説明

表示体モジュール及びその製造方法

【課題】複数のパネルを組み合わせて大型表示パネルを構成する場合に適した狭額縁の表示体モジュールを提供する。
【解決手段】発光層が形成され少なくとも隣り合う二辺に複数の電極引き出し部11が設けられた発光パネル10、この発光パネルと所定の間隔を隔てて前記発光パネルと平行に配設され前記発光パネルの前記電極引き出し部が設けられた前記二辺と同じ二辺に複数の端子33を有し前記発光パネルを発光制御する駆動回路が構成された駆動回路基板30、及び前記発光パネルと前記駆動回路基板との間に前記発光パネル及び前記駆動回路基板と平行をなして配設され前記二辺と同じ二辺の部分を貫通して前記発光パネル側に直線状に延在すると共に前記駆動回路基板側に直線状に延在する複数のコネクター21を有したコネクター保持体20を備えた表示体モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという)等の薄膜発光を用いて表示を行う表示体モジュール体及びその製造方法に関し、特にその配線構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機EL素子を利用した大型ディスプレイ装置は、有機EL層及びこの有機EL層に電荷を注入する電極対からなる有機EL素子の画素数に応じた複数個を1枚の大型の素子基板に形成して画面としての大型パネルを構成する構造や、小型パネルに所定個数の有機EL素子を形成し、この小型パネルを複数枚組み合わせて大型パネルにする構造などがとられている。
【0003】
有機EL層はパネル全面に亘って均一に形成する必要があるが、大型パネルの場合、素子基板全面に有機EL層を均一に形成することは困難であり、画面に輝度むらが出やすいという問題があった。
【0004】
一方、小型パネルを複数組み合わせて大型パネルを構成する場合は、各パネルが小さいので有機EL層の形成は均一にできる。しかし、従来の有機ELパネルでは表示部の周囲にいわゆる額縁を設けて配線を行うために、ある程度広い額縁幅が必要であった。小型パネルの額縁の幅は前記配線の関係で狭くすることが難しく、しかも当該小型パネルの前記額縁の部分は発光しないため、かかる小型パネルを組み合わせて大型パネルを構成する場合、小型パネルの継ぎ目が目立ってしまうという欠点があった。
【0005】
特許文献1においては、このような小型パネルを複数組み合わせて大型パネルを構成する上での欠点を解決するため、有機EL層を介して互いに対向して対をなす透明電極及び金属電極の各々が、素子基板の一方の主面側から側面に亘って連続的に形成された延長部を有し、この延長部において隣接する小型パネルの電極と接続する構造が提案されている。
【0006】
また特許文献2においては、目的は本発明と異なるものの、やはり狭額縁化という課題に対して、有機EL基板額縁部に基板を貫通する接続孔を設け、この接続孔を導電体で満たすことにより基板の裏面に電気的接続を行い、基板裏面に駆動用半導体素子を搭載する技術が開示されている。しかし、この技術はあくまでも有機ELパネルを単独で表示体として使用することを想定しているため、基板裏面に駆動回路が形成されている。
【0007】
有機薄膜発光素子の外部電極と駆動回路との加熱圧着による電気的接続方法については、特許文献3に、異方性腺電接着フィルムを用いる加熱圧着方法を用い、加熱圧着時に有機薄膜発光素子表示部を保護するために冷却を行うことが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−205875号公報(図3及びその説明)
【特許文献2】特開2004−355998号公報(図1〜3及びその説明)
【特許文献3】特開平11−204256号公報(図3〜4及びその説明)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の特許文献1においては、有機EL層を介して互いに対向して対をなす透明電極及び金属電極の各々が、素子基板の一方の主面側から側面に亘って連続的に形成された延長部を有し、この延長部において隣接する小型パネルの電極と接続する構造としてあるので、確かに額縁は極めて狭くすることが可能となるが、各小型パネルの側面部まで均一に電極を形成することは可成り困難であり、形成することができたとしても作業性や製造工程の上から高価になってしまうという問題点がある。
【0010】
また、前述の特許文献2においては、有機EL基板額縁部に基板を貫通する接続孔を設け、この接続孔を導電体で満たすことにより基板の裏面に電気的接続を行い、基板裏面に駆動用半導体素子を搭載する技術が開示されているが、この技術はあくまでも有機ELパネルを単独で表示体として使用することを想定しているため、基板裏面に駆動回路が形成されている。もし、前述の特許文献2の基板を組合せ大型パネルに適用しようとすると、各々が駆動回路を有する小型基板を複数組み合わせることになるため、全体の制御が複雑になる上、コストが高くなるという問題がある。
【0011】
また、前述の特許文献3においては、有機薄膜発光素子の外部電極と駆動回路との加熱圧着による電気的接続方法において異方性腺電接着フィルムを用いる加熱圧着方法を用い、加熱圧着時に有機薄膜発光素子表示部を保護するために冷却を行うことが開示されているが、この方法では冷却のための冷却水供給チューブ或いは送風冷却ノズルが必要となり、製造工程が煩雑となる欠点があった。
【0012】
本発明は上述のような従来の実状に鑑みてなされたものであり、複数のパネルを組み合わせて大型表示パネルを構成する場合に適した狭額縁の表示体モジュールを提供することを目的としており、また、その製造法においては、薄膜発光素子に影響を与えることなく狭額縁の表示体モジュールの配線を正確かつ確実に行うことのできる製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る表示体モジュールは、発光層が形成され少なくとも隣り合う二辺に複数の電極引き出し部が設けられた発光パネル、この発光パネルと所定の間隔を隔てて前記発光パネルと平行に配設され前記発光パネルの前記電極引き出し部が設けられた前記二辺と同じ二辺に複数の端子を有し前記発光パネルを発光制御する駆動回路が構成された駆動回路基板、及び前記発光パネルと前記駆動回路基板との間に前記発光パネル及び前記駆動回路基板と平行をなして配設され前記二辺と同じ二辺の部分を貫通して前記発光パネル側に直線状に延在すると共に前記駆動回路基板側に直線状に延在する複数のコネクターを有したコネクター保持体を備え、前記コネクター保持体の前記二辺の部分の各コネクターは、その前記発光パネル側が前記発光パネルの前記二辺の複数の電極引き出し部に電気的に接続され、その前記駆動回路基板側が前記駆動回路基板の前記二辺の複数の端子に電気的に接続されているものである。
【0014】
この発明に係る表示体モジュールの製造方法は、コネクター保持体と複数のコネクターとを一体的に成型してコネクターユニットとした後、該コネクターユニットと発光パネルとを少なくとも前記各コネクター先端部において導電性接着剤により接合し、さらにコネクター保持体の結合手段と駆動回路基板の結合手段とを物理的に結合して前記コネクターユニットと発光パネルとを一体化し、前記コネクターの各々を駆動回路基板上の対応する端子に電気的に接続するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、発光層が形成され少なくとも隣り合う二辺に複数の電極引き出し部が設けられた発光パネル、この発光パネルと所定の間隔を隔てて前記発光パネルと平行に配設され前記発光パネルの前記電極引き出し部が設けられた前記二辺と同じ二辺に複数の端子を有し前記発光パネルを発光制御する駆動回路が構成された駆動回路基板、及び前記発光パネルと前記駆動回路基板との間に前記発光パネル及び前記駆動回路基板と平行をなして配設され前記二辺と同じ二辺の部分を貫通して前記発光パネル側に直線状に延在すると共に前記駆動回路基板側に直線状に延在する複数のコネクターを有したコネクター保持体を備え、前記コネクター保持体の前記二辺の部分の各コネクターは、その前記発光パネル側が前記発光パネルの前記二辺の複数の電極引き出し部に電気的に接続され、その前記駆動回路基板側が前記駆動回路基板の前記二辺の複数の端子に電気的に接続されているので、発光パネルの周縁部(額縁)においてこのパネルに対して略垂直にコネクターを形成して電極を引き出すことができ、額縁部の面積を狭くすることができ、従って、このモジュールを複数枚組み合わせて大型表示装置を構成した場合でも、各モジュールの境界部の非発光部分が狭く抑えられるために、大型表示装置全体としての表示を鮮明に行うことが可能となる。
【0016】
また、この発明は、コネクター保持体に複数のコネクターを一体的に成型し、この複数のコネクターが一体的に成型されたコネクター保持体の前記複数のコネクターをそのの少なくとも先端部において発光パネルに導電性接着剤により接合し、さらに前記コネクター保持体の結合手段と駆動回路基板の結合手段とを物理的に結合して前記コネクター保持体と駆動回路基板とを一体化し、前記コネクターの各々を駆動回路基板上の対応する端子に電気的に接続するので、複数のコネクターを一体的に形成したコネクター保持体を予め製造しておいてから発光体パネルと接合するので、コネクター各々の位置決めが正確かつ容易にでき、歩留りが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1〜図4により説明する。図1は正面側(表示面側)を下側にして斜視図で示す表示体モジュールの事例の組立図、図2は正面側(表示面側)を下側にして示す表示体モジュールの事例の長辺側の側面図、図3は図1及び図2におけるコネクタ保持体を裏面側(正面側(表示面側)と反対の側、つまり図1及び図2における上側)から見た裏面図、図4は図1及び図2に例示された表示体モジュールの短辺側のコネクタ部分の一部を拡大して示す側面図である。なお、各図中、同一符合は同一部分を示す。
【0018】
図1〜図4において、コネクター保持体20の隣り合う2辺(長辺および短辺)には、それぞれ複数のコネクター21がコネクター保持体20と一体的に形成されている。この一体的形成の方法としては、インジェクション成形等が利用できるが、これに限定されるものではない。このコネクター保持体20は、有機EL素子等の薄膜発光層が形成された発光パネル10と、正面から見た或いは裏面から見た外形が同じ外形寸法にされており、コネクター保持体20と発光パネル10とを正面から見て或いは裏面から見て両者がずれることなく重ね合わせて接合すれば、コネクター保持体20の各コネクター21と発光パネル10上の電極引き出し部11とが合致するようにしてあり、合致した状態で当該各コネクター21と当該電極引き出し部11とを電気的に接続する。また、コネクター保持体20の長辺側及び短辺側の各複数のコネクター21は何れも、コネクター保持体20を貫通し、当該コネクター保持体20の正面側の面及び裏面側の面のからも当該面と直角を成して当該面から図示のように突出している。
【0019】
かかる構造であるが故に、発光パネル10の配線を、正面から見て或いは裏面から見て横方向にではなく裏面方向に発光パネル10の裏面側の面から当該裏面側の面と直角を成して直線状に一括して取り出すことができる。各コネクター21の発光パネル10側の端部と発光パネル10の電極引き出し部11とは電気的に接合するが、当該接合については、銀ペーストなどの導電接着剤を用い、硬化の際にレーザー照射等を用いると発熱が当該接合部のみに限定されるため、発光パネル10に熱的に悪影響を与えることなく導電接着剤を硬化できて効果的である。
【0020】
また、コネクター保持体20は、その正面側に、図示のように、それぞれ長辺に平行な互いに離間した板状の対を成す長尺なリブ部23L及びそれぞれ短辺に平行な互いに離間した板状の3つの短冊状のリブ部23Sとが一体に設けられており、長尺なリブ部23Lと短冊状のリブ部23Sとで、図示のように格子状のリブ部23が構成されている。複数個の長尺リブ部23L及び複数個の短冊状リブ部23Sの発光パネル10側の各端面、即ち正面側の各端面、は夫々接着剤を用いて発光パネル10に接合する。かかる接合により、コネクター保持体20と発光パネル10との接合強度を高めることができ、ひいては、コネクター21における機械的応力を低減することができる。
【0021】
コネクター保持体20には、さらに、その裏面側の面に、図示のように当該面と直角を成す複数個の突起部22が両短辺近傍に位置して円盤状取り付け台座22Bを介してコネクター保持体20と一体に設けられている。コネクター保持体20上の2箇所に設けた突起部22を駆動回路基板30上の貫通孔31に嵌合することにより、駆動回路基板30とコネクター保持体20とを一体的に結合する。この駆動回路基板30とコネクター保持体20との一体的結合の際、コネクター保持体20に一体的に形成された各コネクター21は、当該一体的結合と同時に駆動回路基板30上の各端子33に電気的に接続される。従ってこの組立によって、前述の発光パネル10の各電極引き出し部11は、コネクター保持体20上の各コネクター21を介して駆動回路基板30の回路に電気的に接続される。さらに、このコネクター保持体20と駆動回路基板30との係止を確実にするために、周知のGリング32を使用する。
【0022】
なお、コネクター保持体20と駆動回路基板30との結合方法(手段)として、前述では突起部22と貫通孔31との嵌合構造を用いた事例を例示したが、物理的に安定して結合できる方法(手段)であれば、他の方法(手段)を利用してもよい。
【0023】
また、駆動回路基板30は、入力された画像信号等の表示信号に基づいた発光表示を発光パネル10に行わせるように、コネクター保持体20の各コネクター21を介して発光パネル10を駆動制御する駆動制御回路を基板上に構成したものである。
【0024】
発光パネル10の裏面側(コネクター接続側)には、合成樹脂シートなどによる保護シート40を設ける。ただし、発光パネル10とコネクター保持体20のリブ部23との接合を邪魔するのを防ぐため、保護シート40上にはリブ分枝26の形状に従って繰り抜き部41を設けてある。また、図には示してないが、この保護シート40とは別に熱を放散するための放熱層を形成するとさらに効果的である。
【0025】
本題名による表示体モジュールを複数組み合わせて大型表示装置として使用する場合は、駆動回路基板30自体を正面から見て或いは裏面から見て大型表示体両面の大きさに近い寸法にしておいて、本発明の表示体モジュールを順次突起部22等で駆動回路基板30に結合してゆけば、コネクター2と駆動回路基板30との電気的接続と大型表示画面の組立てとが同時にしかも容易に行うことが可能となる。なお、この場合、前述のコネクター保持体20と発光パネル10との機械的結合、電気的接続を事前に済ませておけば、大型表示装置の組み立てがより効率的に行える。
【0026】
図2は、図1の組立図に示した前述の発光パネル10、保護シート40、コネクター保持体20、及び駆動回路基板を結合及び接続した完成表示体モジュールの側面図である。この結合及び接続した完成表示体モジュールにおいて、発光パネル10の電極引き出し部11は、コネクター保持体20に一体的に形成されたコネクター21を介して駆動回路基板30に電気的に接続されている。また、コネクター保持体20と駆動回路基板30とは、突起部22と貫通孔31とを嵌合させることにより物理的に結合されている。コネクター保持体20にはさらに、発光パネル10側にリブ23が形成されていて、このリブ23によりコネクター保持体20と発光パネル10との間隔を均一に保持するとともに、コネクター保持体の強度を確保する。このリブ23先端部の発光パネル10との当接部に熱膨張率の少ない接着剤等を塗布して接合すれば、コネクター21のみで接合する場合に比べてより接合強度が安定すると共に、コネクター21に作用する応力が軽減され電気的接続の信頼性が一層向上する。
【0027】
図3は、前述のコネクター保持体20の裏面図である。各コネクター21は、図示のように、この保持体20の相隣る2辺(長辺と短辺)の周縁部に配置されている。また、コネクター保持体20の駆動回路基板30側の面の2箇所には前述の突起部22が形成され、駆動回路基板30と接合できるようにされている。コネクター保持体20の正面側にリブ23が形成されているため、この図3では前述のリブ23は破線で示してある。
【0028】
図4は、図1及び図2に例示された表示体モジュールの短辺側のコネクタ部分の一部を拡大して示す側面図であり、この図4に例示さてあるように、複数のコネクター21はコネクター保持体20に一体的に形成されており、その一端は発光パネル10に接して導電性接着剤等により物理的かつ電気的に接合される。各コネクター21の他端は駆動回路基板30の貫通孔型端子33に接続されて、駆動回路30と発光パネル10の電極引き出し部とを電気的に導通させる。
【0029】
実施の形態2.
以下この発明の実施の形態2を図5〜図9によって説明する。図5はコネクタ保持体の他の事例を正面側(表示面側)から見た正面図、図6は図5に示すコネクタ保持体を裏面側から見た裏面図、図7は図5に示すコネクタ保持体の長辺側の側面図、図8は図5に示すコネクタ保持体の格子状リブの一部を拡大して示す長辺側の側面図、図9は保護シートを裏面側から見た裏面図である。
【0030】
コネクター保持体20には格子状のリブ分枝26が形成され、これにより一連のリブ部23を構成している。リブ部23はコネクター保持体20の正面側(発光パネル10側)の面に当該面に対して垂直な壁状として形成することが望ましいが、このような格子状に形成すると、リブに囲まれた各部が隔離されて独立区画となってしまう。このような場合、発光パネル10が動作することにより発生する熱が各区画で不均一となり、一部の区画だけ高温にさらされる可能性がある。一般的に有機薄膜発光素子は高熱に弱いため、できるだけ発熱により高温化することを抑制することが望まれる。従って、本実施例においては、前記各区画を構成する各リブ分枝26の各々に貫通孔25を設け、この貫通孔25を通してすべての区画が連通するように構成してある。このように構成することにより、発光パネル10で発生した熱を分散させることができる。もし、この連通だけで不十分の場合は、発光パネル10とコネクター保持体20との間の空間を強制的に冷却するためのファンを設けても良い。
【0031】
図6は図5のコネクター保持体20の裏面図、図7は当該コネクター保持体20の側面図を示す。図5〜図7からわかるように、本実施例においては、リブ部23の貫通孔25とは別に、コネクター保持体20本体を貫通する複数の開口部27が形成されている。この開ロ部27は、貫通孔25を形成する際にコネクター保持体20をその裏面側から切削して形成するのを容易とするために設けられるが、この開ロ部27も前記区画と連通した構成とすることにより発光パネル10とコネクター保持体20との間の熱を外部に放出することが可能となる。また、リブ部23の頂上部(発光パネル10側)に設けた切り欠き部24は、前述の保護シート40を発光パネル10上に形成する際、シート40を一体に形成できるようにするために設けてある。つまり、この切り欠き部24がない場合、各リブ分枝26により囲まれる発光パネル20上の区画が独立してしまうため、保護シート40は各区画ごとに形成しなければならない。しかし、切り欠き部24を形成することにより、発光パネル10上の各区画が切り欠き部24において巡通するため、保護シートは図1および図9に示したような繰り抜き部41を設けた一体のものが使用できる。
【0032】
図8は本実施例に用いたリブ23の側面図であり、図示のように、この実施例では断面台形状にリブを形成してあるが、リブ23断面形状はこれに限定されるものではない。
【0033】
図9は、発光パネル裏面に添付する保護層としての保護シート40を示す。この図の場合は、上記の切り欠き部を有するコネクター保持体20に対応して、リブの当接する部分を繰り抜いて、繰り抜き部41を形成してある。
【0034】
以上、この発明の実施の形態1および2で述べたように、本発明による表示体モジュールは、薄膜発光素子、例えば有機EL素子を用いた大型表示装置の製造に大いに資するものである。
【0035】
また、前述のこの発明の実施の形態1および2の代表的な特徴および利点を列挙すると以下の通りである。
【0036】
本発明による表示体モジュールは、発光層が形成され少なくとも隣り合うニ辺に複数の電極引き出し部が設けられた発光パネルと、該電極引き出し部の各々に対応する位置に前記発光パネルと略垂直となるようコネクターが形成され、該コネクターの各々は対応する前記電極引き出し部に電気的及び物理的に接続されており、前記発光パネルと反対側において駆動回路基板との物理的結合手段を具備したコネクター保持体と、該結合手段に対応する受け手段を具備し前記発光パネルと反対側において前記コネクターの各々と電気的に接続される複数の端子が形成された駆動回路基板とからなることを特徴とする。換言すれば、本発明による表示体モジュールは、発光層が形成され少なくとも隣り合う二辺に複数の電極引き出し部が設けられた発光パネル、この発光パネルと所定の間隔を隔てて前記発光パネルと平行に配設され前記発光パネルの前記電極引き出し部が設けられた前記二辺と同じ二辺に複数の端子を有し前記発光パネルを発光制御する駆動回路が構成された駆動回路基板、及び前記発光パネルと前記駆動回路基板との間に前記発光パネル及び前記駆動回路基板と平行をなして配設され前記二辺と同じ二辺の部分を貫通して前記発光パネル側に直線状に延在すると共に前記駆動回路基板側に直線状に延在する複数のコネクターを有したコネクター保持体を備え、前記コネクター保持体の前記二辺の部分の各コネクターは、その前記発光パネル側が前記発光パネルの前記二辺の複数の電極引き出し部に電気的に接続され、その前記駆動回路基板側が前記駆動回路基板の前記二辺の複数の端子に電気的に接続されている表示体モジュールである。本発明による表示体モジュールでは、発光パネルの周縁部(額縁)においてこのパネルに対して略垂直にコネクターを形成して電極を引き出すことにより、額縁部の面積を狭くすることができる。これにより、このモジュールを複数枚組み合わせて大型表示装置を構成した場合でも、各モジュールの境界部の非発光部分が狭く抑えられるために、大型表示装置全体としての表示を鮮明に行うことが可能となる。
【0037】
前記コネクターについては、複数のコネクターすべてを一体的に保持するコネクター保持体により保持されていることが望ましい。本発明による表示体モジュールではまた、複数のコネクターすべてを一体的に保持するコネクター保持体を具備することを特徴とするので、複数のコネクターの位置を一様に設定することができ、発光パネルの電極引き出し部との接続が容易となる。
【0038】
また、このコネクター保持体は、部分的に前記発光パネルに当校するリブ部が形成されていることが好適である。このコネクター保持体にリブ部を設けてリブ部の先端を各コネクター先端部と同じ平面に形成する構造を採用すれば、コネクター保持体を発光パネルに当接することにより複数のコネクターすべてを一括して正確かつ適切に位置決めすることができると共に、コネクター保持体の強度を補強することができる。
【0039】
前記コネクター保持体の前記リブ部は、該リブ部の各分枝側面に少なくとも1箇所の貫通孔が形成されていることが好ましい。このリブ部に貫通孔を設けてリブ部により仕切られる発光パネル裏面の区画をすべて巡通することにより、発光パネルに生じた熱を均一に分散させることが可能となる。
【0040】
前記駆動回路基板との前記物理的結合手段は、前記コネクター保持体上に形成された複数の突起部であり、前記駆動回路上の前記受け手段が該突起部に嵌合する貫通孔であることが望ましい。コネクター保持体と駆動回路基板との結合方法は、コネクター保持体に設けた突起部と駆動回路基板に設けた貫通孔とを嵌合させることにより行うと、より簡便である。
【0041】
また、前記コネクター保持体は、前記発光パネル側と前記駆動回路側とを連通させる開ロ部が形成されていることが好適である。コネクター保持体にはさらに、発光パネル側と駆動回路側とを連通させる開ロ部を複数設けることにより、発光パネルで発生した熱を分散させることが可能となる。この開口部は、リブの各分枝26の真下に形成することにより、リブ部に貫通孔25を形成することが容易となる。
【0042】
前記発光パネル裏面には、前記コネクター保持体のリブ部と当接する部位を避けて保護層及び放熱層のいずれかまたは両方を設けることもできる。発光パネル裏面、すなわちコネクター保持体との接合面側に保護層を設けることにより、発光パネルの損傷や汚れを防止することができる。また、この保護層と重ねて或いは単独に放熱層を設けることにより、発光パネルで生成する熱の放散を促進することができる。
【0043】
前記リブ部の各分枝における前記発光パネルとの当接面には、少なくとも1箇所の切り欠き部を設けて、前記保護層或いは放熱層がリブ部によって仕切られる区画をまたいで連通できるようにすることが望ましい。前記リブ部の各分枝に切り欠き部を設けることで、前記保護層或いは放熱層がリブ部の切り欠き部を通じて一体的に形成することができる。
【0044】
本発明における表示体モジュールの前記発光層は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることが特に好適である。本発明は、薄膜発光層を用いた表示体全般に応用することができるが、特に有機EL表示体に好適である。
【0045】
また、本発明の表示体モジュールの製造方法においては、コネクター保持体と複数のコネクターとを一体的に成型してコネクターユニットとした後、該コネクターユニットと薄膜発光層を形成した発光パネルとを、少なくとも各コネクター先端部において導電性接着剤により接合し、さらにコネクター保持体の結合手段と駆動回路の受け手段とを嵌合させて一体となし、コネクターの各々を駆動回路上の対応する端子に電気的に接続することを特徴とする。換言すれば、本発明の表示体モジュールの製造方法は、コネクター保持体に複数のコネクターを一体的に成型し、この複数のコネクターが一体的に成型されたコネクター保持体の前記複数のコネクターをそのの少なくとも先端部において発光パネルに導電性接着剤により接合し、さらに前記コネクター保持体の結合手段と駆動回路基板の結合手段とを物理的に結合して前記コネクター保持体と駆動回路基板とを一体化し、前記コネクターの各々を駆動回路基板上の対応する端子に電気的に接続する表示体モジュールの製造方法である。本発明による表示体モジュールの製造方法においては、複数のコネクターを一体的に形成したコネクター保持体を予め製造しておいてから発光体パネルと接合するので、コネクター各々の位置決めが正確かつ容易にでき、歩留りが向上する。
【0046】
前記導電性接着剤による接合に際して、各コネクター先端部の導電性接着剤のみに対する局部的硬化手段を用いることが好適である。前記局部的硬化手段としては、レーザー照射を用いることができる。本発明による製造方法ではまた、各コネクター先端部のみを導電性接着剤で接合し、局部的な硬化手段を用いることで、発光体パネルの温度上昇を抑制し、発光素子の劣化を防ぐことができる。この局部的硬化手段としては、レーザー照射を用いることにより、正確かつ精密に硬化が行える。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1を示す図で、正面側(表示面側)を下側にして斜視図で示す表示体モジュールの事例の組立図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す図で、正面側(表示面側)を下側にして示す表示体モジュールの事例の長辺側の側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す図で、図1及び図2におけるコネクタ保持体を裏面側(正面側(表示面側)と反対の側、つまり図1及び図2における上側)から見た裏面図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す図で、図1及び図2における表示体モジュールの短辺側のコネクタ部分の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示す図で、コネクタ保持体の他の事例を正面側(表示面側)から見た正面図である。
【図6】この発明の実施の形態2を示す図で、図5に示すコネクタ保持体を裏面側から見た裏面図である。
【図7】この発明の実施の形態2を示す図で、図5に示すコネクタ保持体の長辺側の側面図である。
【図8】この発明の実施の形態2を示す図で、図5に示すコネクタ保持体の格子状リブの一部を拡大して示す長辺側の側面図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す図で、保護シートを裏面側から見た裏面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 発光パネル、
11 電極引き出し部、
20 コネクター保持体、
21 コネクター、
22 突起部、
22B 円盤状取り付け台座、
23 リブ、
23L 長尺なリブ部、
23S 短冊状のリブ部、
24 切り欠き部、
25 貫通孔、
26 リブ分枝、
27 開ロ部、
30 駆動回路基板、
31 貫通孔、
32 Gリング、
33 端子、
40 保護シート、
41 繰り抜き部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層が形成され少なくとも隣り合う二辺に複数の電極引き出し部が設けられた発光パネル、この発光パネルと所定の間隔を隔てて前記発光パネルと平行に配設され前記発光パネルの前記電極引き出し部が設けられた前記二辺と同じ二辺に複数の端子を有し前記発光パネルを発光制御する駆動回路が構成された駆動回路基板、及び前記発光パネルと前記駆動回路基板との間に前記発光パネル及び前記駆動回路基板と平行をなして配設され前記二辺と同じ二辺の部分を貫通して前記発光パネル側に直線状に延在すると共に前記駆動回路基板側に直線状に延在する複数のコネクターを有したコネクター保持体を備え、前記コネクター保持体の前記二辺の部分の各コネクターは、その前記発光パネル側が前記発光パネルの前記二辺の複数の電極引き出し部に電気的に接続され、その前記駆動回路基板側が前記駆動回路基板の前記二辺の複数の端子に電気的に接続されている表示体モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の表示体モジュールにおいて、前記二辺の部分の各コネクターのすべてが前記コネクター保持体に一体的に形成されていることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示体モジュールにおいて、前記コネクター保持体は、部分的に前記発光パネルに当接するリブ部が形成されていることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記コネクター保持体の前記リブ部は、該リブ部各分枝側面に少なくとも1箇所の貫通孔が形成されていることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記コネクター保持体と前記駆動回路基板との物理的結合手段として、前記コネクター保持体上に複数の突起部が形成されていると共に前記駆動回路基板に前記突起部に嵌合する貫通孔が形成され、前記突起部に前記貫通孔を嵌合することにより前記コネクター保持体と前記駆動回路基板とが物理的に結合されていることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記コネクター保持体には、前記発光パネル側と前記駆動回路基板側とを連通させる開口部が形成されていることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記発光パネル裏面に、前記コネクター保持体の前記リブ部と当接する部位を避けて保護層を設けたことを特徴とする表示体モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記発光パネル裏面に、前記コネクター保持体の前記リブ部と当接する部位を避けて放熱層を形成したことを特徴とする表示体モジュール。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の表示体モジュールにおいて、前記リブ部の各分枝における前記発光パネルとの当接面に少なくとも1箇所の切り欠き部を設けたことを特徴とする表示体モジュール。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の表示体モジュールにおいて、前記発光層が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする表示体モジュール。
【請求項11】
コネクター保持体に複数のコネクターを一体的に成型し、この複数のコネクターが一体的に成型されたコネクター保持体の前記複数のコネクターをそのの少なくとも先端部において発光パネルに導電性接着剤により接合し、さらに前記コネクター保持体の結合手段と駆動回路基板の結合手段とを物理的に結合して前記コネクター保持体と駆動回路基板とを一体化し、前記コネクターの各々を駆動回路基板上の対応する端子に電気的に接続する表示体モジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の表示体モジュールの製造方法において、前記導電性接着剤による接合に際して、各コネクター先端部の導電性接着剤のみに対する局部的硬化手段を用いることを特徴とする表示体モジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の表示体モジュールの製造方法において、前記局部的硬化手段がレーザー照射であることを特徴とする表示体モジュールの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−212955(P2007−212955A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35332(P2006−35332)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(505401849)株式会社世界最速試作センター (18)
【Fターム(参考)】