表示パネル組立装置
【課題】組立てられる表示パネルはFPDの性能にあわせて電極数や部品構成が異なるため、搭載するTABやICの数、あるいはゲート・ソースの処理辺数など多種多様化している。それに伴い、組立処理するユニットもその表示パネルの仕様に応じてユニット数に変動が生じる。この点に配慮した組立装置、及び搬送方式については従来技術では開示されていない
【解決手段】3辺の縁辺処理を終えたパネルを上吊りして搬出させ、その空いた空間に、新たに縁辺処理する表示パネルを搬送する搬送手段も用いることで、パネル同士が衝突および、縁辺処理中のパネルの搬出を待たせる待機時間を設けることなく電子部品の搭載を高精度で行えて、かつ、装置の全長を短くすることができる。
【解決手段】3辺の縁辺処理を終えたパネルを上吊りして搬出させ、その空いた空間に、新たに縁辺処理する表示パネルを搬送する搬送手段も用いることで、パネル同士が衝突および、縁辺処理中のパネルの搬出を待たせる待機時間を設けることなく電子部品の搭載を高精度で行えて、かつ、装置の全長を短くすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル基板搬送機構および、基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置に関するものである。
【0002】
例えば、本発明は液晶やプラズマなどFPD(Flat Panel Display)機器のメイン部品である表示パネルの縁辺部に駆動ICや回路基板(PCB=Printed Circuit Board)を搭載、あるいはCOF(Chip On Film)やFPC(Flexible Printed Circuits)などのTAB(Tape Automated Bonding)を貼り付ける作業を行う表示パネル組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
表示パネル基板の組立ては、パネル縁辺部に駆動ICやPCB,COFやFPCを、装置内を搬送しながら順次実装させるプロセスで行われるが、関連する先行技術としては、例えば以下の先行技術がある。
【0004】
特許文献1は、直交するパネル端処理を同時に行える表示パネル基板の組立装置である。
【0005】
特許文献2は、向かい合うパネル端を同時に処理する表示パネル基板の組立装置である。
【0006】
その他の先行技術としては特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−117704号公報
【特許文献2】特開2007−127783号公報
【特許文献3】特開2004−6467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示パネル基板の組立ては、パネルの縁辺部に、駆動ICやPCB,COFやFPCを、装置内を搬送しながら順次実装させるプロセスで行われるが、次の(1)から(6)に現在の標準的仕様の表示パネルを組立てる時の一連の工程を挙げる。
(1)表示パネル縁辺部(電極部)の部品実装部分をクリーニングする工程
(2)クリーニング後の表示パネル縁辺部に異方性導電フィルム(ACF=Anisotropic Conductive Film)を貼り付ける工程
(3)ACFを貼り付けた位置にTABやICを精度良く位置決めして搭載する工程
(4)搭載したTABやICを加熱圧着して先のACFフィルムにより固着する工程
(5)搭載したICやTABの位置や接続状態を検査する工程
(6)パネル縁辺部に搭載したTABの先端にさらにPCBを搭載する工程(なお、本工程以降はパネルの仕様により工程が複数化する。)
【0009】
これら各工程をユニットごとに分担し、それらユニットを連結させた装置の中を、処理すべく表示パネルを搬送通過させることで一枚の表示パネル基板が完成する仕組みになっている。
【0010】
まず、これら各組立工程の多様性と装置長さとの関係について述べる。
【0011】
組立てられる表示パネルはFPDの性能にあわせて電極数や部品構成が異なるため、搭載するTABやICの数、あるいはゲート・ソースの処理辺数など多種多様化している。
それに伴い、組立処理するユニットもその表示パネルの仕様に応じてユニット数に変動が生じる。例えばユニットが増える場合を挙げると、標準的な表示パネルよりも高機能のものは処理辺も増えるため、前記(1)〜(6)とほぼ同様の工程を連結して増やす必要があり、加えて、搬送途中にゲート辺からソース辺、あるいはその逆など、処理辺の方向の切り換えを行う回転ユニットなども必要になる。つまり、組立装置の全長は表示パネルの仕様が複雑化するほど工程が増えて長くなる。
【0012】
また、先に述べた先行技術は次に挙げる課題を含む。
【0013】
特許文献1の構成においては、パネルは平面状の搬送系路を、パネル回転動作等を行いながら進行するためパネル端が干渉しないような搬送軌跡の大きさが必要で、結果、装置全体が大きくなるという課題を含んでいる。
【0014】
また、特許文献2の構成では、処理ユニットが搬送系路の両側に並列して配置してあるので装置幅が大きくなり、向かい合う対辺の処理しかできないという課題や、メンテナンス性が悪いなどの課題を含んでいる。
【0015】
本発明はより生産性の高い表示パネル組立装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は以下の特徴を有する。なお、本発明は以下の特徴をそれぞれ独立して有する場合もあれば、組み合わせて備える場合もある。
【0017】
本発明は、基板を基板表面に対して上方に引き上げて搬出することを特徴とする。
【0018】
本発明は、搬入時に基板に近接する方向と、搬出時に基板に近接する方向とが異なることを特徴とする。
【0019】
本発明は、新規な3辺同時処理ユニットと、新規な搬送方式とを組み合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生産性の高い表示パネル組立装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の搬送方式でパネル組立てを行う時のパネル搬送系路および組立装置の構成を説明するための図である。
【図2】図1で示した従来のパネル組立装置の平面図である。
【図3】本実施例の3辺同時処理組立機構部への一枚パネル搬送を示す平面図である。
【図4】本実施例の3辺同時処理組立機構部への複数パネル搬送を示す平面図である。
【図5】表示パネルに設けられた基準マークの一例を示す図である。
【図6】本実施例の3辺同時処理部へのパネル搬送機構を示す図である。
【図7】本実施例のパネル搬送の動作開始の説明図である。
【図8】本実施例のパネル搬送の図7に続く動作説明図である。
【図9】本実施例のパネル搬送の図8に続く動作説明図である。
【図10】本実施例のパネル搬送の図9に続く動作説明図である。
【図11】本実施例のパネル搬送の図10に続く動作説明図である。
【図12】本実施例のパネル搬送の図11に続く動作説明図である。
【図13】本実施例のパネル搬送の図12に続く動作説明図である。
【図14】本実施例のパネル搬送の図13に続く動作説明図である。
【図15】本実施例のパネル搬送の図14から次の搬送ユニットにパネルを渡す動作を説明する図である。
【図16】本実施例のパネル搬送の図15に続く動作説明図である。
【図17】本実施例のパネル搬送であって図7から図16で説明した搬送方式の応用例を示す図である。
【図18】本実施例のパネル搬送の図17に続く動作説明図である。
【図19】本実施例のパネル搬送の図18に続く動作説明図である。
【図20】本実施例のパネル搬送の図19に続く動作説明図である。
【図21】本実施例のパネル搬送の図20に続く動作説明図である。
【図22】本実施例のパネル搬送の図21に続く動作説明図である。
【図23】本実施例のパネル搬送であって図5から図22までに説明した搬送方式の応用例を示す図である。
【図24】本実施例でパネルを搬送する時に吊り下げてパネルを保持し搬送する方法の説明図である。
【図25】実施例5を説明する図である。
【図26】実施例5を説明する図(続き)である。
【図27】実施例6を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図1から図27を用いて説明する。
【0023】
なお、本実施例では、後述する搬送方式と3辺同時処理ユニットとの組み合わせについて説明するが、この搬送方式は、3辺同時処理ユニットと必須の関係ではない。他の処理方式にも適用できる。
【実施例1】
【0024】
図1は従来の搬送方式を使ってパネルの組立てを行うパネル組立装置の構成およびパネル搬送系路を説明するための一実施例である。図はパネル組立装置全体を斜め上方から見た状態を示しており、図中区切られた各ユニット間をパネル搬送しながら組立てる。その流れは次の通りである。
(1)表示パネル縁辺部(電極部)の部品実装部分をクリーニングする工程
(2)クリーニング後の表示パネル縁辺部に異方性導電フィルム(ACF=Anisotropi c Conductive Film)を貼り付ける工程
(3)ACFを貼り付けた位置にTABやICを精度良く位置決めして搭載する工程
(4)搭載したTABやICを加熱圧着して先のACFフィルムにより固着する工程
(5)搭載したICやTABの位置や接続状態を検査する工程
(6)パネル縁辺部に搭載したTABの先端にさらにPCBを搭載する工程(なお、本工程以降はパネルの仕様により工程が複数化)
【0025】
引き続き、パネル搬送に関して詳しく説明する。表示パネル1は、各ユニットの表示パネル搬送手段2が表示パネル1を連結部で受け渡しできるように直線状に配置した表示パネル搬送手段2によって保持されながら順次搬送される。なお、表示パネル搬送手段2のパネル保持部は、上下左右および回転の動作が可能であり、その動作を利用して処理ユニット3に表示パネル1を移動させてパネル縁辺を処理した後、順次、下流(図では右下方向へ)に向かってパネルの受け渡し動作を繰り返しながら搬送させる。こうして、先に説明した各種組立ユニット間を搬送させると、順次縁辺部にICやTAB等の搭載処理が行われ、装置の最下流で一枚のパネルが完成する。
【0026】
図2は、図1で示した従来のパネル組立装置の平面図であり、図に示すように縁辺処理されたパネル4の未処理の辺を搬送しながら順次組立てを行う。ところが、この従来方式は、パネルの仕様によって処理辺の数が2辺3辺と複数になるほど処理するユニットの数も増やす必要があり、そのため搬送ライン20が長くなることで装置全長も長くなり、その結果、装置も大きくなり処理時間も長くなるという課題を有していた。
【0027】
次に本実施例1ついて説明する。
【0028】
まず、パネルの処理辺数が増えても、従来のように搬送ラインを長くせずにパネルを組立てられる方式について簡易的な図で説明する。その代表的な図が図3であり本実施例の3辺同時処理組立機構部へのパネル搬送系路を簡単に示す平面図である。前記課題を解決すべく本実施例の搬送ライン30によって、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6に未処理の表示パネル1、もしくは縁辺処理されたパネル4が搬送される。
【0029】
なお、図3では、すでに上流の何れかの組立ユニットである程度パネルに縁辺処理が行われたパネルが組立搬送されている途中段階を抜粋したものであり、パネルの縁辺にはすでにICやTABが搭載された図になっている。このように、一度に3辺を同時に処理することで、パネルを回転させながら幾度もの組立工程を通す必要がなくなるため、その結果、装置の全長を短くし、組立時間も短縮させることが可能になる。
【0030】
なお、このパネル縁辺処理ユニット6は、例えば、対象物の周囲の異なる直線上にある2つ以上の点(図3で表現するならパネル4の2つ以上の縁辺)に対して、処理を施すと表現することもできる。
【0031】
また、図4は、前記図3で示した本実施例の搬送系路の応用例であり、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6に複数枚のパネル基板を搬送する方式を示している。このように複数辺を同時に処理するユニットには、搬入するパネルの枚数は一枚とは限らず、複数枚である場合であっても本実施例は有効である。つまり、このパネル縁辺処理ユニットの処理位置は、少なくとも1枚以上のパネルを処理するのに十分な大きさを有すると表現することができる。
【0032】
なお、先に説明した図3,図4の搬送経路30の途中には、表示パネルを精度良く縁辺処理位置に搬送するためのパネル位置検出機構301が設けられている。そして、パネル位置検出機構301によって検出された位置誤差情報は、パネルを保持した搬送テーブルの可動部にフィードバックされてパネルの位置補正動作が行われる。これにより、目標位置精度を確保することが可能となる。
【0033】
ここで、そのパネル位置検出機構301が表示パネルの位置を確認するために表示パネルには基準マークが設けられており、図5がその基準マークの一例を示している。
【0034】
まず、表示パネル1の端部に設けられた位置決め用のマークについて説明する。表示パネル1の処理辺および処理箇所付近には基準マーク7が設けられている。基準マーク7は表示パネルの基準位置を示しており、近傍にはTABやICなどの搭載位置を示す搭載位置マークなども形成されている。基準マークの形態は様々で、図示されている「+」や「・」以外に、「■」,「T」,「−−」「V」などの形態でも良い。
【0035】
ちなみに、本実施例1のパネル基板搬送装置および表示パネルモジュール組立装置では、以降で詳細に説明するXYZθ搬送テーブル11がXYZθ軸の可動手段を有し、表示パネル1を上流から下流の各組立ユニットに搬送する際、表示パネル1の基準マーク7を上述したパネル位置検出機構301(例えばCCDカメラ)などで検出することで、表示パネル1の傾きなどを算出し、XYZθ搬送テーブル11の可動軸を必要量動かすことで姿勢や位置の補正を行ったのち、処理作業位置へ高精度に位置決めして渡す方式を採用してもよい。
【0036】
本実施例1によれば、例えば、以下の効果を奏することができる。
(1)従来よりも生産性の高い表示パネル組立装置を実現できる。
(2)従来よりも小型な表示パネル組立装置を実現できる。
(3)従来よりも表示パネルを待機時間無く搬送できる。
【実施例2】
【0037】
図3および図4の平面図では、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルがパネル縁辺処理ユニット6に残っている場合や、あるいは縁辺処理を終えたパネルを搬出するときに、上流から新たに搬入しようとする表示パネルがある場合などには、パネル同士の衝突、もしくは新たに搬入しようとする側に待機時間を設けるなどの工夫が必要になる場合もある。そうなると、前記3辺同時処理が可能となる特徴にて装置長さが短くなっても組立時間の短縮化に至らず、また、パネルを破損させる可能性があるなどして、信頼性が低下するという課題が生じる場合もある。そこで、次に、実施例2として、前記説明した図3および図4の搬送方式が持つ、パネル同士の衝突の可能性や待機時間の確保などの課題を解決する方式について、以下、順次説明する。
【0038】
図6は本実施例のパネル3辺同時処理部へのパネル搬送機構を示している。基本的な構成は、パネルを置くパネル置き台8とそこからパネルを搬送するテーブルを有するXYZθ搬送テーブル11と、その搬送テーブルを移動させるL型に構成されたリニアユニット10と、L型テーブルによって図の奥の方向にパネルを搬送させた位置でパネルを上方向に吊り上げる吸着式パネル吊り上げ機構9がひとつのユニットで構成されている。
【0039】
より具体的には、本実施例では、パネル置き台8a,XYZθ搬送テーブル11a,リニアユニット10a、及び吸着式パネル吊り上げ機構9aを有する左側の搬送ユニット,パネル置き台8b,XYZθ搬送テーブル11b,リニアユニット10b、及び吸着式パネル吊り上げ機構9bを有する右側の搬送ユニットについて主に説明する。
【0040】
また、図示はしないが、前記搬送テーブルによってパネルが図の奥に移動した位置には、すでに図3および図4で説明したコの字型に配置したパネル縁辺の3辺を処理するユニットが配置されている。そして、この構成が各組立順に一列に配置されている。なお、図6はこれから処理される表示パネル1が図中左のパネル置き台8上に置かれ、これから縁辺処理を開始する状態を示しており、次の図7からパネルの搬送について順次説明する。
【0041】
図7は本実施例のパネル搬送の最初の動作説明図である。表示パネル1はパネル置き台8に載っており、このパネルは装置の外部から手動または機械式の搬送手段によって運ばれてきたものとして、縁辺は未処理の状態である。L型に構成されたリニアユニット10によって動くXYZθ搬送テーブル11は図中の矢印のようにパネル置き台8の下側に、そのテーブルを必要なだけ下降させて潜り込み、表示パネル1の真下まで移動する。なお、XYZθ搬送テーブル11は、パネルが無いときの待機位置は図中奥としているが、この限りではない。次に続く動作は図8で説明する。
【0042】
図8は本実施例のパネル搬送の図7に続く動作説明図である。パネル置き台8に置かれた表示パネル1は、待機位置から、表示パネル1の真下に移動したXYZθ搬送テーブル11が上昇し、保持方式の一例であるが、図に示すような吸着パッドによって吸着保持されて上昇し、パネル置き台8よりも浮いた状態になる。そして、XYZθ搬送テーブル11が、L型に構成されたリニアユニットによって、図中奥の位置まで、矢印のように移動させる。なお、このとき、図3を用いて先に説明した通り、置き台上、もしくは搬送途中で位置決め動作を行っている。次に続く動作は図9で説明する。
【0043】
図9は本実施例のパネル搬送の図8に続く動作説明図である。先に説明したXYZθ搬送テーブル11がL型に構成されたリニアユニットによって移動し、表示パネル1は図の位置まで移動する。すると、図示はしないが、コの字に配置されたパネル縁辺処理ユニットの中(処理位置)に配置する。なお、この位置に配置される前に図3を用いて先に説明した位置決め動作を行っている。次に続く動作は図10で説明する。
【0044】
図10は本実施例のパネル搬送の図9に続く動作説明図である。先の説明で述べたとおりに、3辺縁辺処理位置への移動と位置決めを終えた表示パネル1は図に示すように、処理目的の3辺に対してICやTABなどの回路基板を搭載するための準備もしくは、搭載の処理が行われ、縁辺処理されたパネル4として次のユニット(下流側と呼ぶ)に送るために吸着式パネル吊り上げ機構9を動作させる。次に続く動作は図11で説明する。
【0045】
図11は本実施例のパネル搬送の図10に続く動作説明図である。先の説明で縁辺処理を終えた表示パネルに吸着式パネル吊り上げ機構9が降下して吸着保持する。L型に構成されたリニアユニット10上にあるXYZθ搬送テーブル11は、縁辺処理されたパネル4が離れるため、移動が可能になる。次に続く動作は図12で説明する。
【0046】
図12は本実施例のXYZθ搬送テーブル11に続く動作説明図である。縁辺処理されたパネル4は吸着式パネル吊り上げ機構9によってパネル面に対し垂直な方向へ引き上げられるため、3辺同時処理ユニットには縁辺処理されたパネル4が無くなる。これは、例えば、第2の基板搬送部の一例である吸着式パネル吊り上げ機構9が縁辺処理されたパネル4を処理位置から搬出するための基板搬出高さは、XYZθ搬送テーブル11の一例である前記第1の搬送部が前記処理位置にパネル4を搬入するための基板搬入高さよりも、高いと表現することができる。
【0047】
これにより、XYZθ搬送テーブル11はL型に構成されたリニアユニット10に沿って縁辺処理されたパネル4を搬出する必要がなく、代わりに、上流から新たに搬入されてくる処理すべく新しい表示パネル1の搬入のための移動準備を行うことができる。次に続く動作は図13で説明する。
【0048】
図13は本実施例のパネル搬送の図12に続く動作説明図である。パネル置き台8には、図7の状態と同じく、新たに縁辺処理すべく縁辺未処理の表示パネル1が配置されている。また、前項の図12で説明したとおり、XYZθ搬送テーブル11は縁辺処理されたパネル4と切り離れているため、したがって、図の点線矢印の軌跡のように、パネル置き台8上に置かれた未処理の表示パネル1の搬送に向かう。次に続く動作は図14で説明する。
【0049】
図14は本実施例のパネル搬送の図13に続く動作説明図である。先の説明の通りXYZθ軸可動パネル搬送テーブルがパネル置き台8の下から、未処理の表示パネル1を持ち上げ、すでに先に縁辺処理を終えて、吸着式パネル吊り上げ機構9によって移動して空いた3辺同時処理ユニットに、矢印の軌跡のように搬送され移動する。これは、例えば、XYZθ搬送テーブル11は、パネル4が吸着式パネル吊り上げ機構9によって搬出された後に、表示パネル1を処理位置へ搬入すると表現することができる。次に続く動作は図15で説明する。
【0050】
図15は図14の続きを説明する図である。先の説明で縁辺処理を終えた縁辺処理されたパネル4は、図中左の搬送ユニットから右の搬送ユニットのパネル置き台8bに吸着式パネル吊り上げ機構9aによって搬送される。より具体的には、パネル4は吸着式パネル吊り上げ機構9aによって、上方につり上げられた後、パネル面に対し平行な方向に移動した後、パネル面に対し垂直な方向に搬送される。なお、この時、パネル面に対し平行な方向,パネル面に対し垂直な方向は、多少ずれても良い。
【0051】
また、縁辺の処理は図1の説明で述べた例にあるような(1)から(6)のような種類のものであり、本実施例はその処理部への搬送機構について特に詳しく述べた発明であるため、これら処理部の詳細機能については割愛する。次に続く動作は図16で説明する。
【0052】
図16は本実施例のパネル搬送の図15に続く動作説明図である。先の説明の通り、図中左のユニットから右のユニットに搬送された表示パネル4は、右の搬送ユニットのXYZθ搬送テーブル11bによって、図示はしないが図中右のL型に構成された3辺同時縁辺処理ユニットに搬送して次の工程の縁辺処理が行われる。
【0053】
このように、本実施例では、搬送動作の連結によって一枚のパネルの組立を行うことができる。そして、従来の1辺ごとに処理を行うユニットを処理辺数の分だけ搬送を長くして組立を行う方式よりも、3辺の処理を同時に行える処理装置に、表示パネル1をパネル同士の衝突や処理後の搬出待ちで途中待機させずに搬送できるというメリットを得ることができる。
【0054】
こうして、本実施例の搬送方式を用いることでコの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルが上昇して退避しているため、続く処理されるべきパネルが搬入しても衝突するような課題が発生しない。また、滞りなくパネルを搬送させることができるため、待機時間を設ける必要も無い。その結果、装置長さも短くすることができた上に組立時間も短縮化が図れる。
【実施例3】
【0055】
次に実施例3として、実施例2とパネルを保持搬送するXYZθ搬送テーブル11、及び吸着式パネル吊り上げ機構9の搬送系路が異なる方式について説明する。
【0056】
まず、図17において、表示パネル1はパネル置き台8aに載っている。ちなみにこのパネルは装置の外部から手動または機械式の搬送手段によって運ばれてきたものであり、未だ縁辺は未処理の状態としている。搬送部分は、コの字型に構成されたリニアユニット12aに、それによって動くXYZθ搬送テーブル11が構成されている。なお、XYZθ搬送テーブル11は、パネルが無いときの待機位置を、図中右側奥にしているが、この限りではない。次に続く動作は図18で説明する。
【0057】
図18は本実施例のパネル搬送の図17に続く動作説明図である。コの字型に構成されたリニアユニット12aによって動くXYZθ搬送テーブル11は図中の矢印のようにパネル置き台8aに置かれた表示パネル1の真下まで移動する。次に続く動作は図19で説明する。
【0058】
図19は本実施例のパネル搬送の図18に続く動作説明図である。表示パネル1は移動したXYZθ搬送テーブル11によって、パネル置き台8bまで搬送され、3辺の縁辺処理が行われる。なお、このとき、図3,図4を用いて先に説明した通り、置き台上、もしくは搬送途中で表示パネルの位置決め動作が行われている。そして、上流からは未処理の表示パネル1が搬入されてパネル置き台8aに配置される。次に続く動作は図20で説明する。
【0059】
図20は本実施例のパネル搬送の図19に続く動作説明図である。パネル置き台8b上にあった縁辺処理された表示パネル4aは、吸着式パネル吊り上げ機構9bによって、下流のパネル置き台8cに搬送される。そして、パネル置き台8a上に新たに置かれた表示パネル1の真下には、点線で記載した通りにXYZθ搬送テーブル11が移動して、パネル置き台8aからの次の搬送に備えている。次に続く動作は図21で説明する。
【0060】
図21は本実施例のパネル搬送の図20に続く動作説明図である。先の説明で置き台8aに置かれた表示パネル1はXYZθ搬送テーブル11によってパネル置き台8bまで搬送され3辺の縁辺を処理される。そして、空いたパネル置き台8aには、さらに新たな表示パネル1が上流からパネル吊り上げ機構9aによって配置される。そして、先ほどパネル置き台8b上で縁辺処理された表示パネル4bを、さらに次の工程に搬送させるべく、パネル吊り上げ機構9bが、縁辺処理中のパネル4aの保持を開放して、パネル置き台8b上に移動する。なお、このとき、次の工程を縁辺処理中の表示パネル4aをさらに下流に搬送させるために、XYZθ搬送テーブル11bが縁辺処理された表示パネル4aの真下まで移動している。次に続く動作は図22で説明する。
【0061】
図22は本実施例のパネル搬送の図21に続く動作説明図である。なお、本工程はこれまでの順路で説明した通りの繰り返し動作を示しており、パネルの衝突や待機がなく、順次下流に搬送されることを示している。
【0062】
以上、このようなユニットと搬送動作の連結によってパネルの組立てを行うことができる。そして、従来の1辺ごとに処理を行うユニットを処理辺数の分だけ搬送を長くして組立てを行う方式よりも、3辺の処理を同時に行える処理装置に、表示パネル1をパネル同士の衝突や処理後の搬出待ちで途中待機させずに搬送できるメリットを得ることができる。
【0063】
他の表現としては、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルが上昇して退避しているため、続く処理されるべきパネルを搬入しても衝突するような課題が発生しないと表現することができる。
【0064】
また、滞りなくパネルを搬送させることができるため、待機時間を設ける必要も無い。
その結果、装置長さも短くすることができる上に組立て時間も短縮化が図ることも可能となる。
【実施例4】
【0065】
次に実施例4として、パネルを保持搬送するXYZθ搬送テーブル11と吸着式パネル吊り上げ機構9の搬送系路が他の実施例とは異なる方式について説明する。より、具体的には、本実施例4は、例えば、1つの搬送部で、基板の搬入,搬出を行うと表現することができる。
【0066】
図23は本実施例4を説明する図である。表示パネル1は、XYZθ搬送テーブル11によって、直線上のリニアユニット13に沿って、縁辺処理ユニット6の処理位置の下側に配置されたパネル置き台8aまで搬送される。その後、表示パネル1は、吊り上げ式のパネル搬送機構9によってコの字型に構成された縁辺処理ユニット6に搬送され、縁辺処理される。より具体的には、表示パネル1は、処理位置の下側から奥行き方向を経由して処理位置へ搬送される。
【0067】
ここで、縁辺処理ユニット6の各処理ユニットは、例えば、表示パネル1が搬送される際に、図23中の矢印2301,2302,2303の方向に一旦退避して、表示パネル1は搬送されるスペースを確保し、表示パネル1が搬送された後に、表示パネル1へ近接する動作を行うこともできる。なお、この動作は、例えば、縁辺処理ユニット6は、表示パネル1の動作に対応して、表示パネル1が処理されるべき空間の大きさを変えると表現することができる。
【0068】
そして、縁辺処理された表示パネル1は、パネル搬送機構9によって、処理位置の上側に一旦搬送された後(斜め方向を含んでも良い)、リニアユニット13bに搬送される。
【0069】
なお、このとき、図3,図4を用いて先に説明した通り、置き台上、または吊り上げ搬送の途中でパネルの位置決め動作を行っている。そして、前記搬送方式と同様に、順次、表示パネルを下流まで搬送する。
【0070】
本方式の特徴としてはリニアユニット13が直線で構成できるため、構成が安価で精度が良いというメリットがある。
【0071】
また、これまでの搬送方式の説明でパネルを吸着して吊り上げる方式を用いて説明してきたが、図24に示すように、パネルをL型アーム14によって引っ掛けて吊り下げるパネル保持方法でも良い。この方式のメリットは、吸着が切れてパネルが落下するような事態を回避させることができる。例えば、この方式は、前記パネルの下面を保持して、吊り上げて搬出すると表現することができる。
【実施例5】
【0072】
次に図25,図26を用いて実施例5について説明する。
【0073】
本実施例は、吸着式パネル吊り上げ機構等の搬送部は基板に対して斜め方向から近接することを特徴とする。また、本実施例は、基板を保持した吸着式パネル吊り上げ機構9等のパネル搬送部が基板に対して斜め方向に保持した基板を搬送することを特徴とする。本実施例は、搬送部が基板に近接する際のベクトルを制御することを特徴とする。本実施例は、保持した基板を搬送する際のベクトルを制御することを特徴とする。
【0074】
より具体的に、本実施例を説明する。図25は本実施例を説明する図である。ここでは、特に表示パネル1と吸着式パネル吊り上げ機構9aとの関係について説明する。本実施例では、前述した吸着式パネル吊り上げ機構9aは、速さ及び方向で表現されるベクトルv1で表示パネル1に近接する。ここで、ベクトルv1は、表示パネル1に平行なX軸に対して角度θx1で傾斜している。また、ベクトルv1は、X軸に直交してかつ表示パネル1に平行なy軸に対して角度θy1で傾斜している。さらにベクトルv1はx軸,y軸、及び表示パネル1に直交するz軸に対して角度θz1で傾斜している。
【0075】
さらに本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1から比較的離れている場合は、速さがv1の速さより大きいベクトルv2で表示パネル1に近接することもできる。つまり、本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aが、吸着式パネル吊り上げ機構9a・表示パネル1間の距離に応じて、粗動動作と粗動よりも速さの小さい微動動作を行うこともできる。また、吸着式パネル吊り上げ機構9a・表示パネル1間の距離に応じてθx1,θy1,θz1を変えることもできる。
【0076】
次に図26について説明する。図26は図25において吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1を吸着した後を説明する図である。本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aは、表示パネル1を吸着した後、近接時のベクトルv1と方向が逆で、速さが同じベクトルv3で表示パネル1を搬送する。そして、吸着式パネル吊り上げ機構9aは、その速さがベクトルv3の速さよりも大きいベクトルv4で続く下流側へ表示パネル1を搬送する。本実施例では、より柔軟な表示パネルの搬送を行うことが可能となる。
【実施例6】
【0077】
次に図27を用いて実施例6を説明する。本実施例は、吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1に近接する際の軌跡、及び吸着した表示パネル1を搬送する際の軌跡の少なくとも1つが弧2701を描く。
【0078】
さらに本実施例では、例えば搬送すべき基板の種類,処理の段階に応じてこの軌跡を弧2701から弧2702へ変えることもできる。
【0079】
また、弧2702は、細かく分解するとベクトル2703乃至2707で表現することもできるが、本実施例では、例えば速さをベクトル2703から2707の順で小さくするような制御を行うこともできる。
【0080】
以上、本実施例によれば、表示パネルモジュール組立装置における表示パネル位置決め動作を簡単な装置構成で実現できる。また、本実施例の表示パネルモジュール組立装置では、大板から小板まで幅広い表示パネルサイズへの対応も容易である。
【0081】
本実施例は、各種パネルへの適応性が高く、高精度の処理が可能な表示パネルモジュール組立装置を提供するものである。
【0082】
また、本実施例1−4に開示される搬送方式は、基板の搬入を行う搬入部と、基板の搬出を行う搬出部の基板に近接する方向とが異なる搬送方式であると表現することができる。
【0083】
なお、上述した実施例は、処理すべき対象を表示パネルとして説明したが、処理すべき対象は表示パネルに限定されない。例えば、太陽光発電パネル組立装置等、基板に処理を施す組立装置に幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 表示パネル
2 表示パネル搬送手段
3 処理ユニット
4 縁辺処理されたパネル
6 パネル縁辺処理ユニット
7 基準マーク
8 パネル置き台
9 吸着式パネル吊り上げ機構
10 リニアユニット
11 XYZθ搬送テーブル
12 コの字型に構成されたリニアユニット
13 リニアユニット
14 L型アーム
20,30 搬送ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル基板搬送機構および、基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置に関するものである。
【0002】
例えば、本発明は液晶やプラズマなどFPD(Flat Panel Display)機器のメイン部品である表示パネルの縁辺部に駆動ICや回路基板(PCB=Printed Circuit Board)を搭載、あるいはCOF(Chip On Film)やFPC(Flexible Printed Circuits)などのTAB(Tape Automated Bonding)を貼り付ける作業を行う表示パネル組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
表示パネル基板の組立ては、パネル縁辺部に駆動ICやPCB,COFやFPCを、装置内を搬送しながら順次実装させるプロセスで行われるが、関連する先行技術としては、例えば以下の先行技術がある。
【0004】
特許文献1は、直交するパネル端処理を同時に行える表示パネル基板の組立装置である。
【0005】
特許文献2は、向かい合うパネル端を同時に処理する表示パネル基板の組立装置である。
【0006】
その他の先行技術としては特許文献3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−117704号公報
【特許文献2】特開2007−127783号公報
【特許文献3】特開2004−6467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示パネル基板の組立ては、パネルの縁辺部に、駆動ICやPCB,COFやFPCを、装置内を搬送しながら順次実装させるプロセスで行われるが、次の(1)から(6)に現在の標準的仕様の表示パネルを組立てる時の一連の工程を挙げる。
(1)表示パネル縁辺部(電極部)の部品実装部分をクリーニングする工程
(2)クリーニング後の表示パネル縁辺部に異方性導電フィルム(ACF=Anisotropic Conductive Film)を貼り付ける工程
(3)ACFを貼り付けた位置にTABやICを精度良く位置決めして搭載する工程
(4)搭載したTABやICを加熱圧着して先のACFフィルムにより固着する工程
(5)搭載したICやTABの位置や接続状態を検査する工程
(6)パネル縁辺部に搭載したTABの先端にさらにPCBを搭載する工程(なお、本工程以降はパネルの仕様により工程が複数化する。)
【0009】
これら各工程をユニットごとに分担し、それらユニットを連結させた装置の中を、処理すべく表示パネルを搬送通過させることで一枚の表示パネル基板が完成する仕組みになっている。
【0010】
まず、これら各組立工程の多様性と装置長さとの関係について述べる。
【0011】
組立てられる表示パネルはFPDの性能にあわせて電極数や部品構成が異なるため、搭載するTABやICの数、あるいはゲート・ソースの処理辺数など多種多様化している。
それに伴い、組立処理するユニットもその表示パネルの仕様に応じてユニット数に変動が生じる。例えばユニットが増える場合を挙げると、標準的な表示パネルよりも高機能のものは処理辺も増えるため、前記(1)〜(6)とほぼ同様の工程を連結して増やす必要があり、加えて、搬送途中にゲート辺からソース辺、あるいはその逆など、処理辺の方向の切り換えを行う回転ユニットなども必要になる。つまり、組立装置の全長は表示パネルの仕様が複雑化するほど工程が増えて長くなる。
【0012】
また、先に述べた先行技術は次に挙げる課題を含む。
【0013】
特許文献1の構成においては、パネルは平面状の搬送系路を、パネル回転動作等を行いながら進行するためパネル端が干渉しないような搬送軌跡の大きさが必要で、結果、装置全体が大きくなるという課題を含んでいる。
【0014】
また、特許文献2の構成では、処理ユニットが搬送系路の両側に並列して配置してあるので装置幅が大きくなり、向かい合う対辺の処理しかできないという課題や、メンテナンス性が悪いなどの課題を含んでいる。
【0015】
本発明はより生産性の高い表示パネル組立装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は以下の特徴を有する。なお、本発明は以下の特徴をそれぞれ独立して有する場合もあれば、組み合わせて備える場合もある。
【0017】
本発明は、基板を基板表面に対して上方に引き上げて搬出することを特徴とする。
【0018】
本発明は、搬入時に基板に近接する方向と、搬出時に基板に近接する方向とが異なることを特徴とする。
【0019】
本発明は、新規な3辺同時処理ユニットと、新規な搬送方式とを組み合わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生産性の高い表示パネル組立装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の搬送方式でパネル組立てを行う時のパネル搬送系路および組立装置の構成を説明するための図である。
【図2】図1で示した従来のパネル組立装置の平面図である。
【図3】本実施例の3辺同時処理組立機構部への一枚パネル搬送を示す平面図である。
【図4】本実施例の3辺同時処理組立機構部への複数パネル搬送を示す平面図である。
【図5】表示パネルに設けられた基準マークの一例を示す図である。
【図6】本実施例の3辺同時処理部へのパネル搬送機構を示す図である。
【図7】本実施例のパネル搬送の動作開始の説明図である。
【図8】本実施例のパネル搬送の図7に続く動作説明図である。
【図9】本実施例のパネル搬送の図8に続く動作説明図である。
【図10】本実施例のパネル搬送の図9に続く動作説明図である。
【図11】本実施例のパネル搬送の図10に続く動作説明図である。
【図12】本実施例のパネル搬送の図11に続く動作説明図である。
【図13】本実施例のパネル搬送の図12に続く動作説明図である。
【図14】本実施例のパネル搬送の図13に続く動作説明図である。
【図15】本実施例のパネル搬送の図14から次の搬送ユニットにパネルを渡す動作を説明する図である。
【図16】本実施例のパネル搬送の図15に続く動作説明図である。
【図17】本実施例のパネル搬送であって図7から図16で説明した搬送方式の応用例を示す図である。
【図18】本実施例のパネル搬送の図17に続く動作説明図である。
【図19】本実施例のパネル搬送の図18に続く動作説明図である。
【図20】本実施例のパネル搬送の図19に続く動作説明図である。
【図21】本実施例のパネル搬送の図20に続く動作説明図である。
【図22】本実施例のパネル搬送の図21に続く動作説明図である。
【図23】本実施例のパネル搬送であって図5から図22までに説明した搬送方式の応用例を示す図である。
【図24】本実施例でパネルを搬送する時に吊り下げてパネルを保持し搬送する方法の説明図である。
【図25】実施例5を説明する図である。
【図26】実施例5を説明する図(続き)である。
【図27】実施例6を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図1から図27を用いて説明する。
【0023】
なお、本実施例では、後述する搬送方式と3辺同時処理ユニットとの組み合わせについて説明するが、この搬送方式は、3辺同時処理ユニットと必須の関係ではない。他の処理方式にも適用できる。
【実施例1】
【0024】
図1は従来の搬送方式を使ってパネルの組立てを行うパネル組立装置の構成およびパネル搬送系路を説明するための一実施例である。図はパネル組立装置全体を斜め上方から見た状態を示しており、図中区切られた各ユニット間をパネル搬送しながら組立てる。その流れは次の通りである。
(1)表示パネル縁辺部(電極部)の部品実装部分をクリーニングする工程
(2)クリーニング後の表示パネル縁辺部に異方性導電フィルム(ACF=Anisotropi c Conductive Film)を貼り付ける工程
(3)ACFを貼り付けた位置にTABやICを精度良く位置決めして搭載する工程
(4)搭載したTABやICを加熱圧着して先のACFフィルムにより固着する工程
(5)搭載したICやTABの位置や接続状態を検査する工程
(6)パネル縁辺部に搭載したTABの先端にさらにPCBを搭載する工程(なお、本工程以降はパネルの仕様により工程が複数化)
【0025】
引き続き、パネル搬送に関して詳しく説明する。表示パネル1は、各ユニットの表示パネル搬送手段2が表示パネル1を連結部で受け渡しできるように直線状に配置した表示パネル搬送手段2によって保持されながら順次搬送される。なお、表示パネル搬送手段2のパネル保持部は、上下左右および回転の動作が可能であり、その動作を利用して処理ユニット3に表示パネル1を移動させてパネル縁辺を処理した後、順次、下流(図では右下方向へ)に向かってパネルの受け渡し動作を繰り返しながら搬送させる。こうして、先に説明した各種組立ユニット間を搬送させると、順次縁辺部にICやTAB等の搭載処理が行われ、装置の最下流で一枚のパネルが完成する。
【0026】
図2は、図1で示した従来のパネル組立装置の平面図であり、図に示すように縁辺処理されたパネル4の未処理の辺を搬送しながら順次組立てを行う。ところが、この従来方式は、パネルの仕様によって処理辺の数が2辺3辺と複数になるほど処理するユニットの数も増やす必要があり、そのため搬送ライン20が長くなることで装置全長も長くなり、その結果、装置も大きくなり処理時間も長くなるという課題を有していた。
【0027】
次に本実施例1ついて説明する。
【0028】
まず、パネルの処理辺数が増えても、従来のように搬送ラインを長くせずにパネルを組立てられる方式について簡易的な図で説明する。その代表的な図が図3であり本実施例の3辺同時処理組立機構部へのパネル搬送系路を簡単に示す平面図である。前記課題を解決すべく本実施例の搬送ライン30によって、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6に未処理の表示パネル1、もしくは縁辺処理されたパネル4が搬送される。
【0029】
なお、図3では、すでに上流の何れかの組立ユニットである程度パネルに縁辺処理が行われたパネルが組立搬送されている途中段階を抜粋したものであり、パネルの縁辺にはすでにICやTABが搭載された図になっている。このように、一度に3辺を同時に処理することで、パネルを回転させながら幾度もの組立工程を通す必要がなくなるため、その結果、装置の全長を短くし、組立時間も短縮させることが可能になる。
【0030】
なお、このパネル縁辺処理ユニット6は、例えば、対象物の周囲の異なる直線上にある2つ以上の点(図3で表現するならパネル4の2つ以上の縁辺)に対して、処理を施すと表現することもできる。
【0031】
また、図4は、前記図3で示した本実施例の搬送系路の応用例であり、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6に複数枚のパネル基板を搬送する方式を示している。このように複数辺を同時に処理するユニットには、搬入するパネルの枚数は一枚とは限らず、複数枚である場合であっても本実施例は有効である。つまり、このパネル縁辺処理ユニットの処理位置は、少なくとも1枚以上のパネルを処理するのに十分な大きさを有すると表現することができる。
【0032】
なお、先に説明した図3,図4の搬送経路30の途中には、表示パネルを精度良く縁辺処理位置に搬送するためのパネル位置検出機構301が設けられている。そして、パネル位置検出機構301によって検出された位置誤差情報は、パネルを保持した搬送テーブルの可動部にフィードバックされてパネルの位置補正動作が行われる。これにより、目標位置精度を確保することが可能となる。
【0033】
ここで、そのパネル位置検出機構301が表示パネルの位置を確認するために表示パネルには基準マークが設けられており、図5がその基準マークの一例を示している。
【0034】
まず、表示パネル1の端部に設けられた位置決め用のマークについて説明する。表示パネル1の処理辺および処理箇所付近には基準マーク7が設けられている。基準マーク7は表示パネルの基準位置を示しており、近傍にはTABやICなどの搭載位置を示す搭載位置マークなども形成されている。基準マークの形態は様々で、図示されている「+」や「・」以外に、「■」,「T」,「−−」「V」などの形態でも良い。
【0035】
ちなみに、本実施例1のパネル基板搬送装置および表示パネルモジュール組立装置では、以降で詳細に説明するXYZθ搬送テーブル11がXYZθ軸の可動手段を有し、表示パネル1を上流から下流の各組立ユニットに搬送する際、表示パネル1の基準マーク7を上述したパネル位置検出機構301(例えばCCDカメラ)などで検出することで、表示パネル1の傾きなどを算出し、XYZθ搬送テーブル11の可動軸を必要量動かすことで姿勢や位置の補正を行ったのち、処理作業位置へ高精度に位置決めして渡す方式を採用してもよい。
【0036】
本実施例1によれば、例えば、以下の効果を奏することができる。
(1)従来よりも生産性の高い表示パネル組立装置を実現できる。
(2)従来よりも小型な表示パネル組立装置を実現できる。
(3)従来よりも表示パネルを待機時間無く搬送できる。
【実施例2】
【0037】
図3および図4の平面図では、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルがパネル縁辺処理ユニット6に残っている場合や、あるいは縁辺処理を終えたパネルを搬出するときに、上流から新たに搬入しようとする表示パネルがある場合などには、パネル同士の衝突、もしくは新たに搬入しようとする側に待機時間を設けるなどの工夫が必要になる場合もある。そうなると、前記3辺同時処理が可能となる特徴にて装置長さが短くなっても組立時間の短縮化に至らず、また、パネルを破損させる可能性があるなどして、信頼性が低下するという課題が生じる場合もある。そこで、次に、実施例2として、前記説明した図3および図4の搬送方式が持つ、パネル同士の衝突の可能性や待機時間の確保などの課題を解決する方式について、以下、順次説明する。
【0038】
図6は本実施例のパネル3辺同時処理部へのパネル搬送機構を示している。基本的な構成は、パネルを置くパネル置き台8とそこからパネルを搬送するテーブルを有するXYZθ搬送テーブル11と、その搬送テーブルを移動させるL型に構成されたリニアユニット10と、L型テーブルによって図の奥の方向にパネルを搬送させた位置でパネルを上方向に吊り上げる吸着式パネル吊り上げ機構9がひとつのユニットで構成されている。
【0039】
より具体的には、本実施例では、パネル置き台8a,XYZθ搬送テーブル11a,リニアユニット10a、及び吸着式パネル吊り上げ機構9aを有する左側の搬送ユニット,パネル置き台8b,XYZθ搬送テーブル11b,リニアユニット10b、及び吸着式パネル吊り上げ機構9bを有する右側の搬送ユニットについて主に説明する。
【0040】
また、図示はしないが、前記搬送テーブルによってパネルが図の奥に移動した位置には、すでに図3および図4で説明したコの字型に配置したパネル縁辺の3辺を処理するユニットが配置されている。そして、この構成が各組立順に一列に配置されている。なお、図6はこれから処理される表示パネル1が図中左のパネル置き台8上に置かれ、これから縁辺処理を開始する状態を示しており、次の図7からパネルの搬送について順次説明する。
【0041】
図7は本実施例のパネル搬送の最初の動作説明図である。表示パネル1はパネル置き台8に載っており、このパネルは装置の外部から手動または機械式の搬送手段によって運ばれてきたものとして、縁辺は未処理の状態である。L型に構成されたリニアユニット10によって動くXYZθ搬送テーブル11は図中の矢印のようにパネル置き台8の下側に、そのテーブルを必要なだけ下降させて潜り込み、表示パネル1の真下まで移動する。なお、XYZθ搬送テーブル11は、パネルが無いときの待機位置は図中奥としているが、この限りではない。次に続く動作は図8で説明する。
【0042】
図8は本実施例のパネル搬送の図7に続く動作説明図である。パネル置き台8に置かれた表示パネル1は、待機位置から、表示パネル1の真下に移動したXYZθ搬送テーブル11が上昇し、保持方式の一例であるが、図に示すような吸着パッドによって吸着保持されて上昇し、パネル置き台8よりも浮いた状態になる。そして、XYZθ搬送テーブル11が、L型に構成されたリニアユニットによって、図中奥の位置まで、矢印のように移動させる。なお、このとき、図3を用いて先に説明した通り、置き台上、もしくは搬送途中で位置決め動作を行っている。次に続く動作は図9で説明する。
【0043】
図9は本実施例のパネル搬送の図8に続く動作説明図である。先に説明したXYZθ搬送テーブル11がL型に構成されたリニアユニットによって移動し、表示パネル1は図の位置まで移動する。すると、図示はしないが、コの字に配置されたパネル縁辺処理ユニットの中(処理位置)に配置する。なお、この位置に配置される前に図3を用いて先に説明した位置決め動作を行っている。次に続く動作は図10で説明する。
【0044】
図10は本実施例のパネル搬送の図9に続く動作説明図である。先の説明で述べたとおりに、3辺縁辺処理位置への移動と位置決めを終えた表示パネル1は図に示すように、処理目的の3辺に対してICやTABなどの回路基板を搭載するための準備もしくは、搭載の処理が行われ、縁辺処理されたパネル4として次のユニット(下流側と呼ぶ)に送るために吸着式パネル吊り上げ機構9を動作させる。次に続く動作は図11で説明する。
【0045】
図11は本実施例のパネル搬送の図10に続く動作説明図である。先の説明で縁辺処理を終えた表示パネルに吸着式パネル吊り上げ機構9が降下して吸着保持する。L型に構成されたリニアユニット10上にあるXYZθ搬送テーブル11は、縁辺処理されたパネル4が離れるため、移動が可能になる。次に続く動作は図12で説明する。
【0046】
図12は本実施例のXYZθ搬送テーブル11に続く動作説明図である。縁辺処理されたパネル4は吸着式パネル吊り上げ機構9によってパネル面に対し垂直な方向へ引き上げられるため、3辺同時処理ユニットには縁辺処理されたパネル4が無くなる。これは、例えば、第2の基板搬送部の一例である吸着式パネル吊り上げ機構9が縁辺処理されたパネル4を処理位置から搬出するための基板搬出高さは、XYZθ搬送テーブル11の一例である前記第1の搬送部が前記処理位置にパネル4を搬入するための基板搬入高さよりも、高いと表現することができる。
【0047】
これにより、XYZθ搬送テーブル11はL型に構成されたリニアユニット10に沿って縁辺処理されたパネル4を搬出する必要がなく、代わりに、上流から新たに搬入されてくる処理すべく新しい表示パネル1の搬入のための移動準備を行うことができる。次に続く動作は図13で説明する。
【0048】
図13は本実施例のパネル搬送の図12に続く動作説明図である。パネル置き台8には、図7の状態と同じく、新たに縁辺処理すべく縁辺未処理の表示パネル1が配置されている。また、前項の図12で説明したとおり、XYZθ搬送テーブル11は縁辺処理されたパネル4と切り離れているため、したがって、図の点線矢印の軌跡のように、パネル置き台8上に置かれた未処理の表示パネル1の搬送に向かう。次に続く動作は図14で説明する。
【0049】
図14は本実施例のパネル搬送の図13に続く動作説明図である。先の説明の通りXYZθ軸可動パネル搬送テーブルがパネル置き台8の下から、未処理の表示パネル1を持ち上げ、すでに先に縁辺処理を終えて、吸着式パネル吊り上げ機構9によって移動して空いた3辺同時処理ユニットに、矢印の軌跡のように搬送され移動する。これは、例えば、XYZθ搬送テーブル11は、パネル4が吸着式パネル吊り上げ機構9によって搬出された後に、表示パネル1を処理位置へ搬入すると表現することができる。次に続く動作は図15で説明する。
【0050】
図15は図14の続きを説明する図である。先の説明で縁辺処理を終えた縁辺処理されたパネル4は、図中左の搬送ユニットから右の搬送ユニットのパネル置き台8bに吸着式パネル吊り上げ機構9aによって搬送される。より具体的には、パネル4は吸着式パネル吊り上げ機構9aによって、上方につり上げられた後、パネル面に対し平行な方向に移動した後、パネル面に対し垂直な方向に搬送される。なお、この時、パネル面に対し平行な方向,パネル面に対し垂直な方向は、多少ずれても良い。
【0051】
また、縁辺の処理は図1の説明で述べた例にあるような(1)から(6)のような種類のものであり、本実施例はその処理部への搬送機構について特に詳しく述べた発明であるため、これら処理部の詳細機能については割愛する。次に続く動作は図16で説明する。
【0052】
図16は本実施例のパネル搬送の図15に続く動作説明図である。先の説明の通り、図中左のユニットから右のユニットに搬送された表示パネル4は、右の搬送ユニットのXYZθ搬送テーブル11bによって、図示はしないが図中右のL型に構成された3辺同時縁辺処理ユニットに搬送して次の工程の縁辺処理が行われる。
【0053】
このように、本実施例では、搬送動作の連結によって一枚のパネルの組立を行うことができる。そして、従来の1辺ごとに処理を行うユニットを処理辺数の分だけ搬送を長くして組立を行う方式よりも、3辺の処理を同時に行える処理装置に、表示パネル1をパネル同士の衝突や処理後の搬出待ちで途中待機させずに搬送できるというメリットを得ることができる。
【0054】
こうして、本実施例の搬送方式を用いることでコの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルが上昇して退避しているため、続く処理されるべきパネルが搬入しても衝突するような課題が発生しない。また、滞りなくパネルを搬送させることができるため、待機時間を設ける必要も無い。その結果、装置長さも短くすることができた上に組立時間も短縮化が図れる。
【実施例3】
【0055】
次に実施例3として、実施例2とパネルを保持搬送するXYZθ搬送テーブル11、及び吸着式パネル吊り上げ機構9の搬送系路が異なる方式について説明する。
【0056】
まず、図17において、表示パネル1はパネル置き台8aに載っている。ちなみにこのパネルは装置の外部から手動または機械式の搬送手段によって運ばれてきたものであり、未だ縁辺は未処理の状態としている。搬送部分は、コの字型に構成されたリニアユニット12aに、それによって動くXYZθ搬送テーブル11が構成されている。なお、XYZθ搬送テーブル11は、パネルが無いときの待機位置を、図中右側奥にしているが、この限りではない。次に続く動作は図18で説明する。
【0057】
図18は本実施例のパネル搬送の図17に続く動作説明図である。コの字型に構成されたリニアユニット12aによって動くXYZθ搬送テーブル11は図中の矢印のようにパネル置き台8aに置かれた表示パネル1の真下まで移動する。次に続く動作は図19で説明する。
【0058】
図19は本実施例のパネル搬送の図18に続く動作説明図である。表示パネル1は移動したXYZθ搬送テーブル11によって、パネル置き台8bまで搬送され、3辺の縁辺処理が行われる。なお、このとき、図3,図4を用いて先に説明した通り、置き台上、もしくは搬送途中で表示パネルの位置決め動作が行われている。そして、上流からは未処理の表示パネル1が搬入されてパネル置き台8aに配置される。次に続く動作は図20で説明する。
【0059】
図20は本実施例のパネル搬送の図19に続く動作説明図である。パネル置き台8b上にあった縁辺処理された表示パネル4aは、吸着式パネル吊り上げ機構9bによって、下流のパネル置き台8cに搬送される。そして、パネル置き台8a上に新たに置かれた表示パネル1の真下には、点線で記載した通りにXYZθ搬送テーブル11が移動して、パネル置き台8aからの次の搬送に備えている。次に続く動作は図21で説明する。
【0060】
図21は本実施例のパネル搬送の図20に続く動作説明図である。先の説明で置き台8aに置かれた表示パネル1はXYZθ搬送テーブル11によってパネル置き台8bまで搬送され3辺の縁辺を処理される。そして、空いたパネル置き台8aには、さらに新たな表示パネル1が上流からパネル吊り上げ機構9aによって配置される。そして、先ほどパネル置き台8b上で縁辺処理された表示パネル4bを、さらに次の工程に搬送させるべく、パネル吊り上げ機構9bが、縁辺処理中のパネル4aの保持を開放して、パネル置き台8b上に移動する。なお、このとき、次の工程を縁辺処理中の表示パネル4aをさらに下流に搬送させるために、XYZθ搬送テーブル11bが縁辺処理された表示パネル4aの真下まで移動している。次に続く動作は図22で説明する。
【0061】
図22は本実施例のパネル搬送の図21に続く動作説明図である。なお、本工程はこれまでの順路で説明した通りの繰り返し動作を示しており、パネルの衝突や待機がなく、順次下流に搬送されることを示している。
【0062】
以上、このようなユニットと搬送動作の連結によってパネルの組立てを行うことができる。そして、従来の1辺ごとに処理を行うユニットを処理辺数の分だけ搬送を長くして組立てを行う方式よりも、3辺の処理を同時に行える処理装置に、表示パネル1をパネル同士の衝突や処理後の搬出待ちで途中待機させずに搬送できるメリットを得ることができる。
【0063】
他の表現としては、コの字型に配置されたパネル縁辺処理ユニット6にパネルを搬入するときに、縁辺処理を終えたパネルが上昇して退避しているため、続く処理されるべきパネルを搬入しても衝突するような課題が発生しないと表現することができる。
【0064】
また、滞りなくパネルを搬送させることができるため、待機時間を設ける必要も無い。
その結果、装置長さも短くすることができる上に組立て時間も短縮化が図ることも可能となる。
【実施例4】
【0065】
次に実施例4として、パネルを保持搬送するXYZθ搬送テーブル11と吸着式パネル吊り上げ機構9の搬送系路が他の実施例とは異なる方式について説明する。より、具体的には、本実施例4は、例えば、1つの搬送部で、基板の搬入,搬出を行うと表現することができる。
【0066】
図23は本実施例4を説明する図である。表示パネル1は、XYZθ搬送テーブル11によって、直線上のリニアユニット13に沿って、縁辺処理ユニット6の処理位置の下側に配置されたパネル置き台8aまで搬送される。その後、表示パネル1は、吊り上げ式のパネル搬送機構9によってコの字型に構成された縁辺処理ユニット6に搬送され、縁辺処理される。より具体的には、表示パネル1は、処理位置の下側から奥行き方向を経由して処理位置へ搬送される。
【0067】
ここで、縁辺処理ユニット6の各処理ユニットは、例えば、表示パネル1が搬送される際に、図23中の矢印2301,2302,2303の方向に一旦退避して、表示パネル1は搬送されるスペースを確保し、表示パネル1が搬送された後に、表示パネル1へ近接する動作を行うこともできる。なお、この動作は、例えば、縁辺処理ユニット6は、表示パネル1の動作に対応して、表示パネル1が処理されるべき空間の大きさを変えると表現することができる。
【0068】
そして、縁辺処理された表示パネル1は、パネル搬送機構9によって、処理位置の上側に一旦搬送された後(斜め方向を含んでも良い)、リニアユニット13bに搬送される。
【0069】
なお、このとき、図3,図4を用いて先に説明した通り、置き台上、または吊り上げ搬送の途中でパネルの位置決め動作を行っている。そして、前記搬送方式と同様に、順次、表示パネルを下流まで搬送する。
【0070】
本方式の特徴としてはリニアユニット13が直線で構成できるため、構成が安価で精度が良いというメリットがある。
【0071】
また、これまでの搬送方式の説明でパネルを吸着して吊り上げる方式を用いて説明してきたが、図24に示すように、パネルをL型アーム14によって引っ掛けて吊り下げるパネル保持方法でも良い。この方式のメリットは、吸着が切れてパネルが落下するような事態を回避させることができる。例えば、この方式は、前記パネルの下面を保持して、吊り上げて搬出すると表現することができる。
【実施例5】
【0072】
次に図25,図26を用いて実施例5について説明する。
【0073】
本実施例は、吸着式パネル吊り上げ機構等の搬送部は基板に対して斜め方向から近接することを特徴とする。また、本実施例は、基板を保持した吸着式パネル吊り上げ機構9等のパネル搬送部が基板に対して斜め方向に保持した基板を搬送することを特徴とする。本実施例は、搬送部が基板に近接する際のベクトルを制御することを特徴とする。本実施例は、保持した基板を搬送する際のベクトルを制御することを特徴とする。
【0074】
より具体的に、本実施例を説明する。図25は本実施例を説明する図である。ここでは、特に表示パネル1と吸着式パネル吊り上げ機構9aとの関係について説明する。本実施例では、前述した吸着式パネル吊り上げ機構9aは、速さ及び方向で表現されるベクトルv1で表示パネル1に近接する。ここで、ベクトルv1は、表示パネル1に平行なX軸に対して角度θx1で傾斜している。また、ベクトルv1は、X軸に直交してかつ表示パネル1に平行なy軸に対して角度θy1で傾斜している。さらにベクトルv1はx軸,y軸、及び表示パネル1に直交するz軸に対して角度θz1で傾斜している。
【0075】
さらに本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1から比較的離れている場合は、速さがv1の速さより大きいベクトルv2で表示パネル1に近接することもできる。つまり、本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aが、吸着式パネル吊り上げ機構9a・表示パネル1間の距離に応じて、粗動動作と粗動よりも速さの小さい微動動作を行うこともできる。また、吸着式パネル吊り上げ機構9a・表示パネル1間の距離に応じてθx1,θy1,θz1を変えることもできる。
【0076】
次に図26について説明する。図26は図25において吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1を吸着した後を説明する図である。本実施例では、吸着式パネル吊り上げ機構9aは、表示パネル1を吸着した後、近接時のベクトルv1と方向が逆で、速さが同じベクトルv3で表示パネル1を搬送する。そして、吸着式パネル吊り上げ機構9aは、その速さがベクトルv3の速さよりも大きいベクトルv4で続く下流側へ表示パネル1を搬送する。本実施例では、より柔軟な表示パネルの搬送を行うことが可能となる。
【実施例6】
【0077】
次に図27を用いて実施例6を説明する。本実施例は、吸着式パネル吊り上げ機構9aが表示パネル1に近接する際の軌跡、及び吸着した表示パネル1を搬送する際の軌跡の少なくとも1つが弧2701を描く。
【0078】
さらに本実施例では、例えば搬送すべき基板の種類,処理の段階に応じてこの軌跡を弧2701から弧2702へ変えることもできる。
【0079】
また、弧2702は、細かく分解するとベクトル2703乃至2707で表現することもできるが、本実施例では、例えば速さをベクトル2703から2707の順で小さくするような制御を行うこともできる。
【0080】
以上、本実施例によれば、表示パネルモジュール組立装置における表示パネル位置決め動作を簡単な装置構成で実現できる。また、本実施例の表示パネルモジュール組立装置では、大板から小板まで幅広い表示パネルサイズへの対応も容易である。
【0081】
本実施例は、各種パネルへの適応性が高く、高精度の処理が可能な表示パネルモジュール組立装置を提供するものである。
【0082】
また、本実施例1−4に開示される搬送方式は、基板の搬入を行う搬入部と、基板の搬出を行う搬出部の基板に近接する方向とが異なる搬送方式であると表現することができる。
【0083】
なお、上述した実施例は、処理すべき対象を表示パネルとして説明したが、処理すべき対象は表示パネルに限定されない。例えば、太陽光発電パネル組立装置等、基板に処理を施す組立装置に幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 表示パネル
2 表示パネル搬送手段
3 処理ユニット
4 縁辺処理されたパネル
6 パネル縁辺処理ユニット
7 基準マーク
8 パネル置き台
9 吸着式パネル吊り上げ機構
10 リニアユニット
11 XYZθ搬送テーブル
12 コの字型に構成されたリニアユニット
13 リニアユニット
14 L型アーム
20,30 搬送ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
第1の基板に対して処理を行うための第1の処理位置に前記第1の基板を搬入するための第1の搬送部と、
前記処理が完了した前記第1の基板を前記第1の処理位置から前記第1の基板の表面に対して上方へ搬出するための第2の搬送部と、を有し
前記第2の搬送部が前記処理後の第1の基板を前記第1の処理位置から搬出するための基板搬出高さは、前記第1の搬送部が前記第1の処理位置に前記第1の基板を搬入するための基板搬入高さよりも高いことを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第2の搬送部は、前記基板を吸着し、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第2の搬送部は、前記基板の下面を保持して、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第1の処理位置で、前記第1の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して第1の処理を施す第1の処理ユニットを有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示パネル組立装置において、
第2の処理位置で、前記第1の処理部ユニットによって処理された前記第1の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して第2の処理を施す第2の処理ユニットを有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
第2の基板を待機させる第1の待機部を有し、
さらに、
前記第1の搬送部は、前記第1の待機部から前記第2の基板を受け取るテーブルを有し、前記テーブルは、前記第1の基板が前記第2の搬送部によって搬出された後に、前記第2の基板を前記第1の処理位置へ搬入することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示パネル組立装置において、
前記第1の待機部は、前記第2の基板の少なくとも2箇所を支える部分を有し、
前記テーブルは前記2箇所の間隔よりも短い幅を有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項8】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
前記基板に対して処理を施す処理ユニットと、
前記処理ユニットの処理位置の下側から前記処理位置へ前記基板を搬入し、前記処理位置から前記処理位置の上側へ前記処理ユニットによって処理された前記基板を搬出する搬送部と、を有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記処理位置で、前記の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して処理を施す処理ユニットであることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記搬送部の動作に応じて、前記基板が処理される空間の大きさを変えることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項11】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
前記基板に対して処理を施す処理ユニットと、
前記処理ユニットの処理位置へ前記基板の搬入を行う第1の搬入部と、前記処理位置から前記基板の搬出を行う第2の搬出部とを有し、
前記搬入部が前記基板に近接する方向と、前記搬出部が前記基板に近接する方向とは異なることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記搬出部は、前記基板を吸着し、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項13】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記搬出部は、前記基板の下面を保持して、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項14】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記処理位置で、前記の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して処理を施す処理ユニットであることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項1】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
第1の基板に対して処理を行うための第1の処理位置に前記第1の基板を搬入するための第1の搬送部と、
前記処理が完了した前記第1の基板を前記第1の処理位置から前記第1の基板の表面に対して上方へ搬出するための第2の搬送部と、を有し
前記第2の搬送部が前記処理後の第1の基板を前記第1の処理位置から搬出するための基板搬出高さは、前記第1の搬送部が前記第1の処理位置に前記第1の基板を搬入するための基板搬入高さよりも高いことを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第2の搬送部は、前記基板を吸着し、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第2の搬送部は、前記基板の下面を保持して、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
前記第1の処理位置で、前記第1の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して第1の処理を施す第1の処理ユニットを有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示パネル組立装置において、
第2の処理位置で、前記第1の処理部ユニットによって処理された前記第1の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して第2の処理を施す第2の処理ユニットを有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示パネル組立装置において、
第2の基板を待機させる第1の待機部を有し、
さらに、
前記第1の搬送部は、前記第1の待機部から前記第2の基板を受け取るテーブルを有し、前記テーブルは、前記第1の基板が前記第2の搬送部によって搬出された後に、前記第2の基板を前記第1の処理位置へ搬入することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示パネル組立装置において、
前記第1の待機部は、前記第2の基板の少なくとも2箇所を支える部分を有し、
前記テーブルは前記2箇所の間隔よりも短い幅を有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項8】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
前記基板に対して処理を施す処理ユニットと、
前記処理ユニットの処理位置の下側から前記処理位置へ前記基板を搬入し、前記処理位置から前記処理位置の上側へ前記処理ユニットによって処理された前記基板を搬出する搬送部と、を有することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記処理位置で、前記の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して処理を施す処理ユニットであることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項10】
請求項9に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記搬送部の動作に応じて、前記基板が処理される空間の大きさを変えることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項11】
基板に処理を施して、表示パネルを組立てる表示パネル組立装置において、
前記基板に対して処理を施す処理ユニットと、
前記処理ユニットの処理位置へ前記基板の搬入を行う第1の搬入部と、前記処理位置から前記基板の搬出を行う第2の搬出部とを有し、
前記搬入部が前記基板に近接する方向と、前記搬出部が前記基板に近接する方向とは異なることを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項12】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記搬出部は、前記基板を吸着し、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項13】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記搬出部は、前記基板の下面を保持して、吊り上げて搬出することを特徴とする表示パネル組立装置。
【請求項14】
請求項11に記載の表示パネル組立装置において、
前記処理ユニットは、
前記処理位置で、前記の基板の少なくとも2辺以上の辺に対して処理を施す処理ユニットであることを特徴とする表示パネル組立装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−249777(P2011−249777A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95635(P2011−95635)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]