説明

表示体の揺動装置

【課題】 摩擦抵抗のない、衝撃力を吸収できる振子体の軸受機構を提供するとともに単一の揺動機構により複数の表示体を揺動可能にし、取り付け形態を自由に選定できる表示体揺動装置を提供する。
【解決手段】 第1及び第2支持部111,112に振子用支持軸13を振子用軸受部14によって、振子用支持軸13が振子体12の揺動運動につれ振子用軸受部14の転動支承部材142上で転動可能に支承する。また、第1及び第2支持部111,112間に表示体用支持軸22を表示用軸受部23によって転動可能に支承し、この表示体用支持軸22と振子体12との間をリンク機構24により連繋して振子体12の揺動運動を表示体用支持軸22の転動運動に変換し、これにより、表示体用支持軸22に設けられた第2表示体21を第1表示体15に連動して揺動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物などを象った玩具や室内アクセサリー用置物など揺動させる駆動装置に利用されるほか、商品の案内などに使用されるPOP広告用の表示体などを揺動させるムービングディスプレイや看板の一部を揺動させる駆動装置として利用される表示体の揺動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の広告表示などを行う表示体を揺動させる揺動装置としては、上下方向に長尺な振子体と、この振子体を支持部材に左右方向に揺動可能に支持する支承部と、振子体の上端に取り付けられた商品広告用の表示体(意匠パネル)と、振子体の下端に設けられた永久磁石と、この永久磁石と微小間隔離して相対向するように上記支持部材に配置された駆動コイルと、この駆動コイルに所定の周期(3〜5秒程度)で0.1sec幅のパルス状電流を供給する非安定マルチバイブレータ回路と、この非安定マルチバイブレータ回路に電力を供給するとともに駆動コイルに発振電流を供給する乾電池等の一次電池または太陽電池と電解コンデンサを組み合わせたものからなる電源とを備える構成になっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2937287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来における表示体の揺動装置では、支持部材に対する振子体支承部の摩擦抵抗を大幅に低減して省電力化するために、支持部材に支持される支承部の箇所をナイフエッジに加工し、さらに、このナイフエッジが接する支持部材の箇所をV字状に加工している。しかし、振子体支承部をナイフエッジ状に加工したり、支持部材の支承箇所をV字加工することは、その加工に多くの手数がかかり、製品コストを上昇させる問題がある。
【0005】
また、従来の表示体揺動装置における表示体とこれを揺動させる駆動機構、すなわち永久磁石と駆動コイル及び非安定マルチバイブレータ回路から構成される駆動機構とは1対1の関係にあるため、表示体を2つないしそれ以上に分割した分割表示体から構成し、これら分割表示体を個別に揺動させようとすると別々の振子体及び駆動機構が必要になり、支持部材を含めた揺動装置全体が必要以上に複雑かつ大型化し、コスト高になるほか、消費電流も多くなり、省電力化に欠けるという問題がある。
【0006】
また、従来の表示体揺動装置における支持部材への振子体の支承構造は、支持部材のV字部に振子体支承部のナイフエッジを載置する方式であるとともに、振子体の上端に表示体を設け、振子体の下端に永久磁石を設ける構造であるため、表示体を上方に支持部材を下にしてショーケース上などに載置して使用されるのがほとんどであり、支持部材を上方に表示体を下にした天井吊り下げ式のものには適用できなかった。
【0007】
本発明は上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、摩擦抵抗がほとんど生じることのない、かつ衝撃力を吸収できる振子体の軸受機構を簡便かつ低コストに提供できるとともに単一の揺動機構により複数の表示体を揺動可能にし、併せて、同一の装置を表示体がフレーム本体の上方で揺動されるショーケース等への載置方式に限らず、表示体がフレーム本体の下方で揺動される吊り下げ式などに使用できる表示体の揺動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明にかかる表示体の揺動装置は、所定間隔離して平行に配置された第1及び第2支持部と該第1及び第2支持部間を一体に結合する結合部とを有するフレーム本体と、振子体と、前記振子体の一端に設けられた振子用支持軸と、前記第1及び第2支持部にそれぞれ設けられ前記振子用支持軸の両端を該振子用支持軸が前記振子体の揺動運動につれて転動し得るように支承する振子用軸受部と、前記振子体の一端に取り付けられた第1表示体と、前記フレーム本体内に位置する前記振子体の他端に設けられた永久磁石と、前記第1及び第2支持部の一方の内側箇所に前記各永久磁石に相対向するようにして前記振子体に設けられた駆動コイルと、前記フレーム本体内に装着され前記駆動コイルに所定の周期でパルス状の電流を供給して該駆動コイルをこれに正対する前記永久磁石の極性と反発し合う同極性に励磁することにより、慣性揺動運動で揺動する前記振子体の揺動運動を前記駆動コイルと前記永久磁石との磁気的反発作用で助長する弛張発振回路と、前記駆動コイル及び前記弛張発振回路に電力を供給する電源と、前記第1及び第2支持部間に表示体用軸受部を介して転動可能に支承された少なくとも1つの表示体用支持軸と、前記振子体の揺動運動が前記表示体用支持軸の転動運動に変換できるように前記振子体と前記表示体用支持軸との間を連繋するリンク機構と、前記表示体用支持軸に設けられ該表示体用支持軸の転動に伴い前記第1表示体に連動して揺動される第2表示体とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記振子用軸受部は、前記振子用支持軸の両端部が貫通されるように前記第1及び第2支持部のそれぞれに形成された、前記振子用支持軸の径断面より大きい支持孔と、前記支持孔に差し込まれる前記振子用支持軸の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向されるようにして前記第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材とから構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記表示体用軸受部は、前記表示体用支持軸の両端部が貫通されるように前記第1及び第2支持部のそれぞれに形成された、前記表示体用支持軸の径断面より大きい支持孔と、前記支持孔に差し込まれる前記表示体用支持軸の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向されるようにして前記第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材とから構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記電源は、前記駆動コイル及び前記弛張発振回路に供給される電力を蓄積する電解コンデンサと、前記電解コンデンサに充電電流を供給する太陽電池とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記第1表示体は前記振子用支持軸に係合部材を介して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記振子体の他端に前記第1表示体との重量バランスを調整する重りが着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記フレーム本体を天井等から吊り下げ状態に保持しもしくはショーケース等への載置方式で保持する保持部材が前記をフレーム本体に着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記駆動コイルは、前記振子体が静止している時の鉛直軸線位置より該振子体の揺動方向に所定間隔ずらして前記第1及び第2支持部の一方に配設されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1記載の表示体の揺動装置において、前記振子用支持軸の一端は前記第1及び第2支持部の一方を貫通して外方へ突出され、前記振子用支持軸の突出端に第3表示体が着脱可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示体揺動装置によれば、第1及び第2支持部に振子用支持軸を振子用軸受部によって、振子用支持軸が振子体の揺動運動につれ振子用軸受部の受け面上で転動可能に支承する構造にしたので、振子用支持軸とその軸受部との間には摩擦抵抗がほとんど生じることがなく、その結果、電源や弛張発振回路及び駆動コイルの小容量化を促進できるとともに、摩擦抵抗のない、かつ振子用支持軸に加わる衝撃力を吸収できる振子体の軸受機構を簡便かつ低コストで提供できる。
【0018】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、第1及び第2支持部間に表示体用支持軸を表示用軸受部によって転動可能に支承し、この表示体用支持軸と振子体との間をリンク機構により連繋して振子体の揺動運動を表示体用支持軸の転動運動に変換し、これにより、表示体用支持軸に設けられた第2表示体を第1表示体に連動して揺動できるように構成したので、単一の揺動機構により複数の表示体を互いに連動して揺動させることができるとともに、第1及び第2表示体による商品の広告効果や動物など象った玩具用表示体の表現効果を向上できる。
【0019】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、振子用支持軸の軸受部を、振子用支持軸の端部箇所に対してその上下両方から対向されるように第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材から構成し、この転動支承部材により振子用支持軸を転動可能に支承するようにしたので、第1表示体がフレーム本体の上方で揺動する載置方式に限らず、第1表示体がフレーム本体の下方で揺動する吊り下げ式の揺動装置にも使用できるとともに振子用支持軸に加わる衝撃力を吸収でき、しかも、フレーム本体に保持部材を着脱可能に設ける構成にすることにより、表示体揺動装置の載置式や天井吊り下げ式や垂直壁面などへの取り付け形態を自由に選定できる。
【0020】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、第2表示体の支持軸用の軸受部を、表示用支持軸の端部箇所に対してその上下両方から対向されるように第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材から構成し、この転動支承部材により表示体用支持軸を転動可能に支承するようにしたので、第1表示体がフレーム本体の上方で揺動する載置方式に限らず、第1表示体がフレーム本体の下方で揺動する吊り下げ式の揺動装置でも第2表示体を摩擦抵抗のない、かつ表示用支持軸に加わる衝撃力を吸収できる状態で使用できるほか、フレーム本体に保持部材を着脱可能に設ける構成にすることにより、表示体揺動装置の載置式や天井吊り下げ式や垂直壁面などへの取り付け形態を自由に選定できる。
【0021】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、第1表示体との重量バランスを調整する重りを振子体に着脱可能に設けたので、同一種の揺動装置で大きさや重さの異なる複数種類の表示体を適正に揺動運動させることができる。
【0022】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、駆動コイルを振子体が静止している時の鉛直軸線位置より振子体の揺動方向にずらして配置したので、振子体の静止位置からの振れ起動及び振子体の振れの加速を確実にできる。
【0023】
また、本発明の表示体揺動装置によれば、振子用支持軸の突出端に第3表示体を着脱可能に設けたので、商品の広告効果や動物など象った玩具用表示体の表現効果を更に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態1における表示体揺動装置の全体の構成を示す正面図である。
【図2】本実施の形態1における表示体揺動装置の左側面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図である。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図である。
【図5】本実施の形態1における振子用軸受部の拡大正面図である。
【図6】本実施の形態1における表示体用軸受部の拡大正面図である。
【図7】本実施の形態1における振子体に設けた永久磁石と駆動コイルとの配置関係を示す正面図である。
【図8】本実施の形態1の表示体揺動装置に適用される弛張発振回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図8を参照して説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本実施の形態1における表示体揺動装置の全体の構成を示す正面図、図2は本実施の形態1における表示体揺動装置の左側面図、図3は図1の3−3線に沿う拡大断面図、図4は図2の4−4線に沿う断面図、図5は本実施の形態1における振子用軸受部の拡大正面図、図6は本実施の形態1における表示体用軸受部の拡大正面図、図7は本実施の形態1における振子体に設けた永久磁石と駆動コイルとの配置関係を示す正面図、図8は本実施の形態1の表示体揺動装置に適用される弛張発振回路の一例を示す回路図である。
【0027】
図1〜図7において、表示体揺動装置10は、フレーム本体11、振子体12、振子体12の支持軸13、この振子用支持軸13の両端をフレーム本体11に支承する振子用軸受部14、商品の案内などに使用されるPOP広告などの第1表示体15、1つの永久磁石16、1つの駆動コイル17、弛張発振回路18、重量バランス調整用重り20、商品の案内などに使用されるPOP広告などの第2表示体21、表示体用支持軸22、表示体用軸受部23、リンク機構24、第3表示体25等を備えている。
【0028】
前記フレーム本体11は、図1〜図3に示すように、所定の間隔離して平行に配置された、合成樹脂材により略長方形に成形された板状の第1及び第2支持部111,112と、この第1支持部111と第2支持部112との間の上端側左右2箇所を一体に結合するロッド状の結合部113と、第1支持部111と第2支持部112との間の下端部を底部が形成されるように一体に結合する結合部114とを有し、この左右の結合部113同士は図示省略のピンとピン孔からなる嵌め合いにより結合され、下端部側の結合部114同士は図示省略のピンとピン孔からなる嵌め合いにより結合されている。
【0029】
前記振子体12は合成樹脂材から成形されるもので、図1〜図4に示すように、第1と第2支持部111,112との間に位置して水平方向に延在する柱状のボス部121と、このボス部121から下方へ鉛直に延びる連結部122を介して垂下状態に設けられた矩形板状のマグネット保持部材123とから構成されている。
【0030】
前記振子用支持軸13はボス部121にその軸心を貫通するように設けられ、そして、ボス部121の両端から突出する振子用支持軸13の両端部は第1及び第2支持部111,112の上端部箇所に振子用軸受部14によって転動可能に支承されている。
【0031】
前記振子用軸受部14は、図5に示すように、振子用支持軸13の両端部が貫通されるように第1支持部111及び第2支持部112(図5には第2支持部112の振子用軸受部14が示されていないが、第1支持部111の場合と同一であるので、その構成説明及び図面は省略する)に形成された、振子用支持軸13の径断面より大きい四角状の支持孔141と、この支持孔141に差し込まれる振子用支持軸13の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向するようにして第1支持部111に水平にかつ平行に配置固定された一対の細い金属製のロッド状弾性支持片142aを有する転動支承部材142とから構成され、この転動支承部材142は振子用支持軸13を転動可能に支承するとともに、振子用支持軸13に加わる荷重を受け、かつ振子用支持軸13に加わる衝撃力を吸収するものである。
【0032】
これにより、フレーム本体11の天地が逆にされた状態においても振子体12の支持軸13を転動可能に支承できる。すなわち、第1表示体15がフレーム本体11の上方で揺動される載置方式に限らず、第1表示体15がフレーム本体11の下方で揺動される吊り下げ式にしても振子用軸受部材14を同一のもので構成できる。
【0033】
前記第1表示体15は、図1、図3及び図4に示すように、係合部材26によって振子体12のボス部121および連結部122に着脱可能に取り付けられている。この係合部材26は二又形状を呈し、この二又部26aをボス部121の上方からボス部121および連結部122に係合することで第1表示体15を振子体12に一体的に保持できるようになっている。
【0034】
また、振子用支持軸13の一端は第2支持部112を貫通して外方へ突出され、この振子用支持軸13の突出端には、図1〜図4に示すように、第1表示体15に関連した商品の案内などに使用される第3表示体25が係合部材27を介して着脱可能に取り付けられている。
【0035】
前記振子体12のマグネット保持部材123の第1支持部111と対向する面には、図1〜図4に示すように、矩形板状の永久磁石16設けられている。この永久磁石16の第1支持部111と対向する面は、例えばN極に着磁され、そして、永久磁石16の第1支持部111と反対の面はS極に着磁されている。また、マグネット保持部材123の第2支持部112と対向する面には、図2〜図4に示すように、重量バランス調整用重り20が着脱可能に設けられている。この重り20は第1表示体との重量バランスを調整するためのもので、例えば鉄等の磁性板材から矩形状に成形される。また、このような重り20は、図3に示すように、マグネット保持部材123の第2支持部112と対向する面に形成した係合段部123aに着脱可能に係合され、さらに、永久磁石16の磁力によりマグネット保持部材123に吸着保持されるようになっている。
【0036】
前記駆動コイル17は、図1〜図4に示すように、矩形状永久磁石16の長尺方向の寸法より大きい径の円盤状を呈しており、この駆動コイル17は第1及び第2支持部111,112の一方、すなわち、振子体12の永久磁石16と正対する第1支持部111の内側箇所に所定の間隙を置いて配設されている。また、振子用軸受部14を支点にして鉛直に垂下された振子体12の静止位置からの振れ起動及びその振れの加速を確実にするために駆動コイル17は、図7に示すように、その中心を通る鉛直線L1が振子体12の静止時の鉛直軸線L2より間隔Dだけ振子体12の揺動方向にずれた位置に配置される。
【0037】
前記第2表示体21は第1表示体15に関連した商品の案内などに使用されるものであり、この第2表示体21は、図1〜図4に示すように、フレーム本体11の下端部に設けた表示体用支持軸22の第2支持部112側突出端に係合部材211により着脱可能に取り付けられている。
【0038】
前記表示体用支持軸22の両端部は、図1〜図4に示すように、第1及び第2支持部111,112の下端部箇所に表示体用軸受部23によって転動可能に支承されている。
【0039】
前記表示体用軸受部23は、図6に示すように、表示体用支持軸22の両端部が貫通されるように第1支持部111及び第2支持部112(図6には第2支持部112の振子用軸受部14が示されていないが、第1支持部111の場合と同一であるので、その構成説明及び図面は省略する)に形成された、表示体用支持軸22の径断面より大きい四角状の支持孔231と、この支持孔231に差し込まれる表示体用支持軸22の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向するようにして第1支持部111に水平にかつ平行に配置固定された一対の細い金属製のロッド状弾性支持片232aを有する転動支承部材232とから構成され、この転動支承部材232は表示体用支持軸22を転動可能に支承するとともに、表示体用支持軸22に加わる荷重を受け、かつ表示体用支持軸22に加わる衝撃力を吸収するものである。
【0040】
これにより、フレーム本体11の天地が逆にされた状態においても第2表示体21の支持軸22を転動可能に支承できる。
【0041】
前記リンク機構24は振子体12の揺動運動を表示体用支持軸22の転動運動に変換できるように振子体12と表示体用支持軸22との間を連繋するもので、図1〜図4に示すように、表示体用支持軸22に一端が固定され他端部が振子用支持軸13の方向に延在するリンク241と、このリンク241の延在端側に形成した長孔241aに移動可能に係合され振子体12のマグネット保持部材123に突設したピン242とから構成されている。
【0042】
また、図1〜図4において、28はフレーム本体11を図1に示すようにショーケース等に載置方式で保持し、または天井等から吊り下げ状態に保持するためのクリップ式の保持部材であり、この保持部材28はフレーム本体11に下面に着脱可能に取り付けられている。
【0043】
前記弛張発振回路18は、駆動コイル17に所定の周期(例えば3秒〜5秒の周期)でパルス状(例えば0.5msec程度のパルス幅)の電流(例えば10μA)を供給して駆動コイル17をこれに正対する永久磁石16の極性(例えばN極)と反発し合う同極性(例えばN極)に励磁することにより、減衰的な慣性揺動運動で揺動する振子体12の揺動運動を駆動コイル17と永久磁石16との磁気的反発作用で助長するものである。
【0044】
このような弛張発振回路(自走発振回路)18、図1、図2及び図4に示すように、第2支持部112内の底部に配設した配線基板29に実装されている。
【0045】
弛張発振回路18は、図8に示すように、NPNトランジスタQ1とPNPトランジスタQ2を備え、NPNトランジスタQ1のベースは抵抗R06を介してPNPトランジスタQ2のコレクタに接続され、PNPトランジスタQ2のベースは周期設定用コンデンサC3及び抵抗R02を介してNPNトランジスタQ1のコレクタに接続されている。
【0046】
NPNトランジスタQ1のコレクタには駆動コイル17の一端が接続され、この駆動コイル17の他端は電源用の電解コンデンサC1の+極及び太陽電池30(出力電圧2.0V〜2.2V)の正極に接続されている。また、NPNトランジスタQ1のコレクタと電解コンデンサC1の+極及び太陽電池30の正極との間には、駆動コイル17に流されるパルス電流の時定数を0.5msec程度に設定するためのコンデンサC2と抵抗R01との直列回路が接続されている。
【0047】
また、PNPトランジスタQ2のコレクタは電解コンデンサC1の+極及び太陽電池30の正極に接続され、PNPトランジスタQ2のコレクタとベースとの間にはバイアス抵抗R03が接続され、さらに、PNPトランジスタQ2のベースとグランドとの間にはバイアス抵抗R04が接続されている。また、コンデンサC3と抵抗R02との接続点と電解コンデンサC1の+極及び太陽電池30の正極へのラインとの間には、駆動コイル17に流されるパルス電流を波形整形するダイオードD1が接続されている。
【0048】
前記太陽電池30は太陽光または照明光などの光を電流に変換するものであり、この太陽電池30から出力される電流は電源用電解コンデンサC1に充電されるように構成されている。
【0049】
なお、上記電解コンデンサC1と太陽電池30は、弛張発振回路18及び駆動コイル17に電力を供給する電源を構成している。
【0050】
次に、上記のように構成された本実施例1に示す表示体揺動装置の動作について説明する。
【0051】
図1に示すように振子体12が鉛直に垂下され、かつ駆動コイル17が非励磁状態にある時の振子体12の永久磁石16と駆動コイル17との間には、図7に示すように、駆動コイル17は、その中心を通る鉛直線L1が振子体12の鉛直軸線L2より間隔Dだけ矢印A2に示す揺動方向にずれた位置にある。また、太陽電池30に太陽光または照明灯光などの光が当てられると、太陽電池30から2.0V〜2.2Vの電圧が発生する。この電圧は弛張発振回路18に供給されるとともに電解コンデンサC1に充電される。この電解コンデンサC1に充電された電圧は弛張発振回路18及び駆動コイル17の駆動に供される。
【0052】
かかる状態において、弛張発振回路18に太陽電池30(または電解コンデンサC1)から電力が供給されると、この弛張発振回路18のトランジスタQ1及びQ2は、コンデンサC3と抵抗R02で設定される時定数に従って、例えば振子体12が3〜4揺動往復する間の期間OFF状態に保持され、この期間中は駆動コイル17に電流は流れず、駆動コイル17は励磁されることがない。
【0053】
一方、その時定数に従いコンデンサC3の端子電圧がトランジスタQ2のベースに対し逆バイアスとなるマイナス側から順バイアスとなるプラス側へ移行し、そして、その端子電圧がトランジスタQ2をONさせるのに必要な0.6V近くに達するとトランジスタQ2にベース電流が流れ、このトランジスタQ2がONされると同時にトランジスタQ1もONされ、駆動コイル17に電流が流れると同時に駆動コイル17が励磁される。この時のトランジスタQ1及びQ2のオン時間はコンデンサC2と抵抗R01の時定数により設定される。因みに、振子体12が3〜4揺動往復ごとに1回の割合で駆動コイル17を励磁する場合のトランジスタQ1及びQ2オン時間は0.5msecである。また、駆動コイル17が励磁されるタイミングは、振子体12が駆動コイル17の中心を通る鉛直線L1から間隔Dだけずれた鉛直軸線L2上に位置する時が最も好ましい。
【0054】
トランジスタQ1及びQ2がオンされることにより駆動コイル17にトランジスタQ1を通して電流が流れると、永久磁石16と対向する側の駆動コイル17のコイル端面は永久磁石16の極性(例えばN極)と同一の極性となるように励磁されるため、この駆動コイル17と永久磁石16との磁気的反発作用により、第1表示体15、永久磁石16及び重り20を含む振子体12は振子用支持軸13を支点にして図7の矢印A1方向に振られるとともに加速される。そして、永久磁石16及び重り20を含む振子体12はこれらの自重による慣性力で矢印A1及びA2の方向に往復揺動され、これに連動して第1表示体15も振子用支持軸13を支点にして揺動される。
【0055】
振子体12が往復揺動されると振子用支持軸13に取り付けられた第3表示体25は振子用支持軸13の往復回転に伴い第1表示体15に連動して左右方向に旋回揺動される。また、振子体12が往復揺動されると、リンク機構24を介して連繋された表示体用支持軸22が転動運動するため、この表示体用支持軸22に取り付けられた第2表示体21は第1表示体15に連動して左右方向に旋回揺動される。
【0056】
以下、上述する一連の動作を繰り返し行うことにより、第1表示体15、永久磁石16及び重り20を含む振子体12は、第1表示体15の重量、振子体12の下端に設けられる重り20の重量及び振子体12の長さに応じて設定される周期で連続して揺動運動されることになる。
【0057】
なお、振子体12の下端に設けられる重り20の数は、振子体12の上端に取り付けた第2表示体15の重量に応じて設定されるが、振子体12の下端の重量が振子体12の上端の重量より大きく、かつ振子体12が振子用支持軸13を支点にして鉛直状態に保持されるように構成される必要がある。
【0058】
このように本実施例1に示す表示体の揺動装置によれば、第1及び第2支持部111,112に振子用支持軸13を振子用軸受部14によって、振子用支持軸13が振子体12の揺動運動につれ振子用軸受部14の転動支承部材142上で転動可能に支承する構造にしたので、振子用支持軸13とその転動支承部材142との間には摩擦抵抗がほとんど生じることがなく、その結果、太陽電池30や弛張発振回路18及び駆動コイル17の小容量化を促進できるとともに、振子用軸受部14は細い金属製のロッド状弾性支持片142aを有する転動支承部材142から構成されるため、摩擦抵抗のない、かつ振子用支持軸13に加わる衝撃力を吸収できる振子体12の軸受機構を簡便かつ低コストで提供することができる。
【0059】
また、本実施例1によれば、第1及び第2支持部111,112間に表示体用支持軸22を表示用軸受部23によって転動可能に支承し、この表示体用支持軸22と振子体12との間をリンク機構24により連繋して振子体12の揺動運動を表示体用支持軸22の転動運動に変換し、これにより、表示体用支持軸22に設けられた第2表示体21を第1表示体15に連動して揺動できるように構成したので、単一の揺動機構により複数の表示体を互いに連動して揺動させることができるとともに、第1及び第2表示体15,21による商品の広告効果や動物など象った玩具用表示体の表現効果を向上できる。
【0060】
また、本実施例1によれば、表示体用支持軸22の表示用軸受部23は細い金属製のロッド状弾性支持片232aを有する転動支承部材232から構成されるため、摩擦抵抗のない、かつ表示体用支持軸22に加わる衝撃力を吸収できる第2表示体21の軸受機構を簡便かつ低コストで提供できる。
【0061】
また、本実施例1の表示体揺動装置によれば、振子用支持軸13の軸受部14を、振子用支持軸13の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向するようにして第1支持部111に水平にかつ平行に配置固定された一対の細い金属製のロッド状弾性支持片142aを有する転動支承部材142から構成し、この転動支承部材142により振子用支持軸13を転動可能に支承するようにしたので、第1表示体15がフレーム本体11の上方で揺動する載置方式に限らず、第1表示体15がフレーム本体11の下方で揺動する吊り下げ式の揺動装置にも使用できるとともに振子用支持軸13に加わる衝撃力を吸収でき、しかも、フレーム本体11に保持部材28を着脱可能に設ける構成にすることにより、表示体揺動装置の載置式や天井吊り下げ式などへの取り付け形態を自由に選定できる。
【0062】
また、本実施例1の表示体揺動装置によれば、第2表示体21の支持軸用の軸受部23を、表示体用支持軸22の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向するようにして第1支持部111に水平にかつ平行に配置固定された一対の細い金属製のロッド状弾性支持片232aを有する転動支承部材232から構成し、この転動支承部材232により表示体用支持軸22を転動可能に支承するようにしたので、第1表示体15がフレーム本体11の上方で揺動する載置方式に限らず、第1表示体15がフレーム本体の下方で揺動する吊り下げ式の揺動装置でも第2表示体21を摩擦抵抗のない、かつ表示用支持軸22に加わる衝撃力を吸収できる状態で使用できるほか、フレーム本体11に保持部材28を着脱可能に設ける構成にすることにより、表示体揺動装置の載置式や天井吊り下げ式などへの取り付け形態を自由に選定できる。
【0063】
また、本実施例1の表示体揺動装置によれば、第1表示体15との重量バランスを調整する重り20を振子体12に着脱可能に設けたので、同一種の揺動装置で大きさや重さの異なる複数種類の表示体15を適正に揺動運動させることができる。
【0064】
また、本実施例1の表示体揺動装置によれば、駆動コイル17の中心を通る鉛直線L1が振子体12の鉛直軸線L2より間隔Dだけ振子体12の揺動方向にずらして配置したので、振子体12の静止位置からの振れ起動及び振子体12の振れの加速を確実にできる。
【0065】
また、本実施例1の表示体揺動装置によれば、振子用支持軸13の突出端に第3表示体25を着脱可能に設けたので、商品の広告効果や動物など象った玩具用表示体の表現効果を更に向上できる。
【0066】
なお、上記実施の形態では、第1表示体15がフレーム本体11の上方で揺動する載置方式について説明したが、本発明はこれに限らず、第1表示体15がフレーム本体11の下方で揺動する吊り下げ式の揺動装置にも使用できる。この場合は、振子体12の重り20を取り外し、第1表示体15の重さを、永久磁石17を含めた振子体12の重さより大きくする。
【0067】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、具体的な構成、機能、作用効果において、他の種々の形態によっても実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、動物などを象った玩具や室内アクセサリー用置物など揺動させる駆動装置に利用されるほか、商品の案内などに使用されるPOP広告用の表示体などを揺動させるムービングディスプレイや看板の一部を揺動させる駆動装置として利用される
【符号の説明】
【0069】
10 表示体揺動装置
11 フレーム本体
111 第1支持部
112 第2支持部
113,114 結合部
12 振子体
121 ボス部
122 連結部
123 マグネット保持部
13 振子用支持軸
14 振子用軸受部
141 支持孔
142 転動支承部材
15 第1表示体
16 永久磁石
17 駆動コイル
18 弛張発振回路
20 重量バランス調整用重り
21 第2表示体
22 表示体用支持軸
23 表示体用軸受部
231 支持孔
232 転動支承部材
24 リンク機構
25 第3表示体
C1 電源用電解コンデンサ
28 保持部材
30 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離して平行に配置された第1及び第2支持部と該第1及び第2支持部間を一体に結合する結合部とを有するフレーム本体と、
振子体と、
前記振子体の一端に設けられた振子用支持軸と、
前記第1及び第2支持部にそれぞれ設けられ前記振子用支持軸の両端を該振子用支持軸が前記振子体の揺動運動につれて転動し得るように支承する振子用軸受部と、
前記振子体の一端に取り付けられた第1表示体と、
前記フレーム本体内に位置する前記振子体の他端に設けられた永久磁石と、
前記第1及び第2支持部の一方の内側箇所に前記各永久磁石に相対向するようにして前記振子体に設けられた駆動コイルと、
前記フレーム本体内に装着され前記駆動コイルに所定の周期でパルス状の電流を供給して該駆動コイルをこれに正対する前記永久磁石の極性と反発し合う同極性に励磁することにより、慣性揺動運動で揺動する前記振子体の揺動運動を前記駆動コイルと前記永久磁石との磁気的反発作用で助長する弛張発振回路と、
前記駆動コイル及び前記弛張発振回路に電力を供給する電源と、
前記第1及び第2支持部間に表示体用軸受部を介して転動可能に支承された少なくとも1つの表示体用支持軸と、
前記振子体の揺動運動が前記表示体用支持軸の転動運動に変換できるように前記振子体と前記表示体用支持軸との間を連繋するリンク機構と、
前記表示体用支持軸に設けられ該表示体用支持軸の転動に伴い前記第1表示体に連動して揺動される第2表示体とを備えることを特徴とする表示体の揺動装置。
【請求項2】
前記振子用軸受部は、前記振子用支持軸の両端部が貫通されるように前記第1及び第2支持部のそれぞれに形成された、前記振子用支持軸の径断面より大きい支持孔と、前記支持孔に差し込まれる前記振子用支持軸の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向されるようにして前記第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材とから構成したことを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項3】
前記表示体用軸受部は、前記表示体用支持軸の両端部が貫通されるように前記第1及び第2支持部のそれぞれに形成された、前記表示体用支持軸の径断面より大きい支持孔と、前記支持孔に差し込まれる前記表示体用支持軸の端部箇所に該端部箇所の上下両方から対向されるようにして前記第1及び第2支持部に水平にかつ平行に配設された一対の弾性支持片を有する転動支承部材とから構成したことを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項4】
前記電源は、前記駆動コイル及び前記弛張発振回路に供給される電力を蓄積する電解コンデンサと、前記電解コンデンサに充電電流を供給する太陽電池とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項5】
前記第1表示体は前記振子用支持軸に係合部材を介して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項6】
前記振子体の他端に前記第1表示体との重量バランスを調整する重りが着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項7】
前記フレーム本体を天井等から吊り下げ状態に保持しもしくはショーケース等への載置方式で保持する保持部材が前記をフレーム本体に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項8】
前記駆動コイルは、前記振子体が静止している時の鉛直軸線位置より該振子体の揺動方向に所定間隔ずらして前記第1及び第2支持部の一方に配設されていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。
【請求項9】
前記振子用支持軸の一端は前記第1及び第2支持部の一方を貫通して外方へ突出され、前記振子用支持軸の突出端に第3表示体が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示体の揺動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−232774(P2011−232774A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153354(P2011−153354)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【分割の表示】特願2006−16828(P2006−16828)の分割
【原出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(591135657)ワヨー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】