔壁310を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0084】
なお、本実施の形態において、有機EL表示パネルは、塗布方式によって製造したが、これに限らない。但し、発光領域が隔壁により規定される方式の場合(例えば、本実施の形態のような塗布方式)において本発明の効果は顕著である。
【0085】
上記のとおり、本実施の形態のように、一画素内(例えば、緑色用開口部と青色用開口部との間)に分割露光の分割ラインを設けることによって、人の目によるズレの認識が発光領域でなされるため、分割領域(ブロック)毎のズレが埋もれて見えにくくなる。
【0086】
なお、本実施の形態に係る表示パネル100の製造方法において、第1露光マスク10及び第2露光マスク20を用いた露光はポジ方式としたが、ネガ方式としても構わない。すなわち、本実施の形態では、隔壁層311のうち第1露光マスク10及び第2露光マスク20によって露光された部分を除去して隔壁310を形成したが、隔壁層311のうち開口部が形成される領域以外を露光することにより隔壁をしても構わない。この場合、ネガ方式で用いる露光マスクは、ポジ方式で用いる露光マスクの透光領域と遮光領域とを反転させたマスクである。具体的に、ポジ方式の本実施の形態においては、第1露光マスク10及び第2露光マスク20における各開口パターンを透光領域とし、それ以外を遮光領域としたが、ネガ方式においては、第1露光マスク10及び第2露光マスク20における各開口パターンに対応する部分を遮光領域とし、それ以外の部分を透光領域とすればよい。
【0087】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る表示パネル100の製造方法について説明する。本実施の形態における製造方法が、実施の形態1における製造方法と異なる点は露光マスクの構成である。なお、本実施の形態における表示パネル100の構成は、実施の形態1に係る表示パネル100と同様である。
【0088】
以下、本実施の形態で用いられる第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Aのマスクパターンについて、図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【0089】
図8(a)に示すように、本実施の形態における第1露光マスク10Aにおいては、実施の形態1の第1露光マスク10と同様に、基本領域11におけるマスクパターンと周辺領域12におけるマスクパターンとが異なっており、基本領域11のマスクパターンは、図8(b)に示すように、実施の形態1と同じである。一方、第1露光マスク10Aにおける周辺領域12のマスクパターンは、サブ画素単位で構成されている点では実施の形態1と同様であるが、本実施の形態では、周辺領域12内に異なる色のサブ画素に対応するパターンが混在している。
【0090】
具体的に、第1露光マスク10Aにおける周辺領域12のマスクパターンは、図8(c)に示すように、赤色用開口部310Rに対応する赤色用開口パターン12Rと、緑色用開口部310Gに対応する緑色用開口パターン12Gと、青色用開口部310Bに対応する青色用開口パターン12Bとが混在している。
【0091】
本実施の形態において、赤色用開口パターン12R、緑色用開口パターン12G及び青色用開口パターン12Bは、周辺領域12の内側領域においては、赤色用開口パターン12Rと緑色用開口パターン12Gとが一組となって画素の列方向に沿って並列に描画されており、周辺領域12の外側領域においては、青色用開口パターン12Bが画素の列方向に沿って直線状に描画されている。
【0092】
また、図9(a)に示すように、本実施の形態における第2露光マスク20Aにおいては、実施の形態1の第2露光マスク20と同様に、基本領域21におけるマスクパターンと周辺領域22におけるマスクパターンとが異なっており、基本領域21のマスクパターンは、図9(b)に示すように、実施の形態1と同じである。一方、第2露光マスク20Aにおける周辺領域22のマスクパターンは、サブ画素単位で構成されている点では実施の形態1と同様であるが、本実施の形態では、異なる色のサブ画素に対応するパターンが混在している。
【0093】
具体的に、第2露光マスク20Aにおける周辺領域22のマスクパターンは、図9(c)に示すように、赤色用開口部310Rに対応する赤色用開口パターン22Rと、緑色用開口部310Gに対応する緑色用開口パターン22Gと、青色用開口部310Bに対応する青色用開口パターン22Bとが混在している。
【0094】
さらに、本実施の形態において、赤色用開口パターン22R、緑色用開口パターン22G及び青色用開口パターン22Bは、周辺領域22の内側領域においては、青色用開口パターン12Bが画素の列方向に沿って直線状に描画されており、周辺領域12の外側領域においては、赤色用開口パターン12Rと緑色用開口パターン12Gとが一組となって画素の列方向に沿って並列に描画されている。
【0095】
このように、本実施の形態においては、重複領域30に対応するマスクパターンとしては、異なる色の複数の開口部に対応するパターンが混在しているが、実施の形態1と同様に、第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとにおいて、重複領域30に対応する周辺領域12及び22のマスクパターンは、同一画素内に形成される複数の開口部が割り当てられるように構成されている。
【0096】
次に、第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Aを用いて露光する際における両マスクの配置と、このときに形成される隔壁310とについて、図10A及び図10Bを用いて説明する。図10Aは、本発明の実施の形態2に係る表示パネルの製造方法において、図3に示す重複領域における第1露光マスクと第2露光マスクとの配置関係を示す図である。図10Bは、図10Aに示すマスクの配置によって形成された隔壁のパターンを示す図である。
【0097】
図10Aに示すように、実施の形態1と同様に、第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Aは、画素の行方向における第1露光マスク10Aの周辺領域12と第2露光マスク20Aの周辺領域22とが丁度重なり合うようにして配置される。この場合、周辺領域12及び22は、第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとの重複領域30と一致する。
【0098】
このとき、重複領域30における第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとで構成されるマスクパターンが、一画素分の各開口部に割り当てられるように構成されているので、重複領域30に形成される一画素当たりの開口部は、第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとで丁度一画素分の数の開口部となるように形成される。本実施の形態では、図10Aに示すように、重複領域30に形成される一画素当たりの開口部は、第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとで丁度RGB3つの開口部となるように形成される。
【0099】
このように配置される第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとを用いて、隔壁層に対して露光及び現像等を施すことにより、図10Bに示すように、重複領域30における隔壁層に、赤色用開口部310R、緑色用開口部310G及び青色用開口部310Bが形成され、所定形状の隔壁310を形成することができる。
【0100】
このとき、第1露光マスク10又は第2露光マスク20が所定の位置からずれて、図10Bに示すように、第1露光マスク10Aによって形成された青色用開口部310Bと第2露光マスク20Aによって形成された赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間にズレが生じるとともに、第1露光マスク10Aによって形成された赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gと第2露光マスク20Aによって形成された青色用開口部310Bとの間にズレが生じたとしても、このズレは、一画素を構成するサブ画素単位のズレであるので、重複領域30に形成される青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間のズレは目立たない。
【0101】
このように、図10A及び図10Bに示すように、第1露光マスク10Aによって露光される第1領域と第2露光マスク20Aによって露光される第2領域との境が直線状であっても、重複領域30における隔壁310の開口部のパターンのズレを目立たなくすることができる。従って、マスクパターンを単純化することができるので、レチクル数やショット数を増加させることなく、隔壁310の開口部のパターンのずれを目立たなくすることができる。
【0102】
しかも、本実施の形態では、第1露光マスク10Aの周辺領域12及び第2露光マスク20Aの周辺領域22のいずれにおいても、赤色用開口パターン、緑色用開口パターン及び青色用開口パターンが混在している。これにより、重複領域30に形成される開口部の規則性が緩和されるので、重複領域30における各画素内での開口部のズレを一層認識されにくくすることができる。この結果、分割露光によって隔壁を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0103】
なお、本実施の形態に係る表示パネル100の製造方法は、実施の形態1に係る表示パネル100の製造方法と同様であり、本実施の形態における製造方法の各工程は、実施の形態1における製造方法と同様の工程である。
【0104】
以上、本発明の実施の形態2に係る表示パネル100の製造方法によれば、実施の形態1と同様に、分割露光によって隔壁310を形成する際、重複領域30において、第1露光マスク10Aを用いて露光する領域と第2露光マスク20Aを用いて露光する領域との境がサブ画素単位で区分けされている。
【0105】
これにより、第1露光マスク10Aと第2露光マスク20Aとを重複させる領域を狭くすることができ、重複領域に形成される開口部の視認性を低下させることができる。この結果、仮に、第1露光マスク10A又は第2露光マスク20Aが所定の位置からずれて、隔壁310の開口部間にズレが生じたとしても、露光マスクの重複領域自体を小さくすることができるので、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0106】
また、第1露光マスク10Aによる露光領域と第2露光マスク20Aによる露光領域との境をサブ画素単位とすることにより、第1露光マスク10Aによる露光領域と第2露光マスク20Aによる露光領域との境を直線状とすることができる。これにより、重複領域30に対応する第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Aのマスクパターンを直線状することができ、マスクパターンを単純化することができる。従って、レチクル数やショット数を増加させることなく、重複領域30における開口部間のパターンのずれを目立たなくすることができる。
【0107】
さらに、本実施の形態によれば、重複領域30における第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Bのマスクパターンが、異なる色のサブ画素に対応する開口パターンが混在している。
【0108】
すなわち、第1の一画素及び第2の一画素に対して、重複領域30における第1露光マスク10Aのマスクパターンが、第1の一画素内における一の開口部(青色用開口部310B)に対応する一の開口パターン(青色用開口パターン12B)と、第2の一画素内における一の開口部(赤色用開口部310R、緑色用開口部310G)に対応する一の開口パターン(赤色用開口パターン12R、緑色用開口パターン12G)とで構成される。また、重複領域30における第2露光マスク20Aのマスクパターンが、第1の一画素内における他の開口部(赤色用開口部310R、緑色用開口部310G)に対応する他の開口パターン(赤色用開口パターン22R、緑色用開口パターン22G)と、第2の一画素内における他の開口部(青色用開口部310B)に対応する他の開口パターン(青色用開口パターン22B)とで構成される。そして、露光後の隔壁層311から所定形状の隔壁310を形成する工程において、第1の一画素内の一の開口部と第2の一画素内の他の開口部とが、いずれも青色用開口部310Bとなるように形成される。また、第1の一画素内の一の開口部と第2の一画素内の他の開口部とが、いずれも赤色用開口部310R又は緑色用開口部310Gとなるように形成される。
【0109】
このように、本実施の形態では、重複領域30に対応する第1露光マスク10A及び第2露光マスク20Aの各々には、一画素分の開口部に相当するマスクパターンが形成されている。これにより、重複領域30に形成される開口部の規則性が緩和されるので、重複領域30における各画素内での開口部のズレを一層認識されにくくすることができる。この結果、分割露光によって隔壁310を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0110】
さらに、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、青色用開口部310Bに対応する青色用開口パターン12B及び22Bによって分割露光の境界を設定している。これにより、仮に、青色用開口部310Bと赤色用開口部310R及び緑色用開口部310Gとの間にズレが生じていたとしても、青色は人の目による視認性が低いので、人の目にはズレとして認識されにくくなる。この結果、分割露光によって隔壁310を形成する場合であっても、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを一層軽減することができる。
【0111】
なお、本実施の形態に係る表示パネル100の製造方法においても、第1露光マスク10及び第2露光マスク20を用いた露光は、ポジ方式及びネガ方式のいずれの方式を用いても構わない。
【0112】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法について説明する。本実施の形態における表示パネルが実施の形態1における表示パネル100と異なる点は、画素の構成である。すなわち、実施の形態1では、一画素当たりRGB3色の発光層を設けていたが、本実施の形態では、一画素当たりRGBW4色の発光層を設けている。4色の発光層の各々は隔壁における複数の開口部の各々に形成されており、隔壁は、赤色の光を発する発光層(赤色発光層)に対応する開口部である赤色用開口部と、緑色の光を発する発光層(緑色発光層)に対応する開口部である緑色用開口部と、青色の光を発する発光層(青色発光層)に対応する開口部である青色用開口部と、白色の光を発する発光層(白色発光層)に対応する開口部である白色用開口部とを有する。このような隔壁を備える表示パネルに対して用いられる露光マスクは、実施の形態1で用いる露光マスクと異なる。
【0113】
以下、本実施の形態で用いられる第1露光マスク10B及び第2露光マスク20Bのマスクパターンについて、図11及び図12を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法に用いられる第1露光マスクの構成を示す図である。図12は、本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法に用いられる第2露光マスクの構成を示す図である。
【0114】
図11(a)に示すように、本実施の形態における第1露光マスク10Bにおいては、実施の形態1の第1露光マスク10と同様に、基本領域11におけるマスクパターンと周辺領域12におけるマスクパターンとが異なっている。
【0115】
第1露光マスク10Bの基本領域11のマスクパターンは、一画素単位で全て同じパターンとなっており、実施の形態1と同様に、隔壁における一画素分の所定個の開口部に対応するように構成される。但し、本実施の形態における基本領域11のマスクパターンは、図11(b)に示すように、一画素当たり、一画素分の開口部(RGBW4つの開口部)が含まれるようなパターンであり、具体的には、赤色用開口部に対応する開口である赤色用開口パターン11Rと、緑色用開口部に対応する開口である緑色用開口パターン11Gと、青色用開口部に対応する開口である青色用開口パターン11Bと、白色用開口部に対応する開口である白色用開口パターン11Wとからなる。
【0116】
周辺領域12のマスクパターンは、隔壁における一画素内の二つの開口部に対応するパターンであり、サブ画素単位において全て同じパターンとなっている。具体的に、周辺領域12のマスクパターンは、図11(c)に示すように、一画素当たり、一画素の対角線上に配置された、赤色用開口部に対応する開口である赤色用開口パターン12Rと、青色用開口部に対応する開口である青色用開口パターン12Bとからなる。
【0117】
また、図12(a)に示すように、第2露光マスク20Bにおいては、基本領域21におけるマスクパターンと、基本領域21の周辺の領域である周辺領域22におけるマスクパターンとが異なっている。
【0118】
第2露光マスク20Bの基本領域21のマスクパターンは、第1露光マスク10Bの基本領域11のマスクパターンと同じであり、図12(b)に示すように、一画素当たり、赤色用開口部に対応する開口である赤色用開口パターン21Rと、緑色用開口部に対応する開口である緑色用開口パターン21Gと、青色用開口部に対応する開口である青色用開口パターン21Bと、白色用開口部に対応する開口である白色用開口パターン21Wとからなる。
【0119】
一方、第2露光マスク20Bの周辺領域22のマスクパターンは、図12(c)に示すように、一画素当たり、画素の対角線上に配置された、緑色用開口部に対応する開口である緑色用開口パターン22Gと、白色用開口部に対応する開口である白色用開口パターン22Wとによって構成されている。
【0120】
このように、本実施の形態においても実施の形態1と同様に、第1露光マスク10Bと第2露光マスク20Bとにおいて、隔壁層の重複領域30に対応する周辺領域12及び22のマスクパターンは、同一画素内に形成される複数の開口部が割り当てられるように構成されている。本実施の形態では、第1露光マスク10Bの周辺領域12における赤色用開口パターン12R及び青色用開口パターン12Bと、第2露光マスク20Bの周辺領域22における緑色用開口パターン22G及び白色用開口パターン22Wとで、一画素分の開口部(RGBW4つの開口部)が形成される。
【0121】
なお、本実施の形態に係る表示パネルの製造方法は、実施の形態1に係る表示パネル100の製造方法と同様であり、本実施の形態における製造方法の各工程は、実施の形態1における製造方法と同様の工程である。
【0122】
以上のとおり、本発明の実施の形態3に係る表示パネルの製造方法においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0123】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法における表示パネルの分割領域を説明するための図である示す図である。
【0124】
本実施の形態における表示パネルが実施の形態1における表示パネル100と異なる点は、表示領域の分割数である。すなわち、実施の形態1では、表示領域200を2つの分割領域200A及び200Bに分割して露光及び現像等を行ったが、本実施の形態では、図13(a)に示すように、表示領域200を9つの分割領域200A〜200Iに均等に分割して露光及び現像等を行う。
【0125】
分割領域200A〜200Iの各々は、露光マスクの1ショットに対応し、図13(b)に示すように、N行M列のマトリクス状に配列されたN×M個の複数の画素300によって構成されている。各画素300は、実施の形態1と同様に、図13(c)に示すように、赤色用開口部310Rと緑色用開口部310Gと青色用開口部310Bとを有する隔壁310によって構成されている。
【0126】
次に、隔壁310を形成するための露光マスクのマスクパターンについて、図14を用いて説明する。図14は、本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法に用いられる露光マスクの構成を示す図である。
【0127】
図14に示すように、本実施の形態では、第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iの9個の露光マスクを用いて隔壁310を形成する。第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iのそれぞれは、「N」(白抜き)で示される基本領域におけるマスクパターンと、「A」(横線のハッチング)、「B」(縦線のハッチング)及び「■」(黒塗り)で示される周辺領域におけるマスクパターンとによって構成されている。
【0128】
第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iにおいて、「N」で示される基本領域におけるマスクパターンは、例えば、図4(b)や図5(b)に示されるような、一画素当たり、一画素分の開口部(RGB3つの開口部)が含まれるような通常の画素に対応するパターンであり、具体的には、赤色用開口部310Rに対応する開口である赤色用開口パターン11Rと、緑色用開口部310Gに対応する開口である緑色用開口パターン11Gと、青色用開口部310Bに対応する開口である青色用開口パターン11Bとからなる。
【0129】
また、「A」で示される周辺領域のマスクパターンは、一画素当たり、一画素内の一つの開口部に対応するパターンであり、例えば、サブ画素単位で全て同じパターンとなるように構成されている。具体的に、周辺領域12のマスクパターンは、図4(c)に示すように、青色用開口部310Bに対応する開口である青色用開口パターン12Bのみによって構成されている。
【0130】
また、「B」で示される周辺領域のマスクパターンは、隔壁310における一画素内の他の開口部に対応するパターンであり、例えば、図5(c)に示されるような、赤色用開口部310Rに対応する開口である赤色用開口パターン22Rと、緑色用開口部310Gに対応する開口である緑色用開口パターン22Gとからなる。
【0131】
また、「■」で示される周辺領域のマスクパターンは、遮光領域であり、開口パターンは形成されていない。
【0132】
次に、隔壁310を形成する場合における露光マスクの配置について、図15を用いて説明する。図15は、本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法における露光マスクとの配置関係を説明するための図である。
【0133】
図15に示すように、本実施の形態では、第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iのそれぞれは、図13に示される分割領域200A〜200Iに対応するように配置される。このとき、隣り合う露光マスクが重複するように配置され、重複する領域(重複露光領域)として、第1重複領域31及び第2重複領域32が設定されている。第1重複領域31は、上下に隣り合う露光マスクが縦方向に重なり合う部分に対応する領域であり、第2重複領域32は、左右に隣り合う露光マスクが横方向に重なり合う部分に対応する領域である。
【0134】
このように、第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iにおいて、第1重複領域31及び第2重複領域32に対応する周辺領域のマスクパターンは、「A」又は「B」で示される周辺領域のマスクパターンとなっており、同一画素内に形成される複数の開口部のいずれか1つが割り当てられるように構成されている。すなわち、第1重複領域31及び第2重複領域32では、同一画素内における複数の開口部のいずれか1つが1回のみパターン形成されるように構成されている。本実施の形態では、「A」で示されるマスクパターンである青色用開口パターン12Bと、「B」で示されるマスクパターンである赤色用開口パターン22R及び緑色用開口パターン22Gとで、一画素分の3つのRGBの開口部に対応するように構成されている。
【0135】
以上のとおり、本発明の実施の形態4に係る表示パネルの製造方法においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0136】
なお、本実施の形態に係る表示パネルの製造方法は、実施の形態1に係る表示パネル100の製造方法に準じて行うことができ、第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iを用いて9つの分割領域200A〜200Iに対して順次露光を行うことにより表示領域200全体の露光を行うことができる。
【0137】
また、本実施の形態に係る表示パネルの製造方法においても、ポジ方式及びネガ方式のいずれの方式を用いても構わない。
【0138】
また、第1露光マスク40A〜第9露光マスク40Iにおいて、「A」及び「B」で示される周辺領域のマスクパターンは、図4(c)及び図5(c)で示されるパターンの組み合わせとしたが、これに限らない。例えば、図8(c)及び図9(c)で示されるパターンの組み合わせ、あるいは、図11(c)及び図12(c)で示されるパターンの組み合わせとしてもよい。
【0139】
以上、本発明に係る表示パネルの製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明に係る表示パネルの製造方法は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0140】
例えば、上記の実施の形態において、一画素を構成する複数の開口部は、赤色、緑色及び青色の3色、あるいは、赤色、緑色、青色及び白色の4色に対応するようにして、第1露光マスク及び第2露光マスクのマスクパターンをこれらの複数色の開口部に対応するように構成したが、これに限らない。例えば、複数の開口部及び当該複数の開口部に対応する第1及び第2の露光マスクの開口パターンは、上記以外の色に対応するように構成しても構わない。さらに、第1の露光マスクのマスクパターンと第2の露光マスクのマスクパターンとが対応する色関係(色順序、色分け、色の組み合わせ等)も上記の実施の形態に限らない。
【0141】
なお、この場合であっても、第1露光マスクによって形成された開口部と第2露光マスクによって形成された開口部とにズレが生じたとしても、露光マスクの重複領域自体を小さくすることができ、また、このズレは一画素内でのズレであって人が認識する表示画素としては大きな差異が無いので、各露光マスク間の境界のズレによって認識される画素ズレを軽減できる。
【0142】
また、上記の実施の形態において、表示領域を2つ又は9つの領域(ブロック)に分割して2つ又は9つの分割領域としたが、これに限らない。例えば、表示領域を、3つの領域等に分割してもよいし、16個の領域等の9つ以上の領域に分割してもよい。
【0143】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、有機EL表示パネル等の表示パネルの製造方法として有用であり、表示パネルを備える表示装置等において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0145】
10、10A 第1露光マスク
11、21 基本領域
11R、12R、21R、22R 赤色用開口パターン
11G、12G、21G、22G 緑色用開口パターン
11B、12B、21B、22B 青色用開口パターン
11W、21W、22W 白色用開口パターン
12、22 周辺領域
30 重複領域
31 第1重複領域
32 第2重複領域
100、1100 表示パネル
200、1200 表示領域
200A、200B、200C、200D、200E、200F、200G、200H、200I、1200A、1200B、1200C、1200D、1200E、1200F、1200G、1200H、1200I 分割領域
300、1300、1300D、1300E、2300D、2300E 画素
310 隔壁
310R 赤色用開口部
310G 緑色用開口部
310B 青色用開口部
311 隔壁層
320 基板
330 下部電極
340 有機層
341 発光層
341R 赤色発光層
341G 緑色発光層
341B 青色発光層
350 上部電極
360 封止樹脂層
370 透光基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁によって区画された発光層を有する表示パネルの製造方法であって、
基板上に隔壁層を形成する第1工程と、
第1の複数の開口部に対応する第1露光マスクを用いて、前記隔壁層の第1領域を露光する第2工程と、
第2の複数の開口部に対応する第2露光マスクを用いて、前記第1領域の一部と重複するように前記隔壁層の第2領域を露光する第3工程と、
前記第1及び第2の複数の開口部に対応する領域における前記隔壁層を除去することにより前記隔壁層に前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部を形成して、前記隔壁を形成する第4工程と、
前記第1及び第2の複数の開口部の各々に前記発光層を形成する第5工程と、を含み、
前記第1及び第2の複数の開口部は、所定個の開口部を一単位として一画素を構成するように形成され、
前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記第1領域と前記第2領域とが重複する領域である重複領域における前記第1の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の一の開口部に対応するように構成され、
前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の複数の開口部の中の少なくとも1つの開口部が前記一画素内の前記一の開口部以外の他の開口部に対応するように構成される、
表示パネルの製造方法。
【請求項2】
前記一画素を構成する前記所定個の開口部の各々は、複数色の各々に対応し、
前記複数色は、青色を含み、
前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記一の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成され、
前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記他の開口部が前記複数色の中の前記青色以外の色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成される、
請求項1記載の表示パネルの製造方法。
【請求項3】
前記一画素を構成する前記所定個の開口部は、更に、赤色の光を発する前記発光層に対応する開口部及び緑色の光を発する前記発光層に対応する開口部を含み、
前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記他の開口部が前記赤色及び緑色の各々の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成される、
請求項2記載の表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記隔壁層に形成された前記第1及び第2の複数の開口部は、前記一画素内における各色の光を発する発光層の単位で分離している、
請求項2又は請求項3に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクは、前記一画素を構成する前記所定個の開口部が配列される配列方向に対して垂直な方向に配列されるように配置され、
前記第1及び第2の複数の開口部のうち前記重複領域に形成される開口部は、前記配列方向に対して垂直な方向に配列された前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクによって形成される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項6】
前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクは、前記一画素を構成する前記所定個の開口部が配列される配列方向に対して平行に配列されるように配置され、
前記第1及び第2の複数の開口部のうち前記重複領域に形成される開口部は、前記配列方向に対して平行な方向に配列された前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクによって形成される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項7】
前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクを用いた露光は、ポジ方式であり、
前記第1及び第2の複数の開口部に対応する前記隔壁層を露光する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項8】
前記第1露光マスク及び前記第2露光マスクを用いた露光は、ネガ方式であり、
前記第1及び第2の複数の開口部以外の領域に対応する前記隔壁層を露光する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項9】
前記第6工程において形成される前記発光層は、有機発光層である、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の複数の開口部を構成する前記一画素には、第1の一画素と第2の一画素とが含まれ、
前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第1の複数の開口部が、少なくとも、前記第1の一画素内における一の開口部と、前記第2の一画素内における一の開口部とに対応するように構成され、
前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の複数の開口部が、少なくとも、前記第1の一画素内における他の開口部と、前記第2の一画素内における他の開口部とに対応するように構成され、
前記第4工程において、前記第1の一画素内の前記一の開口部と前記第2の一画素内の前記他の開口部とが、同じ色の光を発する前記発光層に対応する開口部となるように形成される
請求項1記載の表示パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の一画素を構成する前記所定個の開口部の各々は、複数色の各々に対応し、
前記複数色は、青色を含み、
前記第1露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第1の一画素内の前記一の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成され、
前記第2露光マスクのマスクパターンは、前記重複領域における前記第2の一画素内の前記他の開口部が前記青色の光を発する前記発光層が形成される開口部に対応するように構成される、
請求項10記載の表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−54893(P2013−54893A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192059(P2011−192059)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】