説明

表示体、転写箔、及び表示体付き物品

【課題】高い偽造防止効果を実現する。
【解決手段】複数の画素を具備した表示体であって、前記複数の画素の各々は、第1サブ画素を含み、前記複数の画素の少なくとも1つは、250nm乃至500nmの範囲内の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる第1領域と、各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる共に500nm以下の中心間距離で、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けられた第2領域とを備えた前記第1サブ画素を含み、前記複数の画素の残部は、前記第1及び第2領域の少なくとも一方を備えた前記第1サブ画素を含み、前記表示体は、前記表示体の主面の法線と交差する斜め方向から観察する第2条件において、前記第1領域の分布に基づいた第1画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、ID、BP用セキュリティデバイスに応用することが可能な、偽造防止効果、装飾効果、及び/又は美的効果を提供できる表示体に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券、証明書、ブランド品、電子機器及び個人認証媒体などの物品には、偽造が困難であることが望まれる。そのため、そのような物品には、偽造防止効果に優れた表示体を支持させることがある。
【0003】
そのような表示体の多くは、回折格子、ホログラム及びレンズアレイ等の微細構造を含んでいる。これら微細構造は、例えば観察角度の変化に応じて、色の変化を生じる。また、これら微細構造は、解析及び偽造することが困難である。それゆえ、このような表示体は、比較的高い偽造防止効果を発揮し得る(特許文献1)。
【0004】
公知ではないが、より高い偽造防止効果を実現するために、正面から見るとモノクロネガ画像が現れ、深く傾けたて見たときには、フルカラーの写真画質の画像が表現できる方法を出願している(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、その方法では、正面で見える画像が、ネガ画像のため印象が悪くなってしまい、また、傾けて見たときには、モノクロネガ画像からフルカラーポジ画像の間で変化するだけなので、変化をつかまえにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4420138号公報
【特許文献2】特願2010−258814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、より高い偽造防止効果を実現する表示体を提供するために、正面から見たときに見えてしまうモノクロネガ画像を見えないように潜像化させ、正面から見える画像を、モノクロネガ画像からモノクロ画像とし、傾けて見たときにはフルカラーポジ画像が見える表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、複数の画素を具備した表示体であって、前記複数の画素の各々は、第1サブ画素を含み、前記複数の画素の少なくとも1つは、250nm乃至500nmの範囲内の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる第1領域と、各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる共に500nm以下の中心間距離で、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けられた第2領域とを備えた前記第1サブ画素を含み、前記複数の画素の残部は、前記第1及び第2領域の少なくとも一方を備えた前記第1サブ画素を含み、前記表示体は、前記表示体の主面の法線と交差する斜め方向から観察する第2条件において、前記第1領域の分布に基づいた第1画像を表示する表示体である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記第1サブ画素の少なくとも1つにおいて、前記第
1領域は、複数の凹部又は凸部の中心間距離が互いに異なった複数のサブ領域を含んでいる請求項1に記載の表示体である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記サブ領域は、前記第2条件において赤色を表示するように構成された第1サブ領域と、前記第2条件において緑色を表示するように構成された第2サブ領域と、前記第2条件において青色を表示するように構成された第3サブ領域とを含んでいる請求項2に記載の表示体である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記複数の画素の各々は、第2サブ画素を更に含み、前記第2サブ画素の少なくとも1つは、前記表示体の主面の法線方向から観察する第1条件において黒色又は暗灰色を表示する第3領域を含み、前記表示体は、前記第1条件において、前記第3領域の分布に基づいた第2画像を表示する請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示体である。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記第3領域は、500nm以下の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部を備え、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けられている請求項4に記載の表示体である。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記第2領域を構成している複数の凹部又は凸部と、前記第3領域を構成している複数の凹部又は凸部とは、中心間距離が互いに等しい請求項5に記載の表示体である。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔である。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体とこれを支持した物品とを具備した表示体
付き物品である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、複数の画像を独立させて表示できる表示体であり、正面から見ると何も見えないが表示体を傾けて見るとフルカラー画像が見える。又は、正面から見るとモノクロ画像が見えるが表示体を傾けると別のフルカラー画像が見える。といった高い偽造防止効果を持つ真偽判定の容易な表示体の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の潜像効果表示体の一態様に係る正面方向、及び斜め方向から観察した表示状態を示した概念図である。
【図2】本発明の潜像効果表示体を構成する画素の一態様の正面方向、及び斜め方向の状態を示した概念図である。
【図3】本発明の表示体を、正面方向、及び斜め方向から観察する状況を示した概念図である。
【図4】旧表示体の一の態様に係る正面方向、及び斜め方向から観察した表示状態を示した概念図である。
【図5】本発明のカラー画像を形成する画素のミクロ表面形状を示した概念図である。
【図6】本発明の第1領域と方向を変えた第2領域の関係を示した概念図である。
【図7】本発明のチェンジ効果表示体の一態様に係る正面方向、及び斜め方向から観察した表示状態を示した概念図である。
【図8】本発明のチェンジ効果表示体を構成する画素の一態様の正面方向、及び斜め方向の状態を示した概念図である。
【図9】本発明の潜像効果表示体を構成する画素の構成を示した概念図である。
【図10】本発明のチェンジ効果表示体を構成する画素の構成を示した概念図である。
【図11】本発明の転写箔の断面の一例を拡大して示した概念図である。
【図12】本発明の転写箔を物品に転写状態を示した概念断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の潜像効果表示体1の正面方向、及び斜め方向から観察した表示状態を示しており、潜像効果表示体1を正面から見ると、黒く何も見えないが、潜像効果表示体1を傾けるか、あるいは斜め方向から観察すると潜像(フルカラーポジ画像)9が見えることを示している。
【0019】
図2は本発明の潜像効果表示体1を構成する画素の正面方向、及び斜め方向の状態を示している。潜像効果表示体1は、250nm乃至500nmの範囲内の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる第1領域と各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる共に500nm以下の中心間距離で、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けた第2領域とを備えた第1サブ画素を有する。この時画素の画素横長さX、及び画素縦長さYは1〜300μmである。
【0020】
第1領域では、さらに複数のサブ領域を含んでいてもよく、図2では、サブ領域として中心間距離450μmのクロスグレーティング構造からなる赤画素R、中心間距離400μmのクロスグレーティング構造からなる緑画素G、中心間距離350μmのクロスグレーティング構造からなる青画素Bを用いた。なお、第1領域は中心間距離250μm〜500μmの範囲内で、目的の回折光の色味に応じて適宜設定できる。
【0021】
図3は本発明の潜像効果表示体1、あるいはチェンジ効果表示体4を正面方向、及び斜め方向からの観察状況を示した概念図であり、角度によって、黒色1a、あるいはモノクロネガ画像11から潜像(フルカラーポジ画像)9が見えることを示している。
【0022】
図4は従来の表示体3を示した概念図であり、正面から観察した時にモノクロネガ画像11が認識されることを示している。
【0023】
図5は順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部が、250nm乃至500nmの範囲内の中心間距離で二次元的に配置された状態を示しており、図6は第1領域に対して第2領域が、凹部又は凸部の二次元的な配置の方位角度がθ傾いていることを示しており、第1領域の色が見えるときに、第2領域は黒く見える。第2領域の中心間距離は500μm以下であればいずれの値でも良い。カラー画像を形成する第1領域と、黒く見える第2領域の二次元的な配置の方位角度は10°傾けたが、第1領域に対する第2領域の、凹部又は凸部の二次元的な配置の方位角度の傾きθは5〜40°にすれば良い。
【0024】
可視光の波長は、0.4〜0.7μmであり、回折格子の格子定数が且つこの最短波長未満である場合、つまり、0.4μm未満である場合、界面に対して斜め方向から照射された光は、観察方向には向かわない。
【0025】
図7は本発明のチェンジ効果表示体4の正面方向、及び斜め方向から観察したときの表示を示しており、正面から観察するとモノクロネガ画像11が見え、チェンジ効果表示体4を傾けるか、あるいは斜め方向から観察すると潜像(フルカラーポジ画像)9が見える。
【0026】
図8は本発明のチェンジ効果表示体4を構成する画素5の正面方向、及び斜め方向の状態を示しており、第1サブ画素Aと第2サブ画素Bを含む。第1サブ画素Aは、斜め方向から観察した時に赤画素R、緑画素G、青画素Bとして観察される第1領域7と正面方向斜め方向のいずれの方向においても黒く観察される第2領域8を含む。第2サブ画素Bは正面方向斜め方向のいずれの方向においても黒く観察される第3領域20を含み、正面方向から観察した際、第3領域20の分布に基づいてモノクロを表示し、斜め方向から観察した際、赤画素R、緑画素G、青画素Bからなる回折光が認識され、各画素の面積により正面からは見えない潜像9が形成される。なお、第2サブ画素Bの第3領域20以外の部分は光を反射または散乱する構造をとることができる。
【0027】
また、第3領域20の分布に基づくモノクロ画像より回折光の方が輝度が高いため、潜像9(回折光画像)が優先して認識される。
【0028】
第2サブ画素Bに含まれる第3領域20は、前述の第2領域と同様のもの、すなわち第1領域に対して、500μm以下の中心間距離で二次元的に配置され配置の方位角度を傾けて設けてあるものや、中心間距離が250nm未満で形成されるとともに各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部を備えたものでも良い。また印刷により形成されたものでもよい。
【0029】
金型の凹構造及び/又は凸構造は樹脂層に加熱プレスによって転写される。樹脂層13と反射層14との界面は、第1領域と第2領域に対応する凹構造及び/又は凸構造が設けられており、樹脂層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂を使用する。凹構造及び/又は凸構造が形成された樹脂層表面には反射層が設けられる。反射層としては、例えば、アルミニウム、銀、金、及びそれらの合金などの金属材料からなる金属層を使用することができる。
【0030】
あるいは、反射層14として隣り合うもの同士の屈折率が異なる誘電体層の積層体、即ち、誘電体多層膜を使用してもよい。なお、誘電体多層膜が含む誘電体層のうち樹脂層と接触しているものの屈折率は、樹脂層の屈折率とは異なっていることが望ましい。潜像効果表示体1あるいはチェンジ効果表示体4が反射層14を含んでいる場合、視認性がより優れた像を表示させることができる。反射層14は、例えば、真空蒸着法及びスパッタリング法などの気相堆積法により形成することができる。
【0031】
なお、反射層14の存在する第1領域と第2領域に対応するが順テーパ形状を有する複数凹構造及び/又は凸構造を空間的に分布させることにより図柄を表現するともできる。
【0032】
表示体の視覚効果について説明する。一般に、m次回折光(m=0、±1、±2、・・・)の射出角βは、回折格子の格子線に垂直な面内で光が進行する場合、下記等式から算出することができる。
d=mλ/(sinα−sinβ)
この等式において、dは回折格子の格子定数を表し、mは回折次数を表し、λは入射光及び回折光の波長を表している。また、αは、0次回折光、即ち、透過光又は正反射光の射出角を表している。換言すれば、αの絶対値は照明光の入射角と等しく、反射型回折格子の場合には、照明光の入射方向と正反射光の射出方向とは、回折格子が設けられた界面の法線に関して対称である。
【0033】
なお、回折格子が反射型である場合、角度αは、0°以上であり且つ90°未満である。また、回折格子が設けられた界面に対して斜め方向から照明光を照射し、法線方向の角度、即ち0°を境界値とする2つの角度範囲を考えると、角度βは、回折光の射出方向と正反射光の射出方向とが同じ角度範囲内にあるときには正の値であり、回折光の射出方向と照明光の入射方向とが同じ角度範囲内にあるときには負の値である。
【0034】
法線方向から回折格子を観察する場合、表示に寄与する回折光は射出角βが0°の回折光のみである。従って、この場合、格子定数dが波長λと比較してより大きければ、上記等式を満足する波長λ及び入射角αが存在する。即ち、この場合、観察者は、上記等式を満足する波長λを有する回折光を観察することができる。
【0035】
本発明においては、第1領域の凹構造及び/又は凸構造の二次元的に配置の方位角度と第2領域の凹構造及び/又は凸構造の二次元的に配置の方位角度とが5°以上40°以下ずらして設けられているため、観察者は、第1領域の回折光を観察する時に第2領域の回折光を観察することができない。
【0036】
図9は潜像効果表示体1を構成する複数の画素の状態を示しており、また図10はチェンジ効果表示体4を構成する複数の画素しており、表示画像に合わせ、赤画素R、緑画素G、青画素B、黒画素BKの占有面積を変化させる。
【0037】
潜像効果表示体1は1画素の大きさ30μmとし、赤画素Rは横5μm縦10μmで中心間距離450μm、緑画素Gは横7μm縦20μmで中心間距離400μm、青画素Bは横10μm縦30μmで中心間距離350μmとし、30度に潜像効果表示体1を傾けたときにフルカラーで出現する様、占有面積を変化させ、赤画素R、緑画素G、青画素Bが占有されない部分には、中心間距離300μmで凸部が二次元的に、方位角度を10°傾けて配置した描画データを作成した。
【0038】
チェンジ効果表示体4は1画素の大きさ30μmとし、赤画素Rは横5μm縦10μmで中心間距離450μm、緑画素Gは横7μm縦12μmで中心間距離400μm、青画素Bは横10μm縦20μmで中心間距離350μm、モノクロ画像11を形成する黒画素BKは横30μm縦10μmで中心間距離300μmとし、30度にチェンジ効果表示体4を傾けたときにフルカラーで出現する様、占有面積を変化させ、赤画素R、緑画素G、青画素Bが占有されない部分には、中心間距離300μmで凸部が二次元的に、方位角度を10°傾けて配置した描画データを作成した。モノクロ画像11は黒画素BKである中心間距離300μmの凸部が二次元的に配置され、凸部が形成されない部分は光が反射される。
【0039】
作成した描画データをEBレジスト上に描画し、次にレジストを現像し、回折構造を作製、更にニッケルスパッタで回折構造の表面に導通をとり、ニッケル電鋳で金型を作製した。
【0040】
#19のPET基材上に、アクリル樹脂からなる剥離層16、UV硬化型樹脂からなる回折構造形成層13をグラビアコーティング法でそれぞれ1μm塗布し、原反を作成した。作製した金型を用い100℃の熱と1MPaの圧力で前記原反にエンボスを行い、その上にアルミ蒸着を0.05μmの厚さで形成、更にアクリル系樹脂からなる接着剤をグラビアコーティング法で、アルミ蒸着面に2μmの厚さで塗布し、回折構造を持つ転写箔18を作製した。
【0041】
作製した回折構造を持つ転写箔18に150℃の刻印を10MPaの圧力で被転写用紙(物品19)に押し付け接着後、基材を剥離し、回折構造を持つ転写箔18を転写した用紙(物品19)を得た。
【0042】
作製した潜像効果表示体1は、正面から見たときには、黒く何も見えないが、表示体を傾けるか、あるいは斜め方向から観察するとフルカラーの信号が確認できた。又、チェン
ジ効果表示体4は、正面から見たときにはモノクロの星、特定の角度に傾けたとき、フルカラーの信号が現れ、変化がつかまえ易く確実な真偽判定に寄与した。
【0043】
図11に転写箔18の断面を示す。フィルム基材15は、例えば、樹脂からなるフィルム又はシートである。フィルム基材15の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は塩化ビニル樹脂を使用する。
【0044】
剥離層16は、転写箔18を被転写体である物品18に転写する際のフィルム基材15の剥離を容易にする役割を担っている。剥離層16の材料としては、例えば、樹脂を使用する。剥離層16は、パラフィンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス及びシリコーンなどの添加剤を更に含んでいてもよい。なお、剥離層16の厚みは、例えば0.5μm乃至5μmの範囲内とする。
【0045】
接着層17の材料としては、例えば、反応硬化型接着剤、溶剤揮散型接着剤、ホットメルト型接着剤、電子線硬化型接着剤及び感熱接着剤などの接着剤を使用する。
【0046】
反応硬化性接着剤としては、例えば、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン及びアクリルウレタンなどのポリウレタン系樹脂、又は、エポキシ樹脂を使用する。
【0047】
溶剤揮散型接着剤としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂及びウレタン樹脂などを含んだ水性エマルジョン型接着剤、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合樹脂及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂などを含んだラテックス型接着剤を使用する。
【0048】
ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂及びポリウレタン樹脂などをベース樹脂として含んだものを使用する。
【0049】
電子線硬化型接着剤としては、例えば、アクリロイル基、アリル基及びビニル基などのビニル系官能基を1個又は複数個有したオリゴマーを主成分として含んだものを使用する。例えば、電子線硬化型接着剤として、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレートと、接着付与剤との混合物を使用することができる。この接着付与剤としては、例えば、リンを含んだアクリレート若しくはその誘導体、又は、カルボキシ基を含んだアクリレート若しくはその誘導体を使用する。
【0050】
感熱接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を使用する。
【0051】
接着層17は、例えば、上述した樹脂を、グラビアコータ、マイクログラビアコータ及びロールコータなどのコータを用いて表示体の背面上に塗布することにより得られる。
【0052】
この転写箔18は、図12に示す様に例えば、ロール転写機又はホットスタンプによって、被転写体である物品19に転写される。この際、剥離層16において剥離を生じると共に、潜像効果表示体1あるいはチェンジ効果表示体4が、被転写体である物品19に、接着層17を介して貼付される。
【符号の説明】
【0053】
1・・・潜像効果表示体
1a・・・潜像効果表示体正面方向画像
1b・・・潜像効果表示体斜め方向画像
2・・・潜像効果表示体画素
2a・・・潜像効果表示体正面方向画素
2b・・・潜像効果表示体斜め方向画素
3・・・従来の表示体
3a・・・従来の表示体正面方向画像
3b・・・従来の表示体斜め方向画像
4・・・チェンジ効果表示体
4a・・・チェンジ効果表示体正面方向画像
4b・・・チェンジ効果表示体斜め方向画像
5・・・チェンジ効果表示体画素
5a・・・チェンジ効果表示体正面方向画素
5b・・・チェンジ効果表示体斜め方向画素
6・・・画素ミクロ形状
7・・・第1領域
8・・・第2領域
9・・・潜像
10・・・フルカラーポジ画像
11・・・モノクロネガ画像
12・・・モノクロ画像
13・・・回折構造形成層(樹脂層)
14・・・反射層
15・・・フィルム基材
16・・・剥離層
17・・・接着層
18・・・転写箔
19・・・物品(被転写体)
20・・・第3領域
A・・・第1サブ画素
B・・・第2サブ画素
R・・・赤画素
G・・・緑画素
B・・・青画素
BK・・・黒画素
X・・・画素横長
Y・・・画素縦長
Z・・・凸部高さ(凹部深さ)
L・・・中間距離
θ・・・方位角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を具備した表示体であって、前記複数の画素の各々は、第1サブ画素を含み、前記複数の画素の少なくとも1つは、250nm乃至500nmの範囲内の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる第1領域と、各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部からなる共に500nm以下の中心間距離で、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けられた第2領域とを備えた前記第1サブ画素を含み、前記複数の画素の残部は、前記第1及び第2領域の少なくとも一方を備えた前記第1サブ画素を含み、前記表示体は、前記表示体の主面の法線と交差する斜め方向から観察する第2条件において、前記第1領域の分布に基づいた第1画像を表示する表示体。
【請求項2】
前記第1サブ画素の少なくとも1つにおいて、前記第1領域は、複数の凹部又は凸部の中心間距離が互いに異なった複数のサブ領域を含んでいる請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
前記複数のサブ領域は、前記第2条件において赤色を表示するように構成された第1サブ領域と、前記第2条件において緑色を表示するように構成された第2サブ領域と、前記第2条件において青色を表示するように構成された第3サブ領域とを含んでいる請求項2に記載の表示体。
【請求項4】
前記複数の画素の各々は、第2サブ画素を更に含み、前記第2サブ画素の少なくとも1つは、前記表示体の主面の法線方向から観察する第1条件において黒色又は暗灰色を表示する第3領域を含み、前記表示体は、前記第1条件において、前記第3領域の分布に基づいた第2画像を表示する請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示体。
【請求項5】
前記第3領域は、500nm以下の中心間距離で二次元的に配置されると共に各々が順テーパ形状を有する複数の凹部又は凸部を備え、前記第1領域の二次元的に配置の方位角度と5°以上40°以下ずらして設けられている請求項4に記載の表示体。
【請求項6】
前記第2領域を構成している複数の凹部又は凸部と、前記第3領域を構成している複数の凹部又は凸部とは、中心間距離が互いに等しい請求項5に記載の表示体。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体と、前記表示体を剥離可能に支持した支持体層とを具備した転写箔。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の表示体とこれを支持した物品とを具備した表示体付き物品。

【図5】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−237887(P2012−237887A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107164(P2011−107164)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】